JP5093383B1 - 容器詰め製品のレトルト殺菌方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エネルギー使用効率が改善されながら、容器詰め製品の内容物がタンパク質含有食品であっても食品の品質劣化のおそれがなく、また出荷される容器詰め製品の容器に汚れが付着するおそれがない蒸気殺菌方式による容器詰め製品のレトルト殺菌方法を提供する。
【解決手段】温水貯水タンクからレトルト釜内に50℃〜80℃の温水を導入してレトルト釜を満たすことによりレトルト釜内を脱気するとともに、蒸気殺菌後のレトルト釜内の一次冷却に用いられた一次冷却水を温水貯水タンクに回収して貯蔵し、レトルト釜内の二次冷却に用いられた二次冷却水を一次冷却水貯水タンクに回収し、脱気工程で使用した温水は排水する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、缶詰食品または飲料、レトルトパウチ詰め食品または飲料、プラスチック容器詰め食品または飲料等の容器詰め製品のレトルト殺菌方法に関し、特に蒸気殺菌方式による容器詰め製品のレトルト殺菌方法に関する。
蒸気殺菌方式によるレトルト殺菌は、内容物を充填密封した後の容器詰め製品をレトルト釜内に収容し、レトルト釜内に蒸気を導入して脱気を行いながらレトルト釜内の温度を100℃まで上昇させ(脱気・一次加熱工程)、蒸気をコントロールしてレトルト釜内を100℃に維持しながら容器詰め製品の予熱を所定時間行い、次いで加圧・加熱してレトルト釜内を殺菌温度まで到達させ(二次加熱工程)、所定温度・時間の蒸気殺菌を行う(殺菌工程)。殺菌終了後は、冷却水を導入して所定温度まで容器詰め製品を冷却し(一次冷却工程)、次いで新たな冷却水を導入して更に低温度の所定温度まで容器詰め製品を冷却し(二次冷却工程)、レトルト殺菌を完了させて容器詰め製品を出荷前の状態とする。
このような蒸気殺菌方式によるレトルト殺菌においては、レトルト釜内に空気が残存していると容器詰め製品への熱伝導率が悪くなってしまうため、容器詰め製品の殺菌開始前に、まず、レトルト釜内の空気を完全に蒸気で置換する脱気工程がある。しかし、蒸気による置換では空気がレトルト釜内に残存しやすく、完全に蒸気で置換するにはかなりの時間を要していた。
また、レトルト釜内に収容される容器詰め製品間において、内容物の品温差があるという現状もある。内容物を充填密封した後の容器詰め製品は、充填後順次にバスケット上の仕切り板上に所定個数載置し、同様の動作を繰返して所定の段数(例えば10段)積み重ねる。そして、このバスケット上への容器詰め製品の載置を繰返し、所定台数(たとえば5台)のバスケットへの容器詰め製品の載置を終了すると、所定台数のバスケットをレトルト釜内に収容し、蒸気導入による脱気工程を開始する。
しかしながら、この際、最初にレトルト釜内に収納したバスケットの最下段の充填密封後の容器詰め製品と、最後にレトルト釜内に収納したバスケットの最上段の充填密封後の容器詰め製品においては、前述したバスケット上の仕切り板上への載置時間が相違して時間差が生じる。このため、たとえば充填温度が65℃の場合、最後に釜内に収納したバスケットの最上段にある容器詰め製品の内容物の品温は約65℃を維持しているが、最初に釜内に収納したバスケットの最下段にある容器詰め製品の内容物の品温は30℃程度に降下してしまい、バスケット内の容器詰め製品の内容物において、かなりの品温差が生じている。
加えて、蒸気でレトルト釜内を脱気しながら容器詰め製品の内容物間の品温差を是正しようとすると、蒸気はバスケット内に積載された容器詰め製品の周囲から加熱を始めるので、積載された容器詰め製品列のうち外側の容器詰め製品は早く加熱されて予定の温度に達するが、内側の容器詰め製品が予定の温度に達するには時間がかかる。したがって、容器詰め製品の内容物の品温をすべて均一にするためには、殺菌工程前までに通常10分以上を必要とする。
これらのため、蒸気殺菌方式によるレトルト殺菌では、蒸気などのエネルギー消費量の約45%が脱気工程で消費されており、エネルギー使用効率が極めて悪いのが現状である。
そして、この蒸気殺菌方式を採用したレトルト殺菌方法における上記問題を解決することを目的として、殺菌すべき缶詰を予め入れているレトルト釜に、第1タンクから93℃〜97℃の熱湯を導入し、釜内の空気を釜頂から排出させるとともに缶詰と釜体を予熱し、熱湯が83℃〜87℃に低下した後、釜底から第2タンクに回収するとともに高温蒸気を導入して殺菌を行い、殺菌後の釜内蒸気、高温釜体および釜内缶詰と第2タンクの83℃〜87℃の熱湯との熱交換を行い、93℃〜97℃に加熱された熱湯を第1タンクに導入して蓄え、次の殺菌循環の予熱と脱気に使用することが提案されている。(特許文献1)
このレトルト殺菌方法は脱気工程において、従来の蒸気による脱気に変えて93℃〜97℃の熱湯により釜内の脱気を行うことにより、蒸気エネルギーの使用効率を向上させるものであるが、次の点で問題がある。
即ち、このレトルト殺菌方法は、脱気工程において第1タンクから93℃〜97℃の熱湯をレトルト釜内に導入することを必須要件としている。しかしながら、前述したように、レトルト釜内に収納されるバスケット内の容器詰め製品の内容物においてはかなりの品温差が生じており、全ての品温を均一にする際に93℃〜97℃の高温の熱湯を導入すると、品温の高いバスケット内の容器詰め製品の内容物が過加熱となり、製品間の品質にばらつきを生じる。
また、釜内の空気を93℃〜97℃の熱湯で釜頂から排出させて缶詰と釜体を予熱し、前記熱湯を83℃〜87℃に低下させた後、釜底から回収しているが、このような80℃を越える熱湯による加熱においても、内容物の様々な品質変化(劣化)を生じる。特に容器詰め製品の内容物が、コーンクリームスープややミルク入り飲料等などの乳タンパク質(=乳成分)を含む場合は、この乳タンパク質はその温度が80℃を超えると変性して凝固する傾向があり、容器のヘッドスペース界面に接した内容物が膜状凝集物を生成するため、前述した93℃〜97℃の熱湯によって加温されれば、より一層、容器詰め製品の内容物の変性による品質劣化(内容物外観の品質低下)を生じる恐れがある。したがって、このような脱気工程における内容物の品質劣化が生じる特許文献1の方法は、容器詰め製品の内容物の品質保持の観点から好適なレトルト殺菌方法とは言えない。
さらに、特許文献1のレトルト殺菌方法においては、脱気工程において第1タンクから釜内に導入して使用することにより83℃〜87℃に低下した熱湯を第2タンクに回収し、蒸気殺菌後に釜内の一次冷却のために第2タンクからこの83℃〜87℃の熱湯を釜内に導入して熱交換を行い93℃〜97℃に加熱された熱湯を第1タンクに導入して蓄え、次の脱気工程に使用し、第1タンクと第2タンクの間で同じ熱湯を交換して無限に繰り返し使用することによってエネルギー使用効率を改善している。
しかしながら、殺菌対象となる多数の缶詰等の容器詰め製品の表面には微細なゴミや汚れが付着しており、同一の熱湯を廃棄することなく、前述したように無限に繰り返し使用することにより、これらのゴミや汚れが熱湯内に溶け出し、あるいは流れ出して、熱湯が次第に汚染される。特許文献1のレトルト殺菌方法においては、最終工程において冷却水により二次冷却を行った後、容器詰め製品を釜内から取り出すようにしているが、無限に繰り返し使用して汚染された熱湯を流出した後に二次冷却水がレトルト釜内に導入されるため、二次冷却工程における冷却水との接触だけでは容器詰め製品の外面の汚れを完全に取り去ることができず、このような状態で出荷される可能性がある。
特開平7−155150号公報
本発明は、蒸気殺菌方式による容器詰め製品のレトルト殺菌方法における上記問題点にかんがみなされたものであって、エネルギー使用効率を改善しながら、容器詰め製品の内容物がレトルト殺菌における脱気工程中に品質劣化を生じることなく、また出荷される容器詰め製品の汚染が防止される蒸気殺菌方式による容器詰め製品のレトルト殺菌方法を提供しようとするものである。
本発明者等は、上記本発明の課題を解決するため鋭意研究と実験を重ねた結果、温水貯水タンクからレトルト釜内に50℃〜80℃の温水を導入してレトルト釜を満たしてレトルト釜内を脱気するとともに、蒸気殺菌後のレトルト釜内の一次冷却に用いた一次冷却水を温水貯水タンクに回収して貯蔵し、レトルト釜内の二次冷却に用いられた二次冷却水を一次冷却水貯水タンクに回収し、脱気工程で使用した温水を排水することにより、エネルギー効率を顕著に改善しながら、容器詰め製品の内容物が脱気工程中に品質劣化を生じることなく、また出荷される容器詰め製品汚染が防止されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、上記課題を解決する本発明の蒸気殺菌方式による容器詰め製品のレトルト殺菌方法は、
(イ)レトルト釜内に容器詰め製品を収容した後、温水貯水タンクからレトルト釜内に50℃〜80℃の温水を導入して満たすことによりレトルト釜内を脱気する工程
(ロ)蒸気導入口からレトルト釜内に蒸気を導入しながらレトルト釜内の温水を排水する工程
(ハ)レトルト釜内に蒸気を導入してレトルト釜内の温度を所定時間の間殺菌温度に維持することにより容器詰め製品を殺菌する工程
(ニ)一次冷却水貯水タンクから一次冷却水をレトルト釜内に導入して冷却するとともに、熱交換により昇温した一次冷却水をレトルト釜内から取り出して前記温水貯水タンクに回収する工程
(ホ)二次冷却水貯水タンクから二次冷却水をレトルト釜内に導入して冷却するとともに、熱交換により昇温した二次冷却水を前記一次冷却水貯水タンクに回収する工程
(へ)二次冷却水貯水タンクに二次冷却水を充填する工程
を備えることを特徴とするものである。
本発明の1側面においては、前記温水貯水タンクの温水の温度が調節可能であることを特徴とする。
また、本発明の他の側面においては、前記温水貯水タンクの温水の温度を50℃〜80℃の範囲内の所定の温度まで加熱により昇温させることを特徴とする。
また、本発明の他の側面においては、前記加熱は前記容器詰め製品を殺菌する工程において使用した蒸気の一部を利用することにより行われることを特徴とする。
また、本発明の他の側面においては、前記温水を導入してレトルト釜内を脱気する工程は、導入した温水がレトルト釜上方に設けられたドレイン弁から出るまで行われることを特徴とする。
さらに、本発明の他の側面においては、前記蒸気導入口からレトルト釜内に蒸気を導入しながらレトルト釜内の温水を排水する工程は、レトルト釜の上部に配置された蒸気導入口から蒸気を導入し、レトルト釜の底部に配置された排水口から温水を排水することにより行われることを特徴とする。
本発明のレトルト殺菌方法によれば、レトルト殺菌時のレトルト釜内の脱気工程を、温水貯水タンクからレトルト釜内に導入される温水により行うため、従来の蒸気導入による脱気に比べて、レトルト釜内におけるバスケットの仕切り板に載置された各段の容器詰め製品の周囲に温水が迅速に充満され、脱気工程において、各容器詰め製品を均一な所定品温とするまでの加熱時間を大幅に短縮することができるために容器詰め製品の内容物の品質劣化を防止し、かつ、蒸気使用量が削減され、エネルギー効率を向上させることができる。
また、従来の93℃〜97℃の熱湯を導入した脱気に比べて、脱気工程を50℃〜80℃の温水により行うため、容器詰め製品の内容物の品質劣化を生じるおそれがなく、高品質の製品を提供することができる。特にコーンクリームスープ等乳タンパク質を含む容器詰め製品の殺菌に好適である。
また、本発明のレトルト殺菌方法よれば、二次冷却水を順次、二次冷却工程、一次冷却工程における熱交換も利用して効率的に加温し、50℃〜80℃に昇温させて温水とし、この温水を脱気工程で使用するため、エネルギー効率を高めることができる。
また、脱気後の汚染された温水は、脱気工程使用後に再使用せず排水され、汚染されていない二次冷却水による二次冷却工程後の冷却水が一次冷却工程に使用される。このため一次冷却工程後の一次冷却水の汚染度合いが低く、新たに二次冷却工程で使用する二次冷却水の汚染が防止されることにより、二次冷却後に出荷される容器詰め製品外面の汚れ付着が防止される。
また、本発明のレトルト殺菌方法の一側面においては、温水貯水タンクの温水の温度が調節可能であり、レトルト殺菌の休止等により温水貯水タンクの水温が所定温度より低下しても、水温を所定温度に戻すことが容易にできる。
また、本発明のレトルト殺菌方法の他の側面においては、温水貯水タンクの温水の温度を50℃〜80℃の範囲内の所定の温度まで加熱により昇温させることができるので、脱気工程で使用する温水の温度調節が容易である。
また、本発明のレトルト殺菌方法の他の側面においては、温水貯水タンクの温水の加熱は、容器詰め製品を殺菌する工程で使用した蒸気の一部を利用することにより行われるので、エネルギー効率を一層高めることができる。
また、本発明のレトルト殺菌方法の他の側面においては、温水を導入することによりレトルト釜内を脱気する工程は、導入した温水がレトルト釜上方に設けられたドレイン弁から出るまで行われるので、脱気を完全に行うことができ、その確認が容易である。
さらに、本発明のレトルト殺菌方法の他の側面においては、蒸気導入口からレトルト釜内に蒸気を導入しながらレトルト釜内の温水を排水する工程を、レトルト釜の上部に配置された蒸気導入口から蒸気を導入し、レトルト釜の底部に配置された排水口から温水を排水して行うため、釜内の温水の排水を迅速、かつ容易、完全に行うことができる。
本発明のレトルト殺菌方法を実施するための実施形態の一例を模式的に示す図である。
以下添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1に示す本発明のレトルト殺菌方法おいて、レトルト釜1は、温水貯水タンク2、一次冷却水貯水タンク3、二次冷却水貯水タンク4およびボイラー26とそれぞれ配管により接続されている。レトルト釜1内には、蒸気殺菌の対象物である容器詰め製品5が仕切り板上にそれぞれ所定数、所定段数積載されたバスケット6が適宜収容される。
温水貯水タンク2には、50℃〜80℃の範囲内の所定温度の温水が所定レベル充填されている。温水温度は、50℃を下回ると、温水が容器詰め製品に与える熱量が小さいため、蒸気によって容器詰め製品を100℃程度までに予熱する時間が長くなり、蒸気使用量が増加してエネルギー効率が悪くなる。また、80℃を上回ると、前述の通り、内容物の品質劣化が懸念される。このため、50℃〜80℃の範囲で温水温度を適時選択する。一次冷却水貯水タンク3には二次冷却により昇温度された30℃〜40℃の範囲内の所定温度の一次冷却水が充填されており、二次冷却水貯水タンク4には常温、例えば季節によっても相違するが10℃〜30℃の範囲内の所定温度の二次冷却水が充填されている。二次冷却水としては水道水または井戸水等を使用することができる。水道水を使用する場合の水温は、冬季は約15℃、春秋季は約25℃、夏季は約30℃であり、井戸水を使用する場合の水温は、地域により違いがあるが、10℃〜18℃のうち1℃〜3℃差程度の通年一定の水温である。
尚、脱気工程開始時点においては、各タンク2、3、4はそれぞれ各工程での使用量の1.5倍程度の所定レベル、或いは満水状態に充填されており、各タンクの大きさは、各工程での使用量の倍程度は充填できる容量を必要とする。
脱気工程開始時のレトルト釜1内の温度は、室温と同じで15℃〜30℃である。またレトルト釜1内に収容されている容器詰め製品5の内容物の品温は、内容物の充填温度、充填密封からレトルト釜内に収容するまでの時間、収納する量により異なる。例えば充填密封を終えた容器詰め製品5を、そのまま順次バスケット6の仕切り板に載置してレトルト釜内1に収容する場合の内容物の品温は、充填温度が65℃の内容物の場合は30℃〜65℃であり、充填温度が95℃の内容物の場合は60℃〜95℃である。
脱気工程を開始するには、温水貯水タンク2とレトルト釜1の間に装着された開閉弁7、8を開き、給水ポンプ9を作動させて、温水貯水タンク2から所定温度の温水を、温水導入口1aを介してレトルト釜1内に導入すると同時に、レトルト釜1の上方に設けられた開閉弁31(=ドレイン弁)を開いて、レトルト釜1内の空気を外部に排気する。
脱気工程が進捗するにつれて、レトルト釜1内は温水タンク2からの温水で満たされ、空気はすべて開閉弁31(ドレイン弁)から排気される。空気がレトルト釜1内から完全に排気されたことを確認するために、脱気工程は、少なくともレトルト釜1内に充填された温水が開閉弁31(ドレイン弁)から出るまで継続することが好ましい。レトルト釜1内を温水で満水状態とするには数分要するが、レトルト釜1内が満水状態になった後も、容器詰め製品5の内容物の品温が均一になるまでの必要な時間、この満水状態によるレトルト釜1内の予熱を保持する。
この脱気工程と満水状態の保持により、レトルト釜1内の空気が完全に排気されるとともに釜内の水温及びレトルト釜1内の温度は約3℃下がって47℃〜77℃となる。釜内に収容された容器詰め製品の内容物の品温は47℃〜77℃の範囲内でバスケット6内のすべての容器詰め製品の内容物の品温が均一な所定温度となる。したがって脱気工程と満水状態の保持は、釜内の容器詰め製品の内容物を均一な品温に上昇させるための予熱工程を兼ねるものである。この均一な品温が達成される温度およびこの温度が達成される時間は、内容物の充填温度、種類、粘度などにより異なる。例えば、前述した充填温度が65℃の低粘度な内容物であり、温水貯水タンクより供給された温水が70℃の場合の内容物の品温は約67℃、満水状態の保持時間は1〜2分であり、充填温度が95℃の高粘度な内容物であり、温水が70℃の場合、内容物の品温は約67℃、満水状態の保持時間は約5分である。
そして、脱気工程で使用する前述した温水貯水タンク2は、貯蔵する温水の温度調節を可能とするために外釜2aと内釜2bの二重構造となっており、外釜2aは蒸気配管21と連通しており、内釜2bは温度センサ22を介して温度調節装置23と連通している。蒸気配管21に続く蒸気配管25は蒸気供給源であるボイラー26に連通している。温度調節に関わる各蒸気配管には開閉弁が介装されており、蒸気配管21に開閉弁27、蒸気配管24に開閉弁28、蒸気配管25に開閉弁29、及びレトルト釜1に連通する蒸気排気管30には開閉弁31(ドレイン弁)がそれぞれ介装されている。これらの開閉弁27、28、29、31(ドレイン弁)はそれぞれ温度調節装置23と信号線により接続されており、温度調節装置23からの弁開閉信号を受けて自動的に開閉される。
この温度調節装置23を自動的に操作することにより、温水貯水タンク2内の温水の温度を50℃〜80℃の範囲内の所定温度に調節することができる。即ち、温水の温度が所定温度を下回った場合は温度調節装置23内の温度センサ22がこれを検出し、蒸気を外釜2a内に導入することにより、内釜2b内の温水を加熱して所定温度まで昇温させ、温水の温度が所定温度を上回った場合は蒸気導入を止めて温度を所定温度まで降下させる。
より具体的に説明すると、温水貯水タンク2内の温水の温度が後述するレトルト殺菌中の蒸気排気時に所定温度を下回った場合は、経路A(蒸気配管24、21)により排気蒸気を利用して外釜2a内に導入する。この時、温度調節装置23からの指令により開閉弁28と27は開かれ、開閉弁29と31(ドレイン弁)は閉じられている。また、温水貯水タンク2内の温水の温度が後述するレトルト殺菌中の蒸気排気時以外に所定温度を下回った場合は、経路B(蒸気配管25、21)により直接ボイラー26からの蒸気を外釜2a内に導入する。この時、開閉弁29、27は開かれ、開閉弁28、31(ドレイン弁)は閉じられている。
次いで、脱気工程と満水状態の保持が終了後、給水ポンプ9の作動を停止し、開閉弁7,8及び31(ドレイン弁)を閉じた後、蒸気を導入しながら温水を排水する。(=蒸気導入排水工程)すなわち、レトルト釜1と配管で接続されたボイラー26から、蒸気配管25、24に介装された開閉弁29、28を開き、蒸気を好ましくはレトルト釜1の上部に配置された蒸気導入口1cからレトルト釜1内に導入する。これと同時にレトルト釜1の下方の温水排出口1bに接続された排水用管路の開閉弁10、11を開き、給水ポンプ12を作動させてレトルト釜1内の温水を温水排出口1bから排水する。この温水排出口1bはレトルト釜1の底部に配置されることが排水効率の点で好ましい。
この蒸気導入排水工程により、釜内の温水はすべて蒸気に置換され、レトルト釜1内の温度は蒸気によって100℃となる。このレトルト釜1内が100℃の蒸気に置換され、レトルト釜内を100℃に維持するように蒸気でコントロールしながら所要時間予熱を行うと、容器詰め製品の内容物の品温は、47℃〜77℃の範囲内の所定温度から100℃程度となる。この品温が100℃程度までの昇温に要する時間は、例えば、所定温度が67℃である場合、容器詰め製品の内容物が前述した低粘度なものの場合は約2分、高粘度なものの場合は約3分である。
この蒸気導入排水工程が終了後、開閉弁29、28および排水弁開閉弁10、11を閉じ、給水ポンプ12の作動を停止した後、レトルト釜1内の容器詰め製品の蒸気式レトルト殺菌を行う。この殺菌時の蒸気導入は、前記開閉弁29、28が介装された配管とは別個の配管で行われる。即ち、レトルト釜1に接続された経路C(蒸気配管33)に介装された開閉弁32を介して、蒸気をレトルト釜1の蒸気導入口1dからレトルト釜1内に導入し、レトルト釜1内の温度を所定時間、所定温度に維持することにより行う。
尚、図1においてはボイラー26からの蒸気導入経路を経路C(蒸気配管33)、経路D(蒸気配管25、24)の二経路としているが、少なくとも一経路あれば良く、状況に応じて適宜選択すれば良い。本実施形態のように二経路の蒸気導入経路とした場合は、蒸気の供給や排気の制御がしやすいため好適である。また、蒸気導入経路はレトルト釜1に接続されていれば良いが、蒸気導入経路をレトルト釜1の上部に配置することにより、脱気工程後の温水の排水時に蒸気が排水中に混ざりあう量が少なくなり、蒸気の熱をほぼそのままレトルト釜1内に導入できるためなお好適である。
また、蒸気導入経路はレトルト釜1に接続されていれば良いが、蒸気導入経路をレトルト釜1の上部に配置することにより、脱気工程後の温水がレトルト釜1の下方の温水排出口1bから排水されるため、蒸気が排水中に混合する割合が少なくなり、蒸気の熱をほぼそのままレトルト釜1内に導入できるため、より好適である。
殺菌条件は、容器詰め製品の容器、容量および内容物の種類等により異なるが、おおむね蒸気温度115℃〜135℃、殺菌時間20分〜50分の範囲内で常法により行われる。レトルト釜1内の温度は蒸気温度と同じとなり、容器詰め製品の内容物の品温は、蒸気導入開始後数分で殺菌温度と同じとなる。例えば、低粘度なものの場合は蒸気導入開始後約1.5分で、高粘度なものの場合は蒸気導入開始後約3分で殺菌温度と同等の温度に上昇する。
殺菌工程が終了後に開閉弁32を閉じ、一次冷却水貯水タンク3とレトルト釜1の間に装着された開閉弁13、8を開き、給水ポンプ9を作動させ、一次冷却水貯水タンク3から30℃〜40℃の一次冷却水をレトルト釜1内のバスケットの下まで導入、充填する。次にレトルト釜1内のバスケットの下に充填された一次冷却水を、開閉弁14を開き、給水ポンプ12を作動させて、レトルト釜1内の頂部に設けられたシャワー板15に送り、所定時間循環させながら一次冷却水をバスケット6の容器詰め製品5上に振り撒くことにより、容器詰め製品の内容物を50℃〜80℃の範囲内の所定温度まで一次的に冷却する。
一次冷却工程において、一定時間経過後に給水ポンプ9を停止し、開閉弁13、8、14を閉じた後、開閉弁10、16、17を開き、レトルト釜1内における熱交換により50℃〜80℃に昇温した一次冷却水を温水貯水タンク2に回収する。この温水貯水タンク2は、前述するように蒸気が通りやすく、一次冷却水の温度が保ちやすいように二重釜構造とするのが好適である。これによって温水貯水タンク2の所定のレベルまで50℃〜80℃の温水が貯蔵され、次のレトルト殺菌工程の脱気工程において使用される。
また、前述の一次冷却水は、後述する二次冷却工程で使用する汚染されていない二次冷却水を再利用しており、このため一次冷却工程終了後の一次冷却水の汚染度合いは低いため、新たに二次冷却工程で使用する二次冷却水の汚染が防止される。
一次冷却水の回収終了後、給水ポンプ12を停止し、開閉弁10、16、17を閉じた後に二次冷却水貯水タンク4とレトルト釜1の間に装着された開閉弁18を開き、給水ポンプ9を作動させ、二次冷却水貯水タンク4から常温、例えば10℃〜30℃の二次冷却水をレトルト釜1内のバスケットの下まで充填し、一次冷却工程と同様に開閉弁14を開き、給水ポンプ12を作動させ、シャワー板15を介して二次冷却水を循環させながらバスケット6の容器詰め製品5上に振り撒くことにより、容器詰め製品の内容物を30℃〜40℃の範囲内の所定温度まで二次的に冷却する。例えば内容物を所定温度の40℃に降下するために要する時間は、前述したコーヒー類やお茶類に15℃の冷却水を使用した場合は約2分、30℃の冷却水を使用した場合は約5分であり、乳成分入りコーンスープ類に15℃の冷却水を使用した場合は約5分、30℃の冷却水を使用した場合は約10分である。
二次冷却工程において、一定時間が経過後に給水ポンプ9を停止し、開閉弁18、14を閉じた後、開閉弁10、16、19を開き、レトルト釜1内における熱交換により30℃〜40℃に昇温した二次冷却水を一次冷却水貯水タンク3に回収する。これによって一次冷却水貯水タンク3の所定レベルまで30℃〜40℃の温水が貯蔵され、次のレトルト殺菌工程の一次冷却工程において使用される。
二次冷却水の回収終了後に開閉弁10、16、19を閉じ、二次冷却水貯水タンク4に常温の水を外部(水道水または井戸水)から供給する。そして、この水を二次冷却水貯水タンク4の所定レベルまで充填してレトルト殺菌工程の1サイクルを終了し、次のレトルト殺菌工程サイクルに備える。
なお、冷却水の導入、排出方法は、冷却する容器詰め製品の量や冷却時間によって適宜選択すればよく、上記のように一回の導入・排出でもよいし、間欠的に導入・排出してもよいし、連続的に導入・排出してもよい。
1.殺菌装置:SUS社製レトルト釜
(装置型式H120−C100−140−S・W・SHW・P−A)
レトルト釜の内容積:1.6t(満水時)
温水貯水タンクの内容積:3t
一次冷却水貯水タンクおよび二次冷却水貯水タンクの内容積:2t
2.容器(缶)詰め製品
内容物:コーンスープ
コーンピューレ、牛乳、デンプンをホモジナイズして乳化し、
冷凍コーンを配合
各缶の内容量:200g、充填量:190g
充填温度:65℃
3.レトルト釜に収容した缶数、缶温
バスケットへの積載量:1500缶
脱気工程開始時のバスケットの缶詰め製品の温度:50℃〜65℃
[評価]
(1)エネルギー使用効率
脱気工程から殺菌工程までの蒸気使用量、各工程にかかる時間を求め、比較した。
(2)缶詰め製品の内容物品質
レトルト殺菌後の容器詰め製品の内容物において、内容物であるコーンスープの乳成分由来の膜状凝集物の生成状態(100メッシュの金網に内容物を通過させた後、金網に残存する膜状凝集物の有無)、および、内容物の色調を目視で比較した。
(3)容器詰め製品の外面の状態
4時間(4回)連続稼働した後に、二次冷却後のレトルト釜内から取り出した缶詰め製品の容器外面の汚れ付着状態を目視で確認した。
1.脱気工程〜蒸気導入排水・加熱工程
温水貯水タンクに貯水された70℃の温水をレトルト釜内に2分導入して満水(脱気工程)とした後、温水を保持して2分の予熱を行ない、レトルト釜内の水温、内容物の品温をそれぞれ67℃とした。
温水による予熱後、レトルト釜内に蒸気を導入しながら温水の排水を1分行ってレトルト釜内を蒸気に置換し、加えて、レトルト釜内を100℃に維持するように蒸気でコントロールしながら蒸気による2分の予熱を行うと、内容物の品温を67℃から90℃〜100℃とした。
蒸気による予熱後、1.5分の加圧・加熱を行って内容物の品温を殺菌温度の123℃に到達させた。
尚、脱気工程で使用した後の温水は、レトルト釜からの排水後、そのまま廃棄した。
2.殺菌工程
蒸気導入排水工程後、123℃、20分の蒸気殺菌を行った。この時のゲージ圧は0.127MPaであった。
3.一次冷却工程
殺菌工程終了後、一次冷却水貯水タンクから40℃の一次冷却水をシャワーにより釜内に導入し、缶詰め製品に振り撒き循環させて一次冷却を行った。これにより、釜内の温度は70℃に降下するとともに、一次冷却水は70℃に上昇し、この一次冷却水を温水貯水タンクに回収した。
また、内容物の品温は殺菌温度の123℃から70℃に降下し、この温度降下に要した時間は5分であった。
4.二次冷却工程
一次冷却工程後、二次冷却水貯水タンクから15℃の二次冷却水をシャワーにより釜内に導入し、缶詰め製品に振り撒き循環させて二次冷却を行った。これにより、釜内の温度は40℃に降下するとともに、二次冷却水は40℃に上昇し、この二次冷却水を一次冷却水貯水タンクに回収した。
また、内容物の品温は70℃から40℃に降下し、この温度降下に要した時間は2分であった。
比較例1
1.脱気・一次加熱工程〜二次加熱工程
蒸気による3分の脱気を行いながらレトルト釜内の温度を100℃まで上昇させ(脱気・一次加熱工程)、脱気後に蒸気をコントロールしてレトルト釜内を100℃に維持しながら7分の予熱を行い、内容物の品温を67℃〜100℃とした。
予熱後、3分の加圧・加熱を行って内容物の品温を殺菌温度の123℃に到達させた。(二次加熱工程)
2.殺菌工程
実施例1と同様に行った。
3.一次冷却工程
実施例1と同様に行った。
4.二次冷却工程
実施例1と同様に行った。
比較例2
1.脱気工程〜蒸気導入排水・加熱工程
温水貯水タンクに貯水された水温を95℃、温水による予熱後の釜内の水温と内容物の品温を85℃、蒸気による予熱を2.5分、脱気工程で使用した後の温水を一次冷却タンクに回収した以外は、実施例1と同様に行った。
2.殺菌工程
実施例1と同様に行った。
3.一次冷却工程
殺菌工程終了後、一次冷却水貯水タンクから85℃の水温の一次冷却水をシャワーにより釜内に約半釜量導入し、缶詰め製品に振り撒き循環させて一次冷却を行った。これにより、釜内の温度は95℃に降下するとともに、一次冷却水の水温は95℃に上昇し、この一次冷却水を温水貯水タンクに回収した。
また、内容物の品温は殺菌温度の123℃から95℃に降下し、この温度降下に要した時間は10分であった。
4.二次冷却工程
一次冷却工程後、二次冷却水貯水タンクから30℃の二次冷却水を釜内に導入して満水とし、二次冷却を行った。これにより、釜内の温度は40℃に降下するとともに、二次冷却水は40℃に上昇した。この二次冷却水は使用後に排水した。
また、内容物の品温は85℃から40℃に降下し、この温度降下に要した時間は3分であった。
1.実施例1と比較例1
(1)エネルギー使用効率
蒸気使用量において、実施例1は殺菌工程前までの蒸気導入排水・加熱工程で約26100kcal、殺菌工程で約480kcalであるのに対し、比較例1は殺菌工程前までの脱気・一次加熱工程〜二次加熱工程で約40000kcal、殺菌工程で約480kcalであり、実施例1は約34%の蒸気量を削減できた。また、各工程にかかる時間は、実施例1は脱気工程〜蒸気導入排水・加熱工程で8.5分であるのに対し、比較例1は脱気・一次加熱工程〜二次加熱工程で13分であり、実施例1では約4.5分の時間短縮となった。
(2)容器詰め製品の内容物の品質
内容物であるコーンスープの乳成分由来の膜状凝集物は、実施例1および比較例1の何れにおいても観察されなかった。
しかしながら、色調においては、実施例1では全ての缶詰製品の内容物がほぼ均一な色調であったに対し、比較例1では実施例1と同等の色調のものから加熱褐変が進んでいるものまで、種々のものが混在していた。
(3)容器詰め製品の外面の状態
製品として取り出した各缶詰め容器の外面は、実施例1および比較例1の何れにおいても汚れは付着していなかった。
(4)これらの結果、実施例1および比較例1においては、実施例1のレトルト殺菌方法が、エネルギー使用効率における蒸気使用量、時間短縮、および、容器詰め製品の内容物品質における色調に優れていた。
2.実施例1と比較例2
(1)エネルギー使用効率
蒸気使用量において、実施例1は脱気工程〜蒸気導入排水・加熱工程で26000kcal、殺菌工程で約480kcalであるのに対し、比較例2は脱気工程〜蒸気導入排水・加熱工程で約24000kcal、殺菌工程で約480kcalであり、比較例2は約8%蒸気使用量が少なかった。しかしながら、殺菌工程前まで、および、殺菌工程後の冷却工程にかかる時間は、実施例1では脱気工程〜蒸気導入排水・加熱工程で8.5分、一次冷却工程で5分、二次冷却工程で2分であるのに対し、比較例2では脱気工程〜蒸気導入排水・加熱工程で9.0分、一次冷却工程で10分、二次冷却工程で3分あり、実施例1が約6.5分の時間短縮となった。
(2)容器詰め製品の内容物品質
内容物品質においては、実施例1は全ての缶でコーンスープの乳成分由来の膜状凝集物は観察されず、また、内容物の色調がほぼ均一な色調であった。これに対し比較例2では、膜状凝集物が全体の2割程度散見され、色調も比較例1同様な状態でかなりのばらつきがあった。
(3)容器詰め製品の外面の状態
製品として取り出した各缶詰め容器の外面は、実施例1では汚れは付着していなかったのに対し、比較例2においては、全体的に缶表面の汚れの付着が目立った。
(4)これらの結果、実施例1及び比較例2においては、実施例1は殺菌時の蒸気使用量では若干劣るものの、エネルギー使用効率における工程時間、容器詰め製品の内容物品質における膜状凝集物の生成防止、色調、および容器詰め製品の外面の汚れ付着状態で優れており、実施例1の殺菌方法が総合的に比較例2よりも優れていた。

Claims (6)

  1. 蒸気殺菌方式による容器詰め製品のレトルト殺菌方法において、
    (イ)レトルト釜内に容器詰め製品を収容した後温水貯水タンクからレトルト釜内に50℃〜80℃の温水を導入して満たすことによりレトルト釜内を脱気する工程
    (ロ)蒸気導入口からレトルト釜内に蒸気を導入しながらレトルト釜内の温水を排水する工程
    (ハ)レトルト釜内に蒸気を導入してレトルト釜内の温度を所定時間の間殺菌温度に維持することにより容器詰め製品を殺菌する工程
    (ニ)一次冷却水貯水タンクから一次冷却水をレトルト釜内に導入して冷却するとともに、熱交換により昇温した一次冷却水をレトルト釜内から取り出して前記温水貯水タンクに回収する工程
    (ホ)二次冷却水貯水タンクから二次冷却水をレトルト釜内に導入して冷却するとともに、熱交換により昇温した二次冷却水を前記一次冷却水貯水タンクに回収する工程
    (ヘ)二次冷却水貯水タンクに二次冷却水を充填する工程
    を備えることを特徴とする容器詰め製品のレトルト殺菌方法。
  2. 前記温水貯水タンクの温水の温度が調節可能であることを特徴とする請求項1記載のレトルト殺菌方法。
  3. 前記温水貯水タンクの温水の温度を50℃〜80℃の範囲内の所定の温度まで加熱により昇温させることを特徴とする請求項2記載のレトルト殺菌方法。
  4. 前記加熱は前記容器詰め製品を殺菌する工程において使用した蒸気の一部を利用することにより行われることを特徴とする請求項3記載のレトルト殺菌方法。
  5. 前記温水を導入してレトルト釜内を脱気する工程は、導入した温水がレトルト釜上方に設けられたドレイン弁から出るまで行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレトルト殺菌方法。
  6. 前記蒸気導入口からレトルト釜内に蒸気を導入しながらレトルト釜内の温水を排水する工程は、レトルト釜の上部に配置された蒸気導入口から蒸気を導入し、レトルト釜の底部に配置された排水口から温水を排水することにより行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレトルト殺菌方法。
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