JP5079354B2 - ポリイミド製エンドレスシームレスベルト、その製造方法および画像形成装置 - Google Patents
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Description
さらに、本発明は、ベルトの走行性と端部のソリが発生せず、かつ、均一な電気特性を有する、ポリイミド製エンドレスシームレスベルト、その製造方法および画像形成装置を提供することを目的とする。
0.9≦吸湿線膨張率比(TD/MD)≦1.1・・・・・・(1)
かつ、前記ベルト周方向吸湿線膨張率(TD)が30.8〜37.6(ppm/%)であることを特徴とする。
このような本発明のシームレスベルトについて、まずベルトの構成材料について説明する。
本発明に用いられるポリイミドは、一般的に知られている芳香族多価カルボン酸無水物またはその誘導体と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。すなわち、ポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を持つため、芳香族多価カルボン酸無水物と芳香族ジアミンから、まず有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸、またはポリアミド酸)を合成し、この段階で様々な方法で成型加工が行われ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとする。反応の概略を下記に示す。
イミド化率(%)=[(A)/(B)]×100
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,015cm-1との吸光度比
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm-1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1とアミド基の特性吸収1,670cm-1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
また、3000〜3300cm-1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
シームレスベルトを製造する場合、概略次の工程を含むことにより達成できる。
すなわち、当該塗工液を支持体(成形用の型)に塗布・流延する塗布工程(ステップ1)、支持体に塗布・流延された塗膜中の溶媒を加熱により除去する除去工程(ステップ2)、昇温加熱して塗膜中に含まれる前駆体のイミド化を促進する促進工程(ステップ3)、形成された薄膜を支持体から離型し、シームレスベルトとする離型工程(ステップ4)により製造することができる。
遠心成型は円筒状の回転体から構成されるものであり、この円筒状の回転体をゆっくりと回転させながら塗工液を円筒の内面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。
図1に示すように、Aは塗料である脱泡したポリアミック酸を貯留するための塗料パンであり、Cは塗料パンAから塗料を連続的に汲み上げるための金属ローラであり、Dは連続的に汲み上げられた塗料の厚みを金属ローラCとの隙間で調節して所定厚さにするための偏芯ローラであり、Eは所定厚みにした塗料(塗膜)を金属ローラCから転移させて付着させるためのワーク(金型)である。
このような製造装置を用いたロールコート法において、例えば下記条件下に、製造を行う。
金属ローラ周速:40mm/s
ワーク周速:55mm/s
金属ローラギャップ:0.4mm
偏芯ローラ隙間:0.3mm
ワーク上Wet膜厚:約180μm
上記した条件の下に、予め十分に脱泡されたポリアミック酸塗料を塗料パンに流し込む。金属ローラの下部を塗料中に浸漬し、例えば40mm/sの非常にゆっくりとした速度で金属ローラ表面に塗料を付着、上方に汲み上げていく。その後、金属ローラ上部に設置され、金属ローラと任意の隙間を調整することが出来る偏芯ローラにより、金属ローラ上の塗料厚を調整する。次に金属ローラCとの隙間を、偏芯ローラDを用いて、例えば0.4mmに調整し、金属ローラCと同方向(図1に示す方向では「時計回り方向」)に回転するワーク(金型)E上に金型ローラCからの塗料を転移させ、金型E上に所定膜厚の塗料が付着される。
まず、図2に示す測定装置について説明する。a、a’はそれぞれ上部および下部アームであり、下部アームa’には所定荷重をサンプルに負荷させるための錘bが付着し、この錘bの下部は平坦(水平)となっている。たとえば錘下部は鏡面仕上げなどの平坦であってもよい。この錘の略鉛直下方向に、たとえば錘下部との距離を測定するレーザマイクロゲージを配置させて構成されている。このゲージにより、たとえば光学的に錘戸の距離を測定して膨張率などを測定する。これら上部および下部アームにサンプル(ベルト)を装着して、線膨張率の測定がたとえば光学的に測定される。
上記したような図2に示す測定装置のアームa、a’に、シームレスベルトの中央部周方向、軸方向から所定形状(巾10mm、長さ70mm)に切断したサンプルのポリイミドシートを装着し、Al製錘bの重量を調整してサンプルにかかる線圧が150g/cmになるように調整する。錘bの下部には反射型のレーザマイクロゲージcを測定装置にセットし、錘bの下部との距離を測定するようにする。
吸湿線膨張率(ppm/%)=(ΔL/50mm)/50%
0.9≦吸湿線膨張率比(TD/MD)≦1.1・・・・・・(1)
を満足すると、ベルト端部ソリを低減できることが分かった。
〔端部ソリの測定方法〕
図3に示すように、40φ(直径40mmの)丸棒2本をシームレスベルト内部に入れ3kgの荷重をかけ張架する。丸棒に張架されたベルトの左右の端部において、ベルトの中央部の巾をノギスで測定し、40mmとの差を算出し、左右端部の差の合計を端部ソリと定義した。
本発明は、カーボンブラックを抵抗制御剤に用いても良い。
即ち、カーボンブラック試料1〜10gをビーカーに秤量し、試料1gにつき10mlの割合で水を加え、時計皿で覆い、15分間煮沸する(試料をぬれやすくするため、エタノールなど数滴を加えてもよい)。煮沸後室温まで冷却し、傾斜法または遠心分離法によって上澄み液を除去して、泥状物を残す。この泥状物中にガラス電極pH計の電極を入れ、JISZ8802(pH測定法)によってpHを測定する。この場合、電極の挿入位置により測定値が変化することがあるから、ビーカーを動かして電極の位置を変えて電極面の泥状面が十分に接触するように注意して量り、pH値が一定になったときの値を読む。
カーボンブラックの乾燥試料を白金るつぼまたはそれと同形、同容量のふた付き磁器るつぼに、ふた下2mmを超えない程度まで打振して詰め、その質量を量る。これにふたをして電気炉に入れ、脱酸素気流中(窒素気流中)において、950±25℃で正確に7分間加熱した後に取り出し、デジケーター中で室温になるまで放冷して加熱後の質量を量り、次の式によって揮発分を算出する。
V=(WD−WR)/WD×100
上記式において、
V:揮発分(%)
WD:乾燥試料の質量(g)
WR:加熱後の試料の質量(g)
である。
また、本発明のベルトで使用するカーボンブラックの量は、重量比で10〜25重量%の範囲で用いることが望ましい。
添加量が10重量%未満だと抵抗を均一に制御するのが難しく、25重量%を超えるとベルトの機械特性が悪化してくる虞がある。
図4に示す画像形成装置は、中間転写方式を採用した画像形成装置の構成の一例を示したものである。
〔中間転写方式〕
図4において、プリンタ本体10は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部17、画像形成部13、給紙部14、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部17に送信する。画像書込部12は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部13の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)21BK、21M、21Y、21Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
図5は、電子写真方式を使用して画像を形成する画像形成装置であり、この画像形成装置は、転写搬送方式を採用したものの一例を示している。図5に示すように、本装置は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの異なる色の画像を形成する像担持体である感光体ドラム11Y、11M、11C、11K(以下、特定しない場合には単に感光体ドラム11という)を、転写ベルト装置6の転写搬送ベルト60の移動方向である矢印A方向に沿って間隔を置いてそれぞれ配置した4連タンデム構成の直接転写式の画像形成装置である。
〔塗工液の調製〕
ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを各等モルで、N−メチルピロリドン溶媒中で重合反応させ、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(キャボット製BP−L)分散液を、カーボン含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を作製した。
次に、内径100mm、長さ300mmの内面を鏡面仕上げした金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記塗工液を円筒内面に均一に流延するように流して塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を150rpmに上げ、熱風循環乾燥機に投入して、120℃まで徐々に昇温して30分加熱した。その後回転を停止し、高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、350℃まで昇温して30分加熱処理(焼成)した。
回転数150rpmを、200rpm(B)、100rpm(C)、90rpm(D)にした以外は同様に行い、シームレスベルトBを得た。
シームレスベルトAの作製で用いた金属製円筒を図1に示すロールコート塗工装置のワークとして取り付けた。同様の塗工液をパンに流し込み、金属ローラの回転速度40mm/secで塗料を汲み上げ、偏芯ローラギャップ0.3mmで金属ローラ上の塗料厚みを制御した。金型ワークを35mm/secに制御して、金属ローラギャップ0.1mmで塗料を均一に金型上に塗布した後、熱風循環乾燥機に投入して、90℃まで徐々に昇温して30分加熱した。その後金型を取り出し、常温まで冷却後再度上記と同様に塗料を塗工した後、熱風循環乾燥機に投入して、130℃まで徐々に昇温して40分加熱した。その後、高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、350℃まで昇温して30分加熱処理(焼成)した。シームレスベルトAと同様に円筒内面から剥離し、膜厚60μmのポリイミド製シームレスベルトEを得た。
〔塗工液の調製〕
実施例1および3で用いたカーボンブラックの代わりにSpecial Black4(デグサ社製)を用い、カーボンブラック含有率を16.5重量%にした以外は同様に塗工液を調整した。
シームレスベルトEと同様にロールコート工法でシームレスベルトFを作製した。
シームレスベルトE,Fの周方向4ヶ所、軸方向3ヶ所の体積抵抗を測定し、合計12ヶ所の体積抵抗値のMax−Minを偏差とした。中間転写ベルト、転写搬送ベルトとしては、偏差1桁以内が好ましく、0.5桁以内が最も好ましい。実施例4〜5の評価結果を表2に示す。
実施例5のシームレスベルトFを図4および図5に示したような画像形成装置にそれぞれ装着し、中間転写ベルト及び転写搬送ベルトとして、10万枚通紙試験を行った。両者共に、ベルト走行性、画質(均一性)に問題は無かった。
B 塗料(ポリアミック酸塗布液)
C 金属ローラ
D 偏芯ローラ
E ワーク(金型)
P 紙(転写紙)
a 上部
a’ 下部
b 錘
c 計測手段(レーザマイクロゲージ)
1C、1Y、1M、1K トナー像形成部
2 光書込ユニット
3、4 給紙カセット
5 レジストローラ対
6 転写ベルト装置
7 定着ユニット
8 排紙トレイ
10 画像形成装置(プリンタ)本体
11C、11Y、11M、11K、21C、21Y、21M、21BK 感光体ドラム(像担持体)
12 現像ユニット
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
17 画像書込部
20C、20Y、20M、20Bk 現像装置
21 切換ガイド
22 トナー補給容器
24 中間転写ベルト
23C、23Y、23M、23Bk バイアスローラ
27C、27Y、27M、27K 転写バイアス印加部材
50 転写搬送ベルト
51 2次転写バイアスローラ
59 バネ
60 転写搬送ベルト
54、61、62、65、66 支持ローラ
63 駆動ローラ
68 バックアップローラ
80 静電吸着ローラ
85 クリーニング装置
Claims (5)
- ロールコート工法によって製造されたポリイミド製エンドレスシームレスベルトであって、吸湿線膨張率の測定条件として、高湿条件35℃/85%(相対湿度)かつ低湿条件35℃/35%(相対湿度)で測定されるベルト周方向吸湿線膨張率(TD)とベルト軸方向吸湿線膨張率(MD)の比(TD/MD)が下記一般式(1)の範囲にあり、
0.9≦吸湿線膨張率比(TD/MD)≦1.1・・・・・・(1)
かつ、前記ベルト周方向吸湿線膨張率(TD)が30.8〜37.6(ppm/%)であることを特徴とするポリイミド製エンドレスシームレスベルト。 - 揮発分が0.4〜25重量%、一次粒子径10〜30nm、比表面積30〜300m2/g、吸油量30〜300cm3/100g、pH4以下の、表面に酸性基を有するカーボンブラックが含有されていることを特徴とする請求項1記載のポリイミド製エンドレスシームレスベルト。
- 体積抵抗が108Ω・cm以上1012Ω・cm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載のポリイミド製エンドレスシームレスベルト。
- 少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する帯電装置と、像担持体上に各色に応じた現像材を用いてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を無端状に走行する中間転写体上に順次重ね合わせて一時転写し、該中間転写体上の一時転写画像を転写材に一括して二次転写する中間転写装置と、前記転写材上のトナー像を加熱または加圧してトナー像を前記転写材上に定着する定着装置を有する画像形成装置であって、
前記中間転写装置に使用されるシームレスベルトとして、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミド製エンドレスシームレスベルトを搭載することを特徴とする画像形成装置。 - 少なくとも、像担持体に静電潜像を形成する帯電装置と、像担持体上に各色に応じた現像材を用いてトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を無端状に走行する転写搬送体上の転写材上に順次重ね合わせて転写する転写搬送装置と、前記転写材上のトナー像を加熱または加圧してトナー像を前記転写材上に定着する定着装置を有する画像形成装置であって、
前記転写搬送装置に使用されるシームレスベルトとして、請求項1から3のいずれか1項に記載したポリイミド製エンドレスシームレスベルトを搭載することを特徴とする画像形成装置。
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