JP5622220B2 - 角質剥離用粘着剤組成物及び角質剥離用粘着シート - Google Patents
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このように、角質は生体にとって重要な機能を有するものであるが、例えば、薬物やワクチン等の有効成分を経皮吸収により生体内に投与したり、臨床検査等を目的として吸引浸出液を皮膚から減圧吸引する際などにおいて、角質を除去することが必要な場合がある。
しかしながら、従来の粘着テープ(角質剥離用粘着シート)では、皮脂分泌量が多いと角質剥離能が不十分な場合がある。皮脂は個人差、季節差等の要因により分泌量が異なるが、これらの要因の影響を低減させることができ、より優れた角質剥離能を有する角質剥離用粘着シートの開発が求められているのが現状である。
(1)油脂吸収材及び粘着成分を含有することを特徴とする角質剥離用粘着剤組成物。
(2)前記油脂吸収材が、無機系材料、樹脂系材料、有機無機ハイブリッド材料、炭及びシルクからなる群から選ばれる少なくとも一種からなるものであることを特徴とする(1)に記載の角質剥離用粘着剤組成物。
(3)前記油脂吸収材の、JIS K 5101−13−1に準拠して測定される吸油量が、50ml/100g以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の角質剥離用粘着剤組成物。
(4)前記油脂吸収材が、油脂吸収能を有する微粒子であって、JIS Z8825−1に準拠して測定される平均粒径が、1〜100μmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物。
(5)前記油脂吸収材の含有量が、角質剥離用粘着剤組成物全体に対して1〜50質量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物からなる粘着層を有する角質剥離用粘着シート。
本発明の角質剥離用粘着シートは、本発明の角質剥離用粘着剤組成物から形成された粘着層を有するものであり、角質剥離能に極めて優れる。
本発明の角質剥離用粘着剤組成物は、油脂吸収材及び粘着成分を含有することを特徴とする。
本発明に用いる油脂吸収材としては、人間の皮膚に対して安全であって、角質上に存在する皮脂を吸収する性質を有する材料からなるものであれば、特に制約はない。なかでも、無機系材料、樹脂系材料、有機無機ハイブリッド材料、炭、及びシルクからなる群から選ばれる少なくとも一種からなるものであることが好ましい。
これらの中でも、ゼオライト、シリカ、ウレタン樹脂、炭、シルク、表面が有機基で修飾されたシリカ微粒子(例えば、表面にオクタデシル基が結合したシリカ微粒子)が好ましい。
微粒子の形状としては特に制約はなく、球状、棒状、板状、円盤状等、いかなる形状であっても構わない。
微粒子のJIS Z8825−1に準拠して測定される平均粒径は、1〜100μmであるのが好ましく、5〜50μmであるのがより好ましい。このような大きさの微粒子を用いることにより、より皮脂の吸収性を高めることができる。
油脂吸収材の含有量があまりに少ないと、本発明の目的とする効果が得られない。油脂吸収材の含有量があまりに多いと、追従性が低下し、表面に凸凹ができ、皮膚との接触面積が減少して粘着力が低下するおそれがある。
本発明の角質剥離用粘着剤組成物は、上記のような油脂吸収材を含有するため、角質層の表面を覆う皮脂を効率よく吸収し除去することができる。そのため、皮脂の存在に起因する粘着力の低下がなく、角質剥離能に極めて優れる粘着層を形成することができる。
粘着成分としては、その粘着力により角質を剥離することができるものであればよく、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着力の制御が容易である点で、アクリル系粘着剤が好ましい。
その他の成分としては、薬剤、保湿剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、隠蔽剤、可塑剤、ワックス、着色剤、無機フィラー、有機フィラー等の各種添加剤が挙げられる。
本発明の角質剥離用粘着シートは、本発明の角質剥離用粘着剤組成物からなる粘着層を有することを特徴とする。
アクリル系粘着剤の酢酸エチル溶液(アクリル酸2−エチルヘキシルエステル70質量%とN−ビニルピロリドン25質量%の共重合体、固形分:50質量%)に、合成ゼオライト(A−4、和光純薬工業社製)を、前記アクリル系粘着剤の乾燥重量100質量%に対して20.8質量%混合し、混合液1を得た。
次に、剥離シートとして、厚さ38μmのシリコーン樹脂で片面が剥離処理されたPETフィルム製剥離シートを用意し、その離型面に、前記混合液1を、乾燥後の坪量が30g/m2となるように塗布後、加熱乾燥し、粘着層を形成した。得られた粘着層の上に、支持体としてのPETフィルム(ルミラー、平均厚さ:50μm、東レ社製)をラミネートして、角質剥離用粘着シート1を作製した。
実施例1において、合成ゼオライト20.8質量%の代わりに、下記第1表に示す油脂吸収材を、第1表に示す量用いた以外は、実施例1と同様にして、角質剥離用粘着シート2〜9を作製した。表中、油脂吸収材A〜Gは、以下のものを表す。
B:シリカル、日鉄鉱業社製
C:ウレパールUS−01、コニシ社製
D:ウレパール試作品−501、コニシ社製
E:YMC-Pack ODS−A、ワイエムシィ社製
F:微粒子炭パウダー、ピーチピッグ社製
G:超微粒子シルクパウダー、マンデイ・ムーン社製
油脂吸収材の平均粒径をJIS Z8825−1(粒子径解析−レーザー回折法)に準拠して、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、商品名「LA−920」、He−Neレーザ波長:632.8nm)を用いて測定した。
また、各材料の屈折率は、精製水:1.333、酢酸エチル:1.372、油脂吸収材A:1.5、油脂吸収材B:1.5、油脂吸収材C:1.5、油脂吸収材D:1.5、油脂吸収材E:1.5、油脂吸収材F:1.8、油脂吸収材G:1.4であった。
油脂吸収材の吸油量をJIS K5101−13−1(精製あまに油法)に準拠して、測定した。
合成ゼオライトを用いない他は、実施例1と同様にして、角質剥離用粘着シート10を作製した。
ニチバン社製セロテープ(登録商標)を、角質剥離用粘着シート11とした。
角質剥離量をタンパク質定量法(Lowry法)に準拠して測定した。
まず、角質剥離用粘着シートを人間の額に5分間貼付後剥離し、剥離したシートを規定のサイズに打ち抜き、DCプロテインアッセイキット(バイオラッドラボラトリーズ社製)にて角質剥離量(タンパク質量、μg/cm2)を測定した。〔参照:F.Dreher, Colorimetric Method for Quantifying Human Stratum Corneum Removed by Adhesive−Tape−Stripping,Acta Derm Veneresol(Stockh) 1998;78:186−189〕
角質剥離用粘着シートを人間の額に5分間貼付後剥離した。前記額の角質剥離部位にろ紙を1分間固定した後、このろ紙を、四酸化オスミウム蒸気中に15分間放置した。ろ紙の発色の度合いを肉眼で確認し、皮膚上の皮脂残量を、1:皮脂残量なし(発色なし)、2:皮脂残量わずか(わずかに発色)、3:皮脂残量あり(発色あり)、と評価した。
角質剥離用粘着シートをベークライト板に貼付して5分後のJIS Z0237に準拠して粘着力(モード:180°剥離,剥離速度:300mm/min,貼付時間:5分)を測定した。
Claims (6)
- 油脂吸収材および粘着成分を含有する角質剥離用粘着剤組成物であって、
前記油脂吸収材の、JIS K5101−13−1に準拠して測定される吸油量が、50ml/100g以上であり、
前記油脂吸収材が、油脂吸収能を有する微粒子であって、JIS Z8825−1に準拠して測定される平均粒径が、1〜100μmであること
を特徴とする角質剥離用粘着剤組成物。 - 前記油脂吸収材が、無機系材料、樹脂系材料、有機無機ハイブリッド材料、炭およびシルクからなる群から選ばれる少なくとも一種からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の角質剥離用粘着剤組成物。
- 前記油脂吸収材が、ゼオライト、シリカ、ウレタン樹脂、炭、シルク、および、表面が有機基で修飾されたシリカ微粒子から選択されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の角質剥離用粘着剤組成物。
- 前記粘着成分が、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、およびウレタン系粘着剤から選択されるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の角質剥離用粘着剤組成物から形成された粘着層を有する角質剥離用粘着シート。
- 角質剥離用粘着シートをベークライト板に貼付して5分後のJIS Z0237に準拠した粘着力(モード:180°剥離,剥離速度:300mm/min,貼付時間:5分)が、5〜25N/25mmである、請求項5に記載の角質剥離用粘着シート。
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