JP5071122B2 - 廃液処理装置及び液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、紫外線(UV)等のエネルギー線の照射によって硬化するエネルギー線硬化型インクのようなエネルギー線硬化型液体の廃液処理装置に関するものであり、主として印刷データに対応してノズルからインク滴を吐出させて記録媒体にドットを形成させるインクジェット式記録装置のような液体噴射装置に適用可能な廃液処理装置に関するものである。
液体をターゲットに噴射する液体噴射装置には、インクを記録用紙に噴射して印刷を施すインクジェット式記録装置が知られている。このインクジェット式記録装置における記録ヘッドは、圧力発生室で加圧したインクをノズルからインク滴として記録用紙に吐出させて印刷を行う関係上、ノズル開口からの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、インクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などにより吐出不良の状態となり、印刷不良を起こすという問題を抱えている。
このために、インクジェット式記録装置には、非印刷時に記録ヘッドのノズル開口を封止するためのキャッピング手段と、必要に応じてノズル形成面を清掃するワイピング部材が備えられている。このキャッピング手段は、前記したノズル開口のインクの乾燥を防止する蓋体として機能するだけでなく、ノズル開口に目詰まりなどが生じた場合には、キャッピング手段によりノズル形成面を封止し、吸引ポンプからの負圧により、ノズル開口からインクを吸引排出させてノズル開口の目詰まりを解消する機能をも備えている。
記録ヘッドの目詰まり解消のために行うインクの強制的な吸引排出処理は、クリーニング操作と呼ばれており、例えば記録装置の長時間の休止後に印刷を再開する場合や、ユーザが印刷状態の不良を認識してクリーニングスイッチを操作した場合などに実行され、記録ヘッドからインクを排出させた後にゴムなどの弾性板からなるワイピング部材により、記録ヘッドのノズル形成面を払拭する操作が伴われる。
そして、前記したクリーニング操作に伴いキャッピング手段内に貯留された記録ヘッドからの廃液は、吸引ポンプの駆動により廃液タンクに廃棄することができるように構成されている。また前記廃液タンクには、一般に多孔質材料により構成された廃液吸収材が収納されており、この廃液吸収材によって廃液を吸収した形で保持するようになされている。
一方、インクジェット記録方式の1種としてUVインクジェット方式がある。このUVインクジェット方式は、紫外線(UV)等のエネルギー線の照射によって硬化するエネルギー線硬化インクを記録媒体に付着させた後、この記録媒体にエネルギー線を照射することによりエネルギー線硬化インクを硬化させて印字を行う記録方式である。
このようなUVインクジェット方式の記録装置において、クリーニング動作で吸引した廃インクを、インクを吸収する吸収体が充填された廃インクボトルに導入し、廃インクボトルを透明なものとし、吸収体に吸収された廃インクに対して紫外線を照射して硬化させるものが提案されている(下記の特許文献1)。
特開2004−155047号公報
しかしながら、上記特許文献1の装置では、廃液容器が透明であっても吸収体や硬化した液体は必ずしも透明ではないところ、廃液を吸収体に吸収させた状態で紫外線照射することから、透明の廃液容器の外側に近い部分では紫外線の通りもよくて速やかに硬化するものの、内部に行くほど紫外線が届き難くなり、未硬化状態のままで残ってしまう部分が生じる。
紫外線硬化タイプの液体は、皮膚刺激性を持つ物質を含むことが多いうえに刺激臭が強く、未硬化状態であると、直接肌に触れると人体に悪影響を及ぼす可能性があるうえに刺激臭で作業環境が悪い一方、紫外線硬化させてしまうと無害化するとともに刺激臭も抑制されることが知られている。このような事情から、上記特許文献1の装置のように、紫外線硬化タイプの液体が未硬化状態で残ってしまうと、廃液容器を回収して焼却処理等する際に、作業環境の安全性や快適性が確保できないという問題がある。
また、吸収体に吸収させた状態で液体を硬化させると、その後に回収される液体が吸収体に吸収されにくくなることから、廃液容器の回収量としてはまだ余力があるにも係わらず、廃液の回収が出来なくなる状態になるおそれがある。このような状態は廃液の吸収状態や硬化状態によってばらつきがでるため、廃液タンクの寿命も一定せず、ユーザへの交換タイミングの報知を適切にできなくなるという問題もあった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、液体を確実に無害な固体にして回収することで安全かつ容易に廃液処理を行えるようにした廃液処理装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の廃液処理装置は、エネルギー線の照射により硬化する液体を廃液として回収するための廃液タンクと、上記廃液タンクに貯留された廃液の液面に対して硬化用のエネルギー線を照射する照射手段と、廃液タンクと貯留させた廃液との少なくともいずれかに対して外力を付与する外力付与手段とを備えたことを要旨とする。
本発明の廃液処理装置は、廃液タンクに貯留された廃液の液面に対して硬化用のエネルギー線を照射するとともに、廃液タンクと貯留させた廃液との少なくともいずれかに対して外力を付与する。このため、液面近傍の廃液はエネルギー線の照射によって氷が張るように順次硬化する。このとき、廃液タンクと貯留させた廃液との少なくともいずれかに対して外力が付与されることから、上記外力により、液面には振動や流動等の運動が生じることから、液面で硬化した樹脂が廃液タンクの内壁面に固着することがない。そして、硬化した樹脂は重合による収縮で未硬化の液よりも比重が高くなるため、やがて廃液タンクの底に沈む。すると、新しい液面が露出し、硬化用のエネルギー線が照射されることにより再び液面近傍で硬化を開始する。このような動作を繰り返すことにより、廃液タンク内の廃液は完全に硬化して未硬化部分が残ることがなく、廃液タンクの回収・処理における作業の安全性や快適性が確保できる。また、廃液を液面の上方に配置した廃液導入口から導入した場合には、硬化した樹脂は順次底部に沈むとともに、次の廃液は順次液面の上側から導入されることから、硬化した樹脂はタンク内空間の底部から順次積層されていくため、従来のように、廃液の吸収状態や硬化状態によって回収可能量にばらつきが生じることがなくなり、ユーザへの廃液タンクの交換タイミングの報知を適切に行うことができる。
本発明において、上記外力付与手段は、廃液タンクに貯留された廃液の液面を廃液タンクの内壁面に対して相対的に移動させるものである場合には、液面で硬化した樹脂が廃液タンクの内壁面に固着することを確実に防止し、廃液タンク内の廃液を完全に硬化させて廃液タンクの回収・処理における作業の安全性や快適性を確保できる。
本発明において、上記外力付与手段は、廃液タンクの内壁面と液面との境界線を上記内壁面に対して移動させるものである場合には、液面で硬化した樹脂が廃液タンクの内壁面に固着することを確実に防止し、廃液タンク内の廃液を完全に硬化させて廃液タンクの回収・処理における作業の安全性や快適性を確保できる。
本発明において、上記外力付与手段は、廃液タンクを所定の軸を中心として回転させるものである場合には、液面で硬化した樹脂が廃液タンクの内壁面に固着することを極めて簡単な構造で確実に防止できる。また、この場合において、廃液タンクが全体として大略筒状であり、筒状の軸心を中心として回転させるものである場合には、廃液タンクの回転スペースを占めないため、装置自体が大型化せず、コンパクトになる。
本発明において、上記外力付与手段は、廃液タンクと貯留させた廃液との少なくともいずれかに対して振動を与えるものである場合には、液面で硬化した樹脂が廃液タンクの内壁面に固着することを確実に防止し、廃液タンク内の廃液を完全に硬化させて廃液タンクの回収・処理における作業の安全性や快適性を確保できる。
本発明において、上記外力付与手段は、廃液タンクを揺動させるものである場合には、液面で硬化した樹脂が廃液タンクの内壁面に固着することを確実に防止し、廃液タンク内の廃液を完全に硬化させて廃液タンクの回収・処理における作業の安全性や快適性を確保できる。
本発明において、上記廃液タンクには、外力によって生じる液面の運動を促進する運動促進手段が設けられている場合には、廃液タンクの回転によって生じる廃液タンク内での液面の運動が促進されることにより、液面で硬化した樹脂が廃液タンクの内壁面に固着することを極めて簡単な構造で確実に防止できる。また、液面が運動しながらエネルギー線の照射をうけることから、硬化した樹脂が大きな塊にならずに廃液タンクの底に沈むことから、硬化した樹脂同士の隙間に未硬化の廃液が残存しにくくなり、廃液タンク内の廃液をより完全に硬化させることができる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
以下、本発明の廃液処理装置を液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置に適用した一実施形態を図にしたがって説明する。
図1は本発明が適用されるインクジェット式記録装置の主要部の構成を示したものである。
図において符号1は、インクタンクとしてのインクカートリッジ2からインクの供給を受けて図示しないターゲットに対してノズルからインク滴を噴射して記録を行うための噴射ヘッド1である。また、符号3は、記録領域外に配置されたキャッピング手段3である。このキャッピング手段3は、キャッピング手段3の内部空間に対して負圧を与えるための吸引ポンプ4が接続されている。
上記キャッピング手段3は、記録装置の休止期間中において噴射ヘッド1のノズル形成面を封止してノズルの乾燥を防止する蓋体として機能する他、前記吸引ポンプ4からの負圧を噴射ヘッド1に作用させて、噴射ヘッド1からインクを吸引排出させるクリーニング手段としての機能も兼ね備えている。
上記構成により、インクカートリッジ2を交換したときや、噴射ヘッド1のノズルに目詰まりが生じたとき、長期間放置後の起動初期等において、噴射ヘッド1のノズル形成面をキャッピング手段3でキャッピングして吸引ポンプ4で吸引することによりインクを強制的に吸引排出し、噴射ヘッド1内の増粘インクや気泡を吸引排出して噴射ヘッド1の噴射特性を維持しうるようになっている。
吸引ポンプ4の吸引によりインク排出路5から排出されたインクは廃液タンク6内に導入され、上記廃液タンク6を含む本発明の廃液処理装置10によって硬化処理される。
この例では、上記インクとして紫外線(UV)等の光に代表されるようなエネルギー線の照射によって硬化するエネルギー線硬化型インクのようなエネルギー線硬化型液体が使用されている。例えば紫外線硬化インクであり、具体的には、例えば、紫外線硬化樹脂(5乃至10%)、顔料(5乃至10%)、インクジェットにて安定印刷するための添加剤(約20%)および水(60乃至70%)等の成分から構成されている。
図2は、上記廃液処理装置10の構成を示す図である。
この廃液処理装置10は、エネルギー線の照射により硬化する液体を廃液として回収するための廃液タンク6と、上記廃液タンク6に貯留された廃液の液面11に対して硬化用のエネルギー線を照射する照射手段7と、廃液タンク6に貯留された廃液の液面11を廃液タンク6の内壁面12に対して相対的に移動させる回転駆動手段8を備えている。上記回転駆動手段8は、廃液タンク6と貯留させた廃液との少なくともいずれかに対して外力を付与する外力付与手段として機能する。
より詳しく説明すると、上記廃液タンク6は、上部に開口21を有する略円筒状のボトル状に形成され、上部の開口21に会わせて照射手段7とインク排出路5が取り付けられた照射ユニット22が配置されるようになっている。上記廃液タンク6は、その底部がタンクホルダ23に着脱可能に取り付けられるようになっている。
一方、上記外力付与手段としての回転駆動手段8は、廃液タンク6を所定の軸を中心として回転させるようになっている。
すなわち、上記回転駆動手段8の回転軸24には、タンクホルダ23がその軸心が回転軸24と同軸状になるように固定されている。また、タンクホルダ23には、円筒状の軸心が同軸状になるように廃液タンク6が取り付けられる。これにより、回転駆動手段8により、タンクホルダ23が回転駆動されることにより、廃液タンク6が略筒状の廃液タンク6の軸心を中心として回転駆動されるようになっている。このように、廃液タンク6が全体として大略筒状であり、筒状の軸心を中心として回転させるものであるため、廃液タンク6の回転スペースを占めないため、装置自体が大型化せず、コンパクトになる。
また、上記回転駆動手段8は、回転軸24およびタンクホルダ23が傾斜状に配置されており、廃液タンク6を軸心が傾斜状になるように保持し、傾斜状を保ったまま傾斜状の軸心を中心にして回転させるようになっている。
一方、上記照射ユニット22には、エネルギー線として紫外線(UV光)を照射する照射手段7が取り付けられている。上記照射手段7としては、具体的には、例えば紫外帯域で発光するLED等を用いることができる。また、上記照射ユニット22には、上記吸引ポンプ4に接続されてキャッピング手段3からの廃液を排出するインク排出路5が取り付けられている。
上記照射ユニット22は、廃液タンク6の開口21に向かって進退可能に構成されている。これにより、照射手段7およびインク排出路5の廃液導入口25を廃液タンク6の開口21内に配置するときは、照射ユニット22を廃液タンク6の開口21に向かって前進させた位置で保持し(図2の状態)、廃液タンク6の取り付け取り外しや交換を行なう際には、照射ユニット22を廃液タンク6の開口21から後退させることが行なわれる。
上記照射手段7は、照射ユニット22を廃液タンク6の開口21に向かって前進させた位置において、上記廃液タンク6に貯留された廃液の液面11に対して硬化用のエネルギー線を照射可能に構成されている。また、その位置において、インク排出路5の廃液導入口25は、上記廃液タンク6内の貯留空間に廃液を導入しうるように照射ユニット22に取り付けられている。このとき、インク排出路5と照射手段7の位置関係は、インク排出路5の廃液導入口25から噴出したインクが照射手段7にかかってそのまま硬化してしまい、照射効率が低下するのを防止しうるように、照射手段7がインク排出路5の廃液導入口25よりも上に位置するようになっている。
上記構成により、上記廃液処理装置10は、つぎのようにして廃液の処理を行う。
すなわち、インクジェット式記録装置において、インクカートリッジ2を交換したときや、噴射ヘッド1のノズルに目詰まりが生じたとき、長期間放置後の起動初期等の所定の吸引タイミングにおいて、噴射ヘッド1のノズル形成面がキャッピング手段3でキャッピングされ吸引ポンプ4で吸引することにより、インクが強制的に吸引排出される。
吸引されたインクはインク排出路5の廃液導入口25から廃液タンク6内に導入される。図示しない制御手段は、インクが吸引されて廃液が廃液タンク6内に導入されるタイミングで、回転駆動手段8が廃液タンク6の回転駆動を開始制御するとともに、照射手段7からエネルギー線の照射を開始制御する。
図3は、廃液タンク6が回転されながら、照射手段7から液面11に対してエネルギー線の照射を行なったときの状態を説明する図である。
図3(A)に示すように、照射手段7から廃液の液面11に対してエネルギー線が照射されると、液面11近傍の廃液はエネルギー線の照射によって氷が張るように順次硬化して薄い樹脂板14が形成される。
図3(B)に示すように、上記外力付与手段としての回転駆動手段8が、液面11を廃液タンク6の内壁面12に対して相対的に移動させ、廃液タンク6の内壁面12と液面11との境界線13を上記内壁面12に対して移動させる。したがって、廃液タンク6が傾斜状に保持されながら回転することにより、液面11は、廃液タンク6の内壁面12に対して相対的には常に一定箇所に留まることなく移動している。また、液面11と廃液タンク6の内壁面12との境界線13は、回転する廃液タンク6の内壁面12に対して常に一定箇所に留まることなく移動する。すなわち、外力付与手段としての回転駆動手段8は、廃液タンク6に外力を与えて回転させることにより、廃液の液面11に振動や流動等の運動を付与する。このようにすることにより、液面11近傍で硬化した樹脂板14が廃液タンク6の内壁面12に固着することがない。
図3(C)に示すように、回転駆動手段8を使用せず、照射手段7から廃液の液面11に対してエネルギー線の照射だけを行なって、液面11を廃液タンク6の内壁面12に対して相対的に移動させない、すなわち廃液タンク6に外力を与えて液面を運動させない場合は、液面11近傍で硬化した樹脂板14が廃液タンク6の内壁面12に固着してしまう。このように、液面11全体が硬化した樹脂板14で覆われてしまうと、その後エネルギー線を液面11に照射しても樹脂板14より下にある未硬化のインクまでエネルギー線が届きにくくなり、未硬化の廃液が残ってしまうこととなる。
本実施形態の廃液処理装置10では、液面11近傍で硬化した樹脂板14が廃液タンク6の内壁面12に固着することがなく、硬化した樹脂は重合による収縮で未硬化の液よりも比重が高くなるため、やがて廃液タンク6の底に沈む。すると、新しい液面11が露出して、さらに硬化用のエネルギー線が照射されることにより再び液面11近傍で硬化を開始する。このような動作を繰り返すことにより、廃液タンク6内の廃液は完全に硬化して未硬化部分が残ることがなく、廃液タンクの回収・処理における作業の安全性や快適性が確保できる。
また、廃液を液面11の上方に配置した廃液導入口25から導入するため、硬化した樹脂は順次底部に沈むとともに、次の廃液は順次液面11の上側から導入されることから、硬化した樹脂は廃液タンク6内の貯留空間の底部から順次積層されていくため、従来のように、廃液の吸収状態や硬化状態によって回収可能量にばらつきが生じることがなくなり、ユーザへの廃液タンク6の交換タイミングの報知を適切に行うことができる。
図4は、本発明の第2実施形態の廃液処理装置に適用される廃液タンク6である。
図4(A)は廃液タンク6の縦断面図であり、図4(B)は上記第1実施形態に示した円筒状の廃液タンク6の横断面図である。
図4(C)〜(F)に示すように、上記廃液タンク6には、廃液タンク6の回転によって生じる廃液の攪拌を促進する攪拌促進手段を設けることができる。
図4(C)は、廃液タンク6の周壁を複数箇所(この例では4箇所)、内側に向かって膨出する膨出部26が形成されている。上記各膨出部26は、軸心方向に伸びるように形成され、廃液が貯留された廃液タンク6を筒状の軸心を中心として回転させたときに、廃液タンク6の回転によって生じる液面の運動すなわち廃液の攪拌を促進しうるようになっている。すなわち、この例では、上記膨出部26が攪拌促進手段として機能する。
図4(D)は、廃液タンク6の周壁の複数箇所に(この例では2箇所)、内側に向かって伸びる攪拌羽根27が取り付けられている。上記各攪拌羽根27は、軸心方向に伸びるように形成され、廃液が貯留された廃液タンク6を筒状の軸心を中心として回転させたときに、廃液タンク6の回転によって生じる液面の運動すなわち廃液の攪拌を促進しうるようになっている。すなわち、この例では、上記攪拌羽根27が運動促進手段として機能する。
図4(E)は、廃液タンク6の周壁が軸心に直交する横断面において四角形に形成されており、図4(F)は、廃液タンク6の周壁が軸心に直交する横断面において三角形に形成されている。このように、廃液タンク6の周壁の断面形状を異型にすることにより、廃液が貯留された廃液タンク6を筒状の軸心を中心として回転させたときに、廃液タンク6の回転によって生じる液面の運動すなわち廃液の攪拌を促進しうるようになっている。すなわち、この例では、上記周壁が運動促進手段として機能する。なお、廃液タンク6の周壁の断面形状は、上述したものに限定するものではなく、楕円形、5角形や6六角形、8角形等、各種の異型形状を採用することができる。
このように、上記廃液タンク6に、廃液タンク6の回転によって生じる液面の運動すなわち廃液の攪拌を促進する運動促進手段を設けることにより、液面で硬化した樹脂が廃液タンク6の内壁面に固着することを極めて簡単な構造で確実に防止できる。また、廃液が攪拌されながらエネルギー線の照射をうけることから、硬化した樹脂が大きな塊にならずに廃液タンク6の底に沈むことから、硬化した樹脂同士の隙間に未硬化の廃液が残存しにくくなり、廃液タンク6内の廃液をより完全に硬化させることができる。
図5(A)は、本発明の第3実施形態の廃液処理装置を示す。この例では、筒状の廃液タンク6の軸心が鉛直方向に沿って配置され、廃液タンク6が鉛直の軸を中心に回転駆動されるように構成されている。それ以外は、上記各実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
この実施形態でも、上記外力付与手段としての回転駆動手段8は、廃液タンク6に貯留された廃液の液面11を廃液タンク6の内壁面12に対して相対的に移動させるようになっている。すなわち、内壁面12近傍の液体は、廃液タンク6の内壁面12の回転に伴って、内壁面12よりも少し遅れて回転し、その遅れの程度は液面の中心部すなわち軸心に近づくにつれて大きくなる。したがって、液面11は内壁面12の移動に完全に追従して移動しているのではなく、液面11は内壁面12に対して相対的に移動している状態である。また、液面11は、廃液タンク6の回転により運動している状態である。この例でも、上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
図5(B)は、本発明の第4実施形態の廃液処理装置を示す。この例では、外力付与手段として、廃液タンク6と貯留させた廃液との少なくともいずれかに対して振動を与える振動付与手段15を備えている。
この例では、上記振動付与手段15として、廃液タンク6の底面に設けられた当接部材28と上記当接部材28に当接しながら回転するカム部材29とから構成されている。これにより、上記カム部材29が当接部材28に当接しながら回転することにより、廃液タンク6に対して上下方向の縦振動を付与するように構成されている。それ以外は、上記各実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
この実施形態でも、上記外力付与手段としての振動付与手段15は、廃液タンク6に貯留された廃液の液面11を運動させるようになっている。すなわち、廃液タンク6の内壁面12は振動付与手段15により上下に振動し、それにともなって液面11にも振動が生じるが、液面11の振動は内壁面12の振動に完全に追従するのではなく、液面11は波打って、内壁面12に対して相対的に移動している状態である。この例でも、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
図5(C)は、本発明の第5実施形態の廃液処理装置を示す。この例では、外力付与手段として、廃液タンク6と貯留させた廃液との少なくともいずれかに対して振動を与える振動付与手段15を備えている。
この例では、上記振動付与手段15として、廃液タンク6の側面に設けられた当接部材28と上記当接部材28に当接しながら回転するカム部材29とから構成されている。これにより、上記カム部材29が当接部材28に当接しながら回転することにより、廃液タンク6に対して左右方向の横振動を付与するように構成されている。それ以外は、上記各実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
この実施形態でも、上記外力付与手段としての振動付与手段15は、廃液タンク6に貯留された廃液の液面11を運動させるようになっている。すなわち、廃液タンク6の内壁面12は振動付与手段15により左右に振動し、それにともなって液面11に揺れが生じる。液面11の揺れは内壁面12の振動に完全に追従するのではなく、液面11は波打って、内壁面12に対して相対的に移動している状態である。この例でも、上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
図5(D)は、本発明の第6実施形態の廃液処理装置を示す。この例では、外力付与手段として、廃液タンク6と貯留させた廃液との少なくともいずれかに対して振動を与える振動付与手段15を備えている。
この例では、上記振動付与手段15として、廃液タンク6の底面に対して超音波振動を付与する超音波振動子から構成されている。これにより、上記超音波振動子の振動により廃液タンク6および廃液に対して超音波振動を付与するように構成されている。それ以外は、上記各実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
この実施形態でも、上記外力付与手段としての超音波振動子は、廃液タンク6に貯留された廃液の液面11を運動させるようになっている。すなわち、廃液タンク6の内壁面12は超音波振動により超音波振動し、それにともなって液面11に超音波振動が生じる。液面11の超音波振動は内壁面12の超音波振動に完全に追従するのではなく、液面11は内壁面12に対して相対的に移動している状態である。この例でも、上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
図5(F)は、本発明の第7実施形態の廃液処理装置を示す。この例では、外力付与手段として、廃液タンク6を揺動させる揺動手段(図示せず)を備えている。これにより、上記揺動手段により廃液タンク6を揺動するように構成されている。それ以外は、上記各実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
この実施形態でも、上記外力付与手段としての揺動手段は、廃液タンク6に貯留された廃液の液面11を運動させるようになっている。すなわち、廃液タンク6の内壁面12は揺動手段により前後左右に振動し、それにともなって液面11に揺れが生じる。液面11の揺れは内壁面12の揺動に完全に追従するのではなく、液面11は波打って、内壁面12に対して相対的に移動している状態である。この例でも、上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
なお、上記各実施形態では、上記照射手段7として紫外帯域で発光するLEDを例示して説明したが、これに限定するものではなく、上記照射手段7として、例えば、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ灯、各種のエネルギー線照射手段を適用することができる。
また、上記各実施形態において、照射手段7が廃液タンク6に貯留された廃液の液面に対して硬化用のエネルギー線を照射する際に、液面の全面にエネルギー線を照射するように構成することもできるし、例えばレンズ等により集光して液面の一部にスポット的にエネルギー線を照射するように構成することもできる。
なお、上述した各実施形態においては廃液タンク6として、上面が開放された筒状のものを用いているが、これに限定するものではなく、蓋部材を含む外郭構成部材により内部空間が密封された構造とすることもできる。この場合、内部空間の内部において天井部に照射手段7や記録装置からの廃液を受ける廃液導入口25を設けるようにすることもできる。また、蓋部材を透明部材のような紫外線透過部材から形成し、蓋部材の上側に照射手段7を設けるように構成することも可能である。
上記各実施形態において、噴射ヘッド1は、液体を噴射させる駆動素子である圧力発生素子として、圧電振動子を利用した液体噴射装置に適用することもできるし、発熱素子を利用したタイプの液体噴射装置に適用することもできる。
また、液体噴射装置の代表例としては、上述したような画像記録用のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置があるが、本発明は、その他の液体噴射装置として、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置等、各種の液体噴射装置に適用することができる。
本発明が適用される記録装置の概略構成を示す図である。 本実施形態の廃液処理装置の構成を示す一部断面図である。 上記廃液処理装置の作用を説明する図である。 第2の実施形態を示す図である。 第3〜第7の実施形態を示す図である。
符号の説明
1 噴射ヘッド,2 インクカートリッジ,3 キャッピング手段,4 吸引ポンプ,5 インク排出路,6 廃液タンク,7 照射手段,8 回転駆動手段, 10 廃液処理装置,11 液面,12 内壁面,13 境界線,14 樹脂板,15 振動付与手段,21 開口,22 照射ユニット,23 タンクホルダ,24 回転軸,25 廃液導入口,26 膨出部,27 攪拌羽根,28 当接部材,29 カム部材

Claims (5)

  1. エネルギー線の照射により硬化する液体を廃液として回収するための廃液タンクと、上記廃液タンクに貯留された廃液の液面に対して硬化用のエネルギー線を照射する照射手段と、廃液タンクと貯留させた廃液との少なくともいずれかに対して外力を付与する外力付与手段とを備え、
    前記廃液タンクは、前記液面に対して傾斜しており、
    前記照射手段は、前記廃液タンクの開口に向かって進退可能に構成されていることを特徴とする廃液処理装置。
  2. 前記外力付与手段は、前記廃液タンクに接続された回転軸を有し、
    前記回転軸は、前記液面に対して傾斜している請求項1記載の廃液処理装置。
  3. 上記外力付与手段は、廃液タンクを揺動させるものである請求項1又は2に記載の廃液処理装置。
  4. 前記液体を前記廃液タンクに導入する排出路を有し、
    前記排出路は、前記液面に平行な面に対して垂直方向に延びる導入口を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の廃液処理装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の廃液処理装置と、
    前記エネルギー線の照射により硬化する液体を噴射する噴射ヘッドと、を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
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