ところで、エアバッグ装置にあっては、センサによって衝撃が検知されたときに、折り畳まれているエアバッグを素早く展開させる必要がある。特に、乗員の正面から展開して乗員を受け止めるエアバッグと異なり、座席の背もたれに搭載されて乗員の後ろ側から乗員の側方に向かって展開する側面衝突用エアバッグ装置にあっては、乗員と車室側壁との間に素早くエアバッグを入り込ませる必要がある。そのため、エアバッグモジュールの搭載位置によっては、エアバッグの展開方向を制御することが重要になる。
例えば、荷室の容量を拡大するために背もたれを座面に重ねるように折り畳むことができるようになっている後部座席や、背もたれを倒すことによりその背面をテーブルとして使用することのできるテーブルシート等の可倒式の座席にあっては、通常のリクライニング用のヒンジよりも高い位置に折り畳み用のヒンジが設けられている。したがって、乗員の腰部を保護するような側面衝突用エアバッグ装置のエアバッグモジュールであっても、この折り畳み用のヒンジよりも高い位置に搭載せざるを得ず、その搭載位置が高くなってしまう。その結果、乗員の腰部を適切に保護するためには、背もたれから乗員の腰部側方に向かってエアバッグを斜め下方に素早く展開させる必要がある。
また、これとは逆に乗員の頭部を保護するような側面衝突用エアバッグにあっては、背もたれから乗員の頭部側方に向かってエアバッグを斜め上方に素早く展開させる必要がある。
尚、インフレータから噴出する膨張用ガスのエネルギが背もたれのフレームの変形等によって吸収されてしまうことを抑制し、効率的にエアバッグを膨張させるために、エアバッグモジュールをケースに収容し、ケースに収容されたエアバッグモジュールを背もたれのフレームに固定するようにしているものもある。このようにケースに収容されたエアバッグモジュールを備える側面衝突用エアバッグ装置にあっては、車両上下方向へのエアバッグの展開がケースの側壁によって規制される。そのため、このようにエアバッグモジュールがケースに収容されている側面衝突用エアバッグ装置にあっては、ケースの側壁との干渉を避けるため、車両前方側の斜め上方又は斜め下方にエアバッグを素早く展開させるための工夫が特に必要とされている。
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンパクトに折り畳んだエアバッグを車両前方側の斜め上方又は斜め下方に素早く展開させることのできる側面衝突用エアバッグ装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、車両側面への衝突による衝撃が検知されたときに座席の背もたれから前記座席に着座している乗員と車室側壁との間に向かってエアバッグを膨張展開させ、側方からの衝撃から乗員を保護する側面衝突用エアバッグ装置において、展開された状態の前記エアバッグを、同エアバッグ内の車両後方側に収容されたインフレータに向かって折り畳むことにより同エアバッグを車両上下方向に延びる棒状の中間形態にし、同中間形態において前記インフレータが収容されている部位から車両上下方向にはみ出す部分を、前記インフレータに近い基端部と、同インフレータから遠い先端部と、同先端部と基端部との間に位置する中間部とに分け、前記基端部を蛇腹折りによって前記インフレータに向かって車両上下方向に縮めるように折り畳み、前記中間部を折り畳まれた前記基端部の車両前方側で車両上下方向に延びるように折り返すとともに、前記先端部を前記中間部の車両前方側に位置するように折り畳むことによって前記エアバッグを前記背もたれに収容される収容形態にしたことをその要旨とする。
上記構成によれば、基端部が蛇腹折りによってインフレータに向かって車両上下方向に縮めるように折り畳まれているため、基端部はインフレータから噴出する膨張用ガスの圧力によってインフレータから離れるように車両上下方向に展開するようになる。また、中間部は基端部の車両前方側で車両上下方向に延びるように折り返されているため、基端部から折り返された部分を支点にして先端部を車両前方側に振り出すように回動するようになる。そして、先端部は中間部の車両前方側で折り畳まれている。そのため、エアバッグの展開初期は、折り畳まれた状態の先端部には膨張用ガスが導入されにくく、先端部が展開する前に中間部が基端部から折り返された部分を支点にして回動するようになる。その結果、中間部はエアバッグの先端部側の重心が前記支点の近くに位置する状態で前記支点を中心に回動するようになり、先端部が折り畳まれておらず先端部側の重心が前記支点から離間している場合と比較して速やかに車両前方側に回動するようになる。また、中間部の回動に伴って先端部には遠心力が作用する。そのため、この遠心力の作用によって先端部が速やかに展開するようになる。
すなわち、上記請求項1に記載の構成によれば、インフレータからの膨張用ガスの噴出に伴って、基端部がインフレータから離間するように車両上下方向に向かって展開し、中間部が基端部から折り返された部分を中心に先端部を車両前方側に振り出すように回動しながら膨張展開するようになる。そして、中間部の回動に伴う遠心力が作用した状態で先端部がインフレータから離間するように展開する。そのため、エアバッグには車両上下方向にこれを展開させる力と、車両前方側にこれを展開させる力とが作用するようになり、コンパクトに折り畳んだエアバッグを車両前方側の斜め上方又は斜め下方に素早く展開させることができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の側面衝突用エアバッグ装置において、前記エアバッグは乗員の腰部を保護する腰部保護チャンバを有してなり、前記中間形態において前記インフレータが収容されている部位から車両下方側にはみ出す部分を前記基端部と前記中間部と前記先端部とに分けて前記基端部を蛇腹折りによって車両下方側から車両上方側に前記インフレータに向かって縮めるように折り畳むとともに、前記中間部を折り畳まれた同基端部の車両前方側で車両上方側に向かって延びるように折り返し、前記先端部を前記中間部の車両前方側に位置するように折り畳むことによって前記エアバッグを前記収容形態にしたことをその要旨とする。
具体的には、上記構成のように請求項1に記載の発明を乗員の腰部を保護する腰部保護チャンバを備える側面衝突用エアバッグ装置に適用することができる。この場合には、上記請求項2に記載されているように、中間形態においてインフレータが収容されている部位から車両下方側にはみ出す部分を基端部と中間部と先端部とに分け、基端部を車両下方側から車両上方側にインフレータに向かって縮めるように折り畳む。そして、中間部を折り畳まれた基端部の車両前方側で車両上方側に向かって延びるように折り返し、先端部を中間部の車両前方側に位置するように折り畳むようにすればよい。
こうした構成によれば、インフレータからの膨張用ガスの噴出に伴って基端部がインフレータから離れるように車両下方側に向かって展開するとともに、中間部が基端部から折り返された部分を支点にして先端部を車両前方側に振り出すように展開するようになる。そのため、コンパクトに折り畳んだエアバッグを車両前方側の斜め下方に素早く展開させることができるようになり、収容形態のエアバッグとインフレータとからなるエアバッグモジュールが背もたれの比較的高い位置に搭載された場合であっても、そこから腰部保護チャンバを素早く乗員の腰部側方に膨張展開させることができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の側面衝突用エアバッグ装置において、前記基端部は、その折り線が車両左右方向に沿って延びる蛇腹折りによって折り畳まれていることをその要旨とする。
上記構成によれば、蛇腹折りによって折り畳まれた基端部の端部を、蛇腹折りと同様に車両左右方向に延びる折り線に沿って車両上下方向に折り曲げることによって容易に中間部を形成することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の側面衝突用エアバッグ装置において、前記先端部は、前記中間部が前記基端部から折り返された方向とは反対の方向に繰り返し折り返されてロール状に折り畳まれていることをその要旨とする。
上記構成によれば、先端部が、中間部が基端部から折り返された方向とは反対の方向に繰り返し折り返されてロール状にされているため、中間部が基端部から折り返された部分を支点に車両前方側から車両後方側に向かって回動するときに、先端部が中間部とは反対に車両後方側から車両前方側に回動するようにして展開するようになる。これにより、中間部の回動に伴って作用するエアバッグを車両後方側に展開させようとするモーメントを相殺してより的確にエアバッグを車両前方側の斜め上方又は斜め下方に向かって展開させることができるようになる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の側面衝突用エアバッグ装置において、前記先端部は、車両前方側から車両後方側に同先端部を前記中間部に向かって縮めるように蛇腹状に折り畳まれていることをその要旨とする。
上記構成によれば、中間部が基端部から折り返された部分を支点に車両前方側に回動するように展開するとともに、先端部が中間部から離間するように展開するようになる。これにより、エアバッグをインフレータの搭載位置から斜め上方や、斜め下方に速やかに展開させることができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の側面衝突用エアバッグ装置において、前記先端部は、前記中間部の車両前方側に位置するように折り畳まれた状態でその状態を保持するように結束テープによって結束されており、車両側面への衝突による衝撃が検知されたときには前記エアバッグの膨張展開に伴って同結束テープがちぎれ、折り畳まれた状態が解消されるようになることをその要旨とする。
上記構成によれば、先端部が結束テープによって結束されているため、先端部に膨張用ガスが導入されにくくなり、先端部の展開時期が遅くなる。これにより、エアバッグの展開初期は、先端部が折り畳まれた状態に保持されたまま中間部が基端部から折り返された部分を支点に回動するようになる。その結果、上述したようにエアバッグの先端部側の重心が前記支点の近くに位置する状態で中間部が前記支点を中心に回動するようになり、中間部が速やかに車両前方側に回動するようになる。そして、エアバッグの膨張展開に伴って結束テープがちぎれると先端部が展開するようになる。
すなわち、上記請求項6に記載されているように、先端部を結束テープで結束する構成を採用すれば、先端部の展開時期を意図的に遅らせることができるようになり、エアバッグの展開が任意の順序で行われるように先端部の展開時期を調整することができるようになる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の側面衝突用エアバッグ装置において、前記エアバッグは、展開された状態の同エアバッグにおける車両前方側の部分を同一の方向に繰り返し折り返すことによって同エアバッグの車両後方側に収容された前記インフレータに向かってロール状に折り畳むことにより、前記中間形態にされてなることをその要旨とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の側面衝突用エアバッグ装置において、前記エアバッグは、展開された状態の同エアバッグにおける車両前方側の部分を同エアバッグの車両後方側に収容された前記インフレータに向かって車両前後方向に縮めるように蛇腹状に折り畳むことにより、前記中間形態にされてなることをその要旨とする。
上記請求項7に記載の構成のように、エアバッグを同一の方向に繰り返し折り返すことによってインフレータに向かってロール状に折り畳むことにより、車両前後方向に対してコンパクトな中間形態にすることができる。
またその他、上記請求項8に記載されているようにエアバッグをインフレータに向かって車両前後方向に縮めるように蛇腹状に折り畳むことにより中間形態にする構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合にも、エアバッグを車両前後方向に対してコンパクトに折り畳むことができる。
請求項9に記載の発明は、前記収容形態のエアバッグと前記インフレータとからなるエアバッグモジュールが背もたれを倒すことのできる可倒式の座席の背もたれの中に搭載される請求項1〜8のいずれか一項に記載の側面衝突用エアバッグ装置である。
背もたれを座面に重ね合わせるように折り畳むことのできる可倒式の座席の背もたれにあっては、リクライニング用のヒンジよりも高い位置に折り畳み用のヒンジが設けられている。そのため、このような可倒式の座席の場合には、エアバッグモジュールを背もたれの折り畳み用のヒンジよりも高い位置に搭載せざるを得ず、特に乗員の腰部を保護する腰部保護チャンバを備える側面衝突用エアバッグ装置等にあっては、背もたれの比較的高い位置から乗員の腰部側方に向かってエアバッグを展開させる必要がある。そのため、上記請求項9に記載の発明のように、背もたれを倒すことのできる可倒式の座席にあっては、請求項1〜8に記載の側面衝突用エアバッグ装置を搭載することが望ましい。
請求項10に記載の発明は、前記収容形態のエアバッグと前記インフレータとからなるエアバッグモジュールがケースに収容された状態で前記背もたれの中に搭載される請求項1〜9のいずれか一項に記載の側面衝突用エアバッグ装置である。
インフレータから噴出する膨張用ガスのエネルギが背もたれのフレームの変形等によって吸収されてしまうことを抑制し、効率的にエアバッグを膨張させるために、エアバッグモジュールをケースに収容し、ケースに収容されたエアバッグモジュールを背もたれの中に収容するようにしている側面衝突用エアバッグ装置もある。こうしたエアバッグ装置にあっては、膨張用ガスのエネルギが背もたれ内部で吸収されにくくなり、ケースから反力が得られるようになるためエアバッグを効率的に展開させることができるようになるものの、車両上下方向へのエアバッグの展開がケースの側壁によって規制される。そのため、このようにエアバッグモジュールがケースに収容されている側面衝突用エアバッグ装置にあっては、上記請求項10に記載の発明のように、上記請求項1〜9に記載の発明を適用し、車両前方側の斜め上方又は斜め下方にエアバッグを展開させてエアバッグの展開がケースの側壁に規制されないようにすることが望ましい。
インフレータからの膨張用ガスの噴出に伴って、基端部がインフレータから離間するように車両上下方向に向かって展開し、中間部が基端部から折り返された部分を中心に先端部を車両前方側に振り出すように回動しながら膨張展開するようになる。そして、中間部の回動に伴う遠心力が作用した状態で先端部がインフレータから離間するように展開する。そのため、エアバッグには車両上下方向にこれを展開させる力と、車両前方側にこれを展開させる力とが作用するようになり、コンパクトに折り畳んだエアバッグを車両前方側の斜め上方又は斜め下方に素早く展開させることができるようになる。
以下、この発明にかかる側面衝突用エアバッグ装置を具体化した一実施形態について、図1〜10を参照して説明する。
図1は本実施形態にかかる側面衝突用エアバッグ装置の概略構成を示す模式図であり、同側面衝突用エアバッグ装置が搭載された車両の後部座席10を側面から見た状態を示している。尚、図1にあっては図面の右側が車両前方、上側が車両上方になっている。
図1に示されるようにこの後部座席10は、座面11と、背もたれ13とを備えている。座面11と背もたれ13は折り畳み用のヒンジ12を介して連結されている。尚、この折り畳み用のヒンジ12は、背もたれ13の下方に設けられる図示しない通常のリクライニング用のヒンジよりも高い位置に設けられている。
このように折り畳み用のヒンジ12を介して座面11と背もたれ13とが連結されているため、後部座席10にあってはヒンジ12を中心に背もたれ13を車両前方に向かって倒して座面11上に重ねるように折り畳むことができ、荷室の容量を拡大することができるようになっている。
後部座席10の背もたれ13には、図1に破線で示されるように本実施形態にかかる側面衝突用エアバッグ装置のエアバッグモジュール100が収容されている。また図1の下方に示されるように本実施形態の側面衝突用エアバッグ装置は、エアバッグモジュール100に加えて、衝撃センサ160と、エアバッグモジュール100に制御指令を出力する制御装置150とを備えている。
衝撃センサ160は車両のCピラー下部やサイドピラー下部に取り付けられた加速度センサ等からなり、側面衝突等による車両側方からの衝撃を検出する。制御装置150は衝撃センサ160から出力された検出信号に基づき、エアバッグモジュール100にエアバッグ110を展開させるための制御指令を出力する。
エアバッグモジュール100には、後述するようにエアバッグ110が折り畳まれた状態で収容されており、制御装置150から制御指令が出力されると、それに基づいてエアバッグ110が図1及び図2に二点鎖線で示されるように膨張展開されるようになっている。尚、図2は側面衝突用エアバッグ装置が搭載された後部座席10の上面図である。
図2に破線で示されるようにエアバッグモジュール100は後部座席10の背もたれ13における車室側壁200側の部分に収容されている。これにより、衝撃センサ160によって車両側方からの衝撃が検出されると、エアバッグ110は図2に二点鎖線で示されるように乗員Pと車室側壁200との間に入り込むように膨張展開し、乗員Pと車室側壁200との間に介在して側方からの衝撃を緩和、吸収して乗員Pを保護する。
尚、図1に示されるようにエアバッグ110は、乗員Pの腰部側方に展開し、乗員Pの腰部を保護する腰部保護チャンバ111を有しており、側面衝突等による車両側方からの衝撃から主に乗員Pの腰部を保護するものである。
ところで、図1に破線で示されるように後部座席10にあっては、背もたれ13のリクライニング用のヒンジよりも高い位置に折り畳み用のヒンジ12が設けられており、エアバッグモジュール100が背もたれ13におけるヒンジ12よりも高い位置に収容されている。
そのため、乗員Pの腰部を適切に保護するためには、図1に矢印Aで示されるように背もたれ13から乗員Pの腰部側方に向かってエアバッグ110を車両前方側の斜め下方に向かって素早く膨張展開させる必要がある。
本実施形態の側面衝突用エアバッグ装置にあっては、エアバッグ110を車両前方側の斜め下方に向かって素早く膨張展開させるために、図3に示されるようにエアバッグ110を折り畳むことによってこれを収容形態とし、こうして折り畳まれたエアバッグ110を収容したエアバッグモジュール100を背もたれ13に搭載するようにしている。
以下、図3及び図4を参照して本実施形態の側面衝突用エアバッグ装置におけるエアバッグモジュール100の構成を説明する。尚、図3はエアバッグモジュール100の側面図であり、図3にあっては図1と同様に図面の右側が車両前方、上側が車両上方となっている。また、図4は図3におけるB‐B線方向の断面図である。
尚、説明の便宜上、図3にあっては図4に示されるケース130の側壁130aを省略してエアバッグモジュール100の内部構造を図示している。
図3に示されるようにエアバッグモジュール100にあっては、エアバッグ110は折り畳まれた状態で車両前方側が開口した箱形のケース130内に収容されている。折り畳まれたエアバッグ110の車両後方側部分には図3に破線で示されるようにインフレータアセンブリ120が収容されている。
また、図4にその断面構造が示されるようにエアバッグ110はロール状に折り畳まれている(第1のロール折りF)。そして、ロール状に折り畳まれた上で、図3に示されるようにインフレータアセンブリ120が収容されている部位から車両上下方向にはみ出す部分がインフレータアセンブリ120側に折り畳まれている。
インフレータアセンブリ120には一対のボルト121,122が設けられており、エアバッグモジュール100にあっては、このボルト121,122がエアバッグ110及びケース130を貫通してケース130の外部に突出している。
エアバッグモジュール100を後部座席10の背もたれ13内に固定する際には、このボルト121,122が、背もたれ13のフレームに設けられたボルト孔に挿通され、このボルト121,122とナットによってエアバッグモジュール100が背もたれ13に固定される。
次に図5及び図6を参照してインフレータアセンブリ120の構成を説明する。尚、図5はインフレータアセンブリ120の側面図であり、図6はインフレータアセンブリ120の上面図である。図5及び図6にあっては、図面の右側が車両前方であり、図5にあっては図面の上側が車両上方になっている。また、図6にあっては図面の上側が車室中央側であり、下側が車室側壁側になっている。
インフレータアセンブリ120は、ガス発生源としてのインフレータ125と、そのインフレータ125を収容するリテーナ123とを備えている。インフレータ125は、図5に破線で示されるように円柱状をなしており、その内部には燃焼反応によって膨張用ガスを発生させるガス発生剤が収容されている。そして、インフレータ125の下端部には、発生した膨張用ガスを噴出する複数の噴出孔126が形成されている。これにより、制御装置150から制御指令が出力されると、これに基づいてインフレータ125内のガス発生剤に点火され、ガス発生剤の燃焼反応によって発生した膨張用ガスが噴出孔126から噴出するようになる。
尚、インフレータ125としては、上記のようにガス発生剤を用いるタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断して膨張用ガスを噴出させる高圧ガス充填タイプのものを用いることもできる。
インフレータ125を収容するリテーナ123は、インフレータ125から噴出される膨張用ガスの方向を制御するディフューザとして機能する部材である。リテーナ123は、金属板を曲げ加工することによって細長い筒状に形成されている。図5及び図6に示されるようにリテーナ123の車両後方側には固定用のボルト121,122が設けられている。
また、リテーナ123の下端部の車両前方側には、インフレータ125の噴出孔126から噴出する膨張用ガスを車両前方に向かって噴射させる噴出窓124が形成されている。これにより、インフレータ125の噴出孔126から噴出された膨張用ガスは、図5及び図6に矢印Cで示されるようにこの噴出窓124を通じて車両前方側に向けて噴射されるとともに、図5の下方に矢印Dで示されるようにリテーナ123の下端部から車両下方側に向かって噴射されるようになる。尚、図6に示されるように噴出窓124は、車両前方側正面(図6における右方向)よりも僅かに車室壁面側(図6における下方向)に向かって開口されている。これにより、噴出窓124を通じて噴射される膨張用ガスは、図6に矢印Cで示されるように車室側壁側に向かって斜め前方に向かって噴射される。
このようにインフレータアセンブリ120から噴射される膨張用ガスの圧力によってエアバッグ110は図2に示されるように車室側壁200に沿って膨張展開し、乗員Pと車室側壁200との間に介在して、車両側方からの衝撃を緩和、吸収して乗員Pを保護する。
以下、このように構成された側面衝突用エアバッグ装置のエアバッグ110を図1に矢印Aで示されるように車両前方側の斜め下方に向かって素早く膨張展開させることができるようにコンパクトに折り畳む方法について、図7〜9を参照して説明する。
尚、図7は、折り畳まれる前の展開された状態におけるエアバッグ110の状態を示すエアバッグ110の側面図である。図7にあっては、図面の右側が車両前方、図面の上側が車両上方を示している。
エアバッグ110は、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸やポリアミド糸等を用いて形成した織布等からなる1枚の基布によって形成されている。
具体的には、左右対称に裁断された基布を車両後方側が袋状になるように折り畳み、図7に破線で示されるようにその袋状になっている部分にインフレータアセンブリ120を収容する。このとき、図7に示されるようにボルト121,122を基布に貫通させてエアバッグ110の車両後方側から露出させる。そして、折り畳まれた状態の基布の外周部分を図7に二重の破線で示されるように縫い合わせることにより、エアバッグ110が形成される。
尚、エアバッグ110の構成はこのように一枚の基布を袋状に折り畳むものに限らず、2枚の基布を重ね合わせてそれらを縫い合わせることによって形成してもよい。また、基布を縫い合わせるのではなく、接着剤を用いて基布を接着することによりエアバッグ110を形成する構成を採用することもできる。
本実施形態の側面衝突用エアバッグ装置にあっては、まず、上記のように形成されたエアバッグ110におけるインフレータアセンブリ120が収容された部位よりも車両前方側の部分を、車両前方側から車両後方側にインフレータアセンブリ120に向かって折り畳み、エアバッグ110を車両上下方向に延びる棒状の中間形態にする。
具体的には、図7に一点鎖線で示されている折り線Eに沿って山折りすることにより、エアバッグ110の車両前方側の部分から順に同エアバッグ110を同一の方向に繰り返し折り返し、エアバッグ110を車両後方側に向かってロール状に折り畳む(図8(c)に示される第1のロール折りF)。
こうしてエアバッグ110をロール状に折り畳むことにより、エアバッグ110は図8(a)〜(c)に示されるように車両上下方向に延びる棒状の中間形態になる。尚、図8(a)は中間形態におけるエアバッグ110の状態を模式的に示すエアバッグ110の側面図であり、図8(b)は同じく中間形態におけるエアバッグ110の状態を模式的に示すエアバッグ110の正面図である。図8(a)及び図8(b)にあっても、図7と同様に図面の上側が車両上方を示している。また、図8(c)は中間形態におけるエアバッグ110の状態を模式的に示すエアバッグ110の上面図である。
また、図9(a)〜(c)は中間形態にされたエアバッグ110を更にケース130に収容される収容形態に折り畳む際の手順を示す模式図であり、図9(a)〜(c)にあっては、図面における右側が車両前方を示しており、上側が車両上方を示している。
本実施形態の側面衝突用エアバッグ装置にあっては、上記のようにして棒状の中間形態にしたエアバッグ110におけるインフレータアセンブリ120が収容されている部位から車両上下方向にはみ出している部分を更に折り畳み、エアバッグ110をケース130に収容するための収容形態にする。
そのために、まず、図8(a)及び図8(b)に示されるように、中間形態のエアバッグ110におけるインフレータアセンブリ120が収容されている部位から車両下方側にはみ出している部分をインフレータアセンブリ120に近い部位から基端部113、中間部114、先端部115とする。また一方で、車両上方側にはみ出している部分を上側展開部112とする。
そして、図9(a)に矢印Gで示されるように基端部113を、インフレータアセンブリ120に向かって縮めるように車両上方側に蛇腹状に折り畳む。尚、ここでは、基端部113を折り畳む際の折り線の方向が車幅方向すなわち車両左右方向に沿って延びるような蛇腹折りによって基端部113を折り畳むようにしている。これにより、折り畳まれた基端部113の各面は、図9(a)に示されるようにインフレータアセンブリ120の軸線Hに略直交するように互いに折り重ねられた状態となる。
こうして基端部113を蛇腹状に折り畳むと、次に図9(b)に矢印Iで示されるように中間部114を、蛇腹状に折り畳まれた基端部113の車両前方側から車両上方側に向かって延びるように折り返す。
そして、図9(c)に示されるように先端部115を、基端部113から中間部114を折り返した方向とは反対側に繰り返し折り返して中間部114の車両前方側に位置するようにロール状に折り畳む(第2のロール折りJ)。すなわち、図9(c)に示されるように中間部114と先端部115との間の折り返し部分Xが車両上方側に向かって袋状になるように先端部115を折り返し、先端部115を右回りのロール状に折り畳む。また、これと併せて上側展開部112をインフレータアセンブリ120が収容されている部位の車両前方側に折り返す。
中間形態にされたエアバッグ110をこのようにして折り畳むことにより、エアバッグ110が収容形態にされる。
そして、こうして収容形態に折り畳まれたエアバッグ110とインフレータアセンブリ120とを図3に示されるようにケース130内に収容することによりエアバッグモジュール100が形成される。
そして、エアバッグモジュール100は、ボルト121,122によって背もたれ13のフレームに固定され、図1及び図2に示されるように後部座席10の背もたれ13内に収容される。
以下、図10を参照して上記のように折り畳まれたエアバッグ110を備える本実施形態の側面衝突用エアバッグ装置におけるエアバッグ110の展開態様を説明する。図10(a)〜(c)はケース130に収容されたエアバッグ110の展開態様を示す模式図であり、図10(a)〜(c)にあっては、図9と同様に図面における右側が車両前方を示しており、上側が車両上方を示している。
尚、実際にインフレータ125から膨張用ガスが噴出されてエアバッグ110が膨張展開する際には、中間形態から収容形態にエアバッグ110を折り畳んだときの折りが解消されるとともにエアバッグ110内に膨張用ガスが侵入し、その圧力によってエアバッグ110が第1のロール折りFを解消しながら車両前方に向かって膨張展開する。しかし、図10(a)〜(c)にあっては説明の便宜上、中間形態から収容形態にエアバッグ110を折り畳んだ際の折りが解消される様子のみを模式的に図示している。
尚、第1のロール折りFにあっては図4及び図8(c)に示されているように左回りにエアバッグ110が折り畳まれているため、エアバッグ110がこの第1のロール折りFを解消しながら膨張展開する際には、エアバッグ110が車室側壁側に展開し、エアバッグ110が車室側壁200に沿って膨張展開するようになる。
インフレータ125からの膨張用ガスの噴出が開始されると、まず、インフレータアセンブリ120から噴射される膨張用ガスの圧力により、図10(a)に示されるように基端部113が車両下方に向かって延びるように展開する。また、これと併せて中間部114が基端部113から折り返された部分Yを支点に図10(a)に矢印Kで示されるように車両前方側に回動するように展開する。尚、このときには先端部115には膨張用ガスがあまり導入されていないため、先端部115はロール状に折り畳まれた状態(第2のロール折りJ)のまま中間部114の回動に伴って車両前方側の斜め下方に振り出される。また、インフレータアセンブリ120から噴出される膨張用ガスの圧力により、上側展開部112も車両上方側に向かって回動するように展開し始める。
そして、図10(b)に示されるように基端部113の蛇腹折りが解消されると、基端部113及び中間部114を通じて先端部115に膨張用ガスが導入されやすくなり、先端部115が図10(b)の下方に矢印Lで示されるように中間部114と先端部115との間の折り返し部分Xを支点に車両前方側に向かって回動するように展開し、第2のロール折りJが解消されるようになる。尚、このときには部分Yを支点とする中間部114の回動による遠心力が先端部115に作用しており、先端部115はこの遠心力の作用を受けながら部分Yから離れるように展開する。
こうして、先端部115の第2のロール折りJが解消されると、図10(c)に示されるようにエアバッグ110のインフレータアセンブリ120が収容されている部位から車両下方側にはみ出す部分(基端部113、中間部114、先端部115)が車両前方側の斜め下方に展開した状態となる。また、これと併せて図10(c)に示されるように上側展開部112の折りも解消された状態となる。
このように中間形態から収容形態にエアバッグ110を折り畳んだときの折り(上側展開部112、基端部113、中間部114、先端部115の折り)が解消されるときには、上述したように折りが解消されるのと略同時進行で第1のロール折りFも徐々に解消され、エアバッグ110がインフレータアセンブリ120近傍から車両前方に向かって膨張展開する。これにより、エアバッグ110が図1に矢印Aで示されるように車両前方側の斜め下方に向かって膨張展開するようになる。
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)基端部113が蛇腹折りによってインフレータアセンブリ120に向かって車両上方に縮めるように折り畳まれているため、基端部113はインフレータ125から噴出する膨張用ガスの圧力によってインフレータアセンブリ120から離れるように車両下方に展開するようになる。また、中間部114は基端部113の車両前方側で車両上下方向に延びるように折り返されているため、基端部113から折り返された部分Yを支点にして先端部115を車両前方側に振り出すように回動するようになる。そして、先端部115は中間部114の車両前方側で折り畳まれている。そのため、エアバッグ110の展開初期は、折り畳まれた状態の先端部115には膨張用ガスが導入されにくく、先端部115が展開する前に中間部114が部分Yを支点にして回動するようになる。その結果、中間部114はエアバッグ110の先端部115側の重心が支点となる部分Yの近くに位置する状態で部分Yを中心に回動するようになり、先端部115が折り畳まれておらず先端部115側の重心が部分Yから離間している場合と比較して速やかに車両前方側に回動するようになる。また、中間部114の回動に伴って先端部115には遠心力が作用する。そのため、この遠心力の作用によって先端部115がより速やかに展開するようになる。
すなわち、上記実施形態の側面衝突用エアバッグ装置にあっては、膨張用ガスの噴出に伴って、基端部113がインフレータアセンブリ120から離間するように車両下方に向かって展開し、中間部114が基端部113から折り返された部分Yを中心に先端部115を車両前方側に振り出すように回動しながら膨張展開するようになる。そして、中間部114の回動に伴う遠心力が作用した状態で先端部115がインフレータアセンブリ120から離間するように展開する。そのため、エアバッグ110には車両下方にこれを展開させる力と、車両前方側にこれを展開させる力とが作用するようになり、コンパクトに折り畳んだエアバッグ110を車両前方側の斜め下方に素早く展開させることができる。
これにより、収容形態のエアバッグ110とインフレータアセンブリ120とからなるエアバッグモジュール100が背もたれ13の比較的高い位置に搭載された場合であっても、そこから腰部保護チャンバ111を素早く乗員Pの腰部側方に膨張展開させることができる。
(2)基端部113がその折り線が車両左右方向に沿って延びる蛇腹折りによって折り畳まれているため、蛇腹折りによって折り畳まれた基端部113の端部を、蛇腹折りと同様に車両左右方向に延びる折り線に沿って車両上方に向かって折り曲げることによって容易に中間部114を折り畳むことができる。
(3)先端部115が、中間部114が基端部113から折り返された方向とは反対の方向に繰り返し折り返されてロール状にされている。すなわち、図3及び図9(c)に示されるように中間部114と先端部115との間の折り返し部分Xが車両上方側に向かって袋状になるように折り返されており、先端部115が右回りに折り畳まれている。そのため、図10(b)に矢印Mで示されるように中間部114が基端部113から折り返された部分Yを支点に車両前方側から車両後方側に向かって回動するときに、先端部115が中間部114とは反対に矢印Lで示されるように部分Xを支点に車両後方側から車両前方側に回動するようにして展開するようになる。これにより、中間部114の回動に伴って作用するエアバッグ110を車両後方側に展開させようとするモーメントを相殺して的確にエアバッグ110を車両前方側の斜め下方に向かって展開させることができる。
(4)エアバッグ110を同一の方向に繰り返し折り返すことによってインフレータアセンブリ120に向かってロール状に折り畳むことによりエアバッグ110を中間形態にしているため、エアバッグ110を車両前後方向に対してコンパクトに折り畳むことができる。
(5)ケース130に収容されたエアバッグモジュール100を背もたれ13の中に収容するようにしているため、ケース130から反力が得られるようになり、エアバッグ110を効率的に展開させることができる。
(6)エアバッグモジュール100から車両前方側の斜め下方にエアバッグ110が展開されるため、エアバッグ110の展開がケース130の側壁に規制されずに速やかに進行するようになる。
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態にあっては、基端部113をその折り線が車両左右方向に沿って延びる蛇腹折りによって折り畳む構成を示したが、折り線が車両前後方向に沿って延びる蛇腹折りによって基端部113を折り畳む構成を採用することもできる。
・先端部115は、その重心が、中間部114が回動する際に支点となる部分Yに近い位置となるように折り畳まれていればよく、その折り畳み方は適宜変更することができる。例えば、上記実施形態にあっては、図3において右回りになるように先端部115をロール状に折り畳む(第2のロール折りJ)構成を示したが、これとは反対に先端部115を部分Yが車両上方側に向かって袋状になるように折り畳んだ後、図3における左回りになるように先端部115をロール状に折り畳む構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合には、先端部115が部分Yを支点に車両前方側に回動しながら車両下方に向かって展開するようになり、より車両下方側にエアバッグ110を展開させることができるようになる。すなわち、先端部115の折り畳み方を変更することにより、先端部115の転回する方向を任意に制御することができる。
・また、図11に示されるように、車両前方側から車両後方側に先端部115を中間部114に向かって縮めるように蛇腹状に折り畳む構成を採用することもできる。尚、図11は変更例としてのエアバッグモジュール100の構成を示す側面図であり、図11にあっては図3と同様に図面の右側が車両前方を示しており、図面の上側が車両上方を示している。図11に示されるように先端部115を蛇腹折りにした場合には、中間部114が基端部113から折り返された部分Yを支点に車両前方側に回動するように展開するとともに、先端部115が中間部114から離間するように展開するようになる。これにより、エアバッグ110をインフレータアセンブリ120の搭載位置から斜め下方に速やかに展開させることができるようになる。
・また、図11に二点鎖線で示されるように先端部115を折り畳まれた状態に保持するように結束テープ116で結束する構成を採用することもできる。尚、こうした構成は上記実施形態のように先端部115をロール状に折り畳む構成であっても適用することができる。
このように先端部115を折り畳まれた状態に保持するように結束テープ116で結束する構成によれば、先端部115に膨張用ガスが導入されにくくなり、先端部115の展開時期が遅くなる。これにより、エアバッグ110の展開初期は、先端部115が折り畳まれた状態に保持されたまま中間部114が基端部113から折り返された部分Yを支点に回動するようになる。その結果、上述したようにエアバッグ110の先端部115側の重心が支点となる部分Yの近くに位置する状態で中間部114が部分Yを中心に回動するようになり、中間部114が速やかに車両前方側に回動するようになる。そして、エアバッグ110の膨張展開に伴って結束テープがちぎれると先端部115が展開するようになる。
すなわち、上記のように先端部115を結束テープ116で結束する構成を採用すれば、先端部115の展開時期を意図的に遅らせることができるようになり、エアバッグ110の展開が任意の順序で行われるように先端部115の展開時期を調整することができるようになる。
・上記実施形態にあっては、展開された状態のエアバッグ110を同一の方向に繰り返し折り返すことによりインフレータアセンブリ120に向かってロール状に折り畳み(第1のロール折りF)、棒状の中間形態にする構成を示したが、エアバッグ110をインフレータアセンブリ120に向かって折り畳む際の折り畳み方は適宜変更することができる。例えば、エアバッグ110をインフレータアセンブリ120に向かって車両前後方向に縮めるように蛇腹状に折り畳むことにより中間形態にする構成を採用することもできる。こうした構成を採用した場合にも、エアバッグ110を車両前後方向に対してコンパクトに折り畳むことができる。
・上記実施形態にあっては、背もたれ13を車両前方に向かって倒し、座面11に重ねるように折り畳むことのできる可倒式の座席に本願発明を適用する構成を示したが、本願発明は可倒式の座席に限らず、背もたれ13と座面11とが一体に形成されている座席にも適用することができる。
・上記実施形態にあっては、本願発明を、腰部保護チャンバ111を備える側面衝突用エアバッグ装置に適用し、エアバッグ110を乗員Pの腰部側方に向かって車両前方側の斜め下方に展開させるようにする構成を例示した。これに対して、本願発明を、乗員Pの頭部を保護する頭部保護チャンバを有する側面衝突用エアバッグ装置に適用し、エアバッグ110を乗員Pの頭部側方に向かって車両前方側の斜め上方に展開させるようにすることもできる。その場合には、中間形態においてインフレータアセンブリ120が収容されている部位から車両上方側にはみ出す部分を基端部と中間部と先端部とに分けて上記実施形態とは上下反対に折り畳み、エアバッグを収容形態にすればよい。
・また、腰部保護チャンバと頭部保護チャンバとを双方備えるエアバッグ装置にあっては、インフレータアセンブリ120が収容されている部位から車両上下方向にはみ出している部分の双方を、上記のような折り畳み方によってそれぞれ折り畳むようにすればよい。
・上記実施形態では、収容形態に折り畳まれたエアバッグ110とインフレータアセンブリ120とをケース130に収容してエアバッグモジュール100とする構成を示したが、エアバッグモジュール100がケース130に収容されていない側面衝突用エアバッグ装置に本願発明を適用することもできる。
・上記実施形態にあっては、後部座席10に本願発明にかかる側面衝突用エアバッグ装置を適用した例を示したが、本願発明にかかる側面衝突用エアバッグ装置は、後部座席に限らず、運転席や助手席に適用することもできる。