まず、本実施例として示すぱちんこ遊技機について概説した後に、その具体的な構成を説明する。
[概説]
本実施例に示すぱちんこ遊技機は、通常よりも遊技者に有利な状態である特別遊技として、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機における特別遊技に対応する遊技を提供する。
このぱちんこ遊技機の遊技では、遊技球が始動口に入球すると特別図柄の変動表示が開始される。また、この特別図柄の変動表示と連動するかたちで装飾図柄を含む演出画像が動画表示される。変動開始から所定時間経過後に特別図柄が当たり態様にて停止表示されると、演出画像に含まれる装飾図柄も当たりを示す状態で停止表示され、特別遊技(「大当たり」ともいう)が開始される。
また、このぱちんこ遊技機は、特別遊技が終了したことを条件として、特定遊技としての変動時間短縮モード(「時短」という)に移行する。この時短は、特別遊技の終了後、特別図柄の変動回数が所定回数(以下、「継続回数」という)に達するまで継続される。
この時短に伴い、特別図柄の変動時間のみならず、始動口を拡開させるか否かを示す普通図柄の変動時間も短くなる。また、普通図柄の抽選確率も高くなるため、始動口が開放状態となっている時間が相対的に長くなる。したがって、遊技者はその継続回数の間は持ち玉を減らすことなく遊技を継続することができ、その間に大当たりが発生することを期待できる。
[実施例]
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。
ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側に所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。更に遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口の普通電動役物を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備える。
遊技領域52の略中央に設けられた特別図柄表示装置61および演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像199を動画表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選(以下、「当否抽選」とよぶ)の結果に対応した図柄である。その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、たとえば7セグメントLEDで構成される表示手段である。特別図柄表示装置61は、特別図柄192の変動表示として、0〜9の範囲で数字を循環させる。たとえば外れ時は「−」、当たり時は0〜9のいずれかの数字が停止図柄として停止表示される。
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動するかたちで演出画像199を動画表示する液晶ディスプレイである。演出画像199は、特別図柄抽選の結果を視覚的に演出するために、特別図柄192の変動表示と連動して変動表示させる装飾図柄190を含む。演出表示装置60は、演出画像199として、たとえばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面表示する。本実施例の場合、演出画像199に含まれる装飾図柄190は、3つの図柄表示領域198(左領域198a、右領域198b、中領域198c)で変動表示する。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62(正確には、始動口62に設けられた普通電動役物)を拡開させるための抽選(以下、「普通図柄抽選」とよぶ)の契機となる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先立って決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が当たりを示す図柄である場合、通常遊技から特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。
大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。特別遊技は、1回以上の単位遊技で構成される。本実施例における単位遊技の回数は15回である。1回の単位遊技において1回の開閉動作がなされるので、大入賞口66の開閉動作は単位遊技の回数分繰り返される。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄とよばれる図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右方に設けられる。普通図柄表示装置59は、2つのランプを備える。それぞれのランプが交互に点滅する動作が「普通図柄の変動表示」に相当する動作である。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。このとき、普通図柄表示装置59の2つのランプの所定の一方が点灯表示されることになる。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。センター飾り64は、その上部に抽選保留ランプ20が設けられ、左側部に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した当否抽選の結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。また遊技効果ランプ90が遊技領域52に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。
電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの当否抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134、を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄190が演出表示装置60において変動表示される。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄と変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、当否抽選手段112による当否判定結果に応じて複数の変動パターンからいずれかのパターンを選択する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄および変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118および演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限はたとえば4である。保留制御手段116は、普通図柄抽選の結果についてもたとえば4つを上限として保持する。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段114により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。
特定遊技実行手段122は、確率変動状態における遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、当否抽選値が特定遊技へ移行すべき値であった場合、特別遊技後の遊技状態を確率変動状態へ移行させる。確率変動状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。
特定遊技実行手段122は、特定遊技としての変動時間短縮モード(「時短」という)に移行させる制御も行う。本実施例においては、時短は特別遊技終了後、特別図柄がたとえば100回変動表示されたときに時短終了条件が成立したとして終了する。時短中においては、特別図柄の変動時間が短縮される。そのため、単位時間当たりの特別図柄抽選回数が増加しやすくなる。また、普通図柄の変動時間も短縮され、普通図柄抽選の当たり確率が高確率に設定される。このような設定により、時短中においては相対的に当たりが発生しやすくなる。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190を含む演出画像の変動パターンとして複数の変動パターンデータを保持する。演出決定手段132は、装飾図柄190の変動停止時に表示させる停止図柄の組合せを決定する演出図柄決定手段136と、決定された停止図柄の組合せと当否抽選手段112による当否抽選の結果に基づき決定された特別図柄の停止図柄と変動パターンに応じて装飾図柄の変動パターンを決定する演出パターン決定手段138を含む。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、変動パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄の停止図柄と演出画像の変動パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
本実施例の装飾図柄190の変動表示には、予め変動表示候補として用意された全種類の装飾図柄を用いて実行する通常変動表示モードでの表示と、予め変動表示候補として用意された全種類の装飾図柄のうち一部の種類を用いた変動表示である間引変動表示を実行する間引変動表示モードでの表示がある。演出パターン決定手段138は、装飾図柄の変動開始に先立ち、各図柄表示領域198毎に通常変動表示モードで図柄変動を実行するか間引変動表示モードで図柄変動を実行するか選択する。また、演出パターン決定手段138は、一つの図柄表示領域内において順次表示させるための複数種類の装飾図柄で構成される図柄セットを図柄表示領域ごとに決定する。図柄セットは、通常変動表示用の図柄セット(以下、通常図柄セットという)と間引変動表示用の図柄セット(以下、間引図柄セット)がある。通常図柄セット202を、たとえば10種類の装飾図柄190で構成する場合、10種類全ての装飾図柄190が変動し、所定時間経過後にそのうちの1つの装飾図柄190が停止図柄として決定される。つまり、変動中の装飾図柄190の中のある停止図柄は理論上1/10の確率で一つ選択されることになる。一方、間引図柄セット204を前述した10種類の中から6種類が間引かれた装飾図柄190で構成する場合、4種類の装飾図柄190で図柄変動することになる。そして、その4種類の中から停止図柄が決定されることになる。つまり、変動する装飾図柄190のうちある装飾図柄は、理論上1/4の確率で一つに選択されることになる。このように、間引変動表示モードの場合、通常変動モードに比べて変動する装飾図柄190の種類が減るので、同じ装飾図柄が揃う確率があたかも高くなったような演出を実施することが可能となり、装飾図柄190の変動に対する遊技者のワクワク感を増大させる演出ができる。
具体的な通常図柄セット202の例と間引図柄セット204の例を図4〜図6に示す。図4は、通常図柄セット202の例である。本実施例の場合、通常変動表示に用いる装飾図柄の変動表示候補として10種類の装飾図柄190を準備している。通常変動表示モードでは、この10種類の装飾図柄が順次表示されるように変動を行い、この10種類の装飾図柄190の中から停止図柄が1つ決定される。
一方、図5(a)〜図5(e)は、間引図柄セット204の例を示す。間引図柄セット204を構成する装飾図柄190は、通常図柄セット202を構成する装飾図柄の中から一部が間引かれたものである。図5(a)の場合、通常図柄セット202の「0〜9」から「0、4〜9」を間引いたものである。言い換えれば、通常図柄セット202の「0〜9」から「1、2、3」を選択したということができる。図5(b)の場合、通常図柄セット202の「0〜9」から「5〜8」を選択したものである。同様に、図5(c)の場合、通常図柄セット202の「0〜9」から「1〜5」を選択したものである。図5(d)の場合、通常図柄セット202の「0〜9」から「1、2」を選択したものである。図5(e)の場合、通常図柄セット202の「0〜9」から「3〜5」を選択したものである。このように、間引図柄セット204を構成する装飾図柄190の種類や数は様々設定可能であり、その構成する装飾図柄190の種類や数を変化させることにより、間引図柄セット204が利用されたときの遊技者のワクワク感を大きく変化させることができる。
たとえば、左領域198a及び右領域198bで通常変動表示モードが選択され通常図柄セット202が変動した場合、装飾図柄190に付された数字(図柄)の「3」が左領域198aと右領域198bで選択される確率は理論上1/10ずつである。一方、左領域198a及び右領域198bで間引変動表示モードが選択されて、それぞれ図5(a)の間引図柄セット204と図5(c)の間引図柄セット204が変動した場合、装飾図柄190の図柄「3」でリーチ状態になる可能性は、理論上1/3と1/5になる。このように、間引変動表示モードが実行されることにより所望の装飾図柄190が選択される理論上の確率が高くなり、当たり易くなったかのように見せる演出が可能になり、遊技者のワクワク感、期待感を向上することができる。
図5(a)〜図5(e)の例では、装飾図柄190の数字が連続している例を示しているが、図6(a)に示すように、装飾図柄190の数字が連続しないように間引図柄セット204を形成してもよい。この場合、いわゆる「確変」となる図柄組合せを形成する装飾図柄190のみで間引図柄セット204を形成することも可能となり、遊技者のワクワク感を増大させることができる。また、上述の例では、装飾図柄190の数字が矢印A方向に増加するように配列され、変動するときも矢印A方向またはその逆方向に順次表示されるようになっているが、図6(b)に示すように、装飾図柄190の数字の配列順をバラバラにしてもよい。図5(a)や図6(a)のように矢印A方向に増加するように配列して変動表示を実行する場合、変動の終盤で、変動停止する前にどの装飾図柄190で停止するかある程度予想がつき、変動停止に対するワクワク感が変動停止前に減退してしまう虞がある。一方、図6(b)に示すように、装飾図柄190の数字の配列順がバラバラの場合、変動停止の終盤でも停止図柄の予想がし難く変動停止に対するワクワク感を変動停止まで持続させるような演出が可能になる。
また、図6(c)や図6(d)に示すように、特定の装飾図柄190を複数含んで間引図柄セット204を形成してもよい。たとえば、右領域198bで図6(c)の間引図柄セット204が使用される場合、左領域198aで「3」の装飾図柄190が変動停止すれば、「3」でリーチ状態になる理論上の確率は、3/4になる。また、右領域198bで図6(d)の間引図柄セット204が使用される場合、左領域198aで「7」の装飾図柄190が変動停止すれば、「7」でリーチ状態になる確率は、理論上4/4(100%)になる。このように、間引図柄セット204の選択を適宜実行することにより、図柄停止に関する遊技者のワクワク感を意図的に変化させることができる。また、このような場合、右領域198bの間引図柄セット204は左領域198aで停止する前に表示されるので、右領域198bで上述のような間引図柄セット204が表示されれば、左領域198aにおける初期の図柄変動の段階で遊技者に大きなワクワク感を与えることができる。
演出パターン決定手段138は、図4に示す通常図柄セット202を記憶しており、通常変動表示モードが選択されるたびに通常図柄セット202を選択する。また、演出パターン決定手段138は、図5〜図6に示す複数種類の間引図柄セット204を記憶しており、間引変動表示モードが選択されるたびに間引図柄セット204を選択することができる。また別の態様として、演出パターン決定手段138は、通常図柄セット202のみを記憶し、通常図柄セット202を使用するときには、通常図柄セット202の選択を実行する。一方、間引図柄セット204を使用するときには、その都度、通常図柄セット202に含まれる全種類の装飾図柄190から演出図柄決定手段136が決定した停止図柄を除く装飾図柄190を間引き処理して間引図柄セット204を形成して使用するようにしてもよい。この場合、演出パターン決定手段138における記憶容量の軽減が可能となり、ぱちんこ遊技機10の設計自由度向上に寄与することができる。
パターン記憶手段130が記憶する装飾図柄190の変動パターンには、装飾図柄190の変動表示態様、すなわち装飾図柄190の変動開始から変動停止までの演出過程が定義される。変動パターンには、通常図柄セット202や間引図柄セット204に含まれる装飾図柄190を用いて、通常の外れの停止図柄の組合せを表示をするときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れの停止図柄の組合せを表示をするときのパターンと、リーチ状態を経て大当たりの停止図柄の組合せを表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132の演出パターン決定手段138は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい演出画像の変動パターンを選択する。
演出表示制御手段134は、演出表示装置60における装飾図柄190の変動表示を制御する。すなわち、演出表示制御手段134は当否抽選手段112による当否抽選の結果を演出パターン決定手段138で選択された通常変動表示モードまたは間引変動表示モードにしたがい通常図柄セット202または間引図柄セット204を用いて装飾図柄190を変動表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
図7〜図10を用いて、本実施例の間引変動表示モードが選択された場合の、装飾図柄190の表示形態を説明する。図7は、本実施例において基本的な間引変動表示モードの実行例である。特別図柄192の変動開始にあわせて図7(a)から変動が開始され、順次図柄変動が実施され特別図柄192の変動停止にあわせて、図7(f)の表示が行われる。図7の場合、演出表示装置60の左領域198a、右領域198b、中領域198cそれぞれにおいて間引変動表示モードが選択された場合である。まず、左領域198aの変動表示において、間引変動表示モードが選択されると、図7(a)に示すように、演出パターン決定手段138で決定された間引図柄セット204が左領域198aの上方から降下してくる。この時点で、間引図柄セット204の装飾図柄190は高速の図柄変動を開始しておらず、間引図柄セット204に含まれる装飾図柄190が遊技者に容易に視認できるように左領域198aに一覧表示される。この状態を第1段階表示という。この第1段階表示が実行されることにより、遊技者に、これから始まる間引変動表示において変動する装飾図柄190の種類と数を認識させることができる。また、右領域198bにおいても演出パターン決定手段138で決定された間引図柄セット204が右領域198bの上方から降下しはじめている。中領域198cにおいては、まだ図柄セットは現れていない。なお、本実施例では、第1段階表示が開始され、図柄セットが上方から降下し始めた時点で、装飾図柄190の変動表示が開始されていることになる。
続いて、図7(b)では、第1段階表示が終了した間引図柄セット204が先頭から巻き取られるように巻回されている。図7(b)の場合、左領域198aで変動する間引図柄セット204は3つの装飾図柄190で構成されているので、巻回の結果三角柱のような形状になり、この状態で縦回転するように変動が始まる。また、右領域198bでは、間引図柄セット204の上方からの降下が進行して第1段階表示が実施されている。また、中領域198cでは上方から間引図柄セット204が降下しはじめている。
図7(c)では、左領域198aで、巻回された間引図柄セット204が従来の装飾図柄190と同様に変動を開始する。この変動表示を第2段階表示という。右領域198bでは、間引図柄セット204が先頭から巻き取られるように巻回されている。図7(c)の場合、右領域198bで変動する間引図柄セット204は4つの装飾図柄190で構成されているので、巻回の結果四角柱のような形状になる。また、中領域198cにおいては、降下してきた間引図柄セット204による第1段階表示が開始されている。
図7(d)の場合、左領域198aで装飾図柄190が演出図柄決定手段136の決定した停止図柄で停止表示されている。右領域198bでは、巻回された間引図柄セット204が回転変動を開始して、第2段階表示を実行している。中領域198cでは、間引図柄セット204が先頭から巻き取られるように巻回されている。図7(d)の場合、中領域198cで変動する間引図柄セット204は4つの装飾図柄190で構成されているので、巻回の結果四角柱のような形状になる。
図7(e)では、左領域198aに続き、右領域198bで装飾図柄190が演出図柄決定手段136の決定した停止図柄で停止表示されている。図7(e)の場合、左領域198aと右領域198bで停止した装飾図柄190でリーチ状態が形成されている。中領域198cでは、巻回された間引図柄セット204が回転変動を開始して、第2段階表示を実行している。
最後に、図7(f)で、中領域198cで装飾図柄190が演出図柄決定手段136の決定した停止図柄で停止表示されている。図7(f)の場合、左領域198a、右領域198b、中領域198cで同じ装飾図柄190が変動停止して大当たりの図柄組み合わせが表示されている。そして、特定遊技実行手段122により特別遊技が実行される。図7(a)〜(f)の装飾図柄190の変動表示において、間引変動表示が行われることにより、遊技者が認識する装飾図柄190の種類(数)は、通常図柄セット202で変動表示される場合より少なく、その図柄変動でリーチ状態になる確率や大当たりになる理論上の確率が向上し、当たり易くなったように見せる演出を実行することが可能になる。その結果、装飾図柄190の変動表示中における遊技者のワクワク感を向上させることができる。また、遊技機がこのような演出形態を有することにより、遊技機の評価向上に寄与し、遊技者の定着化や集客率の向上に寄与することができる。
図8(a)〜図8(c)は、間引変動表示モードを用いた他の変動表示例を示す。図8(a)は、図7(a)から装飾図柄190の変動が開始され、図7(c)の状態に移行した状態を示している。すなわち、左領域198aで第2段階表示が実行され、右領域198bで第1段階表示後の巻回動作が実行され、中領域198cで第1段階表示が実行されている。この状態において、左領域198aでさらに上方から間引図柄セット204が降下してきて、現在変動表示されている間引図柄セット204が左斜め下方に蹴飛ばされ、新たに降下してきた間引図柄セット204が取って代わろうとしている状態である。この場合、左領域198aの最初の間引変動表示により遊技者のワクワク感を向上させ、取って代わる間引図柄セット204による間引変動表示で遊技者にさらにワクワク感を与えられるという効果がある。
図8(b)では、左領域198aに新たに降下してきた間引図柄セット204と、中領域198cに降下している間引図柄セット204がともに第1段階表示を終了して、巻回動作に移行しようとしている。なお、右領域198bの間引図柄セット204はすでに図柄変動中である。その後、図8(c)に示すように、左領域198a、右領域198b、中領域198cにおいて、間引図柄セット204が図柄変動状態となり、特別図柄192の停止タイミングで演出図柄決定手段136の決定した停止図柄で当否抽選手段112の当否抽選の結果が演出的に表示される。
なお、図8の例では、間引図柄セット204の蹴飛ばし処理は左領域198aで1回実行する例を示したが、特別図柄192の変動中であれば、他の図柄表示領域で実行してもよいし、複数回実行してもよい。また、先に変動表示されている間引図柄セット204と後から変動表示する間引図柄セット204の装飾図柄190の種類構成や変動数を変化させることで、遊技者に変動内容が大きく変わったと印象つけることが可能になり、ワクワク感をさらに増大させることが可能になる。
ところで、従来の装飾図柄190の変動形態の一つに、疑似連続変動(疑似連)などと呼ばれるものがある。この疑似連は、たとえば装飾図柄190が特定の組合せで停止したこと(実質的には仮の停止)を契機に、または、特定の役物が動いたことを契機に、図柄組み合わせの変動停止が複数回連続して発生したかのように見せる演出態様である。この疑似連は、特別図柄192の1回の変動中に実行される演出であり、図9(a)のように、通常図柄セット202や間引図柄セット204が変動表示した後、図9(b)のように、微少変動を伴う装飾図柄190で停止演出を行い、あたかも当否抽選手段112の抽選結果が表示されたように見せている。この見せかけの変動停止を複数回実行することにより、遊技者のワクワク感を向上させることができる。このような疑似連を本実施例の間引変動表示を適用して実現することができる。
図9(c)は、図8(a)〜図8(c)で示したよな蹴飛ばし演出を実行することにより、疑似連を実行する例である。図9(c)は、微少変動している装飾図柄190に対し、左領域198aの上方から間引図柄セット204が降下して、左斜め下方に蹴飛ばしている。そして、新たに降下してきた間引図柄セット204が微少変動していた装飾図柄190取って代わろうとしている状態である。右領域198bにおいても新たな間引図柄セット204が降下し始めている。図9(d)においては、左領域198aで新たに降下してきた間引図柄セット204が第1段階表示終了後に巻回動作を開始している。また、右領域198bにおいては、微少変動している装飾図柄190に対し、上方から間引図柄セット204が降下して、右斜め下方に装飾図柄190を蹴飛ばしている。そして、新たに降下してきた間引図柄セット204が微少変動していた装飾図柄190取って代わろうとしている。中領域198cにおいても新たな間引図柄セット204が降下し始めている。このような間引図柄セット204による蹴飛ばし動作を実行することにより、別の装飾図柄190を用いて再度図9(b)のような状態を形成することが可能となり、疑似連を実現することができる。前述したように、この蹴飛ばし動作を伴う疑似連は、特別図柄192の変動期間中に複数回実行することが可能で、遊技者のワクワク感をさらに向上することができる。
ところで、通常図柄セット202で図柄変動を実行する場合、遊技者は変動している装飾図柄190の種類や数を予め理解しているので、通常図柄セット202の内容が分からなくても大きな戸惑いを感じない。一方、間引図柄セット204の場合、その都度、変動している装飾図柄190の種類や数が異なるので、間引図柄セット204の内容が分からない場合、戸惑いを感じやすい。本実施例においては、間引図柄セット204は、第1段階表示を実行するので遊技者はある程度変動種類や数を認識することができる。しかし、特別図柄192の変動時間は限られた時間であり、第1段階表示を長時間実施することはできない。そのため、遊技者によっては装飾図柄190の種類などを十分に認識できないものも出てくる。また、装飾図柄190の変動は高速なので、変動中に種類や数を認識することは困難である。そこで、本実施例では、変動表示させる装飾図柄190の種類を示す図柄種類情報を装飾図柄190とは別の表示領域に表示している。図10(a)は、左領域198aにおいて、間引図柄セット204が降下してきて第1段階表示を実行している。前述のように第1段階表示は短時間なので、間引図柄セット204に含まれる装飾図柄190の種類を示す図柄種類情報をサブ画面206に表示する。この場合、サブ画面206は液晶表示器などで構成することが可能で、図柄種類情報として、たとえば装飾図柄190に含まれる数字などとすることができる。右領域198b、中領域198cにおいても、図10(b)、図10(c)に示すようにサブ画面206が順次表示される。なお、各サブ画面206の表示期間は任意であるが、たとえば、左領域198a、右領域198b、中領域198cにおいて停止図柄が表示されるまでとすることができる。また、サブ画面206においては、間引図柄セット204に含まれる全ての装飾図柄190に対応する図柄種類情報を表示してもよいし、各図柄表示領域198で共通する装飾図柄190、つまりリーチ状態や大当たりを構成する装飾図柄190に対応する図柄種類情報のみを表示してもよい。
なお、図柄種類情報の表示位置は、演出表示装置60上のみならず、遊技領域52上であればどこでもく、液晶表示器の他、LEDなどを用いてもよい。この場合、表示される図柄種類情報と各図柄表示領域198との対応付けが明確になるようにしておくことが望ましい。
図10(d)には、間引図柄セット204に含まれる装飾図柄190の種類情報を示す別の例が示されている。この例の場合、間引図柄セット204が第1段階表示を実行するときに、他の図柄表示領域198で共通する装飾図柄190が存在するときに、その共通する装飾図柄190を点滅させたり、色を変えたりして差別化を図っている。このように、装飾図柄190自体を用いて変動表示に用いる装飾図柄190を遊技者に通知することにより、遊技者は、間引変動表示の変動内容を容易に理解し、変動時のワクワク感を得ることができる。また、装飾図柄190の点滅に代えて、共通する装飾図柄に所定のマークを付したりして遊技者に通知するようにしてもよい。
なお、上述の説明では、左領域198a、右領域198b、中領域198c全てで間引変動表示モードが選択され、間引図柄セット204で変動表示する例を示したが、各図柄表示領域198において、通常変動表示モードと間引変動表示モードの選択が可能であり、通常図柄セット202と間引図柄セット204とを混合して使用することができる。また、通常図柄セット202を用いる場合、図柄変動に先立ち第1段階表示を行ってもよし、行わなくてもよい。行わない場合は、第2段階表示が直接開始されることなる。
次に、ぱちんこ遊技機10の動作過程をフローチャートを用いて説明する。
図11は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。同図に示す処理はループ処理として繰り返し実行される処理である。
まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、特別図柄抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図12は、図11におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。以下、特に断らない限り「図柄」は特別図柄192と装飾図柄190の双方を示す。
通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。また、演出決定手段132は、当否抽選手段112の処理結果を受けて、演出決定手段132が図柄表示領域198で変動表示するときの変動表示モード(通常変動表示モードまたは間引変動表示モード)及びその変動表示に用いる図柄セットを決定する変動図柄決定処理を実行する(S36)。メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112の判定結果に応じて変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、演出決定手段132で決定された変動表示モードにしたがい決定された図柄セットを用いて装飾図柄190の変動表示を開始する(S38)。その結果、特別図柄192の変動開始と同期して、装飾図柄190の変動表示も開始される。
S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS38までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34からS38の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S40のY)、図柄変動表示処理を実行し(S42)、図柄変動表示が開始されていないときは(S40のN)、S42をスキップする。
図13は、図12におけるS36の変動図柄決定処理の実行イメージを説明するフローチャートである。演出パターン決定手段138は、当否抽選手段112の処理結果を受けて、今回の各図柄表示領域198の変動表示において通常変動表示モードを選択するか間引変動表示モードを選択するかを決定する(S50)。そして、間引変動表示モードが選択された場合(S52のY)、間引変動表示用の間引図柄セット204の選択を行い変動図柄決定処理を終了する(S54)。前述したように、間引図柄セット204は予め準備された複数の図柄セットの中から選択してもよいし、S54の処理を実行する都度、通常図柄セット202に間引き処理を施し間引図柄セット204を作成してもよい。一方、S50で選択したモードが間引変動表示モードではない場合(S52のN)、通常図柄セット202の選択を行い変動図柄決定処理を終了する(S56)。なお、S36の変動図柄決定処理は、各図柄表示領域198の図柄変動毎に並列処理的に行われる。
図14は、図12のS42の変動表示処理の実行イメージを説明するフローチャートである。この変動表示処理も各図柄表示領域198の図柄変動毎に並列処理的に行われる。各図柄表示領域198において、図柄変動が間引変動表示モードか否かの判断が行われ、間引変動表示モードの場合(S60のY)、間引変動表示処理を実行する(S62)。また、S60において間引変動表示モードではない場合(S60のN)、通常変動表示処理を実行する(S64)。
図15は、図14の間引変動表処理の実行イメージを説明するフローチャートである。この間引変動表処理も各図柄表示領域198の図柄変動毎に行われる。なお、図15では、再変動処理として図8で説明した蹴飛ばし処理、図9で説明した疑似連の処理を併せて説明している。
まず、間引変動表処理が開始されると、間引図柄セット204を図柄表示領域198上で一覧表示する第1段階表示が実行される(S70)。また、このとき、間引図柄セット204に含まれる装飾図柄190の視認性を向上させるために、サブ画面206などを用いて図柄種類情報を表示する(S72)。第1段階表示が完了すると実際の変動表示である第2段階表示が実行される(S74)。そして、当該間引変動表示が蹴飛ばし処理や疑似連などの再変動処理を含まない場合(S76のN)、所定時間経過後に演出図柄決定手段136で決定された停止図柄を表示する(S78)。
また、当該間引変動表示が再変動処理を含む処理で(S76のY)、蹴飛ばし処理である場合(S80のY)、図8(a)に示すように、第2段階表示中の間引図柄セット204に対し、新たな間引図柄セット204を降下させ、蹴飛ばし付きの第1段階再表示を実行する(S82)。続いて、新たに現れた間引図柄セット204に含まれる装飾図柄190の視認性を向上させるために、サブ画面206などを用いて図柄種類情報を再表示する(S84)。そして、第1段階再表示が完了すると第2段階再表示が実行される(S86)。なお、蹴飛ばし処理は、装飾図柄190の変動時間が長い場合、つまり特別図柄192の変動パターンが長いものが選択されている場合、複数回実施することが可能である。もし、複数回の蹴飛ばし処理が設定されていて、その設定回数が終了していない場合(S88のN)、S82に戻り蹴飛ばし処理を再度実行する。また、蹴飛ばし処理が設定回数完了した場合(S88のY)、S78に移行し演出図柄決定手段136で決定された停止図柄の表示を行い、このフローを終了する。
また、S80で蹴飛ばし処理でない場合(S80のN)、つまり疑似連の場合、第2段階表示されている間引図柄セット204に含まれる所定の装飾図柄190を疑似停止させる。この場合、他の図柄表示領域198においても装飾図柄190の疑似停止が行われ、全ての図柄表示領域198で疑似停止が実施され(S90)、所定時間経過したら、図9(c)に示すように、疑似停止中の装飾図柄190に対して、新たな間引図柄セット204を降下させ、蹴飛ばし付きの第1段階再表示を実行する(S92)。続いて、新たに現れた間引図柄セット204に含まれる装飾図柄190の視認性を向上させるために、サブ画面206などを用いて図柄種類情報を再表示する(S94)。そして、第1段階再表示が完了すると第2段階再表示が実行される(S96)。なお、疑似連は、装飾図柄190の変動時間が長い場合、つまり特別図柄192の変動パターンが長いものが選択されている場合、複数回実施することが可能である。もし、複数回の疑似連が設定されていて、その設定回数が完了していない場合(S98のN)、S90に戻り第2段階再表示されている間引図柄セット204に含まれる所定の装飾図柄190を疑似停止させる。また、疑似連が設定回数完了した場合(S98のY)、S78に移行し演出図柄決定手段136で決定された停止図柄の表示を行い、このフローを終了する。なお、上述のように蹴飛ばし処理や疑似連を実行する場合、先に表示する図柄セットは、通常図柄セット202と同様な内容のものでもよい。この場合、選択される図柄セットは、通常図柄セット202と間引図柄セット204が混同したもののように見せるが、特別図柄192の一変動中に選択された図柄セットであり、全体として間引図柄セット204であるとみなすことができる。
図16は、図14の通常変動表処理の実行イメージを説明するフローチャートである。この通常変動表処理も各図柄表示領域198の図柄変動毎に行われる。図14のS64で通常変動表示処理が開始されると、まず、通常図柄セット202の変動表示に用いるのに先立ち、通常図柄セット202に含まれる装飾図柄190の一覧表示である第1段階表示を実行するか否かが判断され、第1段階表示を実行される場合(S200のY)、全図柄に関する第1段階表示が実行される(S202)。このとき、サブ画面206などを用いて全種類の図柄に関する図柄種類情報が表示される(S204)。その後、第1段階表示が完了すると実際の変動表示である第2段階表示が実行される(S206)。そして、所定時間経過後に演出図柄決定手段136で決定された停止図柄を表示する(S208)。また、S200で第1段階表示を実行しない場合(S200のN)、S202とS204の処理をスキップして、S206で全図柄を用いた第2段階表示を実行して、所定時間経過後に演出図柄決定手段136で決定された停止図柄を表示する(S208)。なお、第1段階表示は、図7(a)などで示すように、1つずつ装飾図柄190が図柄表示領域198に現れる。したがって、最後の1つが表示されるまで通常変動表示モードか否か判断できない。また、図柄種類情報も図10(b)、図10(c)に示すように、降下してくる装飾図柄190に連動して表示される。そのため、通常変動表示モードにおいても、第1段階表示や図柄種類情報の表示が最後まで行われないと、通常変動表示モードであることが分からない。つまり、通常変動表示モードで、第1段階表示や図柄種類情報の表示を実行することにより、間引変動表示モードかもしれないという期待感を遊技者に抱かせることが可能になり、ワクワク感の向上に寄与できる。
なお、左領域198a及び右領域198bで停止図柄が表示されると、その図柄組合せが、リーチ演出であるか、またリーチ状態からさらに別の演出を実行する発展リーチ演出かなどが演出表示制御手段134で判断され、中領域198cの停止図柄を表示するまでの演出が実行される。
図17は、図11におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
まず、大入賞口66が開放済でなければ(S100のN)、演出表示制御手段134が特別遊技に対応する特別演出を開始し(S102)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S104)。大入賞口66が開放済であれば(S100のY)、S102およびS104の処理はスキップされる。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S106のY)、または、開放時間が経過していないものの(S106のN)、大入賞口66への入球数が9球以上に達した場合には(S108のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を一旦閉鎖させる(S110)。開放時間が経過しておらず(S106のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S108のN)、S110以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S110における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が15に達していた場合(S112のY)、演出表示制御手段134は特別遊技についての演出を終了させ(S114)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S116)。そして、特定遊技実行手段122が時短に移行させる(S118)。
S112においてラウンド数が15に達していなければ(S112のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S120)。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本実施例では、通常変動表示モードか間引変動表示モードかの選択をぱちんこ遊技機10側で行う例を説明したが、たとえば、遊技者に操作ボタン82を操作させて、遊技者の希望するタイミングで、通常変動表示モードと間引変動表示モードが選択できるようにしてもよい。この場合、ぱちんこ遊技機10を遊技者参加型の遊技機とすることができる。
また、本実施例においては、本発明の弾球遊技機を、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機として構成した例を示したが、第1種ぱちんこ遊技機の機能を複数直列または並列に実行可能な遊技機など、第1種ぱちんこ遊技機の機能を含むその他の遊技機として構成してもよい。
10 ぱちんこ遊技機、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 59 普通図柄表示装置、 60 演出表示装置、 61 特別図柄表示装置、 62 始動口、 66 大入賞口、 68 作動口、 100 遊技制御装置、 102 メイン基板、 104 サブ基板、 110 入球判定手段、 112 当否抽選手段、 114 図柄決定手段、 116 保留制御手段、 118 メイン表示制御手段、 120 特別遊技制御手段、 122 特定遊技実行手段、 124 開閉制御手段、 130 パターン記憶手段、 132 演出決定手段、 134 演出表示制御手段、 136 演出図柄決定手段、 138 演出パターン決定手段、 190 装飾図柄、 192 特別図柄、 198 図柄表示領域、 198a 左領域、 198b 右領域、 198c 中領域、 202 通常図柄セット、 204 間引図柄セット、 206 サブ画面。