JP5086291B2 - 茹で麺類用穀粉組成物および茹で麺類の製造方法 - Google Patents

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本発明は、特定の粒度分布を有し、且つ高蛋白含量の小麦粉を含有する茹で麺類用穀粉組成物、ならびに該茹で麺類用穀粉組成物を用いた茹で麺類の製造方法に関する。本発明の茹で麺類用穀粉組成物を用いて製麺した生麺線は、低カロリー化を図るべく高歩留りまで茹で上げても、外観・食感・調理性(再加熱時のほぐれ)に優れる。例えば、うどんでは歩留りを420%にすることにより、1食当たりのエネルギーを約1/3カットすることが可能である。
近年の健康志向やダイエットーブームに伴い、様々な食品分野において低カロリー化された商品が求められている。麺類についても低カロリー化が求められている。
低カロリー麺類を提供することを目的として、特許文献1には、難消化性澱粉(レジスタントスターチ)を含む澱粉と、グリアジンを配合することが提案されている。同様に低カロリー麺類を提供することを目的として、特許文献2には、ハイドロコロイドを形成し保水力のある多糖類としてのグルコマンナンと、高粘性を呈する水溶液または水分散性多糖類(具体的には各種ガム類等の増粘剤)を配合して、高歩留りまで茹でることが提案されている。高歩留りまで茹でれば低カロリー化は実現できるが、特許文献1、2に記載の成分を使用すると、食感や風味が本来の麺類とは異なったものになってしまう。
一方、特許文献3には、主原料として小麦粉蛋白質含量15〜18%の高蛋白小麦粉を使用し、これに対して澱粉配合比10〜60重量%、卵白粉末0.3〜2重量%の配合比で添加混合して、常法により製麺する生中華麺または半生中華麺の製造方法が記載されている。そして、特許文献3には、上記高蛋白小麦粉を得る方法として、小麦粉中の高蛋白セクションを取り分ける方法、20ミクロン以下の微粉を小麦粉中に3〜50重量%配合する方法、小麦粉中に小麦グルテンを0.5〜10重量%配合する方法、またはこれらの併用が挙げられている。特許文献3に具体的に記載されているのは、市販の高蛋白質麺用小麦粉(蛋白質含量13.2%)にグルテンを添加したものだけである。
特許文献4には、粒径20μm以下の小麦粉および澱粉を90:10〜50:50の重量比で含有する麺用小麦粉が記載されており、該粒径20μm以下の小麦粉は、蛋白質含量が14〜20重量%の高蛋白小麦粉であることが記載されている。
しかし、特許文献3および4に記載の高蛋白小麦粉は、麺類の茹で時間を短くすること等を目的としたもので、麺類を高歩留りまで茹でることを目的としたものではない。特許文献3および4に記載のように蛋白含量を高めた小麦粉を単に用いただけでは、得られた麺類を低カロリー化を図るべく高歩留りまで茹でた場合、粘弾性のある良好な食感等、本来の麺らしさが失われてしまう。
特許文献5には、麺類をα化処理してその歩留りを350〜500%に調整し、次いで凍結真空乾燥する即席麺の製造方法が記載されている。しかし、この即席麺は、体積を大きくした後、凍結により多孔質にしてから乾燥したものであり、高歩留りの状態で喫食するものではない。
特許文献6には、トランスグルタミナーゼを穀粉1kg当たり60unit以上配合して得られる生麺線を、茹で歩留り330〜450%となるように茹で上げる茹で麺類の製造方法が記載されている。この茹で麺類は、再加熱不要でそのまま喫食可能なものである。特許文献6には、小麦粉の粒度分布および蛋白含量については何等記載されていない。特許文献6で用いられている小麦粉は、一般的な市販品であり、本発明に係る特定の粒度分布を有し、且つ高蛋白含量を有するものではない。
特開平10−262589号公報 特開2004−357571号公報 特開平11−28067号公報 特開平8−200号公報 特開昭56−28508号公報 特開2000−253841号公報
従って、本発明の目的は、通常より高い茹で歩留りにすることで、1食当たりのエネルギー(カロリー)を低減することができ、且つ高歩留りまで茹で上げても、本来の麺らしさを保持し得る、すなわち外観・食感・調理性(再加熱時のほぐれ)に優れる茹で麺類が得られる茹で麺類用穀粉組成物、およびこれを用いた茹で麺類の製造方法を提供することにある。
本発明らは、鋭意検討を行った結果、特定の粒度分布および粗蛋白含量を有する小麦粉を使用することにより、上記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであり、粒度分布において粒径60〜100μmの範囲に最大頻度を有するとともに、粒径が20〜150μmの粒子が80質量%以上であり、且つ粗蛋白含量16.5〜19質量%である小麦粉を20〜80質量%含むことを特徴とする茹で麺類用穀粉組成物を提供するものである。
また、本発明は、穀粉原料として上記茹で麺類用穀粉組成物を用いて製麺し、得られた生麺線を茹で上げて、茹で歩留り290〜450%の範囲で、麺類の種類に応じて該麺類の通常の茹で歩留りより高い茹で歩留りとなるように調整することを特徴とする茹で麺類の製造方法を提供するものである。
本発明の茹で麺類用穀粉組成物を用いることにより、通常より高い茹で歩留りまで茹で上げても、本来の麺らしい良好な外観・食感・調理性を有する茹で麺を得ることができる。本発明の茹で麺類用穀粉組成物を用いて高い茹で歩留りの茹で麺とすれば、1食当たりのエネルギー(カロリー)を低減することが可能である。
本発明の茹で麺類用穀粉組成物に用いる上記小麦粉は、その粒度分布において粒径60〜100μmの範囲、好ましくは65〜95μmの範囲に最大頻度を有し、且つ粒径が20〜150μmの粒子が80質量%以上、好ましくは83質量%以上であるものである。また、上記小麦粉は、粗蛋白含量が14〜19質量%の範囲であり、好ましくは15〜18質量%の範囲である。
なお、本発明における小麦粉の粒度分布は、日機装株式会社製「マイクロトラック粒度分布測定装置9200FRA」を用いて乾式で測定したものである。各粒径の頻度および割合は、粒度分布を解析し、計算した「検出頻度割合」である(日機装株式会社の資料「マイクロトラック粒度分析計測定結果の見方」参照)。
使用する小麦粉の粒度分布および粗蛋白質含量が上記範囲から外れると、高い茹で歩留りまで茹で上げたときに、本来の麺らしい良好な外観・食感・調理性を有する茹で麺類が得られない。
本発明における上記の特定の粒度分布および粗蛋白含量を有する小麦粉は、原料小麦に対し常法に従ってロールによる粉砕と篩による篩分けを繰り返し行い、上記の特定の粒度分布および粗蛋白含量を満たす画分を分取することにより得ることができる。
本発明の茹で麺類用穀粉組成物において、上記の特定の粒度分布および粗蛋白含量を有する小麦粉の含有量は、20〜80質量%の範囲であり、好ましくは40〜70質量%の範囲である。上記小麦粉の含有量が、20質量%未満であると十分な効果が得られず、すなわち、通常より高い歩留りまで茹で上げると外観・食感・調理性(再加熱時のほぐれ)に優れる茹で麺類が得られず、また80質量%を超えると、粘弾性のバランスが崩れ、ゴワゴワして脆い食感となる。
本発明の茹で麺類用穀粉組成物には、さらに澱粉類を配合することができる。澱粉類を配合する場合、その配合量は好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%の範囲である。澱粉類を5〜40質量%配合することにより、ややソフトな食感になるが、粘弾性が増し、冷凍麺においては冷凍耐性が向上する。特にうどんやきしめんに関しては、好ましい効果が得られる。
澱粉類の種類は、麺類の種類や所望の食感等により適宜選択することができる。澱粉類の具体例としては、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、甘藷澱粉、またはこれらに架橋、エステル化、エーテル化、酸化、α化等を施した化工澱粉が挙げられる。好ましくはタピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、またはこれらの化工澱粉であり、より好ましくはタピオカ澱粉または馬鈴薯澱粉に架橋、エステル化およびエーテル化から選択される1種以上を施した化工澱粉である。
本発明の茹で麺類用穀粉組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、穀粉原料として、上記小麦粉および澱粉類以外に、各種小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉等)、そば粉、コーンフラワー、ライ麦粉、大麦粉、オーツ粉、米粉等を配合してもよい。また、副資材として、食塩;かんすい;卵白粉、全卵粉等の卵粉;難消化性澱粉、コンニャク、グルコマンナン等の食物繊維;キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸およびその塩、寒天、ゼラチン、ペクチン等の増粘剤;動植物油脂、乳化油脂、ショートニング等の油脂類;レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤;炭酸塩、リン酸塩等の無機塩類;グルテン、大豆蛋白質、カゼイン等の蛋白類;その他ソルビット、エチルアルコール、トランスグルタミナーゼ等の酵素剤等を配合することもできる。
本発明の茹で麺類用穀粉組成物を用いた製麺方法は、常法によればよい。例えば、本発明の茹で麺類用穀粉組成物に食塩水、かんすい、その他の製麺用副資材等を加え、常圧下または減圧下において混練して生地を調製し、この生地を製麺ロールを用いて複合・圧延して麺帯を得、この麺帯を、切刃等を用いて切り出して麺線を得るか、あるいは、生地から押し出し成型により麺線を得ることができる。
得られた生麺は、常法に従って茹で処理を行い、通常より高い茹で歩留り290〜450%となるように調整する。茹で歩留りは、麺類の種類、麺線の太さ等により異なるが、うどん、きしめんでは350〜450%、好ましくは400〜430%の範囲である。焼きそばや中華麺では290〜350%、好ましくは310〜330%の範囲である。日本そばでは、290〜370%、好ましくは310〜350%の範囲である。
本発明において、茹で歩留りが上記範囲未満であると、1食当たりのエネルギーのカット率が十分に達成できない。また上記範囲を超えると、外観が茹で解けにより崩れる、食感が軟らかく水っぽいものとなる、再加熱時のほぐれが悪化するなどの問題が生じ易い。なお、本発明においては、茹で麺の喫食あたり(一食分)の質量を変えることなく、喫食あたりのエネルギーをカットすることができ、その喫食あたりのエネルギーのカット率は、麺類の種類等により異なり、また所望に応じて設定されるが、通常は少なくとも20%、好ましくは30%以上の範囲である。当該カット率は、主に茹で歩留りにより調整することができる。このため、通常は、茹で麺類の喫食あたりの質量は約220gで、そのエネルギーは約290kcalであるが、本発明では、茹で麺類の喫食あたりの質量がほぼ同じでありながら、エネルギーが少なくとも約58kcal以上、好ましくは約87kcal以上の範囲でカットされる。
茹で歩留りを上記範囲に調整する手段としては、通常は当該範囲まで茹で上げる方法が採用されるが、茹で処理を途中で止め、そのまま茹で湯中に放置する方法、あるいは茹で処理を途中で止めた後、スープ類中で再度、麺類を煮る方法でも良い。
本発明の方法で製造された茹で麺類は、冷蔵もしくはチルド状態の茹で麺として、または冷凍麺の形態で流通・販売することが好ましいが、茹で麺類に殺菌処理などの所定の処理を施し、常温品として流通・販売してもよい。
本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔製造例1〕
原料小麦をロールによる粉砕と、篩による篩い分けを繰り返し行い、特定の画分を取り分けて製造例1の小麦粉を得た。この小麦粉は粗蛋白含量16.5質量%であった。また、粒度分布において粒径70〜80μmの範囲に最大頻度を有するとともに、粒径が20〜150μmの粒子が約90質量%であった。
〔製造例2〕
原料小麦をロールによる粉砕と、篩による篩い分けを繰り返し行い、特定の画分を取り分けて製造例2の小麦粉を得た。この小麦粉は粗蛋白含量18.0質量%であった。また、粒度分布において粒径80〜90μmの範囲に最大頻度を有するとともに、粒径が20〜150μmの粒子が約88質量%であった。
〔実施例1および比較例1〕うどん用穀粉組成物の調製および冷凍うどんの製造
表2に示す配合割合で、製造例1で得られた小麦粉、中力小麦粉(商品名「金すずらん」、日清製粉株式会社製)、強力小麦粉(商品名「カメリア」、日清製粉株式会社製)、タピオカ澱粉のエステル化澱粉(商品名「アクトボディA−800」、株式会社J−オイルミルズ製)、小麦グルテン(商品名「AグルG」、グリコ栄養食品株式会社)、酵素製剤(商品名「コシキープ速効タイプ」、味の素株式会社製)を粉体混合して、うどん用穀粉組成物を得た。
得られたうどん用穀粉組成物を試験用ミキサー(新東京麺機株式会社製)に投入し、次いで予め食塩4質量部を水42質量部に溶かした食塩水を加えて、減圧下(−700mmHg)で10分間混合ミキシングを行い、そぼろ状のうどん生地を得た。
得られたうどん生地を、常法に従ってまとめ、複合および圧延を行って最終麺帯厚を2.1mmとした後、切り刃#12角刃で切り出し、生麺線を得た。
得られた生麺線をpH5.5〜6.5に調整した十分量の沸騰水中で茹で歩留りが表2に示す値となるように茹で上げた。
茹で上げた麺を直ちに水洗・氷冷し、よく水を切った後、220gを1食分とし、成形容器に収め、−40℃で急速凍結を行った。
この冷凍うどんを約2週間後、沸騰水中で約1分間茹でて加熱解凍した。この解凍うどんを水洗・冷却・水切りし、容器に入れて、うどんの表面の外観、食感および調理性について表1に示す評価基準表に従ってパネラー10人で評価した。その評価の平均点を表2に示す。
Figure 0005086291
Figure 0005086291
比較例1−1は、通常の配合により通常の茹で歩留りまで茹で上げたものである。比較例1−1と同じ通常の配合で茹で歩留りを高くすると、外観・食感・調理性のいずれも評価が大幅に低下してしまう(比較例1−2)。
小麦グルテンや強力粉を用いて単純に粗蛋白含量を高めても、評価の改善は僅かである(比較例1−3、1−4)。酵素製剤を用いても、外観がやや改善するのみである(比較例1−5)。
これに対し、特定の小麦粉を含有する本発明の茹で麺類用穀粉組成物を用いると、茹で歩留りを高くしても良好な外観、食感および調理性を保持できる(実施例1−1、1−4、1−5)。但し、茹で歩留りが450%を超えると、評価は低下してくる(比較例1−10)。
また、本発明に係る特定の小麦粉の含有量が10質量%では、本発明の効果は認められない(比較例1−6)。さらに小麦グルテンを併用して粗蛋白含量を高めても、本発明の効果は認められない(比較例1−7)。
一方、本発明に係る特定の小麦粉の含有量が90質量%では、ゴワゴワして脆い食感になってしまう(比較例1−8)。この場合、さらに茹で歩留りを高くしても、粘弾性のある食感にはならない(比較例1−9)。
これに対し、本発明に係る小麦粉を穀粉組成物中20〜80質量%の範囲で用いると明らかな効果が認められる(実施例1−1〜1−3)。
〔実施例2および比較例2〕中華麺用穀粉組成物の調製および冷凍中華麺の製造
表3に示す配合割合で、製造例2で得られた小麦粉、強力小麦粉(商品名「ミリオン」、日清製粉株式会社製)、および小麦グルテン(商品名「AグルG」、グリコ栄養食品株式会社)、さらに、卵白粉(商品名「乾燥卵白ELS」、キユーピータマゴ株式会社製)1質量部および酵素製剤(商品名「コシキープ速効タイプ」、味の素株式会社製)1質量部を粉体混合して、中華麺用穀粉組成物を得た。
得られた中華麺用穀粉組成物を試験用ミキサー(新東京麺機株式会社製)に投入し、次いで予めかんすい1.5質量部および食塩0.5質量部を水32質量部に溶かした溶液を加えて、減圧下(−700mmHg)で10分間混合ミキシングを行い、そぼろ状の中華麺生地を得た。
得られた中華麺生地を、常法に従ってまとめ、複合および圧延を行って最終麺帯厚を1.4mmとした後、切り刃#20角刃で切り出し、生麺線を得た。
得られた生麺線を十分量の沸騰水中で茹で歩留りが表3に示す値となるように茹で上げた。
茹で上げた麺を直ちに水洗・氷冷し、よく水を切った後、220gを1食分とし、成形容器に収め、−40℃で急速凍結を行った。
この冷凍中華麺を約2週間後、沸騰水中で約30秒間茹でて加熱解凍した。この解凍中華麺を水洗・冷却・水切りし、容器に入れて、中華麺の表面の外観、食感および調理性について表1に示す評価基準表に従ってパネラー10人で評価した。その評価の平均点を表3に示す。
Figure 0005086291
比較例2−1は、通常の配合により通常の茹で歩留りで茹で上げたものである。比較例2−1と同じ通常の配合で茹で歩留りを高くすると、外観・食感・調理性のいずれも評価が大幅に低下してしまう(比較例2−2)。小麦グルテンを併用して単純に粗蛋白含量を高めても、評価の改善は十分ではない(比較例2−3)。
これに対し、特定の小麦粉を特定範囲内の量で含有する本発明の茹で麺類用穀粉組成物用いると、茹で歩留りを高くしても良好な外観、食感および調理性を保持できる(実施例2−1、2−2、2−3)。
本発明に係る特定の小麦粉の含有量が10質量%では、本発明の効果は認められない(比較例2−4)。さらに小麦グルテンを併用して粗蛋白含量を高めても、十分な効果は認められない(比較例2−5)。
一方、本発明に係る特定の小麦粉の含有量が90質量%では、ゴワゴワして脆い食感になってしまう(比較例2−6)。
〔実施例3および比較例3〕そば用穀粉組成物の調製および茹でそばの製造
表4に示す配合割合で、製造例1で得られた小麦粉、強力小麦粉(商品名「ミリオン」、日清製粉株式会社製)、小麦グルテン(商品名「AグルG」、グリコ栄養食品株式会社)、およびそば粉(商品名「金寿月」、日穀製粉株式会社製)、さらに卵白粉(商品名「乾燥卵白タイプM」、キユーピータマゴ株式会社製)0.5質量部を粉体混合して、そば用穀粉組成物を得た。
得られたそば用穀粉組成物を試験用ミキサー(新東京麺機株式会社製)に投入し、次いで予め食塩1質量部を水34質量部に溶かした食塩水を加えて、減圧下(−700mmHg)で10分間混合ミキシングを行い、そぼろ状のそば生地を得た。
得られたそば生地を、常法に従ってまとめ、複合および圧延を行って最終麺帯厚を1.3mmとした後、切り刃#20角刃で切り出し、生麺線を得た。
得られた生麺線を十分量の沸騰水中で茹で歩留りが表4に示す値となるように茹で上げた。
茹で上げた麺を直ちに水洗・氷冷し、よく水を切った後、220gを1食分とし、包装し、冷蔵庫(庫内温度5〜8℃)で保管した。
この茹でそばを2日後、沸騰水中で約30秒間茹でて加熱した。この茹でそばを水洗・冷却・水切りし、容器に入れて、そばの外観、食感および調理性について表1に示す評価基準表に従ってパネラー10人で評価した。その評価の平均点を表4に示す。
Figure 0005086291
比較例3−1は、通常の配合により通常の茹で歩留りで茹で上げたものである。比較例1と同じ通常の配合で茹で歩留りを高くすると、外観・食感・調理性のいずれも評価が大幅に低下してしまう(比較例3−2)。小麦グルテンを併用して単純に粗蛋白含量を高めても、評価の改善は十分ではない(比較例3−3)。
これに対し、特定の小麦粉を特定範囲の量で含有する本発明の茹で麺類用穀粉組成物用いると、茹で歩留りを高くしても良好な外観、食感および調理性を保持できる(実施例3−1、3−2、3−3)。

Claims (4)

  1. 粒度分布において粒径60〜100μmの範囲に最大頻度を有するとともに、粒径が20〜150μmの粒子が80質量%以上であり、且つ粗蛋白含量16.5〜19質量%である小麦粉を20〜80質量%含むことを特徴とする茹で麺類用穀粉組成物。
  2. さらに澱粉類を5〜40質量%含む請求項1に記載の茹で麺類用穀粉組成物。
  3. 穀粉原料として、粒度分布において粒径60〜100μmの範囲に最大頻度を有するとともに、粒径が20〜150μmの粒子が80質量%以上であり、且つ粗蛋白含量16.5〜19質量%である小麦粉を20〜80質量%含む茹で麺類用穀粉組成物を用いて製麺し、得られた生麺線を茹で上げて、茹で歩留り290〜450%の範囲で、麺類の種類に応じて該麺類の通常の茹で歩留りより高い茹で歩留りとなるように調整することを特徴とする茹で麺類の製造方法。
  4. 上記茹で麺類用穀粉組成物がさらに澱粉類を5〜40質量%含む請求項3に記載の茹で麺類の製造方法。
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