JP4426365B2 - 糖タンパク質構造解析手法 - Google Patents

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Description

本発明は、MSの2乗以上の分析が可能な質量分析装置を用いた糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法に関する。
糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析を行うためには、(i)ペプチドシーケンス、(ii)糖鎖シーケンス、及び(iii)糖鎖結合部位の情報を得ることが必要となる。
糖タンパク質又は糖ペプチドの解析法としては、糖タンパク質又は糖ペプチド(以下、単に糖タンパク質と表記する。)から糖鎖を酵素的或いは化学的に分離した後、タンパク質又はペプチド(以下、単にタンパク質と表記する。)と糖鎖とを別々に分析する方法がある。近年、これらの分析には、質量分析装置が利用されている。質量分析の際、ポストソース分解(PSD)や衝突誘起解離(CID)機能が用いられる。これらの機能は、糖鎖及びペプチドのフラグメントの重要な構造情報を与える。
タンパク質と糖鎖とを別々に分析する方法としては、例えば次の方法が挙げられる。まず、2次元電気泳動や各種クロマトグラフィーにより得られた糖タンパク質を、プロテアーゼによりペプチド或いは糖ペプチドに断片化する。さらに、グリカナーゼ消化やβ−脱離等により糖鎖とペプチドに分離する。その後ペプチドは、糖鎖結合部位となるアミノ酸残基に化学的にタグを付加した後、質量分析装置のMS分析によるペプチドマスフィンガープリント(PMF)、或いはCIDやPSD機能によるMS/MS分析により、ペプチドシーケンス解析及び糖鎖結合部位の特定が行われる。一方糖鎖は、質量分析装置によるMS及びMS/MS分析、HPLCによる多次元マッピング、グリコシダーゼによる遂次消化などにより、糖鎖シーケンス解析が行われる。
また、上述のように糖鎖を分離することなく糖タンパク質のまま構造解析することも試みられている。これには質量分析装置のMSn分析が利用される。糖タンパク質の質量分析装置による解析を可能にするものとして、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析装置(FTICR-MS)があり、特に近年開発された電子捕獲解離(ECD)と赤外多光子吸収解離(IRMPD)機能とが用いられる。ECD機能は、糖鎖を壊すことなくペプチド骨格のみ切断できるため、糖鎖結合部位及び糖鎖の分子量情報を与える。IRMPD機能は、ペプチド骨格を切断することなく糖鎖のみ切断できるため、糖鎖シーケンス情報を与える。そして、これら2つの機能を組み合わせることで、FTICR-MSで、ペプチドシーケンス解析、糖鎖シーケンス解析、及び糖鎖結合部位の解析が行われている。
糖鎖とタンパク質とを分離してそれぞれを別々に計測する方法では、分析全体に時間がかかるだけでなく、糖タンパク質の機能を考える際に、糖鎖修飾の意味、すなわち、どのタンパク質のどの位置にどのような糖鎖が結合してどう機能するか、を論じにくくなる。
そして、このときよく使用される質量分析装置のポストソース分解(PSD)や衝突誘起解離(CID)機能では、糖鎖とタンパク質のペプチド鎖との両方がそれぞれに断片化するため、スペクトルが複雑で解析しにくいという問題がある。また、これらの機能ではペプチド鎖に比べ糖鎖の方が分解しやすいことから、ペプチド鎖に糖鎖のついた状態でフラグメントが得にくく、すなわち糖鎖結合部位情報を得ることが難しくなる。
一方、糖鎖とタンパク質とを分離せずに糖タンパク質として計測する方法では、上述のようにFTICR型質量分析装置が用いられるが、この装置は高価かつ大がかりであるだけでなく、保守・管理に手間がかかるという問題がある。また、FTICR型質量分析装置において使用されるECD機能によるペプチド鎖部分の断片化では、生成するフラグメントが少なすぎるためペプチドシーケンス情報を得ることが難しい。また、操作には多くのパラメータの最適化が必要になるため計測が容易ではない。さらに、ECD機能とIRMPD機能とを組み合わせて一台のFTICR型質量分析装置を用いて糖タンパク質の構造解析を行う際には、例えば、IRMPD 機能のための装置を取り付けるときにはECD用のフィラメントをはずす必要があり、IRMPD分析の設定でECD分析を行うことはできない。すなわち、これらIRMPD及びECDの両機能を使用した糖タンパク質分析は手間と時間を要する。
そこで本発明の目的は、質量分析装置を用いて、ペプチドシーケンス解析、糖鎖シーケンス解析、及び糖鎖結合部位の解析を正確に且つ迅速に行うことができる、簡便な糖タンパク質の構造解析方法を提供することにある。
本発明者らは、MSの2乗以上の分析が可能な質量分析装置を用いること、及び、質量分析装置によるMS分析で得られたスペクトルから、プロトン付加分子量関連イオンピークと金属付加分子量関連イオンピークとをプリカーサイオンとして選択し、それぞれのプリカーサイオンについてMSn分析を行うことによって、上記本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の発明を含む。
(1)MSの2乗以上の分析が可能な単一のイオン源からなる一台の質量分析装置のみを用いて、一種類の試料として調製された糖タンパク質又は糖ペプチドのMS分析を行い、
MS分析で観測された特定の糖タンパク質分子又は糖ペプチド分子Mに、タンパク質又はペプチドに付加しやすいプラスチャージイオンA+が付加した、[M+A]+で表されるA付加分子量関連イオンピーク、及び、前記特定の糖タンパク質分子又は糖ペプチド分子Mに、糖鎖に付加しやすいプラスチャージイオンB+が付加した、[M+B]+で表されるB付加分子量関連イオンピークをそれぞれプリカーサイオンとして選んでMSn分析を行い、
前記[M+A]+で表されるA付加分子量関連イオンピークをプリカーサイオンとして得られたMSn解析データのA付加分子量関連イオンピークから、タンパク質又はペプチドの一次構造と糖鎖結合部位とを特定し、
前記[M+B]+で表されるB付加分子量関連イオンピークをプリカーサイオンとして得られたMSn解析データのB付加分子量関連イオンピークから、糖鎖の一次構造を特定する、糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
(2)前記タンパク質又はペプチドに付加しやすいプラスチャージイオンA+がプロトンである、(1)に記載の糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
(3)前記糖鎖に付加しやすいプラスチャージイオンB+が金属イオンである、(1)又は(2)に記載の糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
(4)前記金属イオンがナトリウムイオンである、(3)に記載の糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
)前記質量分析装置が、MALDI-QIT-TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化四重極イオントラップ型飛行時間型)質量分析装置である、(1)〜()のいずれかに記載の糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
本発明によると、質量分析装置を用いて、ペプチドシーケンス解析、糖鎖シーケンス解析、及び糖鎖結合部位の解析を正確に且つ迅速に行うことができる、簡便な糖タンパク質の構造解析方法を提供することができる。
本発明においては、質量分析装置による分析(MS分析)において、MSの2乗以上の分析が可能な質量分析装置を使用して、糖タンパク質又は糖ペプチド試料のMS及びMSn分析を行う。本明細書においては、質量分析装置によって行われる分析において、試料の1回目の分析をMS分析とし、MS分析において得られたスペクトルのイオンピークから特定のイオンを選択し、選択された特定のイオンをプリカーサイオンとして2回目の分析を行うこと(MS/MS分析)をMS2分析と表記する。同様に、MSn-1分析において得られたスペクトルのイオンピークから特定のイオンを選択し、選択された特定のイオンをプリカーサイオンとしてn回目の分析を行うことをMSn分析と表記し、MSのn乗分析と呼称する。
糖タンパク質又は糖ペプチドは、必要に応じて、化学的断片化又は酵素消化を行うことができる。ただしこのとき、試料中の糖鎖とペプチド鎖とを切断することのないように手段を選ぶ必要がある。化学的断片化又は酵素消化によって、試料の糖タンパク質又は糖ペプチドは、複数のより小さなペプチド分子と糖ペプチド分子(すなわち糖鎖が付加したペプチド分子)とに断片化することができる。これらの分子は、混合物試料としてMS分析を行うことができる。以下、このような混合物試料を解析する場合の本発明の方法について説明する。
上述の混合物試料のMS分析により、ペプチド及び糖ペプチドのピークが複数検出される。このうち、ペプチドについては、従来の方法でペプチドシーケンスすることによって同定を行うことができる。一方、糖ペプチドの同定を行うための方法は、以下のようにして行う。
MS分析で得られたスペクトルのうち、特定の一つの糖ペプチド分子Mに、ペプチドに付加しやすいプラスチャージイオンA+が付加した、[M+A]+で表されるA付加分子量関連イオンピーク、及び、前記特定の一つの糖ペプチド分子Mに、糖鎖に付加しやすいプラスチャージイオンB+が付加した、[M+B]+で表されるB付加分子量関連イオンピークを、別個にプリカーサイオンとして選択して、それぞれをMS2分析する。
MALDI法のポジティブモード計測におけるイオン化の際、ペプチドに付加しやすいプラスチャージイオンA+としては、プロトンが挙げられる。すなわち、ペプチドはプロトンが付いた形で検出されやすい。一方、糖鎖に付加しやすいプラスチャージイオンB+としては、金属イオンが挙げられる。さらに金属イオンとしては、ナトリウムイオンが挙げられる。すなわち、糖鎖はナトリウムイオンなどの金属イオンが付いた形で検出されやすい。
本明細書において、ペプチドがプロトンを付加しやすいとは、ペプチドが他のプラスチャージイオンに比べてプロトンを引き付けやすいということを意味する。この場合、特定の一つの糖ペプチド分子Mにプロトンが付加した、[M+H]+で表されるプロトン付加分子量関連イオンピークがプリカーサイオンとして選択される。
同様に、糖鎖が金属イオンを付加しやすいということは、糖鎖が他のプラスチャージイオンに比べて金属イオンを引き付けやすいということを意味する。この場合、特定の一つの糖ペプチド分子Mに金属イオンが付加した、金属付加分子量関連イオンピークがプリカーサイオンとして選択される。さらに金属イオンがナトリウムイオンである場合、特定の一つの糖ペプチド分子MにナトリウムイオンNa+が付加した、[M+Na]+で表されるナトリウム付加分子量関連イオンピークがプリカーサイオンとして選択される。
[M+A]+をプリカーサイオンとしたときのMS2分析においては、主にペプチド鎖のアミノ酸が順番に一つずつとれた状態で複数のフラグメントが得られる。このことから、ペプチドのシーケンス情報及び糖鎖結合部位の特定ができる。
一方、[M+B]+をプリカーサイオンとしたときのMS2分析においては、糖鎖のみからなる複数のフラグメントが主に得られる。このことから、糖鎖シーケンス情報が得られる。
いずれのMS2分析の場合も、得られたフラグメントからさらにプリカーサイオンを選択してMSn分析を行うことで、さらに詳細なペプチド及び糖鎖のシーケンス情報が得られる。各MSn分析で得られるフラグメントは、それぞれ特定の一つのプリカーサイオンに帰属できるので、目的とする分子量関連イオンピークについての正確な構造解析が可能となる。
以下、糖タンパク質リボヌクレアーゼB(RNaseB)を試料として解析する場合の本発明の方法について、さらに詳細に説明する。RNaseBは、アスパラギンに結合し且つ2つのN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基と5〜9のマンノース残基とからなる1つのオリゴ糖鎖を有していると考えられている。
RNase B 162μgは、8M尿素溶液950μL中のジチオトレイトール10mgによって還元された後、3.24μgのリジルエンドペプチダーゼ(タンパク質:基質=50:1(重量比))により消化された。得られた消化物は、脱塩その他の精製処理を一切行うことなく、ポジティブイオンモードでマトリックス支援レーザー脱離イオン化四重極イオントラップ型飛行時間型質量分析計(MALDI-QIT-TOF-MS)で分析した。
なお、マトリックスとしては、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHB)を、アセトニトリルと超純水との40:60(体積比)混合溶液に12.5mg/mlの濃度で溶解した溶液を用いた。また、20pmol/μlに調製した酵素消化物溶液の0.2μlのアリコートを、0.5μlのマトリックス溶液に混合して計測した。
RNaseBの酵素消化物のMS分析においては、複数のペプチドがプロトン付加イオンとして約77%のカバレッジで得られた。これらのMS2分析は多数のy-シリーズ及びb-シリーズのフラグメント(m/z 2225.5, 2230.5, 2799.1,及び2877.1)としてペプチド構造情報を与えた。
さらにRNaseBの酵素消化物のMS分析においては、複数の糖ペプチドがプロトン付加イオンとして5種類のピーク(m/z 1935.9, 2098.0, 2260.2, 2422.3,及び2584.5)を与えた。これは、RNaseBのオリゴ糖鎖が2つのGlcNAc残基と5〜9のヘキソース残基とからなることを示している。これら5種類の糖ペプチドピークのうち、最も強度の高かったm/z 1935.9におけるプロトン付加イオンピークと、同糖ペプチドピークに対応するナトリウム付加イオンピーク(m/z 1957.9)とをプレカーサイオンとして選択し、それぞれのプレカーサイオンに対してMSn分析を行った。
プロトン付加イオンピーク(m/z 1935.9)のMS2分析においては、ペプチドにGlcNAcが1つ付いたイオンピーク(m/z 801.7,及び921.7)を優位に与えた。このうち、m/z 801.7のピークに相当するプロダクトイオンは、m/z 921.7のピークに相当するプロダクトイオンのGluNAc環が開裂することによって生成したものである。さらにm/z 921.7をプレカーサイオンとしてMS3分析を行った。このとき得られたスペクトルを図1(a)に示す。図1(a)中、横軸は質量/電荷(Mass/Charge)を、縦軸はイオンの相対強度を表す。GlcNAc付加ペプチド骨格の開裂ピークを順に与え、ペプチドシーケンスと同時に糖鎖結合部位の情報を与えた。なお、図1(b)は、RNaseBのペプチド部分のアミノ酸配列(配列表の配列番号1)を示し、図1(c)は、(a)におけるプリカーサイオンに相当する糖ペプチド(ペプチド部分のアミノ酸配列:配列表の配列番号2)の構造、及びその主なフラグメンテーションを示す。
一方、ナトリウム付加イオンピーク(m/z 1957.9)のMS2分析においては、主に糖鎖のみからなるナトリウム付加イオンのピークを複数与えた。さらに、これらのMS3及びMS4分析を行った。このとき得られたスペクトルを図2に示す。図2中、横軸は質量/電荷(Mass/Charge)を、縦軸はイオンの相対強度(% Int.)を表す。このように得られたナトリウム付加イオンとしての糖鎖フラグメントは、RNaseBに対する糖鎖部分のシーケンス情報を与えた。
このように、MS分析に加えプロトン付加イオン及びナトリウム付加イオンのMSn分析を行うことで、単一のイオン源を用いた一台のMS装置で、糖タンパク質の糖鎖及びペプチドシーケンス、糖鎖結合部位を確認することができた。
以上のことから、本発明による糖タンパク質の解析方法は、以下の効果を奏する。
1. MSn分析において、ある特定の分子に対して選択される複数のプリカーサイオンは、いずれも同一分子由来のものである。このため、いずれのプリカーサイオンから得られる構造情報もその分子に直接帰属することができる。従って、正確な解析が可能である。
2. MSn分析では、糖鎖のついた状態で特定の糖タンパク質及び糖ペプチドの分析ができる。このため、得られたデータからは、どのタンパク質のどの部分にどのような糖鎖が結合しているか、糖鎖修飾を含めた形で特定の糖タンパク質の機能を論じることができる。
3. 単一のイオン源を用いた一台の質量分析装置のみを用い、一種類の試料として調製された糖ペプチドあるいは糖タンパク質から、構造解析を行うことが可能であるため、迅速な分析ができる。またその際、各MSn分析で基本的な設定は変わらないため、操作も容易である。
プロトン付加分子量関連イオンピークをプリカーサイオンとして使用したときの、RNaseBの糖ペプチドのMS3スペクトル(a)、RNaseBのペプチド部分のアミノ酸配列(b)、及び、(a)におけるプリカーサイオンに相当する糖ペプチドの構造、及びその主なフラグメンテーション(c)である。 ナトリウム付加分子量関連イオンピークをプリカーサイオンとして使用したときの、RNaseBの糖ペプチドのMS3及びMS4スペクトルである。

Claims (5)

  1. MSの2乗以上の分析が可能な単一のイオン源からなる一台の質量分析装置のみを用いて、一種類の試料として調製された糖タンパク質又は糖ペプチドのMS分析を行い、
    MS分析で観測された特定の糖タンパク質分子又は糖ペプチド分子Mに、タンパク質又はペプチドに付加しやすいプラスチャージイオンA+が付加した、[M+A]+で表されるA付加分子量関連イオンピーク、及び、前記特定の糖タンパク質分子又は糖ペプチド分子Mに、糖鎖に付加しやすいプラスチャージイオンB+が付加した、[M+B]+で表されるB付加分子量関連イオンピークをそれぞれプリカーサイオンとして選んでMSn分析を行い、
    前記[M+A]+で表されるA付加分子量関連イオンピークをプリカーサイオンとして得られたMSn解析データのA付加分子量関連イオンピークから、タンパク質又はペプチドの一次構造と糖鎖結合部位とを特定し、
    前記[M+B]+で表されるB付加分子量関連イオンピークをプリカーサイオンとして得られたMSn解析データのB付加分子量関連イオンピークから、糖鎖の一次構造を特定する、糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
  2. 前記タンパク質又はペプチドに付加しやすいプラスチャージイオンA+がプロトンである、請求項1に記載の糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
  3. 前記糖鎖に付加しやすいプラスチャージイオンB+が金属イオンである、請求項1又は2に記載の糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
  4. 前記金属イオンがナトリウムイオンである、請求項3に記載の糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
  5. 前記質量分析装置が、MALDI-QIT-TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化四重極イオントラップ型飛行時間型)質量分析装置である、請求項1〜のいずれか1項に記載の糖タンパク質又は糖ペプチドの構造解析手法。
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