上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、複数のストローを収納し、供給時にストローを1本ずつ払い出すストロー供給装置であって、複数のストローを横倒し状態かつ上下方向に積み重なった状態で収納するストロー収納部と、このストロー収納部の下部に設けられ、ストロー収納部に収納されたストローの長さ方向に直交する方向の通路幅が、下方に向かって次第に狭くなる第1のストロー通路と、この第1のストロー通路から下方に延び、単一のストローの通過を許容するような通路幅を有する第2のストロー通路と、供給時に、第1および第2のストロー通路内のストローを強制的に下方に送りながら、第2のストロー通路内の最下位のストローを外部に払い出すストロー払出し手段と、を備え、ストロー払出し手段は、駆動源と、上下方向に延び、第1および第2のストロー通路に臨むシャフト部と、このシャフト部の周面に所定のピッチで螺旋状に連続して延びる螺旋部と、を有し、供給時にシャフト部を介して駆動源により回転駆動されるストロー払出し部材と、を有していることを特徴とする。
この構成によれば、複数のストローを横倒し状態かつ上下方向に積み重なった状態で収納するストロー収納部の下部に、第1のストロー通路が設けられている。この第1のストロー通路は、収納されたストローの長さ方向に直交する通路幅が下方に向かって次第に狭くなっている。また、この第1のストロー通路から下方に延びる第2のストロー通路は、単一のストローの通過を許容するような通路幅を有している。これにより、第1のストロー通路から第2のストロー通路に移動したストローは、上下方向に一列に並んだ状態となる。また、ストロー払出し手段は、供給時に、第1および第2のストロー通路内のストローを強制的に下方に送りながら、第2のストロー通路内の最下位のストローを外部に払い出す。このように、ストロー払出し手段により、ストローの払出しに加えて、第1および第2のストロー通路内のストローを強制的に下方に送るので、第1および第2のストロー通路の接続部分におけるブリッジの発生を防止でき、それにより、ストローの供給を良好に行うことができる。
また、上記の構成によれば、ストロー払出し手段が、ストロー払出し部材を有している。このストロー払出し部材では、上下方向に延びるシャフト部が第1および第2のストロー通路に臨み、そのシャフト部の周面に、螺旋部が所定のピッチで螺旋状に連続して延びている。供給時に、駆動源により、ストロー払出し部材がシャフト部を介して所定方向に回転駆動されると、それに伴い、螺旋部も回転する。この螺旋部は、シャフト部の周面に設けられることで、シャフト部から突出した状態になっているので、ストロー払出し部材の回転に伴い、第1および第2のストロー通路内のストローを下方に押圧する。これにより、第1および第2のストロー通路内のストローを円滑かつ確実に下方に送ることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のストロー供給装置において、ストロー払出し部材は、ストロー収納部に収納されたストローの長さ方向に互いに所定間隔を隔てて配置された2つのストロー払出し部材で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ストロー払出し部材が、2つのストロー払出し部材で構成されており、両ストロー払出し部材が、収納されたストローの長さ方向に、互いに所定間隔を隔てて配置されている。これにより、両ストロー払出し部材でストローを下方に送る際に、ストローの長さ方向の互いに所定間隔を隔てた2個所を、同時に下方に押圧することができる。その結果、ストローをバランス良く下方に押圧しながら、円滑にかつ安定して下方に送ることができる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のストロー供給装置において、2つのストロー払出し部材は、互いに逆方向に回転駆動されるように構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、2つのストロー払出し部材でストローを下方に送る際に、両ストロー払出し部材が、互いに逆方向に回転する。この場合、両ストロー払出し部材がストローに接触することでストローに作用する力のうち、ストローの長さ方向の分力が、互いに反対方向に作用し、打ち消し合う。そのため、ストローは、その端部に対向する、第1または第2のストロー通路の壁面に押さえ付けられることがない。したがって、ストローを安定した姿勢で下方に送ることができ、その結果、払い出される際のストローの姿勢も安定させることができる。
請求項4に係る発明は、請求項2または3に記載のストロー供給装置において、2つのストロー払出し部材はそれぞれ、シャフト部からシャフト部と直交する方向に突出するとともに、互いに異なる高さに設けられ、第1のストロー通路内のストローを、その姿勢を修正しながら下方に送るために、ストロー払出し部材の回転に伴って回転し、第1のストロー通路に同期して出没する突出部を、さらに有していることを特徴とする。
この構成によれば、2つのストロー払出し部材がそれぞれ、第1のストロー通路内のストローを、その姿勢を修正しながら下方に送るための突出部を有している。これらの突出部は、シャフト部からこれと直交する方向に突出し、互いに異なる高さに設けられている。両ストロー払出し部材が回転すると、それに伴って、両突出部も回転し、第1のストロー通路に同期して出没する。この場合、例えば、両突出部の付近に位置するストローが、水平に対し傾斜しているときには、そのストローに両突出部の少なくとも一方が当たり、それにより、そのストローは、ほぼ水平な姿勢に修正される。また、両突出部が互いに異なる高さに設けられているので、両突出部が同じ高さに設けられている場合に比べて、両突出部の付近に位置するストローに対し、これを下方に押圧する力がより大きく作用する。以上のように、2つのストロー払出し部材が回転することにより、両突出部によって、第1のストロー通路内のストローを、その姿勢をほぼ水平に修正しながら、下方に送ることができる。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のストロー供給装置において、突出部は、シャフト部の長さ方向に互いに所定間隔を隔て、かつ、シャフト部の周方向に互いに等間隔に配置された複数の突出部で構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、複数の突出部が、シャフト部の長さ方向に互いに所定間隔を隔て、かつ、シャフト部の周方向に互いに等間隔に配置されているので、前述した請求項5の作用、効果を、第1のストロー通路内の高さの異なる複数個所で、しかも、両ストロー払出し部材が1回転する間に、複数回、実行することができる。したがって、請求項5の作用、効果を、より効果的に得ることができる。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のストロー供給装置において、複数の突出部はいずれも、所定の径を有するピン状に形成され、複数の突出部のうち、最上位以外の突出部の先端部には、所定の径よりも大きな径を有する拡径部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、所定の径を有するピン状に形成された複数の突出部のうち、最上位以外の突出部の先端部に、径が大きな拡径部が設けられている。ストロー払出し部材の回転に伴い、拡径部を有する突出部が、第1のストロー通路内を移動すると、その突出部の下側に位置するストローに対し、拡径部を有しない最上位の突出部に比べて、下方に押圧する力がより大きく作用する。複数の突出部は、下側のものほど、第2のストロー通路に近いので、第1のストロー通路内のストローを第2のストロー通路に押し込むように作用する。つまり、最上位の突出部により、主にストローの姿勢の修正が行われる一方、最上位以外の突出部により、主にストローの下方への送りが行われる。したがって、複数の突出部により、第1のストロー通路の上部において、ストローの姿勢を修正するとともに、第1のストロー通路の下部において、ブリッジの発生を防止しながら、ストローを第2のストロー通路に確実に送ることができる。
請求項7に係る発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載のストロー供給装置において、ストロー収納部に臨み、支点を中心として揺動自在の揺動板を、さらに備え、2つのストロー払出し部材の上部にはそれぞれ、2つのストロー払出し部材の回転に伴い、揺動板の支点と異なる位置を押圧することにより、揺動板を揺動させる押圧部が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、支点を中心として揺動自在の揺動板が、ストロー収納部に臨んでいる。2つのストロー払出し部材が回転すると、それに伴い、両ストロー払出し部材の上部に設けられた押圧部が、揺動板の支点と異なる部位を押圧する。これにより、揺動板が揺動し、それによる振動が、ストロー収納部に収納されているストローに付与される。その結果、ストロー収納部におけるブリッジの発生を防止でき、それにより、ストロー収納部から第1のストロー通路へのストローの移動が円滑に行われる。
請求項8に係る発明は、請求項7に記載のストロー供給装置において、2つのストロー払出し部材に設けられた2つの押圧部は、揺動板を互いに異なるタイミングで押圧するように構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、2つのストロー払出し部材の各押圧部により、揺動板が互いに異なるタイミングで押圧されるので、同一のタイミングで押圧される場合に比べて、揺動板の揺動回数を倍増でき、それにより、ストロー収納部内のストローに付与する振動回数も倍増することができる。その結果、前述した請求項8の作用、効果を、より効果的に得ることができる。
請求項9に係る発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載のストロー供給装置において、第2のストロー通路の下方に設けられ、第2のストロー通路から払い出されたストローの長さ方向の中心以外の部位が当接することにより、ストローを傾斜した姿勢で落下させるためのストロー落下姿勢制御部材を、さらに備えていることを特徴とする。
この構成によれば、第2のストロー通路から払い出されたストローは、その長さ方向の中心以外の部位が、ストロー落下姿勢制御部材に当接する。この場合、ストローは、ストロー落下姿勢制御部材に当接した部位を境として、長尺部分の端部が短尺部分の端部よりも下側に位置するように傾斜する。これにより、第2のストロー通路から払い出されたストローを、常に同じ側に傾斜させ、例えばシュートなどで滑降させながら、所望の位置に安定して搬出することができる。
請求項10に係る発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載のストロー供給装置において、ストロー収納部に設けられ、ストロー収納部に収納されたストローの長さ方向の両側にそれぞれ配置された発光素子および受光素子で構成された光センサを、さらに備えており、発光素子および受光素子は、同一平面において、収納されたストローの長さ方向に対して斜めに対向していることを特徴とする。
この構成によれば、ストロー収納部に、発光素子および受光素子で構成された光センサが設けられている。この光センサの発光素子および受光素子は、ストロー収納部に収納されたストローの長さ方向の両側にそれぞれ配置され、同一平面において、収納されたストローの長さ方向に対して斜めに対向している。これにより、ストロー収納部において、光センサよりも高い位置までストローが収納されているか否かを、適正に検出することができる。
例えば、光センサの発光素子と受光素子が、ストロー収納部に収納されたストローの長さ方向に沿って対向するように配置されていると、発光素子からの光が、ストローの一端から他端に向かい、その中空部を通って受光素子に受光されることがある。また、複数のストローが整然と積み重なった状態で収納されている場合、発光素子からの光が、ストロー間の隙間を通って受光素子に受光されることがある。これらの場合には、ストローが光センサよりも高い位置まで収納されていても、ストローが光センサの高さを下回っていると誤検出されるおそれがある。したがって、上記の構成によれば、上述した誤検出を防止でき、光センサよりも高い位置までストローが収納されているか否かを、適正に検出することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるストロー供給装置を示している。このストロー供給装置1は、コーヒーやジュースなどのカップ入り飲料を販売するカップ式自動販売機(図示せず)に内蔵され、販売時に、ストローを1本ずつ払い出し、所定の取出口、例えば商品を取り出すための商品取出口や、ストロー専用のストロー取出口に供給するものである。
図1〜図3に示すように、このストロー供給装置1は、縦長ボックス状に形成された外装ケース2を備えており、この外装ケース2内の収納部2a(ストロー収納部)に、多数のストローが、横倒し状態かつ上下方向に積み重なった状態で収納される。また、外装ケース2の下半部には、ストローを、強制的に下方に送りながら、最下位のストローを払い出すストロー払出し装置3(ストロー払出し手段)が設けられている。なお、図示しないが、自動販売機には、マイクロコンピュータを有する制御装置が内蔵されており、この制御装置により、上記ストロー払出し装置3が、自動販売機内の他の機器とともに制御される。
外装ケース2は、所定形状の金属板を折曲げ加工することなどによって形成されたケース本体4と、これと同様に形成され、ケース本体4の前面および上面を開閉する正面ドア5とで構成されている。ケース本体4は、正面形状が縦長矩形状の背板11と、この背板11の左右端部において直角に屈曲し、前方に延びる左右の側板12、12と、各側板12の前端部において直角に屈曲し、内方に所定長さ延びる前板13とで、平面形状が前方に開放するコ字状に形成されるとともに、上方および下方に開放している。
背板11の上部の所定位置には、後方に突出し、正面形状が円形の左右2つの上凸部14、14が設けられている。また、背板11の下端部には、上記の上凸部14と同様に後方に突出し、正面形状が半円形の左右2つの下凸部15、15が設けられている。各上凸部14には、所定形状の取付け孔14aが形成される一方、各下凸部15には、逆U字状の取付け溝15aが形成されている。これらの取付け孔14a、14a、および取付け溝15a、15aが、自動販売機内の所定位置に固定されたねじなどの取付部材にそれぞれ係合することにより、ストロー供給装置1が、自動販売機内に着脱自在に取り付けられている。また、背板11の上端部は、前方に直角に屈曲されており、この屈曲部の中央に、後述するスライド板42の上端部が下方から遊挿する遊挿孔11aが形成されている。
左右の側板12、12の上部の所定位置にはそれぞれ、図示しない貫通孔が形成されており、両側板12、12の上記貫通孔の外側に、光センサで構成されたストロー収納量センサ16、16が取り付けられている。これらのセンサ16、16は、一方が発光素子で、他方が受光素子で構成されており、これらが、同一平面上で、左右方向に対し、斜めに対向するように配置されている。これらのストロー収納量センサ16、16により、ストロー供給装置1へのストロー補充時に、光センサ16よりも高い位置まで、ストローが十分に補充されたか否かが検出される。また、収納されたストローの最上位が光センサ16の高さを下回ったか否かが検出され、それが検出された後、前記制御装置により、ストローの供給ごとに減算処理が実行されることなどによって、ストローの残量が算出される。
また、左側板12の前端寄りの上下端部にはそれぞれ、正面ドア5を回動自在に支持するドア支持ねじ17、17が取り付けられている。したがって、正面ドア5は、これらのドア支持ねじ17、17を支点として回動し、ケース本体4の前面および上面を開閉する。
図4は、このストロー供給装置1によって供給されるストローSを示している。このストローSは、所定の外径(例えば6.3mm)を有するプラスチック製のものであり、前記ケース本体4の左右の側板12、12間の距離よりも短く、かつ左右の前板13、13間の距離よりも若干長い寸法を有している。また、このストローSは、包装フィルムFで個別包装されている。一般に、多数のストローを、専用の包装装置で自動的に個別包装するストローの包装工程では、2枚の包装フィルムでストローを挟み、両包装フィルムのストロー周囲を溶着する。それにより、各ストローは、包装フィルムで密封された状態に包装される。したがって、包装工程における包装フィルムの上記溶着により、個別包装された上記ストローSの四方には、包装フィルムFが溶着されたいわゆる耳Fmが生成されている。なお、以下の説明では、特に断らない限り、包装フィルムFを含め、包装されたストロー全体を「ストローS」と称呼するものとする。
図5〜図7は、ストロー払出し装置3およびその周囲を示している。これらの図に示すように、ストロー払出し装置3は、上下方向に延び、互いに左右方向に所定間隔を隔てて配置され、ほぼ左右対称に構成された回転自在の2つのストロー払出しスクリュー21、21(ストロー払出し部材)と、これらを回転駆動するモータ22(駆動源)とを備えている。また、両ストロー払出しスクリュー21、21の前方に、これらと協働して、上側の収納部2aから連なるストロー通路20を画成する通路壁プレート23が配置されている。
この通路壁プレート23は、所定形状の金属板を折曲げ加工することなどで形成され、左右両端部がケース本体4の左右の側板12、12にそれぞれねじ止めされた状態で、両側板12、12間に配置されている。また、通路壁プレート23は、図5および図7に示すように、後方の両ストロー払出しスクリュー21、21に向かって前下がりに傾斜する上側傾斜部23aと、この上側傾斜部23aから垂下する垂下部23bと、この垂下部23bから前方に向かって前下がりに傾斜する下側傾斜部23cとを有している。この通路壁プレート23の上側傾斜部23aにより、ストロー通路20の通路幅が下方に向かって次第に狭くなるテーパ通路部20a(第1のストロー通路)が画成され、また、通路壁プレート23の垂下部23bにより、単一のストローSの通過を許容するような通路幅を有する単一通路部20b(第2のストロー通路)が画成されている。また、通路壁プレート23の下側傾斜部23cには、後述するストロー払出しセンサ51の受光素子51bが取り付けられている。
両ストロー払出しスクリュー21、21はいずれも、上下方向に延びる金属製のシャフト31(シャフト部)と、このシャフト31の上半部に、螺旋状に巻き付けられた状態で固定された螺旋ワイヤ32(螺旋部)とを有している。
シャフト31は、その上半部に、比較的大きな径の大径部31aを有し、下半部に、大径部31aよりも小さな径の小径部31bを有している。また、シャフト31の上端部には、所定形状の押圧カム33(押圧部)が固定される一方、下端部には、かさ歯車で構成された従動ギヤ34が固定されている。押圧カム33は、シャフト31の径方向に突出する凸部33aを有しており、ストロー払出しスクリュー21が1回転するのに伴い、後述する揺動板41を凸部33aで1回押圧する。一方、従動ギヤ34は、後述する駆動軸38に固定された2つの駆動ギヤ39、39の一方に噛み合っている。
また、シャフト31の大径部31aの所定位置には、ストローSを、その姿勢を修正しながら下方に送るために、上下方向に互いに間隔を隔て、かつ、周方向に互いに等間隔に配置された3つの突出ピン35(突出部)が取り付けられている。これらの突出ピン35はいずれも、所定の径を有し、シャフト31に一端部がねじ込まれた状態で、シャフト31と直交するように、これに一体に取り付けられている。また、3つの突出ピン35のうち、最上位の突出ピン35A以外のもの、すなわち中央の突出ピン35Bおよび最下位の突出ピン35Cの先端部にはいずれも、突出ピン35自体の径よりも大きな径を有する円板部36b、36c(拡径部)が設けられている。
また、上記の3つの突出ピン35は、左右のストロー払出しスクリュー21の対応する突出ピン35同士の間で、高さが異なるように配置されている。すなわち、図8に示すように、左側のストロー払出しスクリュー21の3つの突出ピン35に対し、右側のストロー払出しスクリュー21の対応する突出ピン35がいずれも、若干低い位置に配置されている。また、対応する突出ピン35同士の高さの差(ΔH1、ΔH2、ΔH3)が、下側の突出ピン35ほど、大きくなるように配置されている(ΔH1<ΔH2<ΔH3)。なお、本実施形態では、ΔH1、ΔH2およびΔH3がそれぞれ、2、2.5および3mmに設定されている。
シャフト31に固定された螺旋ワイヤ32は、所定の径を有する金属製ワイヤで構成されており、シャフト31の大径部31aの周面に所定のピッチで螺旋状に連続して延びている。具体的には、螺旋ワイヤ32は、ストローSの外径よりも若干大きなピッチを有しており、図6(b)に示すように、左側のストロー払出しスクリュー21では、下方に向かって反時計方向に、右側のストロー払出しスクリュー21では、下方に向かって時計方向に、シャフト31に巻き付けられている。また、図7に示すように、両ストロー払出しスクリュー21、21と通路壁プレート23の垂下部23bとで画成された単一通路部20bでは、垂下部23bとシャフト31との距離W1が、ストローSの外径よりも若干大きく、垂下部23bと螺旋ワイヤ32との距離W2が、ストローSの外径よりも小さく設定されている。
また、図6(b)および図7に示すように、シャフト31の大径部31aの下端部には、水平に突出する押圧ピン37が取り付けられている。この押圧ピン37は、ストロー通路20内の最下位のストローSを払い出す際に、そのストローSを、通路壁プレート23の垂下部23bとの間で若干押し潰し、ストローS自体の復元力を発揮させながら、勢い良く払い出すためのものである。図9(a)に示すように、押圧ピン37は、シャフト31の螺旋ワイヤ32の下端付近に、所定長さ突出するように取り付けられている。この押圧ピン37は、その突出長さが、ストローS自体に永久変形を与えない程度に設定され、また、ストローSの包装フィルムFを破らないよう、先端部がほぼ半球状に形成されている。
以上のように構成された左右のストロー払出しスクリュー21、21は、ケース本体4の右側板12の外面に固定されたモータ22により、駆動軸38を介して駆動される。この駆動軸38は、図6に示すように、左右方向に水平に延びており、駆動軸38の両ストロー払出しスクリュー21、21の内側に、互いに逆向きのかさ歯車で構成された2つの駆動ギヤ39、39が固定されている。そして、これらの駆動ギヤ39、39が、対応するストロー払出しスクリュー21、21の下端部に固定された従動ギヤ34、34に噛み合っている。したがって、モータ22により、駆動軸38が所定方向に回転すると、図6(b)の矢印で示すように、左右のストロー払出しスクリュー21、21がそれぞれ、時計方向および反時計方向に同一の回転速度で回転する。またこの場合、両ストロー払出しスクリュー21、21の3つの突出ピン35は、対応する突出ピン35、35同士が、ストロー通路20のテーパ通路部20aに同期して出没し、加えて、押圧ピン37、37も、ストロー通路20の単一通路部20bに同期して出没する。
図2、図3および図7に示すように、ストロー払出し装置3の上方には、その作動時に、収納部2a内のストローSに振動を付与するための揺動板41およびこれに係合するスライド板42が設けられている。揺動板41は、所定形状の金属板を折曲げ加工することなどによって形成され、収納部2aの内方に向かって前下がりに傾斜する傾斜部41aと、この傾斜部41aから垂下し、両ストロー払出しスクリュー21、21の押圧カム33、33の前方に回り込む垂下部41bとを有している。また、この揺動板41は、左右方向に水平に延びる支軸43に回動自在に支持されている。この支軸43は、両端部がケース本体4の左右の側板12、12に支持されており、支軸43の所定位置には、揺動板41を図7において反時計方向に付勢するねじりコイルばね44が設けられている。
一方、スライド板42は、正面形状が縦長矩形状に形成され、ケース本体4の背板11に沿って、その直ぐ前側に配置されている。スライド板42の前面には、若干突出する6つの凸部42aが、上下左右に並ぶように形成されている。また、スライド板42は、その上端部が、背板11の上端部の遊挿孔11aに遊挿され、下端部が揺動板41の上端部に係合している。
以上のように構成された揺動板41およびスライド板42は、図7および図10(a)に示す待機状態から、両ストロー払出しスクリュー21、21が回転すると、上端部の押圧カム33も回転し、その凸部33aが、揺動板41の垂下部41bを後方から押圧する。これにより、図10(b)に示すように、揺動板41は、収容部2aの内方に突出するように回動し、これに連動して、スライド板42は、その下部が背板11に接近しながら、下方にスライドする。また、ストロー払出しスクリュー21がさらに回転し、押圧カム33による揺動板41への押圧が解除されると、揺動板41は、ねじりコイルばね44の付勢力によって、図10(a)に示す待機状態に戻り、これに伴い、スライド板42も上方にスライドし、待機状態に戻る。
以上のように、両ストロー払出しスクリュー21、21の回転に伴い、上記のようにして、揺動板41が揺動するとともに、スライド板42がスライドすることにより、収容部2a内のストローSに振動を与え、それにより、収容部2a内でのストローSのいわゆるブリッジを防止しながら、ストローSを円滑に下方に移動させることができる。また、両ストロー払出しスクリュー21、21の押圧カム33、33は、互いに異なるタイミングで揺動板41を押圧するように設定されている。したがって、両ストロー払出しスクリュー21、21が1回転する間に、揺動板41は、2回押圧される。これにより、両押圧カム33、33が同一のタイミングで揺動板41を押圧する場合に比べて、揺動板41の揺動回数を倍増でき、それにより、収納部2a内のストローSに付与する振動回数も倍増することができる。その結果、上述したブリッジの防止およびストローSの下方への円滑な移動を、より効果的に得ることができる。
図2、図3および図7に示すように、両ストロー払出しスクリュー21、21の下部には、ストロー通路20から払い出されたストローSを下方に案内するガイドプレート45が配置されている。このガイドプレート45は、所定形状の金属板を折曲げ加工することなどで形成されており、両ストロー払出しスクリュー21、21の両側に位置し、それらの後方から前方に前下がりに傾斜する左右2つのガイド部45a、45aと、これらに連なるとともに垂下する垂下部45bと、この垂下部45から後ろ上がりに傾斜し、両ストロー払出しスクリュー21、21の間に位置するとともに、前記通路壁プレート23の下側傾斜部23cに対向する傾斜部45cとを有している。このガイドプレート45の両ガイド部45a、45aおよび垂下部45bにより、払い出されたストローSを、両ストロー払出しスクリュー21、21に当てることなく、ケース本体4内の下部に円滑に案内することができる。
また、ガイドプレート45の傾斜部45cには、ストロー通路20からストローSが払い出されたか否かを検出する、光センサで構成されたストロー払出しセンサ51の発光素子51aが取り付けられている。前述したように、通路壁プレート23の下側傾斜部23cには、ストロー払出しセンサ51の受光素子51bが取り付けられており、これらの発光素子51aと受光素子51bが、互いに対向するように配置されている。したがって、払い出されたストローSが、ストロー払出しセンサ51の発光素子51aと受光素子51bの間を通過したときに、発光素子51aからの光がストローSで一旦、遮断され、それにより、ストロー通路20からストローSが払い出されたことが検出される。
なお、受光素子51bが取り付けられた通路壁プレート23の下側傾斜部23cには、受光素子51b自体の受光部よりも小さなスリット(図示せず)が形成されており、このスリットを介して、受光素子51bが発光素子51aからの光を受ける。前述したように、ストローSは、外径が比較的小さいため、受光素子51bの受光部で直接、受光しようとすると、ストローSが発光素子51aと受光素子51bの間を通過しても、それによる光の遮断が不十分となることで、払い出されたストローSの検出ミスを生じることがある。そのため、受光素子51bが、上記のようなスリットを介して、発光素子51aからの光を受けることにより、払い出されたストローSの検出を確実に行うことができる。
また、図2および図3などに示すように、ガイドプレート45の垂下部45bの右部には、ストロー姿勢制御ロッド46(ストロー姿勢制御部材)が取り付けられている。このストロー姿勢制御ロッド46は、垂下部45bから、ケース本体4の前板13付近まで、前方に水平に延びている。図11(a)に示すように、ストロー通路20から払い出されたストローSは、ほぼ水平な姿勢で下方に落下し、右端部が、ストロー姿勢制御ロッド46に当接する。この場合、同図(b)に示すように、ストローSは、ストロー姿勢制御ロッド46に当接した部位を境として、長尺の左部が短尺の右部よりも下側に位置するように傾斜する。これにより、ストロー通路20から払い出されたストローSを、常に左側に傾斜させ、例えばシュートなどで滑降させながら、所定の取出口に安定して搬出することができる。
なお、上記ストロー姿勢制御ロッド46は、ガイドプレート45の垂下部45bの左部に取り付けることも可能である。その場合には、ストロー通路20から払い出されたストローSは、常に右側に傾斜して搬出される。
図6および図7に示すように、両ストロー払出しスクリュー21、21の間には、ストローSが、ストロー通路20の単一通路部20bにおける所定の待機位置に到達したか否かを検出するためのストロー待機位置スイッチ52が設けられている。このストロー待機位置スイッチ52は、ケース本体4の背板11に固定されたスイッチ本体52aと、このスイッチ本体52から通路壁プレート23の垂下部23b付近まで前下がりに延び、スイッチ本体52に回動自在に連結されたスイッチアーム52bとを有している。
図12(a)に示すように、ストローSが待機位置に到達していないときには、スイッチアーム52bがストローSに押圧されることがなく、したがって、ストロー待機位置スイッチ52はOFF状態となる。一方、同図(b)に示すように、ストローSが待機位置に到達し、スイッチアーム52を押圧することにより、ストロー待機位置スイッチ52はON状態となる。
次に、ストロー払出し装置1によるストローSの払出し動作について説明する。図13は、収納部2aおよびストロー通路20に複数のストローSが収納された状態を示しており、図14は、ストロー払出し時のタイムチャートである。なお、以下の説明では、適宜、ストロー通路20内の最下位のストローSを「供給ストローS1」と称呼し、その直ぐ上のストローSを「次供給ストローS2」と称呼するものとする。
図14に示すように、飲料の販売時に、ストローの供給指令があると(時刻t1)、モータ22が作動し、それにより、両ストロー払出しスクリュー21、21がそれぞれ所定の方向(図6(b)参照)に回転する。これにより、ストロー通路20内のストローSのうち、両ストロー払出しスクリュー21、21の付近に位置するものが、それらの螺旋ワイヤ32、32によって押圧され、下方に送られる。この場合、両ストロー払出しスクリュー21、21の回転に伴い、図13に示すように、揺動板41が揺動するとともに、スライド板42が上下方向にスライドする。これにより、収納部2a内のストローSに振動が与えられ、収納部2a内でのブリッジを防止しながら、ストローSが下方に円滑に移動する。
またこの場合、両ストロー払出しスクリュー21、21の互いに対応する突出ピン35、35同士が、ストロー通路20のテーパ通路部20aに同期して出没する。具体的には、互いに対応する両突出ピン35、35がテーパ通路部20a内のストローS間に割って入り、それにより、ストローSを、その姿勢を修正しながら下方に送る。
例えば、図15(a)に示すように、テーパ通路部20a内のストローSのうち、ストローS’のように、水平に対し傾斜している場合、同図(b)に示すように、突出ピン35、35(同図では最上位の突出ピン35A、35A)によって持ち上げられることなどにより、ストローS’の姿勢がほぼ水平に修正される。また、突出ピン35、35の下側に位置するストローS”は、突出ピン35、35で押し下げられ、下方に送られる。特に、先端部に円板部36b、36cを有する中央および最下位の突出ピン35Bおよび35Cにより、円板部36b、36cを有しない最上位の突出ピン35Aに比べて、下側に位置するストローS”に対し、下方に押圧する力がより大きく作用する。これらの突出ピン35Bおよび35Cは、単一通路部20bに近く、したがって、テーパ通路部20a内のストローSを単一通路部20bに押し込むように作用する。つまり、最上位の突出ピン35Aにより、主にストローSの姿勢の修正が行われる一方、中央および最下位の突出ピン35B、35Cにより、主にストローSの下方への送りが行われる。したがって、これらの突出ピン35A、35B、35Cにより、テーパ通路部20aの上部において、ストローSの姿勢を修正するとともに、テーパ通路部20aの下部において、ブリッジを防止しながら、ストローSを単一通路部20bに確実に送ることができる。
単一通路部20b内の最下位のストローである供給ストローS1が、所定の待機位置に到達すると、図12(b)に示すように、供給ストローS1がストロー待機位置スイッチ52のスイッチアーム52bを押圧し、それにより、ストロー待機位置スイッチ52がON状態となる(時刻t2)。
その後、供給ストローS1がさらに下方に送られ、両ストロー払出しスクリュー21、21の螺旋ワイヤ32、32から外れるのとほぼ同時に、図9(b)に示すように、両押圧ピン37、37で押し潰される。そして、両ストロー払い出しスクリュー21、21がさらに回転することにより、供給ストローS1がストロー通路20の単一通路部20bから、勢い良く払い出される。これにより、供給ストローS1によるスイッチアーム52bへの押圧が解除され、ストロー待機位置スイッチ52がOFF状態となる(時刻t3)。
払い出された供給ストローS1は、ストロー払出しセンサ51の発光素子51aと受光素子51bの間を通過し(時刻t4)、ストロー通路20から供給ストローS1が払い出されたことが検出される。また、払い出された供給ストローS1は、その右端部がストロー姿勢制御ロッド46に当接し、左側に傾斜した姿勢で、所定の取出口に搬出される。
その後、次供給ストローS2が、単一通路部20bの所定の待機位置に到達し、ストロー待機位置スイッチ52のスイッチアーム52bを押圧すると、ストロー待機位置スイッチ52がON状態となる(時刻t5)。これに基づいて、モータ22の作動が停止され、ストローSの払い出しが終了する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、ストロー払出し装置3により、ストロー通路20内のストローSを強制的に下方に送りながら、供給ストローS1を払い出すので、従来と異なり、テーパ通路部20aと単一通路部20bの接続部分におけるブリッジの発生を確実に防止でき、それにより、ストローSの供給を良好に行うことができる。また、ストロー通路20内のストローSを下方に送る際に、左右2つのストロー払出しスクリュー21、21によって、ストローSの長さ方向の互いに所定間隔を隔てた2個所を、同時に下方に押圧するので、ストローSをバランス良く下方に押圧しながら、円滑にかつ安定して下方に送ることができる。加えて、両ストロー払出しスクリュー21、21が互いに逆方向に回転するので、ストローSに作用する力のうち、ストローSの長さ方向の分力が、互いに反対方向に作用し、打ち消し合う。これにより、ストローSがケース本体4の左右の側板12、12に押さえ付けられることがなく、ストローSを安定した姿勢で下方に送ることができ、その結果、払い出される際のストローSの姿勢も安定させることができる。
また、供給ストローS1の払い出しの際には、その供給ストローS1を、押圧ピン37によって、通路壁プレート23の垂下部23bとの間で押し潰し、この押し潰しによる復元力を発揮させながら、供給ストローS1を払い出す。これにより、供給ストローS1は、送りのみによる払い出しに比べて、勢い良く払い出される。これにより、供給ストローS1および次供給ストローS2の包装フィルムFの耳Fm同士が、重なったり、絡んだりしていても、供給ストローS1を上記のように勢い良く払い出すことにより、供給ストローS1を次供給ストローS2から迅速かつ確実に切り離すことができる。したがって、本実施形態のストロー供給装置1によれば、個別包装されたストローであっても、その供給を良好に行うことができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、自動販売機に内蔵されたストロー供給装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、自動販売機以外の機器に設置したり、ストロー供給専用の装置に適用したりすることも可能である。また、ストロー払出し装置3として、2つのストロー払出しスクリュー21、21を採用したが、この数は特に限定されるものではない。さらに、ストロー通路20内のストローSを強制的に下方に送ることが可能な構成であれば、ストロー払出しスクリュー21以外の構成を採用してもよい。また、実施形態で示したストロー供給装置1の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。