JP5082559B2 - Maldi質量分析用液体マトリックス - Google Patents
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例えば、Anal. Chem., 2004, 76, 2938-2950(非特許文献5)には、ターゲットプレート上で、液体マトリックス(具体的には2,5−ジヒドロキシ安息香酸のブチルアミン塩)水溶液中での3’−シアリルラクトースの酵素的脱シアル化をモニタリングし、3’−シアリルラクトースから、シアル酸とラクトースとが生成したことを、MALDI−MS分析で確認したことが報告されている。
そして、特表2005−536759号公報(特許文献2)には、液体マトリックスの使用例として、MALDIサンプルプレート上での糖タンパク質の脱グリコシル化反応の過程及び進行を、液体マトリックス(具体的にはα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸のブチルアミン塩、又は2,5−ジヒドロキシ安息香酸のブチルアミン塩)中で調べることが報告されている。
このように、従来の液体マトリックスの設計においては、基本的に従来から固体マトリックスとして用いられてきた有機化合物を酸性物質として使用することが基本となっていた。
また本発明の目的は、酸性糖鎖を測定対象とした場合に酸性基あるいは酸性糖の脱離が抑制される高感度のMALDI質量分析法を提供することにあり、特に硫酸化糖鎖を測定対象とした場合に、硫酸基の脱離が抑制される高感度のMALDI質量分析法を提供することにある。
本発明者らのアプローチにおいては、従来から用いられてこなかったケイ皮酸の誘導体を用いて、液体マトリックスとして有用なイオン性液体の設計が行われた。
第1に、アミンと混合することで液体化が起こるものを条件とした。たいていの物質は液体化が難しく、実際、本発明者らの検討においても、液体化が起こった物質はごく少数であった。
第2に、マトリックスとしての使用価値があることを条件とした。すなわち、解析対象となる試料のイオン化が可能であるものを条件とした。且つ、解析対象となる試料が硫酸化糖鎖であった場合に、硫酸基を脱離させることなくイオンを生成することができるものを条件とした。
第3に、MALDI質量分析の感度が十分であることを条件とした。すなわち、イオン化能力に優れていることを条件とした。
本発明者らが検討した中でも、マトリックスとして特に優れたものとして、p−クマル酸(trans−4−ヒドロキシケイ皮酸)のイオンを構成イオンとして含むイオン性液体が見出された。
(1)
1,1,3,3−テトラメチルグアニジンのイオンとp-クマル酸のイオンとを含むイオン性液体からなるMALDI質量分析用液体マトリックス。
「イオン性液体」は、室温で液体の状態で存在し、その実体は塩である物質をいう。本明細書における「イオン性液体」はMALDI質量分析のためのマトリックスとして用いられるものであるため、「イオン性液体」と「液体マトリックス」とは同じ意味で記載する。
「p-クマル酸」とは、すなわちtrans−4−ヒドロキシケイ皮酸である。
糖及び糖を有する分子からなる群から選ばれる分子を解析すべき試料とし、前記解析すべき試料をMALDI質量分析測定に供するために用いられる、(1)に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
前記糖を含む分子が酸性糖鎖であり、前記MALDI質量分析測定において、前記酸性糖鎖から酸性基を有するイオンを生ぜしめる、(2)に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
前記糖を含む分子が硫酸化糖鎖であり、前記MALDI質量分析測定において、前記硫酸化糖鎖から硫酸基を有するイオンを生ぜしめる、(2)又は(3)に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
前記糖を含む分子が糖タンパク質又は糖ペプチドであり、前記MALDI質量分析測定において、前記糖タンパク質又は糖ペプチドに由来し且つ糖−アミノ酸結合が維持されたイオンを検出する、(2)に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
前記イオン性液体は、前記解析すべき試料と前記イオン性液体とを溶媒中に含む混合液中、20pM〜200mMの濃度で用いられる、(2)〜(5)のいずれかに記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
当該混合液はターゲットプレート上に滴下し、前記溶媒を蒸発させることによって、試料−液体マトリックス混合物(すなわちレーザーを照射すべき対象)を調整することができるが、調製された試料−液体マトリックス混合物のスポット1個につき、液体マトリックスは10fmol〜100nmolとすることができる。このような混合物のスポットを得るためには、上記のように混合液中20pM〜200mMの濃度でイオン性マトリックスを用いると良い。
また、解析すべき試料全般に対しては、試料−液体マトリックス混合物のスポット1個につき、液体マトリックスは10fmol〜20nmolとすることができる。このような混合物のスポットを得るためには、上記のように混合液中20pM〜40mMの濃度でイオン性マトリックスを用いると良い。
ポジティブモード及びネガティブモードの両モードにおいて用いられる、(1)〜(6)のいずれかに記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
液体マトリックスとして、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンのイオンとp-クマル酸のイオンとから構成されるイオン性液体を含む、MALDI質量分析キット。
鏡面仕上げのターゲットプレートをさらに含む、(8)に記載の質量分析キット。
また本発明によると、酸性糖鎖を測定対象とした場合に酸性基の脱離が抑制される高感度のMALDI質量分析法を提供することにあり、特に硫酸化糖鎖を測定対象とした場合に、硫酸基の脱離が抑制されるMALDI質量分析が可能になる。
本発明のMALDI質量分析用マトリックスは、イオン性液体の形態を有する。イオン性液体は、室温で液体の状態で存在し、その実態は塩である物質をいう。
本発明の液体マトリックスは、アミンのイオンとp−クマル酸(trans- 4 -ヒドロキシケイ皮酸)のイオンから構成されるイオン性液体である。前記アミンとしては、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、n-ブチルアミン、エチルアミン、N,N-ジエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジエチルメチルアミン、ジエチルベンゼンアミン、N,N-ジメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、エタノールアミン、ポリエーテルテールドトリエチルアミン、ポリエステルテールドトリエチルアミン、ニトロフェノール、アニリン、2,4-ジニトロアニリン、2-ニトロフェニルオクチルエーテル、ピリジン、2-アミノ-4-メチル-5-ニトロピリジン、3-アミノキノリン、3-ヒドロキシピリジン、1-メチルイミダゾール、1-ブチル-3-メチルイミダゾール、1-(1-ヒドロキシプロピル)-3-メチルイミダゾール、1,3-ジメチルイミダゾール、1,5-ジアミノナフタレン、6-アザ-2-チオチミン、クマリン、6,7-ジヒドロキシクマリン、1,8-ジヒドロキシ-9[10H]-アントラセノン、カルボリン類(ノルハルマン、ハルマン、ハルミン、ハルモル、ハルマリン、ハルマロールなど)などから選択することができる。
以下、このようなイオン性液体からなる本発明の液体マトリックスについて、当該液体マトリックスを用いたMALDI質量分析法とともにさらに説明する。
MALDI質量分析によって解析を行うためには、解析すべき試料と液体マトリックスとを含む混合物(試料−液体マトリックス混合物)を、MALDI質量分析測定に供する。
[2−1.解析すべき試料]
本発明において、解析すべき試料としては特に制限されない。例えば、糖及び糖を含む分子からなる群から選ばれる分子が挙げられる。糖及び糖を含む分子からなる群から選ばれる分子には、糖鎖、糖鎖を含む分子も含まれる。このような分子としては、硫酸化糖鎖やシアル酸化糖鎖(シアロ糖鎖)などの酸性糖鎖、中性糖鎖、その他の糖類、糖タンパク質、糖ペプチドなどが挙げられる。またその他にも、タンパク質、ペプチド、その他の生体分子、合成分子を解析対象とすることができる。さらに、上記例示の分子の混合物も解析対象とすることができる。このように、本発明の液体マトリックスが適用できる解析すべき対象の範囲は広い。
液体マトリックスとしては、上記1.の本発明のクマル酸イオンを含むイオン性液体が用いられる。クマル酸イオンと組み合わせるカチオン種としては、上記1.で挙げたアミンのイオンから選択することができるが、特に好ましくは、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンのイオンが選択される。
解析すべき試料と液体マトリックスとを少なくとも含む混合物(試料−液体マトリックス混合物)は、当該試料及び液体マトリックス以外に、混合物調製時に混在しうる物質、及び液体マトリックスの作用を助けるためのアディティブなどのいかなるものをさらに含んで良い。
当該混合物は、さまざまな形状を取りうる。混合物の形状は、例えば、その調製法などに依存する。混合物の形状の例としては、以下に詳述する塊状や扁平状などが挙げられる。どのような形状にしても、当該混合物は、解析すべき試料と液体マトリクスとが均質性良く混在した状態で提供される。
本発明において、試料−液体マトリックス混合物は、塊状の形状を有してよい。ここで塊状とは、従来から調製されていたような試料−液体マトリックス混合物が有する扁平な形状に比べ、厚さがより大きく(すなわちターゲットプレート面からの高さがより高く)、面がより狭い(すなわちターゲットプレートとの接触面積がより小さい)形状、すなわちより盛り上がった形状をいう。例えばターゲットプレート上に調製される場合は、ターゲットプレートのウェル内の狭い面積領域において、当該混合物が、集積或いは堆積したように盛り上がった微小な塊の状態で調製される。この微小な塊状の混合物を、混合物のフォーカススポット(focused spot)と記載することがある。
本発明において、試料−液体マトリックス混合物は、扁平状の形状を有してよい。ここで扁平状とは、従来から調製されていたような試料−液体マトリックス混合物が有する形状であり、厚さが少なく(すなわちターゲットプレート面からの高さが低く)、面が広い(すなわちターゲットプレートとの接触面積が大きい)形状、すなわち薄く広がった形状をいう。例えば、透明のフィルム状のものが挙げられる。扁平状の混合物の厚さは均等でなくても良く、例えば扁平状の混合物の縁部において、より厚くなっていても良い。例えばターゲットプレート上に調製される場合は、ターゲットプレートのウェル内の比較的広い面積領域にわたって広がった状態で調製される。
本発明において、試料−液体マトリックス混合物は、どのような方法で調製されても良い。解析すべき試料に液体マトリックス溶液を添加することによって調製する方法;解析すべき試料(すなわち解析すべき対象)を含む組織切片などに対し、液体マトリックスを添加することによって調製する方法;及び、解析すべき試料と液体マトリックスとを溶媒中に含む混合液から溶媒を除去することによって調製する方法などが挙げられる。
試料−液体マトリックス混合物は、解析すべき試料と、液体マトリックスとを溶媒中に少なくとも含む混合液の液滴をターゲットプレート上に形成する工程と、形成された前記混合液の液滴から前記溶媒を除去し、前記混合液中の不揮発分(すなわち少なくとも解析すべき試料と液体マトリックス)を残渣として得る工程とによって得ることができる。このようにして得られる残渣を、当該混合物のスポットと記載する場合がある。当該混合液には、試料及び液体マトリックス以外に、すでに述べたような、混合液調製時に混在しうる物質、及び液体マトリックスの作用を助けるためのアディティブなどをさらに含んでいて良い。
塊状の混合物は、以下のような過程を経て形成される。
ターゲットプレート上の混合液の液滴から溶媒が除去されるに伴い、液滴の体積が減少する。溶媒の除去としては、溶媒の自然蒸発を含む。これにより、混合液中の不揮発分(試料及び液体マトリックスが少なくとも含まれる)の濃度が高くなる。すなわち混合液液滴が濃縮される。それに伴い、混合液液滴の広がり面積を縮小させる。混合液液滴の濃縮と混合液液滴の広がり面積の縮小とが相伴って起こるため、濃縮がより進行すれば、当該広がり面積領域のより小さい面積領域へ、混合液中の不揮発分がより濃い濃度で集められる。混合液中の溶媒の大部分ないしは全てが除去されることによって濃縮が完了すれば、試料−液体マトリックス混合物の微小な濃縮スポットが当該広がり面積の一部に残る。この状態は、室温下及び真空下でも維持される。
このため、形成された直後の混合液の液滴の広がり面積がフォーカス現象によってより小さい面積に縮小すると(すなわちより大きいフォーカス効果を得ると)、より蜜に凝集したタンパク質−液体マトリックス混合物が得られる。このことは、高感度計測の点から好ましい。フォーカス効果を効果的に得るためには、例えば後述のように、試料及び液体マトリックスを含む混合液中の液体マトリックス濃度、使用する溶媒の種類、ターゲットプレートの表面の状態などを考慮すると良い。
扁平状混合物が調製される場合、ターゲットプレート上の混合液の液滴から、溶媒が除去されることによって、形成直後の混合液の液滴の広がり面積とほぼ同じ面積領域において、試料−液体マトリックス混合物が残る。形成された混合液の液滴から、溶媒が除去されることに伴う液滴の体積の減少過程において、ターゲットプレート上の液滴の広がり面積がおおよそ保たれるため、残渣として扁平状の混合物が得られる。
[4−3−1.混合液中の液体マトリックスの量]
液体マトリックス濃度としては特に限定されるものではない。従来法において通常に用いられていた濃度の液体マトリックスは、過剰に高い濃度を有しているため、本発明において好ましいフォーカス現象は起こらない。この場合は、通常、薄く広がった形状の混合物が得られる。
混合液中の液体マトリックスの量は、フォーカス現象を起こすことができる程度に少なく、且つ液体マトリックスがMALDI質量分析のマトリックスとして作用する程度に十分な量である。そのような量は、混合液中の不揮発分として含まれる物質の種類や、当該不揮発分の総量などの要因によって変動しうるものであるが、好ましくは20pM〜40mM、さらに好ましくは20μM〜20mMとすることができる。このような範囲とすることによって、フォーカス効果をより効果的に得ることができる。
ターゲットプレート上に形成された混合液の液滴1個に含まれる液体マトリックスの量、すなわちターゲットプレート上に形成された混合物のスポット(スポットの形状は塊状及び扁平状を含む)1個あたりの液体マトリックスの量としては特に限定されない。
なお、混合液中の解析すべき試料の量としては、特に限定されるものではない。例えば、液体マトリックス5 nmolに対し、試料の量は、10pmol〜数fmolの広い範囲で許容される。
1個のスポットを形成する混合液の液滴の体積としては、特に限定されず、当業者が適宜決定することができる。
ターゲットプレート上にウェルが設けられている場合、混合液の液滴は、ウェル内に形成することができる。この場合、液滴は、当該ウェル内に収まる程度の体積をもって形成される。具体的には、10nL〜10μl程度、例えば0.5μl程度の液滴を形成することができる。
混合液中に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、当業者が適宜決定することができる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどの有機溶媒、及び水から適宜選択して用いることができる。例えば、メタノール−水系が好ましい。
ターゲットプレートとしては、特に限定されない。通常MALDI質量分析に使用されるステンレス鋼ターゲットプレートなどや、化学的或いは物理的に表面処理がなされたターゲットプレートなど、さまざまなものを使用することができる。
以下のようにして、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンイオンとp−クマル酸イオンとから構成されるイオン性液体(GCA)を調製した。
0.05 mmol(8.2 mg)のp−クマル酸をメタノール500μLに溶かし、0.15 mmol(18.75 μL)の1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを加えて、手動及び自動振動器でしっかり混合した。得られた混合溶液に対し、スピードバックを用いて約2時間減圧乾燥を行った。これをデシケータに入れ、一晩真空引きを行った。
このようにして得られたイオン性液体を液体マトリックスとして用いた。
実施例1で得られた液体マトリックスGCAを9 mg/0.1 mLでメタノールに溶かし、さらにメタノールによって30倍希釈し、液体マトリックス溶液を得た。一方、糖タンパク質Ribonuclease B (RNase B)を、リジルエンドペプチダーゼで消化した。その後、脱塩を行うことなく水に溶解し、糖タンパク質消化物水溶液を得た。この糖タンパク質の酵素消化物水溶液と液体マトリックス溶液とを1:1(v/v)で混合した。得られた混合溶液を0.5 μLずつサンプルターゲット(表面に鏡面処理を行ったもの)上に滴下し、自然に溶媒を蒸発させ、小さく凝集された糖タンパク質消化物−液体マトリックス混合物を得た。
マトリックス溶液として、市販の精製された固体マトリックス2,5-dihydroxybenzoic acid (DHB)を、5 mg/0.5 mLの濃度で50(v/v) %アセトニトリル水溶液に溶かして得たものを用いた。糖タンパク質Ribonuclease B (RNase B)を、上記実施例2と同様に準備した。この糖タンパク質の酵素消化物水溶液と液体マトリックス溶液を鏡面仕上げされたターゲット上で0.5 μLずつ滴下して混合し、自然に溶媒を蒸発させ、糖タンパク質消化物−DHBの混合結晶を得た。尚、最終的にターゲットのウェル上に搭載される糖タンパク質消化物の濃度が、実施例2における液体マトリックス使用時と同じになるように調整した。質量分析装置による計測は上記実施例2と同様の操作で行った。ポジティブモード測定によって得られたマススペクトルを図4(a)、ネガティブモード測定によって得られたマススペクトルを図4(b)に示す。
図3及び4が示すように、液体マトリックスを使用した場合(図3)は、固体マトリックスを使用した場合(図4)に比べ、ポジティブモード(a)及びネガティブモード(b)のいずれによっても、糖ペプチドピークが優先的にイオン化されたことが確認できた。また、その傾向は、ネガティブモード(b)によるものにおいて顕著であった。
Claims (9)
- 1,1,3,3−テトラメチルグアニジンのイオンとp-クマル酸のイオンとを含むイオン性液体からなるMALDI質量分析用液体マトリックス。
- 糖及び糖を含む分子からなる群から選ばれる分子を解析すべき試料とし、前記解析すべき試料をMALDI質量分析測定に供するために用いられる、請求項1に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
- 前記糖を含む分子が酸性糖鎖であり、前記MALDI質量分析測定において、前記酸性糖鎖から酸性基を有するイオンを生ぜしめる、請求項2に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
- 前記糖を含む分子が硫酸化糖鎖であり、前記MALDI質量分析測定において、前記硫酸化糖鎖から硫酸基を有するイオンを生ぜしめる、請求項2又は3に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
- 前記糖を含む分子が糖タンパク質又は糖ペプチドであり、前記MALDI質量分析測定において、前記糖タンパク質又は糖ペプチドに由来し且つ糖−アミノ酸結合が維持されたイオンを検出する、請求項2に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
- 前記イオン性液体は、前記解析すべき試料と前記イオン性液体とを溶媒中に含む混合液中、20pM〜200mMの濃度で用いられる、請求項2〜5のいずれか1項に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
- ポジティブモード及びネガティブモードの両モードにおいて用いられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のMALDI質量分析用液体マトリックス。
- 液体マトリックスとして、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンのイオンとp-クマル酸のイオンとを含むイオン性液体を含む、MALDI質量分析キット。
- 鏡面仕上げのターゲットプレートをさらに含む、請求項8に記載の質量分析キット。
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