JP5078229B2 - 光学素子、液晶デバイス、及び液晶プロジェクター - Google Patents

光学素子、液晶デバイス、及び液晶プロジェクター Download PDF

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Description

本発明の一つの態様は、光学素子、液晶デバイス、及び液晶プロジェクターの少なくとも一つに関する。
一般に、液晶プロジェクターは、光源、液晶を用いてスクリーンへ投射する画像を形成する液晶デバイス、光源から放出された光を液晶デバイスに照射するリレー光学系、液晶デバイスを透過した又は液晶デバイスから反射された、液晶デバイスに形成された画像情報を備えた光をスクリーンへ投射する投射光学系を有する。液晶デバイスは、基板及び基板に形成された、液晶分子を含む液晶相を有し、液晶相に含まれる液晶分子の配向を制御することで、液晶相に所望の画像を形成する。
ここで、液晶プロジェクターによってスクリーンに投射される画像の明るさ及びコントラストを向上させるためには、光源から放出された光を液晶デバイスの液晶相に効率良く照射することが望まれる。このため、液晶デバイスには、例えば、光源からの光を液晶相に集光するための光学素子が設けられる。
図10は、光源からの光を液晶相に集光するための光学素子を含む従来の液晶デバイスの例を示す側面図である。
図10に示すように、従来の液晶デバイスは、液晶基板202、液晶基板に設けられた液晶相204、液晶相204に設けられた光学素子用基板104、及び光学素子用基板104に設けられた光学素子としてのマイクロレンズアレイ102を有する。なお、図10に示すように、従来の液晶デバイスが、光源からの光を透過させる透過型の液晶デバイスである場合には、液晶基板202、液晶相204、光学素子用基板104、及びマイクロレンズアレイ102の全てが、光源からの光を透過させることができる。マイクロレンズアレイ102は、二次元に均等に配置された複数の同一のマイクロレンズを含む。このマイクロレンズアレイ102のマイクロレンズは、光源からの光が入射する側に球面を有し、光学素子用基板104側に平面を有している。すなわち、マイクロレンズアレイ102のマイクロレンズは、平凸レンズである。一方、液晶相204は、複数の液晶分子206を含む。また、液晶相204には、液晶分子206に電圧を印加して、液晶分子206の配向を制御するための液晶駆動回路208が設けられている。液晶駆動回路208は、薄膜トランジスタ(TFT)及びTFTに接続される配線を含む。また、液晶駆動回路208は、マイクロレンズアレイ102における複数のレンズ間に位置している。
光源からの光は、図10の実線の矢印で示すように、概略平行光であり、マイクロレンズアレイ102に対して概略垂直に入射する。マイクロレンズアレイ102のマイクロレンズは、液晶デバイスに入射する光が、液晶相204に設けられた液晶駆動回路208に当たらないように、光源から放出される平行光を液晶相に集束させるように設計される。よって、平行光として入射した光は、マイクロレンズアレイ102の平凸レンズによって収束し、液晶相中で集光し、液晶相から発散光として射出される。このとき、外部の制御器からの信号によって液晶駆動回路208を制御し、液晶分子206の配向を制御する。液晶分子206は、特定の配向で光を透過し、また別の配向で光を吸収するため、液晶分子206の配向を制御することによって、液晶デバイスから射出する光に所望の画像情報を付与することができる。液晶デバイスから射出された画像情報が付与された光は、図示してないコリメーターレンズによって再度コリメートされて、平行光として投射レンズに入射する。そして、画像情報が付与された光が、投射レンズによってスクリーンに投射されることになる。
しかしながら、従来の液晶デバイスにおいては、光学素子としてのマイクロレンズアレイ102のレンズによって、光源からの光を液晶相の特定部分に集束させるため、マイクロレンズアレイ102のマイクロレンズの開口数を増加させると、液晶相の特定部分に集中するエネルギーが増加する。その結果、液晶相の耐久性が十分でない場合には、マイクロレンズアレイ102のマイクロレンズによって集束した光によって、液晶相の特定部分に含まれる液晶分子が劣化し、液晶相の寿命が短くなることがある。従って、液晶相の寿命を維持するためには、マイクロレンズアレイ102のマイクロレンズの開口数を小さくして、液晶相に集中するエネルギーを最適値よりも減少させることが必要となり、光学素子に入射する光を十分に有効に利用することができない。
また、光源としてのランプからの射出される光は、ランプからの光をコリメートするためのホモジナイザーを介したとしても、完全には平行光ではなく、図10の破線の矢印で示すように、液晶デバイスにおけるマイクロレンズアレイ102に斜めに(例えば、6〜7°以下の入射角で)入射する光も存在する。このような斜めに入射する光が、マイクロレンズアレイ102に入射すると、斜めに入射した光の進路は、マイクロレンズアレイ102のマイクロレンズによって偏向させられ、隣接する画素を通過する光と混合することもある。このように、マイクロレンズアレイ102に斜めに光が入射して、隣接する画素で光の混合が起こると、投射される画像の混色、輝度の不均一性、及びコントラストの低下を引き起こし、所望の画像を得ることができないことがある。特に、光学素子としてのマイクロレンズ102におけるマイクロレンズの開口数を増加させて、光源から放出されるより多くの光を液晶相へ集光させようとすると、マイクロレンズアレイ102のマイクロレンズに斜めに入射する光が、増加し、隣接するレンズを透過した光と混合する光が増加する。従って、隣接するレンズを透過した光と混合する光を減少させるためには、マイクロレンズアレイ102のマイクロレンズの開口数を小さくして、マイクロレンズアレイ102のマイクロレンズに斜めに入射する光を減少させることが必要となり、光学素子に入射する光を十分に有効に利用することができない。
さらに、マイクロレンズに斜めに入射した光は、液晶デバイスから斜めに射出されるため、このような斜めに射出された光は、コリメーターレンズによって、十分にコリメートすることができない場合もある。その結果、隣接する画素を通じた光の混合が、スクリーン上で起こり、投射される画像の混色、輝度の不均一性、及びコントラストの低下を引き起こして、所望の画像を得ることができないこともある。すなわち、この場合にも、従来の液晶デバイスに用いられる光学素子は、光学素子に入射する光を十分に有効に利用することができないという問題がある。また、液晶デバイスから斜めに射出された光を、コリメーターレンズで十分にコリメートすることができたとしても、コリメーターレンズの設計が複雑になってしまう。
次に、液晶デバイスにおける光源からの光を液晶相に集光するための光学素子の別の例としては、例えば、国際公開第2004/036296号パンフレット(特許文献1に開示される液晶デバイス用の光学素子が挙げられる。図11は、特許文献1に開示される従来の液晶デバイス用の光学素子の例を示す。
図11に示すように、特許文献1に開示される従来の液晶デバイス用の光学素子は、マイクロレンズアレイ302及びカバーガラス304を含む。ここで、マイクロレンズアレイ302及びカバーガラス304は、互いに同一の透明なガラス材料(例えば石英ガラス)で形成されており、マイクロレンズアレイ302のマイクロレンズの上部及びカバーガラスの表面は、平面である。そして、マイクロレンズアレイ302及びカバーガラス304は、マイクロレンズアレイ302の上部とカバーガラス304の表面を互いに直接接合させることによって、接合されている。このような特許文献1に開示される液晶デバイス用の光学素子においては、マイクロレンズアレイ302及びカバーガラス304の接合にガラスに比べて低い耐熱性を有する樹脂の接着剤を使用する必要がないため、耐熱性の高い液晶デバイス用の光学素子を得ることができる。ただし、特許文献1には、マイクロレンズアレイ302の上部とカバーガラス304の表面を接合する直接接合の具体的方法は、開示されていない。また、光源から照射される光は、光学素子を透過して、液晶デバイスに照射されるが、マイクロレンズアレイ302のマイクロレンズにおける上部の平面を通過する光は、屈折されず、マイクロレンズの上部の平面の外側における曲面を通過する光は、屈折されて、液晶デバイスに向かって集光される。しかしながら、特許文献1に開示される従来の液晶デバイス用の光学素子を用いた場合にも、光学素子に入射する光の利用は、まだ不十分である。
国際公開第2004/036296号パンフレット
本発明の第一の目的は、光学素子を提供することである。
本発明の第二の目的は、液晶デバイスを提供することである。
本発明の第三の目的は、液晶プロジェクターを提供することである。
本発明の第一の態様は、基板及び光学面を有するレンズアレイを含む光学素子において、前記レンズアレイに設けられた反射防止膜をさらに含み、前記反射防止膜は、前記基板と直接接合する接合面を有すると共に、前記レンズアレイは、前記接合面に対向した部分を有すると共に、前記光学面は、前記接合面に対向した部分の周辺に設けられたものであると共に、前記反射防止膜は、少なくとも前記接合面に対向した部分及び前記光学面に設けられたものであることを特徴とする、光学素子である。
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様である光学素子及び液晶を含むことを特徴とする液晶デバイスである。
本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様である液晶デバイスを含むことを特徴とする液晶プロジェクターである。
本発明の第一の態様によれば、光学素子を提供することが可能となる。
本発明の第二の態様によれば、液晶デバイスを提供することが可能となる。
本発明の第三の態様によれば、液晶プロジェクターを提供することが可能となる。
次に、本発明の実施の形態(実施態様)を図面と共に説明する。
本発明の第一の実施態様は、基板並びに基板と直接接合する接合面及び接合面と異なる光学面を有する光学構成部品を含む光学素子において、光学面には、反射防止膜が設けられている光学素子である。
本発明の第一の実施態様である光学素子においては、光学面には、反射防止膜が設けられているので、光学面による光の反射を低減し、光学素子に入射する光をより有効に利用することができる。特に、光学面による基板への光の反射を低減し、光学構成部品を透過する光の割合を向上させることができる。ここで、反射防止膜は、光学面における光の反射を完全に防止する膜のみならず、光学面における光の反射を部分的に防止する(低減する)膜を含む。このように、本発明の第一の実施態様によれば、入射する光をより有効に利用することができる光学素子を提供することができる。
また、本発明の第一の実施態様である光学素子においては、光学構成部品が、基板と直接接合する接合面を有するので、基板及び光学構成部品を、樹脂などの接着剤を用いることなく、直接接合させることができる。このように、比較的大きい熱膨張係数を有する樹脂の接着剤を用いることなく、基板及び光学構成部品を直接接合させるので、温度変化に対する光学素子の耐久性又は耐熱性を向上させ、温度変化による光学素子の変形を抑制することができる。また、樹脂の接着剤を用いないため、本発明の第一の実施態様である光学素子を、長期間使用しても、樹脂の経時的な劣化が起こらず、樹脂の劣化による光学素子の着色(黄変など)がない。すなわち、経時的に安定な光学素子を提供することができる。さらに、接着剤を用いることなく基板及び光学構成部品を直接接合させることによって、光学構成部品を基板に対して高い精度で位置決め、接合、及び固定することができる。
なお、反射防止膜は、単層の膜であっても二層以上の多層の膜であってもよい。
本発明の第一の実施態様において、好ましくは、基板及び光学構成部品は、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含み、直接接合は、ガラス直接接合である。
ここで、ケイ素酸化物としては、石英、パイレックス(登録商標)ガラス、テンパックス(商品名)ガラス、及びネオセラム(商品名)のような低膨張ガラスなどの光学ガラスが挙げられる。基板及び光学構成部品が、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含む場合には、すなわち、基板及び光学構成部品の両方が、Si−Oの結合を含む材料で構成される場合には、基板及び光学構成部品を、光学構成部品の接合面を介して互いにガラス直接接合させることができる。
ガラス直接接合の方法としては、タンポ法によって光学構成部品の接合面に1%フッ酸を塗布し、基板及び光学構成部品を、接合面を介して互いに接触させ、基板及び光学構成部品の接合面に約1.0MPaの圧力を加えると共に約60℃で1時間加熱する方法などが挙げられる。
また、基板及び光学構成部品を、ガラスと比較して大きい熱膨張係数を備えた樹脂の接着剤を用いることなく、ガラス直接接合させるので、温度変化に対する光学素子の耐久性又は耐熱性を向上させ、温度変化による光学素子の変形を抑制することができる。さらに、本発明の第一の実施態様である光学素子は、樹脂と比較して化学的に安定な無機材料で構成されるため、経時的に安定な光学素子を提供することができる。
なお、光学面は、凸若しくは凹の球面、凸若しくは凹の非球面、又は凸若しくは凹のアナモルフィック面であってもよい。
本発明の第一の実施態様において、好ましくは、接合面は、実質的に平面である。
光学構成部品の接合面及び光学構成部品の接合面と対応する基板の面は、互いに直接接合するために、実質的に同じ形状である。よって、光学構成部品の接合面及び光学構成部品の接合面と対応する基板の面は、例えば、実質的に同一の(球面、非球面などの)曲面であってもよい。しかしながら、光学構成部品の接合面及び光学構成部品の接合面と対応する基板の面が、実質的に平面である場合には、基板などの構成を簡単にすることができる。ここで、「実質的に」とは、直接接合を達成することができる程度を意味する。また、接合面が、実質的に平面である場合には、光学素子に入射して接合面に到達する平行光を、接合面から平行光として射出することができる。一方、光学素子に入射して光学面に到達する平行光は、接合面から収束光又は発散光として射出され得る。
本発明の第一の実施態様において、好ましくは、光学構成部品は、上記の接合面と異なる、基板と接合する面をさらに含む。
光学構成部品が、上記の接合面と異なる、基板と接合する面をさらに含む場合には、基板及び光学構成部品の接合の強度をさらに高めることができる。また、上記の接合面と異なる、基板と接合する光学構成部品の面を、基板の対応する面と、接着剤を用いて接合させてもよく、ガラス直接接合のように直接接合させてもよい。さらに、上記の接合面と異なる、基板と接合する光学構成部品の面も、上記の接合面と同様に、曲面であってもよいが、実質的に平面であることが好ましい。
本発明の第一の実施態様において、好ましくは、基板及び反射防止膜の間における空間は、真空であるか、又は空気からなる。
基板及び光学構成部品の光学面に設けられた反射防止膜の間における空間が、真空であるか、又は空気である、すなわち、屈折率が1である媒体で充填される場合には、光学構成部品の材料と真空又は空気の屈折率との差が大きいため、光学構成部品の光学面の設計を容易にすることができる。例えば、光学構成部品が、レンズ(アレイ)である場合には、光学面としてのレンズの面の曲率を小さくすることができる。また、基板及び光学構成部品の光学面に設けられた反射防止膜の間における空間が、空気であると、基板及び反射防止膜の間における空間を通じて、外気を通過させることができるため、光学素子を、熱を発生するデバイスと共に使用する場合には、光学素子に与えられる熱を容易に放出することができ、光学素子の冷却の効率を高めることができる。一方、基板及び光学構成部品の光学面に設けられた反射防止膜の間における空間が、真空であると、高い断熱性を備えた光学素子を提供することができる。
なお、基板及び反射防止膜の間における空間を、真空(又は空気)にするためには、基板及び光学構成部品を真空(又は空気)中で直接接合させる。
本発明の第一の実施態様において、好ましくは、光学構成部品は、レンズ、レンズアレイ、プリズム、回折光学素子、及びウェーブフロントレンズ(Wavefront Lens)からなる群より選択される光学構成要素を含む。
レンズ(アレイ)は、光学ガラス材料の平行平面板に感光性材料(フォトレジスト)の層を形成し、所望のレンズ(アレイ)用に設計された濃度分布マスク並びに露光、現像、及び硬化処理を含むフォトリソグラフィの工程を用いて、所望のレンズの形態を備えた感光性材料の三次元初期構造体を形成し、感光性材料の三次元初期構造体の形態を、エッチングによって光学ガラス材料に転写することで作製される。なお、濃度分布マスクは、例えば、特開平7−230159号公報に開示される方法で得ることができる。
ここで、実施的に平面の接合面を有するレンズ(アレイ)としての光学構成部品は、以下のようにして作製される。感光性材料の三次元初期構造体の形態を、エッチングによって光学ガラス材料に転写する際に、感光性材料の三次元初期構造体における実質的に平面の接合面に対応する部分が、光学ガラス材料に転写される前に、エッチングを停止する。すなわち、感光性材料の三次元初期構造体における光学面に対応する部分のみが、光学ガラス材料に転写され、感光性材料の三次元初期構造体における実質的に平面の接合面に対応する部分は、光学ガラス材料に転写されずに、光学ガラス材料に残留し、平行平面板の平面の形状が維持される。そして、光学ガラスに転写されずに残留した、感光性材料の三次元初期構造体における実質的に平面の接合面に対応する部分を、光学ガラス材料から除去する。このようにして、実施的に平面の接合面を有するレンズ(アレイ)としての光学構成部品を得ることができる。
ここで、光学構成部品の接合面に設けられず、光学構成部品の光学面に設けられる反射防止膜は、以下のようにして作製される。光学ガラスに転写されずに残留した、感光性材料の三次元初期構造体における実質的に平面の接合面に対応する部分を、光学ガラス材料から除去する前に、薄膜形成工程によって、光学ガラス材料の表面の全体に反射防止膜を形成する。すなわち、感光性材料の三次元初期構造体の形態を転写することで形成された光学ガラス材料の光学面及び光学ガラスに転写されずに残留した、感光性材料の三次元初期構造体における実質的に平面の接合面に対応する部分の上に、反射防止膜が成膜される。次に、反射防止膜が形成された光学ガラス材料を、感光性材料を溶解させることができる溶剤で処理して、光学ガラスに転写されずに残留した、感光性材料の三次元初期構造体における実質的に平面の接合面に対応する部分及び反射防止膜におけるその接合面に対応する部分を除去する。なお、薄膜形成工程は、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、及び反射防止膜の材料を含む溶液をスピンコートし、その溶液を加熱することによって成膜する方法を含む。このようにして、光学構成部品の接合面に設けられず、光学構成部品の光学面に設けられる反射防止膜を得ることができる。
レンズの大きさについては、レンズ(アレイ)は、マイクロレンズ(アレイ)(レンズの直径=数μm〜数百μm)であってもよい。また、レンズの形状については、レンズは、球面レンズ、非球面レンズ、又はアナモルフィックレンズであってもよい。
回折光学素子は、複数の輪帯を有するフレネル光学素子であり、中心の輪帯は、最大のピッチ及び最大の高さを有し、外周の輪帯は、最小のピッチ及び最小の高さを有する。輪帯のピッチ及び高さは、中心から外周へ向かって小さくなる。回折光学素子は、ネオセラムのような低膨張ガラスなどの光学ガラスに、均一な厚さの電子線用感光性材料(レジスト)を塗布し、均一に塗布した電子線用感光性材料をプリベークし、電子線描画装置を使用して回折光学素子の三次元形状を描画し、回折光学素子の三次元形状が描画された電子線用感光性材料をドライエッチングして、光学ガラスに回折光学素子の三次元形状を転写することによって、得られる。なお、実質的に平面の接合面を有する回折光学素子としての光学構成部品及び接合面に設けられず光学面に設けられる反射防止膜は、上述した方法と同様にして作製される。
さらに、ウェーブフロントレンズとは、米国CDM Optics社が提案しているWavefront Cording Systemによって設計され、光学レンズ、イメージセンサー(CCD)、及び画像処理ソフトウエアを一体として最適化することによって得られる光学レンズである。なお、ウェーブフロントレンズによってイメージセンサ上に結像された像は、人間が認識できる像である必要はない。Wavefront Cording Systemにおいては、画像処理ソフトウエアにより処理された最終的な像が人間に認識できるようになっていればよい。したがって、この画像処理ソフトウエアは、イメージセンサ専用の像に対する画像処理を行う。このWavefront Cording Systemを用いることにより、良好な明るさ(Fナンバー)及び良好な被写界限界深度の両方を達成することができる。また、簡単なレンズ構成で、諸収差を大きく低減することができ、高解像度の像を得ることができる。なお、実質的に平面の接合面を有するウェーブフロントレンズとしての光学構成部品及び接合面に設けられず光学面に設けられる反射防止膜は、上述した方法と同様にして作製される。
なお、基板は、光学構成部品の接合面と接合する平面を有するものであって、例えば、光学構成部品の接合面と接合する平面を有する平行平面板のカバーガラスであってもよい。
本発明の第二の実施態様は、基板及び光学面を有する光学構成部品を含む光学素子において、光学構成部品に設けられた反射防止膜をさらに含み、反射防止膜は、基板と直接接合する接合面を有する光学素子である。
本発明の第二の実施態様である光学素子においては、光学面を有する光学構成部品に、反射防止膜が設けられているので、光学面による光の反射を低減し、光学素子に入射する光をより有効に利用することができる。特に、光学面による基板への光の反射を低減し、光学構成部品を透過する光の割合を向上させることができる。ここで、反射防止膜は、光学面における光の反射を完全に防止する膜のみならず、光学面における光の反射を部分的に防止する(低減する)膜を含む。このように、本発明の第二の実施態様によれば、入射する光をより有効に利用することができる光学素子を提供することができる。
また、本発明の第二の実施態様である光学素子においては、反射防止膜が、基板と直接接合する接合面を有するので、基板及び反射防止膜を、樹脂などの接着剤を用いることなく、直接接合させることができる。このように、比較的大きい熱膨張係数を有する樹脂の接着剤を用いることなく、基板及び反射防止膜を直接接合させるので、温度変化に対する光学素子の耐久性又は耐熱性を向上させ、温度変化による光学素子の変形を抑制することができる。また、樹脂の接着剤を用いないため、本発明の第二の実施態様である光学素子を、長期間使用しても、樹脂の経時的な劣化が起こらず、樹脂の劣化による光学素子の着色(黄変など)がない。すなわち、経時的に安定な光学素子を提供することができる。さらに、接着剤を用いることなく基板及び反射防止膜を直接接合させることによって、反射防止膜が設けられた光学構成部品を基板に対して高い精度で位置決め、接合、及び固定することができる。
さらに、本発明の第二の実施態様においては、基板及び反射防止膜が直接接合し、基板及び光学構成部品が直接接合しないので、反射防止膜の材料を、基板と直接接合することが可能な材料から選択すれば、光学構成部品の材料を、基板と直接接合することができる材料に限られず、用途に応じた適当な材料から選択することができる。
本発明の第二の実施態様において、好ましくは、基板及び反射防止膜は、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含み、直接接合は、ガラス直接接合である。
ここで、ケイ素酸化物としては、石英、パイレックス(登録商標)ガラス、テンパックス(商品名)ガラス、及びネオセラム(商品名)のような低膨張ガラスなどの光学ガラスが挙げられる。基板及び反射防止膜が、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含む場合には、すなわち、基板及び反射防止膜の両方が、Si−Oの結合を含む材料で構成される場合には、基板及び反射防止膜を、反射防止膜の接合面を介して互いにガラス直接接合させることができる。なお、反射防止膜は、単層の膜であっても二層以上の多層の膜であってもよい。反射防止膜が、二層以上の多層の膜である場合には、反射防止膜の最も基板側にある膜が、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含み、反射防止膜の最も基板側にある膜の接合面が、その接合面と対応する基板の面とガラス直接接合することが好ましい。
ガラス直接接合の方法としては、タンポ法又はスピンナー法によって反射防止膜の接合面に1%フッ酸を塗布し、基板及び反射防止膜が設けられた光学構成部品を、反射防止膜の接合面を介して互いに接触させ、基板及び光学構成部品の反射防止膜の接合面に約1.0MPaの圧力を加えると共に約60℃で1時間加熱する方法などが挙げられる。
また、基板及び反射防止膜を、ガラスと比較して大きい熱膨張係数を備えた樹脂の接着剤を用いることなく、ガラス直接接合させるので、温度変化に対する光学素子の耐久性又は耐熱性を向上させ、温度変化による光学素子の変形を抑制することができる。さらに、本発明の第二の実施態様である光学素子は、樹脂と比較して化学的に安定な無機材料で構成されるため、経時的に安定な光学素子を提供することができる。
なお、光学面は、凸若しくは凹の球面、凸若しくは凹の非球面、又は凸若しくは凹のアナモルフィック面であってもよい。
本発明の第二の実施態様において、好ましくは、接合面は、実質的に平面である。
反射防止膜の接合面及び反射防止膜の接合面と対応する基板の面は、互いに直接接合するために、実質的に同じ形状である。よって、反射防止膜の接合面及び反射防止膜の接合面と対応する基板の面は、例えば、実質的に同一の(球面、非球面などの)曲面であってもよい。しかしながら、反射防止膜の接合面及び反射防止膜の接合面と対応する基板の面が、実質的に平面である場合には、基板などの構成を簡単にすることができる。ここで、「実質的に」とは、直接接合を達成することができる程度を意味する。また、接合面が、実質的に平面である場合には、光学素子に入射して接合面に到達する平行光を、接合面から平行光として射出することができる。一方、光学素子に入射して光学面に到達する平行光は、接合面から収束光又は発散光として射出され得る。
本発明の第二の実施態様において、好ましくは、反射防止膜は、上記の接合面と異なる、基板と接合する面をさらに含む。
反射防止膜が、上記の接合面と異なる、基板と接合する面をさらに含む場合には、基板及び反射防止膜が設けられた光学構成部品の接合の強度をさらに高めることができる。また、上記の接合面と異なる、基板と接合する反射防止膜の面を、基板の対応する面と、接着剤を用いて接合させてもよく、ガラス直接接合のように直接接合させてもよい。さらに、上記の接合面と異なる、基板と接合する反射防止膜の面も、上記の接合面と同様に、曲面であってもよいが、実質的に平面であることが好ましい。
本発明の第二の実施態様において、好ましくは、基板及び反射防止膜の間における空間は、真空であるか、又は空気からなる。
基板及び光学構成部品の光学面に設けられた反射防止膜の間における空間が、真空であるか、又は空気である、すなわち、屈折率が1である媒体で充填される場合には、光学構成部品の材料と真空又は空気の屈折率との差が大きいため、光学構成部品の光学面の設計を容易にすることができる。例えば、光学構成部品が、レンズ(アレイ)である場合には、光学面としてのレンズの面の曲率を小さくすることができる。また、基板及び光学構成部品の光学面に設けられた反射防止膜の間における空間が、空気であると、基板及び反射防止膜の間における空間を通じて、外気を通過させることができるため、光学素子を、熱を発生するデバイスと共に使用する場合には、光学素子に与えられる熱を容易に放出することができ、光学素子の冷却の効率を高めることができる。一方、基板及び光学構成部品の光学面に設けられた反射防止膜の間における空間が、真空であると、高い断熱性を備えた光学素子を提供することができる。
なお、基板及び反射防止膜の間における空間を、真空(又は空気)にするためには、基板及び光学構成部品に設けられた反射防止膜を真空(又は空気)中で直接接合させる。
本発明の第二の実施態様において、好ましくは、光学構成部品は、レンズ、レンズアレイ、プリズム、回折光学素子、及びウェーブフロントレンズからなる群より選択される光学構成要素を含む。
レンズ(アレイ)は、光学ガラス材料の平行平面板に感光性材料(フォトレジスト)の層を形成し、所望のレンズ(アレイ)用に設計された濃度分布マスク並びに露光、現像、及び硬化処理を含むフォトリソグラフィの工程を用いて、所望のレンズの形態を備えた感光性材料の三次元初期構造体を形成し、感光性材料の三次元初期構造体の形態を、エッチングによって光学ガラス材料に転写することで作製される。なお、濃度分布マスクは、例えば、特開平7−230159号公報に開示される方法で得ることができる。
ここで、実質的に平面の接合面を有する反射防止膜が設けられたレンズ(アレイ)としての光学構成部品は、以下のようにして作製される。感光性材料の三次元初期構造体の形態を、エッチングによって光学ガラス材料に転写する際に、感光性材料の三次元初期構造体における実質的に平面の接合面に対応する部分が、光学ガラス材料に転写される前に、エッチングを停止する。すなわち、感光性材料の三次元初期構造体における光学面に対応する部分のみが、光学ガラス材料に転写され、感光性材料の三次元初期構造体における実質的に平面の接合面に対応する部分は、光学ガラス材料に転写されずに、光学ガラス材料に残留し、平行平面板の平面の形状が維持される。そして、光学ガラスに転写されずに残留した、感光性材料の三次元初期構造体における実質的に平面の接合面に対応する部分を、光学ガラス材料から除去する。これにより、実質的に平面の接合面を有するレンズ(アレイ)としての光学構成部品が作製される。そして、得られた実質的に平面の接合面を有するレンズ(アレイ)としての光学構成部品における反射防止膜が形成される面の全体に、薄膜形成工程によって、反射防止膜を形成する。なお、薄膜形成工程は、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、及び反射防止膜の材料を含む溶液をスピンコートし、その溶液を加熱することによって成膜する方法を含む。このようにして、実質的に平面の接合面を有する反射防止膜が設けられたレンズ(アレイ)としての光学構成部品を得ることができる。
レンズの大きさについては、レンズ(アレイ)は、マイクロレンズ(アレイ)(レンズの直径=数μm〜数百μm)であってもよい。また、レンズの形状については、レンズは、球面レンズ、非球面レンズ、又はアナモルフィックレンズであってもよい。
回折光学素子は、複数の輪帯を有するフレネル光学素子であり、中心の輪帯は、最大のピッチ及び最大の高さを有し、外周の輪帯は、最小のピッチ及び最小の高さを有する。輪帯のピッチ及び高さは、中心から外周へ向かって小さくなる。回折光学素子は、ネオセラムのような低膨張ガラスなどの光学ガラスに、均一な厚さの電子線用感光性材料(レジスト)を塗布し、均一に塗布した電子線用感光性材料をプリベークし、電子線描画装置を使用して回折光学素子の三次元形状を描画し、回折光学素子の三次元形状が描画された電子線用感光性材料をドライエッチングして、光学ガラスに回折光学素子の三次元形状を転写することによって、得られる。なお、実質的に平面の接合面を有する回折光学素子としての光学構成部品及び光学構成部品に設けられる反射防止膜は、上述した方法と同様にして作製される。
さらに、ウェーブフロントレンズとは、米国CDM Optics社が提案しているWavefront Cording Systemによって設計され、光学レンズ、イメージセンサー(CCD)、及び画像処理ソフトウエアを一体として最適化することによって得られる光学レンズである。なお、ウェーブフロントレンズによってイメージセンサ上に結像された像は、人間が認識できる像である必要はない。Wavefront Cording Systemにおいては、画像処理ソフトウエアにより処理された最終的な像が人間に認識できるようになっていればよい。したがって、この画像処理ソフトウエアは、イメージセンサ専用の像に対する画像処理を行う。このWavefront Cording Systemを用いることにより、良好な明るさ(Fナンバー)及び良好な被写界限界深度の両方を達成することができる。また、簡単なレンズ構成で、諸収差を大きく低減することができ、高解像度の像を得ることができる。なお、実質的に平面の接合面を有するウェーブフロントレンズとしての光学構成部品及び光学構成部品に設けられる反射防止膜は、上述した方法と同様にして作製される。
なお、基板は、反射防止膜の接合面と接合する平面を有するものであって、例えば、反射防止膜の接合面と接合する平面を有する平行平面板のカバーガラスであってもよい。
本発明の第三の実施態様は、第一の屈折面を有する光学構成要素を含む光学素子において、光学構成要素は、第一の屈折面に対応する第二の屈折面をさらに含み、第一の屈折面は、第一の屈折面に対応する第二の屈折面の屈折力の符号と反対の符号の屈折力を有する。
本発明の第三の実施態様においては、光学構成要素は、第一の屈折面に対応する第二の屈折面をさらに含み、第一の屈折面は、第一の屈折面に対応する第二の屈折面の屈折力の符号と反対の符号の屈折力を有するので、第一の屈折面によって収束又は発散される光の収束又は発散の程度を、第二の屈折面によって低減することができる。例えば、本発明の第三の実施態様である光学素子に入射する光を、光学素子の第一の屈折面の屈折力によって収束させると共に、光学素子から射出される光を集中させ過ぎないように、光学素子の第二の屈折面の屈折力によって発散させて、光学素子から射出される光の収束の程度を低減することができる。このように、本発明の第三の実施態様によれば、入射する光をより有効に利用することができる光学素子を提供することができる。
本発明の第三の実施態様である光学構成要素は、例えば、第一の屈折面の曲率中心及び第二の屈折面の曲率中心が同じ側にあるメニスカスレンズ(アレイ)である。
特に、本発明の第三の実施態様である光学素子を液晶デバイスと組み合わせて使用する場合には、液晶デバイスの液晶駆動回路に光が当たらないように、光学素子の第一の屈折面の屈折力によって光学素子に入射した光を収束させると共に、液晶デバイスの液晶相の特定部分に光が集中し過ぎないように、及び、液晶デバイスから射出される光の射出角が大きくなり過ぎないように、光学素子の第二の屈折面の屈折力によって光学素子から射出される光の収束の程度を低減することができる。すなわち、液晶デバイスの液晶相の特定部分に光が集中し過ぎることを回避することができるため、液晶デバイスにおける液晶相の劣化を低減し、液晶デバイスの寿命を従来の液晶デバイスよりも長くすることができる。また、光学素子が、マイクロレンズアレイであるとすれば、液晶デバイスから射出される光の射出角が大きくなり過ぎることを回避することができるため、隣接するマイクロレンズを透過すると共に液晶相を通過した光が、互いに混合することを低減することができ、液晶デバイスから射出される画像情報を備えた光の混色、輝度の不均一性、コントラストの低下を低減することができる。さらに、液晶デバイスから射出される光をコリメートするためのコリメートレンズの設計を容易にすることも可能となる。
なお、本発明の第三の実施態様である光学素子においては、必要に応じて、複数の光学構成要素を設けてもよい。複数の光学構成要素を設けることによって、光学構成要素の各々の設計を容易にしたり、光学素子全体の性能を向上させることができる。
本発明の第三の実施態様において、好ましくは、第一の屈折面の屈折力の絶対値は、第二の屈折面の屈折力の絶対値と実質的に等しい。
ここで、第一の屈折面の屈折力は、入射する光線の高さにおける第一の屈折面の屈折力であり、第二の屈折面の屈折力は、射出される光線の高さにおける第二の屈折面の屈折力である。言い換えれば、本発明の第三の実施態様において第一の屈折面の屈折力の絶対値は、第二の屈折面の屈折力の絶対値と実質的に等しい光学素子は、いわゆるアフォーカル光学系である。なお、「実質的に等しい」とは、第一の屈折面の屈折力及び第二の屈折面の屈折力の差による光学素子に入射する光及び光学素子から射出する光の収束又は発散の程度が、許容範囲内にある程度であることを意味する。加えて、第一の屈折面及び第二の屈折面は、理想的には、偏心していない。
第一の屈折面の屈折力の絶対値は、第二の屈折面の屈折力の絶対値と実質的に等しい場合には、光学素子に入射する光の収束又は発散の程度が、光学素子から射出する光の収束又は発散の程度と実質的に等しい光学素子を提供することができる。ここで、光学素子に入射する光の収束又は発散の程度及び光学素子から射出する光の収束又は発散の程度は、光学素子に入射する光及び光学素子から射出する光が平行光であることを意味するゼロを含む。すなわち、光学素子へ入射する光が、収束する光であれば、光学素子へ入射する光と同様の程度に収束する光を光学素子から射出し、光学素子へ入射する光が、発散する光であれば、光学素子へ入射する光と同様の程度に発散する光を光学素子から射出し、光学素子へ入射する光が、実質的に平行光であれば、実質的に平行光である光を光学素子から射出することになる。
例えば、光学素子が、球面又は非球面のレンズ(アレイ)であるとすれば、レンズの第一面の曲率半径r1、第二面の曲率半径r2、レンズの中心の厚さd、及びレンズの材料の屈折率nが、n(r1−r2)=(n−1)dの関係式を満たすように、レンズを設計すればよい。なお、r1及びr2の符号については、レンズは、通常、メニスカスレンズであり、r1・r2>0である。第一の屈折面が、凸面であるとすれば、r1>r2>0(凹メニスカスレンズ)であり、第一の屈折面の曲率半径の絶対値は、第二の屈折面の曲率半径の絶対値よりも大きい。この場合には、第一の屈折面に入射する平行光を、第一の屈折面で収束させて、光束の径を縮小し、第二の屈折面から平行光を射出する。第一の屈折面が、凹面であるとすれば、r2<r1<0(凹メニスカスレンズ)であり、第一の屈折面の曲率半径の絶対値は、第二の屈折面の曲率半径の絶対値よりも小さい(|r1|<|r2|)。この場合には、第一の屈折面に入射する平行光を、第一の屈折面で発散させて、光束の径を拡大し、第二の屈折面から平行光を射出する。
特に、本発明の第三の実施態様において、第一の屈折面の屈折力の絶対値が、第二の屈折面の屈折力の絶対値と実質的に等しい光学素子を液晶デバイスと組み合わせて使用し、光学素子に、光源から放出される概略平行光を入射させる場合には、液晶デバイスの液晶駆動回路に光が当たらないように、光学素子の第一の屈折面の屈折力によって光学素子に入射した概略平行光を収束させると共に、液晶デバイスの液晶相の特定部分に光が集中しないように、及び、液晶デバイスから射出される光の射出角が小さくするように、光学素子の第二の屈折面の屈折力によって、光学素子から概略平行光を液晶デバイスの液晶相へ向かって射出することができる。すなわち、液晶デバイスの液晶相の特定部分に光が集中しないため、液晶デバイスにおける液晶相の劣化を大幅に低減し、液晶デバイスの寿命を従来の液晶デバイスよりも大幅に長くすることができる。また、光学素子が、マイクロレンズアレイであるとすれば、液晶デバイスから射出される光が、概略平行光であり、光の射出角が小さいため、隣接するマイクロレンズを透過すると共に液晶相を通過した光が、互いに混合することを大幅に低減することができ、液晶デバイスから射出される画像情報を備えた光の混色、輝度の不均一性、コントラストの低下を大幅に低減することができる。さらに、液晶デバイスから射出される概略平行光をさらにコリメートするためのコリメートレンズの設計を大いに容易にすることができる。
ここで、液晶デバイスから射出される概略平行光は、好ましくは、理想的な平行光に対して0.1°以内の射出角を有する光線からなる。概略平行光が、理想的な平行光に対して0.1°以内の射出角を有する光線からなる場合には、コリメートレンズに対して実質的に平行光とみなすことができる。一方、液晶デバイスから射出される光を、コリメートレンズで十分に補正するためには、液晶デバイスから射出される光は、理想的な平行光に対して±4°以内の射出角を有する光線からなることが好ましい。
なお、第一の屈折面及び第二の屈折面は、それぞれ、凸若しくは凹の球面、凸若しくは凹の非球面、又は凸若しくは凹のアナモルフィック面であってもよい。
本発明の第三の実施態様において、好ましくは、基板をさらに含み、光学構成要素は、基板に直接接合する接合面を有する。
この場合には、光学構成要素が、基板と直接接合する接合面を有するので、基板及び光学構成要素を、樹脂などの接着剤を用いることなく、直接接合させることができる。このように、比較的大きい熱膨張係数を有する樹脂の接着剤を用いることなく、基板及び光学構成要素を直接接合させるので、温度変化に対する光学素子の耐久性又は耐熱性を向上させ、温度変化による光学素子の変形を抑制することができる。また、樹脂の接着剤を用いないため、本発明の第三の実施態様である光学素子を、長期間使用しても、樹脂の経時的な劣化が起こらず、樹脂の劣化による光学素子の着色(黄変など)がない。すなわち、経時的に安定な光学素子を提供することができる。さらに、接着剤を用いることなく基板及び光学構成要素を直接接合させることによって、光学構成要素を基板に対して高い精度で位置決め、接合、及び固定することができる。
また、基板と直接接合する光学構成要素の接合面は、光を吸収又は散乱する処理が施された面であってもよい。例えば、光学構成要素が、レンズアレイを含む構成要素であるとすれば、光学構成要素におけるレンズアレイ間の部分に光を吸収する接合面を設けると共に、隣接するレンズアレイ間を通過する光の混合を低減することができる。
本発明の第三の実施態様において、好ましくは、基板及び光学構成要素は、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含み、直接接合は、ガラス直接接合である。
ここで、ケイ素酸化物としては、石英、パイレックス(登録商標)ガラス、テンパックス(商品名)ガラス、及びネオセラム(商品名)のような低膨張ガラスなどの光学ガラスが挙げられる。基板及び光学構成要素が、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含む場合には、すなわち、基板及び光学構成要素の両方が、Si−Oの結合を含む材料で構成される場合には、基板及び光学構成要素を、光学構成要素の接合面を介して互いにガラス直接接合させることができる。
ガラス直接接合の方法としては、タンポ法によって光学構成要素の接合面に1%フッ酸を塗布し、基板及び光学構成要素を、接合面を介して互いに接触させ、基板及び光学構成要素の接合面に約1.0MPaの圧力を加えると共に約60℃で1時間加熱する方法などが挙げられる。
また、基板及び光学構成要素を、ガラスと比較して大きい熱膨張係数を備えた樹脂の接着剤を用いることなく、ガラス直接接合させるので、温度変化に対する光学素子の耐久性又は耐熱性を向上させ、温度変化による光学素子の変形を抑制することができる。さらに、本発明の第三の実施態様である光学素子は、樹脂と比較して化学的に安定な無機材料で構成されるため、経時的に安定な光学素子を提供することができる。
なお、基板及び光学構成要素を、光学素子の使用環境に応じて、樹脂などの接着剤で接着させてもよい。
本発明の第三の実施態様において、好ましくは、基板及び光学構成要素の間における空間は、真空であるか、又は空気からなる。
基板及び光学構成要素の間における空間が、真空であるか、又は空気である、すなわち、屈折率が1である媒体で充填される場合には、光学構成要素の材料と真空又は空気の屈折率との差が大きいため、光学構成要素の第一の屈折面及び第二の屈折面の設計を容易にすることができる。例えば、光学構成要素が、レンズ(アレイ)である場合には、第一の屈折面及び第二の屈折面としてのレンズの面の曲率を小さくすることができる。また、基板及び光学構成要素の間における空間が、空気であると、基板及び光学構成要素の間における空間を通じて、外気を通過させることができるため、光学素子を、熱を発生するデバイスと共に使用する場合には、光学素子に与えられる熱を容易に放出することができ、光学素子の冷却の効率を高めることができる。一方、基板及び光学構成要素の間における空間が、真空であると、高い断熱性を備えた光学素子を提供することができる。
なお、基板及び光学構成要素の間における空間を、真空(又は空気)にするためには、基板及び光学構成要素を真空(又は空気)中で直接接合させる。
本発明の第三の実施態様において、好ましくは、光学構成要素は、基板と接着剤を介して接合されている。すなわち、基板及び光学構成要素の間の空間を、光学素子の使用環境に応じて、樹脂などの接着剤で充填してもよい。このように、光学構成要素を、基板と接着剤を介して接合する場合には、光学構成要素を、基板と容易に接合することができる。
本発明の第三の実施態様において、好ましくは、光学構成要素は、第一の屈折面及び第二の屈折面と異なる第三の面及び第三の面に対応する第四の面をさらに含み、第三の面及び第四の面は、実質的に平面である。
本発明の第三の実施態様において、光学構成要素が、第一の屈折面及び第二の屈折面と異なる、実質的に平面である第三の面及び第四の面をさらに含む場合には、第三の面及び第四の面を通過する光は、収束又は発散されず、第三の面及び第四の面を通過する光の収束又は発散の程度は、維持される。例えば、第三の面は、第一の屈折面の中央に設けてもよく、第四の面は、第二の屈折面の中央に設けてもよい。第一の屈折面及び第二の屈折面の中央部分を通過する光の平行度が高い場合には、第一の屈折面及び第二の屈折面の中央部分で光を収束又は発散させることなく、第一の屈折面の中央に設けられた第三の面及び第二の屈折面の中央に設けられた第四の面を通過させてもよい。なお、「実質的に」とは、第三の面及び第四の面を通過する光の収束又は発散の程度が許容範囲内にあるように、平行光を通過させることができることを意味する。
本発明の第三の実施態様において、好ましくは、光学構成要素は、レンズ、レンズアレイ、プリズム、回折光学素子、及びウェーブフロントレンズからなる群より選択される構成要素を含む。
光学構成要素としてのレンズ(アレイ)は、光学ガラス材料の平行平面板に感光性材料(フォトレジスト)の層を形成し、所望のレンズ(アレイ)用に設計された濃度分布マスク並びに露光、現像、及び硬化処理を含むフォトリソグラフィの工程を用いて、所望のレンズの形態を備えた感光性材料の三次元初期構造体を形成し、感光性材料の三次元初期構造体の形態を、エッチングによって光学ガラス材料に転写することで作製される。なお、濃度分布マスクは、例えば、特開平7−230159号公報に開示される方法で得ることができる。よって、第一の屈折面及び/又は第二の屈折面が、レンズ(アレイ)の面である場合には、光学ガラス材料の平行平面板の片面に感光性材料(フォトレジスト)の層を形成し、第一の屈折面に関して設計された濃度分布マスク並びに露光、現像、及び硬化処理を含むフォトリソグラフィの工程を用いて、第一の屈折面の形態を備えた感光性材料の三次元初期構造体を形成し、感光性材料の三次元初期構造体の形態を、エッチングによって光学ガラス材料の平行平面板の片面に転写する。次に、光学ガラス材料の平行平面板の他方の面に感光性材料(フォトレジスト)の層を形成し、第二の屈折面に関して設計された濃度分布マスク並びに露光、現像、及び硬化処理を含むフォトリソグラフィの工程を用いて、第二の屈折面の形態を備えた感光性材料の三次元初期構造体を形成し、感光性材料の三次元初期構造体の形態を、エッチングによって光学ガラス材料の平行平面板の他方の面に転写する。
また、実施的に平面である第三の面(第四の面)を、第一の屈折面(第二の屈折面)に形成する場合には、感光性材料の三次元初期構造体における第一の屈折面(第二の屈折面)の形態を、エッチングによって光学ガラス材料に転写する際に、感光性材料の三次元初期構造体における第三の面(第四の面)に対応する部分が、光学ガラス材料に転写される前に、エッチングを停止する。すなわち、感光性材料の三次元初期構造体における第一の屈折面(第二の屈折面)に対応する部分のみが、光学ガラス材料に転写され、感光性材料の三次元初期構造体における第三の面(第四の面)に対応する部分は、光学ガラス材料に転写されずに、光学ガラス材料に残留し、平行平面板の平面の形状が維持される。そして、光学ガラスに転写されずに残留した、感光性材料の三次元初期構造体における第三の面(第四の面)に対応する部分を、光学ガラス材料から除去する。このようにして、実施的に平面である第三の面(第四の面)を備えた第一の屈折面(第二の屈折面)を有するレンズ(アレイ)としての光学構成要素を得ることができる。
レンズの大きさについては、レンズ(アレイ)は、マイクロレンズ(アレイ)(レンズの直径=数μm〜数百μm)であってもよい。また、レンズの形状については、レンズは、球面レンズ、非球面レンズ、又はアナモルフィックレンズであってもよい。
光学構成要素としての回折光学素子は、第一の屈折面及び/又は第二の屈折面に複数の輪帯を有するフレネル光学素子であり、中心の輪帯は、最大のピッチ及び最大の高さを有し、外周の輪帯は、最小のピッチ及び最小の高さを有する。輪帯のピッチ及び高さは、中心から外周へ向かって小さくなる。回折光学素子は、ネオセラムのような低膨張ガラスなどの光学ガラスの片面又は両面に、均一な厚さの電子線用感光性材料(レジスト)を塗布し、均一に塗布した電子線用感光性材料をプリベークし、電子線描画装置を使用して第一の屈折面及び/又は第二の屈折面に応じた回折光学素子の三次元形状を描画し、回折光学素子の三次元形状が描画された電子線用感光性材料をドライエッチングして、光学ガラスに回折光学素子の三次元形状を転写することによって、得られる。なお、実質的に平面である第三の面(第四の面)を有する回折光学素子としての光学構成要素は、上述した方法と同様にして作製される。
さらに、ウェーブフロントレンズとは、米国CDM Optics社が提案しているWavefront Cording Systemによって設計され、光学レンズ、イメージセンサー(CCD)、及び画像処理ソフトウエアを一体として最適化することによって得られる光学レンズである。なお、ウェーブフロントレンズによってイメージセンサ上に結像された像は、人間が認識できる像である必要はない。Wavefront Cording Systemにおいては、画像処理ソフトウエアにより処理された最終的な像が人間に認識できるようになっていればよい。したがって、この画像処理ソフトウエアは、イメージセンサ専用の像に対する画像処理を行う。このWavefront Cording Systemを用いることにより、良好な明るさ(Fナンバー)及び良好な被写界限界深度の両方を達成することができる。また、簡単なレンズ構成で、諸収差を大きく低減することができ、高解像度の像を得ることができる。なお、実質的に平面である面を有するウェーブフロントレンズとしての光学構成要素は、上述した方法と同様にして作製される。
なお、基板は、光学構成要素の接合面と接合する平面を有するものであって、例えば、光学構成要素の接合面と接合する平面を有する平行平面板のカバーガラスであってもよい。
光学構成要素の外周には、光学構成要素及び基板の接合の強度を高めるために、基板と接合する面をさらに設けてもよい。また、光学構成要素には、必要に応じて(例えば、第一の屈折面、第二の屈折面、第三の面、第四の面などに)、反射防止膜を設けて、光学構成要素内における光の反射を低減してもよい。
なお、本発明の第一若しくは第二の実施態様の光学素子における光学構成部分又は第三の態様の光学素子の光学構成要素の外周に、凸部を設け、凸部の中央に凹部を形成すると、凹部を、光学構成部分又は光学構成要素の外周を示す目印となる。また、光学構成部品又は光学構成要素の外周及び基板の一方に凸部を設け、それらの他方に凸部と嵌合する凹部を設けて、光学構成部品又は光学構成要素の外周及び基板の相対的な位置決めが容易である。
本発明の第四の実施態様は、本発明の第一、第二、又は第三の実施態様の光学素子及び液晶を含む液晶デバイスである。本発明の第四の実施態様である液晶デバイスは、液晶分子からなる液晶を含む液晶相、液晶相を支持する液晶基板、液晶に電圧を印加して液晶分子の配向を制御するために液晶駆動回路(例えば、薄膜トランジスタ及び配線を含む)、光学素子から射出される光の平行度を補正するためのコリメータレンズを含んでもよい。
本発明の第五の実施態様は、本発明の第四の実施態様の液晶デバイスを含む液晶プロジェクターである。本発明の第五の実施態様である液晶プロジェクターは、従来の任意の液晶プロジェクターにおける液晶デバイスを、本発明の第四の実施態様である液晶デバイスで置換したものである。
なお、本発明の第一、第二、又は第三の実施態様の光学素子は、液晶デバイスにおける使用に限定されず、デジタルカメラ又は複写機の書込み光学系にも用いられ得る。
図1は、本発明の第一の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスの例を説明する図である。図1に示すように、本発明の第一の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスは、光学構成部品としてのマイクロレンズアレイ12、マイクロレンズアレイ12の光学面に設けられた反射防止膜14、及び光学素子の基板としてのカバーガラス16からなる光学素子を含み、液晶基板22及び液晶基板22に設けられた液晶相24をさらに含み、液晶相24は、複数の液晶分子26を含み、薄膜とランジスタ及び配線を含む液晶駆動回路28が設けられている。なお、図示してないが、マイクロレンズアレイ12及び液晶相24の間にカバーガラス16と異なる別の基板を設けてもよい。
マイクロレンズアレイ12は、カバーガラス16と接合する実質的に平面である接合面を有し、接合面の周辺に球面の光学面を有する。そして、反射防止膜14は、光学面に設けられており、接合面には設けられていない。マイクロレンズアレイ12の光学面に反射防止膜が設けられているので、光学面による光の反射を低減し、光学素子に入射する光をより有効に利用することができる。ここで、マイクロレンズアレイ12及びカバーガラス16は、例えば、それぞれ、石英又はネオセラムなどの低膨張ガラスで作られており、マイクロレンズアレイ12の接合面及びカバーガラス16の上記の接合面と対応する面は、互いに、ガラス直接接合で接合されている。マイクロレンズアレイ12及びカバーガラス16が、ガラスと比較して大きい熱膨張係数を備えた樹脂の接着剤を用いることなく、ガラス直接接合されているので、温度変化に対する光学素子の耐久性又は耐熱性を向上させ、経時的に安定な光学素子を提供することができる。また、マイクロレンズアレイ12は、上記の接合面とは異なる、カバーガラス16と接合する面を有する凸部18を有する。マイクロレンズアレイ12の凸部18もカバーガラス16とガラス直接接合させることによって、マイクロレンズアレイ12及びカバーガラス16の接合強度を高めることができる。なお、反射防止膜14及びカバーガラス16の間の空間は、真空又は空気である。反射防止膜14及びカバーガラス16の間の空間が、真空又は空気であるので、マイクロレンズアレイ12におけるマイクロレンズの光学面の曲率半径を比較的大きくでき、マイクロレンズアレイ12の設計を容易にすることができる。
ランプなどの光源から放出される概略平行光は、カバーガラス16を通じてマイクロレンズアレイ12に入射する。マイクロレンズアレイ12に入射し、マイクロレンズアレイ12のマイクロレンズの中央部分に設けられた接合面を通過する光は、概略平行光として液晶相24に入射する。一方、マイクロレンズアレイ12に入射し、マイクロレンズアレイ12のマイクロレンズの周辺部分に設けられた球面の光学面を通過する光は、光学面によって屈折されて、収束光として液晶相24に入射する。ここで、マイクロレンズアレイ12の光学面に入射する光に関しては、光学面に設けられた反射防止膜によって、光学面による反射が、低減され、光学面に入射する光を、より高い効率で、液晶相24に向かって射出することができる。よって、光学素子に入射する光をより有効に利用することができる。
液晶相24に入射した光は、液晶分子26を照射し、液晶分子26の配向は、液晶駆動回路28によって制御される。そして、液晶駆動回路に印加する電圧を、所望の画像情報に従って制御することによって、液晶分子26を適切に配向させ、液晶相24を通過する光に所望の画像情報を付与ることができる。液晶相24を通過して液晶基板22の側から射出された画像情報が付与された光は、図示してないコリメーターレンズによってコリメートされて、平行光として図示してない投射レンズに入射する。そして、画像情報が付与された光が、投射レンズによってスクリーンに投射されることになる。
図2(a)〜(f)は、本発明の第一の実施態様である光学素子を製造する方法を説明する図である。具体的には、図1に示す光学素子の製造方法を説明する。
まず、図2(a)に示すように、平行平面板の形態を有する石英、ネオセラムなどの低膨張ガラスの光学ガラス材料32に、半導体用の感光性材料(フォトレジスト)34を塗布し、光学ガラス材料32の平行平面板に感光性材料34の層を形成する。次に、図1に示すマイクロレンズアレイ12の形状に対応して予め設計された濃度分布マスク36を、感光性材料34の層に対して位置決めする。なお、濃度分布マスクは、マイクロレンズアレイ12の形状に対応して適当な形状及び大きさの単位セルに隙間なく分割された露光領域を有する。また、濃度分布マスクの単位セル内の遮光パターンについては、単位セルの透過光量又は遮光量が、所望の感光性材料のパターンを実現することが可能である値に設定される。次に、感光性材料34が反応する光を、濃度分布マスク36を介して、光学ガラス材料32の平行平面板に感光性材料34の層に照射し、通常のフォトリソグラフィ工程によって、感光性材料34の層に現像及び硬化処理を施す。
その結果、図2(b)に示すように、光学ガラス材料32の平行平面板に、マイクロレンズアレイ12の形状に対応する形状を有する感光性材料34の層が形成される。ここで、マイクロレンズアレイ12の形状は、平面の接合面及び接合面の外周に球面の光学面を有する形状である。
次に、図2(c)に示すように、感光性材料34の層におけるマイクロレンズアレイ12の形状に対応する形状に従って、光学ガラス材料32の平行平面板をエッチングする。ここで、エッチングは、感光性材料34の層が設けられた光学ガラス材料32の平行平面板に対して、半導体ドライエッチング装置を使用して、光学ガラス材料32の平行平面板の表面に対して垂直な方向にエッチング種を衝突させて、感光性材料34の層及び光学ガラス材料32の平行平面板の両方をエッチングする。よって、感光性材料34の層の薄い部分に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分から、感光性材料34の層の厚い部分に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分へと、順次エッチングが行われる。ここで、図2(c)に示すように、マイクロレンズアレイ12の光学面に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分がエッチングされ、マイクロレンズアレイ12の接合面に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分が、エッチングされてない状態で、エッチングを終了する。すると、マイクロレンズアレイ12の光学面に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分は、エッチングによって球面形状であり、マイクロレンズアレイ12の接合面に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分は、エッチングされずに、平行平面板の表面の形状である平面形状のままである。このようにして、平面の接合面及び接合面の外周に球面の光学面を有する形状を備えた光学構成部品としての光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイを形成する。なお、(ドライ)エッチングにおいて、エッチングの選択比を変更すると、感光性材料の形状とは異なる形状(異なる高さ、球面又は非球面など)でエッチングを達成することができる。また、ドライエッチングを終了する時点を変更する、すなわちエッチング時間を変更すると、エッチングされる感光性材料の高さが変化すると同時に、光学ガラス材料32の平行平面板におけるエッチングされない平面部分の形状又は面積が変化する。例えば、エッチングされない平面部分の形状が円形である場合には、円形の直径が変化する。また、エッチングされない平面部分の形状が四角形である場合には、四角形の四辺の長さが変化する。
エッチングの具体的な方法としては、感光性材料34の層が設けられた光学ガラス材料32の平行平面板を5℃まで冷却して、CF、CHF、及びArの混合ガスによってエッチングを行う。ここで、例えば、CFガスの流量は、50sccmであり、CHFガスの流量は、10sccmであり、Arガスの流量は、5sccmであり、混合ガスの圧力は、25mTorrであり、バイアスは、450Wであり、上部電力は、2.0kWであり、エッチングレートは、5μm/分であり、加工時間は、4.5秒である。また、Cガスを用いる場合には、Cガスの流量は、100sccmであり、ガスの圧力は、20mTorrであり、バイアスは、5Wであり、上部電力は、1.8kWであり、加工時間は、3〜4分である。
次に、図2(d)に示すように、球面の光学面及び平面の接合面を備えた光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイ12の接合面に感光性材料34の層が残留している状態で、光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイ12の光学面及びマイクロレンズアレイ12の接合面に残留する感光性材料34の層の上に、薄膜形成工程で、反射防止膜38を成膜する。ここで、薄膜形成工程は、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反射防止膜38の材料を含む溶液をスピンコートによって塗布し、塗布された溶液を加熱することで、反射防止膜38を形成する方法のいずれであってもよい。ここでは、可視光の波長の光に対して反射を防止する反射防止膜38を形成する。
次に、図(e)に示すように、リフトオフ法によって、接合面に残留する感光性材料34の層が残留し、光学面及び感光性材料34の層の上に反射防止膜38が形成された光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイ12を、感光性材料34を溶解させることが可能な溶剤で処理して(必要に応じて、加熱及び超音波振動等を施し、)、光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイ12の接合面に残留する感光性材料34の層を除去する。これにより、光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイ12の接合面に残留する感光性材料34の層及び感光性材料34の層の上に設けられた反射防止膜38が除去される。よって、マイクロレンズアレイ12の光学面に反射防止膜38が設けられ、マイクロレンズアレイ12の接合面が光学ガラス材料32の平面である光学素子を得ることができる。
最後に、図(f)に示すように、光学ガラス23のマイクロレンズアレイ12の接合面と、同じ光学ガラス32のカバーガラス16をガラス直接接合で接合させる。まず、光学ガラス23のマイクロレンズアレイ12の接合面に、タンポ法によって、1%フッ酸を薄く塗布し、光学ガラス32のカバーガラス16を空気中で接触させる。次に、互いに接触させた光学ガラス23のマイクロレンズアレイ12の接合面及び光学ガラス32のカバーガラス16の対応する面に、約1.0MPaの圧力を加えると共に、60℃で1時間加熱する。その後、マイクロレンズアレイ12及びカバーガラス16を有機溶剤によって洗浄し、真空中で乾燥させる。このようにして、図1に示すような、カバーガラス16並びにカバーガラス16とガラス直接接合する平面の接合面、及び反射防止膜38が設けられた球面の光学面を有するマイクロレンズアレイ12を含む光学素子を得ることができる。
なお、光学素子におけるマイクロレンズアレイ12の領域の外部に、隔壁である凸部18を設けてもよく、凸部18は、カバーガラスと接合する平面を有することが好ましい。
図3は、本発明の第二の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスの例を説明する図である。図3に示すように、本発明の第二の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスは、光学構成部品としてのマイクロレンズアレイ12、マイクロレンズアレイ12に設けられた反射防止膜14、及び光学素子の基板としてのカバーガラス16からなる光学素子を含み、液晶基板22及び液晶基板22に設けられた液晶相24をさらに含み、液晶相24は、複数の液晶分子26を含み、薄膜とランジスタ及び配線を含む液晶駆動回路28が設けられている。なお、図示してないが、マイクロレンズアレイ12及び液晶相24の間にカバーガラス16と異なる別の基板を設けてもよい。
マイクロレンズアレイ12は、カバーガラス16と接合する実質的に平面である反射防止膜14の接合面に対応した平面の部分を有し、その平面の部分の周辺に球面の光学面を有する。そして、反射防止膜14は、マイクロレンズアレイ12のカバーガラス側の面に設けられている。マイクロレンズアレイ12に反射防止膜14が設けられているので、マイクロレンズアレイ12の反射防止膜14が設けられた面による光の反射を低減し、光学素子に入射する光をより有効に利用することができる。ここで、反射防止膜14及びカバーガラス16は、例えば、それぞれ、石英又はネオセラムなどの低膨張ガラスで作られており、反射防止膜14の接合面及びカバーガラス16の上記の接合面と対応する面は、互いに、ガラス直接接合で接合されている。反射防止膜14及びカバーガラス16が、ガラスと比較して大きい熱膨張係数を備えた樹脂の接着剤を用いることなく、ガラス直接接合されているので、温度変化に対する光学素子の耐久性又は耐熱性を向上させ、経時的に安定な光学素子を提供することができる。また、マイクロレンズアレイ12は、上記の接合面とは異なる、カバーガラス16と接合する面を有する反射防止膜14が設けられた凸部18を有する。マイクロレンズアレイ12の凸部18に設けられた反射防止膜14もカバーガラス16とガラス直接接合させることによって、反射防止膜14及びカバーガラス16の接合強度を高めることができる。なお、反射防止膜14及びカバーガラス16の間の空間は、真空又は空気である。反射防止膜14及びカバーガラス16の間の空間が、真空又は空気であるので、マイクロレンズアレイ12におけるマイクロレンズの光学面の曲率半径を比較的大きくでき、マイクロレンズアレイ12の設計を容易にすることができる。
ランプなどの光源から放出される概略平行光は、カバーガラス16を通じてマイクロレンズアレイ12に入射する。マイクロレンズアレイ12に入射し、マイクロレンズアレイ12のマイクロレンズの中央部分に設けられた接合面を通過する光は、概略平行光として液晶相24に入射する。一方、マイクロレンズアレイ12に入射し、マイクロレンズアレイ12のマイクロレンズの周辺部分に設けられた球面の光学面を通過する光は、光学面によって屈折されて、収束光として液晶相24に入射する。ここで、マイクロレンズアレイ12に入射する光は、マイクロレンズアレイ12に設けられた反射防止膜によって、マイクロレンズアレイ12の面による反射が、低減され、マイクロレンズアレイ12の面に入射する光を、より高い効率で、液晶相24に向かって射出することができる。よって、光学素子に入射する光をより有効に利用することができる。
液晶相24に入射した光は、液晶分子26を照射し、液晶分子26の配向は、液晶駆動回路28によって制御される。そして、液晶駆動回路に印加する電圧を、所望の画像情報に従って制御することによって、液晶分子26を適切に配向させ、液晶相24を通過する光に所望の画像情報を付与ることができる。液晶相24を通過して液晶基板22の側から射出された画像情報が付与された光は、図示してないコリメーターレンズによってコリメートされて、平行光として図示してない投射レンズに入射する。そして、画像情報が付与された光が、投射レンズによってスクリーンに投射されることになる。
図4(a)〜(f)は、本発明の第二の実施態様である光学素子を製造する方法を説明する図である。具体的には、図3に示す光学素子の製造方法を説明する。
まず、図4(a)に示すように、平行平面板の形態を有する石英、ネオセラムなどの低膨張ガラスの光学ガラス材料32に、半導体用の感光性材料(フォトレジスト)34を塗布し、光学ガラス材料32の平行平面板に感光性材料34の層を形成する。次に、図3に示すマイクロレンズアレイ12の形状に対応して予め設計された濃度分布マスク36を、感光性材料34の層に対して位置決めする。なお、濃度分布マスクは、マイクロレンズアレイ12の形状に対応して適当な形状及び大きさの単位セルに隙間なく分割された露光領域を有する。また、濃度分布マスクの単位セル内の遮光パターンについては、単位セルの透過光量又は遮光量が、所望の感光性材料のパターンを実現することが可能である値に設定される。次に、感光性材料34が反応する光を、濃度分布マスク36を介して、光学ガラス材料32の平行平面板に感光性材料34の層に照射し、通常のフォトリソグラフィ工程によって、感光性材料34の層に現像及び硬化処理を施す。
その結果、図4(b)に示すように、光学ガラス材料32の平行平面板に、マイクロレンズアレイ12の形状に対応する形状を有する感光性材料34の層が形成される。ここで、マイクロレンズアレイ12の形状は、平面の接合面及び接合面の外周に球面の光学面を有する形状である。
次に、図4(c)に示すように、感光性材料34の層におけるマイクロレンズアレイ12の形状に対応する形状に従って、光学ガラス材料32の平行平面板をエッチングする。ここで、エッチングは、感光性材料34の層が設けられた光学ガラス材料32の平行平面板に対して、半導体ドライエッチング装置を使用して、光学ガラス材料32の平行平面板の表面に対して垂直な方向にエッチング種を衝突させて、感光性材料34の層及び光学ガラス材料32の平行平面板の両方をエッチングする。よって、感光性材料34の層の薄い部分に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分から、感光性材料34の層の厚い部分に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分へと、順次エッチングが行われる。ここで、図4(c)に示すように、マイクロレンズアレイ12の光学面に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分がエッチングされ、マイクロレンズアレイ12に設けられる反射防止膜38の接合面に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分が、エッチングされてない状態で、エッチングを終了する。すると、マイクロレンズアレイ12の光学面に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分は、エッチングによって球面形状であり、マイクロレンズアレイ12に設けられる反射防止膜38の接合面に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分は、エッチングされずに、平行平面板の表面の形状である平面形状のままである。このようにして、反射防止膜38の平面の接合面に対応する平面及びその平面の外周に球面の光学面を有する形状を備えた光学構成部品としての光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイを形成する。なお、(ドライ)エッチングにおいて、エッチングの選択比を変更すると、感光性材料の形状とは異なる形状(異なる高さ、球面又は非球面など)でエッチングを達成することができる。また、ドライエッチングを終了する時点を変更する、すなわちエッチング時間を変更すると、エッチングされる感光性材料の高さが変化すると同時に、光学ガラス材料32の平行平面板におけるエッチングされない平面部分の形状又は面積が変化する。例えば、エッチングされない平面部分の形状が円形である場合には、円形の直径が変化する。また、エッチングされない平面部分の形状が四角形である場合には、四角形の四辺の長さが変化する。
エッチングの具体的な方法としては、感光性材料34の層が設けられた光学ガラス材料32の平行平面板を5℃まで冷却して、CF、CHF、及びArの混合ガスによってエッチングを行う。ここで、例えば、CFガスの流量は、50sccmであり、CHFガスの流量は、10sccmであり、Arガスの流量は、5sccmであり、混合ガスの圧力は、25mTorrであり、バイアスは、450Wであり、上部電力は、2.0kWであり、エッチングレートは、5μm/分であり、加工時間は、4.5秒である。また、Cガスを用いる場合には、Cガスの流量は、100sccmであり、ガスの圧力は、20mTorrであり、バイアスは、5Wであり、上部電力は、1.8kWであり、加工時間は、3〜4分である。
次に、図4(d)に示すように、光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイ12に残留する感光性材料34の層を、洗浄処理又はドライアッシングなどの除去処理によって、除去する。その結果、反射防止膜38の接合面に対応する平面の部分及びその平面の部分の外周に形成された球面の光学面を有する光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイ12を得ることができる。
次に、図4(e)に示すように、反射防止膜38の接合面に対応する平面の部分及びその平面の部分の外周に形成された球面の光学面を有する光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイ12に、薄膜形成工程で、反射防止膜38を成膜する。ここで、薄膜形成工程は、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反射防止膜38の材料を含む溶液をスピンコートによって塗布し、塗布された溶液を加熱することで、反射防止膜38を形成する方法のいずれであってもよい。ここでは、可視光の波長の光に対して反射を防止する反射防止膜38を形成する。なお、反射防止膜38におけるカバーガラス16に接触する膜は、反射防止膜38及び過バーガラス16をガラス直接接合させるために、光学ガラス材料32と同様の二酸化ケイ素SiOを含む。よって、マイクロレンズアレイ12に反射防止膜38が設けられ、反射防止膜の接合面が光学ガラス材料32の平面である光学素子を得ることができる。
最後に、図(f)に示すように、マイクロレンズアレイ12に設けられた光学ガラス23の反射防止膜38の接合面と、同じ光学ガラス32のカバーガラス16をガラス直接接合で接合させる。まず、マイクロレンズアレイ12に設けられた反射防止膜38の接合面に、タンポ法又はスピンナー法によって、1%フッ酸を薄く塗布し、光学ガラス32のカバーガラス16を空気中で接触させる。次に、互いに接触させたマイクロレンズアレイ12に設けられた光学ガラス23の反射防止膜38の接合面及び光学ガラス32のカバーガラス16の対応する面に、約1.0MPaの圧力を加えると共に、60℃で1時間加熱する。その後、マイクロレンズアレイ12及びカバーガラス16を有機溶剤によって洗浄し、真空中で乾燥させる。このようにして、図3に示すような、カバーガラス16、球面の光学面を有するマイクロレンズアレイ12、及びマイクロレンズアレイ12に設けられた反射防止膜38を含み、反射防止膜38が、カバーガラス16とガラス直接接合する平面の接合面を有する光学素子を得ることができる。
なお、光学素子におけるマイクロレンズアレイ12の領域の外部に、隔壁である凸部18を設けてもよく、凸部18に設けられる反射防止膜38は、カバーガラス16と接合する平面を有することが好ましい。
図5は、本発明の第三の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスの一つの例を説明する図である。図5に示すように、本発明の第三の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスは、光学素子用基板42及び複数の光学構成要素としての複数のマイクロレンズ44からなる光学素子(マイクロレンズアレイ)を含み、液晶基板22及び液晶基板22に設けられた液晶相24をさらに含み、液晶相24は、複数の液晶分子26を含み、薄膜とランジスタ及び配線を含む液晶駆動回路28が設けられている。なお、図示してないが、複数のマイクロレンズ44を保護するカバーガラスを設けてもよい。
複数の第一の屈折面を有する複数の光学構成要素としてのマイクロレンズ44を含む光学素子(マイクロレンズアレイ)において、マイクロレンズ44は、第一の屈折面に対応する第二の屈折面をさらに含み、第一の屈折面は、第一の屈折面に対応する第二の屈折面の屈折力の符号と反対の符号の屈折力を有する。また、第一の屈折面の屈折力の絶対値は、第二の屈折面の屈折力の絶対値と実質的に等しい。より詳しくは、マイクロレンズ44は、凸面が光源側に向き、凹面が液晶相側に向く凹メニスカスレンズである。すなわち、マイクロレンズ44の第一の屈折面は、凸面であり、第二の屈折面は、凹面であり、凸面の屈折力及び凹面の屈折力の絶対値は、実質的に同一であり、凸面の屈折力及び凹面の屈折力の符号は、反対である。すなわち、マイクロレンズ44は、アフォーカル光学系である。なお、マイクロレンズ44の凸面の曲率半径は、マイクロレンズ44の凹面の曲率半径よりも大きい。マイクロレンズ44の凸面の屈折力及び凹面の屈折力の絶対値は、実質的に同一であり、凸面の屈折力及び凹面の屈折力の符号は、反対であるため、マイクロレンズ44に入射する平行光は、平行光としてマイクロレンズ44から射出される。
図5において、実線の矢印は、マイクロレンズ44の光軸に平行に入射する平行光を表し、破線の矢印は、マイクロレンズ44の光軸に対して斜めに入射する平行光を表す。図5に示すように、マイクロレンズ44に、ランプのような光源から放出される概略平行光を入射させる場合には、液晶デバイスの液晶駆動回路に光が当たらないように、光学構成要素としてのマイクロレンズ44における第一の屈折面(凸面)による正の屈折力によって、マイクロレンズ44に入射した概略平行光を収束させると共に、液晶デバイスの液晶相の特定部分に光が集中しないように、及び、液晶デバイスから射出される光の射出角が小さくするように、マイクロレンズ44における第二の屈折面(凹面)による負の屈折力によって、マイクロレンズ44から概略平行光を液晶デバイスの液晶相へ向かって射出することができる。すなわち、液晶デバイスの液晶相の特定部分に光が集中しないため、液晶デバイスにおける液晶相の劣化を大幅に低減し、液晶デバイスの寿命を従来の液晶デバイスよりも大幅に長くすることができる。また、マイクロレンズ44の光軸に平行に入射する平行光及びマイクロレンズ44の光軸に対して斜めに入射する平行光の両方に関して、液晶デバイスから射出される光は、概略平行光であり、光の射出角が小さい。よって、隣接するマイクロレンズを透過すると共に液晶相を通過した光が、互いに混合することを大幅に低減することができ、液晶デバイスから射出される画像情報を備えた光の混色、輝度の不均一性、コントラストの低下を大幅に低減することができる。よって、光学素子に入射する光をより有効に利用することができる。さらに、液晶デバイスから射出される概略平行光をさらにコリメートするためのコリメートレンズの設計を大いに容易にすることができる。
また、光学素子用基板42及び光学構成要素としてのマイクロレンズ44は、例えば、それぞれ、石英又はネオセラムなどの低膨張ガラスで作られており、マイクロレンズ44は、光学素子用基板42とガラス直接接合する接合面を有する。光学素子用基板42及びマイクロレンズ44が、ガラスと比較して大きい熱膨張係数を備えた樹脂の接着剤を用いることなく、ガラス直接接合されているので、温度変化に対する光学素子の耐久性又は耐熱性を向上させ、経時的に安定な光学素子を提供することができる。なお、光学構成要素としてのマイクロレンズ44に反射防止膜を設けてもよい。また、光学素子用基板42及び光学構成要素としてのマイクロレンズ44の間における空間46は、真空又は空気である。光学素子用基板42及び光学構成要素としてのマイクロレンズ44の間における空間46が、真空又は空気であるので、マイクロレンズ44における第一及び第二の屈折面(凸面及び凹面)の曲率半径を比較的大きくでき、マイクロレンズアレイ44の設計を容易にすることができる。
液晶相24に入射した光は、液晶分子26を照射し、液晶分子26の配向は、液晶駆動回路28によって制御される。そして、液晶駆動回路に印加する電圧を、所望の画像情報に従って制御することによって、液晶分子26を適切に配向させ、液晶相24を通過する光に所望の画像情報を付与ることができる。液晶相24を通過して液晶基板22の側から射出された画像情報が付与された光は、図示してないコリメーターレンズによってコリメートされて、平行光として図示してない投射レンズに入射する。そして、画像情報が付与された光が、投射レンズによってスクリーンに投射されることになる。
図6は、本発明の第三の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスの別の例を説明する図である。図6に示す液晶デバイスの光学素子については、図5に示した液晶デバイスの光学素子における、光学構成要素としてのマイクロレンズの第一の屈折面(凸面)及び第二の屈折面(凹面)が、それぞれ、第三の面としての実質的な平面及び第四の面としての実質的な平面を含む。すなわち、マイクロレンズ44の凸面の中央部分及び凹面の中央部分の両方に平面が設けられている。よって、図6に示すように、実線の矢印で表されるマイクロレンズ44の凸面の球面部分を通過する平行光は、マイクロレンズ44の凸面の球面部分における正の屈折力によって収束し、マイクロレンズ44の凹面の球面部分における負の屈折力によって発散して、平行光として液晶相24へ向かって放出される。また、破線の矢印で表されるマイクロレンズ44の凸面及び凹面の平面部分を通過する平行光は、マイクロレンズ44の面によって屈折されず、そのまま平行光としてマイクロレンズ44を通過する。
図7(a)〜(f)は、本発明の第三の実施態様である光学素子を製造する方法の一例を説明する図である。より詳しくは、図7(a)〜(f)は、図5に示す本発明の第三の実施態様である光学素子を製造する方法を説明する。
まず、図7(a)に示すように、平行平面板の形態を有する石英、ネオセラムなどの低膨張ガラスの光学ガラス材料32に、半導体用の感光性材料(フォトレジスト)34を塗布し、光学ガラス材料32の平行平面板に感光性材料34の層を形成する。次に、図5に示す複数のマイクロレンズ44における第一の屈折面(凸面)の形状に対応して予め設計された濃度分布マスク36を、感光性材料34の層に対して位置決めする。なお、濃度分布マスクは、複数のマイクロレンズ44における第一の屈折面(凸面)の形状に対応して適当な形状及び大きさの単位セルに隙間なく分割された露光領域を有する。また、濃度分布マスクの単位セル内の遮光パターンについては、単位セルの透過光量又は遮光量が、所望の感光性材料のパターンを実現することが可能である値に設定される。次に、感光性材料34が反応する光を、濃度分布マスク36を介して、光学ガラス材料32の平行平面板に感光性材料34の層に照射し、通常のフォトリソグラフィ工程によって、感光性材料34の層に現像及び硬化処理を施す。
その結果、図7(b)に示すように、光学ガラス材料32の平行平面板に、複数のマイクロレンズ44における第一の屈折面(凸面)の形状に対応する形状を有する感光性材料34の層が形成される。
次に、図7(c)に示すように、感光性材料34の層における複数のマイクロレンズ44における第一の屈折面(凸面)の形状に対応する形状に従って、光学ガラス材料32の平行平面板をエッチングする。ここで、エッチングは、感光性材料34の層が設けられた光学ガラス材料32の平行平面板に対して、半導体ドライエッチング装置を使用して、光学ガラス材料32の平行平面板の表面に対して垂直な方向にエッチング種を衝突させて、感光性材料34の層及び光学ガラス材料32の平行平面板の両方をエッチングする。よって、感光性材料34の層の薄い部分に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分から、感光性材料34の層の厚い部分に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分へと、順次エッチングが行われる。このようにして、複数のマイクロレンズ44における第一の屈折面(凸面)の形状を備えた光学構成部品としての光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイを形成する。
なお、(ドライ)エッチングにおいて、エッチングの選択比を変更すると、感光性材料の形状とは異なる形状(異なる高さ、球面又は非球面など)でエッチングを達成することができる。また、ドライエッチングを終了する時点を変更する、すなわちエッチング時間を変更すると、エッチングされる感光性材料の高さが変化する。
エッチングの具体的な方法としては、感光性材料34の層が設けられた光学ガラス材料32の平行平面板を5℃まで冷却して、CF、CHF、及びArの混合ガスによってエッチングを行う。ここで、例えば、CFガスの流量は、50sccmであり、CHFガスの流量は、10sccmであり、Arガスの流量は、5sccmであり、混合ガスの圧力は、25mTorrであり、バイアスは、450Wであり、上部電力は、2.0kWであり、エッチングレートは、5μm/分であり、加工時間は、4.5秒である。また、Cガスを用いる場合には、Cガスの流量は、100sccmであり、ガスの圧力は、20mTorrであり、バイアスは、5Wであり、上部電力は、1.8kWであり、加工時間は、3〜4分である。
次に、図7(d)に示すように、複数のマイクロレンズ44における第一の屈折面(凸面)が形成された光学ガラス材料32の第一の屈折面(凸面)が形成された面と反対側の面に、半導体用の感光性材料(フォトレジスト)34を塗布し、光学ガラス材料32の平行平面板に感光性材料34の層を形成する。次に、図5に示す複数のマイクロレンズ44における第二の屈折面(凹面)の形状に対応して予め設計された濃度分布マスク36を、感光性材料34の層に対して位置決めする。なお、濃度分布マスクは、複数のマイクロレンズ44における第二の屈折面(凹面)の形状に対応して適当な形状及び大きさの単位セルに隙間なく分割された露光領域を有する。また、濃度分布マスクの単位セル内の遮光パターンについては、単位セルの透過光量又は遮光量が、所望の感光性材料のパターンを実現することが可能である値に設定される。次に、感光性材料34が反応する光を、濃度分布マスク36を介して、光学ガラス材料32の平行平面板に感光性材料34の層に照射し、通常のフォトリソグラフィ工程によって、感光性材料34の層に現像及び硬化処理を施す。
その結果、図7(e)に示すように、光学ガラス材料32の平行平面板に、複数のマイクロレンズ44における第二の屈折面(凹面)の形状に対応する形状を有する感光性材料34の層が形成される。
次に、図7(f)に示すように、感光性材料34の層における複数のマイクロレンズ44における第二の屈折面(凹面)の形状に対応する形状に従って、光学ガラス材料32の平行平面板をエッチングする。ここで、エッチングは、感光性材料34の層が設けられた光学ガラス材料32の平行平面板に対して、半導体ドライエッチング装置を使用して、光学ガラス材料32の平行平面板の表面に対して垂直な方向にエッチング種を衝突させて、感光性材料34の層及び光学ガラス材料32の平行平面板の両方をエッチングする。よって、感光性材料34の層の薄い部分に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分から、感光性材料34の層の厚い部分に対応する光学ガラス材料32の平行平面板の部分へと、順次エッチングが行われる。このようにして、複数のマイクロレンズ44における第二の屈折面(凹面)の形状を備えた光学構成部品としての光学ガラス材料32のマイクロレンズアレイを形成する。
このようにして、図5に示すような第一の屈折面(凸面)及び第二の屈折面(凹面)を有する光学構成要素としての複数のマイクロレンズ44を含む光学素子を形成することができる。
なお、複数のマイクロレンズ44の第一の屈折面(凸面)及び/又は第二の屈折面(凹面)に、必要に応じて、薄膜形成工程で、(可視光の波長の光に対して反射を防止する)反射防止膜を設けてもよい。ここで、薄膜形成工程は、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反射防止膜38の材料を含む溶液をスピンコートによって塗布し、塗布された溶液を加熱することで、反射防止膜38を形成する方法のいずれであってもよい。
さらに、第一の屈折面(凸面)及び第二の屈折面(凹面)を有する複数のマイクロレンズ44からなるマイクロレンズアレイを、光学ガラス23の光学素子用基板42とガラス直接接合で接合させてもよい。ガラス直接接合は、第一の屈折面(凸面)及び第二の屈折面(凹面)を有する複数のマイクロレンズ44からなるマイクロレンズアレイの接合面に、タンポ法又はスピンナー法によって、1%フッ酸を薄く塗布し、光学ガラス32の光学素子用基板42を空気中で接触させる。次に、互いに接触させたマイクロレンズアレイの接合面及び光学ガラス32の光学素子用基板42の対応する面に、約1.0MPaの圧力を加えると共に、60℃で1時間加熱する。その後、マイクロレンズアレイ及び光学素子用基板42を有機溶剤によって洗浄し、真空中で乾燥させる。このようにして、図5に示すような、第一の屈折面(凸面)及び第二の屈折面(凹面)を有する光学構成要素としての複数のマイクロレレンズ44を含む光学素子を得ることができる。
なお、図6に示す本発明の第三の実施態様である光学素子を製造する方法については、図5に示す本発明の第三の実施態様である光学素子を製造する方法を用いると共に、図2又は図4を用いて説明した本発明の第一の実施態様である光学素子を製造する方法におけるマイクロレンズアレイの接合面を形成する方法を用いて、マイクロレンズ44の凸面及び凹面の中央部分に平面を形成することができる。
実質的に平面である接合面及び曲面(非球面)である光学面を有するマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイであって、光学面に反射防止膜が設けられ、接合面には反射防止膜が設けられないマイクロレンズアレイを製作した。
まず、550nmの波長に対して1.42の屈折率を備えた石英の平行平面板に感光性材料(フォトレジスト)であるOFPR−800(東京応化製)を塗布し、石英の平行平面板に感光性材料の層を形成した。次に、マイクロレンズアレイの形状に対応して設計した濃度分布マスクを介して、紫外光を、感光性材料の層に照射し、通常のフォトリソグラフィ工程によって、感光性材料の層に現像及び硬化処理を施した。その結果、石英の平行平面板に、マイクロレンズアレイの形状を有する感光性材料の層が形成された。
次に、感光性材料の層におけるマイクロレンズアレイの形状に従って、半導体ドライエッチング装置を使用して、感光性材料の層及び石英の平行平面板をドライエッチングした。ここで、マイクロレンズアレイの光学面に対応する石英の平行平面板の部分がエッチングされ、マイクロレンズアレイの接合面に対応する石英の平行平面板の部分が、エッチングされてない状態で、エッチングを停止させた。このようにして、実質的に平面である接合面及び曲面(非球面)である光学面を有する石英のマイクロレンズアレイを形成した。
エッチングの具体的な方法としては、感光性材料の層が設けられた石英の平行平面板を−20℃まで冷却して、CF、CHF、及びArの混合ガスによってエッチングを行った。ここで、CFガスの流量は、50sccmであり、CHFガスの流量は、10sccmであり、Arガスの流量は、5sccmであり、混合ガスの圧力は、45mTorrであり、バイアスは、450Wであり、上部電力は、2.0kWであり、エッチングレートは、0.6μm/分であり、加工時間は、11分であった。
なお、得られた石英のマイクロレンズアレイについては、マイクロレンズの光学面は、z(h)=(h/R)/(1+(1−(1+κ)(h/R)1/2)+A+A+…+Aによって表される回転対称非球面(ここで、hは、レンズの光軸からの高さであり、z(h)は、高さhにおける、レンズの光軸とレンズの光学面との仮想的な交点を含むと共にレンズの光軸に垂直である平面からの距離であり、Rは、レンズの光学面の曲率半径であり、κは、レンズの光学面の円錐係数であり、Aは、レンズの光学面のk次の非球面係数であり、kは、4以上の偶数である。)であり、本実施例では、光学面の曲率半径Rは、7.25×10−3mmであり、光学面の円錐係数κは、−7.76×10−1であり、光学面の4次の非球面係数Aは、−2.01×10mm−3であり、光学面の6次の非球面係数Aは、1.26×10mm−5であり、光学面の8次以上の非球面係数は、0である。また、マイクロレンズの光学面の直径は、15.5μmであり、マイクロレンズの接合面の直径は、4.2μmであり、マイクロレンズの高さは、6.5μmであった。また、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズのピッチは、15.5μmであった。
次に、実質的に平面である接合面及び曲面(非球面)である光学面を有する石英のマイクロレンズアレイの接合面に感光性材料の層が残留している状態で、石英のマイクロレンズアレイの光学面及びマイクロレンズアレイの接合面に残留する感光性材料の層の上に、真空蒸着法を用いて、可視光の波長の光に対して反射を防止する反射防止膜を成膜させた。
成膜した反射防止膜は、四つの層からなる。λ=550nmとすると、マイクロレンズの側から、第一の層は、1.450の屈折率及びλ/4の厚さを有するSiOの層であり、第二の層は、1.630の屈折率及びλ/4の厚さを有するアルミナ(Al)の層であり、第三の層は、2.300の屈折率及びλ/2の厚さを有する酸化チタン(TiO)の層であり、第四の層は、1.450の屈折率及びλ/4の厚さを有するSiOの層であった。図8は、本実施例において成膜した反射防止膜の反射特性を説明する図であり、(a)は、350nmから850nmまでの波長に対する反射率/透過率を示す図であり、(b)は、350nmから850nmまでの波長に対する反射率の詳細図である。図8において、曲線Rは、反射率を示し、曲線Tは、透過率を示す。図8(a)及び(b)に示すように、本実施例で成膜した反射防止膜は、400nmから680nmまでの波長の光に対して、0.5%以下の反射率を示し、99.5%以上の透過率を示す。なお、反射防止膜に対する光の入射角は、0°である。
次に、リフトオフ法によって、接合面に残留する感光性材料の層が残留し、光学面及び感光性材料の層の上に反射防止膜が形成された石英のマイクロレンズアレイを、感光性材料を溶解させることが可能な剥離液105(東京応化製)で処理して、石英のマイクロレンズアレイの接合面に残留する感光性材料の層を除去した。
このようにして、実質的に平面である接合面及び曲面(非球面)である光学面を有するマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイであって、光学面に反射防止膜が設けられ、接合面には反射防止膜が設けられないマイクロレンズアレイを得た。なお、得られたマイクロレンズアレイの基板の厚さは、300μmであった。
最後に、石英のマイクロレンズアレイの接合面と、1000μmの厚さを備えた石英のカバーガラスをガラス直接接合で接合させた。すなわち、石英のマイクロレンズアレイの接合面に、タンポ法によって、1%フッ酸を薄く塗布し、石英のカバーガラスを空気中で接触させ、次に、互いに接触させた石英のマイクロレンズアレイの接合面及び石英のカバーガラスの対応する面に、約1.0MPaの圧力を加えると共に、60℃で1時間加熱した。その後、マイクロレンズアレイ及びカバーガラスをアセトンによって洗浄し、真空中で乾燥させた。
このようにして、カバーガラス並びにカバーガラスとガラス直接接合する平面の接合面、及び反射防止膜が設けられた非球面の光学面を有するマイクロレンズアレイを含む光学素子を得ることができた。
本実施例で得られた光学素子を0.8インチ液晶プロジェクタ用パネルに取り付けた液晶デバイスの光学特性をシミュレーションした。ここで、0.8インチ液晶プロジェクタ用パネルは、液晶駆動回路であると共に四角形の開口を有するブラックマトリックスを有する。ブラックマトリックスの開口の寸法は、15.0×15.0μmとした。また、本実施例で得られた光学素子に入射する光の(カバーガラスに対する)入射角に対する強度分布は、約±7°の入射角で最大の強度を有すると共に約±20°の入射角でゼロの強度を有するようなM型の分布である。
本実施例で得られた光学素子を透過した光は、全てブラックマトリックスの開口を通過した。
本実施例で得られた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率を、比較例の光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率と比較した。比較例の光学素子は、ネオセラム(日本電気ガラス社製)のマイクロレンズアレイ(基板の厚さ:50μm)及びネオセラムのカバーガラス(厚さ:1050μm)を含み、マイクロレンズアレイ及びカバーガラスは、接着剤の層(屈折率1.45:厚さ2.5μm)で接合される。マイクロレンズアレイのマイクロレンズは、上記の式で表される回転対称非球面であり、非球面の曲率半径Rは、6.5μmであり、非球面の円錐係数κは、−5.26であり、光学面の4次の非球面係数Aは、6.30×10mm−3であり、光学面の6次の非球面係数Aは、−3.99×10mm−5であり、光学面の8次以上の非球面係数は、0である。また、マイクロレンズの高さは、7.0μmであり、マイクロレンズの直径及びピッチは、14.0μmであった。また、比較例の光学素子を、0.7インチ液晶プロジェクタ用パネルに取り付けた。0.7インチ液晶プロジェクタ用パネルのブラックマトリックスの開口の寸法は、13.5×13.5μmとした。
結果として、比較例の光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率を100%とすると、本実施例で得られた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率は、102%であり、本実施例で得られた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率は、比較例の光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率よりも高かった。なお、上記の比較例の光学素子において、マイクロレンズアレイ及びカバーガラスをガラス直接接合で接合させた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率は、98%であった。
実質的な平面及びその外周に設けられた曲面(非球面)である光学面を有するマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイであって、実質的な平面及び光学面の全体に反射防止膜が設けられたマイクロレンズアレイを製作した。
まず、550nmの波長に対して1.5417の屈折率を備えたネオセラム(日本電気ガラス社製)の平行平面板に感光性材料(フォトレジスト)であるOFPR−800(東京応化製)を塗布し、ネオセラムの平行平面板に感光性材料の層を形成した。次に、マイクロレンズアレイの形状に対応して設計した濃度分布マスクを介して、紫外光を、感光性材料の層に照射し、通常のフォトリソグラフィ工程によって、感光性材料の層に現像及び硬化処理を施した。その結果、ネオセラムの平行平面板に、マイクロレンズアレイの形状を有する感光性材料の層が形成された。
次に、感光性材料の層におけるマイクロレンズアレイの形状に従って、半導体ドライエッチング装置を使用して、感光性材料の層及びネオセラムの平行平面板をドライエッチングした。ここで、マイクロレンズアレイの光学面に対応する石英の平行平面板の部分がエッチングされ、マイクロレンズアレイの接合面に対応する石英の平行平面板の部分が、エッチングされてない状態で、エッチングを停止させた。このようにして、実質的な平面及びその外周に設けられた曲面(非球面)である光学面を有するネオセラムのマイクロレンズアレイを形成した。
エッチングの具体的な方法としては、感光性材料の層が設けられたネオセラムの平行平面板を−20℃まで冷却して、CF、CHF、及びArの混合ガスによってエッチングを行った。ここで、CFガスの流量は、50sccmであり、CHFガスの流量は、10sccmであり、Arガスの流量は、5sccmであり、混合ガスの圧力は、45mTorrであり、バイアスは、450Wであり、上部電力は、2.0kWであり、エッチングレートは、0.6μm/分であり、加工時間は、11分であった。
なお、得られたネオセラムのマイクロレンズアレイについては、マイクロレンズの光学面は、z(h)=(h/R)/(1+(1−(1+κ)(h/R)1/2)+A+A+…+Aによって表される回転対称非球面(ここで、hは、レンズの光軸からの高さであり、z(h)は、高さhにおける、レンズの光軸とレンズの光学面との仮想的な交点を含むと共にレンズの光軸に垂直である平面からの距離であり、Rは、レンズの光学面の曲率半径であり、κは、レンズの光学面の円錐係数であり、Aは、レンズの光学面のk次の非球面係数であり、kは、4以上の偶数である。)であり、本実施例では、光学面の曲率半径Rは、5.9×10−3mmであり、光学面の円錐係数κは、−2.92であり、光学面の4次の非球面係数Aは、8.66×10mm−3であり、光学面の6次の非球面係数Aは、−5.93×10mm−5であり、光学面の8次以上の非球面係数は、0である。また、マイクロレンズの光学面の直径は、14.0μmであり、マイクロレンズの接合面の直径は、3.8μmであり、マイクロレンズの高さは、6.8μmであった。また、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズのピッチは、14.0μmであった。
次に、実質的な平面及びその外周に設けられた曲面(非球面)である光学面を有するネオセラムのマイクロレンズアレイに残留する感光性材料の層を、剥離液105(東京応化製)による処理によって、除去した。
次に、実質的な平面及びその外周に設けられた曲面(非球面)である光学面を有するネオセラムのマイクロレンズアレイの実質的な平面及び曲面(非球面)である光学面の全体にわたって、真空蒸着法を用いて、可視光の波長の光に対して反射を防止する反射防止膜を成膜させた。
成膜した反射防止膜は、四つの層からなる。λ=550nmとすると、マイクロレンズの側から、第一の層は、1.450の屈折率及びλ/4の厚さを有するSiOの層であり、第二の層は、1.630の屈折率及びλ/4の厚さを有するアルミナ(Al)の層であり、第三の層は、2.300の屈折率及びλ/2の厚さを有する酸化チタン(TiO)の層であり、第四の層は、1.450の屈折率及びλ/4の厚さを有するSiOの層であった。図9は、本実施例において成膜した反射防止膜の反射特性を説明する図であり、(a)は、350nmから850nmまでの波長に対する反射率/透過率を示す図であり、(b)は、350nmから850nmまでの波長に対する反射率の詳細図である。図9において、曲線Rは、反射率を示し、曲線Tは、透過率を示す。図9(a)及び(b)に示すように、本実施例で成膜した反射防止膜は、400nmから680nmまでの波長の光に対して、0.5%以下の反射率を示し、99.5%以上の透過率を示す。なお、反射防止膜に対する光の入射角は、0°である。なお、本実施例で得られたマイクロレンズアレイは、500nmの波長を有する光に対する反射率に関して、わずかに、実施例1で得られたマイクロレンズアレイと異なっている。
このようにして、実質的な平面及びその外周に設けられた曲面(非球面)である光学面を有するマイクロレンズからなるマイクロレンズアレイであって、実質的な平面及び光学面の全体に反射防止膜が設けられたマイクロレンズアレイを得た。なお、得られたマイクロレンズアレイの基板の厚さは、300μmであった。ここで、マイクロレンズアレイの実質的な平面に設けられた反射防止膜は、実質的に平面である接合面である。
次に、ネオセラムのカバーガラスに、マイクロレンズアレイに設けた反射防止膜と同じ反射防止膜を成膜させた。
最後に、ネオセラムのマイクロレンズアレイに設けられた反射防止膜の接合面と、1000μmの厚さを備えたネオセラムのカバーガラスをガラス直接接合で接合させた。すなわち、ネオセラムのマイクロレンズアレイに設けられた反射防止膜の接合面に、タンポ法によって、1%フッ酸を薄く塗布し、ネオセラムのカバーガラスを空気中で接触させ、次に、互いに接触させたネオセラムのマイクロレンズアレイに設けられた反射防止膜の接合面及びネオデラムのカバーガラスの対応する面に、約1.0MPaの圧力を加えると共に、60℃で1時間加熱した。その後、マイクロレンズアレイ及びカバーガラスをアセトンによって洗浄し、真空中で乾燥させた。なお、マイクロレンズアレイに設けられた反射防止膜の接合面を有する膜とカバーガラスに設けられた反射防止膜の接合面を有する膜は、SiOからなるため、マイクロレンズアレイに設けられた反射防止膜は、カバーガラスに設けられた反射防止膜とガラス直接接合することができる。
このようにして、カバーガラス、光学面を有するマイクロレンズアレイ、及びマイクロレンズアレイに設けられると共にカバーガラスとガラス直接接合する接合面を有する反射防止膜を含む光学素子を得ることができた。
本実施例で得られた光学素子を0.7インチ液晶プロジェクタ用パネルに取り付けた液晶デバイスの光学特性をシミュレーションした。ここで、0.8インチ液晶プロジェクタ用パネルは、液晶駆動回路であると共に四角形の開口を有するブラックマトリックスを有する。ブラックマトリックスの開口の寸法は、13.5×13.5μmとした。また、本実施例で得られた光学素子に入射する光の(カバーガラスに対する)入射角に対する強度分布は、約±7°の入射角で最大の強度を有すると共に約±20°の入射角でゼロの強度を有するようなM型の分布である。
本実施例で得られた光学素子を透過した光は、全てブラックマトリックスの開口を通過した。
本実施例で得られた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率を、比較例の光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率と比較した。比較例の光学素子は、ネオセラム(日本電気ガラス社製)のマイクロレンズアレイ(基板の厚さ:50μm)及びネオセラムのカバーガラス(厚さ:1050μm)を含み、マイクロレンズアレイ及びカバーガラスは、接着剤の層(屈折率1.45:厚さ2.5μm)で接合される。マイクロレンズアレイのマイクロレンズは、上記の式で表される回転対称非球面であり、非球面の曲率半径Rは、6.5μmであり、非球面の円錐係数κは、−5.26であり、光学面の4次の非球面係数Aは、6.30×10mm−3であり、光学面の6次の非球面係数Aは、−3.99×10mm−5であり、光学面の8次以上の非球面係数は、0である。また、マイクロレンズの高さは、7.0μmであり、マイクロレンズの直径及びピッチは、14.0μmであった。また、比較例の光学素子を、0.7インチ液晶プロジェクタ用パネルに取り付けた。0.7インチ液晶プロジェクタ用パネルのブラックマトリックスの開口の寸法は、13.5×13.5μmとした。
結果として、比較例の光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率を100%とすると、本実施例で得られた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率は、102%であり、本実施例で得られた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率は、比較例の光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率よりも高かった。なお、上記の比較例の光学素子において、マイクロレンズアレイ及びカバーガラスをガラス直接接合で接合させた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率は、98%であった。
第一の屈折面(球面の凸面)及び第二の屈折面(球面の凹面)を有する複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズアレイにおいて、第一の屈折面の屈折力及び第二の屈折面の屈折力は、互いに、反対の符号及び実質的に等しい絶対値を有するマイクロレンズアレイを製作した。
まず、550nmの波長に対して1.5417の屈折率を備えたネオセラム(日本電気ガラス社製)の平行平面板(厚さ:500μm)に感光性材料(フォトレジスト)であるOFPR−800(東京応化製)を塗布し、ネオセラムの平行平面板に感光性材料の層を形成した。次に、マイクロレンズアレイに含まれるマイクロレンズにおける第一の屈折面(球面の凸面)の形状に対応して設計した濃度分布マスクを介して、紫外光を、感光性材料の層に照射し、通常のフォトリソグラフィ工程によって、感光性材料の層に現像及び硬化処理を施した。その結果、ネオセラムの平行平面板に、マイクロレンズアレイに含まれるマイクロレンズにおける第一の屈折面(球面の凸面)の形状を有する感光性材料の層が形成された。
次に、感光性材料の層におけるマイクロレンズアレイに含まれるマイクロレンズにおける第一の屈折面(球面の凸面)の形状に従って、半導体ドライエッチング装置を使用して、感光性材料の層及びネオセラムの平行平面板をドライエッチングした。このようにして、第一の屈折面(球面の凸面)を有するネオセラムのマイクロレンズアレイを形成した。
エッチングの具体的な方法としては、感光性材料の層が設けられたネオセラムの平行平面板を−20℃まで冷却して、CF、CHF、及びArの混合ガスによってエッチングを行った。ここで、CFガスの流量は、50sccmであり、CHFガスの流量は、5sccmであり、Arガスの流量は、15sccmであり、混合ガスの圧力は、25mTorrであり、バイアスは、450Wであり、上部電力は、2.0kWであり、エッチングレートは、0.2μm/分であり、加工時間は、5分であった。
なお、得られたネオセラムのマイクロレンズアレイについては、マイクロレンズの第一の屈折面(球面の凸面)の曲率半径は、700μmであり、マイクロレンズの第一の屈折面の直径は、12.0μmであった。また、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズのピッチは、12.0μmであった。
次に、第一の屈折面(球面の凸面)を有するマイクロレンズアレイが形成されたネオセラムの光学素子における第一の屈折面と反対側の面に感光性材料(フォトレジスト)であるOFPR−800(東京応化製)を塗布し、このネオセラムの光学素子における第一の屈折面と反対側の面に感光性材料の層を形成した。次に、マイクロレンズアレイに含まれるマイクロレンズにおける第二の屈折面(球面の凹面)の形状に対応して設計した濃度分布マスクを介して、紫外光を、感光性材料の層に照射し、通常のフォトリソグラフィ工程によって、感光性材料の層に現像及び硬化処理を施した。その結果、ネオセラムの光学素子における第一の屈折面と反対側の面に、マイクロレンズアレイに含まれるマイクロレンズにおける第二の屈折面(球面の凹面)の形状を有する感光性材料の層が形成された。
次に、感光性材料の層におけるマイクロレンズアレイに含まれるマイクロレンズにおける第二の屈折面(球面の凹面)の形状に従って、半導体ドライエッチング装置を使用して、感光性材料の層及びネオセラムの光学素子における第一の屈折面と反対側の面をドライエッチングした。このようにして、第一の屈折面(球面の凸面)及び第二の屈折面(球面の凹面)を有する複数のマイクロレンズを含むネオセラムのマイクロレンズアレイを形成した。
エッチングの具体的な方法としては、感光性材料の層が設けられたネオセラムの平行平面板を−20℃まで冷却して、CF、CHF、及びArの混合ガスによってエッチングを行った。ここで、CFガスの流量は、50sccmであり、CHFガスの流量は、5sccmであり、Arガスの流量は、15sccmであり、混合ガスの圧力は、25mTorrであり、バイアスは、450Wであり、上部電力は、2.0kWであり、エッチングレートは、0.2μm/分であり、加工時間は、5分であった。
なお、得られたネオセラムのマイクロレンズアレイについては、マイクロレンズの第二の屈折面(球面の凹面)の曲率半径は、500μmであり、マイクロレンズの第二の屈折面の直径は、11.0μmであり、マイクロレンズの中心の厚さは、500μmであった。また、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズのピッチは、700μmであった。さらに、マイクロレンズの第二の屈折面の外周に、カバーガラスと接合する接合面を設けた。
次に、ネオセラムのマイクロレンズアレイに設けられた接合面と、ネオセラムのカバーガラス(厚さ:1mm)を真空中でガラス直接接合で接合させた。すなわち、ネオセラムのマイクロレンズアレイに設けられた接合面に、タンポ法によって、1%フッ酸を薄く塗布し、ネオセラムのカバーガラスを真空中で接触させ、次に、互いに接触させたネオセラムのマイクロレンズアレイに設けられた接合面及びネオデラムのカバーガラスの対応する面に、約1.0MPaの圧力を加えると共に、60℃で1時間加熱した。その後、マイクロレンズアレイ及びカバーガラスをアセトンによって洗浄し、真空中で乾燥させた。最後に、カバーガラスを、カバーガラスの厚さが、25μmになるまで、研磨した。
このようにして、第一の屈折面(球面の凸面)及び第二の屈折面(球面の凹面)を有する複数のマイクロレンズを含むネオセラムのマイクロレンズアレイ並びにカバーガラスを含む光学素子を得ることができた。
加えて、上記の光学素子において、マイクロレンズの第一の屈折面(球面の凸面)及び第二の屈折面(球面の凹面)の組み合わせを、表1に示すように、それぞれ、600μm及び400μm、800μm及び600μm、900μm及び700μm、並びに1000μm及び800μmに変更した光学素子を製作した。
表1 本実施例で製作したマイクロレンズの曲率半径及びそれらの光学特性
Figure 0005078229
本実施例で得られた光学素子を、それぞれ、0.7インチ液晶プロジェクタ用パネルに取り付けた液晶デバイスの光学特性を測定した。ここで、0.7インチ液晶プロジェクタ用パネルは、液晶駆動回路であると共に正方形の開口を有するブラックマトリックスを有する。ブラックマトリックスの開口の寸法は、11.5×11.5μm(開口率:56.2%(数字の確認をお願いします))とした。また、本実施例で得られた光学素子に入射する光の(カバーガラスに対する)入射角は、約±4°の範囲にあった。
本実施例で得られた光学素子を透過した光は、全てブラックマトリックスの開口を通過した。
本実施例で得られた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率を、比較例の光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率と比較した。比較例の光学素子は、25μmの厚さを有するカバーガラスのみとした。
表1に示すように、比較例の光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率を1とすると、本実施例で得られた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率は、1.4を超えており、本実施例で得られた光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率は、比較例の光学素子を備えた液晶デバイスの透過効率よりも顕著に高かった。また、表1に示すように、本実施例で得られた光学素子に、約±4°の範囲の(カバーガラスに対する)入射角で光を入射させたとき、本実施例で得られた光学素子から射出される光の射出角の平均値は、概略平行光であるとみなせる射出角である、0.1°よりも十分に小さかった。このため、光学素子の透過効率を向上させると共に隣接するマイクロレンズを透過する光の混合を低減する光学素子を得ることができた。すなわち、本実施例の光学素子を含む液晶デバイスを用いた液晶プロジェクターを使用した場合には、液晶分子の劣化が低減されて、液晶デバイスの光に対する耐久性が向上し、スクリーンに投射される画像のコントラストの低下及び混色は、見られなかった。また、本実施例で製作したマイクロレンズは、カバーガラスと真空中でガラス直接接合させているため、本実施例の光学素子は、十分な耐熱性を示した。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
[付記]
(光学素子、液晶デバイス、及び液晶プロジェクター)
本発明の実施の形態は、光学素子、液晶デバイス、及び液晶プロジェクターに関する。
本発明の実施の形態は、入射する光をより有効に利用することができる光学素子、該光学素子を含む液晶デバイス、及び該液晶デバイスを含む液晶プロジェクターを提供することを目的とする。
本発明の実施の形態(1)に記載の発明は、基板並びに前記基板と直接接合する接合面及び前記接合面と異なる光学面を有する光学構成部品を含む光学素子において、前記光学面には、反射防止膜が設けられていることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(2)に記載の発明は、本発明の実施の形態(1)に記載の光学素子において、前記基板及び前記光学構成部品は、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含み、前記直接接合は、ガラス直接接合であることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(3)に記載の発明は、本発明の実施の形態(1)又は(2)に記載の光学素子において、前記接合面は、実質的に平面であることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(4)に記載の発明は、本発明の実施の形態(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記光学構成部品は、前記接合面と異なる前記基板と接合する面をさらに含むことを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(5)に記載の発明は、本発明の実施の形態(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記基板及び前記反射防止膜の間における空間は、真空であるか、又は空気からなることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(6)に記載の発明は、本発明の実施の形態(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記光学構成部品は、レンズ、レンズアレイ、プリズム、回折光学素子、及びウェーブフロントレンズからなる群より選択される光学構成要素を含むことを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(7)に記載の発明は、基板及び光学面を有する光学構成部品を含む光学素子において、前記光学構成部品に設けられた反射防止膜をさらに含み、前記反射防止膜は、前記基板と直接接合する接合面を有することを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(8)に記載の発明は、本発明の実施の形態(7)に記載の光学素子において、前記基板及び前記反射防止膜は、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含み、前記直接接合は、ガラス直接接合であることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(9)に記載の発明は、本発明の実施の形態(7)又は(8)に記載の光学素子において、前記接合面は、実質的に平面であることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(10)に記載の発明は、本発明の実施の形態(7)乃至(10)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記反射防止膜は、前記接合面と異なる前記基板と接合する面をさらに含むことを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(11)に記載の発明は、本発明の実施の形態(7)乃至(11)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記基板及び前記反射防止膜の間における空間は、真空であるか、又は空気からなることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(12)に記載の発明は、本発明の実施の形態(7)乃至(11)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記光学構成部品は、レンズ、レンズアレイ、プリズム、回折光学素子、及びウェーブフロントレンズからなる群より選択される光学構成要素を含むことを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(13)に記載の発明は、第一の屈折面を有する光学構成要素を含む光学素子において、前記光学構成要素は、前記第一の屈折面に対応する第二の屈折面をさらに含み、前記第一の屈折面は、前記第一の屈折面に対応する前記第二の屈折面の屈折力の符号と反対の符号の屈折力を有することを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(14)に記載の発明は、本発明の実施の形態(13)に記載の光学素子において、前記第一の屈折面の前記屈折力の絶対値は、前記第二の屈折面の前記屈折力の絶対値と実質的に等しいことを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(15)に記載の発明は、本発明の実施の形態(13)又は(14)に記載の光学素子において、基板をさらに含み、前記光学構成要素は、前記基板に直接接合する接合面を有することを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(16)に記載の発明は、本発明の実施の形態(15)に記載の光学素子において、前記基板及び前記光学構成要素は、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含み、前記直接接合は、ガラス直接接合であることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(17)に記載の発明は、本発明の実施の形態(13)乃至(16)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記基板及び前記光学構成要素の間における空間は、真空であるか、又は空気からなることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(18)に記載の発明は、本発明の実施の形態(13)乃至(17)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記光学構成要素は、前記基板と接着剤を介して接合されていることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(19)に記載の発明は、本発明の実施の形態(13)乃至(18)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記光学構成要素は、前記第一の屈折面及び前記第二の屈折面と異なる第三の面及び前記第三の面に対応する第四の面をさらに含み、前記第三の面及び前記第四の面は、実質的に平面であることを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(20)に記載の発明は、本発明の実施の形態(13)乃至(19)のいずれか一つに記載の光学素子において、前記光学構成要素は、レンズ、レンズアレイ、プリズム、回折光学素子、及びウェーブフロントレンズからなる群より選択される構成要素を含むことを特徴とする光学素子である。
本発明の実施の形態(21)に記載の発明は、液晶デバイスにおいて、本発明の実施の形態(1)乃至(21)のいずれか一つに記載の光学素子及び液晶を含むことを特徴とする液晶デバイスである。
本発明の実施の形態(22)に記載の発明は、液晶プロジェクターにおいて、本発明の実施の形態(21)に記載の液晶デバイスを含むことを特徴とする液晶プロジェクターである。
本発明の実施の形態によれば、入射する光をより有効に利用することができる光学素子、該光学素子を含む液晶デバイス、及び該液晶デバイスを含む液晶プロジェクターを提供することができる。
図1は、本発明の第一の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスの例を説明する図である。 図2(a)〜(f)は、本発明の第一の実施態様である光学素子を製造する方法を説明する図である。 図3は、本発明の第二の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスの例を説明する図である。 図4(a)〜(f)は、本発明の第二の実施態様である光学素子を製造する方法を説明する図である。 図5は、本発明の第三の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスの一つの例を説明する図である。 図6は、本発明の第三の実施態様である光学素子を含む液晶デバイスの別の例を説明する図である。 図7は、本発明の第三の実施態様である光学素子を製造する方法の一例を説明する図である。 図8(a)及び(b)は、実施例1において成膜した反射防止膜の反射特性を説明する図である。 図9(a)及び(b)は、実施例2において成膜した反射防止膜の反射特性を説明する図である。 図10は、光源からの光を液晶相に集光するための光学素子を含む従来の液晶デバイスの例を示す側面図である。 図11は、特許文献1に開示される従来の液晶デバイス用の光学素子の例を示す。
12、102、302 マイクロレンズアレイ
14 反射防止膜
16、304 カバーガラス
18 凸部
22、202 液晶基板
24、204 液晶相
26、206 液晶分子
28、208 液晶駆動回路
32 光学ガラス
34 感光性材料
36 濃度分布マスク
38 反射防止膜
42、104 光学素子用基板
44 マイクロレンズ
46 空間

Claims (7)

  1. 基板及び光学面を有するレンズアレイを含む光学素子において、
    前記レンズアレイに設けられた反射防止膜をさらに含み、
    前記反射防止膜は、前記基板と直接接合する接合面を有すると共に、
    前記レンズアレイは、前記接合面に対向した部分を有すると共に、
    前記光学面は、前記接合面に対向した部分の周辺に設けられたものであると共に、
    前記反射防止膜は、少なくとも前記接合面に対向した部分及び前記光学面に設けられたものである
    ことを特徴とする、光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記基板及び前記反射防止膜は、それぞれ独立に、ケイ素酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩ガラス、及びホウケイ酸塩ガラスからなる群より選択される材料を含み、
    前記直接接合は、ガラス直接接合である
    ことを特徴とする、光学素子。
  3. 請求項1又は2に記載の光学素子において、
    前記接合面は、実質的に平面である
    ことを特徴とする、光学素子。
  4. 請求項1から3までのいずれか一つに記載の光学素子において、
    前記反射防止膜は、前記接合面と異なる前記基板と接合する面をさらに含む
    ことを特徴とする、光学素子。
  5. 請求項1から4までのいずれか一つに記載の光学素子において、
    前記基板及び前記反射防止膜の間における空間は、真空であるか、又は空気からなる
    ことを特徴とする、光学素子。
  6. 請求項1から5までのいずれか一つに記載の光学素子及び液晶を含むことを特徴とする液晶デバイス。
  7. 請求項6に記載の液晶デバイスを含むことを特徴とする液晶プロジェクター。
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