JP3565572B2 - ヒト化抗体 - Google Patents

ヒト化抗体 Download PDF

Info

Publication number
JP3565572B2
JP3565572B2 JP22143293A JP22143293A JP3565572B2 JP 3565572 B2 JP3565572 B2 JP 3565572B2 JP 22143293 A JP22143293 A JP 22143293A JP 22143293 A JP22143293 A JP 22143293A JP 3565572 B2 JP3565572 B2 JP 3565572B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
added
dna
units
antibody
human
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22143293A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06205694A (ja
Inventor
和靖 中村
正道 小池
研也 設楽
陳雄 花井
良寿 桑名
護 長谷川
Original Assignee
協和醗酵工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 協和醗酵工業株式会社 filed Critical 協和醗酵工業株式会社
Priority to JP22143293A priority Critical patent/JP3565572B2/ja
Publication of JPH06205694A publication Critical patent/JPH06205694A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3565572B2 publication Critical patent/JP3565572B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ガングリオシドGMに反応するヒト化抗体に関する。ヒト化抗体は、マウスモノクローナル抗体に比べて患者体内で抗マウスイムノグロブリン抗体ができないため、副作用が減少し、血中半減期も伸び、さらには抗腫瘍エフェクター効果も増大する。従って、ヒト化抗体はヒト癌の治療等においてマウスモノクローナル抗体より優れた治療効果が得られると期待される。
【0002】
【従来の技術】
一般にマウス抗体をヒトに投与すると、異物として認識されることによりヒト体内に抗マウスイムノグロブリン抗体ができてしまい、投与されたマウス抗体と反応し、副作用を引き起こしたり〔ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(J.Clin.Oncol.),2,881(1984) 、ブラッド(Blood),65,1349(1985) 、ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(J.Natl.Cancer Inst.),80,932(1988)、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.),82,1242(1985) 〕、抗体がはやくクリアランスされ〔ジャーナル・オブ・ニュクレアー・メディシン(J.Nucl.Med.),26,1011(1985) 、ブラッド(Blood),65,1349(1985) 、ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(J.Natl.Cancer Inst.),80,937(1988)〕、その効果を減じてしまうことが知られている〔ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.), 135, 1530(1985) 、キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),46, 6489(1986)〕。これらの問題点を解決するため、遺伝子組換え技術を利用してマウス型モノクローナル抗体をヒト型キメラ抗体あるいはCDR(相補性決定部位;Complementarity Determining Region)移植抗体(再形成ヒト抗体)のようなヒト化抗体にすることが試みられている。ヒト型キメラ抗体は、抗体可変領域はマウス由来で定常領域はヒト由来である抗体であり〔プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.),81, 6851(1984)〕、ヒトに投与した場合、ヒト抗マウスイムノグロブリン抗体はほとんど惹起されず、血中半減期が6倍のびることが報告されている〔プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.),86, 4220(1989)〕。CDR移植抗体はヒト抗体のCDRのみをヒト以外の動物由来のCDRに置換した抗体であり〔ネイチャー(Nature), 321, 522(1986)〕、サルを用いた実験でマウス抗体に比べ免疫原性が低下し、血中半減期が4〜5倍伸びることが報告されている〔ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.), 147, 1352(1991) 〕。
【0003】
また、抗体の殺細胞活性に関してもマウス抗体Fc領域に比べヒト抗体Fc領域の方がヒト補体やヒトエフェクター細胞を活性化することが報告されている。例えば、ガングリオシドGD に対するマウスモノクローナル抗体は、ヒト抗体Fc領域を持つキメラ抗体に変換するとヒトエフェクター細胞を介した抗腫瘍効果が上昇することが報告されているし〔ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.), 144, 1382(1990) 〕、CDR移植抗体についても同様の結果が報告されている〔ネイチャー(Nature),332, 323(1988) 〕。このような結果は、ヒトの臨床に使われるモノクローナル抗体はヒト化抗体の方がマウスモノクローナル抗体より好ましいことを示している。
【0004】
抗体のクラスには、IgA 、IgM 、IgG 、IgD 、IgE があり、さらにIgG はマウスの場合IgG、IgG2a 、IgG2b 、IgG(ヒトではIgG、IgG、IgG、IgG) の4つのサブクラスに分かれる。動物に抗原を投与した場合、作られる抗体はほとんどの場合IgM かIgG である。IgG は分子量およそ16万で2量体構造を持ち、比較的扱いやすい分子である。IgM は分子量がおよそ90万という大きな分子であり、J鎖でつながれた複雑な5量体構造で存在しているため、精製が困難であること、凝集を起こしやすく保存が難しいこと、蛋白分解酵素による部分分解で失活しやすくFab を作製することが難しいこと、抗癌剤や毒素などを化学結合させるなどの化学修飾すると結合活性を失う場合が多いことなどの欠点がある〔モノクローナル抗体:原理と実技 (Monoclonal Antibodies:Principles and Practice),J.W.Goding 著, Academic Press, 1986〕。また、癌に対する治療効果においてIgG クラスのモノクローナル抗体とIgM クラスのモノクローナル抗体のどちらが優れているかについては、バーンスタイン(Bernstein) らがリンパ球のThy−1 抗原に対するIgG クラスとIgM クラスのモノクローナル抗体を用いて詳細に検討している〔モノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies),R.H.Kennet, T.J.McKearnand K.B.Bechtol編集,Plenum Press, 1980, p.275)〕。それによると、Thy−1 抗原陽性リンパ球に対し同じ強さの反応性を有するIgG クラスとIgM クラスのモノクローナル抗体の抗腫瘍効果を比べた結果、in vitroの補体依存性抗腫瘍効果はIgM モノクローナル抗体が優れていたにもかかわらず、担癌マウスを用いて調べたin vivo の抗腫瘍効果では、IgG クラスのモノクローナル抗体に有意な抗腫瘍効果が認められたのに対し、IgM クラスのモノクローナル抗体には抗腫瘍効果が認められなかった。さらに、マウスにアイソトープで標識したモノクローナル抗体を投与して血中半減期を調べたところ、IgG クラスのモノクローナル抗体に比べIgM クラスのモノクローナル抗体の血中半減期が非常に短いことが明らかになった。このような結果は、ヒトの臨床に使われるモノクローナル抗体はIgG クラスが好ましいことを示している。
【0005】
ガングリオシドは動物の細胞膜を構成している糖脂質の1種で、親水性側鎖である糖鎖と、疎水性側鎖であるスフィンゴシンおよび脂肪酸とから構成される分子である。ガングリオシドの種類と発現量は、細胞種、臓器種、動物種等によって異なることが知られている。さらに細胞が癌化する過程においては、発現しているガングリオシドが量的および質的に変化を起こすことが明らかになった〔キャンサー・リサーチ(Cancer Res.), 45, 2405(1985)〕。例えば、悪性度が高いといわれている神経外胚葉系腫瘍である神経芽細胞腫、肺小細胞癌およびメラノーマでは、正常細胞にはほとんど認められないガングリオシドGD,GD,GM等が発現していることが報告されている〔ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(J.Exp.Med.), 155, 1133(1982) 、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.), 257,12752(1982) 、キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),47, 225(1987) 、同, 47,1098(1987) 、同, 45,2642(1985) 、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.),80,5392(1983) 〕。
【0006】
シアル酸をもつ糖脂質であるガングリオシドの一種であるGMは、正常細胞にはごく微量にしか存在しないが、肺小細胞癌、メラノーマ、神経芽細胞腫などの癌細胞では多量に存在し、GMに対するモノクローナル抗体は、これらの癌の治療に有用であると考えられている〔ランセット(Lancet), 48, 6154(1988) 〕。しかし、現在までに報告されているGMに対するモノクローナル抗体は、ヒトIgM クラスであるか、ラットIgM クラス、マウスIgM クラスおよびマウスIgG クラスである〔キャンサー・リサーチ(Cancer Res. ),46, 4116(1986) 、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A), 79, 7629 (1982)、キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),48, 6154 (1988) 、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem),264, 12122 (1989) 〕。
【0007】
抗ガングリオシドGMモノクローナル抗体についても、ヒト型キメラ抗体あるいはCDR移植抗体等のヒト化抗体ができれば、これを使用するに際しては、患者体内で抗マウスイムノグロブリン抗体ができず、副作用が減少し、血中半減期も伸び、さらには抗腫瘍エフェクター効果も増大し、マウスモノクローナル抗体より優れた治療効果が得られると期待される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、神経外胚葉系由来の癌等の治療等に有用なガングリオシドGMに対するヒト化抗体(以下、抗GMヒト化抗体と略記する)を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、特願平03−077518 に出願されているIgGクラスに属するガングリオシドGMに対するマウスモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマKM750,KM796 ならびにIgM クラスに属するガングリオシドGMに対するラットモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマKM603 より抗体重鎖(以下、H鎖と略記する)可変領域(以下、Vと略記する)cDNAおよび軽鎖(以下、L鎖と略記する)可変領域(以下、Vと略記する)cDNAを取得し、ヒト抗体H鎖定常領域(以下、Cと略記する)またはヒト抗体L鎖定常領域(以下、Cと略記する)をコードするcDNAを有する動物細胞用発現ベクターに挿入してヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより抗ガングリオシドGM ヒト型キメラ抗体を発現させた。そのうち配列番号1に示したアミノ酸配列のうちの1〜120番目のアミノ酸配列をH鎖可変領域に含み、配列番号2に示したアミノ酸配列のうちの1〜107番目のアミノ酸配列をL鎖可変領域に含む抗ガングリオシドGM ヒト型キメラ抗体KM966 がガングリオシドGMに反応し殺細胞活性を示すことを見いだし、本発明を完成させた。
【0010】
本発明はガングリオシドGMに反応するヒト化抗体に関する。本発明のヒト化抗体はいずれのイムノグロブリン(Ig)クラスに属するものでもよいがIgG 型のものが好適である。本発明においてヒト化抗体とは、ヒト型キメラ抗体およびCDR移植抗体を意味する。このうちヒト型キメラ抗体とは、ヒト以外の動物の抗体のVおよびVとヒトの抗体のCおよびCとからなるヒト型キメラ抗体を意味し、CDR移植抗体とは、ヒトの抗体のVおよびVのCDRをヒト以外の動物の抗体のVおよびVにそれぞれ置換した抗体を意味する。
【0011】
ヒト型キメラ抗体の具体例としては、抗体のVが配列番号1記載のアミノ酸配列のうちの1〜120番目のアミノ酸配列を含み、Vが配列番号2記載のアミノ酸配列のうちの1〜107番目のアミノ酸配列を含む抗体があげられる。
CDR移植抗体の具体例としては、抗体のVのCDRが配列番号6、7および8記載のアミノ酸配列を含み、VのCDRが配列番号9、10および11記載のアミノ酸配列を含む抗体があげられる。
【0012】
ヒト化抗体のうちヒト型キメラ抗体は以下のようにして製造することができる。
(1) ヒト以外の動物の抗体のVおよびVをコードするcDNAの取得
ヒト以外の動物の抗体、例えば、マウス抗GM2 モノクローナル抗体のVおよびVをコードするcDNAを以下のようにして取得する。
【0013】
マウス抗GMモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞、例えば、マウス抗GMモノクローナル抗体KM796 産生ハイブリドーマ細胞等よりmRNAを抽出し、cDNAを合成する。合成したcDNAを、ベクターとしてファージあるいはプラスミドを用いてライブラリーを作成する。該ライブラリーより、ヒト以外の動物の抗体、例えば、マウス抗体の定常領域部分あるいは可変領域部分をプローブとして用い、VをコードするcDNAを有する組換えファージあるいは組換えプラスミド、およびVをコードするcDNAを有する組換えファージあるいは組換えプラスミドを得、組換えファージあるいは組換えプラスミド上のVをコードするcDNAおよびVをコードするcDNAの塩基配列を決定する。
【0014】
(2) ヒト型キメラ抗体発現用ベクターの構築
ヒト型キメラ抗体H鎖およびL鎖発現用ベクターとは、それぞれヒトCおよびCをコードするcDNAが組み込まれた動物細胞用発現ベクターであり、動物細胞用発現ベクターにヒトCおよびCをコードするcDNAをそれぞれ挿入することにより構築する。動物細胞用発現ベクターとしては、ヒト抗体定常領域をコードするcDNAを組込み発現できるものであればいかなるものでも用いることができる。例えば、pAGE107 〔サイトテクノロジー(Cytotechnology), 3,133(1990) 〕、pAGE103 〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Biochem.),101,1307 (1987)〕、pHSG274 〔ジーン(Gene),27 ,223(1984)〕、pKCR〔プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.),78,1527(1981) 〕、pSG1βd2−4〔サイトテクノロジー(Cytotechnology),4,173(1990)〕等があげられる。動物細胞用発現ベクターに用いるプロモーターとエンハンサーとしては、SV40の初期プロモーターとエンハンサー〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Biochem.)101,1307(1987)〕、モロニーマウス白血病ウイルスのLTR プロモーターとエンハンサー〔バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Comun., 149, 960(1987) 〕、免疫グロブリンH鎖のプロモーター〔セル(Cell),41,479 (1985)〕とエンハンサー〔セル(Cell),33,717 (1983)〕等があげられる。
【0015】
(3) ヒト型キメラ抗体発現ベクターの構築
次に、(2) で得られたヒト型キメラ抗体H鎖およびL鎖発現用ベクターのヒト定常領域の上流に、ヒト以外の動物の抗体の可変領域をコードするcDNAを挿入するためのクローニングサイトを設ける。このクローニングサイトにヒト以外の動物の抗体の可変領域をコードするcDNAを、ヒト抗体の定常領域の5’末端側の塩基配列とヒト以外の動物の可変領域の3’末端側の塩基配列とからなり、制限酵素部位を両端に有する合成DNAを用いて挿入することにより、該合成DNAを介してヒト抗体定常領域をコードするcDNAとヒト以外の動物の抗体の可変領域をコードするcDNAとが結合挿入されたヒト型キメラ抗体発現ベクターを製造することができる。ここで用いる合成DNAは、ヒト抗体の定常領域の5’末端側の塩基配列とヒト以外の動物の可変領域の3’末端側の塩基配列に基づいて、DNA合成機を用いて製造する。
【0016】
(4) ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターの構築
ヒト型キメラ抗体H鎖発現用ベクターは、例えば、ヒト抗体CをコードするcDNAを、5’末端付近のApa I部位より3’末端まで切り出し、動物細胞用発現ベクターに挿入することにより構築する。このヒト型キメラ抗体H鎖発現用ベクターに、ヒト以外の動物のVをコードするcDNAを挿入するためのクローニングサイトを設け、このクローニングサイトに、ヒト抗体Cの5’末端からApa I部位までの塩基配列とヒト以外の動物の抗体のVの3’末端側の塩基配列とからなり、制限酵素部位を両端に有する合成DNAを用いて、適当な制限酵素により切り出したヒト以外の動物の抗体のVをコードするcDNAを挿入することで、発現したときにVのアミノ酸配列に変化を生じないようなヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターを取得する。
【0017】
(5) ヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクターの構築
ヒト型キメラ抗体L鎖発現用ベクターは、例えば、ヒト抗体CをコードするcDNAを、5’末端付近に突然変異誘発によりEcoRV 部位を導入し、EcoRV 部位より3’末端まで切り出し、プラスミドpIg1SE1d4 等のプラスミドに挿入することにより構築する。このヒト型キメラ抗体L鎖発現用ベクターに、ヒト以外の動物の抗体のVをコードするcDNAを挿入するためのクローニングサイトを設け、このクローニングサイトに、ヒト抗体Cの5’末端からEcoRV部位までの塩基配列とヒト以外の動物の抗体のVの3’末端側の塩基配列とからなり、制限酵素部位を両端に有する合成DNAを用いて、適当な制限酵素により切り出したヒト以外の動物の抗体のVをコードするcDNAを挿入することで、発現したときにVのアミノ酸配列に変化を生じないようなヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクターを取得する。
【0018】
(6) ヒト型キメラ抗体発現ベクターの宿主細胞への導入
ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターとヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクターとを宿主細胞に導入することによりヒト型キメラ抗体を生産する形質転換株を得ることができる。宿主細胞への導入に際しては、ヒト型キメラ抗体H鎖およびL鎖発現ベクターにスプライシングシグナル(Splicing signal) 等を導入することにより、mRNAを安定化させることができる〔セル(Cell),17 ,737(1979)〕。
【0019】
宿主細胞への導入法としては、ヒト型キメラ抗体H鎖およびL鎖発現ベクターをエレクトロポレーション法〔特開平2−257891、サイトテクノロジー(Cytotechnology),3,133(1990)〕等により同時に宿主細胞に導入する方法とヒト型キメラ抗体H鎖およびL鎖をコードする遺伝子を含む発現ベクター(タンデム発現ベクター)を構築し、これを宿主細胞に導入する方法〔バイオテクノロジー(BIO/TECHNOLOGY),9,64(1991) 〕等があげられる。とくに、タンデム発現ベクターを用いる方法の方が、ヒト型キメラ抗体の発現量が高く、また、H鎖とL鎖の発現量がほぼ一致する等の理由から好ましい。
【0020】
次に、ヒト化抗体のうち、CDR移植抗体の製造法を説明する。
まず、CDR移植抗体発現ベクターをWinterらの方法〔ネイチャー(Nature),332, 323(1988) 〕に従って以下のようにして構築する。
ヒト以外の動物の抗体のVの3つのCDRのペプチド、例えば、配列番号6、7および8記載のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするcDNAの両端にそれぞれヒト抗体のVの対応するCDRの両端の数個のアミノ酸配列をコードするDNAを有するように設計された3つの合成DNAをプライマーとし、ヒト抗体のVを有するプラスミドを鋳型としてDNAの合成を行う。ヒト抗体Vを有するプラスミドとしては、ヒト抗体NEW由来の配列を有するM13 プラスミド〔ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem),253 ,585(1978)、ネイチャー(Nature),332,323(1988)〕等があげられる。
【0021】
得られたDNAを前記したヒト型キメラ抗体発現ベクターの構築法と同様にしてヒト型キメラ抗体H鎖発現用ベクターに挿入することにより、CDR移植抗体H鎖発現ベクターを構築する。
同様に、ヒト以外の動物の抗体のVの3つのCDRのペプチド、例えば、配列番号9、10および11記載のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするcDNAの両端にそれぞれヒト抗体のVの対応するCDRの両端の数個のアミノ酸配列をコードするDNAを有するように設計された3つの合成DNAをプライマーとし、ヒト抗体のVを有するプラスミドを鋳型としてDNAの合成を行う。ヒト抗体Vを有するプラスミドとしては、ヒトミエローマタンパク質(Bence−Jonesprotein)REI由来の配列を有するM13 プラスミド〔ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Eur.J.Biochem),45 ,513(1974) 、ネイチャー(Nature),332,323(1988)〕等があげられる。
【0022】
得られたDNAを前記したヒト型キメラ抗体発現ベクターの構築法と同様にしてヒト型キメラ抗体L鎖発現用ベクターに挿入することにより、CDR移植抗体L鎖発現ベクターを構築する。
また、CDR移植抗体H鎖およびL鎖発現ベクターはヒト抗体のH鎖およびL鎖のそれぞれの3つのCDRをヒト以外の動物の抗体のH鎖およびL鎖の対応するCDRにそれぞれ置換したアミノ酸配列を含むペプチドをコードするDNAを合成し、前記したヒト型キメラ抗体発現ベクターの構築法と同様にしてヒト型キメラ抗体H鎖またはL鎖発現用ベクターに挿入することにより構築することもできる。
【0023】
CDR移植抗体発現ベクターは、ヒト型キメラ抗体発現べクターと同様にして宿主細胞に導入することにより、CDR移植抗体を生産する形質転換株を得ることができる。
ヒト型キメラ抗体またはCDR移植抗体発現ベクターを導入する宿主細胞としては、ヒト型キメラ抗体またはCDR移植抗体を発現させることができる宿主細胞であれば、いかなる細胞でも用いることができる。例えば、マウスSP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL1581、以下SP2/0 細胞と略記する)、マウスP3X63−Ag8.653 細胞(ATCC CRL1580)、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(以下dhfrと略記する)が欠損したCHO細胞〔ウルラウブ(Urlaub)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,77,4216,(1980)〕、ラットYB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞(ATCC CRL1662、以下YB2/0 細胞と略記する)等があげられる。
【0024】
ヒト型キメラ抗体およびCDR移植抗体を生産する形質転換株は、特開平2−257891に開示されている方法に従い、G418および牛胎児血清を含むRPMI1640培地により選択する。ヒト型キメラ抗体を生産する形質転換株の具体例としては、ガングリオシドGMに反応するヒト型キメラ抗体を生産する形質転換株であるKM966 があげられる。KM966 は平成4年7月15日付で、工業技術院微生物工業技術研究所にFERM BP−3931として寄託されている。
【0025】
得られた形質転換株を培地中で培養することで培養液中にヒト型キメラまたはCDR移植抗体を生成蓄積させることができる。培養液中のヒト型キメラ抗体およびCDR移植抗体の活性は酵素免疫抗体法(ELISA 法: 抗体実験マニュアル、E.Harlowら編、Cold Spring Harbor Laboratory 刊、1988年)により測定する。形質転換株は、特開平2−257891に開示されている方法に従い、dhfr増幅系を利用して抗体の生産量を上昇させることができる。
【0026】
ヒト型キメラ抗体およびCDR移植抗体は、上記培養液の上清よりプロテインAカラムを用いて精製することができる(抗体実験マニュアル、E.Harlowら編、Cold Spring Harbor Laboratory 刊、1988年)。このようにして得られるヒト型キメラ抗体およびCDR移植抗体の具体例としては、ガングリオシドGMに反応するヒト型キメラ抗体KM966 等があげられる。
【0027】
ヒト型キメラ抗体およびCDR移植抗体の反応性はELISA 法等で測定する。精製した抗体のH鎖、L鎖あるいは抗体分子全体の分子量は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)やウエスタンブロッティング法(抗体実験マニュアル、E.Harlowら編、Cold Spring Harbor Laboratory 刊、1988年)等で測定する。ガングリオシドGMに反応するヒト型キメラ抗体またはCDR移植抗体の培養癌細胞株に対する結合活性は、蛍光抗体法、ELISA 法等により測定する。ヒト型キメラ抗体またはCDR移植抗体の培養癌細胞株に対する補体依存性殺細胞活性(CDC 活性)、抗体依存性細胞障害活性(ADCC活性)は、免疫学実験入門(松橋ら、学会出版センター刊、1981年)記載の方法により測定する。
【0028】
本発明のヒト化抗体はヒト癌細胞と特異的に結合し、ヒト癌細胞に対してCDC 活性およびADCC活性を示すため、ヒト癌の治療等において有用である。
本発明のヒト化抗体は、単独でまたは少なくとも1種以上の製剤上許容される補助剤と共に抗腫瘍組成物として用いることができる。例えば、ヒト化抗体を、生理食塩水やグルコース、ラクトース、マンニトール等の水溶液に溶解して適当な医薬組成物とする。または、ヒト化抗体を常法に従って凍結乾燥し、これに塩化ナトリウムを加えることによって粉末注射剤を作成する。本医薬組成物は必要に応じ、製剤分野で周知の添加剤、例えば、製剤上許容される塩等を含有することができる。
【0029】
本組成物の投与量は、患者の年齢、症状等によって異なるが、ヒトを含む哺乳動物に対し、ヒト化抗体を0.2 〜20mg/kg/日投与する。投与は、一日一回(単回投与または連日投与)または間歇的に1週間に1〜3回、2、3週間に1回静脈注射により行う。
本組成物は、ヒトを含む哺乳動物のメラノーマ、神経芽細胞腫等の腫瘍の治療に効果が期待される。
【0030】
以下に、本発明の実施例および参考例を示す。
【0031】
【実施例】
実施例1 抗GM ヒト型キメラ抗体の製造
1.マウス抗GM モノクローナル抗体KM−796、KM−750産生ハイブリドーマ細胞およびラット抗GM モノクローナル抗体KM−603産生ハイブリドーマ細胞からのmRNAの取得
インビトロジェン社製のmRNA抽出キットであるFast Track(商品番号K1593−02)を用い、キットに添付の使用説明書に従って、マウス抗GM モノクローナル抗体KM−796産生ハイブリドーマ株(FERM BP−3340)、マウス抗GM モノクローナル抗体KM−750産生ハイブリドーマ株(FERM BP−3339)、およびラット抗GM モノクローナル抗体KM−603産生ハイブリドーマ株(FERM BP−2636)の1×10 細胞より、それぞれmRNAを取得した。
【0032】
2.モノクローナル抗体KM−796、KM−750のH鎖およびL鎖cDNAライブラリーの作製
上記1項で取得したKM−796およびKM−750のmRNAの各5μg から、ファルマシア社製のcDNA Synthesis Kit( 商品番号 27−9260−01)を用い、キットに添付の使用説明書に従って、両端にEcoRIアダプターを有するcDNAを合成した。作製したそれぞれのcDNAの約6μg を10μl の滅菌水に溶解後、アガロースゲル電気泳動にて分画し、IgG 型抗体のH鎖に対応する約1.8kb のcDNA断片とL鎖に対応する約1.0kb のcDNA断片をそれぞれ約0.1 μg 回収した。次に、各々の約1.8kb のcDNA断片0.1 μg および約1.0kb のcDNA断片0.1 μg と、Lambda ZAPIIベクター〔Lambda ZAPIIベクターをEcoRIで切断後、ウシ腸アルカリフォスファターゼ(Calf Intestine Alkaline Phosphataseで) 処理したもの:ストラタジーン社製〕1 μg をT4リガーゼ緩衝液11.5μl に溶解し、T4 DNAリガーゼ175 単位を加えて、12℃にて24時間インキュベートし、さらに室温にて2時間インキュベートした。各々の反応液のうち4μl を常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、2.95、Cold Spring Harbor Laboratory 1989刊行〕に従い、ギガパックゴールド(ストラタジーン社製)を使用してラムダファージにパッケージングし、これらを常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、2.95−107、Cold Spring Harbor Laboratory 1989刊行〕に従って、ギガパックゴールドに付属の大腸菌株XL1−Blue〔バイオテクニクス(Biotechniques),,376(1987)〕に感染させて、KM−796,KM−750 のH鎖cDNAライブラリーおよびL鎖cDNAライブラリーとしてそれぞれ約4千個のファージクローンを取得した。次に各々のファージを常法に従い、ニトロセルロースフィルター上に固定した〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、2.112 、Cold Spring HarborLaboratory 1989刊行〕。
【0033】
3.KM−603のH鎖およびL鎖cDNAライブラリーの作製
上記1項で取得したKM−603のmRNAの5μg から、ファルマシア社製のcDNA Synthesis Kit(商品番号 27−9260−01)を用いて、両端にEcoRIアダプターを有するcDNAを合成した。作製したcDNAの約6μg を10μl の滅菌水に溶解後、アガロースゲル電気泳動にて分画し、IgM 型抗体のH鎖に対応する約2.2kb のcDNA断片とL鎖に対応する約1.0kb のcDNA断片をそれぞれ約0.1 μg 回収した。次に、約2.2kb のcDNA断片0.1 μg および約1.0kb のcDNA断片0.1 μg と、Lambda ZAPIIベクター〔Lambda ZAPIIベクターをEcoRIで切断後、 ウシ腸アルカリフォスファターゼ(Calf Intestine Alkaline Phosphatase) で処理したもの:ストラタジーン社製〕1μg をT4リガーゼ緩衝液11.5μl に溶解し、T4 DNAリガーゼ175 単位を加えて、12℃にて24時間インキュベートし、さらに室温にて2時間インキュベートした。これら反応液のうち4μl を常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、2.95、Cold Spring Harbor Laboratory 1989刊行〕に従い、ギガパックゴールド(ストラタジーン社製)を使用し、ラムダファージにパッケージングし、これを常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、2.95−107、ColdSpring Harbor Laboratory 1989刊行〕に従って、ギガパックゴールドに付属の大腸菌株XL1−Blueに感染させて、KM−603のH鎖cDNAライブラリーおよびL鎖cDNAライブラリーとしてそれぞれ約1万個のファージクローンを取得した。次にファージを常法に従い、ニトロセルロースフィルター上に固定した〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、2.112 、Cold Spring Harbor Laboratory 1989刊行〕。
【0034】
4.KM−796およびKM−750のH鎖およびL鎖cDNAのクローニング
2項で作製したKM−796、KM−750のH鎖cDNAライブラリーおよびL鎖cDNAライブリーより、常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、2.108 、Cold Spring Harbor Laboratory 1989年刊行〕に従い、マウス免疫グロブリンの定常領域のcDNA〔H鎖はマウスCr3 cDNAのBamHI−XhoI断片(Wels ら:EMBO J., 3,2041−2046,1984) 、L鎖はマウスCk cDNA のHpaI−XhoI 断片(Hieter ら:Cell , 22,197−207,1980)〕を32Pで標識したプローブを用いて、プローブに65℃で強く結合したファージクローンを取得した。次に、ストラタジーン社製のcDNA合成キットであるZAP−cDNA Synthesis Kit(商品番号sc200400) を用いて、ファージクローンをプラスミドpBluescript に変換し、KM−796のH鎖cDNAを含む組換えプラスミドpKM796H1およびKM−796のL鎖cDNAを含む組換えプラスミドpKM796L1(図1)、KM−750のH鎖cDNAを含む組換えプラスミドpKM750H1およびKM−750のL鎖cDNAを含む組換えプラスミドpKM750L1(図2)を取得した。pKM796H1,pKM750H1 およびpKM796L1,pKM750L1 をEcoRIを用いて切断したところ、pKM796H1およびpKM750H1には約1.8kb のcDNA断片が、pKM796L1およびpKM750L1には約0.9kb のcDNA断片がそれぞれ挿入されていた。
【0035】
5.KM−603のH鎖およびL鎖cDNAのクローニング
上記3項で作製したKM−603のH鎖cDNAライブラリーおよびL鎖cDNAライブラリーより、常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、2.108 、Cold Spring Harbor Laboratory 1989年刊行〕に従い、マウス免疫グロブリンの定常領域の染色体遺伝子〔マウスCμ遺伝子を含む約11.5kbのSmaI−KpnI 断片(Kataokaら:Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,77,919−923,1980)およびマウスCk遺伝子を含む約3kb のHindIII−BamHI 断片(Sakano ら:Nature,280,288,1979) 〕を32Pで標識したプローブを用いて、プローブに65℃で強く結合したファージクローンを取得した。次に、ストラタジーン社製のcDNA合成キットであるZAP−cDNA Synthesis Kit(商品番号sc200400) を用いて、ファージクローンをプラスミドpBluescript に変換し、KM−603のH鎖cDNAを含む組換えプラスミドpKM603H1およびKM−603のL鎖cDNAを含む組換えプラスミドpKM603L1を取得した(図3)。pKM603H1およびpKM603L1をEcoRIを用いて切断したところ、pKM603H1には約2.0kb のcDNA断片が、pKM603L1には約0.9kb のcDNA断片がそれぞれ挿入されていた。
【0036】
6.H鎖cDNAおよびL鎖cDNAの可変領域の塩基配列
上記4項および5項で得られたH鎖cDNAおよびL鎖cDNAの可変領域の塩基配列をSequenase Version 2.0 DNA Sequencing Kit(United States Biochemical Corporation社製)を用いてダイデオキシ法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、13.42 、Cold Spring Harbor Laboratory 1989年刊行〕により決定した。すべて5’端に開始コドンATG と推定されるメチオニンが存在し、リーダー配列を含む完全長のcDNAであった。決定された各々のcDNAの塩基配列より、KM−796、KM−750、KM−603のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列を決定した。配列番号1にKM−796のH鎖、配列番号2にKM−796とKM−750のL鎖、配列番号3にKM−750のH鎖、配列番号4にKM−603のH鎖、配列番号5にKM−603のL鎖のアミノ酸配列をそれぞれ示す。
【0037】
7.KM−796およびKM−750由来ヒト型キメラ抗体H鎖およびL鎖発現ベクターの構築
(1)モロニーマウス白血病ウイルスの末端反復配列のプロモーター/エンハンサーを運ぶベクターpAGE147 の構築
特開平1−63394 に記載のプラスミドpPMOL1の2μg を10mMトリス−塩酸(pH7.5), 6mM塩化マグネシウムおよび6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液30μl に溶解し、20単位のSmaIを加え、30℃で3時間消化反応を行った。その後、塩化ナトリウムの濃度が50mMになるように添加し、20単位のClaIを加えて37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、モロニーマウス白血病ウイルスの末端反復配列のプロモーター/エンハンサーを含む約0.6Kb のDNA 断片を回収した。
【0038】
次に、下記2種の合成DNA を自動DNA 合成機〔380A、アプライド・バイオシステムズ社(Applied Biosystems Co., Ltd) 製〕を用いて合成した。
【0039】
【化1】
Figure 0003565572
【0040】
得られた合成DNA の25ピコモル(pmoles)ずつを50mMトリス−塩酸(pH7.6), 10mM 塩化マグネシウム, 5mM DTT, 0.1mM EDTAおよび0.5mM アデノシン3リン酸(以下、ATP と略記する)からなる緩衝液10μl に溶解し、5単位のT4DNA キナーゼを加え、37℃で30分間反応させることにより5’末端をリン酸化した。
上記で得られたプラスミドpPMOL1由来のClaI−SmaII断片(0.6Kb)0.05 μg と5’末端がリン酸化された2種の合成DNA (1ピコモルずつ)およびHindIII リンカー(5’−pCAAGCTTG−3’; 宝酒造社製) (1ピコモル)を66mMトリス−塩酸(pH7.5), 6.6mM塩化マグネシウム,10mM DTT および0.1mM ATP からなる緩衝液30μl に溶解し、T4DNA リガーゼ(宝酒造社製、以下同じ)200 単位を加え、12℃で16時間結合反応を行った。エタノール沈澱により該DNA 断片を回収した後、20μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5), 6mM塩化マグネシウム, 100mM 塩化ナトリウムおよび6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液に溶解し、10単位のHindIII および10単位のXhoIを加えて37℃で2時間消化反応を行った。反応をフェノール−クロロホルム抽出により停止させ、エタノール沈澱により該DNA 断片を回収した。
【0041】
一方、プラスミドpAGE107 〔Cytotechnology, 3, 133(1990)〕1μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5), 6mM塩化マグネシウム, 100mM 塩化ナトリウムおよび6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液に溶解し、10単位のHindIII と10単位のXhoIを加えて37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、G418耐性遺伝子およびアンピシリン(以下、Apという)耐性遺伝子を含む約6.0Kb のDNA 断片を回収した。
【0042】
上記で得られたプラスミドpAGE107 由来HindIII−XhoI断片(6.0Kb)0.3μg とプラスミドpPMOL1由来HindIII−XhoI断片(0.63Kb)0.01μg を66mMトリス−塩酸(pH7.5), 6.6mM塩化マグネシウム,10mM DTT および0.1mM ATP からなる緩衝液20μl に溶解し、T4DNA リガーゼ200 単位を加え、12℃で16時間結合反応を行った。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図4に示したプラスミドpAGE147 を得た。
【0043】
(2)β−グロブリン3’スプライシングシグナル(SP)を運ぶベクターpAGE148 の構築
構築したヒト型キメラ抗体発現ベクターの抗体定常領域遺伝子の下流にβ−グロブリン3’スプライシングシグナルを導入するため、β−グロブリン3’スプライシングシグナルを有し、かつヒト型キメラ抗体発現ベクターと同一の遺伝子(ヒト抗体定常領域遺伝子は除く)を有するベクターであるpAGE148 を以下のようにして構築した。
【0044】
特開平2−257891に記載のpSE1UK1SEd1−3 の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のHindIII を加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈澱を行い、20μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、22℃で30分反応させ、HindIII 消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。さらに該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈澱を行い、30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウムおよび1mM DTT からなる緩衝液と10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈澱を行い、30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液と10単位のXhoIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約6.67kbと約1.98kbのDNA 断片を各々約0.2 μg 回収した。
【0045】
次に、(1)で得られたpAGE147 の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈澱を行い、30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液と10単位のXhoIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約0.66kbのDNA 断片を約0.2 μg 回収した。
【0046】
次に、上記で得られたpSE1UK1SEd1−3 のXhoI−HindIII断片(約6.67kb)0.1 μg 、KpnI−HindIII断片(約1.98kb)0.1 μg とpAGE147 のXhoI−KpnI 断片(約0.66kb)0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え、4 ℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図5に示したプラスミドpAGE148 を得た。
【0047】
(3)KM−796およびKM−750由来ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターの構築
まず、以下の方法に従って、プラスミドpKM796H1またはpKM750H1の抗体可変領域をコードするcDNAを5’末端のEcoRI 部位および3’末端付近のMaeIII部位で切断し、配列番号12に示した塩基配列を有する合成DNA と共にヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクター pChi641HAM1に連結させた(図6)。
【0048】
4項で得られたpKM796H1およびpKM750H1の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のMaeIIIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、0.43kbのDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、参考例2で得られたpChi641HAM1 の3μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) 、10mM塩化マグネシウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のApaIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約9.0kb のDNA 断片を約1.0 μg 回収した。次に、上記で得られたpKM796H1またはpKM750H1のEcoRI−MaeIII断片(約0.43kb)0.1μg およびpChi641HAM1 のEcoRI−ApaI断片(約9.0kb)0.1 μg および配列番号12に示した塩基配列を有する合成DNA の0.3 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え、4℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図6に示したプラスミドpChi796HM1およびpChi750HM1を得た。
【0049】
次に、プラスミドpChi796HM1およびpChi750HM1へβ−グロブリン3’スプライシングシグナルを以下の方法により導入し、 KM−796,KM−750 由来ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターを構築した(図7)。
pChi796HM1およびpChi750HM1の3μg を30μl の33mMトリス−酢酸(pH7.9) ,10mM酢酸マグネシウム,66mM酢酸カリウム,0.5mM DTT および0.01%牛血清アルブミン(以下、BSA と略記する)からなる緩衝液に加え、更に10単位のXhoIと10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約3.4kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、(2)で得られたpAGE148 の3μg を30μl の33mMトリス−酢酸(pH7.9) ,10mM酢酸マグネシウム,66mM酢酸カリウム,0.5mM DTT および0.01%BSA からなる緩衝液に加え、更に10単位のXhoIと10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約8.7kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、上記で得られたpChi796HM1,pKM750HM1のXhoI−KpnI 断片0.1 μg およびpAGE148 のXhoI−KpnI 断片0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4 ℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図7に示したプラスミドpChi796HMS1 およびpChi750HMS1 を得た。
【0050】
(4)KM−796およびKM−750由来ヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクターの構築
まず、以下の方法に従って、プラスミドpKM796L1およびpKM750L1の抗体可変領域をコードするcDNAを5’末端のEcoRI 部位および3’末端付近のAflIII部位で切断し、配列番号13に示した塩基配列を有する合成DNA と共にヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクター pChiIgLA1に連結させた(図8)。
【0051】
pKM796L1およびpKM750L1の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のAflIIIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、0.39kbのDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、参考例1で得られたpChiIgLA1 の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のEcoRV を加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約8.6kb のDNA 断片を約1μg 回収した。
【0052】
次に、上記で得られたpKM796L1,pKM750L1 のEcoRI−AflIII断片0.1 μg およびpChiIgLA1 のEcoRI−EcoRV 断片0.1 μg および配列番号13に示した塩基配列を有する合成DNA の0.3 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4 ℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図8に示したプラスミドpChi796LI1およびpChi750LI1を得た。
【0053】
次に、プラスミドpChi796LI1およびpChi750LI1へモロニーマウス白血病ウイルスの末端反復配列のプロモーター/エンハンサーを以下の方法により導入した(図9)。
pChi796LI1またはpChi7501LI1 の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のXhoIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約8.2kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、参考例2で得られたヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクター pChi641HAM1の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のXhoIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約0.6kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。
【0054】
次に、上記で得られたpChi796LI1またはpKM750LI1 のEcoRI−XhoI断片0.1 μg およびpChi641HAM1 のEcoRI−XhoI断片0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図9に示したプラスミドpChi796LM1およびpChi750LM1を得た。
【0055】
次に、プラスミドpChi796LM1およびpChi750LM1へβ−グロブリン3’スプライシングシグナルを以下の方法により導入し、 KM−796 およびKM−750 由来ヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクターを構築した(図10)。
pChi796LM1またはpChi750LM1の3μg を30μl の33mMトリス−酢酸(pH7.9) ,10mM酢酸マグネシウム,66mM酢酸カリウム,0.5mM DTT および0.01%BSA からなる緩衝液に加え、更に10単位のXhoIと10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約2.0kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、(2)で得られたpAGE148 の3μg を30μl の33mMトリス−酢酸(pH7.9) ,10mM酢酸マグネシウム,66mM酢酸カリウム,0.5mM DTT および0.01%BSA からなる緩衝液に加え、更に10単位のXhoIと10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約8.7kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、上記で得られたpChi796LM1またはpKM750LM1 のXhoI−KpnI 断片0.1 μg およびpAGE148 のXhoI−KpnI 断片0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4 ℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図10に示したプラスミドpChi796LMS1 およびpChi750LMS1 を得た。
【0056】
8.KM−796およびKM−750由来ヒト型キメラ抗体H鎖、L鎖タンデム発現ベクターの構築
1つのベクター上にヒト型キメラ抗体のH鎖をコードするcDNAとL鎖をコードするcDNAが存在するタンデム発現ベクターを以下のようにして構築した(図11および図12)。
7項で得られたpChi796HMS1 およびpChi750HMS1 の各3μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のMluIと10単位のSalIを加えて、37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、各々約5.9kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、特開平3−22979 に記載のpAGE107 の2 μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のMluIと10単位のSalIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約3.35kbのDNA 断片を約0.2 μg 回収した。次に、pChi796HMS1 またはpChi750HMS1 のMluI−SalI 断片0.1 μg とpAGE107 のMluI−SalI 断片0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図11に示したプラスミドpChi796H107 およびpChi750H107 を得た。
【0057】
次に、pChi796H107 またはpChi750H107 の3μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のClaIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈澱を行い、20μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5 単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、22℃で30分反応させ、ClaI消化によって生じた突出末端を平滑末端に変えた。さらに該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈澱を行い、30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液と10単位のMluIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、各々約7.5kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、pChi796LMS1 またはpChi750LMS1 の3μg を30μl の20mMトリス−塩酸(pH8.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化カリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のXhoIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈澱を行い、20μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5 単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、22℃で30分反応させ、XhoI消化によって生じた突出末端を平滑末端に変えた。さらに該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈澱を行い、30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液と10単位のMluIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、各々約9.3kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、上記で得られたpChi796H107 またはpChi750H107 のMluI−ClaI 断片0.1 μg とpChi796LMS1 またはpChi750LMS1 のMluI−XhoI 断片0.1 μg とを全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4 ℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図12に示したプラスミドpChi796HL1およびpChi750HL1を得た。
9.KM−603由来ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターの構築
まず、以下の方法に従って、プラスミドpKM603H1の抗体可変領域をコードするcDNAを5’末端のEcoRI 部位および3’末端付近のStyI部位で切断し、配列番号14で示した塩基配列を有する合成DNA と共にヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクター pChi641HAM1に連結させた(図13)。
【0058】
5項で得られたpKM603H1の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のStyIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、0.4kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、参考例2で得られたpChi641HAM1 の3μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) 、10mM塩化マグネシウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のApaIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約9.0kb のDNA 断片を約1.0 μg 回収した。次に、上記で得られたpKM603H1のEcoRI−StyI断片(約0.4kb)0.1 μg およびpChi641HAM1 のEcoRI−ApaI断片(約9.0kb)0.1 μg および配列番号14で示した塩基配列を有する合成DNA の0.3 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4 ℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図13に示したプラスミドpChi603HM1を得た。
【0059】
次にプラスミドpChi603HM1へβ−グロブリン3’スプライシングシグナルを以下の方法により導入し、 KM−603由来ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターを構築した(図14)。
上記で得られたpChi603HM1の3μg を30μl の33mMトリス−酢酸(pH7.9) ,10mM酢酸マグネシウム,66mM酢酸カリウム,0.5mM DTT および0.01%BSA からなる緩衝液に加え、更に10単位のXhoIと10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約3.3kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。
【0060】
次に、7項(2)で得られたpAGE148 の3μg を30μl の33mMトリス−酢酸(pH7.9) ,10mM酢酸マグネシウム,66mM酢酸カリウム,0.5mM DTT および0.01%BSA からなる緩衝液に加え、更に10単位のXhoIと10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約8.7kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、上記で得たpChi603HM1のXhoI−KpnI 断片0.1 μg およびpAGE148 のXhoI−KpnI 断片0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4 ℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図14に示したプラスミドpChi603HMS1 を得た。
【0061】
10.KM−603由来ヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクターの構築
まず、以下の方法に従って、プラスミドpKM603L1の抗体可変領域cDNAの5’末端のEcoRI 部位および3’末端付近のAflIII部位で切断し、配列番号15で示した塩基配列を有する合成DNA とともにヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクター pChiIgLA1に連結させた(図15)。
【0062】
5項で得られたpKM603L1の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIと10単位のAflIIIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、0.4kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、参考例1で得られたpChiIgLA1 の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のEcoRVを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約8.6kb のDNA 断片を約1μg 回収した。次に、上記で得られたpKM603L1のEcoRI−AflIII断片0.1 μg およびpChiIgLA1 のEcoRI−EcoRV断片0.1 μg および配列番号15で示した塩基配列を有する合成DNA の0.3 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図15に示したプラスミドpChi603LI1を得た。
【0063】
次に、プラスミドpChi603LI1へモロニーマウス白血病ウイルスの末端反復配列のプロモーター/エンハンサーを以下の方法により導入した(図16)。
上記で得られたpChi603LI1の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のXhoIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約8.3kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、参考例2で得られたpChi641HAM1 の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRI と10単位のXhoIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約0.6kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、上記で得られたpChi603LI1のEcoRI−XhoI断片0.1 μg およびpChi641HAM1 のEcoRI−XhoI断片0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4 ℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図16に示したプラスミドpChi603LM1を得た。
【0064】
次にプラスミドpChi603LM1へβ−グロブリン3’スプライシングシグナルを以下の方法により導入し、 KM−603由来ヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクターを構築した(図17)。
上記で得られたpChi603LM1の3μg を30μl の33mMトリス−酢酸(pH7.9) ,10mM酢酸マグネシウム,66mM酢酸カリウム,0.5mM DTT および0.01% BSA からなる緩衝液に加え、更に10単位のXhoIと10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約2.0kb のDNA 断片を約0.3μg 回収した。次に、7項(2)で得られたpAGE148 の3μg を30μl の33mMトリス−酢酸(pH7.9) ,10mM酢酸マグネシウム,66mM酢酸カリウム,0.5mM DTT および0.01% BSA からなる緩衝液に加え、更に10単位のXhoIと10単位のKpnIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約8.7kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、上記で得られたpChi603LM1のXhoI−KpnI 断片0.1 μg およびpAGE148 のXhoI−KpnI 断片0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4 ℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図17に示したプラスミドpChi603LMS1 を得た。
【0065】
11.KM−796およびKM−750由来抗GM ヒト型キメラ抗体のYB2/0 細胞における発現
YB2/0 細胞へのプラスミドの導入は、Miyajiらの方法に従い、エレクトロポレーション法〔サイトテクノロジー(Cytotechnology),3,133−140,1990〕にて行った。
【0066】
8項で得られたpChi750HL1またはpChi796HL1の4μgを4×10個のYB2/0細胞(ATCC CRL1662)へ導入後、40mLのRPMI1640(10)[FCSを10%、7.5%NaHCOを1/40量、200mM L−グルタミン溶液(ギブコ社製)を3%、ペニシリン・ストレプトマイシン溶液(ギブコ社製、5000units/mlペニシリンおよび5000μg/mlストレプトマイシン含有)を0.5%含むRPMI1640培地(日水製薬社製)]に懸濁し、96ウェルマイクロタイタープレートに200μlずつ分注した。COインキュベーターで37℃、24時間培養した後、G418(ギブコ社製)を0.5mg/mlになるように添加して1〜2週間培養した。形質転換株のコロニーが出現し、コンフルエントになったウェルより培養液を回収し、抗GM2ヒト型キメラ抗体活性を以下に示したELISA法にて測定した。
【0067】
酵素免疫測定法( ELISA 法)
2ng のGM (N−アセチルGM 、ベーリンガー・マンハイム社製)またはその他のガングリオシドを5ng のフォスファチジルコリン(シグマ社製)と2.5ng のコレステロール(シグマ社製)とを含む2mlのエタノール溶液に溶解した。この溶液20μl またはこの溶液の希釈液20μl を96ウェルマイクロタイタープレート(グライナー社製)の各ウェルにそれぞれ分注し、風乾後、1%BSA を含むPBS でブロッキングを行った。これに形質転換株の培養上清、精製したマウスモノクローナル抗体または精製したヒト型キメラ抗体を50〜100 μl 加え、1〜2時間室温で反応させた。反応後、各ウェルをPBS で洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗体を50〜100 μl 加え、1〜2時間室温で反応させた。PBS で洗浄後、ABTS基質液〔2,2’アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6− スルホン酸)二アンモニウムの550mg を0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.2) に溶解し、使用直前に過酸化水素1μl/mlを加えた溶液〕を50〜100 μl 加えて発色させ、OD415 を測定した。
【0068】
得られたクローンの中で、ELISA 法で最も高い活性を示したクローンの培養液中の抗GM ヒト型キメラ抗体量は約1.0 μg/mlであった。
上記抗GM ヒト型キメラ抗体活性を示したクローンについて、G418を0.5mg/ml、メソトレキセート(以下、MTX と略記する)を50nM含むRPMI1640−FCS(10)培地に1〜2×10 細胞/ml になるように懸濁し、24ウェルプレートに2ml 分注した。CO インキュベーターで37℃で1〜2週間培養して、50nM MTX耐性クローンを誘導した。コンフルエントになった時点で培養液中の抗GM ヒト型キメラ抗体活性をELISA 法にて測定した。得られたクローンの中で、最も高い活性を示した50nM MTX耐性クローンの抗GMヒト型キメラ抗体量は約5.0 μg/mlであった。
【0069】
上記50nM MTX耐性クローンについて、G418を0.5mg/ml、MTX を200nM 含むRPMI1640−FCS(10)培地に1〜2×10 細胞/ml になるように懸濁し、24ウェルプレートに2ml 分注した。CO インキュベーターで37℃で1〜2週間培養して、200nM MTX 耐性クローンを誘導した。コンフルエントになった時点で、培養液中の抗GM ヒト型キメラ抗体活性をELISA 法にて測定した。得られたクローンの中で、最も高い活性を示した200nM MTX 耐性クローンの抗GM ヒト型キメラ抗体量は約10μg/mlであった。pChi750HL1およびpChi796HL1から得られた200nM MTX 耐性クローンをそれぞれ形質転換株KM966 (KM−796由来ヒト型キメラ抗体KM966 生産株)およびKM967 (KM−750由来ヒト型キメラ抗体KM967 生産株)と命名した。
【0070】
上記形質転換株KM966 およびKM967 が抗GM ヒト型キメラ抗体を発現することをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により以下のようにして確認した。
形質転換株KM966 、KM967 の各々をG418を0.5mg/ml、MTX を200nM 含むGIT 培地(日本製薬社製)に1〜2×10 細胞/ml になるように懸濁し、175cmフラスコ(グライナー社製)に100ml ずつ分注した。CO インキュベーターで37℃で5〜7日間培養し、コンフルエントになった時点で培養液を回収した。該培養液約1.0 リットルよりアフィゲルプロテインA MAPS−II キット(バイオラッド社製)を用いて、精製抗GM ヒト型キメラ抗体を各約5mg ずつ取得した。この精製抗GM ヒト型キメラ抗体KM966 およびKM967 の約2μg を、公知の方法〔レムリー(Laemmli) 、ネイチャー(Nature) 227,680,(1970)〕に従って電気泳動し、分子量を調べた。その結果を図18に示した。図18に示したように、KM966 およびKM967 ともに還元条件下では抗体H鎖の分子量は約50キロダルトン、抗体L鎖の分子量は約25キロダルトンであり、正しい分子量のH鎖およびL鎖の発現が確認された。また、非還元条件下ではヒト型キメラ抗体の分子量はKM966,KM967 ともに約150 キロダルトンであり、2本のH鎖および2本のL鎖よりなる正しい大きさの抗体の発現が確認された。
【0071】
12.KM−603由来抗GM2ヒト型キメラ抗体のYB2/0細胞における発現
11項と同様にエレクトロポレーション法で9項で得られたpChi603HMS1およびpChi603LMS1の2μgを4×10個のYB2/0細胞(ATCC CRL1662)へ導入後、40mLのRPMI1640(10)に懸濁し、96ウェルマイクロタイタープレートに200μlずつ分注した。COインキュベーターで37℃、24時間培養した後、G418(ギブコ社製)を0.5mg/mlになるように添加して1〜2週間培養した。形質転換株のコロニーが出現し、コンフルエントになったウェルより培養液を回収し、抗GM2ヒト型キメラ抗体活性を前記に示したELISA法で測定した。得られたクローンの中で、最も高い活性を示したクローンの培養液中の抗GM2ヒト型キメラ抗体量は約0.1μg/mlであった。
【0072】
上記抗GM ヒト型キメラ抗体活性を示したクローンについて、G418を0.5mg/ml、MTX を50nM含むRPMI1640−FCS(10)培地に1〜2×10 細胞/ml になるように懸濁し、24ウェルプレートに2ml ずつ分注した。CO インキュベーターで37℃、2〜3週間培養して、50nM MTX耐性クローンを誘導した。コンフルエントになった時点で培養液中の抗GM ヒト型キメラ抗体活性をELISA 法にて測定した。得られたクローンの中で、最も高い活性を示した50nM MTX耐性クローンの抗GM ヒト型キメラ抗体量は約0.3 μg/mlであった。
【0073】
上記50nM MTX耐性クローンについて、G418を0.5mg/ml、MTX を200nM 含むRPMI1640−FCS(10)培地に1〜2×10 細胞/ml になるように懸濁し、24ウェルプレートに2ml ずつ分注した。CO インキュベーターで37℃、2〜3週間培養して、200nM MTX 耐性クローンを誘導した。コンフルエントになった時点で、培養液中の抗GM ヒト型キメラ抗体活性をELISA 法にて測定した。得られたクローンの中で、最も高い活性を示した200nM MTX 耐性クローンの抗GM ヒト型キメラ抗体量は約0.5 μg/mlであった。
【0074】
上記200nM MTX 耐性クローンについて、G418を0.5mg/ml、MTX を500nM 含むRPMI1640−FCS(10)培地に1〜2×10 細胞/ml になるように懸濁し、24ウェルプレートに2ml 分注した。CO インキュベーターで37℃、1〜2週間培養して、500nM MTX 耐性クローンを誘導した。コンフルエントになった時点で、培養液中の抗GM ヒト型キメラ抗体活性をELISA 法にて測定した。得られたクローンの中で、最も高い活性を示した500nM MTX 耐性クローンの抗GM ヒト型キメラ抗体量は約1.0 μg/mlであった。この500nM MTX 耐性クローンを形質転換株KM968 と命名した。
【0075】
上記形質転換株KM968 が抗GM ヒト型キメラ抗体を発現することをSDS−PAGEにより以下のようにして確認した。
形質転換株KM968 を、G418を0.5mg/ml、MTX を500nM 含むGIT 培地(日本製薬社製)に1〜2×10 細胞/ml になるように懸濁し、175cmフラスコ(グライナー社製)に100ml 分注した。CO インキュベーターで37℃、5 〜7 日間培養し、コンフルエントになった時点で培養液を回収した。該培養液約3.0 リットルよりアフィゲルプロテインA MAPS−II キット(バイオラッド社製)を用いて、精製抗GM ヒト型キメラ抗体を約1mg 取得した。この精製抗GM ヒト型キメラ抗体KM968 の約2 μg を、公知の方法〔レムリー(Laemmli) 、ネイチャー(Nature) 227,680,1970〕に従って電気泳動し、分子量を調べた。その結果を図19に示した。図19に示したように、還元条件下では抗体H鎖の分子量は約50キロダルトン、抗体L鎖の分子量は約25キロダルトンであり、正しい分子量のH鎖およびL鎖の発現が確認された。また、非還元条件下ではヒト型キメラ抗体の分子量は約150 キロダルトンであり、2本のH鎖および2本のL鎖よりなる正しい大きさの抗体の発現が確認された。
【0076】
13.抗GM ヒト型キメラ抗体の反応特異性
ガングリオシドGM ,N−アセチルGM (ベーリンガー・マンハイム社製),N−グリコリルGM ,N−アセチルGM ,N−グリコリルGM ,GD1a,GD1b(ヤトロン社製),GD ,GD (ヤトロン社製),GQ1b(ヤトロン社製)に対する抗GM キメラ抗体の反応性をELISA 法で測定した。その結果を第1表に示す。なお、GM と GD1a はウシ脳より、N−グリコリルGM と N− グリコリルGMはマウス肝臓より、N−アセチルGMはイヌ赤血球より、GD は培養細胞株IMR32 (ATCC CCL127 )よりそれぞれ公知の方法〔ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.),263,10915, 1988〕に準じて精製した。
【0077】
第1表に示したように、抗GM ヒト型キメラ抗体KM966 およびKM967 はGM に特異的に反応することが確認されたが、反応の強さは、KM966 の方がKM967 より大きかった。一方、KM968(KM−603由来ヒト型キメラ抗体)にはGM に対する反応性は認められなかった。
【0078】
【表1】
Figure 0003565572
【0079】
14.抗GM ヒト型キメラ抗体KM966 およびKM967 の癌細胞との反応性(蛍光抗体法)
ヒト肺小細胞癌培養細胞株QG90〔キャンサー・リサーチ(Cancer Res.),49,2683(1989) 〕、NCI−H69 (ATCC HTB119)、NCI−H128(ATCC HTB120)、SBC−1 (JCRB 0816)、SBC−2 (JCRB 0817)、SBC−3 (JCRB 0818)、SBC−5 (JCRB 0819)、RERF−LC−MA(JCRB 0812)、Lu−134−A−H(JCRB 0235)、Lu−139(RCB 469)、Lu−130(RCB 465)、Lu−135(RCB 468)、Lu−134−B(RCB 467)、Lu−140(RCB 470)、PC−6〔内藤ら、癌と化学療法,5,(suppl.)89,1978 〕、ヒト肺扁平上皮癌培養細胞株 PC−1〔内藤ら、癌と化学療法,5,(suppl.)89,1978 〕、PC−10 〔内藤ら、癌と化学療法,5,(suppl.)89,1978 〕、Colo16〔Moorら、キャンサー・リサーチ(Cancer Res.)35,2684,1975〕、Calu−1(ATCC HTB54)、SK−LC−4 (Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85,4441,1988) 、ヒト肺腺癌培養細胞株PC−7(早田ら、人癌細胞の培養,131,1975)、PC−9〔Kinjo ら、ブリティシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(Brit.J.Cancer ),39, 15,1979〕、PC−12 (ATCC CRL1721 )、RERF−LC−MS(JCRB0081)、HLC−1 (RCB 083)、ヒト肺大細胞癌培養細胞株 PC−13 (大屋ら、蛋白質核酸酵素,23 ,697,1978 )、Lu65(JCRB0079)、CALU−6(ATCC HTB56 )、SK−LC−6 (Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85,4441,1988)、ヒト神経芽細胞腫培養細胞株YT−nu 〔石川ら、アクタ・パソロジー・ジャパン(Acta Path.Jap.),27, 697,1977 〕、NAGAI 〔石川ら、アクタ・パソロジー・ジャパン(Acta Path.Jap.),29, 289,1979 〕、NB−1〔石川ら、アクタ・パソロジー・ジャパン(Acta Path.Jap.),27, 697,1977 〕、IMR32 (ATCCCCL127 )、GOTO(JCRB 0612)、NB−9(RCB 477)、SK−N−MC (ATCC HTB10 )、ヒト脳腫瘍(グリオーマ)培養細胞株 P122(EMBO J.,,2939,1987)、A172(ATCC CRL1620 )、T98G(ATCC CRL1690 )、U−118MG (ATCC HTB15 )、ヒト白血病培養細胞株 HSB−2 (ATCC CCL120.1 )、ATN−1 、U−937 (ATCC CRL1593 )、HPB−ALL (大屋ら、蛋白質核酸酵素,23 ,697,1978 )、CCRF−SB (ATCC CCL120)、KOPN−K(羽井、肺癌,25 ,524,1985)、TYH 〔原中ら、インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー(Int.J.Cancer),36, 313,1985 〕、MOLT−3 (ATCC CRL1552 )、CCRF−CEM(ATCC CCL119 )、TALL−1(JCRB 0086)、NALL−1(大屋ら、蛋白質核酸酵素,23 ,697,1978 )、CCRF−SB (JCRB 0032)、THP−1 (ATCC TIB202)、HEL92−1−7 (ATCC TIB180)、ヒト悪性黒色腫培養細胞株 C24・22(特願平3−314981)、KHm−3/P (J.Natl.Cancer Inst.,59,775,1977)、G361(ATCC CRL1424 )のそれぞれ1x10 個をPBS に懸濁させ、マイクロチューブ(トレフ社製)にとり遠心分離(3000rpm 、2 分)して細胞を洗浄後、KM966 またはKM967 を50μl (50μg/ml)加えて攪拌し、4℃で1 時間反応させた。反応後、PBS で3回遠心分離して洗浄した後、フルオレッセインイソシアネートで蛍光標識したプロテインA(30倍希釈、ベーリンガーマンハイム山之内社製)20μl を加えて攪拌後、4℃で1時間反応させた。反応後、PBS で3回遠心分離して洗浄した後、さらにPBS に懸濁し、フローサイトメーター EPICS Elite(コールター社製)で解析を行った。対照としてヒト型キメラ抗体無添加で上記と同様の操作を行い解析した。その結果を第2表に示した。ヒト型キメラ抗体KM966 は肺小細胞癌株の14例中9例(NCI−H128、SBC−1 、SBC−3 、SBC−5 、Lu−139、Lu−130、Lu−135、Lu−134−B、Lu−140)、肺扁平上皮癌株の5例中2例(PC−10 、Calu−1)、肺腺癌株の5例中2例(PC−9、RERF−LC−MS)、肺大細胞癌株の4例中2例(PC−13 、SK−LC−6 )、神経芽細胞腫株の7例中7例(YT−nu 、NAGAI 、NB−1、IMR32 、GOTO、NB−9、SK−N−MC )、脳腫瘍(グリオーマ)株の4例中4例(P122、A172、T98G、U−118MG )と反応を示した。一方、ヒト型キメラ抗体KM967 はいずれの培養細胞株とも反応しなかった。以上の結果は、ヒト型キメラ抗体KM966 が脳腫瘍、末梢神経系腫瘍および肺癌の診断、治療等に有用であることを示している。
【0080】
【表2】
Figure 0003565572
【0081】
15.抗GM ヒト型キメラ抗体KM966 のin vitro抗腫瘍効果:補体依存性細胞障害活性(Complement dependent cytotoxicity:CDC )
(1) 標的細胞の調製
10%FCS添加RPMI1640培地にて培養した標的細胞SBC−3 、Lu−135、PC−10 、RERF−LC−MS、PC−13 、NAGAI 、GOTOおよびA172をそれぞれ5 ×10 個/ml になるように調製し、Na 51CrO を100 μCi/5x10 個になるように加え、37℃で1時間反応後、培地で3回洗浄した。次いで4℃で30分間培地中に放置し、自然解離させ、遠心分離後、培地を加え1 ×10 個/ml に調製した。
【0082】
(2) 補体の調製
3人の健常人の血清を混合し、ヒト補体源として用いた。
【0083】
(3)CDC活性の測定
96ウェルU字底プレートに抗GM ヒト型キメラ抗体KM966 および抗GM マウス抗体KM−696(FERM BP−3337 )を各最終濃度0.5 〜50μg/mlの範囲でそれぞれ加え、各々に(1) で調製した標的細胞を5 ×10 個 /ウェルを添加した。室温で30分反応させ、遠心分離後、上清を除去し、(2) で得られたヒト血清(最終濃度15%V/V)を150 μl 添加し、37℃で1時間反応させた。遠心分離後、上清の51Cr量をγ−カウンターにて測定した。自然解離51Cr量は、標的細胞に抗体、補体溶液の代わりに培地のみを添加し、上記と同様に上清の51Cr量を測定することにより求めた。全解離51Cr量は、標的細胞に抗体、補体溶液の代わりに5規定水酸化ナトリウムを添加し、上記と同様に上清の51Cr量を測定することにより求めた。CDC 活性は、下式により求めた。
【0084】
【数1】
Figure 0003565572
【0085】
その結果を図20〜23に示した。いずれの細胞に対してもヒト型キメラ抗体KM966 はCDC 活性を示すことが示された。
【0086】
16.抗GM ヒト型キメラ抗体KM966 のin vitro抗腫瘍効果:抗体依存性細胞障害活性(Antibody dependent cell mediated cytotoxicity:ADCC)
(1) 標的細胞の調製
10%FCS添加RPMI1640培地にて培養した標的細胞SBC−3 、Lu−135、PC−10 、RERF−LC−MS、PC−13 、NAGAI 、GOTOおよびA172をそれぞれ1 ×10 個/ml になるように調製し、Na 51CrO を50μCi/1x10 個になるように加え、37℃で1時間反応後、培地で3回洗浄した。次いで4℃で30分間培地中に放置して自然解離させ、遠心分離後、培地を加え2 ×10 個/ml に調製した。
【0087】
(2) エフェクター細胞の調製
ヒト静脈血25mlを採血し、ヘパリンナトリウム(武田薬品、1000単位/ml )0.5ml を加え穏やかに混ぜた。これをPolymorphprep (Nycomed Pharma AS 社製)を用いて遠心分離(1500〜1800g ,30分)してリンパ球層を分離し、RPMI1640培地で3回遠心分離(1500〜1800g ,15分)して洗浄後、10%FCS添加RPMI1640培地に懸濁(5 ×10 個/ml )し、エフェクター細胞とした。
【0088】
(3)ADCC 活性の測定
96ウェルU字底プレートに抗GM ヒト型キメラ抗体KM966 および抗GM マウス抗体KM696 を各最終濃度0.05〜5 μg/mlの範囲でそれぞれ加え、各々に(1) で調製した標的細胞を50μl (1 ×10/ ウェル)および(2) で調製したエフェクター細胞を100 μl (5 ×10 個/ ウェル)添加した(エフェクター細胞と標的細胞の比は50:1)。37℃で4時間反応させ、遠心分離後、上清の51Cr量をγ−カウンターにて測定した。自然解離51Cr量は、標的細胞に抗体、エフェクター細胞の代わりに培地のみを添加し、上記と同様に上清の51Cr量を測定することにより求めた。全解離51Cr量は、標的細胞に抗体、エフェクター細胞の代わりに5規定水酸化ナトリウムを添加し、上記と同様に上清の51Cr量を測定することにより求めた。ADCC活性は下式により求めた。
【0089】
【数2】
Figure 0003565572
【0090】
結果を図24〜27に示した。いずれの細胞に対してもキメラ抗体KM966 はADCC活性を示したが、抗GM マウス抗体KM−696は、ADCC活性を示さないか、または低かった。以上の結果は、ヒト型キメラ抗体KM966 の方がマウス抗体KM−696よりもヒトの癌治療上有用なことを示している。
【0091】
実施例2 抗GM ヒト型CDR移植抗体の製造
1.抗GM ヒト型CDR移植抗体H鎖およびL鎖可変領域をコードするDNA の構築
(1)抗GM ヒト型CDR移植抗体H鎖可変領域をコードするDNA の構築
配列番号6、7および8記載のアミノ酸配列を各々CDR1、2および3のアミノ酸配列とするヒト型CDR移植抗体H鎖可変領域をコードするDNA であるhKM796H を以下のようにして構築した。
【0092】
各CDRを移植するヒト抗体H鎖可変領域DNA としてはNEWM〔バイオテクノロジー(BIO/TECHNOLOGY), 9, 266(1991)〕を選択し、各CDR配列に対応する部分を配列番号6、7および8記載のアミノ酸配列をコードするDNA で置換したDNA を構築するため、配列番号23−29 の塩基配列を有するDNA を自動DNA 合成機(380A、アプライド・バイオシステムズ社製)を用いて合成した。合成したDNA の50pmoles を50mMトリス−塩酸(pH7.6 )、10mM塩化マグネシウム、5mM DTT 、0.1mM EDTAおよび0.5mM ATP よりなる緩衝液20mlに溶解し、5 単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造社製)を加え、37℃で30分間反応させることにより5 ’末端をリン酸化した。各合成DNA は両端に制限酵素部位が存在するため、リン酸化した各合成DNA (配列番号23−29 )の10 pmoles をDNA ligation kit(宝酒造社製)を用い、キットに添付の使用説明書に従って配列番号順に順次結合することにより、最終的に図55に示したDNA 、hKM796H を得た。hKM796H がコードするアミノ酸配列を配列番号36に示した。
【0093】
(2)抗GMヒト型CDR移植抗体L鎖可変領域をコードするDNA の構築
配列番号9、10および11記載のアミノ酸配列を各々CDR1、2および3のアミノ酸配列とするヒト型CDR移植抗体L鎖可変領域をコードするDNA であるhKM796L を以下のようにして構築した。
各CDRを移植するヒト抗体L鎖可変領域DNA としてはREI 〔バイオテクノロジー(BIO/TECHNOLOGY), 9, 266(1991)〕を選択し、各CDR配列に対応する部分を配列番号9、10および11記載のアミノ酸配列をコードするDNA で置換したDNA を構築するため、配列番号30−35 の塩基配列を有するDNA を自動DNA 合成機(380A、アプライド・バイオシステムズ社製)を用いて合成した。合成したDNA の50pmolesを50mMトリス−塩酸(pH7.6 )、10mM塩化マグネシウム、5mM DTT 、0.1mM EDTAおよび0.5mM ATP よりなる緩衝液20mlに溶解し、5 単位のT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造社製)を加え、37℃で30分間反応させることにより5 ’末端をリン酸化した。各合成DNA は両端に制限酵素部位が存在するため、リン酸化した各合成DNA (配列番号30−35 )の10pmolesをDNA ligation kit(宝酒造社製)を用い、配列番号順に順次結合することにより、最終的に図56に示したDNA 、hKM796L を得た。hKM796L がコードするアミノ酸配列を配列番号37に示した。
【0094】
2.ヒト型CDR移植抗体H鎖およびL鎖発現ベクターの構築
(1)ヒト型CDR移植抗体H鎖発現ベクターの構築
まず、以下の方法に従って、実施例2の1項(1)で得られたヒト型CDR移植抗体H鎖可変領域をコードするDNA のNotI−ApaI 断片を実施例1の7項(3)で得られたプラスミドpChi796HM1に連結した(図57)。
【0095】
実施例1の7項(3)で得られたpChi796HM1の3mg を30mlの10mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のApaIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をエタノール沈殿した後、30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液にて溶解し、さらに10単位のNotIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約9.0kb のDNA 断片を約2mg 回収した。次に、実施例2の1項(1)で得られたヒト型CDR移植抗体H鎖可変領域をコードするDNA のNotI−ApaI 断片0.5 pmolesと上記のpChi796HM1のApaI−NotI 断片約0.1mg をDNA ligation kit(宝酒造社製)を用いて連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図57に示したプラスミドphKM796HM1を得た。
【0096】
次に、プラスミドphKM796HM1へb−グロブリン3’スプライシングシグナルを以下の方法により導入し、ヒト型CDR移植抗体H鎖発現ベクターを構築した(図58)。
phKM796HM1の3mg を30mlの10mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに1 単位のKpnIを加えて、37℃で10分間反応させ、部分消化した。該反応液をエタノール沈殿した後、30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液にて溶解し、さらに1 単位のXhoIを加えて、37℃で10分間反応させ、部分消化した。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約2.1kb のDNA 断片を約0.2mg 回収した。次に、実施例1の7項(2)で得られたpAGE148 の3mg を30mlの10mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のKpnIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をエタノール沈殿した後、30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液にて溶解し、さらに10単位のXhoIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約8.7kb のDNA 断片を約1mg 回収した。
【0097】
次に、上記で得られたphKM796HM1のXhoI−KpnI 断片0.1mg とpAGE148 のXhoI−KpnI 断片0.1mg をDNA ligation kit(宝酒造社製)を用いて連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図58に示したプラスミドphKM796HMS1 を得た。
【0098】
(2)ヒト型CDR移植抗体L鎖発現ベクターの構築
まず、以下の方法に従って、実施例2の1項(2)で得られたヒト型CDR移植抗体L鎖可変領域をコードするDNA のEcoRI−平滑末端断片をヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクターpChiIgLA1 に連結させた(図59)。
参考例1で得られたpChiIgLA1 の3mg を30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のEcoRI と10単位のEcoRV を加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約8.6kb のDNA 断片を約1mg 回収した。次に、実施例2の1項(2)で得られたヒト型CDR移植抗体L鎖可変領域をコードするDNA のEcoRI−平滑末端断片0.5 pmolesと上記のpChiIgLA1 のEcoRI−EcoRV 断片約0.1mg をDNA ligation kit(宝酒造社製)を用い、連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図59に示したプラスミドphKM796LI1を得た。
【0099】
次に、プラスミドphKM796LI1へPMO を以下の方法により導入した(図60)。
phKM796LI1の3mg を30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のEcoRI と10単位のXhoIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約8.2kb のDNA 断片を約1mg 回収した。次に、参考例2で得られたヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターpChi641HAM1 の3mg を30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のEcoRI と10単位のXhoIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約0.6kb のDNA 断片を約0.3mg 回収した。
【0100】
次に、上記で得られたphKM796LI1のEcoRI−XhoI断片0.1mg とpChi641HAM1 のEcoRI−XhoI断片0.1mg をDNA ligation kit(宝酒造社製)を用いて連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図60に示したプラスミドphKM796LM1を得た。
次に、プラスミドphKM796LM1へb−グロブリン3 ’スプライシングシグナルを以下の方法により導入し、ヒト型CDR移植抗体L鎖発現ベクターを構築した(図61)。
【0101】
phKM796LM1の3mg を30mlの10mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のKpnIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をエタノール沈殿した後、30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液にて溶解し、さらに10単位のXhoIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約1.6kb のDNA 断片を約0.3mg 回収した。次に、実施例1の7項(2)で得られたpAGE148 の3mg を30mlの10mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のKpnIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をエタノール沈殿した後、30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液にて溶解し、さらに10単位のXhoIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約8.7kb のDNA 断片を約1mg 回収した。次に、上記で得られたphKM796LM1のXhoI−KpnI 断片0.1mg とpAGE148 のXhoI−KpnI 断片0.1mg をDNA ligationkit(宝酒造社製)を用いて連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図61に示したプラスミドphKM796LMS1 を得た。
【0102】
3.ヒト型CDR移植抗体H鎖、L鎖タンデム発現ベクターの構築
一つのベクター上にヒト型CDR移植抗体のH鎖をコードするcDNAとL鎖をコードするcDNAが存在するタンデム発現ベクターを以下のようにして構築した(図62および図63)。
実施例2の2項(1)で得られたphKM796HMS1 の3mg を30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに1 単位のSalIを加えて、37℃で10分間反応させ、部分消化した。該反応液をエタノール沈殿した後、30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液にて溶解し、さらに10単位のMluIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約5.9kb のDNA 断片を約0.2mg 回収した。
【0103】
次に、特開平3−22979 に記載のpAGE107 の2mg を30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のMluIと10単位のSalIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約3.35kbのDNA 断片を約0.2mg 回収した。次に、上記で得られたphKM796HMS1 のMluI−SalI 断片0.1mg とpAGE107 のMluI−SalI 断片0.1mg をDNA ligation kit(宝酒造社製)を用いて連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図62に示したプラスミドphKM796H107 を得た。
【0104】
次に、phKM796H107 の3mg を30mlの10mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のClaIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈殿を行い、20mlのDNA ポリメラーゼI 緩衝液に溶解し、5 単位の大腸菌DNA ポリメラーゼI クレノー断片を加え、22℃で30分反応させ、ClaI消化によって生じた突出末端を平滑末端に変えた。さらにアガロース電気泳動にて分画し、約3.35kbのDNA 断片を約0.2mg 回収した。該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈殿を行い、30mlの10mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液と10単位のMluIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約7.5kb のDNA 断片を約0.3mg 回収した。次に、phKM796LMS1 の3mg を30mlの50mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、100mM 塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、さらに10単位のXhoIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈殿を行い、20mlのDNA ポリメラーゼI 緩衝液に溶解し、5 単位の大腸菌DNA ポリメラーゼI クレノー断片を加え、22℃で30分反応させ、XhoI消化によって生じた突出末端を平滑末端に変えた。さらに該反応液をフェノール−クロロホルム抽出後、エタノール沈殿を行い、30mlの10mMトリス−塩酸(pH7.5 )、10mM塩化マグネシウム、50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液と10単位のMluIを加えて、37℃で1 時間反応させた。該反応液をアガロース電気泳動にて分画し、約9.3kb のDNA 断片を約0.3mg 回収した。次に、上記で得られたphKM796H107 のMluI−ClaI 断片0.1mg とphKM796LMS1 のMluI−XhoI 断片0.1mg をDNA ligation kit(宝酒造社製)を用いて連結した。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図63に示したプラスミドphKM796HL1を得た。
【0105】
4.抗GM ヒト型CDR移植抗体のYB2/0 細胞における発現
YB2/0 細胞へのプラスミドの導入は、宮地(Miyaji)らの方法に従い、エレクトロポレーション法〔サイトテクノロジー(Cytotechnology), 3, 133 (1990) 〕にて行った。
実施例2の3項で得られたphKM796HL1の4mg を4 ×10 個のYB2/0 細胞(ATCCCRL1581)へ導入後、40mlのRPMI1640−FCS(10)〔FCS を10% 、7.5% NaHCO を1/4 量、200mM L−グルタミン溶液(ギブコ社製)を3%、ペニシリン・ストレプトマイシン溶液(ギブコ社製、5000units/mlペニシリンおよび5000mg/ml ストレプトマイシン含有)を0.5%含むRPMI1640培地(日水製薬社製)〕に懸濁し、96ウエルマイクロタイタープレートに200ml ずつ分注した。CO インキュベーターで37℃、24時間培養した後、G418(ギブコ社製)を0.5mg/mlになるように添加して1〜2週間培養した。形質転換株のコロニーが出現し、コンフルエントになったウエルより培養液を回収し、抗GM ヒト型CDR移植抗体を実施例1の11項に記載の酵素免疫測定法(ELISA 法)により測定した。得られたクローンの中で、ELISA 法で最も高い活性を示したクローンの培養液中の抗GM ヒト型CDR移植抗体量は約0.1mg/mlであった。
【0106】
上記抗GM ヒト型CDR移植抗体活性を示したクローンについて、G418を0.5mg/ml、MTX を50nM含むRPMI1640−FCS(10)培地に1〜2×10 細胞/ml になるように懸濁し、24ウエルプレートに2ml 分注し、CO インキュベーターで37℃、1〜2週間培養し、50nM MTX耐性クローンを誘導した。コンフルエントになったウエルより培養液を回収し、抗GM ヒト型CDR移植抗体活性をELISA 法により測定した。得られたクローンの中で、最も高い活性を示した50nM MTX耐性クローンの抗GM ヒト型CDR移植抗体量は約1.0mg/mlであった。
【0107】
上記50nM MTX耐性クローンについて、G418を0.5mg/ml、MTX を200nM 含むRPMI1640−FCS(10)培地に1〜2×10 細胞/ml になるように懸濁し、24ウエルプレートに2ml 分注し、CO インキュベーターで37℃、1〜2週間培養し、200nM MTX 耐性クローンを誘導した。コンフルエントになったウエルより培養液を回収し、抗GM ヒト型CDR移植抗体活性をELISA 法により測定した。得られたクローンの中で、最も高い活性を示した200nM MTX 耐性クローンの抗GM ヒト型CDR移植抗体量は約5.0mg/mlであった。
【0108】
参考例1 ヒト型キメラ抗体L鎖発現用ベクターpChiIgLA1 の構築
1.KM50細胞由来免疫グロブリンH鎖プロモーターおよびエンハンサー遺伝子の取得
(1)KM50細胞、P3U1細胞およびラット腎臓からの染色体DNA の調製
公知の方法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、1989年、p9.16 〕に従い、以下のようにして染色体DNA を調製した。
【0109】
KM50細胞1.2 ×10個、P3U1細胞(ATCC CRL1597)2 ×10個、ラット腎臓(−80 ℃で凍結後、木槌で充分たたいて砕いたもの)1.6gのそれぞれを2ml の10mMトリス−塩酸,150 mM塩化ナトリウムおよび10mMエチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(以下EDTAと略記する)からなる緩衝液(pH7.5) に懸濁し、この溶液にプロテイネースK(シグマ社製)0.8mg とラウリル硫酸ナトリウム(以下SDS と略記する)10mgを加えて37℃で一晩インキュベートした。次に等量のフェノールで1回、クロロホルムで2回、エーテルで1回抽出し、10mMトリス−塩酸および1mM EDTAからなる緩衝液(pH7.5) に一晩透析を行った。透析チューブよりDNA 溶液を回収し、これにリボヌクレアーゼA(シグマ社製)を終濃度20μg/mlとなるように加えた。この溶液を6時間、37℃にてインキュベートし、RNA を充分分解させた後に、15mgのSDS と1mg のプロテイネースKを加え、37℃で一晩インキュベートした。次に等量のフェノールで2回、クロロホルムで2回、エーテルで2回抽出し、10mMトリス−塩酸および1mM EDTAからなる緩衝液(pH7.5) に一晩透析を行った。透析チューブよりDNA 溶液を回収して、染色体DNA サンプルとした。DNA の濃度を260nm における吸光度で測定した結果、KM50細胞1.2 ×10個より1.6mg 、P3U1細胞2×10個より1.5mg 、ラット腎臓1.6gより1.9mg の染色体DNA がそれぞれ得られた。
【0110】
(2)サザンブロッティングによる、KM50細胞中における活性型免疫グロブリンH鎖遺伝子の同定
(1)で得られたKM50細胞、P3U1細胞、ラット腎臓の染色体DNA の各3μg ずつを10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液25μl に溶解し、15単位のXba I(宝酒造社製、以下、制限酵素は宝酒造社製を使用した)を加え、37℃で2時間インキュベートし、Xba I部位で切断した。該反応液をアガロースゲル電気泳動にかけた後、サザンらの方法〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.),98,503(1975)〕に従い、ニトロセルロースフィルターにDNA をトランスファーし、常法〔亀山ら、フェデレーション・オブ・ヨーロピアン・バイオケミカル・ソサイアティーズ(FEBS Letters ) , 244,301−306(1989) 〕に従って、同文献記載のマウスJHプローブでハイブリダイゼーションを行った。KM50細胞のDNA においてのみ約9.3kb の位置にバンドが認められた。従って、この位置に存在する免疫グロブリンXba I断片DNA が、KM50細胞中における活性型免疫グロブリンH鎖遺伝子をコードしていると考えられる。
【0111】
(3)KM50細胞の染色体DNA ライブラリーの作製
(1)で得られたKM50細胞の染色体DNA 60μg を10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液250 μl に溶解し、150 単位のXba Iを加え、37℃で2時間インキュベートし、Xba I部位で切断した。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画後、9.3kb の部分をDEAEペーパー法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、1989年、p6.24 〕等を用いて、KM50細胞の9.3kb DNA サンプルとして約2μg を回収した。一方ベクターとして用いるラムダ−ZAP (ストラタジーン社製)は3μg を10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液200 μl に溶解し、50単位のXba Iを加え、37℃で2時間インキュベートし、Xba I部位で切断した。該反応液をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、DNA を約3μg 回収した。このDNA を100mM トリス−塩酸(pH7.5) 溶液100 μl に溶解し、アリカリフォスファターゼ(宝酒造社製)1単位を加えて、ベクターDNA の制限酵素切断末端の脱リン酸化反応を行った。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、DNA を2μg 回収した。このDNA を10mMトリス−塩酸(pH7.5) および1mM EDTAからなる溶液10μl に溶解しベクターDNA サンプルとした。次にベクターDNA サンプルを0.2μg と、KM50細胞の9.3kb DNA サンプル0.2 μg とを、T4リガーゼ緩衝液5μl に溶解し、T4DNA リガーゼ(宝酒造社製)175 単位を加えて、3日間、4℃にてインキュベートした。この混合液のうち2μl を常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、1989年、p2.95 〕に従い、ストラタジーン社製ギガパックゴールドを使用してラムダファージにパッケージングし、これを大腸菌BB4 に感染させて、20万個のファージクローンを取得した。次にこのうち10万個のファージを常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(MolecularCloning) 、1989年、p2.112〕に従って、ニトロセルロースフィルター上に固定した。
【0112】
(4)KM50細胞中において活性型となっている(抗ヒト血清アルブミン)免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子を含む組換えDNA の選択
(3)で作製した10万個のファージライブラリーより、亀山らの方法〔フェデレーション・オブ・ヨーロピアン・バイオケミカル・ソサイアティーズ(FEBS Letters),44,301−306(1989) 〕に従って32Pで標識したマウスJHプローブに、65℃において強く会合するクローンを2個取得した。常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、 モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、1989年、p2.118−2.169〕に従って、ファージDNA を回収したところ、9.3kb のKM50細胞の染色体DNA のXba I断片が組み込まれていた。
【0113】
(5)KM50細胞中において活性型となっている(抗ヒト血清アルブミン)免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子の塩基配列
(4)で得られた2個のクローンについて、種々の制限酵素で消化し、制限酵素切断地図を作ったところ、全く同一のDNA 断片(9.3kb) が挿入されていることが明らかとなった(図28)。そこで次にこのDNA 断片9.3kb のうち、ラット免疫グロブリンH鎖のプロモーター領域および可変領域をコードしていると考えられる部分について、サンガー法〔サンガー(Sanger)ら、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.),74,5463(1977) 、Amersham社 M13 cloning and sequencing handbook〕に従って塩基配列を決定した。配列番号16の中で、ATGCAAAT等のオクタマー配列およびTTGAAAA 等のTATA box配列を含む部分は、免疫グロブリンのプロモーター領域と考えられる部分である。
【0114】
2.KM50細胞中において活性型となっている(抗ヒト血清アルブミン)免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子のプロモーターとエンハンサーを用いた異種タンパク発現ベクターの構築
(1)pKMB11の構築
1項(5)で得られた9.3kb の免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子断片1μg を、10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液30μl に溶解し、10単位のBgl IIとHindIII を加え、37℃で2時間インキュベートし、Bgl IIとHindIII 部位で切断した。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、0.8kb の免疫グロブリンプロモーターを含むDNA 断片を0.01μg 回収した。次にプラスミドpBR322−BglII〔桑名(Kuwana)ら、フェデレーション・オブ・ヨーロピアン・バイオケミカル・ソサイアティーズ(FEBS Letters),219,360(1987)〕の1μg を、10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウム,100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液30μl に溶解し、10単位のBgl IIと10単位のHindIII を加え、37℃で2時間インキュベートし、Bgl II部位とHindIII 部位で切断した。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約4.2kb のDNA 断片を回収した。このようにして得たpBR322 Bgl II 由来の約4.2kb のDNA 断片(0.1μg)と、免疫グロブリンプロモーターを含むDNA 断片0.01μg を、T4リガーゼ緩衝液20μl に溶解し、T4DNA リガーゼ(宝酒造社製)175 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。該反応液を用いて大腸菌HB101 株〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.) 41,459(1969)〕をスコット(Scott) らの方法〔重定勝:細胞工学 2,616(1983) 〕に従って形質転換し、Ap耐性のコロニーを得、このコロニーより組換えプラスミドDNA を回収し、図29に示したpKMB11を得た。
【0115】
(2)pKMD6 の構築
免疫グロブリンプロモーター下流に適当な制限酵素部位を設けるため、(1)において構築したpKMB11のNco I部位からヌクレアーゼBAL31 を用いて消化を行った。プラスミドpKMB11の10μg を10mMトリス−塩酸(pH7.5),6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化カリウムからなる緩衝液100 μl に溶解し、30単位のNco Iを加え、37℃で2時間インキュベートし、Nco I部位で切断した。該反応液をフェノールおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱後、DNA 断片を全量100 μl のBAL31 緩衝液〔20mMトリス−塩酸(pH8.0) ,600mM 塩化ナトリウム,12mM塩化カルシウム,12mM塩化マグネシウムおよび1mM EDTAからなる緩衝液〕に溶解し、0.25単位のBAL31 〔ベセスダリサーチラボラトリーズ(BRL) 社製〕を加え、37℃で5秒間反応を行った。反応をフェノールで抽出することにより止め、クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、DNA を1μg 回収した。このDNA0.1μg と合成DNA リンカーSal I 0.01 μg とをT4リガーゼ緩衝液20μl に溶解し、T4DNA リガーゼ175 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。該反応液を用いて大腸菌HB101 株をスコットらの方法によって形質転換し、Ap耐性コロニーを得、このコロニーより組換えプラスミドDNA を回収し、図30に示したpKMD6 を得た。このプラスミドのうち、BAL31 にて消化を行った部分について、サンガー法に従って塩基配列を決定したところ免疫グロブリンの開始コドンATG の上流に向かって3番目の塩基(配列番号16で303 番目の塩基)まで除かれていた。
【0116】
(3)pEPKMA1,pEPKMB1,pAGE501 の構築
免疫グロブリンの本来のプロモーターとエンハンサーは、その位置が離れている。従って異種タンパクを発現させるためのベクターとして、そのプロモーターとエンハンサーを接続したベクターを作っておくことが必要となる。そのために以下の操作を行った。
【0117】
1項の(5)で得られた9.3kb の免疫グロブリンH鎖可変領域遺伝子断片1μg を10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液30μl に溶解し、10単位のEcoRVと10単位のXba Iを加え、37℃で2時間インキュベートし、EcoRV部位とXba I部位で切断した。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約1kb の免疫グロブリンエンハンサー領域を含むDNA 断片を0.1 μg 回収した。一方(2)で得たプラスミドpKMD6 の1μg を10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液100 μl に溶解し、10単位のBgl IIを加え、37℃で2時間インキュベートし、Bgl II部位で切断した。フェノールおよびクロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、DNA 断片を全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、6単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー(Klenow)断片を加え、16℃で90分間反応させ、Bgl II消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。反応をフェノールで抽出することにより止め、クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、DNA 断片を10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液30μl に溶解し、10単位のHindIII を加え、37℃で2時間インキュベートし、HindIII 部位で切断した。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約0.8kb の免疫グロブリンプロモーター領域を含むDNA 断片を0.1 μg 回収した。次にプラスミドpUC18 〔メッシング(Messing) 、メソッド・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology) 101,20(1983)〕の0.2 μg を10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液30μl に溶解し、10単位のHindIII と10単位のXba Iを加え、37℃で2時間インキュベートし、HindIII 部位とXba I部位で切断した。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約2.7kb のDNA 断片を0.1 μg 回収した。このようにして得たpPKMD6由来の0.8kb のDNA 断片(0.1μg)と、免疫グロブリンエンハンサー領域を含むDNA 断片0.02μg と、pUC18 の0.1 μg とを、T4リガーゼ緩衝液20μl に溶解し、T4DNA リガーゼ175 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。該反応液を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、Ap耐性コロニーを得、このコロニーより組換えプラスミドDNA を回収し、図31に示したpEPKMA1 を得た。
【0118】
次に、プラスミドpEPKMA1 の1μg を10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液100 μl に溶解し、10単位のXba Iを加え、37℃で2時間インキュベートし、Xba I部位で切断した。フェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、DNA 断片を全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、6単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で90分間反応させ、Xba I消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。反応をフェノールで抽出することにより止め、クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、DNA 断片を回収した。このDNA 断片と合成DNA リンカーXho I(宝酒造社製)の0.01μg を、T4リガーゼ緩衝液20μl に溶解し、T4DNA リガーゼ175 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。該反応液を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、Ap耐性コロニーを得、このコロニーより組換えプラスミドDNA を回収し、図32に示したpEPKMB1 を得た。
【0119】
次に、動物細胞用異種遺伝子発現ベクターpAGE107 〔宮地(Miyaji)ら、サイトテクノロジー(Cytotechnology) 3,133−140(1990) 〕のSV40初期遺伝子のプロモーターおよびエンハンサー領域(PSEと略記する)を、pEPKMB1 の持つKM50由来免疫グロブリンH鎖プロモーターおよびエンハンサー(PIHと略記する)に以下に示す方法により変換した。
【0120】
プラスミドpAGE107 の1μg を10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび150mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液30μl に溶解し、10単位のSal Iと10単位のXho Iを加え、37℃で2時間インキュベートし、Sal I部位とXho I部位で切断した。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約5.95kbのG418耐性遺伝子等を含むDNA 断片を0.5 μg 回収した。次に、プラスミドpEPKMB1 の1μg を、10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび150mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液30μl に溶解し、10単位のSal Iと10単位のXho Iを加え、37℃で2時間インキュベートし、Sal I部位とXho I部位で切断した。該反応液をアガローズゲル電気泳動後、約1.7kb の免疫グロブリンプロモーターおよびエンハンサー領域を含むDNA 断片を0.1 μg 回収した。このようにして得たpAGE107 由来の5.95kbのDNA 断片(0.1μg)と、免疫グロブリンプロモーターおよびエンハンサー領域を含むDNA 断片0.02μg を、T4リガーゼ緩衝液20μl に溶解し、T4DNA リガーゼ175 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。該反応液を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、Ap耐性コロニーを得、このコロニーより組換えプラスミドDNA を回収し、図33に示したpAGE501 を得た。
【0121】
(4)pAGE109 の構築
pAGE106 に2つあるEcoRI切断部位の1つが除去されたプラスミドpAGE109 を以下のように構築した。
【0122】
特開平3−22979 に記載の動物細胞用異種遺伝子発現ベクターpAGE106 の2μg を100 μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIとSac Iをそれぞれ加え、37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、EcoRIとSac Iで切断したSV40初期遺伝子プロモーターおよびG418耐性遺伝子を含むpAGE106 のDNA 断片(4.3kb) を約1.5 μg 回収した。次にこのDNA 断片を全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIラージ断片を加え、16℃で2時間反応させ、Sac I消化によって生じた3’突出末端と、EcoRI消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出後、エタノールで沈澱させ、20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この混合溶液に更に350 単位のT4DNA リガーゼを加え、4℃で4時間反応を行った。このようにして得た組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図34に示したプラスミドpAGE109 を得た。
【0123】
(5)pAGE502 の構築
pAGE107 のSV40のプロモーターとエンハンサーを免疫グロブリンH鎖のプロモーターとエンハンサーに変換するために、プラスミドpAGE502 を以下のように構築した。
【0124】
特開平3−22979 記載のpAGE107 の2μg を100 μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のHindIII を加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で2時間反応させ、HindIII 消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、30μl の10mM トリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のXho Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、Xho IとHindIII で切断したG418耐性遺伝子とAp耐性遺伝子を含むpAGE107 のDNA 断片(約5.95kb) を約1.5 μg 回収した。
【0125】
次に(3)で得られたpAGE501 の2μg を100 μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび175mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のSal Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で2時間反応させ、Sal I消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のXho Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、Xho IとSal Iで切断したKM50細胞の免疫グロブリンH鎖プロモーターおよびエンハンサー遺伝子を含むpAGE501 のDNA 断片(1.8kb) を約0.2 μg 回収した。
【0126】
次に上記で得られたpAGE107 のHindIII−Xho I断片(約5.95kb)0.1μg と、pAGE501 のSal I−XhoI断片(約1.8kb)0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更にT4DNA リガーゼ350 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図35に示したプラスミドpAGE502 を得た。
【0127】
(6)pAGE503 の構築
pAGE502 に2つあるEcoRI切断部位の1つが除去されたプラスミドpAGE503 を以下のように構築した。
【0128】
(4)で得られたpAGE109 の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のHindIII と10単位のCla Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、Cla IとHindIII で切断したベーターグロビンとSV40初期遺伝子のポリAシグナル遺伝子を含むpAGE109 のDNA 断片(約1kb)を約0.2 μg 回収した。
【0129】
次に(5)で得られたpAGE502 の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のHindIII と10単位のCla Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、HindIII とCla Iで切断したKM50細胞の免疫グロブリンH鎖プロモーター、エンハンサー遺伝子、Ap耐性遺伝子およびG418耐性遺伝子を含むpAGE502 のDNA 断片(約6.1kb)をDEAEペーパー法にて約1μg 回収した。次に上記で得られたpAGE109 のHindIII−Cla I断片(約1kb)0.1 μg と、pAGE502 のHindIII−Cla I断片( 約6.1kb)0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更にT4DNA リガーゼ350 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図36に示したプラスミドpAGE503 を得た。
【0130】
(7)pSE1d1の構築
pAGE107 にdhfr遺伝子が導入されたプラスミドpSE1d1を以下のように構築した。
【0131】
特開平3−22979 記載のpAGE107 の2μg を100 μl の100mM トリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノ−ル−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で2時間反応させ、EcoRI消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、30μl の10mM トリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のHindIII を加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、EcoRIとHindIII で切断したG418耐性遺伝子とAp耐性遺伝子を含むpAGE107 のDNA 断片(約5.6kb)を約1.5 μg 回収した。
【0132】
次にpSV2−dhfr 〔スブラマニ(Subramani) ら,モレキュラー・セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Biology)1,854(1981) 〕の2μg を100 μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のBgl IIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱を行い、次に全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で2時間反応させ、Bgl II消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のHindIII を加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、Bgl IIとHindIII で切断したデハイドロフォレートレダクターゼ(以下dhfrと略記する)遺伝子を含むpSV2−dhfrDNA断片(0.76kb)を約0.2 μg 回収した。
【0133】
次に上記で得られたpAGE107 のHindIII−EcoRI断片(約5.6kb)0.1 μg と、pSV2−dhfr のBgl II−Hind III 断片(約0.76kb)0.1μg とを全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更にT4DNA リガーゼ350 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図37に示したプラスミドpSE1d1を得た。
【0134】
(8)pSE1d2の構築
pSE1d1のHindIII 切断部位が除去されたプラスミドpSE1d2を以下のように構築した。
【0135】
(7)で得られたpSE1d1の2μg を100 μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のHindIII を加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で2時間反応させ、HindIII 消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更にT4DNA リガーゼ350 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図38に示したプラスミドpSE1d2を得た。
【0136】
(9)pIg1SE1d2 の構築
pAGE503 にdhfr遺伝子が導入されたプラスミドpIg1SE1d2 を以下のように構築した。
【0137】
(6)で得られたpAGE503 の2μg を100 μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のCla Iを加えて37℃4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で2時間反応させ、Cla I消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のMlu Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、Cla IとMlu Iで切断したKM50免疫グロブリンH鎖プロモーターおよびエンハンサーを含むpAGE503 のDNA 断片(約5.4kb)を約1μg 回収した。
【0138】
次に(8)で得られたpSE1d2の2μg を100 μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のXho Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で2時間反応させ、Xho I消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のMlu Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、Xho IとMlu Iで切断したdhfr遺伝子を含むpSE1d2のDNA 断片(約3.8kb)を約1μg 回収した。
【0139】
次に上記で得られたpAGE503 のCla I−MluI断片(約5.4kb)1 μg と、pSE1d2のXho I−MluI断片(約3.8kb)1μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更にT4DNA リガーゼ350 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図39に示したプラスミドpIg1SE1d2 を得た。
【0140】
(10)pIg1SE1d3 の構築
pIg1SE1d2 のApa I切断部位が除去されたプラスミドpIg1SE1d3 を以下のように構築した。
【0141】
(9)で得られたpIg1SE1d2 の2μg を100 μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) および6mM 塩化マグネシウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のApa Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で2時間反応させ、Apa I消化によって生じた3’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4℃で24時間反応を行った。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図40に示したプラスミドpIg1SE1d3 を得た。
【0142】
(11)pIg1SE1d4 の構築
pIg1SE1d3 のHindIII 切断部位とEcoRI切断部位の間にクローニングサイトを設けるために、配列番号17で示した合成DNAを挿入したプラスミドであるpIg1SE1d4 を以下のように構築した。
【0143】
(10)で得られたpIg1SE1d3 の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のHindIII とEcoRIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応液をアガロースゲル電気泳動にて分画し、HindIII とEcoRIで切断したKM50細胞の免疫グロブリンH鎖プロモーター、エンハンサー、Ap耐性遺伝子、G418耐性遺伝子およびdhfr遺伝子を含むpIg1SE1d3 のDNA 断片(約9.2kb)を約1μg 回収した。
【0144】
次に上記で得られたpIg1SE1d3 のHindIII−EcoRI断片(約9.2kb)0.1 μg と、合成DNA (配列番号17)の10ngを全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更にT4DNA リガーゼ350 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュべートした。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図41に示したプラスミドpIg1SE1d4 を得た。
【0145】
3.モロニーマウス白血病ウイルスのロング・ターミナル・リピート(long terminal repeat ) (以下、MoLTR と略記する)の調製
MoLTR はプロモーターおよびエンハンサー活性を有することが知られている〔桑名ら,バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Comun.),149,960 (1987) 〕。そこで、MoLTR をヒト型キメラ抗体発現用ベクターのプロモーターおよびエンハンサーとして用いるために、MoLTR を有するプラスミドpPMOL3を以下に示す方法により調製した。
【0146】
特開平1−63394 記載のpPMOL1の3μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,7mM塩化マグネシウムおよび6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液に加え、更に10単位のCla Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、全量40μl のDNA ポリメラーゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、16℃で2時間反応させ、Cla I消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。反応をフェノールで抽出することにより止め、クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、DNA 断片を2μg 回収した。このDNA 断片と合成DNA リンカーXho I(宝酒造社製)の0.01μg を、T4リガーゼ緩衝液20μl に溶解し、T4DNA リガーゼ175 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュベートした。該反応物を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図42に示したプラスミドpPMOL2を得た。次に、pPMOL2の3 μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,7mM 塩化マグネシウム,10mM塩化ナトリウムおよび6mM 2 −メルカプトエタノールからなる緩衝液に加え、更に10単位のSma Iを加えて37℃4時間反応させた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、DNA 断片を2μg 回収した。このDNA 断片と合成DNA リンカーEcoRI(宝酒造社製) の0.01μg を、T4リガーゼ緩衝液20μl に溶解し、T4DNA リガーゼ175 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュベートした。該反応物を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図43に示したプラスミドpPMOL3を得た。
【0147】
4.ヒト免疫グロブリンIgG1のH鎖定常領域(Cγ1)cDNAおよびL鎖定常領域(Cκ)cDNAのクローニング
(1)キメラ抗体産生細胞SP2−PC Chimera−1からのmRNAの取得
インビトロジェン社製のmRNA抽出キットであるFast Track(商品番号K1593−02)を用いて、抗フォスフォリルコリン活性を有するキメラ抗体産生細胞でフェデレーション・オブ・ヨーロピアン・バイオケミカル・ソサイアティーズ(FEBS Letters), 244,301−306(1989) に記載されているキメラ抗体産生細胞SP2−PC Chimera−1の1×10細胞より、mRNAを6.2 μg 取得した。
(2)SP2−PC Chimera−1 cDNA ライブラリーの作製とヒト免疫グロブリンH鎖定常領域(Cγ1)cDNAおよびL鎖定常領域(Cκ)cDNAのクローニング
(1)で得られたmRNAの2μg から、ファルマシア社製のcDNA Synthesis Kit(商品番号27−9260−01) を用いて、EcoRIアダプターを付与した後、カイネーションを行った。得られたcDNA溶液をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、4μg のcDNAを回収した。このcDNAを20μl の滅菌水に溶解後、アガロースゲル電気泳動にて分画し、約1.8kb と約1.0kb のDNA 断片をそれぞれ約0.3 μg 回収した。
【0148】
次に、ベクターpUC18 の5 μg を100mM トリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液100 μl に加え、更に50単位のEcoRIを加え、37℃で4時間反応させ、pUC18 のDNA 中のEcoRI部位で切断した。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、EcoRIで切断したpUC18 のDNA 断片を約3μg 回収した。
【0149】
次に上記で得られたpUC18 のEcoRI断片(約2.7kb)0.1 μg と、SP2−PC Chimera−1細胞より調製した1.8kb および1.0kb のcDNA断片各0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4DNA リガーゼを加え、4℃で24時間反応させた。
このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌LE392 株を形質転換した。得られた約3000個のコロニーをニトロセルロースフィルター上に固定した。亀山らによって単離されたヒト免疫グロブリン定常領域の染色体遺伝子(IgG1のH鎖の定常領域であるCγ1 と、 L鎖の定常領域であるCκ)〔亀山ら、FEBS Letters, 244,301(1989) 〕を32Pで標識したプローブに65℃で強く会合した菌株のうちCγ1 と会合するもの1個(pPCVHhCGI1)、Cκと会合するもの1 個(pPCVLhCK1) をそれぞれ得た。
【0150】
(3)ヒトIgκ鎖定常領域へのEcoRV部位の導入
プロメガ社製のキット(カタログ番号Q6210 )を用いた部位特異的変異導入法によりヒトIgκ鎖定常領域5’末端近傍領域にEcoRV部位を導入した。プラスミドpPCVLhCK1 の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIと10単位のKpn Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、Kpn IとEcoRIで切断したヒト免疫グロブリンL鎖定常領域遺伝子を含むpPCVLhCK1 のDNA 断片(約0.8kb)を約0.2 μg 回収した。
【0151】
次にpSELECT1(プロメガ社製のキット:カタログ番号Q6210 )の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび50mM塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIとKpn Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、EcoRIとKpn Iとで切断したpSELECT1のDNA 断片(約5.7kb)を約1μg 回収した。
【0152】
次に上記で得られたpPCVLhCK1 のEcoRI−KpnI断片(約0.8kb)0.1 μg と、pSELECT1のEcoRI−KpnI断片(約5.7kb)0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4DNA リガーゼを加えて4℃で24時間反応を行った。このようにして得られた組換え体プラスミドDNA を用いて大腸菌JM109 株を形質転換し、図44に示したプラスミドpchCKA7 を得た。
【0153】
次にpchCKA7 を用いて、配列番号18の合成DNA を変異導入プライマーとして使用して、ヒト免疫グロブリンL鎖定常領域のN末端から12ベース目より14ベース目までのACC 配列をGAT に変換することにより、その部位にEcoRV部位を導入したプラスミドpchCKB1 を構築した(図45)。
次に、pchCKB1 のEcoRV部位をHindIII 切断部位に変換するために、以下の操作を行った。
【0154】
プラスミドpchCKB1 の2μg を10μl の100mM トリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、全量40μl のDNA ポリメラ−ゼI緩衝液に溶解し、5単位の大腸菌DNA ポリメラーゼIクレノー断片を加え、37℃で30分間反応させ、EcoRI消化によって生じた5’突出末端を平滑末端に変えた。該反応物を該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させた後、更に0.1 μg のHindIII リンカー(宝酒造社製)を加えて20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加えて4℃で24時間反応を行った。このようにして得られた組換え体プラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図46に示したプラスミドpchCKC1 を得た。
【0155】
5.ヒト型キメラ抗体発現用ベクターの構築
(1)ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターを構築するために用いるベクター(ヒト型キメラ抗体H鎖発現用ベクター)の構築
2項(11)で得たpIg1SEId4 の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRVとApa Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、EcoRVとApa Iで切断した9.2kb のpIg1SEId4 のDNA 断片(約9.2kb)を約1.5 μg 回収した。
【0156】
次に4項(2)で得たpPCVHhCGI1の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) および6mM 塩化マグネシウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のApa Iと10単位のSma Iを加えて37℃で1時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、Apa IとSma Iで切断したヒト免疫グロブリンH鎖定常領域遺伝子を含むpPCVHhCGI1 のDNA 断片(約1kb)を約0.2 μg 回収した。
【0157】
次に上記で得られたpIg1SEId4 のEcoRV−ApaI断片(約9.2kb)0.1 μg と、pPCVHhCGI1 のApa I− Sma I断片(約1kb)0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4DNA リガーゼを加えて4℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図47に示すヒト型キメラ抗体H鎖発現用ベクターpChiIgHB2 を得た。
【0158】
(2)ヒト型キメラ抗体L鎖発現ベクターを構築するために用いるベクター(ヒト型キメラ抗体L鎖発現用ベクター)の構築
2項(11)で得られたpIg1SEId4 の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRVと10単位のHindIII を加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、EcoRVとHindIII で切断したpIg1SEId4 のDNA 断片(約9.2kb)を約1.5 μg 回収した。
【0159】
次に4項(3)で得られたpckCKC1 の2μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,6mM 塩化マグネシウムおよび100mM 塩化ナトリウムからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRVと10単位のHindIII を加えて37℃で1時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、EcoRVとHindIII で切断したヒト免疫グロブリンL鎖定常領域遺伝子を含むpPCVLhCK1 のDNA 断片(約0.6kb)を約0.2 μg 回収した。
【0160】
次に上記で得られたpIg1SEId4 のEcoRV−Hind III 断片(約9.2kb)0.1 μg と、pchCKC1 のEcoRV−Hind III 断片(約0.6kb)0.1 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4DNA リガーゼを加えて4℃で24時間反応を行った。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図48に示したヒト型キメラ抗体L鎖発現用ベクタpChiIgLA1 を得た。
【0161】
参考例2 ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターpChi641HA1の構築
1.マウス抗GDモノクローナル抗体KM−641産生ハイブリドーマ細胞からのmRNAの取得
インビトロジェン社製のmRNA抽出キットであるFast Track(商品番号K1593−02)を用いて、参考例1で得られるマウス抗GDモノクローナル抗体KM−641産生ハイブリドーマ細胞の1×10細胞より、mRNAを34μg 取得した。
2.KM−641のH鎖およびL鎖cDNAライブラリーの作製
1項で取得したmRNAの3μg から、ストラタジーン社製のcDNA合成キットであるZAP−cDNA Synthesis Kit(商品番号sc200400) を用い、5’末端にEcoRIアダプター、3’末端にXho Iアダプターを有するcDNAをそれぞれ合成した。このcDNA約6μg を10μl の滅菌水に溶解後、アガロースゲル電気泳動にて分画し、H鎖に対応する約1.8kb のcDNA断片とL鎖に対応する約1.0kb のcDNA断片をそれぞれ約0.1 μg 回収した。次に、約1.8kb のcDNA断片0.1 μg および約1.0kb のcDNA断片0.1 μg と、ベクターとして用いるUni−ZAP XR (ストラタジーン社製、Lambda ZAPIIベクターをEcoRIとXho Iで切断後、 Calf Intestine Alkaline Phosphatase で処理したもの)1 μg をT4リガーゼ緩衝液11.5μl に溶解し、T4DNA リガーゼ175 単位を加えて、12℃にて1晩インキュベートし、さらに室温にて2時間インキュベートした。この反応液のうち4μl を常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、1989年、p2.95 〕に従い、ギガパックゴールド(ストラタジーン社製)を使用し、ラムダファージにパッケージングし、これを常法〔Maniatisら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、1989年、p2.95−107 〕に従って、大腸菌株PLK−F に感染させて、H鎖のcDNAライブラリーおよびL鎖のcDNAライブラリーとしてそれぞれ約1万個のファージクローンを取得した。次に常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、1989年、p2.112〕に従い、ファージをニトロセルロースフィルター上に固定した。
【0162】
3.モノクローナル抗体KM−641のH鎖およびL鎖cDNAのクローニング
2項で作製したH鎖のcDNAライブラリーおよびL鎖のcDNAライブリーより、常法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、1989年、p2.108〕に従い、マウス免疫グロブリン定常領域の染色体遺伝子であるマウスCγ1 遺伝子を含む約6.8kb のEcoRI断片〔Roederら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 78,474(1981)〕およびマウスCκ遺伝子を含む約3kb のHindIII−BamHI断片(Sakanoら、Nature 280,288(1979) を32Pで標識したプローブを用いて、プローブに65℃で強く会合したファージクローンをそれぞれ1個ずつ取得した。次に、ストラタジーン社製のcDNA合成キットであるZAP−cDNA Synthesis Kit(商品番号sc200400) を用いて、ファージクローンをプラスミドpBluescript に変換し、KM−641のH鎖のcDNAを含む組換えプラスミドpKM641HA3 およびKM−641L鎖cDNAを含む組換えプラスミドpKM641LA2 をそれぞれ取得した。pKM641HA3 およびpKM641LA2 をEcoRIとXho Iを用いて切断したところ、それぞれ約1.6kb および約0.9kb のcDNA断片が挿入されていた(図49)。
【0163】
4.KM−641のH鎖cDNA(pKM641HA3) およびKM−641のL鎖cDNA(pKM641LA2) の免疫グロブリン可変領域の塩基配列
3項で得られたpKM641HA3 およびpKM641LA2 の免疫グロブリン可変領域の塩基配列をSequenase Version 2.0 DNA Sequencing Kit(United States BiochemicalCorporation社製)を用いてダイデオキシ法〔マニアティス(Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning) 、1989年、p13.42〕により決定した。その結果を配列番号19および配列番号20に示した。pKM641LA2 は、5’端付近に開始コドンATG と推定されるメチオニンが存在し、リーダー配列を含む完全長のcDNAであった。pKM641HA3 は、5’端付近に開始コドンと推定されるメチオニンが存在せず、リーダー配列が一部欠損していた。
5.KM−641由来ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターの構築
プラスミドpKM641HA3 の可変領域遺伝子の5’末端付近のAlu I部位および可変領域遺伝子の3’末端付近のSty I部位で切断して得られるH鎖可変領域遺伝子を配列番号21および22に示す合成DNA を用いて参考例1で得られたヒト型キメラ抗体H鎖発現用ベクターと連結させることにより、ヒト型キメラ抗体H鎖発現ベクターを構築した(図50)。
【0164】
まず、pKM641HA3 の免疫グロブリンH鎖可変領域の3’末端から3’末端付近にあるSty I切断部位までの塩基配列と、pAGE28の免疫グロブリンH鎖定常領域の5’末端から5’末端付近にあるApa I切断部位までの塩基配列とからなり、Sty I切断部位とApa I切断部位を両端に有する配列番号22に示したDNA(図50参照)をDNA合成機で合成した。次に、この合成DNAを以下に示す方法で、プラスミドpKM641HA3 に導入した。
【0165】
pKM641HA3 の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIと10単位のSty Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、0.41kbのDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、pAGE28〔水上ら、ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(J.Biochem.),101,1307−1310 (1987) 〕の3μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,7mM 塩化マグネシウムおよび6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIと10単位のApa Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、2.45kbのDNA 断片を約2μg 回収した。次に、上記で得られたpKM641HA3 のEcoRI−StyI断片(約0.41kb)0.1μg およびpAGE28のEcoRI−ApaI断片(約2.45kb)0.1μg および配列番号22に示す合成DNA の0.3 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換え体プラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図51に示したプラスミドpKM641HE1 を得た。
【0166】
pKM641HE1 はリーダー配列が欠損しているため、それを補填するために配列番号21に示した合成DNAを用いて以下の操作を行った。
pKM641HE1 の3μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,7mM 塩化マグネシウムおよび6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIと10単位のApa Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約0.42kbのDNA 断片を約0.4 μg 回収した。pKM641HE1 のEcoRI−ApaI断片(約0.42kb)0.4μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,7mM 塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液に加え、更に10単位のAlu Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、約0.4kb のDNA 断片を約0.3 μg 回収した。
【0167】
次に、上記で得られたpKM641HE1 のAlu I−ApaI断片(約0.4kb)0.1 μg およびpAGE28のEcoRI−ApaI断片(約2.45kb)0.1μg および配列番号21に示す合成DNA の0.3 μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図52に示したプラスミドpKM641HF1 を得た。
【0168】
次に、pKM641HF1 の免疫グロブリンH鎖可変領域をヒト型キメラ抗体H鎖発現用ベクターpChiIgHB2 に導入するために以下の操作を行った。
pKM641HF1 の3μg を30μl の10mMトリス−塩酸(pH7.5) ,7mM 塩化マグネシウムおよび6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIと10単位のApa Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロ−スゲル電気泳動にて分画し、0.44kbのDNA 断片を約0.5 μg 回収した。次に、pChiIgHB2 の3μg を30μl の10mM トリス−塩酸(pH7.5) ,7mM 塩化マグネシウムおよび6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIと10単位のApa Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をフェノール−クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、約3 μg のDNA を回収した。次に、上記で得られたpKM641HF1 のEcoRI−ApaI断片(約0.44kb)0.1μg およびpChiIgHB2 のEcoRI−ApaI断片(約10.1kb)0.1μg を全量20μl のT4リガーゼ緩衝液に溶解し、この溶液に更に350 単位のT4リガーゼを加え4℃で24時間反応させた。このようにして得られた組換えプラスミドDNA を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図53に示したプラスミドpChi641HA1を得た。
【0169】
次に、以下に示す方法で、pChi641HA1のKM50由来免疫グロブリンH鎖プロモーターおよびエンハンサー領域をMoLTR に変換した。
pChi641HA1の3μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIと10単位のXho Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、約8.8kb のDNA 断片を約0.2 μg 回収した。実施例1の2で得られたpPMOL3の3 μg を30μl の50mMトリス−塩酸(pH7.5) ,10mM塩化マグネシウム,50mM塩化ナトリウムおよび1mM DTT からなる緩衝液に加え、更に10単位のEcoRIと10単位のXho Iを加えて37℃で4時間反応させた。該反応物をアガロースゲル電気泳動にて分画し、MoLTR を含む0.63kbのDNA 断片を約0.3 μg 回収した。次に、pChi641HA1のEcoRI− Xho I断片0.1 μg およびpPMOL3のEcoRI− Xho I断片0.1 μg をT4リガーゼ緩衝液20μl に溶解し、T4DNA リガーゼ175 単位を加えて、1日間、4℃にてインキュベートした。該反応物を用いて大腸菌HB101 株を形質転換し、図54に示したKM−641由来ヒト型キメラH鎖発現ベクターpChi641HAM1 を得た。
【0170】
【発明の効果】
本発明により、ガングリオシドGM に反応するヒト化抗体が提供される。
【0171】
【配列表】
Figure 0003565572
Figure 0003565572
【0172】
Figure 0003565572
Figure 0003565572
【0173】
Figure 0003565572
Figure 0003565572
【0174】
Figure 0003565572
Figure 0003565572
【0175】
Figure 0003565572
Figure 0003565572
【0176】
Figure 0003565572
【0177】
Figure 0003565572
【0178】
Figure 0003565572
【0179】
Figure 0003565572
【0180】
Figure 0003565572
【0181】
Figure 0003565572
【0182】
Figure 0003565572
【0183】
Figure 0003565572
【0184】
Figure 0003565572
【0185】
Figure 0003565572
【0186】
Figure 0003565572
Figure 0003565572
【0187】
Figure 0003565572
【0188】
Figure 0003565572
【0189】
Figure 0003565572
Figure 0003565572
【0190】
Figure 0003565572
Figure 0003565572
【0191】
Figure 0003565572
【0192】
Figure 0003565572
【0193】
Figure 0003565572
【0194】
Figure 0003565572
【0195】
Figure 0003565572
【0196】
Figure 0003565572
【0197】
Figure 0003565572
【0198】
Figure 0003565572
【0199】
Figure 0003565572
【0200】
Figure 0003565572
【0201】
Figure 0003565572
【0202】
Figure 0003565572
【0203】
Figure 0003565572
【0204】
Figure 0003565572
【0205】
Figure 0003565572
Figure 0003565572
【0206】
Figure 0003565572
Figure 0003565572

【図面の簡単な説明】
【図1】はプラスミドpKM796H1およびpKM796L1を示した図である。
【図2】はプラスミドpKM750H1およびpKM750L1を示した図である。
【図3】はプラスミドpKM603H1およびpKM603L1を示した図である。
【図4】はプラスミドpAGE147 の造成工程を示した図である。
【図5】はプラスミドpAGE148 の造成工程を示した図である。
【図6】はプラスミドpChi796HM1およびpChi750HM1の造成工程を示した図である。
【図7】はプラスミドpChi796HMS1 およびpChi750HMS1 の造成工程を示した図である。
【図8】はプラスミドpChi796LI1およびpChi750LI1の造成工程を示した図である。
【図9】はプラスミドpChi796LM1およびpChi750LM1の造成工程を示した図である。
【図10】はプラスミドpChi796LMS1 およびpChi750LMS1 の造成工程を示した図である。
【図11】はプラスミドpChi796H107 およびpChi750H107 の造成工程を示した図である。
【図12】はプラスミドpChi796HL1およびpChi750HL1の造成工程を示した図である。
【図13】はプラスミドpChi603HM1の造成工程を示した図である。
【図14】はプラスミドpChi603HMS1 の造成工程を示した図である。
【図15】はプラスミドpChi603LI1の造成工程を示した図である。
【図16】はプラスミドpChi603LM1の造成工程を示した図である。
【図17】はプラスミドpChi603LMS1 の造成工程を示した図である。
【図18】は精製した抗GMヒト型キメラ抗体KM966 およびKM967 のSDS−PAGE(4−15%グラジエントゲルを使用) の電気泳動パターンを示した図である。左側が還元条件、右側が非還元条件でそれぞれ電気泳動を行った図である。レーンの左側より、低分子マーカー、KM967 、KM966 (還元条件)、KM967 、KM966 (非還元条件)の泳動パターンをぞれぞれ示した。
【図19】は精製した抗GMヒト型キメラ抗体KM968 のSDS−PAGE(4−15%グラジエントゲルを使用) の電気泳動パターンを示した図である。左側が還元条件、右側が非還元条件でそれぞれ電気泳動を行った図である。レーンの左側より、高分子量マーカー、低分子マーカー、ヒトIgG スタンダード、KM968 (還元条件)、低分子マーカー、ヒトIgG スタンダード、KM968 (非還元条件)の泳動パターンをぞれぞれ示した。
【図20】はヒト肺小細胞癌株SBC−3 およびLU−135に対するKM966 のCDC 活性を示した図である。縦軸は細胞障害活性、横軸は添加した抗体濃度をそれぞれ示す。黒のグラフがKM−696のCDC 活性を、斜線のグラフがKM966 のCDC 活性をそれぞれ示す。
【図21】はヒト肺扁平上皮癌株PC−10 およびヒト肺腺癌株RERF−LC−MSに対するKM966 のCDC 活性を示した図である。縦軸は細胞障害活性、横軸は添加した抗体濃度をそれぞれ示す。黒のグラフがKM−696のCDC 活性を、斜線のグラフがKM966 のCDC 活性をそれぞれ示す。
【図22】はヒト肺大細胞癌株PC−13 およびヒト神経芽細胞腫株NAGAI に対するKM966 のCDC 活性を示した図である。縦軸は細胞障害活性、横軸は添加した抗体濃度をそれぞれ示す。黒のグラフがKM−696のCDC 活性を、斜線のグラフがKM966 のCDC 活性をそれぞれ示す。
【図23】はヒト神経芽細胞腫GOTOおよびヒト脳腫瘍株A172に対するKM966 のCDC 活性を示した図である。縦軸は細胞障害活性、横軸は添加した抗体濃度をそれぞれ示す。黒のグラフがKM−696のCDC 活性を、斜線のグラフがKM966 のCDC 活性をそれぞれ示す。
【図24】はヒト肺小細胞癌株SBC−3 およびLU−135に対するKM966 のADCC活性を示した図である。縦軸は細胞障害活性、横軸は添加した抗体濃度をそれぞれ示す。黒のグラフがKM−696のADCC活性を、斜線のグラフがKM966 のADCC活性をそれぞれ示す。
【図25】はヒト肺扁平上皮癌株PC−10 およびヒト肺腺癌株RERF−LC−MSに対するKM966 のADCC活性を示した図である。縦軸は細胞障害活性、横軸は添加した抗体濃度をそれぞれ示す。黒のグラフがKM−696のADCC活性を、斜線のグラフがKM966 のADCC活性をそれぞれ示す。
【図26】はヒト肺大細胞癌株PC−13 およびヒト神経芽細胞腫株NAGAI に対するKM966 のADCC活性を示した図である。縦軸は細胞障害活性、横軸は添加した抗体濃度をそれぞれ示す。黒のグラフがKM−696のADCC活性を、斜線のグラフがKM966 のADCC活性をそれぞれ示す。
【図27】はヒト神経芽細胞腫GOTOおよびヒト脳腫瘍株A172に対するKM966 のADCC活性を示した図である。縦軸は細胞障害活性、横軸は添加した抗体濃度をそれぞれ示す。黒のグラフがKM−696のADCC活性を、斜線のグラフがKM966 のADCC活性をそれぞれ示す。
【図28】は9.3kb のKM50細胞の染色体DNA のXbaI断片の制限酵素切断地図を示した図である。
【図29】はプラスミドpKMB11の造成工程を示した図である。
【図30】はプラスミドpKMD6 の造成工程を示した図である。
【図31】はプラスミドpEPKMA1 の造成工程を示した図である。
【図32】はプラスミドpEPKMB1 の造成工程を示した図である。
【図33】はプラスミドpAGE501 の造成工程を示した図である。
【図34】はプラスミドpAGE109 の造成工程を示した図である。
【図35】はプラスミドpAGE502 の造成工程を示した図である。
【図36】はプラスミドpAGE503 の造成工程を示した図である。
【図37】はプラスミドpSEd1 の造成工程を示した図である。
【図38】はプラスミドpSE1D2の造成工程を示した図である。
【図39】はプラスミドpIG1SE1d2 の造成工程を示した図である。
【図40】はプラスミドpIG1SE1d3 の造成工程を示した図である。
【図41】はプラスミドpIG1SE1d4 の造成工程を示した図である。
【図42】はプラスミドpPMOL2の造成工程を示した図である。
【図43】はプラスミドpPMOL3の造成工程を示した図である。
【図44】はプラスミドpchCKA7 の造成工程を示した図である。
【図45】はプラスミドpchCKB1 の造成工程を示した図である。
【図46】はプラスミドpckCKC1 の造成工程を示した図である。
【図47】はプラスミドpChiIgHB2 の造成工程を示した図である。
【図48】はプラスミドpChiIgLA1 の造成工程を示した図である。
【図49】はプラスミドpKM641HA3およびpKM641LA2 を示した図である。
【図50】はプラスミドpChi641HA1の造成工程を示した図である。
【図51】はプラスミドpKM641HE1 の造成工程を示した図である。
【図52】はプラスミドpKM641HF1 の造成工程を示した図である。
【図53】はプラスミドpChi641HA1の造成工程を示した図である。
【図54】はプラスミドpChi641HAM1 の造成工程を示した図である。
【図55】はDNA 、hKM796H の造成工程を示した図である。
【図56】はDNA 、hKM796L の造成工程を示した図である。
【図57】はプラスミドphKM796HM1の造成工程を示した図である。
【図58】はプラスミドphKM796HMS1 の造成工程を示した図である。
【図59】はプラスミドphKM796LI1の造成工程を示した図である。
【図60】はプラスミドphKM796LM1の造成工程を示した図である。
【図61】はプラスミドphKM796LMS1 の造成工程を示した図である。
【図62】はプラスミドphKM796H107 の造成工程を示した図である。
【図63】はプラスミドphKM796HL1の造成工程を示した図である。

Claims (7)

  1. 抗体のH鎖可変領域が配列番号1記載のアミノ酸配列のうちの1〜120番目のアミノ酸配列を含み、抗体のL鎖可変領域が配列番号2記載のアミノ酸配列のうちの1〜107番目のアミノ酸配列を含むガングリオシドGMに反応するヒト型キメラ抗体。
  2. 形質転換体FERM BP-3931が生産するヒト型キメラ抗体KM966。
  3. 請求項1または2に記載のヒト型キメラ抗体を生産する形質転換株。
  4. 請求項1または2に記載のヒト型キメラ抗体を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
  5. 配列番号1記載の1〜120番目のアミノ酸配列をコードするDNA。
  6. 配列番号2記載の1〜107番目のアミノ酸配列をコードするDNA。
  7. 請求項および/または記載のDNAを含む、DNA発現用ベクター。
JP22143293A 1992-09-07 1993-09-06 ヒト化抗体 Expired - Fee Related JP3565572B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22143293A JP3565572B2 (ja) 1992-09-07 1993-09-06 ヒト化抗体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23845292 1992-09-07
JP4-238452 1992-09-07
JP22143293A JP3565572B2 (ja) 1992-09-07 1993-09-06 ヒト化抗体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06205694A JPH06205694A (ja) 1994-07-26
JP3565572B2 true JP3565572B2 (ja) 2004-09-15

Family

ID=26524294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22143293A Expired - Fee Related JP3565572B2 (ja) 1992-09-07 1993-09-06 ヒト化抗体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3565572B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE428732T1 (de) * 1998-05-20 2009-05-15 Kyowa Hakko Kogyo Kk Gen rekombinante antikörper
FR2807767B1 (fr) * 2000-04-12 2005-01-14 Lab Francais Du Fractionnement Anticorps monoclonaux anti-d
DE602004030451D1 (de) 2003-07-15 2011-01-20 Chugai Pharmaceutical Co Ltd Produktion von igm durch transformierte zellen und verfahren zur quantifizierung dieser igm-produktion
WO2005035574A1 (ja) 2003-10-09 2005-04-21 Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha IgM高濃度安定化溶液
JP5095416B2 (ja) 2005-12-06 2012-12-12 協和発酵キリン株式会社 抗perp遺伝子組換え抗体
WO2010018846A1 (ja) * 2008-08-13 2010-02-18 協和発酵キリン株式会社 ガングリオシドgm2に特異的に結合する抗体組成物を含む医薬

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06205694A (ja) 1994-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0598998B1 (en) Humanized antibodies reacting with the ganglioside GM2
US6965024B2 (en) Process for producing humanized chimera antibody
US6872392B2 (en) Humanized antibodies
US5354847A (en) Chimeric antibody with specificity to human tumor antigen
EP0364096B1 (en) Gene expression elements and the production of chimeric mouse-human antibodies
US5576184A (en) Production of chimeric mouse-human antibodies with specificity to human tumor antigens
JP3565572B2 (ja) ヒト化抗体
US5939532A (en) Humanized antibodies to ganglioside GM2
Nakamura et al. Humanized antibodies to ganglioside GM 2
US20050196400A1 (en) Production of chimeric mouse-human antibodies with specificity to human tumor antigens

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20030909

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20031219

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20040202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040316

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040324

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040511

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040608

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080618

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090618

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090618

Year of fee payment: 5

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090618

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090618

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100618

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110618

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees