JP5092513B2 - 液体マトリックスを用いたmaldi質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法 - Google Patents
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そして、特表2005−536759号公報(特許文献2)には、液体マトリックスの使用例として、MALDIサンプルプレート上での糖タンパク質の脱グリコシル化反応の過程及び進行を、液体マトリックス(具体的にはα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸のブチルアミン塩、又は2,5−ジヒドロキシ安息香酸のブチルアミン塩)中で調べることが報告されている。
例えば、Anal. Chem., 2006, 78, 1774-1779(非特許文献3)及びAnal. Chem., 2007, 79, 1604-1610(非特許文献4)には、特定の液体マトリックスを用いることにより、硫酸基の脱離の抑制とともに硫酸化糖鎖のMALDI質量分析が行われたことが報告されている。たとえば上記非特許文献4では、そのような液体マトリックスとして、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸のグアニジウム塩が報告されている。
(1)
構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドと、糖タンパク質又は糖ペプチド以外の生体分子及び合成分子からなる群から選ばれる他の分子と、マトリックスとしてのイオン性液体とを少なくとも含む混合物を、MALDI質量分析測定に供し、前記混合物中から前記構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドに由来し且つ糖−アミノ酸結合が維持されたイオンを検出することを含む、液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法であって、
前記混合物は、
前記構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドと、前記他の分子と、前記イオン性液体とを溶媒中に少なくとも含む混合液であって、前記混合液中の前記イオン性液体の濃度が20pM〜200mMである混合液の液滴をターゲットプレート上に形成する工程と、
前記混合液の液滴から前記溶媒を除去して、前記液滴の体積の減少とともに、前記ターゲットプレートと前記混合液の液滴とが接する面積を縮小させることによって、前記混合液中に含まれる少なくとも前記構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドと前記イオン性液体とを前記面積の一部へ集め、前記混合物のフォーカススポットを得る工程と、
によって得られる混合物である、液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
「イオン性液体」は、室温で液体の状態で存在し、その実体は塩である物質をいう。本明細書において、「マトリックスとしてのイオン性液体」と、「液体マトリックス」とは、同じ意味で記載する。
「混合物」中は、「構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチド」と「糖タンパク質又は糖ペプチド以外の生体分子及び合成分子からなる群から選ばれる他の分子」と「マトリックスとしてのイオン性液体」とが均質性良く混在しうる。
「前記構造解析すべき糖タンパク質に由来し且つ糖−アミノ酸結合が維持されたイオン」とは、前記「構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチド」から、糖鎖とタンパク質との間の結合の開裂が起こることなく生じるイオンをいい、糖タンパク質イオン及び糖ペプチドイオンを含む。
「構造解析」とは、少なくとも、前記「糖−アミノ酸結合が維持されたイオン」から得られる情報を用いることを含む構造解析をいう。
特に好ましくは、「他の分子」がタンパク質又はペプチドである。このような場合の例としては、前記混合物がタンパク質の消化物から得られるもの、すなわち前記混合物が糖ペプチドとペプチドとの両方を含む場合が挙げられる。この場合、ペプチドなどの他の分子に由来するイオンより優先して、「糖タンパク質又は糖ペプチドに由来し且つ糖−アミノ酸結合が維持されたイオン」を検出することが可能である。
前記混合物のフォーカススポットと前記ターゲットプレートとが接する面積は、形成された直後の前記混合液の液滴と前記ターゲットプレートが接する面積の80%以下に縮小される、(1)に記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
前記溶媒は水を含む、(1)又は(2)のいずれかに記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
前記ターゲットプレート上に形成された前記混合液の液滴1個に含まれる前記イオン性液体の量は、10fmol〜100nmolである、(1)〜(3)のいずれかに記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
「前記ターゲットプレート上に形成された前記混合液の液滴1個に含まれる前記イオン性液体の量」は、ターゲットプレート上に形成された前記の混合物のスポット1個に含まれる液体マトリックスの量と同じである。
前記イオン性液体は、アミンのイオンと酸性基含有有機物質のイオンとを含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
前記酸性基含有有機物質はp−クマル酸又はα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸である、(5)に記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
前記アミンは、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンである、(5)又は(6)に記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質及び糖ペプチドの構造解析手法。
前記MALDI質量分析測定が、ポジティブモード及びネガティブモードの両モードにおいて行われる、(1)〜(7)のいずれかに記載の糖タンパク質及び糖ペプチドの構造解析手法。
[1−1.糖タンパク質及び糖ペプチド]
本発明においては、解析すべき試料が糖タンパク質の場合と糖ペプチドの場合とを含む。以下、本明細書の説明においては、より実用的な場合として糖ペプチドを挙げて記載している箇所もあるが、本発明としては糖タンパク質の場合を除外するものではない。
本発明においては、マトリックスとしてイオン性液体を用いる。イオン性液体は、室温で液体の状態で存在し、その実態は塩である物質をいう。このようなイオン性液体は、特に限定されず、当業者が適宜選択することができる。
構造解析すべき糖ペプチドと液体マトリックスとを少なくとも含む混合物(糖ペプチド−液体マトリックス混合物)は、糖ペプチド及び液体マトリックス以外の他の分子を含んでいて良い。このような分子としては、糖タンパク質及び糖ペプチド以外の生体分子、及び合成分子からなる群から選ばれるものが許容される。具体的には、混合物調製時に混在しうる物質、及び液体マトリックスの作用を助けるためのアディティブなどのいかなるものも許容される。混合物調製時に混在しうる物質としては、タンパク質、ペプチドなどの生体分子が挙げられる。糖ペプチドがこのような生体分子と混在しうる場合としては、例えば当該混合物が糖タンパク質の消化を含む工程を経て調製される場合が挙げられる。
当該混合物は、さまざまな形状を取りうる。混合物の形状は、例えば、その調製法などに依存する。混合物の形状の例としては、以下に詳述する塊状や扁平状などが挙げられる。どのような形状にしても、当該混合物は、構造解析すべき糖ペプチドと液体マトリクスとが均質性良く混在した状態で提供される。
本発明において、糖ペプチド−液体マトリックス混合物は、塊状の形状を有してよい。ここで塊状とは、従来から調製されていたような糖ペプチド−液体マトリックス混合物が有する扁平な形状に比べ、厚さがより大きく(すなわちターゲットプレート面からの高さがより高く)、面がより狭い(すなわちターゲットプレートとの接触面積がより小さい)形状、すなわちより盛り上がった形状をいう。例えばターゲットプレート上に調製される場合は、ターゲットプレートのウェル内の狭い面積領域において、当該混合物が、集積或いは堆積したように盛り上がった微小な塊の状態で調製される。この微小な塊状の混合物を、混合物のフォーカススポットと記載することがある。
本発明において、糖ペプチド−液体マトリックス混合物は、扁平状の形状を有してよい。ここで扁平状とは、従来から調製されていたような糖ペプチド−液体マトリックス混合物が有する形状であり、厚さが少なく(すなわちターゲットプレート面からの高さが低く)、面が広い(すなわちターゲットプレートとの接触面積が大きい)形状、すなわち薄く広がった形状をいう。例えば、透明のフィルム状のものが挙げられる。扁平状の混合物の厚さは均等でなくても良く、例えば扁平状の混合物の縁部において、より厚くなっていても良い。例えばターゲットプレート上に調製される場合は、ターゲットプレートのウェル内の比較的広い面積領域にわたって広がった状態で調製される。
本発明において、糖ペプチド−液体マトリックス混合物は、どのような方法で調製されても良い。
例えば、ペプチダーゼを用いた解析すべき糖タンパク質のオンプレート消化物或いはインゲル消化物に、液体マトリックス溶液を添加することによって調製する方法;解析すべき糖タンパク質を含む組織切片などに対し、液体マトリックスを添加することによって調製する方法;及び、解析すべき糖タンパク質と液体マトリックスとを溶媒中に含む混合液から溶媒を除去することによって調製する方法などが挙げられる。
糖ペプチド−液体マトリックス混合物は、構造解析すべき糖ペプチドと、液体マトリックスとを溶媒中に少なくとも含む混合液の液滴をターゲットプレート上に形成する工程と、形成された前記混合液の液滴から前記溶媒を除去し、前記混合液中の不揮発分(すなわち少なくとも構造解析すべき糖ペプチドと液体マトリックス)を残渣として得る工程とによって得ることができる。このようにして得られる残渣を、当該混合物のスポットと記載する場合がある。
塊状の混合物は、以下のような過程を経て形成される。
ターゲットプレート上の混合液の液滴から溶媒が除去されるに伴い、液滴の体積が減少する。溶媒の除去としては、溶媒の自然蒸発を含む。これにより、混合液中の不揮発分(糖ペプチド及び液体マトリックスが少なくとも含まれる)の濃度が高くなる。すなわち混合液液滴が濃縮される。それに伴い、混合液液滴の広がり面積を縮小させる。混合液液滴の濃縮と混合液液滴の広がり面積の縮小とが相伴って起こるため、濃縮がより進行すれば、当該広がり面積領域のより小さい面積領域へ、混合液中の不揮発分がより濃い濃度で集められる。混合液中の溶媒の大部分ないしは全てが除去されることによって濃縮が完了すれば、試料−液体マトリックス混合物の微小な濃縮スポットが当該広がり面積の一部に残る。この状態は、室温下及び真空下でも維持される。
このため、形成された直後の混合液の液滴の広がり面積がフォーカス現象によってより小さい面積に縮小すると(すなわちより大きいフォーカス効果を得ると)、より密に凝集したタンパク質−液体マトリックス混合物が得られる。このことは、高感度計測の点から好ましい。フォーカス効果を効果的に得るためには、例えば後述のように、糖ペプチド及び液体マトリックスを含む混合液中の液体マトリックス濃度、使用する溶媒の種類、ターゲットプレートの表面の状態などを考慮すると良い。
扁平状混合物が調製される場合、ターゲットプレート上の混合液の液滴から、溶媒が除去されることによって、形成直後の混合液の液滴の広がり面積とほぼ同じ面積領域において、糖ペプチド−液体マトリックス混合物が残る。形成された混合液の液滴から、溶媒が除去されることに伴う液滴の体積の減少過程において、ターゲットプレート上の液滴の広がり面積がおおよそ保たれるため、残渣として扁平状の混合物が得られる。
[3−3−1.混合液中の液体マトリックスの量]
液体マトリックス濃度としては特に限定されるものではない。
従来法において通常に用いられていた濃度の液体マトリックスは、過剰に高い濃度を有しているため、本発明において好ましいフォーカス現象は起こらない。この場合は、通常、薄く広がった形状の混合物が得られる。
混合液中の液体マトリックスの量は、フォーカス現象を起こすことができる程度に少なく、且つ液体マトリックスがMALDI質量分析のマトリックスとして作用する程度に十分な量である。そのような量は、混合液中の不揮発分として含まれる物質の種類や、当該不揮発分の総量などの要因によって変動しうるものであるが、好ましくは20pM〜200mM、さらに好ましくは20μM〜200mMとすることができる。このような範囲とすることによって、フォーカス効果をより効果的に得ることができる。
ターゲットプレート上に形成された混合液の液滴1個に含まれる液体マトリックスの量、すなわちターゲットプレート上に形成された混合物のスポット(スポットの形状は塊状及び扁平状を含む)1個あたりの液体マトリックスの量としては特に限定されない。
なお、混合液中の解析すべき糖ペプチドの量としては、特に限定されるものではない。例えば、液体マトリックス5 nmolに対し、糖タンパク質の量は、10pmol〜数fmolの広い範囲で許容される。
1個のスポットを形成する混合液の液滴の体積としては、特に限定されず、当業者が適宜決定することができる。
ターゲットプレート上にウェルが設けられている場合、混合液の液滴は、ウェル内に形成することができる。この場合、液滴は、当該ウェル内に収まる程度の体積をもって形成される。具体的には、10nL〜10μl程度、例えば0.5μl程度の液滴を形成することができる。
混合液中に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、当業者が適宜決定することができる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどの有機溶媒、及び水から適宜選択して用いることができる。例えば、メタノール−水系が好ましい。
ターゲットプレートとしては、特に限定されない。通常MALDI質量分析に使用されるステンレス鋼ターゲットプレートなどや、化学的或いは物理的に表面処理がなされたターゲットプレートなど、さまざまなものを使用することができる。
[4−1.糖−アミノ酸結合が維持されたイオンの検出の意義と本発明における構造解析]
本発明においては、MALDI質量分析測定によって、構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドに由来し且つ糖−アミノ酸結合が維持されたイオンを検出する。当該糖−アミノ酸結合が維持されたイオンは、MALDI質量分析測定の際に、構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドから、糖鎖とタンパク質又はペプチドとの間の結合の開裂が起こることなく生じるイオンであり、具体的には、糖タンパク質イオンや糖ペプチドイオンが含まれる。本発明では、マトリックスとして液体マトリックスを使用することによって、このようなイオンが優先的に生じる。
マトリックスとして、固体マトリックスを用いた場合は、タンパク質部分のみのイオンが優先的に検出され、糖−アミノ酸結合が維持されたイオンは非常に小さいピークとして検出されるに過ぎない。
本発明による糖タンパク質の構造解析においては、具体的には、例えば、糖−アミノ酸結合が維持されたイオンをプリカーサイオンとして選択し、MSn分析を行うことで、糖タンパク質の構造解析を行うことができる。
例えば、本発明の方法によって、ペプチダーゼによる糖タンパク質の消化物を測定した場合、ペプチド鎖のイオンよりも、糖ペプチドイオン(糖−アミノ酸結合が維持されたイオン)を優先的に検出することができる。ポジティブモード測定においてもネガティブモード測定においても、糖−アミノ酸結合が維持されたイオンが優先的に検出されるという傾向が本発明者らによって確認されている。特に、ネガティブモード測定においては、その傾向が顕著であり、ほとんどが糖−アミノ酸結合が維持されたイオンとして検出されうる。
以下のようにして、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンイオンとα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸イオンとから構成されるイオン性液体(G2CHCA)を調製した。
0.05 mmol (9.45 mg)のα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸をメタノール500μLに溶かし、0.1 mmol(12.5 μL)の1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを加えて、手動及び自動振動器でしっかりと混合した。得られた混合溶液に対し、スピードバックを用いて約2時間減圧乾燥を行った。これをデシケータに入れて、一晩真空引きを行った。
このようにして得られたイオン性液体を液体マトリックスとして用いた。
マトリックス溶液として、市販の精製された固体マトリックス2,5-dihydroxybenzoic acid (DHB)を、5 mg/0.5 mLの濃度で50(v/v) %アセトニトリル水溶液に溶かして得たものを用いた。糖タンパク質Ribonuclease B (RNase B)を、上記実験例1と同様に準備した。この糖タンパク質の酵素消化物水溶液と液体マトリックス溶液を鏡面仕上げされたターゲット上で0.5 μLずつ滴下して混合し、自然に溶媒を蒸発させ、糖タンパク質消化物−DHBの混合結晶を得た。尚、最終的にターゲットのウェル上に搭載される糖タンパク質消化物の濃度が、液体マトリックス使用時と同じになるように調整した。質量分析装置による計測は上記実験例1と同様の操作を行った。
比較例1におけるポジティブモード測定によって得られたマススペクトルを図1(a)、実験例1におけるポジティブモード測定によって得られたマススペクトルを図1(b)、比較例1におけるネガティブモード測定によって得られたマススペクトルを図2(a)、実験例1におけるネガティブモード測定によって得られたマススペクトルを図2(b)に示す。
以下のようにして、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンイオンとp−クマル酸イオンとから構成されるイオン性液体(GCA)を調製した。
0.05 mmol(8.2 mg)のp−クマル酸をメタノール500μLに溶かし、0.15 mmol(18.75 μL)の1,1,3,3−テトラメチルグアニジンを加えて、手動及び自動振動器でしっかり混合した。得られた混合溶液に対し、スピードバックを用いて約2時間減圧乾燥を行った。これをデシケータに入れ、一晩真空引きを行った。
上記実験例1及び実験例2において十分な量で生成した糖ペプチドイオンをプリカーサとしてMSn測定を行えば、構造解析を行うことが可能であることが明らかである。
Claims (8)
- 構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドと、糖タンパク質又は糖ペプチド以外の生体分子及び合成分子からなる群から選ばれる他の分子と、マトリックスとしてのイオン性液体とを少なくとも含む混合物を、MALDI質量分析測定に供し、前記混合物中から前記構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドに由来し且つ糖−アミノ酸結合が維持されたイオンを検出することを含む、液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法であって、
前記混合物は、
前記構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドと、前記他の分子と、前記イオン性液体とを溶媒中に少なくとも含む混合液であって、前記混合液中の前記イオン性液体の濃度が20pM〜200mMである混合液の液滴をターゲットプレート上に形成する工程と、
前記混合液の液滴から前記溶媒を除去して、前記液滴の体積の減少とともに、前記ターゲットプレートと前記混合液の液滴とが接する面積を縮小させることによって、前記混合液中に含まれる少なくとも前記構造解析すべき糖タンパク質又は糖ペプチドと前記イオン性液体とを前記面積の一部へ集め、前記混合物のフォーカススポットを得る工程と、
によって得られる混合物である、液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。 - 前記混合物のフォーカススポットと前記ターゲットプレートとが接する面積は、形成された直後の前記混合液の液滴と前記ターゲットプレートが接する面積の80%以下に縮小される、請求項1に記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
- 前記溶媒は水を含む、請求項1又は2に記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
- 前記ターゲットプレート上に形成された前記混合液の液滴1個に含まれる前記イオン性液体の量は、10fmol〜100nmolである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
- 前記イオン性液体は、アミンのイオンと酸性基含有有機物質のイオンとを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
- 前記酸性基含有有機物質はp−クマル酸又はα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸である、請求項5に記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
- 前記アミンは、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンである、請求項5又は6に記載の液体マトリックスを用いたMALDI質量分析による糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析法。
- 前記MALDI質量分析測定が、ポジティブモード及びネガティブモードの両モードにおいて行われる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
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