JP5097583B2 - 内視鏡用フード - Google Patents
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Description
フードは弾性材料(例えば合成樹脂)製であり、かつフードの自由状態における内径は装着しようとする内視鏡先端部の外径より僅かに小さく設定される。従って、フードを若干拡径方向に弾性変形させた状態で内視鏡先端部に被せると、フードの内周面から内視鏡先端部の外周面に接触圧力が及び、フードの内周面と内視鏡先端部の外周面との摩擦力によってフードの内視鏡先端部からの脱落が防止される。
特許文献1の第1の実施形態では、フードの後端部に周辺部よりも外周側に突出することにより、フードを内視鏡先端部に装着したときに内視鏡先端部の外周面と非接触となる非緊着部13を形成している。術者はこの非緊着部13を把持することにより、フードを内視鏡先端部から取り外すことが可能である。
また、第2〜第7の実施形態では、フードの後端から後方に向けて突出する舌片や紐からなる非緊着部13を形成している。この実施形態では、術者が舌片や紐からなる非緊着部13を掴んだ上でフードに対して引っ張るとフードの一部が裂けるので、術者はフードを内視鏡先端部から取り外すことができる。
また、第2〜第7の実施形態の非緊着部13はフードの後端から内視鏡挿入部の長手方向後方に突出しているので、例えば内視鏡の挿入部を患者の体腔に挿脱する際にこの非緊着部13が体腔壁に引っ掛かり、フードに対して不意に引っ張られ、フードが内視鏡先端部から外れるおそれがある。
さらに、舌片はフードのその他の部分に対して外周側や後方に突出していないので、内視鏡の挿入部を患者の体腔に挿脱する際に舌片が体腔壁に接触するおそれは小さい。そのため、舌片がフードに対して不意に引っ張られるおそれは小さい。
図1に全体構造を示す本実施形態の内視鏡10は医療用の電子内視鏡であり、操作者が把持する操作部11と、操作部11から前方に延出する可撓性のある挿入部12と、操作部11から挿入部12と反対側に延び図示を省略したプロセッサに接続されるユニバーサルチューブ13と、を備えている。挿入部12の先端部14は円柱形状をなす硬質部材から構成してあり、その先端面15には、対物レンズ、処置具挿通孔、一対の照明用レンズ(図示略)、送気孔、送水孔(いずれも図示略)が設けてある。
図2に示すようにフード20の内周面は、該内周面の前端部をなす前端小径部21と、内周面の後部をなす前端小径部21より大径の大径嵌合部22と、に区切られている。自由状態にあるときの大径嵌合部22の内径は内視鏡10の先端部14よりやや小径であり、前端小径部21は大径嵌合部22より小径である。従って、大径嵌合部22を若干拡径方向に弾性変形させながらフード20を先端部14に装着すると、大径嵌合部22が先端部14の周面に密着する。さらに、先端部14の先端面15が前端小径部21の後端面(ストッパ面)に接触することにより、フード20の先端部14に対する後方移動が規制される。フード20の外周面における前端小径部21と大径嵌合部22の境界線と対応する位置には、周方向に延びる環状(帯状)の環状指標23が形成してある。従って、術者はフード20を先端部14に装着すると、フード20の側方から先端部14の先端面15を視認することは出来ないが環状指標23と対応する位置に先端部14の先端面15が位置していることを認識できる。
フード20には略三日月形状の貫通孔24が穿設してある。そして、貫通孔24の前端25と後端26を結ぶ円弧状縁部27によって囲まれた部分が、術者が手の指で把持可能な舌片28となっている。この舌片28は貫通孔24と同じ面上に位置しており、当該面の内周側及び外周側には突出していない。
さらに、フード20の外周面には2本の線状の凹溝が形成してある。一つは、貫通孔24の後端26(貫通孔24と舌片28の接続部分)からフード20の後縁部まで前後方向(及びフード20の周方向)に対して傾斜しながら延びるものであり、フード20の当該凹溝と対応する部分は周辺部より薄肉の後側線状薄肉部29となっている。もう一つは、貫通孔24の前端25(貫通孔24と舌片28の接続部分)から斜め前方に向かって延びるものであり、フード20の当該凹溝と対応する部分は周辺部より薄肉の前側線状薄肉部30となっている。図示するように、後側線状薄肉部29と前側線状薄肉部30はほぼ前後対称形状(フード20の周方向に対して対称形状)をなしており、前側線状薄肉部30の前端部は環状指標23の直後で終端している。
このようにしてフード20を装着した挿入部12を患者の体腔部に挿入すれば、フード20を利用した内視鏡術が可能になる。
内視鏡10による内視鏡術の終了に伴いフード20が不要になったら、術者は貫通孔24を利用して手の指を舌片28に掛け、舌片28を把持しながら舌片28を周方向(図3の上方)に引っ張る。すると、この引っ張り力が周辺部に比べて機械的強度が低い後側線状薄肉部29及び前側線状薄肉部30に伝わるので、後側線状薄肉部29及び前側線状薄肉部30が前端25と後端26から順次破れ舌片28が捲れ上がる。そして、図4に示すように後側線状薄肉部29がフード20の後縁部まで破れると、フード20から先端部14に対する接触圧力が大幅に低下するので、図5に示すようにフード20を先端部14から前方に容易に引き剥がせるようになる。
本実施形態のフード40(内周面には前端小径部21及び大径嵌合部22が形成してある)では前側線状薄肉部30の代わりに、前端25から周方向に延びかつ後側線状薄肉部29の前方に位置する前側線状薄肉部41を設けている。
このように構成した本実施形態のフード40は、前側線状薄肉部41を周方向に沿って破くことができるので、第1の実施形態のフード20より少ない力でフード40を円滑に引き剥がすことができる。
本実施形態のフード50(内周面には前端小径部21及び大径嵌合部22が形成してある)の貫通孔51は貫通孔24と同じ外形であるが、貫通孔24とはフード50(フード20)に対する向き(傾き)が異なる。貫通孔51の前端52と後端53を結ぶ円弧状縁部54によって囲まれた部分には舌片55が形成してある。さらにフード50には、後端53の近傍からフード50の後縁部まで前後方向に対して傾斜しながら延びる線状の後側線状薄肉部56と、前端52の近傍から後側線状薄肉部56と平行に延びる前側線状薄肉部57と、が設けてある。
本実施形態のフード50を内視鏡10の先端部14から取り外すときは、貫通孔51を利用して手の指で舌片55を把持し、舌片55を後側線状薄肉部56及び前側線状薄肉部57と平行な方向に引っ張り、後側線状薄肉部56をフード50の後縁部まで破る。すると、フード50の先端部14に対する接触圧力が大幅に低下するので、術者はフード50を先端部14から容易に取り外すことができる。
例えば、図8及び図9に示すように、第1の実施形態のフード20の外周面の貫通孔24に相当する部分に貫通孔24と同じ側面形状の有底凹部60を形成し、舌片28の有底凹部60(円弧状縁部27)との隣接部(舌片28の周縁部)にフード20をその厚み方向に貫通する切れ目61を入れても良い。
このように構成した場合も、有底凹部60に指を入れることによりこの指で舌片28を把持可能なので、第1の実施形態と同様に舌片28をフード20の周方向に引っ張ることにより、フード20を先端部14から容易に引き剥がすことができる。
また、図10及び図11に示すように、第1の実施形態のフード20の外周面に有底凹部62を形成してもよい。図示するように、この有底凹部62は側面視において舌片63と隣接する部分(側面視において貫通孔24と同じ形状の部分)だけでなく舌片63の内周側にまで延びている。本変形例の舌片63は、有底凹部62内に位置しており、その側面形状は舌片28と同じであるが肉厚は舌片28より薄い。また、有底凹部62における舌片63との接続部側の端部64はその他の部分に比べて凹み量が大きい(肉厚が薄い)ので機械的な強度は弱い。
このように構成した場合も、有底凹部62と舌片63の間の隙間に指を入れることにより舌片63を把持可能である。そして、有底凹部62の端部(薄肉部)64をフード20の内周面側に破りながら舌片63をフード20の周方向に引っ張ることにより、フード20を先端部14から容易に引き剥がすことができる。
なお、有底凹部60、62に、有底凹部60、62に比べて側面形状が小さい排水用の貫通孔(有底凹部60、62を肉厚方向に貫通する孔。図示略)を形成してもよい。
なお、このように貫通孔24の代わりに有底凹部60または有底凹部62を形成してもよいが、図8及び図9の変形例では舌片28と有底凹部60の周縁部の間に切れ目61を入れなければならず、図10及び図11の変形例では有底凹部62の端部64を薄肉部として成形しなければならない。これに対して貫通孔24を形成する場合は、貫通孔24を形成するだけで舌片28が完成するので製造が容易である。
また、上記各実施形態ではフード20を医療用の内視鏡10に装着しているが、医療用以外の内視鏡(工業用内視鏡)に装着して実施することも可能である。
11 操作部
12 挿入部
13 ユニバーサルチューブ
14 先端部
15 先端面
20 フード
21 前端小径部
22 大径嵌合部
23 環状指標
24 貫通孔
25 前端
26 後端
27 円弧状縁部
28 舌片
29 後側線状薄肉部(後側線状脆弱部)
30 前側線状薄肉部(前側線状脆弱部)
40 フード
41 前側線状薄肉部(前側線状脆弱部)
50 フード
51 貫通孔
52 前端
53 後端
54 円弧状縁部
55 舌片
56 後側線状薄肉部(後側線状脆弱部)
57 前側線状薄肉部(前側線状脆弱部)
60 有底凹部
61 切れ目
62 有底凹部
63 舌片
64 有底凹部における舌片との接続部側の端部
Claims (8)
- 両端が開口する略円筒形状の弾性材料からなる内視鏡用フードにおいて、
該フードの両端から離間する位置に形成した、該フードの外周面から陥没する有底凹部または貫通孔と、
側面視において上記フードにおける上記有底凹部または貫通孔の周縁部と隣接する部分に形成した、該有底凹部または貫通孔に対して該フードの径方向外側に相対移動可能な舌片と、
上記有底凹部または貫通孔と上記舌片との接続部分から上記フードの後縁部まで、前記フードの周方向に対して傾斜しながら延びる、周辺部に比べて機械的強度が低い後側線状脆弱部と、
を備えることを特徴とする内視鏡用フード。 - 両端が開口する略円筒形状の弾性材料からなる内視鏡用フードにおいて、
該フードの両端から離間する位置に形成した、該フードの外周面から陥没する有底凹部と、
上記有底凹部内に位置すると共に一端が該有底凹部の端部に接続した、該有底凹部に対して該フードの径方向外側に相対移動可能な舌片と、
上記有底凹部と上記舌片との接続部分から上記フードの後縁部まで、前記フードの周方向に対して傾斜しながら延びる、周辺部に比べて機械的強度が低い後側線状脆弱部と、
を備えることを特徴とする内視鏡用フード。 - 請求項1または2記載の内視鏡用フードにおいて、
上記後側線状脆弱部よりも前方に位置するとともに上記有底凹部または貫通孔と上記舌片との接続部分から延びる、周辺部に比べて機械的強度が低い前側線状脆弱部を備える内視鏡用フード。 - 請求項3記載の内視鏡用フードにおいて、
上記前側線状脆弱部と上記後側線状脆弱部とが、前記フードの周方向に対してほぼ対称をなしている内視鏡用フード。 - 請求項3記載の内視鏡用フードにおいて、
上記前側線状脆弱部が上記フードの周方向に延びている内視鏡用フード。 - 請求項1から5のいずれか1項記載の内視鏡用フードにおいて、
上記後側線状脆弱部と前側線状脆弱部の少なくとも一方が周辺部より薄肉の薄肉部である内視鏡用フード。 - 請求項1から5のいずれか1項記載の内視鏡用フードにおいて、
上記後側線状脆弱部と前側線状脆弱部の少なくとも一方がミシン目である内視鏡用フード。 - 請求項1から7のいずれか1項記載の内視鏡用フードにおいて、
上記フードが合成樹脂製の一体成形品である内視鏡用フード。
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