JP5085009B2 - ワイヤーハーネス用消音テープ - Google Patents
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このような、消音テープは、通常、粘着層を介してワイヤーハーネスに巻きつけて用いられる。したがって、巻きつけ時に剥離紙などを取り除くことのない良好なる作業性とし得るように、剥離紙などが用いられずに、多重巻きされたテープロールの形態とされている。さらに、手で容易に引きちぎることができる手切れ性を備えた材料で構成されている。
また、消音テープにおいては、多重巻きされたテープロールからテープを解く場合や、ワイヤーハーネスにラップ巻きされた消音テープを巻き直すべく一旦巻かれた消音テープを下に巻かれている消音テープから引き剥がしたりする場合に、上の消音テープの粘着層が下の消音テープの基材層表面から剥離せずに、下の消音テープの基材層を上下2層に剥離させる「層割れ」と呼ばれる現象が生じるという問題を有している。
この「層割れ」が生じた部分は、消音テープとして使用することができないため、新たな消音テープに取り替えるなど作業効率を低下させるという問題を有している。
この「層割れ」「ほぐれ」などを防止すべく特許文献1には、基材層の外側にポリエチレンフィルムなどによる樹脂層を設け、さらにこの樹脂層の外側に剥離剤層を設けることが記載されている。
また、基材層の外側に樹脂層が設けられたものは、不織布が最外層に配されたものに比べてクッション性に劣るものとなるおそれを有しており、小さな巻きつけ半径で巻かれてより大きな張力が樹脂層に加わった場合、さらにクッション性が低下し消音性能を低下させるおそれを有するものとなる。
すなわち、従来の消音テープは、作業効率ならびに消音性能の低下を抑制しつつ、細径化されたワイヤーハーネスに適用することが困難であるという問題を有している。
前記基材層は、ポリエステルフィラメントが熱エンボス加工され、さらに、結合剤によりフィラメント同士の結着力が高められたポリエステル不織布が用いられている。
なお、前記ポリエステルフィラメントが繊度0.5〜50dtexとされるのは0.5dtex未満の場合、テープ背面の耐摩耗性が低下し、繊維が切れてケバ立ったりしやすいものとなるおそれを有し、50dtexを超えた場合、ポリエステル不織布の伸びが低下しテープが硬くなるとともに巻きつけ作業性が低下したり、巻き終わり部のはがれが生じたりするおそれを有するためである。
また、前記ポリエステル不織布が坪量50〜300g/m2、厚さ0.5〜1.4mmが好ましいのは、坪量が50g/m2未満の場合には、衝撃を十分に吸収し得るクッション性とならず、十分な消音効果が得られないおそれを有し、300g/m2を超えたものとしても必要以上のクッション性となるばかりか、テープ重量が重くなり、作業性を低下させるおそれを有するためである。この点において、前記ポリエステル不織布の坪量は、100〜200g/m2であることがさらに好ましい。
また、厚さが0.5mm未満のものは、クッションが低く、十分な消音効果が得られないおそれを有し、1.4mmを超えて厚くしても、必要以上の消音効果となるばかりでなく、かさ高いものとなって、例えば、大きなテープロールを用いるか、通常の大きさのテープロールを数多く用いるかしなければ必要な長さのテープが得られず、消音テープの巻きつけ作業性を低下させるおそれを有するためである。
なお、前記熱エンボスとして、スポット融着が、1.0cm×1.0cmの範囲に10〜100個所施されるのは10箇所未満の場合には、層割れ、ほぐれなどを抑制するのに十分な効果が得られず、100個所を超えてスポット融着が行われても、融着個所数の増加に見合う層割れ、ほぐれ抑制効果が得られないばかりかクッション性を低下させるおそれを有するためである。このような点においてスポット融着が1.0cm×1.0cmの範囲に70〜90個所施されることがさらに好ましい。
また、前記ポリエステル不織布には、ポリエステルフィラメント以外に、レーヨン、セルロース、ナイロン、アクリルなどのフィラメントが、本発明の効果を損ねない範囲において含有されていてもよい。
前記ウレタン樹脂は、例えば、末端活性水素を有するポリオールと、イソシアネート類との重付加反応によって製造でき、前記ポリオールとしては、アジペート系、ラクトン系、ポリカーボネート系などのポリエステル系ポリオールや、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオールや、アクリル系ポリオールなどを例示することができる。また、前記イソシアネート類としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートを例示することができる。また、前記ウレタン樹脂は、このようなポリオール、イソシアネート類がそれぞれ単独で組み合わされていても良く、複数組み合わされて用いられていてもよい。要すれば、ポリオール、イソシアネート類以外に低分子量ジオールなどの鎖伸長剤を加えられたものであってもよく、また、これらの自己乳化物、強制乳化物もしくは有機溶剤に溶解されたものでもよい。
なお、前記ポリエチレンワックスとしては、自動車のエンジンルームなどに配されても粘着層やその他への移行性が低く、使用中に消音テープがはがれたりその他の部材の強度を低下させたりするおそれを抑制し得る点から融点110℃以上の高軟化点のポリエチレンワックスが用いられることが好ましい。
なお、前記融点とは、DSC法により、試料を10℃/minの昇温速度で昇温させて吸熱ピークを測定し、試料が相転移を起こす近傍の温度で、吸熱ピークが最下点を示す温度を意図している。
また、本実施形態においては、優れた手切れ性を有し、作業性をより良好にし得る点から、基材層と粘着層との2層の消音テープについて説明したが、本発明においては、基材層と、粘着層の中間に中間層として、各種フィルム、クロスなどを用いることもできる。
繊度約1.5dtexのポリエステルフィラメントが用いられ、熱エンボスが1.0cm×1.0cmあたりに、約70個所形成され、坪量160g/m2、厚さ約0.7mmのポリエステル不織布に、アクリル粘着剤をフイルムに粘着層が片面約30μm厚さになるよう両面コートした後、ラミネートロールで圧着積層して、消音テープを作成した。
ウレタン樹脂(「スーパーフレックスE−2000」、第一工業製薬社製)と融点60℃のパラフィンワックス(「パラフィンワックス(60℃)」、新日本石油社製)とを、配合比30:1で配合し、該配合物を水と分散剤に約15%の濃度となるよう分散させて片面キスコートにより塗布、乾燥が行われたポリエステル不織布を用いたこと以外は、参考例1と同様に消音テープを作成した。
ワックスとして、(融点60℃のもの)に代えて、融点が110℃のポリエチレンワックス(「ケミパールW−400」、三井化学社製)を用いた事以外は、参考例2と同様に消音テープを作成した。
ウレタン樹脂とポリエチレンワックスとの比率を25:1とした以外は実施例3と同様に消音テープを作成した。
熱エンボスが施されていないポリエステル不織布を用いた以外は参考例1と同様に消音テープを作成した。
表面に厚さ約50μmのポリエチレンシートがラミネートされていること以外は比較例と同様に消音テープを作成した。
(層割れ)
幅19mm×長さ250mmの消音テープの背面上に19mm×長さ200mmの消音テープを重ね合わせ、50℃の温度下で24時間保持した後、自然放冷により室温まで冷却した。
ついで、上に接着された消音テープを端部から、約90度上方に勢いよく手で引っ張って引き剥がしを行い、層割れが生じるかどうかを、判定した。試験した試料5個中に1個でも層割れが生じたものは「×」として判定し、全く層割れが生じなかったものを「○」の判定とした。
幅19mm×長さ250mmの消音テープの背面上に19mm×長さ200mmの消音テープを荷重2kg掛けて重ね合わせ、50℃の温度下で24時間保持した後、自然放冷により室温まで冷却した。
ついで、上に接着された消音テープを端部から、約90度上方に勢いよく手で引っ張って引き剥がしを行い、下の層の消音テープのポリエステル不織布の繊維がどの程度起毛されているかを評価した。
判定は、起毛がほとんど観測されなかったものを「◎」、全面的に観測されたものを「×」とし、部分的にのみ観測されたものを「○」とした。
厚さ2.3mmの鉄板に消音テープを貼り付け、該消音テープが貼り付けられた面が上面となるよう、鉄板を水平に保持し、該鉄板から上方10cmの位置から、10gの鋼球を消音テープ上に自然落下させ打音を観測した。
打音は、鉄板の10cm下位において騒音計(「積分型普通騒音計」、リオン社製)を用いて測定した。
判定は、消音テープの無い状態での騒音レベルに対して、10dB以上の減衰が観測されたものを「○」、10dB未満6dB以上の減衰が観測されたものを「△」、6dBより小さな減衰しか観測されなかったものを「×」として判定した。
外径2mmの電線19本からなる、外径約10mmの電線束をビニールテープを用いて結束した後、消音テープを1/2ラップ巻きで50cmの区間巻きつけ作業を行い、作業のしやすさを判定した。
判定は、テープが硬く巻きつけ辛い、テープが引き剥がし辛いなど作業性に問題があると判定されたものを「×」、特に支障なく作業性に問題がないと思われるものを「○」と判定した。
幅19mm×長さ200mmの消音テープをステンレス板に接着し、荷重2kg加えて、23℃の温度下で30分放置後、消音テープを引っ張り試験機(「テンシロン」、オリエンテック社製)で300mm/minの引張り速度で180度剥離試験を行い、試料3個の平均値が、初期値に対する残率90%以上のものを「○」、70%以下のものを「×」、その間のものを「△」として判定した。
直径10mmのマンドレルに1/2ラップで消音テープを巻きつけ、直径5mmの丸棒を前記マンドレルに直交するように配して荷重1.5kgかけつつ消音テープ上を、10cmの距離を10往復させて、ケバの発生を評価した。
判定は、ケバの生じなかったものを「○」、ケバが発生したものを「×」とした。
さらにポリエチレンワックスとウレタン樹脂とが1:20〜1:30の比率で混合され且つ前記ポリエチレンワックスとして融点110℃以上のものが用いられた結合剤を使用することで長期にわたりの接着力の低下がない消音テープとし得ることがわかる。
Claims (3)
- 積層構造を有するワイヤーハーネス用消音テープであって、
粘着剤からなる粘着層と、不織布からなる基材層とを有し、前記基材層にはポリエステルフィラメントが熱エンボス加工により部分融着されたポリエステル不織布が用いられ、且つ該ポリエステル不織布が前記ワイヤーハーネス用消音テープの最外層に配されており前記ポリエステル不織布には、ウレタン樹脂とポリエチレンワックスとを含有する結合剤が用いられていることを特徴とするワイヤーハーネス用消音テープ。 - ウレタン樹脂とポリエチレンワックスとが、重量で20:1〜30:1の比率で混合され且つ前記ポリエチレンワックスが融点110℃以上である前記結合剤が用いられている請求項1に記載のワイヤーハーネス用消音テープ。
- 前記粘着剤としてアクリル粘着剤が用いられている請求項1又は2に記載のワイヤーハーネス用消音テープ。
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