JP5090915B2 - 両親媒性スターブロックポリマー - Google Patents
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Description
機能性薬剤、分子、成分または組成物、たとえばフレーバー、フレグランス、医薬、農薬、たとえば殺菌剤、殺かび剤または殺虫剤、染料等の送達は、ほぼすべての適用技術のための重要な問題である。機能性薬剤の、濃縮され、容易に運搬かつ加工可能な形の安定化なしに送達は実現されず、かつこの薬剤は、予定された場所および時間において、その有益な性質をめったに示すことはない。さらに、効果的なカプセル封入が、広範囲の適用において、敏感な添加剤を分解から保護し、かつこれらの放出を制御するために、かつそれによって、適用の要求にしたがってその性能を最適化するために、必要とされる。
注目に値すべきは、基本的に球状のブロックコポリマーが提供され、この場合、これは、多官能性中心、疎水性ブロック、この場合、これは、中心または適切なリンカー分子上に重合されたもの、および、隣接する親水性ブロック、この場合、これは、水性液体中での良好に溶解または分散可能なもの、を含む。疎水性ブロックのおかげで、コポリマーは相対的に大きい球または層を含み、その際、疎水性の(生物)活性薬剤は、容易に会合または結合される。
XmおよびYnは、それぞれ互いに独立して、mまたはn(それぞれ互いに独立して0または1である)を有する直鎖または分枝鎖のリンカー部分であり、この場合、これらは、コアにグラフトすると、少なくとも1種の重合反応のための開始点として適しているものであり;
zおよびtは、それぞれリンカー部分XおよびYにより提供される分枝の数であり、その際、zおよびtは、独立して1〜10の範囲であり;
Bは、算定されたハンセン溶解性パラメーター≦25を有する重合された部分であり、この場合、これは、Aの官能基またはXの官能基と共有結合されており、その際、pは重合されたB部分の平均の数であり、pは3〜300の範囲であり;
Dは、ハンセン溶解性パラメーター>25を有する重合された部分であり、その際、qは重合されたD部分の平均の数であり、qは3〜300の範囲である]を含む、ブロックコポリマー化合物を提供する。
−中心の、親油性または親水性の、多官能性コア(A)、
−親油性ブロック(B)および、
−親水性ブロック(D);
を含み、かつ場合によっては、コアと親油性ブロックとの間(X)および/または親油性ブロックと親水性ブロックとの間(Y)に1種またはそれ以上のリンカー分子を含む。
−s官能性を有するコア(A)を提供し、その際、s>5であり、
−場合によっては、コアの官能基をリンカー部分(X)に結合させ、
−疎水性ブロック(B)をコアの官能基上で重合させるか、あるいは、存在する場合には、リンカー部分(X)上に重合させ、
−場合によっては、他のリンカー部分(X)を疎水性ブロック(B)上に結合させ、かつ、
−親水性ブロック(D)を疎水性ブロック(B)または他のリンカー部分(X)の官能基上に重合させるか、あるいは、二者択一的に、第2の疎水性ブロックを、第1のブロックまたは他のリンカー部分上に重合させ、引き続いて、第2の疎水性ブロックを親水性ブロック(D)に化学的に転換する、工程を含む。
図1は、本発明のコポリマーの構造に関する例を、より詳細に、本発明のコポリマーの分枝の一つ(ここでは、s=11)を示すことにより例証する。この構造によれば、リンカー分子XおよびYが存在し、かつ双方は、t、z=3の官能基を有する。破線は、図を簡略化するために使用し、かつその際、ポリマーの分枝が、前記式(I)の原理にしたがって伸長されることを示す。
図4は、シトラールがカプセル封入されていない純粋な参考試料と比較した、本発明のコポリマーまたはナノカプセル中でのフレグランス化合物(シトラール)の増加した保持力を示す。本発明のナノカプセル中でのシトラールの放出は、10時間を上回って、カプセル封入されていないシトラールと比較して顕著にゆっくりであることがわかる。
または不存在下(−−o−−)での、アリル3−シクロヘキシルプロパノエートの蒸発プロフィールを示す。
または不存在下(−−o−−)での、アリル3−シクロヘキシルプロパノエートの放出のために、時間に亘って測定されたヘッドスペース濃度を示す。
本明細書の内容において、用語「含む」は、「数ある中で特に包含する」の意味と解される。「のみから成る」と理解されるべきではない。
さらに、ブロックDの疎水性部分は、式(VI)
例1
2段階開環および原子移動ラジカル重合方法による両親媒性スターブロックコポリマーの製造
Boltorn(R) H40 HBP(出所:Perstorp, Sweden)を、ε−カプロラクトンの開環重合のための開始剤として使用した。Boltorn(R) H40 HBP自体と一緒に、得られるポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)ブロックは、最終的なマルチプルアームスターブロックコポリマーの親油性内部を提供する。親水性ブロックを前駆物質にグラフトするために、ATRPのための開始剤として役立つ官能基、たとえば2−ブロモイソブチリルブロミドを、PCLアームの末端(リンカー部分Y)に導入した。モノマー、たとえばポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)、またはtert−ブチルアクリレート(tert−BuA)の引き続いての重合は、ポリ(ポリエチレングリコールメタクリレート)(PPEGMA)およびポリ(tert−ブチルアクリレート)(Ptert−BuA)をそれぞれ生じる。前者の場合において、外部シェルは、水中に分散させるのに十分に親水性であり、後者の場合には、tert−ブチルエステル保護基の除去は、分子を水溶解性にする相当するポリ(アクリル酸)(PAA)を与える。
1.i 市販のハイパーブランチコア上のブロックB p の製造:H40-(PCL) p を得るためのBoltorn (R) H40 HBP上でのε−カプロラクトンの重合
H40-(PCL)17の合成
ジエチルエーテル中への沈澱後に、Boltorn(R) H40 HBP(Mn〜7300g/mol)を、真空下で2日間に亘って乾燥させた。ε−カプロラクトンを、CaH2上で乾燥させ、かつ使用前に蒸留させた。3首フラスコ250mlを、Boltorn(R) H40 HBP(2.50g、5.65・10−4mol)で、不活性雰囲気中に装填し、かつ油浴中に107℃で置いた。ε−カプロラクトン(43ml、407mmol)をゆっくりと装入した。触媒量の錫2−エチルヘキサノエートを添加した。重合反応混合物を、21時間に亘って撹拌し、THF(100mL)で希釈し、かつ冷ヘプタン(800mL)中に沈澱させ、白色の結晶粉末45.5g(93%)を生じた。
前記に示したように、2.00gのBoltorn(R) H40 HBPおよび17.4mLのε−カプロラクトンを用いて、16時間に亘って、白色の結晶粉末19.6g(95%)を生じた。
前記に示したように、0.40gのBoltorn(R) H40 HBPおよび19.09mLのε−カプロラクトンを用いて、14時間に亘って、白色の結晶粉末19.8g(94.6%)を生じた。
H40-(PCL)20、H40-(PCL)28およびH40-(PCL)40
1.ii リンカー部分YのブロックB上へのグラフト:H40-(PCL) p -Yを得るためのPCLの官能化
H40-(PCL)17-Yの合成
H40-(PCL)17(43g、5.79・10−4mol)を、15分に亘って真空下で乾燥させた。乾燥THF(108mL)を添加し、引き続いて2−ブロモイソブチリルブロミド(5.2mL、4.17・10−2mol)を、シリンジから滴加し、かつ最終的にトリエチルアミン(5.8mL、4.17・10−2mol)を添加した。反応は、周囲温度で実施し、かつ65時間後に停止させた。反応混合物を、冷水中に沈澱させ、かつ真空下で2時間に亘って乾燥させ、ポリマーを再度冷水中に沈澱させ、その後にヘプタンに入れた。真空下で、50℃で一晩に亘って乾燥させた後に、43.3g(93%)のH40-(PCL)17-Yが、白色の結晶粉末として得られた。
前記に示したように、15gのH4O-(PCL)10、2.95mLの2−ブロモイソブチリルブロミド(2.37・10−2mol)および3.30mlのトリエチルアミン(2.37・10−2mol)を使用して、48時間に亘って、白色結晶粉末として9.50g(56.6%)H40-(PCL)10-Yを生じた。
前記に示したように、15gのH4O-(PCL)50、3.13mLの2−ブロモイソブチリルブロミド(2.53・10−2mol)および2.10mlのトリエチルアミン(1.51・10−2mol)を用いて、63時間に亘って、白色結晶粉末として14.10g(93.4%)のH40-(PCL)50-Yを生じた。
H40-(PCL)20-Y、H40-(PCL)28-YおよびH40-(PCL)40-Y
1.iii リンカー部分Y上のブロックDの重合:H40-(PCL) p -Y-(Ptert-BuA) q を得るためのH40-(PCL) p -Yからのtert−BuAのATRP
H40-(PCL)17-Y-(Ptert-BuA)50の合成
三首フラスコを、多官能性マクロ開始剤(H40-(PCL)17-Y)(7g、8.758・10−5mol)、エチレンカーボネート (4.04g、10質量%)および2,2’−ビピリジル (984.80mg、6.306・10−3mol)および内容物を、真空下で1時間30分に亘って乾燥させた。tert-BuA(40.41g、45.76mL、0.315mol)を、精製(任意の開始剤を除去するための)後に添加し、かつ得られた混合物を3個の凍結−真空−融解サイクルに導いた。CuBr(452mg、3.153・10−3mol)を添加後に、一つの他の凍結−真空−融解サイクルに導いた。その後にフラスコを、恒温的に制御された油浴中に100℃で置いた。17時間後に、反応を氷浴中にフラスコを置くことにより停止させた。撹拌後に、ポリマーをTHF中で希釈し、かつ内容物を、中性アルミナのカラムを通過させ、銅塩を除去した。THFを蒸発させ、かつポリマーをメタノール/水9:1(v/v)の混合物中に沈澱させ、濾過し、かつ真空下で数時間に亘って乾燥させた。変換率をNMRにより測定し、かつGPCで確認した。
前記のように、1gのH40-(PCL)10-Y、2.05gのエチレンカーボネート、222mg(1.41・10−3mol)の2,2’−ビピリジル、20.6mLのtert−BuA(1.41・10−1mol)および101.6mg(7.08・10−4mol)のCuBrを、21時間に亘って90℃で、14.28gの白色結晶粉末を生じた。
前記のように、1gのH40-(PCL)10-Y、2.05gのエチレンカーボネート、222mg(1.41・10−3mol)の2,2’−ビピリジル、20.6mLのtert−BuA(1.41・10−1mol)および101.6mg(7.08・10−4mol)のCuBrを、48時間に亘って90℃で、14.28gの白色結晶粉末を生じた。
前記に示したように、2gのH40-(PCL)50-Y、972mgのエチレンカーボネート、104.6g(6.7 10−4mol)の2,2’−ビピリジル、9.72mLのtert−BuA(6.69・10−2mol)および48mg(3.3・10−4mol)のCuBrを、20時間に亘って、90℃で、白色の結晶粉末3.31gを生じた。
H4O-(PCL)10-Y-(Ptert-BuA)17、H4O-(PCL)10-Y-(Ptert-BuA)68、H40-(PCL)17-Y-(Ptert-BuA)18、H40-(PCL)17-Y-(Ptert-BuA)20、H40-(PCL)50-Y-(Ptert-BuA)22、H40-(PCL)50-Y(Ptert-BuA)28およびH40-(PCL)50-Y-(Ptert-BuA)64 。
1.iv ハンセン溶解性パラメーターの望ましい値を得るためのブロックDのさらなる改変:H40-(PCL) p -Y-(Ptert-BuA) q からのH40-(PCL) p -Y-(PAA) q を得るためのtert−ブチル基の加水分解
H40-(PCL)17-Y-(PAA)50の合成
多官能性スターポリマーH40-(PCL)17-Y-(Ptert-BuA)50(10g、3.253・10−5mol)を、ジクロロメタン(100mL)中に溶解した。その後にトルフルオロ酢酸(43mL、5.854・10−1mol)をフラスコに添加した。溶剤が蒸発により除去される前に、溶液を室温で2時間に亘って撹拌した。生成物を、THF(60mL)中に再溶解させ、650mLのヘプタン中に沈澱させ、かつ真空下で3日間に亘って50℃で乾燥させ、4.98gのH40-(PCL)17-Y-(PAA)50を、部分加水分解生成物の白色粉末(30%を上回るまで)として生じた。
前記に示したように、36.5mLのジクロロメタンおよび16.5mL(2.22・10−1mol)のトリフルオロ酢酸中の3.22g(8・10−6mol)のH40-(PCL)10-Y-(Ptert-BuA)70を用いておこなった。生成物を、エタノール(30mL)中に再溶解させ、エーテル300mL中に沈澱させ、かつ真空下で3日間に亘って乾燥させ、1.75gのH40-(PCL)10-Y-(PAA)70を、部分加水分解生成物の白色粉末(30%を上回るまで)として生じた。
前記に示したように、52mLのジクロロメタンおよび24.3mL(3.27・10−1mol)のトリフルオロ酢酸中の、4.56g(7.9・10−6mol)のH4O-(PCL)10-Y-(Pter-BuA)115を用いて、2時間15分に亘っておこなった。生成物をエタノール(30mL)中に再溶解させ、エーテル300mL中で沈澱させ、かつ真空下で2日間に亘って乾燥させ、2.28gのH4O-(PCL)10-Y-(PAA)115を、部分加水分解生成物の白色粉末として(30%を上回るまで)生じた。
前記に示したように、11.5mLのジクロロメタンおよび1.95mL(2.63・10−2mol)のトルフルオロ酢酸中、0.79g(1.82・10−6mol)のH4O-(PCL)50-Y-(Ptert-BuA)54を用いて、1時間に亘っておこなった。生成物をエタノール(20mL)中に再溶解させ、200mLのエーテル中に沈澱させ、かつ真空下で一晩に亘って乾燥させ、333.5mgのH4O-(PCL)50-Y-(PAA)54を、部分加水分解生成物の白色粉末(少なくとも27%まで)として生じた。
三首フラスコを、多官能性マクロ開始剤(H40-(PCL)p-Y)(0.5g、6.256・10−6mol)、エチレンカーボネート(990mg、10質量%)および2,2’−ビピリジル(70.2mg、4.5・10−4mol)および内容物を真空下で1時間に亘って乾燥した。精製したPEGMA(10.70g、9.9mL、2.25・10−2mol、その際、8個のエチレングリコール単位を有する)および5mLの蒸留トルエンを添加し;得られた混合物を、3個の凍結−真空−融解サイクルに導いた。CuBr(32mg、2.25・10−4mol)の添加に引き続いて、1個の他の凍結−真空−融解サイクルに導いた。その後にフラスコを、恒温的に制御された油浴中に75℃で置いた。4時間45分後に、反応を氷浴中のフラスコ中に置くことにより停止させた。撹拌後に、トルエンを蒸発させ、かつポリマーを水中に分散させた。白色分散液を、6〜8,000g/molの分子量ふるいを備えた透析バック中に入れた。3日後に、分散液を凍結乾燥させ、かつ1.16g(10.9%)の白色の、弱くかつ粘着性の粉末が得られた。
2段階ラジカル原子移動重合方法による両親媒性スターブロックコポリマーの製造
Boltorn(R)H40 HBPを、ATRPを開始させる能力を有する官能基を、コア上に直接導入するために使用した。親油性ブロックBを、モノマー、たとえばメチルメタクリレート(MMA)を用いて、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を、あるいは、またはn−ブチルメタクリレート(n−BuMA)を用いてポリ(n−ブチルメタクリレート)(Pn−BuMA)をそれぞれ、最初のATRP工程を介して形成させた。第2のATRP工程を、例1と同様に使用し、親水性ブロックDを製造した。たとえば、ポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)の重合は、ポリ(ポリエチレングリコールメタクリレート)(PPEGMA)を生じた。
80mLの乾燥THF中の真空乾燥Boltorn(R) H40 HBP(2.8g)の溶液、この場合、これは、全部で25mmolのヒドロキシ官能基を含有するもの、を、乾燥THF(20ml)中の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(4.79g、39.3mmol)およびトリエチルアミン(2.53g、3.48mL、25.0mmol)の溶液に、不活性雰囲気中で添加した。その後に、2−ブロモイソ酪酸ブロミド(17.24g、9.27mL、75.0mmol)を室温で滴加した。48時間後に、沈澱塩を濾別し、かつ溶剤を部分的に蒸発させた。残留溶液をメタノール中に注ぎ入れ、かつ沈殿物を真空下で乾燥させた。
窒素挿入口を備えたフラスコを、マクロ開始剤H40-X(132.5mg、約0.5molの開始剤基)、トルエン(25g)、新鮮に蒸留したMMA(25g、250mmol)、CuBr(140mg、1.0mmol)およびn−プロピル−2−ピリジニルメタンイミン(296mg、2.0mmol)で装填した。この混合物を引き続いて、3個の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱酸素化した。重合を、恒温的に制御された油浴中で、60℃で実施し、かつ変換率は、窒素パージされた気密シリンジを用いて、反応の異なる段階で採取された試料の1H−NMR分光分析法によりおこなった。後処理のために、触媒複合体を、短いシリカゲルカラム中に反応混合物を通過させることにより除去した。得られたポリマー溶液を、最終的にメタノール中に沈澱させた(反応混合物の容量の20倍)。
窒素挿入口を備えたフラスコを、H40-X-(PMMA)10スターポリマー(1.6g、〜0.75molの開始剤基)、トルエン(17.8g)、PEGMA(17.8g、50mmol、Mn〜475g/mol、アルミニウム上に予め通過させ、開始剤を除去した)、CuBr(215mg、1.5mmol)およびn−プロピル−2−ピリジニルメタンイミン(445mg、3.0mmol)で装填した。この混合物を、引き続いて、3個の凍結−ポンプ−融解サイクルにより脱酸素化した。重合を、恒温的に制御された油浴中で、60℃で実施し、かつ変換率を、窒素パージされた気密シリンジを用いて、反応の異なる工程で採取された試料の1H−NMR分光分析法により実施した。後処理のために、触媒複合体を、反応混合物を短いシリカゲルカラムに通すことにより除去した。得られたポリマー溶液を、最終的にジエチルエーテル中に沈澱させた(反応混合物の容量の20倍)。得られたミルクを遠心分離し、かつ得られた沈殿物をジエチルエーテルで数回に亘って洗浄し、任意の残存するモノマーを抽出した。さらなる精製を、メタノール中の透析により実施した(分子量カットオフ=7,000g/mol)。生成物を、溶剤の蒸発および真空乾燥後に得た。
窒素挿入口を備えたフラスコを、マクロ開始剤H40-X(1.325g、〜5mmolの開始剤基、例2.i参照)、トルエン(71.1g)、新鮮に蒸留されたn−BuMA(71.1g、500mmol)、CuBr(700mg、5.0mmol)およびn−プロピル−2−ピリジニルメタンイミン(1.48g、10.0mmol)で装填した。
2.v H40-X-(Pn-BuMA) p -(PPEGMA) q を得るための親水性ブロックDのATRP
窒素挿入口を備えたフラスコを、CuBr(140mg、1.0mmol)およびPEGMA(23.8g、50.0mmol、Mn〜475g/mol、開始剤を除去するために予めアルミナ上を通過させたもの)で装填した。混合物中で窒素を30分に亘って起泡させることにより脱ガスした後に、n−プロピル−2−ピリジニルメタンイミン(380μL、369mg、2.5mmol)を添加し、その一方で、脱ガスを継続した。トルエン(23.8g)中のH40-X-(Pn-BuMA)30(2.23g、〜0.5mmolの開始剤基)の予め脱ガスした溶液を、混合物に添加し、窒素パージを15分に亘って継続した。反応フラスコをその後に、恒温的に制御された油浴中に60℃で入れた。重合を5時間に亘って、反応混合物を0℃に冷却することにより停止させ、かつ触媒を、シリカゲルの層(〜3cm)を介しての吸引濾過により除去した。トルエンを、得られたポリマー溶液から蒸発させ、ポリマーを単離し、かつ繰り返しの沈澱によりジエチルエーテルを精製した(反応混合物の容量の20倍)。さらなる精製を、水中の透析により実施した(分子量カットオフ=10000g/mol)。生成物を、溶剤の蒸発および真空乾燥後に得た。
前記に示したように(例2.v)、59.8gのトルエン中、59.5g(125.0mmol)のPEGMAおよび189mgのH40-X(H40-X-(Pn-BuMA)qの代わりに)を用いて、50℃で18時間に亘っておこなった。
親油性染料のカプセル封入に引き続いてのUV分光分析法
スターブロックコポリマーH4O-X-(PMMA)10-(PPEGMA)8(例2iii中に記載されたようにして製造した)を、疎水性薬剤としてのルブレンをカプセル封入するために使用した。
親油性染料のカプセル封入に引き続いてのGPC分析
両親媒性スターブロックコポリマーH40-X-(Pn-BuMA)30-(PPEGMA)32(例2.vで記載されたようにして製造した)を、疎水性薬剤をカプセル封入するために使用した。
フレグランスのカプセル封入および放出に引き続いてのUV分光分析
両親媒性スターブロックコポリマーH40-X-(Pn-BuMA)30-(PPEGMA)32(例2.vで記載されたようにして製造した)を、疎水性かつUV活性のフレグランス分子として1−(2−ナフタレニル)−1−エタノンをカプセル封入するために使用した。本発明によるポリマーのカプセル封入および放出特性を、改変されていないBoltorn(R)H40 HBPと比較した。
水中 0.69
水中のBoltorn(R)H40 HBPを用いた場合 1.08
水中のH40-X-(Pn-BuMA)30-(PPEGMA)32を用いた場合 1.57
データは、Boltorn(R)H40 HBPと比較したH40-X-(Pn-BuMA)30-(PPEGMA)32の傑出性を実証した。同様の質量濃度で、疎水性ゲストが、Boltorn(R)H40 HBP中の場合よりも本発明によるポリマー中で10倍を上まわる程度に多くカプセル封入された。比較のための放出試験のために、溶液を有するキュベットを、換気場所においた。定められた時間の後に、蒸発した水を添加し、かつスペクトルを記録した。340nmで記録したUV吸収率を、表にまとめた:
NMR分光分析法によるフレグランスのカプセル封入の定量
両親媒性スターブロックコポリマーH4O-X-(Pn-BuMA)30-(PPEGMA)32(例2.V中に記載したようにして製造した)(〜10/20/30/40mg)を正確に計量し、かつ、1.4gのD2O中に溶解した(純粋なD2Oをブランク試料として使用した)。ポリマーを溶解した後に、フレグランス分子50mg(ベンジルアセテート、(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール、4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセテート(それぞれ、Vertenex(R)、出所:International Flavors & Fragrances, USAまたはデカナール)を、溶液に添加した。一晩に亘って振とうさせた後に、試料を0.22μmのシリンジフィルターを通してエッペンドルフキャップ中に濾過した。遠心分離後に、水相のアリコートを、NMRチューブに計量し、かつDMSOの正確な量を、定量のための参考試料に添加した。NMRスペクトルは、以下の取得条件を用いて記録した:前取得遅延時間20秒、取得時間5秒、データ点の数64k、64スキャン。スペクトルを処理する場合に、0.1Hzの線の拡がりおよび1024kのファイリング0を使用した。スペクトルを、付加的なベースラインの補正をおこなうことなく手動で積分した。
以下のシグナルを、定量のために使用した:ベンジルアセテート、−(CO)−CH3−、s、δ=2.02〜1.81ppm、この場合、これは、ポリマーの型および濃度に依存する;(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール(ゲラニオール)、C=CH−C、t、δ=5.3ppmおよび/またはC=CH−C、t、δ=5.1ppm;デカナール、−CH2−CHO、pert t、δ=水中2.1ppm、ポリマー溶液中2.31ppm; Vertenex(R)、−C(CH3)3、br.s、δ=0.95〜0.80ppm、この場合、これは、ポリマー濃度に依存する。すべてのシグナルは、Vertenex(R)に関して予測されるポリマーシグナルとは全く別個であり、このプローブ分子のために正確に制限されている。
自己拡散型NMR分光分析法によるフレグランスカプセル封入の実証
フレグランス分子および両親媒性スターブロックポリマーを含有する試料を、前記のようにして製造した(例6)。使用したポリマーは、H4O-X-(Pn-BuMA)30-(PPEGMA)32であり、D2O中の10.7mg/mlの濃度で使用した。純粋な水中でのフレグランスの測定のために、1μlのフレグランスを、700μlのD2Oと激しく混合した。4−tert−ブチル−1−シクロヘキシルアセテート (Vertenex(R))およびデカナールに関しては、さらなる希釈が必要とされる。
フレグランス放出に引き続いての熱重量分析(TGA)
両親媒性スターブロックコポリマーH40-(PCL)17-Y-(PAA)50(例 l.iv中に記載されたようにして製造した)を乾燥させ、かつ直接、3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエナール(シトラール)と一緒に、64/36%(w/w)の混合比で混合した。この試料を、室温で、少なくとも1日に亘って保持した。その後に、約5mgの質量を、酸化アルミニウムるつぼ中に導入し、かつ熱重量分析装置(TGA, Mettler Toledo)で、30℃で、等温で記録することにより、窒素ガス(20mL/分)の一定流下で分析した。分析を3回に亘って反復し、かつ純粋なシトラールの一つと比較した。図4は、純粋なシトラールおよびシトラール/H40-(PCL)17-Y-(PAA)50混合物の質量の評価を、時間の関数として表す、相当する平均曲線を示す。
ファイン香料適用中での、両親媒性スターブロックコポリマーの存在下でのフレグランス放出の長期持続性
モデル香料を、異なる化学的官能基を有する等分子量(0.2mol)の15個のフレグランス化合物(アルデヒド、ケトン、アルコール、ニトリルおよびエステル)を混合することにより得た。以下の化合物を秤量した:(Z)−3−ヘキセノール(ピポール、2.00g)、3,5,5−トリメチルヘキサナール(2.84g)、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール(ジメトール、2.88g)、アセトフェノン(2.40g)、エチル(E)−2,4−ジメチル−2−ペンテノエート(3.12g)、ベンジルアセテート(3.00g)、ジャスモニトリル(3.06g)、デカナール(3.12g)、4−フェニル−2−ブタノン(ベンジルアセトン2.96g)、2−ペンチルシクロペンタノール(3.12g)、(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエノール(ゲラニオール、3.08g)、4−シクロヘキシル−2−メチル−2−ブタノール(3.40g)、10−ウンデセナール(3.36g)、4−tert-ブチル−1−シクロヘキシルアセテート(Vertenex(R)、3.96g)、アリル3−シクロヘキシルプロパノエート(3.92g)。
繊維柔軟剤適用中の両親媒性スターブロックコポリマーの存在下での、フレグランス放出の長期持続性
本発明による両親媒性スターブロックコポリマーの使用は、繊維柔軟剤適用中の制御されたフレグランス放出に関して試験した。以下の組成を有する繊維柔軟剤ベースが製造された:
Stepantex(R) VK90またはVHR90(出所:Stepan) 16.5質量%
塩化カルシウム 0.2質量%、
水 83.3質量%
繊維柔軟剤中のフレグランス分子の混合物の性能は、両親媒性スターブロックコポリマーの存在下および不含下で、フレグランス蒸発の性能を比較することにより測定した。試験を以下のようにして実施した:
10.i 両親媒性スターブロックコポリマーH40-(PCL) 10 -Y-(PAA) 70 を用いての繊維柔軟化方法
10mLのエタノール中の、4−フェニル−2−ブタノン(ベンジルアセトン、63.8mg)、アリル−3−シクロヘキシルプロパノエート(86mg)、4−シクロヘキシル−2−メチル−2−ブタノール(78.7mg)およびベンジルアセテート(69.3mg)の等モル量(0.45mmol)の溶液を製造した。3.30mLのこの溶液を、40mg(1.33.10−4mmol)の両親媒性スターブロックコポリマーH40-(PCL)10-Y-(PAA)70に添加し、かつ1日間に亘って撹拌した。前記繊維柔軟剤ベースの全量1.80gを、それぞれ2個の小さいバイアル中に秤量した。その後に、フレグランス分子およびポリマーを含有する溶液1mLを、試料の一つに添加し、かつフレグランスを含有するがポリマーを含有しない溶液1mlをもう一方に添加した。双方のバイアルを密閉し、かつ撹拌しながら室温で4日間に亘って放置した。その後に試料を、600mLの脱イオン化された冷水道水を含むビーカー中にそれぞれ分散させた。一つのコットンタオル(EMPAコットン試験布Nr.221、出所:Eidgenoessische Materialpruefanstalt(EMPA)、無香料の洗剤粉末を用いて予め洗浄し、かつ約12×12cmのシートに切断したもの)を、それぞれのビーカーに添加し、かつ手動で3分に亘って撹拌し、2分に亘って放置し、その後に手動でしぼり、かつ計量し、一定量の残留水を得た。2つのタオル(一つは両親媒性スターブロックコポリマーを含むものおよび一つは含まないもの)を、柔軟剤で処理した後に直ぐに分析した。測定に関して、1つのタオルをヘッドスペースサンプリングセル(160mL)中に入れ、25℃で熱調節し、かつそれぞれ200mL/分の一定の空気流に暴露した。空気を、活性炭を通して濾過し、かつNaCl飽和溶液を通して吸引した。ヘッドスペース系を、75分に亘って平衡化し、その後に揮発物を、5分間に亘って、清浄なTenax(R)カートリッジ上で吸着させた。サンプリングを7回に亘って50分毎に繰り返した。カートリッジを、前記のPerkin Elmer TurboMatrix ATD脱着装置上で脱着した(例9)。
試験を、前記のようにして、H40-(PCL)10-Y-(PAA)70の代わりに、両親媒性スターブロックコポリマーH40-X-(Pn-BuMA)30-(PPEGMA)32を用いて実施した。ヘッドスペース系を15分に亘って平衡化し、かつ揮発分を5分に亘って吸着した。サンプリングを50分毎に7回繰り返した。
Claims (8)
- 一般式(I)
XmおよびYnは、それぞれ互いに独立して、mまたはn(それぞれ互いに独立して0または1である)を有する直鎖または分枝鎖のリンカー部分であり、これは、コアにグラフトされるやいなや、少なくとも1種の重合反応のための開始点として適しているものであり;
zおよびtは、それぞれリンカー部分XおよびYにより提供される分枝の数であり、その際、zおよびtは、独立して1〜10の範囲であり;
Bは、算定されたハンセン溶解性パラメーター≦25を有する重合された部分であり、この場合、これは、Aの官能基またはXの官能基と共有結合されており、その際、pは重合されたB部分の平均の数であり、pは3〜300の範囲であり;
Dはハンセン溶解性パラメーター>25を有する重合された部分であり、かつブロックDは、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(トリメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(トリメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート塩)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルエーテルジエチレングリコールメタクリレート)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ポリエチレングリコールアクリレート)、ポリ(ポリエチレングリコールメタクリレート)、ポリアミノ酸、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンイミン)、およびポリオキサゾリン、およびこれらの組合せ物から成る群から選択されており、その際、qは重合されたD部分の平均の数であり、qは3〜300の範囲である]を含むブロックコポリマー化合物。 - 2〜150nmの平均粒径を有する、請求項1に記載のコポリマー。
- 分子量Mn>100,000g/モルを有する、請求項1または2に記載のコポリマー。
- 請求項1に記載のコポリマーおよびコポリマー中にカプセル封入されたかまたはコポリマーに会合した、少なくとも1種の親油性機能性薬剤を含み、その際、機能性薬剤が、フレーバー、フレグランス、薬物、農薬、染料およびこれらの混合物から成る群から選択される、ナノカプセル。
- ブロックBが、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリプロピレングリコール、ポリアンヒドリド、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリアゾリンおよびこれらの組合せから成る群から選択されている、請求項1に記載のコポリマー。
- 請求項1に記載のブロックコポリマーと、少なくとも1種の親油性機能性薬剤とから構成される、ナノカプセル。
- 請求項1に記載のブロックコポリマーを含有する、賦香製品。
- 請求項1に記載のブロックコポリマーを製造するための方法において、この方法が、
−s官能性を有するコア(A)を提供し、その際、s>5であり、
−場合によっては、コアの官能基をリンカー部分(X)に結合させ、
−疎水性ブロック(B)をコア(A)の官能基上で重合させるか、あるいは、存在する場合には、リンカー部分(X)上に重合させ、
−場合によっては、他のリンカー部分(Y)を疎水性ブロック(B)上に結合させ、かつ、
−親水性ブロック(D)を疎水性ブロック(B)の官能基上に重合させるか、あるいは、存在する場合には、他のリンカー部分(Y)上に重合させるか、あるいは、二者択一的に、
−第2の疎水性ブロックを、疎水性ブロック(B)上に重合させるか、あるいは、存在する場合には、他のリンカー部分(Y)上に重合させ、引き続いて、第2の疎水性ブロックを親水性ブロック(D)に化学的に転換する、
工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載のブロックコポリマーを製造するための方法。
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