JP5085491B2 - コンバイン - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンを搭載したコンバインの排気ガスを排出するための排気構造に関するものである。
ディーゼルエンジンを備えるトラクタ等の作業車両において、ディーゼルエンジンによって生じる排気ガスを浄化処理するために、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)やNOx触媒等の排気ガス浄化装置を備える構成が従来から知られている。この種の排気ガス浄化装置を備えた作業車両を開示したものに特許文献1がある。
特開2008−31955号公報
作業車両の中でもコンバインは、トラクタ等と比べて刈取装置、脱穀装置、グレンタンク等の様々な装置を備える構成のため、排気ガス浄化装置を配置する場所が限定されてしまう。コンバインの各装置と干渉しないように排気ガス浄化装置を配置する方法としては、ディーゼルエンジンの排気管を延長させて、脱穀装置の上方側や、走行機体の下方側に排気ガス浄化装置を配置する構成等が考えられる。しかし、脱穀装置の上方側や走行機体の下方側に排気ガス浄化装置を配置した場合、当該排気ガス浄化装置を支持するための支持構造が複雑化し、部品点数の増大を招くおそれがある。そのため、コンバインに形成されるスペースを活かして排気ガス浄化装置を効率的に配置するという観点から改善の余地があった。
また、触媒の温度を一定の高温状態に保つ必要があるディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)によって排気ガスを浄化処理する場合、浄化処理装置の各部の温度を高温状態に維持する必要がある。しかし、上述したような脱穀装置の上方側や、走行機体の下方側に排気ガス浄化装置を配置する構成では、排気ガス浄化装置の温度を高温状態で維持することが難しくなる。とりわけ、寒冷地等の温度環境が厳しい場所でコンバインを運用する場合、DPFの触媒の温度を適切な状態で保って浄化処理機能を効果的に発揮させることは困難であった。
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンバインに形成されるスペースを有効に活用するとともに、排気ガス浄化の効率性を容易に向上させることができる排気構造を備えたコンバインを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下のように構成されるコンバインが提供される。即ち、コンバインは、ディーゼルエンジンを搭載した走行機体と、刈取装置と、脱穀装置と、グレンタンクと、を備える。また、コンバインは、前記脱穀装置と前記グレンタンクとの間で下方に向けて延びる排気管と、前記ディーゼルエンジンの排気ガス中の粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタと、前記ディーゼルエンジンの排気ガス中の窒素酸化物を還元するNOx触媒と、を備える。そして、前記ディーゼルパティキュレートフィルタは、前記ディーゼルエンジンの排気マニホールドと前記排気管のテールパイプとの間に配置される。また、前記Nox触媒は、前記ディーゼルパティキュレートフィルタと前記テールパイプとの間の排気経路に配置される。また、側面視において、一番物を搬送するための一番揚穀筒を前後方向に挟んで、前記ディーゼルパティキュレートフィルタと、前記NOx触媒と、が配置される。
これにより、排気マニホールドからテールパイプまでの排気構造を、脱穀装置とグレンタンクとの間のスペースを利用して設置できるので、脱穀装置、グレンタンク及び排気管をコンパクトにまとめて配置することができる。また、排気管が脱穀装置とグレンタンクとの間を通るように配置されるので、ディーゼルエンジンの各部を、排気構造に干渉させることなく容易に配置できる。また、排気管等を利用して、ディーゼルパティキュレートフィルタやディーゼルエンジンの各部を支持させるための支持構造を簡易に形成することもできる。更に、ディーゼルパティキュレートフィルタをディーゼルエンジンに近い位置に配置することも可能であり、この場合、当該ディーゼルエンジンの熱を利用して、触媒を高い温度で効率的に維持することができる。従って、ディーゼルパティキュレートフィルタの浄化機能が向上し、寒冷地等の過酷な温度環境でコンバインを運用する場合でも、排気ガス浄化機能を有効に発揮させることができる。上記のようにディーゼルパティキュレートフィルタとテールパイプとの間の排気経路にNOx触媒を配置することで、グレンタンクと脱穀装置との間のスペースを利用してNOx触媒をコンパクトに設置できる。また、脱穀装置の各部やグレンタンクの各部を利用することによって、NOx触媒を支持するための高剛性を有した支持構造を形成できる。上記のように一番揚穀筒を挟んでディーゼルパティキュレートフィルタとテールパイプとを配置することで、ディーゼルパティキュレートフィルタ及び前記NOx触媒に必要な左右方向のスペースを小型化でき、排気ガスを浄化するための構成を一層コンパクトに構成できる。
前記のコンバインにおいては、前記ディーゼルパティキュレートフィルタと前記テールパイプとの間の排気経路に消音器を配置したことが好ましい。
これにより、排気ガスの排出音を低減させる構成を、グレンタンクと脱穀装置との間のスペースを利用してコンパクトに配置できる。また、下方に延びる形状の排気管に消音器を取り付ける構成であるので、消音器を低位置に配置することが容易となる。これによって、コンバインの下方側のスペースを有効に活用することができる。
前記のコンバインにおいては、前記テールパイプに形成される排気ガスの排出口が前記走行機体の下方に配置されていることが好ましい。
これにより、テールパイプの排出口より放出される排気ガスの風圧によって、走行機体の下方側の構成に付着した藁屑を除去することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、単に「左側」「右側」等というときは、コンバインが前進する方向に向かって左側及び右側を意味するものとする。図1は、本発明の一実施形態に係るコンバインの左側からコンバイン全体の様子を示した側面図である。図2は、コンバインの右側からコンバイン全体の様子を示した側面図である。図3は、コンバインの平面図である。
図1、図2及び図3に示されるように、本実施形態のコンバインは、左右一対の走行クローラ2(走行部)によって支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈り取る4条刈り用の刈取装置3が配置されている。この刈取装置3は、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に、走行機体1に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留するグレンタンク7とが横並び状に搭載されている。脱穀装置5が走行機体1の前進方向に向かって左側に配置され、グレンタンク7が走行機体1の前進方向に向かって右側に配置されている(図3参照)。グレンタンク7内の穀粒を機体外部に排出する穀粒排出オーガ8がグレンタンク7に配設されている。
走行機体1の右側前部には、運転部10が設けられている。グレンタンク7の前方の運転部10には、オペレータが搭乗するステップ11、運転座席12、操向ハンドル13や各種の操作レバーなどを備えた操作装置を配置している。運転座席(シート)12の下方の走行機体1には、動力源としてのディーゼルエンジン20が配置されている。
図1及び図2に示されるように、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、駆動スプロケット22と、テンションローラ23と、複数のトラックローラ24と、を設けている。駆動スプロケット22は、走行クローラ2にディーゼルエンジン20の動力を伝えるためのものである。テンションローラ23は、走行クローラ2のテンションを維持するためのものである。トラックローラ24は、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持するためのものである。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持する。
図1及び図2に示すように、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに刈取フレーム9を連結している。刈取装置3は、刈刃装置47と、穀稈引起装置48と、穀稈搬送装置49と、分草体50と、を備える。刈刃装置47は、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するためのものであり、バリカン式で構成される。穀稈引起装置48は、圃場の未刈り穀稈を引き起こすためのものであり、本実施形態では4条分に対応するように構成されている。穀稈搬送装置49は、刈刃装置47によって刈り取られた刈取り穀稈を搬送するためのものである。分草体50は、圃場の未刈り穀稈を4条分で分草するためのものである。前記刈取フレーム9の下方に刈刃装置47が設けられている。また、刈取フレーム9の前方に穀稈引起装置48が配置されている。穀稈引起装置48とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間に穀稈搬送装置49が配置されている。穀稈引起装置48の下部前方に分草体50が突設されている。ディーゼルエンジン20によって走行クローラ2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取装置3を駆動して圃場の未刈り穀稈を連続的に刈り取る。
図1及び図2に示されるように、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴26と、揺動選別盤27と、唐箕ファン28と、処理胴29と、排塵ファン30と、が備えられる。揺動選別盤27は、扱胴26の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別機構として構成される。唐箕ファン28は、揺動選別盤27に選別風を供給するためのものである。処理胴29は、扱胴26の後部から取り出される脱穀排出物を再処理するためのものである。排塵ファン30は、揺動選別盤27の後部の排塵を機外に排出するためのものである。
図1乃至図3に示すように、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン34が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン34に受け継がれた排藁は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ35にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後下方に排出される。ここでいう排藁とは穀粒が脱粒された稈のことである。
揺動選別盤27の下方側には、揺動選別盤27にて選別された穀粒(一番選別物)を取り出す一番コンベヤ31と、枝梗付き穀粒等の二番選別物を取り出す二番コンベヤ32と、が設けられている。本実施形態では、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ31、二番コンベヤ32の順で、側面視において走行機体1の上面側に横設されている。
図1乃至図3に示すように、揺動選別盤27は、扱胴26の下方に落下した脱穀物を、揺動選別(比重選別)するように構成されている。揺動選別盤27から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン28からの選別風によって除去され、一番コンベヤ31に落下する。一番コンベヤ31のうち脱穀装置5におけるグレンタンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる一番揚穀筒33が連通接続されている。一番コンベヤ31から取り出された穀粒は、一番揚穀筒33内の一番揚穀コンベヤ(図示せず)によってグレンタンク7に搬入され、グレンタンク7に収集される。
揺動選別盤27は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番選別物(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番コンベヤ32に落下させるように構成されている。二番コンベヤ32によって取り出された二番選別物は、二番還元筒36及び二番処理部37を介して揺動選別盤27の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴26からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等は、唐箕ファン28からの選別風によって、走行機体1の後部から圃場に向けて排出される。
次に、図4及び図5を参照して、ディーゼルエンジン20について説明する。図4は、ディーゼルエンジンの排気構造、グレンタンク及び脱穀装置の位置関係をコンバインの左側から示した側面図である。図5は、ディーゼルエンジンの排気構造、グレンタンク及び脱穀装置の位置関係を示した平面図である。
図4に示すように、ディーゼルエンジン20は、コンバインの内部に図略の壁等によって仕切られたエンジンルーム79に配置されている。このエンジンルーム79は運転座席12の下方に配置されており、前記ディーゼルエンジン20は、このエンジンルーム79内に図略のフレーム等によって固定されている。また、本実施形態では、オペレータが足を置くためのステップ11を形成するフレームが、エンジンルーム79前面の一部に隣接している。
ディーゼルエンジン20について説明する。ディーゼルエンジン20は、上面にシリンダヘッド60が締結されたシリンダブロック(図示省略)を備えている。図5等に示すように、シリンダヘッド60には、ターボ過給機61が取り付けられている。ターボ過給機61は、ディーゼルエンジン20の後面側で、ディーゼルエンジン20の高位置に配置されており、タービンホィール(図示省略)を内蔵したタービンケース62と、ブロアホィール(図示省略)を内蔵したコンプレッサケース63とを有する。
図4に示すように、ディーゼルエンジン20から左側方に出力軸83を突出しており、この出力軸83上にフライホィール84を設けている。フライホィール84に、刈取装置3や脱穀装置5に駆動力を伝達する作業部駆動プーリ85や、走行クローラ2にミッションケース86から駆動力を伝達する走行駆動プーリ87を固着させ、ディーゼルエンジン20の出力部が構成されている。
図5に示すように、ディーゼルエンジン20の右側方に、ディーゼルエンジン20の水冷用のラジエータ76と、ディーゼルエンジン20の空冷用の冷却ファン77が配置されている。この冷却ファン77は、ディーゼルエンジン20が内設されたエンジンルーム79の右側方に配置されている。
次にディーゼルエンジン20の吸気構造について説明する。図4及び図5に示すように、コンプレッサケース63の給気取入れ側に給気管を介してエアクリーナ71の給気排出側が接続されている。プリクリーナ72に給気ダクト73を介してエアクリーナ71の給気取入れ側が接続されている。シリンダヘッド60の前面側に給気マニホールド75が配置されており、この給気マニホールド75が、コンプレッサケース63の給気排出側に過給管74を介して接続されている。即ち、プリクリーナ72からエアクリーナ71に吸い込まれた外気は、エアクリーナ71によって除塵されたのち、給気マニホールド75からディーゼルエンジン20の各気筒に供給される。
次にディーゼルエンジン20の排気構造について説明する。図4及び図5に示すように、シリンダヘッド60の後方であって、ディーゼルエンジン20の後面側に排気マニホールド64が配置されている。ディーゼルエンジン20によって排出された排気ガスは、排気マニホールド64から、ディーゼルエンジン20の後面側のスペースを活用して配置される排気構造によって機外へ排出される。この排気構造は、排気管91と、ディーゼルパティキュレートフィルタ(以下DPF)を有するDPF部65と、NOx触媒部68と、サイレンサ(消音器)90と、を主要な構成として備えている。
排気管91は、第1接続管92と、第2接続管93と、第3接続管94と、テールパイプ69と、によって構成されており、脱穀装置5とグレンタンク7との間を通って、走行機体1の下面側に向けて延び出るように構成される。DPF部65は排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものであり、NOx触媒部68は排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元して無害化するためのものである。サイレンサ90は、排気ガスを排出する際に生じる排気音を減衰させるためのものである。なお、DPF部65及びNOx触媒部68の構成については後述する。以下、排気ガスの排出方向に従って排気構造を上流側から下流側へと説明していく。
図4に示すように、タービンケース62は、排気マニホールド64の上方に位置している。タービンケース62の排気ガス取入れ側に排気マニホールド64が接続される一方、タービンケース62の排気ガス排出側(左側)には、第1接続管92を介してDPF部65の排気ガス流入側(前側)が接続されている。第1接続管92は、図5に示す平面視で略L字状に形成されており、ディーゼルエンジン20の後面側でタービンケース62とDPF部65とを接続している。そして、このDPF部65の排気ガス排出側(後側)には、第2接続管93を介してNOx触媒部68の排気ガス流入側(上側)が接続されている。
第2接続管93は、図4に示す側面視において、DPF部65の排気ガス排出側(後側)から後方に延びた後に下側に曲がるように構成されている。また、第2接続管93は、図5に示す平面視において、DPF部65の排気ガス排出側から一番揚穀筒33を避けるように左側に曲がった後、後方に延びるように構成されている。このように、第2接続管93は、一番揚穀筒33を回避するようにして、左側に湾曲しながら後下方に向かうように構成されている。NOx触媒部68は、DPF部65より後方側(ディーゼルエンジン20の後面側)であって当該DPF部65よりも低い位置に配置されており、前記第2接続管93によってDPF部65と接続される。そして、このNOx触媒部68の排気ガス排出側(下側)には、第3接続管94を介してサイレンサ90の排気ガス流入側(前側)が接続されている。
第3接続管94は、NOx触媒部68の排気ガス排出側(下側)から下方に延びた後、走行機体1の底部を貫通して、走行機体1の下面側で後方に屈曲するように構成されており、図4に示す側面視において略L字状となっている。サイレンサ90は、NOx触媒部68より後方側であって走行機体1の下面側に配置されており、前記第3接続管94によってNOx触媒部68と接続される。この構成により、コンバインの低い位置にサイレンサ90を配置することができ、走行機体1の下面側のスペースを有効に活用することができる。また、図4及び図5に示すように、サイレンサ90の排気ガス排出側(後側)には、テールパイプ69が接続されている。
図4及び図5に示すように、テールパイプ69は、サイレンサ90の排出側(後側)から後方に突出しており、テールパイプ69の終端部には排出口69aが形成されている。この排出口69aは斜め後上方を向くように開口されており、その開口部が走行機体1の下面側を臨むように構成されている。
本実施形態では、排気マニホールド64及びタービンケース62(ターボ過給機61)がディーゼルエンジン20の後面側に配置されているので、タービンケース62とDPF部65とを接続する第1接続管92の構成を短く簡素に形成することができる。これによって、DPF部65をディーゼルエンジン20の近傍に配置するとともに、排気マニホールド64からDPF部65までの排気経路を、ディーゼルエンジン20を周回させる等することなく、簡易かつコンパクトに形成できる。また、ディーゼルエンジン20の近傍にDPF部65が配置されるので、ディーゼルエンジン20が駆動されることによって生じる熱をDPF部65の触媒の温度維持に効率的に利用することができる。更には、DPF部65までの排気経路がコンパクトに構成されるので、排気構造がターボ過給機61等の配置の障害となることもない。
図4及び図5に示すように、本実施形態の排気構造は前方から後方に進むに従って、排気マニホールド64、第1接続管92、DPF部65、第2接続管93、NOx触媒部68、第3接続管94、サイレンサ90、テールパイプ69の順で配置されている。そして、図4に示す側面視及び図5に示す平面視において、DPF部65とNOx触媒部68は、一番揚穀筒33を前後方向で挟み込むような形となっている。言い換えれば、側面視(図4)において、上下方向に細長い一番揚穀筒33の前方側にDPF部65が位置し、後方側にNOx触媒部68が位置している。従来から脱穀装置5とグレンタンク7との間には、一番揚穀筒33や二番還元筒36を配置するためのスペースが形成されているが、一番揚穀筒33と二番還元筒36を配置するスペース以外はデッドスペースとなっていた。本実施形態では、このデッドスペースとなっていた空間を利用して排気経路の一部を配置することによって、コンバインのような多種多様な装置を備える構成であっても、排気構造を他の装置に干渉させることがない効率的な配置が可能となっている。
また、排気管91を構成する第1接続管92、第2接続管93、第3接続管94は、図略のフレームで固定されている。この図略のフレームは、脱穀装置5の各部やグレンタンク7の側壁、走行機体1等を利用して形成されている。そして、DPF部65は、図略のフレームで固定される第1接続管92や第2接続管93によって支持される形となっており、DPF部65を支持させるための支持構造が、特別なブラケット等を要することなく簡易に形成されている。
NOx触媒部68は、脱穀装置の各部を利用して、脱穀装置5とグレンタンク7との間に挟まれるような形で固定されている。例えば、一番揚穀筒33のケーシングや二番還元筒36のケーシングを、NOx触媒部68を支持するためのブラケットを固定するために利用することで、NOx触媒部68の支持構造を簡易かつ強固に構成することができる。このように、脱穀装置5の各部を利用してNOx触媒部68の支持構造を構成することによって、NOx触媒部68を確実に安定して保持することができる。従って、コンバインの走行時の振動や衝撃によってNOx触媒部68がブラケットから外れることを防止でき、NOx触媒部68、第2接続管93及び第3接続管94等に損傷が発生することを抑制できる。
また、NOx触媒部68は、有害物質を除去するために触媒を高温状態に維持した状態で使用される。従って、NOx触媒部68近傍の脱穀装置5の側板及びグレンタンク7の側板は、高温状態のNOx触媒部68によって加温されることになる。ところで、コンバインにおいて、朝露等によって湿った穀稈(湿材)を刈取り脱穀する際に、脱穀装置5の扱口に前記湿材(穀稈の袴等)が付着したり、グレンタンク7での収穫作業の効率性が損なわれたりすることがある。しかしながら、本実施形態では、NOx触媒部68によって脱穀装置5の側板及びグレンタンク7の側板が加熱されるので、脱穀装置5及びグレンタンク7内部の湿材に対して除湿効果を生じさせることができる。このように、脱穀装置5及びグレンタンク7近傍にNOx触媒部68を配置することによって、NOx触媒部68の熱を利用して、湿材を取り扱う際の刈取作業及び脱穀作業の作業性の低下を抑制することができる。
次に、図6を参照してDPF部65について説明する。図6は、DPF部65の内部構造を示した模式図である。DPF部65は排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものである。図6に示すように、DPF部65は、耐熱金属材料製のDPFケーシング100を備えており、このDPFケーシング100には、略筒型のフィルタケース101,102が内蔵される。このフィルタケース101,102に、例えば白金等のディーゼル酸化触媒103とハニカム構造のフィルタ体であるすすフィルタ104とを直列に並べて収容した構造になっている。
次に、図7を参照してNOx触媒部68について説明する。図7は、NOx触媒部68の内部構造を示した模式図である。NOx触媒部68は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元して無害化するためのものである。図7に示すように、NOx触媒部68は、耐熱金属材料製のNOx触媒ケーシング106を備えており、このNOx触媒ケーシング106には、略筒型のフィルタケース107,108が内蔵される。このフィルタケース107,108にNOx除去触媒105とアンモニア除去触媒109とを直列に並べて収容した構造になっている。NOx除去触媒105としては、尿素水を還元剤とした選択接触還元触媒を用いている。
また、NOx触媒部68近傍には、尿素供給タンク装置や尿素供給ポンプ等から構成される図略の尿素供給装置が配置されており、この尿素供給装置によって、NOx触媒部68内に尿素水溶液を噴射可能に構成されている。この尿素供給装置は、コンバインの適宜のスペースに配置される。例えば、ディーゼルエンジン20の後面側のスペースや、脱穀装置5とグレンタンク7との間のスペースに前記尿素供給装置が配置される。
サイレンサ90は、排出音を減衰させる構成であれば、適宜のものを採用することができる。例えば、吸音材をサイレンサ90のケーシングに設け、排気ガスの通路の形状を変化させる構成や、ケーシング内に隔壁を設けて複数の空間を形成する構成等を本実施形態のサイレンサ90に適用することができる。
この構成で、ディーゼルエンジン20の各気筒から排気マニホールド64に排出された排気ガスは、タービンケース62及び第1接続管92を介してDPF部65に送られ、PMが捕集される。その後、排気ガスは第2接続管93を介してNOx触媒部68に送られ、窒素酸化物が無害化される。更に、排気ガスは、第3接続管94を介してサイレンサ90に送られ、排気音が減衰される。最後に、排気ガスは、サイレンサ90に接続されているテールパイプ69の排出口69aから走行機体1の下面側に放出される。本実施形態では、排出口69aが走行機体1の下面側に配置されているので、走行機体1の下面側に向けて排出口69aから排気ガスが放出されることになる。この排気ガスの風圧によって、トラックフレーム21や走行機体1の下面側に付着している藁屑や泥等が除去されることになる。
以上に示したように、本実施形態のコンバインは以下のように構成される。即ち、コンバインは、ディーゼルエンジン20を搭載した走行機体1と、刈取装置3と、脱穀装置5と、グレンタンク7と、を備える。また、コンバインは、脱穀装置5とグレンタンク7との間で下方に向けて延びる排気管91と、ディーゼルエンジン20の排気ガス中の粒子状物質を捕集するDPF部65と、を備える。そして、DPF部65は、ディーゼルエンジン20の排気マニホールド64と排気管91のテールパイプ69との間に配置される。
これにより、排気マニホールド64からテールパイプ69までの排気構造を、脱穀装置5とグレンタンク7との間のスペースを利用して設置できるので、脱穀装置5、グレンタンク7及び排気管91をコンパクトにまとめて配置することができる。また、排気管91が脱穀装置5とグレンタンク7との間を通るように配置されるので、ディーゼルエンジン20の各部を、排気構造に干渉させることなく容易に配置できる。また、排気管91等を利用して、DPF部65やディーゼルエンジン20の各部を支持させるための支持構造を簡易に形成することもできる。更に、DPF部65をディーゼルエンジン20に近い位置に配置することで、当該ディーゼルエンジン20の熱を利用して、触媒を高い温度で効率的に維持することができる。従って、DPF部65の浄化機能が向上し、寒冷地等の過酷な温度環境でコンバインを運用する場合でも、排気ガス浄化機能を有効に発揮させることができる。
また、本実施形態のコンバインにおいては、DPF部65とテールパイプ69との間の排気経路に、ディーゼルエンジン20の排気ガス中の窒素酸化物を還元するNOx触媒部68を配置している。
これにより、グレンタンク7と脱穀装置5との間のスペースを利用してNOx触媒部68をコンパクトに設置できる。また、脱穀装置5の各部を利用することによって、NOx触媒部68を支持するための高剛性を有した支持構造を簡易に形成できる。また、脱穀装置5及びグレンタンク7の近傍にNOx触媒部68を配置することによって、NOx触媒部68の熱を利用して脱穀装置5及びグレンタンク7内の湿材を加温することができ、湿材を取り扱う際の刈取り及び脱穀の作業性を向上させることができる。
また、本実施形態のコンバインにおいては、図4に示す側面視において、一番物を搬送するための一番揚穀筒33を前後方向に挟んで、DPF部65と、NOx触媒部68と、を配置している。
これにより、DPF部65及びNOx触媒部68に必要な左右方向のスペースを小型化でき、排気ガスを浄化するための構成を一層コンパクトに構成できる。
また、本実施形態のコンバインにおいては、DPF部65とテールパイプ69との間の排気経路にサイレンサ90を配置している。
これにより、排気ガスの排出音を低減させる構成を、グレンタンク7と脱穀装置5との間のスペースを利用してコンパクトに配置できる。また、下方に延びる形状の排気管91にサイレンサ90を取り付ける構成であるので、サイレンサ90を低位置に配置することが容易となる。これによって、コンバインの下方側のスペースを有効に活用することができる。
また、本実施形態のコンバインにおいては、テールパイプ69に形成される排気ガスの排出口69aが走行機体1の下方に配置されている。
これにより、テールパイプ69の排出口69aより放出される排気ガスの風圧によって、走行機体1の下面側のトラックフレーム21等に付着した藁屑を除去することができる。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
上記実施形態では、DPF部65は、略L字状に形成される第1接続管92を介してタービンケース62に接続されている構成であるが、この構成に限定されるものではなく、DPF部65は排気経路中での適宜の場所に配置することができる。例えば、タービンケース62からほぼ直結状態でDPF部65が接続されるような構成とすることもできる。ただし、触媒の温度を高温状態に維持する観点から、DPF部65はディーゼルエンジン20の近傍に配置されることが好ましい。
また、NOx触媒部68についても、上記実施形態の配置とすることに限らず、排気経路中であれば適宜の場所に配置することができる。例えば、NOx触媒部68をディーゼルエンジン20近傍に配置する構成とすることもできる。この場合、NOx触媒部68の触媒の温度を高温状態に維持することが容易となる。
また、上記実施形態のサイレンサ90は、走行機体1の下面側で固定される構成であるが、走行機体の上面側で固定する等、排気経路中であれば適宜の場所に配置することができる。
また、上記実施形態では、テールパイプ69の排出口69aが走行機体1の下面側(後上方)を向くように構成されているが、この構成に限定されず、排出口の構成は事情に応じて適宜変更することができる。例えば、排出口の形状を幅広状に形成し、排気ガスによって藁屑を除去できる範囲を拡げるように構成することもできる。
本発明の一実施形態に係るコンバインの左側からコンバイン全体の様子を示した側面図。 コンバインの右側からコンバイン全体の様子を示した側面図。 コンバインの平面図。 ディーゼルエンジンの排気構造、グレンタンク及び脱穀装置の位置関係をコンバインの左側から示した側面図。 ディーゼルエンジンの排気構造、グレンタンク及び脱穀装置の位置関係を示した平面図。 DPF部の内部構造を示した模式図。 NOx触媒部の内部構造を示した模式図。
符号の説明
1 走行機体
3 刈取装置
5 脱穀装置
7 グレンタンク
20 ディーゼルエンジン
64 排気マニホールド
65 DPF部
68 NOx触媒部
69 テールパイプ
90 サイレンサ(消音器)
91 排気管

Claims (3)

  1. ディーゼルエンジンを搭載した走行機体と、刈取装置と、脱穀装置と、グレンタンクと、を備えたコンバインにおいて、
    前記脱穀装置と前記グレンタンクとの間で下方に向けて延びる排気管と、
    前記ディーゼルエンジンの排気ガス中の粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタと、
    前記ディーゼルエンジンの排気ガス中の窒素酸化物を還元するNOx触媒と、
    を備え、
    前記ディーゼルパティキュレートフィルタは、前記ディーゼルエンジンの排気マニホールドと前記排気管のテールパイプとの間に配置され、
    前記Nox触媒は、前記ディーゼルパティキュレートフィルタと前記テールパイプとの間の排気経路に配置され、
    側面視において、一番物を搬送するための一番揚穀筒を前後方向に挟んで、前記ディーゼルパティキュレートフィルタと、前記NOx触媒と、が配置されることを特徴とするコンバイン。
  2. 請求項1に記載のコンバインであって、
    前記ディーゼルパティキュレートフィルタと前記テールパイプとの間の排気経路に消音器を配置したことを特徴とするコンバイン。
  3. 請求項1又は2に記載のコンバインであって、
    前記テールパイプに形成される排気ガスの排出口が前記走行機体の下方に配置されていることを特徴とするコンバイン。
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