JP5083653B2 - 電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体、これを用いた固体酸塩型電解質体の活性化方法及び大容量キャパシター並びに燃料電池 - Google Patents

電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体、これを用いた固体酸塩型電解質体の活性化方法及び大容量キャパシター並びに燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、大容量キャパシターや燃料電池に用いられている電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体、これを用いた固体酸塩型電解質体の活性化に関し、電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体において、特定の温度範囲で、当該電解質体の表面を、高湿度雰囲気下に保つことにより、当該電解質体中のプロトン伝導性を向上させる電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の活性化方法及びこれを用いた大容量キャパシター並びに燃料電池に関する。
燃料電池は水素と酸素の化学反応により発電を行なうシステムである。反応生成物は原理的には水のみであるため、地球環境に与える負荷が小さいエネルギー源として大きな期待が寄せられている。このような世界的認識の高まりを背景として燃料電池の実用化技術の開発が緊急の社会要請となっている。燃料電池開発のための重要な技術要素として、高いプロトン伝導性能を持つ固体電解質材料の開発がある。現在、主に実用化研究が進められているのは、パーフルオロスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いた固体高分子電解質であるが、耐熱性などの問題のため、作動温度の上限が80℃程度までに限られるのが一般的である。
一方、燃料電池の作動温度として好ましいのは、エネルギー効率、廃熱利用などの観点から、100℃以上、特に120℃以上と考えられている。この温度条件を満たす電解質材料として注目されているのが硫酸水素セシウムを代表とする固体酸塩である(非特許文献1参照)。例えば、硫酸水素セシウムは143℃付近以上で構造相転移を起こし、超プロトン伝導相と呼ばれる高いプロトン伝導度を持つ固相状態に変化する。この超プロトン伝導相の状態を固体電解質材料として利用することにより、好ましい作動状況での燃料電池運転が可能となる。この他にも、二硫酸水素三アンモニウム((NH4)3H(SO4)2)、燐酸二水素硫酸水素二セシウム(Cs2(HSO4)(H2PO4))等、数種類の固体酸塩が同様の超プロトン伝導相を発現することが報告されている(非特許文献2、非特許文献3参照)。
特願2005-289265 特願2006―215563 Nature, vol.410, pp.910-913 (2001) J.Mater.Sci. Lett.,vol.16, pp.2011-2016 (1981) Solid State Ionics, vol.136-137, pp.229-241(2000) Nature, vol.410,pp.910-913 (2001)
また、超プロトン伝導相へ転移する温度以下では固体酸塩のプロトン伝導度は低く、燃料電池を効率よく動作させることが困難である。このことは、固体酸塩型電解質型燃料電池を例えば車載電源として用いた場合、始動時における室温付近の温度では電源として利用することが困難であることを意味する。従って、固体酸塩型電解質を実用化するためには、超プロトン伝導相(超プロトン伝導相とは、10-3S/cm以上のプロトン伝導度を持つ固体状態をいう(非特許文献4参照))への相転移温度以下でも高いプロトン伝導度を発現させるための技術開発が必要であるとの認識から、本発明者は、すでに、超プロトン伝導相への相転移点以下の温度で固体酸塩のプロトン伝導度を向上させる固体酸塩型電解質の活性化方法を見出し、陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質(代表的には、硫酸水素セシウム(CsHSO4)又はリン酸二水素セシウム(CsHPO4))を用いて、10℃から80℃で、固体酸塩型電解質の表面を、湿度を10%から100%の範囲に強制的に保つことにより、固体酸塩型電解質中のプロトン伝導性を向上させる固体酸塩型電解質の活性化方法について特許出願している(特許文献1及び特許文献2)。しかし、陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質(代表的には、硫酸水素セシウム(CsHSO4)又はリン酸二水素セシウム(CsHPO4))のみでは、所定の温度(10℃から80℃)でも乾燥時には充分なプロトン伝導性を得ることができないことから、本発明は、新しい電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体を提供し、これを用いて、低温から高温(10℃から140℃)まで、加湿機が停止した時にも、充分なプロトン伝導性を得ることができる固体酸塩型電解質体の活性化方法、この固体酸塩型電解質体を用いた大容量キャパシター及び燃料電池を提供する。
上記目的を達成するために本発明者らは鋭意研究を重ね、陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した固体酸塩型電解質とすることにより、低温から高温(10℃から140℃)まで乾燥時にも充分なプロトン伝導性を得ることができる固体酸塩型電解質の活性化方法を開発した。すなわち、本発明は、陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質と水分保持物質とを混合成型して成り、前記固体酸塩型電解質が、硫酸水素セシウム(CsHSO 4 )又はリン酸二水素セシウム(CsH PO 4 )であり、前記水分保持物質が、ポリアクリル酸塩系物質、ポリアクリルアミド系物質、ポリビニルアルコール系物質、ポリオキシエチレン、カルボキシメチルセルロース系物質、イソブチレン/マレイン酸塩系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物質、ポリスチレンスルホン酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩系物質から選ばれる高分子ゲルから選ばれる有機質水分保持物質の1種である、電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体である。また本発明においては、陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体において、前記固体酸塩型電解質が、硫酸水素セシウム(CsHSO 4 )又はリン酸二水素セシウム(CsH PO 4 )であり、前記水分保持物質が、ポリアクリル酸塩系物質、ポリアクリルアミド系物質、ポリビニルアルコール系物質、ポリオキシエチレン、カルボキシメチルセルロース系物質、イソブチレン/マレイン酸塩系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物質、ポリスチレンスルホン酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩系物質から選ばれる高分子ゲルから選ばれる有機質水分保持物質の1種であり、前記固体酸塩型電解質及び前記水分保持物質を用いて、10℃から140℃で、電解質体の表面を、湿度を10%から100%の範囲に強制的に保つことにより、電解質体中のプロトン伝導性を向上させる固体酸塩型電解質体の活性化方法である。さらに、本発明は、陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体を用いた大容量キャパシターであって、前記固体酸塩型電解質が、硫酸水素セシウム(CsHSO 4 )又はリン酸二水素セシウム(CsH PO 4 )であり、前記水分保持物質が、ポリアクリル酸塩系物質、ポリアクリルアミド系物質、ポリビニルアルコール系物質、ポリオキシエチレン、カルボキシメチルセルロース系物質、イソブチレン/マレイン酸塩系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物質、ポリスチレンスルホン酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩系物質から選ばれる高分子ゲルから選ばれる有機質水分保持物質の1種であり、前記固体酸塩型電解質及び前記水分保持物質を用いて、10℃から140℃で、大容量キャパシターの固体酸塩型電解質体の表面を、湿度を10%から100%の範囲に強制的に保つことにより、固体酸塩型電解質体中のプロトン伝導性を向上させることを特徴とする大容量キャパシターである。さらに、本発明は、陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体を用いた燃料電池であって、前記固体酸塩型電解質が、硫酸水素セシウム(CsHSO 4 )又はリン酸二水素セシウム(CsH PO 4 )であり、前記水分保持物質が、ポリアクリル酸塩系物質、ポリアクリルアミド系物質、ポリビニルアルコール系物質、ポリオキシエチレン、カルボキシメチルセルロース系物質、イソブチレン/マレイン酸塩系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物質、ポリスチレンスルホン酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩系物質から選ばれる高分子ゲルから選ばれる有機質水分保持物質の1種であり、前記固体酸塩型電解質及び前記水分保持物質を用いて、10℃から140℃で、燃料電池の固体酸塩型電解質体の表面を、湿度を10%から100%の範囲に強制的に保つことにより、固体酸塩型電解質体中のプロトン伝導性を向上させることを特徴とする燃料電池である。
本発明の電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体、これを用いた活性化方法により、低温から高温 (10℃から140℃)まで乾燥時にも、大容量キャパシターや燃料電池の発電性能を飛躍的に高めることが出来る。
本発明の電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体で用いる陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質は、無機固体酸塩であり、以下のようなものをいう。組成式としては、MxHy(XOn)zと書くことができる。 Mは陽イオン。K+, Cs2+,Rb2+などの金属イオンが主であり、(NH4)+あるいは(H3O)+でも良い。また、Hは水素(イオン)でも良い。陰イオンとしては、代表的にはオキソ酸の陰イオン(XOn)zを挙げることが出来る。また、(SO4)2-,(PO4)3-, (SeO4)2-, (ClO4)-,などがある。プロトン伝導が報告されている例としては、CsHSO4の他に、
CsH2PO4,KH2PO4, KHSO4, NH4HSO4,RbHSO4, CsHSeO4, Rb3H(SeO4)2,(NH4)3H(SO4)2,K3H(SO4)2,H3OClO4 ,...などを挙げることが出来る。また、陰イオンを二種類以上含む、混酸タイプもあり、Cs2(HSO4)(H2PO4),Cs3(HSO4)2[H2-x(P1-xSx)O4]といったものが知られている。
実施例においては、固体酸塩型電解質と水分保持物質を乾燥下で混合して成型することが記載されているが、乾燥下で行うことにより、固体酸塩型電解質粒子と水分保持物質粒子の粒子間の空間を効率的に作り出すことが出来、加湿するとこの空間に固体酸塩型電解質の表面周辺に少量の固体酸塩型電解質が形成されるのである。
本発明で用いる水分保持物質は、水分を保持できれば何でも良いが、代表的なものは有機質水分保持物質である。有機質水分保持物質としては、ポリアクリル酸塩系物質、ポリアクリルアミド系物質、ポリビニルアルコール系物質、ポリオキシエチレン、カルボキシメチルセルロース系物質、イソブチレン/マレイン酸塩系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩系物質、フッ素物質から選ばれる高分子ゲルから選ぶことができる。代表的には、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ナフィオン(デュポン社登録商標)などを挙げることができる。さらに、固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合して成型するに際しては、固体酸塩型電解質及び水分保持物質を粉末にして、加圧加熱して一体成型電解質体とすることができる。また、水分保持物質の混合割合は、固体酸塩型電解質の5〜50重量%添加することができ、とくに混合割合が30%までは多いほどプロトン伝導性が高くなる傾向にあるが、多すぎるとプロトン伝導性が低くなる。湿度制御により高加湿が可能な容器中に固体酸塩型電解質を置き、水蒸気雰囲気に暴露する。あるいは、湿度を制御し高濃度水蒸気を含んだ気体を固体酸塩型電解質に送り込む。本発明の電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体において、固体酸塩型電解質の温度を、10℃から140℃とするのは、この範囲外の温度でも効果が全く無いわけではないが、10℃以下であると水分の絶対量が少なく、140℃以上では高湿度の発生が困難であることが判明した。また、本発明の電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体において、固体酸塩型電解質の表面を、湿度を10%から100%の範囲に強制的に保つことが必要であるが、湿度を10%以下では、効果がなく、100%以上でも効果が変わらない。 また、本発明の電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体における固体酸塩型電解質中のプロトン伝導性を向上させる固体酸塩型電解質の活性化方法は、従来知られている大容量キャパシターにおける電解質、従来知られている燃料電池における電解質にそのまま適用することが出来、大容量キャパシター及び燃料電池の特性を向上させることが出来る。試料の交流インピーダンス測定により複素インピーダンスプロットが得られ、その実軸切片より求めた試料の抵抗値R[W]より、次式を使い電気伝導率σ[S/cm]を計算した。Aは試料の断面積、Lは試料の厚さである。
Figure 0005083653
また、用いた電解質体中のプロトン伝導性の測定装置は、特願2005-289265で用いたものと同じであり、参考のため図24にその概要を示す。
本発明について実施例を用いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。CsH2PO4―ポリアクリル酸ナトリウム10%混合試料ペレット(70℃電気伝導率の時間変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)CsH2PO4にポリアクリル酸ナトリウムを混合した試料ペレットを作製し、電気伝導率測定を行った。三津和化学薬品製CsH2PO4粉末(純度99%以上)と和光純薬製ポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)をそれぞれ秤量後乳鉢ですり、その後混ぜ合わせて、ペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、重量比で10%ポリアクリル酸ナトリウムを混合した試料ペレットNo.P01を作製した。試料ペレットの上下面に藤倉化成製銀ペースト[ドータイトD-500]を塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)CsH2PO4ペレットを70℃に保った状態で、リガク製湿度発生装置HUM-1によって生成した70℃の飽和水蒸気を含むN2ガスを試料室内に供給し(流量200ml/min)、湿潤N2ガスを流し始めてから3時間後まで、15〜30分置きに電気伝導率を測定した。湿潤雰囲気での測定後、今度は乾燥N2ガスを試料室内に流し(流量200ml/min)、乾燥N2ガスを流し始めてから4時間後まで、15〜30分置きに電気伝導率を測定し、計7時間の伝導率の時間変化を調べた。グラフに点線を描いたが、この点線よりも左側が湿潤N2ガス雰囲気中での測定、右側が乾燥N2ガス雰囲気中での測定であることを示している。これは、以降のグラフでも同様である。1回目に試料温度100℃での測定を行い、その測定後温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で放置し、4日後に試料温度70℃の測定を行なった。70℃での測定結果を図1に示す。
CsH2PO4―ポリアクリル酸ナトリウム23%混合試料ペレット(70℃電気伝導率の時間変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合一体成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造) CsH2PO4に重量比でポリアクリル酸ナトリウムを23%混合した試料ペレットを作製し、実施例1と同様の70℃での電気伝導率測定を行った。CsH2PO4粉末とポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)をそれぞれ秤量後乳鉢ですり、その後混ぜ合わせて、ペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、混合試料ペレットNo.P02を作製した。試料ペレットの上下面に銀ペーストを塗布し、電極とした。ペレット作製の際、日常の湿度雰囲気の状態から測定を開始するために、CsH2PO4粉末を乳鉢でする作業のみ乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で行い、ポリアクリル酸ナトリウム粉末を乳鉢でする作業や、すった後のCsH2PO4粉末とポリアクリル酸ナトリウム粉末を混ぜ合わせ金型に入れる作業などは大気中で行った。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)試料ペレットを装置にセット後、ガスを流さずに室温で放置し、翌日測定した。測定中の湿潤N2ガス、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図2に示す。さらに、混合試料ペレットNo.P02を用いて2回目の測定を行った。1回目の測定後、温度を室温に戻し、ガスを流さない状態で一晩放置し、翌日に測定した。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図2に示す。さらに、3回目の測定を行なった。2回目の測定後室温でガスを流さない状態で放置し、3日後の夕方に流量200ml/minの乾燥N2ガスを流し始め、その翌日に測定を行なった。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図2に示す。測定結果図2より、CsH2PO4−ポリアクリル酸ナトリウム混合試料ペレットでは、湿潤N2ガス中に保持することにより、高い伝導率が得られることが分かった。得られた伝導率のうち最高の値は、湿潤N2ガスを流し始めてから3時間後の値であるが、CsH2PO4単体ペレットと比べて1桁以上大きく、超プロトン伝導相に転移後の伝導率に匹敵するほどの値である。測定温度が70℃であることを考えると、これは驚異的に高い値であると言える。また、湿潤N2ガスを流し始めてから30分で10-3S/cm以上の高い値に達する。さらには、乾燥N2ガスを流し始めてから4時間後も10-3S/cm以上の値を維持している。また、測定2回目、3回目の初めの伝導率の値が、測定1回目の値に比べて上昇していることがわかる。これは、前の測定で吸収した水分をペレットが保持し続けるため、その影響が伝導率の上昇として現われたものと考えられる。3回目の測定では、その前に乾燥N2ガスを流した状態で保持したものの、その十数時間程度の乾燥雰囲気での保持ではペレットが乾燥し切らないため、このような値の上昇が起こると考えられる。3回の測定後のCsH2PO4―ポリアクリル酸ナトリウム23%混合試料ペレットを観察した。測定前に塗布した上下の銀ペースト電極よりも試料部がはみ出しおり、これより測定中に試料部が膨張したものと思われる。この膨張は、ポリアクリル酸ナトリウムが吸水した際に起きたものと考えられる。また、雰囲気と触れていたペレット側面にやや凹凸ができていたが、全体的に大きく崩れるということはなく、円筒形の形状をしっかりと保っていた。
CsH2PO4―ポリアクリル酸ナトリウム20%混合試料ペレット(70℃電気伝導率の時間変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)新たにCsH2PO4に重量比で20%のポリアクリル酸ナトリウムを混合した粉末でペレット(混合試料ペレットNo.P03)を作製した。だだし、この混合試料ペレットNo.P03では、通常雰囲気でなく乾燥雰囲気から測定を開始した場合も比較するため、ペレット作製作業を乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で行った。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)試料温度70℃で電気伝導率測定を行った。ペレットを装置にセット後、流量200ml/minの乾燥N2ガスを流して室温で保持し、測定前のペレットの吸湿の効果が出ないように注意した。測定中の湿潤N2ガス、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。伝導率の時間変化を図3に示す。試料ペレットNo.P03も、湿潤N2ガス中に保持することにより、高い伝導率の値を示し、上のデータの再現性が確認された。得られた伝導率のうち最高の値は、CsH2PO4単体ペレットと比べて1桁以上大きく、また、伝導率の上昇の立ち上がり方も大きく、湿潤N2ガスを流し始めてから1時間で10-3S/cm以上の高い値に達する。さらに、乾燥N2ガスを流し始めてから4時間経過後も10-3S/cm以上の値を維持している。ただし、試料ペレットNo.P02に比べて、湿潤N2ガスを流す前の伝導率の値が3桁小さく、その後も伝導率の値はやや小さい値を示した。これは、No.P02ではペレット作製を大気中で行ったのに対し、No.P03では乾燥ガス雰囲気中でペレット作製を行ったために試料ペレットが吸湿せず、保持している水分量の差が伝導率の差として現われたものと考えられる。
CsH2PO4―ポリアクリル酸ナトリウム30%混合試料ペレット(70℃電気伝導率の時間変化)測定結果を固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)実施例3と同様にして重量比で30%のポリアクリル酸ナトリウムを混合した試料ペレットNo.P04を作製した。試料ペレット作製の際には、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行う
ようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)試料温度70℃で電気伝導率測定を行った。試料ペレットを装置にセット後、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で室温で放置し、翌日測定した。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量を200ml/minとした。測定結果を図4に示す。さらに、同じ試料ペレットNo.P04を用いて2回目の測定を行った。1回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で放置し、3日後に測定した。測定条件は1回目と同じである。測定結果を図4に示す。 以上の測定により、ポリアクリル酸ナトリウムの混合比を変えても、試料温度70℃では、CsH2PO4―ポリアクリル酸ナトリウム混合試料ペレットの電気伝導率が、湿潤N2ガスの供給によりCsH2PO4が超プロトン伝導相に転移後に匹敵するほどの高い値になること、その後乾燥N2ガスを流しても高い伝導率が維持されることが確認された。また、伝導率の最高値を比較すると、混合比30%、20%、10%の順で高く、混合比が高い方が伝導率も高くなることが分かった。
CsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム10%混合試料ペレット(70℃電気伝導率の時間変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)CsHSO4についてもポリアクリル酸ナトリウムを混合した試料ペレットを作製し、電気伝導率測定を行った。CsHSO4に重量比で10%のポリアクリル酸ナトリウムを混合した粉末でペレット(混合試料ペレットNo.S01)を作製した。三津和化学薬品製CsHSO4粉末(純度99%以上)と和光純薬製ポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)をそれぞれ秤量後乳鉢ですり、その後混ぜ合わせてペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、混合試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に藤倉化成製銀ペースト[ドータイトD-500]を塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)試料ペレットの温度を70℃に保った状態で、電気伝導率測定を行った。試料ペレットを装置にセット後、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で室温で放置し、翌日測定を行った。目的の温度に昇温し、乾燥N2ガス雰囲気で1回測定後、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた70℃の飽和水蒸気を含むN2ガスを3時間流し、その後乾燥N2ガスを4時間流した。その間15〜30分置きに交流インピーダンス測定を行い、電気伝導率の時間変化を調べた。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図5に示す。さらに、同じ混合試料ペレットNo.S01を用いて2回目の測定を行った。1回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で放置し、翌日測定した。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図5に示す。
CsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム20%混合試料ペレット(70℃電気伝導率の時間変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)CsHSO4に重量比で20%のポリアクリル酸ナトリウムを混合した試料ペレットNo.S02を作製した。CsHSO4粉末とポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)をそれぞれ秤量後乳鉢ですり、その後混ぜ合わせてペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、混合試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に銀ペーストを塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)試料ペレットの温度を70℃に保った状態で、伝導率測定を行った。試料ペレットを装置にセット後、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で室温で放置し、翌日伝導率測定を行った。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図6に示す。さらに、同じ混合試料ペレットを用いて2回目の測定を行なった。1回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で放置し、7日後に測定した。測定結果を図6に示す。
CsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム30%混合試料ペレット(70℃電気伝導率の時間変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)新たにCsHSO4に重量比で30%のポリアクリル酸ナトリウムを混合した粉末でペレット(混合試料ペレットNo.S03)を作製した。CsHSO4粉末とポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)をそれぞれ秤量後乳鉢ですり、その後混ぜ合わせてペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、混合試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に銀ペーストを塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)試料ペレットの温度を70℃に保った状態で、伝導率測定を行った。試料ペレットを装置にセット後、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で、室温で放置し、4日後に測定を行った。目的の温度に昇温し、乾燥N2ガス雰囲気で1回測定後、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを3時間流し、その後乾燥N2ガスを4時間流した。その間15〜30分置きに交流インピーダンス測定を行い、電気伝導率の時間変化を調べた。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図7に示す。さらに、同じ混合試料ペレットNo.S03を用いて2回目の測定を行った。1回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で放置し、3日後に測定した。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図7に示す。 以上の測定により、CsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム混合試料においても、ポリアクリル酸ナトリウム混合比10%および20%の混合試料ペレットは、湿潤N2ガスの供給により試料温度70℃で高い電気伝導率に達し、その後乾燥N2ガスを流しても高伝導率が維持されることが確認された。伝導率の最高到達値は約1×10-1S/cmであった。この値は、CsHSO4単独ペレットを150〜200℃の超プロトン伝導相において測定した値約1×10-2S/cmを上回るものである。また、CsH2PO4―ポリアクリル酸ナトリウム混合試料よりもさらに高い値だった。しかし、混合比30%の試料ペレットは、湿潤N2ガスの供給により高い伝導率に達するものの、乾燥N2ガスを流し始めると伝導率が急激に下がり、4時間程で乾燥N2ガス雰囲気中と同程度の値まで下がってしまうことが分かった。
CsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム10%混合試料ペレット(100℃電気伝導率の時間変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)新たにCsHSO4に重量比で10%のポリアクリル酸ナトリウムを混合した粉末でペレット(混合試料ペレットNo.S04)を作製した。CsHSO4粉末とポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)をそれぞれ秤量後乳鉢ですり、その後混ぜ合わせてペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、混合試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に銀ペーストを塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)試料ペレットの温度を100℃に保った状態で、伝導率測定を行った。試料ペレットを装置にセット後、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で、室温で放置し、翌日測定を行った。目的の温度に昇温し、乾燥N2ガス雰囲気で1回測定後、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを3時間流し、その後乾燥N2ガスを4時間流した。その間15〜30分置きに交流インピーダンス測定を行い、電気伝導率の時間変化を調べた。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図8に示す。さらに、同じ混合試料ペレットNo.S04を用いて2回目の測定を行った。1回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で放置し、2日後に測定した。測定中の湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図8に示す。 測定により、100℃でも、湿潤N2ガスの供給により混合試料ペレットの電気伝導率が上昇し、乾燥N2ガスを流した後も高い伝導率が維持されることが分かった。
CsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム10%混合試料ペレット(70〜180℃湿潤ガス雰囲気電気伝導率の温度変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)新たにCsHSO4に重量比で10%のポリアクリル酸ナトリウムを混合した粉末でペレット(混合試料ペレットNo.S05)を作製した。CsHSO4粉末とポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)をそれぞれ秤量後乳鉢ですり、その後混ぜ合わせてペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、混合試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に銀ペーストを塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)70〜180℃の温度範囲で、電気伝導率測定を行った。試料ペレットを装置にセット後、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で、室温で放置し、翌日測定を行った。まず、温度70℃で、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガス中に3時間保持することにより、混合試料ペレットを湿らせた。その後湿潤N2ガスを流したままの状態で、温度を100℃、120℃、140℃、160℃、180℃と上げていった。各温度に到達後30分保持し、その後伝導率測定を行った。湿潤N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図9に示す。さらに、同じ混合試料ペレットNo.S05を用いて2回目の測定を行った。1回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で放置し、翌日測定した。測定中の湿潤N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図9に示す。
CsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム20%混合試料ペレット(70〜180℃湿潤ガス雰囲気電気伝導率の温度変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)新たにCsHSO4に重量比で20%のポリアクリル酸ナトリウムを混合した粉末でペレット(混合試料ペレットNo.S06)を作製した。CsHSO4粉末とポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)をそれぞれ秤量後乳鉢ですり、その後混ぜ合
わせてペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、混合試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に銀ペーストを塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)70〜180℃の温度範囲で、電気伝導率測定を行った。試料ペレットを装置にセット後、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で室温で放置し、翌日測定を行った。まず、温度70℃を保った状態で、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを流し、試料ペレットを湿らせた。その後湿潤N2ガスを流したままの状態で、温度を100℃、120℃、140℃、160℃、180℃と上げていった。各温度に到達後30分保持し、その後伝導率測定を行った。湿潤N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図10に示す。さらに、同じ混合試料ペレットNo.S06を用いて2回目の測定を行った。1回目の測定後、試料ペレットを取り出し、デシケータ内で保持した。1回目の測定から8日後に再び試料ペレットを試料室内にセットし、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で、室温で放置し、さらに4日後に測定した。測定中の湿潤N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図10に示す。
CsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム30%混合試料ペレット(70〜180℃湿潤ガス雰囲気電気伝導率の温度変化)(固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体の製造)新たにCsHSO4に重量比で30%のポリアクリル酸ナトリウムを混合した粉末でペレット(混合試料ペレットNo.S07)を作製した。CsHSO4粉末とポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)をそれぞれ秤量後乳鉢ですり、その後混ぜ合わせてペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、混合試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に銀ペーストを塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)70〜180℃の温度範囲で、電気伝導率測定を行った。試料ペレットを装置にセット後、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で、室温で放置し、5日後に測定を行った。まず、温度70℃を保った状態で、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを流し、試料ペレットを湿らせた。その後湿潤N2ガスを流したままの状態で、温度を100℃、120℃、140℃、160℃、180℃と上げていった。各温度に到達後30分保持し、その後伝導率測定を行った。湿潤N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図11に示す。さらに、同じ混合試料ペレットNo.S07を用いて2回目の測定を行った。1回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で放置し、翌日測定した。測定中の湿潤N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図11に示す。 以上の測定により、70℃で十分に湿らせた混合試料ペレットの電気伝導率は、温度の上昇により減少し、120〜140℃では伝導率が10-4S/cm程度になることが分かった。これは、温度の上昇により雰囲気の相対湿度が減少するためと考えられる。しかし、CsHSO単体による同条件での測定では、100〜140℃における伝導率が10-5S/cm以下まで低下することと比較すると、伝導率向上効果が残っているものと考えられる。160〜180℃では再び上昇に転じた。これは、CsHSO4の超プロトン伝導相への相転移によるものと考えられる。ポリアクリル酸ナトリウム混合比ごとの結果を比較すると、10、20、30%のうち20%のものが、120℃以上での伝導率の減少が小さく、最もよい結果を示した。
次に、水分保持物質としてポリスチレンスルホン酸塩系物質を選んで本発明を実施した。本発明で用いることができるポリスチレンスルホン酸塩は、一般式
Figure 0005083653
(式中、nは1から2500の整数であり、Mはアルカリ金属である)で表される。
この化合物は、ポリスチレンのパラ位をスルホニル基に置換した構造を持つ、熱に対して比較的安定なポリマーであり、モノマーを含んでいても、モノマーであっても良い。
水溶性であるため、CsH2PO4への添加が容易である。
このポリマーは合成が比較的容易で、反応時間や反応停止剤によって重合度を調節できる。
本発明においてはポリスチレンスルホン酸塩系物質の代表例としてp(パラ)-ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを選択した。
(p-ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの合成)
ポリマー合成は以下のように行った。ビーカーにp-スチレンスルホン酸ナトリウム1gを入れ、イオン交換水13gを加えたところ完全に溶解した。この溶液に重合開始剤のK2S2O8を0.03g加え、時計皿でふたをして150度のホットプレートで2時間加熱した。時計皿を取り除いたところ内容物はしだいに乾燥して水飴状になり、最終的には、にかわのような固体になった。同じ製法で数回合成した。
次に、CsH2PO4との混合試料(重量比1%,6%,10%,20%,30%、50%)を作製した。ビーカーにポリマーを各々0.04g,0.24g,0.10g,0.10g,0.15g,0.80g量り取り、これにCsH2PO4 3.96g,3.76g,1.00g,0.50g,0.50g,1.6gを加え、さらに水10ml(50%の場合のみ20ml)を加えてよく混合攪拌し溶解させた後、180度のホットプレートで加熱し蒸発乾固した。濃縮が進むにしたがってガム状のポリマーが析出し、次いで白色の結晶が析出した。ポリマーの析出は1%,6%と増えるに従って多くなった。ポリマーの一部分はCsH2PO4と充分に混合しなかった可能性がある。
(p-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム1wt%含有試料の電気伝導率測定)
合成したp-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム1wt%を混合した試料のペレットNo.PO01-01を作製して電気伝導率測定を行った。
0.5g秤量後乳鉢ですり、全量をペレット成型金型に入れて5ton/cm2(490MPa)の圧力で圧縮し、試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に藤倉化成製銀ペースト・ドータイトD-500を塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、なるべく乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。70℃に昇温し、乾燥N2ガス雰囲気で測定後、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを3時間流し、その後乾燥N2ガスを4時間流した。その間15〜30分置きに交流インピーダンス測定を行い、電気伝導率の時間変化を調べた。湿潤N2ガス、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。同様の測定を3回行った。2回目は1回目の2日後、3回目は2回目の翌日に行い、測定と測定の間は室温に戻し、流量200ml/minの乾燥N2ガスを流した。測定結果を図12に示した。
測定開始時の伝導度は約10-5S/cmであった。湿潤雰囲気下、5x10-4S/cm程度まで上昇し、乾燥ガス切り替え後、徐々に低下した。測定終了時の伝導度は10-4S/cm以下であった。2回目測定時(2晩後)の測定開始時の伝導度は1回目とほぼ同じであった。2回目測定時の乾燥ガス切り替え後、伝導度が半桁ほど上昇した。原因は不明である。3回目測定開始時の伝導度も、1,2回目より半桁ほど高かった。
続いて、50℃〜250℃で温度を変化させた場合の電気伝導率を測定した。測定には、上の測定で使用したp-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム1wt%を混合した試料のペレットNo.PO01-01を用いた。湿潤N2ガスを流量200ml/minで供給し、測定雰囲気とした。測定結果を図13に示した。伝導度の温度変化はリン酸塩単体の場合とほぼ同様であった。
また、測定後のポリスチレンスルホン酸ナトリウム1wt%ペレットを観察したところ、大きな変色や変形はなかった。
(p-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム6wt%含有試料の電気伝導率測定)
合成したp-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム6wt%を混合した
試料のペレットNo.PO06-01を作製し、電気伝導率測定を行った。
0.5g秤量後乳鉢ですり、全量をペレット成型金型に入れて5ton/cm2(490MPa)の圧力で圧縮し、試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に藤倉化成製銀ペースト・ドータイトD-500を塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、なるべく乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。70℃に昇温し、乾燥N2ガス雰囲気で交流インピーダンスを測定後、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを3時間流し、その後乾燥N2ガスを4時間流した。その間15〜30分置きに交流インピーダンス測定を行い、電気伝導率の時間変化を調べた。湿潤N2ガス、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。1回目の測定後、温度を室温に戻し、流量200ml/minの乾燥N2ガスを流した状態で放置した。1回目の測定の2日後に同様の測定を行った。測定結果を図14に示した。
湿潤雰囲気下、伝導度は測定開始時の約2x10-6S/cmから2x10-3S/cm程度まで上昇した。乾燥ガス切り替え後、徐々に低下し4時間で2x10-4S/cm程度まで約1桁低下した。2回目(2晩後)の測定開始時の伝導度は約4x10-5S/cmであった。
次に、50℃〜250℃で温度を変化させた場合の電気伝導率を測定した。測定には上の測定で使用したp-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム6wt%を混合した ペレットNo.PO06-01を用いた。湿潤N2ガスを流量200ml/minで供給し、測定雰囲気とした。測定結果を図15に示した。伝導度の温度変化はリン酸塩単体の場合とほぼ同様であった。
測定後のペレットを観察したところ、大きな変色や変形はなかった。
(p-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム10wt%含有試料の電気伝導率測定)
合成したp-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム10%を混合した試料ペレットNo.PO10-01を作製し、電気伝導率測定を行った。
0.5g秤量後乳鉢ですり、全量をペレット成型金型に入れて5ton/cm2(490MPa)の圧力で圧縮し、試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に藤倉化成製銀ペースト・ドータイトD-500を塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、なるべく乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。
まず、70℃での供給ガスによる電気伝導率の時間変化を測定した。測定には上の測定で使用したペレットNo.PO10-01を用いた。70℃に昇温し、乾燥N2ガス雰囲気で1度測定後、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを3時間流し、その後乾燥N2ガスを4時間流した。その間15〜30分置きに交流インピーダンス測定を行い、電気伝導率の時間変化を調べた。湿潤N2ガス、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。同様の測定を3回行った。2回目は1回目の翌日、3回目は2回目の5日後に行い、測定と測定の間は室温に戻し、流量200ml/minの乾燥N2ガスを流した。測定結果を図16に示した。
次に、50〜250℃で温度変化させた場合の電気伝導率を測定した。測定には上の測定で使用したp-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム10%を混合したペレットNo.PO10-01を用いた。湿潤N2ガスを流量200ml/minで供給し、測定雰囲気とした。測定結果を図17に示した。

(p-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム20%含有試料の電気伝導率測定)
合成したp-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム20%を混合した混合比20%の試料ペレットNo.PO20-01を作製し、電気伝導率測定を行った。
0.5g秤量後乳鉢ですり、全量をペレット成型金型に入れて5ton/cm2(490MPa)の圧力で圧縮し、試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に藤倉化成製銀ペースト・ドータイトD-500を塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、なるべく乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。70℃に昇温し、乾燥N2ガス雰囲気で1度測定後、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを3時間流し、その後乾燥N2ガスを4時間流した。その間15〜30分置きに交流インピーダンス測定を行い、電気伝導率の時間変化を調べた。湿潤N2ガス、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。1回目の測定後、温度を室温に戻し、流量200ml/minの乾燥N2ガスを流した状態で放置した。1回目の測定の3日後に同様の測定を行った。測定結果を図18に示した。
(p-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム30%含有試料の電気伝導率測定)
合成したp-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム30%を混合した混合比30%の試料ペレットNo.PO30-01を作製し、電気伝導率測定を行った。
0.5g秤量後乳鉢ですり、全量をペレット成型金型に入れて5ton/cm2(490MPa)の圧力で圧縮し、試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に藤倉化成製銀ペースト・ドータイトD-500を塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、なるべく乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。70℃に昇温し、乾燥N2ガス雰囲気で1度測定後、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを3時間流し、その後乾燥N2ガスを4時間流した。その間15〜30分置きに交流インピーダンス測定を行い、電気伝導率の時間変化を調べた。湿潤N2ガス、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。1回目の測定後、温度を室温に戻し、流量200ml/minの乾燥N2ガスを流した状態で放置した。1回目の測定の翌日に同様の測定を行った。測定結果を図19に示した。
(p-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム50%含有試料の電気伝導率測定)
合成したp-ポリスチレンスルホン酸ナトリウム50%混合比50%の試料ペレットNo.PO50-01を作製し、電気伝導率測定を行った。
0.5g秤量後乳鉢ですり、全量をペレット成型金型に入れて5ton/cm2(490MPa)の圧力で圧縮し、試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に藤倉化成製銀ペースト・ドータイトD-500を塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、なるべく乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。70℃に昇温し、乾燥N2ガス雰囲気で1度測定後、リガク製湿度発生装置HUM-1(水槽温度70℃)により発生させた湿潤N2ガスを3時間流し、その後乾燥N2ガスを4時間流した。その間15〜30分置きに交流インピーダンス測定を行い、電気伝導率の時間変化を調べた。湿潤N2ガス、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図20に示した。
(ヒドロキノン添加ポリマー含有試料の電気伝導率測定)
ラジカル捕集剤として知られるヒドロキノンを重合反応開始後5分後に投入し、反応を停止させたポリスチレンスルホン酸ナトリウムを作成した。反応を途中で停止することにより、重合度が小さいポリマーが生成したと考えられる。この生成物とCsH2PO4との混合ペレット(重量比1:10)を作製し、同様の電気伝導率測定を行った。測定結果を図21に示した。
電気伝導率がCsH2PO4単体より高い10-3S/cm以上まで上昇し、乾燥N2ガスを流してからの伝導率の低下も小さかった。
(比較例)比較のため、保水性物質を含まないCsH2PO4ペレットを作成し、その特性を調べた。(固体酸塩型電解質体の製造)三津和化学薬品製CsH2PO4粉末(純度99%以上)を乳鉢ですり、その後成型金型に入れ、手動油圧式プレスにより6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮し、径8.1mm、厚さ4.3mmのCsH2PO4ペレットを作製した。ペレット上下面に銀ペーストを塗り電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。(電解質体中のプロトン伝導性の測定)CsH2PO4ペレットを70℃に保った状態で、リガク製湿度発生装置HUM-1によって生成した70℃の飽和水蒸気を含むN2ガスを試料室内に供給し(流量200ml/min)、湿潤N2ガスを流し始めてから3時間後まで、30分置きに電気伝導率を測定した。湿潤雰囲気での測定後、今度は乾燥N2ガスを試料室内に流し(流量300ml/min)、乾燥N2ガスを流し始めてから4時間後まで、30分置きに電気伝導率を測定した。計7時間の伝導率の時間変化を図22に示す。1回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量300 ml/minで流した状態で一晩置き、翌日同様の測定を行い、電気伝導率の変化を調べた。その結果を図22に示す。ただし、湿潤N2ガスの流量は1回目と同様200ml/min であるが、3時間経過後から流す乾燥N2ガスの流量を500ml/minとした。2回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量300 ml/minで流した状態で保持し、翌日3回目の測定を行った。湿潤N2ガスの流量を200ml/min、乾燥N2ガスの流量を400ml/minとした。その結果を図22に示す。測定結果図22より、湿潤ガスを流した状態では電気伝導率が上昇し、その後乾燥ガスを流すことにより伝導率が減少し、10-4〜10-5S/cm程度にまで下がることが確認された。また、2回目、3回目の測定の初めの伝導率の値が、1回目の値に比べて上昇していることが分かる。この伝導率の値は乾燥ガス雰囲気で保持した後の値であるが、夜間は乾燥N2ガスを流した状態で置いたものの、その十数時間程度の保持ではペレットが乾燥し切らないため、このような値の上昇が起こると考えられる。
また、本発明の電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体において、ペレットが電解質体中のプロトン伝導性に基づく特性を示していることを実証すべく、ペレット内での電子伝導の有無を調べるために、交流インピーダンス測定の度に、直流抵抗の測定を行った。(参考例1)実施例2の混合試料ペレットNo.P02を用いて、HIOKI製LCRメータとアナログテスターで、測定を行った。その結果を図23に示す。(参考例2)実施例3の混合試料ペレットNo.P03を用いて、アナログテスターで、測定を行った。その結果を図23に示す。直流抵抗は、電子伝導に対する抵抗と考えられる。得られた直流抵抗値はLCRメータ、アナログテスター共に、数十kΩのオーダーの抵抗を示し、わずかに時間変化をするが、交流インピーダンス測定から得られる抵抗値のように大きな時間変化はしなかった。交流インピーダンス測定より得られた試料ペレット抵抗値が数十Ωなのに対し、直流抵抗値は数十kΩと、数百倍から千倍程度大きな値なので、この試料内での電子伝導は無視できるものと考えることができる。
また、本発明の電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体において、固体酸塩型電解質を含まず、水分保持物質のみでもうまく行かないことを実証すべく、水分保持物質(ポリアクリル酸ナトリウム単体)のみのペレットを作製し、70℃での電気伝導率変化を測定した。(参考例3)ポリアクリル酸ナトリウム単体の試料ペレットを作製し、同様の測定を行った。和光純薬製ポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度22,000〜70,000)を乳鉢ですり、その後ペレット成型金型に入れ、6ton/cm2(590MPa)の圧力で圧縮して、試料ペレットを作製した。試料ペレットの上下面に銀ペーストを塗布し、電極とした。試料ペレット作製の際には、試料が吸湿してしまわないように、乾燥N2ガスを流したグローブバッグ内で作業を行うようにした。試料ペレットを装置にセット後、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で室温で放置し、3日後に測定した。湿潤N2ガスの流量、乾燥N2ガスの流量は200ml/minとした。測定結果を図24に示す。さらに、同じ単体試料ペレットを用いて2回目の測定を行った。1回目の測定後、温度を室温に戻し、乾燥N2ガスを流量200ml/minで流した状態で放置し、3日後に測定した。測定結果を図24に示す。 ポリアクリル酸ナトリウム単体試料ペレットにおいても、湿潤N2ガスの供給により伝導率が上昇することが確認された。しかし、CsH2PO4―ポリアクリル酸ナトリウム混合試料またはCsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム混合試料よりはやや伝導率が低いこと、その後乾燥N2ガスを供給すると急激に伝導率が減少することより、伝導率の高さ、伝導率の保持の両方の点で、CsH2PO4―ポリアクリル酸ナトリウム混合試料またはCsHSO4―ポリアクリル酸ナトリウム混合試料の方が優れていることが分かる。
本発明の電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体は、固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電解質体であり、電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体を適切な加湿システムと組み合わせることにより、燃料電池や大容量キャパシターの電解質として利用することが出来るため、燃料電池や大容量キャパシターへの実用化が期待できる。また、本発明の電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体は、電池始動時は加湿システムの補助により、高いプロトン伝導能を発現させ電池反応を効率よく進行させる。反応開始後は反応熱により電解質が加温され、超プロトン伝導相への転移を自発的に引き起すことができ、エネルギー効率・廃熱利用効率が高い温度領域での燃料電池運転が可能となる。産業上の利用価値が高いものである。
実施例1の70℃での電気伝導率の時間変化図 実施例2の1回目〜3回目の伝導率の時間変化図 実施例3の1回目の伝導率の時間変化図 実施例4の1回目〜2回目の伝導率の時間変化図 実施例5の1回目〜2回目の伝導率の時間変化図 実施例6の1回目〜2回目の伝導率の時間変化図 実施例7の1回目〜2回目の伝導率の時間変化図 実施例8の1回目〜2回目の伝導率の時間変化図 実施例9の1回目〜2回目の伝導率の温度変化図 実施例10の1回目〜2回目の伝導率の温度変化図 実施例11の1回目〜2回目の伝導率の温度変化図 実施例12の1回目〜3回目の伝導率の時間変化図 実施例13の伝導率の温度変化図 実施例14の1回目〜2回目の伝導率の時間変化図 実施例15の伝導率の温度変化図 実施例16の1回目〜3回目の伝導率の時間変化図 実施例17の伝導率の温度変化図 実施例18の1回目〜2回目の伝導率の時間変化図 実施例19の1回目〜2回目の伝導率の時間変化図 実施例20の1回目の伝導率の時間変化図 実施例21の1回目の伝導率の時間変化図 比較例の1回目〜3回目の伝導率の時間変化図 参考例1及び参考例2の直流伝導率の時間変化図 参考例3の1回目〜2回目の伝導率の時間変化図 計測装置の概略図

Claims (4)

  1. 陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質と水分保持物質とを混合成型して成り、前記固体酸塩型電解質が、硫酸水素セシウム(CsHSO 4 )又はリン酸二水素セシウム(CsH PO 4 )であり、前記水分保持物質が、ポリアクリル酸塩系物質、ポリアクリルアミド系物質、ポリビニルアルコール系物質、ポリオキシエチレン、カルボキシメチルセルロース系物質、イソブチレン/マレイン酸塩系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物質、ポリスチレンスルホン酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩系物質から選ばれる高分子ゲルから選ばれる有機質水分保持物質の1種である、電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体。
  2. 陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体において、前記固体酸塩型電解質が、硫酸水素セシウム(CsHSO 4 )又はリン酸二水素セシウム(CsH PO 4 )であり、前記水分保持物質が、ポリアクリル酸塩系物質、ポリアクリルアミド系物質、ポリビニルアルコール系物質、ポリオキシエチレン、カルボキシメチルセルロース系物質、イソブチレン/マレイン酸塩系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物質、ポリスチレンスルホン酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩系物質から選ばれる高分子ゲルから選ばれる有機質水分保持物質の1種であり、前記固体酸塩型電解質及び前記水分保持物質を用いて、10℃から140℃で、電解質体の表面を、湿度を10%から100%の範囲に強制的に保つことにより、電解質体中のプロトン伝導性を向上させる固体酸塩型電解質体の活性化方法。
  3. 陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体を用いた大容量キャパシターであって、前記固体酸塩型電解質が、硫酸水素セシウム(CsHSO 4 )又はリン酸二水素セシウム(CsH PO 4 )であり、前記水分保持物質が、ポリアクリル酸塩系物質、ポリアクリルアミド系物質、ポリビニルアルコール系物質、ポリオキシエチレン、カルボキシメチルセルロース系物質、イソブチレン/マレイン酸塩系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物質、ポリスチレンスルホン酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩系物質から選ばれる高分子ゲルから選ばれる有機質水分保持物質の1種であり、前記固体酸塩型電解質及び前記水分保持物質を用いて、10℃から140℃で、大容量キャパシターの固体酸塩型電解質体の表面を、湿度を10%から100%の範囲に強制的に保つことにより、固体酸塩型電解質体中のプロトン伝導性を向上させることを特徴とする大容量キャパシター。
  4. 陽イオンと陰イオンからなる固体酸塩型電解質と水分保持物質を混合成型した電気化学的エネルギー変換デバイス用電解質体を用いた燃料電池であって、前記固体酸塩型電解質が、硫酸水素セシウム(CsHSO 4 )又はリン酸二水素セシウム(CsH PO 4 )であり、前記水分保持物質が、ポリアクリル酸塩系物質、ポリアクリルアミド系物質、ポリビニルアルコール系物質、ポリオキシエチレン、カルボキシメチルセルロース系物質、イソブチレン/マレイン酸塩系物質、ポリビニルアルコール/ポリアクリル酸塩系物質、ポリスチレンスルホン酸塩系物質、デンプン/ポリアクリル酸塩系物質から選ばれる高分子ゲルから選ばれる有機質水分保持物質の1種であり、前記固体酸塩型電解質及び前記水分保持物質を用いて、10℃から140℃で、燃料電池の固体酸塩型電解質体の表面を、湿度を10%から100%の範囲に強制的に保つことにより、固体酸塩型電解質体中のプロトン伝導性を向上させることを特徴とする燃料電池。
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