JP5077081B2 - 断熱壁とそれを適用した建物および住宅 - Google Patents

断熱壁とそれを適用した建物および住宅

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Description

本発明は、建物の壁に真空断熱材を用いた断熱壁と、それを適用した建物および住宅に関するものである。
近年、地球温暖化抑制(地球環境保護)の観点より、家電製品や産業機器の省エネルギー化と並び住宅等の建物の省エネルギー化も取り組むべき重要な課題となっている。そのため、様々な断熱材の適用や各種断熱壁が提案されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照)。
非特許文献1に示されているように、昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅(築24年の木造在来軸組工法2階建て住宅)の2階天井及び1階床下の断熱改修を行った場合、天井では小屋裏の既存断熱を残し、その上に新規断熱材を吹き込み、また床では床下から根太間に断熱材を充填し根太下にも同様の断熱材の充填を行う。施工はそれぞれ作業員3名(約5時間)・監督1名、作業員5名(約10時間)・監督2名で行い、約16万円と約37万円の費用がかかっている。
図59は、特許文献1により開示されている従来の断熱壁の概略断面図である。図59に示すように、特許文献1における従来の断熱壁は、躯体α上にボード102を形成した下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成し、次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103上に乾式壁材107を施工している。
齋藤宏昭ら、"昭和55年省エネルギー基準レベルの在来木造住宅を対象とする実用的断熱改修方法の検証"、独立行政法人 建築研究所、2006年 特開平7−11717号公報
しかしながら、実際の断熱改修(非特許文献1)では、2階天井の施工においては作業員3名(約5時間)・監督1名で約16万円の費用を要し、1階床下の施工においては作業員5名(約10時間)・監督2名で約37万円の費用を要する。
また特許文献1による従来の断熱壁では、住宅駆体の断熱性能を向上させるため、下地101上に略台形状の胴縁103を複数本固定し、胴縁103上に片面粘着テープを貼着し、壁下地101全面に現場発泡型の合成樹脂発泡体104を吹き付けると共に胴縁103間に空間105ができるように形成する。次に、片面粘着テープを剥すことにより胴縁103の表面を露出させ、胴縁103の表面に貼付した粘着テープによって、胴縁103上に防水シート106と乾式壁材107を施工する。
このように、断熱改修については本格的な工事が伴い、簡易に高性能な断熱改修を行うことが困難である。
本発明は、上記課題に鑑み、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の断熱壁は、室内空間を構成する面材と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に芯材が減圧密封され前記面材の室内側の面の少なくとも一部に前記外被材の間に前記芯材がある芯材部が重ならないように縦または横方向に並べて設けられた複数の真空断熱材と、前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように設けられた胴縁と、前記胴縁の室内側の面と接触するように前記胴縁に固定され前記真空断熱材と前記胴縁とを室内側から覆い隠すボード材とからなり、前記真空断熱材は、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記真空断熱材の外周部分には前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着されたヒレ部があり、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の前記真空断熱材の下側または右側の前記ヒレ部の端部が他方の下側または右側の前記真空断熱材の前記芯材部と前記真空断熱材の厚み方向に重なっており、前記真空断熱材の外周部分の前記ヒレ部の端部から前記芯材部までの前記ヒレ部の幅寸法が前記胴縁の幅寸法と前記真空断熱材の厚み寸法とを足した寸法より大きく、前記真空断熱材を設ける面における外周部分と対向する前記ヒレ部を折り返しており、前記胴縁は、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の前記真空断熱材の下側または右側の前記ヒレ部が他方の下側または右側の前記真空断熱材の上側または左側の前記ヒレ部と前記真空断熱材の厚み方向に重なっている部分と、前記ヒレ部を折り返して部分に設けられているのである。
これにより、室内空間を構成する面材(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材を、外被材の間に芯材がある芯材部が重ならないように縦または横方向に並べて設け(固定し)、次に、胴縁を、真空断熱材における外被材の間に芯材が無く対向する外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように配置して固定し、次に、真空断熱材と胴縁とを室内側から覆い隠すボード材を、胴縁の室内側の面と接触するように胴縁に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を得ることができ、既存壁を断熱壁にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁を薄くできる。また、真空断熱材を固定する面材を既存壁にする場合は、断熱壁とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
また、胴縁によって真空断熱材の熱溶着部を、面材に固定できるので、胴縁を固定する前の真空断熱材の面材への固定を、仮固定にすることができ、真空断熱材の面材への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
また、本発明に用いる真空断熱材は、外被材同士が密着する全ての部分の外被材同士が熱溶着されている真空断熱材であり、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分(芯材部)の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部の幅が広く、それにより胴縁と真空断熱材との接触面積を広くできるため、胴縁と真空断熱材との接触面積を広くして胴縁によって真空断熱材をより確実に固定できる。
また、真空断熱材が胴縁から受ける押圧力を広い接触面積で受けると、胴縁と真空断熱材との接触部分における単位面積あたりの押圧力が小さくなるため、胴縁と真空断熱材との接触面積を広くして胴縁による真空断熱材の熱溶着部の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分(芯材部)の近傍まで熱溶着されているので、胴縁と真空断熱材との接触で熱溶着部が損傷したり、真空断熱材を、熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定した場合でも、熱溶着部の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材側に充分な幅の熱溶着部が残る可能性が高いので、真空断熱材の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁になる。
また、外周部分の外被材同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部の幅が広いので、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の固定部材で、容易に胴縁を面材に固定できる。
また、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分(芯材部)の近傍まで熱溶着されているので、壁の厚さ方向に対して垂直な方向で外被材の間に芯材がある部分(芯材部)と胴縁との間隔を狭くしても、外被材の損傷で真空断熱材の断熱性能悪化の可能性が少なく、そのため、外被材の間に芯材がある部分(芯材部)と胴縁との間隔を狭くして断熱壁における真空断熱材の被覆率を高めて断熱壁の全体の断熱性能を高めることができる。
また、面材の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材を、芯材部が重ならないように縦または横方向に並べて設けたので、例えば、断熱壁にボード材の厚さより長い釘が打ち込まれて、釘の先端が真空断熱材に突き刺さり、真空断熱材の外被材が破損(破袋)して真空断熱材の内圧が上昇する場合でも、外被材が破損(破袋)して内圧が上昇した特定の真空断熱材の断熱性能が低下するだけで、その特定の真空断熱材の断熱性能の低下は、外被材が破損(破袋)していない他の真空断熱材には広がらないので、断熱壁全体の断熱性能の低下を少なく抑えることができる。
ところで、本発明の断熱壁に用いる真空断熱材は、その外周部分に外被材の間に芯材が無く対向する外被材同士が熱溶着されたヒレ部がある。そして、真空断熱材における外被材の間に芯材がある部分(芯材部)で覆われた部分は断熱性能が向上するが、真空断熱材の外周部分のヒレ部でのみ覆われた部分は断熱性能がほとんど向上しない。しかしながら、真空断熱材の外周部分のヒレ部の端部から芯材部までのヒレ部の幅を狭くすればする程、ヒレ部の端部から外被材同士を熱溶着した部分を通じて芯材を減圧密閉した空間に空気が侵入しやすくなり、芯材を減圧密閉した空間に空気が侵入して芯材を減圧密閉した空間の圧力が上昇すればする程、芯材部の断熱性能が低下する。
本発明の断熱壁に用いる真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に芯材が減圧密封され、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、外周部分には前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着されたヒレ部があり、複数の前記真空断熱材が、室内空間を構成する面材の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、前記外被材の間に前記芯材がある芯材部が重ならないように縦または横方向に並べて設けられるものであるが、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の前記真空断熱材の下側または右側の前記ヒレ部の端部が他方の下側または右側の前記真空断熱材の前記芯材部と前記真空断熱材の厚み方向に重なるように設け、また、前記真空断熱材を設ける面における外周部分と対向する前記ヒレ部を折り返したので、真空断熱材の長期に亘る断熱性能の維持に必要なヒレ部の幅(真空断熱材の外周部分のヒレ部の端部から芯材部までの幅)を確保しながら、室内空間を構成する面材における真空断熱材を設ける部分の面積における真空断熱材の有効断熱部である外被材の間に芯材がある部分(芯材部)で覆われる面積の割合を大きくすることができる。したがって、長期に亘って断熱性能が優れた断熱壁を提供できる。
また、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の真空断熱材の下側または右側のヒレ部が他方の下側または右側の真空断熱材の上側または左側のヒレ部と真空断熱材の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁は、一つの胴縁で、互いにヒレ部が重なっている複数の真空断熱材を、面材に押さえつけて、胴縁の幅を広くすることなく固定でき、一つの胴縁で固定される複数の真空断熱材のそれぞれを最大で胴縁の幅で広く押さえて固定でき、面材における真空断熱材で覆う部分(断熱性能を向上させたい部分)の周縁に設ける外枠となる胴縁と外枠の胴縁に囲まれた部分に設ける胴縁の幅を同じにできる。
また、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の真空断熱材の下側または右側のヒレ部が他方の下側または右側の真空断熱材の上側または左側のヒレ部と真空断熱材の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁を、ヒレ部が重なっている部分を貫通する固定部材で面材に固定することができるので、ヒレ部が重なっている部分を貫通する固定部材で、互いにヒレ部が重なっている複数の真空断熱材を、面材に平行な方向にずれないように固定できる。
また、本発明の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れているので、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に建物が住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
本発明の断熱壁は、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を得ることができ、既存壁を断熱壁にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
また、真空断熱材を用いているので、断熱壁を薄くできる。また、真空断熱材を固定する面材を既存壁にする場合は、断熱壁とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
また、胴縁によって真空断熱材の熱溶着部を、面材に固定できるので、胴縁を固定する前の真空断熱材の面材への固定を、仮固定にすることができ、真空断熱材の面材への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
また、胴縁と真空断熱材との接触面積を広くできるため、胴縁と真空断熱材との接触面積を広くして胴縁によって真空断熱材をより確実に固定できる。
また、胴縁と真空断熱材との接触面積を広くして胴縁による真空断熱材の熱溶着部の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分の近傍まで熱溶着されているので、胴縁と真空断熱材との接触で熱溶着部が損傷したり、真空断熱材を、熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定した場合でも、熱溶着部の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材側に充分な幅の熱溶着部が残る可能性が高いので、真空断熱材の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁になる。
また、外周部分の外被材同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部の幅が広いので、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の固定部材で、容易に胴縁を面材に固定できる。
また、外被材の間に芯材がある部分と胴縁との間隔を狭くして断熱壁における真空断熱材の有効断熱部である外被材の間に芯材がある部分(芯材部)の被覆率を高めて断熱壁の全体の断熱性能を高めることができる。
また、例えば、断熱壁にボード材の厚さより長い釘が打ち込まれて、釘の先端が真空断熱材に突き刺さり、真空断熱材の外被材が破損(破袋)して真空断熱材の内圧が上昇する場合でも、外被材が破損(破袋)して内圧が上昇した特定の真空断熱材の断熱性能が低下するだけで、その特定の真空断熱材の断熱性能の低下は、外被材が破損(破袋)していない他の真空断熱材には広がらないので、断熱壁全体の断熱性能の低下を少なく抑えることができる。
また、真空断熱材の長期に亘る断熱性能の維持に必要なヒレ部の幅(真空断熱材の外周部分のヒレ部の端部から芯材部までの幅)を確保しながら、室内空間を構成する面材における真空断熱材を設ける部分の面積における真空断熱材の有効断熱部である外被材の間に芯材がある部分(芯材部)で覆われる面積の割合を大きくすることができるので、長期に亘って断熱性能が優れた断熱壁を提供できる。
また、本発明の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れているので、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に建物が住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
本発明の請求項1に記載の断熱壁の発明は、室内空間を構成する面材と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に芯材が減圧密封され前記面材の室内側の面の少なくとも一部に前記外被材の間に前記芯材がある芯材部が重ならないように縦または横方向に並べて設けられた複数の真空断熱材と、前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように設けられた胴縁と、前記胴縁の室内側の面と接触するように前記胴縁に固定され前記真空断熱材と前記胴縁とを室内側から覆い隠すボード材とからなり、前記真空断熱材は、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記真空断熱材の外周部分には前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着されたヒレ部があり、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の前記真空断熱材の下側または右側の前記ヒレ部の端部が他方の下側または右側の前記真空断熱材の前記芯材部と前記真空断熱材の厚み方向に重なっており、前記真空断熱材の外周部分の前記ヒレ部の端部から前記芯材部までの前記ヒレ部の幅寸法が前記胴縁の幅寸法と前記真空断熱材の厚み寸法とを足した寸法より大きく、前記真空断熱材を設ける面における外周部分と対向する前記ヒレ部を折り返しており、前記胴縁は、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の前記真空断熱材の下側または右側の前記ヒレ部が他方の下側または右側の前記真空断熱材の上側または左側の前記ヒレ部と前記真空断熱材の厚み方向に重なっている部分と、前記ヒレ部を折り返して部分に設けられているものである。
これにより、室内空間を構成する面材(既存壁または壁下地)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材を、外被材の間に芯材がある芯材部が重ならないように縦または横方向に並べて設け(固定し)、次に、胴縁を、真空断熱材における外被材の間に芯材が無く対向する外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように配置して固定し、次に、真空断熱材と胴縁とを室内側から覆い隠すボード材を、胴縁の室内側の面と接触するように胴縁に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁を得ることができ、既存壁を断熱壁にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
また、真空断熱材はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁を薄くできる。また、真空断熱材を固定する面材を既存壁にする場合は、断熱壁とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
また、胴縁によって真空断熱材の熱溶着部を、面材に固定できるので、胴縁を固定する前の真空断熱材の面材への固定を、仮固定にすることができ、真空断熱材の面材への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
また、本発明に用いる真空断熱材は、外被材同士が密着する全ての部分の外被材同士が熱溶着されている真空断熱材であり、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分(芯材部)の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部の幅が広く、それにより胴縁と真空断熱材との接触面積を広くできるため、胴縁と真空断熱材との接触面積を広くして胴縁によって真空断熱材をより確実に固定できる。
また、真空断熱材が胴縁から受ける押圧力を広い接触面積で受けると、胴縁と真空断熱材との接触部分における単位面積あたりの押圧力が小さくなるため、胴縁と真空断熱材との接触面積を広くして胴縁による真空断熱材の熱溶着部の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分(芯材部)の近傍まで熱溶着されているので、胴縁と真空断熱材との接触で熱溶着部が損傷したり、真空断熱材を、熱溶着部を貫通して面材に突き刺さる部材で固定した場合でも、熱溶着部の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材側に充分な幅の熱溶着部が残る可能性が高いので、真空断熱材の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁になる。
また、外周部分の外被材同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部の幅が広いので、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の固定部材で、容易に胴縁を面材に固定できる。
また、外被材同士が密着する部分は外被材の間に芯材がある部分(芯材部)の近傍まで熱溶着されているので、壁の厚さ方向に対して垂直な方向で外被材の間に芯材がある部分(芯材部)と胴縁との間隔を狭くしても、外被材の損傷で真空断熱材の断熱性能悪化の可能性が少なく、そのため、外被材の間に芯材がある部分(芯材部)と胴縁との間隔を狭くして断熱壁における真空断熱材の被覆率を高めて断熱壁の全体の断熱性能を高めることができる。
また、面材の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材を、芯材部が重ならないように縦または横方向に並べて設けたので、例えば、断熱壁にボード材の厚さより長い釘が打ち込まれて、釘の先端が真空断熱材に突き刺さり、真空断熱材の外被材が破損(破袋)して真空断熱材の内圧が上昇する場合でも、外被材が破損(破袋)して内圧が上昇した特定の真空断熱材の断熱性能が低下するだけで、その特定の真空断熱材の断熱性能の低下は、外被材が破損(破袋)していない他の真空断熱材には広がらないので、断熱壁全体の断熱性能の低下を少なく抑えることができる。
ところで、本発明の断熱壁に用いる真空断熱材は、その外周部分に外被材の間に芯材が無く対向する外被材同士が熱溶着されたヒレ部がある。そして、真空断熱材における外被材の間に芯材がある部分(芯材部)で覆われた部分は断熱性能が向上するが、真空断熱材の外周部分のヒレ部でのみ覆われた部分は断熱性能がほとんど向上しない。しかしながら、真空断熱材の外周部分のヒレ部の端部から芯材部までのヒレ部の幅を狭くすればする程、ヒレ部の端部から外被材同士を熱溶着した部分を通じて芯材を減圧密閉した空間に空気が侵入しやすくなり、芯材を減圧密閉した空間に空気が侵入して芯材を減圧密閉した空間の圧力が上昇すればする程、芯材部の断熱性能が低下する。
本発明の断熱壁に用いる真空断熱材は、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に芯材が減圧密封され、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、外周部分には前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着されたヒレ部があり、複数の前記真空断熱材が、室内空間を構成する面材の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、前記外被材の間に前記芯材がある芯材部が重ならないように縦または横方向に並べて設けられるものであるが、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の前記真空断熱材の下側または右側の前記ヒレ部の端部が他方の下側または右側の前記真空断熱材の前記芯材部と前記真空断熱材の厚み方向に重なるように設け、また、前記真空断熱材を設ける面における外周部分と対向する前記ヒレ部を折り返したので、真空断熱材の長期に亘る断熱性能の維持に必要なヒレ部の幅(真空断熱材の外周部分のヒレ部の端部から芯材部までの幅)を確保しながら、室内空間を構成する面材における真空断熱材を設ける部分の面積における真空断熱材の有効断熱部である外被材の間に芯材がある部分(芯材部)で覆われる面積の割合を大きくすることができる。したがって、長期に亘って断熱性能が優れた断熱壁を提供できる。
また、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の真空断熱材の下側または右側のヒレ部が他方の下側または右側の真空断熱材の上側または左側のヒレ部と真空断熱材の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁は、一つの胴縁で、互いにヒレ部が重なっている複数の真空断熱材を、面材に押さえつけて、胴縁の幅を広くすることなく固定でき、一つの胴縁で固定される複数の真空断熱材のそれぞれを最大で胴縁の幅で広く押さえて固定でき、面材における真空断熱材で覆う部分(断熱性能を向上させたい部分)の周縁に設ける外枠となる胴縁と外枠の胴縁に囲まれた部分に設ける胴縁の幅を同じにできる。
また、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の真空断熱材の下側または右側のヒレ部が他方の下側または右側の真空断熱材の上側または左側のヒレ部と真空断熱材の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁を、ヒレ部が重なっている部分を貫通する固定部材で面材に固定することができるので、ヒレ部が重なっている部分を貫通する固定部材で、互いにヒレ部が重なっている複数の真空断熱材を、面材に平行な方向にずれないように固定できる。
また、本発明の断熱壁を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した建物は、断熱性能に優れているので、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。特に建物が住宅の場合は、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
次に、真空断熱材の構成材料について詳細に説明する。
芯材に使用する材料は、気相比率90%前後の多孔体をシート状または板状に加工したものであり、工業的に利用できるものとして、発泡体、粉体、および繊維体等がある。これらは、その使用用途や必要特性に応じて公知の材料を使用することができる。但し、外被材同士を熱溶着する時の熱で融けないものが好ましい。
このうち、発泡体としては、耐熱性に優れた材料の連続気泡体が利用できる。また、粉体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物を利用できるが、工業的には、乾式シリカ、湿式シリカ、パーライト等を主成分とするものが使用できる。
また、繊維体としては、無機系、有機系、およびこれらの混合物が利用できるが、コストと断熱性能の観点から無機繊維が有利である。無機繊維の一例としては、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料を使用することができる。
また、これら、発泡体、粉体、および繊維体等の混合物も適用することができる。
ただし、芯材は、厚さが3〜12mm程度で、外被材同士を熱溶着させる時の熱で、気相比率が減少しにくいものが好ましい。
外被材に使用するラミネートフィルムは、最内層を熱溶着層とし、中問層にはガスバリア層として、金属箔、或いは金属蒸着層を有し、最外層には表面保護層を設けたラミネートフィルムが適用できる。また、ラミネートフィルムは、金属箔を有するラミネートフィルムと金属蒸着層を有するラミネートフィルムの2種類のラミネートフィルムを組み合わせて適用しても良い。
なお、熱溶着層としては、低密度ポリエチレンフィルム、鎖状低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、無延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレンービニルアルコール共重合体フィルム、或いはそれらの混合体等を用いることができる。
表面保護層としては、ナイロンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムの延伸加工品など、公知の材料が利用できる。
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。また、先に説明した実施の形態と同一構成のものについては、同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における断熱壁を水平な平面で上下に切断し上側の切断面を下から見た場合の要部断面図、図2は同実施の形態の断熱壁に用いた真空断熱材の平面図、図3は図2のA−A断面図である。
本実施の形態の断熱壁1は、室内空間を構成する面材で断熱改修部位となる既存の建物の内壁2と、熱溶着層3同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな長方形の外被材4の間にガラス繊維などの無機繊維の積層体からなる厚さが8mm前後(3〜10mm)の長方形の板状の芯材5が減圧密封され面材(内壁2)の室内側の面(の断熱性能を向上させたい部分)に外被材4の間に芯材5がある芯材部6が重ならないように横方向に並べて設けられた複数の真空断熱材7と、真空断熱材7における外被材4の間に芯材5が無く対向する外被材4同士が熱溶着された熱溶着部8の室内側の面の一部と接触するように設けられた硬質の発泡系断熱材またはコルクからなる幅約16mmの胴縁9と、胴縁9の室内側の面と接触するように胴縁9に釘10で固定され真空断熱材7と胴縁9とを室内側から覆い隠す石膏ボードからなるボード材11とからなる。
ボード材11の室内側の面には壁紙(図示せず)を貼っている。
真空断熱材7は、外被材4の間に芯材5が無い部分の外被材4同士を密着させて、密着した外被材4同士を熱溶着してなり、外被材4同士が密着する全ての部分の外被材4同士が熱溶着されており、真空断熱材7の外周部分には外被材4の間に芯材5が無く対向する外被材4同士が熱溶着された幅40mm前後のヒレ部12があり、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材7の右側のヒレ部12の端部が他方の右側の真空断熱材7の芯材部6と真空断熱材7の厚み方向に重なっている。
また、真空断熱材7の外周部分のヒレ部12の端部から芯材部6までのヒレ部12の幅寸法が胴縁9の幅寸法と真空断熱材7の厚み寸法とを足した寸法より大きく、真空断熱材7を設ける面における外周部分と対向するヒレ部12を折り返している。
真空断熱材7は、芯材部6を揮発性有機化合物の放散量が厚生労働省の室内濃度指針値以下の両面テープ(図示せず)で面材(内壁2)に固定するか、もしくは、外被材4の間に芯材5が無く対向する外被材4同士が熱溶着された熱溶着部8(ヒレ部12)における芯材部15から所定間隔(例えば12mm)以上離れた箇所を貫通して内壁2に突き刺さるタッカー(図示せず)で内壁2に固定する。
また、胴縁9は、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材7の右側のヒレ部12が他方の右側の真空断熱材7の左側のヒレ部12と真空断熱材7の厚み方向に重なっている部分と、ヒレ部12を折り返して部分に設けられ、胴縁9と芯材部6から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部8とを貫通して内壁2に突き刺さるタッカー(図示せず)で内壁2に固定している。
釘10は、ボード材11と胴縁9と芯材部6から所定間隔(例えば12mm)以上離れた熱溶着部8(ヒレ部12)とを貫通して内壁2に突き刺さることによりボード材11を胴縁9と内壁2とに固定する。
本実施の形態における内壁2は、室内側からコの字形の金属製の固定具であるタッカーやネジや釘を打ち込み可能な材料からなり所定の厚みを有するものである。釘10が内壁2を貫通する場合は、内壁2の裏面(反室内側の面)に柱がある部分に釘10を打ち込むようにすることが好ましい。
外被材4は、芯材5側より、ポリエチレン等による熱溶着層3、10μm以下のアルミ箔(図示せず)、ナイロンまたはポエチレンテレフタレート等よりなる第2の保護層(図示せず)、ナイロンまたはポエチレンテレフタレート等よりなる第1の保護層(図示せず)より構成されている。
尚、本実施の形態での数値は、この数に対してこだわる必要はない。また、真空断熱材7を横方向だけでなく、縦方向にも並べても構わない。
本実施の形態の断熱壁1は、室内空間を構成する面材で断熱改修部位となる既存の建物の内壁2の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材7を、外被材4の間に芯材5がある芯材部6が重ならないように横方向に並べて設け(固定し)、次に、胴縁9を、真空断熱材7における外被材4の間に芯材5が無く対向する外被材4同士が熱溶着された熱溶着部8(ヒレ部12)の室内側の面の一部と接触するように配置して固定し、次に、真空断熱材7と胴縁9とを室内側から覆い隠すボード材11を、胴縁9の室内側の面と接触するように胴縁9に固定することにより、現場発泡の発泡断熱材を用いることなく、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁1を得ることができ、既存壁を断熱壁1にする場合は、既存壁を解体する必要はなく、壁紙の張り替えに近いレベルで簡単に断熱強化を行うことができるため、工事期間・工事費用においても非常に有利となる効果が得られる。
また、真空断熱材7はスチレンフォーム等の汎用の断熱材に比べて断熱性能が非常に優れているため、断熱材部分の厚みを薄くでき、その結果、断熱壁1を薄くできる。また、真空断熱材7を固定する面材を既存壁の内壁2にする場合は、断熱壁1とすることによる室内側への壁面の出っ張り寸法を小さくできるので、問題なく適用可能な範囲が広く実用的である。
また、胴縁9によって真空断熱材7の熱溶着部8(ヒレ部12)を、面材(内壁2)に固定できるので、胴縁9を固定する前の真空断熱材7の面材(内壁2)への固定を、仮固定にすることができ、真空断熱材7の面材(内壁2)への固定に、時間の経過により固定または接着の機能が低下するような固定手段を用いることができ、固定手段の選択肢が多く、固定手段の選択によっては、作業性の向上やコスト低減が可能になる。
また、本実施の形態に用いる真空断熱材7は、外被材4同士が密着する全ての部分の外被材4同士が熱溶着されている真空断熱材7であり、外被材4同士が密着する部分は外被材4の間に芯材5がある部分(芯材部6)の近傍まで熱溶着されているので、外周部分の外被材4同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部8の幅が広く、それにより胴縁9と真空断熱材7との接触面積を広くできるため、胴縁9と真空断熱材7との接触面積を広くして胴縁9によって真空断熱材7をより確実に固定できる。
また、真空断熱材7が胴縁9から受ける押圧力を広い接触面積で受けると、胴縁9と真空断熱材7との接触部分における単位面積あたりの押圧力が小さくなるため、胴縁9と真空断熱材7との接触面積を広くして胴縁9による真空断熱材7の熱溶着部8(ヒレ部12)の損傷の可能性を小さくすることができ、外被材4同士が密着する部分は外被材4の間に芯材5がある部分(芯材部6)の近傍まで熱溶着されているので、胴縁9と真空断熱材7との接触で熱溶着部8(ヒレ部12)が損傷したり、真空断熱材7を、熱溶着部8(ヒレ部12)を貫通して面材(内壁2)に突き刺さる部材で固定した場合でも、熱溶着部8(ヒレ部12)の損傷部分や貫通孔ができた部分の芯材5側に充分な幅の熱溶着部8が残る可能性が高いので、真空断熱材7の断熱性能悪化の可能性が少なく、断熱性能の信頼性が高い断熱壁1になる。
また、外周部分の外被材4同士のみ熱溶着された真空断熱材に比べて熱溶着部8の幅が広いので、釘、ネジ、タッカー(ステープラー)等の固定部材で、容易に胴縁9を面材(内壁2)に固定できる。
また、外被材4同士が密着する部分は外被材4の間に芯材5がある部分(芯材部6)の近傍まで熱溶着されているので、壁の厚さ方向に対して垂直な方向で外被材4の間に芯材5がある部分(芯材部6)と胴縁9との間隔を狭くしても、外被材4の損傷で真空断熱材7の断熱性能悪化の可能性が少なく、そのため、外被材4の間に芯材5がある部分(芯材部6)と胴縁9との間隔を狭くして断熱壁1における真空断熱材7の芯材部6(有効断熱部分)の被覆率を高めて断熱壁1の全体の断熱性能を高めることができる。
また、面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、複数の真空断熱材7を、芯材部6が重ならないように横方向に並べて設けたので、例えば、断熱壁1にボード材11の厚さより長い釘が打ち込まれて、釘の先端が真空断熱材7(の芯材部6)に突き刺さり、真空断熱材7の外被材4が破損(破袋)して真空断熱材7の内圧が上昇する場合でも、外被材4が破損(破袋)して内圧が上昇した特定の真空断熱材7の断熱性能が低下するだけで、その特定の真空断熱材7の断熱性能の低下は、外被材4が破損(破袋)していない他の真空断熱材7には広がらないので、断熱壁1全体の断熱性能の低下を少なく抑えることができる。
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材7は、その外周部分に外被材4の間に芯材5が無く対向する外被材4同士が熱溶着されたヒレ部12がある。そして、真空断熱材7における外被材4の間に芯材5がある部分(芯材部6)で覆われた部分は断熱性能が向上するが、真空断熱材7の外周部分のヒレ部12でのみ覆われた部分は断熱性能がほとんど向上しない。しかしながら、真空断熱材7の外周部分のヒレ部12の端部から芯材部6までのヒレ部12の幅を狭くすればする程、ヒレ部12の端部から外被材4同士を熱溶着した部分を通じて芯材5を減圧密閉した空間に空気が侵入しやすくなり、芯材5を減圧密閉した空間に空気が侵入して芯材5を減圧密閉した空間の圧力が上昇すればする程、芯材部6の断熱性能が低下する。
本実施の形態の断熱壁1に用いる真空断熱材7は、熱溶着層3同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材4の間に芯材5が減圧密封され、外被材4の間に芯材5が無い部分の外被材4同士を密着させて、密着した外被材4同士を熱溶着してなり、外被材4同士が密着する全ての部分の外被材4同士が熱溶着されており、外周部分には外被材4の間に芯材5が無く対向する外被材4同士が熱溶着されたヒレ部12があり、複数の真空断熱材7が、室内空間を構成する面材(内壁2)の室内側の面の少なくとも一部(断熱性能を向上させたい部分)に、外被材4の間に芯材5がある芯材部6が重ならないように横方向に並べて設けられるものであるが、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材7の右側のヒレ部12の端部が他方の右側の真空断熱材7の芯材部6と真空断熱材7の厚み方向に重なるように設け、また、真空断熱材7を設ける面における外周部分と対向するヒレ部12を折り返したので、真空断熱材7の長期に亘る断熱性能の維持に必要なヒレ部12の幅(真空断熱材7の外周部分のヒレ部12の端部から芯材部6までの幅)を確保しながら、室内空間を構成する面材(内壁2)における真空断熱材7を設ける部分の面積における真空断熱材7の有効断熱部である外被材4の間に芯材5がある部分(芯材部6)で覆われる面積の割合を大きくすることができる。したがって、長期に亘って断熱性能が優れた断熱壁1を提供できる。
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材7の右側のヒレ部12が他方の右側の真空断熱材7の左側のヒレ部12と真空断熱材7の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁9は、一つの胴縁9で、互いにヒレ部12が重なっている複数の真空断熱材7を、面材(内壁2)に押さえつけて、胴縁9の幅を広くすることなく固定でき、一つの胴縁9で固定される複数の真空断熱材7のそれぞれを最大で胴縁9の幅で広く押さえて固定でき、面材(内壁2)における真空断熱材7で覆う部分(断熱性能を向上させたい部分)の周縁に設ける外枠となる胴縁9と外枠の胴縁9に囲まれた部分に設ける胴縁9の幅を同じにできる。
また、横方向に隣接する一方の左側の真空断熱材7の右側のヒレ部12が他方の右側の真空断熱材7の左側のヒレ部12と真空断熱材7の厚み方向に重なっている部分に設けられる胴縁9を、ヒレ部12が重なっている部分を貫通する固定部材で面材(内壁2)に固定することができるので、ヒレ部12が重なっている部分を貫通する固定部材で、互いにヒレ部12が重なっている複数の真空断熱材7を、面材(内壁2)に平行な方向にずれないように固定できる。
本実施の形態の断熱壁1を、室内空間を構成する壁、天井、床のいずれかに適用した住宅は、断熱性能に優れ、外気温の変動が大きい場合でも、室温の変動を小さくでき、室温を所定温度に保つために、室内の空気を冷却または加熱する場合は、室内の空気を冷却または加熱するためのエネルギーが少なくて済む。また、少ない冷暖房エネルギー(冷暖房費)で快適空間を実現できる。
断熱壁1を天井に適用する場合は、ボード材11、胴縁9、真空断熱材7、釘10、タッカー等の構成要素が落下しないようにしっかりと固定する。断熱壁1を床に適用する場合は、重力方向の荷重に耐えられるように、ボード材11の材料や厚みや構造、胴縁9の材料や構造や幅や隣接する胴縁9同士の間隔を選定する。
以上のように本発明の断熱壁は、容易に施工可能で断熱性能が良好な断熱壁であり、既存の建物の内壁を解体することなくリフォーム(断熱改修)して断熱壁にする場合に最適であるが、新築の建物の壁にも適用可能で、住宅用の建物や商業用の建物、その他、断熱が必要な建物に有用である。
本発明の実施の形態1における断熱壁の要部断面図 同実施の形態の断熱壁に用いた真空断熱材の平面図 図2のA−A断面図 従来の断熱壁の概略断面図
符号の説明
1 断熱壁
2 内壁
3 熱溶着層
4 外被材
5 芯材
6 芯材部
7 真空断熱材
8 熱溶着部
9 胴縁
11 ボード材
12 ヒレ部

Claims (1)

  1. 室内空間を構成する面材と、熱溶着層同士が対向するガスバリア性でフレキシブルな外被材の間に芯材が減圧密封され前記面材の室内側の面の少なくとも一部に前記外被材の間に前記芯材がある芯材部が重ならないように縦または横方向に並べて設けられた複数の真空断熱材と、前記真空断熱材における前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着された熱溶着部の室内側の面の一部と接触するように設けられた胴縁と、前記胴縁の室内側の面と接触するように前記胴縁に固定され前記真空断熱材と前記胴縁とを室内側から覆い隠すボード材とからなり、
    前記真空断熱材は、前記外被材の間に前記芯材が無い部分の前記外被材同士を密着させて、前記密着した前記外被材同士を熱溶着してなり、前記外被材同士が密着する全ての部分の前記外被材同士が熱溶着されており、前記真空断熱材の外周部分には前記外被材の間に前記芯材が無く対向する前記外被材同士が熱溶着されたヒレ部があり、
    縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の前記真空断熱材の下側または右側の前記ヒレ部の端部が他方の下側または右側の前記真空断熱材の前記芯材部と前記真空断熱材の厚み方向に重なっており、
    前記真空断熱材の外周部分の前記ヒレ部の端部から前記芯材部までの前記ヒレ部の幅寸法が前記胴縁の幅寸法と前記真空断熱材の厚み寸法とを足した寸法より大きく、前記真空断熱材を設ける面における外周部分と対向する前記ヒレ部を折り返しており、
    前記胴縁は、縦または横方向に隣接する一方の上側または左側の前記真空断熱材の下側または右側の前記ヒレ部が他方の下側または右側の前記真空断熱材の上側または左側の前記ヒレ部と前記真空断熱材の厚み方向に重なっている部分と、前記ヒレ部を折り返して部分に設けられている断熱壁。
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