JP4964186B2 - 光起電力装置の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、光起電力装置の製造方法に関し、特に、受光面に凹凸形状を有する光起電力装置の製造方法に関するものである。また、この発明は、光起電力装置の受光面に凹凸形状を形成するレーザ加工装置にも関するものである。
太陽電池などの光起電力装置の性能向上には、太陽光を効率よく光電変換装置を構成する基板内部に取り込むことが大切である。そのため、従来の光起電力装置では、光入射側の基板表面にテクスチャ加工を施して、表面で一度反射した光を再度表面に入射させることで、より多くの太陽光を基板内部に取込み、光電変換効率の向上を図っている。ここで、テクスチャ加工とは、基板表面に意図的に数十nm〜数十μmの寸法の微細凹凸を形成する加工のことをいう。
光起電力装置における基板表面に微細な凹凸(テクスチャ構造)を形成する方法として、レーザ光出射時におけるレーザ光の照射領域を連続的に移動させながら、この移動中の照射領域をインプロセスで検出し、この照射領域が被加工物上の被加工領域に到達した瞬間に、レーザ発振器からレーザ光を出射して、被加工領域を加工する技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特開平5−055613号公報
ところで、テクスチャ構造を有する光起電力装置の受光面側の表面には、基板に入射した光によって生じた光電流を集電し、外部に取り出すための光入射側電極が形成されるのが一般的である。このような光起電力装置においては、光入射側電極と接合する部分の周囲のみにテクスチャ構造を形成しないことによって、光起電力装置のフィルファクタを向上させることができる。また、このテクスチャ構造を形成しない領域は、光入射側電極と良好な抵抗性接合を実現する部分であり、高濃度の不純物拡散を選択的に行う際のパターニングの手段とすることが可能である。
しかし、上記特許文献1の技術を用いて、このようなテクスチャ構造を形成するためのパターニングをレーザ照射によって実施するには、レーザのオン−オフを高速で繰り返す必要がある。その結果、動作が複雑になるために不安定になったり、高い位置決め精度が要求されたりするという問題点があった。
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、高速なレーザのオン−オフ動作の繰り返しを必要とせず、テクスチャ構造形成の際のレーザ照射時に、光入射側電極との接合部分にテクスチャ構造を形成しないというパターニングを行うことができる光起電力装置の製造方法およびレーザ加工装置を得ることを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる光起電力装置の製造方法は、第1の導電型の半導体基板の光の入射面側の全面に第2の導電型の不純物を拡散して、第1の濃度の第1の拡散層を形成する第1の拡散層形成工程と、前記第1の拡散層上に耐エッチング性を有する耐エッチング膜を形成する耐エッチング膜形成工程と、前記耐エッチング膜上の電極を形成しようとする電極形成領域以外の凹部を形成しようとする凹部形成領域に、パルス状の複数の略円形のビームスポットからなり、前記複数の略円形のビームスポットからなる群の外郭が略矩形状であるレーザ光のパターンを、該パターンの第1の辺を走査方向である第1の方向に一致させて走査しながら、開口を形成し、前記第1の拡散層を露出させる開口形成工程と、前記第1の拡散層の露出位置を中心に、前記第1の拡散層と前記半導体基板とを混酸系エッチング液によってエッチングして凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部を形成する面に、前記第1の濃度よりも低い第2の濃度の第2の導電型の不純物を拡散して、第2の拡散層を形成する第2の拡散層形成工程と、前記半導体基板の前記光の入射面側の前記電極形成領域に光入射側電極を形成する表面電極形成工程と、を含み、前記開口形成工程では、前記レーザ光の1パルス分の周期の間に、前記レーザ光の照射位置を、前記パターンの前記第1の辺の長さだけ第1の方向に移動させ、前記第1の方向の走査が終了すると、前記凹部形成領域と前記電極形成領域の前記第1の方向に垂直な第2の方向の長さだけ、前記第2の方向に前記レーザ光と前記半導体基板との間の位置をずらして、前記第1の方向に沿って前記レーザ光の走査を行うことを特徴とする。
この発明によれば、レーザ光の1パルス分の周期の間に、レーザ光の照射位置を、テクスチャ構造を決定する周期構造の1要素となるパターンの第1の辺の長さだけ第1の方向に移動させるように走査し、第1の方向の走査が終了すると、凹部形成領域と電極形成領域の第2の方向の長さだけ、第2の方向にレーザ光と半導体基板との間の相対的な位置をずらして、第1の方向に沿ってレーザ光の走査を行うようにしたので、レーザのオン−オフ動作と走査方法を簡略化し効率の良い加工を行うことができるという効果を有する。また、安定かつ高速に、表面反射損失が少なく、光入射側電極と良好な抵抗性接合を有する光起電力装置を製造することができるという効果も有する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光起電力装置の製造方法およびレーザ加工装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施の形態で用いられる光起電力装置の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。
実施の形態1.
最初に、この発明による実施の形態1のレーザ加工装置を用いて形成される光起電力装置の構成の概要について説明する。図1−1〜図1−3は、一般的な光起電力装置の全体構成の一例を模式的に示す図であり、図1−1は光起電力装置の上面図であり、図1−2は光起電力装置の裏面図であり、図1−3は図1−2のA−A断面図であり、図2は、図1−1〜図1−3に示される光起電力装置のグリッド電極周辺の一部を拡大して示す断面図である。
図1−1〜図1−3に示されるように、光起電力装置100は、半導体基板としてのP型シリコン基板101と、このP型シリコン基板101の一方の主面(受光面)側の表面に形成されるN型の不純物を拡散させたN型拡散層102(高濃度N型拡散層102H、低濃度N型拡散層102L)と、他方の主面(裏面)側の表面に形成されるシリコン基板101よりも高濃度にP型の不純物を含んだP+層110と、を含む光電変換層を備える。また、光起電力装置100は、光電変換層の受光面への入射光の反射を防止する反射防止膜109と、光電変換層で発電された電気を局所的に集電するために受光面に設けられる銀などからなるグリッド電極111と、グリッド電極111で集電された電気を取り出すためにグリッド電極111にほぼ直交して設けられる銀などからなるバス電極113と、光電変換層で発電された電気の取り出しと入射光の反射を目的としてP型シリコン基板101の裏面のほぼ全面に設けられたアルミニウムなどからなる裏側電極121と、この裏側電極121に生じた電気を集電する銀などからなる裏側集電電極122と、を備える。
また、図2に示されるように、光起電力装置100の受光面側は、曲率を有する面などで形成される複数の凹部106からなるテクスチャ構造が形成された凹部形成領域105aと、光起電力装置100のグリッド電極111などの光入射側電極が形成される電極形成領域105bと、を有する。電極形成領域105bは、光入射側電極の幅(寸法)と、そのマージンを足した幅(寸法)となる。
凹部形成領域105aは、シリコン基板101の上面に所定の間隔で形成された複数の凹部106によってテクスチャ構造が形成されており、凹部106を形成する面を含むシリコン基板101の上面から所定の深さにはN型の不純物が低濃度に拡散された低濃度N型拡散層102Lが形成される。また、この図2では断面図を示しているが、凹部106の基板面と平行な方向の断面は、ほぼ円形状を有している。つまり、凹部106の形状は、おわん状を有している。また、電極形成領域105bでは、グリッド電極111などの光入射側電極が、低濃度N型拡散層102Lよりも抵抗が低くなるようにN型の不純物が高濃度に拡散された高濃度N型拡散層102H上に接合部分112を介して形成されている。なお、シリコン基板101の受光面と裏面の構造は、図1−1〜図1−3で説明したものと同様であるので、その説明を省略する。
つぎに、このような構造の光起電力装置100の製造方法について説明する。図3−1〜図3−9は、この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である。なお、以下に示すサイズは一例である。
まず、シリコン基板101を用意する(図3−1)。ここでは、民生用光起電力装置向けとして最も多く使用されているP型多結晶シリコン基板を使用するものとする。このシリコン基板101は、多結晶シリコンインゴットからマルチワイヤソーでスライスし、酸またはアルカリ溶液を用いたウェットエッチングでスライス時のダメージを除去して製造する。ダメージ除去後のシリコン基板101の厚さは250μmであり、寸法は150mm×150mmである。
ついで、ダメージ除去後のシリコン基板101を熱酸化炉へ投入し、N型の不純物としてのリン(P)の雰囲気下で加熱し、シリコン基板101表面にリンを高濃度に拡散させ、高濃度N型拡散層102Hを形成する(図3−2)。ここではリン雰囲気の形成にオキシ塩化リン(POCl3)を用いて、840℃で拡散させる。これによって、シリコン基板101の上面、下面および側面に高濃度N型拡散層102Hが形成されるが、側面の高濃度N型拡散層102Hは、エッチングなどによって除去する。
その後、一方の主面上に形成した高濃度N型拡散層102H上に、耐エッチング性を有する膜(以下、耐エッチング膜という)103を形成する(図3−3)。この耐エッチング膜103として、窒化シリコン膜(以下、SiN膜という)、酸化シリコン(SiO2、SiO)膜、酸化窒化シリコン(SiON)膜、アモルファスシリコン(а−Si)膜、ダイアモンドライクカーボン膜、樹脂膜などを用いることができる。ここでは、耐エッチング膜103として、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成した膜厚240nmのSiN膜を用いる。なお、膜厚は240nmとしたが、テクスチャ・エッチング時のエッチング条件と、後工程でのSiN膜の除去性から適切な膜厚を選択することができる。
ついで、耐エッチング膜103上の凹部形成領域105aに、微細な開口104を形成する(図3−3)。テクスチャ構造を形成せず、光起電力装置100の光入射側電極を形成しようとする電極形成領域105bには、開口104は形成しない。この実施の形態1では、開口104の形成は、レーザ照射による方法を用いる。このレーザ照射による方法は、半導体プロセスで用いられるフォトリソグラフィ技術によって形成する場合に必要となるレジスト塗布、露光・現像、エッチング、レジスト除去という複雑な工程が不要で、レーザを照射するのみで開口104を形成でき工程を簡略化できるメリットがある。ここで、このレーザ照射による開口104の形成方法について詳細に説明する。
図4は、開口を形成するレーザ加工装置の実施の形態1の構成の一例を模式的に示す図である。このレーザ加工装置200Aは、耐エッチング膜103が形成されたシリコン基板101などの加工対象を載置するステージ201と、レーザ光Lを出力するレーザ発振部202と、レーザ光Lを反射させながら光路に導く反射鏡203と、レーザ光Lのビーム形状を調整して拡大するビーム形状調整光学系204と、レーザ光Lを複数のレーザ光に分岐させ、ステージ201上の所定の位置に集光して照射させるビーム分岐集光光学系205と、ステージ201とビーム分岐集光光学系205との間の相対的な位置と速度を加工する領域に合わせて制御する制御部230と、を備える。なお、ここでは、ビーム形状調整光学系204を構成するレンズ間の距離は固定されているものとする。また、レーザ発振部202は、特許請求の範囲におけるレーザ発振手段に対応し、制御部230は、同じく制御手段に対応している。
また、ビーム分岐集光光学系205は、ビーム形状調整光学系204からのレーザ光Lを回折させて複数のレーザ光に分岐させる回折光学素子206と、回折光学素子206で回折された複数のレーザ光を集光させる集光レンズ207と、回折光学素子206と集光レンズ207とを固定するとともにこれらの素子の光軸を中心に回転する機構を有するビーム分岐集光光学系ホルダ208と、を備える。なお、回折光学素子206は、特許請求の範囲におけるビーム分岐手段に対応し、集光レンズ207は、同じく集光手段に対応している。
さらに、制御部230は、レーザ発振のタイミングの他、後述するように、加工する領域に開口104を形成するために、所定の速度でレーザ光を加工対象上に走査したり、レーザ光の照射位置を変えたりするためにレーザ光またはステージ201を移動させたり、加工する領域の幅を変えるためにビーム分岐集光光学系ホルダ208を回転させたりする機能を有する。
ここでは、レーザ発振部202として、TEM00モードのQ−スイッチNd:YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザの3倍波レーザ(波長355nm)を出力するものを使用する。この波長は、加工対象の耐エッチング膜103であるSiN膜での吸収係数が高く、波長が短いため加工の許容深度を深くすることができ、また微細な加工が可能な波長である。ビーム品質の高いレーザを使用することで、レーザ光の集光径を小さくしたときも、加工の許容深度を深くすることが可能である。そのため、ここでは、TEM00モードのレーザ光を使用している。一般にQスイッチレーザの繰り返し周波数は、十Hz〜数百kHzであるが、ここでは、繰り返し周波数10kHzのレーザを使用する。また、実験によって、0.4J/cm2以上でSiN膜に開口が可能で、2J/cm2以上で下地のシリコン基板101に窪みを施せることが明らかとなった。したがって、ここでは3J/cm2のレーザ光強度を使用している。なお、レーザ光源としてNd:YAGレーザの3倍高調波を用いたが、レーザ発振部202としてはNd:YVO4レーザ、Nd:YLF(Lithium Yttrium Fluoride)レーザなどの基本波、2倍波、3倍波、4倍波も使用可能である。
このようなレーザ加工装置200Aにおいて、レーザ発振部202から出力されるレーザ光Lは、反射鏡203で光路が変更された後、ビーム形状調整光学系204で拡大され、ビーム分岐集光光学系205に入射される。ビーム分岐集光光学系205では、回折光学素子206で回折によって複数のレーザ光に分岐された後、集光レンズ207で集光され、ステージ201上に配置したシリコン基板101上に形成された耐エッチング膜103に、複数の微細な集光スポットを形成する。この結果、集光スポットが照射される位置においては、耐エッチング膜103に開口104が開けられ、下地のシリコン基板101の表面が露出する。そして、シリコン基板101表面の広い範囲に開口104を設けるため、レーザ照射時には、このレーザ加工装置200Aは、シリコン基板101を設置したステージ201またはシリコン基板101上に照射されるレーザ光を所定の方向に走査する。また、レーザ発振部202による繰り返し周波数でレーザ光が出力される1周期ごとに、開口104を形成するように、レーザ光の走査速度が、制御部230によって制御される。なお、ステージ201またはレーザ光Lの走査方向をx軸とし、走査方向に垂直なステージ201の面上の方向をy軸とする。また、この明細書では、レーザ光の走査といった場合に、レーザ光をステージ201に対して移動させる場合と、ステージ201をレーザ光に対して移動させる場合の両方を含むものとする。
図5は、ビーム分岐集光光学系によって加工対象上に形成されるレーザ光のパターンを模式的に示す図である。このレーザ光のパターン300は、4列×100個=400個のビームスポット301が三角格子上に配置されたものであり、それぞれのビームスポット301間のピッチは14μmであり、ビームスポット301の集光径φは5μmである。この図で、紙面内の左右方向をレーザ加工装置200Aでの走査方向であるx軸方向とし、紙面内のx軸方向に垂直な方向をy軸方向とする。また、このレーザ光のパターン300の外郭は矩形状を有しており、x軸(短軸)方向の長さMは48μmであり、y軸(長軸)方向の長さWは1.393mmである。なお、以下では、走査方向(x軸方向)に垂直な方向(y軸方向)のパターン300の長さを、「幅」というものとする。この図5の場合には、パターン300の長軸方向が走査方向に垂直な方向と等しいので、幅は1.393mmとなる。
このパターン300をx軸方向に走査することによって、シリコン基板101上に形成された耐エッチング膜103に開口104が形成される。なお、この図5に示されるように、矩形状のレーザ光のパターン300の短軸方向と走査方向(x軸方向)とが一致した状態で走査する場合を、以下では、光学素子垂直照射ということにする。このとき、1回の走査で加工できる幅(走査方向に垂直な方向の寸法)は、パターン300の長辺の長さの1.393mmである。この実施の形態1では、このレーザ光のパターン300を形成するビーム分岐集光光学系205を、光軸を中心に所定の角度回転させることで、ステージ201上(加工対象上)に形成されるパターン300を、その短辺が走査方向(x軸方向)に対して所定の角度回転した状態で配置するようにし、1回の走査で加工できる幅を変化させるようにしている。このとき、1回の走査で加工できる幅の最大値は、レーザ光のパターン300の短辺がx軸方向と一致したときで、パターン300の長辺の長さである1.393mmとなる。また、このレーザ光のパターン300を、その短辺が走査方向(x軸方向)に対して所定の角度回転した状態でx軸方向に走査する場合を、以下では、光学素子回転照射ということにする。そこで、以下では、(1)光学素子垂直照射でレーザ照射を行う場合、(2)光学素子回転照射でレーザ照射を行う場合について順に説明する。
(1)光学素子垂直照射でレーザ照射を行う場合
光学素子垂直照射は、上記したように、レーザ光の走査方向と、矩形状のレーザ光のパターン300の短軸とを同じ方向にして、レーザ光の照射を行う場合である。ここで、シリコン基板101上でのレーザ光のパターン300の長辺上の一点での走査方向(x軸方向)の大きさをδxとし、レーザの繰り返し周波数をFとし、レーザ光の走査速度をVとする。このとき、V=δx・Fとなる速度となるように制御部230が加工対象(ステージ201)またはレーザ光Lの走査速度Vを制御することで、レーザ発振部202からのパルス発振を利用して、耐エッチング膜103に所定の周期の開口104を連続して形成することができる。その結果、レーザ発振を停止したり、走査の位置決め動作をしたりすることなく加工することが可能となる。
たとえば、上記した例では、δx=48μm、F=10kHzであるので、V=480mm/秒として、ステージ201またはレーザ光Lをx軸方向に走査する。これによって、レーザ発振部202の繰り返し周波数Fの1周期で、図5に示されるレーザ光のパターン300と同じ開口104がステージ201上の耐エッチング膜103に形成される。そして、このような開口104がレーザ発振部202で出力されるレーザの1周期ごとに異なる位置に形成される。
y軸方向の位置を固定した状態で、レーザ光のパターン300の幅と一致する幅の所定の領域内でレーザ光のx軸方向の走査が完了すると、制御部230は、ステージ201をy軸方向に1.393mm移動したのち、−Vの速度でx軸方向に走査する(Vの速度で−x軸方向に走査する)。このy軸方向の移動は、シリコン基板101にレーザ光が当たらない領域で実施する。この動作を所定の回数繰り返すことで、シリコン基板101の表面の広い範囲を加工することができる。
ところで、テクスチャ構造が形成された光起電力装置のテクスチャ構造形成側の光入射側電極の形成に当たって、フィルファクタを悪化させないようにすること、また、良好な抵抗性接合を目的とした光入射側電極の形成位置への高濃度拡散層のパターニングを行うようにすることが求められる。そのため、この実施の形態1では、シリコン基板101上の光入射側電極と接合する部位の周囲、すなわち電極形成領域105bには、レーザ照射による開口104を設けないようにした。図1−1に示されるように、光入射側電極は所定の間隔の複数本の平行線分群からなるグリッド電極111と、これらのグリッド電極111に直交する線分からなるバス電極113と、で形成される。そこで、このレーザ照射工程では、グリッド電極111の延在方向に沿ってレーザ光の走査を行い、グリッド電極111の間隔で、グリッド電極111の太さとマージンの和を考慮した所定の値の隙間を有する電極形成領域105bを加工するものとする。
たとえば、図5において、レーザ光のパターン300の幅W=約1.4mm(〜1.393mm)に、グリッド電極111の太さとマージンの和を考慮した0.2mmを足すと、約1.6mmになる。そこで、あるy軸方向の位置における走査終了後に、レーザ光のパターンの幅(1.4mm)にグリッド電極111の太さとマージンの和(0.2mm)を考慮した値で、y軸方向に移動させ、その位置で再び走査を行うことで、複雑な走査や高速のレーザのオン−オフ動作を必要とせずに、所定の周期で所定の隙間を有する開口パターンを形成することができる。つまり、光入射側電極の間隔が、レーザ光のパターン300の走査方向に垂直な方向(y軸方向)の幅に、グリッド電極111の幅(太さ)とマージンを足した周期と一致していれば、レーザのオン−オフ動作と走査方法を簡略化して、効率の良い、そして精度の良い加工が可能となる。なお、このy軸方向に移動させる距離は、凹部形成領域105aと電極形成領域105bのy軸方向の長さに等しい。
以上のように光学素子垂直照射でレーザ照射を行う場合では、制御部230は、x軸方向の走査には、レーザ発振部202の繰り返し周波数Fとレーザ光のパターン300の走査方向の大きさδxとを考慮した、レーザ光の走査速度で所定の範囲の走査を行い、y軸方向には、レーザ光のパターン300の幅にグリッド電極111の幅とマージンの和を考慮した周期で位置をずらす。これによって、グリッド電極111を配置する電極形成領域105bには、開口104を形成しないようにすることができる。
(2)光学素子回転照射でレーザ照射を行う場合
(1)では、光入射側電極の間隔が、レーザ光のパターン300の走査方向に垂直な方向(y軸方向)の幅と、グリッド電極の幅とマージンの和とを考慮した周期と一致しているときにしか、開口104を形成しない電極形成領域105bを含むパターンを形成することができない。たとえば、図1−1で2.2mmの間隔でグリッド電極111が形成されており、このようなグリッド電極111の間に図5に示される長辺の長さが1.393mmの矩形状のパターン300を用いて開口104を形成する場合、光学素子垂直照射では、グリッド電極111の間隔とパターン300の長辺の長さとが一致していないので、開口104のパターンを形成することができない。そこで、グリッド電極111の間隔が、レーザ光のパターン300の幅と、グリッド電極111の幅とマージンの和と、を考慮した周期と一致していない場合でも、レーザ光のパターン300を変えることなく開口104を形成することができる方法について説明する。
ここでは、図1−1の光入射側電極は2.2mmの間隔で形成され、グリッド電極111の太さとマージンの和(すなわち、電極形成領域105bのy軸方向の長さ)を0.2mmとして加工を行うものとする。すなわち、凹部形成領域105aのy軸方向の長さは2.0mmであり、電極形成領域105bのy軸方向の長さは0.2mmであるものとする。このグリッド電極111の間隔2.2mmの周期で、0.2mmの隙間を有するパターンを形成するために、以下に示すようにビーム分岐集光光学系205を、光軸の周りに回転可能な回転機構を備えるビーム分岐集光光学系ホルダ208に設置し、光軸の周りに回転させることで、1回の走査で加工できる幅を調整する。このビーム分岐集光光学系205の回転の制御は、制御部230によって行われる。なお、この構成は、隙間の幅を微調整することができるため、ビーム分岐集光光学系205を間隔に合わせて光学素子を設計、製作した場合にも有効である。
図6は、ビーム分岐集光光学系の回転によって1回の走査で加工できる幅を調整する様子を説明するための図である。2.2mmの周期で、0.2mmの隙間を有するパターンを形成するためには、2.0mmの幅の加工を2.2mm周期で実施すればよい。そこで1回の照射で加工できる幅を1.0mmに設定し、2回走査することで、合計2.0mmの幅の領域を加工する。つまり、レーザ光のパターンが1回の走査で通過する領域を走査領域とした場合、2.0mmの凹部形成領域105aを2つの1.0mm幅の走査領域に分けたものである。ここで、1.0mm幅の走査領域は、特許請求の範囲におけるサブ領域に対応している。また、2.2mm周期でこのパターンの走査方向に垂直な方向(y軸方向)に移動させることで、2.0mm幅の開口パターンの間に0.2mmの間隔を空ける(電極形成領域105bを設ける)ことができる。
図5に示されるレーザ光のパターン300を用いて、1回の照射で加工できる幅を1.0mmにするためには、図6に示されるように、ビーム分岐集光光学系205を、光軸を中心に左回りに53.7°回転させればよい。なお、ここで示される角度は、矩形状のレーザ光のパターン300の短辺をaとし、長辺をbとしたとき、走査方向であるx軸に対してレーザ光のパターン300の短辺aのなす角度、または走査方向に垂直なy軸に対してレーザ光のパターン300の長辺bのなす角度のことをいう。このとき、レーザ光のパターン300の長辺b上の位置での走査方向(x軸方向)の大きさδxは、48μm/cos53.7°=81μmとなるので、ステージ201またはレーザ光の走査速度Vは、V=F・δx=10kHz×81μm=810mm/秒に設定される。これによって、1回の走査の途中に2回レーザのオン−オフ動作を入れるのみで、光入射側電極のパターニングが可能となる。
図6では、1.0mmの幅の走査領域を形成するために、1.393mm×48μmのパターン300を左回りに53.7°回転させる場合を説明したが、任意の幅の走査領域に対して上記した方法を適用することができる。図7は、任意の幅の走査領域を形成するためのパターンの回転角度を求める方法を説明するための図である。ここで、走査領域の幅をAとするために、パターン300の短辺aが走査方向(x軸方向)に対してθだけ傾くようにパターン300を回転させたとする。この状態で、矩形状のパターン300の対角に位置する2つの頂点C1,C2を通りx軸に平行な線B1,B2を引き、パターン300の頂点C1を通る長辺bを頂点C3側に延長して直線B2と交わる点をDとし、点Dから直線B1に対して垂直に下ろした直線が直線B1と交わる点をEとする。また、線分C3・Dの長さをSとする。この図7より、次式(1)、(2)の関係が成り立つ。
cosθ=A/(W+S) ・・・(1)
S=M・tanθ ・・・(2)
これらの(1)、(2)式より、
cosθ=A/(W+M・tanθ)
となり、次式(3)が導かれる。
W・cosθ+M・sinθ=A ・・・(3)
上記したように、パターン300の短辺aと長辺bのそれぞれの長さM,Wと、走査領域の幅Aとは既知であるので、(3)式を満たす角度θを数値計算によって求めることができる。
開口104を形成する領域の幅がパターン300の長辺bの長さ以下の場合には、1度の走査でその領域に開口104を形成することができるが、開口104を形成する領域の幅がパターン300の長辺bの長さよりも長い場合には、グリッド電極111の間隔からグリッド電極111の幅とマージンを引いた値の整数分の1に、走査領域の幅を調整し、この走査領域の幅に合うようにパターン300を回転させて、複数回走査を行えばよい。ただし、この場合には、凹部形成領域105a内でのy軸方向の移動距離は、走査領域の幅の分のみであり、隣接する凹部形成領域105a間でのy軸方向の移動距離は、走査領域の幅にグリッド電極111の幅とマージンの和を足した値となる。
以上のように光学素子回転照射でレーザ照射を行う場合では、制御部230は、設定した走査領域の幅となるようにレーザ光のパターン300の短辺aがx軸に対して所定の角度θだけ傾けるようにパターン300を回転させて配置し、x軸方向の走査には、レーザ発振部202の繰り返し周波数と回転したパターン300の長辺bの各位置での走査方向の長さとを考慮したレーザ光の走査速度で所定の範囲を走査し、y軸方向には、レーザ光のパターン300の幅にグリッド電極111の幅とマージンの和を考慮した周期で位置をずらす。これによって、グリッド電極111を配置する電極形成領域には、開口104を形成しないようにすることができる。
以上のように、開口104が形成された凹部形成領域105aと、開口104が形成されない電極形成領域105bが形成される。
ついで、耐エッチング膜103に開けた微細な開口104を通して、高濃度N型拡散層102Hを含むシリコン基板101の表面付近をエッチングして、凹部106を形成する(図3−5)。このエッチングは、開口104を通してシリコン基板101をエッチングするため、シリコン基板101の表面には開口104を中心として、その同心位置に凹部106が形成される。混酸系のエッチング液によってエッチングを行うと、シリコン基板101表面の結晶面方位に影響されずに均一なテクスチャが形成され、表面反射損失の少ない光起電力装置100を製造できる。ここでは、エッチング液としてフッ酸と硝酸の混合液を用いる。混合比はフッ酸1:硝酸20:水10である。なお、エッチング液の混合比は所望のエッチング速度、エッチング形状により適切な混合比に変更可能である。また、ここでは、凹部形成領域105aにおいて、高濃度N型拡散層102Hが除去されるようにエッチングを行う。
ついで、フッ酸などを用いて耐エッチング膜103を除去した後(図3−6)、シリコン基板101を熱酸化炉へ再度投入し、オキシ塩化リン(POCl3)蒸気の存在下で加熱して、凹部106の表面にリンを低濃度に拡散させた低濃度N型拡散層102Lを形成する(図3−7)。このときの拡散温度は840℃とする。ここで、電極形成領域105bは、エッチング時に高濃度N型拡散層102Hが残っていた部分であるため、その上から再度低濃度な拡散を行っても抵抗は低いままである。また、凹部形成領域105aの凹部106の内面は、エッチング時に高濃度N型拡散層102Hが除去された状態になっているが、この拡散処理によって、低濃度N型拡散層102Lが形成される。
ついで、オキシ塩化リン(POCl3)蒸気の存在下で加熱してできたリンガラス層をフッ酸溶液中で除去する。その後、プラズマCVD法によりセル表面にSiN膜などからなる反射防止膜109を形成する(図3−8)。この反射防止膜109の膜厚および屈折率は、光反射を最も抑制する値に設定される。なお、屈折率の異なる2層以上の膜を積層してもよい。またスパッタ法など異なる成膜方法により形成してもよい。
その後、シリコン基板101の表面と裏面にそれぞれ光入射側電極(グリッド電極111、バス電極113)と、裏面電極(裏側電極121、裏側集電電極122)を形成する(図3−9)。ここではまず、裏側電極121としてアルミニウムを混入したペーストをシリコン基板101の裏面の全面にスクリーン印刷にて形成する。つぎに、グリッド電極111(バス電極113)として銀を混入したペーストをシリコン基板101の表面の反射防止膜109上に櫛形にスクリーン印刷にて形成する。そして、焼成処理を実施する。なお、グリッド電極111の基となるペーストは、電極形成領域105b上に形成される。また、焼成処理は、大気雰囲気中、760℃で実施する。このとき、グリッド電極111は、接合部分112において、反射防止膜109を突き抜け高濃度N型拡散層102Hとコンタクトする。これによって、高濃度N型拡散層102Hは光入射側電極(グリッド電極111、バス電極113)と良好な抵抗性接合を得ることができる。また、焼成によって裏側電極121のアルミニウムがシリコン基板101へと拡散し、シリコン基板101の裏面から所定の範囲にP+層110が形成される。以上のようにして、光起電力装置100が作製される。
この実施の形態1によれば、レーザ発振部202のレーザ発振の繰り返し周波数と、レーザ光のパターン300の走査方向の長さとの積をレーザ光またはステージ201の走査速度としたので、複雑かつ多数のレーザのオン−オフ動作をせずに、そして正確な位置合せを行わずに、レーザの1周期で1つの開口104を耐エッチング膜103上に形成することができる。また、複雑かつ多数のレーザのオン−オフ動作をせずに、そして正確な位置合せを行わずに、開口104を形成することができるので、従来に比して、生産工程を簡略化し、歩留まりを向上させることができる。さらに、レーザ光を走査する幅については、テクスチャ構造を決定する周期構造の1要素となる形状にレーザ光を形成する回折光学素子206を、光軸を中心に回転可能な構成としたので、任意の幅で開口104を形成することができる。
また、グリッド電極111間の距離と、グリッド電極111の太さとマージンとを考慮した周期で走査方向に垂直な方向に移動させるので、隣接する凹部形成領域105aの間に、開口104が形成されない電極形成領域105bを形成することができる。そして、この電極形成領域105bには、テクスチャ構造が形成されないので、フィルファクタを向上させ、良好な抵抗性接合を有する光入射側電極を有する光起電力装置を得ることができる。
実施の形態2.
この実施の形態2の光起電力装置の製造方法は、実施の形態1の光起電力装置の製造方法において、レーザ光を用いて耐エッチング膜に開口を形成する工程でのレーザ光の分岐と集光の方法のみが異なる。そこで、以下では、実施の形態1と異なる部分のみを説明し、実施の形態1と同一の部分についてはその説明を省略する。
図8は、開口を形成するレーザ加工装置の実施の形態2の構成の一例を模式的に示す図である。このレーザ加工装置200Bは、実施の形態1のレーザ加工装置200Aにおいて、回折光学素子206と集光レンズ207を含むビーム分岐集光光学系205に代えて、複数開口したアパーチャ210と、アパーチャ210の像を加工対象上に転写する転写光学系213と、を備える点が異なっている。また、制御部230は、ステージ201とアパーチャ210とを加工する領域に合わせて制御する。なお、アパーチャ210は、特許請求の範囲におけるビーム分岐手段に対応している。
このレーザ加工装置200Bにおいて、レーザ発振部202から発せられたレーザ光Lは、反射鏡203によって光路を変更された後、ビーム形状調整光学系204により拡大されて、複数の開口を有するアパーチャ210に入射する。複数の開口を有するアパーチャ210の像が、転写光学系213によって、シリコン基板上に形成された耐エッチング膜103上に転写され、耐エッチング膜103に複数の開口104が形成される。
図9は、アパーチャの一例を示す図である。この図に示されるように、このアパーチャ210は、4行×4点=16点の開口211が、三角格子状に配置された構成を有している。そして、三角格子状に配置された開口211によって、その外形が略矩形状の開口パターン212が形成されている。このとき、1回の走査で加工できる幅は、実施の形態1と同様に、複数開口のアパーチャ210を、光軸を中心にして回転することで調整することができる。
つまり、光学素子垂直照射時において、この矩形状の開口パターン212の辺aを走査方向(x軸方向)に配置し、辺bを走査方向と垂直な方向(y軸方向)に配置するものとし、y軸方向の開口パターン212の長さを幅というものとすると、開口パターン212の辺aのx軸方向となす角度を変えることによって、走査領域の幅を変えることができる。
なお、このレーザ加工装置200Bを用いた耐エッチング膜103への開口104の形成方法は、実施の形態1で説明したものと同様であるので、その説明を省略する。
この実施の形態2によっても、開口104を耐エッチング膜103に形成する際に、1回の走査の途中に2回レーザのオン−オフ動作を入れるのみで、光入射側電極のパターニングを実施することができるという効果を有する。
実施の形態3.
この実施の形態3の光起電力装置の製造方法は、実施の形態1の光起電力装置の製造方法において、レーザ光を用いて耐エッチング膜に開口を形成する工程での1回の走査で加工できる幅の調整方法のみが異なる。それ以外は同様であるので、同一の部分には同一の符号を付記して、その説明は省略する。
図10は、開口を形成するレーザ加工装置の実施の形態3の構成の一例を模式的に示す図である。このレーザ加工装置200Cは、実施の形態1のレーザ加工装置200Aにおいて、ビーム形状調整光学系204を、光軸方向に移動可能な複数のレンズ204a〜204cで構成し、また、ビーム分岐集光光学系205の回転機構を有するビーム分岐集光光学系ホルダ208に代えて、回転機構を有さないビーム分岐集光光学系ホルダ208Cと、ビーム分岐集光光学系ホルダ208をステージ201の加工対象載置面に垂直な方向(以下、z軸方向という)に移動可能なz軸ステージ220と、を備え、制御部230が、ビーム分岐集光光学系を光軸の周りに回転させる機能に代えて、z軸ステージ220を用いてビーム分岐集光光学系ホルダ208Cをz軸方向に移動させる機能と、ビーム形状調整光学系204の各レンズ204a〜204c間の間隔を変化させる機能と、を有する点が異なっている。なお、z軸ステージ220は、特許請求の範囲における移動手段に対応している。
ここでは、ビーム形状調整光学系204を構成するレンズ204a〜204cの間隔を調整して、集光レンズ207(ビーム分岐集光光学系205)に入射するレーザ光の発散角を調整することによって、1回の走査で加工できる幅を調整するようにしている。具体的には、ビーム形状調整光学系204を構成する複数のレンズ204a〜204cの間の距離を調整することで、ビーム分岐集光光学系205に入射するレーザ光の発散角と集光径を調整する。
また、z軸ステージ220は、集光点がステージ201上に載置されたシリコン基板上に形成されるように、ビーム分岐集光光学系205のステージ201からの高さを調整する。なお、ここでは、ビーム分岐集光光学系205の高さを調整するようにしているが、ステージ201の高さを調整するようにしてもよい。
ここで、レーザ照射時における1回の走査で加工できる幅の調整方法の具体的な方法について説明する。ビーム分岐集光光学系205は、実施の形態1で説明したように、4列×100点=400点の開口をピッチ14μmで三角格子状に形成する回折光学素子206と、ビーム集光のための集光レンズ207とで構成される。このピッチは、加工対象の回折光学素子206からの距離によって変化する。たとえば、この例では、回折光学素子206から200mmの地点でのピッチが14μmであるものとする。また、この回折光学素子206からの距離と分岐パターンのピッチは比例する。たとえば上記の例では、回折光学素子206からの距離が100mmの地点では、ピッチは7μmとなる。
一方、耐エッチング膜103にレーザによって形成された開口104は、その穴径が小さい方が、アスペクト比の大きなテクスチャを形成できるために望ましい。すなわち、ビーム分岐集光光学系205の集光レンズ207によって集光される光が最も小さいビーム径となる点で加工するのが望ましい。集光レンズ207とこの集光点との距離は、集光レンズ207(ひいてはビーム分岐集光光学系205)への入射光の発散角に依存する。発散角を大きくすることで、集光点と集光レンズ207との距離は大きくなり、発散角を負にすることで集光点と集光レンズ207との距離は縮小する。
以上より、ビーム分岐集光光学系205への入射光の発散角を調整することにより、ビーム分岐集光光学系205で形成されるパターンの集光点でのパターンのピッチを調整することができる。なお、集光点がシリコン基板101上に形成されるようにするために、z軸ステージ220を用いた。
たとえば、1回の走査で加工できる幅を2.0mmに調整するためには、パターンのピッチを、20μm(=14μm×2.0mm/1.4mm)となるように設定すればよい。また、入射光の発散角を曲率半径700mmに調整し、回折光学素子206からシリコン基板101までの距離を280mmとすると、x軸方向のパターンの大きさδxも同じ割合で拡大されδx=48μm×20μm/14μm=68.6μmとなる。レーザ発振部202の繰り返し周波数Fを10kHzとすると、レーザ光の走査速度Vは、V=F・δx=686mm/秒となる。その結果、ここで示したような条件で走査することによって、幅2.0mmの領域に開口104を形成することができる。
この実施の形態3によっても、1回の走査の途中に2回レーザのオン−オフ動作を入れるのみで、光入射側電極にテクスチャ構造を形成するための開口104をパターニングすることができる。
なお、上述した説明では、レーザ光を三角格子状に加工対象上に照射する場合を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、四角格子状などレーザ光が他の配置状態となるように照射してもよい。
以上のように、この発明にかかるレーザ加工装置は、光入射面側にテクスチャ構造を有する光起電力装置の製造に有用である。
光起電力装置の上面図である。 光起電力装置の裏面図である。 図1−2のA−A断面図である。 図1−1〜図1−3に示される光起電力装置のグリッド電極周辺の一部を拡大して示す断面図である。 この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。 この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。 この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その3)。 この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その4)。 この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その5)。 この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その6)。 この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その7)。 この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その8)。 この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その9)。 開口を形成するレーザ加工装置の実施の形態1の構成の一例を模式的に示す図である。 ビーム分岐集光光学系によって加工対象上に形成されるレーザ光のパターンを模式的に示す図である。 ビーム分岐集光光学系の回転によって1回の走査で加工できる幅を調整する様子を説明するための図である。 任意の幅の走査領域を形成するためのパターンの回転角度を求める方法を説明するための図である。 開口を形成するレーザ加工装置の実施の形態2の構成の一例を模式的に示す図である。 アパーチャの一例を示す図である。 開口を形成するレーザ加工装置の実施の形態3の構成の一例を模式的に示す図である。
符号の説明
100 光起電力装置
101 シリコン基板
102 N型拡散層
102H 高濃度N型拡散層
102L 低濃度N型拡散層
103 耐エッチング膜
104 開口
105a 凹部形成領域
105b 電極形成領域
106 凹部
109 反射防止膜
110 P+層
111 グリッド電極
112 接合部分
113 バス電極
121 裏側電極
122 裏側集電電極
200A,200B,200C レーザ加工装置
201 ステージ
202 レーザ発振部
203 反射鏡
204 ビーム形状調整光学系
204a〜204c レンズ
205 ビーム分岐集光光学系
206 回折光学素子
207 集光レンズ
208,208C ビーム分岐集光光学系ホルダ
210 アパーチャ
211 開口
212 開口パターン
213 転写光学系
220 z軸ステージ
230 制御部
300 パターン
301 ビームスポット

Claims (4)

  1. 第1の導電型の半導体基板の光の入射面側の全面に第2の導電型の不純物を拡散して、第1の濃度の第1の拡散層を形成する第1の拡散層形成工程と、
    前記第1の拡散層上に耐エッチング性を有する耐エッチング膜を形成する耐エッチング膜形成工程と、
    前記耐エッチング膜上の電極を形成しようとする電極形成領域以外の凹部を形成しようとする凹部形成領域に、パルス状の複数の略円形のビームスポットからなり、前記複数の略円形のビームスポットからなる群の外郭が略矩形状であるレーザ光のパターンを、該パターンの第1の辺を走査方向である第1の方向に一致させて走査しながら、開口を形成し、前記第1の拡散層を露出させる開口形成工程と、
    前記第1の拡散層の露出位置を中心に、前記第1の拡散層と前記半導体基板とを混酸系エッチング液によってエッチングして凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記凹部を形成する面に、前記第1の濃度よりも低い第2の濃度の第2の導電型の不純物を拡散して、第2の拡散層を形成する第2の拡散層形成工程と、
    前記半導体基板の前記光の入射面側の前記電極形成領域に光入射側電極を形成する表面電極形成工程と、
    を含み、
    前記開口形成工程では、
    前記レーザ光の1パルス分の周期の間に、前記レーザ光の照射位置を、前記パターンの前記第1の辺の長さだけ第1の方向に移動させ、
    前記第1の方向の走査が終了すると、前記凹部形成領域と前記電極形成領域の前記第1の方向に垂直な第2の方向の長さだけ、前記第2の方向に前記レーザ光と前記半導体基板との間の位置をずらして、前記第1の方向に沿って前記レーザ光の走査を行うことを特徴とする光起電力装置の製造方法。
  2. 前記開口形成工程では、パルス状のレーザを発振するレーザ発振器からのレーザ光を、回折光学素子によって、前記パターンに含まれるビームスポット群に分岐させ、前記パターンの前記第2の方向の第2の辺の長さが、前記凹部形成領域の前記第2の方向の幅よりも大きい場合に、前記パターンの前記第2の方向の幅が、前記凹部形成領域の幅と等しくなるように、前記回折光学素子を光軸の周りに回転させた状態で、前記レーザ光の走査を行うことを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
  3. 前記開口形成工程では、パルス状のレーザを発振するレーザ発振器からのレーザ光を、回折光学素子によって、前記パターンに含まれるビームスポット群に分岐させ、前記パターンの前記第1の辺に垂直な第2の辺の長さが、前記凹部形成領域の前記第2の方向の幅よりも小さい場合に、1回の走査で加工できる前記第2の方向の幅が前記パターンの前記第2の辺以下の大きさとなるように、前記凹部形成領域を同じ第2の方向の幅を有するサブ領域に分割し、前記パターンの前記第2の方向の幅が前記サブ領域の前記第2の方向の幅と等しくなるように、前記回折光学素子を光軸の周りに所定の角度回転させた状態で、前記レーザ光の走査を行うことを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
  4. 前記開口形成工程では、パルス状のレーザを発振するレーザ発振器からのレーザ光を、回折光学素子によって、前記パターンに含まれるビームスポット群に分岐させ、光軸方向に移動可能な複数のレンズを含むビーム形状調整光学系を用いて、前記回折光学素子への入射光の発散角を調整して、前記ビームスポット間の集光点でのピッチを調整することを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
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