JP5083143B2 - 高Al鋼の連続鋳造用モールドフラックス及び鋳片の製造方法 - Google Patents

高Al鋼の連続鋳造用モールドフラックス及び鋳片の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間圧延ミルにおいて、粗圧延後に再加熱した後の、スケール除去時の剥離性に優れた高Al鋼鋳片の連続鋳造用モールドフラックス、及びこの連続鋳造鋳片を熱間圧延(以下、熱延とも言う。)して製造する方法に関するものである。
特にsol.Al濃度が0.1〜1.5質量%、Si濃度が0.3〜2.0質量%、C濃度が0.05〜0.18質量%の高張力熱延鋼板素材であるスラブを高品質で鋳造し、熱延コイルの表面に残留する島状スケールを効果的に防止可能とするものである。
従来、熱延ミルにおいて、粗圧延後に再加熱した後の、高圧水等を使用してスケールを除去する際の剥離性を高める方法として、以下のような技術が開示されている。
特許文献1には、スラブを高温加熱すると、ファイアライト(2FeO・SiO2)が溶融している状態でデスケーリングが行われることになるので、スケールの除去が容易になることが開示されている。
特開平5−317913号公報
また、特許文献2には、スラブを粗圧延して粗バーとし、その後その表面を加熱してスケールを厚く生成させた後に、粗バーの表面に高圧水を噴射して表面のスケールを除去する方法が開示されている。
特開2001−323324号公報
これらの開示技術から、デスケーリング前における鋼材表面の加熱が、スケール剥離性を高めるのに有効であることが分かる。その理由は、鋼材をスケール基底部のファイアライト層の融点(1210℃)以上に加熱すれば、地鉄側からのFeイオンの拡散が起こり易くなり、スケールが厚く生成された状態でデスケーリングを行うためとされている。
あるいは、同様の原理を利用してスケールの剥離性を高める方法として、特許文献3には、鋼中におけるBまたはMo、またはその両方の元素濃度を高くすることで、ファイアライトの融点を低下させる方法が開示されている。
特開2000−319730号公報
しかしながら、特許文献1或いは特許文献2に開示された、スケール除去前に鋼材を加熱する方法は、加熱装置の能力によっては十分な加熱が得られない場合がある。一方、特許文献3の方法は、スケール生成を阻害するファイアライト層の融点を低下させ、加熱温度が低い場合もファイアライト層を溶融させてスケール生成の促進を狙ったものと考えられるが、簡便にデスケール性を高めることが容易な方法とは言い難い。
そこで、出願人は、簡便かつ効果的に2次スケールを除去して、鋼板表面の島状スケールを防止することが可能な連続鋳造用モールドフラックスを特許文献4で提案した。
特開2007−105763号公報
しかしながら、sol.Al濃度が0.1質量%以上、とりわけ0.3質量%以上の高Al鋼を連続鋳造する場合は、鋼中AlによるSiO2等の還元作用によって凝固温度等の物性値が大きく変化する。従って、前記高Al鋼を連続鋳造する場合は、特許文献4で提案したモールドフラックスを使用しても、安定した鋳造が行えない場合があるということが判明した。
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献1〜特許文献3に開示された方法が有する問題を解決可能な特許文献4の技術でも、sol.Al濃度が0.1質量%以上の高Al鋼を連続鋳造する場合は、安定した鋳造が行えない場合があるという点である。
本発明は、特許文献4で提案した発明を高Al鋼の連続鋳造が可能なように改良したものである。
すなわち、粗圧延後に再加熱した後のスケール剥離性を高める方法として、特許文献2に開示された方法を適用するにあたって、その効果を高める連続鋳造用モールドフラックスを提供するものである。また、鋳造中におけるモールドフラックス物性値の変化を小さく抑え、安定した操業と高品質な鋳片を製造する方法を提供するものである。
ここで、粗圧延後に誘導ヒータ等で鋼板を加熱した際のスケール厚さを厚くするには、スケールと地鉄界面間に形成されるファイアライト層を融点以上の温度にまで加熱し、ファイアライト層が有する物質移動阻害作用を軽減することが重要なポイントである。すなわち、このプロセスにおけるスケール剥離性を向上させるには、ファイアライトの融点を低下させることが効果的である。
また、sol.Al濃度が0.1質量%以上、とりわけ0.3質量%以上の高Al鋼の連続鋳造には、前記ファイアライトの融点低下作用を維持しつつ、鋼中AlでSiO2等が還元されても、凝固温度等の物性値に大きな変化がないモールドフラックスの設計が求められる。
発明者らは、鋳片の表面に生成するスケールに及ぼすモールドフラックスの影響や、その影響と高Al鋼の連続鋳造との関わり等について、調査、研究を重ねた結果、以下の事実を見出した。
(1) sol.Al濃度が0.1質量%以上の高Al鋼の連続鋳造時には、鋼中Alによるモールドフラックス中SiO2等の還元反応が、溶融したモールドフラックスと溶鋼との濡れ性を改善する。従って、鋳片表面に多くのモールドフラックスが付着、もしくは鋳片表層部にモールドフラックス由来成分が濃化し、スケール中のモールドフラックス由来成分の含有率が増加する。よって、特許文献4に規定しているように、CaO含有率をSiO2含有率で除した比(CaO/SiO2)を1.0以下としてモールドフラックスの付着性を高める必要性は小さい。
(2) モールドフラックス組成の内、平衡する酸素分圧がSiO2やFeOに近い酸化物は、スケールと地鉄界面近くのファイアライト層中に選択的に濃化する。
(3) モールドフラックス中にP2O5或いはB2O3を添加すると、ファイアライト層中にこれらの酸化物が濃化し、その融点を降下させる作用を有する。これらは単体で添加しても効果的であるが、組み合わせて添加すると相乗的に効果を発揮する。
(4) sol.Al濃度が1.5質量%以上の高Al鋼の場合、連続鋳造時に鋼中Alによるモールドフラックス中SiO2等の還元反応が進行した時の凝固温度や粘度という物性値の変化を小さく保つには、CaO/SiO2を1.0〜2.0とすれば良い。この場合、一旦溶融させたフラックスが凝固する際に晶出或いは析出する主な結晶相がカスピダイン(Cuspidine)となる。
発明者らは、以上の(1)乃至(4)の事実から、以下の本発明を成立させた。
ここで、モールドフラックスは、通常、化学組成として、CaOおよびSiO2を主成分とし、Al2O3、MgO、Na2O等のアルカリ金属酸化物やフッ素(F)等を含有して適正な凝固温度に調整し、滓化速度調整剤としてカーボンを1〜5質量%程度添加したものである。
すなわち、第1の本発明の高Al鋼の連続鋳造用モールドフラックスは、
sol.Al濃度が0.1〜1.5質量%、Si濃度が0.3〜2.0質量%、C濃度が0.05〜0.18質量%である普通鋼を対象とし、
粗圧延後に鋼板を加熱してスケールを厚く生成させた後、高圧水スプレーによってスケールを除去する際に、連続鋳造用モールドフラックスを活用してスケール剥離性を高めるために、
CaO/SiO2が1.0〜2.0であり、
P2O5が1.0〜8.0質量%、B2O3が0.5〜5.0質量%のうちの1種または2種を含有し、
かつ、凝固温度が1050〜1200℃、1300℃における粘度が0.5〜2.5dPa・sであり、
一旦溶融させたフラックスを毎分10℃の速度で冷却した常温試料中の主な結晶相がカスピダインであることを最も主要な特徴としている。
第1の本発明モールドフラックスにおいて、
さらに、対象とする普通鋼を40m以上連続鋳造した際の鋳型内溶融層の凝固温度が、第1の本発明に規定した元組成の前記凝固温度に対し、20℃〜200℃高く、かつ1300℃以下であり、
かつ、第1の本発明に規定した元組成の前記粘度に対して、鋳型内溶融層の1300℃における粘度の上昇が2.5dPa・s以下としたのが第2の本発明モールドフラックスである。
前記何れかの本発明モールドフラックスを用いて連続鋳造した鋳片には、ファイアライトの融点が低下したスケールが付着しているが、溶削あるいは研削によって表層部を除去してしまうと、モールドフラックスの効果が消滅してしまう。従って、熱延工程において、粗圧延後再加熱し、その後に高圧水等によってスケールを除去するまでは、表層部を除去してはならない。
本発明の鋳片の製造方法は、前記の考察に基づいてなされたものであり、
前記何れかの本発明モールドフラックスを用いて連続鋳造した鋳片を熱間圧延して鋳片を製造する方法であって、
前記連続鋳造鋳片を素材として熱間圧延する際の粗圧延後に該鋳片を再加熱し、その後、高圧水によって該鋳片の表面スケールを除去して熱間圧延を継続するに際して、
連続鋳造後から熱間圧延を開始するまでの間に、該鋳片の表層部を溶削または研削する手入れを行わないことを最も主要な特徴としたものである。
本発明によれば、sol.Al濃度が0.1質量%以上の高Al鋼を連続鋳造する場合であっても、スケールと地鉄界面間のファイアライト層の融点を15℃あるいは35℃以上降下できる。従って、熱延ミルにおける粗圧延後にファイアライトの融点以上に加熱してスケール成長を促すことが容易になり、直後の高圧水等によるスケール除去を促進できる。その結果、島状スケールの少ない熱延鋼板を得ることができるようになる。
以下、本発明を実施するための形態と共に最良の形態について、詳細に説明する。
第1の本発明モールドフラックスは、
sol.Al濃度が0.1〜1.5質量%、Si濃度が0.3〜2.0質量%、C濃度が0.05〜0.18質量%である普通鋼の連続鋳造に用いられるモールドフラックスであって、
CaO/SiO2が1.0〜2.0であり、
P2O5が1.0〜8.0質量%、B2O3が0.5〜5.0質量%のうちの1種または2種を含有し、
かつ、凝固温度が1050〜1200℃、1300℃における粘度が0.5〜2.5dPa・sであり、
一旦溶融させたフラックスを毎分10℃の速度で冷却した常温試料中の主な結晶相がカスピダインであることを特徴とするものである。
第1の本発明モールドフラックスにおいて、sol.Al濃度が0.1〜1.5質量%、Si濃度が0.3〜2.0質量%、C濃度が0.05〜0.18質量%である普通鋼を対象としているのは、以下の理由による。
まず、sol.Al濃度が0.1質量%以上の高Al鋼を連続鋳造する際には、鋼中Alによるモールドフラックス中SiO2等の還元によってモールドフラックスの物性値が変化し、特許文献4の発明によっては鋳型内潤滑性の悪化や鋳片表面疵の発生を防止しえないからである。また、sol.Al濃度が1.5質量%を超えると、本願発明であっても、モールドフラックスの物性値変化を十分に抑制できないからである。本願発明は、特に、sol.Al濃度が0.3〜1.1質量%である高Al鋼の連続鋳造に適している。ここで言う普通鋼とは、CrあるいはNiの濃度が5質量%未満の鋼をいう。
また、Si濃度が0.3〜2.0質量%であるのは、本願発明によってスケールの剥離性を高める必要が、Si濃度が0.3質量%以上の高Si鋼において生じるからである。また、Si濃度が2.0質量%を超えると、本願発明であっても、十分にスケールの剥離性を高めることができないからである。
また、C濃度が0.05〜0.18質量%であるのは、本願発明が対象とする高張力熱延鋼板素材に適するC濃度が0.05〜0.18質量%であるからである。中でも、本願発明のモールドフラックス物性値変化抑制作用が鋳片(スラブ)の縦割れを防止する効果に結びつくのは、C濃度が0.07〜0.16質量%、とりわけC濃度が0.08〜0.14質量%の場合である。
第1の本発明のモールドフラックスにおいて、CaO/SiO2を1.0〜2.0としたのは、CaO/SiO2が1.0未満であると対象となる高Al鋼を鋳造した時のモールドフラックス物性値変化が大きくなるからである。また、CaO/SiO2が2.0よりも大きい場合には、凝固温度が高くなり過ぎて後述の適正範囲に収めることが困難となるからである。CaO/SiO2のより好ましい範囲は、1.1〜1.9である。さらに好ましくは、1.2〜1.8である。
P2O5が1.0〜8.0質量%、B2O3が0.5〜5.0質量%のうちの1種または2種を含有するのは、これらの含有量がそれぞれの規定範囲よりも少ない場合には、ファイアライトの融点を下げる作用が不十分となるからである。また、これらの含有量がそれぞれの規定範囲よりも多い場合には、モールドフラックスが物性に与える影響が顕著となり、モールドフラックスの物性調整が困難となるからである。さらに、これらの含有量がそれぞれの規定範囲よりも多い場合には、鋳片表層部へのPあるいはBの濃化が顕著となり、鋳片の縦割れが発生しやすくなるからである。これらは合わせて添加するとファイアライトの融点低下に効果的であることは言うまでもないが、どちらか一方の添加であっても十分な効果を発揮する。
モールドフラックスの凝固温度を1050〜1200℃とするのは、以下の理由に基づく。まず、凝固温度が1050℃未満であると、鋳型と凝固シェルの間隙に流入した溶融モールドフラックスが形成するフラックスフィルムの熱伝達係数が過度に増大し、凝固シェルが鋳型内で強冷却される結果、鋳片表面の割れが発生しやすくなるからである。逆に、凝固温度が1200℃を超えると、鋳造中の組成変化によって凝固温度がさらに高くなった場合に、フラックスフィルム中における液相の割合が低下して潤滑性が低下し、好ましくないからである。
モールドフラックスの凝固温度は、前記範囲内で、鋳造中の組成変化を考慮しつつ、鋳造する鋼の凝固収縮の大きさに応じて調整することが好ましい。凝固収縮の大きな鋼種、例えばC濃度が0.07〜0.16質量%或いは0.08〜0.14質量%程度の亜包晶鋼を鋳造する場合は、1110〜1200℃という高めに設定する。逆に、凝固収縮の小さい、例えばC濃度が0.05〜0.06質量%若しくは0.05〜0.07質量%の低炭素鋼、或いはC濃度が0.17〜0.18質量%若しくは0.15〜0.18質量%の中炭素鋼では、1050〜1100℃程度の低めに設定する。
モールドフラックスの1300℃における粘度を0.5〜2.5dPa・sとするのは、実質的に1300℃における粘度を0.5dPa・s未満にまで下げるのは難しいからである。逆に、2.5dPa・sを超えると、結晶化速度が低下して、鋳片の縦割れ防止作用が損なわれるからである。特にC濃度が0.07〜0.16質量%或いは0.08〜0.14質量%といった縦割れが発生しやすい鋼種の場合には、1300℃における粘度は、2.0dPa・s以下であることが望ましい。
一旦溶融させたフラックスを毎分10℃の速度で冷却した常温試料中の主な結晶相がカスピダインであることとしたのは、このように組成設計された場合は、高Al鋼の鋳造時に組成が変化しても、凝固温度や粘度の変化が小さく抑えられるからである。
本発明では、モールドフラックスの冷却速度は毎分10℃の速度を基準としたが、実際には、毎分1℃程度の徐冷条件でも、毎分100℃程度の急冷条件であっても、主な結晶相は常に安定してカスピダインであることが望まれる。ここで、主な結晶相とは、X線回折強度(第1ピーク)が最も高い結晶を言う。主な結晶が安定して晶出または析出するには、回折強度(第1ピーク)が2番目に高い結晶に対して、概ね1.5倍或いは2倍以上の回折強度であることが望ましい。
第2の本発明モールドフラックスは、上記第1の本発明のモールドフラックスにおいて、さらに、対象となる鋼種を40m以上連続鋳造した際の鋳型内溶融層の前記凝固温度が、第1の本発明に規定した元組成の凝固温度に対し、20℃〜200℃高く、かつ1300℃以下であり、
かつ、第1の本発明に規定した元組成の前記粘度に対して、鋳型内溶融層の1300℃における粘度の上昇が2.5dPa・s以下であることを特徴とするものである。
第2の本発明のモールドフラックスにおいて、対象となる鋼種を40m以上連続鋳造した際の物性値を規定するのは、40m以上連続鋳造すると、モールドフラックスの組成変化が見掛け上の平衡にほぼ達して安定するからである。
このとき、鋼中AlによるSiO2等の還元がある程度進行すれば、モールドフラックスの鋳片表面への付着性若しくは鋳片表層部へのモールドフラックス由来成分の濃化が促進する。従って、少なくとも凝固温度が20℃以上上昇する程度の組成変化が生じていることが好ましい。しかしながら、元組成の凝固温度に対し200℃を超えて凝固温度が上昇すると、鋳造中の物性値変化が大きくなりすぎて、操業が難しくなり、鋳片の縦割れが発生しやすくなる。よって、鋳型内溶融層の凝固温度は、元組成の凝固温度に対し、20℃〜200℃高いのが良い。また、鋳型内溶融層の凝固温度が1300℃以下であるのは、凝固温度が1300℃を超えると鋳型内での潤滑性が悪化するからである。
また、第2の本発明のモールドフラックスにおいて、第1の本発明に規定した元組成の1300℃における粘度に対して、鋳型内溶融層の1300℃における粘度の上昇が、2.5dPa・s以下であるのは、以下の理由による。
高Al鋼鋳造時には、モールドフラックス中のAl2O3濃度が増すことに起因して、一般に粘度が上昇する。この粘度上昇が2.5dPa・sを超える場合、モールドフラックスの結晶化速度が低下して、鋳片縦割れ防止効果が損なわれるからである。特にC濃度が0.07〜0.16質量%、或いはC濃度が0.08〜0.14質量%といった縦割れが発生しやすい鋼種の場合は、鋳造中の粘度変化は、1.5dPa・s以下であることが望ましい。
前記何れかの本発明モールドフラックスを用いて連続鋳造した鋳片を熱間圧延して鋳片を製造する場合に、前記連続鋳造鋳片を素材として熱間圧延する際の粗圧延後に該鋳片を再加熱し、その後、高圧水によって該鋳片の表面のスケールを除去して熱間圧延を継続するに際して、
連続鋳造後から熱間圧延を開始するまでの間に、該鋳片の表層部を溶削または研削する手入れを行わないこととしたのが、本発明の鋳片の製造方法である。
すなわち、前記何れかの本発明モールドフラックスを用いて連続鋳造した鋳片には、ファイアライトの融点が低下したスケールが付着している。従って、本発明の鋳片の製造方法では、熱延工程において、粗圧延後再加熱し、その後に高圧水等によってスケールを除去するまでは、溶削あるいは研削によって表層部を除去して、モールドフラックスの効果が消滅しないようにするのである。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施結果について説明する。
下記表1に示した組成を含有し残部が鉄からなる鋼種を、下記表2に示した本発明の実施例及び比較例のモールドフラックスを用いて鋳造した。下記表2において、A〜Cは本発明の実施例、D〜Eは比較例である。
鋳造条件は、鋳型厚みが250mm、鋳型幅が900mm〜1200mmの垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、鋳造速度が0.6〜1.0m/min、タンディッシュ内溶鋼過熱度が20〜45℃、鋳片2次冷却比水量が0.6〜1.2リットル/Kg−Steelとした。
Figure 0005083143
Figure 0005083143
表1の鋼種を表2のA及びBを用いて連続鋳造することは、本発明の請求項1及び2を満たす実施例である。これらの実施例A、Bを使用した場合は、安定した連続鋳造操業が実現され、鋳片の縦割れが防止され、熱延段階における2次スケールの剥離性が良好な鋳片を得ることができた。
また、表1の鋼種を表2のCを用いて連続鋳造することは、本発明の請求項1のみを満たす実施例である。この実施例Cを使用した場合は、鋳造時の溶融層の凝固温度が1300℃を超えるので鋳型内における潤滑性に問題が生じた。しかしながら、熱延段階における2次スケールの剥離性が良好な鋳片を得ることができた。
一方、表1の鋼種を表2のDを用いて連続鋳造することは、本発明の請求項を満たさない比較例である。この比較例Dを使用した場合は、鋳造時の溶融層の凝固温度が高くなりすぎるので、鋳型内における潤滑性に問題が生じた。加えて、鋳型内における冷却が緩和され過ぎて、鋳片の凝固が円滑に進行せず、縦割れ等の表面欠陥が発生し易くなった。しかしながら、熱延段階における2次スケールの剥離性が良好な鋳片を得ることはできた。
また、表1の鋼種を表2のEを用いて連続鋳造することは、本発明の請求項を満たさない比較例である。この比較例Eでは、鋳造時の溶融層の凝固温度或いは粘度が鋳造前からほとんど変化しないので、操業性が良好で、鋳片の縦割れも発生しない。しかしながら、スケール剥離性改善作用を有するP2O5やB2O3を含有しないので、熱延段階における2次スケールの剥離性は改善されなかった。
次に、表1の鋼種を表2のA及びEを用いて連続鋳造した鋳片を無手入れのまま熱間圧延に供した。熱間圧延する際の粗圧延後には、誘導型ヒータを用いて粗圧鋼板を表面温度が1120℃〜1160℃に達するまで再加熱した後、高圧水によって該鋳片の表面スケールを除去した。すなわち表2のAを用いる場合は、本発明の請求項3を満たす実施例となる操業を行った。
そうして得られた熱延鋼板の島状スケール(残留スケールによって生じる模様)を評価した結果、表2のAを用いた熱延鋼板は「軽度、出荷可」と判定されたのに対し、表2のEを用いた熱延鋼板は「重度、出荷不可」と判定され、本発明の効果が明確に表れた。
なお、本発明の実施例において添加されたB2O3やP2O5の原料には、それぞれ硼砂及びリン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)を用いた。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
本発明は、Si含有量が0.3〜2.0質量%を外れる高張力熱延鋼板を製造する場合にも適用できる。

Claims (3)

  1. sol.Al濃度が0.1〜1.5質量%、Si濃度が0.3〜2.0質量%、C濃度が0.05〜0.18質量%である普通鋼の連続鋳造に用いられるモールドフラックスであって、
    CaO含有率をSiO2含有率で除した比(CaO/SiO2)が1.0〜2.0であり、
    P2O5が1.0〜8.0質量%、B2O3が0.5〜5.0質量%のうちの1種または2種を含有し、
    かつ、凝固温度が1050〜1200℃、1300℃における粘度が0.5〜2.5dPa・sであり、
    一旦溶融させたフラックスを毎分10℃の速度で冷却した常温試料中の主な結晶相がカスピダインであることを特徴とする高Al鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
  2. sol.Al濃度が0.1〜1.5質量%、Si濃度が0.3〜2.0質量%、C濃度が0.05〜0.18質量%である普通鋼を40m以上連続鋳造した際の鋳型内溶融層の凝固温度が、請求項1に規定した元組成の前記凝固温度に対し、20℃〜200℃高く、かつ1300℃以下であり、
    かつ、請求項1に規定した元組成の前記粘度に対して、鋳型内溶融層の1300℃における粘度の上昇が、2.5dPa・s以下であることを特徴とする請求項1に記載の高Al鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
  3. 請求項1又は2に記載のモールドフラックスを用いて連続鋳造した鋳片を熱間圧延して鋳片を製造する方法であって、
    前記連続鋳造鋳片を素材として熱間圧延する際の粗圧延後に該鋳片を再加熱し、その後、高圧水によって該鋳片の表面スケールを除去して熱間圧延を継続するに際して、
    連続鋳造後から熱間圧延を開始するまでの間に、該鋳片の表層部を溶削または研削する手入れを行わないことを特徴とする鋳片の製造方法。
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