以下、本願発明に係るコンバインを具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。図1乃至図4を参照して、実施形態のコンバインを説明する。図1乃至図4に示す如く、左右一対の走行クローラ2(走行部)にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈り取る四条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留するグレンタンク7とが横並び状に搭載されている。なお、脱穀装置5が走行機体1の前進方向に向かって左側に配置され、グレンタンク7が走行機体1の前進方向に向かって右側に配置されている(図3参照)。
グレンタンク7の後方から上方にかけてグレンタンク7内の穀粒を機体外部に排出する排出オーガ8が配設されている。排出オーガ8の縦オーガ8aを中心として、グレンタンク8の前部を機体側方へ回動できるように構成されている。グレンタンク7の前方で走行機体1の右側前部には、運転部10が設けられている。運転部10には、オペレータが搭乗するステップ10aと、運転座席10bと、操向ハンドル10cを設けるハンドルコラム11と、主変速レバー12または副変速レバー13または作業クラッチレバー14またはスイッチ類等を備えたサイドコラム15を配置している。
図1及び図2に示す如く、走行機体1において運転座席10bの下方側には、各駆動部の動力源としてのディーゼルエンジン20が配置されている。また、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン20の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持する。
図1乃至図3に示す如く、刈取装置3には、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置31と、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置32と、穀稈引起装置31からフィードチェン6の前端部(送り始端側)に刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置33とが備えられている。穀稈引起装置31によって圃場の未刈り穀稈が引起され、刈刃装置32によって未刈り穀稈の株元が切断され、穀稈引起装置31によってフィードチェン6の前端部に刈取り穀稈が搬送される。
脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴51と、扱胴51の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別機構としての揺動選別盤52と、揺動選別盤52に選別風を供給する唐箕ファン53と、揺動選別盤52の後部の排塵を機外に排出する排塵ファン61とを備えている。脱穀装置5の上面側にはオーガスタンド125を立設させている。オーガスタンド125を介して走行機体1における上方の収納位置に排出オーガ8を支持している。排出オーガ8は、オーガスタンド125によって略水平姿勢に支持される。図3に示す如く、走行機体1の右後方の隅部から左前方の隅部に向けて、収納位置の排出オーガ8が延長される。
図1及び図2に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン62が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン62に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ63にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下側に排出される。
揺動選別盤52の下方側には、揺動選別盤52にて選別された穀粒(一番選別物)を取出す一番コンベヤ55と、穀粒や藁屑や枝梗付き穀粒等が混合した二番選別物を取出す二番コンベヤ56とが設けられている。なお、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ55、二番コンベヤ56の順で、側面視で走行クローラ2の後部上方に横方向に延びるように設けている。
揺動選別盤52は、扱胴51の下方に落下した脱穀物を、揺動選別(比重選別)するように構成している。揺動選別盤52から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン53からの選別風によって除去され、一番コンベヤ55に落下する。一番コンベヤ55のうち脱穀装置5におけるグレンタンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる一番揚穀筒57が連通接続されている。一番コンベヤ55から取出された穀粒は、一番揚穀筒57に内設された一番揚穀コンベヤ(図示省略)によってグレンタンク7に搬入され、グレンタンク7の内部に収集される。
揺動選別盤52は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番選別物(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番コンベヤ56に落下させるように構成されている。二番コンベヤ56によって取出された二番選別物は、二番還元筒58及び二番処理部59を介して揺動選別盤52の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴51からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等は、唐箕ファン53からの選別風と排塵ファン61の吸排塵作用とによって、走行機体1の後部から圃場に向けて排出される。
次に、図4〜図9を参照して、ディーゼルエンジン20の搭載構造を説明する。図6〜図8に示す如く、走行機体1における運転座席10bの下方側に、エンジンベッド41を介してディーゼルエンジン20を防振支持させる。トラックフレーム21前部の走行駆動用ミッションケース42や脱穀装置5等の各部に、プーリ・ベルト伝動系を介してディーゼルエンジン20の駆動力を伝達している。ディーゼルエンジン20の前面側及び上面側をエンジンルームカバー44によって覆っている。加えて、サイドコラム15の下方に断熱板体である仕切り板体16を張設し、仕切り板体16によってディーゼルエンジン20の上面側の一部を覆っている。エンジンルーム43の前面側をエンジンルームカバー44によって形成し、エンジンルーム43の上面側をエンジンルームカバー44と仕切り板体16とによって形成している。
また、図8に示す如く、走行機体1における運転部10の右側端部に、開閉支点軸45を介して箱状の風洞ケース46を立設させている。走行機体1上面側における風洞ケース46機内側に水冷用ラジエータ47を立設させ、ディーゼルエンジン20の冷却ファン48にラジエータ47を対峙させている。風洞ケース46右側面の機外側開口46aから風洞ケース46内に外気(冷却風)を取り入れ、風洞ケース46左側面の機内側開口46bからラジエータ47を介して、冷却ファン48の回転によって除塵済の冷却風をエンジンルーム43内に送り込み、除塵済の冷却風によってディーゼルエンジン20等を冷却する。なお、風洞ケース46右側面の機外側開口46aには除塵網を張設している。除塵網の存在によって、風洞ケース46内部ひいてはエンジンルーム43内部への藁屑等の侵入を防止している。
また、ラジエータ47の通気範囲部の全体を覆う態様のシュラウド481が固定してあり、このシュラウド481に形成した開口に、冷却ファン48を配置させる。つまり、ラジエータ47の左側方に冷却ファン48が配置され、該冷却ファン48とラジエータ47の間はファンシュラウド481を配置して冷却風を案内している。ファンシュラウド481の前後端それぞれに、エンジンルーム43側に向かって風向板(冷却風誘導板)482,483を延設させている。即ち、前側風向板482は、ファンシュラウド481前面に右縁が連結固定され、ディーゼルエンジン20の前面右側を覆う一方で、後側風向板483は、ファンシュラウド481後面に右縁が連結固定され、ディーゼルエンジン20の後面右側を覆う。
前側風向板482の高さを後側風向板483の高さよりも低くして、前側風向板482の上端を、エンジンルームカバー44の下端よりも低い位置に配置する。一方、後側風向板483の上端は、ファンシュラウド481の開口部上端とほぼ同一高さとしている(図17参照)。前側風向板482の上端を低い位置とすることで、前側風向板482の上方に、排気ガス浄化ケース50を配置することとなるため、排気ガス浄化ケース50における再生温度の低下を抑制できる。
上述したように、ディーゼルエンジン20の一側方に設けた冷却ファン48にラジエータ47を対向配置させており、ラジエータ47を通過する冷却風をエンジンルーム43に誘導させる冷却風誘導板482,483を設けている。これにより、ラジエータ47の冷却風をエンジンルーム43内に効率よく供給できる構成とし、エンジンルーム43内の冷却効果を向上させる。また、ラジエータ47の排風側にシュラウド481を設ける構造とし、シュラウド481の両側面に冷却風誘導板482,483を固定する。そして、シュラウド481とディーゼルエンジン20との間にエアクリーナ49からの給気管(新規導入管)108を配置する。給気管108をシュラウド481側に配置することで、排気ガス浄化ケース50などの発熱体による温度上昇を抑え、給気管108が劣化するのを抑制させる。
ラジエータ47は、ディーゼルエンジン20の冷却水路と連結させる冷却水パイプ471を備える。冷却水パイプ471は、ラジエータ47上方の開口部に接続されており、ディーゼルエンジン20を循環した冷却水をラジエータ47に還流させる。冷却水パイプ471は、エアクリーナ49と連結している給気管108と交差するように、給気管108の上方に配置されている。冷却水パイプ471のディーゼルエンジン20との連結側は、給気管108よりもディーゼルエンジン20側に配置されている。すなわち、給気管108とディーゼルエンジン20及び排気ガス浄化ケース50との間に冷却水パイプ471を通過させる配置とする。従って、適正間隔を設けて給気管108と冷却水パイプ471とコンパクトに延設できるとともに、還流側の冷却水パイプ471が給気管108に対する遮熱部材として機能する。
更に、走行機体1上面における運転部10後側に、左右一対のエンジンルーム支柱71を立設させ、左右のエンジンルーム支柱71間に、背面板体72を張設している。すなわち、仕切り板体16、エンジンルームカバー44、風洞ケース46及び背面板体72によってエンジンルーム43を形成(区画)している。ディーゼルエンジン20の出力軸20a(クランク軸)を左右に向けた状態で、エンジンルーム43内にディーゼルエンジン20を配置している。なお、ディーゼルエンジン20の左側方に出力軸20aの左側端部を突出させ、出力軸20aの左側端部(突出端部)に走行駆動ベルト73及び脱穀駆動ベルト74を連結している。出力軸20aから走行駆動ベルト73を介して、ディーゼルエンジン20の駆動力を走行クローラ2に向けて出力し、出力軸20aから脱穀駆動ベルト74を介して、ディーゼルエンジン20の駆動力を脱穀装置5に向けて出力している。
一方、図4〜図12に示す如く、ディーゼルエンジン20に新気を供給するエアクリーナ49と、ディーゼルエンジン20の排気ガスを処理する排気ガス浄化ケース50とを備える。エンジンルームカバー44の上面側を階段状に多段に形成し、エンジンルームカバー44上面側のうち前部上面441を低く形成し、後部上面442を高く形成する。エンジンルームカバー44は、ステップ10bより上方に立設させた前面443の上端に前部上面441の前端を接続し、前部上面441の後端から斜め上方に立設させた後面444の上端に後部上面442を接続している。エンジンルームカバー44の後部上面442後端側と左右のエンジンルーム支柱71上端部との間に補助カバー体440を設けている。補助カバー体440の下面にエアクリーナ49を固着することによって、エンジンルームカバー44の後部上面441及び補助カバー体442の下方に、エアクリーナ49を位置させている。
補助カバー体440の上面側には消音箱体40を搭載している。風洞ケース46に新気取込みパイプ体39を介して消音箱体40内部を連通させ、消音箱体40内部にエアクリーナ49を連通させる。エアクリーナ49を介して、ディーゼルエンジン20の吸気マニホールド19に風洞ケース46内の空気を取り込むように構成している。風洞ケース46、新気取込みパイプ体39及び消音箱体40は、エンジンルーム43外に位置する外気導入部に相当する。なお、消音箱体40の上面側に電装ボックス38を設けている。電装ボックス38にエンジンコントローラ等を内蔵している。
一方、エンジンルームカバー44における前部上面441の上面側には、シート支持機構10dを介して運転座席10bを支持させている。エンジンルームカバー44の前部上面441及び仕切り板体16の下方側に排気ガス浄化ケース50を配置している。排気ガス浄化ケース50は長尺円筒状の外形形状に形成していて、ディーゼルエンジン20の上面側に支持させている。換言すると、ディーゼルエンジン20の出力軸20a軸線方向と、排気ガス浄化ケース50内部の排気ガス移動方向を一致させている。排気ガス浄化ケース50の長手方向は、ディーゼルエンジン20の出力軸20aと平行状になっている。
サイドコラム15の後方位置に、作業クラッチレバー26,27を収容するレバーケース(操作具ケース)28を配置している。レバーケース28は、エンジンルーム支柱71の上端で固定されて、運転座席10b後方の電装ボックス38左側に配置される。即ち、レバーケース28は、テールパイプ84前方に配置されて、テールパイプ84の中途部から後端側を覆う。また、レバーケース28の右側には、排出オーガ8を支持するオーガスタンド125を配置している。オーガスタンド125は、脱穀装置5の上方前面に固定している。
このように構成することで、運転座席10b後方に、電装ボックス38、レバーケース28、及びオーガスタンド125を並べて配置することとなる。そのため、運転座席10b後方において、電装ボックス38、レバーケース28、及びオーガスタンド125を、テールパイプ84からの排熱を遮断する遮熱部材として機能させることができる。したがって、運転座席10bに座乗するオペレータにテールパイプ84からの熱気が伝わるのを防止できる。排気ガス浄化ケース50内の排気ガス温度が高温に維持されるフィルタ再生運転などをスムーズに実行できる。更に、サイドコラム15の後方にレバーケース28を配置することで、運転座席10bに着席したオペレータの一側方に操作具を配置することとなるため、オペレータの操作性を向上できる。
仕切り板体16の下方側に、排気ガス浄化ケース50の排気ガス取入れ側(排気入口側)を位置させ、エンジンルームカバー44の前部上面441の下方側に、排気ガス浄化ケース50の排気ガス取出し側(排気出口側)を位置させている。排気ガス浄化ケース50の排気ガス取入れ側に排気入口管81を設け、排気ガス浄化ケース50の排気ガス取出し側には排気出口管82を設けている。排気ガス浄化ケース50の排気入口管81は、後述するターボ過給機105のタービンケース106を介して、ディーゼルエンジン20の排気マニホールド83に連結し、排気入口管81と排気マニホールド83とを連通させている。脱穀装置5とグレンタンク7の間にテールパイプ84を延設させ、テールパイプ84に排気出口管82を連通させている。ディーゼルエンジン20の排気マニホールド83から排出される排気ガスは、排気ガス浄化ケース50からテールパイプ84を介して機外に排出される。
加えて、図7〜図12に示す如く、エンジンルームカバー44を二重構造に形成し、二重構造のエンジンルームカバー44の内部空間44a,44cの左端部を開口して、風洞ケース46の内部空間46cと連通させている。エンジンルームカバー44は、二重構造となる前部上面441の上面であって、運転座席10bの左右両脇となる位置に、外気吸入用の開口44d,44eを設けている。エンジンルームカバー44の前部上面441は、シート支持機構10dの左右部分を突設させて二重構造として、内部空間44a,44bを形成し、内部空間44a,44bそれぞれの上面に開口44d,44eを設けている。なお、外気吸入用の開口44d,44eには除塵網を張設し、内部空間44a,44bへの藁屑等の侵入を防止している。また、内部空間44aの右端に設けた開口44fを風洞ケース46に設けた上方開口46dに連通させている。一方、前部上面441下方には、前部上面441全面を覆うように、仕切り板体16と高さ位置が同等となる位置に、断熱板体445を設置している。
エンジンルームカバー44は、二重構造となる前面443の前面に、外気吸入用の開口44gを設けている。なお、外気吸入用の開口44gには除塵網を張設し、内部空間44cへの藁屑等の侵入を防止している。エンジンルームカバー44の前面443は、その上方を開口させた内部空間44cを形成して、前部上面441の内部空間44a,44bそれぞれと連通している。また、内部空間44cの右端に設けた開口44hを風洞ケース46に設けた下方開口46eに連通させている。一方、前面443後方には、前面443全面を覆うように、断熱板体445を設置している。また、後面444の後方にも、前面443と同様、後面444全面を覆うように、断熱板体445を設置している。
風洞ケース46は、除塵網を張設した機外側開口46aを上下複数段備えており、下側に配置される機外側開口46aを覆う遮蔽板46fを、内部空間46cに配置している。遮蔽板46fは、上下方向に開口させた複数のスリットを備えており、風洞ケース46の左側面部に着脱自在に設置されている。下段に設けた機外側開口46aを覆う遮蔽板46fを機内側開口46bと対向する位置に配置することで、機外側開口46aなどの隙間から侵入した塵埃を遮蔽板46fでとどめることができる。また、遮蔽板46fを着脱可能に構成することで、遮蔽板46fに溜まった塵埃を容易に除去できる。
上述のような二重構造を備えたエンジンルームカバー44は、前部上面441の内部空間44a,44b及び前面443の内部空間44cが風洞ケース46と連通していることから、風洞ケース46を介してエンジンルーム43までの通風路を形成する。冷却ファン48の回転によって、風洞ケース46の機内側開口46b側が負圧となると、エンジンルームカバー44は、前部上面441の開口44d,44eと、前面443の開口44gとから、外気を吸引する。
前部上面441の開口44dから供給された外気の一部は、開口44dから右側へ流れることで、右端の開口44fを通じて、風洞ケース46の内部空間46cに流れ込む。そして、開口44dから供給された外気の残りは、内部空間44aの前方に流れることで、内部空間44a前方で連通する前面443の内部空間44cに流れ込む。また、前部上面441の開口44eから供給された外気は、内部空間44bの前方に流れることで、内部空間44a前方で連通する前面443の内部空間44cに流れ込む。一方、前面443の開口44gから供給された外気は、内部空間44a,44bから流入した外気と合流して、右側に流れ、右端の開口44hを通じて、風洞ケース46の内部空間46cに流れ込む。
このように、二重構造のエンジンルームカバー44の内部空間44a〜44cを外気による冷却空気が流れることとなる。そのため、エンジンルームカバー44の内部空間44dの断熱作用にて、エンジンルーム43側の熱が、エンジンルームカバー44上面側の運転座席10bやエンジンルームカバー44前面側のステップ10aに伝達されるのを抑制できる。また、エンジンルームカバー44で外気導入する構成とすることで、排気ガス浄化ケース50の上方及び前方をエンジンルームカバー44で覆う構成としても、エンジンルームカバー44外側の温度上昇を抑制でき、運転座席10bに座乗するオペレータにエンジンルーム43内の熱気が伝わるのを防止できる。
上述したように、エンジンルーム43を覆うエンジンルームカバー44の上面側に運転座席10bを配置している。そして、エンジンルームカバー44は、運転座席10b下方であって排気ガス浄化ケース50上方及び前方を覆う部分を二重構造とするとともに、外気を吸引する開口43d,44e,44gを有する。したがって、エンジンルームカバー44外側の温度上昇を抑制でき、運転座席10bに座乗するオペレータにエンジンルーム43内の熱気が伝わるのを防止できる。そのため、運転座席10b下面とディーゼルエンジン20上面の間に排気ガス浄化ケース50を支持でき、運転座席10bとディーゼルエンジン20の左右方向の設置幅を容易に縮小できるものでありながら、ディーゼルエンジン20の上面側に排気ガス浄化ケース50をコンパクトに設置できる。更に、排気ガス浄化ケース50内の排気ガス温度が高温に維持されるフィルタ再生運転などをスムーズに実行できる。
また、運転座席10bの下方のエンジンルーム43に排気ガス浄化ケース50を内設させるとともに、運転座席10bの後方のエンジンルーム43にエアクリーナ49を内設させている。したがって、高温になる排気ガス浄化ケース50と、外気を取込むエアクリーナ49を、ディーゼルエンジン20の上方に、互いに隣接させてコンパクトに配置できる。例えば、ディーゼルエンジン20の冷却風取入れ部にディーゼルエンジン20とエアクリーナ49の両方を隣接でき、ディーゼルエンジン20の冷却風取入れ部からエアクリーナ49に外気を容易に導入できる。
また、ディーゼルエンジン20に隣接させてラジエータ47を配置する構造であって、二重構造のエンジンルームカバー44の内部空間を、ラジエータ47の外気吸入側に連通させている。したがって、ラジエータ47(冷却ファン48)の外気吸入力を利用して、エンジンルームカバー44の内部空間44a〜44cを換気できる。そのため、エンジンルームカバー44の内部空間44a〜44cの空気を出入させる換気ファンなどを特別に設ける必要がなく、低コストに構成できる。
図5〜8、図12及び図13に示すように、排気出口管82は、走行機体1の左右中央側に向けてL字状に折れ曲がり、更に、仕切り板体16の下方側(脱穀装置5とグレンタンク7との間への入口付近)で後方に向けてL字状に折れ曲がっている。すなわち、排気出口管82は平面視クランク形状になっている。したがって、排気ガス浄化ケース50と排気出口管82の長手中途部とは、平面視でディーゼルエンジン20の出力軸20a軸線方向と平行状に延びるように隣り合っている。排気出口管82の後端側とテールパイプ84の前端側とが連通している。
テールパイプ84は、脱穀装置5とグレンタンク7の間から後方上側に排気ガスを排出する。テールパイプ84は、前端側を下向きに折り曲げ、中途部を上向きに延長させ、後端側を走行クローラ2の後部上方側で後方に延びるように折り曲げている。すなわち、テールパイプ84は側面視クランク形状になっている。テールパイプ84の後端側は後方斜め上向きに開口している。また、テールパイプ84の後端側は、前方を脱穀装置5側に屈曲させた後に後方をグレンタンク7側に向けた構成としており、平面視でC字状に屈曲させている。テールパイプ84の後端側は、グレンタンク7と連結させた一番揚穀筒57上端を迂回させた屈曲形状を有する。
側面視クランク形状のテールパイプ84の縦向き中途部には、中途支持ブラケット185を溶接固定している。左エンジンルーム支柱71の左側面には取付け板186を溶接固定している。左エンジンルーム支柱71の取付け板186に、略L字状の連結ブラケット187を介してテールパイプ84の中途支持ブラケット185を取付け位置調節可能にボルト締結している。左エンジンルーム支柱71の取付け板186に、上下長手で上下に並ぶ一対の調節長穴190を形成し、両調節長穴190を介して連結ブラケット187の縦片部と取付け板186とを上下位置調節可能に固定している。そして、テールパイプ184の中途支持ブラケット185に、左右長手で前後に並ぶ一対の調節長穴191を形成し、両調節長穴191を介して連結ブラケット187の横片部と中途支持ブラケット185とを左右位置調節可能に固定している。
テールパイプ84の後端側には、略L字状の立設ブラケット188を溶接固定している。脱穀装置5の右側面には、略L字状の連結ブラケット189を締結固定している。立設ブラケット188の横片部を、脱穀装置5の上面右側に固定した連結ブラケット189に、上方からボルト締結している。立設ブラケット188の横片部に、左右長手で前後に並ぶ一対の調節長穴192を形成し、両調節長穴192によって立設ブラケット188の横片部と連結ブラケット189の横片部とを左右位置調節可能に固定している。連結ブラケット189の縦片部に、上下長手で前後に並ぶ一対の調節長穴193を形成し、両調節長穴193を介して連結ブラケット189の縦片部を脱穀装置5の上面右側に上下位置調節可能に固定している。
テールパイプ84を脱穀装置5及びエンジンルーム支柱71それぞれに対して上下位置調節可能に固定できるため、排気出口管82とテールパイプ84との加工誤差や組付け誤差を簡単に吸収できる。これにより、排気出口管82及びテールパイプ84の組付け作業性を向上できる。また、脱穀装置5及びエンジンルーム支柱71をテールパイプ84の支持部材に兼用して、テールパイプ84の支持構造を低コストで製造できる。
図6、図7及び図9に示すように、排気出口管82後端側の排気出口外径よりもテールパイプ84前端側の排気入口内径を大きく形成している。排気出口管82の排気出口にテールパイプ84の排気入口を遊嵌状に被嵌させている。このため、排気出口管82の排気出口とテールパイプ84の排気入口との間の隙間からテールパイプ84内部に、外部空気が負圧吸引されることになる。また、ディーゼルエンジン20の振動系からテールパイプ84を切り離せるため、ディーゼルエンジン20側と走行機体1側の振動周波数の違いに起因してテールパイプ84を破損させるおそれを格段に抑制できる。
図5〜8及び図12に示すように、ディーゼルエンジン20上方の排気ガス浄化ケース50高さと略同一高さにテールパイプ84の排気入口側を支持すると共に、脱穀装置5上面よりも高い位置にテールパイプ84の排気出口側を支持させている。そして、テールパイプ84の後端側が、脱穀装置5にディーゼルエンジン20駆動力を入力する唐箕プーリ89の上方を覆うように、脱穀装置5とグレンタンク7との間に配置されている。テールパイプ84及びプーリカバー板体(唐箕プーリカバー)88での遮蔽によって、テールパイプ84の排熱で暖められた外気が選別風として唐箕ファン53に吸引される。
脱穀装置5前方右側に、扱胴入力軸85と連結した扱胴プーリ86を配置している。扱胴プーリ86は、唐箕プーリ89とベルト連動することで、唐箕プーリ89に伝達されたエンジン20駆動力を扱胴入力軸85に伝達する。また、扱胴入力軸85は、べベルギヤ機構85aを介して、扱胴51の回転軸51aと接続しており、扱胴プーリ86により伝達された回転駆動を扱胴51に伝達させる。扱胴プーリ86は、脱穀装置5とエンジンルーム43との間となる位置に配置されており、その前方及び上方をプーリカバー板体(扱胴プーリカバー)87で覆われる。
また、刈取装置3は、脱穀装置5の前方にある刈取架台133に軸支された横長の刈取入力パイプ130回りに上下回動可能に構成されている。扱胴入力軸85からの動力は、刈取装置3に一定回転力を伝達する流し込みクラッチ131を介して刈取入力パイプ130内の刈取入力軸132に伝達可能である。すなわち、ミッションケース42を経由せずに、ディーゼルエンジン20からの動力を刈取装置3に直接伝達することで、車速の速い遅いに拘らず、一定の高速回転数にて刈取装置3を強制駆動させることが可能になっている。
流し込みクラッチ131は、単一の電動モータ140の駆動にて回動軸回りに回動可能な回動部材であるセクタギヤ141(図17参照)を備えたクラッチ作動機構151と、リンク機構152を介して関連付けられている。流し込みクラッチ131を作用させるクラッチ作動機構151は、流し込みクラッチ131の回動支点153と同様、脱穀装置5の前方右側の支柱フレームで固定されて、扱胴プーリ86の左側下方に配置される。これにより、流し込みクラッチ131とクラッチ作動機構151とを連結するリンク機構152の長さを短くして、コンパクトに構成できる。
テールパイプ84は、その中途部を扱胴プーリ86の右側方に位置させている。また、扱胴プーリ86には、扱胴入力軸85を同軸とする回転羽根90を、テールパイプ84に対峙するように設置している。よって、扱胴プーリ86の回転に従い、回転羽根90が回転することで、エンジンルーム43内で暖められた空気を脱穀装置5側に排気させることができる。これにより、エンジンルーム43内を通過して加熱された空気は、テールパイプ84、扱胴プーリカバー87及び脱穀装置5で囲まれた空間に誘導される。そして、テールパイプ84の排熱で暖められた外気が選別風として唐箕ファン53に吸引されることとなる。
また、扱胴プーリ86とともに回転羽根90が回転することによって、脱穀装置5とテールパイプ84との間の空間に負圧が生じる。そのため、脱穀装置5側の外気が扱胴プーリ86に向かって流れることとなり、扱胴プーリ86の左側下方に配置されたクラッチ作動機構151を冷却できる。その結果、クラッチ作動機構151に対する過度な加熱を防ぎ、加温に基づく電動モータ140の故障を防止できる。
また、ディーゼルエンジン20の上方には、排気ガス浄化ケース50と排気出口管82とを、平面視でディーゼルエンジン20の出力軸20aの軸線方向と平行状に延びるように配置している。そのため、ディーゼルエンジン20上面側のデッドスペースを利用して、排気ガス浄化ケース50と排気出口管82とをコンパクトに配置できる。また、排気ガス浄化ケース50の長手方向に沿って排気出口管82を長尺に形成でき、排気ガスの温度を機外に排出するまでに低下させたり消音機能を向上させたりすることが可能になる。更に、ディーゼルエンジン20の上面側スペースに排気ガス浄化ケース50及び排気出口管82を配置した上で、脱穀装置5の側方スペースにテールパイプ84を配置でき、各デッドスペースに対する排気ガス浄化ケース50、排気出口管82及びテールパイプ84の配置効率を向上できる。
また、平面視で排気ガス浄化ケース50と平行となる配置で、排気ガス浄化ケース50の後方上側にエアクリーナ49を配置しており、排気ガス浄化ケース50の排気側と連結する排気出口管82を、排気ガス浄化ケース50とエアクリーナ49との間を平行に延設している。高温の発熱源となる排気ガス浄化ケース50に対して、エアクリーナ49を離間して配置するとともに、エアクリーナ49と排気ガス浄化ケース50との間に排気出口管82を配置することにより、排気ガス浄化ケース50の排熱によるエアクリーナ49への影響を低減できる。
図8に示す如く、サイドコラム15の下方側で且つ仕切り板体16の上方側に、作業クラッチレバー14等を支持するレバー支点軸機構17を配置している。仕切り板体16や排気ガス浄化ケース50の左側方には、作業クラッチレバー14操作等に連動して脱穀駆動ベルト74等を緊張させたり弛緩させたりするクラッチ操作リンク機構18を配置している。レバー支点軸機構17及びクラッチ操作リンク機構18等の左側を覆うサイドコラムカバー15aを備える。実施形態では、サイドコラム15の左側面下部にサイドコラムカバー15aの上端部を連結している。仕切り板体16及び排気ガス浄化ケース50とサイドコラムカバー15aとの間に、クラッチ操作リンク機構18が位置している。
また、排気ガス浄化ケース50が、サイドコラム15下方まで張り出して配置されており、サイドコラム15下方に仕切り板体(遮熱板体)16を張設している。そして、仕切り板体16をエンジンルームカバー44の二重構造部近傍となる高さ位置に配置する。そのため、排気ガス浄化ケース50などの加熱に対して、サイドコラム15側のワイヤまたはハーネスを遮熱板体である仕切り板体16で簡単に保護できる。また、サイドコラム15上面の操作板体に開口される各レバー12〜14のガイド溝などから運転座席10bのオペレータに向けて排気されるのを防止できる。
サイドコラム50において、図14に示す如く、運転座席10bの右側前方位置に、主変速レバー12及び副変速レバー13を左右に並べて配置しており、副変速レバー13の前方に、走行機体1の左右又は前後の傾斜角度を設定するための機体姿勢調節レバー161を配置している。すなわち、サイドコラム50の前方であって、操向ハンドル10cに近い位置に、走行系の操作レバーである、主変速レバー12、副変速レバー13及び機体姿勢調節レバー161をまとめて配置している。また、サイドコラム50は、主変速レバー12よりも前方位置に、液晶ディスプレイ162を備えており、作業機であるコンバインの走行状態や作業状態を液晶ディスプレイ162に表示させている。
サイドコラム15は、図14に示す如く、主変速レバー12の後方となる位置に、作業クラッチレバー14を配置している。作業クラッチレバー14は、刈取装置3の動力継断操作用のレバーと脱穀装置5の動力継断操作用のレバーとを1本で兼ねたものであり、サイドコラム15上面に設けたガイド溝に沿って前後方向に傾動可能に構成されている。作業クラッチレバー14をガイド溝後端に位置させると、刈取装置3及び脱穀装置5両方への動力を切断する。そして、作業クラッチレバー14をガイド溝中途部に位置させると、脱穀装置5のみに動力を伝達させ、作業クラッチレバー14をガイド溝前端に位置させると、刈取装置3及び脱穀装置5両方に動力を伝達させる。
サイドコラム15は、図14に示す如く、作業クラッチレバー14の配置位置よりも運転座席10b寄りに、前方から順に、アクセルダイヤル163、定回転制御スイッチ164、及び再生スイッチ165を配置している。アクセルダイヤル163は、ディーゼルエンジン20の回転数を調節操作するためのものである。定回転制御スイッチ164は、ディーゼルエンジン20の回転数を一定に保持する定回転制御の入り切りを操作するためのものである。再生スイッチ165は、排気ガス浄化装置(排気ガス浄化ケース)50の実行の可否を選択操作するためのものである。アクセルダイヤル163、定回転制御スイッチ164、及び再生スイッチ165は、オペレータが使用しやすいよう、運転座席10bの左側に配設されている。
アクセルダイヤル163は、手動でエンジン回転数を調節できるもので、作業中のエンジン20の回転数を一定に保つ時等に使用する。エンジン20の回転数が作業中に変化すると脱穀の性能が悪くなるため、作業中は常に保つことが望ましく、アクセルダイヤル163で回転数を保ちながら作業を行なっており、作業中によく使用される操作ダイヤルである。また、定回転制御スイッチ164は、脱穀装置5の負荷が変動しても、ディーゼルエンジン20の回転を一定に保ち、常に安定した脱穀・選別を行なうようにするエコモードの入・切を行なう。
再生スイッチ165は、再生ランプ付きスイッチで構成しており、再生ランプを点滅させることで、排気ガス浄化装置(排気ガス浄化ケース)50の詰まり状態が限界量を超えている旨をオペレータに知らせる。そして、オペレータが再生スイッチ165を入り操作することで、排気ガス浄化装置50の再生を実行させ、排気ガス浄化装置50内のPMを燃焼させる。排気ガス浄化装置50の再生を実行しているとき、再生スイッチ165は、再生ランプを点灯させて、排気ガス浄化装置50の再生が実行中である旨をオペレータに知らせる。
次に、図15及び図16を参照しながら、ディーゼルエンジン20の構造を説明する。図15及び図16に示す如く、ディーゼルエンジン20のシリンダヘッド91の一側面(後側面)には吸気マニホールド19を配置している。シリンダヘッド91は、出力軸20aとピストン(図示省略)を内蔵したシリンダブロック92に上載している。シリンダヘッド91の他側面(前側面)に排気マニホールド83を配置している。すなわち、ディーゼルエンジン20において出力軸20aを挟んだ両側部に、吸気マニホールド19と排気マニホールド83とを振り分けて配置している。シリンダブロック92の左右両側面から出力軸20aを左右外向きに突出させている。
図15及び図16に示す如く、シリンダブロック92の左側面にフライホイールハウジング93を固着している。フライホイールハウジング93内にフライホイール94を設ける。フライホイール94を軸支した出力軸20aの左端側からミッションケース42に向けてディーゼルエンジン20の駆動力を取り出すように構成している。更に、シリンダブロック92の下面にオイルパン95を配置している。シリンダブロック92の右側方に冷却ファン48を配置し、冷却ファン48に対向させてラジエータ47を設置している(図8及び図9参照)。
すなわち、ディーゼルエンジン20において出力軸20aと交差する一側部(シリンダブロック92の右側面側)に冷却ファン48を配置し、出力軸20aと交差する一側部と反対側の他側部(シリンダブロック92の左側面)にフライホイール94を配置している。排気ガス浄化ケース50の排気ガス取入れ側(排気入口側)はフライホイール94寄りに位置し、排気ガス浄化ケース50の排気ガス取出し側(排気出口側)は冷却ファン48寄りに位置している。
このように構成すると、冷却ファン48からの冷却風は、排気ガス浄化ケース50において浄化処理後の排気ガスが通過する排気ガス取出し側(排気出口側)に当たって、浄化処理後の排気ガス温度を低下させる。排気ガス浄化ケース50において浄化処理前の排気ガスが通過する排気ガス取入れ側(排気入口側)は、冷却ファン48から遠く冷却風が当たり難い。したがって、浄化処理前の排気ガスは高温にして、排気ガス浄化ケース50の浄化性能を適正に維持できる。そして、浄化処理後の排気ガス温度を低下させて外部に排出でき、例えば圃場の藁屑等の発火を防止できる。
図15及び図16に示すように、吸気マニホールド19には、再循環用の排気ガスを取り込む排気ガス再循環装置(EGR装置)96を配置している。エアクリーナ49は、後述するターボ過給機105のコンプレッサケース107及び排気ガス再循環装置96を介して吸気マニホールド19に接続される。エアクリーナ49に吸い込まれて除塵及び浄化された新気(外部空気)は、ターボ過給機105のコンプレッサケース107及び排気ガス再循環装置96を介して吸気マニホールド19に送られ、ディーゼルエンジン20の各気筒に供給される。
上記の構成において、ディーゼルエンジン20から排気マニホールド83に排出した排気ガスの一部は、排気ガス再循環装置96及び吸気マニホールド19を介してディーゼルエンジン20の各気筒に還流される。このため、ディーゼルエンジン20の燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン20からの窒素酸化物(NOx)の排出量が低減され、且つディーゼルエンジン20の燃費が向上する。
ディーゼルエンジン20の4気筒分の各インジェクタ97に、燃料タンク(図示省略)に接続する燃料ポンプ98とコモンレール99とを接続している。シリンダヘッド91の吸気マニホールド19設置側に、コモンレール99及び燃料フィルタ100を配置し、シリンダブロック92において吸気マニホールド19の下方側に燃料ポンプ98を配置している。なお、各インジェクタ97は、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有している。燃料ポンプ98の吐出側にコモンレール99を接続し、円筒状のコモンレール99にディーゼルエンジン20の各インジェクタ97をそれぞれ接続している。高圧燃料はコモンレール99内に一時貯留され、コモンレール99経由でディーゼルエンジン20の各気筒(シリンダ)内部に供給される。
上記の構成において、ディーゼルエンジン20の燃料は燃料ポンプ98によってコモンレール99に圧送され、高圧の燃料としてコモンレール99に蓄えられる。そして、各インジェクタ97の燃料噴射バルブをそれぞれ開閉制御することによって、コモンレール99内の高圧燃料がディーゼルエンジン20の各気筒に噴射される。すなわち、各インジェクタ97の燃料噴射バルブを電子制御することによって、燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)が高精度にコントロールされる。したがって、ディーゼルエンジン20から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。
シリンダヘッド5の前側方で排気マニホールド83の上方には、ターボ過給機105を配置している。ターボ過給機105は、タービンホイール内蔵のタービンケース106と、ブロアホイル内蔵のコンプレッサケース107とを備えている。排気マニホールド83にタービンケース106の排気ガス取入れ側を連結している。タービンケース106の排気ガス取出し側には、排気ガス浄化ケース50の排気入口管81を接続している。すなわち、ディーゼルエンジン20の各気筒から排気マニホールド83に排出した排気ガスは、ターボ過給機105及び排気ガス浄化ケース50等を経由して機外に排出される。
コンプレッサケース107の給気取入れ側は、給気管108を介してエアクリーナ49の給気取出し側に接続している。コンプレッサケース107の給気取出し側は、過給管109及び排気ガス再循環装置96を介して吸気マニホールド19に接続している。すなわち、エアクリーナ49によって除塵及び浄化された新気は、コンプレッサケース107から過給管109を介して排気ガス再循環装置96に送られ、その後、ディーゼルエンジン20の各気筒に供給される。
図15及び図16に示す如く、ディーゼルエンジン20の各気筒から排出された排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置として、ディーゼルエンジン20の排気ガス中の粒子状物質を除去する排気ガス浄化ケース50(ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF))を備える。図15に示すように、排気ガス浄化ケース50には、酸化触媒111と、スートフィルタ112が内設される。ディーゼルエンジン20の各気筒から排気マニホールド83に排出された排気ガスは、排気ガス浄化ケース50等を経由して機外に放出される。排気ガス浄化ケース50によって、ディーゼルエンジン20の排気ガス中の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、粒子状物質(PM)及び窒素酸化物質(NOx)を低減するように構成している。
排気ガス浄化ケース50は、平面視でディーゼルエンジン20の出力軸20a(クランク軸)と平行な方向に長く延びた横長の長尺円筒形状に構成している。排気ガス浄化ケース50においてフライホイール94寄りの部位に、排気ガスを取り込む排気入口管81を設け、排気ガス浄化ケース50において冷却ファン48寄りの部位に、浄化処理後の排気ガスを排出する排気出口管82を設けている。シリンダヘッド91の左右側面に、左支脚体113及び右支脚体114を介して、排気ガス浄化ケース50の排気ガス移動方向一端側と同他端側とを着脱可能に支持している。すなわち、左支脚体113及び右支脚体114を介して、ディーゼルエンジン20の上面側に排気ガス浄化ケース50を取り付けている。ディーゼルエンジン20の左右方向に円筒状の排気ガス浄化ケース50の長手方向を向けた状態で、排気マニホールド83の上方側に排気ガス浄化ケース50を位置させている。
前述の通り、ディーゼルエンジン20の出力軸20a軸線方向と、排気ガス浄化ケース50内部の排気ガス移動方向(排気ガス浄化ケース50の長手方向)とは一致している。また同様に、エアクリーナ49の長手方向も、ディーゼルエンジン20の出力軸20a軸線方向と一致している。そして、図9に示すように、エアクリーナ49と排気ガス浄化ケース50とは、平面視でディーゼルエンジン20の出力軸20a軸線方向と平行状に延びるように、ディーゼルエンジン20の上方に位置している。この場合、エアクリーナ49は、エンジンルームカバー44の後部上面44b及び補助カバー体44cの下方で且つ吸気マニホールド19の上方に位置している。排気ガス浄化ケース50は、エンジンルームカバー44の前部上面44a及び仕切り板体16の下方で且つ排気マニホールド83の上方に位置している。
このように構成すると、例えばエンジンルーム43外に配置する外気導入部(風洞ケース46等)にエアクリーナ49の吸気取入れ側を簡単に接続できるものでありながら、ディーゼルエンジン20上方のデッドスペースを有効利用して、排気ガス浄化ケース50とエアクリーナ49とをディーゼルエンジン20の平面視外形内(前後幅内及び左右幅内)でコンパクトに配置できる。なお、側面視においてエアクリーナ49と排気ガス浄化ケース50との高さ位置は、エアクリーナ49を上側、排気ガス浄化ケース50を下側というように、エンジンルームカバー44の階段形状に沿わせて上下にずれている。
排気マニホールド83の上方には、ディーゼルエンジン20への空気を過給するターボ過給機105を配置している。ターボ過給機105の上方に排気ガス浄化ケース50を配置している。すなわち、排気ガス浄化ケース50とターボ過給機105とは、排気マニホールド83の上方で上下に並んでいる。また、吸気マニホールド19の上方には、ディーゼルエンジン20の吸気系(吸気マニホールド19)に排気ガスを還流させる排気ガス再循環装置96(EGR装置)を配置している。排気ガス再循環装置96の上方にエアクリーナ49を配置している。すなわち、エアクリーナ49と排気ガス再循環装置96とは、吸気マニホールド19の上方で上下に並んでいる。
このように構成すると、排気系に関連する排気ガス浄化ケース50及びターボ過給機105は排気マニホールド83側に、吸気系に関連するエアクリーナ49及び排気ガス再循環装置96は吸気マニホールド19側に、それぞれ上下に並べてまとまることになる。したがって、排気系部材(排気ガス浄化ケース50及びターボ過給機105)の配置と吸気系部材(エアクリーナ49及び排気ガス再循環装置96)の配置とを把握し易く、組付け作業性向上やメンテナンス性向上の一助になる。また、排気系部材や吸気系部材の周囲に、排気系配管(排気出口管82等)や吸気系配管(給気管108等)をできるだけ短い長さで整然と取り回しし易く、吸排気系の配管構造等を低コストで製造できる。
また、シリンダヘッド91の左側面にボルト締結した左支脚体113に排気支持板115を後ろ向きに突出するようにボルト締結する一方、排気出口管82の後端側に板状の出口管ブラケット116を溶接固定している。そして、排気支持板115の後端側に、出口管ブラケット116をボルト締結し、出口管ブラケット116の上縁に設けた屈曲部で排気出口管82の出口側を受けている。すなわち、シリンダヘッド91左側面側の排気支持板115後端側に、出口管ブラケット116を介して、排気出口管82を支持させている。
このように構成すると、排気ガス浄化ケース50をディーゼルエンジン20に支持させる左支脚体113に排気出口管82を連結しているから、排気ガス浄化ケース50支持用の左支脚体113を排気出口管82の支持部材に兼用して、排気ガス浄化ケース50と排気出口管82とを一体に支持でき、排気出口管82の支持構造を低コストで製造できる。排気出口管82の支持剛性向上にも寄与できる。
また、排気ガス浄化ケース50の排気ガス取出し側(排気出口側)に排気出口管82の一端側(前端側)を連結し、排気ガス浄化ケース50の排気ガス取入れ側(排気入口側)を支持する左支脚体113に排気出口管の他端側(後端側)を連結しているから、排気ガス浄化ケース50の長手方向に沿って排気出口管82を長尺に形成でき、排気ガスの温度を機外に排出するまでに低下させたり消音機能を向上させたりすることが可能になる。
上述の実施形態による構成に加えて、図17に示すように、エンジンルーム43内において、エアクリーナ49と排気出口管82との間に遮熱板491を配置させるものとしても構わない。すなわち、遮熱板491の上側にエアクリーナ49を配置し、遮熱板491の下側に排気ガス浄化ケース50及び排気出口管82を配置する。従って、排気ガス浄化ケース50及び排気出口管82からの排熱を遮熱板491で遮熱できるため、エアクリーナ49に対する、排気ガス浄化ケース50及び排気出口管82からの排熱による影響を更に抑制できる。遮熱板491は、エンジンルームカバー44からエンジンルーム43内へ延設されている。なお、図17の実施形態では、遮熱板491の一端を補助カバー体440に固定して、エアクリーナ49の前方及び下方を遮熱板491で覆うように配置している。
また、上述の実施形態では、クラッチ作動機構151を扱胴プーリ86の左側下方に配置させた構成としたが、図18に示すように、クラッチ作動機構151を、刈取架台133に連結させて、走行機体1側に配置するものとしても構わない。すなわち、クラッチ作動機構151を、刈取架台133の背面に固定して、刈取入力パイプ130よりも下方に配置する。そして、セクタギヤ151に一端を接続させたリンク機構152を上方に延設して、リンク機構152の他端を流し込みクラッチ131と連結させる。図18の構成では、クラッチ作動機構151を、ディーゼルエンジン20のフライホイール94(図5参照)と同等の高さ位置に配置することで、クラッチ作動機構151は、エンジンルーム43からの排熱の影響を受けにくくなる。
即ち、図18の実施形態では、扱胴プーリ86とともに回転する回転羽根90により、エンジンルーム43内を通過して加熱された空気は上方に流れるため、刈取架台133と同等の高さに位置するクラッチ作動機構151の加熱を抑制できる。その結果、クラッチ作動機構151に対する過度な加熱を防ぎ、加温に基づく電動モータ140の故障を防止できる。また、図18のようにクラッチ作動機構151を走行機体1側に配置することにで、エンジンルーム43の排気側から離間してクラッチ作動機構151を配置できることから、回転羽根90を省略した構成とし、部品点数を低減できる。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。