JP5081054B2 - コンバインのクラッチ操作装置 - Google Patents
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Description
[1] 電動モータでカム機構を駆動して、刈取クラッチや脱穀クラッチ、及びフィードチェーンクラッチを操作するように構成したもの(特許文献1参照)。
[2] 刈取クラッチや脱穀クラッチとは関係なく、穀粒タンク内の穀粒を外部へ取り出すための穀粒排出用スクリューコンベアの駆動用クラッチを人為的に入り切り操作可能にしたもの(特許文献2参照)。
しかしながら、穀粒貯留装置に貯留された穀粒を機外へ排出する際には、一般に刈取脱穀作業が行われていない動作タイミングで任意に穀粒排出用のクラッチを操作する必要があるので、従来では、特許文献2に示されているように、脱穀クラッチや刈取クラッチを操作する機構やその操作具とは関係なく、別個に設けた操作具によって、独立してクラッチの入り切り操作を行うようにしていた。
すなわち、例えば、カム機構での操作対象となる各クラッチの全てが作動停止した位置から、全てのクラッチの操作が行われる位置まで、順次的に各クラッチが作動するようにカム機構の操作行程中に各クラッチの操作域を設定した場合、穀粒排出用のクラッチ操作域を前記操作行程中のどの位置に設定しても、穀粒排出用クラッチのみを入り切り操作したいにも関わらず、その操作途中で別のクラッチが一時的に動いてしまったり、穀粒排出用クラッチを操作したくないにも関わらず、刈取脱穀関連のクラッチの操作途中で穀粒排出用クラッチが一時的に操作されてしまうなどの可能性があって好ましくない。
上記課題を解決するために本発明で講じた技術手段は、刈取搬送装置の駆動を入り切りする刈取クラッチと、穀粒貯留装置の駆動を入り切りする穀粒排出用クラッチとを操作するコンバインのクラッチ操作装置であって、
前記各クラッチを入り切り操作するカム機構と、そのカム機構を駆動する電動モータとを備え、
前記カム機構は、前記電動モータによって正転方向と逆転方向とに回転方向を変更切換可能に構成されているとともに、前記刈取クラッチと前記穀粒排出用クラッチとが共に切り位置に維持される中立位置を挟んで、一方側の操作域に前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りで前記刈取クラッチがクラッチ切りとなる位置を設定し、他方側の操作域に前記穀粒排出用クラッチがクラッチ切りで前記刈取クラッチがクラッチ入りとなる位置を設定してあることを特徴とする。
上記のように、解決手段1にかかる本発明のコンバインのクラッチ操作装置では、正転方向と逆転方向とに回転方向を変更切換可能な電動モータを用いるとともに、その電動モータで駆動させるカム機構に、穀粒排出用クラッチと刈取クラッチとが共にクラッチ切りとなる中立位置を挟んで、その中立位置の一側で穀物排出用クラッチを作動させる操作域を設定し、他側に刈取クラッチを作動させる操作域を設定している。このように操作域を設定されたカム機構と、電動モータの正逆転方向との組み合わせて用いることにより、穀物排出用クラッチを作動させる際には、刈取クラッチの作動を伴うことなく独立して操作することができ、逆に、刈取クラッチを作動させる際には、穀物排出用クラッチの作動を伴うことなく操作することができる。
したがって、穀粒排出用クラッチと刈取クラッチとを作動させるための電動モータやカム機構を共用しながら、その作動は互いに他方側に影響を及ぼすことなく独立的に行うことができる利点がある。
本発明におけるコンバインのクラッチ操作装置の第2の解決手段は、刈取搬送装置の駆動を入り切りする刈取クラッチと、脱穀装置の駆動を入り切りする脱穀クラッチと、穀粒貯留装置の駆動を入り切りする穀粒排出用クラッチとを操作するコンバインのクラッチ操作装置であって、
前記各クラッチを入り切り操作するカム機構と、そのカム機構を駆動する電動モータとを備え、
前記カム機構は、前記電動モータによって正転方向と逆転方向とに回転方向を変更切換可能に構成されているとともに、全てのクラッチが切り位置に維持される中立位置を挟んで、一方側の操作域に前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りで他の全てのクラッチが前記クラッチ切りとなる位置を設定し、他方側の操作域に前記穀粒排出用クラッチがクラッチ切りで前記脱穀クラッチが入りとなる位置と、前記穀粒排出用クラッチがクラッチ切りで前記脱穀クラッチ及び前記刈取クラッチがクラッチ入りとなる位置を設定してあることを特徴とする。
上記の解決手段2にかかる本発明のコンバインのクラッチ操作装置では、正転方向と逆転方向とに回転方向を変更切換可能な電動モータを用いるとともに、その電動モータで駆動させるカム機構に、全てのクラッチがクラッチ切りとなる中立位置を挟んで、その中立位置の一側で穀物排出用クラッチを作動させる操作域を設定し、他側に刈取クラッチを作動させる操作域、及び刈取クラッチと脱穀クラッチとを作動させる操作域を設定している。
このように操作域を設定されたカム機構と、電動モータの正逆転方向との組み合わせて用いることにより、穀物排出用クラッチを作動させる際には、刈取脱穀系のクラッチの作動を伴うことなく独立して操作することができ、逆に、刈取脱穀系のクラッチを作動させる際には、穀物排出用クラッチの作動を伴うことなく操作することができる。
したがって、穀粒排出用クラッチと刈取脱穀系のクラッチとを作動させるための電動モータやカム機構を共用しながら、その作動は互いに他方側に影響を及ぼすことなく独立的に行うことができる利点がある。
本発明のコンバインのクラッチ操作装置における第3の解決手段では、前記カム機構には、前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りである側とは前記中立位置を挟んで反対側に、フィードチェーンの作動クラッチが入りとなる操作位置を設定してある点に特徴がある。
上記のように構成された解決手段3にかかる本発明のコンバインのクラッチ操作装置では、前記解決手段1または2にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、穀粒排出用クラッチがクラッチ入りである側とは中立位置を挟んで反対側に、フィードチェーンの作動クラッチが入りとなる操作域を設定してあることにより、穀粒排出用クラッチと、フィードチェーンを含めての刈取脱穀系のクラッチとを作動させるための電動モータやカム機構を共用しながら、その作動は穀粒排出用クラッチの存在側と、他方側とで互いに影響を及ぼすことなく独立的に行うことができる利点がある。
本発明の歩行型作業機におけるコンバインのクラッチ操作装置における第4の解決手段では、前記カム機構には、前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りである側とは前記中立位置を挟んで反対側に、分草杆を刈取作業用姿勢である張り出し側へ操作するための操作位置を設定してある点に特徴がある。
上記のように構成された解決手段4にかかる本発明のコンバインのクラッチ操作装置では、前記解決手段1、2、または3にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、穀粒排出用クラッチがクラッチ入りである側とは中立位置を挟んで反対側に、分草杆を刈取作業用姿勢である張り出し側または非作業用姿勢である格納側へ操作するための操作機構が作動する操作域を設定してあることにより、穀粒排出用クラッチと、分草杆の操作機構を含めての刈取脱穀系のクラッチとを作動させるための電動モータやカム機構を共用しながら、その作動は穀粒排出用クラッチの存在側と、他方側とで互いに影響を及ぼすことなく独立的に行うことができる利点がある。
本発明の歩行型作業機におけるコンバインのクラッチ操作装置における第5の解決手段では、前記分草杆の張り出し側への操作は、前記刈取クラッチの入り作動、または脱穀装置の駆動を入り切りする脱穀クラッチの入り作動と連動して行われるように構成してあることを特徴とする。
上記のように構成された解決手段5にかかる本発明のコンバインのクラッチ操作装置では、前記解決手段4かかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、分草杆の張り出し姿勢と格納姿勢との切換を、刈取クラッチまたや脱穀クラッチの入り切り作動と関連付けて、刈取作業または脱穀作業の行われる間だけ張り出し姿勢とし、その作業以外には格納姿勢に自動的に切換ることができる。
したがって、分草杆の所定姿勢への切換を、分草杆姿勢切換専用の特別な操作機構を必要とせずに、分草杆の姿勢切換と密接に関連した作業であるところの刈取脱穀系の電動モータやカム機構を利用して、構造の複雑化や装置の大型化を避けながら自動化し、操作忘れなく姿勢切換を行える利点がある。
本発明のコンバインのクラッチ操作装置における第6の解決手段では、前記カム機構には、前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りである側とは前記中立位置を挟んで反対側に、防塵網に対する送風方向を反転させるための送風ファンが作動する操作位置を設定してある点に特徴がある。
上記のように構成された解決手段6にかかる本発明のコンバインのクラッチ操作装置では、前記解決手段1〜5のいずれか1の請求項にかかる発明と同等な作用効果の他に、次の作用効果をも奏する。
すなわち、穀粒排出用クラッチがクラッチ入りである側とは中立位置を挟んで反対側に、防塵網に対する送風方向を反転させるための送風ファンが作動する操作域を設定してあることにより、穀粒排出用クラッチと、送風ファンを作動させる機構を含めての刈取脱穀系のクラッチとを作動させるための電動モータやカム機構を共用しながら、その作動は穀粒排出用クラッチの存在側と、他方側とで互いに影響を及ぼすことなく独立的に行うことができる利点がある。
〔コンバインの全体構成〕
まず、本発明のコンバインのクラッチ操作装置を適用したコンバイン全体の構造について説明する。
図1には自脱形コンバインの全体側面が、図2にはその全体平面が示されている。このコンバインは、角パイプ材などによって枠状に形成した機体フレーム1を備え、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ式走行装置2を装備している。機体フレーム1の前方及び左前部には昇降揺動可能に連結した刈取搬送装置3が設けられ、機体フレーム1の左後部に脱穀装置4を搭載し、機体フレーム1の右後部に穀粒貯留装置5を搭載し、さらに、機体フレーム1の右前部に設けた原動部6、原動部6の上方側に形成した搭乗運転部11などを備えている。
左右一対のクローラ走行装置2は、図3乃至図7に示すように、左右一対のトラックフレーム20に多数の接地転輪21を取り付けるとともに、ゴム製のクローラベルト22を巻回し、進行方向前端位置に設けた駆動輪23を駆動し、後端側の緊張輪24でクローラベルト22に緊張作用を与えながら駆動するように構成されている。
前記各接地転輪21は、前後一対の輪体が中間位置の横向き支点p1周りで天秤揺動自在な揺動フレーム25の前後両側に枢支されていて、それらの各接地転輪21のうち、駆動輪23に近い前端側の接地転輪21と、緊張輪24に近い後端側の接地転輪21とは、それぞれの横向き支点p1の位置が、各別に上下位置調節自在に構成されている。
前記左右の回動軸16,16同士は、その突き当たり端部側が共通の筒部材18に嵌入され、かつ、その突き当たり端部同士を連結ねじ19で相対回動自在に連結している。つまり、左右の回動軸16,16同士を連結ねじ19で連結するが、連結ねじ19と回動軸16,16の内部に形成されるねじ孔とは、回動軸16,16の軸端同士が完全には接当しない程度の連結であり、それぞれの回動軸16,16同士の相対回動は許容する状態でねじ連結されている。
そして、左右の回動軸16,16同士をねじ連結した状態で前記筒部材18で両回動軸16,16の外側を保持することにより、左右の転輪21側から作用する負荷に対する抗力を、これらが連結されていない場合よりも高めている。
この当たり板部材27は、緊張輪24の回転軸を保持する軸支部20cの上側に接する状態で延長されており、延長フレーム部分20bに片持ち状態で支持されている緊張輪24に作用する荷重の支持を補助する役割を有する。
機体フレーム1は、、図3に示すように、前後方向に長い角パイプ状の左右一対のメインフレーム10,10を備え、前記クローラ走行装置2の左右のトラックフレーム20は、それぞれが平面視でメインフレーム10,10の横外側に位置し、トラックフレーム20を昇降操作する駆動シリンダ17は前記メインフレーム10,10の機体内方側に配置されている。
そして、クローラ走行装置2を取り付けた機体フレーム1の左右一対のメインフレーム10.10のうち、前後方向に長い角パイプ状の左側のメインフレーム10の下側には、断面チャンネル状のカバー部材10aが溶接され、図4及び図5に示すように、その内部空間に刈取部3を昇降操作するためのリフトシリンダ35が内装されている。
左右のメインフレーム10,10の中間の位置で、左側の脱穀装置4が存在する箇所よりも右側の位置には、各種作業クラッチを共通の電動モータ70の動力を用いて入り切り制御するためのクラッチ操作装置Aが配備されており、このクラッチ操作装置Aの存在箇所は、前記穀粒貯留装置5を後部側の縦軸心y周りで時計回りに揺動させて開放姿勢としたとき、機体の右横側方から覗き込んで作業することが可能である位置に配備されている。
原動部6では、図8に示すように、機体フレーム1に搭載したエンジン60と、冷却用のラジエータ61と、そのラジエータ61に対する送風方向を正逆に切り換えて送風可能な送風ファン62とを備えるとともに、図1に示すように、前記送風ファン62に対向する箇所の機体右外側部には、外部からの塵埃の吸入を抑制するための防塵網付きの外気導入用の開口部63が設けられている。
前記送風ファン62は、詳細は図示しないが、前記右側のエンジン出力軸60a上でスライド操作自在な操作体64を備え、その操作体64のスライド操作で送風ファン62の羽根の角度を変更して送風方向を正方向と逆方向とに切換操作自在に構成されている周知のものである。
図2に示すように、前記搭乗運転部11では、機体の前後進変速操作を行う変速レバー11A、ならびに機体の操向操作を行う操向操作レバー11Bを備えるとともに、各種作業装置の駆動の入り切りや作動順を指令するための操作盤11Cを備えている。
この操作盤11Cには、脱穀開始ボタンB1、刈取脱穀開始ボタンB2、穀粒排出ボタンB3、作業終了ボタンB4がそれぞれ装備されている。これらの各ボタンB1,B2,B3,B4は、後述するクラッチ操作装置Aの作動を制御して、各種作業装置の駆動の有無ならびに駆動開始順を制御する。
また、穀粒排出ボタンB3を操作すると、上記の刈取脱穀作業関連機器の全ての作動を停止させて穀粒貯留装置5のみが駆動され、穀粒を排出する作業状態となる。
作業終了ボタンB4を押すと、駆動されていた全ての作業装置の駆動を停止して作業状態が終了する。
図9乃至図12に示すように、分草杆9は、機体フレーム1の左横側部に設けてあり、機体前後方向に沿う前後軸心z周りで起伏揺動自在に取り付けてあり、機体フレーム1上の各種装置が植立茎稈と接触して引っ掛かることを回避するように機体横外方へ張り出させた分草作用姿勢と、それよりも機体内方側へ引き込んで納める格納姿勢とに姿勢切換可能に構成してある。
この分草杆9は、分草作用姿勢で植立茎稈と接触して外側へ押し出すように案内するガイド杆90と、そのガイド杆90の中間部と機体フレーム1側とを連結する支え杆91と、支え杆91の姿勢を変更する切換機構92とで構成されている。
前記支持板95には、その支持板95自体を所定範囲内で姿勢変化することを許すように、前記固定軸93の軸心で構成される前記前後軸心z周りでの円弧状の長孔95aが形成してあり、その長孔95aに、取付用ブラケット94に装着された位置決めボルト94aが挿入された状態で用いられることにより、前記支持板95の姿勢変更可能範囲が前記長孔95aによって規定される所定角度範囲内に制限される。尚、前記位置決めボルト94aには、支持板95を取付用ブラケット94側へ押圧付勢する圧縮バネ94bが装着してあって、支持板95の姿勢変更に対して摩擦による摺動抵抗を与えるように構成されている。
また、前記支持板95には別の連結索99が連結されており、その連結索99の他端側に連結される操作レバー(図外)での引っ張り操作により、人為的に支持板95を回動させて分草作用姿勢にある分草杆9を格納姿勢に姿勢変更することができる。このように支持板95を動かして格納姿勢とした場合、その格納姿勢にある分草杆9を分草作用姿勢に操作するには、一旦機体を降りて、人為的に分草杆9を引き下げ操作することにより、支持板95に抵抗を与える圧縮バネ94bの付勢力による摩擦抵抗に抗して元の分草作用姿勢に姿勢変更することができる。
そして、機体内方側寄りに位置する他方の第2ピン97bと前記固定軸93との間にコイルスプリング98を掛張して、可動係止体97を前記第1ピン97aの軸心周りで揺動可能に、かつ、前記支持板95や操作板96の外周面側へ弾性付勢した状態で装着してある。
そして、図11(b)に示すように操作板96の張り出し側係合部96dが第1ピン97aと係合する位置に達すると、第2ピン97bは支持板95の格納側段部95cから外されて、大径円弧部分95bに案内される状態となり、さらに操作ワイヤー9aが引かれることで、図11(c)に示すように操作板96が回動し、支え杆91を大きく格納側へ引き上げる。
逆に、操作ワイヤー9aを緩めると、分草杆9が自重で張り出し側へ揺動し、上記とは逆の順で操作板96が回動され、分草作用姿勢位置にまで操作される。
図8に示すように、エンジン60は、その出力軸60aの軸心方向が左右向きになる姿勢で機体フレーム1に搭載されている。そのエンジン60から左右の各クローラ式走行装置2への伝動は、図13に示すように、機体の左右中央部に向けて突出するエンジン60の出力軸60aの左端部から、左右の各クローラ式走行装置2の駆動輪23にわたる走行用の伝動系を介して行われる。走行用の伝動系は、ベルト式の伝動装置12、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置13、及び、ミッションケース14に副変速装置として内装したギヤ式変速装置(図示せず)、などによって構成されている。
尚、この刈取搬送装置3における刈取速度を、前記静油圧式無段変速装置13による無段階での変速のみならず、圃場の条件や茎稈の倒伏状況などに応じて大きく変化させたい場合には、ミッションケース14内に装備させた専用のギヤ変速機構で構成された刈取変速機構36による高低2段の変速操作を、シフトギヤのシフト操作で行えるように構成してある。
このように揺動変位するグレンタンク51の底部に備えられたスクリューコンベヤ55や前記穀粒排出用オーガ52に対する入力部53は、グレンタンク51の前記縦軸心y周りでの揺動を許容するための係脱構造を備えている。
前記伝動軸57に伝えられた動力は、その伝動軸57に対して軸端側を係脱される入力伝動軸58に伝えられ、かつ、その入力伝動軸58のベベルギヤ58aと前記スクリューコンベヤ55の軸端側に設けられたベベルギヤ55aを介して前記スクリューコンベヤ55や前記穀粒排出用オーガ52伝達されるように構成されている。
前記入力伝動軸58は、グレンタンク51側に支持されていて、前記伝動軸57に対して抜き差し可能な凹入係合部58bを備えていて、伝動軸57からの回転動力は伝達されながら、軸線方向での抜き差しは可能に構成されているので、前記縦軸心y周りでのグレンタンク51の揺動に伴なう係脱を許容することができる。
図中の符号59は、伝動軸57を入力伝動軸58側へ押しつけ付勢するための押圧用スプリングである。
図14乃至図19に示すように、本発明では、上記の各種作業装置が備えるクラッチを入り切り操作するためのコンバインのクラッチ操作装置としてカム駆動式のクラッチ操作装置Aを採用している。このクラッチ操作装置Aは、駆動力を発生する駆動装置7と、その駆動装置7によって駆動されるカム機構8とによって構成されている。
前記電動モータ70は、前記操縦盤11Cに備えられた各種操作ボタンB1〜B4の操作信号が制御装置100に入力されると、その操作信号に基づく制御指令が制御装置100から出力され、電動モータ70が正転方向、もしくは逆転方向に駆動操作される。電動モータ70の駆動力は、モータ出力軸71に装着された出力ギヤ74の回転動力として出力される。この出力ギヤ74と、後述するカム機構8のカム板の外周の一部に形成されたギヤ部75とで前記ギヤ機構72が構成されている。
出力ギヤ74によるカム機構8の駆動状態は、カム軸80の軸端に装備されたポテンショメータ73で検出され、その検出結果に基づくフィードバック信号が前記制御装置100に伝達される。
カムフォロワ群のうち、第1カム板81に対しては、カム軸80よりも機体前方側で接触して案内される穀粒排出用クラッチ50を操作するグレンタンク系カムフォロワ84と、カム軸80よりも機体後方側で接触して案内される脱穀クラッチ40を操作する脱穀系カムフォロワ85とが備えられている。
第2カム板82に対しては、カム軸80よりも機体前方側で接触して案内されるフィードチェーンクラッチ44を操作するフィード系カムフォロワ86と、カム軸80よりも機体後方側で接触して案内される刈取クラッチ30を操作する刈取系カムフォロワ87とが備えられている。
第3カム板83に対しては、カム軸80よりも機体前方側にはカムフォロワはなく、カム軸80よりも機体後方側で接触して案内される送風ファン62を操作する送風系カムフォロワ88が備えられている。また、前記電動モータ70の出力ギヤ74と共にギヤ機構72を構成するギヤ部75は、この第3カム板83の外周縁の一部に形成されている。
また、上記フィードチェーンクラッチ44を入り切り操作するための操作ワイヤー44aを連結した揺動片86aには、フィードチェーンクラッチ44の入り操作に伴って、分草杆9を自重で分草作用姿勢に操作するように分草杆9を格納姿勢側に引き操作している操作ワイヤー9aを緩み側へ操作するように連係させてある。
前記第2カム板82には、その外周縁に、フィード系カムフォロワ86を操作するためのフィード系カム面82aと、刈取系カムフォロワ87を操作するための刈取系カム面82bとが、カム軸80を挟んでほぼ対向する箇所に形成してある。
前記第3カム板83には、その外周縁に、送風系カムフォロワ88を操作するための送風系カム面83aが設けてあるとともに、この第3カム板83、及び前記第1カム板81、第2カム板82に駆動力を伝達するためのギヤ部75を形成してある。
次に、上記クラッチ操作装置Aによる作動形態を図17乃至図19に基づいて説明する。
図17は、前記第3カム板83に形成されたギヤ部75の付設範囲によって設定されるカム軸80の回転角度範囲内における各カム板81,82,83の各カム面81a,81b,82a,82b,83aと、各カムフォロワ84,85,86,87,88とで現出される機能が発揮される範囲を、前記回転角度範囲内での角度分布図で表したものである。
図18は、作業装置の種別を縦軸に、操作タイミングを横軸にとったタイムチャートである。また、図19は、各カム板とカムフォロワとの関連動作状態を、横軸に作業装置の種類を、縦軸に時間軸をとって図示したグラフである。
このとき、第2カム板82や第3カム板83の位置に関しては、図17では直接的には示されていないが、図18では、脱穀クラッチ40と穀粒排出クラッチ50の動作を示す線が第1カム板81に関係したものであり、送風ファン62の操作体64の動作を示す線が第3カム板83に関係したものであることが分かる。また、この図18に示す分草杆9の動作を示す線は、第2カムフォロワ86の動作に追随するものであるため、第2カム板82に関係したものであることが分かる。したがって、この図18をみても、前記aの位置では、穀粒排出クラッチ50のみが「入」で、他の全てのクラッチは「切」となっており、送風ファン62は正転状態であって逆方向に送風する状態とはなっていず、また、分草杆9も張り出し状態の「開」の位置ではなく、格納された「閉」の位置である。
図19では、符号aの段において、第2カムフォロワ86が第2カム板82のフィード系カム面82aに接した状態であるが、フィードチェーンクラッチ44は、もともと入り側に付勢されているので、前記フィード系カム面82aが第2カムフォロワ86を切り側へ操作して、フィードチェーンクラッチ44を切り状態に保っている。
図18においても同じ符号bで示す位置が同じ状態に相当する。また、図19においては、上から3段目に図示されている符号bの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で示されている。
このとき、第2カム板82は、図18及び図19に示すように、フィードチェーンクラッチ44も刈取クラッチ30もクラッチ切りの状態に維持している。
また、第3カム板83は、図18及び図19に示すように、送風ファン62の正転状態を維持したままである。
そして、このとき、時計回りに回動する第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作される。また、これに伴って、切り操作を解除されたフィード系カムフォロワ86によって分草杆9も張り出し側に切換操作される。
図18においても同じ符号cで示す位置が同じ状態に、つまり、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態に切換操作され、分草杆9が張り出し側に切換操作された状態を示している。
図19においては、符号cの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で脱穀クラッチ40の入りが維持されている状態が示されている。これとともに第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している状態が示されている。
また、第3カム板83は、図18及び図19に示すように、送風ファン62の正転状態を維持したままである。
引き続き時計回りに回動する第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除していて、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態に切換られた状態を維持している。また、これに伴って、切り操作を解除されたフィード系カムフォロワ86によって分草杆9も張り出し側に切換られている。
そして、このとき第3カム板83の送風系カム面83aが、送風系カムフォロワ88を操作して、送風ファン62の操作体64を逆転側に操作する。
図18においても同じ符号dで示す位置が同じ状態に、つまり、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態で、分草杆9が張り出し側に切換操作された状態であり、送風ファン62の操作体64が逆転側に操作されている状態を示している。
図19においては、符号dの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で脱穀クラッチ40の入りが維持されている状態が示されている。これとともに第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している状態が示されており、第3カム板83の送風系カムフォロワ88が、送風系カム面83aに押されて送風ファン62の操作体64を逆転側に操作している。
図20に示すように、刈取クラッチ30、脱穀クラッチ40、フィードチェーンクラッチ44、穀粒排出クラッチ50、送風ファン62の操作体64、及び分草杆9を操作するカム機構8の動力源である電動モータ70の作動を制御する制御回路を備えた制御装置100は次のように構成されている。
制御装置100では、前記各ボタンB1,B2,B3,B4の何れが操作されたかの判断に基づいて、また、ポテンショメータ73での検出結果に基づいて、制御回路がクラッチ操作装置Aの電動モータ70に対して次のように制御指令を出力する。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、脱穀開始位置bよりも時計回りで中立位置から離れている位置である場合には、駆動装置7の電動モータ70が逆回転でギヤ機構72を駆動し、カム機構8のカム軸80を反時計回りに回転させる。そして、脱穀開始位置bに達したことがポテンショメータ73で検出されると電動モータ70に停止指令を出力する。また、前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、脱穀開始位置bである場合には、電動モータ70に対する駆動指令は出力されない。
この状態では、第1カム板81の脱穀系カム面81bが脱穀系カムフォロワ85を操作して、脱穀クラッチ40が入り操作されている。その後、作業終了ボタンB4が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を反時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、刈取脱穀開始位置c、もしくは刈取脱穀開始位置cよりも時計回りで中立位置から離れ、かつ図17における符号dの位置(便宜上、送風方向逆転位置dという)よりも時計回りで中立位置から離れていない場合には、電動モータ70に対する駆動指令は出力されない。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、送風方向逆転位置dである場合には、電動モータ70が逆回転でギヤ機構72を駆動し、カム機構8のカム軸80を反時計回りに回転させる。そして、刈取脱穀開始位置cに達したことがポテンショメータ73で検出されると電動モータ70に停止指令を出力する。
そして、前記刈取脱穀開始ボタンB2が操作されると、制御装置100内のタイムカウンタが作動し、予め設定された所定時間毎にカム軸80を時計回りに回転させて、前記送風方向逆転位置dに達するように駆動する。この送風方向逆転位置dに達すると、第3カム板83の送風系カム面83aが送風系カムフォロワ88を操作し、送風ファン62の操作体64を操作して所定時間だけ、それまでとは逆方向に送風するように制御する。この逆方向の送風は、正方向の送風中に防塵網に付着した塵埃を除去するための一時的な送風であり、その時間は、正方向の送風時間に比べて十分に短い時間(数秒間程度)である。上記の逆方向の送風時間が終了すると、電動モータ70を逆転させてカム軸80を反時計回りに操作し、もとの刈取脱穀開始位置cに復帰させる。
その後、作業終了ボタンB4が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を反時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、穀粒排出位置aである場合には、電動モータ70に対する駆動指令は出力されない。この状態では、第1カム板81のグレンタンク系カム面81aがグレンタンク系カムフォロワ84を操作して穀粒排出用クラッチ50が入りとなっている。
その後、作業終了ボタンB4が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
クラッチ操作装置Aの他の実施の形態を図21乃至図23に基づいて説明する。
図21は、前記第3カム板83に形成されたギヤ部75の付設範囲によって設定されるカム軸80の回転角度範囲内における各カム板81,82,83の各カム面81a,81b,82a,82b,83aと、各カムフォロワ84,85,86,87,88とで現出される機能が発揮される範囲を、前記回転角度範囲内での角度分布図で表したものである。
図22は、作業装置の種別を縦軸に、操作タイミングを横軸にとったタイムチャートである。また、図23は、各カム板とカムフォロワとの関連動作状態を、横軸に作業装置の種類を、縦軸に時間軸をとって図示したグラフである。
この実施形態では、前述の最良の実施形態の構成に比べ、フィードチェーンクラッチ44の作動時期と刈取クラッチ30の作動時期とを異ならせている点、及び送風ファン62の操作ではなく、刈取変速機構36の操作をカム機構8で行うように構成している点で相違している。
したがって、この実施形態では、具体構造は図示しないが、刈取変速機構36の操作用シフタを低速側へ付勢して設け、操作用シフタの高速側への切換作動をカム機構8によって行うようにしてある。
また、分草杆9の作動は、フィードチェーンクラッチ44または刈取クラッチ30のうちの何れか一方に連動させる、もしくは、カム機構8に連動させずに別の操作具を用いて操作するようにしてもよいので、この実施形態では、分草杆9の作動に関する説明は省略する。
このとき、第2カム板82や第3カム板83の位置に関しては、図21では直接的には示されていないが、図22では、脱穀クラッチ40と穀粒排出クラッチ50の動作を示す線が第1カム板81に関係したものであり、刈取変速機構36の動作を示す線が第3カム板83に関係したものであることが分かる。
したがって、この図22をみても、前記aの位置では、穀粒排出クラッチ50のみが「入」で、他の全てのクラッチは「切」となっており、刈取変速機構36は低速状態である。
図23では、符号aの段において、第2カムフォロワ86が第2カム板82のフィード系カム面82aに接した状態であるが、フィードチェーンクラッチ44は、もともと入り側に付勢されているので、前記フィード系カム面82aが第2カムフォロワ86を切り側へ操作して、フィードチェーンクラッチ44を切り状態に保っている。
図22においても同じ符号bで示す位置が同じ状態に相当する。また、図23においては、上から3段目に図示されている符号bの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で示されている。
このとき、第2カム板82は、図22及び図23に示すように、フィードチェーンクラッチ44も刈取クラッチ30もクラッチ切りの状態に維持している。
また、第3カム板83は、図22及び図23に示すように、刈取変速機構36の低速状態を維持したままである。
そして、このとき、時計回りに回動する第2カム板82では、フィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作状態を解除し、フィードチェーンクラッチ44をクラッチ入りの状態に切換操作する。
このとき、第2カム板82の刈取系カム面82bは、刈取系カムフォロワ87を作用する状態には至っておらず、刈取系カムフォロワ87は刈取クラッチ30の切り状態を維持している。
図22においても同じ符号cで示す位置が同じ状態に、つまり、脱穀クラッチ40とフィードチェーンクラッチ44がクラッチ入りの状態で、かつ刈取クラッチ30が切りの状態を示している。
図23においては、符号cの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で脱穀クラッチ40の入りが維持されている状態が示されている。これとともに第2カム板82のフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ44をクラッチ入りの状態に切換操作している状態が示されている。
また、第3カム板83は、図22及び図23に示すように、刈取変速機構36の低速状態を維持したままである。
そして、このとき、時計回りに回動する第2カム板82のフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除して、フィードチェーンクラッチ44をクラッチ入りに切換操作した状態を維持しており、同時的に、第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、刈取クラッチ30を、クラッチ入りの状態に切換操作する。
図22においても同じ符号dで示す位置が同じ状態に、つまり、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態に切換操作された状態を示している。
図23においては、符号dの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で脱穀クラッチ40の入りが維持されている状態が示されている。これとともに第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している状態が示されている。
また、第3カム板83は、図22及び図23に示すように、刈取変速機構36の低速状態を維持したままである。
引き続き時計回りに回動する第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除していて、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態に切換られた状態を維持している。
そして、このとき第3カム板83の刈取高速系カム面83b(図15に示す送風系カム面83aと同じ位置)が、刈取高速系カムフォロワ88b(図15、及び図19における送風系カムフォロワ88と同じ構成)を操作して、刈取変速機構36の操作用シフタを高速側に操作する。
図22においても同じ符号eで示す位置が同じ状態に、つまり、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態であり、刈取変速機構36が高速側に操作されている状態を示している。
図23においては、符号eの段における第1カム板81と脱穀系カムフォロワ85との接触状態で脱穀クラッチ40の入りが維持されている状態が示されている。これとともに第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している状態が示されており、第3カム板83の刈取高速系カム面83bが、刈取高速系カムフォロワ88bを操作して、刈取変速機構36の操作用シフタを高速側に操作している。
制御装置100では、前記各ボタンBb1,Bb2,Bb3,Bb4,Bb5の何れが操作されたかの判断に基づいて、また、ポテンショメータ73での検出結果に基づいて、制御回路がクラッチ操作装置Aの電動モータ70に対して次のように制御指令を出力する。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、枕扱き脱穀開始位置cよりも時計回りで中立位置から離れている位置である場合には、電動モータ70が逆回転でギヤ機構72を駆動し、カム機構8のカム軸80を反時計回りに回転させる。そして、枕扱き脱穀開始位置cに達したことがポテンショメータ73で検出されると電動モータ70に停止指令を出力する。また、前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、枕扱き脱穀開始位置cである場合には、電動モータ70に対する駆動指令は出力されない。
この状態では、第1カム板81の脱穀系カム面81bが脱穀系カムフォロワ85を操作して、脱穀クラッチ40が入り操作されている。その後、作業終了ボタンBb5が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を反時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、刈取脱穀開始位置d、もしくは刈取脱穀開始位置dよりも時計回りで中立位置から離れている位置である場合には、電動モータ70に対する駆動指令は出力されない。
この状態では、第1カム板81の脱穀系カム面81bが脱穀系カムフォロワ85を操作して、脱穀クラッチ40が入り操作された状態を維持しているとともに、第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している。
その後、作業終了ボタンBb5が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を反時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
この状態では、第1カム板81の脱穀系カム面81bが脱穀系カムフォロワ85を操作して、脱穀クラッチ40が入り操作された状態を維持しているとともに、第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作している。
また、この高速刈取脱穀位置eへの操作に伴って第3カム板83の刈取高速系カム面83aが、刈取変速系カムフォロワ88を操作して、刈取変速機構20の操作用シフタを高速側に操作している。
その後、作業終了ボタンBb5が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を反時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
前記ポテンショメータ73で検出されるカム軸80の検出位置が、穀粒排出位置aである場合には、電動モータ70に対する駆動指令は出力されない。この状態では、第1カム板81のグレンタンク系カム面81aがグレンタンク系カムフォロワ84を操作して穀粒排出用クラッチ50が入りとなっている。
その後、作業終了ボタンBb5が操作されたことを検出すると、電動モータ70を駆動してカム軸80を時計回りに回転させ、中立位置Nに達したことが検出されると、その位置で停止するように指令する。
クラッチ操作装置Aの他の実施の形態を図24に基づいて説明する。
図24は、作業装置の種別を縦軸に、操作タイミングを横軸にとったタイムチャートである。
この実施形態では、基本的には前述の〔別実施形態の1〕に記載された構成と同様な構成を採用しているが、その〔別実施形態の1〕の構成に比べ、フィードチェーンクラッチ44の作動時期と刈取クラッチ30の作動時期とに差がない点、及び、分草杆9の作動もカム機構8で行えるようにしている点で相違している。
したがって、この実施形態では、具体構造は図示しないが、前述の最良の実施形態で例示した、穀粒排出用クラッチ50と脱穀クラッチ40を操作する第1カム板81、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30を操作する第2カム板82、及び刈取変速機構36を操作する第3カム板83の他に、分草杆9を操作する第4カム板(図示せず)を備え、それぞれのカム板に対応するカムフォロワや操作ワイヤーも備えている。
また、この別実施形態の2では、搭乗運転部11の操作盤11Cに備えられる枕扱き脱穀開始ボタンBb1、刈取脱穀開始ボタンBb2、高速刈取脱穀ボタンBb3、穀粒排出ボタンBb4、及び作業終了ボタンBb5のうち、枕扱き脱穀開始ボタンBb1を押し操作したとき、図24における符号bの位置に操作されるが、この状態では脱穀クラッチ40だけが入り操作されて、フィードチェーンクラッチ44はまだ入り操作されていない。したがって、所謂、通常の枕扱き脱穀ができる状態ではないが、脱穀装置4のみの駆動を継続したい場合に使用する。
このとき、前記aの位置では、穀粒排出クラッチ50のみが「入」で、他の全てのクラッチは「切」となっており、刈取変速機構36は「低速」状態であり、分草杆9も張り出し状態の「開」の位置ではなく、格納された「閉」の位置である。
このとき、分草杆9を操作する第4カム板は、分草杆9を閉から「開」に姿勢切換するが、第2カム板82は、フィードチェーンクラッチ44も刈取クラッチ30もクラッチ切りの状態に維持しており、第3カム板83も、刈取変速機構36の低速状態を維持したままである。
そして、このとき、時計回りに回動する第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除し、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とを、共にクラッチ入りの状態に切換操作される。また、第4カム板によって「開」に操作された分草杆9も、その張り出し状態の開姿勢を維持している。第3カム板83は、刈取変速機構36を低速状態に維持したままである。
引き続き時計回りに回動する第2カム板82の刈取系カム面82bが、刈取系カムフォロワ87を操作し、同時にフィード系カム面82aがフィード系カムフォロワ86の切り操作を解除していて、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30とが、共にクラッチ入りの状態を維持している。また、第4カム板によって「開」に操作された分草杆9も、その張り出し状態の開姿勢を維持している。
そして、このとき第3カム板83の刈取変速系カム面83aが、刈取変速系カムフォロワ88を操作して、刈取変速機構36を「高速」状態に切換操作する。
また、この〔別実施形態の2〕においても、前記〔別実施形態の1〕で説明したように、フィードチェーンクラッチ44と刈取クラッチ30の動作タイミングを異ならせるようにしてもよい。
最良の実施形態において、フィードチェーンクラッチ44を入り側に付勢しておいて、第2カム板82との接触によって切り側に操作するようにした構造を示したが、これに限らず、フィードチェーンクラッチ44を切り側に付勢しておいて、第2カム板82との接触によって入り側に操作するようにした構造を採用してもよく、そのための構成として、別のカム板を用いたり、カム板のカム面の形状を工夫するなどしてもよい。
カム機構8のカム板の枚数やカムフォロワの個数は、カム機構8が操作対象とする装置の数などに応じて適宜変更するとよい。
カム機構8の中立位置Nでは、全ての作業装置が停止状態(ただし、刈取変速に関しては低速位置、分草杆に関しては格納状態)にある実施形態を示したが、例えば脱穀クラッチ40のみが作動した状態を維持するように構成することも可能である。このとき、脱穀作業状態から穀物排出作業状態に切換操作したときには、中立位置Nでの脱穀クラッチ40の入り作動を維持して、穀物排出状態になると脱穀クラッチ40を切り状態とするが、穀物排出状態から中立位置Nあるいは脱穀作業状態に切り換えるときには、中立位置Nでの脱穀クラッチ40の入り作動は停止するようにしておくとよい。
各種作業装置の駆動の入り切りや作動順を指令するための操作盤11Cに備える操作具としては、前述の各実施形態で示した押しボタンB1〜B4(あるいはBb1〜Bb5)に限らず、ダイヤルスイッチや、操作レバーの操作位置の検出によって指令作業を検出するなど、適宜の構成を採用することができる。
クラッチ操作装置Aにおける電動モータ70の個数は、必ずしも単一のものでなければならないものではなく、操作対象の装置の数や、操作対象装置が大きく離れて位置する場合などに、複数の電動モータ70を用いて構成することも可能である。しかし電動モータ70の使用個数は、カム機構8に用いるカム板の枚数よりは少ない個数である。
2 クローラ式走行装置
3 刈取搬送装置
4 脱穀装置
5 穀粒貯留装置
7 駆動装置
8 カム機構
9 分草杆
30 刈取クラッチ
36 刈取変速機構
40 脱穀クラッチ
42 フィードチェーン
44 フィードチェーンクラッチ
50 穀粒排出クラッチ
51 グレンタンク
62 送風ファン
64 操作体
70 電動モータ
73 ポテンショメータ
80 カム軸
81 第1カム板
82 第2カム板
83 第3カム板
A クラッチ操作装置
Claims (6)
- 刈取搬送装置の駆動を入り切りする刈取クラッチと、穀粒貯留装置の駆動を入り切りする穀粒排出用クラッチとを操作するコンバインのクラッチ操作装置であって、
前記各クラッチを入り切り操作するカム機構と、そのカム機構を駆動する電動モータとを備え、
前記カム機構は、前記電動モータによって正転方向と逆転方向とに回転方向を変更切換可能に構成されているとともに、前記刈取クラッチと前記穀粒排出用クラッチとが共に切り位置に維持される中立位置を挟んで、一方側の操作域に前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りで前記刈取クラッチがクラッチ切りとなる位置を設定し、他方側の操作域に前記穀粒排出用クラッチがクラッチ切りで前記刈取クラッチがクラッチ入りとなる位置を設定してあることを特徴とするコンバインのクラッチ操作装置。 - 刈取搬送装置の駆動を入り切りする刈取クラッチと、脱穀装置の駆動を入り切りする脱穀クラッチと、穀粒貯留装置の駆動を入り切りする穀粒排出用クラッチとを操作するコンバインのクラッチ操作装置であって、
前記各クラッチを入り切り操作するカム機構と、そのカム機構を駆動する電動モータとを備え、
前記カム機構は、前記電動モータによって正転方向と逆転方向とに回転方向を変更切換可能に構成されているとともに、全てのクラッチが切り位置に維持される中立位置を挟んで、一方側の操作域に前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りで他の全てのクラッチが前記クラッチ切りとなる位置を設定し、他方側の操作域に前記穀粒排出用クラッチがクラッチ切りで前記脱穀クラッチが入りとなる位置と、前記穀粒排出用クラッチがクラッチ切りで前記脱穀クラッチ及び前記刈取クラッチがクラッチ入りとなる位置を設定してあることを特徴とするコンバインのクラッチ操作装置。 - 前記カム機構には、前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りである側とは前記中立位置を挟んで反対側に、フィードチェーンの作動クラッチが入りとなる操作位置を設定してある請求項1または2記載のコンバインのクラッチ操作装置。
- 前記カム機構には、前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りである側とは前記中立位置を挟んで反対側に、分草杆を刈取作業用姿勢である張り出し側へ操作するための操作位置を設定してある請求項1から3の何れか一項に記載のコンバインのクラッチ操作装置。
- 前記分草杆の張り出し側への操作は、前記刈取クラッチの入り作動、または脱穀装置の駆動を入り切りする脱穀クラッチの入り作動と連動して行われるように構成してある請求項4記載のコンバインのクラッチ操作装置。
- 前記カム機構には、前記穀粒排出用クラッチがクラッチ入りである側とは前記中立位置を挟んで反対側に、防塵網に対する送風方向を反転させるための送風ファンが作動する操作位置を設定してある請求項1〜5のいずれか1項記載のコンバインのクラッチ操作装置。
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