以下、本発明に係る遊技機の一実施の形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1は、パチンコ機1の正面図であり、図2は、遊技盤2の正面図である。
図1に示すように、パチンコ機1の正面の上半分の部分には、発射ハンドル7の操作により図示外の発射機から発射された遊技媒体としての遊技球が流下する遊技盤2が設けられている。この遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13で保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられている。そして、上皿5の直下には賞品球を受ける下皿6が設けられ、下皿6の右横には遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。さらに、ガラス枠13の上方には正面視三日月形の照明装置35が配設されており、ガラス枠13の上方の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられている。また、ガラス枠13の前面には演出用の電飾ランプが多数設けられている。
また、図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。この遊技領域4の略中央には、LCDから構成された表示画面28やLED等を備えた図柄表示装置8が設けられている。この図柄表示装置8の左側には普通図柄始動ゲート12が設けられている。また、図柄表示装置8の下側には特別図柄始動電動役物15が配設されており、特別図柄始動電動役物15の下方に大入賞口16が設けられている。そして、大入賞口16の左側に普通入賞口17,19が、右側に普通入賞口18,20が設けられている。尚、遊技盤2には、上記以外に種々の電飾ランプやその他の電飾用LED、風車及び多数の障害釘等が設けられている。
次に、図柄表示装置8について説明する。図2に示すように、図柄表示装置8は、中央にLCDからなる表示画面28を備えている。この表示画面28には動画やメッセージ等様々な映像が表示されるが、特に大当たり判定の結果を遊技者に報知するために、表示画面28に横並びに3つのデモ図柄表示部が設けられている。そして、3つのデモ図柄表示部に同一のデモ図柄を表示させることで、大当たり判定の結果が当たりであることを遊技者に報知する。尚、判定結果を遊技者に報知する報知演出が開始されると、デモ図柄の動作は高速変動を経て低速変動となり、左、右の順で停止する。そして、左右のデモ図柄が同一の図柄となれば、判定結果が大当たりの可能性があることを示す様々なリーチ演出が行われて、全てのデモ図柄が同一となれば、大当たり遊技が開始されることとなる。一方で、低速変動後に停止した左右のデモ図柄が異なる図柄であれば、リーチ演出が行われることなくそのまま中央のデモ図柄も停止し、判定結果がはずれであることが示される。
また、表示画面28の右下には、2つの7セグメントLEDによって構成される特別図柄表示部25、及び1つのLEDによって構成される普通図柄表示部24が設けられている。そして、特別図柄表示部25には、大当たり判定の結果を遊技者に報知するために、アルファベットや数字、又はこれらの組み合わせからなる特別図柄が表示される。先述したデモ図柄の変動開始及び確定表示のタイミングは、特別図柄の変動開始及び停止のタイミングと一致する。また、普通図柄表示部24では、点灯状態が普通当たりの当選を示し、消灯が普通当たりの落選を示しており、点滅状態がこれから普通当たり判定の結果を報知することを示す普通図柄の変動状態とされている。
また、特別図柄表示部25及び普通図柄表示部24の右下には、2つのLEDによって構成される特別図柄記憶数表示LED60及び普通図柄記憶数表示LED59が配設されている。特別図柄記憶数表示LED60は、大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数、所謂特別図柄作動保留球数を表示し、普通図柄記憶数表示LED59は普通図柄作動保留球数を表示する。そして、2つのLEDのうちの下側のみの点灯が保留球数「1」、両方の点灯が「2」、下側の点滅が「3」、両方の点滅が「4」を示す。尚、特別図柄作動保留球数は、表示画面28に設けられる保留球数表示部29にも表示される。
次に、本実施の形態のパチンコ機1における遊技及び演出の概要について説明する。パチンコ機1では、特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞することを契機として各種乱数が取得され、取得された乱数に基づいて大当たり判定が行われる。この大当たり判定の結果は、特別図柄表示部25に表示される特別図柄が変動後に確定表示されることによって遊技者に報知される。さらに、大当たり判定の結果を分かりやすく遊技者に報知しつつ、遊技者の興趣をより強く惹き付けるために、表示画面28では、特別図柄の変動に同期させて様々な報知演出が行われる。この報知演出では、デモ図柄の変動に伴い多様な演出が実行され、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせが確定表示される。そして、報知演出の演出時間や演出内容を決定するための変動パターンが多数記憶されており、大当たり判定の結果に応じたテーブルが参照されて変動パターンの1つが決定されると、決定された変動パターンに応じて報知演出、及び特別図柄の変動が制御されることとなる。
ここで、パチンコ機1では、報知演出の実行中に特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞すると、新たに取得された乱数が保留球として記憶され、記憶された保留球についての大当たり判定の結果が順次遊技者に報知される。しかし、記憶可能な保留球の最大数は「4」であり、すでに保留球数が「4」となっている場合には、新たに乱数を記憶することはできない。よって、記憶されている保留球が多い場合には、保留球が少ない場合よりも短い時間で報知演出を実行しなければ、当たり判定が実行される機会が減少してしまう虞がある。この問題を解決するために、変動パターンを決定するためのテーブルを保留球数に応じて複数記憶しておき、保留球数が多くなるほど報知演出の平均時間が短くなるように設定する方法が考えられる。しかし、この方法では、テーブルの作成が煩雑になると共に、パチンコ機の処理負担を低下させることも困難である。
一方で、パチンコ機1では、その後に大当たり遊技が実行される期待度が通常よりも高いことを示す特定演出を、1又は複数の報知演出中に実行することができる。詳細には、報知演出中のデモ図柄は高速変動を行った後低速変動へ移行し、所定の場合にはリーチ演出を経て、判定結果を示す組み合わせで確定表示されるが、パチンコ機1では、高速変動中に特定演出を実行することで、大当たり遊技に対する遊技者の期待感を高めることができる。また、複数回の報知演出に亘って特定演出を実行することで、遊技者の興趣をより強く惹き付けることもできる。しかし、特定演出が複数回連続して実行されたにも関わらず、リーチ演出すら行われずにはずれを示すデモ図柄の組み合わせが表示される状況が多くなると、遊技者は落胆し、興趣を損ねる結果となる。よって、その後に報知される大当たり判定の結果、及び報知演出の種類(例えば、大当たりの期待度が高い報知演出が実行されるか否か)を判断し、この判断結果に応じて特定演出を制御する必要がある。しかし、その後に実行される報知演出の種類を乱数取得時に把握することは困難であった。特に、先述したような、保留球数に応じて報知演出の時間等を変化させる遊技機では、乱数取得時に報知演出実行時の保留球数まで把握することは不可能であったため、その後に実行される報知演出の種類を正確に把握することはできなかった。
そこで、パチンコ機1では、報知演出を制御するための変動パターンを複数のカテゴリに分けて記憶する。このカテゴリは、大当たり遊技が実行される期待度に応じて分けられており、期待度が低い順に「リーチ非成立」、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」、「発展リーチ」となるように各カテゴリの選択割合が定められている。また、このカテゴリを決定するためのテーブルが保留球数及び大当たり判定の結果に応じて設けられており、特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞すると、大当たり判定を行うための大当たり乱数と共に、カテゴリを決定するための乱数であるカテゴリ決定乱数が取得される。
このような構成のもと、報知演出中に遊技球が特別図柄始動電動役物15へ入賞すると、特定演出を実行するか否かの判断が、大当たり乱数及びカテゴリ決定乱数を用いて行われる。そして、報知演出の内容は、その時点での保留球数に応じたテーブルを参照してカテゴリを決定した後、決定したカテゴリに属する変動パターンの1つを選択することで決定される。これにより、保留球数に応じた適切な内容の報知演出を実行することを可能とし、且つ、特定演出を実行するか否かの決定を容易に行うことを実現している。この詳細は図面を参照して後述する。
次に、本実施の形態のパチンコ機1の電気的構成について、図3を参照して説明する。図3は、パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部40は、主基板41、電源基板42、演出制御基板43、払出制御基板45、ランプドライバ基板46、中継基板47、及びサブ統合基板58から構成されている。この制御部40は、パチンコ機1(図1参照)の裏側(背面側)に設けられている。
はじめに、主基板41について説明する。パチンコ機1の主制御を司る主基板41には、プログラムに従って各種の処理を行う主基板CPUユニット50が設けられている。この主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、演算処理中に発生するデータの値等を一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム、各種データの初期と、他の基板への指示を行うコマンド等を記憶したROM53とが設けられており、これらは1つのLSIとして一体にモールディングされている。また、主基板CPUユニット50には割込信号発生回路57が接続されており、CPU51は、この割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎に、ROM53に記憶されている制御プログラムを実行する。
また、主基板41にはI/Oインタフェイス54が設けられており、サブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47等のサブ基板と、特別図柄始動電動役物15へ入賞した遊技球を検出する始動口スイッチ70とが接続されている。また、主基板41のI/Oインタフェイス54には、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する出力ポート55が接続されている。
次いで、払出制御基板45及び中継基板47について説明する。払出制御基板45には、CPU45aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、賞品球払出装置49に接続されている。そして、主基板41から送信されるコマンドに従って、賞品球払出装置49の制御を行う。また、中継基板47には、普通図柄始動ゲート12への遊技球の通過を検出する普通図柄作動スイッチ71、大入賞口16の開閉部材を開放・閉鎖する大入賞口開放ソレノイド72、特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開放・閉鎖する電動役物開放ソレノイド73、大入賞口16に入賞した遊技球を検出するための大入賞口スイッチ75、普通入賞口17〜20に入賞した遊技球を検出するための普通入賞口スイッチ76、普通図柄表示部24、特別図柄表示部25、普通図柄記憶数表示LED59、及び特別図柄記憶数表示LED60が接続されている。そして、中継基板47は、スイッチやソレノイドの配線の中継と、主基板41から直接制御される表示部等への中継とを行っている。尚、特別図柄始動電動役物15、大入賞口16、及び普通入賞口17〜20に遊技球が入賞すると、所定数の遊技球が払い出される。
次いで、サブ統合基板58、演出制御基板43、及びランプドライバ基板46について説明する。サブ統合基板58には、CPU581、RAM582、及びROM583が設けられており、演出制御基板43、ランプドライバ基板46、及びスピーカ48に接続されている。そして、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行っている。また、演出制御基板43はCPU43aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMを内蔵しており、表示画面28の制御を行っている。また、ランプドライバ基板46にはCPU46aや図示外の入力インタフェイス、RAM及びROMが内蔵されており、照明装置35が接続されている。そして、サブ統合基板58から送信されるコマンドに基づいて、照明装置35の発光を制御している。
次いで、電源基板42について説明する。電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給している。遊技球発射装置37は、図示外の発射モータや、発射ハンドル7に設けられたタッチセンサ、発射装置停止スイッチ、及び発射強弱調整ボリューム等からなり、一定間隔(本実施の形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
次に、主基板41のRAM52の記憶エリアについて、図4を参照して説明する。図4は、主基板41のRAM52の記憶エリアを示す概念図である。図4に示すように、RAM52には、各種のカウンタを記憶するカウンタ記憶エリア5201、普通図柄始動ゲート12や特別図柄始動電動役物15等の各入賞口に遊技球が入賞したか否かを示すフラグを記憶する入賞球フラグ記憶エリア5202、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過した際に取得される乱数を記憶する普通当たり関係情報記憶エリア5203、普通図柄作動保留球数を記憶する普通図柄作動保留球数記憶エリア5204、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に取得される乱数を記憶する大当たり関係情報記憶エリア5205、特別図柄作動保留球数を記憶する特別図柄作動保留球数記憶エリア5206、主基板41からサブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47等へ出力される制御コマンドを記憶するコマンド関係記憶エリア5207、各種フラグを記憶するフラグ関係記憶エリア5208等が設けられている。さらに、RAM52には図示外の各種の記憶エリアが設けられている。
次に、RAM52のカウンタ記憶エリア5201に記憶される各カウンタについて説明する。RAM52に記憶されるカウンタには、乱数を取得するための乱数取得カウンタ、時間を計測するためのタイマカウンタ、入賞球数を計数するための入賞球数カウンタ等がある。
まず、乱数取得カウンタについて説明する。乱数取得カウンタとしては、普通当たり判定カウンタ、大当たり判定カウンタ、大当たり特別図柄決定カウンタ、カテゴリ決定カウンタ、変動パターン決定カウンタ等がある。これらのカウンタの値は、割込信号発生回路57(図3参照)からの割込信号に基づいて実行されるメイン処理のカウンタ更新処理(S12、図9参照)において、一定間隔の時間(例えば、割込信号発生の間隔である2ms)毎に所定量(例えば「1」)ずつ加算される。また、各カウンタには最小値(下限値)及び最大値(上限値)が設けられており、最小値から最大値までの範囲の数値内を循環するように構成されている。そして、更新により値が一巡して初期値と同じ値となる毎に、新たな初期値が取得され、その初期値に対して「1」ずつの加算が行われる。この新たな初期値の決定には、所定のアルゴリズムにより乱数を発生させる初期値乱数処理によって生成された乱数が用いられる。尚、これらの乱数取得カウンタは、後述するメイン処理の普通図柄処理(S16、図9参照)、及び特別図柄処理(図10乃至図12参照)において使用される。
次いで、タイマカウンタについて説明する。タイマカウンタは時間を計測するために使用されるカウンタであり、時間の計測開始時に初期値として所定の値が記憶される。例えば、1秒を計測する場合には初期値として「500」が記憶される。そして、割込信号発生の間隔である2ms毎に行われるカウンタ更新処理(S12、図9参照)において「1」ずつ減算されて、値が「0」でなければ時間の計測中、値が「0」となることで所定時間が経過したと判断される。
次いで、入賞球数カウンタについて説明する。入賞球数カウンタは、大入賞口16が1回の開閉動作を行う間に、この大入賞口16へ入賞した遊技球の個数を計数するために使用される。このカウンタの初期値は「0」であり、後述するメイン処理のスイッチ読込処理(S11、図9参照)において入賞が検出される毎に「1」加算される。そして、大入賞口16が閉鎖すると初期化される。
次に、大当たり関係情報記憶エリア5205について、図5を参照して説明する。図5は、RAM52の大当たり関係情報記憶エリア5205を示す概念図である。この大当たり関係情報記憶エリア5205は、後述するメイン処理の特別図柄処理(図10乃至図12参照)において使用される。図5に示すように、大当たり関係情報記憶エリア5205には、判定エリア、及び第一〜第四記憶エリアが設けられている。そして、第一〜第四記憶エリアには、特別図柄始動電動役物15へ入賞し、まだ大当たり判定の結果が報知されていない遊技球(特別図柄作動保留球)の取得した乱数が記憶される。また、判定エリアには、現在行われている大当たり判定の結果報知や、大当たり遊技の基になった乱数が記憶されている。
この判定エリア及び第一〜第四記憶エリアのそれぞれには、大当たり判定カウンタの値が記憶される大当たり乱数欄、大当たり特別図柄決定カウンタの値が記憶される大当たり特別図柄決定乱数欄、カテゴリ決定カウンタの値が記憶されるカテゴリ決定乱数欄、及び変動パターン決定カウンタの値が記憶される変動パターン決定乱数欄が設けられている。そして、特別図柄始動電動役物15を遊技球が通過すると、RAM52の特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値に対応する記憶エリアに各値が記憶され、この値に基づいて大当たり判定、大当たりと判定された場合の特別図柄の決定、変動パターンのカテゴリの決定、そして、決定されたカテゴリに属する変動パターンの決定が行われる。そして、判定エリアに記憶されている値に対する処理が終了したら、第一記憶エリアに記憶されている値が判定エリアにシフトされ、この値に基づいて次の大当たり判定等の処理が行われる。これに伴い、第二〜第四記憶エリアの各値が1つ番号の若い記憶エリアへシフトされ、第四記憶エリアの値がクリアされる。ここで、記憶エリアの数は4つである。すなわち、特別図柄始動電動役物15へ入賞した遊技球に対して、乱数を記憶して作動を保留しておくことができる数は4つである。従って、特別図柄作動保留球数の上限は4つであり、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値は「4」より大きい値を取ることはない。尚、RAM52の普通当たり関係情報記憶エリア5203においても同様に判定エリア及び第一〜第四記憶エリアが設けられており、4球の遊技球の情報を保留できるようになっている。
次に、主基板41のROM53の記憶エリアについて、図6を参照して説明する。図6は、主基板41のROM53の記憶エリアを示す概念図である。ROM53には、パチンコ機1のリセットが行われる際に各記憶エリアに記憶される初期値等を記憶する初期設定記憶エリア5301、CPU51がパチンコ機1を制御するための各種プログラムを記憶する制御プログラム記憶エリア5302、主基板41から各サブ基板に出力される制御コマンドのテーブルを記憶する制御コマンドテーブル記憶エリア5303、特別図柄表示部25に表示する特別図柄の組み合わせを記憶する特別図柄組み合わせパターン記憶エリア5304、変動パターンのカテゴリを保留球数に応じて決定するためのカテゴリ決定テーブルを記憶するカテゴリ決定テーブル記憶エリア5305、特別図柄及びデモ図柄の変動パターンに関するテーブル等の情報を記憶する特別図柄変動パターン記憶エリア5306、大当たり判定、普通当たり判定、特別図柄の決定等が行われる際に参照される各種テーブルを記憶する判定テーブル記憶エリア5307等が設けられている。さらに、ROM53には、図示外の各種の記憶エリアが設けられている。
次に、ROM53のカテゴリ決定テーブル記憶エリア5305に記憶されているカテゴリ決定テーブルについて、図7を参照して説明する。図7は、ROM53のカテゴリ決定テーブル記憶エリア5305に記憶されているカテゴリ決定テーブルを示す概念図である。先述したように、カテゴリとは各報知演出が属する演出の区分であり、パチンコ機1では、大当たり遊技が実行される期待度が低い順に「リーチ非成立」、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」、「発展リーチ」の4つのカテゴリが設けられている。
「リーチ非成立」のカテゴリに属する報知演出では、デモ図柄を高速変動させた後低速変動に移行させて、リーチ演出を経ることなくそのままはずれを示すデモ図柄の組み合わせが確定表示される。従って、判定結果が大当たりの場合には、「リーチ非成立」のカテゴリが選択されることはない。「ノーマルリーチ」のカテゴリに属する報知演出では、低速変動後に左右のデモ図柄が同一の図柄となり、ノーマルリーチ演出が行われるが、演出時間は他のリーチ演出に比べて短く(図8参照)、大当たり時に選択される割合も低い。「スーパーリーチ」のカテゴリに属する報知演出では、低速変動後、ノーマルリーチ演出と同様の演出を経て、種々のスーパーリーチ演出が行われる。「発展リーチ」に属する報知演出では、スーパーリーチ演出と同様の演出を経た後、さらに大当たりの期待度が高いことを示す発展リーチ演出が行われる。
そして、図7に示すように、大当たり判定の結果に応じてカテゴリの選択割合を変化させることで、各カテゴリについての大当たりの期待度が割り当てられている。例えば、期待度が最も高い「発展リーチ」のカテゴリが決定される割合は、大当たりの場合には68/128であるが、はずれの場合には大当たりの場合よりも大幅に小さい(例えば、保留数が4の場合には3/128)。そして、後述するように、大当たりの期待度が高いカテゴリの報知演出ほど演出時間を長くすることで、遊技者の期待感をより強く惹き付けている(図8参照)。
ここで、パチンコ機1では、報知演出の実行中に特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞すると、取得された各種乱数が保留球として記憶され、記憶された保留球についての大当たり判定の結果が順次遊技者に報知される。しかし、記憶可能な保留球の最大数は「4」であるため、記憶されている保留球が多い場合には、大当たり判定の実行機会の減少を防ぐために、より短い時間で報知演出を実行することが望ましい。また、保留球が少ない場合には、報知演出が行われない時間を短くして遊技者を楽しませるために、より長い時間報知演出を行うことが望ましい。これを実現するために、従来は変動パターンを決定するためのテーブルを保留球数に応じて別々に記憶しておかなければならなかった。
これに対し、パチンコ機1では、図7に示すカテゴリ決定テーブルを用いて、具体的に変動パターンを決定する前に、報知演出のカテゴリを保留球数に応じて決定する。その後、後述する変動パターン決定テーブル(図8参照)を用いて、既に決定されているカテゴリに属する変動パターンの中から1つを決定する。そして、カテゴリ決定テーブル(図7参照)では、保留球数が多い程、演出時間がより短いカテゴリ(期待度がより低いカテゴリ)が決定され易くなる構成となっている。例えば、通常状態(非時短状態)中にはずれと判定され、カテゴリ決定乱数の値が108である場合、保留球数が「1・2」のいずれかであれば「リーチ非成立」のカテゴリが決定されるのに対し、保留球数が「0」であれば「ノーマルリーチ」のカテゴリが決定される。これにより、大当たり判定の実行機会の減少の防止と、報知演出が行われない時間の短縮とを容易に実現することができる。尚、判定結果が大当たりとなる確率は約1/300であり、大当たりの場合のカテゴリの選択割合を保留球数に応じて変化させても効果は薄いため、本実施の形態では、大当たりの場合のカテゴリの選択割合は保留球数に関わらず同じとなっている。しかし、大当たりの場合にもカテゴリの選択割合を変化させてもよいことは言うまでもない。
また、パチンコ機1では、その後に大当たり遊技が実行される期待度が通常よりも高いことを示す特定演出を、1又は複数の報知演出中に実行することができる。詳細には、1又は複数の報知演出において、デモ図柄の高速変動中にキャラクタを表示画面28に表示させる等の種々の特定演出を行うことで、遊技者の期待感を高めることができる。ここで、特定演出によって遊技者の期待感を高めるには、その後に実行される報知演出の種類をあらかじめ把握しておかなければならい。例えば、特定演出が実行されたにもかかわらずリーチ演出すら行われない状況が連続すると、遊技者の興趣は損なわれるためである。しかし、その後に実行される報知演出の種類を乱数取得時に把握することは困難であった。特に、先述したような、保留球数に応じて報知演出の時間等を変化させる遊技機では、乱数取得時に報知演出実行時の保留球数まで把握することは不可能であった。よって、その後に実行される報知演出の種類を正確に把握することはできなかった。
そこで、図7に示すように、カテゴリ決定乱数の値が大きくなる程、大当たりの期待度が高いカテゴリが決定されるように、カテゴリ決定テーブルを構成した。これにより、所定の期待度以上のカテゴリが保留球数に関わらず決定されるか否かを、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に容易に判断することができる。例えば、カテゴリ決定乱数の値が115以上であるか否かを判断することにより、期待度が「ノーマルリーチ」以上のカテゴリが決定されるか否かを判断することができる。
より具体的には、カテゴリ決定乱数の値が1〜107であれば、リーチ演出が実行されることはないと判断され、リーチ演出が行われないことを示すリーチ非成立コマンドが主基板41からサブ統合基板58へ送信される。カテゴリ決定乱数値が108〜114であれば、ノーマルリーチのカテゴリが決定される可能性があることを示すリーチ可能性有コマンドが送信される。カテゴリ決定乱数値が115〜120であれば、ノーマルリーチのカテゴリ、又はこれよりも期待度が高いスーパーリーチのカテゴリが決定されることを示すノーマル以上確定コマンドが送信される。カテゴリ決定乱数値が121〜124であれば、スーパーリーチ、又はこれよりも期待度が高い発展リーチのカテゴリが決定されることを示すスーパー以上確定コマンドが送信される。そして、カテゴリ決定乱数値が125〜127であれば、発展リーチのカテゴリが決定されることを示す発展確定コマンドがサブ統合基板58へ送信される。
このような構成により、その後にどの期待度以上の報知演出が実行されるかを、特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞した時点で容易に先読みすることができる。よって、特定演出を実行するか否かを適切に判断することができる。尚、時短状態中に参照されるカテゴリ決定テーブルの構成は、通常状態中に参照されるテーブルと同様の構成となっているため、この説明は省略する。
次に、ROM53の特別図柄変動パターン記憶エリア5306に記憶されている特別図柄変動パターン決定テーブルについて、図8を参照して説明する。図8は、ROM53の特別図柄変動パターン記憶エリア5306に記憶されている特別図柄変動パターン決定テーブルを示す概念図である。変動パターンとは、大当たり判定による判定結果を示す際に用いられる図柄の変動パターンである。この変動パターンによって、特別図柄表示部25、及び表示画面28のデモ図柄表示部に表示される図柄の変動時間や、これらの図柄の変動に同期して表示画面28、照明装置35、スピーカ48等によって行われる報知演出のパターンが決定される。そして、サブ統合基板58では、主基板41で決定された変動パターンに基づいて演出の具体的な内容、例えば、特定演出を実行するか否かを決定する。
図8に示すように、変動パターン決定テーブルには、大当たり判定時の遊技状態(通常状態又は時短状態)、及び大当たり判定の結果(大当たり又ははずれ)に応じたテーブルが設けられている。そして、各テーブルでは、先述したカテゴリに対して1又は複数の変動パターンが対応付けられている。そして、後述する特別図柄処理(図10乃至図12参照)では、遊技状態及び判定結果に応じた特別図柄変動パターン決定テーブルが参照され、カテゴリ決定テーブル及びカテゴリ決定乱数によって決定されたカテゴリに属する変動パターンのうちの1つが、変動パターン決定乱数の値によって決定される。例えば、「ノーマルリーチ」のカテゴリが決定されている場合には、変動パターン決定乱数の値に関わらず、ノーマルリーチの変動パターンが決定される。また、「スーパーリーチ」のカテゴリが決定されている場合には、スーパーリーチA・B・Cの3つの変動パターンのうちの1つが決定される。これにより、特別図柄変動パターン決定テーブルを保留球数に応じて複数設けることなく、報知演出の出現割合を保留球数に応じて変化させることを容易に実現している。尚、「リーチ非成立」のカテゴリが決定された場合には必ずリーチ非成立の変動パターンが決定されるが、この変動時間(すなわち、報知演出の時間)は、保留球数が多い程短くなるように設定されている。これにより、報知演出の出現割合を保留球数に応じて変化させることと併せて、大当たり判定の実行機会が失われる虞を低下させることを実現している。
尚、本実施の形態で用いられているカテゴリ決定テーブル及び特別図柄変動パターン決定テーブルは一例に過ぎず、テーブルの内容を適宜設定できることは言うまでもない。例えば、本実施の形態のカテゴリ決定テーブル(図7参照)では、カテゴリ決定乱数の値が大きくなる程大当たりの期待度が高いカテゴリが選択される構成となっている。しかし、乱数値が大きくなる程、期待度が低いカテゴリが選択される構成としても、本発明は実現が可能である。すなわち、乱数値の昇順又は降順に従って、各カテゴリを期待度順に乱数に対応させれば、所定の期待度以上のカテゴリが保留球数に関わらず決定されるか否かを乱数値によって判断することができる。また、カテゴリの数や報知演出の種類、変動時間等は適宜設定できることは言うまでもない。
次に、パチンコ機1の主基板41による動作の詳細について、図9乃至図12を参照して説明する。図9は、主基板41におけるメイン処理のフローチャートであり、図10乃至図12は、メイン処理で実行される特別図柄処理のサブルーチンのフローチャートである。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
パチンコ機1の制御は、ROM53の制御プログラム記憶エリア5302に記憶されている制御プログラムにより行われる。制御プログラムのメイン処理は、割込信号発生回路57(図3参照)が発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。割込信号は、一定の間隔(本実施の形態では2ms)毎に発生されるので、メイン処理は2ms毎に繰り返し実行されることになる。
まず、主基板41で行われるメイン処理について、図9を参照して説明する。図9に示すように、割込信号の感知によってメイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。このコマンド出力処理では、制御コマンドが、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板58や払出制御基板45、中継基板47等に出力される。制御コマンドには、保留球数をサブ統合基板58へ通知する保留球数通知コマンド、報知演出の実行中に新たに取得された大当たり乱数についての先読みの結果を通知する大当たり乱数先読みコマンド、先読みされた報知演出のカテゴリについての情報を通知するカテゴリ通知コマンド、決定された特別図柄の変動パターンを指示するコマンド、特別図柄を停止させるタイミングを指示するコマンド、大当たり遊技の開始を通知するコマンド、電動役物の開閉タイミングを指示するコマンド等、多数のコマンドがある。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理において、RAM52のコマンド関係記憶エリア5207に出力コマンドとして記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。このスイッチ読込処理では、普通図柄始動ゲート12、特別図柄始動電動役物15、普通入賞口17〜20、及び大入賞口16への遊技球の入賞を検知するための処理が行われる。具体的には、これらの入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)により遊技球が検出されたか否かが判断され、遊技球が検出された場合には、RAM52の入賞球フラグ記憶エリア5202に記憶された各スイッチに対応したフラグがONとされる。さらに、大入賞口16の1回の開放中に入賞した遊技球の個数が入賞球数カウンタによって計数される。尚、スイッチ読込処理の開始時には、入賞球フラグ記憶エリア5202の全てのフラグがリセットされる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。先述したように、このカウンタ更新処理では、RAM52のカウンタ記憶エリア5201に記憶されている乱数取得カウンタの各値が所定量だけ加算され、タイマカウンタの各値が所定量だけ減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。この特別電動役物処理では、大当たり遊技中に、大入賞口16の開閉動作を指示するためのコマンドの処理が行われる。また、大当たり遊技の終了時に、大当たり遊技の基となった特別図柄の種類に応じて、確率変動時短状態及び非確率変動時短状態のいずれかを生起させるためのフラグ(確率変動フラグ及び時短中フラグ)の処理が行われる。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。この特別図柄処理では、大当たり乱数についての情報の先読み、報知演出のカテゴリの先読み、大当たり判定、変動パターンの決定、指示、図柄の変動の開始及び終了の指示等の処理が行われる。この特別図柄処理については、図10乃至図12のフローチャートを参照して後述する。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。この普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に、特別図柄始動電動役物15の開閉部材を所定時間開放させて遊技球の入賞を容易とする処理が行われる。尚、特別図柄始動電動役物15の1回の開放時間は、通常状態中よりも時短状態中の方が長い。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過した際に、普通当たり判定カウンタの値が普通当たり乱数として取得される。そして、取得された乱数に基づいて普通当たり判定が行われ、判定結果を普通図柄表示部24に表示させる処理が行われる。尚、普通図柄表示部24に表示される普通図柄の変動時間は、通常状態中よりも時短状態中の方が短い。
次いで、賞品球の払い出しを行う払出処理(S17)、及びエラーチェック(S18)が行われる。パチンコ機1にエラーが発生している場合には、表示画面28にエラー表示を行わせたり、スピーカ48にエラー音を発音させたりする。そこで、S10のコマンド出力処理にてサブ統合基板58へ送信するためのエラーコマンドがRAM52のコマンド関係記憶エリア5207に記憶される。次いで、情報出力処理(S19)において、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の大当たり情報、始動情報等の各種の情報が出力ポート55を介して出力される。情報出力処理が終わるとメイン処理は終了する。そして、割込信号発生回路57から割込信号を受信すると、また最初からメイン処理が実行される。
次に、メイン処理の特別図柄処理(S14)の詳細について、図10乃至図12に示すフローチャートを参照して説明する。先述したように、特別図柄処理では、大当たり乱数についての情報の先読み、報知演出のカテゴリの先読み、大当たり判定、変動パターンの決定、指示、図柄の変動の開始及び終了の指示等の処理が行われる。
はじめに、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52のフラグ関係記憶エリア5208には、特別図柄表示状態フラグ、大当たり遊技状態フラグ、確率変動フラグ、時短中フラグ等が記憶されている。特別図柄表示状態フラグは特別図柄表示部25の状態を示すフラグであり、特別図柄表示部25が変動している場合(変動中)には「1」、停止表示されている場合(停止表示中)には「2」、変動中、停止表示中のいずれでもない場合には「0」が記憶されている。また、大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となっている。また、確率変動フラグは、大当たりと判定される確率が通常状態中よりも高くなる確率変動中に「1」が記憶されて「ON」となる。そして、時短中フラグは、普通図柄の変動時間が通常よりも短くなり、特別図柄始動電動役物15の開閉部材の開放時間が通常よりも長くなる時短状態中に「1」が記憶されて「ON」となる。
図10に示すように、メイン処理の特別図柄処理が開始されると、特別図柄始動電動役物15に遊技球が入賞しているか否かが判断される(S21)。スイッチ読込処理(S11、図9参照)において、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞が検出されていない場合には(S21:NO)、そのままS31(図11参照)の判断へ移行する。
特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞が検出されている場合には(S21:YES)、その遊技球についての乱数を取得する処理が行われる。しかし、乱数を取得して記憶することができる特別図柄作動保留球の数は「4」である。そこで、RAM52の特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「4」であるか否かの判断が行われ(S22)、「4」である場合には(S22:YES)、この遊技球についての乱数は記憶できないので、そのままS31の判断へ移行する。
特別図柄作動保留球数が「0」〜「3」のいずれかである場合には(S22:NO)、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値に「1」が加算され(S23)、保留球数をサブ統合基板58へ通知するための保留球数通知コマンドが、RAM52のコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S24)。そして、カウンタ記憶エリア5201の大当たり判定カウンタ、大当たり特別図柄決定カウンタ、カテゴリ決定カウンタ、変動パターン決定カウンタの値が取得される(S25)。
次いで、取得された大当たり乱数(大当たり判定カウンタの値)についての情報の先読みが行われて(S26)、先読みの結果を示す大当たり乱数先読みコマンドがRAM52に記憶される(S27)。この大当たり乱数先読み処理では、ROM53の判定テーブル記憶エリア5307に記憶されているテーブルに、取得された最新の大当たり乱数を当てはめることで、その大当たり乱数についての情報の先読みが行われる。ここで、大当たり判定を行うための判定テーブルには、通常状態中(非確率変動中)に用いられる低確率判定テーブルと、大当たりと判定される確率が非確率変動中よりも高くなる高確率判定テーブルとが設けられている。そして、低確率判定テーブルで大当たりとして割り当てられている全ての乱数値は、高確率判定テーブルでも大当たりとして割り当てられている。そこで、大当たり乱数先読み処理(S26)では、遊技状態に関わらずはずれと判定される乱数、確率変動中でのみ大当たりと判定される乱数、及び遊技状態に関わらず大当たりと判定される乱数のいずれであるかが判断される。そして、コマンドを記憶する処理(S27)では、遊技状態に関わらずはずれと判定される乱数であれば、はずれを示すコマンド「01H」が、確率変動中でのみ大当たりと判定される乱数が取得された場合には、その旨を示すコマンド「02H」が、遊技状態に関わらず大当たりと判定される乱数が取得された場合には、大当たりを示すコマンド「03H」が記憶されることとなる。これにより、先読み処理時の遊技状態と実際の大当たり判定時の遊技状態とが異なる場合でも、大当たり乱数についての先読みの結果を利用して特定演出を制御することを可能としている。
尚、大当たり乱数先読み処理では、必ずしも実際の大当たり判定の結果と一致する判定を行う必要は無い。例えば、大当たりとして割り当てられている乱数の一部についてのみ、大当たりを示す先読みコマンドを送信し、それ以外の乱数についてははずれを示す先読みコマンドを送信するように設定してもよい。本実施の形態では、はずれを示すコマンド「01H」が送信されることにより、事前に「はずれ」であることを遊技者に報知するわけではないので、大当たりとして割り当てられている乱数の一部についてはずれを示す先読みコマンドを送信したとしても、特定演出の実行抽選の当選割合に差異が生じるのみであり、特に不具合は生じない。
次いで、取得されたカテゴリ決定乱数(カテゴリ決定カウンタの値)により、報知演出のカテゴリの先読み処理が行われる(S28)。この処理は、カテゴリ決定テーブル(図7参照)が参照されて行われる。先述したように、各カテゴリが選択される割合は、報知演出開始時の保留球数に応じて異なるように設定されているが、本実施の形態におけるカテゴリ決定テーブルによると、所定の期待度以上のカテゴリが保留球数に関わらず決定されるか否かを容易に判断することができる。具体的には、図7に示すように、通常状態中にはずれと判定された場合のカテゴリ決定乱数の値が107以下であればリーチ非成立となると判断でき、108以上であればリーチ演出が行われる可能性があると判断できる。また、乱数値が115以上であれば、大当たりの期待度がノーマルリーチ以上であるカテゴリが決定されると判断でき、121以上であれば、期待度がスーパーリーチ以上であるカテゴリ(スーパーリーチ又は発展リーチ)が決定されると判断できる。また、乱数値が125以上であれば、最も期待度が高い発展リーチのカテゴリが決定されると判断できる。
次いで、先読みされた報知演出のカテゴリを示すカテゴリ通知コマンドが、RAM52のコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S29)。詳細には、通常状態中にはずれと判定された場合、カテゴリ決定乱数の値が0以上107以下であれば、リーチ演出が行われないことを通知するリーチ非成立コマンドが記憶され、乱数値が108以上114以下であれば、リーチ演出が実行される可能性があることを示すリーチ可能性有コマンドが記憶される。また、乱数値が115以上120以下であれば、ノーマルリーチ以上の期待度のカテゴリが決定されることを示すノーマル以上確定コマンドが記憶され、乱数値が121以上124以下であれば、スーパーリーチ以上の期待度のカテゴリが決定されることを示すスーパー以上確定コマンドが記憶される。また、乱数値が125以上127以下であれば、発展リーチのカテゴリが決定されることを示す発展確定コマンドが記憶される。
次いで、S25の処理で取得された乱数が、RAM52の大当たり関係情報記憶エリア5205のうち、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値に対応する番号の記憶エリアに記憶される(S30)。具体的には、大当たり乱数欄には大当たり判定カウンタの値が、大当たり特別図柄決定乱数欄には大当たり特別図柄決定カウンタの値が、カテゴリ決定乱数欄にはカテゴリ決定乱数の値が、変動パターン決定乱数欄には変動パターン決定カウンタの値が記憶される。そして、S31の判断へ移行する。
次いで、図11に示すように、大当たり遊技状態であるか否かの判断が行われる(S31)。大当たり遊技状態である場合には、大当たり判定や判定結果の報知は行われない。そこで、大当たり遊技状態フラグが「ON」であり、大当たり遊技状態であると判断された場合には(S31:YES)、そのままメイン処理へ戻る。
大当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合には(S31:NO)、大当たり遊技状態ではないので、特別図柄表示部25及び報知演出の制御に関する処理が行われる。まず、特別図柄表示状態フラグにより、特別図柄表示部25が変動中であるか否かの判断が行われる(S32)。特別図柄表示状態フラグが「1」でなく、変動中でない場合には(S32:NO)、特別図柄が停止表示中であるか否かが判断される(S33)。特別図柄表示状態フラグが「2」でなく、特別図柄表示部25に表示されている特別図柄が停止表示中でなければ(S33:NO)、大当たり判定が行われる。
そこで、図12のフローチャートに示すように、大当たり判定を行うべき遊技球が存在するか否かが判断される(S35)。RAM52の特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「1」以上でなければ(S35:NO)、大当たり判定を行うべき遊技球は存在しないので、そのままメイン処理へ戻る。「1」以上であれば(S35:YES)、大当たり判定を行うべき遊技球が存在するので、特別図柄作動保留球数記憶エリア5206の値が「1」減算され(S36)、大当たり関係情報記憶エリア5205(図5参照)に記憶されている値がシフトされる。すなわち、第一記憶エリアに記憶されている乱数が判定エリアへシフトされ、第二〜第四記憶エリアに記憶されている乱数が番号の1つ若い記憶エリアへシフトされ、第四記憶エリアの値がクリアされる(S37)。そして、その時点での特別図柄作動保留球数をサブ統合基板58へ通知するための保留球数通知コマンドがRAM52に記憶される(S38)。
次いで、遊技状態に応じた大当たり判定が行われる(S39)。先述したように、大当たり判定を行うための判定テーブルには、通常状態中(非確率変動中)に用いられる低確率判定テーブルと、大当たりと判定される確率が通常状態中よりも高くなる高確率判定テーブルとが設けられている。そして、大当たり判定は、確率変動状態が生起されているか否かに応じて、いずれかの判定テーブルが参照されて行われる。
大当たり判定によって大当たりと判定された場合には(S40:YES)、大当たり特別図柄決定乱数欄に記憶されている値に基づいて、ROM53の特別図柄組み合わせパターン記憶エリア5304に記憶されている大当たりの組み合わせの中の1つが決定される(S41)。そして、時短状態中であるか否かに応じて、報知演出のカテゴリを決定する処理が行われる。時短中フラグが「ON」となっており、時短中であると判断された場合には(S42:YES)、カテゴリ決定乱数欄(図5参照)に記憶されている値により、時短中の大当たりのカテゴリ決定テーブル(図7参照)が参照されて、報知演出のカテゴリが決定される(S43)。そして、S51の処理へ移行する。また、時短中でないと判断された場合には(S42:NO)、通常状態中の大当たりのテーブルが参照されてカテゴリが決定され(S44)、S51の処理へ移行する。
また、大当たり判定によって大当たりと判定されなかった場合には(S40:NO)、はずれを示す特別図柄(本実施の形態では「−−」)が決定される(S46)。そして、時短中である場合には(S47:YES)、時短中のはずれのカテゴリ決定テーブルが参照されて報知演出のカテゴリが決定され(S48)、S51の処理へ移行する。また、時短中でない場合には(S47:NO)、通常状態中のはずれのテーブルが参照されてカテゴリが決定され(S49)、S51の処理へ移行する。
次いで、決定されたカテゴリに属する1又は複数の変動パターンのうちの1つが、特別図柄変動パターン決定テーブル(図8参照)が参照されることによって決定される(S51)。例えば、通常状態中にはずれと判定された場合に決定されたカテゴリが「リーチ非成立」であれば、変動パターン決定乱数の値に関わらず、リーチ非成立の変動パターンが決定される。このリーチ非成立の変動パターンには、変動時間が異なる4つのパターンが保留球数に応じて設けられており、その時点での保留球数に応じた変動パターンが決定されることとなる。また、通常状態中に大当たりと判定された場合に決定されたカテゴリが「スーパーリーチ」であり、変動パターン決定乱数の値が「30〜79」であれば、「スーパーB」の変動パターンが決定されることとなる。
次いで、決定された変動パターンを示すと共に、特別図柄及びデモ図柄の変動開始を指示するための変動パターン指定コマンドが、RAM52のコマンド関係記憶エリア5207に記憶される(S52)。そして、変動パターン毎に決められている特別図柄の変動時間が特別図柄変動時間カウンタに記憶され(S53)、特別図柄が変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S54)、メイン処理へ戻る。
また、図11に示すS32の判断において、特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されており、特別図柄表示部25が変動中であると判断された場合には(S32:YES)、変動時間が経過したか否かが判断される(S71)。S53(図12参照)でセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となった場合には、変動時間が経過したので(S71:YES)、RAM52のコマンド関係記憶エリア5207に特別図柄停止コマンドが記憶される(S72)。この特別図柄停止コマンドは、特別図柄表示部25の特別図柄の変動停止、及び表示画面28等によって行われる変動演出の終了を指示するためのコマンドである。そして、所定の停止表示時間が特別図柄停止時間カウンタに記憶され(S73)、特別図柄が停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S74)、メイン処理へ戻る。一方で、S71の判断において、特別図柄変動時間カウンタの値が「0」でなく、変動時間がまだ経過していない場合には(S71:NO)、特別図柄の変動が継続される。そこで、そのまま特別図柄処理を終了し、メイン処理へ戻る。
また、S33の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されており、特別図柄表示部25が停止表示中であると判断された場合には(S33:YES)、停止表示時間が経過したか否かが判断される(S75)。S73でセットされた特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には(S75:NO)、そのまま特別図柄処理を終了し、メイン処理へ戻る。一方で、カウンタの値がカウンタ更新処理(S12、図9参照)において減算されて「0」となった場合には、停止表示時間が経過したので(S75:YES)、特別図柄表示部25が停止表示中でも変動中でもないことを示す「0」が特別図柄表示状態フラグに記憶される(S76)。そして、時短中フラグ処理が行われる(S77)。パチンコ機1では、大当たり遊技終了後に生起された非確率変動時短状態は、大当たり判定が100回行われると終了する。そこで、S77の処理では、非確率変動時短状態中に大当たり判定が100回行われた場合に、時短中フラグを「0」とする処理が行われる。
次いで、先に行われた大当たり判定で大当たりと判定された場合には(S78:YES)、大当たり遊技状態であることを示す「1」が大当たり遊技状態フラグに記憶されて「ON」とされ(S79)、大当たり遊技を開始することをサブ統合基板58へ通知する大当たり遊技開始コマンドが記憶されて(S80)、メイン処理へ戻る。また、大当たりと判定されなかった場合には(S78:NO)、そのままメイン処理へ戻る。
次に、サブ統合基板58における処理について説明する。サブ統合基板処理では、主基板41から送信されるコマンドに従って、表示画面28、照明装置35、スピーカ48等による演出を制御する処理が行われる。特に、その後に大当たり遊技が実行される期待度が通常よりも高いことを示す特定演出を実行するか否かを、主基板41から送信されるカテゴリ通知コマンド等に基づいて決定する。そして、特定演出を実行することが決定された場合には、デモ図柄の高速変動中に特定演出を実行する制御を行う。
まず、サブ統合基板58のRAM582について説明する。RAM582には、主基板41により指定された変動パターンが記憶される変動パターン記憶エリア、各種カウンタが記憶されるカウンタ記憶エリア、特別図柄作動保留球数が記憶される保留球数記憶エリア、実行することが決定されている特定演出のパターンが記憶される特定演出パターン記憶エリア、演出制御基板43等に出力される制御コマンドが記憶されるコマンド関係記憶エリア、各種フラグが記憶されるフラグ関係記憶エリア等の記憶エリアが設けられている。
そして、カウンタ記憶エリアに記憶されるカウンタには、最終変動判断カウンタがある。最終変動とは、特定演出を実行する契機となった乱数についての特別図柄及びデモ図柄の変動であり、最終変動が行われることで一連の特定演出が終了する。そして、最終変動判断カウンタとは、最終変動までに要する図柄変動の回数(報知演出の回数)を判断するためのカウンタであり、例えば、このカウンタの値が「1」となっていれば、図柄変動を伴う報知演出を1回経た後に最終変動が行われることを示す。このカウンタの値に基づいて特定演出の態様が決定されるが、詳細はフローチャートを参照して後述する。
次いで、サブ統合基板58のROM583について説明する。ROM583には、CPU581がパチンコ機1の制御を補助するための各種プログラムが記憶されている。また、サブ統合基板58から演出制御基板43及びランプドライバ基板46に出力される制御コマンドのテーブルが記憶される制御コマンドテーブル記憶エリア、特定演出を実行するか否かを決定するためのテーブル等の各種テーブルが記憶されるテーブル記憶エリア等の各種記憶エリアが設けられている。
次に、特定演出のパターン、及び各パターンの当選割合とカテゴリ通知コマンドとの対応について、先読みされた大当たり乱数がはずれを示す乱数であると判断された場合を例に挙げて、図13を参照して説明する。図13は、先読みされた大当たり乱数がはずれを示す乱数であると判断された場合のカテゴリ通知コマンドの内容と、特定演出の各パターンの当選割合とを対応させた表である。先述したように、報知演出の実行中に特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞すると、主基板41では、新たに取得された乱数に基づいて、大当たり乱数についての情報の先読みと報知演出のカテゴリの先読みとが行われる。そして、先読みの結果がサブ統合基板58へ通知される。サブ統合基板58では、主基板41から通知された先読みの結果に応じて、特定演出を実行するか否か、及び実行する特定演出のパターンを決定し、1又は複数の報知演出に亘って特定演出を実行させる制御を行う。
まず、パチンコ機1における特定演出のパターンについて説明する。「0回」とは、特定演出を実行しないこと、すなわち、特定演出を実行するか否かの抽選に落選したことを示す。「1回」とは、最終変動までは特定演出を実行せず、最終変動における報知演出中にのみ特定演出を実行させるパターンである。また、「パターンA」とは、特定演出を実行することが決定された際に行われていた図柄変動の次の変動では特定演出を実行させず、次々回の変動から最終変動までは特定演出を実行させるパターンである。例えば、「パターンA」を実行することが決定された場合の保留球数が「4」であれば、その後1回目の報知演出中には特定変動は実行されず、2回目〜4回目の報知演出中に連続して特定演出が実行される。また、「パターンB」とは、特定演出実行決定後の次の変動で特定演出を実行させ、次々回の変動から最終変動の1回前までは特定演出を実行させず、最終変動で再び特定演出を実行させるパターンである。例えば、「パターンB」を実行することが決定された場合の保留球数が「4」であれば、その後1回目の報知演出中に特定演出が実行され、2回目及び3回目の報知演出中には実行されず、4回目の報知演出中に再び特定演出が実行される。そして、「全変動」とは、最終変動が行われるまでの全ての図柄変動で特定演出を伴わせるパターンであり、保留球数が複数である場合には、必ず連続して特定演出が実行されることとなる。
次いで、これらの特定演出のパターンの当選割合と、主基板41から受信したカテゴリ通知コマンドとの対応について説明する。図13に示すように、パチンコ機1では、受信したカテゴリ通知コマンドに対応する大当たりの期待度が高い程、特定演出が実行される割合が高くなるように設定されている。例えば、大当たりの期待度がゼロである「リーチ非成立コマンド」を受信した場合には、特定演出が実行される割合は「4/1024」であるのに対し、期待度が最も高い「発展確定コマンド」を受信した場合には、特定演出が実行される割合は「800/1024」となっている。このように、パチンコ機1によると、その後に実行される報知演出のカテゴリを保留球数に関わらず先読みできることにより、報知演出のカテゴリに併せて特定演出の内容を制御することが可能となっている。
尚、本実施の形態では、特定演出の各パターンが当選する割合は同じになっているが、これを変化させることも可能である。例えば、大当たりの期待度が比較的低い「リーチ可能性有コマンド」を受信した場合には、「全変動」よりも「1回」のパターンの方が当選し易い構成とし、期待度が最も高い「発展確定コマンド」を受信した場合には、「1回」よりも「全変動」のパターンの方が当選し易い構成とする。これにより、実行される報知演出期待度が高い程、「全変動」のパターンの特定演出が実行され易くなるため、特定演出が連続して実行された場合の遊技者の期待感をさらに高めることができる。
また、図示しないが、先読みされた大当たり乱数が大当たりを示す乱数であると判断された場合には、図13に示すはずれの場合よりも高い割合で特定演出が実行される構成となっている。これにより、大当たりの期待度が通常よりも高いことを、特定演出の実行によって遊技者に期待させることを可能にしている。
以下、サブ統合基板58で行われるサブ統合基板処理について、図14を参照して説明する。図14は、サブ統合基板58におけるサブ統合基板処理のフローチャートである。サブ統合基板処理が開始されると、まず、主基板41から保留球数通知コマンドを受信したか否かが判断される(S101)。受信した場合には(S101:YES)、コマンドによって通知された特別図柄作動保留球数が、RAM582の保留球数記憶エリアに記憶される(S102)。そして、記憶された保留球数が表示画面28内の保留球数表示部29に表示されて(S103)、S101の判断へ戻る。
また、保留球数通知コマンドを受信していない場合には(S101:NO)、カテゴリ通知コマンドを受信したか否かが判断される(S105)。受信した場合には(S105:YES)、最終変動までに要する図柄変動の回数を判断するための最終変動判断カウンタの値が「0」であるか否かが判断される(S106)。「0」でない場合には(S106:NO)、既に特定演出を実行することが決定されているか、又は特定演出の実行中であるため、そのままS101の判断へ戻る。
最終変動判断カウンタの値が「0」であれば(S106:YES)、乱数が取得され、特定演出パターンの抽選が行われる(S107)。先述したように、この抽選は受信したカテゴリ通知コマンドの内容、及びこれと同時に主基板41から送信される大当たり乱数先読みコマンドの内容に応じて、ROM583に記憶されているテーブルが参照されて行われることとなる。そして、特定演出の実行抽選に当選しなかった場合には(S108:NO)、そのままS101の判断へ戻る。当選した場合、すなわち、「1回」、「パターンA」、「パターンB」、「全変動」(図13参照)の何れかのパターンで特定演出を実行することに当選した場合には(S108:YES)、当選した特定演出のパターンがRAM582の特定演出パターン記憶エリアに記憶される(S109)。次いで、保留球数記憶エリアに記憶されている値と同じ値が最終変動カウンタに記憶されて(S110)、S101の判断へ戻る。尚、パチンコ機1では通常状態中にのみ特定演出を実行するため、時短状態中には特定演出の実行抽選(S107)は行われない。
また、カテゴリ通知コマンドを受信していない場合には(S105:NO)、変動パターン指定コマンドを受信したか否かが判断される(S113)。受信した場合には(S113:YES)、コマンドによって指定されている変動パターンが、RAM582の変動パターン記憶エリアに記憶される(S114)。そして、最終変動判断カウンタが「0」であるか否かが判断される(S115)。カウンタの値が「0」である場合には(S115:YES)、特定演出の実行処理は行われず、変動パターンに応じてそのまま報知演出が開始される(S118)。尚、報知演出の開始と同時に、表示画面28内のデモ図柄は変動を開始する。
最終変動判断カウンタの値が「0」でない場合には(S115:NO)、カウンタの値が「1」減算される(S116)。次いで、RAM582に記憶されている特定演出のパターンと、最終変動判断カウンタの値とに応じて、今回の報知演出中に実行する特定演出の態様が決定される(S117)。例えば、決定されている特定演出のパターンが「パターンB」である場合には、特定演出を実行することが決定された変動の次の変動でなく、最終変動判断カウンタの値が「0」でなければ、特定演出は行われない。一方で、カウンタの値が「0」であり、その変動が最終変動であれば、最終変動用に設けられた特定演出の態様の1つが決定される。ここで、特定演出の態様は適宜設定できるが、本実施の形態では、キャラクタのロゴの表示、保留球数表示部29の表示態様の変化、キャラクタが登場する動画の表示、メール受信演出等の複数の態様が設けられており、これらのうちの1又は複数の態様が1回の報知演出中に実行される構成となっている。次いで、変動パターンに応じて報知演出が開始されるが、この報知演出におけるデモ図柄の高速変動中に、先に決定された態様で特定演出が実行される(S118)。そして、S101の判断へ戻る。
また、変動パターン指定コマンドを受信していない場合には(S113:NO)、特別図柄停止コマンドを受信したか否かが判断される(S121)。受信した場合には(S121:YES)、実行していた報知演出を終了させてデモ図柄を確定表示させる処理が行われて(S122)、S101の判断へ戻る。
また、特別図柄停止コマンドを受信していない場合には(S121:NO)、大当たり遊技開始コマンドを受信したか否かが判断される(S124)。受信した場合には(S124:YES)、大当たり遊技中の演出を開始させる処理が行われて(S125)、S101の判断へ戻る。大当たり遊技開始コマンドを受信していない場合には(S124:NO)、その他のコマンドを受信したか否かが判断され(S127)、受信した場合には(S127:YES)、受信したコマンドに応じた各種処理が行われて(S128)、S101の判断へ戻る。いずれのコマンドも受信していない場合には(S127:NO)、そのままS101の判断へ戻る。
以上説明したように、本実施の形態のパチンコ機1では、複数の報知演出が、大当たりの期待度が異なる複数のカテゴリに区分けされている。そして、報知演出のカテゴリを保留球数に応じて決定するためのカテゴリ決定テーブル(図7参照)が設けられており、このテーブルによって保留球数に適した割合でカテゴリを決定した後、決定したカテゴリに属する報知演出の1つを実行することができる。従って、変動パターンを決定するためのテーブルを複数備えることなく、報知演出の実行割合を保留球数に応じて容易に変化させることができる。
また、パチンコ機1では、所定の期待度以上のカテゴリが保留球数に関わらず決定されるか否かを、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に容易に判断することができる。サブ統合基板58は、この判断結果を用いることで、1又は複数の報知演出に亘る特定演出を、最終変動において実行される報知演出のカテゴリに併せて適切に制御することができる。さらに、特定演出の制御をサブ統合基板58、演出制御基板43、及びランプドライバ基板46が行うため、主基板41に過度の負担をかけることなく演出を多様化することができる。
尚、本実施の形態における特別図柄始動電動役物15が本発明の「始動口」に相当する。また、図10に示すS25で大当たり乱数を取得する主基板41のCPU51が「当たり乱数取得手段」として機能し、図12に示すS39で大当たり判定を行う主基板41のCPU51が「当たり判定手段」として機能する。大当たり関係情報記憶エリア5205が,「乱数記憶手段」に相当する。また、変動パターンが「演出パターン」に相当し、変動パターンをカテゴリに分けて記憶するROM53の特別図柄変動パターン記憶エリア5306が「演出パターン記憶手段」に相当する。また、図10に示すS25でカテゴリ決定乱数を取得する主基板41のCPU51が「演出種類決定乱数取得手段」として機能し、図12に示すS43,44,48,49でカテゴリのうちの1つを決定する主基板41のCPU51が「演出種類決定手段」として機能する。図10に示すS25で変動パターン決定乱数を取得する主基板41のCPU51が「演出パターン決定乱数取得手段」として機能し、図12に示すS51でカテゴリに属する1又は複数の変動パターンのうちの1つを決定する主基板41のCPU51が「演出パターン決定手段」として機能する。図10に示すS28で報知演出のカテゴリの先読みを行う主基板41のCPU51が「演出種類先読み手段」として機能する。
また、図5に示す大当たり関係情報記憶エリア5205が「当たり乱数記憶手段」に相当し、図7に示すカテゴリ決定テーブルを記憶するROM53のカテゴリ決定テーブル記憶エリア5305が「演出種類決定テーブル記憶手段」に相当する。また、図10に示すS28で所定の期待度以上のカテゴリが決定されるか否かを判断する主基板41のCPU51が「最低期待度判断手段」として機能する。図10に示すS28で判断されたカテゴリを先読みする主基板41のCPU51が「演出種類先読み手段」として機能する。図14のS118で報知演出を開始するサブ統合基板58のCPU581が「演出実行制御手段」として機能する。図14のS106,107で特定演出を実行するか否かを決定するサブ統合基板58のCPU581が「特定演出実行決定手段」として機能する。
尚、本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
ここで、本実施の形態の変形例について、図15を参照して説明する。図15は、変形例のパチンコ機で用いられるカテゴリ決定テーブルを示す概念図である。この変形例のパチンコ機におけるカテゴリ先読み処理(S10、図10参照)では、先述した実施の形態とは異なり、所定の期待度以上のカテゴリが決定されるか否かを判断するのではなく、保留球数に関わらず所定のカテゴリが決定されるか否かを判断し、サブ統合基板58へ通知する。
図15に示すように、本変形例におけるカテゴリ決定テーブルも、図7に示すテーブルと同様に、カテゴリ決定乱数の値が大きくなる程、大当たりの期待度が高いカテゴリが決定されるように構成されている。そして、報知演出開始時の保留球数が多くなるほど、期待度の高い(演出時間が長い)カテゴリが決定され易くなるように設定されている。従って、通常状態中にはずれと判断された場合のテーブルを例に挙げると、カテゴリ決定乱数の値が108以上114以下であれば、「ノーマルリーチ」のカテゴリが決定される場合とされない場合とがあることになる。しかし、乱数値が115以上117以下であれば、保留球数に関わらず「ノーマルリーチ」のカテゴリが決定されることとなる。よって、変形例のパチンコ機では、カテゴリ先読み処理(S28、図10参照)において、乱数値が115以上117以下となっていれば、保留球数に関わらず「ノーマルリーチ」のカテゴリが決定されることを先読みすることができ、この結果を示すコマンドであるノーマル確定コマンドをサブ統合基板58へ送信することができる(S29)。このように、保留球数に関わらず所定のカテゴリが決定されるか否かを判断することもでき、サブ統合基板58では、この判断結果に基づいて特定演出を制御することも可能である。尚、本変形例におけるカテゴリ先読み処理(S28、図10参照)を行う主基板41のCPU51が、本発明の「決定演出種類判断手段」として機能する。また、決定されるカテゴリが保留球の数に応じて異なる場合(例えば、通常状態中にはずれと判定された場合にカテゴリ決定乱数の値が108以上114以下であった場合。図15に示す黒色の部分)には、カテゴリが不確定であることを通知するカテゴリ通知コマンドがサブ統合基板58へ送信される。
また、上記実施の形態はその他の各種変更も可能である。まず、本実施の形態における各種テーブルの構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。例えば、図7に示すカテゴリ決定テーブルは、乱数値が大きくなるほど期待度の高いカテゴリが決定されるように構成されているが、乱数値が大きくなるほど期待度の低いカテゴリが決定されるように構成されていても、所定の期待度以上のカテゴリが保留球数に関わらず決定されるか否かを判断できる。また、「ノーマルリーチ」「スーパーリーチ」等の報知演出のカテゴリが一例に過ぎないことは勿論であり、例えば「プレミアリーチ」等のカテゴリを新たに加えても本発明が実現できることは言うまでもない。また、大当たりと判定された場合の各カテゴリの選択割合も、はずれと判定された場合と同様に保留球数に応じて変化させてもよい。
また、パチンコ機では多様な報知演出を行うために多数の変動パターンが記憶されている。従って、その後にいずれの変動パターンに基づいた報知演出が実行されるのかを先読みし、その先読み結果に応じて複数回の報知演出に亘る予告演出を制御することは処理が煩雑となり、困難であるという問題点があった。そこで、本実施の形態では、図7及び図8に示すように、まずカテゴリ決定乱数を用いて報知演出のカテゴリを決定し、決定されたカテゴリに属する変動パターンのうちの1つを決定している。これにより、その後に実行される報知演出のカテゴリを先読みし、サブ統合基板58に通知している。しかし、報知演出のカテゴリの先読み、及び変動パターンの決定を共にカテゴリ決定乱数のみに基づいて決定するように設定してもよい。具体的には、乱数の各値に、変動パターンと、この変動パターンのカテゴリとを割り当てたテーブルをROM53に記憶させておく。ここで、1つのカテゴリに1又は複数の変動パターンを対応させる点は本実施の形態と同様である。そして、カテゴリの先読み段階(S28,29、図10参照)では乱数値に対応するカテゴリをサブ統合基板58へ通知し、変動パターンの決定段階では乱数値に対応する変動パターンを決定する。すなわち、カテゴリ決定乱数を用いてカテゴリを先読みし、さらに、変動パターンの決定も同じカテゴリ決定乱数を用いて行う。このような構成とすることで、その後に実行される報知演出のカテゴリを、1つの乱数に基づいて容易に把握することができる。そして、変動パターンよりも大まかに区分けされたカテゴリの情報に基づいて、特定演出を容易に制御することができる。尚、この場合、サブ統合基板58では、図12に示すS43,44,48,49の処理で直接変動パターンを決定する処理を行い、S51の処理を省略すればよい。
また、本実施の形態では、単位時間当たりに行われる大当たり判定の回数が通常よりも多くなる遊技状態として、確率変動時短状態及び非確率変動時短状態の2つの遊技状態が設定されている。しかし、時短状態の種類はこれらに限定されることはなく、時短状態の種類が1種類のみの遊技機にも本発明は適用できる。また、本実施の形態では、確率変動時短状態中と非確率変動時短状態中とで同一の変動パターンの候補から1つの変動パターンが決定される構成となっている。しかし、通常状態、確率変動時短状態、及び非確率変動時短状態のそれぞれの遊技状態毎に異なる変動パターン決定テーブルを参照し、変動パターンを決定する構成としてもよい。
また、本実施の形態では、通常状態中にのみ特定演出を実行する構成となっているため、特定演出を実行するか否かの抽選は通常状態中にのみ行われるが、時短状態中にも特定演出を行うことが可能である。また、本実施の形態で用いられている特別図柄の種類は1種類であるが、2種類以上の特別図柄を用いる遊技機に本発明を適用することも可能である。また、確率変動状態や時短状態を生起させない遊技機にも本発明を適用できる。さらに、1回の普通当たり遊技を契機として複数回の普通当たり遊技が連動して行われる、所謂一般電役タイプと呼ばれる遊技機等、特別図柄を用いない他の遊技機にも本発明は適用できる。
また、特定演出の態様は自由に設定できる。例えば、特定演出を連続して複数回実行させる場合に、1回目の特定演出でLEDを白色に、2回目の特定演出で青色に、3回目で緑色に、4回目で黄色に発光させることもできる。また、特定演出が連続して行われる毎に連続実行回数を表示画面28等に表示させてもよい。これにより、特定演出の連続実行回数を遊技者に容易に把握させることができ、遊技者の期待感を高めることができる。また、特定演出の態様の枠組みを決定するためのシナリオを複数設けておき、特定演出を多様化させることも可能である。例えば、キャラクタAが登場するシナリオAと、キャラクタBが登場するシナリオBとを設ける。そして、シナリオAの特定演出を実行することが決定された場合には、キャラクタAを複数回の特定演出に亘って表示させる。また、シナリオBの特定演出を実行することが決定された場合には、キャラクタAを登場させずに、キャラクタBを連続して表示させる。これにより、特定演出の内容を多様化できることに加え、特定演出が複数回の報知演出に亘る一連の演出であることを遊技者に認識させることができる。よって、遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。
また、図13に示す特定演出のパターンも一例にすぎず、適宜変更が可能であることは勿論である。例えば、本実施の形態における特定演出パターンの「パターンA」及び「パターンB」では、最終変動に至るまでの複数回の報知演出を「特定演出実行決定時の次の変動」、「次々回の変動から最終変動の1回前の変動まで」、「最終変動」の3つに区分し、特定演出を制御している。しかし、「次の変動」、「次々回の変動から最終変動の2回前の変動まで」、「最終変動の1回前の変動」、「最終変動」の4つに区分し、特定演出を制御してもよい。これにより、特定演出の態様をより多様化することができ、遊技者の興趣を惹き付けることができる。