JP5092205B2 - リン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法 - Google Patents

リン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はリン酸鉄リチウムから構成される薄膜電極の製造方法に関する。
電子機器の小型化に伴い、その主電源やバックアップ電源として高エネルギー密度を有する電池が要望されている。中でもリチウムイオン二次電池は、従来の水溶液系電池に比べ、高電圧・高エネルギー密度を有しており注目を集めている。
リチウムイオン二次電池は、正極としてLiCoO2やLiMn24、LiNiO2などの酸化物、負極としてカーボンやSiなどの合金、Li4/3Ti5/34などの酸化物、電解液には炭酸エステルやエーテル系の有機溶媒にLi塩を溶解したものが用いられている。電解液は危険物の第四類に分類される可燃物が使用されており、漏液の可能性があるほか、誤使用時に発火・破裂の恐れがある。リチウムイオン二次電池の安全性及び信頼性を高めるために、安全性に優れるリン酸系活物質の研究開発が盛んに行われている。
リン酸系活物質はその低い電子導電性のため、高率放電特性に課題があり、その導電性を改善するためにカーボンなどの電子導電助剤との混合方法や活物質の1次粒子径の低減などに関して種々の検討が行われてきた(特許文献1、特許文献2)。
一方で、導電性の悪いリン酸系活物質を薄膜化することで高速充放電が可能であることが報告されている(非特許文献1)。レーザーアブレーション法を用いてLiFePO4ターゲットをアルゴン雰囲気にて白金板上へと薄膜形成させた後、500℃にて3時間アニール処理すると、1M LiClO4/PC系電解液中で可逆性良く動作することが報告されている。このようにレーザーアブレーションなどの真空プロセスを用いると種々の活物質を種々の基板上に薄膜形成させることが可能であるが、一方でこのような真空プロセスはプロセスコストが高いため量産には不向きである、という課題があった。
また、薄膜極板を作製するためのプロセスとして、ゾルーゲル法を用いたものが知られている。非特許文献2において、リチウムイソプロポキシド、酢酸コバルト、ポリビニルピロリドン、酢酸、イソプロパノール、水からなる前駆体を金基板上にスピンコートし、800℃1時間空気雰囲気で焼成することでLiCoO2薄膜が形成されることが報告されている。また、酢酸コバルトに換えて酢酸マンガンを用いることでLiMn24薄膜極板が得られることも報告されている。Co(III)またはMn(IV)を有するこれらの活物質は空気などの酸化雰囲気での焼成が必須であり、また、有機溶媒を用いる系においては生成するカーボンを酸素により焼き飛ばす必要があるため、用いられる基板の材料としては高温・酸化雰囲気で安定に存在し得る金、白金、銀などの貴金属を用いる必要があった。このため、量産に際しては集電体材料コストが高くなるという課題があった。
また、液相からLiFePO4を合成した例として非特許文献3がある。本報文によれば、酢酸リチウム、酢酸鉄、リン酸をエチレングリコールに溶解させてゲルを作製し、これを窒素雰囲気中にて700℃12時間の熱処理を施すことで表面がカーボンコートされたLiFePO4を得るというものである。しかしながら、その目的はLiFePO4粒子をカーボン被覆して粒子の電子導電性を向上させるためであり、カーボン被覆された粒子は緻密化が進行しないため、緻密な構造を有するLiFePO4薄膜極板を作製することは困難であった。
特開2003−203628号公報 特開2004−296367号公報 「新エネルギー・産業技術総合開発機構 平成13年度産業技術研究助成事業研究成果報告書」,平成14年3月,01B60011c 「ジャーナル・オブ・ジ・エレクトロケミカル・ソサイエティ(J.Electrochem.Soc.)」,2003年,150(1)A107−A111 アブストラクト・294・206ス・ミーティング(Abs.294,206th Meeting),「ジ・エレクトロケミカル・ソサイエティ(The Electrochemical Society,Inc.)」,2004年
先述のように、薄膜電極においては電子導電性の低い活物質でも高速充放電が可能となるが、レーザーアブレーションなどの気相法を用いるとプロセスコストが高くなるという課題があった。一方、ゾルーゲル法を用いた場合、副成するカーボンなどを焼き飛ばすため、また遷移金属の酸化数を高く保持するために空気中での焼成が不可欠であり、このために集電体には貴金属を用いる必要があった。このため、集電体材料が高価になるという課題があった。本発明はこれらの課題を解決し、安価にリン酸系活物質の薄膜電極を提供することが可能となる製造方法に関するものである。
本発明は、少なくともLi、Fe、Pを含む溶液を金属基板上へ塗布し、熱処理を施して薄膜電極を作製する製造方法において、水蒸気を5〜90体積%を含む低酸素分圧ガス雰囲気中、500℃以上800℃以下で加熱処理をほどこしてリン酸鉄リチウム薄膜電極を製造することを特徴とする。
本発明によれば、リン酸系活物質であるオリビン型のLiFePO4の緻密な薄膜電極を安価に提供することができる。
本発明は、少なくともLi、Fe、Pを含む溶液を金属基板上へ塗布し、熱処理を施して薄膜電極を作製する製造方法において、水蒸気を5〜90体積%を含む低酸素分圧ガス雰囲気中、800℃以下で加熱処理することを特徴とするリン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法に関する。この水蒸気の添加により、有機物の熱分解が促進されるため、カーボン類の副成を抑制することができるため、合成されるLiFePO4を緻密化することが可能となる。また、有機化合物の熱分解は吸熱反応であるため、CO2やH2及びN2などと比べて比熱の大きいH2Oを用いることで分解に必要な熱が円滑に供給される効果もある。熱処理温度が500℃を下回ると活物質であるLiFePO4の生成は困難であり、熱処理温度が800℃を上回ると活物質の異常粒成長が起こり活物質層の平滑性が低下したり、集電体の熱変形が生じる恐れがある。
合成される活物質LiFePO4中のFeの酸化数は2価であり、この2価のFeが安定な領域で熱処理を行う必要がある。そのため、熱処理する雰囲気の酸素分圧は下記一般式(1)の範囲内であることが望ましく、
Figure 0005092205
酸素分圧が一般式(1)で規定される範囲を上回るとFeが酸化されたり、後述する金属基板が酸化される恐れがある。一方、酸素分圧が一般式(1)で規定される範囲未満にす
ると副成するカーボン類の除去が困難となる。
金属基板としてAl、Ti、Ni、SUSなどを用いることができる。ただし、Alは融点が660℃であるため、熱処理温度は600℃以下で行うことが必要である。
酸素分圧を一般式(1)で規定される範囲に安定して調整するために、二酸化炭素と水素及び窒素からなるガスを用いることができる。水素の体積含有率は安全のため、水素の爆発限界以下の4%以下にすることが望ましい。これらの気体から構成されるガスは平衡反応により、安定した酸素分圧を維持することが可能となる。
活物質を合成するための前駆体溶液を構成するLi化合物として、酢酸リチウム二水和物、リチウムアルコキシドから選ばれる少なくとも1つを用いることができる。リチウムアルコキシドとしてはメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、ブトキシドが一般的に用いられる。これらの化合物は種々の溶媒に対して易溶であり、前駆体溶液の調整が容易である。Fe源としては、酢酸塩や硝酸塩n水和物(nは0から10までの正数)を用いることができる。特にフェロセン及びその誘導体を前駆体として用いると前駆体溶液の取り扱いが容易になる。P源としてはリン酸、リン酸エステル(PO(OR)3-n(OH)n: Rは炭素数1〜6の脂肪族炭化水素、nは0〜2の整数)から選ばれる少なくとも1つを用いることができる。リン酸エステルの炭素鎖は短い方がカーボンの副成が抑制できるため短時間での合成が可能であるが、リン酸エステルの揮発の恐れがあり化学両論比が狙いからずれる恐れがある。
前駆体溶液を構成する溶媒としてはエタノール、イソプロパノール、酢酸、水、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、アセトン、THFから選ばれる少なくとも1つから構成することができる。溶解度が大きく、沸点の低いアセトンやTHFを溶媒とした場合、カーボンの副成が少なくて望ましいが、金属基板への塗布時の溶媒の揮発が激しいため工程の管理が困難となる。反対に、N−メチルピロリドンを用いた場合、前駆体溶液は非常に安定して工程管理が容易であるが、熱分解によりカーボンが生成しやすく薄膜極板製造に長時間を要するという欠点がある。
本発明で形成される薄膜極板の活物質層厚みは活物質の前駆体溶液の粘度に大きく左右される。スピンコートなどで金属基板上に前駆体溶液を塗布する場合、ポリビニルピロリドンやポリビニルブチラール、ポリエチレンオキシドなどを添加して溶液の粘度を大きくすることで活物質層厚みを大きくすることができる。
以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
(前駆体溶液の調製)
Fe(OCOCH32 870mg、LiOCOCH3 510mg、H3PO4 490mgをそれぞれ秤量し、エルレンマイヤーフラスコへ投入し、N−メチルピロリドン15mLへ溶解させた。
(金属基板への塗布)
表面を粗化処理した直径15mm、厚さ1mmのSUS基板上へ先述の前駆体溶液を3000rpmにてスピンコートした。この前駆体溶液塗布後のSUS基板を150℃にて真空乾燥させた。
(薄膜極板の作製)
上記前駆体溶液を塗布・乾燥させたSUS基板を雰囲気炉に入れ、昇温速度200℃/
h、最高温度700℃、保持時間2hの温度スケジュールを用いて熱処理した。低酸素分圧ガスとしてCO2/H2/N2 = 4.99/0.01/95の組成のガスを用い、水蒸気の体積が5、20、30、50、90%の5水準になるよう調整したガスを、それぞれ総ガス流量が温度700℃、1気圧にて、12L/minとなるように炉内温度が200℃の時点から供給し、薄膜極板を作製した。
これを実施例1とする。
熱処理温度を550℃とし、水蒸気添加量を30体積%としたこと以外は実施例1と同様にして薄膜極板を作製した。これを実施例2とする。
熱処理温度を750℃とし、水蒸気添加量を30体積%としたこと以外は実施例1と同様にして薄膜極板を作製した。これを実施例3とする。
(比較例1)
水蒸気を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして薄膜極板を作製した。これを比較例1とする。
(比較例2)
熱処理温度を850℃とし、水蒸気添加量を30体積%としたこと以外は実施例1と同様にして薄膜極板を作製した。これを比較例2とする。
(比較例3)
熱処理温度を450℃とし、水蒸気添加量を30体積%としたこと以外は実施例1と同様にして薄膜極板を作製した。これを比較例3とする。
(比較例4)
CO2/H2/N2 = 4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスに替えて空気を用い、水蒸気添加量を30体積%としたこと以外は実施例1と同様にして薄膜極板を作製した。これを比較例4とする。
(電池の作製)
作製した薄膜極板にAl製リードを取り付け、リードを取り付けた金属Liを対極としてPP製セパレータを間に挟んで対向させ、電解液に1M LiClO4のエチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(体積比1/1)溶液を用いてAlラミネートを用いて封止し、電池を構成した。
(電池の評価)
これらの電池を室温にて100μA/cm2の電流密度で2.5から4.0Vの範囲で充放電を行った。なお、利用率は、各薄膜極板を全溶解させてICP分析によりLi量を算出し、Liが全てLiFePO4であったと仮定して算出した。表1に各電極の1サイクル目の放電利用率と10サイクル目の放電利用率を示す。
Figure 0005092205
LiFePO4の理論容量170mAh/gに対し、本発明による実施例1は145〜158mAh/gの初期利用率を示し、10サイクル目においてもほぼ同程度の利用率が維持された。また、550℃の熱処理を行った実施例2では130mAh/gを越える利用率、750℃の熱処理を行った実施例3では150mAh/gを越える利用率をそれぞれ示し、10サイクル後も同程度の利用率が維持されていた。
一方、熱処理時に水蒸気を添加しなかった比較例1においては初期容量は144mAh/gと良好であったが10サイクル目には13mAh/gにまで利用率が低下した。これは副成したカーボンによりLiFePO4層が緻密化するのが妨げられ、充放電サイクルを重ねるに従って活物質層の崩壊が起こり活物質同士及び活物質/SUS集電体間の電子電導パスが切断されたためであると考えられる。
また、熱処理温度を850℃とした比較例2では初期利用率が35mAh/gと低くなった。これは熱処理により活物質の粒成長が進行し、LiFePO4の粒径が大きくなったため、活物質表面から活物質内部へのLiの拡散距離及び電子電導の距離が長くなったために利用率が低下したものと考えられる。また、熱処理温度を450℃とした比較例3では充放電が行われなかった。これは450℃の熱処理では活物質であるLiFePO4が生成しなかったためであると考えられる。
低酸素分圧ガスに替えて空気を用いた比較例4においては充放電は全く不可能であった。これは空気によりFe(II)が酸化されたためLiFePO4が生成しなかったためであると考えられる。
以上の結果から、本発明により製造されるリン酸鉄リチウム薄膜極板は初期の活物質利用率及び充放電サイクル寿命特性に優れることが示された。
水蒸気添加量を30体積%とし、CO2/H2/N2 = 4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスに替えて、純度4Nの高純度アルゴンガスを用いたこと以外は実施例1と同様に薄膜極板を作製した。これを実施例4とする。
水蒸気添加量を30体積%とし、CO2/H2/N2 = 4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスに替えて、純度4Nの高純度CO2ガスを用いたこと以外は実施例1と同様に薄膜極板を作製した。これを実施例5とする。
水蒸気添加量を30体積%とし、CO2/H2/N2 = 4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスに替えて、純度4Nの高純度H2ガスを用いたこと以外は実施例1と同様に薄膜極板を作製した。これを実施例6とする。
実施例4から6についても先述の方法で電池を構成し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005092205
実施例4、5においては120mAh/gを越える1サイクル目利用率が得られた。10サイクル目利用率は実施例1と比較して若干、低下する傾向が見られた。これは実施例1で用いたCO2/H2/N2 = 4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスが、
Figure 0005092205
Figure 0005092205
のような平衡反応により酸素分圧の緩衝作用があるため一定の酸素分圧が維持され、極板中に副成するカーボン類がこの酸素により除去されると考えられる。実施例1における700℃における平衡酸素分圧は10-16気圧程度と見積もられる。一方、実施例4の場合、高純度アルゴンにおいてはそのような緩衝作用はなく、また、700℃においては式(4)の反応の平衡定数が約10-11のオーダーであり、酸素分圧が10-7気圧程度であると見積もられる。このため、Fe(II)の一部がFe(III)へと酸化されたために利用率が低くなったものと考えられる。
Figure 0005092205
実施例6においては、700℃における平衡酸素分圧は10-22気圧程度の極微量と見積もられるため、極板中に含まれるカーボン量が若干、実施例1よりも多く、LiFePO4薄膜の緻密化が進行し難かったためであると考えられる。
一般式(1)から算出される700℃における好ましい酸素分圧の値は10-17.1気圧から10-11.8気圧の範囲である。以上のように、低酸素分圧ガス雰囲気として、一般式(1)の範囲を満たすガスを用いることが好ましく、さらに低酸素分圧ガス雰囲気が、CO2などの酸素を放出可能なガスと、H2のように酸素と反応するガスの混合物から調整されることがより望ましいことが明らかとなった。
水蒸気添加量を30体積%に固定し、基板にそれぞれAl、Ti、Niを用いたこと以外は実施例1と同様にして薄膜極板を作製した。ただし、Al基板を用いた場合のみ、熱処理温度を600℃とした。これを実施例7とする。
水蒸気添加量を30体積%に固定し、基板にそれぞれCuを用いたこと以外は実施例1と同様にして薄膜極板を作製した。これを実施例8とする。
水蒸気添加量を30体積%に固定し、基板にそれぞれAgを用いたこと以外は実施例1と同様にして薄膜極板を作製した。これを実施例9とする。
実施例5及び比較例4、5についても先述の方法で電池を構成し、評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005092205
Al基板を用いた場合、実施例1のSUS基板を用いた場合に比べて利用率低下が見られた。これは熱処理温度が低かったこと、及び熱力学的には本熱処理雰囲気においてAlが不安定な領域であるため、Al表面の酸化被膜とLiFePO4とが副反応を起こした可能性が考えられるが詳細は不明である。一方、TiやNiを基板に用いた場合、良好な初期利用率及びサイクル寿命特性が得られた。
一方、Cu、Agを基板として用いた実施例8及び実施例9においては、最初の充電において4.0Vまで電圧が上昇せず、電池が内部短絡を起こしていることが分かった。これはCu、Agが初充電時に溶解し、負極へと析出してセパレータを貫通したものと考えられる。
以上のように、本発明によればSUSの他、Al、Ti及びNiを基板として用いることが可能であることが明らかとなった。
次に、種々の前駆体溶液を作製し、検討を行った。
LiOi−Pr220mg、フェロセン620mg、PO(OEt)3607mgをそれぞれ秤量し、エルレンマイヤーフラスコに投入した後、THF10mLへと溶解させて前駆体溶液を調整した。本前駆体溶液を直径15mm、厚さ1mmのNi基板上に3000rpmにてスピンコートし、真空中100℃で乾燥させた。この後、実施例7と同様に、水蒸気添加量を30体積%として最高温度700℃で熱処理を行い薄膜極板を作製した。これを実施例10とする。
LiOi−Pr220mg、Fe(II)(SO42・7H2O1251mg、H3PO4327mgをそれぞれ秤量し、Ar置換したSchlenkチューブへ投入し、脱酸素した酢酸10mLを加えて溶解させて前駆体溶液を調整した。本前駆体溶液を直径15mm、厚さ1mmのNi基板上に3000rpmにてスピンコートし、真空中100℃で乾燥させた。なお、本系においてはスピンコートをArグローブボックス中で行い、前駆体溶液塗布後のNi基板を出来るだけ空気に触れさせないように操作した。この後、実施例7と同様に、水蒸気添加量を30体積%として最高温度700℃で熱処理を行い薄膜極板を作製した。これを実施例11とする。
Fe(OCOCH32 870mg、LiOCOCH3・2H2O 510mg、H3PO4 490 mgをそれぞれ秤量し、エルレンマイヤーフラスコへ投入し、エチレングリコール15mLへ溶解させて前駆体溶液を調整した。本前駆体溶液を直径15mm、厚さ1mmのNi基板上に3000rpmにてスピンコートし、真空中100℃で乾燥させた。この後、実施例7と同様に、水蒸気添加量を30体積%として最高温度700℃で熱処理を行い薄膜極板を作製した。これを実施例12とする。
実施例10から12についても先述の方法で電池を構成し、評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005092205
実施例10〜12についても実施例1と同様に、比較的良好な1サイクル目利用率及び良好な充放電サイクル寿命特性が得られた。以上のように、本発明によれば、種々のLi、Fe、P源の化合物を用いることが可能であり、種々の溶媒が適用可能であることが明らかとなった。中でも、Li源としては酢酸リチウム二水和物、リチウムアルコキシドの使用が好ましく、Fe源としては酢酸塩、硫酸塩7水和物、フェロセン及びその誘導体の使用が好ましく、P源としてはリン酸、リン酸エステル(アルコキシドの炭素数は1〜6)の使用が好ましい。
また、前駆体溶液の溶媒としてはTHF、酢酸、エチレングリコール、N−メチルピロリドンが適用可能であり、他にもエタノール、イソプロパノール、アセトン、水などが適用可能である。
次に、前駆体溶液の粘度を上昇させて薄膜極板の活物質層厚みを厚くする検討を行った。
実施例10で調整した前駆体溶液にポリビニルピロリドン100mgを添加したほかは実施例10と同様に薄膜極板を作製した。これを実施例13とする。
実施例10で調整した前駆体溶液にポリビニルブチラール100mgを添加したほかは実施例10と同様に薄膜極板を作製した。これを実施例14とする。
実施例10で調整した前駆体溶液にポリエチレンオキシド100mgを添加したほかは
実施例10と同様に薄膜極板を作製した。これを実施例15とする。
実施例13から15についても先述の方法で電池を構成し、評価を行った。ただし、本系では活物質利用率ではなく、極板容量を評価した。結果を実施例10と合わせて表5に示す。
Figure 0005092205
実施例13〜15は実施例10と比べて電極容量が約1.5倍程度であり、10サイクル目容量もほぼ同程度であり、充放電サイクル寿命特性にも優れていることが分かった。容量が増加した要因は、前駆体溶液に種々の添加剤を加えることで溶液の粘度が増加し、スピンコート時の前駆体塗膜の厚みが増し、活物質層が厚くなったためと考えられる。
このように、本発明によれば、前駆体溶液中にポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリエチレンオキシドを添加して粘度を上昇させることで、極板厚みが制御できることが明らかとなった。
本発明によれば、安価にリン酸鉄リチウムの薄膜電極を提供することが可能となる。

Claims (7)

  1. リン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法において、少なくともLi、FeおよびPを含む溶液を金属基板上へ塗布する塗布工程と、熱処理を施して薄膜電極を作製する熱処理工程を有し、前記熱処理工程を水蒸気を5〜90体積%含む低酸素分圧ガス雰囲気中、500℃以上800℃以下で行うことを特徴とするリン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法であって、前記低酸素分圧ガス雰囲気において、熱処理温度をT℃とし、熱処理を行う雰囲気の平衡酸素分圧をPO気圧とした場合、下記一般式(1)で表される範囲の条件で熱処理し、前記金属基板がAl、TiおよびNiのいずれかから構成されることを特徴とするリン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法。
    −0.0310T+33.5 ≦ −log10PO ≦ −0.0300T+38.1・・・(1)
  2. 前記低酸素分圧ガス雰囲気が酸素を放出可能なガスと酸素と反応するガスの混合物から調整されることを特徴とする請求項1記載のリン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法。
  3. 前記Li、FeおよびPを含む溶液が、酢酸リチウム二水和物およびリチウムアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のリン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法。
  4. 前記Li、FeおよびPを含む溶液が、Fe(II)の酢酸塩、硫酸塩7水和物、フェロセン及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のリン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法。
  5. 前記Li、FeおよびPを含む溶液が、リン酸およびリン酸エステル(PO(OR)3−n(OH):Rは炭素数1〜6の脂肪族炭化水素、nは0〜2の整数)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のリン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法。
  6. 前記Li、FeおよびPを含む溶液が、エタノール、イソプロパノール、酢酸、水、N−メチルピロリドン、エチレングリコールおよびアセトンからなる群より選ばれる少なく
    とも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のリン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法。
  7. 少なくともLi、FeおよびPを含む溶液中にポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラールおよびポリエチレンオキシドからなる群より選ばれる少なくとも1つが添加されていることを特徴とする請求項1記載のリン酸鉄リチウム薄膜電極の製造方法。
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