JP5072148B2 - スーパーオキシドジスムターゼ様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、及びヒアルロン酸産生促進作用剤、並びに皮膚化粧料 - Google Patents
スーパーオキシドジスムターゼ様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、及びヒアルロン酸産生促進作用剤、並びに皮膚化粧料 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スーパーオキサイドを過酸化水素に変換する触媒酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ(以下、「SOD」と略記する)様作用剤、エラスチンの減少・変性に関与するエラスターゼ活性を阻害するエラスターゼ阻害作用剤、コラーゲンの減少・変性に関与するコラゲナーゼ活性を阻害するコラゲナーゼ阻害作用剤、線維芽細胞によるコラーゲンの産生を活発化する作用を有するコラーゲン産生促進作用剤、女性ホルモンの一種であるエストロゲンと同様の作用を有するエストロゲン様作用剤、及び間充組織にみられるムコ多糖であるヒアルロン酸産生促進作用剤、並びにこれら有効成分を含有し皮膚の老化予防・改善効果を備えた皮膚化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド(即ち、酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン)(・O2−)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシラジカル(・OH)等がある。
【0003】
これら活性酸素は、食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウイルスや癌細胞の除去に重要な役割を果たしているが、活性酸素の過剰な生成は生体内の膜や組織を構成する生体内分子を攻撃し、コラーゲン等の生体組織を分解、変性又は架橋したり、油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成すると考えられており、活性酸素によって引き起こされるこれらの障害が、皮膚のシワ形成や皮膚の弾力低下等の老化の原因になるものと考えられている。
【0004】
この場合、過剰のスーパーオキサイドは、細胞内のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の触媒作用により逐次消去されるが、このSOD作用の低下が問題となり、SODやSOD様物質を飲食品、皮膚化粧料、医薬品に添加し摂取、投与することが試みられている。
【0005】
このような活性酸素消去作用を有する物質としては、グルタチオン、ビタミンC,E,B6、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニリン等が有効であることが確認されたが、いずれも皮膚化粧料に配合した場合の安定性及び安全性の点に問題がある。また、SOD様物質として、種々の天然物が見出されている(特開昭64−50877号公報、特開平3−83548号公報等参照)。
【0006】
また、皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するエラスチン、コラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては、これら皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
【0007】
近年、この変化を誘導する因子として、特にマトリックス系プロテアーゼの関与が指摘されている。マトリックス系プロテアーゼの中でも、コラゲナーゼ、即ち、MMP−1(マトリックスメタロプロテアーゼ)は、皮膚の真皮マトリックスの主な構成成分であるタイプI,IIIコラーゲンを分解する酵素として知られているが、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、紫外線によるコラーゲンの減少・変性の一因となり、皮膚のシワの形成等の大きな要因となることが考えられる。従って、コラーゲン産生の促進や、コラゲナーゼ活性の阻害は、皮膚の老化を防止・改善する上で重要である。
【0008】
上述のような機構による皮膚の老化を防止・改善するために最も普通に行われているのは、天然保湿因子(NMF)である糖、アミノ酸、有機酸、ピロリドンカルボン酸塩、コラーゲン、ヒアルロン酸等のムコ多糖類、グリセリン、1,3−ブチレングリコール等の保湿作用を有する物質を塗布して皮膚の保湿性を高めることである。
【0009】
一方、加齢に伴う皮膚老化は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減退することが一因であると考えられている。即ち、エストロゲンは成人女性の健康維持に深く関わっていて、その分泌不足は種々の内科的疾患を招く他、肌の過敏症、弾力性低下、潤いの減少等、好ましくない肌の変化の原因となることが知られている。
【0010】
そこで、エストロゲンの分泌が衰える更年期以降の女性に対してエストロゲンと同様の作用をする物質を経皮的又は経口的に投与することが行われている。かかるエストロゲン様作用剤としては、従来、ステロイド系エストロゲン、非ステロイド系エストロゲン、フラボン系化合物等が使われている。
【0011】
また、ヒアルロン酸は主に真皮の線維芽細胞により産生され、皮膚のみずみずしさ、しなやかさ、艶をよくするためには欠かせない糖タンパクであるが、加齢に代表される皮膚老化の過程で減少する。従って、ヒアルロン酸産生促進を高め、ヒアルロン酸の減少を補うことができれば、皮膚老化の防止が可能になると考えられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、安全性、及び生産性に優れ、かつ安価でありながら、高い皮膚の老化を防止・改善効果、美白効果を有するスーパーオキシドジスムターゼ様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、及びヒアルロン酸産生促進作用剤に対する需要者の要望は極めて強く、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
【0013】
本発明は、このような状況下、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、スーパーオキサイドを過酸化水素に変換する触媒酵素であるSOD様作用剤、エラスチンの減少・変性に関与するエラスターゼ活性を阻害するエラスターゼ阻害作用剤、コラーゲンの減少・変性に関与するコラゲナーゼ活性を阻害するコラゲナーゼ阻害作用剤、線維芽細胞によるコラーゲンの産生を活発化する作用を有するコラーゲン産生促進作用剤、女性ホルモンの一種であるエストロゲンと同様の作用を有するエストロゲン様作用剤、及び間充組織にみられるムコ多糖であるヒアルロン酸産生促進作用剤、並びにこれら有効成分を含有し皮膚の老化予防・改善作用、更には美白効果を備えた皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ムラサキ科チシャノキ属(Ehretia)植物の抽出物が、SOD様作用、エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用及びヒアルロン酸産生促進作用を有することを知見した。
【0015】
即ち、チャングバット、マルバチチシャノキ、リュウキュウチシャノキ及びチシャノキから選ばれるムラサキ科チシャノキ属(Ehretia)植物の抽出物、特にチャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出して得られる有効成分が、優れたSOD様作用、エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、及びヒアルロン酸産生促進作用を有し、該有効成分を含有する皮膚化粧料が、高い安全性と皮膚の老化を防止及び/又は改善し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0016】
従って、本発明は、下記のスーパーオキシドジスムターゼ様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、及びヒアルロン酸産生促進作用剤、並びに皮膚化粧料を提供する。
【0017】
請求項1の発明は、チャングバット、マルバチチシャノキ、リュウキュウチシャノキ及びチシャノキから選ばれるムラサキ科チシャノキ属植物から抽出されるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)様物質を有効成分として含むことを特徴とするSOD様作用剤である。
【0018】
請求項2の発明は、チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出して得られるSOD様物質を有効成分として含む請求項1記載のSOD様作用剤である。
【0019】
請求項3の発明は、チャングバット、マルバチチシャノキ、リュウキュウチシャノキ及びチシャノキから選ばれるムラサキ科チシャノキ属植物から抽出されるエラスターゼ阻害物質を有効成分として含むことを特徴とするエラスターゼ阻害剤である。
【0020】
請求項4の発明は、チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出して得られるエラスターゼ阻害物質を有効成分として含む請求項3記載のエラスターゼ阻害剤である。
【0021】
請求項5の発明、チャングバット、マルバチチシャノキ、リュウキュウチシャノキ及びチシャノキから選ばれるムラサキ科チシャノキ属植物から抽出されるコラゲナーゼ阻害物質を有効成分として含むことを特徴とするコラゲナーゼ阻害剤である。
【0022】
請求項6の発明は、チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出して得られるコラゲナーゼ阻害物質を有効成分として含む請求項5記載のコラゲナーゼ阻害剤である。
【0023】
請求項7の発明は、チャングバット、マルバチチシャノキ、リュウキュウチシャノキ及びチシャノキから選ばれるムラサキ科チシャノキ属植物から抽出されるコラーゲン産生促進物質を有効成分として含むことを特徴とするコラーゲン産生促進作用剤である。
【0024】
請求項8の発明は、チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出して得られるコラーゲン産生促進物質を有効成分として含む請求項7記載のコラーゲン産生促進作用剤である。
【0025】
請求項9の発明は、チャングバット、マルバチチシャノキ、リュウキュウチシャノキ及びチシャノキから選ばれるムラサキ科チシャノキ属植物から抽出されるエストロゲン様物質を有効成分として含むことを特徴とするエストロゲン様作用剤である。
【0026】
請求項10の発明は、チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出して得られるエストロゲン様物質を有効成分として含む請求項9記載のエストロゲン様作用剤である。
【0027】
請求項11の発明は、チャングバット、マルバチチシャノキ、リュウキュウチシャノキ及びチシャノキから選ばれるムラサキ科チシャノキ属植物から抽出されるヒアルロン酸産生促進物質を有効成分として含むことを特徴とするヒアルロン酸産生促進作用剤である。
【0028】
請求項12の発明は、チャングバットの葉部を、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出して得られるヒアルロン酸産生促進物質を有効成分として含む請求項11記載のヒアルロン酸産生促進作用剤である。
【0029】
請求項13の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項記載の有効成分を含有することを特徴とする皮膚化粧料である。
【0030】
請求項14の発明は、更に美白剤を皮膚化粧料全体に対し0.01〜10質量%配合した請求項13記載の皮膚化粧料である。
【0031】
請求項15の発明は、美白剤が、アスコルビン酸又はその誘導体、プラセンタエキス、カミツレエキス、アルブチン、エラグ酸、ルシノール及びコウジ酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項14記載の皮膚化粧料である。
【0032】
なお、本発明の各種有効成分の抽出原料であるムラサキ科チシャノキ属植物(特にチャングバット)は、民間薬、特に茶として飲用されてきた安全性の高いものであるが、これら植物がSOD様作用、エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用及びヒアルロン酸産生促進作用を有し、皮膚の老化を防止及び/又は改善に有効であることは全く知られておらず、このことは本発明者の新知見である。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のSOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、及びヒアルロン酸産生促進作用剤は、それぞれムラサキ科チシャノキ属植物から抽出されるSOD様物質、エラスターゼ阻害物質、コラゲナーゼ阻害物質、コラーゲン産生促進物質、エストロゲン様物質、及びヒアルロン酸産生物質を有効成分として含むものである。
【0034】
ここで、ムラサキ科チシャノキ属(Ehretia)植物としては、チャングバット(Ehretia microphylla Lam.)、マルバチチシャノキ(Ehretia dicksonii Hance)、リュウキュウチシャノキ(Ehretia dichotoma Bl.)及びチシャノキ(Ehretia ovalifolia Hassk.)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、これらの中でも、チャングバットが好ましい。
【0035】
チャングバット(日本名「フクマンギ」と呼ばれる)は、ムラサキ科チシャノキ属に属する高さ1〜3mの常緑低木で、奄美大島以南の琉球、中国南部、マレーシア、インドに分布する。葉は濃緑色で短枝に束生し、倒卵形で長さ2〜5cmである。
【0036】
このチャングバットは民間薬、特に茶として飲用されてきたが、SOD様作用、エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用及びヒアルロン酸産生促進作用を有することは全く知られていない。
【0037】
本発明においては、チャングバットの葉、茎及び枝のいずれの部位を使用してもよく、異なる2種以上の部位を組み合わせて使用することもできる。
【0038】
ムラサキ科チシャノキ属(Ehretia)植物が含有するSOD様物質、エラスターゼ阻害物質、コラゲナーゼ阻害物質、コラーゲン産生促進物質、エストロゲン様物質、及びヒアルロン酸産生物質の詳細は不明であるが、上記抽出原料を用いて、植物の抽出に一般に用いられている抽出方法により得ることができる。なお、抽出液、該抽出液の希釈液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
【0039】
例えば、ムラサキ科チシャノキ属植物(特にチャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位)を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位は、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0040】
抽出に用いる溶媒としては、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合液を室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
【0041】
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0042】
前記親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。なお、水と親水性有機溶媒との混合系溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部、多価アルコールの場合は水10質量部に対して10〜90質量部添加することが好ましい。
【0043】
本発明において、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)様物質、エラスターゼ阻害物質、コラゲナーゼ阻害物質、コラーゲン産生促進物質、エストロゲン様物質、及びヒアルロン酸産生物質を抽出するにあたり特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下で、任意の装置を用いて抽出することができる。
【0044】
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に、ムラサキ科チシャノキ属植物(特にチャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位)を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら、30分〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を溜去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)であり、抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜95℃で1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃で30分〜4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであればそのまま配合して本発明の各種有効成分として用いることができるが、濃縮液又はその乾燥物としたもののほうが利用しやすい。
【0045】
得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
【0046】
得られた抽出液はそのままでもSOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤及びヒアルロン酸産生促進剤として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。
【0047】
また、チャングバット等のムラサキ科チシャノキ属植物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、化粧料に添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。なお、精製は、具体的には活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0048】
なお、本発明のSOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤及びヒアルロン酸産生促進剤には、必要に応じて、他のSOD様作用、エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用又はヒアルロン酸産生促進作用を有する天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。
【0049】
このような天然抽出物としては、例えば、藤茶抽出物、イチョウ葉抽出物、柿渋、バーベリー樹皮抽出物、フユベゴニア根茎部抽出物、甘草葉抽出物、褐藻類のヒバマタ属、アスコフィラム属、レッソニア属又はダービリア属に属する海藻抽出物、エンドウの種子抽出物、ヒマラヤユキノシタ属植物の抽出物、シラカバ、ケイヒ、フユボダイジュ、ナツボダイジュ、西洋シナノキ、シナノキ、ビワ及びハマメリスからなる群より選ばれる植物抽出物、タマリンドハスク抽出物、ウラジロガシ及び/又はシラカシ抽出物から選ばれる1種又は2種以上の植物からの抽出物などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる(詳細については、特開平5−316963号公報、特開平8−231347号公報、特開平11−171758号公報、特開平11−199504号公報、特開平11−315007号公報、特開2000−53578号公報、特開2000−191498号公報、特開2000−212058号公報、特開2000−229871号公報、特開2000−290190号公報、特開2001−64191号公報、特開2001−97873号公報等参照)。なお、有効成分の配合割合は、ムラサキ科チシャノキ属植物の抽出物:前記天然抽出物=1:0.01〜1:5(質量比)の範囲であることが好ましい。
【0050】
本発明のムラサキ科チシャノキ属植物抽出物は、そのままでもSOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、及びヒアルロン酸産生促進剤として使用することができるが、常法に従って製剤化して提供することもできる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアー、その他任意の助剤を添加することができる。ムラサキ科チシャノキ属植物抽出物からの抽出物は、製剤化により粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形とすることができる。
【0051】
本発明のSOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤は皮膚の老化を防止及び/又は改善することができると共に、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、皮膚化粧料に配合するのに最適なものである。
【0052】
本発明のSOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、及びヒアルロン酸産生促進剤の配合量は、皮膚化粧料の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、好適な配合率は標準的なチャングバットの抽出物に換算して皮膚化粧料全体に対し約0.01〜10質量%である。
【0053】
本発明の皮膚化粧料には、SOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、及びヒアルロン酸産生促進剤から選ばれる1種又は2種以上を有効成分として配合することができる。この場合、更に美白剤を皮膚化粧料全体に対し0.01〜10質量%、特に0.1〜5質量%配合することが好ましい。
【0054】
前記美白剤としては、例えば、アスコルビン酸又はその誘導体、イオウ、胎盤加水分解物、エラグ酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、グルコサミン又はその誘導体、アルブチン又はその誘導体、ヒドロキシケイヒ酸又はその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物又はその抽出物、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、油溶性カンゾウエキス(カンゾウ疎水性フラボン、グラブリジン、グラブレン、リコカルコンA)などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、本発明の皮膚化粧料においては、美白効果を向上させる観点から、アスコルビン酸又はその誘導体、プラセンタエキス、カミツレエキス、アルブチン、エラグ酸、ルシノール及びコウジ酸から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【0055】
本発明の皮膚化粧料において、前記SOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、及びヒアルロン酸産生促進剤、更には美白剤と共に構成成分として利用可能なものとしては、特に制限されないが、収斂剤、殺菌・抗菌剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料などが用いられる。これらの構成成分は、前記チャングバット、マルバチチシャノキ、リュウキュウチシャノキ及びチシャノキから選ばれるムラサキ科チシャノキ属植物の抽出物と共に、併用した場合、相乗的に作用して、通常期待される以上の優れた使用効果をもたらすことがある。
【0056】
前記収斂剤としては、例えば、クエン酸又はその塩類、酒石酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム・カリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ジユエキス、エイジツエキス、ハマメリスエキス、ゲンノショウコエキス、チャカテキン類、オドリコソウエキス、オトギリソウエキス、ダイオウエキス、ヤグルマソウエキス、キズタエキス、キューカンバーエキス、マロニエエキス、サルビアエキス、メリッサエキスなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
前記殺菌・抗菌剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ジステアリルメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、感光素101号、感光素201号、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ハロカルバン、レゾルシン、パラクロロフェノール、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、メントール、キトサン、キトサン分解物、ジユエキス、クジンエキス、エンメイソウエキス、ビワエキス、ユッカエキス、アロエエキス、ケイヒエキス、ガジュツエキスなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、β-イソプロピルフラノン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイヒ酸メチル、メトキシケイヒ酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチル安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、酸化チタン、β-カロチン、γ-オリザノール、コメヌカエキス、アロエエキス、カバノキエキス、シラカンバエキス、カミツレエキス、ヘンナエキス、チョウチグルミエキス、イチョウ葉エキス、カミツレエキス、セイヨウサンザシエキス、油溶性カンゾウエキスなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
前記保湿剤としては、例えば、セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ヒドロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸ヘパリン、グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸又はそのエステル類、エイコサペンタエン酸又はそのエステル類、ペクチン、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物又はその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ-オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボウエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
前記細胞賦活剤としては、例えば、リボフラビン又はその誘導体、ピリドキシン又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体、α−トコフェロール又はその誘導体、アルニカエキス、ニンジンエキス、ナタネニンジンエキス、ヘチマエキス(サポニン)、シコンエキス、オウバクエキス、ボタンピエキス、シャクヤクエキス、ムクロジエキス、ベニバナエキス、アシタバエキス、ビワ葉エキス、ヒキオコシエキス、ユキノシタエキス、黄杞エキス、サルビアエキス、ニンニクエキス、マンネンロウエキスなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
前記消炎・抗アレルギー剤としては、例えば、アズレン、アラントイン、アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、イプシロンアミノカプロン酸、オキシベンゾン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、感光素301号、感光素401号、塩酸ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸又はその誘導体、アデノシンリン酸、エストラジオール、エスロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プロゲステロン、コルチコステロン、アルニカエキス、インチンコウエキス、サンシシエキス、ジュウヤクエキス、カンゾウエキス、トウキエキス、ヨモギエキス、ワレモコウエキス、リンドウエキス、サイコエキス、センキュウエキス、セイヨウノコギリソウエキス、オウレンエキス、シソエキスなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
前記抗酸化・活性酸素消去剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没子食酸プロピル、バイカリン、バイカレイン、スーパーオキサイドディスムターゼ、カタラーゼ、ローズマリーエキス、メリッサエキス、オウゴンエキス、エイジツエキス、ビワ葉エキス、ホップエキス、ハマメリスエキス、シャクヤクエキス、セージエキス、キナエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、シソエキス、イチョウ葉エキス、タイムエキス、カルダモンエキス、キャラウェイエキス、ナツメグエキス、メースエキス、ローレルエキス、クローブエキス、ターメリックエキス、ヤナギタデエキスなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
前記油脂類としては、例えば、大豆油、アマニ油、ゴマ油、ヌカ油、綿実油、ナタネ油、サフラワー油、トウモロコシ油、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、ヒマシ油、落花生油、カカオ油、パーム核油、牛脂、ミンク油、ホホバ油、月見草油、馬油などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
前記ロウ類としては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、蜜ロウ、サラシ蜜ロウ、鯨ロウ、セラックス、ラノリン類などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
前記炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、マイクロスリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、ポリエチレン末などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
前記脂肪酸類としては、例えば、ステアリン酸、リノール酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘベニン酸、ラノリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
前記アルコール類としては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール又はその重合体、ブドウ糖、白糖、コレステロール、フィトステロール、セトステアリルアルコールなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
前記エステル類としては、例えば、オレイン酸デシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジオレイン酸プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸グリセリン、トリミリスチン酸グリセリン、乳酸セチルなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
前記界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを使用することができるが、中でも皮膚疾患の発生のない、又は軽微な化粧品原料基準に収載された界面活性剤が好ましい。例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、サポニン、オリゴ配糖体、リン脂質系バイオサーファクタント、アシルペプチド系バイオサーファクタント、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリリン酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどの界面活性剤が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
前記香料としては、例えば、メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、アニス油などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
なお、本発明の皮膚化粧料は、優れた皮膚の老化を防止及び/又は改善効果を有しており、例えば、軟膏、クリーム、乳液、化粧水、ローション、パック、入浴剤等に幅広く用いることができる。
【0072】
【実施例】
以下、製造例及び実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0073】
〔製造例1〕
チャングバット(学名:Ehretia microphylla)の葉部、茎部又は枝部の粗粉砕物それぞれ100gを50質量%エタノール1000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った。その後、ろ過し、残渣を得、この残渣に再び50質量%エタノール1000mLに投入し、穏やかに攪拌しながら2時間、80℃に保った。
2度の抽出により得られたろ液を合わせ、40℃で減圧下にて濃縮し、更に、減圧乾燥機で乾燥してチャングバット抽出物を得た。抽出物の各部位毎の収率は表1に示したとおりであった。
【0074】
【表1】
【0075】
〔実施例1〕 スーパーオキサイド消去試験(NBT法)
3mMキサンチン、0.05M Na2CO3緩衝液(pH10.2)、3mM EDTA、BSA溶液、及び0.75mM NBT各0.1mLを試験管にとり、これに製造例1の試料No.1〜3溶液(溶媒:DMSO+水)0.1mLを添加し、25℃で10分間放置した。
【0076】
次いで、キサンチンオキシダーゼ溶液(酵素溶液)を加えて素早く攪拌し、25℃で20分間静置した。その後、6mM塩化銅0.1mLを加えて反応を停止させ、波長560nmにおける吸光度を測定した。同様の操作と吸光度の測定を、酵素溶液を添加せずに行った。更に、試料溶液を添加せずに蒸留水を添加した場合についても同様の測定を行った。
【0077】
次式によりスーパーオキサイド消去率を求めた。
【数1】
但し、A:酵素溶液添加、試料溶液添加時の吸光度
B:酵素溶液無添加、試料溶液添加時の吸光度
C:酵素溶液添加、試料溶液無添加時の吸光度
D:酵素溶液無添加、試料溶液無添加時の吸光度
【0078】
試料濃度を段階的に減少させて上記消去率の測定を行い、スーパーオキサイドの消去率が50%になる試料濃度(ppm)を内挿法により求めた。結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
表2の結果より、チャングバットからの各抽出物が強いSOD様作用を有することが確認できた。
【0080】
〔実施例2〕 エラスターゼ阻害作用試験
製造例1の試料No.1〜3について、エラスターゼ阻害作用を試験した。具体的には、以下のようにして試験を行った。
【0081】
まず、96ウェルプレートを用意し、1穴に対して各試料溶液(溶媒:DMSO+水)50μL及びエラスターゼ溶液(酵素溶液)50μLを添加し、更に、基質溶液100μLを添加し混合した。
【0082】
25℃で15分間反応させた後、波長415nmの吸光度を測定した。上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の溶媒のみを添加して行った。更に、それぞれの場合について、エラスターゼ溶液の代わりに緩衝液を添加して同じ操作と測定を行った。
【0083】
なお、エラスターゼ溶液(酵素溶液)は、シグマ社製 エラスターゼTypeIII 5mgをpH8の0.2mol/L トリス塩酸緩衝液1mLに溶解し、使用時に250倍に希釈したものを使用した。
基質溶液は、シグマ社製 N−SUCCINYL−ALA−ALA−ALA p−NITROANILIDEをDMSOに溶解した濃度45.14mg/mLの溶液をpH8の0.2mol/L トリス塩酸緩衝液で100倍に希釈して使用した。
【0084】
得られた測定結果から、次式によりエラスターゼ阻害率を求めた。
【数2】
但し、A:試料溶液添加,酵素溶液添加時の吸光度
B:試料溶液添加,酵素溶液無添加時の吸光度
C:試料溶液無添加,酵素溶液添加時の吸光度
D:試料溶液無添加,酵素溶液無添加時の吸光度
【0085】
試料濃度を段階的に減少させてエラスターゼ阻害率(%)の測定を行った。結果を表3に示す。
【0086】
【表3】
表3の結果から、チャングバットの葉部、茎部及び枝部の抽出物がエラスターゼ阻害作用を有することが確認できた。また、かかるチャングバット抽出物のエラスターゼ阻害作用の強さは、チャングバット抽出物の濃度に依存して変化し、チャングバット抽出物の濃度を調節することによりエラスターゼ阻害作用の強さを調節できることが確認できた。
【0087】
〔実施例3〕 コラゲナーゼ阻害作用試験
製造例1の試料No.1〜3について、コラゲナーゼ阻害作用を試験した。具体的には、以下のようにして試験を行った。
【0088】
まず、試料溶液(溶媒:トリス塩酸緩衝液)50μL、コラゲナーゼ溶液(酵素溶液)50μL及び基質溶液400μLを混合し、37℃で30分間インキュベーションした。
【0089】
次いで、25mMクエン酸溶液1mLで反応を停止し、酢酸エチル5mLで抽出した。得られた抽出液について、波長320nmの吸光度(対照液:酢酸エチル)を測定した。
【0090】
上記と同様の酵素反応と吸光度測定を、試料溶液の代わりに試料溶液と等量の緩衝液を添加して行った。更に、それぞれの場合について、コラゲナーゼ溶液の代わりに緩衝液を添加して同じ操作と測定を行った。
【0091】
なお、コラゲナーゼ溶液(酵素溶液)は、シグマ社製コラゲナーゼTypeIV 5mgを20mmol/Lの塩化カルシウムを含有するトリス塩酸緩衝液1mLに溶解させ、使用時に50倍に希釈したものを使用した。
基質溶液は、20mmol/Lの塩化カルシウムを含有するトリス塩酸緩衝液にBACHEM Fenichemikalien AG社Pz−ペプチドを濃度が0.5mol/Lになるように溶解したものを使用した。
【0092】
測定結果から、次式によりコラゲナーゼ阻害率を算出した。
【数3】
但し、A:試料溶液添加,酵素溶液添加時の吸光度
B:試料溶液添加,酵素溶液無添加時の吸光度
C:試料溶液無添加,酵素溶液添加時の吸光度
D:試料溶液無添加,酵素溶液無添加時の吸光度
【0093】
試料濃度を段階的に減少させて上記阻害率の測定を行い、コラゲナーゼの活性を50%阻害する試料溶液濃度を内挿法により求めた。結果を表4に示す。
【0094】
【表4】
表4の結果から、チャングバットの葉部、茎部及び枝部の抽出物がコラゲナーゼ阻害作用を有することが確認できた。また、かかるチャングバット抽出物のコラゲナーゼ阻害作用の強さは、チャングバット抽出物の濃度に依存して変化し、チャングバット抽出物の濃度を調節することによりコラゲナーゼ阻害作用の強さを調節できることが確認できた。
【0095】
〔実施例4〕 コラーゲン産生促進作用試験
製造例1の試料No.1〜3について、Websterらの方法(Anal.Biochem.,Vol.96,220,1979)に準拠して試験を行った。具体的には、以下のようにして試験を行った。
【0096】
まず、ヒトの線維芽細胞を24well plateに播種し、37℃、5%CO2−95%airの下にて、各試料添加培地(試料濃度:50ppm、12.5ppm)で数日間培養した後、β−アミノプロピオニトリルと〔3H〕−プロリンとを添加し、更に24時間培養した。当該培養液全体にペプシン/酢酸溶液を加えて4℃下で16時間消化した。
【0097】
次いで、この消化液にキャリアーを加えて0.7mol/L食塩水溶液で沈殿させ、更に中性条件下で再溶解させて、4.2mol/L食塩水溶液で再沈殿させた。得られた沈殿物を20%エタノールで洗浄した後、その沈殿物の放射活性を測定した。
【0098】
コラーゲン産生促進率は、試料無添加時の放射活性を100%として算出した。各試料のコラーゲン産生促進率(%)を表5に示す。
【0099】
【表5】
表5の結果から、チャングバットの葉部、茎部及び枝部の抽出物が線維芽細胞のコラーゲン産生を促進する作用を有することが確認できた。
【0100】
〔実施例5〕 エストロゲン様作用試験
製造例1の試料No.1〜3について、エストロゲン依存性細胞の増殖に対する影響を調べるThomasらの方法(In Vitro Cell.Dev.Biol.28A,595−602,1992)に準拠して試験を行った。具体的には、以下のようにして試験を行った。
【0101】
まず、ヒト乳ガン由来のMCF−7細胞を75cm2フラスコでコンフルエント様になるまで培養し、トリプシン処理によりこのMCF−7細胞を集め、10%FBS(活性炭処理済み)、1%NEAA及び1mMピルビン酸ナトリウムを含みフェノールレッドを含まないMEM培地(以下、MEM培地と略記する)を用いて、3×104cells/mLに調整した。
【0102】
次に、調製したMCF−7細胞を24well plateに0.9mLづつ播種し、これを定着させるために37℃、5%CO2−95%airの下で培養した。6時間後(0日日)、MEM培地で終濃度の10倍の濃度(125ppm及び31.25ppm)に調製した各試料溶液100μLを上記plateに添加し、培養を続けた。
【0103】
培養開始から6日目、培地を0.97mmol/L MTTを含むMEM培地に交換し、2時間培養後、培地をイソプロパノールに交換して細胞内に生成したブルーホルマザンを抽出した。溶出したブルーホルマザンを含有するイソプロパノールについて、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。
【0104】
なお、付着細胞の影響を補正するため、同時に650nmの吸光度も測定し、両吸光度の差をもってブルーホルマザンの生成量に比例する値とした(下記の計算式における吸光度はこの補正済み吸光度である)。
【0105】
陽性対照としては、0.02ppmエチニルエストラジオールを使用した。エストロゲン様作用率(エストロゲン依存性増殖作用)の強さは、試料無添加時の吸光度を100%として次式により算出した。結果を表6に示す。
【0106】
【数4】
【0107】
【表6】
表6の結果から、チャングバットの葉部、茎部及び枝部の抽出物がエストロゲン様作用を有することが確認できた。また、チャングバット抽出物のエストロゲン様作用の強さは、チャングバット抽出物の濃度に依存して変化し、チャングバット抽出物の濃度を調節することによりエストロゲン様作用の強さを調節できることが確認できた。
【0108】
〔実施例6〕 ヒアルロン酸産生促進試験
ヒト正常新生児線維芽細胞(NBlRGB)1×106個を75cm2フラスコでRITC80−7(極東製薬)+10%FBS培養液(pH7.2)、37℃、5%CO2下で7日間培養し、トリプシン処理により細胞を集め、RITC80−7+1%FBS培養液を用いて96wellのマイクロプレートに2.2×104cells/100μL/wellずつ分注し、37℃、5%CO2下で一夜培養した。
【0109】
次いで、製造例1の試料No.1を溶解したRITC80−7+1%FBS培養液を各wellに100μLずつ添加し、37℃、5%CO2下で3日間培養した。
【0110】
この培養上清を10μLとって、90μLのPBS(−)で10倍希釈し、このうちの50μLについて、予めヒアルロン酸をコーティングして調製したELISAプレートに添加してELISA法によりヒアルロン酸を定量した。結果を表7に示す。なお、ヒアルロン酸の定量は予め作成しておいた検量線を用いて行った。
【0111】
【表7】
表7の結果から、チャングバット葉部の抽出物がヒアルロン酸産生促進作用を有することが確認できた。また、チャングバットの抽出物のヒアルロン酸産生促進作用の強さは、チャングバットの抽出物の濃度に依存して変化し、チャングバットの抽出物の濃度を調節することによりヒアルロン酸産生促進作用の強さを調節できることが確認できた。
【0112】
〔実施例7〕 肌荒れ改善作用(皮膚の老化防止・改善作用)試験
製造例1のチャングバット葉部からの抽出物(試料No.1)を配合した下記組成の乳液(以下、「本発明乳液」という)を常法に従って調製した。
【0113】
<本発明乳液>
チャングバット葉抽出物(製造例1の試料No.1) 0.1g
セチルアルコール 0.5g
ミツロウ 2.0g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(10E.O) 1.0g
モノステアリン酸グリセリル 1.0g
ヒアルロン酸 0.1g
プロピレングリコール 5.0g
エタノール 3.0g
パラオキシ安息香酸メチル 0.3g
香料 0.03g
精製水 残部(全量を100mLとする)
【0114】
上記本発明乳液と、チャングバット抽出物を含まない以外は本発明乳液と同じ組成からなる比較乳液とについて、下記の評価試験を行った。
【0115】
<評価試験>
被験者:22〜43歳の女性多数の中から、皮溝・皮丘が消え、広範囲の角質がめくれている(表8に示す評価が1)、又は皮溝・皮丘が不鮮明で、角質が部分的にめくれている(表8に示す評価が2)、肌荒れと判定された20名を選抜して被験者とした。
【0116】
<塗布試験>
各被験者に、顔の右半分には本発明乳液を、左半分には比較乳液を、朝夕各1回、30日間塗布させた。
【0117】
〔判定1:肌荒れ改善効果〕
塗布試験終了後、シルフロ(FLEXICL DEVELOPMENTS LTD製)によるレプリカ法を用いて顔のレプリカをとり、50倍の顕微鏡で皮紋の状態及び角質剥離の状態を観察し、表8に示す評価基準で肌の状態を判定した。判定結果を表9に示す。
【0118】
【表8】
【0119】
【表9】
表9の結果から、本発明乳液を塗布した領域は、比較乳液を塗布した領域に比べて顕著に肌荒れ(皮膚の老化)が改善されることが確認できた。
【0120】
〔判定2・官能評価〕
使用感と肌への効果について、本発明乳液と比較乳液とを比較した場合の優劣を被験者全員に質問した。回答の集計結果を表10に示す。
【0121】
【表10】
表10の結果から、官能評価によっても、上記判定1と同様の効果と、優れた使用感とが確認できた。
【0122】
従って、判定1及び2の結果から、チャングバットの葉部からの抽出物を配合した皮膚化粧料が皮膚の老化防止・改善作用(肌荒れ改善作用)を有すると共に、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れていることが確認できた。
【0123】
〔実施例8〕 乳液
下記の組成の乳液を常法により製造した。
ホホバオイル 4g
オリーブオイル 2g
スクワラン 2g
セタノール 2g
モノステアリン酸グリセリル 2g
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O) 2.5g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O) 2g
1,3−ブチレングリコール 3g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
香料 0.05g
チャングバット葉部抽出物(製造例1の試料No.1) 0.1g
チャングバット茎部抽出物(製造例1の試料No.2) 1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0124】
〔実施例9〕 化粧水
下記の組成の化粧水を常法により製造した。
グリセリン 3g
1,3−ブチレングリコール 3g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O) 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
クエン酸 0.1g
クエン酸ソーダ 0.1g
香料 0.05g
チャングバット葉部抽出物(製造例1の試料No.1) 0.2g
チャングバット茎部抽出物(製造例1の試料No.2) 2g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0125】
〔実施例10〕 クリーム
下記の組成のクリームを常法により製造した。
流動パラフィン 5g
サラシミツロウ 4g
セタノール 3g
スクワラン 10g
ラノリン 2g
ステアリン酸 1g
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O) 1.5g
モノステアリン酸グリセリル 3g
1,3−ブチレングリコール 6g
パラオキシ安息香酸メチル 1.5g
香料 0.1g
チャングバット葉部抽出物(製造例1の試料No.1) 1.1g
チャングバット茎部抽出物(製造例1の試料No.2) 0.1g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0126】
〔実施例11〕 パック
下記の組成のパックを常法により製造した。
ポリビニルアルコール 15g
ポリエチレングリコール 3g
プロピレングリコール 7g
エタノール 10g
パラオキシ安息香酸エチル 0.05g
香料 0.05g
チャングバット抽出物(製造例1の試料No.1) 5g
精製水 残部(全量を100gとする)
【0127】
【発明の効果】
本発明によれば、スーパーオキサイドを過酸化水素に変換する触媒酵素であるSOD様作用剤、エラスチンの減少・変性に関与するエラスターゼ活性を阻害するエラスターゼ阻害作用剤、コラーゲンの減少・変性に関与するコラゲナーゼ活性を阻害するコラゲナーゼ阻害作用剤、線維芽細胞によるコラーゲンの産生を活発化する作用を有するコラーゲン産生促進作用剤、女性ホルモンの一種であるエストロゲンと同様の作用を有するエストロゲン様作用剤、及び間充組織にみられるムコ多糖であるヒアルロン酸産生促進作用剤が得られる。
【0128】
また、本発明によれば、SOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤が配合された皮膚化粧料が得られる。
【0129】
以上説明したように、本発明のSOD様作用剤、エラスターゼ阻害剤、コラゲナーゼ阻害剤、コラーゲン産生促進作用剤、エストロゲン様作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤は、それぞれ優れたSOD様作用、エラスターゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、コラーゲン産生促進作用、エストロゲン様作用、及びヒアルロン酸産生促進作用を有しており、しかも、皮膚の適用した場合の使用感と安全性に優れているので、皮膚の老化を防止及び/又は改善するのに極めて有用である。
Claims (5)
- チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、50質量%エタノールで抽出して得られるチャングバット抽出物を含有し、SOD様作用を有することを特徴とするSOD様作用剤。
- チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、50質量%エタノールで抽出して得られるチャングバット抽出物を含有し、エラスターゼ阻害作用を有することを特徴とするエラスターゼ阻害剤。
- チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、50質量%エタノールで抽出して得られるチャングバット抽出物を含有し、コラゲナーゼ阻害作用を有することを特徴とするコラゲナーゼ阻害剤。
- チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、50質量%エタノールで抽出して得られるチャングバット抽出物を含有し、コラーゲン産生促進作用を有することを特徴とするコラーゲン産生促進作用剤。
- チャングバットの葉部、茎部、枝部又はこれらの混合部位を、50質量%エタノールで抽出して得られるチャングバット抽出物を含有し、ヒアルロン酸産生促進作用を有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進作用剤。
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