JP5089232B2 - 3層クラッドアルミニウム管およびアルミニウム製内面溝付き管の製造方法 - Google Patents
3層クラッドアルミニウム管およびアルミニウム製内面溝付き管の製造方法Info
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これまで、アルミニウム製自動車用熱交換器、例えばラジエータ、コンデンサ等は軽量化を目的として製造、使用されてきたものの、冷却部は溝付きチューブ等が使用され、配管そのものの内面に溝加工をしたものはなかった。また、エアコンなどの空調設備においては、コストなどから銅製溝付き配管が使用されており、アルミニウム製溝付き配管の使用はなかった。
ここでは、加工時の管内面の溝つぶれ防止を目的としているものの、加工時の酸化皮膜剥離による摩擦抵抗の増大に注目し、酸化皮膜を一定厚み以上付けるものである。
そして、その製造方法は、内面に亜鉛(合金)を溶射した筒状芯材の円筒状ビレットの外面に、皮材合金成分のスリーブ状被覆材を長さ方向に分割型に形成して複合ビレットとし、これを熱間押出しと引き抜き加工によるものである。
そして、優れた耐孔食性を有すると共にアルミニウム本来の軽量性と耐食性とを発揮できるアルミニウム製内面溝付き管として有用な3層クラッドアルミニウム管と、アルミニウム製内面溝付き管の製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、
(1)Mn:1.0〜1.5質量%、Cu:0.05〜0.20質量%、Si:0.6質量%以下、Fe:0.3〜0.7質量%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金にZn:1.0〜1.3質量%を含有させたアルミニウム合金が外表面を覆う皮材であり、JIS 3000系合金のAl−Mn系合金からなるアルミニウム合金が中間層を形成する芯材であり、JIS 6000系合金のAl−Mg−Si系合金又はJIS 5000系合金のAl−Mg系合金からなるアルミニウム合金が前記芯材の更に内面にある内材であることを特徴とする成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管、
(2)Mn:1.0〜1.5%、Cu:0.05〜0.20%、Si:0.6%以下、Fe:0.7%以下、Zn:0.1%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金が芯材であることを特徴とする(1)記載の成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管、
(3)Si:0.2〜0.6%、Fe:0.35%以下、Mg:0.45〜0.9%、Cu:0.1%以下、Mn:0.1%以下、Cr:0.1%以下、Zn:0.1%以下、Ti:0.1%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金が芯材の更に内面にある内材であることを特徴とする(1)または(2)記載の成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管、
(4)Si:0.25%以下、Fe:0.4%以下、Cu:0.1%以下、Mn:0.1%以下、Mg:2.2〜2.8%、Cr:0.15〜0.35%、Zn:0.1%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金が芯材の更に内面にある内材であることを特徴とする(1)または(2)記載の成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管、
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管を転造加工し管内面に溝を形成することを特徴とするアルミニウム製内面溝付き管の製造方法、および、
(6)前記(5)記載のアルミニウム製内面溝付き管の製造方法において、さらに機械拡管または液圧拡管の拡管加工を行うことを特徴とするアルミニウム製内面溝付き管の製造方法、
を提供するものである。
そして、3層クラッドのアルミニウム管は優れた耐孔食性を有すると共にアルミニウム本来の軽量性と耐食性とを発揮できる。
本発明の3層クラッドのアルミニウム管の好ましい一実施態様を図1に断面図で示す。3層クラッドのアルミニウム管1は、そのアルミニウム管の外表面を覆う皮材2と、アルミニウム管の中間層を形成する芯材3と、芯材のさらに内面にある内材4とからなる。
本発明の3層アルミニウム管の外表面を覆う皮材は、JIS3000系合金等のAl−Mn系合金である、Mn:1.0〜1.5%(質量%、以下同じ)、Cu:0.05〜0.20%、Si:0.6%以下、Fe:0.3〜0.7%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金にZnを1.0〜1.3%、好ましくは1.0〜1.2%含有させた合金である。
Zn添加合金はこの合金組成の中で、犠牲防食材としての作用効果をもつ。また、3000系合金にZnを添加することでJIS 7072合金よりも強度が高くなり、転造加工時に管表面のシワの生成を防ぐことができる。
Znの含有量が多すぎても少なすぎても犠牲防食作用が適度に働かず、防食効果を充分に発揮することができない。
前記した例えばJIS 3003合金の円筒状の芯材の外側に皮材用スリーブを被せ、内側に例えば、JIS 6063合金又はJIS 5052合金からなる内材用スリーブを設け、組み合わせビレットを作製し、これを加熱炉により350〜600℃に均熱する。組み合わせビレットをダイスとラムノーズ間に挟持してコンテナ内に挿入し、ダイスとラムノーズを固定した状態で、内材内径より大きな外径を持つマンドレルを圧入し、内材を拡管して内材と芯材間の空気を追い出す。マンドレルを所定に位置に固定して、ホローステムを前進させダイスを通して組み合わせビレットを押し出し、継ぎ目無しの3層クラッド管を得る。
また、アルミニウム合金の芯材シートの片面側に皮材シートを他面側に内材シートをクラッドした3層クラッドシートとし、このシートを内材シートが内側となるように管状に成形してからそのシート縁面を溶接した3層クラッドの電縫管としてもよい。
素管1aの引抜き方向Lに沿って、フローティングダイス5と当該フローティングダイス5に対して独立した加工ヘッド6とが、図示されていないそれぞれ別の駆動手段により回転されるように順に設置されている。加工ヘッド6は引抜き方向の下流側へ向けてやや末広がりな円錐状の内周面を有しており、加工ヘッド6内には、前記内周面へ転接し内部を通過する素管1dの周りへ等間隔に配置された複数のボール9が配列されている。これらのボール9は、その下流側でベアリング62を介して他の部材に取り付けられたフランジ状のストッパ61により引抜き方向上流側へ向けて押圧される。加工ヘッド6よりもさらに引抜き方向下流側には、整形ダイス10が設置されている。
内面溝付き管は、必要に応じてポンチによる機械拡管法や液圧拡管法等の手段により拡管加工を施し、例えば、内径4.1〜25.0mmの内面溝付き管とすることができる。
(実施例1)
表1に示す成分組成(数値は質量%、残部はAlを表す。なお、成分組成の前に記載の番号は相当するJIS合金系の番号である。)をもつ各本発明例および比較例No.の芯材合金の円筒状芯材中空ビレット(外径400mm、内径80mm、長さ990mm)内面を切削加工して常温で148mmφとした芯材中空ビレットを得、各本発明例および比較例No.の皮材(外皮)合金の押出し管(常温:外径405mm、内径400mm、長さ990mm)を皮材中空ビレットとして得、各本発明例および比較例No.の内材合金の押出し管(外径148mm、内径80mm、長さ990mm)を内材中空ビレットとして得た。皮材中空ビレットを500℃に加熱後、常温の芯材中空ビレットを皮材中空ビレットの内径部に挿入し、冷却することによって焼嵌めを行い2層中空ビレットとし、この2層中空ビレットを450℃に加熱後、常温の内材中空ビレットを内径部に挿入し、冷却することによって焼嵌めを行い3層中空ビレットとした。
焼嵌めされた3層クラッドの中空ビレットを450℃で間接押出しし、外径47mm、肉厚3.5mmの押出し管とし、この押出し管に引抜き加工を繰返し施して、外径10mm、肉厚1mmの3層クラッド管を得た。
得られる内面溝付き管の外径φは9.4mmで、底肉厚は0.85tであり、また、内面溝の深さは0.15mm、その頂角αは15°とした。
(a)転造加工性:
各本発明例および比較例で得られた3層クラッド管から前記した方法で内面溝付き管を製造し、内溝の成形深さ(H)および頂角(α)を測定した。これらの値が設計値の±10%以内であり、目視による観察で不具合のないものを「○」と評価し、それ以外のものは「×」とした。
(b)機械拡管性:
外径8mmの内面溝付き管を超硬またはダイス鋼製ポンチで拡径し、外径8.5mmの管を得た。得られた内面溝を光学顕微鏡で観察し、溝に潰れのないものを「○」と評価し、それ以外のものは「×」とした。
(c)耐食性
各供試管の外部耐食性を評価するために、各供試管についてJIS Z8681に準じるCASS試験を1500時間行った。試験後、供試管の表面腐食生成物を除去して、管の腐食状況を評価した。評価は光学顕微鏡により最大孔食深さが外皮内にとどまっているものを「○」と評価し、それ以外のものは「×」とした。
2 皮材
3 芯材
4 内材
5 フローティングダイス
6 加工ヘッド
7 フローティングプラグ
8 溝付きプラグ
9 ボール
10 成形ダイス
11 アルミニウム製内面溝付き管
Claims (6)
- Mn:1.0〜1.5質量%、Cu:0.05〜0.20質量%、Si:0.6質量%以下、Fe:0.3〜0.7質量%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金にZn:1.0〜1.3質量%を含有させたアルミニウム合金が外表面を覆う皮材であり、JIS 3000系合金のAl−Mn系合金からなるアルミニウム合金が中間層を形成する芯材であり、JIS 6000系合金のAl−Mg−Si系合金又はJIS 5000系合金のAl−Mg系合金からなるアルミニウム合金が前記芯材の更に内面にある内材であることを特徴とする成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管。
- Mn:1.0〜1.5質量%、Cu:0.05〜0.20質量%、Si:0.6質量%以下、Fe:0.7質量%以下、Zn:0.1質量%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金が芯材であることを特徴とする請求項1記載の成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管。
- Si:0.2〜0.6質量%、Fe:0.35質量%以下、Mg:0.45〜0.9質量%、Cu:0.1質量%以下、Mn:0.1質量%以下、Cr:0.1質量%以下、Zn:0.1質量%以下、Ti:0.1質量%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金が芯材の更に内面にある内材であることを特徴とする請求項1または2記載の成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管。
- Si:0.25質量%以下、Fe:0.4質量%以下、Cu:0.1質量%以下、Mn:0.1%質量以下、Mg:2.2〜2.8質量%、Cr:0.15〜0.35質量%、Zn:0.1質量%以下を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム合金が芯材の更に内面にある内材であることを特徴とする請求項1または2記載の成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の成形性と耐食性に優れた内面溝付き管用3層クラッドアルミニウム管を転造加工し管内面に溝を形成することを特徴とするアルミニウム製内面溝付き管の製造方法。
- 請求項5記載のアルミニウム製内面溝付き管の製造方法において、さらに機械拡管または液圧拡管の拡管加工を行うことを特徴とするアルミニウム製内面溝付き管の製造方法。
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