以下、本発明に係る遊技機を具体化したパチンコ機1の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図3を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1はパチンコ機1の正面図であり、図2は遊技盤2の正面図であり、図3は図柄表示装置8の正面図である。
図1に示すように、パチンコ機1の正面の上半分の部分には、発射ハンドル7の操作により図示外の発射機から発射された遊技媒体としての遊技球が流下する遊技盤2が設けられている。この遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠13で保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、かつ賞品球を受ける上皿5が設けられている。そして、上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられ、下皿6の右横には遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。さらに、上皿5と下皿6との間にはスピーカ(図示外)がそれぞれ設けられている。また、上皿5の中央部左側に半円形をなすボタン式のスイッチ90が設けられている。
また、図2に示すように、遊技盤2の前面にはガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が設けられている。この遊技領域4の略中央には、LCDから構成された表示画面28や普通図柄表示部24、各種ランプ、LEDを備えた図柄表示装置8が設けられている。この図柄表示装置8の左右上方には電飾風車9,10がそれぞれ設けられている。また、図柄表示装置8の左側方には普通図柄始動ゲート12が設けられている。また、図柄表示装置8の下側には特別図柄始動電動役物15が設けられている。そして、その特別図柄始動電動役物15の下方に、大入賞口16が設けられている。そして、特別図柄始動電動役物15の左右には普通入賞口19,20がそれぞれ設けられており、大入賞口16の左右にも普通入賞口17,18がそれぞれ設けられている。
また、図柄表示装置8の左右両肩にはワープ入口22,23がそれぞれ設けられている。さらに、図柄表示装置8の下部にはワープ出口21(図3参照)が設けられ、これらのワープ入口22,23を通過した遊技球は図柄表示装置8の内部(ワープゾーン)を通ってワープ出口21へ現出するようになっている。ワープ出口21に現出した遊技球は、ワープ出口21の直下に設けられている特別図柄始動電動役物15に向かって落下するので、特別図柄始動電動役物15に入賞しやすい。
また、図3に示すように、図柄表示装置8の上部には4個のLEDから成る特別図柄記憶数表示LED60が設けられており、特別図柄始動電動役物15に入賞し、図柄表示装置8の表示画面28に大当たり判定の結果が表示されていない遊技球の個数、いわゆる作動保留球数を4個まで、LEDの点灯で表示することができるようになっている。さらに、特別図柄記憶数表示LED60の上方に設けられた4個のLEDから成る普通図柄記憶数表示LED59は、普通図柄始動ゲート12(図2参照)に入賞し、普通図柄表示部24に普通当たりの判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数、いわゆる普通図柄作動保留球数を、特別図柄作動保留球数同様4個まで、LEDの点灯で表示することができる。なお、遊技盤2(図2参照)には、上記以外に、種々の電飾ランプ63(図4参照)、その他の電飾用のLED62(図4参照)、風車及び多数の障害釘等が設けられている。
次に、図柄表示装置8の構造およびそこに表示される画面について説明する。図柄表示装置8は、中央に表示画面28を備え、左下方に特別図柄表示部L1が設けられ、表示画面28の中央にデモ図柄表示部D1,デモ図柄表示部D3,デモ図柄表示部D2が左から順に並んで設けられている。なお、デモ図柄表示部D1〜D3は、数字や図柄等から成る複数種類のデモ図柄を表示可能であり、遊技者の目を惹くように、特別図柄表示部L1よりも広い領域を占めている。また、表示画面28上には、特別図柄表示部L1、デモ図柄表示部D1〜D3には常にデモ図柄が表示されているわけではなく、これらの表示に代えて動画やメッセージ等も表示できるようになっている。また、表示画面28の上方には、7セグメントLEDから構成される普通図柄表示部24が設けられている。普通図柄表示部24には、1桁の数字や1文字のアルファベット等の図柄を表示できるようになっている。また、図柄表示装置8は、その裏面に図柄表示基板44(図4参照)を備えている。
本実施の形態のパチンコ機1では、遊技球が特別図柄始動電動役物15へ入賞すると大当たり抽選が行われる。この大当たり抽選の結果が大当たりとなると、パチンコ機1が特別遊技状態となり、大入賞口16が開放され、遊技者は多数の遊技球を獲得することができる。また、この大当たり抽選の結果は特別図柄表示部L1に表示され、さらに、デモ図柄表示部D1〜D3にも表示される。デモ図柄表示部D1〜D3は、特別図柄表示部L1よりも遊技者の目を惹くように構成されており、さらに、表示画面28の背景画面やその他の種々の電飾ランプ63やスピーカ48から出力される効果音等の演出と同期して、大当たり判定の結果報知を行い、遊技者の大当たり判定結果への関心や期待感を高める働きをしている。
ここで、特別図柄表示部L1について説明する。特別図柄表示部L1は、1桁の数字や1文字のアルファベット等の特別図柄を表示できるように構成されている。そして、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞して大当たりの判定が行われると、その判定結果を報知するために特別図柄が変動表示される。本実施の形態では、特別図柄表示部L1に表示される特別図柄は、「大当たり(300回時短付の確率変動当たり)」,「大当たり(100回時短付の確率変動当たり)」,「大当たり(30回時短付の確率変動当たり)」,「はずれ」の4種類のいずれかを示すものとする。なお、ROM53の特別図柄パターン記憶エリア534には、大当たりである場合に表示される40種類とはずれである場合に表示される40種類との合計80種類の特別図柄が、それぞれ後述の特別図柄乱数と対応付けて記憶されている。
次に、デモ図柄表示部D1〜D3について説明する。このデモ図柄表示部D1〜D3は、大当たり判定の報知を、特別図柄表示部L1で行うよりも、自由度をもたせて行うためのものである。図3に示すように、表示画面28には、左から、デモ図柄表示部D1,デモ図柄表示部D3,デモ図柄表示部D2の順に、3つのデモ図柄表示部が横一列に配置されている。このデモ図柄表示部D1〜D3には、後述するデモ図柄が上から下方向にスクロールするように変動表示され、デモ図柄表示部D1、デモ図柄表示部D2、デモ図柄表示部D3の順に停止するようになっている。また、表示画面28には、デモ図柄表示部D1〜D3の背景にも画像が表示されており、また、常にデモ図柄表示部D1〜D3に図柄が表示されているわけではなく、表示画面28の全体にデモ図柄表示部D1〜D3に替えて動画やメッセージ等も表示できるようになっている。なお、このデモ図柄表示部D1〜D3の配置、停止表示させる順序、スクロールの方向などは任意に変更できることはいうまでもない。
デモ図柄表示部D1〜D3に各々表示されるデモ図柄としては、本実施の形態の例では数字の「0」,「1」,「2」,「3」,「4」,「5」,「6」,「7」,「8」,「9」の10種類があり、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞して大当たりの判定が行われると、特別図柄表示部L1と同様に、これら10種類の図柄が順次表示される。そして、大当たりである場合には、横1列に表示された3つのデモ図柄が同じ数字の図柄で揃った状態(例えば、「7,7,7」のように3つ揃った場合)で大当たり図柄が構成されて表示され、遊技者に大当たりが報知され、大当たりでない場合には、横1列に表示された3つのデモ図柄が同じ数字で揃っていないはずれ図柄となる。なお、大当たりを報知する図柄の種類やその組み合わせは、これに限られるものではなく、自由に定めることができる。
次に、本実施の形態のパチンコ機1の電気的構成について、図4を参照して説明する。図4は、パチンコ機1の制御部40の電気的回路構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御部40は、主基板41、電源基板42、音基板43、図柄表示基板44、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47及びサブ統合基板58から構成されている。この制御部40は、パチンコ機1(図1参照)の裏側(背面側)に設けられている。
パチンコ機1の主制御を司る主基板41には、プログラムにしたがって各種の処理を行うCPUユニット50が設けられている。このCPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、フラグやカウンタ等の演算処理中に発生するデータの値等を一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム、各種データの初期値、他の基板への指示を行うコマンド等を記憶したROM53とが設けられており、これらは一つのLSIとして一体にモールディングされている。また、CPUユニット50には割込信号発生回路57が接続され、この割込信号発生回路57は、例えば、0.002秒(以下、「2ms」と略す。)毎にCPU51に割込信号を与えるようになっている。CPU51は、この割込信号が入力される毎にROM53に記憶されている制御プログラムを実行し、この制御プログラムにしたがってパチンコ機1の制御を行う。
また、主基板41にはI/Oインタフェイス54が設けられており、サブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47等のサブ基板と接続している。さらに、音基板43、図柄表示基板44及び電飾基板46は、サブ統合基板58を介して主基板41に接続されている。払出制御基板45は賞品球払出装置49の制御を行い、中継基板47はスイッチやソレノイドの配線の中継を行っている。また、サブ統合基板58は音基板43,図柄表示基板44,電飾基板46の総合的な制御を行っており、音基板43はパチンコ機1の効果音の発生を制御し、図柄表示基板44は表示画面28及び普通図柄表示部24に表示される図柄の制御を行い、電飾基板46はパチンコ機1の各電飾の発光態様を制御している。
なお、サブ統合基板58にはCPU581、RAM582及びROM583が設けられている。そして、音基板43にはCPU43aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、図柄表示基板44にはCPU44aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されている。さらに、払出制御基板45にはCPU45aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、電飾基板46にはCPU46aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されている。また、主基板41のI/Oインタフェイス54には、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する出力ポート55が接続されている。なお、図示しないが、遊技者が操作するスイッチ90も、サブ統合基板58に接続される。
電飾基板46には、電飾風車9,10、4個のLEDから構成された普通図柄記憶数表示LED59、4個のLEDから構成された特別図柄記憶数表示LED60、電飾用のLED62及び電飾ランプ63が接続されている。また、図柄表示基板44には図柄表示装置8及び普通図柄表示部24が接続され、音基板43にはスピーカ48が接続され、払出制御基板45には賞品球払出装置49が接続されている。さらに、中継基板47には、大入賞口16の開閉部材を開放・閉鎖する大入賞口開放ソレノイド70、特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開放・閉鎖する電動役物開放ソレノイド71、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する始動口スイッチ72、普通図柄始動ゲート12に入賞した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ73、大入賞口16に入賞した遊技球数を計数するためのカウントスイッチ75、普通入賞口17,18,19,20に入賞した遊技球を検出する入賞口スイッチ76が接続されている。なお、特別図柄始動電動役物15、大入賞口16、普通入賞口17,18,19,20に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が払い出される。
また、電源基板42は、主基板41、音基板43、図柄表示基板44、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47及びサブ統合基板58に各々接続し、直流の安定化した電力を供給している。なお、電源基板42には交流24Vが供給されている。電源基板42には、図示外のシリコンダイオードブリッジからなる整流器、電解コンデンサからなる平滑回路、レギュレータICからなる安定化回路等が設けられており、安定化された直流の12V及び5V等を各基板へ供給できるようになっている。なお、図4では、特に図示しないが、主基板41、電源基板42、音基板43、図柄表示基板44、払出制御基板45、電飾基板46、中継基板47及びサブ統合基板58は、すべてアースラインで接続されている。また、図示しないが、主基板41には、管理者等がパチンコ機1を初期状態に戻す場合に押下するスイッチを備えたリセット部が接続されている。
また、パチンコ機1では、一定間隔の時間(本実施例では2ms)に割込信号発生回路57(図4参照)が発生する割込信号によって、主基板41のCPU51が図10に示すメインルーチン処理を繰り返し実行しており、2ms以内に終了するようにプログラミングされている。このメインルーチン処理が繰り返し実行されることにより、パチンコ機1の主要動作が実施される。メインルーチン処理は主基板のCPU51が実施しており、メインルーチン処理の中でサブ統合基板58のCPU581へ様々なコマンド(例えば、特別図柄表示部L1の変動を開始するコマンドや停止するコマンド、大入賞口16を開放するコマンドや閉鎖するコマンド等)を送信している。サブ統合基板58のCPU581では、主基板41のCPU51から送信されてきたコマンドに基づいて、デモ図柄表示部D1〜D3に表示される図柄を決定したり、図柄表示画面30に表示されるキャラクターや絵柄を決定したり、その出現タイミングを決定したり、スピーカ48から出力される効果音を決定したり、その出力タイミングを決定したり、その他の電飾ランプ63を点滅させるタイミングを決定したりして、図柄表示基板44のCPU44a、音基板43のCPU43a、電飾基板46のCPU46aへの指示を行っている。
次に、図5を参照して、ROM53の記憶エリアについて説明する。図5は、ROM53の記憶エリアを示す概念図である。図5に示すように、ROM53には、パチンコ機1のリセットが行われる際に各記憶エリアに記憶される初期値等を記憶する初期設定記憶エリア531、CPU51がパチンコ機1を制御するための各種制御プログラムを記憶する制御プログラム記憶エリア532、主基板41からサブ統合基板58に出力される制御コマンドのテーブルを記憶する制御コマンドテーブル記憶エリア533、特別図柄表示部L1に表示する特別図柄やその変動表示パターンを記憶した特別図柄パターン記憶エリア534、大当たり状態終了後に実行する遊技状態(以下、大当たり後遊技状態という)を決定するための遊技状態テーブル100(図6)を記憶した遊技状態テーブル記憶エリア535等が設けられている。さらに、ROM53には、図示外の各種の記憶エリアが設けられている。
ここで、図6を参照して、遊技状態テーブル記憶エリア535に記憶されている遊技状態テーブル100について説明する。図6は、遊技状態テーブル100のデータ構成図である。図6に示すように、遊技状態テーブル100は、特別図柄表示部L1に表示する特別図柄を決定するための特別図柄乱数と、大当たり状態判定時の遊技状態とに対応して、その大当たり状態終了後に実行すべき移行先の遊技状態が定義されたテーブルである。後述するように、特別図柄乱数は特別図柄選択カウンタLC3から取得され、大当たり状態判定時の遊技状態はフラグ情報記憶エリア528から取得されて、遊技状態テーブル100ではこれらの情報に基づいて大当たり後遊技状態が特定される。
本実施の形態に係る遊技状態テーブル100では、大当たり状態判定時の遊技状態として、大当たり確率が低確率(4/949)の遊技状態(以下、通常状態という。)と、大当たり確率が高確率(3/698)の遊技状態(以下、確率変動状態という。)と、時短処理が実行される確率変動状態(以下、時短付確変状態という。)とが設定されている。また、大当たり後遊技状態(すなわち、移行先の遊技状態)として、確率変動中は継続して時短処理が実行される確率変動状態(以下、MAX時短付確変状態という。)と、100回の時短処理が実行される確率変動状態(以下、100回時短付確変状態という。)と、30回の時短処理が実行される確率変動状態(以下、30回時短付確変状態という。)とが定義されている。図6では、MAX時短付確変状態を「状態A」として示し、100回時短付確変状態を「状態B」として示し、30回時短付確変状態を「状態C」として示している。
なお、本実施の形態に係るパチンコ機1では、後述のように特別図柄が300回変動するまで確率変動状態が継続する「回数切り確率変動」が実行される。つまり、確率変動状態における特別図柄の最大変動回数は300回であり、特別図柄変動が300回実行されると通常状態に移行されるため、時短処理の最大連続実行回数も300回となる。言い換えれば、MAX時短付確変状態は、300回の時短処理が実行される確率変動状態である。
そして、図6の遊技状態テーブル100によれば、大当たり状態判定時の遊技状態に応じて、大当たり状態終了後にMAX(すなわち、300回),100回,30回のいずれかの時短処理を伴う確率変動状態に移行される。そして、大当たり状態判定時に300回,100回,30回のいずれかの時短処理を実行中であれば、その遊技状態は「時短付確変状態」に該当する。また、100回時短付確変状態において、100回の時短処理の実行後は時短処理を伴わない「確率変動状態」に移行され、さらに特別図柄の変動回数が300回となると「通常状態」に移行される。同様に、30回時短付確変状態において、30回の時短処理の実行後は時短処理を伴わない「確率変動状態」に移行され、さらに特別図柄の変動回数が300回となると「通常状態」に移行される。なお、300回時短付確変状態では、特別図柄の変動回数(すなわち、時短処理の実行回数)が300回となると「通常状態」に移行される。
次に、図7を参照して、RAM52の記憶エリアについて説明する。図7は、RAM52の記憶エリアを示す概念図である。図7に示すように、RAM52には、各種のカウンタを記憶するカウンタ記憶エリア521、各ゲートや各入賞口に遊技球が入賞したか否かを示すフラグを記憶する入賞球フラグ記憶エリア522、普通図柄始動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する普通当たり関係情報記憶エリア523、普通図柄始作動保留球数を記憶する普通図柄作動保留球数記憶エリア524、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する大当たり関係情報記憶エリア525、特別図柄作動保留球数を記憶する特別図柄作動保留球数記憶エリア526、主基板41からサブ統合基板58に出力される制御コマンドを記憶するコマンド関係情報記憶エリア527、特別図柄表示部L1が変動中であるか否かを示す特別図柄変動中フラグ、大当たり状態中であり特別電動役物(特別遊技状態である際に動作する電動役物の総称)が作動中か否かを示す特別電動役物作動フラグ、大入賞口16が開放中であるか否かを示す大入賞口開放フラグ、大入賞口16を引き続き開放するか否かを示す連続作動フラグ、高確率状態とするか否かを示す確率変動フラグ、時短処理を行うか否かを示す時短設定フラグ等を記憶するフラグ情報記憶エリア528、大当たり状態終了後に実行する遊技状態をビットパターンで示す大当たり後遊技状態フラグを記憶する大当たり後遊技状態記憶エリア529、時短処理の残り実行回数を記憶するカウンタである時短処理実行回数記憶エリア530a、確率変動の残り実行回数を記憶するカウンタである確率変動実行回数記憶エリア530b等が設けられている。なお、RAM52には、パチンコ機1の電源切断時にも記憶内容が保持されるように、バックアップ用のバッテリ(図示外)が接続されている。さらに、RAM52には、図示外の各種の記憶エリアが設けられている。
なお、時短処理実行回数記憶エリア530aには、大当たり状態終了後に時短処理が実行される遊技状態に移行する場合に、その移行先の時短付遊技状態に応じた時短処理の残り実行回数が、後述の特別電動役物処理(S7)で特別電動役物が終了された後に設定される。本実施の形態では、大当たり状態終了後は必ず時短設定フラグが「ON」となって時短付遊技状態に移行し、セットされた回数分の時短処理を実行するまで時短付遊技状態が継続されるが、詳細は後述する。例えば、大当たり後遊技状態が「MAX時短付確変状態」であれば時短処理の残り実行回数として「300」がセットされ、大当たり後遊技状態が「100回時短付確変状態」であれば時短処理の残り実行回数として「100」がセットされ、大当たり後遊技状態が「30回時短付確変状態」であれば時短処理の残り実行回数として「30」がセットされる。
そして、後述するように、普通図柄処理(S15)で時短処理が実行されるごとに、時短処理実行回数記憶エリア530aにセットされた時短処理の残り実行回数が「1」ずつ減算され、それが「0」になると時短設定フラグが「OFF」となって時短処理が終了する。なお、時短処理実行回数記憶エリア530aには、現在の遊技状態が時短処理を実行しない遊技状態(本実施形態では「通常状態」や「確率変動状態」)の場合には、時短処理の残り実行回数として「0」がセットされる。なお、パチンコ機1の電源投入時やリセット時は、デフォルトの遊技状態として「通常状態」が実行されるため、これらの場合も時短処理の残り実行回数として「0」がセットされる。
また、確率変動実行回数記憶エリア530bには、大当たり状態終了後に実行される確率変動の残り実行回数が設定される。本実施の形態では、大当たり状態終了後は必ず確率変動フラグが「ON」となって確率変動状態に移行し、特別図柄が300回変動するまで当該確率変動状態が継続されるが、詳細は後述する。つまり、本実施形態のパチンコ機1で実行されるのは「回数切り確率変動」であり、確率変動実行回数記憶エリア530bに確率変動の残り実行回数として「300」が、後述の特別電動役物処理(S7)で特別電動役物が終了された後に設定される。
そして、後述するように、特別図柄処理(S9)で特別図柄変動が実行されるごとに、確率変動実行回数記憶エリア530bにセットされた確率変動の残り実行回数が「1」ずつ減算され、それが「0」になると確率変動フラグが「OFF」となって確率変動が終了する。なお、確率変動実行回数記憶エリア530bには、現在の遊技状態が確率変動を実行しない遊技状態(本実施形態では「通常状態」)の場合には、確率変動の残り実行回数として「0」がセットされる。なお、パチンコ機1の電源投入時やリセット時は、デフォルトの遊技状態として「通常状態」が実行されるため、これらの場合も確率変動の残り実行回数として「0」がセットされる。
次に、図8を参照して、カウンタ記憶エリア521について説明する。図8は、カウンタ記憶エリア521の記憶エリアを示す概念図である。図8に示すように、カウンタ記憶エリア521には、普通当たり判定カウンタLC1記憶エリア521a、大当たり判定カウンタLC2記憶エリア521b、特別図柄選択カウンタLC3記憶エリア521c、特別図柄変動時間カウンタTC1記憶エリア521d、大入賞口開放時間カウンタTC2記憶エリア521e、大入賞口閉鎖時間カウンタTC3記憶エリア521f等が設けられており、種々のカウンタの値が記憶されている。これらの値は、後述する普通図柄処理や特別図柄処理などにおいて、RAM52の普通当たり関係情報記憶エリア523や大当たり関係情報記憶エリア525などに各々取り込まれて格納されるようになっている。
普通当たり判定カウンタLC1、大当たり判定カウンタLC2、特別図柄選択カウンタLC3の値は割込信号発生回路57からの割込信号に基づいて実行されるパチンコ機1のメインルーチン処理(図10)のカウンタ更新処理(S5)において、一定間隔の時間(例えば、割込信号が発生した間隔である2msや割込信号が10回発生した間隔である20ms)毎に所定量(例えば、「1」)ずつ加算される。各カウンタには最大値(上限値)及び最小値(下限値)が設けられており、更新の結果、最大値と同じ値になると、次は最小値に戻り、さらに加算されて、最小値から最大値まで範囲の数値内を循環するように構成されている。
なお、パチンコ機1の起動時には各カウンタの初期値には最小値がセットされている。そして、各カウンタの値の更新により値が一巡して初期値と同じ値になると、各カウンタは新たな初期値を取得し、その初期値に対して「1」ずつの加算がなされる。この新たな初期値は、CPU51が、メインルーチン処理(図10参照)を行わないとき(メインルーチン処理が終了し、次の割込信号によりメインルーチン処理が開始するまでの間)に繰り返し行われている図示外の乱数初期値更新処理(所定のアルゴリズムによって乱数を発生させる処理)によって生成された乱数が用いられる。また、特別図柄変動時間カウンタTC1は、経過時間を計測するためのタイマカウンタとして使用される。特別図柄変動時間カウンタTC1、大入賞口開放時間カウンタTC2、大入賞口閉鎖時間カウンタTC3の値は、カウンタ更新処理にて、例えば2ms毎に所定量(例えば、「1」)ずつ減算される。
以下、各カウンタについて詳述する。普通当たり判定カウンタLC1の値(乱数)は、普通当たりを判定するために使用される。普通当たりの判定は、普通図柄始動ゲート12への遊技球の通過を契機に行われ、普通当たりと判定されると、特別図柄始動電動役物15の開閉部材が所定時間開かれる。普通当たり判定カウンタLC1の最大値は「255」、最小値は「0」であり、1割込毎(2ms毎)に「1」加算され「256」以上となった際に「0」へ戻る。従って、普通当たり判定カウンタLC1の値は「0」から「255」までのいずれかの値を取り、1周期は、512msとなる。
大当たり判定カウンタLC2の値は、大当たりを判定するために使用される。大当たり判定カウンタLC2の最大値は「11862」、最小値は「0」であり、1割込毎(2ms毎)に「1」加算され「11862」以上となった際に「0」へ戻る。従って、大当たり判定カウンタLC2の値は「0」から「11862」までのいずれかの値を取り、1周期は23724msとなる。
特別図柄選択カウンタLC3の値は、大当たり判定の結果を報知するために特別図柄表示部L1に表示される特別図柄を選択するために使用される。この特別図柄選択カウンタLC3の最大値は「39」、最小値は「0」であり、1割込毎(2ms毎)に「1」加算され「40」以上となった際に「0」へ戻る。従って、特別図柄選択カウンタLC3の値は「0」から「39」までのいずれかの値を取り、1周期は80msとなる。
特別図柄変動時間カウンタTC1は、特別図柄の変動時間(図柄の変動開始から停止までの時間)を計測するために使用されるタイマカウンタである。変動開始時に値が記憶され、カウンタ更新処理で1割込毎に「1」ずつ減算され、「0」となると変動時間が終了したと判断される。例えば、変動時間が20秒である場合には、「10000」がセットされる。
大入賞口開放時間カウンタTC2は、大入賞口16を開放している時間を計測するためのタイマカウンタであり、大入賞口閉鎖時間カウンタTC3は、大入賞口16を次に開放するまで、閉鎖している時間を計測するためのタイマカウンタである。大入賞口開放時間カウンタTC2は大入賞口16の開放時に値が記憶され、カウンタ更新処理で1割込毎に「1」ずつ減算され、「0」となると開放時間が終了したと判断される。大入賞口閉鎖時間カウンタTC3は大入賞口16が閉鎖された時に値が記憶され、カウンタ更新処理で1割込毎に「1」ずつ減算され、「0」となると閉鎖時間が終了し、開放するタイミングが到来したと判断される。
次に、図9を参照して、大当たり関係情報記憶エリア525について説明する。図9は、大当たり関係情報記憶エリア525の記憶エリアを示す概念図である。大当たり関係情報記憶エリア525には、カウンタ記憶エリア521の大当たり判定カウンタLC2及び特別図柄選択カウンタLC3の値を乱数として取得して記憶できる記憶エリア1乃至記憶エリア4の4つの記憶エリアと、大当たりの判定処理を行うために記憶エリア1に記憶された各乱数をシフトして記憶する判定エリアが1つ設けられており、併せて5つの記憶エリアが設けられている。判定エリア、記憶エリア1乃至4には夫々、大当たり乱数欄及び特別図柄乱数欄が設けられており、大当たり乱数欄には、大当たり判定カウンタLC2から取得した値がセットされ、特別図柄乱数欄には特別図柄選択カウンタLC3から取得した値がセットされる。
次に、本実施の形態のパチンコ機1において、主基板41のCPU51で実施されるメインルーチン処理動作の詳細について、図10乃至図12に示すフローチャートに従って説明する。図10は、メインルーチン処理を示すフローチャートである。図11は、特別図柄処理(S9)の詳細を示すフローチャートである。図12は、特別電動役物処理(S7)の詳細を示すフローチャートである。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。なお、この処理を行うプログラムは、図4に示すROM53の制御プログラム記憶エリア532に記憶されている。
まず、図10に示すフローチャートを参照して、メインルーチン処理について説明する。割込みによってメインルーチン処理の処理が開始されると、まず制御コマンドをサブ基板に出力するコマンド出力処理が行なわれる(S1)。このコマンド出力処理では、図柄表示装置8の表示の制御、スピーカ48からの効果音の発生の制御、その他各種ランプの点滅の制御等をサブ統合基板に行わせるためのコマンド、賞品球払出装置49の制御を指示するためのコマンド、中継基板を介して大入賞口16の開閉を制御するためのコマンド等の制御コマンドが、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47に出力される。具体的には、メインルーチン処理のS3以降の各処理にて、サブ統合基板58に対して出力させる制御コマンドに対応したフラグと、その制御コマンドの変数がRAM52のコマンド関係情報記憶エリア527に記憶される。すると、メインルーチン処理の次の巡目のコマンド出力処理にて、これらのフラグに対応した制御コマンドがROM53の制御コマンドテーブル記憶エリア533より選択され、その制御コマンドの変数とともにサブ統合基板58に出力される。
次に、各種入賞口への遊技球の入賞を検出するスイッチ読込処理が行われる(S3)。このスイッチ読込処理は、普通図柄始動ゲート12、特別図柄始動電動役物15、大入賞口16、普通入賞口17,18,19,20等への遊技球の入賞を検出するものである。具体的には、特別図柄始動電動役物15に設けられている始動口スイッチ72、普通図柄始動ゲート12に設けられている普通図柄作動スイッチ73、大入賞口16に設けられているカウントスイッチ75、普通入賞口17,18,19,20等の入賞口からの遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ76、等の遊技球検出手段が遊技球の入賞を検出した場合に、RAM52の入賞球フラグ記憶エリア522に各スイッチに対応したフラグが立てられる。なお、スイッチ読込処理はメインルーチン処理の割込み間隔、すなわち2ms毎に実行されることになるので、遊技球が各スイッチを通過する速度を考慮すると遊技球の入賞が検出された次のスイッチ読込処理の際にも入賞が検出されてしまう。このため、これらのフラグは、例えばスイッチ読込処理の連続した3回の実行において「非検出」・「検出」・「検出」の状態となった場合に初めて成立されるようになっている。また、スイッチ読込処理の開始時には、入賞球フラグ記憶エリア522の各フラグがリセットされる。
スイッチ読込処理が終了すると、次いで、カウンタ記憶エリア521に記憶されているカウンタ値を更新するカウンタ更新処理(S5)が行われる。このカウンタ更新処理では、RAM52のカウンタ記憶エリア521に各々記憶されている普通当たり判定カウンタLC1、大当たり判定カウンタLC2、特別図柄選択カウンタLC3(図8参照)の各値が上記の所定量だけ増加される。なお、普通当たり判定カウンタLC1、大当たり判定カウンタLC2、特別図柄選択カウンタLC3の更新されたカウンタ値が各ループカウンタに設定されている最大値(上限値)を越える場合には、各ループカウンタの値はされ「0」に戻るようにプログラムされている。また、特別図柄変動時間カウンタTC1、大入賞口開放時間カウンタTC2、大入賞口閉鎖時間カウンタTC3の値は上記の所定量だけ減算される。
カウンタ更新処理が終了すると、大当たり状態の制御を行う特別電動役物処理が行われる(S7)。この特別電動役物処理では、大当たりである場合の大入賞口16の開放や閉鎖の制御が行われる。本処理は、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞し、その遊技球に対する大当たり判定の結果が大当たりであった場合に、判定結果の報知が終了した後に、特別電動役物作動フラグが「ON」とされた場合に実施される。特別電動役物作動フラグが「OFF」である間は何も処理が行われない。この特別電動役物処理については、図12のフローチャートを参照して後述する。
特別電動役物処理が終了すると、大当たりの判定を行ってその結果を特別図柄表示部L1に表示する特別図柄処理が行われる(S9)。特別図柄処理では、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球がある場合に、カウンタ記憶エリア521に記憶されているカウンタ値を大当たり関係情報記憶エリア525に取り込み、取り込んだカウンタ値が大当たりかどうかを判定して、特別図柄表示部L1への表示態様を決定したり、特別図柄表示部L1の変動開始の指示や停止の指示をサブ統合基板58へ与えたりしている。この特別図柄処理については、図11のフローチャートを参照して後述する。
特別図柄処理が終了すると、普通当たりとなった場合に特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開く普通電動役物処理が行われる(S13)。この普通電動役物処理では、次のS15の普通図柄処理にて普通当たりとなると、その結果が普通図柄表示部24に表示された後に、遊技球が特別図柄始動電動役物15へ入賞しやすくなるように、特別図柄始動電動役物15に設けられた一対の開閉部材の開閉(普通当たり状態の動作)の制御が行われる。なお、後述するように時短処理中は、一対の開閉部材は長く開放(例えば、通常5秒開放のところを30秒開放)するように制御される。但し、メインルーチン処理の1巡目の処理では、まだ普通当たり判定が行われていないので、普通電動役物処理では何も行われない。
普通電動役物処理が終了すると、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過した場合に普通当たりを判定する普通図柄処理が行われる(S15)。普通図柄処理では、普通図柄始動ゲート12への遊技球の通過にともない、S3のスイッチ読込処理にて入賞球フラグ記憶エリア522の普通図柄作動スイッチ73に対応したフラグが立つと、普通当たり判定カウンタLC1の値が、普通図柄乱数としてRAM52の普通当たり関係情報記憶エリア523の記憶エリア1〜4に順次記憶される。そして、判定エリアにシフトされた普通図柄乱数に基づいて普通当たりであるか否かが判定され、普通図柄表示部24に表示する当たり図柄又ははずれ図柄が決定され、サブ統合基板58へ普通図柄表示部24の変動の開始や停止の指示が行われる。
RAM52の普通当たり関係情報記憶エリア523に記憶される普通図柄乱数は「0」から「255」までであるので、この普通図柄処理では、RAM52の普通当たり関係情報記憶エリア523に記憶された普通図柄乱数が「0」から「63」の場合ははずれとなり、普通図柄表示部24にはずれ図柄である「−」が停止表示される。また、RAM52の普通当たり関係情報記憶エリア523に記憶された普通図柄乱数が「64」から「255」の場合は当たりとなり、普通図柄表示部24に当たり図柄である「7」が停止表示されるようになっている。そして、普通当たりであると判定された場合、時短設定フラグに「1」が記憶されて「ON」となっていれば、普通図柄の時短変動コマンドがサブ統合基板58へ送信され、時短設定フラグに「0」が記憶されて「OFF」となっていれば、普通図柄の通常変動コマンドが送信される。
ここで、普通図柄の時短処理について説明する。後述するように、S7の特別電動役物処理(図12)において時短設定フラグに「ON」がセットされると、普通図柄表示部24の普通図柄の変動時間が短縮され、特別図柄始動電動役物15に設けられた一対の開閉部材の開放時間が長くなり、遊技球の特別図柄始動電動役物15へ入賞しやすくなる。また、普通図柄表示部24に表示される普通図柄の変動時間は、例えば通常30秒間であるのに対して、時短状態が設定された場合は5秒間に設定される。したがって、時短状態設定中は、通常状態に比べて短時間で普通図柄表示部24に当たり判定結果が表示され、単位時間当たりの変動表示回数が増える。そして、特別図柄始動電動役物15の開閉部材が開放される頻度が高くなり、特別図柄始動電動役物15への入賞が増えるので、玉持ちがよくなる。
なお、普通図柄の時短処理は、上記のように変動時間短縮を伴う態様に限定されず、例えば時短処理中は普通当たり確率が向上するようにしてもよい。具体的には、S7の特別電動役物処理(図12)において時短設定フラグに「ON」がセットされると、普通当たり確率が10/256から246/256に確率変動して、さらに上述のように特別図柄始動電動役物15に設けられた一対の開閉部材の開放時間が長くなるようにしてもよい。この場合、時短状態設定中は、通常状態に比べて普通当たりとなる確率が高くなるため、特別図柄始動電動役物15の開閉部材が開放される頻度が高くなり、特別図柄始動電動役物15への入賞が増えるので、玉持ちがよくなる。
このように、当たり図柄が普通図柄表示部24に表示されたときには、前述したように、普通電動役物処理(S13)において特別図柄始動電動役物15の開閉部材の開閉が行われる。なお、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過してからその遊技球にかかる特別図柄始動電動役物15の作動まで所定時間かかるが、その間に普通図柄始動ゲート12を他の遊技球が通過した場合でも、最大4つまで、普通図柄乱数が取得され、普通図柄の始動が保留される。但し、メインルーチン処理の1巡目の処理では、まだ普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球はないので、普通図柄処理では何も行われない。
なお、この普通図柄の時短処理は、S7の特別電動役物処理(図12)において時短処理実行回数記憶エリア530aに時短処理の残り実行回数がセットされると、そのセットされた回数分の時短処理が繰り返し実行される。また、時短処理実行回数記憶エリア530aにセットされた時短処理の残り実行回数が、1回の時短処理の実行ごとに「1」ずつ減算される。そして、時短処理の残り実行回数が「0」になると、時短設定フラグに「0」が記憶されて「OFF」となり、以降は通常の普通図柄変動が実行される。
図10に戻り、普通図柄処理が終了すると賞品球の払い出しを行う払出処理が行われ(S17)、次いでエラーチェックが行われる(S19)。パチンコ機1にエラーが発生している場合には、図柄表示装置8にエラー表示を行わせたり、電飾ランプ63にエラー時の点灯・点滅パターンを行わせたり、スピーカ48からエラー音を発音させたりするため、S1のコマンド出力処理にてサブ統合基板58にエラーコマンド出力させるためのフラグ(図示外)が立てられる。そして、情報出力処理が行われる(S21)。この情報出力処理では、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の大当たり情報、始動情報、確率変動情報、時間短縮情報等の各種の情報が出力ポート55を介して出力される。
情報出力処理が終わるとメインルーチン処理の処理は終了する。そして、割込信号発生回路57からの次の割込信号によって、また最初からメインルーチン処理の処理が開始される。
例えば、遊技者が、遊技盤2の下側に設けられた発射ハンドル7を操作して遊技球を遊技領域4に打ち込み、遊技球が特別図柄始動電動役物15に入賞すると、メインルーチン処理のスイッチ読込処理(S3)において、遊技球の特別図柄始動電動役物15への入賞が検出され、入賞球フラグ記憶エリア522の対応するフラグが「ON」となる。そして、特別図柄処理(S9)にて、大当たり関係情報記憶エリア525に普通当たり判定カウンタLC1、大当たり判定カウンタLC2、特別図柄選択カウンタLC3の値が取り込まれる。取り込まれた値に基づいて、特別図柄表示部L1の変動表示が開始される。そして、特別図柄表示部L1の変動が停止し、大当たり判定の結果が報知された次の廻りの特別電動役物処理(S7)では、特別電動役物作動フラグに「1」が記憶されていれば、大入賞口16の開放、閉鎖の動作が所定回数(例えば、15回や16回)開閉される大当たり状態が開始される。そして、この大当たり状態終了後には、特別電動役物処理において特別電動役物作動フラグに「0」が記憶され、以降は大当たり後遊技状態フラグにセットされた遊技状態が実行される。そして、後述するように、時短設定フラグ(及び時短処理の残り実行回数)や確率変動フラグ(及び確率変動の残り実行回数)などに基づいて遊技状態が制御される。
次に、図11のフローチャートを参照して、メインルーチン処理のS9で行われる特別図柄処理について説明する。特別図柄処理が開始されると、特別図柄始動電動役物へ遊技球が入賞しているか否かが判断される(S101)。メインルーチン処理のスイッチ読込処理(図10、S3)において、特別図柄始動電動役物15に設けられている始動口スイッチ72が遊技球の入賞を検出した場合に、RAM52の入賞球フラグ記憶エリア522の始動口スイッチ72に対応するフラグが「ON」となる。この始動口スイッチ72に対応するフラグが「ON」であるかどうかの判断が行われ、「OFF」の場合には(S101:NO)、S109の処理へ進む。入賞球フラグ記憶エリア522の始動口スイッチ72に対応するフラグが「ON」である場合、すなわち特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞した場合(S101:YES)、作動保留球数が「4」であるか否かの判断が行われる(S103)。前述したように、パチンコ機1では、特別図柄の作動保留球数は記憶エリア1〜4に対応する4個まで記憶され、それ以上の記憶は行われず破棄される仕様となっている。従って、特別図柄作動保留球数記憶エリア526の値が「4」である場合は(S103:YES)、これ以上遊技球を保留することができないので、何もせずにS109の処理へ進む。
作動保留球数が「4」でない場合、すなわち「0」〜「3」のいずれかである場合(S103:NO)、特別図柄作動保留球数記憶エリア526の値に「1」加算される(S105)。そして、大当たり関係情報記憶エリア525にカウンタ記憶エリア521のカウンタ値を取り込む乱数取得処理(S107)が行われる。具体的には、大当たり関係情報記憶エリア525(図9参照)の記憶エリア1〜4のうち、特別図柄作動保留球数記憶エリア526の値に対応する番号の記憶エリアに、カウンタ記憶エリア521に記憶されている大当たり判定カウンタLC2及び特別図柄選択カウンタLC3の各値が取り込まれて、それぞれ大当たり乱数及び特別図柄乱数として記憶される。
乱数取得処理が終了すると、特別電動役物処理が作動中か否かの判断が行われる(S109)。具体的には、RAM52の特別電動役物作動フラグに「1」が記憶されているか否かによって判断される。特別電動役物作動フラグが「ON」であれば(S109:YES)、大当たり状態中であるため、大当たり判定や特別図柄表示部L1への指示は行わないので、特別図柄処理を終了してメインルーチン処理に戻る。
特別電動役物作動フラグが「OFF」である場合(S109:NO)、特別図柄表示部L1が変動中か否かの判断が行われる(S111)。この判断は、特別図柄変動中フラグが「ON」であるか否かにより行われる。この特別図柄変動中フラグは、本特別図柄処理で、特別図柄開始コマンドがセットされた後に「1」がセットされて「ON」となり(S129)、特別図柄停止コマンドがセットされた後に「0」が記憶され「OFF」とされる(S135)。
特別図柄変動中フラグが「ON」でなく、特別図柄が変動中でない場合には(S111:NO)、大当たり判定が行われるため、まず、RAM52の大当たり関係情報記憶エリア525の記憶エリア1に記憶された各値が判定エリアへシフトされる(S113)。同様に、記憶エリア2〜4に記憶されている各値も一つずつ記憶エリアがシフトされる。すなわち、記憶エリア2の値が記憶エリア1へ、記憶エリア3の値が記憶エリア2へ、記憶エリア4の値が記憶エリア3へ移動され、記憶エリア4の各値がクリアされる。そして、特別図柄作動保留球数記憶エリア526の記憶数を「1」減算する保留球数減算処理が行われる(S115)。なお、S113で判定エリアへシフトすべき値がない場合(すなわち、S115で減算すべき保留球がない場合)は、特別図柄処理(図11)を終了するものとする。
そして、判定エリアの大当たり乱数欄に記憶されている値を用いて、大当たりか否かの判断が行われる(S117)。この大当たり判定処理では、判定エリアの大当たり乱数欄に記憶されている値が大当たりとして決められている特定の値であるか否かが判定される。ここで、確率変動フラグが「OFF」となっていれば通常状態であるから、大当たりとして決められている値は、11863通りの大当たり乱数のうちの特定の50個の値である。一方、確率変動フラグが「ON」となっている確率変動状態では、大当たりとして決められている値は、11863通りの大当たり乱数のうちの特定の51個の値である。すなわち、通常状態では4/949の大当たり確率で大当たり抽選が行われるのに対し、確率変動状態では3/698の大当たり確率で大当たり抽選が行われる。なお、後述するS7の特別電動役物処理(図12)において、確率変動フラグは「1」が記憶されて「ON」とされ、又は「0」が記憶されて「OFF」とされる。
その結果、大当たりと判定された場合には(S117:YES)、判定エリアの特別図柄乱数欄に記憶されている特別図柄乱数に基づいて、特別図柄パターン記憶エリア534に記憶されている40種類の大当たりの特別図柄から1つを選択する(S119)。一方、大当たりと判定されなかった場合には(S117:NO)、判定エリアの特別図柄乱数欄に記憶されている特別図柄乱数に基づいて、特別図柄パターン記憶エリア534に記憶されている40種類のはずれの特別図柄から1つを選択する(S121)。
そして、S119の後、遊技状態テーブル記憶エリア535に記憶された遊技状態テーブル100(図6)を参照して、大当たり状態判定時の遊技状態に基づいて大当たり後遊技状態記憶エリア529に新たな大当たり後遊技状態がセットされる(S123)。すなわち、S123では、フラグ情報記憶エリア528の確率変動フラグ及び時短設定フラグに基づいて、大当たり状態判定時(すなわち、現在)の遊技状態が「通常状態」,「確率変動状態」,「時短付確変状態」のいずれであるかが特定される。そして、大当たり関係情報記憶エリア525から特別図柄乱数が取得されると、この大当たり状態判定時の遊技状態と特別図柄乱数とに基づいて遊技状態テーブル100(図6参照)が参照される。そして、遊技状態テーブル100から次の大当たり後遊技状態が特定されて、大当たり後遊技状態フラグにセットされる。
例えば、フラグ情報記憶エリア528に確率変動フラグ「OFF」,時短設定フラグ「OFF」がセットされていれば、大当たり状態判定時の遊技状態は「通常状態」である。この場合、遊技状態テーブル100を参照して、いずれの特別図柄乱数が取得されても「状態A(MAX時短付確率変動状態)」が特定される。そして、大当たり後遊技状態記憶エリア529には、次の大当たり後遊技状態「状態A」を示すビットパターン「1」が、大当たり後遊技状態フラグにセットされる。
また、フラグ情報記憶エリア528に確率変動フラグ「ON」,時短設定フラグ「OFF」がセットされていれば、大当たり状態判定時の遊技状態は「確率変動状態」である。この場合、遊技状態テーブル100を参照して、例えば特別図柄乱数として「7」が取得されると「状態C(30回時短付確率変動状態)」が特定される。そして、大当たり後遊技状態記憶エリア529には、次の大当たり後遊技状態「状態C」を示すビットパターン「3」が、大当たり後遊技状態フラグにセットされる。
また、フラグ情報記憶エリア528に確率変動フラグ「ON」,時短設定フラグ「ON」がセットされていれば、大当たり状態判定時の遊技状態は「時短付確変状態」である。この場合、遊技状態テーブル100を参照して、例えば特別図柄乱数として「7」が取得されると「状態B(100回時短付確率変動状態)」が特定される。そして、大当たり後遊技状態記憶エリア529には、次の大当たり後遊技状態「状態B」を示すビットパターン「2」が、大当たり後遊技状態フラグにセットされる。
一方、S121の実行後、現在が確率変動中か否かが判定される(S125)。ここでは、確率変動フラグが「ON」となっていれば確率変動状態であるから(S125:YES)、確率変動実行回数記憶エリア530bにおいて残り確率変動回数がカウントされる(S127)。具体的には、S127では確率変動実行回数記憶エリア530bにセットされた確率変動の残り実行回数が「1」だけ減算される。ここで、確率変動実行回数記憶エリア530bにセットされた確率変動の残り実行回数が「0」となった場合は、確率変動フラグに「0」が記憶され「OFF」とされ、遊技状態が「通常状態」に移行する。なお、確率変動フラグが「OFF」となっていれば通常状態であるから(S125:NO)、確率変動実行回数記憶エリア530bには「0」がセットされているため、そのまま次のステップに進む。
図11に戻り、S123又はS127の後、特別図柄の報知の開始を指示する特別図柄開始コマンドが、S123又はS127で決定された特別図柄を示すコードと共に、RAM52のコマンド関係情報記憶エリア527に記憶される(S128)。そして、特別図柄変動中フラグに「1」が記憶され「ON」となり、特別図柄が変動中であることを示すようになる(S129)。
ところで、特別図柄が変動中の場合は(S111:YES)、既に入賞した遊技球についての大当たりの判定結果の変動中であり、これが終わるまでは次の入賞球についての処理は行わないので、変動を終了するか否かの判断が行われる(S131)。なお、この判断は、特別図柄変動時間カウンタTC1の値が「0」と成ったか否かにより行われる。まだ特別図柄が変動を継続する場合には(S131:NO)、特別図柄処理を終了してメインルーチン処理にリターンする。変動が終了するタイミングであれば(S131:YES)、特別図柄停止コマンドがRAM52のコマンド関係情報記憶エリア527に記憶される(S133)。なお、特別図柄停止コマンドは、次の廻りのメインルーチン処理のS3のコマンド出力処理(図10参照)でサブ統合基板58に出力される。そして、特別図柄変動中フラグに「0」が記憶され「OFF」とされる(S135)。そして、特別電動役物作動フラグに「1」が記憶され「ON」とされ(S137)、大当たり状態となり、1回目の大入賞口16の開放を行うために大入賞口開放処理が行われ(S139)、特別図柄処理を終了してメインルーチン処理にリターンする。この大入賞口開放処理では、大入賞口開放コマンドのセットが行われ、大入賞口開放フラグに「1」が記憶されて「ON」となる。そして、大入賞口16の開放時間を計測するために、大入賞口開放時間カウンタに開放時間が記憶される。そして、大入賞口16に入賞した遊技球の数を計数するための大入賞口入賞球カウンタに「0」が記憶されてクリアされる。そして、大入賞口16の開放回数をカウントするための大入賞口開放回数カウンタに「1」が記憶される。
以上のようにして、特別図柄表示部L1に表示する特別図柄を決定したり、変動の開始や終了の指示コマンドをサブ統合基板58へ送信したりすることができる。
次に、図12のフローチャートを参照して、メインルーチン処理のS7で行われる特別電動役物処理について説明する。ここでは、大当たり判定の結果が大当たりであった場合に行われる大当たり状態の制御が行われる。具体的には、特別図柄処理において、特別電動役物作動フラグが「ON」とされ、1回目の大入賞口16の開放が行われた場合(図11、S139参照)に大入賞口16の開閉の制御が行われる。大当たり状態では、開放された大入賞口16は、所定の開放時間(例えば30秒)の経過、又は、所定数(例えば10球)の遊技球の入賞を契機に閉鎖される。そして、大入賞口16の連続開放は、所定の規定回数(例えば15回)まで行われる。即ち、規定回数の大入賞口16の開放が行われた場合に、大当たり状態は終了する。なお、本実施の形態では、大当たり状態が終了すると、サブ統合基板58のCPU581へ大当たり状態終了コマンドを送信する。
特別電動役物処理が開始されると、まず特別電動役物作動フラグに「1」が記憶されて「ON」となっているか否かの判断が行われる(S151)。「ON」となっていない場合には(S151:NO)、処理を行う必要はないので特別電動役物処理を終了させて、メインルーチン処理へ戻る。特別電動役物作動フラグが「ON」となっている場合には(S151:YES)、大入賞口16が開放中であるか否かの判断が行われる(S153)。大入賞口16が開放中であれば(S153:YES)、カウントスイッチ75が大入賞口16への遊技球の入賞を検知したか否かが判断され(S155)、入賞を検知した場合には(S155:YES)、大入賞口入賞球数カウンタに「1」が加算される(S157)。入賞を検知していない場合には(S155:NO)、何も行われない。
そして、所定の開放時間が経過したか否かの判断が行われる(S163)。この判断は、大入賞口16が開放された時点でセットされている大入賞口開放時間カウンタTC2の値が0以下となったか否かにより行われる。大入賞口開放時間カウンタTC2の値が0以下でなく、まだ開放時間が経過していない場合には(S163:NO)、規定数の遊技球が入賞したか否かの判断が行われる(S165)。この判断は、大入賞口入賞球数カウンタの値が10球以上であるか否かにより行われ、10球以上でない場合には(S165:NO)、引き続き大入賞口16を開放させておくので、何もせずに本処理を終了し、メインルーチン処理へ戻る。開放時間が経過した場合(S163:YES)、又は、規定数の遊技球が入賞した場合には(S165:YES)、大入賞口16を閉鎖させるための処理を行う。つまり、中継基板47に大入賞口閉鎖コマンドが送信され(S167)、大入賞口開放フラグに「0」が記憶されて「OFF」となる(S169)。そして、大入賞口閉鎖時間カウンタTC3に大入賞口16を閉鎖している時間をセットし(S171)、本処理を終了し、メインルーチン処理へ戻る。
また、S153にて大入賞口16が開放中でない場合には(S153:NO)、所定の大入賞口16の閉鎖時間が経過したか否かの判断が行われる(S173)。この判断は、大入賞口16が閉鎖された時点でセットされた大入賞口閉鎖時間カウンタTC3の値が0以下となっているか否かにより行われる。大入賞口閉鎖時間カウンタTC3の値が0以下となっておらず、所定の閉鎖時間をまだ経過していない場合には(S173:NO)、まだ大入賞口16を閉鎖させておくので、何もせずに本処理を終了し、メインルーチン処理へ戻る。所定の閉鎖時間を経過した場合には(S173:YES)、大入賞口16を開放させる処理(S179〜S186)、または、大当たり状態を終了させる処理(S187〜S199)が行われる。
まず、連続作動フラグに「1」が記憶されて「ON」となっているか否かの判断が行われる(S175)。「ON」となっている場合には(S175:YES)、大入賞口16を規定回数開放したか否かの判断が行われる(S177)。大入賞口開放回数カウンタの値が15より少ない場合には、規定回数の開放が終了していないので(S177:NO)、大入賞口16を開放させる処理が行われる。まず、中継基板47へ大入賞口開放コマンドが送信され(S179)、大入賞口フラグに「1」が記憶されて「ON」となる(S181)。そして、大入賞口開放時間カウンタTC2に大入賞口16を開放している時間をセットし(S183)、大入賞口入賞球カウンタに「0」が記憶されて入賞球数がクリアされる(S185)。そして、大入賞口開放回数カウンタに「1」が加算されて(S186)、本処理を終了し、メインルーチン処理へ戻る。
また、連続作動フラグが「ON」となっていない場合(S175:NO)、又は、規定回数の大入賞口16の開放が終了した場合(S177:YES)には、大当たり状態は終了する。まず、大当たり状態終了コマンドがサブ統合基板58へ送信され(S187)、特別電動役物作動フラグに「0」が記憶されて「OFF」となる(S189)。そして、大当たり後遊技状態記憶エリア529にセットされている大当たり後遊技状態フラグが読み出される(S191)。この大当たり後遊技状態フラグは、先述の特別図柄処理(図11)のS123で、大当たり後遊技状態記憶エリア529にセットされたものである。
次いで、S191で読み出された大当たり後遊技状態に基づいて、フラグ情報記憶エリア528の確率変動フラグがセットされ(S193)、さらに確率変動実行回数記憶エリア530bに確率変動の残り実行回数がセットされる(S195)。先述のように、本実施形態では、大当たり状態終了後に移行する遊技状態において、必ず300回の特別図柄変動が実行されるまで確率変動が行われる。そのため、S193では確率変動フラグに「1」がセットされて「ON」となり、S195では確率変動の残り実行回数として「300」がセットされる。
次いで、S191で読み出された大当たり後遊技状態に基づいて、フラグ情報記憶エリア528の時短設定フラグがセットされ(S197)、さらに、S191で読み出された大当たり後遊技状態に基づいて、時短処理実行回数記憶エリア530aに時短処理の残り実行回数がセットされる(S199)。先述のように、本実施形態では、大当たり状態終了後に移行する遊技状態において必ず時短処理が実行されるため、S197では時短設定フラグに「1」がセットされて「ON」となる。一方、S199でセットされる時短処理の実行回数は、S191で読み出された大当たり後遊技状態によって異なる。
例えば、大当たり後遊技状態フラグに「状態A」がセットされている場合には、確率変動フラグに「1」が記憶されて「ON」となり、時短設定フラグに「1」が記憶されて「ON」となり、時短処理実行回数記憶エリア530aに時短処理の残り実行回数として「MAX(300)」がセットされる。同様に、大当たり後遊技状態フラグに「状態B」又は「状態C」がセットされている場合も、確率変動フラグ及び時短設定フラグがそれぞれ「ON」となるが、時短処理実行回数記憶エリア530aには「100」又は「30」が各々セットされる。
そして、本処理を終了し、メインルーチン処理へ戻る。以降の処理では、確率変動フラグ(及び確率変動の残り実行回数)や時短設定フラグ(及び時短処理の残り実行回数)の設定内容に応じて、大当たり後遊技状態として「状態A」,「状態B」,「状態C」のいずれかが実行されることになる。
例えば、大当たり後遊技状態として「状態A」が選択されていた場合、大当たり状態終了後は確率変動状態(大当たり確率:4/949)で大当たり判定が行われ、また大当たりに当選した場合を除き、確率変動中は継続的に時短処理が実行される。そして、時短処理が300回実行されて時短処理実行回数記憶エリア530aが「0」になった場合は、確率変動フラグ及び時短設定フラグに「0」が記憶されて「OFF」となり、以降は通常状態(大当たり確率:3/698)で大当たり判定が行われる。
また、大当たり後遊技状態として「状態B」が選択されていた場合、大当たり状態終了後は確率変動状態で大当たり判定が行われ、また大当たりに当選した場合を除き、100回の時短処理が実行される。そして、時短処理が100回実行されて時短処理実行回数記憶エリア530aが「0」になった場合は、時短設定フラグに「0」が記憶されて「OFF」となり、以降は通常の普通図柄変動が実行される。さらに、大当たり状態終了後からの回転数(すなわち、特別図柄の変動回数)が300回となった場合は、確率変動フラグに「0」が記憶されて「OFF」となり、以降は通常状態で大当たり判定が行われる。
また、大当たり後遊技状態として「状態C」が選択されていた場合、大当たり状態終了後は確率変動状態で大当たり判定が行われ、また大当たりに当選した場合を除き、30回の時短処理が実行される。そして、時短処理が30回実行されて時短処理実行回数記憶エリア530aが「0」になった場合は、時短設定フラグに「0」が記憶されて「OFF」となり、以降は通常の普通図柄変動が実行される。さらに、大当たり状態終了後からの回転数(すなわち、特別図柄の変動回数)が300回となった場合は、確率変動フラグに「0」が記憶されて「OFF」となり、以降は通常状態で大当たり判定が行われる。
以上のようにして、大当たり状態での大入賞口16の開放及び閉鎖が行われ、大当たり状態が終了した際には、サブ統合基板58のCPU581へ大当たり状態終了コマンドが送信されるとともに、フラグ情報記憶エリア528に動的にセットされた大当たり後遊技状態が実行される。
次に、図13及び図14を参照して、上記のような構成及び処理がなされるパチンコ機1における、遊技状態の制御について説明する。図13は、第1の実施の形態における、遊技状態の変化を説明するための状態対応表である。図14は、第1の実施の形態における、遊技状態の変化を説明するための状態遷移図である。
先述のように、本実施の形態のパチンコ機1では、遊技状態テーブル100(図6参照)に基づいて大当たり後遊技状態が決定されるようになっている。そして、図13に示すように、遊技状態テーブル100では、大当たり状態判定時の遊技状態が「通常状態」,「確率変動状態」,「時短付確変状態」のいずれであっても、その判定結果が大当たりであれば特別図柄乱数を問わずに、大当たり状態終了後に確率変動が行われて高確率状態に移行するように設定されている。
さらに、大当たり状態判定時の遊技状態が「通常状態」の場合、大当たりに対応する特別図柄乱数の全てが最大実行回数(300回)の時短処理を伴うように設定されている。そのため、「通常状態」のときに大当たりとなった場合、その大当たり後遊技状態が「状態A」となる確率は100%である。
また、大当たり状態判定時の遊技状態が「確率変動状態」の場合、大当たりに対応する特別図柄乱数のうちの2%が最大実行回数(300回)の時短処理を伴い、その他の49%が100回の時短処理を伴い、残りの49%が30回の時短処理を伴うように設定されている。そのため、「確率変動状態」のときに大当たりとなった場合、その大当たり後遊技状態が「状態A」となる確率は2%であり、「状態B」となる確率は49%であり、「状態C」となる確率は49%である。
また、大当たり状態判定時の遊技状態が「時短付確変状態」の場合、大当たりに対応する特別図柄乱数のうちの50%が最大実行回数(300回)の時短処理を伴い、残りの50%が100回の時短処理を伴うように設定されている。そのため、「時短付確変状態」のときに大当たりとなった場合、その大当たり後遊技状態が「状態A」となる確率は50%であり、「状態B」となる確率は50%である。
このように、パチンコ機1では、それぞれ固有の遊技価値を有する複数の遊技状態が、大当たりを契機として様々に移行制御される。ところで、本実施の形態では、低確率状態(大当たり確率:4/949)と高確率状態(大当たり確率:3/698)とは、実質的にはその大当たり確率に差がない。そのため、大当たり状態後に付与される時短処理の特典が有利なものほど、遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
つまり、先述の「通常状態」は、その状態で大当たりになると時短処理の特典が最も多いMAX時短付遊技状態(状態A)に必ず移行するため、遊技者にとって最も有利な遊技状態である。また、「確率変動状態」は、その状態で大当たりになると時短処理の特典が最も多いMAX時短付遊技状態(状態A)に移行する確率が極めて低く、逆に時短処理の特典が最も少ない30回時短付遊技状態(状態C)に移行する確率が高いため、遊技者にとって最も不利な遊技状態である。また、「時短付確変状態」は、その状態で大当たりになると時短処理の特典が多いMAX時短付遊技状態(状態A)又は100回時短付遊技状態(状態B)に移行するため、遊技者にとって比較的有利な遊技状態である。
このように遊技状態テーブル100を定義した結果、パチンコ機1で制御される遊技状態は、以下のように変遷することになる。図14に示すように、パチンコ機1に電源が投入され、又はリセットによって初期化されると、パチンコ機1では遊技状態として、時短処理を伴わない低確率状態(すなわち、通常状態)が実行される。この「通常状態」は大当たりとなるまで継続され、大当たりとなると「状態A」に移行する確率は100%である。
「状態A」に移行すると、高確率状態に確率変動するとともに継続的に時短処理が実行される。そして、この「状態A」で時短処理中(すなわち、時短付確変動状態)に大当たりになると、「状態A」が継続する確率は50%であり、「状態B」に移行する確率は50%である。一方、「状態A」では特別図柄変動(言い換えれば、時短処理)が300回実行されると、「通常状態」に移行する。
「状態B」に移行すると、高確率状態に確率変動するとともに100回の時短処理が実行される。この「状態B」で時短処理中(すなわち、時短付確変状態)に大当たりになると、「状態A」に移行する確率は50%であり、「状態B」が継続する確率は50%である。一方、「状態B」では時短処理が100回実行されると、時短処理を伴わない高確率状態(すなわち、確率変動状態)に移行する。
「確率変動状態」に移行すると、時短処理を伴わない高確率状態が実行される。そして、この「確率変動状態」で大当たりになると、「状態A」に移行する確率は2%であり、「状態B」に移行する確率は49%であり、「状態C」に移行する確率は49%である。一方、「確率変動状態」では、前回の大当たり終了後からカウントされる回転数(特別図柄の変動回数)が300回となると、「通常状態」に移行する。
「状態C」に移行すると、高確率状態に確率変動するとともに30回の時短処理が実行される。この「状態C」で時短処理中(すなわち、時短付確変動状態)に大当たりになると、「状態A」に移行する確率は50%であり、「状態B」に移行する確率は50%である。一方、「状態C」では時短処理が30回実行されると、「確率変動状態」に移行する。
すなわち、本実施の形態に係るパチンコ機1では、上記のように遊技状態が制御される結果、時短処理が300回実行され、又は特別図柄変動が300回実行された後は、高確率状態への確率変動が終了して「通常状態」に移行する。そのため、このパチンコ機1では、時短処理又は特別図柄変動の実行回数が多い状態(いわゆる、ハマリ状態)になると、大当たり後の時短処理の特典が最も多く、遊技者にとって最も有利な「通常状態」に移行制御される。よって、遊技者がハマリ状態となったときの救済を行えるとともに、遊技者に対してハマリ台に期待感を持たせることができる。
また、パチンコ機1では電源ON又はリセットによって初期化されると、デフォルトの遊技状態として、大当たり後の時短処理の特典が最も多く、遊技者にとって最も有利な「通常状態」から開始される。そのため、パチンコ機1が電源ON(リセット)された直後であれば、遊技者は最も有利な遊技状態である「通常状態」から遊技を楽しむことができるなど、さまざまに興趣を向上させることができる。
さらに、パチンコ機1では「通常状態」から大当たり状態終了後に「状態A」に移行するところ、この「状態A」で大当たりになるとその大当たり状態終了後に「状態A」又は「状態B」に移行する。そして、「状態A」及び「状態B」はともに時短処理の特典が有利であり、また大当たり状態終了後に再び「状態A」又は「状態B」に移行する可能性が高い。つまり、パチンコ機1がハマリ状態となったときに大当たりに当選すると、遊技者にとって有利な遊技状態が連続発生しやすいため、パチンコ機1の期待感と遊技性をより向上させることができる。
このように、本実施形態のパチンコ機1では、遊技状態テーブル100を用いた遊技状態毎の時短条件の設定と、確率変動実行回数記憶エリア530b(確率変動の残り実行回数)を用いた回数切り確率変動の制御とによって、ハマリ状態の救済(ハマリ台の優遇措置)と初期状態時の優遇(リセット時の特典付与)を行っている。より詳細には、回数切り確変確率変動によって遊技状態の移行にある程度の規則性を持たせて、さらに大当たり状態判定時の遊技状態に応じて選択される時短条件に格差を設ける。そして、ある程度の規則性をもって変化する遊技状態のうちの一つ(ここでは、「通常状態」)について、その大当たり後遊技状態に付与される時短処理の特典を優遇することで、ハマリ状態時と初期状態時の両方に最も高い遊技価値を持たせている。つまり、ハマリ状態や初期状態(すなわち、「通常状態」)で大当たりになると、遊技者にとって最も有利な時短付確変状態「状態A」が実行される。そのため、本発明に係るパチンコ機1では、従来のようにハマリ状態を救済するためのカウンタを別途設ける必要が無く、上記のような遊技状態の制御のみでいわゆるハマリ台の遊技者に有利な特典を付与することができる。さらに、ハマリ台への特典付与のみならず、いわゆるリセット台の遊技者に有利な特典を付与することも同時に実現することが可能である。
以上、第1の実施の形態に係るパチンコ機1によれば、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞を契機に取得した大当たり乱数に基づいて大当たり制御をする一方、遊技球の普通図柄始動ゲート12の通過検知を契機に取得した普通当たり乱数に基づいて普通当たり制御をし、複数の遊技状態のうちの一を選択して大当たり状態終了後に実行するものであって、複数の遊技状態のうちで時短処理を実行する遊技状態「状態A」〜「状態C」を選択する確率が遊技状態テーブル100に基づいて異なる。
そして、大当たり状態判定時の遊技状態を問わずに、大当たり状態の実行後は必ず確率変動を伴う遊技状態(すなわち、「状態A」,「状態B」,「状態C」のいずれか)に移行する。さらに、「確率変動状態」の実行中に特別図柄の変動回数が300回以上となると「通常状態」に移行する一方、大当たり状態判定時の遊技状態が「通常状態」である場合には、大当たり状態の終了後に最も時短処理の実行回数が多い遊技状態「状態A」に移行する。
よって、遊技状態テーブル100と回数切り確率変動とを組み合わせて大当たり状態終了後に時短処理を実行する確率を変化させることで、複数の遊技状態の遊技価値に差異を設けて遊技性を向上させることができる。さらに、遊技状態の制御のみでハマリ状態となっているパチンコ機1に対する時短処理の特典が優遇されるため、いわゆるハマリ台の遊技者に時短処理の特典を簡易な構成で付与して、遊技者に対してハマリ台に期待感を持たせることができる。さらに、パチンコ機1がリセットによって初期状態になると「通常状態」に移行するので、遊技者は時短付与の特典が優遇される「通常状態」から遊技を楽しむことができるなど、遊技状態の制御のみでさまざまに興趣を向上させることができる。
次に、本発明に係る遊技機を具体化したパチンコ機1の第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。第2の実施の形態は、基本的に第1の実施の形態と同様であるが、大当たり後遊技状態の移行制御が異なる。以下、第1の実施の形態と異なる点のみを説明する。
第1の実施の形態に係るパチンコ機1では、「通常状態」,「確率変動状態」,「時短付確変状態」とからなる3パターンの遊技状態が移行制御されるのに対し、本実施の形態に係るパチンコ機1では、さらに時短処理が実行される通常状態(以下、時短付通常状態という。)を含む4パターンの遊技状態が移行制御される。なお、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、通常状態中の大当たり確率は低確率(4/949)であり、確変状態中の大当たり確率は高確率(3/698)であり、また確変状態中は特別図柄の変動回数が300回になるまで確率変動が実行される「回数切り確率変動」が実行されるものとする。
そのため、図示しないが、本実施形態に係る遊技状態テーブル100には、大当たり状態判定時の遊技状態として、上述の「通常状態」,「時短付通常状態」,「確率変動状態」,「時短付確変状態」が設定されている。また、大当たり後遊技状態として、時短処理が行われない通常状態(以下、「状態A」という。)と、100回の時短処理が実行される通常状態(以下、「状態B」という。)と、時短処理が行われない確率変動状態(以下、「状態C」という。)と、100回の時短処理が実行される確率変動状態(以下、「状態D」という。)と、確率変動中は継続して時短処理が実行される確率変動状態(以下、「状態E」という。)とが定義されている。
なお、本実施の形態では、「状態A」が時短処理を伴わない「通常状態」に相当し、「状態C」が時短処理を伴わない「確率変動状態」に相当する。そして、「状態B」において、大当たり状態判定時に時短処理を実行中であれば「時短付通常状態」に該当し、100回の時短処理の実行後は「通常状態」に移行される。また、「状態D」において、大当たり状態判定時に時短処理を実行中であれば「時短付確変状態」に該当し、100回の時短処理の実行後は「確率変動状態」に移行され、さらに特別図柄の変動回数が300回となると「通常状態」に移行される。なお、「状態E」では、継続して時短処理が実行されるため「時短付確変状態」に該当するが、特別図柄の変動回数(すなわち、時短処理の実行回数)が300回となると「通常状態」に移行される。
ところで、第1の実施の形態では、特別図柄処理(図11参照)で大当たりと判定された場合、その大当たりは全て確率変動を伴う「確率変動大当たり」であった。一方、本実施の形態では、上記の「確率変動大当たり」と、大当たり状態の終了後に確率変動を伴わない「通常大当たり」とが存在する。そのため、以下では、「通常大当たり」と判定された場合に、その大当たり状態の終了後に確率変動を伴わない遊技状態「状態A」,「状態B」のいずれかに移行する一方、「確率変動大当たり」と判定された場合に、その大当たり状態の終了後に確率変動を伴う遊技状態「状態C」,「状態D」,「状態E」のいずれかに移行する。
ここで、図15及び図16を参照して、本実施形態のパチンコ機1における、遊技状態の制御について説明する。図15は、第2の実施の形態における、遊技状態の変化を説明するための状態対応表である。図16は、第2の実施の形態における、遊技状態の変化を説明するための状態遷移図である。
本実施の形態のパチンコ機1では、第1の実施の形態と同様にして、大当たり判定結果が大当たりであれば、遊技状態テーブル100に基づいて大当たり後遊技状態が決定されるようになっている。そして、図15に示すように、遊技状態テーブル100では、特別図柄乱数と大当たり時遊技状態とに対応して、その大当たり状態終了後に「状態A」〜「状態E」のいずれかに移行するように設定されている。
詳細には、大当たり状態判定時の遊技状態が「通常状態」,「時短付通常状態」,「確率変動状態」,「時短付確変状態」のいずれであっても、その大当たり後遊技状態が「状態A」となる確率は5%であり、「状態B」となる確率は5%である。つまり、本実施の形態では、大当たり状態判定時の遊技状態を問わずに、大当たりのうちで「通常大当たり」となる確率は10%であり、逆に言えば、大当たりのうちで「確率変動大当たり」となる確率は90%である。
具体的には、大当たり状態判定時の遊技状態が「通常状態」の場合、その大当たり後遊技状態が「状態E」となる確率は90%である。また、大当たり状態判定時の遊技状態が「時短付通常状態」の場合、その大当たり後遊技状態が「状態D」となる確率は80%であり、「状態E」となる確率は10%である。また、大当たり状態判定時の遊技状態が「確率変動状態」の場合、その大当たり後遊技状態が「状態C」となる確率は44%であり、「状態D」となる確率は44%であり、「状態E」となる確率は2%である。また、大当たり状態判定時の遊技状態が「時短付確変状態」の場合、「状態D」となる確率は45%であり、「状態E」となる確率は45%である。
このように、パチンコ機1では、それぞれ固有の遊技価値を有する複数の遊技状態が、大当たりを契機として様々に移行制御される。ところで、本実施の形態では、低確率状態(大当たり確率:4/949)と高確率状態(大当たり確率:3/698)とは、実質的にはその大当たり確率に差がない。そのため、大当たり状態後に付与される時短処理の特典が有利なものほど、遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
つまり、先述の「通常状態」は、その状態で大当たりになると時短処理の特典が最も多い「状態E」に移行する確率が極めて高いため、遊技者にとって最も有利な遊技状態である。また、「時短付通常状態」は、その状態で大当たりになると時短処理の特典が最も多い「状態E」に移行する確率が高いため、遊技者にとって有利な遊技状態である。また、「確率変動状態」は、その状態で大当たりになると時短処理の特典が最も多い「状態E」に移行する確率が極めて低く、逆に時短処理の特典に対する期待度が最も低い「状態C」に移行する確率が高いため、遊技者にとって最も不利な遊技状態である。また、「時短付確変状態」は、その状態で大当たりになると時短処理の特典が多い「状態D」又は「状態E」に移行する確率が高いため、遊技者にとって比較的有利な遊技状態である。
このように遊技状態テーブル100を定義した結果、パチンコ機1で制御される遊技状態は、以下のように変遷することになる。図16に示すように、パチンコ機1に電源が投入され、又はリセットによって初期化されると、パチンコ機1では遊技状態として、時短処理を伴わない低確率状態(すなわち、通常状態である「状態A」)が実行される。この「状態A」は大当たりとなるまで継続され、大当たりとなると「状態A」が継続する確率は5%であり、「状態B」に移行する確率は5%であり、「状態E」に移行する確率は90%である。
「状態B」に移行すると、低確率状態に移行するとともに100回の時短処理が実行される。そして、この「状態B」で時短処理中(すなわち、時短付通常状態)に大当たりになると、「状態A」に移行する確率は5%であり、「状態B」が継続する確率は5%であり、「状態D」に移行する確率は10%であり、「状態E」に移行する確率は80%である。一方、「状態B」では時短処理が100回実行されると、「状態A」に移行する。
「状態E」に移行すると、高確率状態に確率変動するとともに継続的に時短処理が実行される。そして、この「状態E」で時短処理中(すなわち、時短付確変状態)に大当たりになると、「状態A」に移行する確率は5%であり、「状態B」に移行する確率は5%であり、「状態D」に移行する確率は45%であり、「状態E」が継続する確率は45%である。一方、「状態E」では特別図柄変動(言い換えれば、時短処理)が300回実行されると、「状態A」に移行する。
「状態D」に移行すると、高確率状態に確率変動するとともに100回の時短処理が実行される。そして、この「状態D」で時短処理中(すなわち、時短付確変状態)に大当たりになると、「状態A」に移行する確率は5%であり、「状態B」に移行する確率は5%であり、「状態D」が継続する確率は45%であり、「状態E」に移行する確率は45%である。一方、「状態D」では時短処理が100回実行されると、「状態C」に移行する。
「状態C」に移行すると、時短処理を伴わない高確率状態(すなわち、確率変動状態)が実行される。そして、この「状態C」で大当たりになると、「状態A」に移行する確率は5%であり、「状態B」に移行する確率は5%であり、「状態C」が継続する確率は444%であり、「状態D」に移行する確率は44%であり、「状態E」に移行する確率は2%である。一方、「状態C」では、前回の大当たり終了後からカウントされる回転数(特別図柄の変動回数)が300回となると、「状態A」に移行する。
すなわち、本実施の形態に係るパチンコ機1では、上記のように遊技状態が制御される結果、時短処理が300回実行され、又は特別図柄変動が300回実行された後は、高確率状態への確率変動が終了して「通常状態(状態A)」に移行する。そのため、このパチンコ機1では、時短処理又は特別図柄変動の実行回数が多い状態(いわゆる、ハマリ状態)になると、大当たり後の時短処理の特典が最も多い「状態E」に移行制御される確率が極めて高い。よって、遊技者がハマリ状態となったときの救済を行えるとともに、遊技者に対してハマリ台に期待感を持たせることができる。
また、パチンコ機1では電源ON又はリセットによって初期化されると、デフォルトの遊技状態として、大当たり後の時短処理の特典が最も多く、遊技者にとって最も有利な「通常状態(状態A)」から開始される。そのため、パチンコ機1が電源ON(リセット)された直後であれば、遊技者は最も有利な遊技状態である「状態A」から遊技を楽しむことができるなど、さまざまに興趣を向上させることができる。
さらに、パチンコ機1では「状態A」から大当たり状態終了後に「状態A」,「状態B」,「状態E」のいずれかに移行する。そして、この「状態A」又は「状態B」で大当たりになると、その大当たり状態終了後に時短処理の特典が最も多い「状態E」に移行する確率が高い。また、「状態E」で大当たりになると、その大当たり状態終了後に時短処理の特典が多い「状態D」又は「状態E」に移行する確率が高い。つまり、パチンコ機1がハマリ状態となったときに大当たりに当選すると、遊技者にとって有利な遊技状態が連続発生しやすいため、パチンコ機1の期待感と遊技性をより向上させることができる。
このように、本実施形態のパチンコ機1では、第1の実施の形態と同様にして、遊技状態テーブル100を用いた遊技状態毎の時短条件の設定と、確率変動実行回数記憶エリア530b(確率変動の残り実行回数)を用いた回数切り確率変動の制御とによって、ハマリ状態の救済(ハマリ台の優遇措置)と初期状態時の優遇(リセット時の特典付与)を行っている。より詳細には、回数切り確率変動によって遊技状態の移行にある程度の規則性を持たせて、さらに大当たり状態判定時の遊技状態に応じて選択される時短条件に格差を設ける。そして、ある程度の規則性をもって変化する遊技状態のうちの一つ(ここでは、「通常状態(状態A)」)について、その大当たり後遊技状態に付与される時短処理の特典を優遇することで、ハマリ状態時と初期状態時の両方に最も高い遊技価値を持たせている。つまり、ハマリ状態や初期状態(すなわち、「状態A」)で大当たりになると、遊技者にとって最も有利な時短付確変状態「状態E」が実行される。そのため、本発明に係るパチンコ機1では、従来のようにハマリ状態を救済するためのカウンタを別途設ける必要が無く、上記のような遊技状態の制御のみでいわゆるハマリ台の遊技者に有利な特典を付与することができる。さらに、ハマリ台への特典付与のみならず、いわゆるリセット台の遊技者に有利な特典を付与することも同時に実現することが可能である。
以上、第2の実施の形態に係るパチンコ機1によれば、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞を契機に取得した大当たり乱数に基づいて大当たり制御をする一方、遊技球の普通図柄始動ゲート12の通過検知を契機に取得した普通当たり乱数に基づいて普通当たり制御をし、複数の遊技状態「状態A」〜「状態E」のうちの一を選択して大当たり状態終了後に実行するものであって、これらの遊技状態のうちで時短処理を実行する遊技状態「状態B」,「状態D」,「状態E」を選択する確率が遊技状態テーブル100に基づいて異なる。
そして、確率変動大当たりに基づく大当たり状態の実行後は、必ず確率変動を伴う遊技状態(すなわち、「状態C」,「状態D」,「状態E」のいずれか)に移行する。さらに、「状態C」又は「状態E」の実行中に特別図柄の変動回数が300回以上となると「状態A」に移行する一方、大当たり状態判定時の遊技状態が「状態A」である場合には、大当たり状態の終了後に最も時短処理の実行回数が多い遊技状態「状態E」に移行する確率が高い。
よって、遊技状態テーブル100と回数切り確率変動とを組み合わせて大当たり状態終了後に時短処理を実行する確率を変化させることで、複数の遊技状態の遊技価値に差異を設けて遊技性を向上させることができる。さらに、遊技状態の制御のみでハマリ状態となっているパチンコ機1に対する時短処理の特典が優遇されるため、いわゆるハマリ台の遊技者に時短処理の特典を簡易な構成で付与して、遊技者に対してハマリ台に期待感を持たせることができる。さらに、パチンコ機1がリセットによって初期状態になると「通常状態」に移行するので、遊技者は時短付与の特典が優遇される「通常状態」から遊技を楽しむことができるなど、遊技状態の制御のみでさまざまに興趣を向上させることができる。
ところで、上記第1乃至2の実施の形態において、特別図柄始動電動役物15が本発明の「始動口」に相当し、普通図柄作動スイッチ73が本発明の「検知手段」に相当し、普通図柄表示部24が本発明の「普通図柄表示手段」に相当し、ROM53の遊技状態テーブル記憶エリア535が本発明の「遊技状態記憶手段」に相当する。
また、パチンコ機1のメイン処理(図10参照)において、図11に示す特別図柄処理(S9)を行うCPU51が、本発明における「大当たり乱数取得手段」,「大当たり判定手段」,「遊技状態選択手段」として機能する。図12に示す特別電動役物処理(S7)を行うCPUが、本発明の「大当たり状態実行手段」として機能する。また、普通図柄処理(S15)を行うCPU51が本発明における「普通当たり乱数取得手段」及び「普通当たり判定手段」として機能する。普通電動役物処理(S13)を行うCPU51が本発明における「普通当たり状態実行手段」に相当する。なお、図10に示すメイン処理を行うCPU51が本発明における「遊技状態制御手段」として機能する。
なお、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では遊技機として、遊技機の一種であるパチンコ機を例に挙げているが、遊技機はパチンコ機に限られず、パチコン機、パチスロ台等の各種の遊技機に適用可能である。
また、第1の実施の形態では、大当たり後遊技状態として「状態A」〜「状態C」の3パターンの移行先制御を行い、「通常状態」,「確率変動状態」,「時短付確変状態」の3パターンの遊技状態を制御している。また、第2の実施の形態では、大当たり後遊技状態として「状態A」〜「状態E」の5パターンの移行先制御を行い、「通常状態」,「時短付通常状態」,「確率変動状態」,「時短付確変状態」の4パターンの遊技状態を制御している。しかし、パチンコ機1では、6パターン以上の移行先制御を行ったり、5パターン以上の遊技状態を制御したりしてもよい。すなわち、パチンコ機1で制御される遊技状態の内容や数量は任意に適用することができる。そして、遊技状態テーブル100の定義内容を変更することで、パチンコ機1の仕様を容易に変更することが可能である。
また、パチンコ機1の仕様に応じて、各遊技状態での大当たり確率や、時短付き遊技状態での時短処理の実行回数や、回数切り確率変動を行うための確率変動の実行回数などは、任意に変更できることはいうまでもない。例えば、通常状態(大当たり確率:1/300)と確率変動状態(大当たり確率:3/300)として、通常状態と確率変動状態との大当たり確率に大きな格差を設けるようにしてもよい。