JP5073468B2 - 光起電力装置の製造方法 - Google Patents
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Description
太陽電池用基板にテクスチャ形成する方法としては、基板が単結晶基板の場合、エッチング速度に結晶方位依存性を持つ水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液による結晶方位を利用した異方性エッチング処理が広く用いられる。例えば、(100)面の基板表面にこの異方性エッチング処理を行うと、(111)面が露出したピラミッド状のテクスチャが形成される。
テクスチャを形成する目的は、反射光の再取り込みであるため、反射光は、再び基板面に到達する角度で反射される必要がある。テクスチャのアスペクト比が低い場合、基板面の垂線に対して大きな角度を持った反射光のみしか基板面に再入射できない。
最初に、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法において用いられる材料を説明する。
シリコン基板は、民生用太陽電池向けとして最も一般的に使用されている矩形の多結晶シリコン基板であり、多結晶シリコンインゴットをマルチワイヤーソーでスライスした後に、酸またはアルカリ溶液を用いたウェットエッチングでスライス時のダメージを除去したものである。ダメージ除去後のシリコン基板の厚みは250μm、寸法は150mm×150mmである。
また、シリコン基板上に形成される耐エッチング性を有する膜(以下、「耐エッチング膜」と称す。)は、プラズマCVD法により成膜された膜厚240nmの窒化シリコン膜(以下、「SiN膜」と称す。)である。なお、ここではSiN膜を用いるが、酸化シリコン膜(SiO2、SiO)、酸化窒化シリコン膜(SiON)、アモルファスシリコン膜(а−Si)、ダイアモンドライクカーボン膜、樹脂膜などを用いても良い。
次に、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜2に開口10を開ける工程で使用する開口装置を説明する。
この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜2に開口10を開ける工程で使用する開口装置は、図1に示すように、レーザ光5を発するレーザ発振装置4、レーザ発振装置4から発せられたレーザ光5を反射する反射鏡6、反射鏡6により光路が変更されたレーザ光5のビーム径を拡大するビーム拡大光学系7、ビーム拡大光学系7により拡大されたレーザ光5を分割するアパーチャ8、アパーチャ8により分割されたレーザ光5のパターンを縮小してシリコン基板1上に照射する縮小転写光学系9、および、配置されたシリコン基板1を移動する移動ステージ3を備える。
なお、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法では、Nd:YAGレーザの3倍波レーザを使用したが、レーザ発振器としてはNd:YVO4レーザやNd:YLFレーザなどの3倍波または4倍波も使用可能である。
また、一般にQスイッチレーザは、数十Hz〜数百kHzの繰り返し周波数を有するが、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法では、繰り返し周波数2kHzのレーザを使用した。
シリコン基板1上に照射されたレーザ光5は、シリコン基板1上に形成された耐エッチング膜2に複数の微細孔である開口10を開けてシリコン基板1の表面を露出する。さらに、露出したシリコン基板1を表面から掘って窪みを作製する。
耐エッチング膜2に開ける微細孔の平面上のパターンは、四角格子状または三角格子状などのパターンが考えられる。そして、微細孔のピッチは、5〜100μm程度である。すると、シリコン基板1の寸法150mm×150mmを考慮すると、膨大な孔数となる。この膨大な孔数の微細孔を短時間で加工するため、アパーチャ8には、複数のアパーチャ孔8aを設けて、レーザ光を分割し微細孔の周期パターンの一要素を形成した。
アパーチャ孔8aは、図2の横方向に4個が一列に並び、縦方向に4列並んでおり、総計では16個である。そして、アパーチャ孔8aは、三角格子の格子点に位置する。
第1工程としての耐エッチング膜2をシリコン基板1上に形成する工程では、図3(a)に示すように、シリコン基板1上にプラズマCVD法により膜厚240nmのSiN膜2aを成膜する。
次に、第2工程としてのレーザ光照射工程では、SiN膜2aが成膜されたシリコン基板1を移動ステージ3上に配置し、レーザ光を照射して、図3(b)に示すように、SiN膜2aに複数の開口10を開けるとともに開口10の下のシリコン基板1の表面に窪みを設ける。
シリコン基板1表面の広い範囲に窪みを設けるため、レーザ照射時にはシリコン基板1が配置された移動ステージ3を走査する。この時、アパーチャ8により形成したパターンのシリコン基板1上での走査方向(x方向とする)の大きさをδx、レーザの繰り返し周波数をF、シリコン基板1の走査速度をVとした時、走査速度Vをδx×Fとすることで、レーザ発振を停止したり、走査の位置決め動作をしたりすることなく加工可能である。
なお、移動ステージ3を移動してレーザ光5が照射するシリコン基板1の位置を走査しているが、レーザ光5を照射する照射系を移動してレーザ光5が照射するシリコン基板1の位置を走査しても良い。
具体的な例として、レーザの繰り返し周波数Fを2kHz、アパーチャ8により形成したパターンのx方向の大きさδxを48μm、シリコン基板1の走査速度Vを96mm/秒として移動ステージ3をx方向に走査した。
そして、x方向の走査が完了した後、x方向と直行するy方向にアパーチャ8により形成したパターンのシリコン基板1上でのy方向の大きさδy移動したのち、−Vの速度でx方向に走査した。このy方向の移動は、シリコン基板1にレーザ光5が当たらない領域で実施した。この動作を複数繰り返すことで、シリコン基板1の表面の広い範囲に加工を実施した。
このようにレーザ発振装置4を定常的に発振させるためレーザ出力が安定し、また走査の位置決めの時間が必要ないため安定かつ高速な加工が実現できる。
以降の工程は図示しないが、一般的な多結晶シリコン基板を用いた光起電力装置の製造方法の工程と同様であり、簡単に説明を行う。
第4工程の処理が完了したシリコン基板1を熱酸化炉へ投入し、オキシ塩化リン(POCl3)蒸気の存在下で加熱し、リンガラスを形成することでシリコン基板1中にリンを拡散させ、N層を形成する。拡散温度は840℃としている。
次に、上部電極として銀の混入したペーストを櫛形にスクリーン印刷にて形成し、裏面電極としてアルミニウムの混入したペーストを全面にスクリーン印刷にて形成し、焼成処理を実施する。焼成は大気雰囲気中において760℃で実施する。このようにして、光起電力装置が作製される。
レーザ照射時には、アパーチャ8により形成したパターンのシリコン基板1上での走査方向の大きさをδx、レーザの繰り返し周波数をF、シリコン基板1の走査速度をVとした時、走査速度Vをδx×Fとすることで、レーザ発振を停止したり、走査の位置決め動作をしたりすることなく加工可能である。
この発明の実施の形態2に係る光起電力装置の製造方法は、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法と第2工程における分割されたレーザ光が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
この発明の実施の形態2に係るアパーチャ8の各アパーチャ孔8aにより分割されたレーザ光5のレーザ光強度は均一である。
図4は、この発明の実施の形態2に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜に複数の開口を開ける工程で使用される開口装置の光学系の説明図である。
この発明の実施の形態2に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜2に複数の開口10を開ける工程で使用する開口装置は、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜2に複数の開口10を開ける工程で使用する開口装置のビーム拡大光学系7の替わりに反射鏡6とアパーチャ8との間にレーザ光5のビームプロファイルをガウシアン形状のビームプロファイル13からトップハット形状のビームプロファイル14に変換する非球面レンズ12を備えることが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
レーザ光5による耐エッチング膜2の孔あけ後、フッ酸硝酸混合液を用いてシリコン基板1をエッチングした後、耐エッチング膜2を除去した。
この発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法は、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法と第2工程における分割されたレーザ光が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
図5は、この発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜2に複数の開口10を開ける工程で使用する開口装置の光学系の説明図である。
この発明の実施の形態3に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜2に複数の開口10を開ける工程で使用する開口装置は、図5に示すように、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜2に複数の開口10を開ける工程で使用する開口装置のビーム拡大光学系7およびアパーチャ8の替わりにレーザ発振装置4から発せられたレーザ光5を楕円形状に変形するシリンドリカルレンズ光学系15および複数のレンズをアレイ状に並べて形成され且つ透過するレーザ光5を複数のスポットに集光するレンズアレイ16を備えることが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
このようにレンズアレイ16を使用してレーザ光5を分割することにより、エネルギーの利用率を向上させることができる。
このようにシリンドリカルレンズ光学系15によりレーザ光5の形状を楕円状に変形し、楕円状に変形されたレーザ光5を一方方向に長いレンズアレイ16により分割されたレーザ光5が照射するシリコン基板1の位置を非等方的にすることにより、走査速度を速くせずに加工速度を上げることができる。
この発明の実施の形態4に係る光起電力装置の製造方法は、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法と第2工程において照射するレーザ光が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
図6は、この発明の実施の形態4に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜に複数の開口を開ける工程で使用する開口装置の光学系の説明図である。
この発明の実施の形態4に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜2に複数の開口10を開ける工程で使用する開口装置は、図6に示すように、この発明の実施の形態1に係る光起電力装置の製造方法の耐エッチング膜2に複数の開口10を開ける工程で使用する開口装置のアパーチャ8および縮小転写光学系9の替わりにレーザ光5を分割する回折光学素子(Diffractive Optical Elements:DOE)17および分割されたレーザ光5をそれぞれシリコン基板1上に集光する集光レンズ18を備えることが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明は省略する。
Claims (5)
- 受光面となるシリコン基板の表面を覆う耐エッチング性を有する膜を形成する工程と、 レーザ光を照射することにより上記耐エッチング性を有する膜に三角格子状または四角格子状の周期パターンを有する複数の開口を開けて上記シリコン基板の表面を露出するとともに、露出した上記シリコン基板の表面に窪みを設けるレーザ光照射工程と、
上記窪みの表面をエッチングする工程と、
を含み、
上記レーザ光照射工程において、上記レーザ光を上記シリコン基板の表面において所望の上記周期パターンの1要素となる要素パターンの形状を有する複数のレーザ光に分割するとともに、上記複数のレーザ光と上記シリコン基板との相対的な走査方向における上記要素パターンの大きさに上記レーザ光のレーザ繰返し周波数を乗算して得る積からなる、上記走査方向における速度で、上記複数のレーザ光に対して上記シリコン基板を走査し、定常的なレーザ発振によりレーザ照射を行うことを特徴とする光起電力装置の製造方法。 - 上記レーザ光照射工程でレーザ光を複数のレーザ光に分割する手段は、複数のアパーチャ孔が設けられたアパーチャを備えることを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
- 上記複数のレーザ光に分割する手段は、上記アパーチャに入射するレーザ光をトップハットプロファイルに変換する手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の光起電力装置の製造方法。
- 上記レーザ光照射工程でレーザ光を複数のレーザ光に分割する手段は、レンズアレイを備えることを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
- 上記レーザ光照射工程でレーザ光を複数のレーザ光に分割する手段は、回折光学素子を備えることを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
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