以下、実施の形態に係る照明装置及びその照明装置を備えた映像表示装置について説明する。
図1は映像表示装置の要部を示す平面図、図2は映像表示装置の要部を示す側面図である。
この映像表示装置は、照明装置10と、ライトバルブ60と、投射光学系70とを備えている。
照明装置10は、複数(ここでは2つ)の光源部12A,12Bと、反射面26を有する反射部材20と、回転支持機構部30と、光インテグレータとしてのロッドインテグレータ36とを備えている。
光源部12A,12Bは、所定の軸11を挟んで対向配置され、反射部材20は当該2つの光源部12A,12B間に配設されている。なお、以下では、2つの光源部12A,12Bのうち一方を第1の光源部12Aといい、他方を第2の光源部12Bという場合がある。そして、回転支持機構部30による支持状態下、反射部材20を所定の軸11と略一致する回転軸周りに回転させることで、反射部材20が2つの光源部12A,12Bからの光を選択的に所定の軸11に沿うように反射するように構成されている。この所定の軸11は、反射面26で反射された明るさが最大となる光路中心を示す光軸をも意味している。なお、以下では、明るさの指標として輝度を用いて説明することがある。
ロッドインテグレータ36は、上記所定の軸11上に配設され、前記反射面26からの光束を略矩形に形成すると共に、光の輝度分布を均一化するように構成されている。
上記照明装置10からの光は、回転色フィルタ部40、リレーレンズ44,46,48、反射ミラー50,52及びプリズム54を通じてライトバルブ60に導かれる。
回転色フィルタ部40は、反射部材20からライトバルブ60に向う光路の途中、ここでは、ロッドインテグレータ36の出射面に対向する位置及び姿勢で、モータ42の回転軸部に回転駆動可能に支持されている。
回転色フィルタ部40は、モータ42の回転駆動により回転することで、ロッドインテグレータ36からの光を色時分割可能に構成されている。
ここでは、回転色フィルタ部40は、各色成分(例えば、赤、青、緑)に応じた色フィルタ部41aと、全色透過フィルタ部41bとを有している(図7参照)。全色透過フィルタ部41bは、可視光を透過可能でかつ不可視光の少なくとも一部(ここでは、赤外線)を反射可能に構成されている。この全色透過フィルタ部41bは、無色透明な白板ガラスに、赤外線を反射する意図的な構成を施す(例えば、赤外線反射コートを施す等)で形成される。
このような全色透過フィルタ部41bは、基本的には、赤、青、緑を含む可視光を透過させることで、表示装置の明るさを向上させる役割を有する。このような全色透過フィルタ部41bは、例えば、回転色フィルタ部40において、回転軸周りの360゜中の30゜の角度分程度組入れられる(図7参照)。通常、全色透過フィルタ部41bが占める角度が大きい程、表示装置が投影する映像は明るくなる一方、ライトバルブ60が受光する赤外線の量も増えるため、ライトバルブ60の温度が上昇し、その寿命が短くなる。そこで、全色透過フィルタ部41bとして、可視光を透過可能でかつ赤外線を反射可能なものを用いることで、ライトバルブ60の温度上昇を抑えて長寿命化を図りながら表示装置が投影する映像を明るくできる。
リレーレンズ44,46,48は、ロッドインテグレータ36と反射ミラー50との間に配設されており、ロッドインテグレータ36からの光を反射ミラー50に向けて導くように構成されている。
反射ミラー50は、上記所定の軸11上に配設され、反射ミラー52は反射ミラー50の側方に設けられている。これらの反射ミラー50,52は、リレーレンズ48からの光を反射して、所定の軸11の側方にあるプリズム54に導く位置及び姿勢で配設されている。
プリズム54は、所定の軸11の側方であって、ライトバルブ60の前面である光学像変換面と反射ミラー52とに対向する位置に配設されている。プリズム54は、光の入射角度に応じて光を屈折或は透過させるプリズムであり、反射ミラー52からの光をライトバルブ60の光学変換面に導くと共に、光学像変換面で反射された光をその前方に導くように構成されている。
ライトバルブ60は、照明装置10からの光束を光学像に変換するものであり、ここでは、反射型のものを用いている。反射型のライトバルブ60としては、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス(Digital Micromirror Device)又は反射型液晶素子を用いることができる。DMDは、各画素に対応して平面上に配列された複数のマイクロミラーを有し、図示を省略した映像信号処理回路からの映像信号によって各映像表示画素に対応したマイクロミラーの姿勢角度を変化させて、入射光の反射方向を変化させることで映像(光学像)を形成する。
勿論、光路及び投影方向を適宜変更することで、ライトバルブ60として、透過型のもの、例えば、透過型液晶素子を用いることも可能である。
投射光学系70は、上記ライトバルブ60の光学変換面の前方に配設されている。投射光学系70は、複数の投射レンズを有しており、ライトバルブ60からの映像を拡大して図示省略のスクリーンに投射可能に構成されている。
なお、上記各部材は、図示省略の筐体或は基台等に固定されている。
この映像表示装置では、光源部12A,12Bからの光は、反射部材20の回転姿勢に応じて選択的に所定の軸11に沿うように反射される。そして、その反射された光束は、ロッドインテグレータ36によって均一な輝度分布を持つ略矩形に形成された後、回転色フィルタ部40によって色時分割され、その後、ライトバルブ60に入射する。ライトバルブ60に入射した光は、映像信号に応じた映像に変換される。変換された映像は、投射光学系70を介してスクリーンに投射される。このようにして、映像信号に応じた映像が表示されるようになっている。
照明装置10についてより詳細に説明する。図3は照明装置10を示す斜視図であり、図4は第1の光源部12Aが点灯状態にある場合における照明装置10を示す要部断面平面図であり、図5は第2の光源部12Bが点灯状態にある場合における照明装置10を示す要部断面平面図であり、図6は図5のVI−VI線断面図であり、図7は照明装置10の要部背面透視図である。
上記したように照明装置10は、複数(ここでは2つ)の光源部12A,12Bと、反射部材20と、回転支持機構部30と、ロッドインテグレータ36とを備えている。
2つの光源部12A,12Bは、所定の軸11を挟んで対向して配置されており、所定の軸11に向けて光を照射可能な姿勢とされている。各光源部12A,12Bからの光の軸11(光源軸)は、同一直線上に位置すると共に、所定の軸11に対して略直交している。
もっとも、3つ以上の光源部が設けられた構成であってもよい。要するに、複数の光源部が所定の軸11周りに配設された構成であればよい。
光源部12A(又は12B)は、高圧放電ランプ13A(又は13B)(高圧放電ランプはバーナーとも呼ばれる)と、リフレクタ14A(又は14B)と、カバーガラス15A(又は15B)とを備えている。
高圧放電ランプ13A(又は13B)は制御ユニット82からの点灯制御指令に基づいて図示省略の駆動回路を通じて電圧が印加されると、内部でアーク放電して強力な光を放つ。
リフレクタ14A(又は14B)は、上記所定の軸11側に開口する椀状に形成されている。このリフレクタ14A(又は14B)の開口は、上記カバーガラス15A(又は15B)によって覆われている。
このリフレクタ14A(14B)の内面は、光源軸13を中心とする回転楕円面を、その長軸方向の略中央位置で切断したような回転楕円面状反射面14Aa(又は14Ba)に形成されている。回転楕円面状反射面14Aa(又は14Ba)の2つの焦点のうち、高圧放電ランプ13A(又は13B)に近い方の一方の焦点は上記高圧放電ランプ13A(又は13B)の中心(最も明るい部分)と略一致するように設定され、高圧放電ランプ13A(又は13B)から遠い方の焦点P1(又はP2)は、所定の軸11を越えて反対側に位置するように設定されている。
高圧放電ランプ13A(又は13B)からの光束16A(図4参照)(又は16B(図5参照))は、回転楕円面状反射面14Aa(又は14Ba)によって上記焦点P2に向けて集光される。ここで、光源部12A(又は12B)の前方であって焦点P2の手前には、後に詳述するように反射面26が配設されている。反射面26は、所定の軸11に対して略45゜傾斜しているので、光源部12A(又は12B)からの光束16A(又は16B)は、反射面26で所定の軸11に沿った方向へと反射される。ここで、所定の軸11と光源軸13との交点Bから焦点P2までの距離と、同交点Bからロッドインテグレータ36の入射面36aまでの距離とは略等しくなるように設定されている。このため、光源部12A(又は12B)からの光束16A(又は16B)は、ロッドインテグレータ36の入射面36aで集光するように構成されている。上記回転楕円面状反射面14Aa,14Baとしては、例えば、光源軸13から片側略30゜の角度で集光する形状に設定される。
このように、光源部12A(又は12B)自体のリフレクタ14A(又は14B)によって、光源光をロッドインテグレータ36の入射面36aに集光させているため、本照明装置10、さらには、映像表示装置の全体構成の小型化に貢献する。
つまり、リフレクタとして回転放物面状の反射面を有するものを用いた場合には、その反射面で反射される平行光を集光させるため、光源と反射部材との間、或は、反射部材とロッドインテグレータとの間に、コンデンサレンズを介在させる必要がある。上記のような回転放物面状の反射面を有するリフレクタは、例えば、従来のように光源部間に十分な距離を確保する必要性がある場合に、採用され得る。
これに対して、本実施形態では、光源部12A(又は12B)自体のリフレクタ14A(又は14B)によって、光源光を集光させているため、別途コンデンサレンズを設けなくともよい。このため、光源部12A,12B間距離を近接させることができ、或は、反射部材20とロッドインテグレータ36間の距離を近接させることができ、照明装置10の小型化及び低コスト化に貢献することになる。もっとも、上記は所望の光学特性に応じたレンズの使用を排除する趣旨ではない。
反射部材20は、反射ミラー25と、反射ミラー25を支持する部材としての回転盤22とを有している。
反射ミラー25の一方面側は反射面26に形成されている。反射面26は、所定の軸11上であって各光源部12A,12Bからの光が入射される位置、即ち、両光源部12A,12B間に配設されている。反射面26は、所定の軸11に対して傾斜しており、その傾斜角度θは、複数の光源部12A,12Bからの光を選択的に所定の軸11に沿った方向に反射可能な角度に設定されている。ここでは、光源部12A,12Bの光源軸13は、所定の軸11に対して略直交しているので、所定の軸11に対する反射面26の傾斜角度θは、略45゜に設定されている。
ところで、回転色フィルタ部40の全色透過フィルタ部41bとして、不可視光の一部である赤外線を反射可能なものを用いた場合、反射した赤外線が反射部材20に向けて戻ることになる。
そこで、反射面26は、所定の軸11に沿って逆行する不可視光を透過可能に構成することが好ましい。かかる反射面26を実現する反射ミラー25としては、ここでは、主として赤外線を透過し主として可視光のみを反射させる多層蒸着ミラー(コールドミラーとも呼ばれる)を用いることができる。
これにより、所定の軸11に沿って逆行し反射面26に入射した赤外線が、発光中の光源部12A,12Bに向けて反射されることを抑制でき、発光中の光源部12A、12Bのさらなる加熱を抑制でき、光源部12A、12Bの長寿命化に貢献する。
回転盤22は、上記反射ミラー25が固着される傾斜固着面23と、反射ミラー25の反対側に設けられた放熱部24とを有している。放熱部24は、放熱容易な形状、ここでは、フィン形状に形成されている。そして、本反射部材20が、入射光によって発熱した場合に、当該熱が放熱部24を通じて容易に外部に発散されるように構成されている。
なお、反射部材20のうち反射面26以外の部分である回転盤22等の回転軌跡は、反射面26の回転軌跡G(図7参照)の最大径よりも小さい。つまり、反射部材20の回転軌跡の最大径は、反射面26の回転軌跡Gの最大径で規定されるようになっている。
回転支持機構部30は、複数の光源部12A,12Bからの光を選択的に所定の軸11に沿った方向に反射するように、反射部材20を所定の軸11と略一致する回転軸周りに回転可能に支持するように構成されている。ここでは、回転支持機構部30は、反射部材20を回転自在に支持するシャフト32と、反射部材20を回転駆動する回転駆動機構部としてのモータ34とを有している。
シャフト32は、上記所定の軸11に対して略同一直線上に位置するように、一定位置に固定された基体33aに設けられた軸受部33bに回転自在に支持されている。このシャフト32の先端部は、上記回転盤22の背部に形成された圧入孔に圧入されること等で、反射部材20に取付固定されている。これにより、反射部材20は、所定の軸11と略一致する回転軸周りに回転自在に支持されている。
モータ34は、シャフト32の基端部側に配設され、制御ユニット82による制御下、正逆両方向に回転駆動可能に構成されている。モータ34の回転軸部34aにはピニオンギア34gが取付けられており、このピニオンギア34gは、シャフト32の基端部に固着されたギア32gに噛合している。
そして、モータ34を回転駆動させると、その回転駆動力がピニオンギア34gからギア32g、シャフト32を介して反射部材20に伝達され、反射部材20が所定の軸11周りに回転駆動されるように構成されている。
なお、モータ34から反射部材20へ回転駆動力を伝達する構成は上記例に限られず、種々のギアの組合わせ、或は、循環回転ベルト等を用いた種々の動力伝達構成を採用することができる。また、反射部材20の回転は、モータ34による場合に限られず、手動等で行われてもよい。また、モータ34の回転制御も必ずしも自動で行われる必要はなく、別途スイッチ等を通じた指令に応じて行われてもよい。
反射部材20で反射された光は、ロッドインテグレータ36に入射する。ロッドインテグレータ36は、透明性部材により断面略矩形の略角柱形状に形成されており、前記所定の軸11上で、その中心軸を前記所定の軸11の方向に略一致させた位置及び姿勢で配設されている。このロッドインテグレータ36のうち前記反射部材20に対向する側の面は、反射面26からの光を受入れる略矩形状の入射面36aに形成されている。通常、入射面36aの矩形状は、表示装置が生成する映像画面に相似なアスペクト比を有するため、短辺と長辺とを有する矩形状に形成される。そして、反射面26で反射された光は、入射面36aを通じてロッドインテグレータ36の内部に入射する。ロッドインテグレータ36の内部に入射した光は、ロッドインテグレータ36の外周囲の略矩形状側面で複数回内部反射を繰返し、ロッドインテグレータ36の他端の出射面36bより出射する。ロッドインテグレータ36から出射した光束は、所定の軸11に対して略直交する面で略矩形状に投影される形状となり、また、その略矩形状の面内で輝度分布が略均一化される。
また、上記ロッドインテグレータ36と反射面26との間には、反射面からの光に含まれる不可視光の少なくとも一部を反射する不可視光反射面38a(図6参照)を有する光学反射フィルタとして、UV反射フィルタ38が設けられている。ここでは、UV反射フィルタ38は、光源部12A,12Bからの光源光のうち紫外線の一部を反射する意図的な構成を有している。このUV反射フィルタ38は、ライトバルブ60に対して入射する紫外線を抑制し、もって、紫外線の影響によってライトバルブ60の反射率が低下するのを防ぐ役割を有している。
この不可視光反射面38aは、上記2つの光源部12A,12Bの光源軸13に対しては略平行で、かつ、前記所定の軸11に対しては角度αで傾斜している(図6参照)。所定の軸11に対する不可視光反射面38aの傾斜角度αは、好ましくは略10゜である。不可視光反射面38aを上記姿勢とする理由は次の通りである。
すなわち、まず、不可視光反射面38aを所定の軸11に対して傾斜させることにより、不可視光反射面38aで反射した紫外光が、発光中の光源部12A又は光源部12Bに戻ることを抑制でき、発光中の光源部12A又は光源部12Bのさらなる加熱を抑制できる。ここで、例えば、不可視光反射面38aを、第1の光源部12Aからの円錐状の光束16Aの外周囲に対して平行に近づくような角度で傾斜させた場合を想定する。この場合、第1の光源部12Aを所定の軸11に近づけても、円錐状の光束16AはUV反射フィルタ38に干渉しない。ところが、第2の光源部12Bを同様に所定の軸11に近づけようとすると、第2の光源部12Bによる円錐状の光束16Bは、UV反射フィルタ38に干渉してしまい、第2の光源部12Bに切換えた場合の輝度は低下してしまう。
そこで、不可視光反射面38aを、上記2つの光源部12A,12Bの光源軸13に対しては略平行で、かつ、前記所定の軸11に対しては角度αで傾斜させることで、両光源部12A,12Bからの円錐状の光束16A,16BとUV反射フィルタ38との干渉を抑制して明るさを確保しつつ、両方の光源部12A,光源部12Bを所定の軸11に近づけて小型化を図ることができる(図4及び図5参照)。
そして、一方の光源部12A,12Bからの光源光は、反射部材20で反射され、ロッドインテグレータ36を通って、回転色フィルタ部40を透過する。回転色フィルタ部40では、光源光は、時分割的に各色成分波長帯域に変調される。回転色フィルタ部40を透過した光源光は、リレーレンズ44,46,48を透過し、反射ミラー50,52によってプリズム54に向けて反射され、プリズム54を経由してライトバルブ60に照射される。ライトバルブ60は、図示省略の映像信号処理回路によって、回転色フィルタ部40と同期をとって制御されてカラー画像を生成する。このカラー画像は、投射光学系70を通じて図示省略のスクリーンへ投影される。
また、この照明装置10は、光源部12A,12Bの輝度低下又は寿命等による不点灯時に、光源部12A,12Bを自動的に切換えるべく、次の構成を備えている。
すなわち、光源部12A,12Bによる光源光の輝度を検出可能な位置に、明るさ検出部として、輝度センサ80が設けられている。ここでは、輝度センサ80は、ロッドインテグレータ36を通過した光の輝度を検出可能な位置に設けられている。このような位置としては、ロッドインテグレータ36を通過した後の光路途中や、ライトバルブ60によって投影に用いない不要光として反射された光の照射先(図2参照)等が挙げられる。
この輝度センサ80による検出信号は、制御ユニット82(図2参照)に与えられ、制御ユニット82は、輝度センサ80からの検出信号に応じて、モータ34の駆動制御等を行う。
制御ユニット82は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、予め格納されたソフトウェアプログラムによって次の動作を実行する。
すなわち、制御ユニット82は、一方の光源部12Aの点灯動作中において、輝度センサ80からの検出信号に基づく輝度と、予め設定されてROM等に格納された所定の輝度とを比較する。そして、制御ユニット82は、輝度センサ80からの検出信号に基づく輝度が所定の輝度を下回ったと判断した場合に、駆動回路を通じてモータ34を回転駆動させる。このモータ34の回転により反射部材20が所定の軸11周りに回転し、180゜回転すると、モータ34及び反射部材20の回転は停止する。モータ34及び反射部材20の回転停止は、例えば、シャフト32の基端部に固着されたギア32gに当接部32gaを形成しておき(図3参照)、シャフト32が180゜回転した状態で、当接部32gaが図示省略のスイッチを押込んだタイミングで、行わせるようにするとよい。勿論、当該例に限られず、モータ34としてステッピングモータ等を用い、180゜回転させて停止させるように駆動制御してもよい。
なお、光源部12A,12Bのオンオフ制御は、上記モータ34及び反射部材20の回転に機械的に連動して又はソフトウエア的に連動して、適宜行わせるとよい。
上記映像表示装置及び照明装置10の光源切換え動作について説明する。
第1の光源部12Aによる点灯及び投影動作中において、第1の光源部12Aによる輝度が低下すると、スクリーンに投影される映像も暗くなる。また、第1の光源部12Aが寿命等によって点灯しなくなると、スクリーンには何も映らなくなる。これらの現象が発生した場合、制御ユニット82は、輝度センサ80からの検知信号に基づいて光源光が所定の輝度を下回ったことを検知し、モータ34を回転駆動する。モータ34が回転すると、ピニオンギア34g及びギア32gを介してシャフト32及び反射部材20が所定の軸11周りに回転し、180゜回転すると停止する。これにより、反射面26は、光源部12Aからの光源光を所定の軸11に沿う方向反射する姿勢から(図4参照)、光源部12Bからの光源光を所定の軸11に沿う方向に反射する姿勢に姿勢変更する(図5参照)。
ここで、所定の軸11と光源軸13との交点Bと反射面26の周縁部であって交点Bから最も離れた部分との距離(以下、最長距離という)をL(図3参照)、所定の軸11に対する反射面26の傾斜角度をθとする。そして、前記距離Lに対応する部分を、所定の軸11に対して略直交する平面に投影すると、当該部分の距離L1(図7参照)はL×cosθとなる。このため、第1の光源部12Aと所定の軸11間の距離、及び、第2の光源部12Bと所定の軸11間の距離として、略(L×cosθ)分のクリアランスを設けておけば、反射部材20の回転中において反射面26が第1の光源部12A及び第2の光源部12Bに干渉することを抑制できる。これは、所定の軸11を挟んで、光源部12A,12Bが略対称に配設されていることに着目すれば、光源部12A,12B間に、略(2×L×cosθ)分の距離に対応するクリアランスを設けておけばよいことになる。
ここで、従来のように、上記反射面26を、所定の軸11に対して略直交する軸周りに回転させる場合を想定すると、光源部12A,12B間には、略(2×L)分の距離を設けておく必要がある。よって、本実施形態では、(2×L)−(2×L×cosθ)=2×L(1−cosθ)分、小型化を実現できることになる。
なお、上記(L×cosθ)は、所定の軸11と光源部12A,12Bとの間の各距離が、所定の軸11を中心とする反射面26の回転軌跡G(図7参照)の最大径であるともいえる。
このため、所定の軸11と光源部12A,12Bとの間の各距離が、略(L×cosθ)に(つまり、所定の軸11を中心とする反射面26の回転軌跡Gの最大径と略一致するように)設定されていれば、反射面26と光源部12A,12Bとの干渉を避けつつ、照明装置10の小型化を図り得ることになる。なお、所定の軸11と光源部12A,12Bとの間の各距離が、略(L×cosθ)に(つまり、所定の軸11を中心とする反射面26の回転軌跡Gの最大径と略一致するように)設定された場合には、当該値に大型化にほとんど影響しない程度の僅かな余長を付加した程度の距離をも含む。
なお、上記光源部12A,12Bと所定の軸11間の距離、或は、光源部12A,12B間の距離は、光源部12A,12Bのうち最前にある部分、例えば、カバーガラス15A,15B部分が基準となる。
第2の光源部12Bによる点灯及び投影動作中において、第1の光源部12Aに切換える際には、上記と逆にして同様に切換えられる。
このように、本実施形態に係る照明装置10及び映像表示装置では、反射部材20を、所定の軸11と略一致する回転軸周りに回転させることで、反射面26が、複数の光源部12A,12Bからの光を選択的に所定の軸11に沿った方向に反射する。このため、複数の光源部12A,12B間の距離を、反射部材20を所定の軸11と略一致する回転軸周りに回転可能な程度に小さくすることができる。より具体的には、所定の軸11と光源部12A,12Bとの間の距離が、所定の軸11を中心とする反射面26の回転軌跡Gの最大径と略一致するように設定することができる。従って、なるべく小さな構成で光源部12A,12Bの切換えを行うことができ、照明装置10の小型化及び減量化、ひいては、映像表示装置の小型化及び減量化に貢献する。
特に、回転楕円面状反射面14Aa,14Baを有するリフレクタ14A,14Bによって反射される光束16A,16Bの形状は円錐状であり、その円錐の光束16A,16Bの光軸に対して反射面26は傾斜姿勢(ここでは略45゜の傾斜姿勢)となっている。このため、その円錐状の光束16A,16Bは、反射面26において、光源軸13及び所定の軸11を含む面に沿った方向に長軸を持つ楕円に近い形状16aで入射して反射される(光束16Bによる入射形状につき図7参照)。このため、反射面26の形状としても、上記楕円に近い形状16a部分以外を切除した形状にすることができる。ここでは、反射面26の形状として、略矩形状の4つの角部分を、楕円に近い形状16a部分で残すように、切除した形状に形成している。これにより、上記最長距離Lをより小さくすることができ、従って、L×cosθ、つまり、所定の軸11を中心とする反射面26の回転軌跡Gの最大径をより小さくすることができる。
このように、反射面26を所定の軸11周りに回転させる構成に相俟って、反射面26の形状を、光源部12A,12Bからの反射に不要な部分を切除したような形状にすることで、照明装置10及び映像表示装置をより小型化できることになる。
また、この映像表示装置では、光源部12A,12Bによる集光点と投射光学系70とは別箇所にあるため、乱反射等に起因する光学的相互影響及び熱的相互影響がある程度分離され、コントラスト向上、フォーカスの向上等を期待できる。
また、光源部12A,12Bを切換える際、回転させる対象は、主として反射部材20だけであるため、その対象は比較的軽量かつ小型である。このため、小型のモータを用いて装置全体としても小型化を図ることができると共に、反射部材20を比較的高速に回転させて迅速に光源部12A,12Bの切換え動作を行うようにもできる。
図8はロッドインテグレータ36の入射面36aに対する入射スポットを示す説明図である。図8において、光源軸13と所定の軸11とを含む平面Eは、略矩形状の入射面36aの4つの辺に対して傾斜するように設定されている。この図8において、所定の軸11に略一致する箇所への入射スポットF1を実線で、そこからずれた入射スポットF2〜F5を破線で示している。
すなわち、光源部12A,12Bからの光源光は、反射面26からUV反射フィルタ38を経てロッドインテグレータ36の入射面36aに入射する。ここで、シャフト32と回転盤22の製造誤差等によって、所定の軸11に対する反射面26の傾斜角度に製造誤差が生じると、光源光の反射光は、角度誤差の2倍の角度分だけ所定の軸11から外れる。このとき、幾何学的な関係から、光源光が外れていく方向は、光源軸13と所定の軸11とを含む平面Eに略平行な方向である。そこで、光源軸13と所定の軸11とを含む平面Eを、略矩形状の入射面36aの4つの辺に対して傾斜するように設定するとよく、好ましくは、入射面36aの4つの辺に対する平面Eの最小傾斜角度よりも、入射面36aの一つの対角線に対する平面Eの傾斜角度を小さく設定するとよく、より好ましくは、平面Eと入射面36aの一つの対角線とを略平行な位置に設定するとよい。
これにより、反射面26の傾斜角度誤差によって光源光の入射スポットがずれる方向、即ち、平面Eにおいて、入射面36aの広がりを大きくすることができ、入射スポットF1が本来の位置から平面Eにおいてずれたとしても(入射スポットF2,F3参照)、なるべく入射面36a内に収るようにすることができる。これにより、反射面26の角度ばらつきによる、輝度低下の度合を緩和することができる。
なお、当接部32gaと図示省略のスイッチとの位相ばらつきや各構成部分の取付位置のばらつき等が原因で、集光スポットが平面Eに対して略垂直な方向にばらついた場合(集光スポットF4,F5参照)、次のように補正するとよい。すなわち、上記輝度センサ80からの検出信号に基づき、ロッドインテグレータ36を通過した輝度を測定し、その輝度が最大となるように、モータ34を微小角度回転させるとよい。つまり、集光スポットF4,F5が集光スポットF3の位置になるように、モータ34を回転させるとよい。これにより、平面Eに対して略垂直な方向で集光スポットがばらついた場合でも、輝度低下を抑制できる。
ところで、光源部12A,12Bとして、上記高圧放電ランプ13A,13Bを用いた場合、その温度が低いと所定の電圧を印加しても発光不良(着火不良)を起すことがある。そこで、上記反射部材20は、光源部12Aからの光に含まれる不可視光の少なくとも一部を透過可能に構成されることが好ましい。
より具体的には、反射ミラー25としては、主として赤外線を透過し主として可視光を反射する意図的な構成を有するもの、例えば、赤外線を透過し可視光のみを反射させる多層蒸着ミラー(コールドミラーとも呼ばれる)を用いるとよい。また、上記回転盤22を透明部材にする、又は、回転盤22を小型化する等で、一方の光源部12A,12Bから照射されて反射ミラー25を透過した不可視光が、他方の光源部12A,12Bに照射されるようにするとよい。
これにより、例えば、第1の光源部12Aが点灯している状態において、第1の光源部12Aから照射された光束16A中、赤外線の少なくとも一部は反射部材20を透過して第2の光源部12Bに照射され、赤外光束が高圧放電ランプ13B近傍に集光する(図4参照)。これにより、第2の光源部12Bの高圧放電ランプ13Bを予熱状態にすることができる。同様にして、第2の光源部12Bが点灯している状態において、第1の光源部12Aの高圧放電ランプ13Aを予熱状態に保つことができる。これにより、光源部12A,12Bの点灯を切換える際に、点灯を開始しようとする光源部12A,12Bの発光不良(着火不良)を抑制してより確実に点灯させることができる。
なお、ここで説明した照明装置10は、投射型の映像表示装置、特に、光源交換のために必要な非点灯時間を短くする必要性が高い連続監視用のDLP(商標)プロジェクタに好適に用いられる。
もっとも、照明装置10自体は、投射型の映像表示装置に適用される他、各種照明用途、特に比較的強い光を連続して放つ必要性が高い照明用途に適用され得る。
10 照明装置、12A,12B 光源部、13 光源軸、14A,14B リフレクタ、14Aa,14Ba 回転楕円面状反射面、20 反射部材、26 反射面、30 回転支持機構部、36 ロッドインテグレータ、36a 入射面、38 UV反射フィルタ、38a 不可視光反射面、40 回転色フィルタ部、41b 全色透過フィルタ部、60 ライトバルブ、70 投射光学系。