JP5089933B2 - 含水系粘着剤組成物及びそれを用いた貼付剤 - Google Patents

含水系粘着剤組成物及びそれを用いた貼付剤 Download PDF

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Description

本発明は、含水系粘着剤組成物及び当該含水系粘着剤組成物を用いた貼付剤に関する。
従来、多量の水分を含んだ粘着基剤を有する貼付剤(以下、パップ剤ともいう)には、多量の水分を保持させる観点から、ポリアクリル酸とポリアクリル酸塩の混合物からなる基剤が一般的に用いられてきた(特許文献1及び2参照)。
特許文献1においては、多価アルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルミニウム化合物、及び、ポリアクリル酸エステルを、特定割合で配合した貼付剤用基剤が開示されている。特許文献1によれば、展延性、保型性を有するとともに、安定な粘着性を得ることができるようになった。
特許文献2においては、(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体を、特定量配合した水性粘着膏体が開示されている。特許文献2によれば、皮膚に対する高い粘着力を有し且つ使用感も良好な水性貼付剤を得ることができるようになった。
また、貼付剤の粘着力を上げることを目的として、エステルガム、水素添加石油樹脂、テルペン系樹脂等を配合することが提案されている(特許文献3及び4参照)。
特許文献3においては、エステルガム及びその溶解剤、吸油性無機性粉末を配合した含水性皮膚外用貼付剤が開示されている。特許文献3によれば、薄くても粘着力が強い含水性貼付剤を得ることができるようになった。
更に、特許文献4においては、親水性ポリマー、水、架橋剤からなる従来のパップ剤用組成物に、ロジンエステル、水素添加石油樹脂、及びテルペン系樹脂等の粘着付与樹脂を配合した粘着剤組成物が開示されている。特許文献4によれば、皮膚への良好な接着性を得ることができるようになった。
特開昭60−60854号公報 特開2000−7559号公報 特許第2887548号公報 特許第3308628号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示されたポリアクリル酸とポリアクリル酸塩の混合物からなる基剤による貼付剤は、経時的な水分の蒸発に伴って粘着力が低下し、また、一度剥がれてしまうと、再び貼付することが出来なかった。更に、経時変化に伴って膏体が硬くなることから、使用感が悪くなる等の問題があり、長時間にわたる皮膚への適用は困難であった。
また、特許文献3に開示された含水性皮膚外用貼付剤によれば、粘着力は向上するものの、製造時にこれらの樹脂を溶解させるためには、100℃付近以上の高温としなければならず、このため、作業性や設備面において煩雑となっていた。また、熱安定性の悪い薬物を配合できない等の問題があった。
特許文献4に開示された粘着剤組成物によれば、粘着付与樹脂の配合による粘着力の増加は見られるものの、経時的な水分の蒸発に伴う粘着力の低下、再貼着力、膏体のしなやかさについては未だ満足できるものではなく、更なる改善が求められていた。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、長時間にわたる優れた粘着力及び再貼着力を有し、これにより、薬剤を長時間にわたり皮膚に適用することができ、貼り直しも可能で、且つ、しなやかで皮膚刺激の少ない使用感の優れたパップ剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、含水系粘着剤層に、非イオン性界面活性剤からなる乳化剤によってポリブテンを均一に乳化分散することにより、粘着力及び再貼着力が増強し、更に、膏体の特性がしなやかになることに着目して、鋭意研究を重ねた。その結果、更に、ポリブテンの経時安定性(ブリーディングの抑制)を向上させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) ポリブテン、非イオン性界面活性剤、及び、吸油性無機粉体を含む含水系粘着剤組成物であって、前記ポリブテンの配合量は、前記含水系粘着剤組成物全体に対して5.0質量%を越え20.0質量%以下である含水系粘着剤組成物。
(1)の含水系粘着剤組成物は、非イオン性界面活性剤からなる乳化剤によって特定量のポリブテンを均一に乳化分散させるものである。ポリブテンの分散により、粘着力及び再貼着力が増強し、更に膏体の特性をしなやかとすることができる。また、吸油性無機粉体の存在により、ポリブテンの経時安定性を向上させて過度のブリーディングを抑制し、含水系粘着剤組成物のフェーズセパレーションコントロールが可能となる。これにより、貼付剤の長時間にわたる使用により、経時的な水分の蒸発が起こった後であっても、粘着力の低下を防止し、再貼着力、膏体のしなやかさを維持することができる。
ここで、「フェーズセパレーションコントロール」について説明する。パップ剤を皮膚に適用すると、経時的に粘着剤層中の水分が蒸発し、乳化系が破壊される。すると、乳化分散していたポリブテンは、徐々に粘着剤層の皮膚適用面に集束しようとする。「フェーズセパレーションコントロール」とは、徐々に皮膚適用面に集束しようとするポリブテンの集束速度を、吸油性無機粉体によって制御することである。
本発明においては、吸油性無機粉体によってフェーズセパレーションコントロールを行い、粘着剤層表面へのポリブテンの過度のブリーディングを抑制する。吸油性無機粉体は、経時的に集束しようとするポリブテンを、その表面に吸着するため、乳化系の破壊によるポリブテンの粘着剤表面への浸み出しを抑制する働きを有する。したがって、吸油性無機粉体の存在により、粘着剤層表面へのポリブテンの浸み出しは徐々に行なわれることになり、粘着剤層表面へのポリブテンの被膜は、徐々に形成される。
このようにしてパップ剤の皮膚適用面にポリブテンの被膜が形成されると、パップ剤の水分が蒸発した後においても、長時間にわたる強い粘着力を示し、再貼着力も良好とすることができる。また、ポリブテンの存在は、膏体のしなやかさを維持することができる。結果として、長時間使用した後の粘着力が強いにもかかわらず、使用後に皮膚から剥離する際の毛むしり等の皮膚刺激が少ない、使用感の優れたパップ剤とすることができる。
(1)の含水系粘着剤組成物におけるポリブテンの配合量は、5.0質量%を越え20.0質量%以下である。ポリブテンの配合量が少なすぎると、長時間使用した後の十分な粘着力、再貼着力、しなやかさが得られず、一方で、ポリブテンの配合量が多すぎると、組成物のべたつきが大きくなり、相分離によるポリブテンのブリーディングが大きくなるため好ましくない。そこで、ポリブテンの配合量は、より好ましくは6.0質量%以上15.0質量%以下であり、更に好ましくは6.0質量%以上10.0質量%以下である。
(2) 前記非イオン性界面活性剤の配合量は、前記含水系粘着剤組成物全体に対して0.1質量%以上10.0質量%以下である(1)記載の含水系粘着剤組成物。
(2)の含水系粘着剤組成物は、非イオン性界面活性剤の配合量を0.1質量%以上10.0質量%以下とすることにより、同時に配合するポリブテンを十分に乳化し、含水系粘着剤組成物中にポリブテンを均一に分散することが可能となる。本発明においては、ポリブテンの分散により、含水系粘着剤組成物の粘着力及び再貼着力が増強し、更に膏体の特性をしなやかにすることができる。
(2)の含水系粘着剤組成物においては、非イオン性界面活性剤の配合量が少なすぎると、ポリブテンを十分に乳化することができず、一方で、非イオン性界面活性剤の配合量が多すぎると、皮膚刺激が生じ易くなるため好ましくない。そこで、非イオン性界面活性剤の配合量は、より好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下である。
(3) 前記吸油性無機粉体の配合量は、前記含水系粘着剤組成物全体に対して0.1質量%以上30.0質量%以下である(1)又は(2)記載の含水系粘着剤組成物。
(3)の含水系粘着剤組成物は、吸油性無機粉体の配合量を0.1質量%以上30.0質量%以下とすることにより、ポリブテンの経時安定性を向上させて過度のブリーディングを抑制し、含水系粘着剤組成物のフェーズセパレーションコントロールが可能となる。(3)の含水系粘着剤組成物によれば、粘着剤層表面へのポリブテンの浸み出しは徐々に行なわれるため、粘着剤層表面へのポリブテンの被膜は徐々に形成され、これにより、貼付剤の長時間にわたる使用によって経時的な水分の蒸発が起こった後であっても、粘着力の低下を防止し、再貼着力、膏体のしなやかさを維持することができる。
(3)の含水系粘着剤組成物においては、吸油性無機粉体の配合量が少なすぎると、ポリブテンを十分に吸着することができないことからブリーディングを抑制することが困難となり、一方で、吸油性無機粉体の配合量が多すぎると、膏体が硬くなり、柔軟性がなくなって使用感が悪くなり、更に、粘着力が低下するため、好ましくない。そこで、吸油性無機粉体の配合量は、より好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下であり、更に好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。
(4) 前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・アミド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である(1)から(3)いずれか記載の含水系粘着剤組成物。
(4)の含水系粘着剤組成物は、特定の群より選ばれる非イオン性界面活性剤を含有するものである。これらの非イオン性界面活性剤によれば、皮膚刺激が少なく、且つ、ポリブテンを十分に乳化し、均一に分散することが可能となる。
(5) 前記吸油性無機粉体は、無水ケイ酸である(1)から(4)いずれか記載の含水系粘着剤組成物。
(5)の含水系粘着剤組成物は、吸油性無機粉体として無水ケイ酸を含むものである。無水ケイ酸は、高い吸油性を示すことから、(5)の含水系粘着剤組成物は、高いフェーズセパレーションコントロール性能を発揮することが可能となる。
(6) 前記含水系粘着剤組成物は、医療用である(1)から(5)いずれか記載の含水系粘着剤組成物。
(6)の含水系粘着剤組成物は、医療用に用いられるものである。一般に、医療用として用いられる粘着剤には、長時間にわたる優れた粘着力及び再貼着力が求められ、且つ、しなやかで皮膚刺激の少ない使用感が求められる。(6)の含水系粘着剤組成物によれば、これらの要求を満たすことができるため、医療用として好適に用いることができる。
(7) 更に薬物を含む(1)から(6)いずれか記載の含水系粘着剤組成物。
(7)の含水系粘着剤組成物は、更に薬物を含むものである。(7)の含水系粘着剤組成物によれば、治療目的に応じた薬物を選択することにより、様々な治療を施すための製剤とすることが可能となる。
(8) 前記薬物は、非ステロイド系鎮痛抗炎症剤、生薬、筋弛緩薬、及び局所麻酔薬からなる群より選ばれる1種以上である(7)記載の含水系粘着剤組成物。
(9) (1)から(8)いずれか記載の含水系粘着剤組成物が、支持体上に積層された貼付剤。
(9)の貼付剤は、含水系粘着剤組成物を支持体上に積層した貼付剤である。(9)の貼付剤によれば、本発明の含水系粘着剤組成物を使用するため、長時間にわたって強い粘着力及び再貼着力を有し、薬剤を長時間にわたって皮膚に適用でき、貼り直しが可能で、且つ、しなやかで、皮膚刺激が少なく、使用感が優れたものとなる。
(10) 前記含水系粘着剤組成物を含む層の上に、剥離ライナーが更に積層された(9)記載の貼付剤。
(10)の貼付剤は、支持体、含水系粘着剤組成物、及び剥離ライナーを構成として含むものである。これらが順次積層されることにより、貼付剤の使用前の状態における含水系粘着剤組成物層からの水分の蒸発を抑制することが可能となる。
本発明の含水系粘着剤組成物によれば、長時間にわたって強い粘着力及び再貼着力を有するため、薬剤を長時間にわたって皮膚に適用でき、貼り直しが可能で、且つ、しなやかで、皮膚刺激が少なく、使用感が優れた含水系粘着剤組成物及び貼付剤を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
<含水系粘着剤組成物>
本発明の含水系粘着剤組成物について説明する。本発明の含水系粘着剤組成物は、ポリブテン、非イオン性界面活性剤、及び、吸油性無機粉体を含む含水系の組成物であって、ポリブテンの配合量を、組成物全体に対して5.0質量%を越え20.0質量%以下とするものである。
[ポリブテン]
本発明の含水系粘着剤組成物に用いられるポリブテンの分子量は、通常200以上10000以下である。ポリブテンの分子量が高い場合には、含水系粘着剤組成物を貼付剤とした際の膏体を、よりしなやかにする。一方で、高い分子量のポリブテンは粘度が高いことから、可塑剤を配合して粘度を下げることにより、作業性を良好にすることができる。可塑剤としては、流動パラフィンが好ましく用いられる。本発明において用いられるポリブテンの分子量は、好ましくは500以上5500以下、更に好ましくは700以上2500以下である。
本発明の含水系粘着剤組成物におけるポリブテンの配合量は、含水系粘着剤組成物全体に対して5.0質量%を越え20.0質量%以下、好ましくは6.0質量%以上15.0質量%以下、更に好ましくは6.0質量%以上10.0質量%以下である。ポリブテンの配合量が少なすぎると、十分な粘着力、再貼着力、しなやかさが得られない場合があり、一方でポリブテンの配合量が多すぎると、相分離により、含水系粘着剤組成物からのポリブテンのブリーディングが生じる場合がある。
[非イオン性界面活性剤]
本発明に用いるポリブテンの乳化剤としては、非イオン性界面活性剤が用いられる。これらは1種単独でも、2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。非イオン性界面活性剤を1種単独で使用する場合には、HLB値が11以上の界面活性剤を用いることが望ましい。また、2種以上を組み合わせて使用する場合には、HLB値の異なる界面活性剤を組み合わせて使用することが好ましく、なかでも、HLB値が11以上の界面活性剤と11未満の界面活性剤との組み合わせが特に好ましい。
1種単独で使用する場合の界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・アミド等を挙げることができる。
また、2種以上を組み合わせて使用する場合には、上記の1種単独で使用する場合の界面活性剤の具体例に加えて、更に、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルを挙げることができる。
これらの中では、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・アミド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが好適に使用される。特に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、商品名ポリソルベートとして入手可能なエトキシ化ソルビタンモノオレアートは好ましく用いることが可能である。
本発明における非イオン性界面活性剤の配合量は、特に限定されるものではない。乳化するポリブテンの配合量にもよるが、含水系粘着剤組成物全体に対して、通常0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下、最も好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下である。
[吸油性無機粉体]
本発明に用いられる吸油性無機粉体としては、特に限定されるものではない。例えば、無水ケイ酸、カオリン、酸化亜鉛、酸化チタン等を挙げることができ、これらは1種単独でも、2種類以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。これらの中では、吸油性の高さから、無水ケイ酸が最も好ましく用いられる。
本発明における吸油性無機粉体の配合量は、特に限定されるものではない。吸油性無機粉体の配合量は、使用される粉体の吸油性の大きさに拠るが、含水系粘着剤組成物全体に対して、通常0.1質量%以上30.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。また、無水ケイ酸を単独で用いる場合には、1.0質量%以上3.0質量%以下が好ましい。
[薬物]
本発明の含水系粘着剤組成物は、好ましくは薬物が含有されるものである。用いられる薬物としては、特に限定されるものではなく、その治療目的に応じて適宜選択することが可能であり、全身性薬物、局所用薬物のいずれを用いても良い。また、1種のみならず、2種類以上を併用することも可能である。尚、薬物の配合量は、薬物の種類、薬効、及び投与目的によって適宜設定することができる。
本発明の含水系粘着剤組成物に薬物を配合する場合には、皮膚面上に滞留するものではなく、皮下若しくは血中まで浸透して局所作用若しくは全身作用を発揮する経皮吸収可能な薬物を使用することができる。そのような薬物としては、例えば、ステロイドホルモン、非ステロイド系鎮痛抗炎症剤、生薬、筋弛緩薬、精神安定剤、抗高血圧薬、虚血性心疾患治療薬、抗ヒスタミン薬、抗喘息薬、抗パーキンソン薬、脳循環改善薬、制吐薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、抗凝固薬、抗痛風薬、抗真菌薬、抗痴呆薬、シェーングレン症候群治療薬、麻薬性鎮痛薬、局所麻酔薬、ベータ遮断薬、β1作動薬、β2作動薬、副交感神経作動薬、抗腫瘍薬、利尿薬、抗血栓薬、ヒスタミンH1レセプター拮抗薬、ヒスタミンH2レセプター拮抗薬、抗アレルギー薬、禁煙補助薬等を挙げることができる。これらの中では、非ステロイド系鎮痛抗炎症剤、生薬、筋弛緩薬、及び局所麻酔薬からなる群より選ばれる1以上を用いることが好ましい。
[その他成分]
本発明における含水系粘着剤組成物には、上記の成分に加えて、通常貼付剤の粘着基剤に添加されるその他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。以下に、本発明において任意に用いることのできるその他の成分について説明する。
〔ポリアクリル酸及び/又はその塩〕
本発明の含水系粘着剤組成物には、ポリアクリル酸及び/又はその塩を配合することができる。ポリアクリル酸及び/又はその塩としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸部分中和物等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を併用して用いることが好ましい。
〔水分〕
本発明の含水系粘着剤組成物は、水分を含有するものである。水の配合量は特に限定されるものではないが、調製時において含水系粘着剤組成物全体に対し、30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。また、皮膚に適用して時間が経過した場合であっても、調製時の含水率をなるべく保持していればなお好ましい。経時的な水分の蒸発を抑制するためには、保湿剤等を配合することが効果的である。
〔架橋剤〕
本発明の含水系粘着剤組成物には、必要に応じて架橋剤を配合することができる。用いられる架橋剤としては、多価金属化合物の水溶液中で多価金属イオンを放出するものであれば、その種類は制限されるものではない。例えば、合成ヒドロサルタイト、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート(アルミニウムグリシネート)、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミナ・マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、合成ヒドロサルタイト、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、乾燥水酸化アルミニウムゲルが特に好適に用いられる。
架橋剤を配合する場合には、その配合量は通常0.01質量%以上6.0質量%以下、好ましくは0.01質量%以上4.0質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以上2.0質量%以下であることが望ましい。配合量が少なすぎる場合には、架橋度が低くなることに起因して、貼付剤を皮膚から剥がす際に粘着基剤が皮膚に残る可能性があり、一方で、配合量が多すぎる場合には、架橋度が高くなりすぎて貼着性が悪くなる。
〔水溶性高分子化合物〕
本発明の含水系粘着剤組成物には、必要に応じて水溶性高分子化合物を配合することができる。水溶性高分子化合物としては、例えば、ゼラチン、カンテン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プロピレンカーボネート、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、無水マレイン酸共重合体、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸デンプン、キサンタンガム等が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
〔薬物溶解剤〕
任意成分として、薬物溶解剤を配合することも可能である。薬物溶解剤としては、例えば、クロタミトン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、l−メントール、ハッカ油等の精油類を挙げることができる。これらは、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
〔保湿剤〕
本発明の含水系粘着剤組成物においては、経時的な水分の蒸発を抑制する目的で、保湿剤を配合することが好ましい。保湿剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、マルチトール、キシリトール等の多価アルコール等を挙げることができる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
〔清涼化剤〕
任意成分として、清涼化剤を配合することも可能である。清涼化剤としては、例えば、カンフル、チモールの他、l−メントール、2−メチル−3−(l−メンチルオキシ)プロパン−1、2−ジオール、3−l−メントキシプロパン−1、2−ジオール、5−メチル−2−(l−メチルエチル)−シクロヘキシル−2−ヒドロキシプロピオネート等のメントール誘導体等を挙げることができる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
〔酸化防止剤〕
本発明の含水系粘着剤組成物においては、酸化防止剤を配合することも可能である。酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸及び/又はその誘導体等を挙げることができる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
〔防腐剤〕
防腐剤を任意成分として用いることも可能である。防腐剤としては、例えばメチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、チモール等を挙げることができる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
〔色素〕
色素を任意成分として配合する場合には、その種類は特に限定されず、「法定色素ハンドブック」に記載の色素及び天然色素を用いることができる。これらの色素は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。
〔pH調整剤〕
本発明の含水系粘着剤組成物においては、pH調整剤を配合することも可能である。pH調節剤としては、酒石酸、リン酸、リンゴ酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等を挙げることができる。これらは、1種単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
〔架橋コントロール剤〕
また、架橋コントロール剤を配合することも可能である。架橋コントロール剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、クエン酸、メタリン酸ナトリウム等を挙げることができる。架橋コントロール剤の配合量は、特に限定されないが、好ましくは、含水系粘着剤組成物全体に対して、0.01質量%以上5.0質量%以下である。
[含水系粘着剤組成物の製造方法]
本発明の含水系粘着剤組成物は、必須成分であるポリブテン、非イオン性界面活性剤、及び、吸油性無機粉体と、必要に応じて上記任意成分を適宜配合し、公知の方法で均一になるまで混練することによって調製することができる。
<貼付剤>
本発明の貼付剤は、支持体上に、本発明の含水系粘着剤組成物が積層されたものである。また、本発明においては、更に剥離ライナーを有し、支持体、含水系粘着剤組成物、剥離ライナーが順次積層されたものであることが好ましい。
[貼付剤の製造方法]
本発明の貼付剤は、従来公知の方法によって製造することができる。例えば、本発明の含水系粘着剤組成物を支持体上に塗工し、その後、剥離ライナーと貼り合わせる方法が挙げられる。また、本発明の含水系粘着剤組成物を剥離ライナーに展延し、その後、支持体を貼り合わせる方法を採用することができる。
[支持体]
本発明の貼付剤に用いられる支持体としては、特に限定されるものではなく、貼付剤として通常使用される支持体を用いることが可能である。例えば、織布、不織布、編布等の布帛、樹脂フィルム、紙、及びこれらの積層体を用いることができる。
織布、不織布、編布等の布帛や樹脂フィルムを用いる場合には、その材質は特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、レイヨン、綿、ポリウレタン、ウレタン−塩ビ共重合体等を挙げることができる。また、これらは、単独でも、また2種以上の混合物であってもよい。これらの中では、薬剤が吸着しにくく、且つ、入手も容易であることから、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。更に、ポリエチレンテレフタレートからなる不織布が、コストの観点から特に好ましい。
また、樹脂フィルムを用いる場合には、白色、肌色等の塗料をフィルムに印刷したり、あるいは、樹脂フィルム材料に着色剤を練り込むことによって、着色が施されたり文字等が表示されたフィルムを用いることができる。更に、粘着剤組成物の投錨性を上げる目的で、ポリウレタン等のプライマー処理や、艶消し処理、コロナ処理、エンボス処理、編布の積層等を施したものを使用することも可能である。
[剥離ライナー]
本発明の貼付剤に用いられる剥離ライナーとしては、特に限定されるものではない。貼付剤に通常用いられる剥離ライナーを用いることが可能であり、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、上質紙等を挙げることができる。また、剥離を容易とする目的で、これらにシリコン処理等を施したものであってもよい。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
薬物としてインドメタシン0.375質量部、クロタミトン0.3質量部、N−メチル−2−ピロリドン1.0質量部、ポリアクリル酸部分中和物6.0質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.0質量部、ポリブテン7.0質量部、軽質流動パラフィン0.5質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(25EO)1.5質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2EO)0.5質量部、乾燥水酸化アルミニウムゲル0.07質量部、エデト酸ナトリウム0.1質量部、酒石酸1.0質量部、リン酸0.02質量部、軽質無水ケイ酸2.0質量部、グリセリン25.0質量部を混合し、全体が100質量部となるように精製水を配合し、一定時間均一に練合することにより、含水系粘着剤組成物を得た。次いで、得られた含水系粘着剤組成物を剥離ライナーに展延し、その後、粘着剤組成物層の面上に支持体を被せて貼り合わせ、100mm×140mmの矩形状に裁断することにより、パップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<実施例2>
薬物としてインドメタシン1.0質量部、l−メントール0.5質量部、クロタミトン2.0質量部、ポリアクリル酸部分中和物6.0質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.0質量部、ポリブテン7.0質量部、軽質流動パラフィン0.5質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(25EO)1.5質量部と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2EO)0.5質量部、ポリソルベート80を0.5質量部、乾燥水酸化アルミニウムゲル0.07質量部、エデト酸ナトリウム0.1質量部、酒石酸0.8質量部、リン酸0.02質量部、軽質無水ケイ酸2.0質量部、グリセリン35.0質量部を混合し、全体が100質量部となるように精製水を配合し、一定時間均一に練合することにより、含水系粘着剤組成物を得た。次いで、実施例1と同様の方法でパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<実施例3>
薬物としてインドメタシン1.0質量部の代わりにフェルビナク0.7質量部を用いた以外は、実施例2と同様にしてパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<実施例4>
薬物としてインドメタシン1.0質量部の代わりにジクロフェナクナトリウム1.0質量部を用いた以外は、実施例2と同様にしてパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<実施例5>
薬物としてサリチル酸グリコール1.0質量部、l−メントール0.3質量部、ポリアクリル酸部分中和物6.0質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.0質量部、ポリブテン5.5質量部、軽質流動パラフィン0.5質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(25EO)1.5質量部と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2EO)0.5質量部、乾燥水酸化アルミニウムゲル0.07質量部、エデト酸ナトリウム0.08質量部、酒石酸1.0質量部、リン酸0.02質量部、軽質無水ケイ酸2.0質量部、グリセリン35.0質量部を混合し、全体が100質量部となるように精製水を配合し、一定時間均一に練合することにより、含水系粘着剤組成物を得た。次いで、実施例1と同様の方法でパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<実施例6>
薬物としてサリチル酸グリコール1.0質量部、l−メントール0.3質量部、ポリアクリル酸部分中和物6.0質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.0質量部、ポリブテン15.0質量部、軽質流動パラフィン0.5質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(25EO)3.0質量部と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2EO)1.0質量部、乾燥水酸化アルミニウムゲル0.07質量部、エデト酸ナトリウム0.08質量部、酒石酸1.0質量部、リン酸0.02質量部、軽質無水ケイ酸2.0質量部、グリセリン25.0質量部を混合し、全体が100質量部となるように精製水を配合し、一定時間均一に練合することにより、含水系粘着剤組成物を得た。次いで、実施例1と同様の方法でパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<実施例7>
薬物であるインドメタシン、クロタミトン、N−メチル−2−ピロリドンを用いる代わりに、美白化粧剤であるアルコルビン酸を3.0質量部用いた以外は、実施例1と同様の方法で美白化粧用シートを得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<実施例8>
薬物であるインドメタシン、クロタミトン、N−メチル−2−ピロリドンを配合しない以外は、実施例1と同様の方法で冷却シートを得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<比較例1>
ポリブテンを配合しない以外は実施例1と同様にしてパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<比較例2>
ポリブテンの乳化剤であるポリオキシエチレンラウリルエーテルを配合しない以外は実施例1と同様にしてパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<比較例3>
吸油性無機粉体である軽質無水ケイ酸を配合しない以外は実施例1と同様にしてパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<比較例4>
ポリブテンを4.5質量部とした以外は、実施例5と同様にしてパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
<比較例5>
薬物としてサリチル酸グリコール1.0質量部、l−メントール0.3質量部、ポリアクリル酸部分中和物6.0質量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム2.0質量部、ポリブテン25.0質量部、軽質流動パラフィン0.5質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(25EO)3.9質量部と、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(2EO)1.3質量部、乾燥水酸化アルミニウムゲル0.07質量部、エデト酸ナトリウム0.08質量部、酒石酸1.3質量部、リン酸0.02質量部、軽質無水ケイ酸2.0質量部、グリセリン20.0質量部を混合し、全体が100質量部となるように精製水を配合し、一定時間均一に練合することにより、含水系粘着剤組成物を得た。次いで、実施例1と同様の方法でパップ剤を得た。含水系粘着剤組成物の組成比を表1に示す。
Figure 0005089933
<評価>
[粘着力官能試験]
実施例1〜6、比較例1、及び比較例4〜5のパップ剤について、ヒト肘関節部に貼付し、24時間後の貼り付きの程度を以下のように評価した。評価結果を表2に示す。
〇:パップ剤が、ヒト肘関節部から剥離していない。
×:パップ剤の一部若しくは大部分が、ヒト肘関節部から剥離している。
[粘着力試験]
実施例1〜6、比較例1及び比較例4〜5のパップ剤を、それぞれ2.5cm×7cmに裁断した。剥離ライナーの半分(2.5cm×3.5cm)を切り取り、粘着剤組成物層の面を4.5cm×7cmの大きさの耐水紙に貼付し、2kgのローラーで圧着させた。試験片を温度32℃、湿度30%RHの雰囲気下で24時間放置した後、支持体側に2.5cm×7cmの大きさのクラフトテープを貼付し、引っ張り試験機(オリエンテック社製PTM−100W)を用いて、300mm/分の速さで、パップ剤を耐水紙から剥離したときの剥離力を測定した。結果を表2に示す。尚、比較例5のパップ剤については、耐水紙の破断により、測定不能となった。
Figure 0005089933
表2に示されるように、実施例のパップ剤は剥離することなく、長時間貼付後も強い粘着力を示した。ポリブテンを含まない比較例1と、ポリブテンの配合量の少ない比較例4のパップ剤は、粘着力官能試験では剥離し、粘着力試験においても少ない剥離力で剥離した。一方で、ポリブテンの配合量の多い比較例5は、粘着力が強すぎて、試験を遂行することができなかった。
[ヒト皮膚を用いた粘着力試験]
実施例1〜4、比較例1及び比較例4のパップ剤を、それぞれ2.5cm×10.0cmに裁断し、試験片を得た。得られた試験片をヒト前腕部に貼付し、4時間後に引っ張り試験機(オリエンテック社製PTM−100W)を用いて、300mm/分の速さで剥離し、剥離力を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005089933
表3に示されるように、実施例のパップ剤は、長時間貼付後も強い粘着力を示した。一方で、ポリブテンを含まない比較例1と、ポリブテンの配合量の少ない比較例4のパップ剤は、長時間貼付後の粘着力に劣り、少ない剥離力で剥離した。
[再貼着力官能試験]
実施例1〜3、比較例1及び比較例4のパップ剤について、ヒト前腕部に貼付し、24時間後に一旦製剤を剥離し、その後、同じパップ剤を同部に貼り直した際の貼りつき程度を以下のように評価した。結果を表4に示す。
〇:パップ剤が、ヒト前腕部から剥離していない。
×:パップ剤の一部若しくは大部分が、ヒト前腕部から剥離している。
[ヒト皮膚を用いた再貼着力試験]
実施例1〜3、比較例1及び比較例4のパップ剤を、それぞれ2.5cm×8.0cmに裁断し、試験片を得た。得られた試験片をヒト前腕部に貼付し、4時間後に引っ張り試験機(オリエンテック社製PTM−100W)を用いて、300mm/分の速さで剥離した。剥離30分後、剥がしたパップ剤を同部に貼付した。貼付1時間後、引っ張り試験機(オリエンテック社製PTM−100W)を用いて、300mm/分の速さで、パップ剤をヒト前腕部から剥離したときの剥離力を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005089933
表4に示されるように、実施例のパップ剤は強い再貼着力を示した。一方で、ポリブテンを含まない比較例1と、ポリブテンの配合量の少ない比較例4のパップ剤は、剥離してしまい、再貼着力に劣っていた。
[膏体のしなやかさ]
実施例1及び比較例1のパップ剤から膏体をかきとり、レオメトリックダイナミックアナライザー(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製RDAIII)を用い、以下の条件により、粘着剤の貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G’’)を測定した。得られた貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G’’)から、以下の式によりtanδを求めた。得られたtanδのプロット結果を図1に示す。尚、tanδとしなやかさの関係は、tanδが高いものほどしなやかな膏体となる。
〔測定条件〕
周波数 :0.1Hz〜80Hz
温度 :40℃
プレート板 :並行平板 直径25mm
ひずみ量 :347%
クリアランス:0.85mm
膏体量 :0.4g
Figure 0005089933
図1に示されるように、周波数0.1Hzから30Hzにおいては、実施例1におけるパップ剤のtanδは、比較例に比べて高く、しなやかであることが判る。尚、周波数0.1Hzから30Hzは、通常のパップ剤の使用における範囲に相当する周波数である。周波数の値が小さい場合には、パップ剤を剥がす速度がゆっくりである場合に相当し、一方で、周波数の値が大きい場合には、パップ剤を剥がす速度が速い場合に相当している。
[経時安定性試験]
実施例1〜4及び比較例2〜3のパップ剤を、紙、アルミニウム、ポリエチレンが順次積層されることにより構成された包装袋に密封し、40℃、60%R.H.雰囲気下にて2週間放置した。その後、粘着剤組成物層のブリーディングについて、以下のように評価・判定を行った。結果を表5に示す。
〇:ブリーディングが認められなかった。
×:ブリーディングが認められた。
Figure 0005089933
表5に示されるように、実施例のパップ剤はブリーディングすることなく、経時的に安定であった。一方で、ポリブテンの乳化剤を含まない比較例2においては、試験開始時点からブリーディングが生じ、パップ剤として不適であった。また、吸油性無機粉体を含まない比較例3は、2週間後にブリーディングが生じており、経時安定性に劣っていた。
本発明の含水系粘着剤組成物によれば、長時間にわたる強い粘着性と再貼着性を示し、貼り直しが可能で、且つ、しなやかで皮膚刺激が少ない使用感の優れたパップ剤を得ることができる。したがって、例えば、医療用パップ剤において、薬物を安全に、且つ、長時間にわたって皮膚に適用することが可能となった。また、清涼化剤や保湿剤等を配合した含水系粘着剤組成物とすれば、スポーツ用や化粧用等の貼付剤を得ることもできる。
実施例1及び比較例1の粘着剤組成物のtanδを示す図である。

Claims (9)

  1. ポリブテン、非イオン性界面活性剤、及び、吸油性無機粉体を含む含水系粘着剤組成物であって、
    前記ポリブテンの配合量は、前記含水系粘着剤組成物全体に対して5.5質量%を越え20.0質量%以下であり、
    前記吸油性無機粉体の配合量は、前記含水系粘着剤組成物全体に対して0.5質量%以上5.0質量%以下である含水系粘着剤組成物。
  2. 前記非イオン性界面活性剤の配合量は、前記含水系粘着剤組成物全体に対して1.0質量%以上5.0質量%以下である請求項1記載の含水系粘着剤組成物。
  3. 前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン・アミド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種以上である請求項1又は2記載の含水系粘着剤組成物。
  4. 前記吸油性無機粉体は、無水ケイ酸である請求項1からいずれか記載の含水系粘着剤組成物。
  5. 前記含水系粘着剤組成物は、医療用である請求項1からいずれか記載の含水系粘着剤組成物。
  6. 更に薬物を含む請求項1からいずれか記載の含水系粘着剤組成物。
  7. 前記薬物は、非ステロイド系鎮痛抗炎症剤、生薬、筋弛緩薬、及び局所麻酔薬からなる群より選ばれる1種以上である請求項記載の含水系粘着剤組成物。
  8. 請求項1からいずれか記載の含水系粘着剤組成物が、支持体上に積層された貼付剤。
  9. 前記含水系粘着剤組成物を含む層の上に、剥離ライナーが更に積層された請求項記載の貼付剤。
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