JP3989744B2 - 作業車輌用トランスミッション - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耕耘機やモア装置等の作業装置が付設されてなる作業車輌におけるトランスミッションに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、エンジンから駆動輪への走行系伝動達経路には、変速幅を広げる為に、HSTと多段変速装置を有するトランスミッションとが直列に介挿される。
又、走行機体に往復動自在に装着された作業装置を備える場合には、該作業装置用PTO軸と共に、該作業装置を往復動させる油圧リフト装置等の油圧装置も備えられる。
【0003】
通常、前記トランスミッションのミッションケースは、該ケース内に収容される前記多段変速装置等の機械要素を潤滑すると共に、前記HSTや油圧装置への圧油供給源となる油を貯留し得るように構成されている。
【0004】
より詳しくは、前記ミッションケースに貯留された油は、付設される油圧ポンプによって吸引され、前記HST及び油圧装置へ所定油圧で供給される。
そして、前記HST及び油圧装置からの戻り油は、前記ミッションケース内に戻される。
【0005】
ところで、前記HSTや油圧装置からの戻り油は高温化して低粘性となっている。従って、該低粘性の戻り油を単純に循環させると、前記油圧ポンプ,HST及び油圧装置の各部位において油リーク量が増大し、その結果、油圧ポンプのポンプ効率,HSTの効率及び/又は油圧装置の効率が悪化する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、油を貯留し得るように構成されたミッションケースを有するトランスミッションにおいて、HSTや油圧装置から該ケースへの高温戻り油が高温のままHST及び油圧装置へ循環供給されることを有効に防止し得る構造簡単なトランスミッションの提供を、一の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成する為に、油圧装置によって昇降される作業装置が付設された作業車輌用トランスミッションであって、油を貯留し得るように構成されたミッションケースと、該ケースに支持されたPTO系入力軸であって、エンジンからの駆動力を作動的に受け且つ油圧ポンプに作動的に連結されたPTO系入力軸と、前記ケースに支持された走行系入力軸であって、前記エンジンからの駆動力をHSTを介して作動的に受け且つ駆動車軸に作動的に連結された走行系入力軸とを備え、前記油圧ポンプは、前記HSTと前記油圧装置とに圧油を供給するように構成され、前記ケースは、車輌前後方向に沿って順に設けられた前支持壁及び後支持壁によって区画された前室,中室及び後室であって、互いに油流通可能とされた前室,中室及び後室を有し、前記前室には、前記油圧ポンプの動力伝達下流側で前記PTO系入力軸からの動力伝達をON/OFFするPTOクラッチを収容し、前記後室にはPTO軸駆動用のドライブトレインを収容すると共に、前記前室と前記後室とは、前記PTOクラッチと前記ドライブトレインとを接続するPTO伝動軸を収容した中継室を介して連通されており、前記HST及び前記油圧装置からの戻り油は、それぞれ、前記前室及び後室に流入されると共に、前記油圧ポンプは前記中室から油を吸引するように構成された作業車輌用トランスミッションを提供する。
【0008】
好ましくは、前記駆動車軸の伝動方向前段に配設されたブレーキ軸と、該ブレーキ軸に対して制動力を付加するブレーキ機構とを、さらに備え、該ブレーキ軸及びブレーキ機構は、前記中継室に収容されており、前記中継室は、前記前室から油が流入し且つ前記中室に抜け得るように構成される。
より好ましくは、前記後室には、前記油圧装置からの戻り油を一時的に受け止める室内壁が設けられる。
【0009】
より好ましくは、前記走行系入力軸に入力された駆動力を多段に変速して駆動車軸に作動的に伝達する多段変速装置を、さらに備える。該多段変速装置は、前記前室に収容され得る。前記駆動車軸の入力端部は、前記中室に収容され得る。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図1は本実施の形態が適用された車輌100を模式的に示した側面図である。
【0011】
図1に示すように、前記車輌100は、前方,中央下部及び後方に、それぞれ、バケット装置111,モア装置112及び耕耘機(図示せず)等の作業装置を付設し得るようになっている。なお、以下の説明において、トランスミッション30の直ぐ前方に配設されるモア装置112等の作業装置を第1作業装置と言い、トランスミッションの後方に配設される耕耘機等の作業装置を第2作業装置と言う。
【0012】
該車輌100は、シャーシ101上に、車輌長手方向に沿ってエンジン10a,HST20及びトランスミッション30が順に配設されており、該トランスミッション30の上方にシート102が配設されている。
詳しくは、前記エンジン10aから出力された動力は、フライホイール10bの回転中心部に付設した弾性継ぎ手(図示せず)から、その両端部に自在継手を有する後下方へ傾斜した伝動軸10cを介して、HST20の入力軸21aに導入される。
【0013】
なお、図1中の符号10dは、前記伝動軸10cの伝動方向後流側の自在継手上に設置した冷却ファンであり、該冷却ファン10dによって発生された風が、前記HST20やミッションケース60の表面に当たって内部に貯溜され且つ各部に循環される油を間接的に冷却し、また、後述のラインフィルター68や補助ポンプ420を冷却するようになっている。
さらに、前記シャーシ101の前方部上方には、前記エンジン10aや該エンジン10aに関連するラジエータ及び燃料タンクが搭載されており、これらの部品はボンネットで覆われている。
【0014】
又、前記シャーシ101の前方部下方には、フロントアクスルケース10eがシャーシ幅方向に沿うように架持されている。詳しくは、該フロントアクスルケース10eの左右端部が、シャーシ幅方向略中央において前後方向に沿うように配設されたセンターピンを介して、上下揺動自在に吊持されている。そして、該フロントアクスルケース10eの左右端部からは、それぞれ、外方へ前車軸が突出され、該前車軸に前輪が装着されている。
【0015】
さらに、図1中の符号10fは、詳細は後述するミッションケース60の前面から突出した前輪駆動力取出軸53aと前記フロントアクスルケース10eの入力軸とを連結する伝動軸である。該伝動軸10fは、後端部が自在継手を介して前記前輪動力取出軸53aに連結された略水平の第1部と、後端部が自在継手を介して該第1部の前端部に連結され且つ前端部が自在継手を介して前記フロントアクスルケースの入力軸に連結された前下方へ傾斜する第2部とを備えている。
なお、斯かる前輪動力伝達機構を介して、前車輪は後車輪180と同期した回転動力で駆動される。
前記シート102は、ミッションケース60の後方上面と後述のバルブユニット410の前面とに亘って架設されたマウントステー10g上に取り付けられる。
【0016】
図2に、前記車輌の伝動構造におけるHST20及びトランスミッション30部分の部分解斜視図を示す。又、図3及び図4に、それぞれ、前記HST20及びトランスミッション30の縦断側面図及び一部横断平面図を示す。さらに、図5に、図3におけるV-V線断面図を示す。
【0017】
前記HST20は、図2及び図3に示すように、前記エンジン10に作動的に連結され且つ車輌長手方向に沿って配設されたポンプ軸21aを有する油圧ポンプ本体21と、前記ポンプ軸21aの下方において該ポンプ軸21aに平行に配設されたモータ軸22aを有する油圧モータ本体22と、前記油圧ポンプ本体21及び油圧モータ本体22を支持するセンターセクション23と、前記油圧ポンプ本体21及び油圧モータ本体22を囲繞するように前記センターセクション23に連結されたHSTケーシング24とを備えている。
【0018】
該HST20は、前記油圧ポンプ本体21及び油圧モータ本体22の少なくとも一方が外部からの操作に基づいて吸入/吐出量を可変とし得る可変容積型とされており、ポンプ軸21aに対するモータ軸22aの回転数を変化させ得るようになっている。
詳しくは、該HST20は、前記モータ軸22aの回転出力をコントロールする出力制御アーム25を有している。該出力制御アーム25aは、シャーシ101に設置された右ステップ(図示せず)上に配設された前後進走行ペダル(図示せず)に作動的に連結されている。
【0019】
図3に示すように、前記ポンプ軸21a及びモータ軸22aの後端部は、それぞれ、前記センターセクション23を貫通して、後述するトランスミッションの作業装置用入力軸(PTO系入力軸)31及び車輌走行用入力軸(走行系入力軸)34に連結され得るようになっている。
【0020】
図6及び図7に、それぞれ、後述するミッションケース60の前蓋部62を外した状態の正面図及び後蓋部63を外した状態の背面図を示す。さらに、図8に、図6におけるVIII-VIII線に沿った走行系ドライブトレイン展開図を示す。又、図9に、図7のIX-IX線に沿った前記トランスミッション30の作業装置駆動系(PTO系)ドライブトレイン展開図を示す。
【0021】
図3〜図9に示されるように、前記トランスミッション30は、前記ポンプ軸21aと同心上に配設され且つ軸線回り相対回転不能に連結された作業装置駆動用入力軸(PTO系入力軸)31と、第2作業装置用のリアPTO軸32と、第1作業装置用のミッドPTO軸33と、前記PTO系入力軸31とリアPTO軸32及びミッドPTO軸33との間を連結するPTO系伝動機構40と、前記モータ軸22aと同心上に配設され且つ軸線回り相対回転不能に連結された走行系入力軸34と、該走行系入力軸34と一対の駆動輪を差動的に駆動するディファレンシャルギア装置150のリングギア151とを連結する走行系伝動機構50と、前記各部材を支持するミッションケース60とを備えている。
【0022】
前記ミッションケース60は、図3,図5,図8及び図9に示すように、車輌長手方向前方及び後方並びに車輌幅方向一方側が開口とされた本体部61と、該本体部61の前方開口及び後方開口をそれぞれ閉塞する前蓋部62及び後蓋部63と、該本体部61の側方開口を閉塞する側蓋部64とを備え、内部空間に油を貯留し得るように構成されている。
【0023】
なお、ミッションケース60の後部には、図1に示すように、第2作業装置を昇降可能に支持する作業機装着ヒッチ480が設けられている。該作業機装着ヒッチ480は、ミッションケース60の後方に装着された左右の取付ステー481に枢支された左右のロアーリンク482と、前端部が後述するリフトアーム406の自由端部に揺動自在に連結され且つ後端部が前記ロアーリンク482に揺動自在に連結されたリフトロッド483と、前端部が後蓋部63の上部後面に付設された取付ブラケット484(図2及び図3参照)に枢支されたトップリンク485とを備えた3点リンク式ヒッチとされている。
【0024】
前記本体部61は、図3に良く示されるように、車輌長手方向前方及び後方にそれぞれ前支持壁61a及び後支持壁61bを有している。
車輌前後方向に沿って順に設けられた前記前支持壁61a及び後支持壁61bは、該本体部61の内部空間を、前室C1,中室C2及び後室C3に区画している。該前室C1,中室C2及び後室C3は、互いに油が流通し得るように構成されている。
本実施の形態においては、前記中室C2の上方に中継室C4が設けられており、前記前室C1,中室C2,後室C3及び中継室C4が互いに油流通可能とされている。
即ち、前記前支持壁61aの上下方向略中央位置には前室C1と中継室C4とを連通する油連通開口61xが設けられている。該中継室C4は後支持壁61bに設けられた開口を通じて後室C3に開口している。さらに、前記後支持壁61bの上下方向下方位置には前記中室C2と後室C3とを連通する油連通開口61yが設けられている(図3,7及び9参照)。
前記中室C2の下方には、前記駆動車軸への動力伝達機構用収納スペースが確保されている。具体的には、該中室C2の下方に、前記駆動車軸の入力端部(内端部)が支持されるように構成されている。
本実施の形態においては、駆動車軸への動力伝達機構として前記ディファレンシャルギア装置が備えられており、従って、該中室C2の下方には、ディファレンシャルギア装置収容スペースが確保されている。
より詳しくは、該収納スペースは、図5に示すように、詳細は後述する前記走行系入力軸34を基準としてミッションケースの幅方向一方側に変位されている。
【0025】
なお、図6において、符号OLは、後述の注油栓62dを開けて油を所定量貯蔵したときのオイルレベルであり、該オイルレベルは前記油連通開口61xの高さを若干上回る高さに設定してある。
より詳しくは、エンジン始動前は、前室C1、中室C2、後室C3、中継室C4はいずれも図示のオイルレベルOLにある。これに対し、エンジン始動後は、HSTの作動に伴なうドレン油が流れ込む前室C1のオイルレベルOLは上がりぎみとなり、また、前記補助油圧ポンプ420により貯溜油が吸い出される中室C2のオイルレベルOLは下がりぎみとなる。
【0026】
又、図6及び図8における符号61x’は、前支持壁61aの下方に設けられた,前室C1の下方部と中室C2とを連通する油連通開口である。該油連通開口61x’は、前室C1から中室C2へ積極的に油流入させる為のものではなく、ミッションケースから油抜きを行う際に前室C1に油が残留しないようにする為のものである。従って、該油連通開口61x’は、できるだけ小さくされる。
【0027】
前記前支持壁61aは、車輌幅方向略中央において、前記PTO系入力軸31及び走行系入力軸34の後端部をそれぞれ支持するようになっている。即ち、前記PTO系入力軸31及び走行系入力軸34は共に、車輌幅方向略中央において上下に並設された状態で、前記前蓋部62と前記前支持壁61aとによって支持されている。
より詳しくは、図2,図3及び図6に良く示されるように、前記PTO系入力軸31は、ミッションケース60の幅方向略中央において、回転軸線が前後方向に沿って配設されるように、前端部が前記前蓋部62によって前記ポンプ軸と連結可能に支持され且つ後端部が前記前支持壁61aによって終焉支持されている。
【0028】
一方、前記走行系入力軸34は、ミッションケース60の幅方向略中央且つ前記PTO系入力軸31の下方において、回転軸線が前後方向に沿うように、前端部が前記前蓋部62によって前記モータ軸と連結可能に支持され且つ後端部が前記前支持壁61aによって終焉支持されている。
前記後支持壁61bは、前記リアPTO軸32の前端部を支持するようになっている。即ち、前記リアPTO軸32は、前記後支持壁61bと前記後蓋部63とによって支持されている。
より詳しくは、前記リアPTO軸32は、ミッションケースの幅方向略中央において、回転軸線が前後方向に沿い且つ後端部が前記後蓋部63から後方へ突出するように、前記後支持壁61bと前記後蓋部63とによって支持されている。
【0029】
前記前蓋部62は、前記本体部61の前方開口を閉塞するように該本体部61に連結されると共に、前記センターセクション23を支持するようになっている。即ち、前記センターセクション23は、前記油圧ポンプ本体21及び油圧モータ本体22を支持した状態で、前記前蓋部に連結されるようになっている。
なお、本実施の形態においては、本体部61の前方開口を閉塞する前蓋部62を備えるように構成したが、これに代えて、本体部61の前方開口をセンターセクション23で閉塞するように構成することも可能である。
【0030】
前記ミッドPTO軸33は、シャーシ101の中央部下方に配設されるモア等の第1作業装置112の駆動軸となるものであり、その為、ミッションケース60の下方において、回転軸線が車輌前後方向に沿い且つ前端部が該ミッションケース60から前方へ突出するように、該ミッションケース60の前支持壁61a及び後支持壁61bに支持されている。
なお、該ミッドPTO軸33と作動的に連結される第1作業装置112の入力軸112(図1参照)は、車高の上昇を極力防止しつつ、シャーシ101との干渉を避ける為に、幅方向中央から何れか一方へ変位されるのが好ましい。本実施の形態においては、前述のように、ミッションケース60の幅方向一方側の下方にディファレンシャルギア装置150が収容される。従って、該ディファレンシャルギア装置150が変位された側とは反対側の幅方向他方側に前記第1作業装置112の入力軸112を変位させると共に、前記ミッドPTO軸33も幅方向他方側に変位させるのが好ましい。このように構成することによって、車高の上昇を抑えつつ、且つ、ディファレンシャルギア装置150との干渉を防止すると共に、ミッドPTO軸33と第1作業装置112の入力軸112とを連結する伝動機構を簡略化させることができる。
【0031】
又、本実施の形態においては、図3に示すように、前記ミッドPTO軸33を可及的に地面に近接させる為に、該ミッドPTO軸33を一対の駆動軸180の下方に配設している。斯かる構成によって、該ミッドPTO軸33と第1作業装置112との間を連結する伝動機構を無理なく構成することができる。
即ち、第1作業装置112は地面上に載置される作業状態と地面から上方へ昇降される待機状態とをとり得るように構成されている。その為、該第1作業装置112と前記ミッドPTO軸33とは自在継手を備えた伝動機構によって連結される。斯かる場合、前記ミッドPTO軸33をできるだけ地面に近接配置すれば、前記第1作業装置112を作業状態にした場合における,前記自在継手のミッドPTO軸33に対する折れ角度を小さくでき、これにより、該自在継手を備えた伝動機構を無理なく構成することが可能となる。
なお、図1において、符号112'はフロントPTO装置を示している。本実施の形態においては、該フロントPTO装置112’は、フロントアクスル10eの底面に着脱自在に吊り下げ支持されている。該フロントPTO装置112'は、前述したモアなどの第一作業装置112を車輌下腹部に装着する代わりに、除雪機などの作業機を車輌前部に装着する場合に使用される。
詳しくは、車輌長手方向に沿ったフロントPTO軸の後端部には軸継手を介して前記ミッドPTO軸33が連結され、該フロントPTO軸の前端部には軸継手を介して前記作業装置の駆動部が連結される。
【0032】
前記PTO系伝動機構40は、図3,図6,図7及び図9に良く示されるように、車輌前後方向に沿い且つ前記中継室C4と前記後室C3とに跨るようにミッションケース60に支持されたPTO系伝動軸41と、前記PTO系入力軸31から該PTO系伝動軸41への動力伝達をON/OFFするPTOクラッチ装置70と、前記PTO系伝動軸41と前記リアPTO軸32との間を連結するリアPTOギア列42と、前記PTO系伝動軸41と前記ミッドPTO軸33との間を連結するミッドPTO伝動ギア列43と、前記PTO系伝動軸41から前記リアPTOギア列42及び/又はミッドPTO伝動ギア列43への動力伝達をON/OFFする切換装置45とを備えている。
【0033】
前記PTO系伝動軸41は、図6及び図9に良く示されるように、前記PTO系入力軸31を基準として、前記ディファレンシャルギア装置収納スペースが変位された車輌幅方向一方側とは反対側の車輌幅方向他方側において、回転軸線が車輌前後方向に沿い且つ後端部がミッションケース60の後方部まで到達するように、前記前支持壁61aと前記後蓋部63とによって支持されている。
なお、該PTO系伝動軸41は、前記ミッドPTO軸33及びリアPTO軸32に対する駆動軸となるものである。前述のように、ミッドPTO軸33はミッションケース60の下方に配設されており、他方、リアPTO軸32はミッションケース60の上方に配設されている。従って、本実施の形態においては、図6に示すように、前記PTO系伝動軸41からミッドPTO軸33及びリアPTO軸32の双方への動力伝達を効率良く且つ簡単な構成で行えるように、該PTO系伝動軸41を前記PTO系入力軸31より下方に配設している。
【0034】
前記PTOクラッチ装置70は、図9に示すように、ミッションケース60の前室C1内に配設されている。即ち、本実施の形態においては、ミッションケース60の前方において、前記PTO系入力軸31からPTO系伝動軸41への動力をON/OFFするようになっている。
具体的には、該PTOクラッチ装置70は、前記PTO系入力軸31に相対回転不能且つ軸方向摺動不能に支持された駆動側部材71と、該駆動側部材71に支持された駆動側摩擦板72と、前記PTO系入力軸31に相対回転自在に支持された従動側部材73と、該従動側部材73に相対回転不能且つ軸方向摺動自在に支持された従動側摩擦板74と、油圧の作用を受けて、前記従動側摩擦板74と前記駆動側摩擦板72とを摩擦係合させるクラッチ押動部材75と、該クラッチ押動部材75を前記駆動側摩擦板72及び従動側摩擦板74から離間させるクラッチ付勢部材76と、前記従動側部材73と噛合するように前記PTO系伝動軸41の前端部に相対回転不能に支持されたPTO伝動ギア77とを備えている。
斯かる構成の該PTOクラッチ装置70は、油圧の作用によって前記クラッチ押動部材75が前記両摩擦板72,74を摩擦係合させた場合にはPTO系入力軸31から従動側部材73を介してPTO系伝動軸41に動力を伝達するメインPTOギアトレーンとして機能し、且つ、油圧の作用を受けない場合にはPTO系入力軸31から従動側部材73への動力伝達を遮断する遮断部材として機能する。
【0035】
本実施の形態においては、前記PTOクラッチ装置70は、さらに、該PTOクラッチ装置70のクラッチ動作に連動するPTOブレーキ機構80を備えており、これにより、該PTOクラッチ装置70が動力遮断した際に、連結された作業装置の慣性力によってリアPTO軸32及びミッドPTO軸33が回転し続けることを有効に防止している。
【0036】
前記PTOブレーキ機構80は、前記従動側部材73に相対回転不能に設けられたブレーキディスク81(本実施の形態においては、従動側部材73の外周面)と、該ブレーキディスク81に対して摩擦係合可能に配設されたブレーキシュー82と、先端部が該ブレーキシュー82を支持し、且つ、基端部が前記ミッションケース60に設けられたシリンダ室85に軸線方向摺動自在に支持されたブレーキ押動部材83と、前記ブレーキシュー82が前記ブレーキディスク81と摩擦係合し得るように、該ブレーキ押動部材83を付勢するブレーキ付勢部材84とを備えており、前記ブレーキ押動部材83が油圧の作用を受けない場合には前記ブレーキ付勢部材84の付勢力によって前記ブレーキシュー82がブレーキディスク81と摩擦係合して該ブレーキディスク81に対して制動力を掛け、他方、前記ブレーキ押動部材83が油圧の作用を受ける場合には該押動部材83が前記ブレーキ付勢部材84の付勢力に抗してブレーキシュー82から離間する方向に移動して、ブレーキディスク81に対して制動力が掛からないようになっている。
より好ましくは、前記シリンダ室85は、前記側蓋部64に形成される。即ち、液密性が要求されるシリンダ室85を前記本体部61ではなく、側蓋部64に形成することにより、前記本体部61の加工精度を高める必要がなくなり、該本体部61を比較的容易に鋳造することができる。
【0037】
なお、前記ブレーキ押動部材83に対する油圧作用は、前記クラッチ押動部材75に対する油圧作用と連動するようになっている。即ち、クラッチ押動部材75に対して油圧が作用がして前記クラッチ装置70が「入」状態になる場合には、前記ブレーキ押動部材83に対しても油圧が作用して前記ブレーキ機構80が「切」状態となり、他方、クラッチ押動部材75に対して油圧が作用せずに前記クラッチ装置が「切」状態となる場合には、前記ブレーキ押動部材83に対しても油圧が作用せずに前記ブレーキ機構80が「入」状態となるようになっている。
即ち、前記油圧ブレーキ機構80及び前記油圧クラッチ装置70は、共通の油圧源によって連動制御されるようになっている。
【0038】
本実施の形態においては、後述する補助ポンプ420から圧油を受けるPTOライン602を、前記油圧ブレーキ機構80及び油圧クラッチ装置70の共通油圧源として用いている。
より詳しくは、前記PTOライン602から油圧ブレーキ機構80及び油圧クラッチ装置70への作動油供給を制御する切換弁604が備えられたバルブアッセンブリ650を、前記側蓋部64の外面に固着している。
【0039】
前記側蓋部64の内側には、前記PTOライン602の圧油を前記油圧ブレーキ機構80と前記油圧クラッチ装置70とに分岐する圧油分配器を、前記側蓋部64の内側に設けている。
本実施の形態においては、前記側蓋部64に、外端部が前記PTOライン602に連通し、且つ、内端部が内表面に開口する穿孔615が設けられている。
さらに、前記圧油分配器として、一端部616aが該穿孔615の内端部に連通され、且つ、他端部がクラッチ押動部材75及びブレーキ押動部材83のそれぞれを向く第1及び第2開口端部616b,616cとされたマニホールド616が備えられている。該第1開口端部616b及び第2開口端部616cは、それぞれ、後述するクラッチライン611及びブレーキライン612を構成する。
なお、本実施の形態においては、図3に示すように、前記第1開口端部616bは車輌幅方向を向き、且つ、前記第2開口端部616cは車輌前後方向を向いている。
好ましくは、前記第1開口端部616b及び第2開口端部616cの少なくとも一方は、パイプ等の分離自在な部材で構成することができ、これにより、前記マニホールドの加工性及び組立性を向上させることができる。
【0040】
本実施の形態においては、前記PTOクラッチ装置70が動力遮断状態から動力伝達状態に切り替わる際におけるショックを緩和するアキュムレータ機能80aが、前記ブレーキ機構80に備えられている(下記図13参照)。
具体的には、前記ブレーキ押動部材83は、基端部が前記シリンダ室85内に位置し且つ先端部に前記ブレーキシュー82が配設されたロッド83aと、該ロッド83aに軸方向摺動自在に支持され、且つ、前記シリンダ室85を圧油作動室85aと付勢部材収納室85bとに画する受圧板83bと、前記付勢部材収納室85b内に位置するように、前記ロッド83aに軸線方向移動不能に支持された従動板83cとを備えている。
前記受圧板83bには、前記圧油作動室85aと付勢部材収納室85bとを連通するオリフィス85b’が形成されている。該オリフィス85b’は、前記受圧板85bが圧油の作用によって前記付勢部材収納室85bの方へ所定ストローク押動されると、前記従動板83cによって閉塞されるようになっている。
【0041】
前記PTOブレーキ機構80は、斯かる構成を備えることにより、以下のように動作する。
即ち、前記PTOライン602を介して圧油が供給されると、前記クラッチライン611及びブレーキ612の油圧が上昇する。この際、前記オリフィス85b’から圧油が漏れ出るので、該クラッチライン611及びブレーキライン612の油圧は、当初、比較的緩やかに上昇する。従って、油圧クラッチ装置70は、緩やかに係合状態となる。
その後、前記受圧板85bが圧油によって押動されて前記オリフィス85b’が閉塞されると、前記クラッチライン611及びブレーキライン612の油圧は、設定値まで上昇する。
【0042】
このように、本実施の形態においては、前記受圧板85bが所定ストローク押動されてオリフィス85b’が閉塞されるまでの間、クラッチライン611の油圧を漸増させることができる。従って、油圧クラッチ装置70の急激な係合を防止して、各部材の磨耗/損傷を有効に防止できる。
【0043】
前記リアPTOギア列は、図9に示すように、ミッションケース60の後室C3内に収容されている。より詳しくは、該リアPTOギア列42は、前記PTO系伝動軸41の後端部近傍に相対回転自在に支持されたリアPTO用ギア部材42aと、該ギア部材42aと噛合するアイドルギア42bと、該アイドルギア42bを相対回転不能に支持する中間軸42cと、該中間軸42cに設けられたスプライン42dと噛合するように、前記リアPTO軸32の前端部近傍に相対回転不能に支持された最終ギア42eとを備えている。
【0044】
前記ミッドPTO伝動ギア列43は、図9に良く示されるように、前記一対の駆動車軸180より後方に配設されている。即ち、該ミッドPTO伝動ギア列43は、ミッションケース60の中室C2の下方に収納される前記ディファレンシャルギア装置150と干渉しないように、該ディファレンシャルギア装置150の後方に位置するように、後室C3内に配設されている。
具体的には、該ミッドPTO伝動ギア列43は、前記リアPTO用ギア部材42aと向き合うように前記PTO系伝動軸41に相対回転自在に支持されたミッドPTO用ギア部材43aと、該ギア部材43aと噛合するアイドルギア43bと、該アイドルギア43bと噛合するように前記ミッドPTO軸33の後端部に相対回転不能に支持された最終ギア43cとを備えている。
【0045】
前記切換装置45は、外部からの操作によって、前記PTO系伝動軸41の回転を前記リアPTO用ギア部材42a及び/又は前記ミッドPTO用ギア部材43aに伝達し得るように構成されている。
詳しくは、前記リアPTO用ギア部材42a及びミッドPTO用ギア部材43aは、それぞれ、互いに対向するように配設された係合子42a',43a'を有している。
そして、該切換装置45は、前記リアPTO用ギア部材42a及びミッドPTO用ギア部材43aの係合子42a',43a'間に位置するように前記PTO系伝動軸41に相対回転不能に支持されたスプラインハブ45aと、該スプラインハブ45aと前記リアPTO用ギア部材42a及び/又はミッドPTO用ギア部材43aの係合子42a',43a'とに跨るように、スプラインハブ45aに軸方向摺動自在且つ相対回転不能に外挿されたクラッチシフター45bと、該クラッチシフター45bを操作するアーム45c(図7参照)とを備えている。
【0046】
該クラッチシフター45bは、前述のように、前記スプラインハブ45aとリアPTO用ギア部材及びミッドPTO用ギア部材の係合子42a',43a'とに対し、相対回転不能且つ軸方向移動自在に外挿されており、軸方向位置に応じて、前記スプラインハブ45aとリアPTO用ギア部材42aとを相対回転不能に連結するリアPTO出力位置と、前記スプラインハブ45aとミッドPTO用ギア部材43aとを相対回転不能に連結するミッドPTO出力位置と、前記スプラインハブ45aとリアPTO用ギア部材42a及びミッドPTO用ギア部材43aの双方とを相対回転不能に連結する両PTO出力位置とをとり得るようになっている。
【0047】
前記走行系伝動機構50は、図3,図5,図6及び図8に良く示されるように、前記走行系入力軸34の車輌幅方向一方側に隣接し且つ回転軸線が車輌前後方向に沿うように、ミッションケース60に支持された変速軸(走行系伝動軸)51と、前記走行系入力軸34と該走行系伝動軸51との間で変速伝達/遮断を行う多段変速装置52と、任意的に備えられる前輪動力取出装置53と、前記変速軸51と前記ディファレンシャルギア装置150のリングギア151との間に介挿された走行ブレーキ装置200とを備えている。
前記走行系伝動軸51は、ミッションケース60の幅方向一方側に収容される前記ディファレンシャルギア装置150の前方に配設されている。即ち、該走行系伝動軸51は、ミッションケース60の幅方向略中央に配設される前記走行系入力軸34を基準にして、前記ディファレンシャルギア装置150が変位されたと同方向のミッションケース幅方向一方側に変位されている。
【0048】
前記多段変速装置52は、前記走行系入力軸34に相対回転不能に支持された駆動側ギア52aと、該駆動側ギア52aと噛合する複数(本実施の形態においては2個)の従動側ギアを有し、前記変速軸51に相対回転不能且つ軸方向摺動自在に支持された従動側部材52bと、該従動側部材52bを変速軸51の軸方向に移動させる操作部材(図示せず)とを備えており、前記従動側ギアの一を駆動側ギア52aに噛合させることによって、前記走行系入力軸34から前記走行系伝動軸51に駆動力を変速して伝達することができる。
【0049】
前記前輪動力取出装置53は、前記ミッションケース60内の前方部分において、前記走行系伝動軸51を基準として、該ミッションケース60の幅方向一方側且つ下方側に配設されている。即ち、該前輪動力取出装置53は、ミッションケース60の前方において、走行系入力軸34及び走行系伝動軸51より幅方向一方側であり且つ下方側に配設されている。
具体的には、該前輪動力取出装置53は、前端部が前記ミッションケース60から前方へ延在するように該ミッションケース60の幅方向一方側下方に支持された前輪駆動力取出軸53aと、前記走行系伝動軸51と該前輪駆動力取出軸53aとを連結するクラッチ付のギアトレイン53bとを備えている。
【0050】
前記走行ブレーキ装置200は、シャーシ101に設けられた左ステップ上に配設された単一のブレーキペダル205(図1参照)によって操作されるように構成されている。
具体的には、該走行ブレーキ装置200は、図3,図5及び図8に示すように、車輌幅方向に沿うように前記ミッションケース60内に支持されたブレーキ軸201と、前記変速軸51の後端部に相対回転不能に支持された駆動側ベベルギア202と、該駆動側ベベルギア202と噛合するように前記ブレーキ軸201に相対回転不能に支持された従動側ベベルギア203と、前記リングギア151と噛合するように、前記ブレーキ軸201に設けられた出力ギア204と、外部操作に基づき、前記ブレーキ軸の回転を停止させるブレーキ機構210とを備えている。
【0051】
図8に示すように、前記ブレーキ機構210は、ミッションケース60の本体部61の車輌幅方向他方側に連結されるブレーキ蓋218であって、該本体部51との共働下に、前記中室C2の上方に位置する前記中継室C4を画するブレーキ蓋218と、前記ブレーキ軸201に相対回転不能且つ軸方向摺動自在に支持された駆動側摩擦板211と、該駆動側摩擦板211と対向するように前記ミッションケース60に相対回転不能に支持された従動側摩擦板212と、前記駆動側摩擦板211と向き合う押動面213aを有し、前記ブレーキ軸201の軸線回りに相対回転自在且つ軸方向移動可能に支持されたリング状押動部材213と、該押動部材213の前記押動面213aとは反対側の裏面213bに形成されたカム溝であって、該押動部材231の周方向一方側に行くに従って深くなるように形成された傾斜カム溝213cと、該傾斜カム溝213c内に配設されるボール214と、該ボール214を移動不能に保持するように、前記押動部材213の裏面213bと対向する前記ブレーキ蓋218の内面に形成されたボール保持凹部215と、内方端部が前記押動部材213にカムを介して連結され且つ外方端部が前記ミッションケース60の外方へ延在するように前記ブレーキ蓋218に相対回転自在に支持された連結アームであって、軸線回りの回転によって前記押動部材213を周方向に回転させる連結アーム216と、該連結アーム216の外方端部と前記ブレーキペダル205(図1参照)とを連結する操作部材であって、該ブレーキペダル205の操作に基づき、前記連結アーム216を軸線回りに回転させる操作部材217とを備えている。
【0052】
斯かる構成のブレーキ機構210は、前記操作部材217を操作して前記押動部材213を周方向一方側へ回転させることによって、前記ボール214が該押動部材213をブレーキ軸方向へ押動し、これにより、前記駆動側摩擦板211が従動側摩擦板212と摩擦係合して、ブレーキ軸201の回転が停止するようになっている。
【0053】
好ましくは、前記押動部材213は、前記ブレーキ蓋218との間に前記ボール214を狭持しつつ、且つ、該ブレーキ蓋218に対してブレーキ作動ストローク分だけ移動し得るように、該ブレーキ蓋218に連結されている。
【0054】
具体的には、前記押動部材213は、前記ブレーキ軸201の軸線方向に延びる中央孔を有するプレート本体213dと、該ブレーキ本体213dの中央孔内に弾性係合された略筒状の連結部材213eとを備えている。
該連結部材213eは、基端部に径方向外方へ延在されたフランジ部を有し、且つ、先端部に雌ネジ部が形成されている。そして、該連結部材213eは、前記フランジ部が径方向内方へ圧縮された状態で、前記プレート本体213dの中央孔内に挿入されており、該フランジ部の復元力によって前記プレート本体213dに弾性的に連結されている。
斯かる構成の連結部材213eは、ネジ部材209を介して、前記ブレーキ蓋218に連結されており、これにより、前記プレート本体213dが、前記ブレーキ蓋218に対してブレーキ軸201の軸線方向移動可能とされている。
【0055】
さらに、前記プレート本体213dの中央孔には、前記連結部材213eのフランジ部との当接部位から所定距離だけ裏面側に離間された部位に停止片213fが設けられている。該停止片213fは、前記ブレーキ蓋218に対する前記プレート本体213dの移動可能範囲を画定している。即ち、前記中央孔における前記フランジ部との当接位置と前記停止片213fとの間の距離が、前記ブレーキ作動ストロークに相当する。
【0056】
このように構成することによって、前記ブレーキ蓋218との間に前記ボール214が狭持されるように、前記押動部材213をブレーキ蓋218に連結させた状態で、該ブレーキ蓋218をミッションケース60の本体部61に組み付けることができる。従って、前記ブレーキ機構210による十分なブレーキ機能を得つつ、該ブレーキ機構210の組立効率を向上させることができる。
【0057】
さらに、前記走行系伝動機構50は、ディファレンシャルギア装置150をロックするデフロック機構250を備えている。
該デフロック機構250は、リングギア151の回転に連動して一対の駆動軸180回りに公転すると共に、該一対の駆動軸180のそれぞれに相対回転不能に支持された一対のサイドベベルギア152と噛合するように枢支軸153に相対回転自在に支持されたベベルギア154の該枢支軸153回りの回転を強制的にロックし得るように構成されている(図5参照)。
【0058】
具体的には、該デフロック機構250は、図5及び図8に示すように、前記リングギア151と一対のサイドベベルギア152の一方とを相対回転不能に連結するロック位置と両者を相対回転自在とする解除位置とをとり得るように構成されたロック部材251と、車輌幅方向に沿って軸線方向移動自在にミッションケース60に支持されたデフロックフォーク軸であって、ミッションケースの外方からの操作に基づき軸線方向に沿って移動可能とされたデフロックフォーク軸252と、基端部が該デフロックフォーク軸252に軸線方向摺動自在に支持され且つ先端部が前記ロック部材251に係合するデフロックフォーク253と、前記デフロックフォーク軸252に前記デフロックフォーク253の基端部を挟んで支持された一対の第1及び第2戻しバネ254a,254bと、該第1戻しバネ254aの外方端部と当接するように前記デフロックフォーク軸252に外挿された第1停止部材255aであって、前記デフロックフォーク軸252が軸線方向一方側(ロック方向)へ移動する際には該デフロックフォーク軸と共に移動するように構成された第1停止部材255aと、内端部が前記第2戻しバネ254bの外方端部と当接し且つ外端部が側蓋部64の内面に当接するように該デフロックフォーク軸252に外挿された第2停止部材255bであって、該デフロックフォーク軸が軸線方向相対移動自在となるように構成された第2停止部材255bとを備えている。
【0059】
斯かる構成のデフロック機構250は、以下のように動作する。即ち、前記デフロックフォーク軸252を軸線方向一方側に移動させると、第1停止部材255aが第1戻しバネ254aを圧縮し、該第1戻しバネ254aの弾性力を受ける前記デフロックフォーク253が前記第2戻しバネ254bを圧縮させながら移動して、前記ロック部材251をロック位置へ移動させる。
そして、前記デフロックフォーク軸252への操作力を解除すると、圧縮している前記第2戻しバネ254bの付勢力によって、デフロックフォーク253及びデフロックフォーク軸252が軸線方向他方側(解除方向)へ戻され、これにより、前記ロック部材251が解除位置へ移動させられる。
【0060】
このように、前記デフロック機構250は、デフロックフォーク軸252に操作力を掛けるとディファレンシャルギア装置150をロックし、該操作力を解除すると自動的にディファレンシャルギア装置150のロックが解除されるようになっている。
【0061】
さらに、前記走行系伝動機構50は、前記走行ブレーキ装置200の作動時に、前記一対の駆動軸180の双方を同時に停止させる為のリンク機構300を備えている。
即ち、前記走行ブレーキ装置200は、前述の通り、ディファレンシャルギア装置の前段側に配設されたブレーキ軸201に対して制動力を掛けるようになっている。従って、ディファレンシャルギア装置150をロックさせずにブレーキ装置200を作動させると、一対の駆動輪180のそれぞれに掛かる負荷の相違によって該一対の駆動軸180間に“停止時間のずれ”が生じる恐れがある。斯かる“ずれ”は、一方の駆動輪が停止しているにも拘わらず、他方の駆動輪が回転し続けることを意味し、停止時に車輌が横方向にスライドしてしまう。その為、走行ブレーキ装置200を作動させる際には、ディファレンシャルギア装置150をロックさせる必要がある。
【0062】
他方、一対の駆動輪の一方が窪み等の入って空転するような場合には、他方の駆動輪への十分な動力伝達を行う為に、ディファレンシャルギア装置150をロックさせる必要がある。斯かる場合には、当然ながら、走行ブレーキ装置200を作動させずに、デフロック機構250のみを作動(ロック)させる必要がある。
【0063】
前記リンク機構300は、斯かる要求に応える為に備えられるものであり、走行ブレーキ装置200の作動時には強制的にデフロック機構250を作動(ロック)させつつ、デフロック機構250のみを単独で作動(ロック)させ得るようになっている。
【0064】
具体的には、前記リンク機構300は、図8に示すように、前記デフロックフォーク軸252を軸線方向に沿って移動させ得るように枢支軸301回り揺動自在に支持された揺動部材302と、先端部が該揺動部材302に直接的又は間接的に連結されたデフロック操作部材303と、先端部が前記揺動部材302に係止され且つ基端部が前記ブレーキ装置200の連結アーム216に係止され、該連結アーム216が走行ブレーキ装置200を作動させる方向に回転した場合には該回転に連動して前記揺動部材302の方向へ移動する長尺の連結部材304とを備えている。
【0065】
前記揺動部材302には、該揺動部材302の揺動方向に沿った第1及び第2長孔305,306が形成されており、前記デフロック操作部材303及び前記連結部材304の先端部は、それぞれ、該第1及び第2長孔305,306内に係入されている。
前記第1長孔305は、前記揺動部材302が前記デフロックフォーク軸252を押動させる揺動方向一方側の端部305aと該揺動部材302が前記デフロックフォーク軸252から離間する揺動方向他方側の端部305bとの間に延びている。
同様に、前記第2長孔306も、前記揺動部材302の揺動方向一方側の端部306aと他方側の端部306bとの間に延びている。
【0066】
図10に、前記トランスミッションにおけるブレーキ軸近傍の部分横断平面図を示す。図10(a)及び(b)は、それぞれ、前記走行ブレーキ装置200を作動させた状態、及び、前記デフロック装置のみを単独で作動させた状態を示している。
【0067】
図8に示すように、前記走行ブレーキ装置200及びデフロック機構250の双方ともが非作動状態の場合には、前記デフロック操作部材303及び連結部材304の先端部は、それぞれ、前記前記第1及び第2長孔305,306の揺動方向一方側端部305a,306aに位置している。
この状態から、前記ブレーキ装置200を作動させると、前記連結部材304が揺動部材302の方向へ移動して、該揺動部材302を揺動方向一方側へ揺動させる。従って、前記デフロックフォーク軸252は、該揺動部材302によって押動される(図10(a)参照)。
【0068】
他方、図8に示す状態から前記デフロック機構250のみが単独で操作された場合には、図10(b)に示すように、デフロック操作部材303によって前記揺動部材302は揺動方向一方側へ揺動され、これにより、前記デフロックフォーク軸252を移動させるが、前記連結部材304は移動しないようになっている。即ち、揺動部材302が揺動方向一方側へ揺動しても、前記第2長孔306によって、連結部材304は移動しないようになっている。
【0069】
このように、前記リンク機構300は、走行系ブレーキ装置200の作動時にはデフロック機構250を強制的にロックさせつつ、デフロック機構250のみの作動を許容し得るようになっている。
【0070】
斯かる構成のトランスミッション30においては、前記種々の効果に加えて下記効果を得ることができる。
即ち、PTO系入力軸31及び走行系入力軸34を、ミッションケース60の幅方向略中央において上下に振り分けると共に、前記PTO系入力軸31の後段に続くPTO系伝動機構40を該PTO系入力軸31を基準としてミッションケース60の幅方向他方側に集約し且つ前記走行系入力軸34の後段に続く走行系伝動機構50を該走行系入力軸34を基準としてミッションケース60の幅方向一方側及び下方側に集約したので、ミッションケース60の前後幅及び上下幅を有効に圧縮させつつ、ミッションケース内における前記走行系伝動機構50の上部空間を他の部材の収納スペースとして確保することができる。
なお、該他の部材の収納スペースには、例えば、後述する油圧リフト装置400のシリンダーチューブ401等を収納させることができる。
【0071】
さらに、PTO系伝動軸41からミッドPTO軸33への動力伝達を、前記ディファレンシャルギア装置150より後方に配設されたミッドPTO伝動ギア列43によって行うように構成されている。従って、前記ミッドPTO軸33の先端位置(駆動力取出位置)を一対の車軸180に可及的に近接させることができる。このようにミッドPTO軸33の先端位置を車軸180に近接配置させ得るということは、ミッドPTO軸33の先端部と該ミッドPTO軸33によって駆動される第1作業装置112との間隔を大きくとり得ることを意味し、これにより、該第1作業装置112を上昇させた際の、該第1作業装置112と前記ミッドPTO軸33とを連結する伝動機構における自在継手の該ミッドPTO軸33に対する折れ角度を小さくできる。従って、第1作業装置112を無理なく昇降させることができ、騒音の低減や耐久性の向上等の効果を得ることができる。
【0072】
さらに、前記トランスミッション30においては、前述のように、PTO系伝動軸41をミッションケース60の幅方向他方側に変位させている。そして、前記ミッドPTO軸33もミッションケース60の幅方向他方側に変位させている。従って、PTO系伝動軸41とミッドPTO軸33との間の直線距離を近接化することができる。又、走行系伝動機構50をミッションケース60の前後方向前方に配設すると共に、PTO系伝動軸41とミッドPTO軸33とを連結するミッドPTO伝動ギア列43をミッションケース60の後方に配置しており、これにより、該ミッドPTOギア列43をPTO系伝動軸41とミッドPTO軸33とを結ぶ仮想直線上に配置することが可能となっている。斯かる直線上の配置は、該ミッドPTO伝動ギア列43の可及的な縮小化及び簡略化を可能とする。
【0073】
さらに、前記トランスミッション30においては、前記PTO系伝動軸41から前記リアPTO軸32へ動力伝達を行うリアPTOギア列42に、アイドルギア42b及び中間軸42cを備えると共に、これらの部材を前記PTO系伝動軸41の車輌幅方向一方側に配置させており、これにより、前記PTO系伝動軸41から前記リアPTO軸32への減速伝達を実現しつつ、ミッションケース60の拡大を有効に抑えている。
即ち、一般的に、前記PTO系伝動軸41からリアPTO軸32へは減速して駆動力を伝達する必要がある。仮に、PTO系伝動軸41に支持されたリアPTO用ギア部材42aとリアPTO軸32に支持された最終ギア42eとを直接噛合させたとすると、前記リアPTO用ギア部材42aのピッチ円半径を大きくしなければならず、前記PTO系伝動軸41とリアPTO軸32との間の軸間距離が長くなり、結果的に、ミッションケース60の拡大を招くことになる。
【0074】
斯かる点に鑑み、本実施の形態においては、前述の通り、リアPTO用ギア部材42aと最終ギア42eとの間にアイドルギア42b及び中間軸42cを介在させると共に、該アイドルギア42b及び中間軸42cを前記PTO系伝動軸41の車輌幅方向一方側に配設している。即ち、図7に示すように、前記PTO系伝動軸41は、ミッションケース60の幅方向位置に関してはPTO系入力軸31及び走行系入力軸34を基準としてミッションケースの幅方向他方側に配置され、且つ、上下位置に関しては前記両入力軸31,34の間に配置されている。ここで、前記走行系伝動機構50は、前述のように、走行系入力軸34を基準としてミッションケースの幅方向一方側且つ下方側に集約配設されている。従って、前記ミッションケース60の前後方向後方における,前記PTO系伝動軸41の幅方向一方側に、空きスペースが存在している。
前記トランスミッション30においては、前記空きスペースに、前記アイドルギア42b及び中間軸42cを配設しており、これにより、PTO系伝動軸41からリアPTO軸32への減速伝達を行いつつ、ミッションケース60の拡大を有効に防止している。
【0075】
本実施の形態における車輌100は、さらに、シャーシ10の後方に配設される耕耘機等の作業装置を昇降させる為の油圧リフト装置400と、該油圧リフト装置400に対する圧油給排制御を司るバルブユニット410と、該バルブユニット410に圧油を供給する為の補助ポンプ420と、前記PTO系入力軸31からの駆動力を補助ポンプ420へ伝達する為の補助ポンプ伝動機構430とを備えている。
【0076】
前記油圧リフト装置400は、図3〜図5に良く示されるように、車輌前後方向に沿って配設されたシリンダーチューブ401と、該シリンダーチューブ401内に往復動自在且つ液密に収容されたピストンヘッド402と、先端部が該ピストンヘッド402に連結され且つ後端部が前記シリンダーチューブ401の後端開口から後方へ延在されたピストンロッド403と、車輌幅方向に沿って支持された支軸404と、基端部が該支軸404に相対回転不能に支持され且つ先端部が前記ピストンロッド403の後端部に連結されたアーム405と、基端部が前記支軸404に相対回転不能に支持され且つ先端部がシャーシ後方へ延在された一対のリフトアーム406とを備えており、前記ピストンヘッド402に対して圧油を作用させることによって、該一対のリフトアーム406を前記支軸404の軸線回りに揺動させ得るようになっている。
なお、図4中の符号405aは、前記アーム405の位置固定用スペーサである。又、図4中の符号60fは、貯留油の温度変化による体積変動を吸収する為に、ミッションケース60の内部エア層と外気とを連通するブリーザパイプである。
【0077】
ここで、前記シリンダーチューブ401,バルブユニット410及び補助ポンプ420の設置位置について詳述する。
まず、前記シリンダーチューブ401の上下方向位置について説明すると、該シリンダーチューブ401は、前記PTO系入力軸31(又はポンプ軸21a)より上方に配設されており、これにより、前記PTO系伝動機構40との干渉を防止している。なお、シリンダーチューブ401がPTO系入力軸31より上方に配設されている態様には、該シリンダーチューブ401がミッションケース60内の上方位置に配設される場合と、ミッションケース60の上面に配設される場合とが含まれる。
【0078】
次に、前記シリンダーチューブ401の車輌幅方向位置に関しては、該シリンダーチューブ401は、ミッションケース60の車輌幅方向一方側に配設されいる。そして、該シリンダーチューブ401の前方開口は、前記バルブユニット410によって閉塞されている。即ち、シリンダーチューブ401及びバルブユニット410は、前記ミッションケース60の車輌幅方向一方側において、車輌長手方向に沿って連設されている。
好ましくは、前記バルブユニット410におけるシリンダーチューブ401との対向面に、該シリンダーチューブ401が嵌入される凹部410’を形成することができ、これにより、バルブユニット410とシリンダーチューブ401との組立効率を向上させ得る。
【0079】
他方、前記補助ポンプ420は、前記バルブユニット410及びシリンダーチューブ401の車輌幅方向他方側に位置するように前記ミッションケース60に支持されている。
【0080】
このように、本実施の形態においては、前記バルブユニット410及びシリンダーチューブ401をミッションケース60の車輌幅方向一方側に配設し、且つ、前記補助ポンプ420をミッションケース60の車輌幅方向他方側に配設しており、これにより、以下の効果を得ている。
【0081】
即ち、従来の作業車輌においては、バルブユニット及びシリンダーチューブが車輌長手方向に沿ってミッションケースの上面に配設されていると共に、該バルブユニットに対して圧油を供給する補助ポンプは該ミッションケースの後方壁に支持されていた。従って、ミッションケース内の貯留油をシリンダーチューブへ供給する場合、該貯留油をミッションケースの下方から一旦ミッションケースの後方へ引き回した後に、該ミッションケース上面のバルブユニットを介してシリンダーチューブへ供給する必要があり、油流通経路が長くなるという問題があった。斯かる油流通経路の長大化は、圧力損失による油圧ポンプの大型化,配管スペースの増大による車輌の大型化,油圧装置への圧油供給速度の低下による該油圧装置の反応速度の低下等を招く。
【0082】
これに対し、本実施の形態においては、前述の通り、バルブユニット410及びシリンダーチューブ401をミッションケース60の車輌幅方向一方側において車輌長手方向に沿って連設すると共に、該バルブユニット410及びシリンダーチューブ401の車輌幅方向他方側に前記補助ポンプ420を配設している。従って、ミッションケース60から補助ポンプ420を介してバルブユニット410へ作動油を供給する為の油流通経路を短縮化ができ、これにより、補助ポンプ420の小型化,車輌の小型化及び油圧装置の反応速度の迅速化を図ることができる。
【0083】
好ましくは、ミッションケース60のうち,前記補助ポンプ420と車輌長手方向略同一位置に貯留油取出口65(図2及び図3参照)を設け、該貯留油取出口65と前記補助ポンプ420の吸入ポートとを流体的に接続させることができ、これにより、前記油流通経路のさらなる短縮化を図ることができる。
【0084】
図11に、図3におけるXI-XI線断面図を示す。図3及び図11に示すように、さらに好ましくは、前記ミッションケース60の中室C2の下方に、前記本体部61と前記側蓋部64とで挟持されたストレーナ66を設け、該ストレーナ66を介して前記貯留油取出口65から貯留油を取り出すように構成することができ、これにより、鉄粉の不純物を有効に除去することができる。前記貯留油取出口65は、前記本体部61の側面開口に着脱自在に取付けたカバーに設けられており、このカバーを外すことによりケース内のストレーナ66にアクセスできるようになっている。
【0085】
なお、本実施の形態においては、図3〜図5に示すように、前記ミッションケース60の本体部61に、車輌幅方向一方側において上方へ膨出した第1膨出部61cを一体的に設け、該第1膨出部61c内に前記シリンダーチューブ401を配設しており、これにより、シリンダーチューブ401の設置位置を下げて、車高の低下を図っている。
【0086】
即ち、シリンダーチューブがミッションケースの上面に設置される場合には、該シリンダーチューブを支持する部材が別途必要となると共に、該シリンダーチューブの設置位置が高くなってしまう。従って、部品点数増加による製造コスト高を招くと共に、車高が高くなるという不都合が生じる。一般的に、シリンダーチューブの上方に運転席が配設される場合が多く(図1参照)、従って、シリンダーチューブの設置位置が高くなると運転席の設置位置も高くなり、これにより、車輌重心の上昇及び運転席への乗降の困難化を招いてしまう。
【0087】
これに対し、本実施の形態においては、シリンダーチューブ401をミッションケース60の第1膨出部61c内に収容しており、従って、該シリンダーチューブ401の設置位置を下げると共に、該シリンダーチューブ401を安定的に支持することができる。
【0088】
さらに、シリンダーチューブ401をミッションケース60内に収容させることによって、特別な機構を要することなく、前記支軸404をミッションケース60に支持させることができ、これにより、製造コストの低廉化を図りつつ、支軸404の安定した保持が可能となる。
本実施の形態においては、図4に良く示されるように、前記支軸404の両端部がそれぞれ前記ミッションケース60の両側壁から外方へ延在するように、該支軸404をミッションケース60に支持させ、該両端延在部に前記一対のリフトアーム406のそれぞれを連結させている。
【0089】
好ましくは、図3及び図7に示すように、前記第1膨出部61cの底壁に、前記シリンダーチューブ401の後方への抜けを防止するリップ61dを設けることができる。これにより、前記シリンダーチューブ401を、前記バルブユニット410と前記リップ61dとによって狭持することができ、該シリンダーチューブ401をより安定して保持することができる。
【0090】
前記補助ポンプ伝動機構430は、前記前室C1に収納されている。
具体的には、該補助ポンプ伝動機構430は、図6及び図9に示されるように、前記PTO系入力軸31に相対回転不能に支持された駆動側ギア431aと、該駆動側ギア431aと噛合するアイドルギア431bと、該アイドルギア431bと噛合するように補助ポンプ420のポンプ軸421に相対回転不能に支持された従動側ギア431cとを含むギアトレイン431を備えている。
【0091】
図6に良く示されるように、前記ギアトレイン431は正面視においてPTO系入力軸31の右側部分上方に配設されており、これにより、該PTO系入力軸31の右側部分下方に配設されたPTO系伝動軸41を含むPTO系伝動機構40並びに走行系入力軸34の左側部分に配設された走行系伝動機構50との干渉を防止しつつ、ミッションケース内のスペースの有効利用を図っている。
【0092】
即ち、本実施の形態においては、PTO系入力軸31及び走行系入力軸34をミッションケースの車輌幅方向中央部分において上下方向に並設すると共に、前記PTO系入力軸31によって駆動される補助ポンプ伝動機構430及びPTO伝動機構40を車輌幅方向一方側において上下方向に分けて配設し、且つ、前記走行系入力軸34によって駆動される走行系伝動機構50をミッションケースの車輌幅方向他方側下方に集約配設しており、これにより、各伝動機構の相互干渉を防止しつつ、スペースの有効利用を図っている。
【0093】
好ましくは、図4及び図6に示すように、前記ミッションケース60の本体部61における,前記第1膨出部61cの車輌幅方向反対側の位置に上方へ膨出し、且つ、前記前蓋部62によって閉塞される第2膨出部61eを設け、該第2膨出部61eに前記補助ポンプ420を支持させることができ、これにより、該補助ポンプ420の支持安定化、及び部品点数削減による低コスト化を図ることができる。
さらに好ましくは、前記第2膨出部61eと前記前蓋部62とによって画される前記閉塞空間内に、前記ギアトレイン431の一部を収納させることができる。
【0094】
なお、本実施の形態においては、前記前蓋部62と第2膨出部61eとによって画される前記閉塞空間に連通する開口61e’を該第2膨出部61eに形成し、該開口61e’を介して後方からポンプ軸421を前記閉塞空間内に突入させて前記従動側ギア431cと相対回転不能に連結させているが(図4参照)、本発明は斯かる形態に限られるものではない。
即ち、図16に示すように、前記第2膨出部61eを設ける代わりに、前蓋部62と該前蓋部62の前方に連結されるポンプ取付カバー425とによって前記閉塞空間を形成し、該閉塞空間に連通する開口425’を前記ポンプ取付カバー425に設け、前方から前記ポンプ軸421を突入させることもできる。
又、後述する補助ポンプ420をタンデムの2連式とする場合には、図17に示すように、ポンプ取付カバー425及び前蓋部62のそれぞれに前記閉塞空間に連通する開口425’及び開口62’を設け、該ポンプ取付カバー425の前方及び前蓋部62の後方から、それぞれ、ポンプ軸421',421''を突入させて2連ポンプ420',420''をそれぞれ前後に振り分けることもできるし、或いは、膨出部の前方又は後方の何れか一方に2連ポンプ420',420''をかためて設けることも可能である。
【0095】
次に、本実施の形態に係る伝動構造の油圧回路について説明する。
図12は前記油圧リフト装置400及びバルブユニット410部分の油圧回路図であり、図13は前記センターセクション及びPTOクラッチ装置部分の油圧回路図である。又、図14は前記センターセクションの縦断正面図である。
【0096】
前記ミッションケース60の貯留油取出口65は、配管501(図2参照)を介して、ミッションケース60の上側に設置された補助ポンプ420の吸入ポート420aに接続されている。即ち、ミッションケース60内の貯留油は、該ミッションケース60の中室C2内に配設されたストレーナ66で濾過され、その後、貯留油取出口65及び配管501を介して、補助ポンプ420の吸入ポート420aに吸い込まれる。
そして、補助ポンプ420の吐出ポート420bから吐出された圧油は、配管502(図2参照)を介して、該補助ポンプ420と車輌幅方向に沿って並設されたバルブユニット410の吸入ポート410aに供給される。
【0097】
該バルブユニット410には、基端側がバルブユニット410の上面に設けられた前記吸入ポート410aに連通し、且つ、先端側がバルブユニット410に内蔵された分流弁を介して第1及び第2ライン412,413に分岐された吸入ライン411が形成されている。
【0098】
本実施の形態においては、第1ライン412を流れる圧油を複数の取出ポートから選択的に取り出せるように、前記バルブユニット410の側面に、補助コントロールバルブユニット450が連結されている。即ち、該補助コントロールバルブユニット450を備えることによって、前記第1ライン412を流れる圧油を、バケット装置111(図1参照)を昇降及びダンプ/チルト駆動する油圧装置等に使用することができる。
【0099】
該補助コントロールバルブユニット450は、図4及び図12に示すように、ユニット本体451と、該本体451に穿設された複数の油圧ライン452と、該複数の油圧ライン452に介挿された1又は複数(本実施の形態においては2個)の切換弁453とを有しており、一の油圧ラインから導入された圧油を複数の取出ポート450aから取り出し得るようになっている。
なお、本実施の形態においては、該複数の取出ポート450aのうちの2つのポートを、前記バルブユニット410の上面に設けている(図4参照)。
【0100】
前記第1ライン412の先端側は、該第1ライン412の油圧を設定する高圧リリーフ弁414を介して、バルブユニットの側面に開口し、前記補助コントロールバルブユニット450の一の油圧ラインに連通されている。
【0101】
前記バルブユニット410は、前述のように、凹部410’によって前記シリンダーチューブ401の前方開口を閉塞し得るようになっている。
【0102】
前記バルブユニット410には、さらに、基端側が前記補助コントロールバルブユニット450を介して前記第1ライン412に連通し、且つ、先端側が前記凹部410’を介して前記シリンダーチューブ401内に開口する作業油ライン415(図3,図4及び図12参照)が設けられている。
該作動油ライン415には、共に外部操作可能とされた昇降切換弁416及びストップバルブ417が介挿されている。前記ストップバルブ417には、前記リフトアーム406の急激な下降を防止する為のスローリターン弁418が備えられている(図12参照)。
【0103】
本実施の形態においては、図3に良く示されるように、前記ストップバルブ417が水平に配設されるように構成すると共に、該ストップバルブ417の操作部材417aが上向き傾斜状に配設されている。詳しくは、ストップバルブ417と操作部材417aとは自在継手417bを介して連結されており、該自在継手の駆動側部材がバルブユニット410に固定されたステー417cによって上向き傾斜状に支持されている。
【0104】
なお、図4及び図5中の符号416aは、前記昇降切換弁416を操作するリンク機構であり、該昇降切換弁416を「上昇」・「中立」・「下降」の3位置の何れかに切替える為の昇降操作レバー416bに連結される。該昇降操作レバー416bにはリフトアーム406の動きがフィードバックされるようになっており、昇降切換弁416を中立位置から上昇(又は下降)位置へ切り替えてリフトアーム406の先端が所定の上昇(又は下降)高さに達したときに、該リフトアーム406の動きがフィードバックされて昇降操作レバー416bを強制的に中立位置へ復帰させるようになっている。
【0105】
又、図4,図5及び図12中の符号419は、前記昇降切換弁416を介して流出されるドレン油をミッションケース60内に戻す為のドレンラインである。
本実施の形態においては、前記ドレンライン419は、前記第1膨出部61cに開口されており、該第1膨出部61cからミッションケースの後室C3内に流入するように構成されている。
より好ましくは、前記後室C3に、前記ドレンライン419からの戻り油を一時的に受け止める室内壁61fを設けることができる(図3参照)。斯かる室内壁61fを設けることによって、前記ドレンライン419からの高温戻り油を冷却させることができる。
【0106】
他方、前記第2ライン413の先端側は、前記バルブユニット410の上面に設けられた吐出ポート410bに連通されており、配管503を介して、任意的に備えられるパワーステアリング装置用の油圧回路500と、前記PTOクラッチ装置70用の油圧回路600及びHST第1チャージライン23dとに接続されている(図4,図12及び図13参照)。
【0107】
なお、本実施の形態においては、単一の補助ポンプ420からの吐出油を分流弁を用いて第1及び第2ライン412,413に分割するようにしたが、該分流弁の作動に伴う油温上昇が問題となる場合には、該分流弁を使用しない代わりに、図18に示すように補助ポンプ420をタンデムの2連式ポンプ420',420''とし、一方のポンプ420'の吐出ポートを第1ライン412に接続し、且つ、他方のポンプ420''の吐出ポート第2ライン413に接続することができ、これにより、前述の不具合を解消することができる。
【0108】
前記PTOクラッチ装置用油圧回路600は、図13に示すように、基端側が前記第2ライン413の先端側に直接又は前記パワーステアリング装置用油圧回路500を介して連通された吸入ライン601と、該吸入ライン601から分岐されたPTOライン602及びHSTライン603と、該PTOライン602に介挿された切換弁604と、前記HSTライン603に介挿された高圧リリーフ弁605とを備えている。
【0109】
本実施の形態においては、図5に示すように、主として、前記PTOクラッチ装置用油圧回路600を構成するバルブアッセンブリ650を、前記ミッションケース60における側蓋部64の上部外表面に設置している。
【0110】
即ち、該バルブアッセンブリ650には、圧油が供給される入力ポート600aと、一端部が該入力ポート600aに連通された前記吸入ライン601と、該吸入ライン601から分岐された前記PTOライン602及び前記HSTライン603と、該PTOライン602に介挿された前記切換弁604と、前記HSTライン603に介挿された前記高圧リリーフ弁605と、前記HSTライン603の先端部に連通された出力ポート600bとが設けられている(図5及び図12参照)。
【0111】
なお、前記PTOライン602は、前記ミッションケース60の側壁部64に設けられた前記穿孔615に連通されている(図9参照)。これにより、該PTOライン602から供給される圧油は、圧油分配器として作用する前記マニホールド616によって分岐されるクラッチライン611及びブレーキライン612のそれぞれを介して、PTOクラッチ装置70のクラッチ押動部材75及びPTOブレーキ機構80のブレーキ押動部材83に作用し得るようになっている(図5及び図9参照)。
【0112】
前記HSTライン603は、前記出力ポート600bに連結された配管504(図6及び図13参照)と、前蓋部62の下方外表面に支持された,目詰まり時のバイパス機能を有するラインフィルター68(図2,図3及び図6参照)とを介して、前記センターセクション23に連通されている。
【0113】
図15に、前記センターセクションを外した状態の前記ミッションケース60の正面図を示す。
図15に示すように、該ミッションケース前蓋部62には、一端側が前記配管504を介して前記HSTライン603に連通され且つ他端側が前記ラインフィルター68の吸入ポート68aに連通されたフィルター吸入ライン62aと、一端側が前記ラインフィルター68の吐出ポート68bに連通され且つ他端側が該前蓋部62のセンターセクション支持面に開口するフィルター吐出ライン62bとを有している。前記フィルター吐出ライン62bの他端側開口は、第1チャージポート23mを形成している(図13及び15参照)。
さらに、該前蓋部62には、一端部がセンターセクション支持面に開口して第2チャージポート23nを形成し、且つ、他端部がミッションケースの内部に開口するサクションライン23pが形成されている。
【0114】
前述のように、本実施の形態においては、前記HSTライン603へはミッションケース60内に配設したストレーナ66を介して作動油が供給される為、前記ラインフィルター68の小型化を図ることができる。
即ち、HSTライン603中に鉄粉等が含まれている場合には後段のHST20の故障等を招く為、通常は高性能な大型ラインフィルターを備える必要がある。
これに対し、本実施の形態においては前述のようにストレーナ66によって作動油がある程度濾過されている為、高価な前記ラインフィルター68の交換頻度を大幅に抑制できると共に、それ程高性能な大型フィルターを備える必要がない。なお、万が一、前記ラインフィルター68が詰まったとしても、吸引される油は該ラインフィルター68を迂回して前記HST20に流れるので該HST20が破壊されてしまうことには至らない。
【0115】
図13及び図14に示すように、前記センターセクション23には、前記HST20の油圧ポンプ21及び油圧モータ22間を油圧的に接続する一対の油圧ライン23a,23a'と、該一対の油圧ライン23a間を接続する第1及び第2バイパスライン23b,23cと、一端側が前記第1チャージポート23mに連通され且つ他端側が前記第1バイパスライン23bに連通された第1チャージライン23dと、前記第1バイパスライン23bのうち,一方の油圧ライン23aとの接続点とチャージライン23dとの接続点との間に介挿されたチェック弁23eと、前記第1バイパスライン23bのうち,他方の油圧ライン23a'との接続点とチャージライン23dとの接続点との間に介挿された絞り弁付チェック弁23fと、前記第2バイパスライン23cに介挿された一対のチェック弁付高圧リリーフ弁23gと、前記第1チャージライン23dの最大油圧を設定するように該第1チャージラインに介挿されたチャージリリーフ弁23hと、一端側が前記第2チャージポート23nに連通され且つ他端側が前記第1チャージライン23dに接続された第2チャージライン23iと、該第2チャージライン23iに介挿されたサクションチェック弁23jと、前記チャージリリーフ弁23hからのリリーフ油をHSTケーシング24内に排出する為の排出ライン23kとが設けられている。
【0116】
さらに、該センターセクション23には、前記ポンプ軸21aよりも上方位置に、一端側がHSTケーシング24内に開口し、且つ、他端側が前蓋部62との当接面に開口するドレン孔23lが設けられている(図9,図13及び図14参照)。
より詳しくは、前記前蓋部62には前記ドレン孔23lと前記ミッションケース60の前室C1とを連通する連通孔62cが形成されており、前記HSTケーシング24内に排出されたドレン油はミッションケースの前室C1内に流入するようになっている。
さらに、前記センターセクション23には、前記モータ軸22aよりも下方位置に、前記前蓋部62の前記第2チャージポート23nと対面して連通する前記サクションチェック弁23jの入口ポートが開口されている。
【0117】
前記第2チャージライン23i及びサクション弁23jは、エンジンを止めた状態で車輌を坂道に停車させる場合に、前記一対の油圧ライン23a,23aに負圧が発生することを防止し、これにより、車輌が坂道を転がり落ちる(フリーホイール現象)を防止する為のものである。
【0118】
このように本実施の形態に係る伝動構造においては、前記補助ポンプ420からの圧油を、油圧リフト装置400,パワーステアリング装置,HST20,PTOブレーキ機構80及びPTOクラッチ装置70へ供給するように構成し、追加のポンプを不要として部品点数の削減による車輌小型化及び車輌低コスト化を図っている。
【0119】
ここで、前記ミッションケース60内に貯留されている油の循環経路について説明する。
ミッションケース60内の貯留油は、前述の通り、前記ミッションケース60の中室C2の下方に配設されているストレーナ66を介して、前記補助ポンプ420によって吸引される。
そして、該補助ポンプ420から吐出された圧油は、前記第1ライン412及び第2ライン413に分岐される。
【0120】
まず、前記第1ライン412に分岐された圧油は、前記油圧リフト装置400の作動油として作用する。該油圧リフト装置400からの戻り油は、前述の通り、第1膨出部61cを介して後室C3内に戻される。この際、本実施の形態においては、前記室内壁61fによって戻り油は冷却される。
該後室C3内に戻された戻り油は、前記リアPTOギア列42や前記ミッドPTO伝動ギア列43等の該後室C3内に収容される部材の潤滑油として作用しつつ、前記油連通開口61yを介して、前記中室C2へ流入され、再度、前記補助ポンプ420によって吸引される。
【0121】
他方、前記第2ライン413に分岐された圧油は、任意的に備えられる前記パワーステアリング装置と、前記PTOクラッチ装置70とを経て前記HST23の補充作動油として供給される。
そして、前記HST23からの戻り油は、前述の通り、ミッションケース60の前室C1に戻される。該前室C1に戻された戻り油は、前記多段変速装置50,PTOクラッチ装置70,前輪動力取出装置53及び補助ポンプ伝動機構430等の該前室C1内収納部材の潤滑剤として作用しつつ、前記油連通開口61xを介して前記中継室C4から一旦、前記後室C3へ流れた後に、前記油連通開口61yを介して前記中室C2へ流入され、再度、前記補助ポンプ420によって吸引される。
【0122】
このように、本実施の形態においては、HST23や油圧リフト装置400からの高温戻り油が、そのまま、循環されることを防止しており、これにより、HSTの効率や油圧リフト装置の効率が悪化することを有効の防止している。
【0123】
即ち、前記HST23や油圧リフト装置400からの戻り油は高温化して低粘性となっている。従って、該低粘性の戻り油を単純に循環させると、前記補助ポンプ420,HST23及び油圧リフト装置400の各部位において油リーク量が増大し、その結果、油圧ポンプのポンプ効率,HSTの効率及び/又は油圧装置の効率が悪化する。
【0124】
これに対し、本実施の形態においては、前記HST23及び前記油圧リフト装置400からの戻り油を、それぞれ、前室C1及び後室C3へ流入させてから、中室C2へ戻し、該中室C2から再び循環されるように構成している。
従って、前記高温戻り油は、中室C2へ流入される段階においては、十分に冷却されており、これにより、高温油が循環されることによる前記不都合を防止している。
【0125】
より好ましくは、前記ミッションケース本体部61に設けられた,前記中室C2の車輌幅方向一方側に位置する前記中継室C4に、前記走行ブレーキ機構210を収納すると共に、該中継室室C4を、前記前室C1から油が流入し且つ前記中室C2に油が抜け得るように構成することができる(図8参照)。これにより、前記中継室C4内は油が停滞することがないので、前記走行ブレーキ機構210の作動時に発する摩擦熱を効率よく逃すことができ、装置を小型化でき耐久性も向上させることができる。
なお、図8中の符号61zは、前記前室C1と中継室C4とを連通する油連通開口である。
又、図6中の符号62dは、前蓋部62のに形成された開口にねじ込まれた注油栓である。好ましくは、該注油栓62dは、補助ポンプ伝動機構430の上方に配設される。
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、油を貯留し得るように構成されたミッションケースと、該ケースに支持されたPTO系入力軸と、前記ケースに支持された走行系入力軸とを備え、前記PTO系入力軸によって作動的に駆動される油圧ポンプからHST及び前記油圧装置に圧油を供給するように構成されたトランスミッションにおいて、前記ケースは、車輌前後方向に沿って順に設けられた前支持壁及び後支持壁によって区画された前室,中室及び後室であって、互いに油流通可能とされた前室,中室及び後室を有するものとし、前記前室には、前記油圧ポンプの動力伝達下流側で前記PTO系入力軸からの動力伝達をON/OFFするPTOクラッチを収容し、前記後室にはPTO軸駆動用のドライブトレインを収容すると共に、前記前室と前記後室とは、前記PTOクラッチと前記ドライブトレインとを接続するPTO伝動軸を収容した中継室を介して連通させ、さらに、前記HST及び前記油圧装置からの戻り油は、それぞれ、前記前室及び後室に流入されると共に、前記油圧ポンプは前記中室から油を吸引するように構成したので、簡単な構造でありながら、前記HST及び油圧装置からの高温戻り油が、高温のまま、再度、前記HST及び油圧装置に循環供給されることを有効に防止できる。
従って、高温化に伴う作動油の低粘性化を有効に防止して、前記油圧ポンプ,HST及び/又は油圧装置の作動効率の悪化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る伝動構造の好ましい実施の形態が適用された車輌の模式側面図である。
【図2】 図2は、本発明に係る伝動構造の好ましい実施の形態におけるHST及びトランスミッション部分の一部分解斜視図である。
【図3】 図3は、図2に示すHST及びトランスミッションの縦断側面図である。
【図4】 図4は、図3に示すHST及びトランスミッションの部分横断平面図である。
【図5】 図5は、図3におけるV-V線断面図である。
【図6】 図6は、前記トランスミッションの前蓋部を外した状態の正面図である。
【図7】 図7は、前記トランスミッションの後蓋部を外した状態の背面図である。
【図8】 図8は、図6におけるVIII-VIII線に沿ったトランスミッション走行系ドライブトレイン展開図である。
【図9】 図9は、図7におけるIX-IX線に沿ったトランスミッションPTO系ドライブトレイン展開図である。
【図10】 図10は、前記トランスミッションにおけるブレーキ軸近傍の部分横断平面図である。
図10(a)及び図10(b)は、それぞれ、走行ブレーキ装置作動時にデフロック装置が連動する状態、及び、デフロック装置のみが単独で作動された状態を示している。
【図11】 図11は、図3におけるXI-XI線断面図である。
【図12】 図12は、油圧リフト装置及びバルブユニット部分の油圧回路図である。
【図13】 図13は、センターセクション及びPTOクラッチ装置部分の油圧回路図である。
【図14】 図14は、センターセクションの縦断正面図である。
【図15】 図15は、センターセクションを外した状態のミッションケースの正面図である。
【図16】 図16は、前記トランスミッションの変形態様の部分横断平面図である。
【図17】 図17は、2連式ポンプを備えた態様の変形トランスミッションの部分横断平面図である。
【図18】 図18は、2連式ポンプを備えた場合の油圧リフト装置及びバルブユニット部分の油圧回路図である。
【符号の説明】
10 エンジン
20 HST
30 トランスミッション
31 PTO系入力軸
32 リアPTO軸
33 ミッドPTO軸
34 走行系入力軸
41 PTO系伝動軸
42 リアPTOギア列
43 ミッドPTOギア列
45 切換装置
51 走行系伝動軸
52 多段変速装置
60 ミッションケース
61a 前支持壁
61b 後支持壁
61f 室内壁
C1 ミッションケースの前室
C2 ミッションケースの中室
C3 ミッションケースの後室
C4 ミッションケースのブレーキ室
70 PTOクラッチ装置(メインPTOギアトレーン)
150 ディファレンシャルギア装置
180 駆動車軸
200 走行ブレーキ装置
201 ブレーキ軸
210 ブレーキ機構
400 油圧リフト装置
410 バルブユニット
Claims (4)
- 油圧装置によって昇降される作業装置が付設された作業車輌用トランスミッションであって、
油を貯留し得るように構成されたミッションケースと、
該ケースに支持されたPTO系入力軸であって、エンジンからの駆動力を作動的に受け且つ油圧ポンプに作動的に連結されたPTO系入力軸と、
前記ケースに支持された走行系入力軸であって、前記エンジンからの駆動力をHSTを介して作動的に受け且つ駆動車軸に作動的に連結された走行系入力軸とを備え、
前記油圧ポンプは、前記HSTと前記油圧装置とに圧油を供給するように構成され、
前記ケースは、車輌前後方向に沿って順に設けられた前支持壁及び後支持壁によって区画された前室,中室及び後室であって、互いに油流通可能とされた前室,中室及び後室を有し、
前記前室には、前記油圧ポンプの動力伝達下流側で前記PTO系入力軸からの動力伝達をON/OFFするPTOクラッチを収容し、前記後室にはPTO軸駆動用のドライブトレインを収容すると共に、前記前室と前記後室とは、前記PTOクラッチと前記ドライブトレインとを接続するPTO伝動軸を収容した中継室を介して連通されており、
前記HST及び前記油圧装置からの戻り油は、それぞれ、前記前室及び後室に流入されると共に、前記油圧ポンプは前記中室から油を吸引するように構成されていることを特徴とする作業車輌用トランスミッション。 - 前記駆動車軸の伝動方向前段に配設されたブレーキ軸と、該ブレーキ軸に対して制動力を付加するブレーキ機構とが、さらに備えられ、
該ブレーキ軸及びブレーキ機構は、前記中継室に収容されており、
前記中継室は、前記前室から油が流入し且つ前記中室に抜け得るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業車輌用トランスミッション。 - 前記後室には、前記油圧装置からの戻り油を一時的に受け止める室内壁が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車輌用トランスミッション。
- 前記走行系入力軸に入力された駆動力を多段に変速して駆動車軸に作動的に伝達する多段変速装置を、さらに備え、
該多段変速装置は、前記前室に収容されており、
前記駆動車軸の入力端部は、前記中室に収容されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の作業車輌用トランスミッション。
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