本発明に係る現像装置は、現像剤;当該現像装置を収容している現像容器;現像剤を表面に担持し、回転自在に保持された現像剤担持体;及び該現像剤担持体上の現像剤量を規制するための現像剤層厚規制手段、を具備している。
現像剤(トナー)は、特定の荷電制御樹脂及び荷電制御剤を有する。
現像剤担持体は、基体表面上に形成された樹脂被覆層が結着樹脂、黒鉛粒子及びイミダゾール環を有する化合物を含有し、該イミダゾール環を有する化合物を特定の割合で含む。この両者を組み合わせることで、良好な現像特性、特に細線再現性や孤立ドット再現性の如き高精細な画像を与える現像装置を得られる。
(現像剤)
先ず、本発に用いられる現像剤(トナー)について説明する。
本発明の現像剤(トナー)は、少なくとも結着樹脂とスルフォン酸基、スルフォン酸塩基、スルフォン酸エステル基のいずれかを有する重合体(A)と下記一般式(1)で示される金属錯塩化合物(B)を有するトナー粒子を含有する。
[式中、X
1およびX
2は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基またはハロゲン原子を表わし、X
1とX
2は同じであっても異なっていてもよく、mおよびm’は1〜3の整数を表わし、R
1およびR
3は水素原子、C
1〜C
18のアルキル、アルケニル、スルフォンアミド、メシル、スルフォン酸、カルボキシエステル、ヒドロキシ、C
1〜C
18のアルコキシ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基またはハロゲン原子を表わし、R
1とR
3は同じであっても異なっていてもよく、nおよびn’は1〜3の整数を表わし、R
2およびR
4は水素原子またはニトロ基を表わし、A
+は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンを表わす。]
上記重合体(A)及び金属錯塩化合物(B)はいずれも荷電制御剤としてトナー中に添加されるものである。このうち重合体(A)は、負摩擦帯電性に優れているために、トナーの摩擦帯電量を高くすることに対しては有効である。しかし、重合体(A)を単独で使用した場合、低湿度環境下の如きプリントを実施する環境によってはトナーに過多の摩擦帯電が付与され易くなる。特に、現像剤層厚規制部材が現像剤担持体と当接するタイプの現像装置で採用した場合、その傾向が顕著に表れる。この時、現像剤担持体上のトナー層の内側に存在するトナー粒子は、表面側に存在するトナー粒子に比べて摩擦帯電量が非常に高くなり、鏡映力により現像剤担持体近傍で不動となる。これによって現像剤担持体上のトナー層の表面側に存在するトナー粒子は、現像剤担持体表面との摩擦帯電付与が十分にされなくなる。そのため、現像剤担持体上のトナーは帯電量が不均一となってしまい、十分な現像特性を得ることができなくなってしまう。
この課題を解決するためには、現像剤担持体上トナー層の内側に存在するトナー粒子が有する過多な摩擦帯電量を緩和する必要がある。そのために本発明者が鋭意検討を実施したところ、重合体(A)に加えて金属錯塩化合物(B)を併用することで前記の問題を低減できることを見出した。この理由はまだ明確ではないが、以下のように考えている。即ち、金属錯塩化合物(B)自身が有する摩擦帯電付与能は重合体(A)よりも低いため、両方の荷電制御成分を有したトナーを使用した場合は、トナー全体として両方の摩擦帯電特性を保持することになる。その結果、重合体(A)を単独で使用した場合のように過多な摩擦帯電量を有したトナーの存在比率を下げることができ、現像剤担持体上に存在するトナーの摩擦帯電量の均一化を図ることができるようになると推測している。
一方、金属錯塩化合物(B)を単独で使用した場合は、十分な負の摩擦帯電量を得ることは困難であるため、例えば高湿度環境下でプリントを実施した際に、摩擦帯電量不足に伴う濃度低下の如き現像特性の悪化をもたらしてしまう。
重合体(A)としては、本発明の効果を最大限に発揮する点で、特にスチレン系単量体及びアクリル系単量体とスルフォン酸含有アクリルアミド単量体との共重合体(スルフォン酸基含有共重合体)を好ましく用いることができる。
重合体(A)に用いられるスチレン系単量体及びアクリル系単量体としては、上述のビニル系共重合体を生成する為のビニル系モノマーの中から適宜選択される。好ましくはスチレンとアクリル酸エステル、又は、スチレンとメタクリル酸エステルとの組み合わせが挙げられる。
重合体(A)に用いられるスルフォン酸含有アクリルアミド系単量体の例として以下のものが挙げられる。2−アクリルアミドプロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルフォン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルフォン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルフォン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルフォン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルフォン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルフォン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルフォン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルフォン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルフォン酸など。この中で、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸が摩擦帯電性の面からより好ましい。
重合体(A)を合成する際に使用される重合開始剤としては、上述のビニル系共重合体を生成する際に使用される開始剤の中から適宜選択される。好ましくは過酸化物開始剤が使用される。また、重合体(A)の合成方法としては特に制限はなく、溶液重合、懸濁重合、塊状重合の如き製造方法のいずれも使用可能であるが、低級アルコールを含む有機溶剤中で共重合させる溶液重合が好ましい。
スチレン系単量体及びアクリル系単量体とスルフォン酸含有アクリルアミド系単量体との共重合質量比は、スチレン系単量体及びアクリル系単量体:スルフォン酸含有アクリルアミド系単量体=98:2乃至80:20であることが好ましい。共重合質量比を上記範囲内とすることで、十分な摩擦帯電特性と環境安定性を得ることができる。
重合体(A)の酸価(mgKOH/g)は3.0以上80.0以下が好ましい。より好ましくは5.0以上50.0以下が良い。さらに好ましくは10.0以上40.0以下が良い。酸価を上記範囲内に設定することで、高温高湿下での水分の影響を受け難くし、環境特性を良好なものとすることができる。
重合体(A)の分子量は重量平均分子量(Mw)は2000以上200000以下であればよいが、好ましくは17000以上100000以下であり、より好ましくは27000以上50000以下である。重量平均分子量(Mw)を上記範囲内に設定することで、トナーの結着樹脂中での分散性を良好にできるため、摩擦帯電特性及び環境安定性に優れたものとすることができる。
重合体(A)のガラス転移点(Tg)は30℃以上120℃以下であれば良いが、好ましくは50℃以上100℃以下であり、更に好ましくは70℃以上95℃以下である。重合体(A)のガラス転移点(Tg)を上記範囲内とすることでトナーの流動性を良好に維持することができるため、現像特性を良好なものとすることができる。
なお、重合体(A)のトナーからの抽出は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
更に重合体(A)は、結着樹脂100質量部当り0.8質量部以上5.0質量部以下含有されていることが良い。好ましくは0.9質量部以上4.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以上4.0質量部以下である。重合体(A)の存在比率を上記範囲内に制御することによって、トナー中の他材料との相溶性を良好に保つことができ、特に低湿度環境下での過剰な摩擦帯電付与を未然に防止することができる。ここでトナー中の重合体(A)の含有量は、キャピラリー電気泳動法の如き方法を用いて測定することができる。
金属錯塩化合物(B)は、ジアゾ化置換アミノフェノールと置換ナフトールとをカップリング反応させ、その後得られた生成物を硫化鉄の如き鉄塩と結合させることにより調製したものが好ましい。
具体例としては、以下の構造式を有する化合物が挙げられる。
中でも、金属錯塩化合物(B−1)が、重合体(A)のチャージアップ抑制及び摩擦帯電量の均一化を図る上でより好ましい。
該金属錯塩化合物(B)は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上8.0質量部以下、好ましくは0.1質量部以上6質量部以下の範囲で用いることができる。この範囲内に制御することにより、現像スリーブ上トナーの摩擦帯電量均一化を容易に達成することができるようになる。
本発明に用いることのできる現像剤(トナー)の結着樹脂としては、一般に公知の樹脂が使用可能であり、以下のものが挙げられる。ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂。この中でも特にビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。更に結着樹脂としては、酸価が5.0mgKOH/g以上50.0mgKOH/g以下のものが好ましい。このような結着樹脂を用いると、結着樹脂に対する金属錯塩化合物(B)の相溶性が向上する。(金属錯塩化合物(B)が結着樹脂中でミクロドメインを形成する。)更にはバインダー樹脂自身の電荷受容性が高まり、これらの相乗効果によって、トナーの摩擦帯電性の向上及び摩擦帯電量の均一化を図ることが可能となる。なお、本発明における酸価は、JIS K−0070に準ずる方法により測定を行なった。
また、現像剤(トナー)が磁性現像剤(トナー)である場合、用いることのできる磁性材料(磁性粉)としては、以下のものが挙げられる。マグネタイト、マグヘマタイト、フェライトの酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niの金属、あるいは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vの如き金属との合金、及びこれらの混合物。特に本発明は、現像剤が磁性トナー粒子を含む磁性一成分系現像剤を用いた系で、効果を有効に発現することができるため、好ましい。
なお上記磁性粉に、着色剤としての役目を兼用させて使用してもかまわない。
本発明に用いることのできる現像剤(トナー)に使用し得る着色剤としては、任意の適当な顔料または染料が挙げられる。
本発明に用いることのできる現像剤(トナー)には離型剤を使用することが好ましい。離型剤としては、以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの脂肪族炭化水素系ワックス、カルナバワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。
本発明に使用できる現像剤(トナー)には、環境安定性、帯電安定性、現像性、流動性、及び保存性向上のために、シリカ微粉体やアルミナの如き無機微粉体を適宜添加(外添)して用いることが好ましい。該無機微粉体は、環境安定化を図るために疎水化処理を施したものであることがより好ましい。また、以下のような外添剤を更に加えて用いても良い。ポリフッ化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンの滑剤、中でもポリフッ化ビニリデンが好ましい。或いは酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウムのクリーニング助材がある。
特に本発明においては、トナー粒子の外添剤としてハイドロタルサイト類化合物を用いることがより好ましい。該ハイドロタルサイト類化合物を添加することによって、摩擦帯電安定性に優れ、高画像濃度・潜像再現性を保持しつつ高品位で鮮鋭な画像が得られ、且つ広い転写ラチチュードが得られるという効果をもたらす。
該ハイドロタルサイト類化合物は、特登録3862412号公報にて紹介されているように、下記一般式(C)で示される不定比化合物である。
M2+ y M3+ x(OH)2An- (x/n)・mH2O (C)
(ただし、0<x≦0.5、y=1−x、m≧0、M2+:少なくともMg,Zn,Ca,Ba,Ni,Sr,Cu,Feから選ばれる2価の金属イオン、M3+:少なくともAl,B,Ga,Fe,Co,Inから選ばれる3価の金属イオン、An-:n価のアニオン)
2価又は3価金属は、少なくとも1種以上存在し、異なる元素を複数含有する固溶体であっても構わない。また、1価の金属を微量含んでも構わない。
本発明に使用することのできるハイドロタルサイト類化合物のAn-(n価のアニオン)としては、CO3 2-、OH-、Cl-、I-、F-、Br-、SO4 2-、HCO3 -、CH3COO-、NO3 -が例示され、単独或は複数存在しても構わない。
本発明に用いることのできるハイドロタルサイト類化合物の比表面積は、1.0m2/g以上、より好ましくは5.0m2/g以上が好ましい。
本発明に使用することのできるハイドロタルサイト類化合物は、表面処理剤によって疎水化処理を行なうことが環境安定化を図る上でも好ましい。表面処理剤としては、高級脂肪酸類、カップリング剤類、エステル類、シリコーンオイル類が使用可能である。
ハイドロタルサイト類化合物のトナーに対する添加量としては、トナー100質量部に対して0.03質量部以上3質量部以下(より好ましくは0.1質量部以上1.0質量部以下)である。添加量が0.03質量部未満の場合はハイドロタルサイト類化合物を添加した効果が十分ではなく、3質量部を超えると環境安定性が不十分となることがある。
本発明にて用いることのできるハイドロタルサイト類化合物としては、中でも2価の金属イオンがMg、3価の金属イオンがAlである一般式(D)で表示されるものが好ましい。
MgyAlx(OH)2An- (x/n).mH2O (D)
(ただし、0<x≦0.5、y=1−x、m≧0、An-:n価のアニオン)
なお本発明では、トナー粒子のフロー式粒子像測定装置で計測される円相当径3μm以上400μm以下のトナー粒子における平均円形度が0.950以上であることが好ましい。
このように種々の方法で、球形化処理、表面平滑化処理を施して用いると、転写性が良好となり好ましい。そのような方法としては、以下の方法がある。撹拌羽根またはブレード、およびライナーまたはケーシングを有する装置で、トナーをブレードとライナーの間の微小間隙を通過させる際に、機械的な力により表面を平滑化したりトナーを球形化したりする方法。温水中にトナーを懸濁させ球形化する方法。熱気流中にトナーを曝し、球形化する方法。
本発明に用いることのできる現像剤(トナー)を作成するには、結着樹脂、重合体(A)及び金属錯塩化合物(B)、着色剤としての顔料又は染料、磁性体、離型剤、その他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミキサーの如き混合機により充分に混合する。そして該混合物を、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融して樹脂類を互いに相溶せしめた中に離型剤、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解させる。その後冷却固化させた後、粉砕及び分級を行なってトナー粒子を得ることができる。そして必要に応じて、所望の外添剤をヘンシェルミキサーの如き混合機によりトナー粒子と充分に混合し、現像剤(トナー)を得ることができる。
トナーの製造に用いられる製造装置としては、以下のものが挙げられる。
混合機:ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)等。
混練機:KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井三池化工機社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等。
粉砕機:カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);lDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)等。
分級機:クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日新エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)等。この中でもエルボージェット等の多分割分級機がより好適に用いられる。
粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては以下のものが挙げられる。ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等。
他には以下のような方法がある。ディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化して得る方法。結着樹脂溶液中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することにより得る方法。懸濁重合方法を用いて生成する方法;水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法。樹脂微粒子及び着色剤を溶液中において会合させて生成させる会合重合法。
(現像剤担持体)
次に、本発明に使用できる現像剤担持体の構成について説明する。
現像剤担持体の基体としては、例えば円筒状部材、円柱状部材、ベルト状部材があるが、静電潜像担持体に非接触の現像方法においては、金属の剛体の円筒管もしくは中実棒が好ましく用いられる。なお、現像剤が磁性一成分タイプの時には、基体はアルミニウム、ステンレス鋼、真鍮の非磁性の金属または合金を円筒状に成型し、研磨、研削の処理を施したものが好適に用いられる。勿論、現像剤が非磁性一成分タイプのときには、非磁性の金属、合金に加えて、鉄、ニッケル、ステンレスの如き磁性を有するものを円筒状あるいは円柱状にしたものも使用可能である。
これらの基体は画像の均一性を良くするために、高精度に成型あるいは加工されて用いられる。例えば、長手方向の真直度は30μm以下もしくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下が好ましい。現像剤担持体と静電潜像担持体との間隙の振れ、例えば、垂直面に対し均一なスペーサーを介して突き当て、現像剤担持体を回転させた場合の垂直面との間隙の振れも30μm以下もしくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であることが好ましい。材料コストや加工のしやすさからアルミニウムが好ましく用いられる。
また、弾性層を有する基体としては、芯材と、ウレタンゴム、EPDM、シリコンゴムのゴム材料やエラストマーを含む層構成を有する円筒部材が、特に静電潜像担持体に現像剤担持体を直接接触させる現像方法の場合好ましく用いられる。
図2及び図3は本発明に用いることのできる現像剤担持体の模式断面図を示す。
図2は、樹脂被覆層1が金属製の円筒管からなる基体2上に形成されている様子を示す断面の模式図である。樹脂被覆層に導電性を付与するための黒鉛粒子b(詳細は後述する)が、イミダゾール環を有する化合物を含有する結着樹脂a中に分散されている形態を表わしたものである。該黒鉛粒子bは、樹脂被覆層1の表面への導電性付与以外に、トナーに対する離型性及びトナーへの摩擦帯電付与にも寄与している。図3は、樹脂被覆層1の表面に凹凸を形成し表面粗さを制御するため、結着樹脂a中に、更に球状の凹凸形成粒子cが添加されたモデル図を示し、凹凸形成粒子の粒径及び添加量を調整することで樹脂被覆層1の表面の凹凸を更に制御し易いようにした構成である。
このような構成は、現像剤層厚規制部材が現像剤担持体に対して(トナー粒子を介して)弾性的に圧接されるタイプの現像装置に用いる場合に有利である。すなわち、この樹脂被覆層1の表面の凹凸形成粒子cにより弾性規制部材の圧接力を規制し且つ黒鉛粒子bは小さな凹凸を形成して、トナー粒子と樹脂被覆層との摩擦帯電機会やトナー粒子との離型性を調整する役割も果たす。また凹凸形成粒子cは、凹凸形成以外に導電性や摩擦帯電付与性及び耐摩耗性の如き別の機能を持たせることも可能である。
本発明に用いることのできる現像剤担持体は、基体表面上に形成された樹脂被覆層が結着樹脂、黒鉛粒子及びイミダゾール環を有する化合物を含有する。そして、該樹脂被覆層表面のX線光電子分光分析により測定されるイミダゾール環の3位の窒素原子の存在比率が、0.02原子%以上0.50原子%以下である。
イミダゾール環の3位の窒素原子の存在比率を上記の数値範囲内とすることにより、本発明に係る現像剤(トナー)に対する均一な摩擦帯電付与性が十分なものとなる。また、現像剤(トナー)に対する摩擦帯電付与能が過度に高くなることがないため、低湿度環境下での連続プリントの如き使用を行なった際にも、チャージアップに伴う現像性の低下を抑えられる。
ここで「イミダゾール環の3位の窒素原子」とは、下記の構造式で示されるイミダゾールにおいて、3位にある「−N=」の窒素原子のことを指す。
このような構成をとり、更に本願にて規定した荷電制御成分を有する現像剤(トナー)を併用する。このことによって、現像剤担持体上の現像剤(トナー)が有する摩擦帯電量を高く且つ均一に制御することが可能となり、低湿度環境下における現像剤の過剰な摩擦帯電の抑制、高湿度環境下における迅速な摩擦帯電付与を達成することができる。その結果、長期にわたるプリントを実施した場合でも、画像濃度やカブリだけでなく、高解像度で且つ高精細な画像を終始得ることができることを見出した。
イミダゾール環を有する化合物は負帯電性現像剤に対して、優れた摩擦帯電付与能を有する。更に、樹脂被覆層の結着樹脂中に該イミダゾール環を有する化合物を黒鉛粒子と併用して含有させると、該イミダゾール環を有する化合物と黒鉛粒子との相互作用により樹脂被覆層中にイミダゾール環を有する化合物が均一に分散しやすくなる。また、黒鉛粒子が樹脂被覆層中の結着樹脂中に存在することによって、高い摩擦帯電量を有するトナーが樹脂被覆層の結着樹脂表面に付着し難くなる。これにより、イミダゾール環を有する化合物が有する摩擦帯電制御性を有効に発揮することが可能となる。更に前記説明した本発明にて使用される現像剤(トナー)の摩擦帯電性と相まって、現像剤担持体上に担持される現像剤は、高くて且つ均一な摩擦帯電量を保持することができるようになる。
本発明にて使用可能なイミダゾール環を有する化合物としては、以下の一般式で示されるものを例示ことができる。
〔式中、R
1及びR
2は、水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R
1及びR
2は同一であっても異なっていても良い。R
3及びR
4は炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表し、R
3及びR
4は同一であっても良い。〕
〔式中、R
5及びR
6は、水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R
5及びR
6は同一であっても異なっていても良い。R
7は炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表わす。〕
〔式中、R
8及びR
9は、水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表わす。〕
上記のようなイミダゾール環を有する化合物の中でも、特に一般式(2)
〔式中、R
1及びR
2は、水素原子、アルキル基、アラルキル基またはアリール基を表し、R
1及びR
2は同一であっても異なっていても良い。R
3及びR
4は炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表し、R
3及びR
4は同一であっても良い。〕
で示されるイミダゾール化合物が、摩擦帯電付与の観点から優れた効果を発揮する。
なお、このようなイミダゾール環を有する化合物は、個数平均粒径が好ましくは20.0μm以下、より好ましくは0.1乃至15.0μmのものを使用するのがよい。この範囲内のものを用いることによって、樹脂被覆層中へのイミダゾール化合物の分散性を損なうことなく、摩擦帯電性能の向上効果が十分に得られる。
次に黒鉛粒子について説明する。
本発明に使用することのできる現像剤担持体は、樹脂被覆層に黒鉛粒子が含有されていることが特徴の一つである。該黒鉛粒子は、樹脂被覆層の体積抵抗を制御すること、樹脂被覆層の摩擦帯電電荷の蓄積を緩和して摩擦帯電付与能を制御すること以外に、樹脂被覆層表面の微小凹凸の形成、トナー粒子との離型性を調整する役割も果たす。
樹脂被覆層の裁断面を電子顕微鏡で測定した該黒鉛粒子の算術平均粒径(Dn)は、0.50μm以上4.00μm以下であることが好ましい。Dnを上記数値範囲内とすることにより、樹脂被覆層表面に均一な粗さを付与する効果、樹脂被覆層中での導電性を均一にする効果、及び摩擦帯電性能を高める効果が得られる。その結果、現像剤への迅速且つ均一な摩擦帯電付与が達成できる。
更に、樹脂被覆層の摩耗によるトナーのチャージアップの発生、スリーブゴーストの悪化、画像濃度及び画質低下の如き現像特性の低下も有効に抑えられる。
また、樹脂被覆層表面の均一化を図ることができ、且つ表面粗さが大きくなり過ぎることがないため、現像剤への摩擦帯電付与を十分に行なうことができる。更に、樹脂被覆層の機械的強度が低下してしまうこともない。即ち、Dnが0.50μm以上4.00μm以下の数値範囲内にあることで、黒鉛粒子が樹脂被覆層中に均一に分散され、樹脂被覆層全体に均一に導電性を付与することが可能になる。さらに、樹脂被覆層の表面粗さの制御が容易に達成できる。なお、Dnを上記範囲内とするためには、用いる黒鉛粒子の体積平均粒径を0.30μm以上4.50μm以下とすることが好ましい。
また、本発明に用いる黒鉛粒子としては、特に黒鉛化度p(002)が0.22以上0.93以下であることが好ましい。黒鉛化度p(002)とは、Franklinのp値といわれるもので、黒鉛粒子のX線回折図から得られる黒鉛の格子間隔d(002)から、下記計算式で求められる。このp(002)値は、炭素の六方網目平面の積み重なりのうち、無秩序な部分の割合を示すもので、この値が小さいほど黒鉛化の程度が大きい。
d(002)=3.440−0.086(1−p2)
黒鉛粒子のp(002)が上記の数値範囲内とすることで、良導電性、高潤滑性を有すると共に、樹脂被覆層の機械的強度の低下を防止し、樹脂被覆層の選択的な削れを抑制することができ、更なる高耐久性を図ることができる。
本発明で使用できる黒鉛粒子として、メソフェーズピッチを焼成して得られた黒鉛粒子やグラファイトが挙げられる。
このうち、グラファイトは、天然黒鉛、人造黒鉛が知られている。人造黒鉛は、例えばピッチコークスをタールピッチにより固めて1200℃位で一度焼成してから黒鉛化炉に入れ、2300℃位の高温で処理することにより、炭素の結晶が成長して黒鉛に変化する。
天然黒鉛は、長い間の天然の地熱と地下の高圧によって完全に黒鉛化したものが地中により産出するものである。これらの黒鉛は、種々の優れた性質を有していることから工業的に広い用途を持っている。
黒鉛は、暗灰色ないし黒色の光沢のある非常に柔らかい滑性のある結晶鉱物で、例えば鉛筆に利用され、その他耐熱性、化学的安定性、潤滑性、耐火性に優れるため、例えば電気材料に粉末や固体や塗料の形で利用されている。
結晶構造は六方晶とその他菱面晶系に属するものがあり、完全な層状構造を有している。電気的特性に関しては、炭素と炭素の結合の間に自由電子が存在し、電気の良導体となっている。更にグラファイトは、構造的な性質の一つである「劈開性」に見られるように結晶構造に異方性があり、これによって樹脂被覆層表面に出現させた場合、表面に潤滑性を付与させることも可能であることからも、好ましい材料である。
また、本発明では、黒鉛粒子として、メソフェーズピッチを焼成して得られた黒鉛粒子を使用することが好ましい。
メソフェーズピッチを焼成して得られた黒鉛粒子は、上記グラファイトとは原材料および製造工程が異なる。そのため、該黒鉛粒子は結晶性グラファイトより黒鉛化度は若干低いものの、結晶性グラファイトと同様に高い導電性や潤滑性を有している。更に粒子の形状が結晶性グラファイトの鱗片状あるいは針状とは異なり塊状若しくは概略球状であり、しかも粒子自身の硬度が比較的高いのが特徴である。従って、このような特性を有する黒鉛粒子は樹脂被覆層中で均一に分散しやすくなるため、均一な表面粗度と耐摩耗性を樹脂被覆層表面に与えることができる。更には、粒子自身の形状が変化しがたいために樹脂被覆層の削れ、あるいはその影響による粒子自身の脱落が生じたとしても、樹脂被覆層中から粒子が再度突出あるいは露出してくることもあり、表面形状の変化を小さく抑えることができる。更に、現像剤担持体表面の樹脂被覆層中に該黒鉛粒子を配すると、トナーのチャージアップを発生させることなく、結晶性グラファイトを用いた場合よりもトナーへの摩擦帯電付与能を向上することが可能となる。
通常、沸点が500℃以上の有機化合物は、常圧下、不活性気相中で加熱すれば固相または液相を経由して炭素化されるが、200℃付近までの温度で分解を始め、残留物中では環化が起き、ついで400℃までの間に芳香族化する。この温度を越すと、芳香族同士の重縮合がすすむ。中でも縮合多環芳香族やそれらの混合物であるピッチ類の如く、この温度で液状を示すものは、400℃以上で縮合多環芳香族の平面分子からなる液晶状態をつくる。この液晶のことをメソフェーズと呼ぶ。メソフェーズは500℃までの間で更に高分子化が進んで層状構造を作ったまま固化する。該層状構造は、選択的な配向性の高いものであり、高温処理で黒鉛化になりやすい性質を有している。
よって、原材料としてメソフェーズピッチの如く光学的に異方性で、しかも単一の相からなる粒子を用いて黒鉛化することによって、黒鉛粒子の結晶性を高め且つ塊状若しくは概略球状の形状を保持させることができる。上記の原材料の光学的異方性は、芳香族分子の積層から生じるものであり、その秩序性が黒鉛化処理でさらに発達し、高い結晶性を有する黒鉛粒子が得られる。
メソフェーズピッチを得る方法としては、例えば、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行なうことによって得る方法がある。更に、この重質化処理後、微粉砕し、次いでベンゼンまたはトルエンの如き溶剤により、溶剤可溶分を除去することで得ることもできる。得られたメソフェーズピッチはキノリン可溶分が95質量%以上であることが好ましい。すなわち、キノリン可溶分が95質量%未満であるものは粒子内部が液相炭化しにくく、固相炭化するため粒子が破砕状のままとなり、球状のものが得られないことがある。
メソフェーズピッチを用いて黒鉛化する方法としては、先ず、メソフェーズピッチを2μm以上25μm以下に微粉砕して、これを空気中にて200℃以上350℃以下で熱処理して、軽度に酸化処理する。この酸化処理によって、メソフェーズピッチは表面のみ不融化され、次工程の黒鉛化熱処理時の溶融、融着が防止される。この酸化処理されたバルクメソフェーズピッチは酸素含有量が5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。5質量%未満であると熱処理時の粒子同士の融着が促進されることがあり、また15質量%を超えると粒子内部まで酸化されてしまい、形状が破砕状のまま黒鉛化してしまい、球状のものが得られにくい場合がある。
最後に酸化処理したメソフェーズピッチを窒素、アルゴンの如き不活性雰囲気下にて、温度2300℃以上3150℃以下で熱処理することにより所望の黒鉛粒子が得られる。
焼成温度を上記の範囲内とすることで、黒鉛粒子を十分に黒鉛化できる。そのため、黒鉛化が不十分な場合に認められることのある、導電性や潤滑性の低下によるトナーのチャージアップ、更にはスリーブゴースト、カブリ、画像濃度の如き画質の悪化を抑制できる。更に現像スジ・濃度ムラの如き画像劣化の発生を抑制できる。
更に、黒鉛粒子の黒鉛化の程度が過度となった場合に認められることのある黒鉛粒子の硬度の低下、それに起因する黒鉛粒子の耐摩耗性の低下による樹脂被覆層表面の耐摩耗性、樹脂被覆層の機械的強度およびトナーへの摩擦帯電付与性の低下を抑えられる。
また、本発明に使用される黒鉛粒子は、分級により粒度分布をある程度均一にしておくことが、樹脂被覆層の表面形状を均一にするために好ましい。
本発明に用いられる現像剤担持体を構成する樹脂被覆層の結着樹脂材料としては、一般に公知の樹脂が使用可能である。
例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱あるいは光硬化性樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂の如き熱可塑性樹脂。
なかでも以下のような離型性のあるものが好ましく用いられる。フェノール樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂の如き機械的性質に優れたもの、或いはシリコーン樹脂、フッ素樹脂。
本発明において、現像剤担持体上に形成される樹脂被覆層は、体積抵抗値としては、104Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは103Ω・cm以下である。
この範囲に制御することにより、チャージアップに伴う現像剤の現像剤担持体上への固着や、現像剤のチャージアップに伴って生じる現像剤担持体の表面から現像剤への摩擦帯電付与不良を未然に防ぐことができる。
また、現像剤への摩擦帯電付与不良の発生に起因するブロッチ(斑点画像や波模様画像)や画像濃度低下も有効に抑えられる。
本発明において、樹脂被覆層の抵抗値を上記の値に調整するためには、前記黒鉛粒子に加えて、下記に挙げる導電性付与粒子を樹脂被覆層中に含有させることが好ましい。
この際に使用される導電性付与粒子としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
アルミニウム、銅、ニッケル、銀の金属粉体の微粉末、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリウムの導電性金属酸化物、各種カーボンファイバー、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックのカーボンブラック、金属繊維。
本発明においては、カーボンブラック、とりわけ導電性のアモルファスカーボンが好適に用いられる。この理由は、特に電気伝導性に優れ且つ高分子材料に充填して導電性を付与し、その添加量をコントロールするだけで、ある程度任意の導電度を得ることができるためである。また、塗料にした場合のチキソ性効果により分散安定性・塗工安定性も良好となりうる。
また、本発明においてカーボンブラックの添加量は、カーボンブラックの粒径によっても異なるが、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上、100質量部以下の範囲とすることが好ましい。この範囲内では、樹脂被覆層の抵抗値を所望のレベルに下げることができる。また、樹脂被覆層の強度(耐摩耗性)の低下も抑えることができる。
本発明に使用可能な現像剤担持体は、樹脂被覆層表面に凹凸を形成するために、樹脂被覆層中に凹凸形成粒子を含有させることが可能である。
そのために使用する凹凸形成粒子としては以下の物が挙げられる。
ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンの如きビニル系重合体や共重合体、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂の樹脂粒子、アルミナ、酸化亜鉛、シリコーン、酸化チタン、酸化錫の如き酸化物粒子、炭素化粒子、導電処理を施した樹脂粒子の導電性粒子。
また耐摩耗性や導電性、疎水性の如き機能を付与する目的で、該粒子表面に金属酸化物の無機微粉末を付着させてもよい。
凹凸形成粒子としては、これらの中でも、特に現像剤担持体上の樹脂被覆層の強度アップという機能をも付与させたい場合には、特開平08−240981号公報に記載された導電性球状粒子を用いることがより好ましい。
本発明において用いることのできる凹凸形成粒子は、体積抵抗値が107Ω・cm以下、より好ましくは10-3Ω・cm以上106Ω・cm以下の粒子であることが好ましい。
体積抵抗値を上記範囲内に設定することで、摩耗によって樹脂被覆層表面に露出した該粒子を核として現像剤の汚染や融着を発生しやすくなるとともに、迅速且つ均一な摩擦帯電が行われにくくなることがない。
さらには、粒子の真密度としては3g/cm3以下であることがより好ましい。導電性であっても粒子の真密度が高すぎる場合、同じ粗さを形成するために添加量を増やさなければならない。更に樹脂または樹脂組成物と真密度差が大きくなるため、製造時の粒子の分散状態が不均一となりやすく、したがって形成された樹脂被覆層においても分散状態が不均一になることがある。また粒子が球状であると、圧接される現像剤層厚規制部材の如き部材との接触面積が低減されるので、摺擦力による現像剤担持体の回転トルクの増加や、現像剤の付着を軽減することができるのでより好ましい。
更に上記凹凸形成粒子の粒径は、体積平均粒径で2.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。特には、4.0μm以上15.0μm以下である。この範囲であれば、均一な表面凹凸を形成できる。また表面粗さを大きくしようとした場合でも、添加量が過大になることはない。そのため、樹脂被覆層が脆くなり、耐摩耗性が低下することを抑えられる。更に、粒子が現像剤担持体表面から突出しすぎることがなく、樹脂被覆層の表面粗さを容易に制御することができる。
また、本発明においては、現像剤担持体表面への現像剤の付着をより軽減化するため、樹脂被覆層中に固体潤滑剤を混合させることもできる。この際に使用し得る固体潤滑剤として、二硫化モリブデン、窒化硼素、フッ化グラファイト、銀−セレンニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石が挙げられる。また、本発明で使用することのできるこれらの固体潤滑剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上100質量部以下とすることが好ましい。この範囲内とした場合、樹脂被覆層表面に対する現像剤成分の付着性の改善効果が得られる。また、樹脂被覆層の強度(耐摩耗性)の低下を抑制できる。本発明では、固体潤滑剤の体積平均粒径は0.2μm以上20.0μm以下、より好ましくは1.0μm以上15.0μm以下のものを使用するのが良い。固体潤滑剤の体積平均粒径が0.2μm未満の場合には、潤滑性が十分に得られ難くなることがある。体積平均粒径が20.0μmを超える場合には、樹脂被覆層表面の形状への影響が大きく表面性が不均一となりやすくなり、現像剤への均一な帯電付与及び樹脂被覆層の強度の点で不十分になることがある。
本発明で好適に使用される上記のような構成を有する現像剤担持体表面の樹脂被覆層の表面粗さは、一般的には、JIS B0601−2001に規定の算術平均粗さRaで0.3μm以上3.5μm以下の範囲にあることが好ましい。Raが0.3μm未満の場合には、現像剤の十分な搬送性が得られず、現像剤不足による画像濃度薄や、現像剤の過剰な摩擦帯電による飛び散りやブロッチの如き弊害が発生し易い。また、Raが3.5μmより大きい場合には、現像剤への摩擦帯電付与が不均一となり、スジむらや、反転カブリ、摩擦帯電付与不足による画像濃度薄の如き弊害が発生し易い。
本発明において、現像剤担持体の基体表面に樹脂被覆層を形成する方法としては、各成分を溶剤中に分散混合して塗料化し、前記基体上に塗工し、乾燥させることにより得ることが可能である。各成分の分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルの如きビーズを利用した公知の分散装置が好適に利用可能である。また、塗工方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法の公知の方法が適用可能である。
あるいは各成分を混合機により乾式混合を行った後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、粉砕、分級を行い、粉体塗料を得る。そして、該粉体塗料を静電塗工ガンを使用し、静電塗工法により前記基体上に塗工後、成膜化することにより得る方法を用いることも可能である。
なお、樹脂被覆層のX線光電子分光分析により測定された、イミダゾール環の3位の窒素原子の存在比率を本願規定の範囲とするためには、イミダゾール環を有する化合物の種類や添加量を適宜選択することにより達成することもできる。また、有機溶剤系の塗料を使用してスプレー塗工を行なう場合は、塗工形成する際に塗工液に使用する溶剤の種類を選択し、塗工液中の固形分、塗工時の温湿度の如き条件によって制御することが可能である。例えば、イミダゾール環の3位の窒素原子の存在比率を高める方法としては、以下の方法を適宜選択し、組み合わせることにより調整することができる。
(1)イミダゾール化合物の粒径を小さくする。
(2)樹脂被覆層を形成する結着樹脂中での分散性が良好であるイミダゾール化合物を用いる。
(3)樹脂被覆層を形成する結着樹脂との反応性が低いイミダゾール化合物を用いる。
(4)塗料中の固形分濃度を高くする。
(5)塗工時の環境を高温/低湿度にする。
次に、本発明に使用可能な現像装置の一例を図に沿って具体的に説明する。
図1は、本発明に用いることのできる磁性一成分系現像装置の模式図を示す。
本発明では、図1に示される如く、弾性規制ブレードを使用し、この弾性規制ブレード616を現像スリーブに対して、現像剤を介して接触あるいは圧接させて用いる系を用いることがより好ましい。
図1において,公知のプロセスにより形成された静電潜像を担持する静電潜像担持体、例えば、感光ドラム601は、矢印B方向に回転する。現像スリーブ608は、現像容器603に供給された磁性トナー粒子を有する一成分系磁性現像剤を担持して、矢印A方向に回転することによって、現像スリーブ608と感光ドラム601とが対向している現像領域Dに現像剤を搬送する。図1に示すように、回転自在に保持された現像剤担持体610においては、現像スリーブ608内に,現像剤を現像スリーブ608上に磁気的に吸引且つ保持する為に,磁石(マグネットローラ)609が配置されている。
本発明の現像装置で用いられる現像スリーブ608は、基体としての金属円筒管606上に被覆された樹脂被覆層607を有する。現像容器は、第一室614、第二室615に分割されており、第一室614に存在する磁性現像剤は、撹拌搬送部材605により現像容器603及び仕切り部材604により形成される隙間を通過して第二室615に送られる。磁性現像剤はマグネットローラ609による磁力の作用により現像スリーブ608上に担持される。第二室615中には現像剤が滞留するのを防止するための撹拌部材611が設けられている。
現像剤は、磁性トナー相互間及び現像スリーブ608上の樹脂被覆層607との摩擦により、感光ドラム601上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。図1においては、現像スリーブ608上の現像剤の層厚を規制する現像剤層厚規制部材616として弾性部材からなる弾性規制ブレードを用いた。弾性部材からなる弾性規制ブレードの例としては、ウレタンゴム、シリコーンゴムの如きゴム弾性を有する材料、又はリン青銅、ステンレス鋼の如き金属弾性を有する材料の弾性板からなるものが挙げられる。この弾性規制ブレード616を現像スリーブ608に対して、トナーを介して接触又は圧接させて用いても良く、本発明においては特にこの形態を有する系において、従来技術と比較して、摩擦帯電付与能の面で格段の効果を得ることができる。
これは、以下の理由による。弾性規制ブレードを接触又は圧接させるタイプの現像装置では、トナーコート層は強い規制を受けながら現像スリーブ608上に現像剤の薄層を形成することができる。更に本発明にて規定したトナー及び現像スリーブを用いることにより、現像スリーブ上のトナーの有する摩擦帯電量を、高く且つ均一に保持することが可能となるため、現像特性をより高めることができるためである。
なお、現像スリーブ608に対する弾性規制ブレード616の当接圧力は、線圧5g/cm以上50g/cm以下(4.9N/m以上49N/m以下)であることが好ましい。現像剤の規制を安定化させ、現像剤担持体上に担持される現像剤量及び摩擦帯電量の適正化を図ることができるためである。また、当接圧力を上記範囲内とすることで、現像剤の規制が弱くなり、カブリや現像剤もれの如き不具合が発生することがない。また、トナーへのダメージが大きくなり、現像剤劣化やスリーブ及び弾性規制ブレードへの融着の如き不具合が起きることもない。
更に本発明においては、現像剤層厚規制部材(弾性規制ブレード)616が現像剤担持体と当接する当接部を有し、該当接部における現像剤層厚規制部材表面の十点平均粗さRzJISが2.0μm以上10.0μm以下であることがより好ましい。表面粗さを上記範囲内に設定することによって、トナーへの摩擦帯電付与が十分に行なうことができる。また、弾性規制ブレードによる規制を十分に達成することができるため、スジの如き弊害の発生もなく、現像スリーブ上のトナー層を均一且つ薄層状に保持することが可能となる。
本発明の現像装置としては、以上の様な現像剤(トナー)の薄層により静電潜像を現像する方式の現像装置、即ち非接触型現像装置を採用することが特に有効である。また、現像領域Dにおいて、現像剤層の厚みが現像スリーブ608と感光ドラム601との間の最小間隙以上の厚みである現像装置、所謂接触型現像装置にも本発明の現像剤担持体を適用することができる。説明の煩雑を避けるため、以下の説明では先に説明した非接触型現像装置を例にとって行なう。
上記現像スリーブ608に担持された磁性トナーを有する一成分系現像剤を飛翔させる為、上記現像スリーブ608にはバイアス手段としての現像バイアス電源613により現像バイアス電圧が印加される。この現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときに、静電潜像の画像部(現像剤が付着して可視化される領域)の電位と背景部の電位との間の値の電圧を現像スリーブ608に印加するのが好ましい。
現像された画像の濃度を高め、且つ階調性を向上させるためには、現像スリーブ608に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合には、上記した現像画像部の電位と背景部の電位の中間の値を有する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧を現像スリーブ608に印加するのが好ましい。
なお図1は、あくまでも本発明に使用可能な現像装置を模式的に例示したものである。そのため、例えば、現像剤層厚規制部材616、現像容器603(ホッパー)の形状、撹拌翼605、611の有無、マグネットローラ609の磁極配置の如き様々な形態があることは言うまでもない。
以下に本発明に関わる物性の測定方法について述べる。
(1)樹脂被覆層表面のイミダゾール環の3位の窒素原子の存在比率(X線光電子分光分析)
X線光電子分光分析はアルバックファイ(株)社のQuantum2000を用い、以下の条件で行なった。
・X線源:モノクロ Al Kα
・Xray Settinng:100μmφ(25W(15KV))
・光電子取り出し角:45度
・中和条件:中和銃とイオン銃の併用
・分析領域:500μm×500μm
・Pass Energy:23.5eV
・ステップサイズ:0.1eV
ここで各元素の定量分析は、
C 1s(Bonding Energy:280eV以上295eV以下)、
N 1s(Bonding Energy:395eV以上410eV以下)、
O 1s(Bonding Energy:525eV以上540eV以下)、
を使用して各々の原子濃度(原子%)を求めた。
ここでN 1sピークについて、イミダゾール環の3位の窒素元素とそれ以外の窒素元素ではピーク位置がそれぞれ398.5eV、400.0eVと異なる。このため、これらをピーク分離することでイミダゾール環の3位の窒素元素の比率を求めた。ピーク分離は、イミダゾール環の3位の窒素元素ではピーク位置が398.5eV、ピーク幅が396.0eV以上400.0eV以下とした。また、その他の窒素元素ではピーク位置が400.0eV、ピーク幅が398.0eV以上404.0eV以下とした。解析は、Quantum2000制御ソフトウエアMultiPakを用いて行なった。
(2)トナー粒子の平均円形度
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものである。本発明では東亞医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行ない、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)を下式によりそれぞれ求めた。
円形度(Ci)=(粒子数と同じ投影面積を持つ円の周囲長)/(粒子の投影像の周囲長)
更に下式で示すように、測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義した。
なお、測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及びモード円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40以上1.00以下を0.010間隔で61分割したクラスに分ける。そして、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行なう算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視出来る程度のものである。本発明においては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いている。
本発明における平均円形度とは、粒子の凹凸度合いの指標であり、粒子が完全な球形の場合1.000を示し、現像剤の表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
具体的な測定方法としては、界面活性剤を0.1mg溶解している水10mlに現像剤(トナー)5mgを分散させて分散液を調整する。そして超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000個/μl以上2万個/μl以下として、前記装置により測定を行ない、3μm以上の円相当径を有する粒子の平均円形度を求めた。
測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行のFPIA−1000のカタログ(1995年度6月版)、測定装置のマニュアルの如き刊行物に記載されているが、以下のとおりである。
試料分散液は、フラットで扁平なフローセル(厚み200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像投影面積及び投影像の周囲長から、上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群には、トナー粒子とは独立して存在する外添剤の如き粒子群も多数含まれるためである。その影響により、トナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないことがあるからである。
(3)トナー粒子の重量平均粒径
トナーの重量平均粒径はコールターカウンター法を用いて行なった。測定器としては、コールターマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)を用いることが可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えばISOTON R−II(ベックマン・コールター社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液(100ml以上150ml以下)中に、分散剤として0.1ml以上5ml以下の界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を加え、更に2mg以上20mg以下の測定試料を加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間以上3分間以下の分散処理を行ない、前記測定装置によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナー粒子の体積・個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を算出する。チャンネルとしては以下の13チャンネルを用いた。
2.00μm以上2.52μm未満;
2.52μm以上3.17μm未満;
3.17μm以上4.00μm未満;
4.00μm以上5.04μm未満;
5.04μm以上6.35μm未満;
6.35μm以上8.00μm未満;
8.00μm以上10.08μm未満;
10.08μm以上12.70μm未満;
12.70μm以上16.00μm未満;
16.00μm以上20.20μm未満;
20.20μm以上25.40μm未満;
25.40μm以上32.00μm未満;
32.00μm以上40.30μm未満。
(4)樹脂被覆層中の黒鉛粒子の算術平均粒径(Dn)
先ず、現像剤担持体断面を集束イオンビームFB−2000C(商品名;日立製作所製)を用いて5nm毎に切断した。そして、その断面を走査型電子顕微鏡JSM−6480(商品名;日本電子株式会社製)を用いることで、現像剤担持体上の樹脂被覆層中の50個の黒鉛粒子の粒子径を測定した。その結果より算術平均粒径(Dn)を求めた。なお、各黒鉛粒子の粒子径は、撮影した写真上で短径と長径を測定し、その平均をとった。
(5)樹脂被覆層表面の算術平均粗さ(Ra)の測定
樹脂被覆層表面の算術平均粗さRaの測定は、JIS−B0601(2001)の表面粗さに基づき、東京精密社製SURFCOM 1500DXを用いた。測定条件としてはカットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.5mm/sにて、軸方向3点×周方向3点=9点について各々測定し、その平均値をとった。
(6)現像剤層厚規制部材表面の十点平均粗さ(RzJIS)の測定
現像剤担持体との当接部における現像剤層厚規制部材(弾性規制ブレード)表面の十点平均粗さ(RzJIS)の測定は、JIS−B0601(2001)の表面粗さに基づき、東京精密社製SURFCOM 1500DXを用いた。測定条件としてはカットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.1mm/sにて軸方向に3点測定を行ない、その平均値をとった。
(7)イミダゾール化合物、黒鉛粒子、凹凸形成粒子及び固体潤滑剤の粒径測定
レーザー回折型粒度分布計のコールターLS−230型粒度分布計(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。測定方法としては、水系モジュールを用い、測定溶媒としてはイソプロピルアルコールを使用する。イソプロピルアルコールにて粒度分布計の測定系内を5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に10mg以上25mg以下の亜硫酸ナトリウムを加えて、バックグラウンドファンクションを実行した。
次にイソプロピルアルコール50ml中に、3滴以上4滴以下の界面活性剤を加え、更に5mg以上25mg以下の測定試料を加えた。試料を懸濁した水溶液は、超音波分散器にて1分間以上3分間以下の分散処理を行なって試料液とした。そして、前記測定装置の測定系内に該試料液を徐々に加えて、装置の画面上のPIDSが45%以上55%以下になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行ない、個数分布から算出した個数平均粒径、及び体積分布から算出した体積平均粒径を求めた。
(8)樹脂被覆層の体積抵抗の測定
樹脂被覆層の体積抵抗値は、100μmの厚さのPETシート上に、現像剤担持体上の樹脂被覆層を構成する同じ塗工液を用い、7μm〜20μmの厚さの被覆層を形成し、ローレスターAP(三菱油化(株)製)に4端子プローブを取り付けて測定した。なお、測定環境は20℃〜25℃、50%RH〜60RH%とした。
(9)凹凸形成粒子の体積抵抗の測定
試料を40mmφのアルミリングに入れ、2500Nで加圧成型し、抵抗率計ロレスタAP、又はハイレスタIP(共に、三菱油化(株)製)にて4端子プローブを用いて体積抵抗値を測定した。尚、測定環境は、20℃〜25℃、50%RH〜60%RHとした。
(10)凹凸形成粒子の真密度の測定
乾式密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定した。
次に、具体的実施例をもって、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。なお、以下の配合における部数は、特にことわらない限りすべて質量部である。
<<現像剤>>
<スルフォン酸基、スルフォン酸塩基、スルフォン酸エステル基のいずれかを有する重合体(A)>
(重合体Aの製造例1)
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置および減圧装置を備えた反応容器に下記の材料を入れ、撹拌しながら70℃まで加熱した。
メタノール 250部
2−ブタノン 100部
トルエン 100部
スチレン 450部
2−エチルヘキシルアクリレート 75部
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸 40部
この中に、重合開始剤としてt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート4.0部を2−ブタノン20部に溶解した溶液を30分かけて滴下した。そして70℃で9時間保持させて重合反応を終了させた。その後、溶媒を減圧留去し、得られた重合体を100μmのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粉砕し、重合体A−1を得た。得られた重合体A−1は、重量平均分子量(Mw)が35000、ガラス転移温度(Tg)が75.5℃、酸価が18mgKOH/gであった。
(重合体Aの製造例2)
メタノール 300部
トルエン 100部
スチレン 450部
2−エチルヘキシルアクリレート 50部
t−ブチルメタクリレート 20部
2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルフォン酸 30部
上記材料を使用する以外は、重合体Aの製造例1と同様にして、重量平均分子量(Mw)が29000、ガラス転移温度(Tg)が68.7℃、酸価が9mgKOH/gの重合体A−2を得た。
(現像剤の製造例1)
スチレン 66部
n−ブチルアクリレート 14部
モノブチルマレート 15部
ジ−tert−ブチルパーオキサイド 0.8部
上記混合物を還流(温度:145℃〜156℃)しているクメン200部中に4時間かけて滴下し、クメン還流下で溶液重合を完了させ、減圧下で200℃まで昇温させながらクメンを除去した。
ここで得られたスチレン−アクリル系共重合体25部を、下記の混合物中に溶解し混合溶液とした。
スチレン 50部
n−ブチルアクリレート 20部
モノブチルマレート 5部
ジビニルベンゼン 0.3部
ベンゾイルパーオキサイド 0.8部
tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 0.6部
上記混合溶液に、ポリビニルアルコール部分ケン化物0.20部を溶解した水170部を加え、激しく撹拌しながら懸濁分散液とした。更に、水100部を加え、窒素雰囲気に置換した反応器に上記懸濁分散液を添加し、約75℃で10時間重合した。重合終了後、濾別し、充分に水洗して後、脱水乾燥し、酸価21mgKOH/gを有するスチレン−アクリル系共重合体組成物を得た。
該スチレン−アクリル系共重合体組成物 100部
平均粒径が0.20μmの球状磁性体 90部
重合体A−1 2部
金属錯塩化合物B−1 1部
(カウンターイオンはNa+)
低分子量エチレンープロピレン共重合体 3部
(三洋化成社製、商品名:ビスコール550−P)
上記混合物をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、トナー製造用粉体原料である粉体原料(粗粉砕物)を得た。
そして、該粉体原料をターボミルT−250型(ターボ工業社製)を用いて微粉砕を行なった後、熱球形化処理を行なった。熱球形化処理を行なった微粉砕粉を、コアンダ効果を利用した多分割分級装置(エルボジェット分級機、日鉄鉱業社製)で、超微粉および粗粉を同時に分級除去して、重量平均粒子径(D4)が6.7μm、平均円形度が0.970であるトナー粒子T−1を得た。
次に疎水化処理シリカ微粉体を、以下のようにして製造した。
四塩化ケイ素を気相中にて1000℃で焼成し、アモルファスのシリカ微粉体を得た。このシリカ微粉体を気相中で分散させ、シリカ微粉体100部に対してヘキサメチルジシラザン(HMDS)を固形分で15部を噴霧し、粒子の合一が生じないように十分に撹拌しながら反応させた。更に十分に撹拌しながら、ジメチルシリコーンオイルを固形分で15部を噴霧し、反応を行なった。
これを乾燥後、130℃で2時間加熱処理し、その後、凝集体がなくなるまで繰り返しジェットミルにて解砕処理を行なうことで得た。得られたシリカ微粉体の一次平均粒径は12nmであった。
前記トナー粒子T−1:100部に対し以下の成分を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて外添することで磁性現像剤G−1を得た。
上記疎水化処理されたシリカ微粉体:1.2部、
ハイドロタルサイト類化合物〔Mg0.72Al0.28(OH)2(CO3)0.14・0.54H2O;BET比表面積10m2/g〕:0.3部。
得られた磁性現像剤G−1の処方及び物性は表1に記載した。
(現像剤の製造例2)
現像剤の製造例1において、熱球形化処理の条件を変更する以外は、現像剤の製造例1と同様にしてトナー粒子T−2を得た。該トナー粒子T−2は重量平均粒子径(D4)が6.8μm、平均円形度が0.950であった。更に、該トナー粒子T−2を用い、現像剤の製造例1と同様の外添処理を行ない、磁性現像剤G−2を得た。該磁性現像剤G−2の処方及び物性は表1に記載した。
(現像剤の製造例3)
現像剤の製造例1において、トナー製造用粉体原料である粉体原料(粗粉砕物)の微粉砕を、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製)を用いて行ない、その後の熱球形化処理は実施せずにトナー粒子T−3を得た。該トナー粒子T−3は重量平均粒子径(D4)が6.5μm、平均円形度が0.945であった。更に、該トナー粒子T−3を用い、現像剤の製造例1と同様の外添処理を行ない、磁性現像剤G−3を得た。該磁性現像剤G−3の処方及び物性は表1に記載した。
(現像剤の製造例4)
現像剤の製造例1において、重合体A−1に替えて重合体A−2を0.9部使用する以外は現像剤の製造例1と同様の方法により製造を行ない、重量平均粒子径(D4)が6.7μm、平均円形度が0.965のトナー粒子T−4を作製した。更に、該トナー粒子T−4を用い、ハイドロタルサイト類化合物を添加しない以外は現像剤の製造例1と同様の外添処理を行ない、磁性現像剤G−4を得た。該磁性現像剤G−4の処方及び物性は表1に記載した。
(現像剤の製造例5)
現像剤の製造例1において、金属錯塩化合物B−1に替えて金属錯塩化合物B−2(カウンターイオンはNH4 +)を0.08部使用した。それ以外は現像剤の製造例1と同様の方法により製造を行ない、重量平均粒子径(D4)が7.0μm、平均円形度が0.967のトナー粒子T−5を作製した。更に、該トナー粒子T−5を用い、現像剤の製造例1と同様の外添処理を行ない、磁性現像剤G−5を得た。該磁性現像剤G−5の処方及び物性は表1に記載した。
(現像剤の製造例6)
現像剤の製造例1において、重合体A−1に替えて重合体A−2を4.1部、金属錯塩化合物B−1に替えて金属錯塩化合物B−3(カウンターイオンはK+)を4.1部使用した。それ以外は現像剤の製造例1と同様の方法により製造を行ない、重量平均粒子径(D4)が7.1μm、平均円形度が0.955のトナー粒子T−6を作製した。更に、該トナー粒子T−6を用い、現像剤の製造例1と同様の外添処理を行ない、磁性現像剤G−6を得た。該磁性現像剤G−6の処方及び物性は表1に記載した。
(比較現像剤の製造例1)
現像剤の製造例1において、重合体A−1を添加しない以外は、現像剤の製造例1と同様にしてトナー粒子T’−1を得た。該トナー粒子T’−1は重量平均粒子径(D4)が6.6μm、平均円形度が0.964であった。更に、該トナー粒子T’−1を用い、現像剤の製造例1と同様の外添処理を行ない、磁性現像剤G’−1を得た。該磁性現像剤G’−1の処方及び物性は表1に記載した。
(比較現像剤の製造例2)
現像剤の製造例1において、金属錯塩化合物B−1を添加しない以外は、現像剤の製造例1と同様にしてトナー粒子T’−2を得た。該トナー粒子T’−2は重量平均粒子径(D4)が6.8μm、平均円形度が0.961であった。更に、該トナー粒子T’−2を用い、現像剤の製造例1と同様の外添処理を行ない、磁性現像剤G’−2を得た。該磁性現像剤G’−2の処方及び物性は表1に記載した。
(比較現像剤の製造例3)
現像剤の製造例1において、重合体A−1及び金属錯塩化合物B−1を添加しない以外は、現像剤の製造例1と同様にしてトナー粒子T’−3を得た。該トナー粒子T’−3は重量平均粒子径(D4)が6.4μm、平均円形度が0.955であった。更に、該トナー粒子T’−3を用い、現像剤の製造例1と同様の外添処理を行ない、磁性現像剤G’−3を得た。該磁性現像剤G’−3の処方及び物性は表1に記載した。
<<現像剤担持体表面の樹脂被覆層>>
<結着樹脂>
J−1:レゾ−ル型フェノール樹脂(メタノール40質量%含有、大日本インキ化学工業社製、商品名:J325)
J−2:66ナイロンを主成分とするナイロン共重合体(デュポン ジャパンリミテッド社製、商品名:エルバマイド8023)
<カーボンブラック>
導電性カーボンブラックとしては、Cabot Corporation製のVulcan XC−72(商品名)を用いた。
<黒鉛粒子の製造例1>
黒鉛粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでバルクメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、その粒子を空気中において900℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下中にて2800℃で焼成し黒鉛化させ、更に分級して得られた体積平均粒径2.85μmの黒鉛粒子をK−1とした。該黒鉛粒子K−1の黒鉛化度p(002)は0.48であった。該黒鉛粒子K−1の製造条件及び物性は表2に記載した。
<黒鉛粒子の製造例2>
黒鉛粒子の製造例1において、窒素雰囲気下での焼成温度を2300℃とする以外は黒鉛粒子の製造例1と同様の方法にて製造を行なった。得られた黒鉛粒子K−2の体積平均粒径は3.02μm、黒鉛化度p(002)は0.71であった。該黒鉛粒子K−2の製造条件及び物性は表2に記載した。
<黒鉛粒子の製造例3>
黒鉛粒子の製造例1において、窒素雰囲気下での焼成温度を3150℃とする以外は黒鉛粒子の製造例1と同様の方法にて製造を行なった。得られた黒鉛粒子K−3の体積平均粒径は2.92μm、黒鉛化度p(002)は0.33であった。該黒鉛粒子K−3の製造条件及び物性は表2に記載した。
<黒鉛粒子の製造例4>
黒鉛粒子の製造例1において、窒素雰囲気下での焼成温度を2200℃とする以外は黒鉛粒子の製造例1と同様の方法にて製造を行なった。得られた黒鉛粒子K−4の体積平均粒径は2.74μm、黒鉛化度p(002)は0.80であった。該黒鉛粒子K−4の製造条件及び物性は表2に記載した。
<黒鉛粒子の製造例5>
黒鉛粒子の製造例1において、窒素雰囲気下での焼成温度を3200℃とする以外は黒鉛粒子の製造例1と同様の方法にて製造を行なった。得られた黒鉛粒子K−5の体積平均粒径は2.95μm、黒鉛化度p(002)は0.27であった。該黒鉛粒子K−5の製造条件及び物性は表2に記載した。
<黒鉛粒子の製造例6>
黒鉛粒子の製造例1において、窒素雰囲気下での焼成温度を3500℃とする以外は黒鉛粒子の製造例1と同様の方法にて製造を行なった。得られた黒鉛粒子K−6の体積平均粒径は2.99μm、黒鉛化度p(002)は0.22であった。該黒鉛粒子K−6の製造条件及び物性は表2に記載した。
<黒鉛粒子の製造例7>
黒鉛粒子の製造例1において、窒素雰囲気下での焼成温度を1900℃とする以外は黒鉛粒子の製造例1と同様の方法にて製造を行なった。得られた黒鉛粒子K−7の体積平均粒径は1.10μm、黒鉛化度p(002)は0.93であった。該黒鉛粒子K−7の製造条件及び物性は表2に記載した。
<黒鉛粒子の製造例8>
黒鉛粒子として、コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでバルクメソフェーズピッチを得た。そのバルクメソフェーズピッチを微粉砕し、その粒子を空気中において800℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下中にて1650℃で焼成し黒鉛化させ、更に分級して得られた体積平均粒径0.45μmの黒鉛粒子をK−8とした。該黒鉛粒子K−8の黒鉛化度p(002)は1.01であった。該黒鉛粒子K−8の製造条件及び物性は表2に記載した。
<黒鉛粒子の製造例9>
石炭系重質油を熱処理することで得られたメソカーボンマイクロビーズを、洗浄・乾燥した後、アトマイザーミルで機械的に分散を行ない、窒素雰囲気下において1000℃で一次加熱処理を行ない炭化させた。次いで、アトマイザーミルで二次分散を行った後、窒素雰囲気下において3300℃で熱処理し、更に分級して体積平均粒径4.52μmの黒鉛粒子を集め、黒鉛粒子K−9とした。該黒鉛化粒子K−2の黒鉛化度p(002)は0.16であった。該黒鉛粒子K−9の製造条件及び物性は表2に記載した。
<凹凸形成粒子>
導電性球状粒子であるニカビーズ ICB0520及びニカビーズ ICB1020(いずれも商品名、日本カーボン社製)を使用した。以下、ニカビーズ ICB0520をC−1、ニカビーズ ICB1020をC−2と標記する。
なお、C−1及びC−2の体積平均粒径はそれぞれ6.10μm、11.05μmであった。
<現像剤担持体(現像スリーブ)S−1の製造例>
基体表面に樹脂被覆層を有する現像剤担持体(現像スリーブ)を以下のようにして作製した。
結着樹脂 固形分として100部
導電性カーボンブラック 7部
黒鉛粒子K−1 60部
下記構造式で示されるイミダゾール化合物(I−1) 10部
(個数平均粒径:6.0μm)
凹凸形成粒子C−2 17部
エタノール 130部
上記材料に直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて1時間分散し、フルイを用いてビーズを分離し、エタノールで固形分を36%に調整し塗工液を得た。次いで、外径12mmφ、中心線平均粗さRa=0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管を垂直に立て、一定速度で回転させるとともに、上下端部にマスキングを施し、スプレーガンを一定速度で下降させながら、該円筒管に該塗工液を塗布した。続いて熱風乾燥炉により150℃で30分間加熱して樹脂被覆層を形成した。表3に該現像剤担持体(現像スリーブ)S−1の樹脂被覆層の処方と物性を挙げた。
<現像剤担持体(現像スリーブ)S−2〜S−14及びS’−1〜S’−4の製造例>
表1に示した処方とした以外は、現像スリーブS−1と同様の方法で現像スリーブS−2〜S−14、S’−1〜S’−4を作製した。各現像スリーブの樹脂被覆層の物性も表3に示した。なおS’−3は、S−13の塗工液製造時において、エタノールに替えてトルエンを使用する以外はS−13と同様に実施した。
ここで使用したイミダゾール化合物は、下記の構造式で示されるものである。
<イミダゾール化合物(I−5)>
前記イミダゾール化合物(I−1)と同じ構造。個数平均粒径が22.0μm。
<現像剤担持体(現像スリーブ)S−15の製造例>
表3に挙げた処方にて、現像スリーブS−1と同様の方法で塗工液の調整を行なった。次いで、外径20mmφ、中心線平均粗さRa=0.2μmの研削加工したアルミニウム製円筒管上を垂直に立て、一定速度で回転させるとともに、上下端部にマスキングを施し、スプレーガンを一定速度で下降させながら該塗工液を塗布した。続いて熱風乾燥炉により150℃で30分間加熱して樹脂被覆層を形成した。表3に該現像剤担持体(現像スリーブ)S−15の樹脂被覆層の処方と物性を挙げた。
<現像剤層厚規制部材(弾性規制ブレード)の製造例>
ウレタンシート製造時に使用する金型として表面粗さが異なるものを使用して、下記の十点平均粗さRzJISを有する5種のウレタンゴム製弾性規制ブレードを作製した。
RzJIS=1.0μm(U−1)、2.0μm(U−2)、6.0μm(U−3)、10.0μm(U−4)、11.0μm(U−5)。
<実施例1>
作製した現像剤担持体(現像スリーブ)S−1にマグネットローラを装着してフランジを嵌合し、図1に示したような構成の現像装置を有するHewlett−Packard社製Laser Jet1020(商品名)に現像剤担持体として装着した。そして、現像剤層厚規制部材(弾性規制ブレード)としてはU−3を、現像剤は前記G−1を用いた。
そして1枚/10秒の間欠モードで5000枚の耐久テストを行なった。
画像評価は、常温常湿度環境(23℃、50%RH;N/N)、低温低湿度環境(15℃、10%RH;L/L)及び高温高湿度環境(33℃、90%RH;H/H)において実施した。なお、ランニング時のプリントは、印字比率が1%の横線とし、初期評価は10枚目の時に耐久評価テストを中断し、耐久評価は耐久テスト終了後に、それぞれ必要な評価を実施した。画像評価の結果は表2及び表3に挙げたように、いずれの環境下においても終始良好な画像特性を得ることができた。
評価方法及び評価基準は以下の通りである。
(1)画像濃度
画像比率5.5%であるテストチャート上の5mmφ丸部のコピー画像濃度を、反射濃度計RD918(マクベス製)により反射濃度測定を行ない、10点の平均値をとって画像濃度とした。
A:濃度1.45以上
B:濃度1.35以上1.45未満
C:濃度1.30以上1.35未満
D:濃度1.30未満
(2)カブリ
適正画像におけるベタ白画像の反射率を測定し、更に未使用の転写紙の反射率を測定し、(ベタ白画像の反射率の最悪値―未使用転写紙の反射率の平均値)をカブリ濃度とし、評価結果を下記の指標にて示した。(但し、反射率の測定はランダムに10点の測定を行なった。)反射率はTC−6DS(東京電色製)によって測定を行なった。
A:1.0%未満
B:1.0%以上2.0%未満
C:2.0%以上3.0%未満
D:3.0%以上
(3)ドット再現性
ドット再現性は、図4に示す80μm×50μmのチェッカー模様を用いて画出しテストを行ない、顕微鏡により画像部(黒色部)の欠損の有無を観察し、以下の基準に従い評価した。
A:100個中欠損が2個以下
B:100個中欠損が3個以上5個以下
C:100個中欠損が6個以上10個以下
D:100個中欠損が11個以上
(4)細線再現性
2mm角の「電」の文字を30倍に拡大し、以下の評価基準に従い評価を行なった。
A:文字ラインがシャープである
B:文字ラインがややかすれているか、やや太りが見られる
C:文字ラインがかすれているか、太りが見られるが、文字を判定できる
D:文字ラインにかすれや太りが見られ、文字が判定できない
(5)飛び散り
画像飛び散りの評価は、4ドットの横ラインを176ドットスペースおきに印字した横ラインパターンの画像飛び散りを評価した。
A:拡大観察によっても画像飛び散りが見られない
B:拡大観察によっても画像飛び散りがやや見られる
C:飛び散りにより、文字の滲みやラインの太さにムラが見られる
D:飛び散りにより、細かな文字の一部につぶれが見られる
(6)スリーブゴースト
幅x×長さlの帯状ベタ黒部(図5(a))を画像出しした後、幅y(但し、>x)×長さlのハーフトーン(図5(b))を画像出しする。このハーフトーン画像出し画像の画像濃度を図5(c)の領域ア、領域イ及び領域ウでそれぞれ画像濃度を測定し、現れた濃度差(濃淡の程度)を、下記基準にてスリーブゴーストを評価した。領域アは、画像形成開始点から現像スリーブ1回転の長さz以降の部分である。領域イは、画像形成開始点から現像スリーブ1回転の長さzまででベタ黒画像の画像出しをした部分と重なる部分である。領域ウは、画像形成開始点から現像スリーブ1回転の長さzまででハーフトーンのみを画像出しした部分である。
A:濃度差が全く見られない(濃度差が0.02未満)
B:領域イと領域ウで軽微な濃度差が見られる(濃度差が0.02以上0.04未満)
C:領域ア、領域イ、領域ウ各々で若干の濃度差が見られる(濃度差が0.04以上0.07未満)
D:顕著な濃度差が見られる(濃度差が0.07以上)
(7)ハーフトーン均一性
ベタのハーフトーン画像上にて、10点の反射濃度を測定し、最大値と最小値の差によって判定した
A:濃度差0.10未満
B:濃度差0.10以上0.15未満
C:濃度差0.15以上0.20未満
D:濃度差0.20以上
(8)現像スリーブ上及びドラム上のトナー摩擦帯電量及びトナー担持量
ベタ黒画像現像中及びベタ白画像現像後に現像スリーブ上に担持されているトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、捕集されたトナー質量M及びトナーを吸引した面積Sを測定した。これらの値から、現像スリーブ上トナーの単位質量当たりの摩擦帯電量Q/M(mC/kg)及び単位面積当たりのトナー質量M/S(dg/m2)を算出した。
ドラム上トナーに関しては、ベタ黒画像現像時にドラム上に搬送されたトナーを、前記現像スリーブの場合と同様に測定することで、Q/M及びM/Sを算出した。
なお本発明の現像装置は、「現像スリーブ上のトナーが均一且つ高い摩擦帯電量を保持すること」が特徴の一つである。これを数値化する尺度(指標)として、本実施例では上記の物性値を用いることとした。即ち、現像スリーブ上トナー及びドラム上トナーの摩擦帯電量及び担持量が、現像前後において差が少ないほどトナーが均一な摩擦帯電量を保持できると判断できる。その結果、高い現像特性が得られ、高精細な画像出力が可能となる。
<実施例2乃至実施例21及び比較例1乃至比較例7>
現像剤、現像剤担持体及び現像剤層厚規制部材を表4乃至表11に示したように組み合わせた以外は、実施例1と同様にして画像評価を行なった。評価結果も表4乃至表11に挙げた。
<実施例22>
作製した現像剤担持体(現像スリーブ)S−15にマグネットローラを装着してフランジを嵌合し、図1に示したような構成の現像装置を有するHewlett−Packard社製Laser Jet4350(商品名)に現像剤担持体として装着した。そして、現像剤層厚規制部材(弾性規制ブレード)としてはU−3を、現像剤は前記G−1を用いた。
そして1枚/4秒の間欠モードで2万枚の耐久テストを行なった。
画像評価は、常温常湿度環境(23℃、50%RH;N/N)、低温低湿度環境(15℃、10%RH;L/L)及び高温高湿度環境(33℃、90%RH;H/H)において実施した。なお、ランニング時のプリントは、印字比率が1%の横線とし、初期評価は10枚目の時に耐久評価テストを中断し、耐久評価は耐久テスト終了後に、それぞれ必要な評価を実施した。画像評価の結果は表12及び表13に挙げたように、いずれの環境下においても終始良好な画像特性を得ることができた。
<実施例23、実施例24及び比較例8乃至比較例11>
現像剤、現像剤担持体及び現像剤層厚規制部材を表12及び表13に示したように組み合わせた以外は、実施例22と同様にして画像評価を行なった。評価結果も表12及び表13に挙げた。