JP5089718B2 - 無線通信方法、及び無線通信装置 - Google Patents
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Description
更なる無線LANにおける伝送速度の高速化の技術として、最も注目されているのがマルチユーザMIMO送信技術である。マルチユーザMIMO送信技術とは、送信局側において複数の送信アンテナから同一周波数同一タイミングで異なる独立な信号を複数のアンテナを備える複数の通信相手に送信する。また、複数の通信相手の受信アンテナ全体を巨大な受信アレーとみなして下りスループットの向上を実現する技術である。
送信信号変換回路902は、送信モード決定回路から入力される送信モード情報に応じて、データ出力回路901により生成されたデータに対して誤り訂正符号化と変調とを行いベースバンド信号に変換する。ここで、送信モード情報には、誤り訂正符号化における符号化率と、変調方式とを示す情報が含まれている。
また、無線部903−1〜903−Mtは、それぞれがアンテナ素子904−1〜904−Mtを介して、無線端末装置より送信された信号を受信する。チャネル情報取得回路905は、無線部903−1〜903−Mtにより受信された信号に含まれる既知信号(プリアンブル)などに基づいて、アンテナ素子904−1〜904−Mtそれぞれと、無線端末装置のアンテナ素子との間のチャネル状態を示すチャネル情報を公知の方法を用いて算出(推定)する。
送信符号化法決定回路907は、通信相手選択回路906により選択された無線端末装置との間の伝送路に対応するチャネル情報をチャネル情報取得回路905により得られたチャネル情報から選択する。また、送信符号化法決定回路907は、選択したチャネル情報により各アンテナ素子904−1〜904−Mtから送信される信号系列それぞれの送信ウエイトと、通信品質とを無線端末装置ごとに算出する。
また、i番目の通信相手のチャネル行列に対し、次式(5)に示すように、このヌル空間ウエイトV− iを乗算して得られる行列の特異値を計算することで、この送信空間において得られる通信品質を評価(算出)することができる。
ここで、ベクトル(V− i[V'''i]L(i))を送信ウエイトWiとすることで、行列Σ'''iの対角成分の二乗値であるヌル空間固有値、λ'i,1,…,λ'i,Mr(i)に対応する品質が得られることになる。ここで、[A]Lは右特異行列Aの列ベクトルから、高い固有値に対応するL個の列ベクトルからなるMt×Lの行列を示す。
しかし、チャネル行列Hiに誤り又は誤差が含まれる場合、無線通信装置から各無線端末装置に送信される信号が互いに干渉して、伝送品質が劣化してしまう。
そのため、無線通信装置と各無線端末装置との間の伝送路の推定の誤差、すなわち、チャネル行列Hiの誤差を考慮する必要がある。このとき、チャネル行列Hiに含まれる誤差を考慮せずに、データストリーム数、変調方式、符号化率を設定すると、受信側の無線端末装置において、ビット誤りが生じて再送が頻繁に発生することにより通信速度が低下してしまう可能性が高い。この場合、マルチユーザMIMO通信による通信速度の効果を十分に得ることができないことがあるとともに、マルチユーザMIMO送信を利用しない場合よりも通信速度が低下してしまう可能性もある。
つまり、チャネル行列Hiの全ての要素が得られない場合、例えば、無線端末装置が無線通信装置にチャネル情報を送信する機能を有していない場合など、無線通信装置と各無線端末装置との間の伝送路を示すチャネル行例Hiを正確に得ることができないので、マルチユーザMIMO通信において互いの送信信号が干渉して通信品質が劣化して、通信速度の低下を招いてしまう可能性がある。
図1は、本発明の第1実施形態における無線通信装置100の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、無線通信装置100は、データ出力回路101と、送信信号変換回路102と、無線部103−1〜103−Mt(Mtは、2以上の自然数)と、アンテナ素子104−1〜104−Mtと、チャネル情報取得回路105と、チャネル情報記憶回路106と、チャネル情報誤差・条件判定回路107と、電力条件決定回路108と、通信方法決定回路109と、送信ウエイト決定回路110とを具備している。
また、送信信号変換回路102は、送信ウエイト決定回路110から入力される送信ウエイト情報に基づいて、送信信号に送信ウエイトを乗算する。
また、送信ウエイト決定回路110は、通信方法決定回路109から入力された情報に示される無線端末装置の組み合わせと、読み出したチャネル情報を用いて、各送信ビームが、対象となる無線端末装置のSNRを向上させ、それ以外の無線端末装置に干渉を生じないように送信ウエイトを算出する。また、送信ウエイト決定回路110は、無線端末装置ごとに算出した送信ウエイトと、無線端末装置ごとに割り当てられた送信電力とを示す送信ウエイト情報を送信信号変換回路102に出力する。
ここで、期待される伝送品質としては、例えば、式(5)で得られる行列Σi'''の対角要素の自乗値、ヌル空間固有値と、熱雑音の分散値との比を期待されるSNRとして用いることができる。この場合、通信方法決定回路109は、入力された伝送品質を満たす符号化率及び変調方式を選択して送信信号変換回路102に出力するようにしてもよい。このとき、通信方法決定回路109には、例えば式(8)で得られるSNRの値ごとに対応付けられ、伝送品質を満たす符号化率及び変調方式を記憶したテーブルを予め設けておき、推定されたSNRに対応する符号化率及び変調方式を当該テーブルから読み出して選択するようにしてもよい。
まず、チャネル情報誤差・条件判定回路107がチャネル情報(チャネル行列Hi)の誤差から許容送信電力条件を算出する過程について説明する。
無線通信装置100から各無線端末装置にデータを送信する際に用いるチャネル情報に誤差が含まれる場合、式(7)に示した周波数利用効率C(Ma) iは、次式(9)と表すことができる
また、3行目から4行目への変換では、j番目の無線端末装置への送信において、各ストリームに割り当てる電力は、等電力であり、PA,i/L(j)で表せると仮定している。4行目から5行目の変換では、行列ΔHiの要素における、分散値σH,i 2を用いて、ΔHiのフロベニウスノルムの二乗値‖ΔHi‖F 2が、MrMtσH,i 2と表せることを利用している。
式(16)において、i番目の通信相手へのSINRの期待値はすなわち、i番目の無線端末装置に対するチャネル推定誤差σH,i 2と、i番目の無線端末装置以外に送信電力Γiに依存することがわかる。i番目の無線端末装置以外に送信電力Γiは次式(17)のように表せる。
または、信号対雑音比が小さいほど、時間位置検出や、周波数ずれ補償などのアルゴリズムの精度が下がるため、αiをi番目の無線端末装置の信号対雑音比がさがるほど大きくなるように設定することもできる。
まず、無線通信装置100が通信を行う無線端末装置が、チャネル情報を無線通信装置100に送信できない場合について説明する。この場合には、無線通信装置100は、無線端末装置が有するアンテナ素子それぞれとの伝送路の状態を取得することができないため、チャネル行列Hiを推定することができない。しかし、チャネル行列Hiのフロベニウスノルムの値は、送信及び受信における信号の信号対雑音比から推定することができる。
これにより、チャネル行列の推定ができない場合においても、式(11)の場合と同様に、チャネル推定における誤差を定義することができる。また、チャネル情報取得回路105が推定したチャネル行列Giは、式(21)のようにとらえることができる。
チャネル行列のフロベニウスノルムが−80dBと推定される通信端末装置に対して、許容できる減衰量D=−3dBとし、熱雑音電力を−80dBmとする場合について説明する。
また、許容できる減衰量D=−1dBと条件を厳しくした場合、許容送信電力条件Γmax,iは、Γmax,i=(−80dBm−(−80dBm))×0.25893=0dBm−5.8683dB=−5.8683dBmに設定できる。
この場合は、例えば、無線端末装置からパイロット信号や、プリアンブルなどのチャネルを推定することのできる信号を送信する場合や、無線端末装置が有する複数のアンテナ素子のうち一部のアンテナ素子に対応するチャネル情報を無線通信装置100にフィードバックする場合が該当する。このような場合、無線通信装置100は、通信する無線端末装置に対するチャネル行列の全ての要素を得ることはできないが、一部の要素について推定することができる。
このように、チャネル行列のうち推定可能なアンテナ素子の割合が増えると、許容送信電力条件Γmax,iを大きく設定することができる。
図3は、本実施形態における無線通信装置100の通信相手となる無線端末装置の一例を示す図である。図示するように、無線端末装置M1〜M6それぞれに対して、チャネル行列のノルムと、チャネル情報を送信するチャネル通知機能の有無と、無線通信装置100からの送信電力が15dBmのときの信号対雑音比と、チャネル推定誤差と、チャネル推定誤差におけるずれを表すαと、許容し得る減衰量D=−3dBにおける許容送信電力Γmax,iと、許容し得る減衰量D=−1dBにおける許容送信電力Γmax,iとを示している。ここでは、熱雑音レベルは、−80dBとしている。
また、チャネル推定誤差には、チャネル情報を通知する機能を有していない無線端末装置に対してチャネル行列のノルムと同じ値が設定され、一部のアンテナ素子に対してチャネル情報を取得することができる無線端末装置に対してチャネル行列のノルムより3dB小さい値が設定されている。例えば、4素子のアンテナを無線端末装置が有し、1素子に対応するチャネル情報のみが得られる場合にはチャネル行列のノルムより1.25dB(=10log10(3/4))小さい値を設定できる。
許容し得る減衰量D=−3dBとしたとき、無線端末装置M1の許容送信電力条件は−20dBmである。また、他の無線端末装置M2〜M6のチャネル行列ノルムが−55dB以下であるため、送信電力−20dBmにより送信すると、各無線端末装置M2〜M6における受信電力は、最大でも熱雑音より5dBしか高くならず、−75dBm以下となってしまう。信号対雑音電力比5dB以下で伝送可能な変調方式や誤り訂正符号がない場合、無線端末装置M1は、他の無線端末装置M2〜M6と組み合わせるマルチユーザMIMO送信の対象にはならないため、シングルユーザモードで送信を行う必要がある。
通信方法決定回路109は、上記の符号化率及び変調方式が選択でき、かつ、マルチユーザMIMO送信の伝送速度が個別に送信したときより高い場合、無線端末装置M2、M4とを対象とするマルチユーザMIMO送信によりデータを送信することを選択する。
無線端末装置M4は、平均SNRと同等のチャネル推定精度を有する(αi=1=0dB)。無線端末装置M5は、チャネルの推定から送信までの時間変動か、もしくは量子化誤差などの要因によりチャネル推定精度が無線端末装置M4より3dB低くなっている(αi=3dB)。無線端末装置M6は、複数のシンボルを用いてチャネル情報を推定することができ、チャネル推定誤差が無線端末装置M4より3dB高くなっている(αi=−3dB)。
簡単のため、通信方法決定回路109は、例えば、無線端末装置M4に対する送信電力を12dBmとし、無線端末装置M6に対する送信電力を9dBmとした場合を考える。
そして、通信方法決定回路109は、同様の判定を行い、判定結果に応じて、無線端末装置M4及び無線端末装置M5を組み合わせたマルチユーザMIMO送信と、無線端末装置M4に対するシングルユーザMIMO送信とのいずれか一方を選択する。
このとき、無線端末装置M4に割り当てる送信電力は、無線端末装置M5の許容送信電力条件Γmax,iから6.13dBm−3dB=3.13dBとして得られる。ここで、3dBを引いているのは、無線端末装置M4と無線端末装置M6とで、6.13dBmの電力を等分しているからである。同様に、無線端末装置M6の送信電力条件も3.13dBmとなる。
無線端末装置M5に割り当てる送信電力は、無線端末装置M6に既に3.13dBm=2.05mWの送信電力を割り当てているので、9.13dBm−2.05mW=6.13mW=7.87dBmが設定される。
そして、通信方法決定回路109は、同様の判定を行い、判定結果に応じて、無線端末装置M4〜M6を組み合わせたマルチユーザMIMO送信と、無線端末装置M4に対するシングルユーザMIMO送信とのいずれか一方を選択する。
まず、チャネル情報取得回路105は、無線部103−1〜103−Mtを通じて、各無線端末装置との間のチャネル情報を取得して、チャネル情報記憶回路106に記憶させる(ステップS401)。
チャネル情報取得回路105は、受信される信号に無線端末装置の時間変動を通知する信号が含まれていれば取得し、これもチャネル情報記憶回路106に出力する。チャネル情報誤差・条件判定回路107は、チャネル情報記憶回路106に記憶されているチャネル情報の信号対雑音比から推定される推定誤差、複数の時間に対して記憶されたチャネル情報の時間変動から推定される環境の変化による推定誤差、チャネル推定のために用いたフィードバック信号のビット数、チャネル推定から送信までに要する時間、の少なくとも一つから、無線端末装置に対応するチャネル推定誤差を推定する(ステップS402)。
通信方法決定回路109は、通信対象とする無線端末装置のうちから第一の無線端末装置を1つ選択する(ステップS404)。通信方法決定回路109は、電力条件決定回路108により算出された許容送信電力条件Γmax,iに基づいて、選択した第一の無線端末装置と同時に同一周波数によりデータを送信する無線通信端末を選択し、選択された無線通信端末の許容送信電力条件を満たすか判定する(ステップS405)。
すなわち、ステップS405では、選択した第一の無線端末装置の許容送信電力条件Γmax,iを満たす無線端末装置を選択(スケジューリング)し、データを送信する対象の無線端末装置の組み合わせを決定する。
また、通信方法決定回路109は、選択された無線端末装置の組み合わせから得られる信号対雑音比と、選択された無線端末装置それぞれに割り当てられた送信電力とに基づいて符号化率及び変調方式を無線端末装置ごとに選択する(ステップS407)。
また、通信を行う複数の無線端末に対し、それぞれを第一の無線端末装置として、通信相手の組み合わせ、電力割り当て、変調方式・符号化率を決定し、異なる時間・周波数チャネルでそれぞれを第一無線端末装置とした送信を行うことができる。すなわち、無線端末装置の複数の組み合わせを選択し、無線端末装置の組み合わせそれぞれに対して異なる周波数チャネルを割り当て、同時にデータを送信するようにしてもよい。また、無線端末装置の組み合わせそれぞれに対して異なる時間においてデータを送信するようにしてもよい。
なお、条件を規定値による倍数ではなく、増加するビット数で定めてもよい。
3つ以上の無線端末装置がマルチユーザMIMO送信の受信対象となるとき、まず、通信方法決定回路109は、送信相手となる無線端末装置を選択すると、その中で第一の無線端末装置を決定し(ステップS501)、第一の無線端末の許容送信電力条件Γmax,iを算出する。他の無線端末装置への送信電力をΓmax,iとしてもよいが、無線通信装置100の最大送信電力の制約があるため、この値が大きいと第一の無線端末装置に十分な送信電力を割り当てられなくなる場合がある。このため、第一の無線端末装置への最低送信電力は、予め定めておく。例えば、7dBmなど、電力値で設定するようにしてもよいし、通信装置で送信できる最大電力(15dBmなど)を同時同一周波数チャネルで送信する無線端末装置で割ったものとしてもよい。同様に、第一の無線端末装置以外の無線端末装置へ送信する送信電力に最大値を設定し、10dBm以下、のように定めておいてもよい。ここで、第一の無線端末装置以外への送信電力の最大値をPMとすると、第一の無線端末装置以外への送信電力はmin(PM,Γmax,i)と表すことができる。(ステップS502)。なお、許容送信電力条件Γmax,iで示される電力を割り当てる際には、それぞれの無線端末装置に等分して割り当ててもよいし、予め定められた優先度に応じて割り当ててもよい。
総スループットの既定値は例えば、シングルユーザMIMO通信におけるスループットの既定値倍(1.5倍など)としたり、ステップS502で選択した無線端末装置の数より低い無線端末装置の数の時の総スループットを用いてもよい。または、スループットではなくSNRやSINRを用いた指標としてもよい。
また、ステップS503において伝送品質をチェックする際に、第一の無線端末装置以外の無線端末装置への許容送信電力条件のみを考慮することもできるし、第一の無線端末装置以外の無線端末装置においても、許容送信電力条件を考慮し、これらの許容送信電力条件も満たすように送信電力の分配を決定し、それぞれの無線端末装置に対して、伝送品質の判定を行うようにしてもよい。
チャネル情報取得回路105は、セルの内側に位置する他の無線通信装置と通信する無線端末装置との間のチャネル情報を推定する。そして、通信方法決定回路109は、通信対象の無線端末装置に対する送信電力を決定する際に、セルの内側に位置する無線端末装置のチャネル情報に基づいて、当該無線端末装置における干渉電力が予め定められた干渉電力値以下となるように送信電力を決定するようにしてもよい。また、この送信電力に応じて、符号化率、変調方式、及び送信ウエイトを決定するようにしてもよい。
これにより、他の無線通信装置への干渉を抑制することができ、他の無線通信装置が送信を行っている時間においても送信することが可能となる。
図6は、本発明の第2実施形態における無線通信装置200の構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、無線通信装置200は、データ出力回路101と、送信信号変換回路102と、無線部103−1〜103−Mt(Mtは、2以上の自然数)と、アンテナ素子104−1〜104−Mtと、チャネル情報取得回路105と、チャネル情報記憶回路106と、チャネル情報誤差・条件判定回路107と、電力条件決定回路108と、通信方法決定回路209と、送信ウエイト決定回路110と、組み合わせ評価回路211とを具備している。本実施形態の無線通信装置200は、第1実施形態の無線通信装置100における通信方法決定回路109に替えて通信方法決定回路209を具備した点と、組み合わせ評価回路211を具備した点とが異なる。
なお、無線通信装置200において、第1実施形態の各部と同じ構成には、同じ符号を付してその説明を省略する。
また、通信方法決定回路209は、選択した無線端末装置の組み合わせを示す情報をデータ出力回路101に出力する。また、通信方法決定回路209は、選択した無線端末装置の組み合わせを示す情報と、各無線端末装置に割り当てた送信電力を示す情報とを送信ウエイト決定回路110に出力する。また、通信方法決定回路209は、選択した無線端末装置ごとに設定した符号化率及び変調方法を示す送信モード情報を送信信号変換回路102に出力する。
まず、チャネル情報取得回路105は、無線部103−1〜103−Mtを通じて、各無線端末装置との間のチャネル情報を取得して、チャネル情報記憶回路106に記憶させる(ステップS701)。
チャネル情報誤差・条件判定回路107は、無線部103−1〜103−Mtにより受信される信号に含まれる既知信号により、チャネル情報の時間変動を推定する。そして、チャネル情報誤差・条件判定回路107は、チャネル情報記憶回路106に記憶されているチャネル情報と、推定したチャネル情報の時間変動とからチャネル情報の誤差とチャネル情報推定条件のいずれか一方、もしくは両方を推定する(ステップS702)。
組み合わせ評価回路211は、チャネル情報記憶回路106にチャネル情報が記憶されると(ステップS701が完了すると)、チャネル情報記憶回路106に記憶されているチャネル情報に基づいて、無線端末装置の組み合わせごとに各無線端末装置の受信信号電力の減衰量を推定(算出)し、算出した減衰量を示す減衰量情報を記憶する(ステップS709)。
通信方法決定回路209は、選択された無線端末装置の組み合わせと、選択された無線端末装置それぞれに割り当てられた送信電力に基づいて符号化率及び変調方式を無線端末装置ごとに選択する(ステップS707)。
また、ステップS704をステップS701の前に行い、通信相手が選択された後に、チャネル情報を取得し、チャネル推定誤差から許容送信電力条件Γmax,iを算出するようにしてもよい。このとき、ステップS709において、組み合わせ評価回路211は、選択された無線端末装置に対し、チャネル情報記憶回路106に記憶されているチャネル情報から受信信号電力の減衰量を推定するようにしてもよい。また、チャネル情報取得回路105は、ステップS706が行われる前に、チャネル情報の更新を行ってもよい。これにより、送信ウエイトの算出に最新のチャネル情報と減衰量情報とを用いることができ、チャネル推定誤差を小さくすることができる。
また、無線部103−1〜103−Mtに設けられるデジタル−アナログ変換器(Digital-Analogue Converter;DAC)の有効ビット数からチャネル推定誤差を算出し、送信可能となる電力制限値を予め定めておき、この電力制限値より大きい電力値をとる場合のみ送信可能としてもよい。
また、熱雑音の分散値σ2は予め既知のものとして記載したが、無信号区間において計測してもよいし、予めメモリに保持しておいてもよい。
また、送信電力条件を求める際に用いる熱雑音の分散値σ2は正確な値である必要はなく、実際の熱雑音の分散値より小さめ、又は大きめに設定するようにしてもよい。
他の無線端末装置への送信電力Γiと送信電力Γ0の比、つまり電力の分配比となっていることが予想される。4ユーザへの送信電力を等電力に配分すると、この比Γi/Γ0は0.75となる。式(19)でαi=1とすれば、干渉対雑音比の期待値は0.75であるはずである。
同図において、横軸はINRを示し、縦軸は累積確率分布(Cumulative Distribution function;CDF)を示している。同図には、2つのデータストリームそれぞれに対し、累積確率分布(CDF)を示している。MMSEによる線形の受信ウエイトによる復号を行った。図8において、第1ストリーム(First data stream)と、第2ストリーム(Second data stream)の結果が示されているが、期待値はそれぞれ0.740と0.748になっており、ほぼ予測された結果になっている。ただし、図8で明らかなように、期待値は予想できるが、実際の値はおおきくばらついている。よって、最悪ケースを考える設計にすることもでき、式(19)及び式(20)においてαiを大きめに設定するなどして、干渉電力の増大を抑えることもできる。
ここで、図9(c)では、3つの無線端末装置をそれぞれ第一の無線端末と指定した3つの送信ブロックに分けて送信しており、許容送信電力条件を第一の無線端末装置にのみ指定した例を示している。無線端末装置3を第一の無線端末装置とした際に、無線端末装置2が同時・同一周波数チャネルで送信されていない理由は、同図に示された電力配分において、無線端末装置2へのデータストリームが予め定めた品質を満たさなかったためである。ここで、無線端末装置1はチャネル推定誤差が小さいため、他の無線端末への許容送信電力条件が大きく、無線端末装置3を第一の無線端末装置とした場合の許容送信電力条件は小さいことが分かる。このように制御すると、チャネル推定誤差が大きい場合は図9(a)に近づき、チャネル推定誤差が小さい場合は図9(b)になるため、このシングルユーザMIMO通信と、マルチユーザMIMO通信の中間の特性を有することが分かる。
101…データ出力回路
102…送信信号変換回路
103−1〜103−Mt…無線部
104−1〜104−Mt…アンテナ素子
105…チャネル情報取得回路
106…チャネル情報記憶回路
107…チャネル情報誤差・条件判定回路
108…電力条件決定回路
109、209…通信方法決定回路
110…送信ウエイト決定回路
211…組み合わせ評価回路
Claims (9)
- 複数のアンテナ素子を備え、複数の無線端末装置に対し、同一周波数チャネル及び同一時間に空間多重してデータを送信する無線通信装置における無線通信方法であって、
前記複数の無線端末装置と、前記複数のアンテナ素子との伝送路の状態を示すチャネル情報を推定するチャネル情報取得ステップと、
推定された前記チャネル情報の推定誤差を、信号対雑音電力比、伝搬環境の時間変動、チャネル推定から送信までに要する時間、チャネル情報のフィードバックに用いたビット数、の少なくとも一つから算出するチャネル情報誤差・条件判定ステップと、
算出された前記推定誤差に基づいて、前記複数の無線端末装置ごとに、該無線端末装置と共に空間多重されたデータを送信する他の無線端末装置に対して割り当てる送信電力の上限値を示す許容送信電力条件を算出する送信電力条件決定ステップと、
前記複数の無線端末装置から算出された前記許容送信電力条件を満たす無線端末装置の組み合わせを選択し、選択した無線端末装置それぞれに対して送信電力配分、符号化率、変調方式を決定する通信方法決定ステップと、
選択された無線端末装置のチャネル情報から、送信ウエイトを演算する送信ウエイト決定ステップと、
選択された無線端末装置それぞれに対して、決定された送信電力、符号化率、変調方式、及び送信ウエイトによりデータを空間多重して送信する送信ステップと
を有することを特徴とする無線通信方法。 - 通信方法決定ステップにおいて選択した無線端末装置それぞれに対し、データを空間的に多重して送信する際の干渉抑圧処理による受信信号電力の減衰量を算出する減衰量ステップを有し、
前記通信方法決定ステップにおいて、算出された前記許容送信電力条件と、選択した無線端末装置それぞれに対して算出された受信号電力の減衰量とに基づいて、送信電力配分、符号化率、変調方式、送信ウエイトを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信方法。 - 前記通信方法決定ステップにおいて、選択した無線端末装置のうち信号電力対干渉雑音電力比の大きさが、予め定めた最小信号電力対干渉雑音電力比より小さくなる無線端末装置を、同一周波数チャネル及び同一時間に空間多重してデータを送信する無線端末装置の組み合わせから外す
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の無線通信方法。 - 前記通信方法決定ステップにおいて、選択した無線端末装置のうち最もチャネル推定誤差が大きい無線端末装置を、同一周波数チャネル及び同一時間に空間多重してデータを送信する無線端末装置の組み合わせから外した際に、残りの無線端末装置で得られるスループットの上昇が、外された無線端末装置へのスループットより大きい場合、選択した無線端末装置の組み合わせから最もチャネル推定誤差が大きい無線端末装置を外す
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の無線通信方法。 - 前記許容送信電力条件は、無線端末装置に備えられているアンテナの全て、または一部に対するチャネル情報が得られない場合、該無線端末装置に備えられているアンテナの数に対するチャネル情報が得られないアンテナの数の比を、信号電力対熱雑音電力比に乗じて算出されるチャネル推定誤差に基づいて算出される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線通信方法。 - 前記通信方法決定ステップにおいて、データを送信したい無線端末装置を第一の無線端末装置として選択し、第一の無線端末装置の許容送信電力条件に基づいて、同一周波数チャネル及び同一時間に空間多重してデータを送信する無線端末装置の組み合わせを決定し、各無線線端末装置に対する送信電力分配、符号化率、変調方式、及び送信ウエイトを算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の無線通信方法。 - 前記通信方法決定ステップにおいて、自無線通信装置が通信対象としない他の無線通信装置が通信している無線端末装置が、通信可能領域内にある場合、該無線端末装置との間のチャネル情報を推定し、推定したチャネル情報に基づいて、該無線端末装置における干渉電力が予め定められた干渉電力値以下となる送信電力分配、符号化率、変調方式、及び送信ウエイトを、選択した無線端末装置に対して決定する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の無線通信方法。 - 前記通信方法決定ステップにおいて、無線端末装置の複数の組み合わせを選択し、無線端末装置の組み合わせごとに送信電力分配、符号化率、変調方式、及び送信ウエイトを決定し、無線端末装置の組み合わせごとに異なる周波数チャネルを割り当て、無線端末装置の各組み合わせに対して同一時間に空間多重してデータを送信する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無線通信方法。 - 複数のアンテナ素子を備え、複数の無線端末装置に対し、同一周波数チャネル及び同一時間に空間多重してデータを送信する無線通信装置であって、
前記複数の無線端末装置と、前記複数のアンテナ素子との伝送路の状態を示すチャネル情報を推定するチャネル情報取得回路と、
前記チャネル情報取得回路により推定されたチャネル情報を記憶するチャネル情報記憶回路と、
前記チャネル情報記憶回路に記憶されてているチャネル情報に基づいて、前記複数の無線端末装置それぞれのチャネル情報の推定誤差を、信号対雑音電力比、伝搬環境の時間変動、チャネル推定から送信までに要する時間、チャネル情報のフィードバックに用いたビット数、チャネル推定可能なアンテナと受信アンテナ全体の比、の少なくとも一つから算出するチャネル情報誤差・条件判定回路と、
算出された前記推定誤差に基づいて、前記複数の無線端末装置ごとに、該無線端末装置と共に空間多重されたデータを送信する他の無線端末装置に割り当てる送信電力の上限値を示す許容送信電力条件を算出する送信電力条件決定回路と、
前記複数の無線端末装置から算出された前記許容送信電力条件を満たす無線端末装置の組み合わせを選択し、選択した無線端末装置それぞれに対して送信電力配分、符号化率、変調方式を決定する通信方法決定回路と、
選択された無線端末装置のチャネル情報から、送信ウエイトを演算する送信ウエイト決定回路と、
選択された無線端末装置それぞれに対して、決定された送信電力、符号化率、変調方式、及び送信ウエイトによりデータを空間多重して送信する無線部と
を具備することを特徴とする無線通信装置。
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