JP5095225B2 - チャイルドシート - Google Patents

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Description

本発明は、受台とシートバックとが互いに分離可能なチャイルドシートに係り、とりわけ製造コストが軽減され、かつコンパクトで軽量化されたチャイルドシートに関する。
従来より、チャイルドシートを前後に向きを変えることにより、子供を前向きにも後向きにも乗せることができるチャイルドシート(以下、前向き/後向き兼用チャイルドシートともいう)が知られている。このような前向き/後向き兼用チャイルドシートは、比較的大きいシートバックを有している。このため、とりわけチャイルドシートを後向きに取り付ける際、車両シートベルトを十分に伸ばすことができず、車両シートベルトをシートバックの背部セクション側に回り込ませることがむずかしい。したがって、上述した前向き/後向き兼用チャイルドシートにおいて、シートバックの背部セクションに車両シートベルトを係合させる係合部が設けられているものは見当たらないのが実情である。
また、前向き/後向き兼用チャイルドシートであって、受台とシートバックとが互いに分離可能なチャイルドシート(以下、受台分離式チャイルドシートともいう)が知られている。このようなチャイルドシートにおいて、一般に、車両シートベルトを係合させる係合部は受台にのみ設けられている。また、このようなチャイルドシートにおいて、シートバックを車両シートに対して後向きに固定する場合、車両シートベルトを受台の係合部に係合させることにより受台を車両シートに固定し、その後シートバックを受台に取り付けている。
また、従来の受台分離式チャイルドシートでは、シートバックを受台に取り付けるための取付機構(図示せず)が設けられるとともに、当該取付機構とは別に、シートバックの受台に対する(強いては車両に対する)傾斜角度を調整するための調整機構(図示せず)が設けられている。
すなわち、上述したようなチャイルドシートは、車両シートベルトがシートバックに直接係合する構造とはなっていないため、シートバックは車両シートベルトにより直接保持されていない。したがって、仮にシートバックと受台とを接続する接続部分の強度が不十分であると、車両が衝突して接続部分に強い負荷が加わった際、接続部分が破損してシートバックが受台から外れるおそれがある。このため、シートバックと受台とを接続する接続部分は、一般に高い強度を有する構造からなっている。
また、このようなチャイルドシートにおいて、シートバックの背部セクションに車両用ベルトを係合させる係合部を設け、この係合部に車両用ベルトを係合させることにより、シートバックを車両シートに対して後向きに固定することも考えられる。しかしながら、この係合部が、乳児が乗った場合における重心より下方に設けられている場合、車両が衝突した際シートバックが車両の進行方向に回転するおそれがある。すなわち、シートバックの背部セクションが横向きとなる方向に(車両の進行方向に)シートバックが回転し、これに伴ないシートバック上の乳児も横向きとなる。この場合、乳児は、車両の衝突による衝撃を自分の背中で受け止めることができず、大きなダメージを受けるおそれがある。
さらに従来、前向き/後向き兼用チャイルドシートにおいて、シートバックを受台上に車両シートに対して後向きに固定する場合、受台のうち車両シートの座面に当接する部分が平坦となっているものが多い。このため、シートバックの車両シートに対する角度を柔軟に調整できないものが多い。また、従来の前向き/後向き兼用チャイルドシートにおいて、前向きまたは後向きの使用に対応して受台を前後に反転させることができるものも存在する。この場合、受台を前後に反転させるのに併せて角度調節部品を操作する必要があるため、受台を前後に反転させる作業が煩雑であるとともに角度調節部品を誤って操作するおそれがある。
また、従来の受台分離式チャイルドシートでは、上述のように、シートバックの受台に対する傾斜角度を調整するための調整機構が、シートバックを受台に取り付けるための取付機構とは別に設けられている。このため、調整機構を製造するコストがかかり、また調整機構を設けるためのスペースが必要となり、さらに調整機構を設ける分だけ重量が重くなっている。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、従来と比べ製造コストが軽減され、かつコンパクトで軽量化されたチャイルドシートを提供することを目的とする。
本発明は、車両シートに載置されるチャイルドシートにおいて、車両シートに載置可能な受台と、受台上に、受台と分離自在となって、車両シートに対して前向き状態または後向きの状態で載置可能であるとともに、座部セクションと背部セクションとを有するシートバックとを備え、シートバックが車両シートに対して前向き状態で載置されているとき、シートバックが受台に対して揺動可能となっており、シートバックの座部セクション下方に、第1ピンが設けられ、シートバックが車両シートに対して前向き状態で載置されているとき、シートバックが受台に対して複数の傾斜位置で固定されるよう、受台にシートバックの第1ピンが係合する係止部が設けられたことを特徴とするチャイルドシートである。
このような構成により、チャイルドシートの製造コストを軽減することができ、かつチャイルドシートをコンパクトにし軽量化することができる。
本発明は、受台の背部に支軸が設けられ、シートバックの背部後面に、受台の支軸と係合するフックが設けられ、前記フックが前記支軸に係合することによって、シートバックが受台に対して揺動可能となることを特徴とするチャイルドシートである。
本発明は、受台の係止部が、複数の係止穴からなることを特徴とするチャイルドシートである。
本発明は、第1ピンが、シートバックから突出自在であることを特徴とするチャイルドシートである。
本発明は、受台が、シートバックが車両シートに対して後向き状態で載置されているとき、シートバックの第1ピンに係合する第1穴を有することを特徴とするチャイルドシートである。
本発明は、シートバックが、座部セクションと背部セクションとの境界部分下面に第2ピンを有し、受台が、シートバックが車両シートに対して後向き状態で載置されているとき、当該第2ピンに係合する第2穴を有することを特徴とするチャイルドシートである。
本発明は、第1ピンが、シートバックから突出自在であり、受台が、第1ピンを第1穴へ導く第1傾斜部を有することを特徴とするチャイルドシートである。
このような構成により、シートバックが車両シートに対して後向き状態で載置されているとき、シートバックを上方から受台上へ押すだけで、予め外方へ突出した第1ピンを第1傾斜部上で滑らせて、第1穴内に挿着することができるので、シートバックを容易に受台上に固定することができる。
本発明は、第2ピンが、シートバックから突出自在であり、受台が、第2ピンを第2穴へ導く第2傾斜部を有することを特徴とするチャイルドシートである。
このような構成により、シートバックが車両シートに対して後向き状態で載置されているとき、シートバックを上方から受台上へ押すだけで、予め外方へ突出した第2ピンを第2傾斜部上で滑らせて、第2穴内に挿着することができるので、シートバックを容易に受台上に固定することができる。
本発明は、第1ピンが、シートバックから突出自在であり、受台が、第1ピンを各係止穴部へ導く第3傾斜部を有することを特徴とするチャイルドシートである。
このような構成により、シートバックが車両シートに対して前向き状態で載置されているとき、シートバックを上方から受台上へ押すだけで、予め外方へ突出した第1ピンを第3傾斜部上で滑らせて、係止穴部内に挿着することができるので、シートバックを容易に受台上に固定することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図1乃至図12を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施の形態を示す側面図である。また、図2は、シートバック16が受台13上に車両シート12に対して前向きに固定された状態を示す側面図である。また、図3(a)は、後側レバー24の拡大図であり、図3(b)は、第1穴25および第2穴26周辺の拡大図である。また、図3(c)は、シートバック16が受台13上に車両シート12に対して後向きの状態で固定される場合におけるシートバック16と受台13との取付状態を示す斜視図であり、図3(d)は、前側レバー23の拡大図である。また、図4(a)は、前側レバー23の拡大図であり、図4(b)は、係止穴部30周辺の拡大図である。また、図4(c)は、シートバック16が受台13上に車両シート12に対して前向きの状態で固定される場合におけるシートバック16と受台13との取付状態を示す斜視図であり、図4(d)は、フック29の拡大図であり、図4(e)は、接続シャフト32の拡大図である。また、図5(a)(b)(c)は、チャイルドシート10を車両シート12に対して後向きの状態で固定する方法を示す斜視図であり、図6は、チャイルドシート10を車両シート12に対して前向きの状態で固定する方法を示す斜視図である。また、図7は、本実施の形態によるチャイルドシート10の衝突時における作用を示す側面図である。図8(a)は、引っ張っていない状態の後側レバー24を示した斜視図である。図8(b)は、引っ張っていない状態の後側レバー24を示した平面図である。図9(a)は、引っ張った状態の後側レバー24を示した斜視図である。図9(b)は、引っ張った状態の後側レバー24を示した平面図である。図10(a)は、引っ張っていない状態の前側レバー23を示した斜視図である。図10(b)は、引っ張っていない状態の前側レバー23を示した平面図である。図11(a)は、引っ張った状態の前側レバー23を示した斜視図である。図11(b)は、引っ張った状態の前側レバー23を示した平面図である。図12は、係止穴部30と接続シャフト32との関係を示す側方断面図である。
まず、図1乃至図4により本実施の形態によるチャイルドシート10の概略について説明する。
図1に示すように、チャイルドシート10は、ショルダーベルト11aとラップベルト11bとを含む車両シートベルト11を有する車両シート12に載置されるものである。このチャイルドシート10は、車両シート12に載置される受台13と、受台13上に、受台13と分離自在となって車両シート12に対して後向きの状態で固定されるとともに、座部セクション14と背部セクション15とを有するシートバック16とを備えている。
このシートバック16の背部セクション15のうち、乳児Bが乗った場合のチャイルドシート10の重心Gより上方に、ショルダーベルト11aを係合するショルダーベルト係合部19が設けられている。ここで、乳児Bが乗った場合のチャイルドシート10の重心Gとは、チャイルドシート10と乳児Bとを合体させた場合における合体物の重心Gのことをいう。
また、図1に示すように、シートバック16が受台13上に車両シート12に対して後向きの状態で固定されており、この場合、後述する受台13の湾曲部分13aは車両シート12の座面12a上にあり、受台13の平坦部分13bは車両シート12の背面12b側にある。この場合、受台13のうち車両シート12の座面12a側に設けられた湾曲部分13a上部に仮係合部17が設けられている。この仮係合部17は、シートバック16を受台13に取り付ける際、ショルダーベルト11aを一時的に係合するためのものである。また、シートバック16が受台13上に車両シート12に対して後向きの状態で固定される場合、受台13のうち車両シート12の背面12b側に設けられた平坦部分13b近傍に、受台13にラップベルト11bを係合するラップベルト係合部18が設けられている。
また、図1に示すように、シートバック16が受台13上に車両シート12に対して後向きで固定される際、受台13のうち車両シート12の座面12aに当接する部分13a(以下、湾曲部分ともいう)は、上述のように車両の進行方向(図1の左方向)に沿って湾曲している。
次に、図3(a)(b)(c)(d)を用いて、シートバック16が受台13上に車両シート12に対して後向きの状態で固定される場合における、シートバック16と受台13とを互いに固定する手段について更に詳細に説明する。
図3(c)に示すように、シートバック16の座部セクション14の先端側下面に、車両進行方向に対して左右に突出する第1ピン21が設けられている。この第1ピン21は、座部セクション14上面に設けられた前側レバー23と連動する(図3(d)参照)。すなわち、前側レバー23が引っ張られない状態で座部セクション14の上面側に引込まれている場合、第1ピン21は、車両進行方向に対して直交する左右に座部セクション14から突出しており、前側レバー23が引っ張られた場合、第1ピン21は、座部セクション14の内側に引き込まれるようになっている。
また、シートバック16の座部セクション14と背部セクション15との境界部分下面に、車両進行方向に対して左右に突出する第2ピン22が設けられている。この第2ピン22は、座部セクション14背面12bに設けられた後側レバー24と連動する(図3(a)参照)。すなわち、後側レバー24が引っ張られない状態で座部セクション14の背面12b側に引込まれている場合、第2ピン22は、車両進行方向に対して直交する左右に座部セクション14から突出しており、後側レバー24が引っ張られた場合、第2ピン22は、座部セクション14の内側に引き込まれるようになっている。
また、図3(b)(c)に示すように、受台13上に、上述した第1ピン21を係止可能な第1穴25と、この第1穴25から上方へ延びる第1傾斜部28とがそれぞれ左右に1箇所ずつ設けられている。また、受台13上に、上述した第2ピン22を係止可能な第2穴26と、この第2穴26から上方へ延びる第2傾斜部27とがそれぞれ左右に1箇所ずつ設けられている。
ところで、図2に示すように、シートバック16は、受台13上に車両シート12に対して前向きに固定することも可能となっている。この場合、受台13は、受台13が車両シート12に対して後向きの状態で固定される場合(図1参照)と比較して、車両の進行方向に対して逆向きに配置される。すなわち受台13の湾曲部分13aは車両シート12の背面12b側にあり、受台13の平坦部分13bは車両シート12の座面12a上にある。この場合、受台13のうち平坦部分13b上方にラップベルト11bが掛け渡されるガイド部20が設けられ、シートバック16は、ガイド部20に掛け渡されたラップベルト11bにより車両シート12に対して固定され、また車両シート12の背面12b側において仮係合部17に掛け渡されたショルダーベルト11aにより車両シート12に対して固定されている。
また、このようにシートバック16が受台13上に車両シート12に対して前向きの状態で固定される際、受台13のうち車両シート12の座面12aに当接する部分13b(以下、平坦部分ともいう)は、上述のように平坦面となっている。
次に、図4(a)(b)(c)(d)(e)を用いて、シートバック16が受台13上に車両シート12に対して前向きの状態で固定される場合における、シートバック16と受台13とを互いに固定する手段について更に詳細に説明する。
上述したように、シートバック16の座部セクション14の先端側下面に、車両進行方向に対して左右に突出する第1ピン21が設けられている(図4(c)参照)。この第1ピン21は、上述したように、座部セクション14上面に設けられた前側レバー23と連動する(図4(a)参照)。また、座部セクション14の背部セクション15の背面12bに、受台13側に突出するフック29が設けられている(図4(c)(d)参照)。
また、図4(b)に示すように、受台13の一側端部(平坦部分13b側端部)の両側面に、第1ピン21に係止する係止穴部30と、この係止穴部30から上方へ延びる第3傾斜部31とが各々設けられている。また各係止穴部30は複数の係止穴30a,30b,30cからなり、具体的には、下方に位置する立位穴30aと、中央に位置する中間穴30bと、上方に位置する寝位穴30cとを有している。また、図4(c)に示すように、受台13内側に、受台13内でシートバック16を傾斜させて傾斜角を変化させる際(後述)、第2ピン22をガイドするためのガイド機構33が設けられている。さらに、図4(c)(e)に示すように、受台13の他側端部に、フック29を引っ掛けるための接続シャフト32(支軸)32が設けられている。
また、図5(a)(b)(c)および図6に示すように、シートバック16は、車両シート12に対して前向き状態(図6参照)または後向きの状態(図5(a)(b)(c)参照)で載置可能となっている。
また、図4(c)(d)(e)に示すように、受台13の背部に接続シャフト32が設けられ、シートバック16の背部後面に、受台13の接続シャフト32と係合するフック29が設けられ、このフック29が接続シャフト32に係合することによって、シートバック16が受台13に対して、接続シャフト32を中心として揺動するようになっている。
また、図4(c)に示すように、シートバック16の座部セクション14の下方前方部に、第1ピン21が設けられている。そして、図4(c)に示すように、シートバック16が車両シート12に対して前向き状態で載置されているとき、シートバック16が受台13に対して複数の傾斜位置で固定されるよう、受台13にシートバック16の第1ピン21が係合する係止穴部30(立位穴30a、中間穴30bおよび寝位穴30c)が設けられている。
また、図4(b)(c)に示すように、受台13は、シートバック16が車両シート12に対して前向き状態で載置されているとき、第1ピン21を各係止穴部30(立位穴30a、中間穴30bおよび寝位穴30c)へ導く第3傾斜部31を有している。
また、図3(b)(c)に示すように、受台13は、シートバック16が車両シート12に対して後向き状態で載置されているとき、シートバック16の第1ピン21に係合する第1穴25を有している。
また、図3(b)(c)に示すように、受台13は、シートバック16が車両シート12に対して後向き状態で載置されているとき、シートバック16の第2ピン22に係合する第2穴26を有している。
また、図3(b)(c)に示すように、受台13は、シートバック16が車両シート12に対して後向き状態で載置されているとき、第1ピン21を第1穴25へ導く第1傾斜部28と、第2ピン22を第2穴26へ導く第2傾斜部27と有している。
また、第1ピン21は、シートバック16から突出自在となっている。すなわち、上述したように、第1ピン21は、座部セクション14上面に設けられた前側レバー23(図3(d)参照)と連動する。前側レバー23が引っ張られない場合、第1ピン21は、車両進行方向に対して直交する左右にシートバック16の座部セクション14から突出しており、前側レバー23が引っ張られた場合、第1ピン21は、シートバック16の座部セクション14の内側に引き込まれるようになっている。
具体的には、図10(a)(b)および図11(a)(b)に示すように、第1ピン21の各々には、前側レバー23側に延びた突出部21aが設けられており、当該突出部21aは、前側レバー23に設けられた傾斜長穴41内で移動自在に挿入されている。また、前側レバー23には、前側レバー23の動作方向に平行な方向に延びる一対の平行長穴42が設けられ、当該平行長穴42内には、前側レバー23とシートバック16から延びた突出棒51との間に配置されたバネ53が配置されている。
このため、図10(a)(b)に示すように、前側レバー23が引っ張られていない場合、前側レバー23はバネ53の付勢力によって初期位置にあり、第1ピン21は車両進行方向に対して直交する左右にシートバック16の座部セクション14から突出している。他方、図11(a)(b)に示すように、後側レバー24がバネ53の付勢力に抗して引っ張られた場合(図10(a)の矢印A3方向に移動した場合)、第1ピン21は、シートバック16の座部セクション14の内側に引き込まれる(図10(a)の矢印A4方向に移動する)。
ところで、図10(a)(b)および図11(a)(b)において、外方から第1ピン21に対して矢印A4方向に力が加わると、前側レバー23を矢印A3方向に引っ張らなくても、第1ピン21はシートバック16の座部セクション14の内側に引き込まれる。
また、図3(c)において、第2ピン22は、シートバック16から突出自在となっている。すなわち、上述のように、後側レバー24が引っ張られていない場合、第2ピン22は、車両進行方向に対して直交する左右にシートバック16から突出しており、後側レバー24が引っ張られた場合、第2ピン22は、シートバック16の内側に引き込まれるようになっている。
具体的には、図8(a)(b)および図9(a)(b)に示すように、第2ピン22は各々、L字型連結部61の一端に連結されている。そして、当該L字型連結部61は、後側レバー24の幅方向の中心位置で、その他端が接続されている。また、後側レバー24とシートバック16との間にはバネ63が配置されている。
このため、図8(a)(b)に示すように、後側レバー24が引っ張られていない場合、後側レバー24はバネ63の付勢力によって初期位置にあり、第2ピン22は車両進行方向に対して直交する左右にシートバック16から突出している。他方、図9(a)(b)に示すように、後側レバー24がバネ63の付勢力に抗して引っ張られた場合(図8(a)の矢印A1方向に移動した場合)、第2ピン22は、シートバック16の内側に引き込まれる(図8(a)の矢印A2方向に移動する)。このとき、後側レバー24には、バネ63によって付勢力が働いている。
ところで、図8(a)(b)および図9(a)(b)において、外方から第2ピン22に矢印A2方向に力が加わると、前側レバー23を矢印A1方向に引っ張らなくても、第2ピン22はシートバック16の内側に引き込まれる。
また、図12に示すように、係止穴部30(立位穴30a、中間穴30b、および寝位穴30c)は各々、受台13を側方から見た場合、接続シャフト32を中心とした半径Rの円周上に配置されている。なお、図12は、上述のように、係止穴部30と接続シャフト32との関係を示す側方断面図である。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
(後向きの固定方法)
まず、図3(c)および図5(a)(b)(c)を用いて、チャイルドシート10を車両シート12に対して後向きの状態で固定する方法について述べる。
まず、図5(a)に示すように、受台13を車両シート12に対して固定する。この場合、まず車両シートベルト11のラップベルト11bをラップベルト係合部18に係合させる。次に、車両シートベルト11のショルダーベルト11aを引き延ばし、ショルダーベルト11aを仮係合部17に仮係合させる。
この場合、受台13の湾曲部分13aは車両シート12の座面12a上にあり、受台13の平坦部分13bは車両シート12の背面12b側にある。
次に、図3(c)および図5(b)に示すように、シートバック16を受台13上に車両シート12に対して後向きの状態で固定する。この場合、まずシートバック16を受台13上方から受台13上に載置し、第1ピン21を第1穴25に係止させるとともに第2ピン22を第2穴26に係止させる。この場合、上述したように第1穴25上方に第1傾斜部28が設けられ、かつ第2穴26上方に第2傾斜部27が設けられている。また、第1ピン21は、シートバック16の座部セクション14から突出自在となっており、第2ピン22は、シートバック16の座部セクション14と背部セクション15との境界部分から突出自在となっている(図8(a)(b)乃至図11(a)(b)参照)。このため、シートバック16を上方から受台13上へ押すだけで、予め外方へ突出した第1ピン21が第1傾斜部28上を滑って第1穴25内に挿着され、かつ第2ピン22が第2傾斜部27上を滑って第2穴26内に挿着される。この結果、シートバック16を容易に受台13上に固定することができる。
次に、図5(c)に示すように、仮係合部17に仮係合されているショルダーベルト11aを仮係合部17から取外し、その後ショルダーベルト11aをショルダーベルト係合部19に係合させる。
次に、車両シート12に対するチャイルドシート10の傾斜角を調整する。すなわち、車両シート12の座面12a上で、湾曲部分13aを中心に受台13を揺動させて受台13の傾きを変化させ、これにより、乳児Bを乗せるシートバック16の車両シート12に対する傾斜角を調整することができる。上述したように、湾曲部分13aが車両の進行方向に沿って湾曲しているので、チャイルドシート10の傾斜角を容易に調整することができる。
また、シートバック16を受台13上から取外す場合、前側レバー23および後側レバー24を同時に引っ張りながらシートバック16を受台13から上昇させる。この際、第1ピン21および第2ピン22が前側レバー23および後側レバー24により各々内側に引き込まれ、これにより、それぞれ第1ピン21と第1穴25との係合および第2ピン22と第2穴26との係合を解除することができる。このようにして、シートバック16を受台13から取外すことができる。
(前向きの固定方法)
次に、図6を用いて、チャイルドシート10を車両シート12に対して前向きの状態で固定する方法について述べる。
まず、図6に示すように、受台13を車両シート12に対して固定する。この場合、車両シートベルト11のラップベルト11bをガイド部20に係合させる。また、車両シートベルト11のショルダーベルト11aを、車両シート12の背面12b側において、受台13に斜めに配置する。
この場合、受台13の湾曲部分13aは車両シート12の背面12b側にあり、受台13の平坦部分13bは車両シート12の座面12a上にある。
次に、シートバック16を受台13上に車両シート12に対して前向きの状態で固定する。この場合、シートバック16を上方から受台13上に載置し、フック29を接続シャフト32に引っ掛けるとともに、第1ピン21を第3傾斜部31に沿って滑らせて係止穴部30の立位穴30aまでもってきてこれに係止する。
ここで、第1ピン21はシートバック16の座部セクション14から突出自在であり(図10(a)(b)および図11(a)(b)参照)、かつ受台13は第1ピン21を各係止穴部30へ導く第3傾斜部31を有している(図4(b)(c)参照)。このため、上述のようにシートバック16を車両シート12に対して前向き状態で載置するとき、シートバック16を上方から受台13上へ押すだけで、予め外方へ突出した第1ピン21が第3傾斜部31上を滑って係止穴部30の立位穴30a内に挿着される。この結果、シートバック16を容易に受台13上に固定することができる。
次に、受台13に対するシートバック16の傾斜角を調整する。この場合、まず、前側レバー23を引っ張り、第1ピン21を内側に引き込むことにより立位穴30aとの係止を解除する。次に、この状態でシートバック16を手前側(車両の進行方向側)に引くことにより、受台13内においてシートバック16をフック29を中心として揺動させ、第1ピン21を中間穴30bまたは寝位穴30cに係止させる。この際第2ピン22は、ガイド機構33に沿ってガイドされる。このようにして、受台13内においてシートバック16をフック29を中心に揺動させ、第1ピン21を立位穴30a、中間穴30b、または寝位穴30cに係止させることにより、受台13に対するシートバック16の傾斜角を3段階に調整することができる。
従って、シートバック16を受台13(強いては車両シート12)に対して、好ましい角度で保持することができる。すなわち、乳児をチャイルドシート10に立位の状態で座らせたい場合には、第1ピン21を最も下方に配置された立位穴30aに挿着し、乳児をチャイルドシート10に寝位の状態で座らせたい場合には、第1ピン21を最も上方に配置された寝位穴30cに挿着する。また、乳児を立位の状態と寝位の状態の間の状態でチャイルドシート10に座らせたい場合には、立位穴30aと寝位穴30cとの間の中間穴30bに第1ピン21を挿着する。
また、図12に示すように、受台13の各係止穴部30(立位穴30a、中間穴30b、寝位穴30c)は、側方から見た場合、接続シャフト32を中心とした半径Rの円周上に配置されている。このため、第1ピン21が、立位穴30a、中間穴30bおよび寝位穴30cのいずれに係合している場合であっても、シートバック16のフック29と受台13の接続シャフト32との間には間隙が形成されず、フック29は接続シャフト32に当接している。この結果、シートバック16が受台13に対してがたつくことを防止することができ、シートバック16を受台13に対して、堅固にかつ安定して設置することができる。
また、シートバック16を受台13上から取外す場合について述べる。この場合、第1ピン21は立位穴30aに係止しているものとする。この状態で前側レバー23を引っ張る。これにより、第1ピン21が内側に引き込まれて立位穴30aとの係止を解除する。次に、シートバック16を受台13から上昇させることにより、フック29を接続シャフト32から離脱させる。このようにして、シートバック16を受台13から取外すことができる。
上述のように、第1ピン21は、シートバック16を受台13に固定するために用いられるだけでなく、チャイルドシート10を車両シート12に対して前向きの状態で固定する場合に、受台13に対するシートバック16の傾斜角度を調整するためにも用いられる。
すなわち、本実施の形態によると、一つの部材(第1ピン21)によって、シートバック16を受台13に固定するとともに、受台13に対するシートバック16の傾斜角度を調整することができる。このため、従来のように、受台13に対するシートバック16の傾斜角度を調整する調整機構を、シートバック16を受台13に固定する取付機構と別に設ける必要が無く、チャイルドシート10の製造コストを軽減することができ、かつチャイルドシート10をコンパクトにし軽量化することができる。
(衝突時の作用)
次に、図7を用いて、シートバック16が車両シート12に対して後向きの状態で固定されている場合における、衝突時の作用について説明する。
シートバック16が車両シート12に対して後向きの状態で固定されている場合に、仮に、車両が衝突したとする。この場合、上述したように、シートバック16の背部セクション15のうち、乳児Bが乗った場合のチャイルドシート10の重心Gより上方に、ショルダーベルト11aを係合するショルダーベルト係合部19が設けられている。また、受台13の湾曲部分13aが、車両の進行方向に沿って湾曲している。
これにより、図7に示すように、受台13およびシートバック16がショルダーベルト係合部19を中心として回動し、同時に受台13の湾曲部分13aが車両シート12の座面12a上を滑動する。すなわち、車両の衝突の際、受台13がショルダーベルト係合部19を介してショルダーベルト11aにより保持されることにより、受台13およびシートバック16が車両の進行方向に移動しながら図7の矢印方向(時計回り方向)に回転する。これにより、シートバック16の背部セクション15が立ち上がるので、乳児Bは、自分の背中で衝撃を受けることができ、乳児Bへ加わるダメージを緩和することができる。
このように、本実施の形態によれば、シートバック16が受台13上に車両シート12に後向きで固定される際、受台13のうち車両シート12の座面12aに当接する部分(湾曲部分)13aが、車両の進行方向に沿って湾曲しているので、シートバック16の車両シート12に対する角度を容易に調節することができる。
また、本実施の形態によれば、シートバック16が受台13上に車両シート12に後向きで固定される際、受台13のうち車両シート12の座面12aに当接する部分(湾曲部分)13aが、車両の進行方向に沿って湾曲しているので、車両の衝突の際、シートバック16の背部セクション15が容易に立ち上がる。
さらに、本実施の形態によれば、シートバック16の背部セクション15のうち、乳児Bが乗った場合のチャイルドシート10の重心Gより上方に、ショルダーベルト11aを係合するショルダーベルト係合部19が設けられているので、シートバック16と受台13とを接続する接続部分(第1ピン21、第1穴25、第2ピン22、および第2穴26)への負荷を軽減することができる。また、車両の衝突の際、シートバック16の背部セクション15が立ち上がり、これにより乳児Bへ加わるダメージを緩和することができる。
さらにまた、本実施の形態によれば、受台13にショルダーベルト11aを係合する仮係合部17が設けられているので、車両シートベルト11をシートバック16の背部セクション15に容易に取り付けることができる。
さらにまた、本実施の形態によれば、シートバック16は受台13上に車両シート12に対して前向きに固定することが可能となっているので、子供の成長段階に合わせてチャイルドシート10を適切に使用することができる。
ところで、上述した実施の形態では、係止部として、複数の係止穴30a,30b,30cからなる係止穴部30を用いて説明したが、これに限ることなく、第1ピン21と係合し、第1ピン21を係止するものであれば、係止部として用いることができる。
本発明によるチャイルドシートの一実施の形態を示す側面図。 シートバックが受台上に車両シートに対して前向きに固定された状態を示す側面図。 シートバックが受台上に車両シートに対して後向きの状態で固定される場合におけるシートバックと受台との取付手段を示す図。 シートバックが受台上に車両シートに対して前向きの状態で固定される場合におけるシートバックと受台との取付手段を示す図。 チャイルドシートを車両シートに対して後向きの状態で固定する方法を示す斜視図。 チャイルドシートを車両シートに対して前向きの状態で固定する方法を示す斜視図。 本発明によるチャイルドシートの衝突時における作用を示す側面図。 本発明によるチャイルドシートの引っ張っていない状態の後側レバーを示した構成図。 本発明によるチャイルドシートの引っ張った状態の後側レバーを示した構成図。 本発明によるチャイルドシートの引っ張っていない状態の前側レバーを示した構成図。 本発明によるチャイルドシートの引っ張った状態の前側レバーを示した構成図。 本発明によるチャイルドシートの係止穴部と接続シャフト(支軸)との関係を示す側方断面図。
符号の説明
10 チャイルドシート
11 車両シートベルト
11a ショルダーベルト
11b ラップベルト
12 車両シート
12a 座面
12b 背面
13 受台
13a 湾曲部分
13b 平坦部分
14 座部セクション
15 背部セクション
16 シートバック
17 仮係合部
18 ラップベルト係合部
19 ショルダーベルト係合部
20 ガイド部
21 第1ピン
22 第2ピン
23 前側レバー
24 後側レバー
25 第1穴
26 第2穴
27 第2傾斜部
28 第1傾斜部
29 フック
30 係止穴部(係止部)
30a 立位穴
30b 中間穴
30c 寝位穴
31 第3傾斜部
32 接続シャフト(支軸)
33 ガイド機構

Claims (8)

  1. 車両シートに載置されるチャイルドシートにおいて、
    車両シートに載置可能な受台と、
    受台上に、受台と分離自在となって、車両シートに対して前向き状態または後向きの状態で載置可能であるとともに、座部セクションと背部セクションとを有するシートバックとを備え、
    シートバックが車両シートに対して前向き状態で載置されているとき、シートバックは受台に対して揺動可能となっており、
    シートバックの座部セクション下方に、第1ピンが設けられ、
    シートバックが車両シートに対して前向き状態で載置されているとき、シートバックが受台に対して複数の傾斜位置で固定されるよう、受台にシートバックの第1ピンが係合する係止部が設けられ
    受台の背部に支軸が設けられ、
    シートバックの背部後面に、受台の支軸と係合するフックが設けられ、
    前記フックが前記支軸に係合することによって、シートバックが受台に対して揺動可能となることを特徴とするチャイルドシート。
  2. 受台の係止部は、複数の係止穴からなることを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
  3. 第1ピンは、シートバックから突出自在であることを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
  4. 受台は、シートバックが車両シートに対して後向き状態で載置されているとき、シートバックの第1ピンに係合する第1穴を有することを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
  5. シートバックは、座部セクションと背部セクションとの境界部分下面に第2ピンを有し、
    受台は、シートバックが車両シートに対して後向き状態で載置されているとき、当該第2ピンに係合する第2穴を有することを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
  6. 第1ピンは、シートバックから突出自在であり、
    受台は、第1ピンを第1穴へ導く第1傾斜部を有することを特徴とする請求項記載のチャイルドシート。
  7. 第2ピンは、シートバックから突出自在であり、
    受台は、第2ピンを第2穴へ導く第2傾斜部を有することを特徴とする請求項記載のチャイルドシート。
  8. 第1ピンは、シートバックから突出自在であり、
    受台は、第1ピンを各係止穴部へ導く第3傾斜部を有することを特徴とする請求項記載のチャイルドシート。
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