JP2008255733A - 建造物の断熱構造及び断熱パネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 繊維系断熱材等5と真空断熱材1とを組み合わせて、断熱材の厚みを増大させなくても高い断熱性能が得られるようにし、この際、例えば室内側の水蒸気が室外側に向けて流れる建造物の場合には、繊維系断熱材等5よりも室内側Iに真空断熱材1がその建造物の壁部や屋根部等の構造体全域に隙間なく設ける。
【選択図】 図1
Description
ところで、省エネルギーや温暖化ガス排出抑制等の理由から、木造住宅やコンクリート造り等の建造物にも断熱性向上が求められており、この際、従来から用いられている繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材の厚みを厚くすれば簡単に対応可能であるが、居住空間の有効利用等の観点から、建造物の壁や屋根(天井)等の各部位における厚みは適度の範囲に納めることが好ましいことはいうまでもない。
そこで、真空断熱材と繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材とを組み合わせた複合断熱材が提案されており、例えば住宅などの断熱壁として、複数個の真空断熱材をポリウレタンフォーム等の発泡合成樹脂で覆うようにした技術(例えば、特許文献1参照。)や、真空断熱材にポリウレタンフォーム等の断熱材を積層するようにした技術(例えば、特許文献2参照。)や、真空断熱材をポリウレタンフォーム等の合成樹脂フォームで覆った真空断熱ボードを形成し、外断熱構造に適用できるようにした技術(例えば、特許文献3参照。)などが知られている。
すなわち、特に繊維系断熱材などは水蒸気を透過しやすく、また発泡樹脂系断熱材なども種類によっては比較的透湿性が高い反面、真空断熱材のガスバリア性フィルムなどは、水蒸気を遮断する性能が極めて高いため、真空断熱材と繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材との配置を適切にしないと、繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材の内部において結露が生じてしまう虞があった。
このような断熱パネルは、建造物の壁部や屋根部(天井部)等の構造体を断熱する目的で使用することができ、この断熱パネルは、表装材の一面全域が真空断熱材により隙間なく覆われるため、この断熱パネルを建造物の壁部や屋根部(天井部)等の構造体に施工しても、その壁部や屋根部(天井部)等の構造体に配設されている繊維樹脂系断熱材または発泡樹脂製断熱材の内部において結露が生じることがなく、経時の断熱性を良好にすることができる。
なお、真空断熱材のミミ部を、例えば木造住宅の建造物における柱や垂木、或いはコンクリート造の建造物における壁部や天井部等の躯体(構造体)などに、タッカーや釘等の留付け金具を使用して固定すれば、真空断熱材の芯材部分の真空度が損なわれることがなく、断熱性低下の不具合を防止することができる。
また、上述したように室外側の水蒸気が室内側に向けて流れる場合(つまり、室外側よりも室内側が低温に保持される建造物の場合)には、繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材よりも室外側に真空断熱材が隙間なく設けることにより、繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材の内部において結露を生じることがなく、断熱性の低下や断熱材の耐久性低下を防止することができる。
すなわち、建造物の壁部または屋根部(天井部)等の構造体において、複数の真空断熱材を使用するものであるが、真空断熱材の周縁部のミミ部を重ね合わせて、かつ壁部または屋根部(天井部)等の構造体において真空断熱材を隙間なく設けることにより、壁部や屋根部(天井部)等の構造体において設けられた繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材の内部において結露を生じさせない。
また、繊維樹脂系断熱材または発泡樹脂系断熱材と真空断熱材と表装材とが組み合わせられて一体化される断熱パネルにおいて、真空断熱材として、周縁部の少なくとも一部にミミ部が形成されるものとし、表装材の一面全域が真空断熱材により隙間なく設けたパネルであれば、例えばコンクリート壁等に固定する際に、ミミ部を利用して真空度を損なわせることなく固定することができ、断熱性を維持できるとともに繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材の内部において結露を生じさせない。
ここで図1は本発明に係る断熱構造を室外側が低温に保持される木造住宅の建造物に適用した例を示す説明図、図2は本発明に係る断熱構造を室内側が低温に保持されるコンクリート造りの建造物に適用した例を示す説明図、図3は本発明に係る断熱パネルの一例を示す説明図、図4は真空断熱材の一例を示す説明図、図5は図4のA−A線断面図である。
真空断熱材1は、図4、図5に示すように、一般的に、無機質発泡粉末やシリカ粉末やグラスファイバ等の芯材2の周囲をガスバリア性フィルム3で覆い、内部の芯材部分を真空引きした後、周縁部を熱融着して芯材部分を封止した構造を有しており、このため、ガスバリア性フィルム3は、表面側のアルミニウム箔等の金属箔層と裏面側の融着性のある樹脂フィルム層とが積層されたラミネート構造にされている。
なお、このミミ部4は、図では周縁部の四辺に形成された例を示しているが、必ずしも四辺に形成されるものではなく、少なくとも一辺に形成されていればよく、特に複数並べる場合には、少なくとも対向二辺に形成されていればより好ましい。
図1は、木造住宅の建造物における柱や間柱間(或いは、垂木間や母屋間)に繊維系断熱材等を充填した充填断熱工法の一例である。
この際、必要に応じて隣接する真空断熱材1のミミ部の重ね合わせられた部分を両面接着テープやタッカーや釘で固定してもよい。
なお、真空断熱材1の室外側Iには内装材7を張り付けるものである。
室内側Iが低温に保持される建造物としては、例えば保冷庫や冷蔵倉庫や冷蔵庫等が挙げられる。これらの建造物は、例えば庫内温度が0℃以下で使用される場合があり、水蒸気圧の関係で、水蒸気の流れは上記の場合とは逆に、室外側Oから室内側Iに向かうようになり、断熱材の防湿層は室外側Oに設ける必要がある。そこで、従来コンクリートやALC板などの躯体8全域にシート状またはフェルト状の防湿層を形成するか、または防湿材を塗布するなどして対応しているものであったが、その防湿層を形成するのに手間が掛かっていた。一方で、保冷庫や冷蔵倉庫や冷蔵庫等の建造物においても、省エネルギー対策上、断熱性能の向上が求められるほか、断熱材の長期の性能維持が要求され、しかも庫内容量の削減を避けることも要求される。
そこで、本発明のこのような建造物の場合には、繊維系断熱材等5として従来から用いられている現場発泡ウレタンフォームと、真空断熱材1とを組み合わせることにより、繊維系断熱材等5の厚みを増すことなく、高い断熱性能を得ることができ、しかも躯体8全域に真空断熱材1を設けることにより、従来躯体8全域にシート状またはフェルト状の防湿層を形成する1工程を少なくすることができるものである。
以上のような方法により、高い断熱性能を得ることができるとともに、別途、防湿層を施工する工程を省略できるものである。
なお、図2では説明上躯体8と真空断熱材1との間に僅かな隙間が形成されている部分もあるが、このような隙間は無くすことが好ましい。
従来から、石膏ボードなどの表装材10と、繊維系断熱材等5とを複合一体化した断熱パネルを、例えばコンクリート造の建造物を断熱する目的でコンクリートの室内側壁面に接着したり、留付け金具などで留め付けられたりして使用されていた。
この場合も、当然省エネルギーの観点から断熱性能向上の要請は強く、しかも断熱材の厚みを増すことは室内空間の減少を招くことから、断熱材の厚みは最小限に抑えることが望ましいものであった。
尚、図3に示す断熱パネル12の例では、表装材10の裏面(表装材の室外側Oの面)全域に隙間が生じないように真空断熱材1を密着させて貼り付けた例を説明したが、例えば、表装材10と繊維断熱材等5との間に真空断熱材1が配設されると共に、表装材10が繊維断熱材等5よりも室外側に設けられたパネルの場合には、表装材10の室内側Iの面全域に隙間が生じないように真空断熱材1を密着させて貼り付けるものである。つまり、表装材10の真空断熱材1と接する一面において、真空断熱材1は、その表装材10の一面全域に設けていればよい。
例えば、真空断熱材1のミミ部4の位置、形状等は例示である。
Claims (2)
- 繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材と真空断熱材とが組み合わせられる建造物の断熱構造であって、
前記真空断熱材は、周縁部の少なくとも一部に、芯材の周囲を覆うガスバリヤ性フィルム同士が融着されて芯材部分を封止するミミ部が形成されるものであり、
隣接する真空断熱材のミミ部同士が重ね合わせられるとともに、
室内側の水蒸気が室外側に向けて流れる建造物の場合には、繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材よりも室内側で、真空断熱材が建造物の構造体全域に隙間なく設けられ、
或いは、室外側の水蒸気が室内側に向けて流れる建造物の場合には、繊維系断熱材または発泡樹脂系断熱材よりも室外側に、真空断熱材が構造体全域に隙間なく設けられることを特徴とする建造物の断熱構造。 - 繊維系断熱材または発泡樹脂製断熱材と真空断熱材と表装材とが組み合わせられて一体化される断熱パネルであって、前記真空断熱材は、周縁部の少なくとも一部に、芯材の周囲を覆うガスバリヤ性フィルム同士が融着されて芯材部分を封止するミミ部が形成されるものであり、この真空断熱材が前記表装材と繊維系断熱材または発泡樹脂断熱材との間に配設されるとともに、前記真空断熱材は、表装材の一面全域に隙間なく設けられることを特徴とする建造物の断熱パネル。
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