JP5095894B2 - リポタンパク質リパーゼ(lpl)変異体治療薬 - Google Patents

リポタンパク質リパーゼ(lpl)変異体治療薬 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、リポタンパク質リパーゼ(LPL)変異体に基づくタンパク質および核酸治療薬の分野にあって、遺伝子治療によって送達する治療薬を含む。
【0002】
発明の背景
リポタンパク質リパーゼ(EC 3.1.1.34)はトリグリセリドに富むリポタンパク質の代謝において重要な酵素である。本酵素は脂肪組織ならびに骨格筋および心筋の実質細胞で合成され、そして血管内皮上の内皮細胞の血管側結合部位に移送される。現在の理解では、LPLはリポタンパク質および脂質代謝の調節に以下の重要な役割を果たす。非共有結合的に連結されたLPLのグリコシル化ホモ二量体は血管内皮に移送されて、管腔表面のヘパラン硫酸プロテオグリカンと結合すると考えられる。続いてのキロミクロン(CM)および超低密度リポタンパク質(VLDL)両方からのトリグリセリドの異化によって、それぞれ筋および脂肪組織におけるエネルギーおよび貯蔵のための遊離脂肪酸およびグリセロールの取込みと利用が可能になると理解されている。キロミクロンおよびVLDLレムナントは、それぞれ高密度リポタンパク質(HDL)または低密度リポタンパク質(LDL)の粒子形成に用いられるか、または肝臓により取込まれて新しいVLDL粒子に再パッケージされる。LPLは、そのアクチベーターとしてアポリポタンパク質(apo)CIIが不可欠であり、apo CIIは79個のアミノ酸から成る小タンパク質であってCMおよびVLDL粒子上に存在する。LPLのインヒビターは、遊離脂肪酸、apo CIII、および恐らくapo Eが挙げられる。他のインヒビターは高濃度の塩(1M NaCl)である。
【0003】
循環系中のLPLの細胞起源は明らかでなく、複数の組織供給源からの集積であると思われるが、その主要作用部位は血管内皮の管腔表面であると理解されている。LPLのヘパラン硫酸プロテオグリカンとの相互作用は非共有結合であるので、ヘパリンの静脈ボーラス注射によってLPLを血漿中に移動させることができる。従って、LPL活性とタンパク質レベルは、少量のヘパリン後血漿(post-heparin plasma:PHP)サンプルを採取することによって簡単に評価できる。次いで、このPHPのアリコートを使って、合成放射標識トリグリセリド(TG)アッセイにより脂肪分解活性を求めることができるし、あるいはLPL特異的抗体によってタンパク質レベルを測定することができる。LPLが遊離するとサンプル中のトリグリセリドは速やかな脂肪分解を起こしうるので、脂質測定はヘパリン前のサンプルで実施してもよい。
【0004】
完全なLPL欠損はほぼ100万人に1人で発生するが、その発生率はフランス系カナダ人集団では遥かに高く、5000人に1人まで起こりうる。ヒトにおける完全なLPL欠損の臨床愁訴は、幼児期から生じ、成長障害、腹部尖痛、肝脾腫、乳び血漿を特徴とするキロミクロン血症、発疹状黄色腫、網膜脂血症および生命を脅かす膵炎を伴う。脂質低下薬は無効であり、強固な食事制限を行ってもしばしば耐えられない。LPL欠損に対する治療法の開発は、この障害をわずらう人達にとって大きな利益となる。
【0005】
最近、LPL触媒機能に部分的欠損をもたらすLPL遺伝子の突然変異をもつ患者が確認されており、実際、一般集団に非常に普及してきた。集合的に見れば、LPLの部分的触媒欠陥をもたらす公知の突然変異は、現在、総人口の5〜7%の発生率で起こると予測される。臨床発現は静止性であって、正常妊娠、肥満または糖尿病などの因子によりトリガーされた深在性高トリグリセリド血症に伴いノンストレス状態で限界的に上昇したトリグリセリドレベルによってのみ明らかになりうる。LPL遺伝子の突然変異についてヘテロ接合性の個人の食後代謝研究が実施されており、脂肪チャレンジ後の脂質分解欠損のアンマスキングは食後脂血症の延長とリポタンパク質レベルおよび組成の顕著な撹乱をもたらすことを実証している。また、Asn291Ser、Asp9AsnのようなLPL活性を修飾するが無効化しない特定の突然変異は、一般集団において普通に存在するという確証もある(Reymerら, Nat.Genet. 1995, 10:28-33;Gagneら, Arterioscl.Thromb. 1994, 14(8):1250-1257)。この確証の意味することはまだ全て理解されてはいないが、アテローム性動脈硬化症感受性が示唆されている。位置447においてセリンコドンの代わりに終止コドンを導入する突然変異(Ser447TerまたはS447X)は、TGの低下およびHDL-コレステロールレベルの増加と関連している(Hokanson, 1997, International Jounal of Clinical and Laboratory Research 27, 24-34;Gagneら, Arterioscl.Thromb. 1994, 14(8):1250-1257;Mattuら, 1994, Arteriosclerosis and Thrombosis 14, 1090-1097;Kuivenhovenら, 1997, Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology 17, 595-599;Groenemeijerら, 1997, Circulation 95, 2628-2635;Fischerら, 1997, Atherosclerosis 135, 145-159;米国特許第5,658,729号;Groenemeijerら, Circulation, 1997 95:2628-2635;Gagneら, Clin. Genet. 1999, 55(6):450-454)。対応して、ほとんどの研究において、この突然変異はCADに対する保護を与えるようである。これらの効果の背後にある機構は知られていない。
【0006】
発明の概要
本発明の1つの態様は、LPL S447Xタンパク質およびLPL S447Xタンパク質をコードする核酸配列から誘導される治療薬の投与を含む治療処置によって得られる重要な利点の認知に関わる。そのようなLPL S447X治療薬としては、LPL S447Xペプチド、それをコードする核酸配列、そのようなペプチドまたは核酸を発現する細胞、およびそのようなペプチドの誘導体が挙げられ、LPL S447X治療薬は、予防または治療上有効な量を投与すると疾患を改善または治療するものである。本発明のLPL S447X治療薬としては、LPL S447Xペプチドの修飾体、誘導体および類似体、ならびにそのようなペプチドをコードする核酸が包含される。いくつかの実施形態においては、本発明のLPL S447X治療薬は、図1(配列番号1)に示した天然の野生型LPLペプチドのアミノ酸1-446に対応するアミノ酸配列を有するペプチドでありうる。様々な天然のLPLペプチドが公知である(Murthy V., Julien P.およびGagne C. 1996. Molecular pathobiology of the human lipoprotein lipase gene(ヒトリポタンパク質リパーゼ遺伝子の分子病理生物学). Pharmacol. Ther. 70[2], 101-135)。他の天然LPLペプチドは、公知のLPL遺伝子と相同的な配列について、非ヒトゲノムを含む個々のゲノムをスクリーニングすることにより同定してもよい。
【0007】
他の態様においては、本発明は、LPL活性もしくはLPL質量をモジュレートするための、血漿トリグリセリドを低下しおよび/もしくはHDL-コレステロールを上昇して血漿脂質レベルを修飾するための、または患者のLPL応答性症状を治療するための、LPL S447Xタンパク質または核酸などのLPL S447X治療薬の使用を提供する。本発明はまた、そのような使用のための医薬組成物を提供する。他の実施形態の治療で受け入れられるLPL応答性症状の例としては:完全なLPL欠損(遺伝性または後天性であって、慢性(例えば、生命、キロミクロン血症、低αリポタンパク質血症)および急性(例えば、膵炎、重篤な高脂血症)を含む);部分的LPL欠損(慢性および急性(例えば、膵炎、高脂血症、妊娠時、糖尿病、アルコール依存症)を含む);LPL欠損に因るものでない高脂血症(例えば、FH、FCH、リポタンパク質血症II型);高トリグリセリド血症(様々な原因を有する);低αリポタンパク質血症(低HDL)、低HDL-コレステロールレベル;心血管疾患;冠心疾患;冠状動脈疾患;アテローム性動脈硬化症;狭心症;高血圧症(高血圧);脳血管疾患;冠状動脈再狭窄;末梢血管疾患;糖尿病(高トリグリセリド血症ならびに糖尿病およびインスリン抵抗性状態におけるその他の関係症候群);悪液質(例えば癌の場合またはLPL発現プロフィールの修飾がある場合);ならびに肥満症、が挙げられる。
【0008】
一態様においては、本発明は、
a) 最適にアラインメントさせた時にLPL S447Xタンパク質のアミノ酸配列が配列番号3と少なくとも90%配列同一性を有する連続セグメントを含んでなり、かつ最適にアラインメントさせた時にLPL S447Xタンパク質が配列番号3のアミノ酸447および448に対応するアミノ酸を欠くLPL S447Xタンパク質;および
b) 前記LPL S447Xタンパク質をコードするLPL S447X核酸
からなる群から選択されるLPL S447X治療薬の使用に関する。
【0009】
いくつかの実施形態においては、LPL S447Xタンパク質は、配列番号3のLPLのような野生型LPLと同等のまたはそれより大きいLPL活性または他の治療特性を有しうる。
【0010】
一態様においては、本発明は、LPL S447Xタンパク質をコードするLPL S447X核酸の遺伝子治療における使用に関する。LPL S447X核酸を、治療上許容される遺伝子治療ベクターにより送達して、上記症状などのLPL応答性症状を治療しうる。遺伝子治療ベクターは、たとえば、アデノ随伴ベクター(AAV)としうる。そのようなベクターは、例えば、5'逆方向末端反復配列(ITR);筋特異的エンハンサーを有するCMVエンハンサー-プロモーターなどのプロモーター;イントロン;3'非翻訳領域(3'-UTR);SV40ポリアデニル化シグナルなどのポリアデニル化シグナル;および3'-ITRを含有しうる。
【0011】
発明の詳細な説明
いくつかの実施形態においては、本発明のLPL S447X治療薬としては、野生型LPLのカルボキシ末端からアミノ酸447-448を末端切断したLPLのペプチド断片、修飾ペプチド断片、類似体、または薬理学上許容しうる塩などの実質的に精製された化合物が挙げられ、そのような化合物を本明細書では集合的にLPL S447Xペプチドと呼ぶ。LPL S447Xペプチドは、アミノ酸1〜446の野生型成熟LPL配列の相同配列を含んでもよく、例えばホモサピエンス(homo sapiens)以外の種に由来する相同配列(獣医学で応用しうる)が挙げられる。LPL S447Xペプチドは、野生型LPLの天然イソ型または遺伝的変異体を含んでもよい。LPLポリペプチドとしてはまた、野生型LPLアミノ酸1〜446と実質的な配列類似性、例えば、野生型LPL 1-446配列の対応する部分と90%、95%または99%の配列同一性を有するポリペプチドであって、野生型LPLの対応する部分は任意の長さ、例えば10、20、30、40、50またはそれ以上のアミノ酸の連続配列である前記ポリペプチドが挙げられる。いくつかの実施形態においては、そのようなタンパク質は、野生型LPLと同等のまたはそれより大きいLPL活性または他のLPL様特性を有しうる。いくつかの実施形態においては、野生型LPL配列のアミノ酸を、化学的に類似したアミノ酸と置換してもよい(保存的アミノ酸置換を提供する)。50件以上開示されているLPL活性を低下するアミノ酸置換、例えば、291位のAsnのSer残基との置換(Asn291Ser)、9位のAspのAsnとの置換(Asp9Asp)、188位のGlyのGluとの置換(Gly188Glu、Monsalveら, J.Clin.Invest. 1990,86(3):728-734を参照)またはAsp250Asn(Maら, Genomics. 1992,13:649-653)は、好ましい実施形態においては避けてもよい。
【0012】
2つの核酸またはタンパク質配列は、最適にアラインメントさせた場合に少なくとも約70%の配列同一性を共有すれば、実質的に同一であると考えられる。他の実施形態においては、配列同一性は、例えば、少なくとも75%、少なくとも90%または少なくとも95%であってもよい。同一性を比較するための配列の最適アラインメントは様々なアルゴリズムを使って実施することができ、例えば、SmithおよびWaterman, 1981,Adv.Appl.Math 2:482の局所相同性アルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48:443の相同性アラインメントアルゴリズム、PearsonおよびLipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性検索法、およびこれらのアルゴリズムのコンピューター実行プログラム(Wisconsin Genetics Soft Package(Genetics Computer Group, Madison, WI, U.S.A.)のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTAなど)がある。配列アラインメントは、Altschulら, 1990, J.Mol.Biol. 215:403-10(開示されたデフォルト設定を用いる)に記載されたBLASTアルゴリズムを用いて実施することもできる。BLAST解析を実施するためのソフトウエアは、National Center for Biotechnology Information(国立生物技術情報センター;http://www.ncbi.nlm.gov/)から利用可能である。BLASTアルゴリズムは、最初にデータベース配列中の長さWの短いワードとアラインメントしたときに、一致するかまたは任意の正値の閾値スコアTを満たすクエリー配列中の同じ長さの短いワードを確認することによって、高スコア配列ペア(HSP)を同定することを含む。Tは近傍ワードスコア閾値(neighbourhood word score threshold)と呼ばれる。最初の近傍ワードヒットはより長いHSPを見出す検索を開始するためのシーズとして機能する。ワードヒットを、それぞれの配列に沿って、累積アラインメントスコアが増加しうる限り両方向に伸長させる。それぞれの方向のワードヒットの伸長は、次のパラメーターが適合したときに停止する:累積アラインメントスコアが最大達成値から量Xだけ落ちた;1以上の負スコアの残基アラインメントが蓄積して、累積スコアがゼロ以下になった;またはいずれの配列も末端に到達した。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXはアラインメントの感度と速度を決定する。BLASTプログラムは、両鎖の核酸比較に対して、デフォルトとしてワードの長さ(W)=11、BLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915-10919)アラインメント(B)=50、期待値(E)=10(他の実施形態においては1または0.1または0.01または0.001または0.0001に変えてもよい;0.1より遥かに高いE値は機能的に類似した配列を同定し得ないが、短い類似性領域に対してはより低い有意度、0.1と10の間のE値を用いてヒットを判定するのが有用である)、M=5、N=4を使用しうる。タンパク質の比較に関しては、BLASTPを次のデフォルトを用いて使用しうる:G=11(ギャップを空けるコスト);E=1(ギャップを拡げるコスト);E=10(期待値、この設定では、規定したアラインメントスコアSと等しいかより優れたスコアをもつ10ヒットが、検索対象と同じサイズのデータベース中で偶然に起こると期待される;E値を増加または減少して検索のストリンジェンシーを変えることができる);およびW=3(ワードサイズ、デフォルトはBLASTNに対して11、その他のblastプログラムに対して3)。
【0013】
BLOSUMマトリックスはアラインメントの各位置に対する確率スコアを割当てるが、その割当は、関連タンパク質内のコンセンサスブロック間の置換が起こる頻度が分かっているのでその頻度に基づく。BLOSUM62(ギャップ存在コスト=11;残基ギャップ当たりコスト=1;λ比=0.85)置換マトリックスをBLAST 2.0のデフォルトで使う。様々な他のマトリックスを、BLOSM62の代わりに使ってもよく、例えばPAM30(9,1,0.87);PAM70(10,1,0.87)、BLOSUM80(10,1,0.87)、BLOSUM62(11,1,0.82)およびBLOSUM45(14,2,0.87)が挙げられる。BLASTアルゴリズムを使う2つの配列間の統計的類似性の1つの基準は、最小和確率(P(N))であり、これは2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間に一致が偶然起り得る確率を示す。本発明の他の実施形態においては、試験配列と比較して最小和確率が約1より低い、好ましくは約0.1より低い、さらに好ましくは0.01より低い、そして最も好ましくは約0.001より低い場合には、実質的に同一であると考えられる。
【0014】
当業界では、ポリペプチドの構造に若干の修飾および変化を行って、そのペプチドの生物学的機能を実質的に変えることなく、生物学的に同等なポリペプチドを得ることができることは周知である。本発明の一態様においては、LPL S447X治療薬は、保存的アミノ酸置換により野生型LPL配列の一部分と異なるペプチドを含んでもよい。本明細書に使用する用語「保存的アミノ酸置換」とは、ペプチド内の所与の位置における1つのアミノ酸の他のアミノ酸との置換であって、機能を喪失することなく行いうる置換を意味する。そのような変化を作製するには、例えば側鎖置換基の相対的類似性、例えばそれらのサイズ、電荷、疎水性、親水性などに基づいて、類似のアミノ酸残基の置換を行うことができ、そして、そのような置換体を、ペプチドの機能に与えるそれらの影響について慣例的試験によりアッセイしうる。
【0015】
いくつかの実施形態においては、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基を類似の親水価(hydrophilicity value)を有する(例えば、プラスまたはマイナス2.0の値の範囲内)他のアミノ酸残基と置換する場合に行うことができ、この場合、次の親水価がアミノ酸残基に割当てられている(本明細書に参照により組み入れられる米国特許第4,554,101号に詳述されている):Arg(+3.0);Lys(+3.0);Asp(+3.0);Glu(+3.0);Ser(+0.3);Asn(+0.2);Gln(+0.2);Gly(0);Pro(-0.5);Thr(-0.4);Ala(-0.5);His(-0.5);Cys(-1.0);Met(-1.3);Val(-1.5);Leu(-1.8);Ile(-1.8);Tyr(-2.3);Phe(-2.5);およびTrp(-3.4)。
【0016】
他の実施形態においては、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基を類似のヒドロパシー指標(hydropathic index)(例えば、プラスまたはマイナス2.0の範囲内)を有する他のアミノ酸残基と置換する場合に行い得る。そのような実施形態においては、各アミノ酸残基にその疎水性および電荷特性に基づいて、ヒドロパシー指標を次のように割当てることができる:Ile(+4.5);Val(+4.2);Leu(+3.8);Phe(+2.8);Cys(+2.5);Met(+1.9);Ala(+1.8);Gly(-0.4);Thr(-0.7);Ser(-0.8);Trp(-0.9);Tyr(-1.3);Pro(-1.6);His(-3.2);Glu(-3.5);Gln(-3.5);Asp(-3.5);Asn(-3.5);Lys(-3.9);およびArg(-4.5)。
【0017】
他の実施形態においては、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基を同じクラスの他のアミノ酸残基と置換する場合に行うことができ、この場合、アミノ酸は次のように、非極性、酸性、塩基性および中性クラスに区分される:非極性:Ala,Val,Leu,Ile,Phe,Trp,Pro,Met;酸性:Asp,Glu;塩基性:Lys,Arg,His;中性:Gly,Ser,Thr,Cys,Asn,Gln,Tyr。
【0018】
本発明は、LPL S447X治療薬を含有する医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態においては、そのような組成物は、所望の治療または予防効果を提供するのに十分な有効量のLPL S447X治療薬、および製薬上許容される担体または賦形剤を含む。「有効量」とは、治療上有効な量または予防上有効な量を含む。
【0019】
「治療上有効な量」とは、所望の治療効果を達成するために必要な投与量および期間で有効な量を意味し、治療効果としては、LPL活性の上昇などの脂質代謝のパラメーターの修飾、HDL-コレステロールの上昇またはトリグリセリドレベルの低下が挙げられる。LPL S447X治療薬の治療上有効な量は、個体の病状、年齢、性別および体重などの因子ならびに個体において所望の応答を誘発させるLPL S447X治療薬の能力によって変化しうる。投与計画は、最適の治療応答を提供するように調節することができる。治療上有効な量はまた、典型的には、LPL S447X治療薬の毒性または有害な影響を治療上有益な効果が上回る量でもある。
【0020】
「予防上有効な量」は、所望の予防効果を達成するために必要な投与量および期間で有効な量を意味し、予防効果としては、冠心疾患、心血管疾患、冠状動脈疾患、高トリグリセリドおよび/または低HDLなどのLPL応答性症状を含む様々な症状の予防または抑制が挙げられる。予防投与量は、被験者において疾患前またはその初期段階において用いることができ、予防上有効な量は、いくつかの事例においては治療上有効な量より多いときも少ないときもあり得る。
【0021】
特定の実施形態においては、LPL S447X治療薬の治療上また予防上有効な量の範囲は0.01nM-0.1M、0.1nM-0.1M、0.1nM-0.05M、0.05nM-15μMまたは0.01nM-10μMでありうる。投与量の値は、軽減すべき症状の重篤度によって変わりうることに注意すべきである。いずれの特定の被験者に対しても、特定の投与計画は、個体のニーズおよび該組成物を投与するもしくは該組成物の投与を監督する専門家の判断によって経時的に調節することができる。本明細書に記載の投与量範囲は例示のためだけであって、医療実施者により選択されうる投与量範囲を限定するものでない。
【0022】
遺伝子治療ベクターについては、投与すべき用量は、治療対象の被験者の症状および大きさ、ならびに治療製剤、処置頻度および投与経路に大きく依存する。投与量、製剤および投与頻度を含む、治療を続けるための計画は、初期応答および臨床判断を手引きとして決定してもよい。組織の間質中に注入する非経口経路が好ましいが、エーロゾル製剤の吸入などの他の非経口経路が、特定の投与では必要でありうる。いくつかのプロトコルにおいては、遺伝子および水性担体中の遺伝子送達系を含む製剤を適当な量で組織中に注入する。組織標的は特異的で、例えば筋もしくは肝組織であってもよいし、または複数組織の組合せで、例えば筋および肝組織であってもよい。組織標的の例としては、肝、骨格筋、心筋、脂肪貯蔵、腎、肺、血管内皮、上皮および/または造血細胞が挙げられる。
【0023】
本発明の組成物中の有効化合物の量は、個体の病状、年齢、性別および体重などの因子によって変更しうる。投与計画は最適な治療応答を提供するように調節しうる。例えば、単一ボーラスを投与してもよいし、複数の分割用量を時間をかけて投与してもよいし、または治療状況の危急が示されればそれに合わせて投与量を減少または増加してもよい。投与の容易と投与の均一性のために、投与単位剤形で非経口組成物を製剤化することが有利でありうる。本明細書に使用する「投与単位剤形」は、治療対象の被験者に対する単位投与量として適当な物理的に区切られた単位を意味し;各単位は、所望の治療効果を生じるよう計算して予め定めた量の有効化合物を所要の製薬用担体と一緒に含有する。本発明の投与単位剤形の設定は、有効化合物の特有の特性および達成すべき特定の治療効果によって、ならびにそのような有効化合物を個体の症状の治療のために配合する技術に固有の制限によって指図することができる。
【0024】
本明細書に使用する「製薬上許容される担体」または「賦形剤」としては、生理学的に適合しうる、いずれかおよび全ての溶媒、分散媒質、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などが挙げられる。一実施形態においては、担体は非経口投与に適当である。あるいは、担体は、静脈内、腹腔内、筋内、舌下または経口投与用として適当であってもよい。製薬上許容される担体としては、無菌水溶液または分散液および無菌注射液または分散液の即時調合用の無菌粉末が挙げられる。製薬上有効な物質用のそのような媒質および薬剤の使用は当業界では周知である。いずれかの通常の媒質または薬剤は、有効化合物と不適合である場合を除くと、本発明の医薬組成物におけるそれらの使用は意図されるものである。
【0025】
補助有効化合物も本発明の医薬組成物中に組み込むことができる。例えば、Apo CII(核酸またはタンパク質形態で)は、いくつかの実施形態においてLPL S447X治療薬の活性化補助因子として作用しうる。他の有効化合物としては、LPL S447X治療薬の特性または作用を増強する化合物が挙げられる。いくつかの実施形態においては、LPL S447X治療薬を、糖尿病などの他の症状を治療するために、インスリンなどの治療薬と共に同時投与してもよい。いくつかの実施形態においては、シクロスポリンなどの免疫系モジュレーターを、例えばLPL S447X治療薬に対する免疫応答を改善するためにLPL S447X治療薬と共に同時投与してもよい。LPL S447X治療薬に対する免疫応答のリスクを評価する上で、患者のLPL遺伝子の分析を実施して患者の自然のLPLの特性決定をしてもよい。さらなる治療薬の同時投与についての手引きは、例えばカナダ薬剤師協会(Canadian Pharmacists Association)のCompendium of Pharmaceutical and Specialties(医薬品および特殊品大要)(CPS)に見出される。
【0026】
医薬組成物は、典型的には、製造および保存条件下で無菌かつ安定である。医薬組成物は、溶剤、ミクロ乳剤、リポソーム、または他の高薬物濃度に適合するため整えた構造体として製剤することができる。担体は、溶媒であってもよいしまたは分散媒質であってもよく、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレングリコールなど)、ならびにそれらの適当な混合物が挙げられる。適当な流動性を、例えばレシチンなどのコーティングを使用して、分散液の場合には所要の粒度を維持して、および界面活性剤を使用して維持してもよい。多くの場合、組成物中に、等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール類、または塩化ナトリウムを配合するのが好ましいであろう。注入組成物の吸収の延長を、吸収を遅延させる作用剤、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に配合して達成してもよい。LPL S447X治療薬を、ある時間において、または制御放出製剤、例えば速やかな放出に対して化合物を保護する徐放性ポリマーまたは他の担体を含む組成物として投与してもよく、それには埋込物およびマイクロカプセル送達系が含まれる。例えば、生物分解性、生物適合性ポリマーを利用してもよく、それにはエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ酢酸、およびポリ乳酸-ポリグリコール酸コポリマー(PLG)が挙げられる。多数のそのような製剤調製法は特許化されているかまたは一般的に当業者には周知である。
【0027】
無菌注射液は、所要量の有効化合物に適当な溶媒中に本明細書に記述した成分の1つまたはその組合わせを組込み、必要に応じて、次いで濾過滅菌して調製することができる。一般的に、分散液は、有効化合物を無菌ビヒクル中に組込んで調製し、無菌ビヒクルは基礎分散媒質および上記した中から選んだ所要の他の成分を含有する。無菌注射液調製用の無菌粉末の場合、好ましい調製法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、有効成分といずれかの追加所望成分とを含む粉末がその予め滅菌濾過した溶液から得られる。本発明の他の態様によっては、LPL S447X治療薬をLPL S447X治療薬の溶解度を上昇する1以上の追加化合物と共に製剤化してもよい。
【0028】
本発明のLPL S447X治療化合物は、C末端ヒドロキシメチル誘導体、O-修飾誘導体(例えば、C末端ヒドロキシメチルベンジルエーテル)、ならびにアルキルアミドおよびヒドラジドなどの置換アミドを含むN末端修飾誘導体などの誘導体を含んでもよい。
【0029】
本発明のLPL S447Xペプチド内で、ペプチド構造は、修飾基と直接結合していてもまたは間接的に結合していてもよい。用語「修飾基」とは、直接、ペプチド構造に(例えば、共有結合によって)結合した構造、ならびに間接的にペプチド構造に(例えば、追加のアミノ酸残基またはMCP-3コアペプチド構造にフランキングするそれらの擬似体、類似体もしくは誘導体と安定な非共有結合の会合によりまたは共有結合により)結合した構造を含むことを意図する。例えば、修飾基を、LPL S447Xペプチド構造のアミノ末端もしくはカルボキシ末端、またはコアドメインにフランキングするペプチドもしくはペプチド擬似体領域に結合してもよい。
【0030】
あるいは、修飾基を、LPL S447Xペプチドのアミノ酸残基の側鎖、またはコアドメインにフランキングするペプチドまたはペプチドミメチック領域に結合してもよい(例えば、リシン残基のεアミノ基を通して、アスパラギン酸残基またはグルタミン酸のカルボキシル基を通して、チロシン残基、セリン残基またはトレオニン残基のヒドロキシ基を通して、またはアミノ酸側鎖上の他の適当な反応基を通して)。ペプチド構造と共有結合した修飾基は、例えばアミド、アルキルアミノ、カーバメートまたは尿素結合などの、当業界で化学構造を連結するための公知の方法によって結合することができる。
【0031】
いくつかの実施形態においては、修飾基は環式、複素環式または多環式の基であってもよい。本明細書に使用する用語「環式基」は、3〜10、4〜8、または5〜7個の炭素原子を有する環式飽和または不飽和(すなわち芳香族)基を含む。環式基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルが挙げられる。環式基は無置換であっても1以上の環位置で置換されてもよい。環式基は、例えば、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環式、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、スルホネート、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、-CF3、-CNによって置換されてもよい。
【0032】
用語「複素環式基」は、環構造が1以上のヘテロ原子を含む3〜10、4〜8、または5〜7個の炭素原子を有する環飽和、不飽和および芳香族基を含む。複素環式基は、ピロリジン、オキソラン、チオラン、イミダゾール、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンが挙げられる。複素環式は1以上の位置で、例えば、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、他の複素環式、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、-CF3、-CNなどの置換基によって置換されてもよい。複素環式はまた以下に記載のように、他の環式基と架橋または融合していてもよい。
【0033】
本明細書に使用する用語「多環式基」は、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共通であってそれらの環が「融合環」である、2以上の飽和、不飽和または芳香族環式の環を意味することを意図する。非隣接の原子を通して接合されている環は「架橋した」環と名付ける。それぞれの多環式基の環は、以上記載したように、例えば、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホネート、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、-CF3、または-CNなどの置換基によって置換されてもよい。
【0034】
用語「アルキル」は、飽和脂肪族基の基を意味し、例としては、直鎖アルキル基、分枝アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基が挙げられる。実施形態のいくつかにおいては、直鎖または分枝鎖アルキルは、20個以下の炭素原子(直鎖についてはC1-C20,分枝鎖についてはC3-C20 )または10個以下の炭素原子を主鎖に有する。実施形態のいくつかにおいては、シクロアルキルは、その環構造に4〜10個の炭素原子、例えば5,6または7個の炭素環を有する。炭素数を特に規定していなければ、本明細書に使用する「低級アルキル」は、その主鎖構造に1〜10個の炭素原子を有する上に定義したアルキル基を意味する。同様に「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は10個以下の炭素の鎖長を有する。
【0035】
本明細書および請求項を通して使われる用語「アルキル」(または「低級アルキル」)は、「無置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むことを意図し、後者は炭化水素主鎖の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分を意味する。そのような置換基は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、ケトン(アルキルカルボニルおよびアリールカルボニル基を含む)およびエステル(アルキルオキシカルボニルおよびアリールオキシカルボニル基を含む)、チオカルボニル、アシルオキシ、アルコキシル、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アシルアミノ、アミド、アミジン、イミノ、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、複素環式、アラルキルまたは芳香族またはヘテロ芳香族部分が挙げられる。炭化水素鎖上の置換部分は、もし適当であればそれ自身が置換されていてもよい。例えば、置換アルキルの置換基としては、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(サルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホネートを含む)およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、およびエステル)、-CF3、-CNなどの置換されたおよび無置換の形態が挙げられる。置換アルキルの例を以下に記載する。シクロアルキルをさらに、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、-CF3、-CNなどにより置換してもよい。
【0036】
用語「アルケニル」および用語「アルキニル」は、長さおよび生じ得る置換の点で上記のアルキルと同様の不飽和脂肪族基を意味するが、それぞれ少なくとも1つの二重または三重結合を含有する。
【0037】
本明細書に使用する用語「アラルキル」は、少なくとも1つのアリール基により置換したアルキルまたはアルケニル基を意味する。アラルキルの例は、ベンジル(すなわち、フェニルメチル)、2-ナフチルエチル、2-(2-ピリジル)プロピル、5-ジベンゾスベリル(dibenzosuberyl)などが挙げられる。
【0038】
本明細書に使用する用語「アルキルカルボニル」は、-C(O)-アルキルを意味する。同様に、用語「アリールカルボニル」は、-C(O)-アリールを意味する。本明細書に使用する用語「アルキルオキシカルボニル」は、-C(O)-O-アルキルを意味し、用語「アリールオキシカルボニル」は、-C(O)-O-アリールを意味する。用語「アシルオキシ」は、-O-C(O)-R7を意味し、ここでR7はアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルまたは複素環式を意味する。
【0039】
本明細書に使用する用語「アミノ」は、-N(Rα)(Rβ)を意味し、ここでRαおよびRβはそれぞれ独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリールであるか、またはここでRαおよびRβは、それらが結合している窒素原子と一緒に4-8個の原子の環を形成する。従って、本明細書に使用する用語「アミノ」は、無置換、一置換(例えば、モノアルキルアミノまたはモノアリールアミノ)および二置換(例えば、ジアルキルアミノまたはアルキルアリールアミノ)のアミノ基を含む。用語「アミド」は、-C(O)-N(R8)(R9)を意味し、ここでR8およびR9は上に定義した通りである。用語「アシルアミノ」は、-N(R'8)C(O)-R7を意味し、R7は上に定義した通りであり、R'8はアルキルである。
【0040】
本明細書に使用する用語「ニトロ」は、-NO2-を意味し;用語「ハロゲン」は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを記述し;用語「スルフヒドリル」は、-SHを意味し;そして用語「ヒドロキシル」は、-OHを意味する。
【0041】
本明細書に使用する用語「アリール」は、5、6、および7員環の芳香族基を含み、その環内に0〜4個のヘテロ原子を含んでもよく、例えば、フェニル、ピロリル、フリル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾール、チアゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニルおよびピリミジニルなどが挙げられる。環構造にヘテロ原子を有するこれらのアリール基はまた、「アリール複素環式」または「ヘテロ芳香族」とも呼ばれる。芳香環を、1以上の環位置にて上記の置換基、例えばハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、-CNなどの置換基により置換してもよい。アリール基はまた、多環式基の部分であってもよい。例えば、アリール基は、ナフチル、アントラセニル、キノリル、インドリルなどの融合芳香族部分を含む。
【0042】
修飾基としては、ビオチニル構造を含んでなる基、フルオレセイン含有基、ジエチレン-トリアミンペンタアセチル基、(-)-メントキシアセチル基、N-アセチルノイラミニル基、コーリル構造またはイミニオビオチニル基があげられる。LPL S447Xペプチドは、そのカルボキシ末端にてコーリル基を用いて、当業界で公知の方法により修飾することができる(例えば、Wess, G.ら、(1993) Tetrahedron Letters, 34:817-822;Wess, G.ら、(1992) Tetrahedron Letters, 33:195-198;およびKramer, W.ら、(1992) J. Biol. Chem. 267:18598-18604を参照)。またコーリル誘導体および類似体を修飾基として使ってもよく、例えばAic(3-(O-アミノエチル-イソ)-コーリル)はフリーのアミノ基を有しているので、LPL S447Xペプチドをさらに修飾するために使うことができる。修飾基は、ビオチニル基およびそれらの類似体および誘導体を含む「ビオチニル構造」(2-イミノビオチニル基などの)であってもよい。他の実施形態においては、修飾基は、「フルオレセイン含有基」、例えばLPL S447Xペプチドを、5-(および6-)カルボキシフルオレセイン、スクシンイミジルエステルまたはフルオレセインイソチオシアネートと反応させて誘導した基であってもよい。様々な他の実施形態においては、修飾基は、N-アセチルノイラミニル基、trans-4-コチニンカルボキシル基、2-イミノ-1-イミダゾリジンアセチル基、(S)-(-)-インドリン-2-カルボキシル基、(-)-メントキシアセチル基、2-ノルボルナンアセチル基、γ-オキソ-5-アセナフテンブチリル、(-)-2-オキソ-4-チアゾリジンカルボキシル基、テトラヒドロ-3-フロイル基、2-イミノビオチニル基、ジエチレントリアミンペンタアセチル基、4-モルホリンカルボニル基、2-チオフェンアセチル基またはで2-チオフェンスルホニル基を含んでもよい。
【0043】
本発明のLPL S447X治療剤はさらに修飾して該化合物の所望の機能を保持しつつ該化合物の特異的な性質を変えることができる。例えば、1実施形態においては、該化合物は修飾してその薬物動態学的性質、例えばin vivoでの安定性または半減期を変えることができる。該化合物を修飾して検出しうる物質で標識することができる。該化合物を修飾してその化合物を別の治療剤の一部分に結合させることができる。該化合物をさらに化学的に修飾するために、例えば薬物動態学的性質を変えるために、反応基を誘導体化することができる。C末端の修飾としてはカルボキシペプチダーゼの基質として作用する該化合物の性質を低減させるものなどが含まれる。C末端の修飾剤の例としては、アミド基、エチルアミド基、ならびにD-アミノ酸やβ-アラニンなどの種々の非天然アミノ酸が挙げられる。あるいはまた、修飾基を凝集コアドメインのカルボキシル末端に結合させた場合には、該化合物のアミノ末端をさらに、例えば該化合物がアミノペプチダーゼの基質として作用することを低減させるために修飾することができる。
【0044】
LPL S447X治療剤をさらに修飾して、該化合物を検出可能な物質と反応させることによって該化合物を標識することができる。検出可能な物質として適切なものとしては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、および放射性物質が含まれる。適切な酵素としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ;適切な補欠分子族複合体としては、ストレプトアビジン/ビオチン、およびアビジン/ビオチン;適切な蛍光物質としては、ウンベリフェロン(umbelliferone)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリスリン;発光物質の例としてはルミノール;適切な放射性物質の例としては14C、123I、124I、125I、131I、99Tc、35S、またはHが挙げられる。LPL S447X治療剤は14Cで放射性を標識することができるが、それは修飾基への、または該化合物中の1つ以上のアミノ酸構造中への14Cの取り込みによって行うことができる。標識したLPL S447X治療剤は該化合物のin vivoの薬物動態学を評価するために、ならびに、被験者の疾病の進行または特定の疾患を発症しやすい傾向を検出するために、例えば診断目的で用いることができる。LPL S447X治療剤の組織分布は、in vivo、またはある被験者に由来するin vitroサンプル中の標識したLPL S447X治療剤を用いて検出することができる。in vivoの診断用剤として用いるために、本発明のLPL S447X治療剤は例えば、放射性テクネチウムまたはヨウ素で標識することができる。修飾基は、キレート基を標識するために導入することができるような部位を提供するような、例えば遊離のアミノ基を持つコール酸のAic誘導体などを選択することができる。例えば、LPL S447Xペプチド配列中のフェニルアラニン残基は放射性なヨウ化チロシルと置換することができる。放射性ヨウ素の種々の放射性同位体のうちのどれでも診断用剤を作るために取り込ませることができる。123I (半減期=13.2時間)は、全身シンチグラフィーに用いることができ、124I(半減期=4日間)は陽電子放射トモグラフィー(PET)に用いることができ、125I(半減期=60日間)は代謝ターンオーバーの研究に、131I(半減期=8日間)は全身計測および遅延低分解能造影研究に用いることができる。
【0045】
別の化学的修飾では、本発明のLPL S447X治療剤は「プロドラッグ」の形態に調製することができ、その形態では該化合物自体は治療剤としては作用せず、in vivoで代謝を受けて形態を変えて本明細書記載のLPL S447X治療剤となることができる。例えば、このタイプの化合物では、代謝を受けて活性のあるLPL S447X治療剤の形態に変換されうるプロドラッグ中に、修飾基を存在させることができる。そのような修飾基がプロドラッグに含まれる形態を本明細書では「二次修飾基」と呼ぶ。ペプチドに基づく薬剤の活性型の送達を最適化するために、代謝されることを制限するペプチドプロドラッグを調製するための種々の方策が当業界では知られている(例えば、Moss, J. (1955)「ペプチドに基づく薬物の設計:輸送と代謝の制御」(Peptide-Based Drug Design: controlling Transport and Metabolism), Taylor, M.D. とAmidon, G.L.(編), 第18章)。
【0046】
本発明のLPL S447Xペプチド類似体は当業界で既知の標準的な技法で調製することができる。LPL S447Xペプチド類似体は、少なくともその一部は標準的な技法(例えば、Bodansky, M.「ペプチド合成の原理」(Principles of Peptide Synthesis), Springer Verlag, Berlin(1993); Grant G.A.(編)「ペプチド合成の原理:ユーザーガイド」(Synthetic Peptides: A User's Guide), W.H.Freeman and Company, New York(1992); またはClark-Lewis, I., Loetscher, M., Moser, B.,とBaggiolini, M., (1994) J. Biol. Chem., 269, 16075-16081に記載の技法など)を用いて合成したペプチドとすることができる。自動化ペプチド合成装置は市販されている(例えば、Advanced ChemTech Model 396:Milligen/Biosearch 9600)。ペプチドは標準的な方法に従って活性をアッセイすることができる。ペプチドはHPLCで精製し、マススペクトル法で分析することができる。ペプチドは水中で10%DMSOを用いてシステインを緩徐に酸化させて形成させたジスルフィド架橋で二量体とすることができる。HPLC精製後、二量体形成をマススペクトル法で確認することができる。1個以上の修飾基を、標準的な技法、例えばアミノ基(例えば、ペプチドのアミノ末端のαアミノ基)、カルボキシル基(例えば、ペプチドのカルボキシ末端)、水酸基(例えば、チロシン、セリン、またはトレオニン残基)、またはアミノ酸側鎖上のその他の適切な反応基を用いる反応方法を用いて、LPL S447Xペプチドに結合させることができる(例えば、Green, T.W. とWuts, P.G.M.「有機合成における保護基」(Protective Groups in Organic Synthesis), John Wiley and Sons, Inc., New York(1991)を参照せよ)。
【0047】
本発明の別の1態様においては、LPL S447Xペプチドは標準的な組換えDNA技法に従ってペプチドをコードする核酸分子を用いて調製することができる。対象とするペプチドをコードするヌクレオチド配列は遺伝コードを用いて決定することができ、このヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチド分子は標準的なDNA合成法(例えば自動DNA合成装置)で合成することができる。あるいはまた、ペプチド化合物をコードするDNA分子は、標準的な分子生物学的技法を用いて天然の前駆体タンパク質遺伝子またはcDNAから誘導できる(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)および/または制限酵素消化を用いて)。例えば、ヒト野生型LPL cDNA断片はヒトの脂肪組織のトータルRNAから下記の5'および3'プライマーをそれぞれ用いてRT-PCRでクローン化することができる:5'-ATA GAA TTC GGA TCC ATC GAT/GC TCC TCC AGA GGG ACG GCG CCC CG-3' (これはLPLコード配列の5'にEcoRI、BamHI、およびClaI部位を導入する)、ならびに5'-TAT GTC GAC TAG ATA TC/GCC GTT CTT TGT TCT GTA GAT TCG CCC-3'(これはLPLコード配列の3'にSalI、XbaI、およびEcoRV部位を導入する)。LPL S447X cDNAは部位特異的突然変異誘発(これは配列を調べることによって確認できるが、Hendersonら、1991, Journal of Clinical Investigation 87, 2005-2011; および、Zhangら、1996, Biochimica et Biophysica Acta 1302, 159-166を参照せよ)によって野生型ヒト1.6kb LPL cDNAから誘導できる。
【0048】
本発明はまた、本発明のLPL S447Xペプチドをコードする核酸配列を含む単離された核酸分子を提供する。「核酸分子」という用語はDNA分子およびRNA分子を含み、それは1本鎖または2本鎖である。また別の実施形態においてはその単離された核酸は、1個以上のアミノ酸が修飾された、または欠失したペプチドをコードする。
【0049】
標準的組換えDNA技法を用いる宿主細胞中でのペプチド化合物の発現を容易なものとするため、そのペプチドをコードする単離された核酸を組換え発現ベクター中に組み込むことができる。従って本発明は本発明の核酸分子を含む組換え発現ベクターも提供する。本明細書で用いる「ベクター」という用語は核酸に対して機能しうる形で連結され核酸を輸送することのできる、核酸、タンパク質、脂質、またはその他の分子を意味する。ベクターには環状2本鎖DNAプラスミドおよびウイルスベクターが含まれる。ある種のベクターは、導入される宿主細胞中で自己複製することができる(例えば、細菌性複製起点を有する細菌性ベクターおよびエピソーム性哺乳動物ベクター)。その他のベクター(例えば非エピソーム性哺乳動物ベクター)は宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み入れられて、そこで宿主のゲノムと共に複製される。ある種のベクターは、そのベクターに機能しうる形で連結された遺伝子の発現を指令することができる。
【0050】
本発明の組換えベクターでは、ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、発現に用いる宿主細胞に基づいて選択される1個以上の調節配列と機能しうる形で連結されている。「機能しうる形で連結された」または「機能しうる形で」連結されたという用語は該ペプチドをコードする配列が、そのペプチド化合物の発現ができるような様式で調節配列に連結されていることを意味する。「調節配列」という用語はプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化配列、およびその他の発現制御エレメントを含んでいる。そのような調節配列については、例えば、Goeddel; Gene Expression Technology; Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, 米国カリフォルニア州に記載されている(これは参照により本明細書中に組み込むこととする)。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞中でヌクレオチド配列の構成的な発現を指令するもの、ある特定の宿主細胞中でのみそのヌクレオチド配列の発現を指令するもの(例えば、組織特異的調節配列)、ならびに調節可能な様式(例えば、ある誘導剤の存在下でのみ)での発現を指令するものが含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される細胞の選択、およびペプチド化合物の発現の所望のレベルの如何によって変わりうる。
【0051】
本発明の組換え発現ベクターは原核細胞または真核細胞中でのペプチド化合物の発現のために設計することができる。例えば、ペプチド化合物は大腸菌(E.coli)などの細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いて)、酵母細胞および哺乳動物細胞中で発現させることができる。適切な宿主細胞についてはさらに、Goeddel;Gene Expression Technology;Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, 米国カリフォルニア州(1990)に述べられている。あるいはまた、該発現ベクターは、例えばT7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いてin vitroで転写し翻訳することができる。酵母S.cerevisiae中での発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(Baldariら、(1987) EMBO J. 6:229-324)、pMFa(KurjanとHerskowitz, (1982) Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultzら、(1987) Gene 54:113-123)、およびpYES2(Invitrogen Corporation, San diego, 米国カリフォルニア州)が挙げられる。培養昆虫細胞中での(例えば、Sf9細胞)タンパク質またはペプチドの発現のために用いることのできるバキュロウイルスベクターとしては、pAcシリーズ(Smithら、(1983) Mol. Cell Biol. 3:2156-2165)およびpVLシリーズ(Lucklow, V.A. とSummers, M.D. (1989) Virology 170:31-39)が含まれる。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(Seed, B., (1987) Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら、(1987) EMBO J. 6:187-195)が挙げられる。哺乳動物細胞で用いる場合には、発現ベクターの制御機能がウイルス性の調節エレメントによって提供されることがよくある。例えば、一般的に用いられているプロモーターはポリオーマ、アデノウイルス2型、サイトメガロウイルス、およびネコウイルス40に由来するものである。
【0052】
調節性の制御配列に加えて、組換え発現ベクターはさらに、そのベクターが取り込まれた宿主細胞を同定するために選択マーカー遺伝子などのヌクレオチド配列を含むことができる。選択マーカー遺伝子については当業界ではよく知られている。ペプチド化合物の宿主細胞からの分泌を容易にするため、とりわけ哺乳動物宿主細胞からの分泌を容易にするために、組換え発現ベクターは好ましくはそのペプチド化合物のアミノ末端をコードする配列と機能しうる形で連結されたシグナル配列をコードし、発現すればそのペプチド化合物はそのアミノ末端にシグナル配列を伴って合成される。このシグナル配列は細胞の分泌経路中へとペプチド化合物を導き、次いで開裂されて成熟したペプチド化合物(すなわち、シグナル配列のないペプチド化合物)を宿主細胞から放出する。哺乳動物宿主細胞からのタンパク質またはペプチドの分泌を容易なものとするシグナル配列の使用は当業界ではよく知られている。
【0053】
ペプチド化合物をコードする核酸を含んでいる組換え発現ベクターは宿主細胞中に導入され、その宿主細胞中でペプチド化合物が産生される。従って、本発明はまた、本発明の組換え発現ベクターを含んでいる宿主細胞をも提供する。「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」という用語は本明細書では相互に交換可能な形で用いられる。このような用語は、特定の対象細胞のみならずそのような細胞の後代、および生じ得る後代も意味する。ある程度の修飾が、以降の世代で突然変異または環境的影響のいずれかによって生じうるが、そのような後代は、事実、親の細胞とは同一でない可能性があるが、それも本明細書で用いているこの用語の範囲内に同様に含める。宿主細胞は原核細胞でも真核細胞でもよい。例えば、ペプチド化合物を、大腸菌(E.coli)等の細菌細胞、昆虫細胞、酵母、または哺乳動物細胞中で発現させることができる。該ペプチド化合物は被験者の体内でin vivoで発現させてその被験者への遺伝子治療とすることができる(以下にさらに詳述する)。
【0054】
ベクターDNAは従来の形質転換またはトランスフェクション技法を用いて原核細胞または真核細胞中に導入することができる。「形質転換」および「トランスフェクション」という用語は、外来の核酸を宿主細胞中に導入する技法を意味し、それらにはリン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿法、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、電気穿孔法、マイクロインジェクション、およびウイルス媒介トランスフェクションが含まれる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトする適切な方法についてはSambrookら(「分子クローニング:実験室マニュアル」(Molecular Cloning:A Laboratory Manual), 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))およびその他の実験室マニュアルに記載されている。DNAを哺乳動物細胞中にin vivoで導入するための方法も既知であり、本発明のベクターDNAを被験者に遺伝子治療の目的で送達するために用いることができる。
【0055】
哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションでは、用いた発現ベクターおよびトランスフェクション技法の如何にもよるが、細胞のうちの小数の細胞においてのみ外来DNAがゲノム中に組み込まれることが知られている。組込体を同定し選択するためには選択マーカー(抗生物質耐性など)をコードする遺伝子を対象の遺伝子と共に宿主細胞中に導入することができる。好ましい選択マーカーとしては、例えばG418、ハイグロマイシン、およびメトトレキセートなどの薬剤に対する耐性を与えるものが含まれる。選択マーカーをコードする核酸はペプチド化合物をコードしているベクターと同じベクターで宿主細胞中に導入することができ、また別々のベクターでも導入することができる。導入された核酸で安定にトランスフェクトされた細胞は薬剤による選択(組み込まれた選択マーカー遺伝子を有する細胞は生存し、そうでない細胞は死滅する)で同定することができる。
【0056】
本発明の核酸は、DNAの直接注入、受容体が媒介するDNA取り込み、ウイルスが媒介するトランスフェクションまたは非ウイルス性のトランスフェクション、および脂質に基づくトランスフェクションなどの方法でin vivoで細胞中に送達させることができ、これらの全てに遺伝子治療ベクターの使用に関与することができる。直接注入法は裸のDNAをin vivoで細胞中に導入するために用いられてきた(例えば、Acsadiら、(1991) Nature 332:815-818; Wolffら、(1990) Science 247:1465-1468を参照せよ)。DNAをin vivoで細胞中に注入するための装置(例えば「遺伝子銃」)を用いることができる。そのような装置は市販されている(例えばBioRadから)。裸のDNAはまた、そのDNAを、細胞表面受容体のリガンドと結合した陽イオン(例えばポリリジン)と複合体化して細胞中に導入することもできる(例えば、Wu, G.とWu, C.H. (1988) J. Biol. Chem. 263:14621; Wilsonら、(1992) J. Biol. Chem. 267:963-967; および米国特許第5,166,320号を参照せよ)。DNA-リガンド複合体の受容体への結合によって受容体が媒介するエンドサイトーシスによるそのDNAの取込みが容易となる。エンドソームを崩壊させるアデノウイルスキャプシドに連結され、そのため細胞質中に物質を放出するDNA-リガンド複合体を使用して、細胞内でのその複合体のリソソームによる分解を避けることができる(例えば、Curielら、(1991)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8850; Cristianoら、(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2122-2126を参照せよ)。
【0057】
欠損レトロウイルスは遺伝子治療のベクターとしての使用について性質がよく調べられている(総説としてMiller, A.D. (1990) Blood 76:271を参照せよ)。組換えレトロウイルスを作製するためのプロトコールならびにin vitroおよびin vivoで細胞に感染させるためのプロトコールは、「分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」, Ausubel, F.M.ら(編) Greene Publishing Associates, (1989), 第9.10〜9.14節、ならびにその他の標準的な実験室マニュアルに記載されている。適切なレトロウイルスの例としては、pLJ、pZIP、pWE、およびpEMが挙げられ、それらは当業者にはよく知られている。適切なパッケージングウイルス系統の例としては、pψi.Crip、pψi.Cre、pψi.2、およびpψi.Amが挙げられる。レトロウイルスは様々な遺伝子を多数の異なる細胞タイプ中にin vitroおよび/もしくはin vivoで導入するために用いられて、そのような細胞タイプとしては、上皮細胞、内皮細胞、リンパ球、筋原細胞、肝細胞、骨髄細胞が含まれる(例えば、Eglitisら, (1985) Science 230:1395-1398; DanosおよびMulligan (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:6460-6464; Wilsonら, (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:3014-3018; Armentanoら, (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6141-6145; Huberら, (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8039-8043; Ferryら, (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8377-8381; Chowdhuryら, (1991) Science 254:1802-1805; van Beusechem ら, (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7640-7644; Kayら, (1992) Human Gene Therapy 3:641-647; Daiら, (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10892-10895; Hwuら, (1993) J. Immunol. 150:4104-4115; 米国特許第4,868,116号; 米国特許第4,980,286号; PCT出願WO 89/07136; PCT出願WO 89/02468; PCT出願 WO 89/05345; およびPCT 出願 WO 92/07573を参照せよ)。
【0058】
遺伝子治療のベクターとして用いるために、アデノウイルスのゲノムを、本発明のペプチド化合物をコードし発現するがアデノウイルスの通常の溶菌性ウイルスの生活環における複製能は不活化されるように、操作することができる。例えば、Berknerら(1988) Bio Techniques 6:616; Rosenfeldら(1991) Science 252:431-434; およびRosenfeldら(1992) Cell 68:143-155を参照せよ。アデノウイルス株Ad タイプ 5 dl324またはその他のアデノウイルス株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7その他)由来の適切なアデノウイルスベクターについては当業者にはよく知られている。組換えアデノウイルスは遺伝子送達用媒体として有効であるために分裂中の細胞を必要とせず、また広範な細胞タイプを感染させるために用いることができる点で有利である。そのような広範な細胞タイプとしては気道上皮(Rosenfeldら, (1992)上述)、内皮細胞(Lemarchandら, (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6482-6486)、肝細胞(HerzおよびGerard (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2812-2816)、および筋細胞(Quantinら, (1992)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:2581-2584)が含まれる。
【0059】
アデノ関連ウイルス(AAV)を、遺伝子治療を目的としてDNAを送達するための遺伝子治療用ベクターとして用いることができる。AAVは、有効な複製と増殖性の生活環のためのヘルパーウイルスとして、アデノウイルスまたはヘルペスウイルスのような別のウイルスを必要とする天然欠損ウイルスである(Muzyczkaら, Curr. Topics in Micro. and Immunol. (1992) 158:97-129)。AAVはDNAを分裂中でない細胞中に組み込むために用いることができる(例えば、Flotteら, (1992) Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 7:349-356; Samulskiら, (1989) J. Virol. 63:3822-3828; およびMcLaughlinら, (1989) J. Virol. 62:1963-1973を参照せよ)。AAVベクター、例えばTratschinら, (1985) Mol. Cell. Biol. 5:3251-3260に記載のものなどを細胞中にDNAを導入するために用いることができる(例えば、Hermonatら, (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6466-6470; Tratschinら, (1985) Mol. Cell. Biol. 4:2072-2081; Wondisfordら, (1988) Mol. Endocrinol. 2:32-39; Tratschinら, (1984) J. Virol. 51:611-619; およびFlotteら, (1993) J. Biol. Chem. (1993) 268:3781-3790を参照せよ)。レンチウイルス遺伝子治療ベクターも本発明における使用に適する。
【0060】
遺伝子治療の一般的な方法については当業界で公知である。例えば、Andersonら, 米国特許第5,399,346号を参照せよ(本明細書に参照により組み込むこととする)。遺伝物質を送達するための生体適合性のカプセルについてはBaetgeら, PCT公開 WO 95/05452に記載されている。遺伝子を造血細胞中に導入する方法も既に報告されている(Clapp, D.W.ら, Blood 78:1132-1139(1991); Anderson, Science 288:627-9(2000); およびCavazzana-Calvoら, Science 288:669-72(2000)を参照すればよく、これら全ては本明細書中に参照により組み込むこととする)。
【0061】
遺伝的LPL欠損はLPLタンパク質の特徴によって3つのカテゴリーに分類することができる。I型高トリグリセリド血症の患者ではLPLタンパク質量が非常に低いか全くみられない。II型の患者はプレヘパリンLPLタンパク質をわずかしか産生しないが、そのレベルはヘパリン治療後に増加する。III型では、循環血液中に多量のプレヘパリンタンパク質が存在し、そのレベルはヘパリンでのチャレンジ後もほとんど変化しない。この分類方式の有用性は限定的なものではあるが、これらの分類のうちの2つにまたがる複雑な異型接合体患者について、血漿中のLPLタンパク質の存在もしくは不在を明らかにすることは、どの患者がLPL S447X治療薬に対する免疫反応を生ずることなく遺伝子導入に最も寛容であるかを、免疫反応をおそらく最も生じやすいI型患者から免疫反応を最も生じにくいII型患者までの範囲で判定する上で重要であろう。
【0062】
実施例 1
遺伝子治療による LPL S447X タンパク質の投与
ヒトLPL欠損症のマウスモデルを遺伝子ターゲティング法でマウスLPL遺伝子を不活化して作った。同型接合(−/−)の仔の全てが、母乳摂取に起因する著しいカイロミクロン血症で生後48時間以内に死亡した。−/−のマウス仔をレスキューする試みとして、野生型ヒトLPL遺伝子(Ad-LPL)のみを含む組換えアデノウイルスを筋肉内送達したが、ヘパリン処理後血漿中のヒトLPL量の有意な増加はもたらさず、完全なLPL欠損症の致死性をレスキューしなかった。
【0063】
Ad-447遺伝子治療ベクターを新生仔に筋肉内送達したところ、ヘパリン処理後血漿中にてヒトLPL量が高いレベルで認められた。同腹の4仔のうち、2仔には出生日に4本の脚の4部位にAd-447(2×108 pfu, 100μLのPBS中)を注射した(25μL/部位)。2日後、ヘパリン1000u/kgを腹腔内に注射し、仔を断頭して屠殺し分析用に約10〜20μLのヘパリン処理後血漿を採取した。前脚の1本と後ろ脚の1本を取り、抽出バッファー中で100mg/mLでホモジナイズした。結果は表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0005095894
これらの結果は、アデノウイルスが媒介する遺伝子導入によるLPL S447X治療薬の筋肉内送達によって、ヘパリン処理後血漿中にてヒトLPL量の有意な増加がもたらされたことを示している。これらの結果は、本発明のLPL S447X治療薬を用いれば、野生型LPLと比べて、驚くべき有利な結果が得られることを示している。
【0065】
本発明の遺伝子治療用アデノウイルスベクターは例えば、Quantum Biotechnologies Inc.(Montreal, カナダケベック州)から入手できるAdeno-QuestTMキットを用いて作製することができる。このアプローチの1例として、CMV5プロモーターおよびエンハンサーならびにグロビンポリAを含んでいるシャトルプラスミドpQBI-AdCMV5中にcDNAをクローン化した。LPL cDNA(野生型およびS447X)をHindIIIおよびXbalで二重消化し、平滑端連結によりBamHI部位へ挿入した。ヒトLPL遺伝子はアデノウイルスゲノムの5'末端から下流へ1.5マップユニット(mu)のところに挿入されるが、それに続くAd5の9.4〜15.5muによって相同組換えが起こる。シャトルベクターおよびAd5ゲノムのClal消化したE3欠失断片の右端を、293細胞中にリン酸カルシウム沈殿法で同時トランスフェクトし、0.8%アガロースをDMEM/5% FBS中に含む液を重層した。プラーク精製した後、高度に発現されたクローンを選択し増幅させた。9日目と14日目にプラークをin vitroでLPL活性についてスクリーニングした。最も高いLPL活性を示した2個のクローンを選び、プラークの2度目の精製を行い、15cm径プレート上で293A細胞培養により増幅させた。高力価組換えウイルス(約3×1010 pfu/mL)の精製を2ラウンドのCsCl密度勾配超遠心により行った。精製したウイルスストックを、HEPES緩衝化生理食塩液(HBS, 20mM Hepes, 150mM NaCl, pH7.3)に10%のグリセロールを添加した液を4回交換して16〜18時間かけて透析し、−80℃に保管した。ウイルスストックの力価は293細胞を用いて上述のとおりプラークアッセイで測定した。力価を1mLあたりのプラーク形成単位数(pfu/mL)で計算したところ、それは1〜3×1010 pfu/mLであった。ラウリータンパク質アッセイによるウイルス調製物の定量では、Ad-LPLおよびAd-447調製物の全てでpfuあたり約50個の粒子を一貫して示した。
【0066】
実施例 2
CMVプロモーターの制御下にLPL S447X遺伝子を含んでいる血清型5型のアデノウイルスを開発し(実施例1に記載のAd-447)、その効果を野生型LPL含有アデノウイルスの効果と比較した。用いた動物モデルは+/−LPLノックアウトマウスモデルである(Colemanら, 1995, The Journal of Biological Chemistry 270[21] 12518-12525)。
【0067】
HepG2細胞で行った予備的なin vitro研究では、野生型LPL含有ウイルスと同程度の量のAd-447ウイルスについてLPL活性に関する用量-応答関係が示された。しかし、LPL免疫反応量には著しい差異が見られた。本質的に100%の細胞を感染させる量であるMOI 50でのAd-447処理細胞におけるLPL免疫反応量は、Ad-LPLのそれよりもざっと4倍多かった。
【0068】
Ad-447ウイルスの用量-応答関係を小集団のマウスで静注によって評価してみると、予期していなかった結果が得られた。LPL活性のレベルはウイルス量の2倍の増加(5×108、1×109、もしくは2×109 pfu/mL)に応答しなかった。活性レベルは5×108 pfuのAd-LPLの投与を受けたマウス集団で見られた値と同程度であった。しかし、これらのマウスで認められたLPLタンパク質のレベルは極めて高い値であった。7日目に活性が明らかに低下し始めているにも関わらず、免疫反応量は3種類の投与量の全てで約35〜40,000ng/mLのレベルに増加し続けた。7日目でのこのタンパク質の大多数はヘパリン処理前の血漿で認められたが、脂肪分解活性の変動が小さいことはその多くが不活性型であることを示した。約5000ng/mLがヘパリン処理後血漿でのみ見出された。70日間のタイムコースの間、Ad-447の投与を受けたマウスのLPL活性レベルはAd-LPLの活性レベルに近接したが、注射後 6から10週間の間にベースラインのレベルに戻った。しかし、LPL免疫反応性タンパク質のレベルはAd-LPLもしくはAd-447のどちらの投与を受けたマウスでも有意に上昇したがAd-447群のレベルは野生型Ad-LPL群よりもはるかに高いレベルを維持していた。トリグリセリドレベルはAd-447の3種の投与量の全てで5×108 pfuのAd-LPLと同様に有意に低下した。総コレステロールおよびHDLコレステロールは双方とも14日目まで有意に低下した。
【0069】
用量-応答関係を示すために、LPL+/−マウス(n=5/群)に5×107 もしくは5×108 pfuのAd-447またはAd-LPLのいずれかを投与した(5×107 pfuという投与量は約5×109個の粒子と等価である)。1マウスあたりAd-LPLまたはAd-447を5×108 pfuの投与量で、血漿中LPL活性が2.7倍という顕著な増加と、それに伴う遺伝子導入後5日目のLPLタンパク質レベルの顕著な増加が示された。対応するトリグリセリド、HDL-コレステロール、および総コレステロールのレベルも有意に低下した。この投与量で、野生型LPL cDNA含有アデノウイルスベクターとAd-447との間の唯一の顕著な差異は血漿中LPLタンパク質レベルで、Ad-447群では上昇していた。ヘパリン処理後のLPLタンパク質レベルは、ベースラインまたは対照マウスに対し両群で有意に上昇はしたが、そのレベルはAd-447群で依然として最も大きく上昇した(p<0.03)。低投与量でのみ認められた最も刺激的な差異はトリグリセリドおよびコレステロールの測定結果であった。遺伝子導入後3日目に、トリグリセリドレベルはAd-LPLおよびAd-447群の双方で有意に減少したが、このことはマウスの両群における導入されたLPLの有効性を示している。しかし、Ad-447群でのみHDLコレステロールおよび総コレステロールの双方の有意な増加が認められた(ベースラインもしくはAd-LPL処理と比較して、それぞれp<0.01およびp<0.03)。これらの変化量は、ベースラインレベルと比較すると、総コレステロールの増加の大部分はHDLコレステロール画分における増加であることを示している。これと同じ投与量のAd-LPL群では、総コレステロールおよびHDLコレステロールのわずかな減少が認められ、総コレステロールについてのみ有意差があった(p=0.04)。このことはヒトLPL S447X遺伝子のマウス体内へのアデノウイルス媒介型遺伝子導入後のHDLコレステロール含量の増加を示している。同様のHDLコレステロール画分の顕著な増加は7日目に観察され、14日目には解消した。
【0070】
実施例 3
この実施例はLPLの量と活性が虚血および狭心症の重篤度と関連していることを示すもので、これは本発明のS447X治療薬がLPLの量もしくは活性を上昇させることによってそのような病態を治療するために用いることができることを示している。
【0071】
この実施例では、ヘパリン処理後のLPL活性レベルおよび量を、REGRESS研究、すなわち脂質低下回復試験(Jukemaら, 1995, Circulation 91:2528-2540)に参加した大集団の男性のCHD患者で測定した。さらに、LPL活性および量と、NYHA分類による狭心症および24時間歩行可能(A)ECGモニタリングしている無症候性虚血の重篤度との関連を、評価した。その結果、LPL活性の四分位数および量が異なる患者はアンギナの重篤度も異なっていた。すなわち、LPL活性の四分位数が最も低いレベルの患者の47%は、クラス3もしくは4の狭心症であることが報告された。これに対して、活性の四分位数が最も高いレベルの患者の29%は重篤な狭心症を示した(p=0.002)。これらのパラメーターはAECGでの結果によって支持される。すなわちそのAECGの結果では、最も低いLPL活性四分位数での虚血性の合計負荷は36.5(104.1)mm.min.であったのに対して、最も高いLPL活性四分位数では14.8(38.8)mm.min.であった(p=0.001)。LPL活性レベルはLPL量と強く相関している(r=0.70; p<0.0001)。LPLタンパク質量とNYHAクラスとの間の有意な相関(p=0.012)も示された。これらの結果は、LPL量及び活性と、狭心症のクラスおよびAECGによって定義される虚血の重篤度との間の有意な関連性を示すものであり、そのことは効果的なLPL量もしくは活性を調節するLPL S447X治療薬が、虚血および狭心症の治療に用いることができることを示している。
【0072】
実施例 4
この実施例はLPL S447Xタンパク質が冠状動脈性心疾患に対する防御に関連することを示しており、それは本発明のLPL S447X治療薬をこの病態を治療するために用いることができることが示されている。Framingham Offspring Study(FOS)からのランダムな総計1114例の男性と1144例の女性についてLPL S447X遺伝子の存在を調べた。LPL S447Xアレルの保持頻度は17%で、男性では保持していることはより高い総コレステロールレベル(Δ=6.2 mg/dL、p=0.03)、より高いHDLコレステロールレベル(Δ=2.3 mg/dL、p=0.01)、およびより低いトリグリセリドレベル(Δ=19.4 mg/dL、p=0.02)と関連していた。さらに、男性ではLPL S447XアレルはCHDに対する有意な防御をもたらした(オッズ比:0.43; p=0.04)。
【0073】
実施例 5
この実施例ではLPL S447X治療薬の別のヒト疾患モデルにおける有用性を示している。用いた動物モデルは完全に欠損した(−/−)ApoEノックアウトマウスモデルである。CMVプロモーターの制御下にLPL S447X遺伝子を含有している血清型5型アデノウイルス(Ad-447ウイルス)の治療効果を、野生型LPL含有アデノウイルス(Ad-LPL)ならびに対照としてアルカリホスファターゼ(AP)含有アデノウイルス(Ad-Ap)の治療効果と比較した。
【0074】
尾静脈から5×108 pfuのAd-447、もしくは野生型Ad-LPLを静注すると、対照としてAd-APを注射されたマウスと比較して、ヘパリン処理後血漿において、血漿トリグリセリドレベルの大幅な減少ならびにLPL活性およびタンパク質量レベルの大幅な増加がもたらされ、このことはLPL活性もしくは量をモジュレートすることを必要とする別種の治療におけるLPL S447X治療薬の驚くべき有効性を示している。
【0075】
【表2】
Figure 0005095894
表2はApoE欠損マウスに対して5 x 108 pfuのAd-LPL、Ad-447、もしくは対照のアルカリホスファターゼを投与した3日後のLPLおよび脂質の測定値である。異型接合体LPL欠損マウスで得られたデータと同様に、Ad-LPLもしくはAd-447の投与を受けたマウスでは血漿トリグリセリドは低下し、一方LPL活性およびタンパク質量レベルは増加し、Ad-447の場合、トリグリセリドの相対的に大きな減少、LPL活性の増加、および非常に顕著なLPL量の増大が認められた。
【0076】
動物の疾病モデルにおいてLPL S447X治療薬の静脈内送達および筋肉内送達の効果をアッセイするための典型的なプロトコールは次のとおりである。CMVプロモーターの制御下にLPL S447X遺伝子を含有している血清型5型アデノウイルス(Ad-447)を、野生型LPL含有アデノウイルス(Ad-LPL)とその効果を比較することができる。動物モデルは+/−LPLノックアウトマウスモデルとすることができる(Colemanら, 1995, The Journal of Biological Chemistry 270[21], 12518-12525)。例えば総投与量5×108 pfuを滅菌生理食塩水で120μLに希釈しそれを4等分する。30μLの液量を各マウスの両脚の前脛骨筋および腓腹筋中に直接注射し、総投与量はマウス1匹あたり5×108 pfuとする。処理後3日目、および7日目に血液を採取し、筋肉に属するものは処理の14日後に組織分析のために単離することができる。
【0077】
結論
本発明の種々の実施形態を本明細書中に開示したが、多数の適用および修飾は当業者の一般的な知識を持ってすれば本発明の範囲内で行いうる。そのような修飾には、本発明と同じ結果を実質的に同じ方法で達成するための、本発明のいずれかの態様に対する既知の等価物での置換が含まれる。数値範囲はその範囲を定義している数字をも含むものである。明細書においては、「含んでいる(comprising)」という用語は、「含むが、限定されない(including, but not limited to)」という言回しと実質的に等価であるそれ以外のものを含んでよい意味の用語として用い、「含む(comprises)」という用語も同じ意味を有する。本明細書において参照文献を引用していることが、そのような参照文献が本発明の先行技術であることを認めているものと見なすべきではない。本明細書で引用した全ての刊行物(限定されるものではないが特許および特許出願を含む)は、明細書においてその全文が本明細書中に記載されているかのように参照により組み込まれることが具体的かつ個々に意図されるものとして、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、LPL S447Xの核酸配列のリストであり、本明細書において1〜446と称するアミノ酸を示す(配列番号1)。本図は、本明細書に参照により組み入れられる、ホモサピエンス(Homo sapiens)リポタンパク質リパーゼ前駆体のGenbankアクセッション番号NP_000228、バージョンNP_000228.1、GI:4557727から利用可能な情報を複製したものである(Wionら, Science 235(4796), 1638-1641 (1987);Sparkesら, Genomics 1 (2),138−144 (1987);Matteiら, Cytogenet. Cell Genet. 63(1), 45-46 (1933);Zechner, Curr. Opin. Lipidol. 8(2), 77-88 (1997);Fisherら, Atherosclerosis 135(2), 145-159 (1997);およびBeisiegel, Eur. Heart J. 19, A20-A23 (1998);Groenemeijerら, Circulation 1997, 95:2628-2635;Gagneら, Clin. Genet. 1999, 55(6):450-454)。
【図2】 図2は、成熟野生型LPLペプチドのアミノ酸配列のリストであり、本明細書において1〜448と称するアミノ酸を示す(配列番号2)。本図はGenbankアクセッション番号NP_000228から利用可能な情報を複製したものである。
【図3】 図3は、プレLPLペプチドのアミノ酸配列のリストであり、成熟LPLペプチド配列の前に、アミノ酸1〜27のシグナルペプチドを有するタンパク質を示す(配列番号3)。本図はGenbankアクセッション番号NP_000228から利用可能な情報を複製したものである。
【図4】 図4は、LPL mRNAの配列のリストであり、ここでシグナルペプチドはヌクレオチド175〜255によりコードされ、かつ成熟ペプチドはヌクレオチド256〜1599によりコードされる(配列番号4)。本図は、本明細書に参照により組み入れられる、ホモサピエンス(Homo sapiens)リポタンパク質リパーゼ(LPL)mRNAのGenbankアクセッション番号NM_000237、バージョンNM_000237.1、GI:4557726から利用可能な情報を複製したものである(Wionら, Science 235(4796), 1638-1641 (1987);Sparkesら, Genomics 1 (2),138−144 (1987);Matteiら, Cytogenet. Cell Genet. 63(1), 45-46 (1933);Zechner, Curr. Opin. Lipidol. 8(2), 77-88 (1997);Fisherら, Atherosclerosis 135(2), 145-159 (1997);およびBeisiegel, Eur. Heart J. 19, A20-A23 (1998))。
【配列表】
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Claims (15)

  1. LPL欠損またはApoE欠損を有する被験者においてトリグリセリドを低下させかつHDL-コレステロールを上昇させるための医薬組成物を製造するためのLPL S447X治療薬の使用であって、該LPL S447X治療薬が、
    a) 最適にアラインメントさせた時に配列番号3と少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ最適にアラインメントさせた時にLPL S447Xタンパク質が配列番号3のアミノ酸447および448に対応するアミノ酸を欠くLPL S447Xタンパク質であって、配列番号3の野生型LPLより大きいLPL活性を有するLPL S447Xタンパク質
    b) a)に記載のLPL S447Xタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む分離された核酸分子;および
    c) a)に記載のLPL S447Xタンパク質をコードするLPL S447X核酸
    からなる群から選択され、
    LPL S447X治療薬が、LPL欠損またはApoE欠損を有する被験者においてトリグリセリドを低下させかつHDL-コレステロールを上昇させるのに有効な量で用いられる、前記使用。
  2. LPL S447X治療薬がLPL S447X核酸であり、LPL S447X核酸が配列番号4の256から1599までのヌクレオチドと少なくとも90%配列同一性を有するRNAをコードするDNAコード配列を含んでなる、請求項1に記載のLPL S447X治療薬の使用。
  3. LPL S447X治療薬がLPL S447X核酸であり、LPL S447X核酸が配列番号4の256から1599までのヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAコード配列を含んでなる、請求項1に記載のLPL S447X治療薬の使用。
  4. LPL S447X治療薬がLPL S447Xタンパク質であり、該LPL S447Xタンパク質が配列番号1と少なくとも95%配列同一性のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のLPL S447X治療薬の使用。
  5. LPL S447X治療薬がLPL S447X核酸であり、医薬組成物が遺伝子治療ベクターを含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のLPL S447X治療薬の使用。
  6. 遺伝子治療ベクターがウイルスベクターを含んでなる、請求項5に記載のLPL S447X治療薬の使用。
  7. ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項6に記載のLPL S447X治療薬の使用。
  8. 被験者がヒトである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のLPL S447X治療薬の使用。
  9. a) 最適にアラインメントさせた時に配列番号3と少なくとも90%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ最適にアラインメントさせた時にLPL S447Xタンパク質が配列番号3のアミノ酸447および448に対応するアミノ酸を欠くLPL S447Xタンパク質であって、配列番号3の野生型LPLより大きいLPL活性を有するLPL S447Xタンパク質
    b) a)に記載のLPL S447Xタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む分離された核酸分子;および
    c) a)に記載のLPL S447Xタンパク質をコードするLPL S447X核酸
    からなる群から選択される少なくとも1つを含むLPL欠損またはApoE欠損を有する患者においてトリグリセリドを低下させかつHDL-コレステロールを上昇させるためのLPL S447X治療薬。
  10. LPL S447X治療薬がLPL S447X核酸を含み、LPL S447X核酸が配列番号4の256から1599までのヌクレオチドと少なくとも90%配列同一性を有するRNAをコードするDNAコード配列を含んでなる、請求項9に記載のLPL S447X治療薬。
  11. LPL S447X治療薬がLPL S447X核酸を含み、LPL S447X核酸が配列番号4の256から1599までのヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAコード配列を含んでなる、請求項9に記載のLPL S447X治療薬。
  12. LPL S447X治療薬がLPL S447Xタンパク質を含み、該LPL S447Xタンパク質が配列番号1と少なくとも95%配列同一性のアミノ酸配列を含む、請求項9に記載のLPL S447X治療薬。
  13. LPL S447X治療薬がLPL S447X核酸を含み、医薬組成物が遺伝子治療ベクターを含んでなる、請求項9〜11のいずれか1項に記載のLPL S447X治療薬。
  14. 遺伝子治療ベクターがウイルスベクターを含んでなる、請求項13に記載のLPL S447X治療薬。
  15. ウイルスベクターがアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項14に記載のLPL S447X治療薬。
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