JP5095416B2 - 抗perp遺伝子組換え抗体 - Google Patents

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Description

本発明は、可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP(p53 apoptosis effector related to PMP−22)遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体または該抗体断片、該遺伝子組換え抗体または該抗体断片を用いる癌の治療薬に関する。更に、本発明は該遺伝子組換え抗体をコードするDNA、該DNAを含んでなるベクター、該ベクターを形質転換して得られる形質転換体および該形質転換体を培養することを特徴とする抗体の製造方法に関する。
PERP(あるいはTHWまたはPIGPC1とも称される)の遺伝子配列は公知であり(特許文献1〜13)、該PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドは193アミノ酸からなる蛋白質で、一次配列から4回膜貫通蛋白であると推定されている。PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドはp53依存性アポトーシスに関わる蛋白質であることが知られている(非特許文献1)。さらにPERP遺伝子ノックアウトマウスより調製した胸腺細胞と神経細胞では、DNAダメージの際のアポトーシス誘導が部分的に阻害されることが示された(非特許文献2)。また、PERPは高転移性癌細胞においては発現が低下する遺伝子としても報告されている(非特許文献3)。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドに結合する抗体(以下、抗PERP抗体と表記する)としては、これまでに、PERP遺伝子産物のC末端細胞内の部分ペプチドまたは第一細胞外ループの部分ペプチドを免疫原として用いて作製されたポリクローナル抗体が知られている(非特許文献4、5)。これらのポリクローナル抗体はウェスタンブロッティングあるいは免疫組織染色に使用可能であることが示されている。これまでにPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体は知られていない。
一般にヒト以外の動物の抗体、例えばマウス抗体などをヒトに投与すると、異物として認識されることにより、ヒト体内にマウス抗体に対するヒト抗体 (Human Anti Mouse Antibody:HAMA) が誘導されることが知られている。HAMAは投与されたマウス抗体と反応し、副作用を引き起こしたり(非特許文献6〜9)、マウス抗体の体内からの消失を速め(非特許文献7、10、11)、マウス抗体の治療効果を減じてしまうことが知られている(非特許文献12、13)。
これらの問題点を解決するため、遺伝子組換え技術を利用してヒト以外の動物の抗体からヒト型キメラ抗体やヒト化抗体などの遺伝子組換え抗体の作製が試みられている。
ヒト型キメラ抗体やヒト化抗体は、マウス抗体などのヒト以外の動物の抗体と比較してヒトへの臨床応用上、様々な利点を有している。例えば、サルを用いた実験でマウス抗体に比べ免疫原性が低下し、血中半減期が延長したことが報告されている(非特許文献14、15)。すなわち、ヒト型キメラ抗体やヒト化抗体は、ヒト以外の動物の抗体に比べ、ヒトにおいて副作用が少なく、その治療効果が長期間持続することが期待される。
また、ヒト型キメラ抗体やヒト化抗体は、遺伝子組換え技術を利用して作製するため、様々な形態の分子として作製することができる。例えば、ヒト抗体の重鎖(以下、H鎖と表記する)定常領域(以下、C領域と表記する)(H鎖C領域を、CHと表記する)としてg1サブクラスを使用すれば、抗体依存性細胞傷害(以下、ADCCと表記する)活性などのエフェクター機能の高いヒト型キメラ抗体やヒト化抗体を作製することができ(非特許文献14)、かつ、マウス抗体に比べ血中半減期の延長が期待される(非特許文献15)。特にPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの発現細胞数を減少させる治療においては、抗体のFc領域(抗体H鎖のヒンジ領域以降の領域)を介した補体依存性細胞傷害活性(以下、CDC活性と表記する)やADCC活性等の細胞傷害活性の高さがその治療効果に重要であるために、ヒト型キメラ抗体やヒト化抗体はマウス抗体などのヒト以外の動物の抗体と比較して望ましい(非特許文献16、17)。
さらに、ヒト型キメラ抗体やヒト化抗体は、最近の蛋白質工学、遺伝子工学の進歩により、Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖抗体(以下、scFvと表記する)(非特許文献18)、2量体化V領域断片(以下、Diabodyと表記する)(非特許文献19)、ジスルフィド安定化V領域断片(以下、dsFvと表記する)(非特許文献20)、CDRを含むペプチド(非特許文献21)などの、分子量の小さい抗体断片としても作製でき、これらの抗体断片は、完全な抗体分子に比べ、標的組織への移行性に優れている(非特許文献22)。
以上の事実は、ヒトへの臨床応用に用いる抗体としては、マウス抗体などのヒト以外の動物の抗体よりもヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体または該抗体断片の方が望ましいことを示している。
抗体を含め、生体内に存在する多くの蛋白質は糖鎖により修飾されている。糖鎖は、アスパラギン残基に特異的に結合するN結合型糖鎖と、セリン残基やスレオニン残基に結合するO結合型糖鎖に分類される。特にN結合型糖鎖を有する糖蛋白質には該糖鎖が結合するための、3アミノ酸残基からなる、コンセンサス配列(アスパラギン−任意のアミノ酸−セリンまたはスレオニン)が存在する(非特許文献23)。但し、全てのコンセンサス配列にN結合型糖鎖が結合するわけではない。たとえば、成熟型ヒトTNF−α受容体IIでは、2ヵ所のN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列うち、1ヵ所は100%N結合型糖鎖が結合しているが、もう1ヵ所には50%程度の確率でしかN結合型糖鎖は結合しない(非特許文献24)。同様の現象がウシDNaseIでも確認されており、さらに遺伝子組換え体生産のための宿主細胞が変わると糖鎖結合のパターンが大きく変化し、同一のアミノ酸配列でも蛋白質発現の環境によりその糖鎖付加の状態は一定ではない(非特許文献25)。
通常IgG型のヒト抗体には、その定常領域に1ヵ所のN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有している。しかし、可変領域中にもN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有している抗体は、糖鎖の結合が変化し、医薬品として均一な抗体の安定供給が困難となる。さらに、糖鎖は蛋白質同士の結合に必須である場合もあり、例えばLFA−3(lymphocyte function−associated antigen 3)ではCD2との結合にN結合型糖鎖が必要であると報告されており、抗体の結合部位である可変領域に糖鎖が結合することにより、抗体の抗原への結合性が変化してしまう可能性が考えられる(非特許文献26)。
WO98/55508 WO99/54461 WO00/55350 WO01/22920 WO01/66719 WO00/61612
WO02/00174 WO02/47534 US2003−0064947 US2003−0065157 WO00/55629 WO02/60317 US2002−0119463
Genes & Development 14,704(2000) Curr.Biol.,13,1985(2003) Anticancer Research 20,2801(2000)
Pro Sci社ホームページ、[on line]、[平成16年3月31日検索]、インターネット<http://www.prosci−inc.com/Antibody−TDS/2451%20PERP.html> Novus Biologicals社ホームページ、[on line]、[平成16年3月31日検索]、インターネット<http://www.novus−biologicals.com/print_data_sheet.php/4400> J.Clin.Oncol.,2,881(1984) Blood,65,1349(1985)
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Cancer Res.,56,1118(1996) Immunol.,85,668(1995) J.Immunol.,144,1382(1990) Nature,322,323(1988) Science,242,423(1988) Nature Biotechnol.,15,629(1997) Molecular Immunol.,32,249(1995)
J.Biol.Chem.,271,2966(1996) Cancer Res.,52,3402(1992) Biochem.J.,195,639(1981) Biochemistry,32,3131(1993) Biochem.J.,355,245 (2001) Trends in Glycoscience and Glycotechnology,11,1 (1991)
医薬品として均一な抗体を安定に供給するためには、アミノ酸置換等でN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を改変する必要がある。しかしながら、相補性決定領域は抗体の抗原への結合性に直接寄与している領域であるため、抗原への結合性を保持したままアミノ酸改変を行うことは容易ではない。本発明の課題は、可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する、遺伝子組換え抗体または抗体断片、該遺伝子組換え抗体または該抗体断片を用いる癌の治療薬、該遺伝子組換え抗体または該抗体断片をコードするDNA、該DNAを含んでなるベクター、該ベクターを形質転換して得られる形質転換体または該形質転換体を培養することを含む抗体の製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(31)に関する。
(1) 抗体の可変領域(以下、V領域と記す)N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(2) 抗体の重鎖可変領域(以下、VHと記す)および軽鎖可変領域(以下、VLと記す)の全ての相補性決定領域(Complementarity Determining Region;以下、CDRと記す)にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(3) 抗体のVHのCDR1およびCDR3が、それぞれ配列番号3および5で示されるアミノ酸配列を含む、(1)または(2)記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(4) 抗体のVLのCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む、(1)または(2)記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(5) 抗体のVHのCDR1およびCDR3が、それぞれ配列番号3および5で示されるアミノ酸配列を含み、かつ、抗体のVLのCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む、(1)または記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(6) 抗体のVHのCDR2が、配列番号45で示されるアミノ酸配列の9番目のAsnを他のアミノ酸残基に置換する改変および11番目のSerを他のアミノ酸残基に置換する改変のうち、少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(7) 配列番号45で示されるアミノ酸配列の9番目のAsnを他のアミノ酸残基に置換する改変が、9番目のAsnを極性側鎖を有するアミノ酸残基に置換する改変である、(6)に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(8) 極性側鎖を有するアミノ酸残基がTyrまたはSerである、(7)に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(9) 配列番号45で示されるアミノ酸配列の9番目のAsnを他のアミノ酸残基に置換する改変が、9番目のAsnをGlyに置換する改変である、(6)に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(10) 配列番号45で示されるアミノ酸配列の11番目のSerを他のアミノ酸残基に置換する改変が、11番目のSerを非極性側鎖を有するアミノ酸残基に置換する改変である、(4)〜(9)のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(11) 非極性側鎖を有するアミノ酸残基がAlaである、(10)に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(12) 抗体のVHのCDR2が、配列番号4および6〜10のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む、(1)〜(11)のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(13) 遺伝子組換え抗体が、ヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体から選ばれる、(1)〜(12)のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(14) ヒト型キメラ抗体のVHが、配列番号14〜19のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む、(13)に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
(15) ヒト型キメラ抗体のVLが配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む、(13)に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
(16) ヒト型キメラ抗体のVHが、配列番号14〜19のいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含み、かつ、VLが配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む、(13)に記載のヒト型キメラ抗体または抗体断片。
(17) ヒト化抗体のVHが、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列または配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列の27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含む、(13)に記載のヒト化抗体または抗体断片。
(18) ヒト化抗体のVLが、配列番号36で示されるアミノ酸配列または配列番号36で示されるアミノ酸配列の3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含む、(13)に記載のヒト化抗体または抗体断片。
(19) ヒト化抗体のVHが、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列または配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列の27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含み、かつ、
ヒト化抗体のVLが、配列番号36で示されるアミノ酸配列または配列番号36で示されるアミノ酸配列の3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含む、(13)に記載のヒト化抗体または抗体断片。
(20) ヒト化抗体のVHが、配列番号51〜56のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、(13)に記載のヒト化抗体または抗体断片。
(21) ヒト化抗体のVLが、配列番号58〜63のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、(13)に記載のヒト化抗体または抗体断片。
(22) ヒト化抗体のVHが、配列番号51〜56のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含み、かつヒト化抗体のVLが、配列番号58〜63のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む、(13)に記載のヒト化抗体または抗体断片。
(23) ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)から生産されるモノクローナル抗体が認識するエピトープに結合する、(1)〜(22)のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(24) 抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)およびCDRを含むペプチドから選ばれる抗体断片である(1)〜(23)のいずれか1項に記載の抗体断片。
(25) 該立体構造が、配列番号2で示されるアミノ酸配列の40番目のAsp、62番目のGluおよび63番目のGluを少なくとも含む立体構造である、(1)〜(24)のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
(26) (1)〜(25)のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片をコードするDNA。
(27) (26)に記載のDNAを含有する組換え体ベクター。
(28) (27)に記載の組換え体ベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換株。
(29) (28)に記載の形質転換株を培地に培養し、培養物中に(1)〜(25)のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を生成蓄積させ、培養物から該抗体または該抗体断片を採取することを特徴とする(1)〜(25)のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片の製造方法。
(30) (1)〜(25)のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片を有効成分として含有するPERP遺伝子が関与する疾患の治療剤。
(31) PERP遺伝子が関与する疾患が癌である、(30)に記載の治療剤。
本発明によると、V領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する、遺伝子組換え抗体または抗体断片、該遺伝子組換え抗体または該抗体断片を用いる癌の治療薬、該遺伝子組換え抗体または該抗体断片をコードするDNA、該DNAを含んでなるベクター、該ベクターを形質転換して得られる形質転換体または該形質転換体を培養することを含む抗体の製造方法が提供される。
図1に、プラスミドpKANTEX3411CDRv1〜v6の造成工程を示す。 図2に、精製した抗PERPCDR改変抗体のSDS−PAGE(5〜20%グラジェントゲルを使用)の電気泳動パターンを示す。Aは還元条件、Bは非還元条件での結果をそれぞれ示す。A、B共に、レーン1と9が分子量マーカー、2が抗PERPキメラ抗体KM3481、3〜8が左から順に抗PERPCDR改変抗体ver.1〜ver.6の泳動パターンをそれぞれ示す。 図3に、フローサイトメトリーでの各抗体の反応性を示す。図の縦軸は平均蛍光強度を、横軸は抗体濃度をそれぞれ示す。図中、◇は抗PERPキメラ抗体KM3481を、■は抗PERPCDR改変抗体ver.1を、▲は抗PERPCDR改変抗体ver.2を、◆は抗PERPCDR改変抗体ver.3を、●は抗PERPCDR改変抗体ver.4を、□は抗PERPCDR改変抗体ver.5を、△は抗PERPCDR改変抗体ver.6を、○は陰性対照である抗CCR4キメラ抗体をそれぞれ示す。 図4に、各抗体のADCC活性を示す。各図の縦軸は細胞傷害活性(%)を、横軸は抗体濃度をそれぞれ示す。図中、◇は抗PERPキメラ抗体KM3481を、■は抗PERPCDR改変抗体ver.1を、▲は抗PERPCDR改変抗体ver.2を、◆は抗PERPCDR改変抗体ver.3を、●は抗PERPCDR改変抗体ver.4を、□は抗PERPCDR改変抗体ver.5を、△は抗PERPCDR改変抗体ver.6をそれぞれ示す。 図5に、PERP遺伝子導入細胞のクローン毎のPERP発現を、抗Myc抗体を用いたウェスタンブロッティングにより調べた結果を示す。図中のクローンナンバーは、4種のPERP/CHO細胞の各クローンを示す。Negaは、遺伝子を導入していないCHO/DG44細胞を示す。図中の矢印は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチド鎖の分子量である約25kDaを示す。 図6に、FMATでのKM3411の反応性を示す。グラフは縦軸に蛍光強度と細胞数の積算値を示す。 図7に、フローサイトメトリーでのKM3411の反応性を示す。各図の縦軸は細胞数を、横軸は蛍光強度をそれぞれ示す。 図8に、プラスミドpKM3411VH9とpKM3411VL11の造成工程を示す。 図9に、プラスミドpKANTEX3411の造成工程を示す。 図10に、精製した抗PERPキメラ抗体のSDS−PAGE(5〜20%グラジェントゲルを使用)の電気泳動パターンを示す。左側が非還元条件、右側が還元条件でそれぞれ電気泳動を行った結果である。レーン1と6が分子量マーカー、2と4が抗PERPマウス抗体KM3411、3と5が抗PERPキメラ抗体KM3481の泳動パターンをそれぞれ示す。 図11に、抗PERPヒト化抗体作製の工程を示す。 図12に、フローサイトメトリーでの、作製した抗PERPヒト化抗体の、hPERP発現細胞CHO/hPERP(KC1359)に対する反応性を示す。各図の縦軸は細胞数を、横軸は蛍光強度をそれぞれ示す。Aは、単にCDRをヒトフレームワークに挿入したヒト化抗体および、H鎖あるいはL鎖のみアミノ酸改変を加えたヒト化抗体の反応性を示す。Bは、アミノ酸改変残基数を減らしたヒト化抗体の反応性を示す。 図13に、フローサイトメトリーでの、作製した抗PERPヒト化抗体の、hPERP発現細胞CHO/hPERP(KC1359)に対する反応性を示す。各図の縦軸は細胞数を、横軸は蛍光強度をそれぞれ示す。A,B,Cでは、アミノ酸改変残基の最適化を行った抗PERPヒト化抗体の反応性を示す。 図14に、フローサイトメトリーでの、作製した抗PERPヒト化抗体の、hPERP発現細胞ヒト肺癌細胞株PC−9に対する反応性を示す。各図の縦軸は細胞数を、横軸は蛍光強度をそれぞれ示す。A,B,Cでは、アミノ酸改変残基の最適化を行った抗PERPヒト化抗体の反応性を示す。 図15に、作製した各抗PERPヒト化抗体のヒト肺癌細胞株PC−9に対するADCC活性を示す。縦軸は細胞傷害活性(%)を、横軸は抗体濃度をそれぞれ示す。 図16に、作製した各抗PERPヒト化抗体のヒト膵癌細胞株BxPC−3に対するADCC活性を示す。縦軸は細胞傷害活性(%)を、横軸は抗体濃度をそれぞれ示す。 図17に、作製した各抗PERPヒト化抗体のhPERP発現CHO細胞CHO/hPERP(KC9033)に対するヒト肺癌細胞株PC−9に対するADCC活性を示す。各図の縦軸は細胞傷害活性(%)を、横軸は抗体濃度をそれぞれ示す。 図18に、N型糖鎖の結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト型キメラ抗体KM3821の、エピトープ解析の結果に基づく変異PERPの模式的な図を示した。 図19に、フローサイトメトリーでのPERPの細胞外領域を認識する抗体を用いた、各変異PERPに対する反応性を示した。グラフ中の数値は、KM3821の反応性である。KM3821の反応性は、KM3821のhPERPに対する反応性を100%とした時の、各変異PERPあるいはサルPERPに対する反応性(%)で示した。 図20に、フローサイトメトリーでの、各変異PERP発現細胞に対するKM3821の反応性から明らかになったエピトープを、模式的に示した。
本発明は、V領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する、遺伝子組換え抗体または該抗体断片に関する。
PERP遺伝子としては、配列番号1で示される塩基配列があげられる。上記の塩基配列において1以上の塩基が欠失、置換、挿入または付加された塩基配列を含む遺伝子、配列番号1で示される塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有する塩基配列、好ましくは80%以上の相同性を有する塩基配列、さらに好ましくは90%以上の相同性を有する塩基配列、最も好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列を含む遺伝子、ならびに配列番号1で示される塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを含む遺伝子なども本発明のPERP遺伝子に包含される。
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとは、配列番号1で示される塩基配列を有するDNAをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、サザンブロット・ハイブリダイゼーション法、DNAマイクロアレイ法などにより得られるハイブリダイズ可能なDNAを意味し、具体的には、ハイブリダイズしたコロニーまたはプラーク由来のDNA、もしくは該配列を有するPCR産物もしくはオリゴDNAを固定化したフィルターまたはスライドガラスを用いて、0.7〜1mol/Lの塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターもしくはスライドグラスを洗浄することにより同定できるDNAをあげることができる。ハイブリダイゼーションは、[Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,1987−1997)、DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition(Oxford University,1995)]などに記載されている方法に準じて行うことができる。ハイブリダイズ可能なDNAとしては、配列番号1で示される塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するDNA、好ましくは80%以上の相同性を有するDNA、さらに好ましくは90%以上の相同性を有するDNA、よりさらに好ましくは95%以上の相同性を有するDNA、最も好ましくは99%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。
真核生物の蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列には、しばしば遺伝子の多型が認められる。本発明において用いられる遺伝子に、このような多型によって塩基配列に小規模な変異を生じた遺伝子も、本発明のPERP遺伝子に包含される。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドとしては、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、配列番号2で示されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入または付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、ならびに配列番号2で示されるアミノ酸配列と60%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、好ましくは80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、さらに好ましくは90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、特に好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、最も好ましくは99%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドなどがあげられる。
配列番号2で示されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入または付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドは、[Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons,1987−1997)、Nucleic Acids Research,10,6487(1982)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,6409(1982)、Gene,34,315(1985)、Nucleic Acids Research,13,4431(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,488(1985)]などに記載の部位特異的変異導入法を用いて、例えば配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAに部位特異的変異を導入することにより得ることができる。欠失、置換、挿入または付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、好ましくは1個〜数十個、例えば、1〜20個、より好ましくは1個〜数個、例えば、1〜5個のアミノ酸である。
本発明に記載される相同性の数値は、特に明示した場合を除き、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であってよいが、塩基配列については、BLAST〔J.Mol.Biol.,215,403(1990)〕においてデフォルトのパラメータを用いて算出される数値など、アミノ酸配列については、BLAST2〔Nucleic Acids Res.,25,3389(1997);Genome Res.,7,649(1997);http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Education/BLASTinfo/information3.html〕においてデフォルトのパラメータを用いて算出される数値などがあげられる。
デフォルトのパラメータとしては、G(Cost to open gap)が塩基配列の場合は5、アミノ酸配列の場合は11、−E(Cost to extend gap)が塩基配列の場合は2、アミノ酸配列の場合は1、−q (Penalty for nucleotide mismatch)が−3、−r(reward for nucleotide match)が−e(expect value)が10、−W(wordsize)が塩基配列の場合は11残基、アミノ酸配列の場合は3残基、−y(Dropoff(X)for blast extensions in bits)がblastn の場合は20、blastn以外のプログラムでは7、−X(X dropoff value for gapped alignment in bits)が15および−Z(final X dropoff value for gapped alignment in bits)がblastnの場合は50、blastn以外のプログラムでは25である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/html/blastcgihelp.html)。
配列番号2で示されるアミノ酸配列の部分配列を含むポリペプチドは、当業者に公知の方法によって作製することができ、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列をコードするDNAの一部を欠失させ、これを含む発現ベクターを導入した形質転換体を培養することにより作製することができる。また、こうして作製されるポリペプチドまたはDNAに基づいて、上記と同様の方法により、配列番号2で示されるアミノ酸配列の部分配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入または付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを得ることができる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域とは、例えば配列番号2で示される該ポリペプチドのアミノ酸配列を公知の膜貫通領域予測プログラムSOSUI(http://sosui.proteome.bio.tuat.ac.jp/sosuiframe0.html)または予測プログラムTMHMM ver.2(http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM−2.0/)などを用いて予測された領域があげられる。
具体的には、SOSUIを用いた場合には配列番号2で示されるアミノ酸配列の35〜75番目および130〜154番目に相当する領域が、TMHMM ver.2を用いた場合には配列番号2で示されるアミノ酸配列の36〜76番目および129〜147番目に相当する領域が細胞外領域としてあげられる。このとき、予測に用いられるパラメータはこれらの予測プログラムにデフォルトの値が用いられる。
また、本発明におけるPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域としては、文献[Genes & Development,14,704(2000)]で予測される細胞外ドメインの33〜75番目および129〜150番目に相当する領域であってもよい。
本発明の遺伝子組換え抗体または抗体断片は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの天然型の立体構造を認識し、かつ該ポリペプチドの細胞外領域に安定的に結合することができる。細胞外領域としては、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域のループ1およびループ2があげられる。細胞外領域としては、少なくとも細胞外領域のループ1の40番目のAspを含む領域があげられ、例えば配列番号2で表されるアミノ酸配列の40番目のAsp,62番目のGluおよび63番目のGluを少なくとも含む立体構造があげられる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの天然型の立体構造としては、配列番号1で示される塩基配列を有するPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが天然状態でとりうる立体構造と同等の立体構造を有していればいずれでもよい。
本発明の遺伝子組換え抗体が結合することを確認する方法としては、例えば、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現した細胞に対する公知の免疫学的検出法が用いられ、蛍光細胞染色法などの特定の抗原が発現した細胞と特定抗原に対する抗体の結合性を確認する方法が好適に用いられる。具体的には、参考例1(2)−4に記載の蛍光抗体染色法があげられる。また、公知の免疫学的検出法[Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]などを組み合わせて確認することもできる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現した細胞としては、ヒト体内に天然に存在する細胞、ヒト体内に天然に存在する細胞から樹立された細胞株または遺伝子組換え技術により得られた細胞などがあげられる。
ヒト体内に天然に存在する細胞としては、癌患者体内において該ポリペプチドが発現している細胞があげられ、例えば、バイオプシーなどで得られた腫瘍細胞のうちで該ポリペプチドが発現している細胞があげられる。
ヒト体内に天然に存在する細胞から樹立された細胞株としては、上記の癌患者から得られた該ポリペプチドが発現している細胞を株化して得られた細胞株のうち、該ポリペプチドが発現している細胞株があげられ、例えば、ヒトから樹立された細胞株である膵癌細胞株Capan−2(ATCC HTB−80)またはBxPC−3(ATCC CRL−1687)、大腸癌細胞株Colo205(ATCC CCL−222)、HT29(ATCC HTB−38)またはWiDr(ATCC CCL−218)、肺癌細胞株NCI−H128(ATCC HTB−120)またはNCI−H69(ATCC HTB−119)、乳癌細胞株MCF7(ATCC HTB−22)または子宮癌細胞株MCAS(JCRB 0240)などがあげられる。
遺伝子組換え技術により得られた細胞としては、具体的には、該ポリペプチドをコードするcDNAを含む発現ベクターを昆虫細胞または動物細胞などに導入することにより得られる、該ポリペプチドが発現した細胞などがあげられ、具体的には、参考例1に記載のPERP遺伝子発現プラスミドpcPERPmHを導入し、該ポリペプチドが発現した細胞などがあげられる。
本発明のV領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない遺伝子組換え抗体としては、V領域の全てのCDRにN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、遺伝子組換え抗体があげられ、具体的には、抗体のVHのCDR1およびCDR3が、それぞれ配列番号3および5で示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLのCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む、遺伝子組換え抗体があげられる。
上記の抗体のVHのCDR1およびCDR3が、それぞれ配列番号3および5で示されるアミノ酸配列を含む、遺伝子組換え抗体において、抗体のVHのCDR2としては、N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗体のVHのCDR2であって、かつ、該CDR2を有する遺伝子組換え抗体が、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合することができれば特に限定されないが、例えば、配列番号45で示されるアミノ酸配列の9番目のAsnを他のアミノ酸残基に置換する改変および11番目のSerを他のアミノ酸残基に置換する改変のうち、少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含む、CDR2があげられる。配列番号45で示されるアミノ酸配列の9番目のAsnを他のアミノ酸残基に置換する改変としては、例えば、9番目のAsnを極性側鎖を有するアミノ酸残基に置換する改変があげられる。極性側鎖を有するアミノ酸残基としては、具体的には、Glu、His、Lys、Tyr、Arg、Cys、ThrおよびSerなどがあげられる。他に、配列番号45で示されるアミノ酸配列の9番目のAsnを他のアミノ酸残基に置換する改変としては、Glyに置換する改変があげられる。配列番号45で示されるアミノ酸配列の11番目のSerを他のアミノ酸残基に置換する改変としては、例えば、11番目のSerを、非極性側鎖を有するアミノ酸残基に置換するアミノ酸残基に置換する改変があげられる。非極性側鎖を有するアミノ酸残基としては、Trp、Ile、Phe、Leu、Met、Val、Pro、AlaおよびGlyなどがあげられる。上記の抗体のVHのCDR2としては、具体的には、配列番号4、6〜10のいずれか1つのアミノ酸配列を含むCDR2などがあげられる。
本発明の遺伝子組換え抗体の具体例としては、抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号3、配列番号4および6〜10のいずれか1つおよび配列番号5でそれぞれ示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む遺伝子組換え抗体があげられる。 具体的には、
抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号3、4および5でそれぞれ示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む遺伝子組換え抗体、
抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号3、6および5でそれぞれ示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む遺伝子組換え抗体、
抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号3、7および5でそれぞれ示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む遺伝子組換え抗体、
抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号3、8および5でそれぞれ示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む遺伝子組換え抗体、
抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号3、9および5でそれぞれ示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む遺伝子組換え抗体、および
抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号3、10および5でそれぞれ示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む遺伝子組換え抗体、
などがあげられるが、抗体のVHのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号3、8および5でそれぞれ示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLのCDR1、CDR2およびCDR3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む遺伝子組換え抗体が好ましい。
本発明の遺伝子組換え抗体としては、ヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体または抗体断片など、遺伝子組換えにより製造される抗体を包含する。遺伝子組換え抗体において、モノクローナル抗体の特徴を有し、抗原性が低く、血中半減期が延長されたものは、治療薬として好ましい。
ヒト型キメラ抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLとヒト抗体のCHおよび軽鎖定常領域(以下、CLと表記する)とからなる抗体をいう。
本発明のヒト型キメラ抗体は、以下のようにして作製することができる。まず、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマより、VHおよびVLをコードするcDNAを取得し、その配列を鋳型として変異導入プライマーを用いてPCRを行うことにより、N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さないVHおよびVLをコードするcDNAを作製する。作製したcDNAを、ヒト抗体のCHおよびCLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させることにより、ヒト型キメラ抗体を製造することができる。
ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒトイムノグロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型キメラ抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
本発明のヒト型キメラ抗体としては、具体的には、抗体のVHが配列番号14〜19のいずれか1つで示されるアミノ酸配列および/または抗体のVLが配列番号20で示されるアミノ酸配列を含むヒト型キメラ抗体などがあげられる。
ヒト化抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体のVHおよびVLの適切な位置に移植した抗体をいい、CDR移植抗体、再構成抗体(reshaped−antibody)などともいう。
本発明のヒト化抗体は、以下のように作製することができる。まず、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するヒト以外の動物のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから産生されるヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列から、N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さないVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列を設計し、設計したVHおよびVLのCDRを任意のヒト抗体のVHおよびVLのFRに移植した可変領域をコードするcDNAを作製する。作製したcDNAを、ヒト抗体のCHおよびCLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト化抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させることにより、ヒト化抗体を製造することができる。
ヒト抗体のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列は、ヒト抗体由来のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列であれば、いかなるものでも用いることができる。例えば、Protein Data Bankなどのデータベースに登録されているヒト抗体のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列、またはSequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)などに記載の、ヒト抗体のVHおよびVLのFRの各サブグループの共通アミノ酸配列などが用いられる。
ヒト化抗体のCHとしては、hIgに属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト化抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
本発明のヒト化抗体としては、具体的には、抗体のVHが配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列、または配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の27番目のGly、30番目のSer、41番目のPro、44番目のLys、45番目のGly、49番目のIle、72番目のVal、および97番目のAlaから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列および/または抗体のVLが配列番号36で示されるアミノ酸配列、または配列番号36で示されるアミノ酸配列中の3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、69番目のAsp、70番目のPhe、71番目のThr、および77番目のLeuから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列をそれぞれ含むヒト化抗体などがあげられる。
抗体のVHは配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の27番目のGly、30番目のSer、41番目のPro、44番目のLys、45番目のGly、49番目のIle、72番目のVal、および97番目のAlaのうち少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列としては、導入される改変の数に特に制限はないが、好ましくは抗体のVHが配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の27番目のGly、41番目のPro、49番目のIle、72番目のVal、および97番目のAlaが、さらに好ましくは27番目のGly、72番目のVal、および97番目のAlaが他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含むヒト化抗体などがあげられる。
抗体のVHにおいて、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の27番目のGly、30番目のSer、41番目のPro、44番目のLys、45番目のGly、49番目のIle、72番目のVal、および97番目のAlaから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列としては、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列があげられる。
8つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列があげられる。
7つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の
30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、および
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
6つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の
27番目のGlyをPheに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、41番目のProをPheに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、44番目のLysをAsnに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、および
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
5つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の
27番目のGlyをPheに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、41番目のProをPheに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、41番目のProをPheに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、44番目のLysをAsnに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、44番目のLysをAsnに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、44番目のLysをAsnに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、および
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
4つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の、
27番目のGlyをPheに、41番目のProをPheに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、44番目のLysをAsnに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、44番目のLysをAsnに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、45番目のGlyをArgに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、および
41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、および49番目のIleをMetに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
3つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の
27番目のGlyをPheに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、および
27番目のGlyをPheに、41番目のProをPheに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
2つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の
72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列、および
27番目のGlyをPheに、および30番目のSerをThrに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
1つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号30〜35のいずれか1つで示されるアミノ酸配列中の
27番目のGlyをPheに置換したアミノ酸配列、
30番目のSerをThrに置換したアミノ酸配列、
41番目のProをPheに置換したアミノ酸配列、
44番目のLysをAsnに置換したアミノ酸配列、
45番目のGlyをArgに置換したアミノ酸配列、
49番目のIleをMetに置換したアミノ酸配列、
72番目のValをArgに置換したアミノ酸配列、および
97番目のAlaをThrに置換したアミノ酸配列
があげられる。
抗体のVLにおいて、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、71番目のThrおよび77番目のLeuから選ばれる少なくとも一つのアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列としては、導入される改変の数は、特に制限はないが、好ましくは3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuが、さらに好ましくは46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuが、最も好ましくは46番目のLeu、および70番目のPheが置換されたアミノ酸配列があげられる。
抗体のVLにおいて、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、69番目のAsp、70番目のPhe、71番目のThr、および77番目のLeuから選ばれる少なくとも1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列としては、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列があげられる。
9つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列などがあげられる。
8つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の
5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、および71番目のThrをSerに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
7つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列などがあげられる。
6つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、および
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
5つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の
3番目のGlnをValに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、35番目のTyrをPheに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
5番目のThrをIleに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、および
42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、および71番目のThrをSerに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
4つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の
3番目のGlnをValに、35番目のTyrをPheに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
5番目のThrをIleに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
35番目のTyrをPheに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、および
5番目のThrをIleに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
3つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の
3番目のGlnをValに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
5番目のThrをIleに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、および46番目のLeuをTrpに置換したアミノ酸配列、および
42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列などがあげられる。
2つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の
46番目のLeuをTrpに、および70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
3番目のGlnをValに、および5番目のThrをIleに置換したアミノ酸配列、および
70番目のPheをTyr、および77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
1つの改変が導入されたアミノ酸配列としては、具体的には、配列番号36で示されるアミノ酸配列中の
3番目のGlnをValに置換したアミノ酸配列、
5番目のThrをIleに置換したアミノ酸配列、
35番目のTyrをPheに置換したアミノ酸配列、
42番目のAlaをSerに置換したアミノ酸配列、
46番目のLeuをTrpに置換したアミノ酸配列、
69番目のAspをSerに置換したアミノ酸配列、
70番目のPheをTyrに置換したアミノ酸配列、
71番目のThrをSerに置換したアミノ酸配列、および
77番目のLeuをMetに置換したアミノ酸配列、
などがあげられる。
本発明のヒト化抗体のVHとしては、具体的には配列番号51〜56に表されるいずれかのアミノ酸配列があげられるが、好ましくは、配列番号51、53、55および56に表されるいずれかのアミノ酸配列があげられ、よりこの好ましくは配列番号53で表されるアミノ酸があげられる。
本発明のヒト化抗体のVLとしては、具体的には配列番号58〜63に表されるいずれかのアミノ酸配列があげられるが、好ましくは、配列番号58、59、60、62および63に表されるいずれかのアミノ酸配列があげられ、より好ましくは配列番号62で表されるアミノ酸配列があげられる。
本発明のヒト化抗体としては、上述のアミノ酸配列を有するVHおよびVLからなるヒト化抗体があげられるが、具体的には、
VHが配列番号53、VLが配列番号59に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号53、VLが配列番号60に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号55、VLが配列番号62に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号51、VLが配列番号58に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号53、VLが配列番号58に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号53、VLが配列番号63に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号56、VLが配列番号62に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号53、VLが配列番号62に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体
があげられる。より好ましくは、
VHが配列番号55、VLが配列番号62に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号51、VLが配列番号58に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号53、VLが配列番号58に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号53、VLが配列番号63に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号56、VLが配列番号62に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
VHが配列番号53、VLが配列番号62に表されるアミノ酸配列を有するヒト化抗体、
などがあげられる。
また、本発明の遺伝子組換え抗体としては、ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)から生産されるモノクローナル抗体が認識するエピトープに結合する遺伝子組換え抗体も包含される。
本発明の抗体断片としては、Fab、F(ab’)、Fab’、scFv、diabody、dsFvおよびCDRを含むペプチドなどがあげられる。
Fabは、IgGを蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち(H鎖の224番目のアミノ酸残基で切断される)、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体がジスルフィド結合で結合した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のFabは、本発明の可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、該抗体のFabをコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
F(ab’)は、IgGのヒンジ領域の2個のジスルフィド結合の下部を酵素ペプシンで分解して得られた、2つのFab領域がヒンジ部分で結合して構成された、分子量約10万の抗原結合活性を有するフラグメントである。
本発明のF(ab’)は、下記のFab’をチオエーテル結合あるいはジスルフィド結合させ、作製することができる。
Fab’は、上記F(ab’)のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のFab’は、本発明の可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、該抗体のFab’断片をコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
scFvは、1本のVHと1本のVLとを適当なペプチドリンカー(以下、Pと表記する)を用いて連結した、VH−P−VLないしはVL−P−VHポリペプチドで、抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のscFvは、本発明の可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、scFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
diabodyは、scFvが二量体化した抗体断片で、二価の抗原結合活性を有する抗体断片である。二価の抗原結合活性は、同一であることもできるし、一方を異なる抗原結合活性とすることもできる。
本発明のdiabodyは、scFvをコードするDNAをPのアミノ酸配列の長さが8残基以下となるように構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
dsFvは、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換したポリペプチドを該システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させたものをいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基はReiterらにより示された方法〔Protein Engineering,7,697(1994)〕に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。
本発明のdsFvは、本発明の可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、dsFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
CDRを含むペプチドは、VHまたはVLのCDRの少なくとも1領域以上を含んで構成される。複数のCDRを含むペプチドは、直接または適当なペプチドリンカーを介して結合させることができる。
本発明のCDRを含むペプチドは、本発明の可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体のVHおよびVLのCDRをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
また、CDRを含むペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によって製造することもできる。
本発明の遺伝子組換え抗体は、本発明の可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体または抗体断片に放射性同位元素、低分子の薬剤、高分子の薬剤、蛋白質などを化学的あるいは遺伝子工学的に結合させた融合抗体を包含する。
本発明の融合抗体は、本発明の可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体または抗体断片のH鎖あるいはL鎖のN末端側あるいはC末端側、抗体またはその抗体断片中の適当な置換基あるいは側鎖、さらには抗体または抗体断片中の糖鎖などに放射性同位元素、低分子の薬剤、高分子の薬剤、蛋白質などを化学的手法[抗体工学入門、金光修著、地人書館(1994)]により結合させることにより製造することができる。
また、本発明の融合抗体は、可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体または抗体断片をコードするDNAと、結合させたい蛋白質をコードするDNAを連結させて発現用ベクターに挿入し、該発現ベクターを適当な宿主細胞へ導入し、発現させることにより製造することができる。
放射性同位元素としては、131I、125Iなどがあげられ、例えば、クロラミンT法などにより抗体に結合させることができる。
低分子の薬剤としては、ナイトロジェン・マスタード、サイクロフォスファミドなどのアルキル化剤、5−フルオロウラシル、メソトレキセートなどの代謝拮抗剤、ダウノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダウノルビシン、ドキソルビシンなどの抗生物質、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンのような植物アルカロイド、タモキシフェン、デキサメタソンなどのホルモン剤などの抗癌剤[臨床腫瘍学、日本臨床腫瘍研究会編、癌と化学療法社(1996)]、またはハイドロコーチゾン、プレドニゾンなどのステロイド剤、アスピリン、インドメタシンなどの非ステロイド剤、金チオマレート、ペニシラミンなどの免疫調節剤、サイクロフォスファミド、アザチオプリンなどの免疫抑制剤、マレイン酸クロルフェニラミン、クレマシチンのような抗ヒスタミン剤などの抗炎症剤[炎症と抗炎症療法、医歯薬出版株式会社(1982)]などがあげられる。例えば、ダウノマイシンと抗体を結合させる方法としては、グルタールアルデヒドを介してダウノマイシンと抗体のアミノ基間を結合させる方法、水溶性カルボジイミドを介してダウノマイシンのアミノ基と抗体のカルボキシル基を結合させる方法などがあげられる。
高分子の薬剤としては、ポリエチレングリコール(以下、PEGと表記する)、アルブミン、デキストラン、ポリオキシエチレン、スチレンマレイン酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリルアミドなどがあげられる。これらの高分子化合物を抗体または抗体断片に結合させることにより、(1)化学的、物理的あるいは生物的な種々の因子に対する安定性の向上、(2)血中半減期の顕著な延長、(3)免疫原性の消失、抗体産生の抑制、などの効果が期待される[バイオコンジュゲート医薬品、廣川書店(1993)]。例えば、PEGと抗体を結合させる方法としては、PEG化修飾試薬と反応させる方法などがあげられる[バイオコンジュゲート医薬品、廣川書店(1993)]。PEG化修飾試薬としては、リジンのε−アミノ基の修飾剤(特開昭61−178926)、アスパラギン酸およびグルタミン酸のカルボキシル基の修飾剤(特開昭56−23587)、アルギニンのグアニジノ基の修飾剤(特開平2−117920)などがあげられる。
蛋白質としては、免疫担当細胞を活性化するサイトカイン、例えば、ヒトインターロイキン2、ヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒトマクロファージコロニー刺激因子、ヒトインターロイキン12などがあげられる。また、癌細胞を直接傷害する活性を有するリシンやジフテリア毒素などの毒素を用いることができる。例えば、蛋白質との融合抗体については、抗体または抗体断片をコードするcDNAに蛋白質をコードするcDNAを連結させ、融合抗体をコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物あるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、融合抗体を製造することができる。
融合抗体を検出方法、定量方法、検出試薬、定量試薬または診断薬として使用する場合の薬剤としては、通常の免疫学的検出または測定法で用いられる標識体があげられる。標識体としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼなどの酵素、アクリジニウムエステル、ロフィンなどの発光物質、フルオレシン・イソチアネート(FITC)、RITCなどの蛍光物質などがあげられる。
以下に、本発明の遺伝子組換え抗体の製造方法について、具体的に説明する。
1.ハイブリドーマが産生する、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗PERPモノクローナル抗体の作製
(1)抗原の調製
本発明において用いられるポリペプチドは、[Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)、Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons,1987−1997)]などに記載された方法などを用い、例えば以下の方法により、該ポリペプチドをコードするDNAを宿主細胞中で発現させて、製造することができる。
まず、該ポリペプチドをコードするcDNAを含む完全長cDNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換えベクターを作製する。この際もし必要であれば、完全長cDNAをもとにしてポリペプチドをコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製し、上記完全長cDNAの代わりに該DNA断片を使用してもよい。次いで、該組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、ポリペプチドを生産する形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、大腸菌、動物細胞など、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれをも用いることができる。
発現ベクターとしては、使用する宿主細胞において自律複製または染色体中への組込が可能で、ポリペプチドをコードするDNAを転写できる位置に適当なプロモーターを含有しているものが用いられる。
大腸菌などの原核生物を宿主細胞として用いる場合には、該組換えベクターは、原核生物中で自律複製が可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明において用いられるDNAおよび転写終結配列を含むベクターであることが好ましい。該組換えベクターは、さらに、プロモーターを制御する遺伝子を含んでいてもよい。
発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもRoche Diagnostics社製)、pKK233−2(Pharmacia社製)、pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX−1(Promega社製)、pQE−8(QIAGEN社製)、pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200[Agricultural Biological Chemistry,48,669(1984)]、pLSA1 [Agric.Biol.Chem.,53,277(1989)]、pGEL1[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4306(1985)]、pBluescript II SK(−)(Stratagene社製)、pTrs30[大腸菌JM109/pTrS30(FERM BP−5407)より調製]、pTrs32[大腸菌JM109/pTrS32(FERM BP−5408)より調製]、pGHA2[大腸菌IGHA2(FERM BP−400)より調製、特開昭60−221091]、pGKA2[大腸菌 IGKA2(FERM BP−6798)より調製、特開昭60−221091]、pTerm2(US4686191、US4939094、US5160735)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400[J.Bacteriol.,172,2392(1990)]、pGEX(Pharmacia社製)、pETシステム(Novagen社製)、pME18SFL3などをあげることができる。
プロモーターとしては、使用する宿主細胞中で機能を発揮できるものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーターなどの、大腸菌やファージなどに由来するプロモーターなどをあげることができる。また、Ptrpを2つ直列させたタンデムプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、letIプロモーターなどのように、人為的に設計改変されたプロモーターも用いることができる。
また、上記組換えベクターとしては、リボソーム結合配列であるシャイン・ダルガルノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。本発明において用いられるポリペプチドをコードするDNAの塩基配列においては、宿主内での発現に最適なコドンとなるように塩基を置換することができ、これにより、目的とするポリペプチドの生産率を向上させることができる。さらに、上記組換えベクターにおける遺伝子の発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
このような宿主細胞として用いられる原核生物としては、例えば、エシェリヒア属などに属する原核生物を用いることができ、具体的には大腸菌XL1−Blue、大腸菌XL2−Blue、大腸菌DH1、大腸菌MC1000、大腸菌KY3276、大腸菌W1485、大腸菌JM109、大腸菌HB101、大腸菌No.49、大腸菌W3110、大腸菌NY49などが用いることができる。
組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972)、Gene,17,107(1982)、Molecular&General Genetics,168,111(1979)]に記載の方法などをあげることができる。
本発明において用いられるポリペプチドを大腸菌で生産した場合には、ベクターの種類により該ポリペプチドは、細胞質内に可溶型として、細胞質内に不溶性顆粒としてまたはペリプラズミックスペースに可溶型としてなどの発現様式で発現させることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、pcDNAI、pcDM8(フナコシ社より市販)、pAGE107[特開平3−22979;Cytotechnology,3,133,(1990)]、pAS3−3(特開平2−227075)、pCDM8[Nature,329,840,(1987)]、pcDNAI/Amp(Invitrogen社製)、pREP4(Invitrogen社製)、pAGE103[J.Biochemistry,101,1307(1987)]、pAGE210、pME18SFL3などをあげることができる。
プロモーターとしては、動物細胞中で機能を発揮できるものであればいずれも用いることができ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーターなどをあげることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主細胞としては、ヒトの細胞であるナマルバ(Namalwa)細胞、サルの細胞であるCOS細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、HBT5637細胞(特開昭63−299)などをあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法[Cytotechnology,3,133(1990)]、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987)]などをあげることができる。
遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、[Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)]に記載されている方法などに準じて、分泌生産、融合蛋白質発現などを行うことができる。真核生物由来の細胞で発現させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加されたポリペプチドを得ることができる。
以上のようにして得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に該ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物から採取することにより、本発明において用いられるポリペプチドを製造することができる。該形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドなどを、trpプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸などを培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地[The Journal of the American Medical Association,199,519(1967)]、EagleのMEM培地[Science,122,501(1952)]、ダルベッコ改変MEM培地[Virology,8,396(1959)]、199培地[Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,73,1(1950)]またはこれら培地に牛胎児血清などを添加した培地などを用いることができる。培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、5%CO存在下などの条件下で1〜7日間行う。また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。
上記のとおり、本発明において用いられるポリペプチドをコードするDNAを組み込んだ組換えベクターを保有する微生物、動物細胞など由来の形質転換体を、通常の培養方法に従って培養して該ポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物より採取することにより、本発明において用いられるポリペプチドを製造することができる。
ポリペプチドの生産方法としては、宿主細胞内に生産させる方法、宿主細胞外に分泌させる方法、および宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、使用する宿主細胞から、適切な方法を選択することができる。また、任意の蛋白質と蛋白質工学的に融合させて融合ポリペプチドとして発現させて生産させてもよい。
ポリペプチドが宿主細胞内または宿主細胞外膜上に生産される場合、ポールソンらの方法[J.Biol.Chem.,264,17619(1989)]、ロウらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,8227(1989)、Genes Develop.,4,1288(1990)、特開平05−336963またはWO94/23021]などに記載の方法を準用することにより、該遺伝子産物を宿主細胞外に積極的に分泌させることもできる。また、特開平2−227075に記載されている方法に準じて、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子などを用いた遺伝子増幅系を利用して生産量を上昇させることもできる。
ポリペプチドは、例えば、以下のようにして、上記の培養物などから単離・精製することができる。
ポリペプチドが細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後に細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミルなどにより細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、通常の酵素の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安などによる塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA−75(三菱化学社製)などのレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(Pharmacia社製)などのレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロースなどのレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動などの電気泳動法などの手法を単独または組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
また、ポリペプチドが細胞質内に不溶性顆粒を形成して発現した場合は、同様に細胞を回収後破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分として該ポリペプチドの不溶性顆粒を回収する。回収した該蛋白質の不溶性顆粒を蛋白質変性剤で可溶化する。該可溶化液を希釈または透析することにより、該蛋白質を正常な立体構造にまき戻した後、上記と同様の単離精製法によりポリペプチドの精製標品を得ることができる。
ポリペプチドまたはその糖修飾体などの誘導体が細胞外に分泌された場合には、培養上清に該ポリペプチドまたはその糖修飾体などの誘導体を回収することができる。即ち、該培養物を上記と同様の遠心分離などの手法により処理することにより、固形物を取り除いた培養上清を取得し、該培養上清から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
また、本発明において用いられるポリペプチドまたは該ポリペプチドの部分ペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によっても製造することができる。また、Advanced ChemTech社、パーキン・エルマー社、Pharmacia社、Protein Technology Instrument社、Synthecell−Vega社、PerSeptive社、島津製作所などのペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
上記の方法により得られるポリペプチドまたは該ポリペプチドの部分配列を有するペプチドを抗原として用いることができる。
(2)動物の免疫と抗体産生細胞の調製
3〜20週令のマウス、ラットまたはハムスターなどに上記のように調製した抗原を免疫して、その動物の脾臓、リンパ節、末梢血中の抗体産生細胞を採取する。
免疫は、動物の皮下あるいは静脈内あるいは腹腔内に、適当なアジュバント〔例えば、フロインドの完全アジュバント(Complete Freund’s Adjuvant)や水酸化アルミニウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を投与することにより行う。抗原が部分ペプチドである場合には、BSA(ウシ血清アルブミン)やKLH(Keyhole Limpet hemocyanin)などのキャリア蛋白質とコンジュゲートを作製し、これを免疫原として用いる。
抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2週間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目に眼底静脈叢より採血し、その血清が抗原と反応することを酵素免疫測定法〔Antibodies−A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory,1988)〕などで調べる。免疫に用いた抗原に対し、その血清が十分な抗体価を示したマウス、ラットまたはハムスターを抗体産生細胞の供給源として用いる。
ポリクローナル抗体は、該血清を分離、精製することにより調製することができる。該ポリクローナル抗体が、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する活性を有していることは、後述(6)に記載の方法で調べることができる。
抗体産生細胞と骨髄腫細胞の融合に供するにあたって、抗原の最終投与後3〜7日目に、免疫したマウス、ラットまたはハムスターより脾臓などの抗体産生細胞を含む組織を摘出し、抗体産生細胞を採取する。脾臓細胞を用いる場合には、脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上清を捨て、トリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去し、MEM培地で3回洗浄して融合用抗体産生細胞として提供する。
(3)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞を使用する。たとえば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB/cマウス由来)骨髄腫細胞株P3−X63Ag8−U1(P3−U1)[Current Topics in Microbiology and Immunology,18,1(1978)]、P3−NS1/1−Ag41(NS−1)[European J. Immunology,6,511(1976)]、SP2/0−Ag14(SP−2)[Nature,276,269(1978)]、P3−X63−Ag8653(653)[J.Immunology,123,1548(1979)]、P3−X63−Ag8(X63)[Nature,256,495(1975)]などが用いられる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地〔RPMI−1640培地にグルタミン(1.5mmol/L)、2−メルカプトエタノール(5×10−5mol/L)、ジェンタマイシン(10μg/ml)および牛胎児血清(FCS)を加えた培地(以下、正常培地という。)に、さらに8−アザグアニン(15μg/ml)を加えた培地〕で継代するが、細胞融合の3〜4日前に正常培地に継代し、融合当日2×10個以上の細胞数を確保する。
(4)細胞融合
前述した抗体産生細胞と骨髄腫細胞をMEM培地またはPBS(リン酸二ナトリウム1.83g、リン酸一カリウム0.21g、食塩7.65g、蒸留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよう混合し、遠心分離(1200rpm、5分間)した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングライコール−1000(PEG−1000)2g、MEM 2mLおよびジメチルスルホキシド0.7mLの混液0.2〜1mLを、1×10個の抗体産生細胞に加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2mLを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mLになるようにする。遠心分離(900rpm、5分間)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吹出しでゆるやかに細胞をHAT培地〔正常培地にヒポキサンチン(10−4mol/L)、チミジン(1.5×10−5mol/L)およびアミノプテリン(4×10−7mol/L)を加えた培地〕100mL中に懸濁する。この懸濁液を96ウェル培養用プレートに100μL/ウェルずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で7〜14日間培養する。
培養後、培養上清の一部をとり後述するハイブリドーマの選択方法により、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体を生産するハイブリドーマを含むウェルを選択する。ついで、限界希釈法によりクローニングを2回繰り返し〔1回目は、HT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回目は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認められたものをモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
(5)モノクローナル抗体の調製
プリスタン処理〔2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン(Pristane)0.5mLを腹腔内投与し、2週間飼育する〕した8〜10週令のマウスまたはヌードマウスに、(4)で得られた抗PERPモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞2×10〜5×10細胞/匹を腹腔内注射する。10〜21日でハイブリドーマは腹水癌化する。このマウスから腹水を採取し、遠心分離(3000rpm、5分間)して固形分を除去後、40〜50%硫酸アンモニウムで塩析した後、カプリル酸沈殿法、DEAE−セファロースカラム、プロテインA−カラムあるいはゲル濾過カラムによる精製を行ない、IgGあるいは、IgM画分を集め、精製モノクローナル抗体とする。
抗体のサブクラスの決定は、サブクラスタイピングキットを用いて酵素免疫測定法により行う。蛋白量の定量は、ローリー法および280nmでの吸光度より算出する。
(6)ハイブリドーマの選択方法
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗体を生産するハイブリドーマを選択する方法としては、以下の方法があげられる。
天然型の立体構造を保っているPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域に結合できる性質の抗体を選択するには、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドがヒト体内に天然に存在する細胞、ヒト体内から樹立された細胞株または遺伝子組換え技術により得られた細胞に対する結合性を調べることができる方法であればいずれでもよく、FMAT8100HTSシステム(アプライドバイオシステム社)を用いる蛍光抗体染色法やフローサイトメトリーを用いる蛍光細胞染色法などの方法があげられる。具体的な方法としては、実施例4の(3)または実施例5の(2)に記載の方法などがあげられる。
また、これらの反応性を確認するための方法は、公知の免疫学的測定法[Monoclonal Antibodies−Principles and practice, Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,(1988)]、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]などを組み合わせることもできる。
PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドがヒト体内に天然に存在する細胞、ヒト体内から樹立した細胞株または遺伝子組換え技術により得られた細胞としては、前述した細胞があげられるが、該ポリペプチドの発現の有無が明らかである遺伝子組換え技術により得られたPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現した細胞を用いるのが好ましい。このような、遺伝子組換え技術により得られた細胞は、陰性対照として該ポリペプチドが発現していない細胞の調製が容易である。
前述の方法で選択される、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を認識するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマの具体例としては、モノクローナル抗体KM3411を生産するハイブリドーマ細胞株KM3411などがあげられる。ハイブリドーマKM3411は平成16年2月24日付でブタペスト条約に基づき独立行政法人産業技術総合研究所 特許性物寄託センター(日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)にFERM BP−8643として寄託されている。
2.V領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない遺伝子組換え抗体の作製
V領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有する抗体の当該コンセンサス配列に改変を導入することにより、抗体のV領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗体を作製することができる。以下にその作製例を示す。
(1)V領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有する抗体のV領域をコードする遺伝子配列またはアミノ酸配列の解析
V領域の遺伝子配列またはアミノ酸配列を解析することにより、N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列である、Asn−Xaa−Ser/Thr(Xaaは任意のアミノ酸残基を、Ser/ThrはSer残基またはThr残基であることをそれぞれ示す)が、V領域に含まれているか否かを調べる。
V領域の遺伝子配列は、例えば、以下のようにして抗体のVHおよびVLをコードするcDNAをクローニングすることにより、決定することができる。抗体のアミノ酸配列は、上記のcDNAの遺伝子配列から推定するか、または、抗体を直接ペプチドシーケンサーなどを用いて解析することにより決定できる[Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)]。
以下にマウス抗体などを産生するハイブリドーマから、抗体可変領域をコードするcDNAをクローニングする方法を示す。
マウス抗体などを産生するハイブリドーマ細胞よりmRNAを抽出し、cDNAを合成する。合成したcDNAをファージ或いはプラスミドなどのベクターにクローニングしてcDNAライブラリーを作製する。該ライブラリーより、マウス抗体のC領域部分或いはV領域部分をコードするDNAをプローブとして用い、VHまたはVLをコードするcDNAを有する組換えファージ或いは組換えプラスミドをそれぞれ単離する。組換えファージ或いは組換えプラスミド上の目的とするマウス抗体のVHまたはVLの全塩基配列をそれぞれ決定し、塩基配列よりVHまたはVLの全アミノ酸配列をそれぞれ推定する。
ヒト以外の動物としては、マウス、ラット、ハムスター、ラビットなどのハイブリドーマ細胞を作製することが可能であれば、いかなるものも用いることができる。
ハイブリドーマ細胞から全RNAを調製する方法としては、チオシアン酸グアニジン−トリフルオロ酢酸セシウム法[Methods in Enzymol.,154,3(1987)]、また全RNAからmRNAを調製する方法としては、オリゴ(dT)固定化セルロースカラム法[Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)]等があげられる。また、ハイブリドーマ細胞からmRNAを調製するキットとしては、Fast Track mRNA Isolation Kit(Invitrogen社製)、Quick Prep mRNA Purification Kit(Pharmacia社製)等があげられる。
cDNAの合成およびcDNAライブラリー作製法としては、常法[Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989);Current Protocols in Molecular Biology), Supplement 1−34]、或いは市販のキット、例えば、Super ScriptTM Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning(GIBCO BRL社製)やZAP−cDNA Synthesis Kit(Stratagene社製)を用いる方法等があげられる。
cDNAライブラリーの作製の際、ハイブリドーマ細胞から抽出したmRNAを鋳型として合成したcDNAを組み込むベクターは、該cDNAを組み込めるベクターであればいかなるものでも用いることができる。例えば、ZAP Express[Strategies,5,58(1992)]、pBluescript II SK(+)[Nucleic Acids Research,17,9494(1989)]、λZAPII(Stratagene社製)、λgt10、λgt11[DNA Cloning:A Practical Approach,I,49(1985)]、Lambda
BlueMid(Clontech社製)、λExCell、pT7T3 18U(Pharmacia社製)、pcD2[Mol.Cell.Biol.,3,280 (1983)]およびpUC18[Gene,33,103(1985)]等が用いられる。
ファージ或いはプラスミドベクターにより構築されるcDNAライブラリーを導入する大腸菌としては該cDNAライブラリーを導入、発現および維持できるものであればいかなるものでも用いることができる。例えば、XL1−Blue MRF’[Strategies,5,81(1992)]、C600[Genetics,39,440(1954)]、Y1088、Y1090[Science,222,778(1983)]、NM522[J.Mol.Biol.,166,1(1983)]、K802[J.Mol.Biol.,16,118(1966)]およびJM105[Gene,38,275(1985)]等が用いられる。
cDNAライブラリーからのヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLをコードするcDNAクローンの選択法としては、アイソトープ或いは蛍光標識したプローブを用いたコロニー・ハイブリダイゼーション法或いはプラーク・ハイブリダイゼーション法[Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)]により選択することができる。また、プライマーを調製し、mRNAから合成したcDNA或いはcDNAライブラリーを鋳型として、Polymerase Chain Reaction[以下、PCRと表記する;Molecular Cloning,A Laboratory Manual, Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1−34]によりVHまたはVLをコードするcDNAを調製することもできる。
上記方法により選択されたcDNAを、適当な制限酵素等で切断後、pBluescript SK(−)(Stratagene社製)等のプラスミドにクローニングし、通常用いられる塩基配列解析方法、例えば、サンガー(Sanger, F.)らのジデオキシ法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463(1977)]等の反応を行い、塩基配列自動分析装置、例えば、A.L.F.DNAシークエンサー(Pharmacia社製)等を用いて解析することで該cDNAの塩基配列を決定することができる。
決定した塩基配列からVHおよびVLの全アミノ酸配列をそれぞれ推定し、既知の抗体のVHおよびVLの全アミノ酸配列[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]と比較することにより、取得したcDNAが分泌シグナル配列を含む抗体のVHおよびVLの完全なアミノ酸配列をコードしているかをそれぞれ確認することができる。分泌シグナル配列を含む抗体のVHおよびVLの完全なアミノ酸配列に関しては、既知の抗体のVHおよびVLの全アミノ酸配列[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]と比較することにより、分泌シグナル配列の長さおよびN末端アミノ酸配列を推定でき、更にはそれらが属するサブグループを知ることができる。また、VHおよびVLの各CDRのアミノ酸配列についても、既知の抗体のVHおよびVLのアミノ酸配列[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]と比較することによって見出すことができる。
更にVHおよびVLの完全なアミノ酸配列を用いて任意のデータベース、例えば、SWISS−PROTやPIR−Protein等に対してBLAST法[J.Mol.Biol.,215,403(1990)]等の配列の相同性検索を行い、配列の新規性を検討することができる。
(2)V領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない遺伝子組換え抗体の作製
V領域に、N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列(Asn−Xaa−Ser/Thr)を有さない抗体のV領域は、N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列のAsn残基および/またはSer残基/Thr残基を他のアミノ酸残基に置換することにより、作製することができる。
抗体のV領域、特にCDRは、抗体の抗原への結合性を規定する重要な領域である。従って、抗体のV領域、特にCDRにおける、任意のアミノ酸残基への置換は、抗体の抗原への結合性が変化してしまう可能性がある。従って、上記コンセンサス配列を有さないV領域を作製する際には、抗体の抗原への結合性が変化しないアミノ酸配列に改変する必要がある。その具体的な方法を以下に示す。
V領域のN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列中のAsn残基、並びにSer残基またはThr残基を抗体の抗原への結合性が変化しないアミノ酸配列に改変するためには、直接抗原との結合に影響する改変や抗体の立体構造に変化を及ぼし、間接的に抗原との結合に影響する改変を除外する必要がある。
直接抗原との結合に影響する改変や抗体の立体構造に変化を及ぼし、間接的に抗原との結合に影響する改変を除外するためには、抗原への結合性に影響を与える可能性の少ないアミノ酸残基の部位特異的変異を如何に効率よく予測するかが、最も重要である。そのためにX線結晶解析[J.Mol.Biol.,112,535(1977)]或いはコンピューターモデリング[Protein Engineering,7,1501(1994)]等による抗体の立体構造の構築および解析を行う。しかしながら、これら抗体の立体構造の情報に基づいても、抗体のV領域、特にCDRへの変異の導入は、抗体の抗原への結合性を変化させる可能性がある。そのため、変異の導入に際しては、数種の改変体を作製し、アミノ酸の改変との抗原結合活性との相関を検討する等の、試行錯誤が必要である。
このようにして、抗体の抗原への結合性に影響を与える可能性の少ないアミノ酸残基の部位特異的変異を推定した後、変異が導入された抗体V領域のアミノ酸配列をコードするDNA配列を設計する。設計したDNA配列に基づき、100塩基前後の長さからなる数本の合成DNAを合成し、それらを用いてPCRを行う。この場合、PCRでの反応効率および合成可能なDNAの長さから、H鎖、L鎖とも6本の合成DNAを設計することが好ましい。
また、両端に位置する合成DNAの5’末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、後述する本項(3)−1に記載のヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターに容易に変異が導入された抗体V領域のアミノ酸配列をコードするDNAをクローニングすることができる。
PCR後、増幅産物をpBluescript SK(−)(Stratagene社製)等のプラスミドにそれぞれクローニングし、本項(1)に記載の方法により塩基配列を決定し、抗体のV領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない遺伝子組換え抗体のV領域のアミノ酸配列をコードするDNA配列を有するcDNAを含むプラスミドが取得されたことを確認する。
または、変異を導入する基となった抗体のV領域をコードするcDNAにクンケル法などの公知の部位特異的変異導入法[Molecular Cloning,A Laboratory Manual, Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989]を用いたり、変異を導入する基となった抗体のV領域をコードするcDNA中に存在する制限酵素認識部位を利用して、N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を含む部分のアミノ酸配列をコードするDNAに、PCR等で変異を導入し、変異を導入する基となった抗体のV領域をコードするcDNAと置換して、設計したDNA配列を有するcDNAを含むプラスミドを作製することもできる。
V領域のアミノ酸残基は、上記のようにして得られた遺伝子組換え抗体のVHまたはVLのアミノ酸配列をコードするDNA配列を有するcDNAを含むプラスミドの塩基配列を本項(1)に記載の方法により決定し、目的の改変が施されたことを確認する。
(3)遺伝子組換え抗体の作製
遺伝子組換え抗体の作製例として、以下にヒト型キメラ抗体およびヒト化抗体の作製方法を示す。
(3)−1 ヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターの構築
ヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターとは、ヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた動物細胞用発現ベクターであり、動物細胞用発現ベクターにヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAをそれぞれクローニングすることにより構築することができる。
ヒト抗体のC領域は任意のヒト抗体のCHおよびCLであることができ、例えば、ヒト抗体のγ1サブクラスのCHおよびκクラスのCLなどがあげられる。ヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAとしてはエキソンとイントロンからなる染色体DNAを用いることも、cDNAを用いることもできるが、cDNAを用いるのが好ましい。動物細胞用発現ベクターとしては、ヒト抗体のC領域をコードする遺伝子を組込み発現できるものであればいかなるものでも用いることができる。例えば、pAGE107〔Cytotechnol.,3,133(1990)〕、pAGE103(〔J.Biochem.,101,1307(1987)、pHSG274〔Gene,27,223(1984)〕、pKCR〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,78,1527(1981)〕、pSG1bd2−4〔Cytotechnol.,4,173(1990)〕、pSE1UK1Sed1−3〔Cytotechnol.,13,79(1993)〕などがあげられる。動物細胞用発現ベクターに用いるプロモーターとエンハンサーとしては、SV40の初期プロモーター〔J.Biochem.,101,1307(1987)〕、モロニーマウス白血病ウイルスのLTR〔Biochem.Biophys.Res.Commun.,149,960(1987)〕、免疫グロブリンH鎖のプロモーター〔Cell,41,479(1985)〕とエンハンサー〔Cell,33,717(1983)〕などがあげられる。
ヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターは、抗体H鎖およびL鎖が別々のベクター上に存在するタイプあるいは同一のベクター上に存在するタイプ(タンデム型)のどちらでも用いることができるが、ヒト化抗体発現ベクターの構築の容易さ、動物細胞への導入の容易さ、動物細胞内での抗体H鎖およびL鎖の発現量のバランスが均衡するなどの点からタンデム型のヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターの方が好ましい〔J.Immunol.Methods,167,271(1994)〕。タンデム型のヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターとしては、pKANTEX93(WO97/10354)、pEE18〔Hybridoma,17,559(1998)〕などがあげられる。
構築したヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターは、ヒト型キメラ抗体およびヒト化抗体の動物細胞での発現に使用できる。
(3)−2 ヒト型キメラ抗体発現ベクターの構築
本項(3)−1に記載のヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターのヒト抗体のCHまたはCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流に、それぞれヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLをコードするcDNAをそれぞれクローニングし、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築することができる。例えば、ヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLをコードするそれぞれのcDNAを、ヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLの3’末端側の塩基配列とヒト抗体のCHまたはCLの5’末端側の塩基配列とから成り、かつ適当な制限酵素の認識配列を両端に有する合成DNAとそれぞれ連結し、それぞれを本項(3)−1に記載のヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターのヒト抗体のCHまたはCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現する様にそれぞれクローニングし、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築することができる。また、V領域のN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列に変異が導入された抗体VHまたはVLをコードするcDNAを、適当な制限酵素の認識配列を両端に有する合成DNAを用いてPCR法によりそれぞれ増幅し、それぞれを本項(3)−1に記載のヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターにクローニングすることもできる。
(3)−3 ヒト化抗体のV領域をコードするcDNAの構築
ヒト化抗体のVHまたはVLをコードするcDNAは、以下の様にして構築することができる。
まず、V領域のN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列に変異が導入された抗体のVHまたはVLのCDRのアミノ酸配列を移植するヒト抗体のVHまたはVLのフレームワーク領域(以下、FRと表記する)のアミノ酸配列をそれぞれ選択する。ヒト抗体のVHまたはVLのFRのアミノ酸配列としては、ヒト抗体由来のものであれば、いかなるものでも用いることができる。例えば、Protein Data Bank等のデータベースに登録されているヒト抗体のVHまたはVLのFRのアミノ酸配列、ヒト抗体のVHまたはVLのFRの各サブグループの共通アミノ酸配列[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]等があげられるが、その中でも、十分な活性を有するヒト型CDR移植抗体を作製するためには、目的のヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLのFRのアミノ酸配列とできるだけ高い相同性(少なくとも60%以上)をそれぞれ有するアミノ酸配列を選択することが望ましい。次に、選択したヒト抗体のVHまたはVLのFRのアミノ酸配列に目的のヒト以外の動物の抗体のVHまたはVLのCDRのアミノ酸配列をそれぞれ移植し、ヒト化抗体のVHまたはVLのアミノ酸配列をそれぞれ設計する。設計したアミノ酸配列を抗体の遺伝子の塩基配列に見られるコドンの使用頻度[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]を考慮してDNA配列に変換し、ヒト化抗体のVHまたはVLのアミノ酸配列をコードするDNA配列をそれぞれ設計する。設計したDNA配列に基づき、100塩基前後の長さからなる数本の合成DNAを合成し、それらを用いてPCR法を行う。
また、両端に位置する合成DNAの5’末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、本項(3)−1で構築したヒト化抗体発現用ベクターに容易にヒト化抗体のVHまたはVLをコードするcDNAをクローニングすることができる。PCR反応後、増幅産物をpBluescript SK(−)(Stratagene社製)等のプラスミドにそれぞれクローニングし、本項(1)に記載の方法により塩基配列を決定し、所望のヒト化抗体のVHまたはVLのアミノ酸配列をコードするDNA配列を有するプラスミドを取得する。
(3)−4 ヒト化抗体のV領域のアミノ酸配列の改変
ヒト化抗体は、V領域のN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列に変異が導入された抗体のVHおよびVLのCDRのみをヒト抗体のVHおよびVLのFRに移植しただけでは、その抗原結合活性は元のヒト以外の動物の抗体に比べて低下してしまうことが知られている[BIO/TECHNOLOGY,9,266(1991)]。この原因としては、元のヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLでは、CDRのみならず、FRのいくつかのアミノ酸残基が直接的或いは間接的に抗原結合活性に関与しており、それらアミノ酸残基がCDRの移植に伴い、ヒト抗体のVHおよびVLのFRの異なるアミノ酸残基へと変化してしまうことが考えられている。この問題を解決するため、ヒト化抗体では、ヒト抗体のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列の中で、直接抗原との結合に関与しているアミノ酸残基やCDRのアミノ酸残基と相互作用したり、抗体の立体構造を維持し、間接的に抗原との結合に関与しているアミノ酸残基を同定し、それらを元のヒト以外の動物の抗体に見出されるアミノ酸残基に改変し、低下した抗原結合活性を上昇させることが行われている[BIO/TECHNOLOGY,9,266(1991)]。ヒト化抗体の作製においては、それら抗原結合活性に関わるFRのアミノ酸残基を如何に効率よく同定するかが、最も重要な点であり、そのためにX線結晶解析[J. Mol. Biol.,112,535(1977)]或いはコンピューターモデリング[Protein Engineering,7, 1501(1994)]等による抗体の立体構造の構築および解析が行われている。これら抗体の立体構造の情報は、ヒト化抗体の作製に多くの有益な情報をもたらして来たが、その一方、あらゆる抗体に適応可能なヒト化抗体の作製法は未だ確立されておらず、現状ではそれぞれの抗体について数種の改変体を作製し、それぞれの抗原結合活性との相関を検討する等の種々の試行錯誤が必要である。
ヒト抗体のVHおよびVLのFRのアミノ酸残基は、改変用合成DNAを用いて本項(3)−3に記載のPCRを行うことにより、達成できる。PCR後の増幅産物について本項(1)に記載の方法により、塩基配列を決定し、目的の改変が施されたことを確認する。
(3)−5 ヒト化抗体発現ベクターの構築
本項(3)−1に記載のヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターのヒト抗体のCHまたはCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流に、構築したヒト化抗体のVHまたはVLをコードするcDNAをそれぞれクローニングし、ヒト化抗体発現ベクターを構築することができる。
例えば、本項(3)−3および(3)−4でヒト化抗体のVHまたはVLを構築する際に用いる合成DNAのうち、両端に位置する合成DNAの5’末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、本項(3)−1に記載のヒト抗体のCHおよびCLをコードするDNAが組み込まれた抗体発現用ベクターのヒト抗体のCHまたはCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現するようにそれぞれクローニングすることができる。
(3)−6 ヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体の一過性発現
作製したヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体の抗原結合活性を効率的に評価するために、本項(3)−3および(3)−5に記載のヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体発現ベクターを用いてヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体の一過性発現を行うことができる。発現ベクターを導入する宿主細胞としては、ヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体を発現できる宿主細胞であれば、いかなる細胞でも用いることができるが、その発現量の高さから、COS−7細胞(ATCC CRL1651)が一般に用いられる[Methods in Nucleic Acids Res.,CRC press,283(1991)]。COS−7細胞への発現ベクターの導入法としては、DEAE−デキストラン法[Methods in Nucleic Acids Res.,CRC press,283(1991)]、リポフェクション法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987)]等があげられる。
発現ベクターの導入後、培養上清中のヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体の発現量および抗原結合活性は酵素免疫抗体法[以下、ELISA法と表記する;Monoclonal Antibodies−Principles and practice, Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]等により測定できる。
(3)−7 ヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体の安定発現
本項(3)−2および(3)−5に記載のヒト型キメラ抗体発現ベクターまたはヒト化抗体発現ベクターを適当な宿主細胞に導入することによりヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体を安定に発現する形質転換株を得ることができる。
宿主細胞への発現ベクターの導入法としては、エレクトロポレーション法[特開平2−257891、Cytotechnology,3,133(1990)]等があげられる。
ヒト型キメラ抗体発現ベクターまたはヒト化抗体発現ベクターを導入する宿主細胞としては、ヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体を発現させることができる宿主細胞であれば、いかなる細胞でも用いることができる。例えば、マウスSP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL1581)、マウスP3X63−Ag8.653細胞(ATCC CRL1580)、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(以下、dhfrと表記する)が欠損したCHO細胞[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,4216(1980)]、レクチン耐性を獲得したLec13[Somatic Cell and Molecular genetics,12,55(1986)]、α1−6フコース転移酵素遺伝子が欠損したCHO細胞(WO05/35586)、ラットYB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞(ATCC CRL1662)などがあげられる。
上記宿主細胞の他、細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースの合成に関与する酵素などの蛋白質、N−グリコシド結合複合型糖鎖の還元末端のN−アセチルグルコサミンの6位にフコースの1位がα結合する糖鎖修飾に関与する酵素などの蛋白質または細胞内糖ヌクレオチドGDP−フコースのゴルジ体への輸送に関与する蛋白質などの活性が低下または欠失した宿主細胞、好ましくはWO05/35586に記載のα1−6フコース転移酵素遺伝子が欠損したCHO細胞などを用いることもできる。
発現ベクターの導入後、ヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体を安定に発現する形質転換株は、特開平2−257891に開示されている方法に従い、G418硫酸塩(以下、G418と表記する:SIGMA社製)等の薬剤を含む動物細胞培養用培地で培養することにより選択できる。動物細胞培養用培地としては、RPMI1640培地(Invitrogen社製)、GIT培地(日本製薬社製)、EX−CELL301培地(JRH社製)、IMDM培地(Invitrogen社製)、Hybridoma−SFM培地(Invitrogen社製)、またはこれら培地に牛胎児血清(以下、FBSと表記する)等の各種添加物を添加した培地等を用いることができる。得られた形質転換株を培地中で培養することで培養上清中にヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体を発現蓄積させることができる。培養上清中のヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体の発現量および抗原結合活性はELISA法等により測定できる。また、形質転換株は、特開平2−257891に開示されている方法に従い、dhfr増幅系等を利用してヒト化抗体の発現量を上昇させることができる。
ヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体は、形質転換株の培養上清よりプロテインAカラムを用いて精製することができる[Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]。また、その他に通常、蛋白質の精製で用いられる精製方法を使用することができる。例えば、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィーおよび限外濾過等を組み合わせて行い、精製することができる。精製したヒト型キメラ抗体またはヒト化抗体のH鎖、L鎖或いは抗体分子全体の分子量は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動[以下、SDS−PAGEと表記する:Nature, 227,680(1970)]やウェスタンブロッティング法[Monoclonal Antibodies−Principles and practice,Third edition,Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]等で測定することができる。
3.本発明の遺伝子組換え抗体または抗体断片の活性評価
精製した本発明の遺伝子組換え抗体または抗体断片の抗原への結合性、PERP発現細胞株に対する結合性はELISA法および蛍光抗体法[Cancer Immunol.Immunother.,36,373(1993)]またはBIAcoreTMなどを用いた表面プラズモン共鳴等により測定できる。抗原陽性培養細胞株に対する細胞傷害活性は、CDC活性、ADCC活性等を測定し、評価することができる[Cancer Immunol.Immunother.,36,373(1993)]。また、これらの結果を、本発明の遺伝子組換え抗体作製の基となった、上記1.に記載の、V領域に改変を導入していない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合するモノクローナル抗体での測定結果と比較することにより、V領域に導入した改変による、抗体の抗原への結合性への影響がわかる。
4.本発明の遺伝子組換え抗体または抗体断片を用いた疾患の治療方法
本発明の可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体または該抗体断片は、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが関与する疾患の治療に用いることができる。
PERP遺伝子が関与する疾患としては、該遺伝子が発現している細胞が関与する疾患であればいかなるものでもよく、例えば癌があげられる。癌としては、上皮由来の癌があげられ、具体的には、乳癌、子宮癌、大腸癌、胃癌、卵巣癌、肺癌、腎臓癌、直腸癌、甲状腺癌、子宮頸癌、小腸癌、前立腺癌または膵臓癌などがあげられる。
本発明の遺伝子組換え抗体または抗体断片を有効成分として含有する治療剤には、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの活性を制御することを特徴とする治療剤、およびADCC活性やCDC活性、あるいはアポトーシス誘導作用による治療剤が含まれる。
遺伝子組換え抗体の有するADCC活性やCDC活性は、例えば、特開平6−205694に記載の方法で測定することができる。このような活性を有する抗体は、in vivoにおいて、特定の抗原が発現した細胞を傷害することができるため、疾患の治療薬として用いることができる。ヒトIgGクラスの抗体定常領域を有するヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体は治療剤として、有効に用いられる[Cancer Res.,56,1118(1996)]。
本発明の遺伝子組換え抗体または該抗体断片は、変性を受けていない天然型のPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドを認識することができるので、生体内で存在するPERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現している細胞を認識することができる。従って、本発明の遺伝子組換え抗体または該抗体断片は、in vivoまたはin vitroにおいて、PERP遺伝子が発現している細胞を傷害することができる。特に、PERP遺伝子は癌において発現が亢進していることから、本発明の遺伝子組換え抗体または抗体断片は癌の治療剤として使用することができる。また、高いADCC活性が付与された本発明の遺伝子組換え抗体または該抗体断片は、PERP遺伝子が発現している細胞を減ずる治療に用いられる治療剤として、特に有効に用いられる。
本発明の遺伝子組換え抗体または抗体断片、またはこれらの融合抗体を含有する治療剤は、有効成分としての該抗体もしくは抗体断片、またはこれらの誘導体のみを含むものであってもよいが、通常は薬理学的に許容される1以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。
投与経路は、治療に際して最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口投与、または口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内などの非経口投与をあげることができ、抗体またはペプチド製剤の場合、望ましくは静脈内投与をあげることができる。投与形態としては、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、軟膏、テープ剤などがあげられる。
経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤などがあげられる。乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを添加剤として用いて製造できる。カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤などは、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトールなどの賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを添加剤として用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤としては、注射剤、座剤、噴霧剤などがあげられる。注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる担体などを用いて調製される。座剤はカカオ脂、水素化脂肪またはカルボン酸などの担体を用いて調製される。また、噴霧剤は該抗体または抗体断片自体、ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ該化合物を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体などを用いて調製される。担体として具体的には乳糖、グリセリンなどが例示される。該抗体および用いる担体の性質により、エアロゾル、ドライパウダーなどの製剤が可能である。また、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
投与量または投与回数は、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重などにより異なるが、通常成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kgである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1) 可変領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体の作製
参考例1(2)に記載の方法で作製された、抗PERP抗体産生ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)から生産される抗PERPマウス抗体KM3411を基に、本発明の遺伝子組換え抗体を作製した。該抗体は、参考例2(1)−3に記載されているように、配列番号21で示されるVH中に、N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有していた。以下、V領域にN結合型糖鎖結合のコンセンサス配列を有さない遺伝子組換え抗体のVHのアミノ酸配列の設計を行った。
(1)V領域にN結合型糖鎖結合のコンセンサス配列を有さない遺伝子組換え抗体のVHのアミノ酸配列の設計
V領域にN結合型糖鎖結合のコンセンサス配列を有さない改変抗体のVHのアミノ酸配列を以下のようにして設計した。
N結合型糖鎖結合のコンセンサス配列は、配列番号21で示されるアミノ酸配列の59番目のAsn、60番目のTyrおよび61番目のSerからなる配列である。配列番号21で示されるアミノ酸配列において、CDR2は配列番号45で示されるアミノ酸配列を有する。配列番号45で示されるアミノ酸配列において、N結合型糖鎖結合のコンセンサス配列は、9番目のAsn、10番目のTyrおよび11番目のSerからなる配列である。
配列番号45で示されるアミノ酸配列において、10番目のアミノ酸は任意であることから、9番目のAsnと11番目のSerを改変候補残基とした。既存の抗体配列[Sequences of Proteins of Immunological Interest,US Dept.Health and Human Services(1991)]との比較やアミノ酸の性質等を勘案し、抗PERPCDR改変抗体の三次元構造をコンピューターモデリングの手法を用いて解析し、アミノ酸配列の設計を行った。三次元構造座標作製に関してはソフトウェアAbM(Oxford Molecular社製)を、三次元構造の表示についてはソフトウェアPro−Explore(Oxford Molecular社製)あるいはViewerLite(Accelrys社製)を用いてそれぞれ添付の使用説明書に従って行った。得られた結果を抗PERPマウス抗体の三次元構造と比較し、抗原結合部位の三次元構造を変化させず、抗体の結合活性に影響を与えないと考えられるアミノ酸と置換するアミノ酸として、9番目のAsnについてはSer、GlyまたはTyrを置換するアミノ酸として、および/または11番目のSerについてはAlaを置換するアミノ酸としてそれぞれ選択した。
これらの設計されたアミノ酸改変VHとして、少なくとも1以上のアミノ酸残基を置換し、以下の6種類の、V領域にN結合型糖鎖結合のコンセンサス配列を有さない遺伝子組換え抗体のVHを設計した。以下、59番目のAsnをSerに置換したVHをver.1、Glyに置換したver.2、Tyrに置換したVHをver.3、61番目のSerをAlaに置換したVHをver.4、59番目のAsnをSerに、かつ61番目のSerをAlaに置換したVHをver.5、59番目のAsnをGlyに、かつ61番目のSerをAlaに置換したVHをver.6とそれぞれ略記する。
(2)−1 V領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない遺伝子組換え抗体の発現ベクターの作製
参考例2(1)−2で作製したプラスミドpKM3411H#9を鋳型として、アミノ酸改変を導入するための以下の配列番号22〜27で示される塩基配列を有するプライマーと、配列番号28で示されるDNA配列を有するプライマーとを用いてPCRを行い、目的のcDNA断片を増幅した。ver.1を作製するためには配列番号24、ver.2を作製するためには配列番号25、ver.3を作製するためには配列番号23、ver.4を作製するためには配列番号22、ver.5を作製するためには配列番号26、ver.6を作製するためには配列番号27に記載の合成DNA(ファスマック社製)をそれぞれプライマーとして用いた。これら6種類の合成DNAの3’末端には、参考例2の(2)−1に記載のpKANTEX3411と組み換えるための制限酵素の認識配列が含まれる。PCRは94℃3分間加熱後、94℃30秒間、58℃30秒間、74℃1分間からなる反応サイクルを25回行った後、72℃で10分間反応させた。PCRはGeneAmp PCR system9700(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて行った。得られたPCR産物のサイズはいずれも約300bpであった。
参考例2(2)−1に記載の抗PERPキメラ抗体発現用ベクターpKANTEX3411と上記で得られたVer.1〜Ver.6をコードするDNAを含むPCR産物とを用いて、VH領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない遺伝子組換え抗体(以下、改変抗体と記す)発現ベクターをそれぞれ構築した。なお、VHにおいてはVer.1〜Ver.6であるものの、発現ベクターの名称は、pKANTEX3411CDRv1〜v6と略記する。
得られた6種類のPCR産物は制限酵素NotI(宝酒造社製)とXhoI(宝酒造社製)で消化後、反応液をアガロースゲル電気泳動した後、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて、約0.3kbのNotI−XhoI断片を回収した。pKANTEX3411を制限酵素NotI(宝酒造社製)とHindIII(New England BioLabs社製)で消化後、反応液をアガロースゲル電気泳動した後、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて、約10kbのNotI−HindIII断片を回収した。また、pKANTEX3411を制限酵素HindIII(New England BioLabs社製)とXhoI(宝酒造社製)でも消化し、同様の方法で約3kbpのHindIII−XhoI断片も回収した。
得られた3種類の断片をLigation high(東洋紡績社製)を用いて添付の説明書に従って連結し、得られた反応液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換した。得られた形質転換株のクローンより各プラスミドDNAを調製して制限酵素処理を行い、目的の約0.3kbのNotI−XhoI断片が挿入された、図1に示した改変抗体発現ベクターpKANTEX3411CDRv1〜v6が得られたことを確認した。得られたベクターは、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(PE Biosystems社製)を用いて添付の説明書に従って反応後、同社のDNAシーケンサーABI PRISM 3700により塩基配列を解析し、目的の改変が施された、改変抗体発現ベクターが得られたことを確認した。
(2)−2 改変抗体の動物細胞での発現
本実施例の(2)−1で得られた改変抗体発現ベクターpKANTEX3411CDRv1〜v6を用いて、該抗体の動物細胞での発現を、常法[Antibody Engineering,A Practical Guide,W.H.Freeman and Company(1992)]により行い、pKANTEX3411CDRv1〜v6が導入された6種類の形質転換株を取得した。
(3) 精製抗体の取得
本実施例(2)−2で得られた形質転換株を、通常の培養法で培養した後、細胞懸濁液を回収し、3000rpm、4℃の条件で5分間の遠心分離を行って培養上清を回収した後、培養上清は0.22μm孔径MillexGVフィルター(ミリポア社製)を用いて濾過滅菌した。得られた培養上清よりMab Select(アマシャム・バイオサイエンス社製)カラムを用いて、添付の説明書に従い、改変抗体ver.1〜6をそれぞれ精製した。
得られた抗体のVH領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない改変抗体ver.1〜6の精製標品の精製度および発現分子サイズを、グラジュエントゲル(ATTO社製、カタログ番号:E−T520L)を用いて電気泳動を行った後、添付の説明書に従い、SDS−PAGEにより確認した。対照としては参考例2に記載の抗PERPキメラ抗体KM3481を用いた。
結果を図2に示した。精製した改変抗体は、非還元条件下では分子量が約150キロダルトン(以下、Kdと表記する)の1本のバンドが、還元条件下では約50Kdと約25Kdの2本のバンドが認められた。これらの分子量は、IgGクラスの抗体は、非還元条件下では分子量は約150Kdであり、還元条件下では分子内のS−S結合が切断され、約50Kdの分子量を持つH鎖と約25Kdの分子量を持つL鎖に分解されるという報告[Antibodies−A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 14(1988)、Monoclonal Antibodies−Principles and Practice, Academic Press Limited(1996)]と一致し、改変抗体が正しい構造の抗体分子として発現されていることが確認された。
(実施例2) 改変抗体の活性評価
(1) 膜表面上のPERPへの結合性(蛍光抗体法)
実施例1で精製した抗PERPCDR改変抗体のPERP発現細胞株への結合活性を以下の方法により確認した。
細胞株としては、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドを発現していることが確認された細胞株である非小細胞肺癌細胞株PC9株[British Journal of Cancer,39,15(1976)]を用いた。
1ウェル当たり2×10個のPC9細胞を96ウェルU字プレートに分注し、改変抗体をFCM用緩衝液(1%BSA−PBS、0.02%EDTA、0.05%NaN)にて50μg/mLから5倍希釈で6段階に希釈した改変抗体を50μL/ウェルで分注し、氷中で30分間反応した。FCM用緩衝液で2回洗浄後、PE標識抗ヒトIgG(H+L)抗体(ベックマン・コールター社製)をFCM用緩衝液にて50倍に希釈した溶液を50μL/ウェルで加えた。遮光し氷中で30分間反応後、FCM用緩衝液で3回洗浄し、フローサイトメーターで蛍光強度を測定した。尚、対照として参考例2に記載の抗PERPキメラ抗体KM3481を、陰性対照として抗CCR4抗体KM2760(WO01/64754)を用いて、同様にして蛍光強度を測定した。
結果を図3に示した。縦軸には平均蛍光強度(MFI)、横軸には、抗体濃度を示した。6種類すべての改変抗体がPC9細胞に結合することが示され、その結合の強さは抗体の濃度依存的であった。
(2) 改変抗体のADCC活性
実施例1で取得した改変抗体のADCC活性を、以下のようにして測定した。標的細胞にはPC9を用い、エフェクター細胞溶液の調製にはlymphoprep(NYCOMED社製)を用いた。
(2)−1 標的細胞溶液の調製
RPMI1640−FBS(10)培地[FCSを10%含むRPMI1640培地(Invitrogen社製)]を用いて培養した各細胞株を遠心分離操作および懸濁によりADCC活性測定用培地であるRPMI1640−FBS(5)[5%FBSを含むRPMI1640培地(Invitrogen社製)]で洗浄した後、ADCC活性測定用培地によって、細胞濃度を2×10細胞/mLに調製し、標的細胞溶液とした。
(2)−2 エフェクター細胞溶液の調製
健常人静脈血50mLを採取し、ヘパリンナトリウム(清水製薬社製)0.5mLを加え穏やかに混ぜた。これをlymphoprep(NYCOMED 社製)を用いて添付の使用説明書に従い、単核球(PBMC)画分を分離した。分離したPBMC画分は、ADCC活性測定用培地で遠心分離して3回洗浄後、適宜懸濁し、エフェクター細胞溶液とした。
(2)−3 ADCC活性の測定
96ウェルU字底プレート(Falcon社製)に上記(2)−1で調製した標的細胞溶液の50μL(1×10細胞/ウェル)を分注した。次いで(2)−2で調製したエフェクター細胞溶液を50μL(エフェクター細胞と標的細胞の比が20:1になるように希釈したもの)を添加した。更に、改変抗体をADCC活性測定用培地で希釈し、各最終濃度0.001〜1μg/mLとなるように加えて全量を150μLとし、37℃で4時間反応させた。反応後、プレートを遠心分離し、上清中の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を、LDH−Cytotoxic Test(和光純薬社製)を用いて、添付の説明書にしたがって吸光度データを取得することで測定した。標的細胞自然遊離の吸光度データは、エフェクター細胞溶液および抗体溶液の代わりにADCC活性測定用培地を用いて、また、エフェクター細胞自然遊離の吸光度データは、標的細胞溶液および抗体溶液の代わりにADCC活性測定用培地を用いて、上記と同様の操作を行うことで取得した。標的細胞全遊離の吸光度データは、抗体溶液およびエフェクター細胞溶液の代わりにADCC活性測定用培地を用い、反応終了の45分前に15μLの9% Triton X−100溶液を添加して反応させ、上記と同様の操作を行うことで取得した。ADCC活性は次式により求めた。尚、対照として参考例2に記載の抗PERPキメラ抗体KM3481を用いて、以下の式によりADCC活性を測定した。
(式)
ADCC活性(%)={(検体の吸光度−エフェクター細胞自然遊離の吸光度−標的細胞自然遊離の吸光度)/(標的細胞全遊離の吸光度−標的細胞自然遊離の吸光度)}×100
結果を図4に示した。PC9細胞に対して、改変抗体はADCC活性を有しており、その活性は抗体の濃度依存的であった。
(実施例3) N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト化抗体の作製
(1)N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト化抗体のVHおよびVLのアミノ酸配列の設計
まず、N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト化抗体のVHのアミノ酸配列を以下のようにして設計した。
配列番号3で示されるアミノ酸配列を有する抗体VHのCDR1、配列番号4、6〜10のいずれか1つのアミノ酸配列を有する抗体VHのCDR2および配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する抗体VHのCDR3のアミノ酸配列を移植するためのヒト抗体のVHのFRのアミノ酸配列を選択した。カバットらは、既知の様々なヒト抗体のVHをそのアミノ酸配列の相同性から3種類のサブグループ(HSG I〜III)に分類し、更に、それらのサブグループ毎に共通配列を報告している[SEQUENCES of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services(1991)]。それら共通配列は、ヒトにおいてより免疫原性が低下する可能性が考えられることから、それら共通配列を基に抗PERPヒト化抗体のVHのアミノ酸配列を設計することとした。より結合活性の高い抗PERPヒト化抗体を作製するために、設計にあたってはヒト抗体のVHの3種類のサブグループの共通配列のFRのアミノ酸配列のうち、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗PERPモノクローナル抗体である、抗PERPマウス抗体KM3411のVHのFRのアミノ酸配列と最も高い相同性を有するFRのアミノ酸配列を選択した。
相同性を検索した結果、HSGI、HSGIIおよびHSGIIIの相同性はそれぞれ54.0%、74.7%および60.9%であった。従って、KM3411のVH領域のFRのアミノ酸配列はサブグループIIと最も高い相同性を有していた。
以上の結果から、ヒト抗体のVHのサブグループIIの共通配列のFRのアミノ酸配列の適切な位置に抗PERPマウス抗体KM3411のVHのCDRのアミノ酸配列を移植した。しかし、配列番号37に記載のKM3411のVHのアミノ酸配列中の47番目のIle、86番目のIle、100番目のGln、107番目のGlu、および111番目のThrは、カバットらがあげるヒト抗体FRのアミノ酸配列の相当する部位において、最も使用される頻度が高いアミノ酸残基ではないが、比較的高い頻度で使用されるアミノ酸残基であるため、上記のKM3411のアミノ酸配列で認められるアミノ酸残基を用いることとした。このようにして、配列番号30〜35のいずれかで示されるアミノ酸配列を有する含む、抗PERPヒト化抗体のVHのアミノ酸配列を設計した。また、実施例2の結果から、V領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない改変抗体ver.1〜6の中で、最も結合活性が高かった抗体はver.4であったことから、このV領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない改変抗体ver.4(以下、KM3821と記す)のCDR2を有するHVをHV0(配列番号33)とした。
次に、抗PERPヒト化抗体のVLのアミノ酸配列を以下のようにして設計した。
配列番号11〜13でそれぞれ示される抗体VLのCDR1〜3のアミノ酸配列を移植するためのヒト抗体のVLのFRのアミノ酸配列を選択した。カバットらは、既知の様々なヒト抗体のVLをそのアミノ酸配列の相同性から4種類のサブグループ(HSG I〜IV)に分類し、更に、それらのサブグループ毎に共通配列を報告している[Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services(1991)]。そこでVHの場合と同様にして、ヒト抗体のVLの4種類のサブグループの共通配列のFRのアミノ酸配列のうち、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗PERPモノクローナル抗体である、抗PERPマウスKM3411のVLのFRのアミノ酸配列と最も高い相同性を有するFRのアミノ酸配列を選択した。
相同性を検索した結果、HSGI、HSGII、HSGIIIおよびHSGIVの相同性はそれぞれ67.5%、62.5%、66.2%および65.0%であった。従って、KM3411のVLのFRのアミノ酸配列はサブグループIと最も高い相同性を有していた。
以上の結果から、ヒト抗体のVLのサブグループIの共通配列のFRのアミノ酸配列の適切な位置に抗PERPマウス抗体KM3411のVLのCDRのアミノ酸配列を移植し、配列番号36に記載の抗PERPヒト化抗体のVLのアミノ酸配列LV0を設計した。
上記で設計した抗PERPヒト化抗体のVHのアミノ酸配列HV0およびVLのアミノ酸配列LV0は、選択したヒト抗体のFRのアミノ酸配列に抗PERPマウス抗体KM3411のCDRのアミノ酸配列のみを移植した配列であるが、一般に、ヒト化抗体を作製する場合には、単なるヒト抗体のFRへのマウス抗体のCDRのアミノ酸配列の移植のみでは結合活性が低下してしまうことが多い。結合活性の低下を回避するため、ヒト抗体とマウス抗体で異なっているFRのアミノ酸残基のうち、結合活性に影響を与えると考えられるアミノ酸残基を、CDRのアミノ酸配列の移植とともに、改変することが行われている。そこで、本実施例においても、結合活性に影響を与えると考えられるFRのアミノ酸残基を以下のようにして同定した。
まず、上記で設計した抗PERPヒト化抗体のVHのアミノ酸配列HV0およびVLのアミノ酸配列LV0よりなる抗体V領域(HV0LV0)の三次元構造をコンピューターモデリングの手法を用いて構築した。三次元構造座標作製に関してはソフトウェアAbM(Oxford Molecular社製)を、三次元構造の表示についてはソフトウェアPro−Explore(Oxford Molecular社製)あるいはViewerLite(Accelrys社製)を用いてそれぞれ添付の使用説明書に従い、行った。また、抗PERPマウスモノクローナル抗体KM3411のV領域の三次元構造のコンピューターモデルも同様にして構築した。更に、HV0LV0のVHおよびVLのFRのアミノ酸配列において、抗PERPマウス抗体KM3411と異なっているアミノ酸残基について順次、抗PERPマウス抗体KM3411の相当する位置に見られるアミノ酸残基へ改変したアミノ酸配列からなる三次元構造モデルを同様にして構築し、抗PERPマウス抗体KM3411、HV0LV0および改変体のV領域の三次元構造を比較した。
その結果、HV0LV0のFRのアミノ酸残基の中で抗原結合部位の三次元構造を変化させ、抗体の結合活性に影響を与えると考えられるアミノ酸残基として、HV0では27番目のGly、30番目のSer、41番目のPro、44番目のLys、45番目のGly、49番目のIle、72番目のVal、および97番目のAlaを、LV0では3番目のGln、5番目のThr、35番目のTyr、42番目のAla、46番目のLeu、70番目のPhe、および77番目のLeuをそれぞれ選択した。これらの選択したアミノ酸残基のうち、少なくとも1つ以上のアミノ酸配列をマウス抗体KM3411の同じ部位に存在するアミノ酸残基へ改変し、様々な改変を有するヒト化抗体のVHおよびVLを設計した。具体的には、抗体VHについては、配列番号30〜35のいずれかで示されるアミノ酸配列の27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換するアミノ酸改変のうち、少なくとも1つの改変を導入した。また、VLについては、配列番号36で示されるアミノ酸配列の3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、70番目のPheをTyrに、および77番目のLeuをMetに置換するアミノ酸改変のうち、少なくとも1つの改変を導入した。
(2) 抗PERPヒト化抗体のVHをコードするcDNAの構築
本実施例(1)で設計した抗PERPヒト化抗体のVHのアミノ酸配列HV0をコードするcDNAを、PCRを用いて以下のようにして構築した。
まず、設計したアミノ酸配列と、配列番号37の1〜18番目に示される抗PERPマウス抗体KM3411のH鎖の分泌シグナル配列とを繋げて完全な抗体アミノ酸配列とした。次に、該アミノ酸配列を遺伝子コドンに変換した。1つのアミノ酸残基に対して複数の遺伝子コドンが存在する場合は、抗体の遺伝子の塩基配列に見られる使用頻度[SEQUENCES of Proteins of Immunological Interest, US Dept.Health and Human Services(1991)]を考慮し、対応する遺伝子コドンを決定した。決定した遺伝子コドンを繋げて、完全な抗体V領域のアミノ酸配列をコードするcDNAの塩基配列を設計し、更に5’末端と3’末端にPCR反応時の増幅用プライマーの結合塩基配列(ヒト化抗体発現用ベクターへクローニングするための制限酵素認識配列も含む)を付加した。設計した塩基配列を5’末端側から約100塩基ずつ計4本の塩基配列に分け(隣り合う塩基配列は、その末端に約20塩基の重複配列を有するようにする)、それらをセンス鎖、アンチセンス鎖の交互の順で、合成オリゴヌクレオチド(配列番号64〜67)を合成した。
各オリゴヌクレオチド(配列番号64〜67)を最終濃度が0.1μmol/Lとなるように50μLの反応液に加えて、0.5μmol/L M13RVプライマー(Takara Shuzo社製)、0.5μmol/L M13M4プライマー(Takara Shuzo社製)および1単位のKOD polymerase(東洋紡績社製)を用いて、KOD polymeraseに添付の使用説明書に従い、PCRを行った。この際の反応条件は使用説明書に記された条件(94℃ 30秒間、50℃ 30秒間、74℃ 60秒間のサイクルを30サイクル)に従った。該反応液をエタノール沈殿した後、滅菌水に溶解し、適当な制限酵素処理を行った後に、プラスミドpBluescript II SK(−)(Stratagene社製)に連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株を形質転換し、形質転換株の株よりプラスミドDNAを調製し、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit (Applied Biosystems社製)を用いて塩基配列を解析した結果、目的の塩基配列(配列番号50)を有するプラスミドを得た。
次に、本実施例(1)で設計したFRのアミノ酸残基の改変は、変異を有する合成オリゴヌクレオチドを作製し、上記のPCRを行うか、上記で作製したHV0をコードするcDNAを含むプラスミドDNAを鋳型として変異を有する合成DNAをプライマーとしてPCRを行い、増幅遺伝子断片を単離することにより行った。改変後のアミノ酸残基の遺伝子コドンについては、抗PERPマウス抗体KM3411に見られる遺伝子コドンとなるように行った。また、以下、特に記載の無い場合、94℃ 30秒間、55℃ 30秒間、72℃ 60秒間のサイクルを35サイクルのPCR反応で反応させた。PCR反応はKOD−plus polymerase(TOYOBO社製)を使用して行った。また、以下で使用した合成オリゴDNAはファスマック社製のものである。なお、以下において、改変するアミノ酸残基はアルファベット一文字で標記し、右上に改変するアミノ酸残基の番号を記載した。
(a)G2730414445497297をF2730414445497297へ改変したVH(以下、HV8)の作製
0.1μmol/Lのアミノ酸変異を有する合成DNA(配列番号64、69、68、70)と、その両端に位置するプライマーM13RVプライマー(Takara Shuzo社製)および、M13M4プライマー(Takara Shuzo社製)を0.4μmol/L加え、PCR反応を行った。PCR反応液を、Gel extraction kit(QIAGEN社製)を用いて精製し、0.8−1.5%のアガロース電気泳動を行い、目的の0.45kbp付近の遺伝子断片をGel extraction kit(QIAGEN社製)を用いて抽出した。特異的な制限酵素SmaIで処理したpBlusecript II sk(−)(以下、pBS)にサブクローニングを行い、目的の遺伝子(配列番号51)を含むベクターpBS/HV8を取得した。
(b)G274197をF274197へ改変したVH(以下、HV3)の作製
上記(a)と同様にして、合成DNA(配列番号64、79、66、70)とその両端に位置するM13RVおよびM13M4プライマーを用いて、PCR反応を行い、目的の遺伝子(配列番号52)を含むベクターpBS/HV3を取得した。
(c)G27417297をF27417297へ改変したVH(以下、HV4)
上記と同様にして、合成DNA(配列番号64、79、80、70)とその両端に位置するプライマーを用いて、PCR反応を行い、目的の遺伝子(配列番号53)を含むベクターpBS/HV4を取得した。
(d)G27304197をF27304197へ改変したVH(以下、HV4−2)
上記(b)で作製したpBS/HV3を鋳型にして、M13RVプライマー(Takara Shuzo社製)と合成オリゴDNA(配列番号84)を用いてPCR反応を行い、約0.3kbpの遺伝子断片5’−GSを取得した。また、同様にpBS/HV3を鋳型にして合成オリゴDNA(配列番号85)およびM13M20プライマーを用いてPCR反応を行い、約0.4kbpの遺伝子断片3’−PAを取得した。これら、作製した遺伝子断片およびM13RV、M13M20 プライマーを用いて、PCR反応を行い、Gel extraction kit(QIAGEN社製)を用いて増幅遺伝子断片を抽出した。その後、特異的な制限酵素NotIおよびApaIで酵素処理を行い、0.8−1.5%のアガロース電気泳動を行い、目的の0.45kbp付近の遺伝子断片をGel extraction kit(QIAGEN社製)を用いて抽出した。抽出した遺伝子断片を、pBSの適切な場所に挿入し、目的の遺伝子(配列番号54)を含むベクターpBS/HV4−2を取得した。
(e)G2730497297をF2730497297へ改変したVH(以下、HV5−2)
上記(d)で作製した、pBS/HV4−2を鋳型にして、T3プライマー(Takara Shuzo社製)および合成オリゴDNA(配列番号86)を用いてPCR反応を行い、5’−GSPI遺伝子断片を取得した。また、上記(c)で作製したpBS/HV4を鋳型にして、T7プライマー(Takara Shuzo社製)および合成オリゴDNA(配列番号87)を用いてPCR反応を行い、3’‐VA遺伝子断片を取得した。これら、作製した遺伝子断片とT3、T7プライマーを用いてPCR反応を行い、約0.5kbpのGSPIVA遺伝子断片を作製した。この遺伝子断片を鋳型にして、T3プライマーと合成オリゴDNA(配列番号92)を用いてPCR反応を行い5’−HV5−2遺伝子断片を、またT7プライマーと合成オリゴDNA(配列番号91)を用いてPCR反応を行い3’−HV5−2遺伝子断片を取得した。作製した2つの遺伝子断片およびT3、T7プライマーを用いてPCR反応を行い、以下は上記(c)と同様にして、目的の遺伝子(配列番号55)を含むベクターpBS/HV5−2を取得した。
(f)G2741497297をF2741497297へ改変したVH(以下、HV5−3)
上記(c)で作製したHV4を鋳型にして、T3プライマー(Takara Shuzo社製)と合成オリゴDNA(配列番号86)を用いてPCR反応を行い、5’−GPI遺伝子断片を取得した。また、同様にしてT7プライマー(Takara Shuzo社製)と合成オリゴDNA(配列番号87)を用いてPCR反応を行い、3’−VA遺伝子断片を取得した。作製した遺伝子断片とおよびT3、T7プライマーを用いてPCR反応を行い、以下は上記(c)と同様にして、目的の遺伝子(配列番号56)を含むベクターpBS/HV5−3を取得した。
(3)抗PERPヒト化抗体のVLをコードするcDNAの構築
本実施例(1)で設計した抗PERPヒト化抗体のVLのアミノ酸配列をコードするcDNAを、PCRを用いて以下のようにして構築した。
まず、設計したアミノ酸配列と、配列番号38の1〜22番目に示される抗PERPマウス抗体KM3411のL鎖の分泌シグナル配列とを繋げて完全な抗体アミノ酸配列とした。次に、該アミノ酸配列を遺伝子コドンに変換した。1つのアミノ酸残基に対して複数の遺伝子コドンが存在する場合は、抗体の遺伝子の塩基配列に見られる使用頻度[SEQUENCES of Proteins of Immunological Interest, US Dept.Health and Human Services(1991)]を考慮し、対応する遺伝子コドンを決定した。決定した遺伝子コドンを繋げて、完全な抗体V領域のアミノ酸配列をコードするcDNAの塩基配列を設計し、更に5’末端と3’末端にPCR反応時の増幅用プライマーの結合塩基配列(ヒト化抗体発現用ベクターへクローニングするための制限酵素認識配列も含む)を付加した。設計した塩基配列を5’末端側から約100塩基ずつ計4本の塩基配列に分け(隣り合う塩基配列は、その末端に約20塩基の重複配列を有するようにする)、それらをセンス鎖、アンチセンス鎖の交互の順で、合成オリゴヌクレオチド(配列番号71〜74)を合成した。
各オリゴヌクレオチド(配列番号71〜74)を最終濃度が0.1μmol/Lとなるように50μLの反応液に加えて、0.5μmol/L M13RVプライマー(Takara Shuzo社製)、0.5μmol/L M13M4プライマー(Takara Shuzo社製)および1単位のKOD polymerase(東洋紡績社製)を用いて、KOD polymeraseに添付の使用説明書に従い、上記(3)と同様にPCRを行った。反応液をエタノール沈殿した後、滅菌水に溶解し、適当な制限酵素処理を行った後に、プラスミドpBluescript II SK(−)(Stratagene社製)に連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株を形質転換し、形質転換株よりプラスミドDNAを調製し、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit (Applied Biosystems社製)を用いて塩基配列を解析した結果、目的の塩基配列(配列番号57)を有するプラスミドpBS/LV0を取得した。
次に、本実施例(1)で設計したFRのアミノ酸残基の改変は、変異を有する合成オリゴヌクレオチドを作製し、上記のPCRを行うか、上記で作製したLV0をコードするcDNAを含むプラスミドDNAを鋳型として変異を有する合成DNAをプライマーとしてPCRを行い、増幅遺伝子断片を単離することにより行った。改変後のアミノ酸残基の遺伝子コドンについては、抗PERPマウス抗体KM3411で見られる遺伝子コドンとなるように行った。
また以下、特に記載の無い場合、94℃ 30秒間、55℃ 30秒間、72℃ 60秒間のサイクルを35サイクルのPCR反応で反応させた。PCR反応はKOD−plus polymerase(TOYOBO社製)を使用して行った。また、以下で使用した合成オリゴDNAはファスマック社製のものである。以下において、改変するアミノ酸残基はアルファベット一文字で標記し、右上に改変するアミノ酸残基の番号を記載した。
(a)G3542467077をV3542467077へ改変したVL(以下、LV7)
0.1μmol/Lのアミノ酸変異を有する合成DNA(配列番号75〜78)と、その両端に位置するプライマーM13RVプライマー(Takara Shuzo社製)および、M13M4プライマー(Takara Shuzo社製)を0.4μmol/L加え、PCR反応を行った。PCR反応液を0.8−1.5%のアガロース電気泳動を行い、目的の0.4kbp付近の遺伝子断片をGel extraction kit(QIAGEN社製)を用いて抽出した。制限酵素SmaIで処理したpBlusecript II sk(−)(以下、pBS)にサブクローニングを行い、目的の遺伝子(配列番号58)を含むベクターpBS/LV7を取得した。
(b)L4670をW4670へ改変したVL(以下、LV2)
上記(a)と同様に、4本の合成オリゴDNA(配列番号71、72、81、74)と両端に位置するM13RVプライマー、M13M4プライマーを用いてPCR反応を行い、以下は上記(a)同様にして、目的の遺伝子(配列番号59)を含むベクターpBS/LVを取得した。
(c)L467077をW467077へ改変したVL(以下、LV3)
上記(a)と同様に、4本の合成オリゴDNA(配列番号71、72、81、78)と両端に位置するM13RVプライマー、M13M4プライマーを用いてPCR反応を行い、以下は上記(a)同様にして、目的の遺伝子(配列番号60)を含むベクターpBS/LV3を取得した。
(d)A424670をS424670へ改変したVL(以下、LV3−2)
上記(b)で作製したpBS/LV2を鋳型として、M13RVプライマーと合成オリゴDNA(配列番号94)を用いてPCR反応を行い、5’−AL遺伝子断片を取得した。また、M13M20プライマー(Takara Shuzo社製)と合成オリゴDNA(配列番号93)を用いて、3’−F遺伝子断片を取得した。これらの遺伝子断片およびM13RVプライマー、M13M20プライマーを用いてPCR反応を行い、Gel extraction kit(QIAGEN社製)を用いて増幅遺伝子断片を抽出した。その後、特異的な制限酵素EcoRIおよびBsiWIで酵素処理を行い、0.8−1.5%のアガロース電気泳動を行い、目的の0.4kbp付近の遺伝子断片をGel extraction kit(QIAGEN社製)を用いて抽出した。抽出した遺伝子断片を、制限酵素BsiWI認識配列を組み込んだpBSの適切な場所に挿入し、目的の遺伝子(配列番号61)を含むベクターpBS/LV3−2を取得した。
(e)Y35467077をF35467077へ改変したVL(以下、LV4)
上記(c)で作製したpBS/LV3を鋳型として、T3プライマーおよび合成オリゴDNA(配列番号90)を用いてPCR反応を行い、5’−LV4遺伝子断片を取得し、また同様にしてT7プライマーおよび合成オリゴDNA(配列番号89)を用いてPCR反応を行い、3’−YLFL遺伝子断片を取得した。これらの遺伝子断片およびT3、T7プライマーを用いてPCR反応を行い、以下は(d)と同様にして目的の遺伝子(配列番号62)を含むベクターpBS/LV4を取得した。
(f)A4246697071をS4246697071へ改変したVL(以下、LV5−2)
上記(d)で作製したpBs/LV3−2を鋳型とし、T7プライマーと合成オリゴDNA(配列番号83)を用いてPCR反応を行い、5’−DFT遺伝子断片を取得し、また、同様にしてT3プライマーと合成オリゴDNA(配列番号82)を用いてPCR反応を行い、3’−DFT遺伝子断片を取得した。これらの遺伝子断片およびT7,T3プライマーを用いてPCR反応を行い、以下は(d)と同様にして目的の遺伝子(配列番号63)を含むベクターpBS/LV5−2を取得した。
(4)抗PERPヒト化抗体発現ベクターの構築
WO97/10354に記載のヒト化抗体発現用ベクターpKANTEX93の適当な位置に本実施例(2)および(3)で得られたHV0およびLV0をコードするそれぞれのcDNA、あるいはそれらの改変体をコードするcDNAを挿入し、各種抗PERPヒト化抗体発現ベクターを構築した(図11)。
HV0LV0、HV8LV0、HV0LV7、HV4LV2、HV4LV3、HV8LV7、HV4LV7、HV4LV5−2、HV5−2LV4、HV5−3LV4およびHV4LV4の11種類のN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト化抗体を作製した。
(5)抗PERPヒト化抗体の動物細胞を用いた安定発現および精製抗体の取得
抗PERPヒト化抗体の動物細胞を用いた安定発現および培養上清からの抗体の精製は、実施例1(2)−2および(3)に記載の方法と同様にして行った。
(実施例4) N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト化抗体の活性評価
(1)ヒトPERP(hPERP)発現細胞の作製
参考例1(1)と同様にして、pcPERPmHを用いてCHO/DG44(KC861)の形質転換株を作製した。その結果、hPERPを中程度発現する形質転換株(KC1359)、および高発現している形質転換株(KC9033)を取得した。
(2) 膜表面上のPERPへの結合性(蛍光抗体法)
実施例3(5)で精製したN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト化抗体の、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドが発現しているCHO/PERP(KC1359)あるいは実施例1(1)で用いているPC9細胞に対する結合活性を、蛍光抗体法を用いて、下記のように実施した。
1ウェル当たり2‐3×10個のCHO/PERPあるいはPC9細胞を96ウェルU字プレートに分注し、各N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト化抗体をFCM用緩衝液(1%BSA−PBS、0.02%EDTA、0.05%NaN)にて10μg/mLから2倍希釈で8段階に希釈した改変抗体を100μL/ウェルで分注し、あるいは10μg/mLから5倍希釈で8段階に希釈した改変抗体を100μL/ウェルで分注して、氷中で30分間反応した。FCM用緩衝液で1回洗浄後、PE標識抗ヒトIgG(H+L)抗体(ベックマン・コールター社製)をFCM用緩衝液にて50倍に希釈した溶液を100μL/ウェルで加えた。遮光し氷中で30分間反応後、FCM用緩衝液で2回洗浄し、フローサイトメーターで蛍光強度を測定した。陽性対象として、参考例2記載の抗PERPヒト型キメラ抗体KM3481、あるいは実施例1で作製したN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト型キメラ抗体KM3821(KM3821)を用いた。
その結果、KM3821のCDRを単にヒトフレームワークに移植したHV0LV0、およびL鎖のみアミノ酸改変を加えたHV0LV7は、CHO/PERPに対する結合活性が殆ど無かったが、H鎖のアミノ酸改変を加えたHV8LV0は、KM3821の約1/5まで結合活性が増加した(図12−A)。更に、アミノ酸改変残基数を減らし、H鎖L鎖両方にアミノ酸改変を加えたHV4LV2およびHV4LV3では、HV8LV0と同等まで結合活性が増加した(図12−B)。
更に、アミノ酸改変残基数を増やしたHV4LV7、HV8LV7では、HV4LV3よりも活性が増加し、いずれの抗体ともKM3821と同等の結合活性を有していた(図13−A)。
これらの結果から、HV4LV3で改変しているL鎖のアミノ酸改変残基L467077以外の、G3542のアミノ酸改変、あるいはHV4で改変しているアミノ酸G27417297以外のS30444549のアミノ酸改変が、活性上昇に関与する可能性が考えられたため、以下のようにVHに更なるアミノ酸改変を行った抗PERPヒト化抗体の結合活性を測定した。
その結果、HV5−2LV4、HV5−3LV4、HV4LV4およびHV4LV5−2では、いずれもHV4LV3よりも活性が増加し、KM3821と同等の結合活性を有していた(図13−C)。この中で、最もアミノ酸改変残基数が少ないHV4LV4は、HV4LV3のアミノ酸改変にL鎖のY35からF35へのアミノ酸改変を加えた可変領域であり、Y35のアミノ酸改変が、N型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト化抗体の活性上昇に大きく関与していることが明らかとなった。また、ヒト肺癌細胞株PC−9に対する結合活性も同様な反応性を有していた(図14−A,B,C)
(3) 改変抗体のADCC活性
以下の方法を用いて、改変抗体であるHV5−2LV4、HV5−3LV4、HV4LV4およびHV4LV5−2のADCC活性のADCC活性の測定を行った。
(3−1) 標的細胞溶液の調製
ヒト膵癌細胞株BxPC−3およびヒト肺癌細胞株PC−9は、RPMI1640−FBS(10)培地[10%FCSおよび50μg/mLゲンタマイシンを含むRPMI1640培地(Invitrogen社製)]を用いて培養を行い、ヒトPERP発現CHO/DG44細胞(KC1359およびKC9033)はIMDM−CHO培地[10%FCS、1×HT supplement(Invitrogen社製)、50μg/mLゲンタマイシンおよび0.5mg/mLG418(ナカライテスク社製)を含むIMDM培地(Invitrogen社製)]を用いて培養した。各細胞を拡大培養後、遠心分離操作および懸濁によりADCC活性測定用培地であるRPMI1640−FBS(1)[1%FBSを含むフェノールレッド不含RPMI1640培地(Invitrogen社製)]で洗浄した後、ADCC活性測定用培地によって、細胞濃度を2×10細胞/mLに調整し、標的細胞溶液とした。
(3−2) エフェクター細胞溶液の調製
健常人静脈血50mLを採取し、ヘパリンナトリウム(清水製薬社製)0.5mLを加え穏やかに混ぜた。これをpolymorphoprep(NYCOMED社製)を用いて添付の使用説明書に従い、単核球(PBMC)画分を分離した。分離したPBMC画分は、ADCC活性測定用培地で遠心分離して2回洗浄後、適宜懸濁し、エフェクター細胞溶液とした。
(3−3) ADCC活性の測定
96ウェルU字底プレート(Falcon社製)に上記(2)−1で調製した標的細胞溶液の50μL(1×10細胞/ウェル)を分注した。次いで(2)−2で調製したエフェクター細胞溶液を50μL(エフェクター細胞と標的細胞の比が20:1になるように希釈したもの)を添加した。更に、改変抗体をADCC活性測定用培地で、3μg/mLから5倍希釈で8段階希釈したものを50μL加え、全量を150μLとし、37℃で4時間反応させた。反応後、プレートを遠心分離し、上清中の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を、LDH−Cytotoxic Test(和光純薬社製)を用いて、添付の説明書にしたがって吸光度データを取得することで測定した。標的細胞自然遊離の吸光度データは、エフェクター細胞溶液および抗体溶液の代わりにADCC活性測定用培地を用いて、また、エフェクター細胞自然遊離の吸光度データは、標的細胞溶液および抗体溶液の代わりにADCC活性測定用培地を用いて、上記と同様の操作を行うことで取得した。標的細胞全遊離の吸光度データは、抗体溶液およびエフェクター細胞溶液の代わりにADCC活性測定用培地を用い、反応終了の45分前に20μLの9% Triton X−100溶液を添加して細胞を破壊し、上記と同様の操作を行うことで取得した。ADCC活性は次式により求めた。尚、対照としてKM3821を用いて、実施例2と同様にしてADCC活性を測定した。
その結果、今回作製し、CHO/PERPに対する結合活性が、KM3821と同等であったHV8LV7、HV5−3LV4およびHV4LV4は、いずれの抗体もKM3821と同等のADCC活性を有していた。更に、ADCC活性は、ヒト肺癌細胞株(図15)、ヒト膵癌細胞株BxPC−3(図16)およびCHO/PERP高発現細胞株(KC9033)(図17)いずれの標的細胞においても、KM3821と同等であった。しかし、HV5−2LV4は、KM3821と比べて、わずかにADCC活性が低い傾向が認められた。
(実施例5) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識する、KM3821のエピトープ解析
(1)変異PERP発現ベクターの構築
ヒトPERPとマウスPERPの細胞外領域ループ1あるいはループ2のアミノ酸残基を比較し、アミノ酸残基の異なる部分をマウスのアミノ酸残基に改変するため、参考例1で作製したヒトPERP発現ベクターpcPERPmHを鋳型にして、アミノ酸変異有するプライマーおよびpcDNA3.1+ベクターに特異的なプライマー(配列番号112あるいは113)を用いて、各変異PERP発現ベクターを作製した(図18)。アミノ酸残基改変後のアミノ酸残基の遺伝子コドンについては、マウスPERP(accession No.NP_071315)で見られる遺伝子コドンとなるように行った。また、以下、特に記載の無い場合、94℃ 30秒間、58℃ 30秒間、72℃ 60秒間のサイクルを25−35サイクルのPCR反応で反応させた。PCR反応はKOD−plus polymerase(TOYOBO社製)を使用して行った。また、以下で使用した合成オリゴDNAはファスマック社製のものである。以下において、改変するアミノ酸残基はアルファベット一文字で標記し、右上に改変するアミノ酸残基の番号を記載した。
(a)D40425052536263をN40425052536263へ改変した変異PERP(以下、mL−1)
参考例1で作製されたpcPERPmHを鋳型として、ベクター側に位置するプライマー(配列番号112)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号103)を用いてPCR反応を行い、1.5%アガロース電気泳動を行い約0.3kbpの遺伝子断片を、Gel extraction kit(QIAGEN社製)を用いて抽出し、5’−mL−1遺伝子断片を取得した。同様にして、pcPERPmHを鋳型として、ベクター側に位置するプライマー(配列番号113)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号102)を用いてPCR反応を行い、約0.7kbpの3’−mL−1遺伝子断片を取得した。取得した遺伝子断片及び、ベクター側のプライマー(配列番号112、113)を用いてPCR反応を行い、増幅させた約0.8kbpの遺伝子断片ををGel extraction kit(QIAGEN社製)を用いて抽出した。抽出後、特異的な制限酵素EcoRIおよびXbaIで酵素処理を行い、アガロース電気泳動を行い、約0.7kbpの遺伝子断片を上記と同様に抽出した。取得した遺伝子断片を、制限酵素EcoRIおよびXbaIで処理し、pcDNA3.1+の適切な位置に挿入し、目的の遺伝子(配列番号96)を含むベクターpcDNA3.1+/mL−1を取得した。
(b)T138141146をR138141146へ改変した変異PERP(以下、mL−2)
(a)と同様にして、ベクター側に位置するプライマー(配列番号112)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号105)を用いて、約0.6kbpの5’−mL−2遺伝子断片を作製し、一方、ベクター側に位置するプライマー(配列番号113)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号104)を用いて、約0.4kbpの3’−mL−2遺伝子断片を作製した。取得した遺伝子断片及び、ベクター側のプライマー(配列番号112、113)を用いてPCR反応を行い、目的の遺伝子(配列番号97)を含むベクターpcDNA3.1+/mL−2を取得した。
(c)D40425052536263138141146をN40425052536263138141146へ改変した変異PERP(以下、mPERP)
(b)で作製したpcDNA3.1+/mL−2を鋳型にして、(a)と同様にして、ベクター側に位置するプライマー(配列番号112)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号103)を用いてPCR反応を行い、約0.3kbpの5’−mPERP遺伝子断片を作製し、同様にpcDNA3.1+/mL−2を鋳型として、ベクター側に位置するプライマー(配列番号113)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号102)を用いてPCR反応を行い、約0.7kbpの3’−mPERP遺伝子断片を取得した。取得した遺伝子断片及び、ベクター側のプライマー(配列番号112、113)を用いてPCR反応を行い、目的の遺伝子(配列番号98)を含むベクターpcDNA3.1+/mPERPを取得した。
(d)D4042をN4042へ改変した変異PERP(以下、DG)
(a)と同様にして、ベクター側に位置するプライマー(配列番号112)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号107)を用いて、約0.35kbpの5’−DG遺伝子断片を作製し、一方、ベクター側に位置するプライマー(配列番号112)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号106)を用いて、約0.7kbpの3’−DG遺伝子断片を作製した。取得した遺伝子断片及び、ベクター側のプライマー(配列番号112、113)を用いてPCR反応を行い、目的の遺伝子(配列番号99)を含むベクターpcDNA3.1+/DGを取得した。
(e)K505253をR505253へ改変した変異PERP(以下、KSQ)
(a)と同様にして、ベクター側に位置するプライマー(配列番号112)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号109)を用いて、約0.4kbpの5’−KSQ遺伝子断片を作製し、一方、ベクター側に位置するプライマー(配列番号113)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号108)を用いて、約0.6kbpの3’−KSQ遺伝子断片を作製した。取得した遺伝子断片及び、ベクター側のプライマー(配列番号112、113)を用いてPCR反応を行い、目的の遺伝子(配列番号100)を含むベクターpcDNA3.1+/KSQを取得した。
(f)E6263をD6263へ改変した変異PERP(以下、EE)
(a)と同様にして、ベクター側に位置するプライマー(配列番号112)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号111)を用いて、約0.4kbpの5’−EE遺伝子断片を作製し、一方、ベクター側に位置するプライマー(配列番号113)と、PERP遺伝子内に位置し、変異アミノ酸を含む合成オリゴDNA(配列番号110)を用いて、約0.6kbpの3’−KSQ遺伝子断片を作製した。取得した遺伝子断片及び、ベクター側のプライマー(配列番号112、113)を用いてPCR反応を行い、目的の遺伝子(配列番号101)を含むベクターpcDNA3.1+/EEを取得した。
(2)サルPERP遺伝子クローニング
国立感染症研究所カニクイザルcDNAライブラリーから、ヒトPERP遺伝子配列を検索子にして検索を行った結果、カニクイサル延髄由来cDNAクローン(QmoA−11464)と高い相同性を示した。この遺伝子から予測されるアミノ酸配列(配列番号116)から、サルPERP細胞外領域ループ1およびループ2に、ヒトPERPヒトPERPの細胞外領域と2つのアミノ酸が異なることが分かった。従って、サルPER遺伝子をクローニングし、サルPERPを発現させた細胞を構築した。
サルPERPの遺伝子を含む発現ベクターpME18SFL3を鋳型とし、特異的な制限酵素EcoRIおよび、HindIIIの配列を含む合成オリゴDNA(配列番号114,115)を用いて、PCR反応を行い、目的の遺伝子を増幅した。増幅した遺伝子断片を、制限酵素EcoRIおよびHindIIIで処理した。タンパク質のC末端にMycタグおよびHisタグが挿入できる発現ベクターpBS−mycHisを制限酵素EcoRIおよびHindIIIで処理し、アミノ酸のコドンが適切に合うように挿入し、pBS−PERPtagを作製した。さらに、発現ベクターpBS−PERPtagから、制限酵素EcoRIおよびHindIIIで制限酵素処理を行い、得られた遺伝子断片を、pcDNA3.1+ベクターの、EcoRIおよびHindIIIサイトに挿入し、目的のサルPERPmH(配列番号117)を含むベクターpcDNA3.1+/monPERPを取得した。
(3)変異PERP発現細胞の構築
上記実施例5(1)で作製した各発現ベクターおよび参考例1で作製したヒトPERP発現ベクターpcPERPmHを、エレクトロポレーション法によりCHO/DG44(KC861)に遺伝子導入を行い、形質転換株の取得を行った。エレクトロポレ―ション後、G418(ナカライテスク社製)薬剤耐性を獲得した変異PERP発現細胞を取得した。エレクトロポレ―ションを行った後、終濃度0.6mg/mLのG418(ナカライテスク社製)を添加し、10−20日間培養を行い、変異PERPが導入された各形質転換株、CHO/hPERP、CHO/mPERP、CHO/mL−1、CHO/mL−2、CHO/DG、CHO/KSQ、およびCHO/EEを作製した。
(4)KM3821のヒトPERP発現細胞または変異PERP発現細胞に対する反応性の検討
実施例3(5)で精製したN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPキメラ抗体の、上記実施例5(2)で作製したヒトPERPあるいは変異PERP形質転換株に対する結合活性を、蛍光抗体法を用いて、下記のように実施した。
(5)N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPヒト化抗体の反応
1ウェル当たり1‐3×10個の新鮮な各形質転換株、あるいは上記細胞内染色処理を行った形質転換細胞株に、各N結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない抗PERPキメラ抗体をFCM用緩衝液(1%BSA−PBS、0.02%EDTA、0.05%NaN)にて10μg/mLに希釈した溶液を、100μL/ウェルで分注し、氷中で30−60分間反応した。FCM用緩衝液で1回洗浄後、PE標識抗ヒトIgG(H+L)抗体(ベックマン・コールター社製)をFCM用緩衝液にて50倍に希釈した溶液を100μL/ウェルで加えた。遮光し氷中で30−60分間反応後、FCM用緩衝液で2回洗浄し、フローサイトメーターで蛍光強度を測定した。
図19中の細胞外染色における、各変異PERPに対するKM3821の反応性は、KM3821のhPERPに対する反応性を100%とした時の、各変異PERPあるいはサルPERPに対する反応性(%)で示した。
その結果、KM3821は、マウスPERPの細胞外領域を有するmPERP、およびPERP細胞外領域のループ1のみがマウスのアミノ酸であるmL−1にはまったく反応せず、PERP細胞外領域のループ2のみがマウスのアミノ酸であるmL−2には反応したことから、ヒトPERP細胞外領域のループ1に反応することが明らかになった(図19)。更に、KM3821は、PERP細胞外領域のループ1の中心部分にあたる50番目、52番目および53番目がマウスのアミノ酸であるKSQには反応するが、40番目、42番目がマウスのアミノ酸であるDGには、hPERPに対する反応性に比べ1/10以下まで、KM3821の反応性が低下し、また、62番目、63番目がマウスのアミノ酸であるEEでも、hPERPに比べ約1/3までKM3821の反応性が低下していた(図19)。
一方、KM3821は、PERP細胞外領域のループ1内の42番目のアミノ酸と、ループ2内の138番目のアミノ酸が、ヒトPERPのアミノ酸と異なるサルPERPに対して、hPERPと同等に反応したことから、42番目と138番目のアミノ酸は、KM3821のhPERPに対する結合に対する影響は少ないと考えられる。
以上の結果から、KM3821は、ヒトPERP細胞外領域のループ1内の40番目のAspを強く認識し、このアミノ酸残基と62番目のGlu、63番目のGluからなる、立体構造を認識していることが明らかになった(図19および図20)。
(参考例1) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗PERPモノクローナル抗体の作製
(1)PERP発現細胞の造成
ヒトPERP遺伝子を含むプラスミドHEMBA1006335(GenBankアクセッション番号;AK074585、1ng/μL)を1μL、10×ExTaq 緩衝液2μL、2mmol/L dNTPを2μL、10μmol/Lの配列番号39および配列番号40に示される塩基配列からなるプライマーをそれぞれ 2μL、ExTaq polymerase(宝酒造社製)0.5μL、滅菌水10.5μLからなる溶液を、94℃で5分間加熱後、94℃で30秒間、65℃で30秒間、72℃で1分間からなる反応を25サイクル、72℃で7分間反応させた。反応産物をアガロースゲル電気泳動で分離し、約0.6kbの増幅断片をGENECLEAN Spin Kit(BIO101社製)を用いて抽出した。該断片と、pCRII−TOPOベクターとをTOPO TA cloning Kit(Invitrogen社製)を用いて連結した後、コーエンらの方法[Proc.Nalt.Acad.Sci.,USA,69,2110(1972)]により大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出し、ヒトPERP遺伝子を含むプラスミドpCRII−PERPを取得した。
PERP断片の3’末端側にmyc−Hisタグ配列を付加するためのクローニングベクターとしてpBSmHを以下のようにして作製した。
pcDNA3.1(−)/myc−HisC(Invitrogen社製]をPmeIで消化し、上記と同様にして約170bpのmyc−Hisタグをコードする遺伝子を含むDNA断片を取得した。該断片と、XbaIおよびKpnIで消化後、T4 DNA polymerase(宝酒造社製)で末端の平滑化を行ったpBluescriptII SK(−)(ストラタジーン社製)とをDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)により、連結した後、大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出し、プラスミドpBSmHを取得した。pBSmHは、制限酵素XbaIで該プラスミドを消化し、約2.9kbpおよび約160bpの2本の断片が生じた。
上記のpCRII−PERPをEcoRIとHindIIIで消化し、PERP遺伝子を含む断片を取得した。該断片と、EcoRIとHindIIIで消化したpBSmHとをDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)により連結した後、大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出し、プラスミドpBS−PERPmHを取得した。
pBS−PERPmHをEcoRIとXbaIで消化し、PERP遺伝子およびmyc−Hisタグをコードする遺伝子を含む断片を取得した。該断片と、EcoRIとXbaIで消化したpcDNA3.1+(Invitrogen社製)とをDNAライゲーションキットver.2(宝酒造社製)により連結した後、大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミド抽出キット(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出し、ヒトPERPの発現プラスミドpcPERPmHを取得した。
pcPERPmHは、エレクトロポレーション法[Cytotechnology,3,133(1990)]により以下のようにしてCHO/DG44細胞[Somatic Cell and Molecular Genetics,12(6),555(1986)]へ導入した。
細胞は、10%ウシ胎児血清(ライフテクノロジー社製)、1×HT supplement(ライフテクノロジー社製)、1% Penicillin−streptomycin(ライフテクノロジー社製)を添加したIMDM培地(ライフテクノロジー社製)(以下、A3培地と表記する)で培養したものを用いた。CHO/DG44細胞をK−PBS緩衝液[137nmol/L塩化カリウム、2.7nmol/L塩化ナトリウム、8.1mmol/Lリン酸一水素二ナトリウム、1.5nmol/Lリン酸二水素一ナトリウム、4mmol/L塩化マグネシウム緩衝液]に懸濁して8×10細胞/mLの濃度に調製し、該細胞懸濁液200μLを上記発現プラスミドpcPERPmH 4μgと混和した。該混和液をキュベット(電極間距離2mm)に移し、GenePulserII(バイオラッド社製)装置を用いてパルス電圧0.35kV、電気容量250μFの条件で遺伝子導入を行った。キュベットを氷上で静置後、キュベット中の細胞懸濁液をA3培地中に懸濁し、37℃、5%COインキュベーター中で培養した。1日間培養後、0.5mg/mL G418(カルビオケム社製)を添加したA3培地に培地交換し、培養を続けた。途中希釈しながら継代を続け、遺伝子導入より約2週間後に、G418に耐性を有する形質転換細胞株を取得した。
得られた形質転換細胞を1.25細胞/mLとなるよう0.5mg/mL G418を添加したA3培地で希釈後、96ウェルプレートに200μLずつ分注して、限界希釈法によるクローニングを行った。
上記で取得された形質転換細胞 1〜5×10個を15μLの1×PAGE bufferに溶解して95℃で5分間処理し、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動〔Antibodies−A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory,1988)〕にて分画後、PVDF膜にブロッティングした。BSA−PBSでブロッキング後、抗mycモノクローナル抗体9E10(MBL社製)を室温で1時間反応させた。Tween−PBSで洗浄した後、第二抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(ダコ社製)を室温で1時間反応させた。Tween−PBSでよく洗浄した後、検出はECL−detection kit(アマシャム社製)を用いて行い、X線フィルム上に感光させた。
図5に結果を示した。分子量25kDa付近にシグナルが認められた株をPERP発現株(以下、PERP/CHO細胞と表記する)とした。
(2) モノクローナル抗体の作製
(2)−1 免疫原の調製
上記(1)で造成したPERP発現株を10%牛胎児血清入りIscove’s Modified Dulbecco’s培地(インビトロジェン社製)で2〜3日培養後、1匹あたりの細胞数が6×10個から1×10個の細胞数となるようにPBSに懸濁した。
(2)−2 動物の免疫と抗体産生細胞の調製
参考例1(2)−1で調製した細胞を、百日咳ワクチン(千葉県血清研究所製)1×10細胞とともに6週令雌Balb/Cマウス3匹に投与した。投与1週間後より、毎週1回、計5回投与した。該マウスの眼底より部分採血し、その血中抗体価を以下に示す細胞を用いた蛍光抗体染色法を行い、FMAT8100HTSシステム(アプライドバイオシステム社製)およびフローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で測定し、十分な抗体価を示したマウスから最終免疫3日後に脾臓を摘出した。
脾臓をMEM(Minimum Essential Medium)培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(250×g、5分間)した。得られた沈殿画分にトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.6)を添加し、1〜2分間処理することにより赤血球を除去した。得られた沈殿画分(細胞画分)をMEM培地で3回洗浄し、細胞融合に用いた。
(2)−3 細胞を用いた蛍光抗体染色法(FMAT:Fluorometric Microvolume Assay Technology)
アッセイ用の細胞は参考例1(1)で造成したPERP/CHO細胞とCHO/DG44細胞を用いた。10%牛胎児血清入りIscove’s Modified Dulbecco’s培地[インビトロジェン社]で2〜3日培養し、Tripsin−EDTA溶液(インビトロジェン社製)で剥離した細胞を同一の培地に懸濁し、FMAT用黒色96ウエルプレートに7×10個/100μL培地/ウェルで播種し、1晩培養した。該プレートに一次抗体として被免疫マウス抗血清あるいはハイブリドーマ培養上清を5μL/ウェルで分注し、二次抗体としてALEXA647標識抗マウスイムノグロブリンG(H+L)(モレキュラープローブ社製)を50μL/ウェルで分注し、遮光下で4時間放置した。レーザー光633nmHe/Neで励起される 650nm〜685nmの波長をFMAT8100HTSシステム(アプライドバイオシステム社製)で測定した。
(2)−4 細胞を用いた蛍光抗体染色法(フローサイトメトリー)
アッセイ用の細胞は参考例1(1)で造成したPERP/CHO細胞とCHO/DG44細胞を用いた。10%牛胎児血清入りIscove’s Modified Dulbecco’s培地(インビトロジェン社製)で2〜3日培養し、0.02%EDTA溶液(ナカライテスク社製)で剥離した細胞をPBSで洗浄し、抗体の非特異的な吸着を避けるためにBSA−PBSを用いて、氷温中で20分ブロッキングした。1×10個/100μL/BSA−PBSとなるように96ウェルU字プレートに分注し、遠心分離(1800rpm、2分間)した後、上清を除いて一次抗体として被免疫マウス抗血清、ハイブリドーマ培養上清を50μL/ウェル分注し、氷温中で30分間反応させた。PBSを用いて遠心分離法で3回洗浄し、二次抗体としてALEXA488標識抗マウスイムノグロブリンG(H+L)(モレキュラープローブ社製)を20μL/ウェル加えて氷温で遮光下、30分間反応させた。再びPBSを用いて洗浄し、PBSに懸濁してレーザー光488nmArで励起される510〜530nmの波長をフローサイトメーター(ベックマンコールター社製)で測定した。
(2)−5 マウス骨髄腫細胞の調製
8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3X63Ag8U.1:P3−U1[ATCC CRL−1597:European Journal of Immunology,6,511(1976)]を正常培地(10%ウシ胎児血清添加RPMI培地)で培養し、細胞融合時に2×10個以上の細胞を確保し、細胞融合に供した。
(2)−6ハイブリドーマの作製
上記(2)−2で得られたマウス脾細胞と(2)−5で得られた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、遠心分離(250×g、5分間)した後、上清を捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリエチレングライコール−1000(PEG−1000)2g、MEM培地2mLおよびジメチルスルホキシド0.7mLの混液0.2〜1mL/10マウス脾細胞を加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2mLを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mLになるようにした。遠心分離(900rpm、5分間)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吸出しでゆるやかに細胞をHAT培地100mL中に懸濁した。
この懸濁液を96ウェル培養用プレートに200μL/ウェルずつ分注し、5%COインキュベーター中、37℃で10〜14日間培養した。培養後、培養上清を本参考例(2)−3および(2)−4に記載した蛍光抗体染色で調べ、PERP/CHO細胞に反応してCHO/DG44細胞に反応しないウェルを選び、そこに含まれる細胞から限界希釈法によるクローニングを2回繰り返し、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗PERP抗体産生ハイブリドーマKM3411(FERM BP−8643)を確立した。
図6には、ハイブリドーマKM3411の培養上清に含まれるモノクローナル抗体の、FMAT法におけるPERP/CHO細胞およびCHO/DG44細胞に対する反応性を示した。ハイブリドーマKM3411が生産するモノクローナル抗体KM3411は、PERP/CHO細胞にのみ特異的に反応した。
(2)−7 モノクローナル抗体の精製
プリスタン処理した8週令ヌード雌マウス(BALB/c)に参考例1(2)−5で得られたハイブリドーマ株を5〜20×10細胞/匹それぞれ腹腔内注射した。10〜21日後、ハイブリドーマが腹水癌化することにより腹水のたまったマウスから、腹水を採取(1〜8mL/匹)した。
該腹水を遠心分離(1200×g、5分間)し固形分を除去した。精製IgGモノクローナル抗体は、カプリル酸沈殿法[Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]により精製することにより取得した。サブクラスタイピングキットを用いたELISA法により、精製した抗PERPマウス抗体KM3411のサブクラスを決定したところ、抗PERPマウス抗体KM3411のサブクラスはIgG1であった。
(2)−8 モノクローナル抗体の反応性の検討―蛍光細胞染色(フローサイトメトリー)
上記(2)−4 に示した方法に従って行なった。結果を図7に示す。KM3411はPERP/CHO細胞および大腸癌細胞株Colo205に反応して、CHO/DG44細胞およびPERPmRNAが発現してないPC1には反応しなかった。
(参考例2) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗PERPキメラ抗体の作製
(1) PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、かつ該細胞外領域に結合する抗PERPマウス抗体の可変領域をコードするcDNAの単離、解析
(1)−1 抗PERPマウス抗体産生ハイブリドーマ細胞からのmRNAの調製
参考例1に記載のハイブリドーマKM3411より、mRNAの調製キットであるFast Track 2.0 Kit(Invitrogen社製)を用いて、添付の使用説明書に従い、ハイブリドーマ細胞4×10細胞より約39μgのmRNAを調製した。
(1)−2 抗PERPマウス抗体KM3411のH鎖およびL鎖可変領域の遺伝子クローニング
上記(1)−1で取得した抗PERPマウス抗体KM3411のmRNAの1μgから、BD SMARTTM RACE cDNA Amplification Kit(BD Biosciences社製)を用いて、添付の使用説明書に従い、5’側にキット添付のBD SMART IITM A Oligonucleotide配列を有するcDNAを取得した。そのcDNAを鋳型として、キット添付のユニバーサルプライマーAmixと、配列番号41で示したマウスIg(γ)特異的プライマーを用いてPCR反応を行いVHのcDNA断片を増幅した。またIg(γ)特異的プライマーの代わりに配列番号42で示したマウスIg(κ)特異的プライマーを用いてPCRを行いVLのcDNA断片を増幅した。
PCRは、94℃で5分間加熱後、94℃で15秒間、72℃で3分間からなる反応サイクルを5回、94℃で15秒間、70℃で30秒間、72℃で3分間からなる反応サイクルを5回、94℃で15秒間、68℃で30秒間、72℃で3分間からなる反応サイクルを30回それぞれ行った後、72℃で10分間反応させた。PCRはGeneAmp PCR system9700(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて行った。得られたPCR産物はH鎖、L鎖共に約500bpのサイズであった。
得られたPCR産物の塩基配列を決定するため、pBluescriptII SK(−)ベクター(Stratagene社製)をSmaIで消化して得られたDNAを約0.05pmolと、上記で得られたそれぞれのPCR産物約0.5pmolをTAKARA DNA Ligation Kit ver.2(宝酒造社製)のSolutionIを6μL、制限酵素SmaIを0.3μL入れ合計12.3μLとし、22℃で一晩、反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換した。形質転換株のクローンより各プラスミドDNAを調製し、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(PEバイオシステムズ社製)を用い添付の説明書に従って反応後、同社のシーケンサーABI PRISM3700により塩基配列を解析した。その結果、cDNAの5’末端に開始コドンと推定されるATG配列が存在する、完全長のH鎖cDNAを含むプラスミドpKM3411H#9およびL鎖cDNAを含むプラスミドpKM3411L#4が取得された。
(1)−3 抗PERPマウス抗体のV領域のアミノ酸配列の解析
プラスミドpKM3411H#9に含まれていたVHの全塩基配列を配列番号43に、該配列から推定された、シグナル配列を含んだ分泌型VHの全アミノ酸配列を配列番号37に、プラスミドpKM3411L#4に含まれていたVLの全塩基配列を配列番号44におよび該配列から推定された、シグナル配列を含んだ分泌型VLの全アミノ酸配列を配列番号38にそれぞれ示した。既知のマウス抗体の配列データ[SEQUENCES of Proteins of Immunological Interest, US Dept.Health and Human Services(1991)]との比較、並びに精製した抗PERPマウス抗体KM3411のH鎖およびL鎖のN末端アミノ酸配列をプロテインシーケンサー(島津製作所社製:PPSQ−10)を用いて解析した結果との比較から、単離した各々のcDNAは分泌シグナル配列を含む抗PERPマウス抗体KM3411をコードする完全長cDNAであり、H鎖については配列番号37に記載のアミノ酸配列の1から18番目が、L鎖については配列番号38に記載のアミノ酸配列の1から22番目が分泌シグナル配列であることが明らかとなった。
次に、抗PERPマウス抗体KM3411のVHおよびVLのアミノ酸配列の新規性について検討した。配列解析システムとしてGCG Package(version 9.1、Genetics Computer Group社製)を用い、既存の蛋白質のアミノ酸配列データベースをBLASTP法[Nucleic Acids Res.,25,3389(1997)]により検索した。その結果、VH、VLともに完全に一致するアミノ酸配列は認められず、抗PERPマウス抗体KM3411のVHおよびVLは新規なアミノ酸配列を有していることが確認された。
また、抗PERPマウス抗体KM3411のVHおよびVLのCDRを、既知の抗体のアミノ酸配列と比較することにより同定した。抗PERPマウス抗体KM3411のVHのCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を配列番号3、45および5に、VLのCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を配列番号11、12および13にそれぞれ示した。
(2) 抗PERPキメラ抗体の動物細胞を用いた安定発現
(2)−1 抗PERPキメラ抗体発現ベクターpKANTEX3411の構築
WO97/10354に記載のヒト化抗体発現用ベクターpKANTEX93と上記(1)−2で得られたプラスミドpKM3411H#9およびpKM3411L#4を用いて抗PERPキメラ抗体発現ベクターpKANTEX3411を以下のようにして構築した。
抗PERPマウス抗体KM3411のVHをコードするcDNAをPCR法によって得るために配列番号46と47の塩基配列を有する合成DNAを、VLをコードするcDNAを得るために配列番号48と49の塩基配列を有する合成DNAをそれぞれ設計、合成した。それぞれの合成DNA(ジェンセット社製)は5’末端にpKANTEX93へクローニングするための制限酵素認識配列を含んでいる。上記(1)−2で得られたプラスミドpKM3411H#9の20ngを50μLのKOD DNA Polymerase添付PCR Buffer #1(東洋紡績社製)、0.2mmol/L dNTPs、1mmol/L塩化マグネシウム、0.5μmol/Lの配列番号46と47に示される塩基配列の合成DNAを含む緩衝液に添加し、サーマルサイクラーを用いて、94℃で3分間加熱した後、2.5単位のKOD DNA Polymerase(東洋紡績社製)を添加し、94℃で30秒間、58℃で30秒間、74℃で1分間からなる反応サイクルを25サイクル行った。同様に、参考例2(1)−2で得られたプラスミドpKM3411L#4の20ngを50μLのKOD DNA Polymerase添付PCR Buffer#1(東洋紡績社製)、0.2mmol/L dNTPs、1mmol/L塩化マグネシウム、0.5μmol/Lの配列番号48と49でそれぞれ示される塩基配列の合成DNAを含む緩衝液に添加し、上記の方法でPCRを行なった。該反応液40μLをアガロースゲル電気泳動した後、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて、約0.47kbのVHのPCR産物、約0.45kbのVLのPCR産物をそれぞれ回収した。
次に、プラスミドpBluescriptII SK(−)(Stratagene社製)を制限酵素SmaI(宝酒造社製)で消化したDNA0.05pmolと、上記で得られたそれぞれのPCR産物約0.5pmolを滅菌水に加えて10μLとし、さらにTAKARA ligation kit ver.2のsolution I(宝酒造社製)10μL、制限酵素SmaI(宝酒造社製)0.5μLを加えて22℃で一晩にわたって反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換した。得られた形質転換株のクローンより各プラスミドDNAを調製し、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(PE Biosystems社製)を用いて添付の説明書に従って反応後、同社のDNAシーケンサーABI PRISM 3700により塩基配列を解析し、目的の塩基配列を有する図8に示したプラスミドpKM3411VH9およびpKM3411VL11が得られたことを確認した。
次にヒト化抗体発現用ベクターpKANTEX93と上記で得られたpKM3411VL11をそれぞれ制限酵素BsiWI(New England BioLabs社製)で消化後、引き続き制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化した。消化後の反応液をアガロースゲル電気泳動した後、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて、約0.45kbのVLのEcoRI−BsiWI断片と、約12.7kbのpKANTEX93のEcoRI−BsiWI断片をそれぞれ回収した。
得られた2種類の断片をLigation high(東洋紡績社製)を用いて添付の説明書に従って連結し、得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換した。得られた形質転換株のクローンより各プラスミドDNAを調製して制限酵素処理により確認し、目的の約0.45kbのEcoRI−BsiWI断片が挿入された、図9に示したプラスミドpKANTEX3411VLが得られたことを確認した。
次に、上記で得られたpKANTEX3411VLとpKM3411VH9をそれぞれ制限酵素ApaI(宝酒造社製)で消化後、引き続き制限酵素NotI(宝酒造社製)で消化した。消化後の反応液をアガロースゲル電気泳動した後、約13.2kbのpKANTEX3411VL由来のApaI−NotI断片、約0.47kbのpKM3411VH9由来のApaI−NotI断片をそれぞれ回収した。得られた2種類の断片をLigation high(東洋紡績社製)を用いて添付の説明書に従って連結し、得られた組換えプラスミドDNA溶液を用いて大腸菌DH5α株(東洋紡績社製)を形質転換した。得られた形質転換株のクローンより各プラスミドDNAを調製して制限酵素処理により確認し、目的の約0.47kbのApaI−NotI断片が挿入された、図9に示したプラスミドpKANTEX3411が得られたことを確認した。該プラスミドに関して、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(PE Biosystems社製)を用いて添付の説明書に従って反応後、同社のDNAシーケンサーABI PRISM 3700により塩基配列を解析した結果、目的のKM3411のVHをコードするcDNAおよびVLをコードするcDNAがそれぞれクローニングされたプラスミドが得られたことを確認した。
(2)−2 抗PERPキメラ抗体の動物細胞での発現
上記(2)−1で得られた抗PERPキメラ抗体発現ベクターpKANTEX3411を用いて抗PERPキメラ抗体の動物細胞での発現を、常法[Antibody Engineering,A Practical Guide,W.H.Freeman and Company(1992)]により行い、pKANTEX3411が導入された形質転換株KM3481を取得した。
(3) 精製抗体の取得
上記(2)−2で得られた形質転換株を、通常の培養法で培養した後、細胞懸濁液を回収し、3000rpm、4℃の条件で5分間の遠心分離を行って培養上清を回収した後、培養上清は0.22μm孔径MillexGVフィルター(ミリポア社製)を用いて濾過滅菌した。得られた培養上清よりMab Select(アマシャム・バイオサイエンス社製)カラムを用いて、添付の説明書に従い、抗PERPキメラ抗体KM3481を精製した。
得られた抗PERPキメラ抗体KM3481の精製標品の精製度および発現分子サイズを、グラジュエントゲル(ATTO社製、カタログ番号:E−T520L)を用いて、添付の説明書に従い、SDS−PAGEにより確認した。抗PERPマウス抗体KM3411を対照として同時に泳動した。
結果を図10に示した。精製した抗PERPキメラ抗体KM3481は、非還元条件下では分子量が約150キロダルトン(以下、Kdと表記する)の1本のバンドが、還元条件下では約50Kdと約25Kdの2本のバンドが認められた。これらの分子量は、IgGクラスの抗体は、非還元条件下では分子量は約150Kdであり、還元条件下では分子内のS−S結合が切断され、約50Kdの分子量を持つH鎖と約25Kdの分子量を持つL鎖に分解されるという報告[Antibodies−A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 14(1988)、Monoclonal Antibodies−Principles and Practice, Academic Press Limited(1996)]と一致し、抗PERPキメラ抗体KM3481が正しい構造の抗体分子として発現されていることが確認された。
本発明によると、V領域にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する、遺伝子組換え抗体または抗体断片、該遺伝子組換え抗体または該抗体断片を用いる癌の治療薬、該遺伝子組換え抗体または該抗体断片をコードするDNA、該DNAを含んでなるベクター、該ベクターを形質転換して得られる形質転換体または該形質転換体を培養することを含む抗体の製造方法が提供される。

Claims (19)

  1. 抗体の可変領域(以下、V領域と記す)にN結合型糖鎖が結合するコンセンサス配列を有さない、PERP遺伝子によりコードされるポリペプチドの細胞外領域の立体構造を特異的に認識し、該細胞外領域に結合する遺伝子組換え抗体または抗体断片であって、該抗体の重鎖可変領域(以下、VHと記す)の相補性決定領域(Complementarity Determining Region;以下、CDRと記す)1およびCDR3が、それぞれ配列番号3および5で示されるアミノ酸配列を含み、かつCDR2が、配列番号4、6、8および9から選ばれるいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含み、抗体の軽鎖可変領域(以下、VLと記す)のCDR1、2および3が、それぞれ配列番号11、12および13で示されるアミノ酸配列を含む遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  2. 遺伝子組換え抗体がヒト型キメラ抗体であって、VHが配列番号14、15、16および18から選ばれるいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含む、請求項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  3. 遺伝子組換え抗体がヒト型キメラ抗体であって、VLが配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む、請求項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  4. 遺伝子組換え抗体がヒト型キメラ抗体であって、VHが配列番号14、15、16および18から選ばれるいずれか1つで示されるアミノ酸配列を含み、かつ、VLが配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む、請求項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  5. 遺伝子組換え抗体がヒト化抗体であって、VHが配列番号30、31、32および34から選ばれるいずれか1つで示されるアミノ酸配列または配列番号30、31、32および34から選ばれるいずれか1つで示されるアミノ酸配列の27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含む、請求項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  6. 遺伝子組換え抗体がヒト化抗体であって、VLが配列番号36で示されるアミノ酸配列または配列番号36で示されるアミノ酸配列の3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含む、請求項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  7. 遺伝子組換え抗体がヒト化抗体であって、VHが配列番号30、31、32および34から選ばれるいずれか1つで示されるアミノ酸配列または配列番号30、31、32および34から選ばれるいずれか1つで示されるアミノ酸配列の27番目のGlyをPheに、30番目のSerをThrに、41番目のProをPheに、44番目のLysをAsnに、45番目のGlyをArgに、49番目のIleをMetに、72番目のValをArgに、および97番目のAlaをThrに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含み、かつ、ヒト化抗体のVLが、配列番号36で示されるアミノ酸配列または配列番号36で示されるアミノ酸配列の3番目のGlnをValに、5番目のThrをIleに、35番目のTyrをPheに、42番目のAlaをSerに、46番目のLeuをTrpに、69番目のAspをSerに、70番目のPheをTyrに、71番目のThrをSerに、および77番目のLeuをMetに置換する改変から選ばれる少なくとも1つの改変が導入されたアミノ酸配列を含む、請求項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  8. 遺伝子組換え抗体がヒト化抗体であって、VHが配列番号51〜56のいずれか1つに示されるアミノ酸配列の19〜130番目のアミノ酸配列を含む、請求項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  9. 遺伝子組換え抗体がヒト化抗体であって、VLが配列番号58〜63のいずれか1つに示されるアミノ酸配列の23〜128番目のアミノ酸配列を含む、請求項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  10. 遺伝子組換え抗体がヒト化抗体であって、VHが配列番号51〜56のいずれか1つに示されるアミノ酸配列の19〜130番目のアミノ酸配列を含み、かつヒト化抗体のVLが、配列番号58〜63のいずれか1つに示されるアミノ酸配列の23〜128番目のアミノ酸配列を含む、請求項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  11. ハイブリドーマKM3411(FERMBP−8643)から生産されるモノクローナル抗体が認識するエピトープに結合する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  12. 抗体断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)およびCDRを含むペプチドから選ばれる抗体断片である請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗体断片。
  13. 該立体構造が、配列番号2で示されるアミノ酸配列の40番目のAsp、62番目のGluおよび63番目のGluを少なくとも含む立体構造である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片をコードするDNA。
  15. 請求項14に記載のDNAを含有する組換え体ベクター。
  16. 請求項15に記載の組換え体ベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換株。
  17. 請求項16に記載の形質転換株を培地に培養し、培養物中に請求項1〜14のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片を生成蓄積させ、培養物から該抗体または該抗体断片を採取することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片の製造方法。
  18. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の遺伝子組換え抗体または抗体断片を有効成分として含有するPERP遺伝子が関与する疾患の治療剤。
  19. PERP遺伝子が関与する疾患が癌である、請求項18に記載の治療剤。
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