JP2004500852A - ヒト腫瘍細胞においてダウンレギュレートされる核酸の使用による、試料の殺腫瘍能を決定するためのプロセス - Google Patents
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Abstract
ヒト細胞に由来するまたはヒト細胞を含む、癌細胞を含む被験試料が、腫瘍の発生、腫瘍の進行または転移の能力を有するか否かを決定するためのプロセスであって、被験試料、および同じ個体または同じ種の異なる個体から入手した非腫瘍細胞に由来する第2の試料を、各試料のそれぞれを配列番号:1の核酸プローブとともにインキュベートすること、および各試料のそれぞれと前記プローブとのハイブリダイゼーションの概算量を決定すること、ならびに被験試料が含む特定の核酸または核酸の混合物の量が前記第2の試料よりも多いか否かを判定するために、被験試料のハイブリダイゼーションの概算量を前記第2の試料のハイブリダイゼーションの概算量と比較することによって分析するプロセス。
Description
【0001】
発癌、腫瘍の進行および転移は、転写プログラムの不均衡、不適切な翻訳後修飾、および後成的修飾(epigenetic modification)の調節不全によって起こる(Schwirzke, M.ら、Anticancer Res 19(1999)1801〜1814;Pardee, A.B.、Advances in Cancer Res 65(1994)213〜227;Ponta, H.、Biochim Biophys Acta 1198(1994)1〜10)。転写プログラムの変化は、癌遺伝子および癌抑制遺伝子、細胞遺伝学的変化によって生じた融合蛋白質、DNAメチルトランスフェラーゼによる予定外のメチル化ならびにヒストンアセチルトランスフェラーゼおよびヒストンデアセチラーゼなどのクロマチン修飾酵素による遺伝子の発現の変化に起因する(Lin, R.J.ら、Trends Genet 15(1999)179〜184;Stunnenberg, H.G.ら、Biochem Biophys Acta 1423(1999)F15〜F33)。
【0002】
腫瘍と関連のある候補遺伝子の同定のためには、転移性細胞株と非転移性細胞株との比較、異なる進行ステージに対応する腫瘍標本などの細胞システムの発現プロファイリングを行うことが、この目標を達成するための最初のステップである(Schiemann, S.ら、Anticancer Research 17(1997)13〜20;Schwirzke, M.ら、Anticancer Research 18(1998)1409〜1422;Schiemann, S.ら、Clin Exp Metastatis 16(1998)129〜139)。それ以降のステップには、種々の腫瘍における同定された変化の頻度の分析、安定したトランスフェクタントにおけるアンチセンスRNAまたはリボザイムを用いた過剰発現およびダウンレギュレーションによる検討中の遺伝子のインビトロ調節、ならびに関連したインビトロ系における結果の評価が含まれる。調査中の腫瘍の本来の向性が維持される、皮下異種移植系および同所移植を含むヌードマウス系の登場により、候補遺伝子のインビボでの機能的役割を評価する道が開かれた(Fidler, I.J.、Cancer Metastasis Rev 50(1986)29〜49)。
【0003】
重要な染色体座位におけるヘテロ接合性の消失(LOH)は、癌の発症リスクの増加と相関している。このような重要な座位にあるLOHは、癌発症の可能性を早期に判定するため、ならびに化学予防薬および化学療法薬の有効性を評価するための有用なマーカとして用いられる可能性がある。染色体6qに位置する遺伝子は極めて多型性が高く、天然のヘテロ接合性遺伝子システムとなる。染色体6qにLOHが存在すると、以下のような腫瘍が発症する確率が高いことが示されている:悪性黒色腫(Healy, E.ら、Oncogene 16(1998)2213〜2218;Robertson, G.P.ら、Cancer Res 56(1996)1635〜1641;Ray, M.E.ら、Oncogene 12(1996)2527〜2533;Millikin, D.ら、Cancer Research 51(1991)5449〜5453)、膵癌(Griffin, C.A.ら、Cancer Research 55(1995)2394〜2399;子宮頸癌(Huettner, P.C.ら、Human Pathol 29(1998)364〜370);前立腺癌(Srikantan, V.ら、Int J Cancer 84(1999)331〜335;MacGrogan, D.およびBookstein, R.、Seminars in Cancer Biology 8(1997)11〜19;Verma, R.S.ら、Cancer Investigation 17(1999)441〜447)および乳癌(Bilanges, B.ら、Oncogene 18(1999)3979〜3988;Chappell, S.A.ら、British J 癌 75(1997)1324〜1329;Devilee, P.,ら、Oncogene 6(1991)1705〜1711;Noviello, C.ら、Clin Cancer Research 2(1996)1601〜1606;Fujii, H.,ら、Genes, Chromosomes & Cancer 16(1996)35〜39)。
【0004】
発明の概要
本発明は、少なくとも1つの特定の核酸もしくは核酸の混合物の有無を検出するため、または試料における2つの異なる配列を識別するためのプロセスであって、試料が前記の1つまたは複数の配列を含むことが疑われ、
(a)前記試料を、以下のものからなる群から選択される核酸とともに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でインキュベートするステップ:
(i)配列番号:1の核酸配列;
(ii)(i)の核酸配列に対して相補的な核酸配列;
(iii)(i)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;および
(iv)(ii)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;ならびに
(b)前記ハイブリダイゼーションが生じたか否かを決定するステップ
を順に含むプロセスを提供する。
【0005】
さらに、本発明は、ヒト細胞に由来するまたはヒト細胞を含む被験試料、好ましくは上皮細胞に由来するまたは上皮細胞を含む被験試料が、前記細胞の腫瘍の発生、進行または転移の能力を有するか否かを決定するためのプロセスであって、被験試料、および同じ個体または同じ種の異なる個体からの非腫瘍細胞に由来する第2の試料を、
(a)それぞれの試料を、以下のものからなる群から選択される核酸プローブとともに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でインキュベートすること:
(i)配列番号:1の核酸配列;
(ii)(i)の核酸配列に対して相補的な核酸配列;
(iii)(i)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;および
(iv)(ii)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;ならびに
(b)各々のそれぞれの試料と前記プローブとのハイブリダイゼーションの概算量(approximate amount)を決定するステップ、ならびに
(c)被験試料が含む特定の核酸または核酸の混合物の量が前記第2の試料よりも多いか否かを判定するために、被験試料のハイブリダイゼーションの概算量を前記第2の試料のハイブリダイゼーションの概算量と比較すること
によって分析するプロセスを提供する。
【0006】
発明の詳細な説明
本発明は、特に癌の分野における、診断学のためのTHW遺伝子の使用を提供する。特に本発明は、哺乳動物、特に悪性腫瘍細胞における前記遺伝子THWの発現の同定およびその量の測定を含む。本発明は、腫瘍細胞の転移能および進展能の診断にも関する。
【0007】
THW核酸は、腫瘍細胞において発現がダウンレギュレートされており、腫瘍の進行および/または転移を抑制することができるが、これは特に悪性黒色腫および乳癌細胞においてそうである。
【0008】
THWと命名した癌抑制遺伝子は染色体6qに位置し、その喪失または阻害は腫瘍の能力と相関している。また、癌でない対応物と比べて癌細胞においてダウンレギュレートされている、THWと命名した蛋白質も提供する。THWは腫瘍抑制、特に転移の抑制に関与している可能性がある。THW遺伝子は配列番号:2のポリペプチドをコードする。
【0009】
THW蛋白質をコードする核酸は腫瘍細胞においてダウンレギュレートされており、以下のものからなる群から選択することができる:
(a)配列番号:1;
(b)(a)の相補配列を有する核酸プローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、
(c)遺伝暗号の縮重のために、(a)または(b)の配列の配列ではないものの(a)または(b)の配列によってコードされるポリペプチドと厳密に同じアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列;および
(d)(a)、(b)または(c)の配列のいずれかの断片である核酸配列。
【0010】
THWポリペプチドは、以下のものからなる群から選択される核酸によってコードされる:
(a)配列番号:1;
(b)(a)の相補配列を有する核酸プローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;
(c)(a)または(b)の配列のいずれかの断片である核酸。
【0011】
好ましくは、THWポリペプチドは配列番号:2の配列を有する。
【0012】
単離されたTHWポリペプチド、およびそれ故に、それをコードする核酸は、個体ごとに異なる天然の対立遺伝子変異(allelic variation)として存在しうる。アミノ酸のこのような変異は通常、アミノ酸の置換である。しかし、それらは全配列に対するアミノ酸の欠失、挿入または付加であってもよい。本発明によるTHW蛋白質は、その程度および種類の両方の点で、それが発現される細胞および細胞種に依存し、すなわちそれはグリコシル化型または非グリコシル化型でありうる。癌抑制活性を有するポリペプチドは、THWに関する発現ベクターを用いたTHW陰性腫瘍細胞のトランスフェクション、安定的なトランスフェクタントの樹立、およびヌードマウスへの異種移植によるその殺腫瘍能力の評価によって同定可能である。このような評価は例えば、ボラスキ(Boraschi, D.)ら、Cell Immunol. 45(1979)188〜194およびボラスキ(Boraschi, D.)ら、J. Immunol. 131(1983)1707〜1713に従って行うことができる。
【0013】
「THW活性を有するポリペプチドまたはTHW」は、わずかなアミノ酸の変化を伴うものの、実質的に同じTHW活性を有する蛋白質のことも意味する。実質的に同じとは、活性が同じ生物特性であって、ポリペプチドがアミノ酸配列に関して少なくとも90%の同一性を示すことを意味する。
【0014】
「核酸分子または核酸」という用語は、ポリヌクレオチド分子のことを意味し、これは例えば、DNA、RNAまたは誘導体化された活性DNAまたはRNAでありうる。しかし、DNAおよび/またはRNA分子が好ましい。
【0015】
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語は、2つの核酸断片が、サムブルック(Sambrook)ら、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、USAに記載された標準的なハイブリダイゼーション条件下で互いにハイブリダイゼーションを生じうることを意味する。より詳細には、本明細書で用いる「ストリンジェントな条件下」とは、6.0×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションに続いて洗浄を行うことを指す。この洗浄は2.0×SSC中、50℃で行うことができる。ハイブリダイゼーションは、サケ精子DNAを含まない非粘性液体である、クロンテック(Clontech)社から販売されているExpress Hyb(登録商標)ハイブリダイゼーション溶液を用いて行うことが好ましい。洗浄ステップにおける塩濃度のストリンジェンシーは、例えば、低ストリンジェンシー用の約2.0×SSC、50℃から、高ストリンジェンシー用の約0.2×SSC、50℃までの範囲で選択することができる。さらに、洗浄ステップにおける温度は、低ストリンジェンシー条件の室温、約22℃から、高ストリンジェンシー条件の約65℃まで高めることができる。
【0016】
本明細書の全体を通じて用いる「核酸またはポリペプチド」という語句は、組換えDNA技術によって生産された場合には細胞材料または培地を実質的に含まない、化学合成された場合には前駆化学物質または他の化学物質を実質的に含まない、THW活性を有する核酸またはポリペプチドのことを指す。このような核酸は、その核酸の由来である生物体においてその核酸と通常は隣接している配列(すなわち、核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を含まないことが好ましい。
【0017】
THWは、組換え体の生産後に、免疫沈降、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、等電点フォーカシング、選択的沈降、電気泳動などを含む、既知の蛋白質精製法を用いるアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。
【0018】
本発明によるポリペプチドは、組換え手段または合成によって生産することができる。非グリコシル化型のTHWポリペプチドは、それを原核生物において組換え的に産生させた場合に得られる。本発明によって提供される核酸配列を用いることにより、任意の望ましい細胞(例えば、ヒト細胞以外に、他の哺乳動物の細胞も)のゲノムにおけるTHW遺伝子またはそのバリアントを検索して、これらを同定することおよびTHW蛋白質をコードする望ましい遺伝子を単離することが可能になる。このようなプロセスおよび適したハイブリダイゼーション条件は当業者に知られており、例えば、サムブルック(Sambrook)ら、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、USA、およびハーメス(Hames, B.D.)、ヒギンズ(Higgins, S.G.)、核酸ハイブリダイゼーション−実践的アプローチ(Nucleic Acid Hybridisation−A Practical Approach)(1985)IRL Press、Oxford、Englandに記載されている。この場合、これらの刊行物中の標準的なプロトコールは通常、実験のために用いられる。
【0019】
THW蛋白質をコードするこのような核酸を用いることにより、本発明による蛋白質を再現性のある様式で大量に得ることが可能となる。原核宿主細胞または真核宿主細胞などの原核生物または真核生物における発現のためには、当業者によく知られた方法に従って、核酸を適した発現ベクターに組み込む。このような発現ベクターは、調節可能/誘導可能なプロモーターを含むことが好ましい。続いて、これらの組換えベクターを適した宿主細胞、例えば、原核宿主細胞としての大腸菌、または真核宿主細胞としてのサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、奇形癌腫細胞株PA−1 sc 9117(Buttner, R.ら、Mol. Cell. Biol. 11(1991)3573〜3583)、昆虫細胞、CHOもしくはCOS細胞に導入し、形質転換または形質転換がなされた宿主細胞を異種遺伝子の発現を許容する条件下で培養する。蛋白質の単離は、既知の方法に従って、宿主細胞または宿主細胞の培養上清から行うことができる。このような方法は、例えば、アウスユーベル(Ausubel I.)、フレデリック(Frederick M.)、分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Mol. Biol.)(1992)、John Wiley and Sons、New Yorkに記載されている。細胞培養物中に可溶型として認められない場合には、蛋白質のインビトロ再活性化も必要と思われる。
【0020】
本発明はさらに、THWの発現のために適した組換え発現ベクター、このような発現ベクターによってトランフェクトされた組換え宿主細胞、さらにはTHW遺伝子によってコードされる蛋白質の組換え生産のためのプロセスを含む。
【0021】
本発明はさらに、遺伝子THWの核酸分子を検出するための方法であって、THW遺伝子である核酸分子の存在を決定するために、試料(例えば、血液などの体液、細胞可溶化物、または試料RNAの逆転写によって生じたDNA)を本発明による単離された核酸分子とともにインキュベートすること、および前記単離された核酸分子と標的核酸分子とのストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションを評価することを含み、このため、腫瘍細胞の転移の可能性および/または進行を同定するための方法であるような方法を提供する。
【0022】
癌細胞を含む被験試料が腫瘍の発生、進行または転移の能力を有するか否かを決定するためには、単離された核酸と標的の1つまたは複数の核酸とのハイブリダイゼーションの概算量を評価する。ハイブリダイゼーションの概算量を定量的に評価する必要はないが、定量的評価も本発明に含まれる。一般的には、例えば、ハイブリダイゼーション検出後の肉眼検査により、ハイブリダイゼーションの概算量を定性的に評価する。例えば、試料中の標的核酸とハイブリダイズする標識核酸を分離するためにゲルを用いる場合には、結果として得られたバンドを肉眼的に検査することができる。被験試料におけるハイブリダイゼーションの概算量を非腫瘍細胞におけるハイブリダイゼーションの概算量の概算量と比較することができる。このような非腫瘍細胞は例えば上皮細胞または末梢血細胞である。
【0023】
本発明に従って示す通り、THW核酸は健康ドナーの末梢血細胞を含まない試料よりも腫瘍試料の方が存在する量が少ない。腫瘍の進行能または転移能がないまたは低い被験試料では、腫瘍の進行能または転移能が高い癌細胞試料よりも、本発明のTHW核酸の量が多いと考えられる。
【0024】
本発明によって提供される核酸に基づき、THW核酸の検出を腫瘍の早期発見の手段として用いる腫瘍検査を提供することが可能である。
【0025】
プローブおよび核酸のハイブリダイゼーションの方法は当業者に知られており、例えば、国際公開公報第89/06698号、欧州特許第A 0200362号、米国特許第2915082号、欧州特許第A 0063879号、欧州特許第A 0173251号、欧州特許第A 0173251号に記載されている。
【0026】
本発明の1つの好ましい態様では、例えば既知のPCR法により、試料の核酸を検査の前に増幅する(試料核酸がRNAであればさらに逆転写する)。通常、誘導体化された(標識された)核酸プローブを核酸診断薬の枠組みで用いる。このプローブを、担体と結合した試料由来の変性DNAまたはRNAと接触させる。この過程における温度、イオン強度、pHおよび他の緩衝液の条件は、標識したDNAまたはRNAが相同なDNAまたはRNAと結合しうるように、核酸プローブの長さおよび組成ならびに予想されるハイブリッド体の融解温度に応じて選択する(ハイブリダイゼーション、Wahl, G.M.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76(1979)3683〜3687も参照)。適した担体は、ニトロセルロース(例えば、SchleicherおよびSchull、BA 85、Amersham Hybond, C.)、粉末状の強化型もしくは結合型のニトロセルロース、または種々の官能基(例えば、ニトロ基)による誘導体化がなされたナイロン膜(例えば、SchleicherおよびSchtull、Nytran;NEN、Gene Screen;Amersham Hybond M.;Pall Biodyne)などの膜または担体材料である。
【0027】
好ましくは、核酸プローブを試料の核酸とともにインキュベートし、ハイブリダイゼーションを、選択的には、試料の核酸および/または核酸プローブに対する別の結合パートナーを用いて検出する。
【0028】
ハイブリダイズするDNAまたはRNAは、非特異的な結合を防ぐための十分な洗浄および飽和化の後に、担体を抗体または抗体断片とともにインキュベートすることによって検出しうる。抗体または抗体断片は、ハイブリダイゼーション中に核酸プローブに組み入れられた物質を標的とする。抗体を次に標識する。しかし、DNAを直接標識することも可能である。抗体とともにインキュベートした後に、特異的に結合した抗体結合物のみを検出するためにこれを再び洗浄する。続いて、抗体または抗体断片上の標識を用いる既知の方法に従って評価を行う。
【0029】
発現の検出は、例えば以下の通りに行うことができる:
−固定した全細胞、固定した組織塗沫標本とのインサイチューハイブリダイゼーション、
−コロニーハイブリダイゼーション(細胞)およびプラークハイブリダイゼーション(ファージおよびウイルス)、
−サザンハイブリダイゼーション(DNA検出)、
−ノーザンハイブリダイゼーション(RNA検出)、
−血清分析(例えば、スロットブロット分析による血清中の細胞の細胞種の分析)、
−増幅によるもの(例えば、PCR法)。
【0030】
このため、本発明による核酸は、腫瘍の発生能および進行能の診断における有用な予後判定マーカーである。
【0031】
本発明はさらに、原核宿主細胞または真核宿主細胞における外因性DNAの発現および望ましい蛋白質の単離による、発現が腫瘍抑制と相関する蛋白質を生産するための方法であって、蛋白質が本発明による核酸分子によってコードされる、好ましくは配列番号:1に示したDNAによってコードされる核酸分子であるような方法を含む。
【0032】
本蛋白質は、細胞または培養上清から単離して、クロマトグラフィー手段、好ましくはイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよび/または逆相HPLCによって精製することができる。
【0033】
本発明はさらに、好ましくは配列番号:1に示したヌクレオチド配列を有する、本発明による核酸分子によってコードされる、本発明による単離された蛋白質を含む。
【0034】
本発明は、腫瘍抑制遺伝子であり、腫瘍発生能の指標となるダウンレギュレートされる遺伝子であることを特に特徴とする、遺伝子THWのクローニングおよび特徴分析に関する。
【0035】
本発明により、癌の治療、特に腫瘍抑制に有用な化合物の同定および単離のための方法が提供される。これらの方法には、本発明によるポリペプチドの発現を調節するための方法、本発明による蛋白質を模倣しうる化合物を同定するための方法、ならびに前記ポリペプチドおよびそれをコードする遺伝子を活性化しうる化合物を同定するための方法が含まれる。本方法にはさらに、腫瘍細胞における殺腫瘍能力を好ましくはダウンレギュレートする、THW遺伝子のmRNAへの転写を活性化するための方法も含まれる。これらの方法はインビトロまたはインビボで行うことができ、本発明の細胞株およびトランスジェニック動物モデルの利用および樹立を行ってもよい。
【0036】
THW活性はいくつかの方法によって測定しうる。例えば、活性化は、インビトロでの運動性もしくは浸潤性の増加といった細胞生理の変化により、または分化状態の変化により、または増殖の増加につながる細胞代謝の変化によって、明らかとなる。
【0037】
THW遺伝子は、LOHが以下のような複数の腫瘍で見いだされている領域である、染色体6qに位置する:悪性黒色腫(Healy, E.ら、Oncogene 16(1998)2213〜2218;Robertson, G.P.ら、Cancer Res 56(1996)1635〜1641;Trent, J.M.ら、Science 247(1990)568〜71;Ray, M.E.ら、Oncogene 12(1996)2527〜2533;Millikin, D.ら、Cancer Research 51(1991)5449〜5453)、膵癌(Griffin, C.A.ら、Cancer Research 55(1995)2394〜2399)、子宮頸癌(Huettner, P.C.ら、Human Pathol 29(1998)364〜370)、前立腺癌(Srikantan, V.ら、Int J Cancer 84(1999)331〜335;MacGrogan, D.およびBookstein, R.、Seminars in Cancer Biology 8(1997)11〜19;Verma, R.S.ら、Cancer Investigation 17(1999)441〜447)および乳癌(Bilanges, B.、Oncogene 18(1999)3979〜3988;Chappell, S.A.ら、British J Cancer 75(1997)1324〜1329;Devilee, P.ら、Oncogene 6(1991)1705〜1711;Noviello, C.ら、Clin Cancer Research 2(1996)1601〜1606;Fujii, H.ら、Genes, Chromosomes and Cancer 16(1996)35〜39)。THW遺伝子の染色体6q上での位置は、区域D6S472〜D6S453の内部にある。
【0038】
THW遺伝子におけるヘテロ接合性の消失(LOH)は、現在の技術水準に従って、好ましくは上記の区域に位置するマイクロサテライトマーカーを用いるPCRにより、検出することができる。LOHの検出およびマイクロサテライト不安定性(MSI)の状態の決定のためには、この区域からのプライマー(マーカー)および/または隣接区域D6S434〜D6S302およびD6S453〜D6S311からのプライマーを用いることができる。上記の区域内にあるマイクロサテライトマーカーは、ゲノムデータベースGDB(http://www.gdb.org)中に発見しうる。MSIの検出は、上記の隣接領域からのプライマーを用いて、例えば、デラシャペル(de la Chapelle, A.)、Eur. J. Hum. Genet. 7(1999)407〜408およびポトクニック(Potocnik U.)ら、Pflugers Arch 439(3rd Suppl.)2000、R47〜9に記載された既知の方法に従って行うことができる。LOHの検出方法は、例えば、フリードリッヒ(Friedrich, M.G.)ら、J. Urol. 163(2000)1039〜1042;スガノ(Sugano, K.)ら、Genes, Chromosomes and Cancer 15(1996)157〜164;チェン(Chen, Y.H.)ら、J. Pathol. 177(1995)129〜134;ハーン(Hahn, M.)ら、BioTechniques 18(1995)1040〜1047;ロペス−クラペッツ(Lopez−Crapez, E.)ら、BioTechniques 17(1994)1072〜1074、1076;ドックホーン−ドボルニチャク(Dockhorn−Dworniczak, B.)ら、Virchows Arch. 424(1994)337〜342;グルス(Gruis, N.A.)ら、Br. J. Cancer 68(1993)208〜213;メルロー(Merlo, G.R.)ら、BioTechniques 11(1991)166〜168、170〜171に記載されている。
【0039】
パラフィン切片または他の組織試料から、分子量の比較的高いDNAを単離することが好ましい。分析は、二ヌクレオチド反復配列を含む多型マイクロサテライトマーカーに隣接するオリゴヌクレオチドを用いるPCRによって行う。
【0040】
以下の実施例、参考文献、配列表および図面は、本発明の理解を助けるために提供するものである。発明の精神を逸脱することなく、以下に述べる手順に修正を加えうることは理解される。
【0041】
配列番号:1: THWのcDNA配列およびアミノ酸配列。
配列番号:2:THWのアミノ酸。
配列番号:3:プライマー312revl。
配列番号:4:プライマー312f6。
配列番号:5〜10:プライマー
【0042】
実施例 1
腫瘍形成能力および転移能力の決定
細胞株530は、以前の記載の通り、外科的に摘出されたヒト黒色腫の転移に由来する(van Muijen, G.N.P.ら、Clin Exp Metastasis 9(1991)259〜272;Versteeg, R.ら、EMBO J 7(1988)1023〜1029)。細胞株NMCL−1もヒト皮膚黒色腫の転移に由来する。この2つの細胞株を、10%ウシ胎仔血清、グルタミン、ペニシリンGおよびストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法イーグル培地を入れた培養フラスコ内で増殖させた。530細胞株およびNMCL−1細胞株の腫瘍形成能力および転移能力を明らかにするために、サブコンフルエント状態の培養物から、0.25%トリプシンおよび0.02%EDTAで2分間処理することによって腫瘍細胞を回収した。血清含有培地で洗った後、細胞をPBS中に懸濁し、5×106個の細胞を、ナイメーヘン大学中央動物研究所(Central Animal Laboratories、University of Nijmegen、Netherlands)のヌードマウス施設で育てられたBALB/c無胸腺ヌードマウスの外側胸壁に対して皮下(s.c.)接種した。マウスを腫瘍の局所的成長および全般的状態に関して週2回検査した。マウス各5匹からなる2つの群に対して各細胞株を注射した。疾病または呼吸困難の徴候が認められた時点でマウスを屠殺した。健康状態を維持したマウスは接種から3〜4カ月後に屠殺した。肺の少なくとも3つの異なるレベルから作製したパラフィン切片に対して、肺転移の検出に関する顕微鏡検査を行った。接種したマウス10匹中8匹で細胞株530による腫瘍形成が認められた。肺の顕微鏡検査では、これらのマウスのいずれにも転移は認められなかった。細胞株NMCL−1は接種したマウス10匹のすべてで皮下腫瘍の成長を示した。細胞株530とは異なり、NMCL−1細胞株を接種したすべてのマウスで広範囲の肺転移が認められた。
【0043】
実施例 2
ディファレンシャルディスプレイPCR
ディファレンシャルディスプレイ・ポリメラーゼ連鎖反応(DD−PCR)を、リャン(Liang)およびパーディー(Pardee)(Liang, P.およびPardee, A.B.、Science 257(1992)967〜971;Liang, P.ら、Cancer Res 52(1992)6966〜6968)によって記載された方法に従い、RNA画像キット(GenHunter Corp.、Brookline、MA)を製造者の推奨に従って用いて行った。RNeasy(登録商標)Midi Kit(Qiagen、DE)を用いることにより、全RNAを530細胞およびNMCL−1細胞から単離した。全RNA試料に混入した痕跡量のDNAの除去は、メッセージクリーン(MessageClean)(登録商標)キット(GenHunter Corp.、Brookline、MA)を用いて、RNアーゼ非含有DNアーゼIにより37℃で30分間消化することによって行った。530細胞およびNMCL−1細胞から得たDNA非含有全RNA(0.2μg)を、3種の異なる一塩基アンカー型H−T11Mプライマー、1×逆転写酵素バッファー[125mM Tris−Cl、pH 8.3、188mM KCl、7.5mM MgCl2、25mMジチオトレイトール(DDT)]および250μM dNTPの混合物の存在下で、第一鎖cDNA合成のためのテンプレートとして用いた。この溶液を65℃で5分間加熱し、10分間かけて37℃に冷却した後に、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素200単位を添加した。37℃で1時間インキュベートした後に、75℃で5分間インキュベートすることによって反応を停止させた。0.1倍容量の逆転写反応混合物、各10μMの一塩基アンカー型H−T11Mプライマー、2μMの任意の13量体プライマー、1×PCRバッファー[100mM Tris−Cl、pH 8.4、500mM KCl、15mM MgCl2、0.01%ゼラチン]、25μM dNTP、10μCi[α−35S]dATPおよび10単位のAmpliTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer、Norwalk、CT)を含む溶液中でPCR手順を行った。PCRは94℃ 30秒間、40℃ 2分間、72℃ 30秒間を40サイクルの後、最後に72℃ 5分間を行った。2μlのローディングバッファーを3.5μlの各試料に添加した後に、PCR産物を80℃で2分間加熱し、続いて変性5%ポリアクリルアミドシークエンシングゲルにかけて電気泳動を行った。乾燥したゲルをコダック(Kodak)社のバイオマックス(BioMax)(登録商標)MRフィルムに対して室温で48時間露出させ、差異を伴って発現された遺伝子に関してオートラジオグラムを分析した。2つの細胞株の一方に特有の断片が認められた反応を、後に逆転写およびPCRを繰り返すことによって確認した。2つの独立したDD−PCR反応において再現性を伴って認められた特有のバンドを乾燥ゲルから切り出し、ゲル切片を100μlのH2O中に10分間浸漬した後に15分間煮沸することにより、cDNAをゲルから溶出させた。3M NaOAcおよび担体としての50μgグリコーゲンの存在下でエタノール沈殿によってcDNAを回収し、10μlのH2O中に再び溶解した。溶出したcDNA 4μlを、dNTP濃度を20μMとし、放射性同位元素を含めなかった点を除いて同じ5’プライマーおよび3’プライマーならびに上記の条件を用いる第2のPCRによって再び増幅した。得られたPCR増幅断片を1.5%アガロースゲルで分析し、続いてQIAquick(登録商標)ゲル抽出キット(Qiagen、Hilden、DE)を用いて精製した上で、ノーザン分析用のプローブとして用いた。
【0044】
実施例 3
THW遺伝子のシークエンシングおよび特徴分析
DD−PCR断片のクローニング
PCR再増幅により直接生成されたハイブリダイゼーションプローブを用いるノーザン分析をまず行った。ノーザンブロット上の差異を伴って発現されるmRNAを検出するPCR増幅断片を、Topo TAクローニングシステム(Invitrogen、San Diego、CA)により、PCR 2.1−TOPOベクター中にサブクローニングした。サブクローニングした断片をキアゲン(Qiagen)プラスミドキット(Qiagen)を用いて単離し、これを再度、差異を伴う発現を確認するためのノーザン分析用のプローブとして用いた。
【0045】
サブクローニングしたDDRT−PCR断片のDNAシークエンシング
差異を伴って発現するmRNAに対応するサブクローニングされた断片のシークエンシングを、Topo TAクローニングベクター(上記参照)中へのサブクローニングの後に、ダイターミネーター(Dye Terminator)サイクルシークエンシングキット(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いて直接行った。ヌクレオチド配列データを、最新のDNAデータベース中のESTの既知の遺伝子との相同性に関して解析した。
【0046】
RT−PCR
差異を伴うmRNA発現を示すcDNAの5’伸長領域を同定するためにRT−PCRを行った。ディファレンシャルディスプレイ分析に由来する、この結果得られた301bpのクローンに関してEMBLデータベースを検索した。11個の相同な重複EST(登録番号:W93394、AA480373、AA610151、AA468385、R 82584、AA159815、AA159565、AI814625、AI740811、AI8300092、AI694126)のコンセンサス配列から完全長cDNAを得ることができた。得られたコンセンサス配列からプライマーを設計した。C. thermポリメラーゼ・ワンステップRT−PCRシステムを製造者(Roche)の指示に従って用いてRT−PCRを行った。このシステムは、カルボキシサームス・ヒドロゲノフォルマンス(Carboxydothermus hydrogenoformans)由来のDNAポリメラーゼのクレノウ断片および熱安定性Taqポリメラーゼを含む酵素混合物から構成される。
【0047】
第一鎖合成
細胞株530の190ngのポリA+RNAを、プライマー312revl(5’AAATCCCCGAATTCTCCTGTGG3’、配列番号:3)を最終濃度0.3μMで用いて逆転写した。GC含量が極めて高い(>75%)ことに起因するRNA 5’末端の二次構造を除去するためにDMSO(7%)を添加した。その後、インキュベーションを65℃で30分間行った。
【0048】
PCR
RT反応を行ったのと同じチューブ内でPCRを行った。 第一鎖cDNAを、プライマー312revlおよびプライマー312f6(5’ACCCGCTCCGCTCCGCTC3’、配列番号:4)をそれぞれ最終濃度0.3μMで用いるPCRのためのテンプレートとして用いた。PCR条件は以下の通りとした:94℃−30秒間、69℃−30秒間、72℃−60秒間を35サイクル。この結果得られたPCR断片をサブクローニングして分析した。
【0049】
ノーザンブロット分析
オリゴテックス(Oligotex)(登録商標)mRNAミニキット(Qiagen、Hilden)を用いて、ポリA+RNAを全RNAから単離した。ヒト黒色腫細胞株、ヒト乳癌細胞株および膵癌細胞株(各細胞株の1μg)由来のポリA+RNAの平行レーンを、変性1%アガロースホルムアルデヒドゲルでサイズ分離した。ブライトスター−プラス(BrightStar−Plus)(登録商標)(Ambion Inc.、Austin、Texas)正荷電ナイロン膜に対するブロッティングを、キャピラリーによる下方トランスファーによって行った。UV架橋(Stratagene UV Stratalinker(登録商標)2400)後に、ブロットを、ランダム10量体(10−mer)プライミングによって調製してStrip−EZ(登録商標) DNAキット(Ambion Inc.、Austin、Texas)を用いて比活性2×109cpm/μgに標識した[α−32P]dCTP標識DD−PCR産物とハイブリダイズさせた。ExpressHyb(登録商標)ハイブリダイゼーション溶液(Clontech)を68℃で用いて、プレハイブリダイゼーション(0.5時間)および放射性プローブとの一晩のハイブリダイゼーションを行った。膜を室温の溶液1(2×SSC、0.05%SDS)により、洗浄溶液1を何回か交換しながら連続攪拌下で30〜40分間洗った後に、50℃の溶液2(0.1×SSC、0.1%SDS)による洗浄ステップを、新たな溶液に1回交換しながら40分間行った。次に膜をクロネックス(Cronex)(登録商標)医用X線フィルム(Sterling Diagnostic Imaging Inc.、USA)に対して−80℃で3〜72時間露出させた。mRNAのローディングおよび膜へのトランスファーが均等に行われたことを、ブロットを32P標識β−アクチンcDNAとハイブリダイズさせることにより評価した。
【0050】
多組織発現アレイおよびヒト腫瘍パネルブロット
THW遺伝子の組織特異的な発現について検討するために、多組織発現(MTE(登録商標))アレイ(Clontech、Palo Alto、CA)およびヒト腫瘍パネルブロット(Invitrogen)を用いるノーザンブロット分析により、種々のヒト組織および細胞株におけるTHW mRNAの分布を分析した。腫瘍パネルブロットは種々の組織に由来する一連の腫瘍RNAを含み、正常RNAが腫瘍RNAに隣接して配置されている。MTEブロットは76種の組織特異的ポリA+RNAを含む。種々のブロットを32P標識したTHW cDNAプローブによって検索した。mRNAのローディングが均等に行われたことは、種々のブロットを32P標識β−アクチンcDNAと再びハイブリダイズさせることによって確認した。
【0051】
配列解析
アミノ酸配列中の蛋白質のソーティングシグナルおよび局在化シグナルの予測には、PSORT IIコンピュータプログラム(ヒトゲノムセンター、東京大学医科学研究所、日本)を用いた。膜貫通ヘリックスおよび膜内でのその配向の予測には、バイオテクノロジー学部の生物配列解析センター(The Technical University of Denmark)のTMHMM(v. 0.1)コンピュータプログラムを用いた。
【0052】
cDNAは1890ntに対応しており、ORFは193aaと推定された。ポリアデニル化シグナルがnt1855〜1861に同定された。バイオインフォマティクス解析により、4回膜貫通型受容体構造が示唆された(図2)。THWの構造は、2つの細胞外ドメイン(45aaおよび18aa)、4つの膜貫通ドメイン(19aa、24aa、23aaおよび23aa)および3つの細胞質ドメイン(12aa、6aaおよび24aa)に対応する。配列比較により、国際公開公報第98/39448号;国際公開公報第99/54461号;国際公開公報第98/55508号;および国際公開公報第99/61471に記載されたヌクレオチドおよび蛋白質との相同性が認められた。
【0053】
ヌードマウス系におけるヒト黒色腫細胞の転移能力とTHW遺伝子のmRNA定常レベルとの相関を図3にまとめている。最も高い定常レベルは非転移性細胞株530(図3、レーンi)で認められ、最も低い定常レベルは、レーンaおよびbに示すように非常に転移性の高い細胞株BLMおよびMV3で認められ、中間レベルに相当したのは細胞株IF6m、NMCL−1、Mel57、M14、MV−1およびIF6であった(van Muijen, G.N.P..ら、Clin Exp Metastasis 9(1991)259〜272;Versteeg, R.ら、EMBO J 7(1988)1023〜1029;van Muijen, G.N.ら、Int J Cancer 48(1991)85〜91;van Groningen, J.ら、Cancer Res 55(1995)6237〜6243;Weterman, M.A.J.ら、Cancer Res 52(1992)1291〜1296)が、これらはいずれも転移能が中程度の細胞株である。これらの結果は、THW遺伝子の発現のダウンレギュレーションと、ヌードマウス系におけるヒト黒色腫細胞の転移能との間に相関があることを明らかに立証するものである。
【0054】
これらの検討をさらに進め、乳癌細胞株およびそれらに相当する非悪性細胞株を図4に示すように選択した。細胞株には、正常ヒト乳腺上皮細胞(HMEC)、原発性腫瘍に由来する細胞株(WAおよびAR)、乳癌の骨髄微小転移に由来する3つの細胞株(KM22、HG15および1590)および腹水に由来する1つの細胞株(KS)が含まれる。細胞株WA(図4、レーンc)を除き、他の乳癌細胞株はすべて(図4、レーンa、b、c、d、f)、THW遺伝子のmRNAの定常レベルに顕著な(10倍)ダウンレギュレーションが認められた。これらの結果は、THW遺伝子の発現のダウンレギュレーションが乳癌の発生にも一定の役割を果たしていることを示している。同所異種移植マウスモデルから樹立された一連の細胞株でも同様の結果が認められている。1つの細胞株(K2)は原発性腫瘍に由来し、3つの細胞株は異なる部位の転移に由来する(K3は腸間膜、K13は肝門、K16は肺からのもの)。図5に示す通り、THW mRNAは、原発腫瘍に由来する細胞株(K2)と比較して、転移に由来する3つの細胞株(K3、K13、K16)のすべてでダウンレギュレートされていた。
【0055】
図6に概要を示したように、いくつかの腫瘍試料(乳癌、子宮癌、子宮頸癌および卵巣癌)におけるTHW mRNAの定常レベルを対応する正常組織と比較した。乳癌、子宮癌および子宮頸癌では対応する正常組織と比較してTHWのmRNAレベルの劇的な低下が認められた;卵巣癌では正常組織および腫瘍組織のいずれにもシグナルが検出されなかった。これらの実験は、いくつかの固形腫瘍におけるTHW遺伝子のダウンレギュレーションを示している。
【0056】
図7に示すように、多組織発現アレイ(MTE(登録商標)、Clontech)を用いることにより、正常組織および選択した胎児組織、ならびに選択した腫瘍細胞株におけるTHW遺伝子の発現を調べた。THWは、HeLa、大腸腺癌細胞株SW480および肺癌細胞株A549などの腫瘍細胞株で発現されていたが、赤白血球細胞株K562における発現は極めてわずかであり、白血病細胞株Molt4、白血病HL−60ならびにバーキットリンパ腫細胞株RajiおよびDaudiなどの他の造血腫瘍細胞株では発現されなかった。末梢血白血球では発現が全く検出されず、脳およびその区画、骨格筋、脾臓、リンパ節、骨髄、精巣および卵巣における発現は極めてわずかであった。心臓およびその区画、消化管、腎臓、胸腺、肺、膀胱、胎盤、子宮、肝臓、膵臓、副腎、甲状腺、唾液腺、前立腺および乳腺では中程度の発現が認められた;食道および気管では高発現が認められた。THWは胎児の心臓、腎臓、肝臓、胸腺および肺で発現されており、胎児の脳および脾臓における発現はわずかであった。このように、THWは末梢血白血球を除いてほぼ遍在的に発現される。その受容体は末梢血白血球を除いて遍在的に発現されている(図7)。
【0057】
このため、THWの腫瘍抑制機能は以下の所見を特徴とする:
a)ヌードマウス系では、中間的および非転移性の細胞株に比べて、転移性ヒト黒色腫細胞でTHW遺伝子がダウンレギュレートされている(図3)。
b)ヒト乳腺上皮細胞に比べて乳癌細胞株でTHW遺伝子がダウンレギュレートされている(図4)。
c)原発性腫瘍に由来する細胞株に比べて、転移に由来する膵臓細胞株でTHW遺伝子がダウンレギュレートされている(図5)。
d)正常組織に比べて腫瘍組織でTHW遺伝子がダウンレギュレートされている(図6)
【0058】
実施例 4
LORの検出
マイクロサテライトは、直列反復性の単量体(1〜6bp)から構成される短い配列(50〜300bp)である。これらのマイクロサテライトはゲノム全体に広く存在し、その多くは多型性が高い。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析を用いて、種々の細胞株および腫瘍生検標本における6q24での対立遺伝子喪失の発生率を検討した。この目的のために、3種の多型マイクロサテライトマーカーに隣接するオリゴヌクレオチドを用いた。これらはすべて二ヌクレオチド反復配列であった。
【0059】
6番染色体の長腕に位置する3つの多型DNAマーカーを用いて、35例の患者から得た正常DNAおよび自家腫瘍DNA(原発性黒色腫および転移性黒色腫)を分析した。種々のヒト黒色腫、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌および卵巣癌の細胞株も分析した。
【0060】
LOHは、腫瘍対立遺伝子の相対的なピーク高の低下が正常対立遺伝子と比べて50%を上回る場合と定義される。
【0061】
本発明者らは、LOHの算出に以下の式を用いた:
【式1】
対立遺伝子の喪失は、LOHの値が0.5未満または2.0超であることによって示される。
【0062】
a)DNAの抽出
25件の原発性黒色腫および10件の黒色腫転移から高分子量のDNAを単離した。DNAは(顕微)解剖したパラフィン切片から単離した。DNAを同じ患者の正常組織からも単離した。腫瘍細胞株からのDNAはペレット化した細胞から単離した。DNAの単離にはQIAamp(登録商標)(Qiagen、DE)DNAミニキットを用いた。
【0063】
b)PCR分析
D6S292、D6S1684およびD6S311にある多型性の高い二ヌクレオチド反復配列に隣接する蛍光標識プライマー。
【0064】
PCR条件は以下の通りとした:
セットアップ用マスターミックス1:
マスターミックス2:
25μl 高忠実度PCRマスター(Roche Diagnostics GmbH、DE)
【0065】
2つの混合物をピペットで混合する。PCRは以下のサイクルを用いて行った:94℃ 2分間に続いて、94℃−30秒間、55℃−30秒間、72℃−30秒間を40サイクル、最終伸長を72℃で7分間。3つのプライマー対により、蛍光標識されたPCR産物を生成し、ジーンスキャン(Genecan)分析ソフトウエア(PB Applied Biosystems)を用いてABI PRISM 310遺伝子解析装置で分析する。
【0066】
参考文献リスト
【図面の簡単な説明】
【図1】細胞株530およびNMCL−1におけるTHW遺伝子の差異を伴う発現(differential expression)。材料および方法の項に述べた通りに、
RNAを1%アガロース−ホルムアルデヒドゲルでサイズ分離し、THW cDNAに由来するα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。レーンa:細胞株530;レーンB:細胞株NMCL−1。
【図2】細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを示す(上から下に)、THW遺伝子の遺伝子産物に関して推定される配置。この配置の予想はコンピュータプログラムTMHMM(http://www.cbs.dtu.dk/services)に基づく。
【図3】さまざまな転移能を有するヒト黒色腫細胞株におけるTHW遺伝子のmRNAの発現。ノーザンブロットは材料および方法の項に述べた通りに行った。ブロットをTHW遺伝子に由来するα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。各レーンに異なる黒色腫細胞株を示している。レーン:a、BLM;b、MV3;c、NMCL−1;d、IF6m;e、Mel57;f、M14;g、MV−1;h、IF6;i、530。
【図4】乳癌細胞株におけるTHW遺伝子の発現。細胞株は正常乳腺上皮(HMEC)、原発性乳癌(ARおよびWA)、骨髄微小転移(1590、HG15およびKM22)および腹水(KS)に由来する。ノーザンブロット法を材料および方法の項に述べた通りに行い、ブロットをTHW cDNA由来のα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。レーンa:HMEC;b、AR;c、WA;d、1590;e、HG15;f、KM22;g、KS。
【図5】膵癌細胞株におけるTHW遺伝子の発現。細胞株K2は膵臓の原発性腫瘍に由来し、3つの細胞株(K3、K13、K16)は異なる部位の転移に由来する(K3は腸間膜、K13は肝門、K16は肺からのもの)。ノーザンブロット法を材料および方法の項に述べた通りに行い、ブロットをTHW cDNA由来のα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。レーンa:K2;b、K3;c、K13;d、K16。
【図6】選択した腫瘍組織および対応する正常組織におけるTHWの発現。ノーザンブロット分析は材料および方法の項に述べた通りに行った。ブロットをTHW cDNA由来のα−32P標識cDNAとハイブリダイズさせた。レーンa:正常卵巣;b:卵巣腫瘍;c:正常子宮頸部;d、子宮頸癌;e:正常子宮;f:子宮腫瘍;g:正常乳房;h:乳房腫瘍。
【図7】選択した組織および細胞株におけるTHW遺伝子の発現。多組織(MTE(登録商標))アレイ(Clontech、Palo Alto、CA)を、製造者の推奨に従って、THW cDNAに対応するα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。E6は細胞株AR由来の1μgのポリA+RNAに対応し、H6は細胞株AR由来の0.1μgのポリA+RNAに対応する。コード化はブロットの上に示している。A1=全脳;A2=左小脳;A3=黒質;A4=心臓;A5=食道;A6=横行結腸;A7=腎臓;A8=肺;A9=肝臓;A10=白血病、HL−60;A11=胎児脳;A12=酵母全RNA。
B1=大脳皮質;B2=右小脳;B3=側坐核;B4=大動脈;B5=胃;B6=下行結腸;B7=骨格筋;B8=胎盤;B9=膵臓;B10=HeLaS3;B11=胎児心臓;B12=酵母tRNA。
C1=前頭葉;C2=脳梁;C3=視床;C4=左心房;C5=十二指腸;C6=直腸;C7=脾臓;C8=膀胱;C9=副腎;C10=白血病、K−562;C11=胎児腎臓;C12=大腸菌rRNA。
D1=頭頂葉;D2=扁桃核;D3=脳下垂体;D4=右心房;D5=空腸;D7=胸腺;D8=子宮;D9=甲状腺;D10=白血病、MOLT−4;D11=胎児肝臓;D12=大腸菌DNA。E1=後頭葉;E2=尾状核;E3=脊髄;E4=左心室;E5=回腸;E7=末梢血白血球;E8=前立腺;E9=唾液腺;E10=バーキットリンパ腫、Raji;E11=胎児脾臓;E12=ポリr(A)。
F1=側頭葉;F2=海馬;F4=右脳室;F5=回盲部;F7=リンパ節;F8=精巣;F9=乳腺;F10=バーキットリンパ腫、Daudi;F11=胎児胸腺;F12=ヒトC0t−1 DNA。
G1=大脳皮質中心傍回;G2=延髄;G4=心室中隔;G5=虫垂;G7=骨髄;G8=卵巣;G10=大腸腺癌SW480;G11=胎児肺;G12=ヒトDNA 100ng。
H=橋;H2=被殻;H4=心尖部;H5=上行結腸;H7=気管;H10=肺癌、A549;H12=ヒトDNA 500ng。
発癌、腫瘍の進行および転移は、転写プログラムの不均衡、不適切な翻訳後修飾、および後成的修飾(epigenetic modification)の調節不全によって起こる(Schwirzke, M.ら、Anticancer Res 19(1999)1801〜1814;Pardee, A.B.、Advances in Cancer Res 65(1994)213〜227;Ponta, H.、Biochim Biophys Acta 1198(1994)1〜10)。転写プログラムの変化は、癌遺伝子および癌抑制遺伝子、細胞遺伝学的変化によって生じた融合蛋白質、DNAメチルトランスフェラーゼによる予定外のメチル化ならびにヒストンアセチルトランスフェラーゼおよびヒストンデアセチラーゼなどのクロマチン修飾酵素による遺伝子の発現の変化に起因する(Lin, R.J.ら、Trends Genet 15(1999)179〜184;Stunnenberg, H.G.ら、Biochem Biophys Acta 1423(1999)F15〜F33)。
【0002】
腫瘍と関連のある候補遺伝子の同定のためには、転移性細胞株と非転移性細胞株との比較、異なる進行ステージに対応する腫瘍標本などの細胞システムの発現プロファイリングを行うことが、この目標を達成するための最初のステップである(Schiemann, S.ら、Anticancer Research 17(1997)13〜20;Schwirzke, M.ら、Anticancer Research 18(1998)1409〜1422;Schiemann, S.ら、Clin Exp Metastatis 16(1998)129〜139)。それ以降のステップには、種々の腫瘍における同定された変化の頻度の分析、安定したトランスフェクタントにおけるアンチセンスRNAまたはリボザイムを用いた過剰発現およびダウンレギュレーションによる検討中の遺伝子のインビトロ調節、ならびに関連したインビトロ系における結果の評価が含まれる。調査中の腫瘍の本来の向性が維持される、皮下異種移植系および同所移植を含むヌードマウス系の登場により、候補遺伝子のインビボでの機能的役割を評価する道が開かれた(Fidler, I.J.、Cancer Metastasis Rev 50(1986)29〜49)。
【0003】
重要な染色体座位におけるヘテロ接合性の消失(LOH)は、癌の発症リスクの増加と相関している。このような重要な座位にあるLOHは、癌発症の可能性を早期に判定するため、ならびに化学予防薬および化学療法薬の有効性を評価するための有用なマーカとして用いられる可能性がある。染色体6qに位置する遺伝子は極めて多型性が高く、天然のヘテロ接合性遺伝子システムとなる。染色体6qにLOHが存在すると、以下のような腫瘍が発症する確率が高いことが示されている:悪性黒色腫(Healy, E.ら、Oncogene 16(1998)2213〜2218;Robertson, G.P.ら、Cancer Res 56(1996)1635〜1641;Ray, M.E.ら、Oncogene 12(1996)2527〜2533;Millikin, D.ら、Cancer Research 51(1991)5449〜5453)、膵癌(Griffin, C.A.ら、Cancer Research 55(1995)2394〜2399;子宮頸癌(Huettner, P.C.ら、Human Pathol 29(1998)364〜370);前立腺癌(Srikantan, V.ら、Int J Cancer 84(1999)331〜335;MacGrogan, D.およびBookstein, R.、Seminars in Cancer Biology 8(1997)11〜19;Verma, R.S.ら、Cancer Investigation 17(1999)441〜447)および乳癌(Bilanges, B.ら、Oncogene 18(1999)3979〜3988;Chappell, S.A.ら、British J 癌 75(1997)1324〜1329;Devilee, P.,ら、Oncogene 6(1991)1705〜1711;Noviello, C.ら、Clin Cancer Research 2(1996)1601〜1606;Fujii, H.,ら、Genes, Chromosomes & Cancer 16(1996)35〜39)。
【0004】
発明の概要
本発明は、少なくとも1つの特定の核酸もしくは核酸の混合物の有無を検出するため、または試料における2つの異なる配列を識別するためのプロセスであって、試料が前記の1つまたは複数の配列を含むことが疑われ、
(a)前記試料を、以下のものからなる群から選択される核酸とともに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でインキュベートするステップ:
(i)配列番号:1の核酸配列;
(ii)(i)の核酸配列に対して相補的な核酸配列;
(iii)(i)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;および
(iv)(ii)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;ならびに
(b)前記ハイブリダイゼーションが生じたか否かを決定するステップ
を順に含むプロセスを提供する。
【0005】
さらに、本発明は、ヒト細胞に由来するまたはヒト細胞を含む被験試料、好ましくは上皮細胞に由来するまたは上皮細胞を含む被験試料が、前記細胞の腫瘍の発生、進行または転移の能力を有するか否かを決定するためのプロセスであって、被験試料、および同じ個体または同じ種の異なる個体からの非腫瘍細胞に由来する第2の試料を、
(a)それぞれの試料を、以下のものからなる群から選択される核酸プローブとともに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でインキュベートすること:
(i)配列番号:1の核酸配列;
(ii)(i)の核酸配列に対して相補的な核酸配列;
(iii)(i)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;および
(iv)(ii)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;ならびに
(b)各々のそれぞれの試料と前記プローブとのハイブリダイゼーションの概算量(approximate amount)を決定するステップ、ならびに
(c)被験試料が含む特定の核酸または核酸の混合物の量が前記第2の試料よりも多いか否かを判定するために、被験試料のハイブリダイゼーションの概算量を前記第2の試料のハイブリダイゼーションの概算量と比較すること
によって分析するプロセスを提供する。
【0006】
発明の詳細な説明
本発明は、特に癌の分野における、診断学のためのTHW遺伝子の使用を提供する。特に本発明は、哺乳動物、特に悪性腫瘍細胞における前記遺伝子THWの発現の同定およびその量の測定を含む。本発明は、腫瘍細胞の転移能および進展能の診断にも関する。
【0007】
THW核酸は、腫瘍細胞において発現がダウンレギュレートされており、腫瘍の進行および/または転移を抑制することができるが、これは特に悪性黒色腫および乳癌細胞においてそうである。
【0008】
THWと命名した癌抑制遺伝子は染色体6qに位置し、その喪失または阻害は腫瘍の能力と相関している。また、癌でない対応物と比べて癌細胞においてダウンレギュレートされている、THWと命名した蛋白質も提供する。THWは腫瘍抑制、特に転移の抑制に関与している可能性がある。THW遺伝子は配列番号:2のポリペプチドをコードする。
【0009】
THW蛋白質をコードする核酸は腫瘍細胞においてダウンレギュレートされており、以下のものからなる群から選択することができる:
(a)配列番号:1;
(b)(a)の相補配列を有する核酸プローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、
(c)遺伝暗号の縮重のために、(a)または(b)の配列の配列ではないものの(a)または(b)の配列によってコードされるポリペプチドと厳密に同じアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸配列;および
(d)(a)、(b)または(c)の配列のいずれかの断片である核酸配列。
【0010】
THWポリペプチドは、以下のものからなる群から選択される核酸によってコードされる:
(a)配列番号:1;
(b)(a)の相補配列を有する核酸プローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列;
(c)(a)または(b)の配列のいずれかの断片である核酸。
【0011】
好ましくは、THWポリペプチドは配列番号:2の配列を有する。
【0012】
単離されたTHWポリペプチド、およびそれ故に、それをコードする核酸は、個体ごとに異なる天然の対立遺伝子変異(allelic variation)として存在しうる。アミノ酸のこのような変異は通常、アミノ酸の置換である。しかし、それらは全配列に対するアミノ酸の欠失、挿入または付加であってもよい。本発明によるTHW蛋白質は、その程度および種類の両方の点で、それが発現される細胞および細胞種に依存し、すなわちそれはグリコシル化型または非グリコシル化型でありうる。癌抑制活性を有するポリペプチドは、THWに関する発現ベクターを用いたTHW陰性腫瘍細胞のトランスフェクション、安定的なトランスフェクタントの樹立、およびヌードマウスへの異種移植によるその殺腫瘍能力の評価によって同定可能である。このような評価は例えば、ボラスキ(Boraschi, D.)ら、Cell Immunol. 45(1979)188〜194およびボラスキ(Boraschi, D.)ら、J. Immunol. 131(1983)1707〜1713に従って行うことができる。
【0013】
「THW活性を有するポリペプチドまたはTHW」は、わずかなアミノ酸の変化を伴うものの、実質的に同じTHW活性を有する蛋白質のことも意味する。実質的に同じとは、活性が同じ生物特性であって、ポリペプチドがアミノ酸配列に関して少なくとも90%の同一性を示すことを意味する。
【0014】
「核酸分子または核酸」という用語は、ポリヌクレオチド分子のことを意味し、これは例えば、DNA、RNAまたは誘導体化された活性DNAまたはRNAでありうる。しかし、DNAおよび/またはRNA分子が好ましい。
【0015】
「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」という用語は、2つの核酸断片が、サムブルック(Sambrook)ら、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、USAに記載された標準的なハイブリダイゼーション条件下で互いにハイブリダイゼーションを生じうることを意味する。より詳細には、本明細書で用いる「ストリンジェントな条件下」とは、6.0×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションに続いて洗浄を行うことを指す。この洗浄は2.0×SSC中、50℃で行うことができる。ハイブリダイゼーションは、サケ精子DNAを含まない非粘性液体である、クロンテック(Clontech)社から販売されているExpress Hyb(登録商標)ハイブリダイゼーション溶液を用いて行うことが好ましい。洗浄ステップにおける塩濃度のストリンジェンシーは、例えば、低ストリンジェンシー用の約2.0×SSC、50℃から、高ストリンジェンシー用の約0.2×SSC、50℃までの範囲で選択することができる。さらに、洗浄ステップにおける温度は、低ストリンジェンシー条件の室温、約22℃から、高ストリンジェンシー条件の約65℃まで高めることができる。
【0016】
本明細書の全体を通じて用いる「核酸またはポリペプチド」という語句は、組換えDNA技術によって生産された場合には細胞材料または培地を実質的に含まない、化学合成された場合には前駆化学物質または他の化学物質を実質的に含まない、THW活性を有する核酸またはポリペプチドのことを指す。このような核酸は、その核酸の由来である生物体においてその核酸と通常は隣接している配列(すなわち、核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を含まないことが好ましい。
【0017】
THWは、組換え体の生産後に、免疫沈降、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、等電点フォーカシング、選択的沈降、電気泳動などを含む、既知の蛋白質精製法を用いるアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。
【0018】
本発明によるポリペプチドは、組換え手段または合成によって生産することができる。非グリコシル化型のTHWポリペプチドは、それを原核生物において組換え的に産生させた場合に得られる。本発明によって提供される核酸配列を用いることにより、任意の望ましい細胞(例えば、ヒト細胞以外に、他の哺乳動物の細胞も)のゲノムにおけるTHW遺伝子またはそのバリアントを検索して、これらを同定することおよびTHW蛋白質をコードする望ましい遺伝子を単離することが可能になる。このようなプロセスおよび適したハイブリダイゼーション条件は当業者に知られており、例えば、サムブルック(Sambrook)ら、分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、USA、およびハーメス(Hames, B.D.)、ヒギンズ(Higgins, S.G.)、核酸ハイブリダイゼーション−実践的アプローチ(Nucleic Acid Hybridisation−A Practical Approach)(1985)IRL Press、Oxford、Englandに記載されている。この場合、これらの刊行物中の標準的なプロトコールは通常、実験のために用いられる。
【0019】
THW蛋白質をコードするこのような核酸を用いることにより、本発明による蛋白質を再現性のある様式で大量に得ることが可能となる。原核宿主細胞または真核宿主細胞などの原核生物または真核生物における発現のためには、当業者によく知られた方法に従って、核酸を適した発現ベクターに組み込む。このような発現ベクターは、調節可能/誘導可能なプロモーターを含むことが好ましい。続いて、これらの組換えベクターを適した宿主細胞、例えば、原核宿主細胞としての大腸菌、または真核宿主細胞としてのサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、奇形癌腫細胞株PA−1 sc 9117(Buttner, R.ら、Mol. Cell. Biol. 11(1991)3573〜3583)、昆虫細胞、CHOもしくはCOS細胞に導入し、形質転換または形質転換がなされた宿主細胞を異種遺伝子の発現を許容する条件下で培養する。蛋白質の単離は、既知の方法に従って、宿主細胞または宿主細胞の培養上清から行うことができる。このような方法は、例えば、アウスユーベル(Ausubel I.)、フレデリック(Frederick M.)、分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Mol. Biol.)(1992)、John Wiley and Sons、New Yorkに記載されている。細胞培養物中に可溶型として認められない場合には、蛋白質のインビトロ再活性化も必要と思われる。
【0020】
本発明はさらに、THWの発現のために適した組換え発現ベクター、このような発現ベクターによってトランフェクトされた組換え宿主細胞、さらにはTHW遺伝子によってコードされる蛋白質の組換え生産のためのプロセスを含む。
【0021】
本発明はさらに、遺伝子THWの核酸分子を検出するための方法であって、THW遺伝子である核酸分子の存在を決定するために、試料(例えば、血液などの体液、細胞可溶化物、または試料RNAの逆転写によって生じたDNA)を本発明による単離された核酸分子とともにインキュベートすること、および前記単離された核酸分子と標的核酸分子とのストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションを評価することを含み、このため、腫瘍細胞の転移の可能性および/または進行を同定するための方法であるような方法を提供する。
【0022】
癌細胞を含む被験試料が腫瘍の発生、進行または転移の能力を有するか否かを決定するためには、単離された核酸と標的の1つまたは複数の核酸とのハイブリダイゼーションの概算量を評価する。ハイブリダイゼーションの概算量を定量的に評価する必要はないが、定量的評価も本発明に含まれる。一般的には、例えば、ハイブリダイゼーション検出後の肉眼検査により、ハイブリダイゼーションの概算量を定性的に評価する。例えば、試料中の標的核酸とハイブリダイズする標識核酸を分離するためにゲルを用いる場合には、結果として得られたバンドを肉眼的に検査することができる。被験試料におけるハイブリダイゼーションの概算量を非腫瘍細胞におけるハイブリダイゼーションの概算量の概算量と比較することができる。このような非腫瘍細胞は例えば上皮細胞または末梢血細胞である。
【0023】
本発明に従って示す通り、THW核酸は健康ドナーの末梢血細胞を含まない試料よりも腫瘍試料の方が存在する量が少ない。腫瘍の進行能または転移能がないまたは低い被験試料では、腫瘍の進行能または転移能が高い癌細胞試料よりも、本発明のTHW核酸の量が多いと考えられる。
【0024】
本発明によって提供される核酸に基づき、THW核酸の検出を腫瘍の早期発見の手段として用いる腫瘍検査を提供することが可能である。
【0025】
プローブおよび核酸のハイブリダイゼーションの方法は当業者に知られており、例えば、国際公開公報第89/06698号、欧州特許第A 0200362号、米国特許第2915082号、欧州特許第A 0063879号、欧州特許第A 0173251号、欧州特許第A 0173251号に記載されている。
【0026】
本発明の1つの好ましい態様では、例えば既知のPCR法により、試料の核酸を検査の前に増幅する(試料核酸がRNAであればさらに逆転写する)。通常、誘導体化された(標識された)核酸プローブを核酸診断薬の枠組みで用いる。このプローブを、担体と結合した試料由来の変性DNAまたはRNAと接触させる。この過程における温度、イオン強度、pHおよび他の緩衝液の条件は、標識したDNAまたはRNAが相同なDNAまたはRNAと結合しうるように、核酸プローブの長さおよび組成ならびに予想されるハイブリッド体の融解温度に応じて選択する(ハイブリダイゼーション、Wahl, G.M.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76(1979)3683〜3687も参照)。適した担体は、ニトロセルロース(例えば、SchleicherおよびSchull、BA 85、Amersham Hybond, C.)、粉末状の強化型もしくは結合型のニトロセルロース、または種々の官能基(例えば、ニトロ基)による誘導体化がなされたナイロン膜(例えば、SchleicherおよびSchtull、Nytran;NEN、Gene Screen;Amersham Hybond M.;Pall Biodyne)などの膜または担体材料である。
【0027】
好ましくは、核酸プローブを試料の核酸とともにインキュベートし、ハイブリダイゼーションを、選択的には、試料の核酸および/または核酸プローブに対する別の結合パートナーを用いて検出する。
【0028】
ハイブリダイズするDNAまたはRNAは、非特異的な結合を防ぐための十分な洗浄および飽和化の後に、担体を抗体または抗体断片とともにインキュベートすることによって検出しうる。抗体または抗体断片は、ハイブリダイゼーション中に核酸プローブに組み入れられた物質を標的とする。抗体を次に標識する。しかし、DNAを直接標識することも可能である。抗体とともにインキュベートした後に、特異的に結合した抗体結合物のみを検出するためにこれを再び洗浄する。続いて、抗体または抗体断片上の標識を用いる既知の方法に従って評価を行う。
【0029】
発現の検出は、例えば以下の通りに行うことができる:
−固定した全細胞、固定した組織塗沫標本とのインサイチューハイブリダイゼーション、
−コロニーハイブリダイゼーション(細胞)およびプラークハイブリダイゼーション(ファージおよびウイルス)、
−サザンハイブリダイゼーション(DNA検出)、
−ノーザンハイブリダイゼーション(RNA検出)、
−血清分析(例えば、スロットブロット分析による血清中の細胞の細胞種の分析)、
−増幅によるもの(例えば、PCR法)。
【0030】
このため、本発明による核酸は、腫瘍の発生能および進行能の診断における有用な予後判定マーカーである。
【0031】
本発明はさらに、原核宿主細胞または真核宿主細胞における外因性DNAの発現および望ましい蛋白質の単離による、発現が腫瘍抑制と相関する蛋白質を生産するための方法であって、蛋白質が本発明による核酸分子によってコードされる、好ましくは配列番号:1に示したDNAによってコードされる核酸分子であるような方法を含む。
【0032】
本蛋白質は、細胞または培養上清から単離して、クロマトグラフィー手段、好ましくはイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよび/または逆相HPLCによって精製することができる。
【0033】
本発明はさらに、好ましくは配列番号:1に示したヌクレオチド配列を有する、本発明による核酸分子によってコードされる、本発明による単離された蛋白質を含む。
【0034】
本発明は、腫瘍抑制遺伝子であり、腫瘍発生能の指標となるダウンレギュレートされる遺伝子であることを特に特徴とする、遺伝子THWのクローニングおよび特徴分析に関する。
【0035】
本発明により、癌の治療、特に腫瘍抑制に有用な化合物の同定および単離のための方法が提供される。これらの方法には、本発明によるポリペプチドの発現を調節するための方法、本発明による蛋白質を模倣しうる化合物を同定するための方法、ならびに前記ポリペプチドおよびそれをコードする遺伝子を活性化しうる化合物を同定するための方法が含まれる。本方法にはさらに、腫瘍細胞における殺腫瘍能力を好ましくはダウンレギュレートする、THW遺伝子のmRNAへの転写を活性化するための方法も含まれる。これらの方法はインビトロまたはインビボで行うことができ、本発明の細胞株およびトランスジェニック動物モデルの利用および樹立を行ってもよい。
【0036】
THW活性はいくつかの方法によって測定しうる。例えば、活性化は、インビトロでの運動性もしくは浸潤性の増加といった細胞生理の変化により、または分化状態の変化により、または増殖の増加につながる細胞代謝の変化によって、明らかとなる。
【0037】
THW遺伝子は、LOHが以下のような複数の腫瘍で見いだされている領域である、染色体6qに位置する:悪性黒色腫(Healy, E.ら、Oncogene 16(1998)2213〜2218;Robertson, G.P.ら、Cancer Res 56(1996)1635〜1641;Trent, J.M.ら、Science 247(1990)568〜71;Ray, M.E.ら、Oncogene 12(1996)2527〜2533;Millikin, D.ら、Cancer Research 51(1991)5449〜5453)、膵癌(Griffin, C.A.ら、Cancer Research 55(1995)2394〜2399)、子宮頸癌(Huettner, P.C.ら、Human Pathol 29(1998)364〜370)、前立腺癌(Srikantan, V.ら、Int J Cancer 84(1999)331〜335;MacGrogan, D.およびBookstein, R.、Seminars in Cancer Biology 8(1997)11〜19;Verma, R.S.ら、Cancer Investigation 17(1999)441〜447)および乳癌(Bilanges, B.、Oncogene 18(1999)3979〜3988;Chappell, S.A.ら、British J Cancer 75(1997)1324〜1329;Devilee, P.ら、Oncogene 6(1991)1705〜1711;Noviello, C.ら、Clin Cancer Research 2(1996)1601〜1606;Fujii, H.ら、Genes, Chromosomes and Cancer 16(1996)35〜39)。THW遺伝子の染色体6q上での位置は、区域D6S472〜D6S453の内部にある。
【0038】
THW遺伝子におけるヘテロ接合性の消失(LOH)は、現在の技術水準に従って、好ましくは上記の区域に位置するマイクロサテライトマーカーを用いるPCRにより、検出することができる。LOHの検出およびマイクロサテライト不安定性(MSI)の状態の決定のためには、この区域からのプライマー(マーカー)および/または隣接区域D6S434〜D6S302およびD6S453〜D6S311からのプライマーを用いることができる。上記の区域内にあるマイクロサテライトマーカーは、ゲノムデータベースGDB(http://www.gdb.org)中に発見しうる。MSIの検出は、上記の隣接領域からのプライマーを用いて、例えば、デラシャペル(de la Chapelle, A.)、Eur. J. Hum. Genet. 7(1999)407〜408およびポトクニック(Potocnik U.)ら、Pflugers Arch 439(3rd Suppl.)2000、R47〜9に記載された既知の方法に従って行うことができる。LOHの検出方法は、例えば、フリードリッヒ(Friedrich, M.G.)ら、J. Urol. 163(2000)1039〜1042;スガノ(Sugano, K.)ら、Genes, Chromosomes and Cancer 15(1996)157〜164;チェン(Chen, Y.H.)ら、J. Pathol. 177(1995)129〜134;ハーン(Hahn, M.)ら、BioTechniques 18(1995)1040〜1047;ロペス−クラペッツ(Lopez−Crapez, E.)ら、BioTechniques 17(1994)1072〜1074、1076;ドックホーン−ドボルニチャク(Dockhorn−Dworniczak, B.)ら、Virchows Arch. 424(1994)337〜342;グルス(Gruis, N.A.)ら、Br. J. Cancer 68(1993)208〜213;メルロー(Merlo, G.R.)ら、BioTechniques 11(1991)166〜168、170〜171に記載されている。
【0039】
パラフィン切片または他の組織試料から、分子量の比較的高いDNAを単離することが好ましい。分析は、二ヌクレオチド反復配列を含む多型マイクロサテライトマーカーに隣接するオリゴヌクレオチドを用いるPCRによって行う。
【0040】
以下の実施例、参考文献、配列表および図面は、本発明の理解を助けるために提供するものである。発明の精神を逸脱することなく、以下に述べる手順に修正を加えうることは理解される。
【0041】
配列番号:1: THWのcDNA配列およびアミノ酸配列。
配列番号:2:THWのアミノ酸。
配列番号:3:プライマー312revl。
配列番号:4:プライマー312f6。
配列番号:5〜10:プライマー
【0042】
実施例 1
腫瘍形成能力および転移能力の決定
細胞株530は、以前の記載の通り、外科的に摘出されたヒト黒色腫の転移に由来する(van Muijen, G.N.P.ら、Clin Exp Metastasis 9(1991)259〜272;Versteeg, R.ら、EMBO J 7(1988)1023〜1029)。細胞株NMCL−1もヒト皮膚黒色腫の転移に由来する。この2つの細胞株を、10%ウシ胎仔血清、グルタミン、ペニシリンGおよびストレプトマイシンを添加したダルベッコ変法イーグル培地を入れた培養フラスコ内で増殖させた。530細胞株およびNMCL−1細胞株の腫瘍形成能力および転移能力を明らかにするために、サブコンフルエント状態の培養物から、0.25%トリプシンおよび0.02%EDTAで2分間処理することによって腫瘍細胞を回収した。血清含有培地で洗った後、細胞をPBS中に懸濁し、5×106個の細胞を、ナイメーヘン大学中央動物研究所(Central Animal Laboratories、University of Nijmegen、Netherlands)のヌードマウス施設で育てられたBALB/c無胸腺ヌードマウスの外側胸壁に対して皮下(s.c.)接種した。マウスを腫瘍の局所的成長および全般的状態に関して週2回検査した。マウス各5匹からなる2つの群に対して各細胞株を注射した。疾病または呼吸困難の徴候が認められた時点でマウスを屠殺した。健康状態を維持したマウスは接種から3〜4カ月後に屠殺した。肺の少なくとも3つの異なるレベルから作製したパラフィン切片に対して、肺転移の検出に関する顕微鏡検査を行った。接種したマウス10匹中8匹で細胞株530による腫瘍形成が認められた。肺の顕微鏡検査では、これらのマウスのいずれにも転移は認められなかった。細胞株NMCL−1は接種したマウス10匹のすべてで皮下腫瘍の成長を示した。細胞株530とは異なり、NMCL−1細胞株を接種したすべてのマウスで広範囲の肺転移が認められた。
【0043】
実施例 2
ディファレンシャルディスプレイPCR
ディファレンシャルディスプレイ・ポリメラーゼ連鎖反応(DD−PCR)を、リャン(Liang)およびパーディー(Pardee)(Liang, P.およびPardee, A.B.、Science 257(1992)967〜971;Liang, P.ら、Cancer Res 52(1992)6966〜6968)によって記載された方法に従い、RNA画像キット(GenHunter Corp.、Brookline、MA)を製造者の推奨に従って用いて行った。RNeasy(登録商標)Midi Kit(Qiagen、DE)を用いることにより、全RNAを530細胞およびNMCL−1細胞から単離した。全RNA試料に混入した痕跡量のDNAの除去は、メッセージクリーン(MessageClean)(登録商標)キット(GenHunter Corp.、Brookline、MA)を用いて、RNアーゼ非含有DNアーゼIにより37℃で30分間消化することによって行った。530細胞およびNMCL−1細胞から得たDNA非含有全RNA(0.2μg)を、3種の異なる一塩基アンカー型H−T11Mプライマー、1×逆転写酵素バッファー[125mM Tris−Cl、pH 8.3、188mM KCl、7.5mM MgCl2、25mMジチオトレイトール(DDT)]および250μM dNTPの混合物の存在下で、第一鎖cDNA合成のためのテンプレートとして用いた。この溶液を65℃で5分間加熱し、10分間かけて37℃に冷却した後に、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素200単位を添加した。37℃で1時間インキュベートした後に、75℃で5分間インキュベートすることによって反応を停止させた。0.1倍容量の逆転写反応混合物、各10μMの一塩基アンカー型H−T11Mプライマー、2μMの任意の13量体プライマー、1×PCRバッファー[100mM Tris−Cl、pH 8.4、500mM KCl、15mM MgCl2、0.01%ゼラチン]、25μM dNTP、10μCi[α−35S]dATPおよび10単位のAmpliTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer、Norwalk、CT)を含む溶液中でPCR手順を行った。PCRは94℃ 30秒間、40℃ 2分間、72℃ 30秒間を40サイクルの後、最後に72℃ 5分間を行った。2μlのローディングバッファーを3.5μlの各試料に添加した後に、PCR産物を80℃で2分間加熱し、続いて変性5%ポリアクリルアミドシークエンシングゲルにかけて電気泳動を行った。乾燥したゲルをコダック(Kodak)社のバイオマックス(BioMax)(登録商標)MRフィルムに対して室温で48時間露出させ、差異を伴って発現された遺伝子に関してオートラジオグラムを分析した。2つの細胞株の一方に特有の断片が認められた反応を、後に逆転写およびPCRを繰り返すことによって確認した。2つの独立したDD−PCR反応において再現性を伴って認められた特有のバンドを乾燥ゲルから切り出し、ゲル切片を100μlのH2O中に10分間浸漬した後に15分間煮沸することにより、cDNAをゲルから溶出させた。3M NaOAcおよび担体としての50μgグリコーゲンの存在下でエタノール沈殿によってcDNAを回収し、10μlのH2O中に再び溶解した。溶出したcDNA 4μlを、dNTP濃度を20μMとし、放射性同位元素を含めなかった点を除いて同じ5’プライマーおよび3’プライマーならびに上記の条件を用いる第2のPCRによって再び増幅した。得られたPCR増幅断片を1.5%アガロースゲルで分析し、続いてQIAquick(登録商標)ゲル抽出キット(Qiagen、Hilden、DE)を用いて精製した上で、ノーザン分析用のプローブとして用いた。
【0044】
実施例 3
THW遺伝子のシークエンシングおよび特徴分析
DD−PCR断片のクローニング
PCR再増幅により直接生成されたハイブリダイゼーションプローブを用いるノーザン分析をまず行った。ノーザンブロット上の差異を伴って発現されるmRNAを検出するPCR増幅断片を、Topo TAクローニングシステム(Invitrogen、San Diego、CA)により、PCR 2.1−TOPOベクター中にサブクローニングした。サブクローニングした断片をキアゲン(Qiagen)プラスミドキット(Qiagen)を用いて単離し、これを再度、差異を伴う発現を確認するためのノーザン分析用のプローブとして用いた。
【0045】
サブクローニングしたDDRT−PCR断片のDNAシークエンシング
差異を伴って発現するmRNAに対応するサブクローニングされた断片のシークエンシングを、Topo TAクローニングベクター(上記参照)中へのサブクローニングの後に、ダイターミネーター(Dye Terminator)サイクルシークエンシングキット(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いて直接行った。ヌクレオチド配列データを、最新のDNAデータベース中のESTの既知の遺伝子との相同性に関して解析した。
【0046】
RT−PCR
差異を伴うmRNA発現を示すcDNAの5’伸長領域を同定するためにRT−PCRを行った。ディファレンシャルディスプレイ分析に由来する、この結果得られた301bpのクローンに関してEMBLデータベースを検索した。11個の相同な重複EST(登録番号:W93394、AA480373、AA610151、AA468385、R 82584、AA159815、AA159565、AI814625、AI740811、AI8300092、AI694126)のコンセンサス配列から完全長cDNAを得ることができた。得られたコンセンサス配列からプライマーを設計した。C. thermポリメラーゼ・ワンステップRT−PCRシステムを製造者(Roche)の指示に従って用いてRT−PCRを行った。このシステムは、カルボキシサームス・ヒドロゲノフォルマンス(Carboxydothermus hydrogenoformans)由来のDNAポリメラーゼのクレノウ断片および熱安定性Taqポリメラーゼを含む酵素混合物から構成される。
【0047】
第一鎖合成
細胞株530の190ngのポリA+RNAを、プライマー312revl(5’AAATCCCCGAATTCTCCTGTGG3’、配列番号:3)を最終濃度0.3μMで用いて逆転写した。GC含量が極めて高い(>75%)ことに起因するRNA 5’末端の二次構造を除去するためにDMSO(7%)を添加した。その後、インキュベーションを65℃で30分間行った。
【0048】
PCR
RT反応を行ったのと同じチューブ内でPCRを行った。 第一鎖cDNAを、プライマー312revlおよびプライマー312f6(5’ACCCGCTCCGCTCCGCTC3’、配列番号:4)をそれぞれ最終濃度0.3μMで用いるPCRのためのテンプレートとして用いた。PCR条件は以下の通りとした:94℃−30秒間、69℃−30秒間、72℃−60秒間を35サイクル。この結果得られたPCR断片をサブクローニングして分析した。
【0049】
ノーザンブロット分析
オリゴテックス(Oligotex)(登録商標)mRNAミニキット(Qiagen、Hilden)を用いて、ポリA+RNAを全RNAから単離した。ヒト黒色腫細胞株、ヒト乳癌細胞株および膵癌細胞株(各細胞株の1μg)由来のポリA+RNAの平行レーンを、変性1%アガロースホルムアルデヒドゲルでサイズ分離した。ブライトスター−プラス(BrightStar−Plus)(登録商標)(Ambion Inc.、Austin、Texas)正荷電ナイロン膜に対するブロッティングを、キャピラリーによる下方トランスファーによって行った。UV架橋(Stratagene UV Stratalinker(登録商標)2400)後に、ブロットを、ランダム10量体(10−mer)プライミングによって調製してStrip−EZ(登録商標) DNAキット(Ambion Inc.、Austin、Texas)を用いて比活性2×109cpm/μgに標識した[α−32P]dCTP標識DD−PCR産物とハイブリダイズさせた。ExpressHyb(登録商標)ハイブリダイゼーション溶液(Clontech)を68℃で用いて、プレハイブリダイゼーション(0.5時間)および放射性プローブとの一晩のハイブリダイゼーションを行った。膜を室温の溶液1(2×SSC、0.05%SDS)により、洗浄溶液1を何回か交換しながら連続攪拌下で30〜40分間洗った後に、50℃の溶液2(0.1×SSC、0.1%SDS)による洗浄ステップを、新たな溶液に1回交換しながら40分間行った。次に膜をクロネックス(Cronex)(登録商標)医用X線フィルム(Sterling Diagnostic Imaging Inc.、USA)に対して−80℃で3〜72時間露出させた。mRNAのローディングおよび膜へのトランスファーが均等に行われたことを、ブロットを32P標識β−アクチンcDNAとハイブリダイズさせることにより評価した。
【0050】
多組織発現アレイおよびヒト腫瘍パネルブロット
THW遺伝子の組織特異的な発現について検討するために、多組織発現(MTE(登録商標))アレイ(Clontech、Palo Alto、CA)およびヒト腫瘍パネルブロット(Invitrogen)を用いるノーザンブロット分析により、種々のヒト組織および細胞株におけるTHW mRNAの分布を分析した。腫瘍パネルブロットは種々の組織に由来する一連の腫瘍RNAを含み、正常RNAが腫瘍RNAに隣接して配置されている。MTEブロットは76種の組織特異的ポリA+RNAを含む。種々のブロットを32P標識したTHW cDNAプローブによって検索した。mRNAのローディングが均等に行われたことは、種々のブロットを32P標識β−アクチンcDNAと再びハイブリダイズさせることによって確認した。
【0051】
配列解析
アミノ酸配列中の蛋白質のソーティングシグナルおよび局在化シグナルの予測には、PSORT IIコンピュータプログラム(ヒトゲノムセンター、東京大学医科学研究所、日本)を用いた。膜貫通ヘリックスおよび膜内でのその配向の予測には、バイオテクノロジー学部の生物配列解析センター(The Technical University of Denmark)のTMHMM(v. 0.1)コンピュータプログラムを用いた。
【0052】
cDNAは1890ntに対応しており、ORFは193aaと推定された。ポリアデニル化シグナルがnt1855〜1861に同定された。バイオインフォマティクス解析により、4回膜貫通型受容体構造が示唆された(図2)。THWの構造は、2つの細胞外ドメイン(45aaおよび18aa)、4つの膜貫通ドメイン(19aa、24aa、23aaおよび23aa)および3つの細胞質ドメイン(12aa、6aaおよび24aa)に対応する。配列比較により、国際公開公報第98/39448号;国際公開公報第99/54461号;国際公開公報第98/55508号;および国際公開公報第99/61471に記載されたヌクレオチドおよび蛋白質との相同性が認められた。
【0053】
ヌードマウス系におけるヒト黒色腫細胞の転移能力とTHW遺伝子のmRNA定常レベルとの相関を図3にまとめている。最も高い定常レベルは非転移性細胞株530(図3、レーンi)で認められ、最も低い定常レベルは、レーンaおよびbに示すように非常に転移性の高い細胞株BLMおよびMV3で認められ、中間レベルに相当したのは細胞株IF6m、NMCL−1、Mel57、M14、MV−1およびIF6であった(van Muijen, G.N.P..ら、Clin Exp Metastasis 9(1991)259〜272;Versteeg, R.ら、EMBO J 7(1988)1023〜1029;van Muijen, G.N.ら、Int J Cancer 48(1991)85〜91;van Groningen, J.ら、Cancer Res 55(1995)6237〜6243;Weterman, M.A.J.ら、Cancer Res 52(1992)1291〜1296)が、これらはいずれも転移能が中程度の細胞株である。これらの結果は、THW遺伝子の発現のダウンレギュレーションと、ヌードマウス系におけるヒト黒色腫細胞の転移能との間に相関があることを明らかに立証するものである。
【0054】
これらの検討をさらに進め、乳癌細胞株およびそれらに相当する非悪性細胞株を図4に示すように選択した。細胞株には、正常ヒト乳腺上皮細胞(HMEC)、原発性腫瘍に由来する細胞株(WAおよびAR)、乳癌の骨髄微小転移に由来する3つの細胞株(KM22、HG15および1590)および腹水に由来する1つの細胞株(KS)が含まれる。細胞株WA(図4、レーンc)を除き、他の乳癌細胞株はすべて(図4、レーンa、b、c、d、f)、THW遺伝子のmRNAの定常レベルに顕著な(10倍)ダウンレギュレーションが認められた。これらの結果は、THW遺伝子の発現のダウンレギュレーションが乳癌の発生にも一定の役割を果たしていることを示している。同所異種移植マウスモデルから樹立された一連の細胞株でも同様の結果が認められている。1つの細胞株(K2)は原発性腫瘍に由来し、3つの細胞株は異なる部位の転移に由来する(K3は腸間膜、K13は肝門、K16は肺からのもの)。図5に示す通り、THW mRNAは、原発腫瘍に由来する細胞株(K2)と比較して、転移に由来する3つの細胞株(K3、K13、K16)のすべてでダウンレギュレートされていた。
【0055】
図6に概要を示したように、いくつかの腫瘍試料(乳癌、子宮癌、子宮頸癌および卵巣癌)におけるTHW mRNAの定常レベルを対応する正常組織と比較した。乳癌、子宮癌および子宮頸癌では対応する正常組織と比較してTHWのmRNAレベルの劇的な低下が認められた;卵巣癌では正常組織および腫瘍組織のいずれにもシグナルが検出されなかった。これらの実験は、いくつかの固形腫瘍におけるTHW遺伝子のダウンレギュレーションを示している。
【0056】
図7に示すように、多組織発現アレイ(MTE(登録商標)、Clontech)を用いることにより、正常組織および選択した胎児組織、ならびに選択した腫瘍細胞株におけるTHW遺伝子の発現を調べた。THWは、HeLa、大腸腺癌細胞株SW480および肺癌細胞株A549などの腫瘍細胞株で発現されていたが、赤白血球細胞株K562における発現は極めてわずかであり、白血病細胞株Molt4、白血病HL−60ならびにバーキットリンパ腫細胞株RajiおよびDaudiなどの他の造血腫瘍細胞株では発現されなかった。末梢血白血球では発現が全く検出されず、脳およびその区画、骨格筋、脾臓、リンパ節、骨髄、精巣および卵巣における発現は極めてわずかであった。心臓およびその区画、消化管、腎臓、胸腺、肺、膀胱、胎盤、子宮、肝臓、膵臓、副腎、甲状腺、唾液腺、前立腺および乳腺では中程度の発現が認められた;食道および気管では高発現が認められた。THWは胎児の心臓、腎臓、肝臓、胸腺および肺で発現されており、胎児の脳および脾臓における発現はわずかであった。このように、THWは末梢血白血球を除いてほぼ遍在的に発現される。その受容体は末梢血白血球を除いて遍在的に発現されている(図7)。
【0057】
このため、THWの腫瘍抑制機能は以下の所見を特徴とする:
a)ヌードマウス系では、中間的および非転移性の細胞株に比べて、転移性ヒト黒色腫細胞でTHW遺伝子がダウンレギュレートされている(図3)。
b)ヒト乳腺上皮細胞に比べて乳癌細胞株でTHW遺伝子がダウンレギュレートされている(図4)。
c)原発性腫瘍に由来する細胞株に比べて、転移に由来する膵臓細胞株でTHW遺伝子がダウンレギュレートされている(図5)。
d)正常組織に比べて腫瘍組織でTHW遺伝子がダウンレギュレートされている(図6)
【0058】
実施例 4
LORの検出
マイクロサテライトは、直列反復性の単量体(1〜6bp)から構成される短い配列(50〜300bp)である。これらのマイクロサテライトはゲノム全体に広く存在し、その多くは多型性が高い。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析を用いて、種々の細胞株および腫瘍生検標本における6q24での対立遺伝子喪失の発生率を検討した。この目的のために、3種の多型マイクロサテライトマーカーに隣接するオリゴヌクレオチドを用いた。これらはすべて二ヌクレオチド反復配列であった。
【0059】
6番染色体の長腕に位置する3つの多型DNAマーカーを用いて、35例の患者から得た正常DNAおよび自家腫瘍DNA(原発性黒色腫および転移性黒色腫)を分析した。種々のヒト黒色腫、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌および卵巣癌の細胞株も分析した。
【0060】
LOHは、腫瘍対立遺伝子の相対的なピーク高の低下が正常対立遺伝子と比べて50%を上回る場合と定義される。
【0061】
本発明者らは、LOHの算出に以下の式を用いた:
【式1】
対立遺伝子の喪失は、LOHの値が0.5未満または2.0超であることによって示される。
【0062】
a)DNAの抽出
25件の原発性黒色腫および10件の黒色腫転移から高分子量のDNAを単離した。DNAは(顕微)解剖したパラフィン切片から単離した。DNAを同じ患者の正常組織からも単離した。腫瘍細胞株からのDNAはペレット化した細胞から単離した。DNAの単離にはQIAamp(登録商標)(Qiagen、DE)DNAミニキットを用いた。
【0063】
b)PCR分析
D6S292、D6S1684およびD6S311にある多型性の高い二ヌクレオチド反復配列に隣接する蛍光標識プライマー。
【0064】
PCR条件は以下の通りとした:
セットアップ用マスターミックス1:
マスターミックス2:
25μl 高忠実度PCRマスター(Roche Diagnostics GmbH、DE)
【0065】
2つの混合物をピペットで混合する。PCRは以下のサイクルを用いて行った:94℃ 2分間に続いて、94℃−30秒間、55℃−30秒間、72℃−30秒間を40サイクル、最終伸長を72℃で7分間。3つのプライマー対により、蛍光標識されたPCR産物を生成し、ジーンスキャン(Genecan)分析ソフトウエア(PB Applied Biosystems)を用いてABI PRISM 310遺伝子解析装置で分析する。
【0066】
参考文献リスト
【図面の簡単な説明】
【図1】細胞株530およびNMCL−1におけるTHW遺伝子の差異を伴う発現(differential expression)。材料および方法の項に述べた通りに、
RNAを1%アガロース−ホルムアルデヒドゲルでサイズ分離し、THW cDNAに由来するα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。レーンa:細胞株530;レーンB:細胞株NMCL−1。
【図2】細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを示す(上から下に)、THW遺伝子の遺伝子産物に関して推定される配置。この配置の予想はコンピュータプログラムTMHMM(http://www.cbs.dtu.dk/services)に基づく。
【図3】さまざまな転移能を有するヒト黒色腫細胞株におけるTHW遺伝子のmRNAの発現。ノーザンブロットは材料および方法の項に述べた通りに行った。ブロットをTHW遺伝子に由来するα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。各レーンに異なる黒色腫細胞株を示している。レーン:a、BLM;b、MV3;c、NMCL−1;d、IF6m;e、Mel57;f、M14;g、MV−1;h、IF6;i、530。
【図4】乳癌細胞株におけるTHW遺伝子の発現。細胞株は正常乳腺上皮(HMEC)、原発性乳癌(ARおよびWA)、骨髄微小転移(1590、HG15およびKM22)および腹水(KS)に由来する。ノーザンブロット法を材料および方法の項に述べた通りに行い、ブロットをTHW cDNA由来のα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。レーンa:HMEC;b、AR;c、WA;d、1590;e、HG15;f、KM22;g、KS。
【図5】膵癌細胞株におけるTHW遺伝子の発現。細胞株K2は膵臓の原発性腫瘍に由来し、3つの細胞株(K3、K13、K16)は異なる部位の転移に由来する(K3は腸間膜、K13は肝門、K16は肺からのもの)。ノーザンブロット法を材料および方法の項に述べた通りに行い、ブロットをTHW cDNA由来のα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。レーンa:K2;b、K3;c、K13;d、K16。
【図6】選択した腫瘍組織および対応する正常組織におけるTHWの発現。ノーザンブロット分析は材料および方法の項に述べた通りに行った。ブロットをTHW cDNA由来のα−32P標識cDNAとハイブリダイズさせた。レーンa:正常卵巣;b:卵巣腫瘍;c:正常子宮頸部;d、子宮頸癌;e:正常子宮;f:子宮腫瘍;g:正常乳房;h:乳房腫瘍。
【図7】選択した組織および細胞株におけるTHW遺伝子の発現。多組織(MTE(登録商標))アレイ(Clontech、Palo Alto、CA)を、製造者の推奨に従って、THW cDNAに対応するα−32P標識プローブとハイブリダイズさせた。E6は細胞株AR由来の1μgのポリA+RNAに対応し、H6は細胞株AR由来の0.1μgのポリA+RNAに対応する。コード化はブロットの上に示している。A1=全脳;A2=左小脳;A3=黒質;A4=心臓;A5=食道;A6=横行結腸;A7=腎臓;A8=肺;A9=肝臓;A10=白血病、HL−60;A11=胎児脳;A12=酵母全RNA。
B1=大脳皮質;B2=右小脳;B3=側坐核;B4=大動脈;B5=胃;B6=下行結腸;B7=骨格筋;B8=胎盤;B9=膵臓;B10=HeLaS3;B11=胎児心臓;B12=酵母tRNA。
C1=前頭葉;C2=脳梁;C3=視床;C4=左心房;C5=十二指腸;C6=直腸;C7=脾臓;C8=膀胱;C9=副腎;C10=白血病、K−562;C11=胎児腎臓;C12=大腸菌rRNA。
D1=頭頂葉;D2=扁桃核;D3=脳下垂体;D4=右心房;D5=空腸;D7=胸腺;D8=子宮;D9=甲状腺;D10=白血病、MOLT−4;D11=胎児肝臓;D12=大腸菌DNA。E1=後頭葉;E2=尾状核;E3=脊髄;E4=左心室;E5=回腸;E7=末梢血白血球;E8=前立腺;E9=唾液腺;E10=バーキットリンパ腫、Raji;E11=胎児脾臓;E12=ポリr(A)。
F1=側頭葉;F2=海馬;F4=右脳室;F5=回盲部;F7=リンパ節;F8=精巣;F9=乳腺;F10=バーキットリンパ腫、Daudi;F11=胎児胸腺;F12=ヒトC0t−1 DNA。
G1=大脳皮質中心傍回;G2=延髄;G4=心室中隔;G5=虫垂;G7=骨髄;G8=卵巣;G10=大腸腺癌SW480;G11=胎児肺;G12=ヒトDNA 100ng。
H=橋;H2=被殻;H4=心尖部;H5=上行結腸;H7=気管;H10=肺癌、A549;H12=ヒトDNA 500ng。
Claims (6)
- 少なくとも1つの特定の核酸もしくは核酸の混合物の有無を検出するため、または試料における2つの異なる配列を識別するためのプロセスであって、試料が該1つまたは複数の配列を含むことが疑われ、
(a)該試料を、以下のものからなる群から選択される核酸プローブとともに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でインキュベートするステップ:
(i)配列番号:1の核酸配列、
(ii)(i)の核酸配列に対して相補的な核酸配列、
(iii)(i)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、および
(iv)(ii)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、ならびに
(b)該ハイブリダイゼーションが生じたか否かを決定するステップ
を順に含むプロセス - ステップ(a)のハイブリダイゼーション条件が、6.0×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーションに続いて、約50℃〜約65℃の温度で約2.0×SSC〜約0.2×SSCにより洗浄することを含む、請求項1記載のプロセス。
- 核酸プローブが標識されている、請求項1または2記載のプロセス。
- 核酸プローブが担体と結合しており、ステップ(b)が何らかの抗体結合物が存在するか否かを決定することを含み、ステップがステップ(a)の後およびステップ(b)の前に、
ステップ(a)の結果として生じたものを洗浄するステップ、
洗浄ステップの結果として生じたものを、核酸プローブに対する標識抗体とともにインキュベートするステップ、および
インキュベーションのステップの結果として生じたものを洗浄するステップ
をさらに含む、請求項1〜3に記載のプロセス。 - ステップ(a)の前に、検出しようとする核酸を増幅するステップをさらに含む、請求項1〜4に記載のプロセス。
- ヒト細胞に由来するまたはヒト細胞を含む、癌細胞を含む被験試料が、腫瘍の発生、腫瘍の進行または転移の能力を有するか否かを決定するためのプロセスであって、被験試料、および同じ個体または同じ種の異なる個体から入手した非腫瘍細胞に由来する第2の試料を、
(a)各試料のそれぞれを、以下のものからなる群から選択される核酸プローブとともに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でインキュベートすること:
(i)配列番号:1の核酸配列、
(ii)(i)の核酸配列に対して相補的な核酸配列、
(iii)(i)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、および
(iv)(ii)の配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列、ならびに
(b)各試料のそれぞれと該プローブとのハイブリダイゼーションの概算量(approximate amount)を決定するステップ、ならびに
(c)被験試料が含む特定の核酸または核酸の混合物の量が該第2の試料よりも多いか否かを判定するために、被験試料のハイブリダイゼーションの概算量を該第2の試料のハイブリダイゼーションの概算量と比較すること
によって分析するプロセス。
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