JP2010279972A - レーザ加工装置、レーザ加工方法および太陽電池の製造方法 - Google Patents

レーザ加工装置、レーザ加工方法および太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ加工により安定かつ高速に微細な縞状の加工をするレーザ加工装置を得ること。
【解決手段】加工対象の被加工面に対してパルスレーザビームを照射して縞状のレーザ加工を行うレーザ加工装置であって、前記被加工面を上にした状態で前記加工対象を保持するとともに搬送する加工対象搬送手段と、前記加工対象上での前記パルスレーザビームの位置を第1の方向に相対的に移動させるレーザビーム移動手段と、パルスレーザビームを出射するレーザ発振器と、前記パルスレーザビームを、隣接する分岐されたレーザビーム同士が前記第1の方向において規定の距離だけ間隔を有するように配置された分岐パターンへ分岐する回折光学素子と、前記回折光学素子で分岐されたパルスレーザビームを前記被加工面上に集光する集光手段と、を備え、前記分岐されたパルスレーザビームと加工対象とを相対的に移動させて前記被加工面に対して縞状のレーザ加工を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、加工対象にレーザビームを照射することで加工対象を加工するためのレーザ加工装置、レーザ加工方法およびこれを用いた太陽電池の製造方法に関し、特に、数μm〜数十μmレベルの微細なピッチの縞状の加工を実施するためのレーザ加工装置、レーザ加工方法およびこれを用いた太陽電池の製造方法に関するものである。
従来、加工対象にレーザを照射することで加工対象を加工するレーザ加工装置が広く用いられている。このようなレーザ加工装置には、縞状の加工をする際に、加工の高速化のために、使用するレーザビーム分岐用の回折光学素子を光軸中心に回転する機構を備えることにより、縞のピッチを調整する技術がある(たとえば、特許文献1参照)。
特開2004−268144号公報
しかしながら、上記従来のレーザ加工方法においては、レーザビームによる加工幅と縞のピッチとが近い値の時には、隣接するレーザビームの裾の部分が干渉し、縞のピッチが数十μm以下の微細な縞状加工を実施することが不可能である、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、レーザ加工により安定かつ高速に微細な縞状の加工をするレーザ加工装置、レーザ加工方法およびこれを用いた太陽電池の製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるレーザ加工装置は、加工対象の被加工面に対してパルスレーザビームを照射して縞状のレーザ加工を行うレーザ加工装置であって、前記被加工面を上にした状態で前記加工対象を保持するとともに前記加工対象を搬送する加工対象搬送手段と、前記加工対象上での前記パルスレーザビームの位置を第1の方向に相対的に移動させるレーザビーム移動手段と、パルスレーザビームを出射するレーザ発振器と、前記パルスレーザビームを、隣接する分岐されたレーザビーム同士が前記第1の方向において規定の距離だけ間隔を有するように配置された分岐パターンへ分岐する回折光学素子と、前記回折光学素子で分岐されたパルスレーザビームを前記被加工面上に集光する集光手段と、を備え、前記分岐されたパルスレーザビームと加工対象とを相対的に移動させて前記被加工面に対して縞状のレーザ加工を行うこと、を特徴とする。
本発明によれば、隣接する分岐されたパルスレーザビーム同士が加工対象の移動方向(第1の方向)において規定の距離だけ間隔を有するように配置された分岐パターンへパルスレーザビームを分岐して加工対象に照射するため、隣接するパルスレーザビーム同士が干渉することを防止して、安定かつ高速に微細な縞状のレーザ加工をすることができる、という効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるレーザ加工装置の概略構成を説明するための模式図である。 図2は、本発明の本実施の形態にかかるレーザ加工装置でのレーザ加工により縞状の加工を実施する様子を説明するための模式図である。 図3−1は、本発明の実施の形態における単結晶シリコン太陽電池のテクスチャー構造の形成工程を説明するための模式図である。 図3−2は、本発明の実施の形態における単結晶シリコン太陽電池のテクスチャー構造の形成工程を説明するための模式図である。 図3−3は、本発明の実施の形態における単結晶シリコン太陽電池のテクスチャー構造の形成工程を説明するための模式図である。 図4は、本実施の形態にかかるレーザ加工装置におけるレーザビームの分岐パターンの一例を示す模式図である。 図5は、本実施の形態にかかるレーザ加工装置により縞状のレーザ加工を実施する様子を説明するための模式図である。 図6−1は、本実施の形態にかかる単結晶シリコン太陽電池用の単結晶シリコン基板の表面におけるテクスチャー構造の加工領域を説明するための模式図である。 図6−2は、本実施の形態にかかる単結晶シリコン太陽電池用の単結晶シリコン基板の表面におけるテクスチャー構造の加工領域を説明するための模式図である。
以下に、本発明にかかるレーザ加工装置、レーザ加工方法および太陽電池の製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態にかかるレーザ加工装置の概略構成を説明するための模式図である。本実施の形態にかかるレーザ加工装置は、加工対象搬送手段2と、レーザ発振器3と、レーザビーム偏向手段4と、ビーム形状調整手段5と、回折光学素子6と、集光手段7とを備える。
加工対象搬送手段2は、後述する分岐レーザビームB1と加工対象1とを相対的に移動させる手段であり、被加工面を上にした状態で加工対象1を保持するとともに加工対象1を例えば一定速度でレーザビームの光軸に略垂直な面内(一般的には水平な面内)で所定の第1の方向に移動させる。レーザ発振器3は、レーザビームBを出射する。例えば、レーザ発振器3の代表的な例として繰り返し周波数200kHzのQスイッチLD励起Nd:YVOレーザの3倍波を使用することができる。
レーザビーム偏向手段4は、一枚または複数の反射ミラーで構成され、レーザ発振器3から出射されたレーザビームBを被加工面の方向に屈曲させる。ビーム形状調整手段5は、一枚または複数のレンズから構成され、レーザビームBのビーム形状を調整する。レーザビーム偏向手段4とビーム形状調整手段5の順序は、図1においてはレーザビーム偏向手段がレーザ発振器3に近く設置しているが、逆にビーム形状調整手段5がレーザ発振器3に近くても良い。
回折光学素子6は、ビーム形状調整手段5で形状が調整されたレーザビームBを、隣接する分岐されたレーザビーム同士が加工対象1の移動方向(第1の方向)において規定の距離だけ間隔を有するように配置された分岐パターンへ分岐する。レーザビームBを分岐することで、一度のレーザ照射により複数のパターンの加工が実施できるため、高速の加工が可能になる。集光手段7は、回折光学素子6で分岐されたレーザビームBを加工対象1の被加工面上に集光する。集光手段7には、例えばFθレンズが用いられる。
次に、本実施の形態にかかるレーザ加工装置の動作を説明する。まず、加工対象搬送手段2が、被加工面を上にした状態で加工対象1を保持するとともに、該加工対象1をレーザビームBの光軸に略垂直な面内(一般的には水平な面内)で移動させる。この状態でレーザ発振器3からレーザビームBを出射する。レーザ発振器3から出射されたレーザビームBは、レーザビーム偏向手段4で被加工面の方向に屈曲され、ビーム形状調整手段5に入射してビーム形状が調整される。
図2は、本実施の形態にかかるレーザ加工装置でのレーザ加工により縞状の加工を実施する様子の一例を説明するための模式図である。ビーム形状調整手段5で形状が調整されたレーザビームBは、回折光学素子6に入射し、例えば図2の領域Aに示されるように、分岐された分岐レーザビームB1が加工対象1の移動方向(第1の方向)と略直角方向に延在する2列以上の列状に配置された既定のレーザビーム分岐パターンへ分岐される。
図2においては、レーザビームBの分岐パターンは、隣接する分岐レーザビームB1同士を加工対象搬送手段2による加工対象1の搬送方向と略平行な方向にずらして、隣接する分岐レーザビームB1同士を互い違いに配置した分岐パターンとされている。なお、レーザビームBの分岐パターンは、図2に示すような列状のパターンに限定されるものではない。
分岐された分岐レーザビームB1は、集光手段7により加工対象1に集光され、加工対象1を加工する。上記のようにして加工対象1を加工対象搬送手段2により移動させながら分岐レーザビームB1を加工対象1に照射することで、図2に示すように略平行な縞状の加工領域1aに分岐レーザビームB1が照射され、縞状の加工を一度に行うことが可能である。
このような分岐パターンとすることにより、隣接する分岐レーザビームB1同士が加工対象搬送手段2による加工対象1の搬送方向と略平行な方向において規定の距離だけ間隔を有することになり、隣接する分岐レーザビームB1同士が干渉することを防止できる。これにより、隣接する分岐レーザビームB1間の領域が加工されることを防止することができる。したがって、本実施の形態にかかるレーザ加工装置においては、分岐レーザビームB1による加工幅と縞のピッチとが近い値の時、すなわち隣接する分岐レーザビームB1間の間隔が狭い場合でも、縞のピッチが数十μm以下の微細な縞状加工を精度良く、安定して歩留まり良く行うことができる。特に、隣接する分岐レーザビームB1同士の距離を加工幅(レーザ開口部12の幅)の幅の2倍以上とすることで、隣接する分岐レーザビームB1の干渉によりビームの間が加工されることを確実に防止することができる。
次に、本実施の形態にかかるレーザ加工装置による加工を、光起電力装置である単結晶シリコン太陽電池の表面(太陽光の入射側の面)にV字溝状のテクスチャー構造を形成する場合を例に説明する。ここで、テクスチャー構造とは単結晶シリコン太陽電池の表面に設けた例えば数十μm以下の微細凹凸構造であり、反射光の抑制に効果的である。単結晶シリコン太陽電池の表面にテクスチャー構造を形成することで、表面での反射光を抑制でき、光電変換効率を向上することが可能である。以下では、単結晶シリコン太陽電池の製造プロセスのうち、単結晶シリコン太陽電池の表面にテクスチャー構造を形成する工程について図3−1〜図3−3を参照して説明する。図3−1〜図3−3は、単結晶シリコン太陽電池のテクスチャー構造の形成工程を説明するための模式図である。
単結晶シリコン太陽電池用の単結晶シリコン基板10は、厚みが数十μm〜数百μm程度、一辺が100mm程度の正方形に近い形状であり、正方形形状の面が[100]、正方形形状の4辺が[111]面と平行となるようにカットされたものを使用する。単結晶シリコン基板10へのテクスチャー構造形成においては、結晶方位に対するエッチングレートの違いを利用するので結晶方位が重要である。
まず、単結晶シリコン太陽電池用の単結晶シリコン基板10の表面の全面に、アルカリエッチングに対して耐性を有する耐エッチング膜11としてシリコン窒化膜(Si膜)を形成する(図3−1)。なお、耐エッチング膜11としては、シリコン窒化膜(Si膜)の他にシリコン酸化膜(SiO膜)なども使用可能である。
次に、本実施の形態に係るレーザ加工装置により、耐エッチング膜11に縞状のレーザ開口部12を形成する(図3−2)。この時に使用するレーザ発振器3は、耐エッチング膜11に比較的高い吸収係数を持ち、シリコンへの侵入長の短い600nm以下の波長のレーザを使用することが好ましい。レーザ加工時にレーザ照射部付近の単結晶シリコン基板10が高熱となり、電気特性が劣化するのを抑制するため、数十nsec程度以下のパルス幅を持つパルスレーザを使用する。パルスレーザによりライン状の加工を実施する際には、パルスレーザのパルス繰り返し周波数を高くすることで、加工対象の移動速度を上げることができ、加工速度を上げることが可能である。例えば、レーザ発振器3の代表的な例として繰り返し周波数200kHzのQスイッチLD励起Nd:YVOレーザの3倍波を使用することができる。
レーザ照射により耐エッチング膜11に縞状のレーザ開口部12を形成し、レーザ照射部周辺の単結晶シリコン基板10が加熱されると、レーザ開口部12に露出した単結晶シリコン基板10の表面にはごく薄い酸化膜が形成される。この薄い酸化膜を除去するために、レーザ加工後にフッ酸などで微量のエッチングを実施する。
続いて、単結晶シリコン基板10上に残留している耐エッチング膜11をエッチングマスクとして、レーザ開口部12を通じて単結晶シリコン基板10に対して水酸化カリウム(KOH)水溶液や水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液などのアルカリ溶液によりアルカリエッチングを行う。アルカリエッチングにおいては、[111]面のエッチングレートが著しく遅いため、レーザ開口部12の下部領域およびその近傍領域において、[111]面が析出する方向でエッチングが進み、V字溝状のテクスチャー構造13が形成される(図3−3)。このウェットエッチングは、該エッチングによりレーザ開口部12の下部領域に形成された隣接する凹部が接した時点で停止する。この時点で耐エッチング膜11は剥離するが、更にフッ酸などでエッチングして耐エッチング膜11を完全に剥離する工程を実施しても良い。
以上のプロセスにより、単結晶シリコン基板10の表面に、V字溝状のテクスチャー構造13を形成することができる。V字溝状のテクスチャー構造13の特徴として、反射率低減効果に加えて、単結晶シリコン基板10の裏面に面内方向において表面と略垂直な方向でV字溝のテクスチャー構造を形成することで、単結晶シリコン基板10内への光の閉じ込め効率が高くなることがある。裏面へのV字溝状のテクスチャー構造も表面と同様のプロセスで形成可能である。
また、加工対象が単結晶シリコン基板10である場合は、上記のようなパルスレーザを使用しても、レーザ照射によりレーザ照射部付近の単結晶シリコン基板10が高熱となり、単結晶シリコン基板10の電気的特性が劣化する領域が生じる。そして、単結晶シリコン基板10を用いて単結晶シリコン太陽電池を製造した際に、該単結晶シリコン太陽電池の電気的特性が劣化する。しかしながら、本実施の形態のように、この劣化した領域をアルカリエッチングにより除去することで、加工を経て光起電力装置を製造した際の電気的特性の劣化を防止することができる。
単結晶シリコン太陽電池の単結晶シリコン基板10の厚みは、先に述べたように数百μm以下程度である。テクスチャー構造を形成することにより単結晶シリコン基板10の厚みが薄くなると、光と単結晶シリコン基板10との相互作用距離が短くなるため光電変換効率が低下する、基板の破損が発生する、などの問題が生じる。したがって、単結晶シリコン太陽電池の表面に形成する反射防止用のテクスチャー構造は、凹部サイズ(凹部の最上部と底面との距離)は、数十μm程度以下であることが好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。
レーザ開口部12のピッチも同様に10μm以下であることが求められる。本実施の形態では、レーザ開口部12のピッチとして、10μmを代表的な値とする。レーザ開口部12の幅は、レーザビームBの加工対象上での集光径を小さくすることで小さくできる。しかし、レーザビームBの集光径を小さくするとビームの広がり角度が大きくなり、単結晶シリコン基板10の厚みや加工対象搬送手段2の平面度の影響で、加工面上でのレーザビームB径が変動するため、加工形状が不安定になる。したがって、レーザ開口部12の幅は数μm以上とする必要がある。
本実施例においては、レーザ開口部12の幅が8μmとなるように設定した。レーザ開口部12のピッチは10μm、レーザ開口部の幅が8μmであるので、隣接するレーザ開口部12の間の非加工領域の幅は2μmである。以下、この値の場合を例に用いてレーザ加工について説明する。
本実施の形態にかかるレーザ加工装置で縞状のレーザ加工を実施する際に、回折光学素子6によりレーザビームBを分岐して一回の加工対象の移動で複数の縞を加工することで、加工の高速化が可能である。太陽電池の製造で求められる高い生産性を満たすためには、レーザビームBを分岐して加工を実施することが必須である。本実施の形態では、レーザビームBによって直接単結晶シリコン基板10にテクスチャー構造を形成するのではなく、上記のように耐エッチング膜11にレーザ開口部12を形成した後にアルカリエッチングによって単結晶シリコン基板10の表面にテクスチャー構造を形成する。
これにより、レーザ加工の対象を耐エッチング膜11のみとすることができる。すなわち、単結晶シリコン基板10をレーザで加工するのではなく、耐エッチング膜11のレーザ加工と単結晶シリコン基板10のウェットエッチングとを組み合わせることで、1本の分岐レーザビームB1の必要エネルギーを低減できるため、レーザビーム分岐数を多くすることができる。これにより、レーザ加工の時間を短縮することができ、高速の加工が可能となる。
しかし、上記のピッチ10μmの縞状のレーザ加工を実施する際に、回折光学素子6を使用すると、隣接する分岐レーザビーム間の間隔が狭いために隣接する分岐レーザビームB1同士が干渉し、縞状の加工ができないという問題が生じる。以下この問題について説明する。
加工対象にはレーザビームの波長やパルス幅などに依存する加工閾値が存在する。ガウス分布に近い強度分布のレーザビームによるレーザ加工においては、強度が加工閾値を超える領域で加工されると考えられる。実際に加工領域の外側にも、加工閾値よりも弱いながらも強度分布を有する。あるレーザ出力およびレーザ集光径でレーザ開口部12の幅8μmが得られたとき、レーザ開口部12のピッチを10μmとするためのレーザビームBの分岐パターンにおいて、隣接する分岐レーザビームB1間の距離は10μmとなる。
レーザビームは上に述べたように加工閾値の外側にも強度分布を持ち、この場合は隣接するレーザビーム間の本来なら非加工領域となるはずの幅2μmの領域においても、レーザの強度分布は存在する。そして、この領域でレーザビームが干渉して加工閾値を超えるレーザ強度となると加工対象は加工される。このため、加工幅(レーザ開口部12の幅):8μm、非加工幅:2μm、レーザ開口部12のピッチ:10μmの縞状の加工は不可能であった。
図4は、本実施の形態にかかるレーザ加工装置におけるレーザビームBの分岐パターンの一例を示す模式図であり、上記の従来の問題を回避するためのレーザビームBの分岐パターンの一例を示す模式図である。図4においては、レーザビームBの分岐パターン内において、隣接する分岐レーザビームB1同士を、加工対象搬送手段2による加工対象1の搬送方向と略平行な方向にずらして、隣接する分岐レーザビームB1同士を互い違いに配置している。ここでは、加工ピッチ:20μm、分岐数:100列のレーザビームBの分岐パターンを示している。
このような分岐パターンとすることにより、隣接する分岐レーザビームB1同士が加工対象搬送手段2による加工対象1の搬送方向と略平行な方向において規定の距離だけ間隔を有することになり、隣接する分岐レーザビームB1同士が干渉することを防止できる。これにより、隣接する分岐レーザビームB1間の領域が加工されることを防止することができる。したがって、本実施の形態にかかるレーザ加工装置においては、分岐レーザビームB1による加工幅と縞のピッチとが近い値の時、すなわち隣接する分岐レーザビームB1間の間隔が狭い場合でも、縞のピッチが数十μm以下の微細な縞状加工を精度良く行うことができる。特に、隣接する分岐レーザビームB1同士の距離を加工幅(レーザ開口部12の幅)の幅の2倍以上とすることで、隣接する分岐レーザビームB1の干渉によりビームの間が加工されることを確実に防止することができる。
図5は、本実施の形態にかかるレーザ加工装置により縞状のレーザ加工を実施する様子を説明するための模式図である。加工対象1を加工対象搬送手段2により移動しつつ、加工対象1の表面に対して分岐レーザビームB1を照射することで、図5に示すように、縞状の加工が可能である。図5においては、レーザ開口部12のピッチ(加工ピッチ)が10μm、隣接するレーザ開口部12の間の非加工領域の幅は2μmである。
耐エッチング膜11は1回のレーザ照射により加工されるので、分岐レーザビームB1が重なって図示されている領域では分岐レーザビームB1が直接単結晶シリコン基板10の表面に照射されることになる。しかし、分岐レーザビームB1は単結晶シリコン基板10を開口するほどの強度を持たないように設定される。このため、分岐レーザビームB1が複数回照射される部分でも、特に単結晶シリコン基板10が深掘りされることはない。
加工対象搬送手段2による1回の加工対象1の移動によって加工される加工領域は、ほぼ長方形の領域となる。ただし、加工対象1の面内のレーザ加工機による加工領域において、加工対象1の搬送方向と略直角な方向の端部は、図5に示すようにピッチ20μm、凹凸の大きさ12.5μmの微細なノコギリ状の形状となる。
単結晶シリコン太陽電池の表面において、光入射側電極と接合する部分の周囲のみにテクスチャーを形成しないことにより、フィルファクターを向上させて多結晶シリコン太陽電池の特性を向上させることができる上、良好な抵抗性接合を得るために光入射側面の電極と接合する部分の拡散層に選択的に不純物高濃度拡散を行う際のパターニングの手段とすることが可能である。
図6−1は、本実施の形態にかかる単結晶シリコン太陽電池用の単結晶シリコン基板10の表面におけるテクスチャー構造の加工領域を説明するための模式図である。図6−2は、本実施の形態にかかる単結晶シリコン太陽電池用の単結晶シリコン基板10の表面におけるテクスチャー構造の加工領域を説明するための模式図であり、図6−1におけるテクスチャー構造の加工領域を拡大して示す図である。図6−1および図6−2に示すように、単結晶シリコン基板10の表面において、テクスチャー形成プロセスの後に電極を形成する電極形成領域15にはテクスチャーを形成せず、電極形成領域15間のテクスチャー形成領域14のみにテクスチャーを形成している。図6−1および図6−2に示すように、テクスチャー形成領域14は一般的に長方形形状とされる。
電極形成領域15は、例えば70本のグリッド電極が形成される領域であって正方形形状の単結晶シリコン基板10の一辺に平行なグリッド電極形成領域15aと、例えば2本のバス電極が形成される領域であってグリッド電極に直交するバス電極形成領域15bと、からなる領域である。すなわち、電極形成領域15にはレーザ開口部12は形成せず、テクスチャー形成領域14にのみレーザ開口部12を形成し、ウェットエッチングによりテクスチャーを形成している。
本実施の形態にかかるレーザ加工機を用いたテクスチャー形成領域14に対する加工において、加工対象1の搬送方向と略直角な方向の端部は、図5に示すようにピッチ20μm、凹凸の大きさ12.5μmの微細なノコギリ状の形状となるが、レーザビームBの分岐パターンは、全体としては略長方形形状となり、要求されるテクスチャー形成領域14を効率良く加工することが可能である。テクスチャー形成領域14の長辺は数十mmである場合には、テクスチャー形成領域14の端部領域におけるのこぎり形状(凹凸)の大きさはテクスチャー形成領域14の長辺の長さの1%以下である。
上述したように、本実施の形態にかかるレーザ加工装置によれば、隣接する分岐レーザビームB1同士が加工対象1の移動方向(第1の方向)において規定の距離だけ間隔を有するように配置された分岐パターンへレーザビームBを分岐する回折光学素子6を備えるため、隣接する分岐レーザビームB1同士が干渉することを防止できる。これにより、隣接する分岐レーザビームB1同士の干渉に起因して隣接する分岐レーザビームB1間の領域が加工されることを防止することができる。したがって、本実施の形態にかかるレーザ加工装置によれば、縞のピッチが数十μm以下の微細な縞状加工を精度良く安定して行うことができる。
また、レーザビームBを分岐することで、一度のレーザ照射により複数のパターンの加工が実施できるため、高速の加工が可能になる。
また、本実施の形態にかかるレーザ加工方法においては、隣接する分岐レーザビームB1同士が加工対象1の移動方向(第1の方向)において規定の距離だけ間隔を有するように配置された分岐パターンへレーザビームBを分岐し、分岐した分岐レーザビームB1を加工対象1と相対的に移動させながら該加工対象1に照射するため、隣接する分岐レーザビームB1同士が干渉することを防止できる。これにより、隣接する分岐レーザビームB1同士の干渉に起因して隣接する分岐レーザビームB1間の領域が加工されることを防止することができる。したがって、本実施の形態にかかるレーザ加工方法によれば、縞のピッチが数十μm以下の微細な縞状加工を精度良く安定して行うことができる。
なお、上記の説明で示した数値は本発明を実現できる典型的な数値であり、本発明の効果は、これらの数値を用いた場合に限定されないことは言うまでもない。また、上記の説明では、説明を容易にするために、レーザビームBは固定し、加工対象搬送手段2によりレーザビームBと加工対象1の位置を相対的に移動した。加工対象1を固定しておいて、加工対象1上でのレーザビームBの位置を相対的に移動させるレーザビーム移動手段を用いてレーザビームBを加工対象1に対して平行に移動することでも同様の効果が得られる。また、レーザビームBと加工対象搬送手段2の両者を駆動することも可能である。
以上のように、本発明にかかるレーザ加工装置は、縞状の微細加工に有用であり、特に、太陽電池のテクスチャー構造に好適な微細な縞状の加工に適している。
1 加工対象
1a 加工領域
2 加工対象搬送手段
3 レーザ発振器
4 レーザビーム偏向手段
5 ビーム形状調整手段
6 回折光学素子
7 集光手段
10 単結晶シリコン基板
11 耐エッチング膜
12 レーザ開口部
13 テクスチャー構造
14 テクスチャー形成領域
15 電極形成領域
15a グリッド電極形成領域
15b バス電極形成領域
B レーザビーム
B1 分岐レーザビーム

Claims (5)

  1. 加工対象の被加工面に対してパルスレーザビームを照射して縞状のレーザ加工を行うレーザ加工装置であって、
    前記被加工面を上にした状態で前記加工対象を保持するとともに前記加工対象を搬送する加工対象搬送手段と、
    前記加工対象上での前記パルスレーザビームの位置を第1の方向に相対的に移動させるレーザビーム移動手段と、
    パルスレーザビームを出射するレーザ発振器と、
    前記パルスレーザビームを、隣接する分岐されたレーザビーム同士が前記第1の方向において規定の距離だけ間隔を有するように配置された分岐パターンへ分岐する回折光学素子と、
    前記回折光学素子で分岐されたパルスレーザビームを前記被加工面上に集光する集光手段と、

    を備え、
    前記分岐されたパルスレーザビームと加工対象とを相対的に移動させて前記被加工面に対して縞状のレーザ加工を行うこと、
    を特徴とするレーザ加工装置。
  2. 前記分岐パターンが、前記分岐されたレーザビームが前記第1の方向と略直角方向に延在する2列以上の列状に配置された分岐パターンであること、
    を特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 被加工面を上にした状態で加工対象を第1の方向に移動させながら加工対象の被加工面に対してパルスレーザビームを照射して縞状のレーザ加工を行うレーザ加工方法であって、
    パルスレーザビームを、隣接するパルスレーザビーム同士が前記第1の方向において規定の距離だけ間隔を有するように配置された分岐パターンへ分岐する工程と、
    前記分岐した前記パルスレーザビームを、前記第1の方向に移動する前記加工対象の前記被加工面上に集光して照射する工程と、
    を含むこと、
    を特徴とするレーザ加工方法。
  4. 前記分岐パターンが、前記分岐されたレーザビームが前記第1の方向と略直角方向に延在する2列以上の列状に配置された分岐パターンであること、
    を特徴とする請求項3に記載のレーザ加工方法。
  5. 加工対象であるシリコン基板の被加工面にウェットエッチングに対する耐性を有する耐エッチング膜を形成し、請求項3または4に記載のレーザ加工方法により前記耐エッチング膜に開口部を形成した後、前記開口部を介して前記加工対象に対してウェットエッチングを行うことにより前記シリコン基板の表面に凹凸を形成する工程を含むこと、
    を特徴とする太陽電池の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013022617A (ja) * 2011-07-20 2013-02-04 Mitsuboshi Diamond Industrial Co Ltd レーザ加工装置
JP2014008519A (ja) * 2012-06-29 2014-01-20 Furukawa Co Ltd レーザーパルスによる加工物の製造方法及びレーザー加工装置
JP2016139762A (ja) * 2015-01-29 2016-08-04 京セラ株式会社 太陽電池素子の製造方法

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