JP2010005810A - 廃液処理装置、液体噴射装置、及び、廃液処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 廃液を適切に廃棄する。
【解決手段】 廃液を収容する収容タンクと、該収容タンクに収容された前記廃液に紫外線を照射することにより該廃液を硬化させて該廃液の硬化物を生成する照射部と、前記廃液から該廃液の硬化物を分離する分離部と、を有する廃液処理装置。
【選択図】 図5

Description

本発明は、廃液処理装置、当該廃液処理装置を有する液体噴射装置、及び、廃液処理方法に関する。
廃液を収容する収容タンクと、該収容タンクに収容された前記廃液に紫外線を照射する照射部と、を備えた廃液処理装置は既に知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる廃液処理装置は、例えば、インクジェットプリンタ等の液体噴射装置に搭載され、該液体噴射装置内において発生した廃液を回収して前記収容タンクに収容する。そして、当該廃液を前記液体噴射装置から廃棄するにあたり、該廃液に前記照射部からの紫外線を照射することにより該廃液を硬化させて該廃液の硬化物を生成する処理を行う。
特開2004−155047号公報
前記廃液を前記液体噴射装置から廃棄する場合、前記収容タンクから該廃液を取り出すことになるが、前記収容タンクから取り出された該廃液が既に硬化して硬化物となっていれば、取り扱いが容易になり、適切に廃棄することが可能になる。一方、前記収容タンクから取り出された前記廃液が未硬化状態(すなわち、液体の状態)のままでは、取り扱いが困難となる。したがって、前記液体噴射装置から廃液を廃棄するにあたり前記収容タンクから未硬化状態の廃液を取り出すと、該廃液を適切に廃棄できない虞がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、廃液を適切に廃棄することである。
上記の課題を解決するために、主たる発明は、廃液を収容する収容タンクと、該収容タンクに収容された前記廃液に紫外線を照射することにより該廃液を硬化させて該廃液の硬化物を生成する照射部と、前記廃液から該廃液の硬化物を分離する分離部と、を有することを特徴とする廃液処理装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
先ず、廃液を収容する収容タンクと、該収容タンクに収容された前記廃液に紫外線を照射することにより該廃液を硬化させて該廃液の硬化物を生成する照射部と、前記廃液から該廃液の硬化物を分離する分離部と、を有する廃液処理装置。
かかる廃液処理装置によれば、廃液から該廃液の硬化物が分離される結果、該廃液の硬化物を選択的に廃棄することが可能になる。そして、前述したように、当該廃液の硬化物は取り扱いが容易であるため、廃液の廃棄が適切に行われるようになる。
また、上記の廃液処理装置において、前記分離部は、フィルタを備え、該フィルタを用いて前記廃液をろ過することにより該廃液から該廃液の硬化物を分離するろ過機構であり、該ろ過機構は、前記収容タンクの外に位置し、前記廃液を前記収容タンクから前記ろ過機構に送液する送液ポンプを有することとしてもよい。かかる構成により、前記廃液から該廃液の硬化物を分離するために該廃液が収容タンクの外に取り出される。この結果、収容タンク内に前記廃液の硬化物が溜まり続けるのを抑制することが可能になる。
また、上記の廃液処理装置において、前記廃液のうち、前記フィルタを通過した該廃液の未硬化物を前記収容タンクに返送する返送ポンプを有することとしてもよい。かかる構成により、廃液の未硬化物が硬化物になるまで収容タンクに戻されて該収容タンク内で紫外線を照射されることになる。この結果、廃液が確実に硬化物となった状態で廃棄されるため、廃液の廃棄がより適切に行われるようになる。
また、上記の廃液処理装置において、前記ろ過機構は、シリンダーと、該シリンダー内において該シリンダーの長手方向に沿って移動可能な第一ピストンと、前記シリンダー内において該長手方向に沿って移動可能な、前記フィルタを備えた第二ピストンと、を有し、前記第一ピストン及び前記第二ピストンのうちの少なくともどちらか一方が、前記第一ピストンと前記第二ピストンとが近づくように移動して、前記シリンダー内の該第一ピストンと該第二ピストンとの間の空間に送液された前記廃液を圧縮し、該空間内の廃液が圧縮された際に、前記フィルタは、前記廃液の未硬化物を前記空間外へ移動させ、前記廃液の硬化物を前記空間内へ留まらせることとしてもよい。かかる構成では、圧縮ろ過により、廃液から該廃液の硬化物を適切に分離することが可能になる。
また、上記の廃液処理装置において、前記シリンダーは、該シリンダーの外周壁に形成された開口を有し、前記廃液の硬化物を前記開口から前記シリンダー外に押し出すための押出機構を有し、前記ろ過機構が前記廃液をろ過した後に、前記第一ピストン及び前記第二ピストンは、前記長手方向に沿って同一方向に移動することにより、前記シリンダーの前記開口が形成された部位へ前記空間内の前記廃液の硬化物を移送し、前記押出機構は、前記部位へ移送された前記廃液の硬化物を押し出すこととしてもよい。かかる構成では、前記第一ピストン及び前記第二ピストンの移送動作により、廃液から分離された硬化物が、該硬化物を前記シリンダー外に排出させる位置まで適切に移送される。
また、(A)液体を媒体に噴射するノズルと、(B1)前記ノズルから噴射された前記液体のうち、媒体に付着しない前記液体を廃液として収容する収容タンクと、(B2)該収容タンクに収容された前記廃液に紫外線を照射することにより該廃液を硬化させて該廃液の硬化物を生成する照射部と、(B3)前記廃液から該廃液の硬化物を分離する分離部と、(B4)を有する廃液処理装置と、(C)を備える液体噴射装置も実現可能である。かかる液体噴射装置であれば、廃液を該液体噴射装置から適切に廃棄することが可能になる。
さらに、収容タンクに収容された廃液に紫外線を照射することにより該廃液を硬化させて該廃液の硬化物を生成するステップと、前記廃液から該廃液の硬化物を分離するステップと、を有する廃液処理方法も実現可能である。かかる廃液処理方法により、廃液を適切に廃棄することが可能になる。
===本実施形態の液体噴射装置の構成===
本実施形態では、液体噴射装置の一例として、カラーインクジェットプリンタ(以下、プリンタ10と言う)を例に挙げて説明する。
<<プリンタ10の基本構成>>
先ず、図1乃至図4を参照しながら、プリンタ10の基本構成を説明する。図1は、プリンタ10の基本構成を示すブロック図である。図2は、プリンタ10の全体構成の概略図であり、図中、プリンタ10の上下方向及びヘッド31の移動方向を矢印にて示す。図3は、プリンタ10の全体構成の断面(法線方向が回転ドラム20の回転軸21の軸方向と一致する断面)を示す模式図であり、図中、プリンタ10の上下方向を矢印にて示す。図4は、ノズル面31aを示した図であり、図中、ヘッド31の移動方向を矢印にて示す。
プリンタ10は、ホストコンピュータHCから印刷データを受信し、当該印刷データに基づいて、紙やフィルム等の媒体Sに、液体の一例としての紫外線硬化型インク(以下、UVインク)を噴射して該媒体Sに画像を印刷する装置である。本実施形態のプリンタ10は、5色のUVインクを用いてカラー画像を媒体Sに印刷する。UVインクは、紫外線硬化樹脂を含むビヒクル、光重合開始剤、及び、顔料の混合物に、消泡剤等の補助剤を添加して調合されたインクであり、紫外線を受けると、上記紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こる結果、硬化する。
プリンタ10は、図1に示すように、回転ドラム20と、ヘッドユニット30と、定着ユニット40と、キャップユニット50と、廃液処理装置の一例としての廃インク処理ユニット60と、コントローラ100と、を有する。
回転ドラム20は、その周面22に媒体Sを保持する回転体であり、回転軸21を中心に回転する。回転ドラム20は、図2に示すように、対面して直立した一対のフレーム76の間に支持され、不図示の駆動モータが起動すると回転軸21を中心にして所定方向(図2中、矢印にて示す方向)に回転する。なお、図3に示すように、回転ドラム20の周面22の一部は、媒体Sを保持しない領域(以下、非保持領域22a)になっている。
ヘッドユニット30は、媒体Sに画像を記録するためのものであり、図2に示すように、インク色毎のヘッド31と、ヘッドキャリッジ32と、インクカートリッジ33と、を有する。各ヘッド31は、図4に示すように、回転ドラム20の周面22と対向するノズル面31aに複数のノズルを有する。ノズルは、回転ドラム20に保持された媒体に対して、インクカートリッジ33から供給されたUVインクを噴射する。各ノズルには、圧力室及びピエゾ素子(圧力室及びピエゾ素子ともに不図示)が設けられており、ピエゾ素子の駆動によって圧力室が収縮・膨張することにより、各ノズルからUVインクが滴状に噴射される。ヘッドキャリッジ32は、回転ドラム20の回転軸21に沿うガイド軸34、35に支持されており該ガイド軸34、35に沿って往復移動する。各ヘッド31は、ヘッドキャリッジ32に搭載されているため、該ヘッドキャリッジ32の移動に伴ってガイド軸34、35に沿って往復移動する。
定着ユニット40は、媒体Sに着弾したUVインク滴(すなわち、媒体Sに付着したUVインク)に紫外線を照射して、複数のUVインク滴からなるドットラインを媒体Sに定着させるためのものである。定着ユニット40は、回転ドラム20の回転方向においてヘッドユニット30より下流側に位置する。また、定着ユニット40は、図3に示すように、インク色毎のランプユニット41と、ランプユニットキャリッジ42と、を有する。各ランプユニット41は、回転ドラム20の回転方向に沿って該回転ドラム20の周面22に対向する照射面41aを有し、該照射面41aから回転ドラム20の周面22に向けて紫外線を照射する。ランプユニットキャリッジ42は、回転ドラム20の回転軸21に沿うガイド軸43、44に支持されており該ガイド軸43、44に沿って往復移動する。各ランプユニット41は、ランプユニットキャリッジ42に搭載されているため、該ランプユニットキャリッジ42の移動に伴ってガイド軸43、44に沿って往復移動する。
キャップユニット50は、各ヘッド31のノズルから媒体Sに向けてUVインクが噴射されないとき(すなわち、プリンタ10が休止状態にあるとき)に前記各ヘッド31のノズル面31aを封止してノズル内のUVインクの乾燥を抑制するための蓋体である。キャップユニット50は、図2に示すように、ヘッド31の移動方向において回転ドラム20の周面22よりも外側に位置する。したがって、前記移動方向において、キャップユニット50が位置する位置は、ヘッド31の待機位置となる。
また、キャップユニット50は、ノズル面31aを封止した状態で、フラッシングのためにノズルから噴射されたUVインクを受ける機能も兼ね備えている。具体的に説明すると、キャップユニット50は、ノズル面31aを封止する側の表面に凹部50aを有し(例えば、図5参照)、該凹部50a内において、フラッシングのためにノズルから噴射されたUVインクを受ける。なお、フラッシングとは、ノズルの開口近傍において増粘したUVインクによって生じるノズルの目詰まりの防止、又は、UVインク中に混入した塵埃や気泡の除去を目的として、該ノズル内のUVインクを強制的に噴射させる動作である。フラッシングのためにノズルから噴射されたUVインクは、当然ながら、画像印刷に供されるものではないので、媒体Sに付着しないUVインクに相当する。
さらに、キャップユニット50は、廃インク供給ライン52を介して、廃インク処理ユニット60(より具体的には、収容タンク61)に接続されている(図5参照)。また、廃インク供給ライン52の中途位置には、廃インクポンプ51(図5参照)が配置されている。この廃インクポンプ51は、キャップユニット50が凹部50aにて受けたUVインク(すなわち、フラッシングのためにノズルから噴射されたUVインク)を廃インク処理ユニット60に送液するものである。廃インク処理ユニット60は、廃インクポンプ51から送られたUVインクを廃液として回収する。廃液の一例としてのUVインク(以下、廃インクと言う)は、最終的に、プリンタ10のユーザによってプリンタ10から廃棄されるが、前記廃インク処理ユニット60は、廃インクがプリンタ10から廃棄されるにあたり、当該廃インクを廃棄に適した形態にするための処理を行う。なお、廃インク処理ユニット60の詳細については後述する。
コントローラ100は、プリンタ10が有する上記の各ユニットを制御するためのものである。プリンタ10内の各部の状況は各種センサにより監視され、コントローラ100は、各センサが出力する信号に基づき、CPU102によりユニット制御回路104を介してプリンタ10の各ユニットを制御する。また、コントローラ100は、ホストコンピュータHCから送信される印刷データを格納するメモリ103を有する。
<<廃インク処理ユニット60について>>
次に、廃インク処理ユニット60の構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態の廃インク処理ユニット60を示す概念図であり、図中、上下方向、及び、加圧シリンダー210の長手方向を矢印にて示す。
廃インク処理ユニット60は、前述したように、廃インクポンプ51から送られてくる廃インクを回収し、当該廃インクを廃棄に適した形態にするための処理(具体的には、後述する照射処理及びろ過処理)を行う。この廃インク処理ユニット60は、図5に示すように、収容タンク61と、照射部の一例としてのUV照射ユニット62と、ろ過機構の一例としてのろ過ユニット200と、送液ポンプ260と、返送ポンプ262と、押出機構の一例としての押出ユニット270と、を有する。これらの機器は、ヘッド31の移動方向においてプリンタ10の一端部に設けられたケーシング65(図2参照)の内部に収容されている。
収容タンク61は、円筒形タンクであり、図5に示すように、廃インク供給ライン52を介してキャップユニット50に接続されている。この収容タンク61は、廃インクポンプ51によりキャップユニット50から送られてくる廃インクを受容し、該廃インクを内部に収容する。
UV照射ユニット62は、収容タンク61に収容された廃インクに紫外線を照射する照射処理を行うものである。照射処理は、収容タンク61に収容された廃インクに紫外線を照射することにより、該廃インクを硬化させて該廃インクの硬化物(廃液の硬化物に相当し、以下、単に硬化物とも言う)を生成する処理である。UV照射ユニット62は、図5に示すように、収容タンク61内に配置され、該収容タンク61内における廃インクの液面の位置よりも上方に位置している。また、UV照射ユニット62は、紫外線の光源62aと、該光源62aからの紫外線を集光するレンズ62bと、を備えている。本実施形態のUV照射ユニット62は、光源62aからの紫外線をレンズ62bの焦点に集光することにより、当該焦点が位置する位置に紫外線をスポット照射する。なお、光源62aとしては、UV−LED(Ultra Violet Light Emitting Diode)、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等が利用可能である。
また、本実施形態のUV照射ユニット62は、該UV照射ユニット62の上方位置に配置された移動機構63により、上下方向に移動することが可能である。具体的に説明すると、移動機構63は、図5に示すように、第一アーム63aを介してUV照射ユニット62を吊下げ状態で支持する支持部材63bと、該支持部材63bを上下移動させるためのステップモータ63cと、を有している。さらに、移動機構63の支持部材63bには、第二アーム63dを介して液面センサ64が支持されている。この液面センサ64は、収容タンク61内における廃インクの収容量の変化に伴って該廃インクの液面が上下方向において変化した際に前記液面を検出し、該液面に応じた電気信号をコントローラ100に向けて出力するセンサである。そして、コントローラ100は、液面センサ64が出力する電気信号の変化に応じて移動機構63を制御して、UV照射ユニット62のレンズ62bの焦点が前記液面に位置するように、UV照射ユニット62を支持する支持部材63bを上下方向に移動させる。つまり、UV照射ユニット62は、支持部材63bと連動して上下方向に移動する。
以上のような構成により、本実施形態では、収容タンク61内の廃インクの液面が変化した場合であっても、UV照射ユニット62は、液面の変動に追従して上下方向に移動するので、レンズ62bの焦点が前記液面に位置した状態で該液面に向けて紫外線をスポット照射することが可能である。この結果、収容タンク61内の廃インクを効率良く硬化させることが可能になる。
より詳しく説明すると、UV照射ユニット62が廃液の液面全面に紫外線を照射する場合、当該液面全面において廃インクの硬化物が生成される。この結果、廃インクの液面全面を覆う硬化物の皮膜が形成され、当該皮膜が収容タンク61の内壁面に固着してしまう。廃インクの硬化物は、本来、比重が未硬化状態の廃インク(廃液の未硬化物に相当し、以下、未硬化インクとも言う)よりも大きくなるので収容タンク61の底部に向かって沈降する。しかし、当該硬化物の皮膜が収容タンク61の内壁面に固着してしまうと、沈降せずにそのまま液面に停滞してしまう。この結果、皮膜によりUV照射ユニット62からの紫外線が遮断され、当該皮膜よりも下方に位置する未硬化インクが紫外線を受け難くなり、結果として収容タンク61内における廃インクの硬化が阻害されてしまう。
これに対し、本実施形態では、前記液面のうちの紫外線が当たる部分の面積が該液面の面積よりも小さくなるように紫外線をスポット照射するため、液面の一部において、硬化物が生成される。そして、当該硬化物は、液面全体に広がる前(すなわち、収容タンク61の内壁面に固着する前)に収容タンク61の底部に向かって沈降する。この結果、上記皮膜による紫外線の遮断が防止され、収容タンク61内の廃インクに適切に紫外線を照射し続けることが可能となる。
さらに、紫外線が液面に向けてスポット照射される場合、該紫外線が液面全面に照射される場合と比較して、前記液面のうちの紫外線が照射される領域(以下、照射領域)における単位面積あたりの照射量が多くなる。特に、本実施形態のようにレンズ62bの焦点が前記液面の位置に位置した状態で紫外線がスポット照射される場合には、照射領域における前記照射量が最も大きくなる。この結果、照射領域に位置する廃インクを迅速に硬化させることが可能になる。
なお、本実施形態の液面センサ64は、発光素子64aから発せられる光の反射に基づいて液面を検出する光学式液面センサである。光学式液面センサは、一般的に感度が高くかつ、耐液性も高いため、刺激性物質等を含むUVインクの液面を検出するセンサとして好適なものである。但し、液面センサ64は光学式液面センサ以外にも考えられ、例えば、電極式液面センサや浮子式液面センサ等も利用可能である。
また、本実施形態では、収容タンク61を回転自在に支持する回転機構66が設けられている。この回転機構66は、ケーシング65に固定された中空状の基台66aと、該基台66aの内部に収容された駆動モータ(不図示)と、収容タンク61を支持した状態で回転する回転軸66bと、を有する。回転軸66bは、軸方向が上下方向に沿った状態で基台66aの内側から上方に突出しており、その先端が収容タンク61の底面中央に固定されている。そして、前記駆動モータの起動により回転軸66bが回転すると、収容タンク61は該回転軸66bと一体的に、図5中、矢印にて示す方向に回転する。
以上のように、収容タンク61が回転軸66bと一体的に回転することにより、万一、収容タンク61内において前述の皮膜が液面全面に形成された場合であっても、該皮膜が収容タンク61の内壁面に固着するのを防止することが可能になる。すなわち、収容タンク61が回転することにより、廃インクの液面に振動や流動等の運動が付与され当該液面が収容タンク61の内壁面に対して相対的に移動する結果、前記皮膜が当該内壁面に固着し難くなる。これにより、前記皮膜が液面全面を覆った場合であっても、当該皮膜は収容タンク61の内壁面に固着せずに沈降するようになる。
ろ過ユニット200は、廃インクをろ過するろ過処理を行うものである。ろ過処理は、廃インクをろ過して該廃インクから硬化物を分離する処理である。ろ過ユニット200は、図5に示すように、収容タンク61の外に位置する。収容タンク61とろ過ユニット200(より詳しくは後述の加圧シリンダー210)との間には廃インクの送液ライン280が配設されており、当該送液ライン280の中途位置に送液ポンプ260が設けられている。この送液ポンプ260が起動すると、収容タンク61に収容された廃インクの一部が取り出されて前記送液ライン280を通じてろ過ユニット200に送液される。つまり、ろ過ユニット200は、送液ポンプ260によって収容タンク61から送液されてくる廃インクを受容し、当該廃インクに対してろ過処理を実行する。
以下、本実施形態のろ過ユニット200について詳しく説明する。ろ過ユニット200は、図5に示すように、シリンダーの一例としての加圧シリンダー210と、第一ピストン220と、第二ピストン230と、2つの油圧機構240a、240bと、を備えている。なお、本実施形態において、ピストンとは、ピストン本体と該ピストン本体が連結されたピストンロッドとを有する部材である。
加圧シリンダー210は、円筒シリンダーであり、その長手方向が水平方向と略平行になった状態で配置されている。加圧シリンダー210の外周壁211の上部には、図5に示すように、廃インクの受容口213が形成されている。受容口213は、加圧シリンダー210の長手方向の中央位置よりもやや一端側に位置し、該受容口213に前述の送液ライン280が接続されている。したがって、送液ポンプ260により収容タンク61から送液されてくる廃インクは、加圧シリンダー210の内部に受容される。なお、送液ライン280の、前記受容口213よりも上流に位置する部分には、図5に示すように、電磁弁282が設けられている。この電磁弁282は、ろ過処理を開始する際に(すなわち、加圧シリンダー210が廃インクを受容可能な状態にある際に)開き、ろ過処理の実施中、及び、ろ過処理の実施後には閉じている。
また、図5に示すように、加圧シリンダー210の長手方向一端側の側壁212には、該側壁212を貫通した排出口214が形成されている。この排出口214は、ろ過処理の際に第二ピストン230の圧縮部232(ろ過処理用のフィルタに相当し、詳細については後述する)を通過した未硬化インクを加圧シリンダー210外に排出させるために形成されている。
なお、図5に示すように、排出口214を通じて加圧シリンダー210外に排出された未硬化インクは、該未硬化インクを受容するためにケーシング65内に設置されたレシーバタンク264内に収容される。当該レシーバタンク264と収容タンク61との間には廃インクの返送ライン284が配設されており、当該返送ライン284の中途位置に返送ポンプ262が設けられている。この返送ポンプ262は、レシーバタンク264内の未硬化インクの水位が所定の水位に達すると起動し、該レシーバタンク264内の未硬化インクを、返送ライン284を通じて収容タンク61へ返送する。収容タンク61に返送された未硬化インクは、収容タンク61内において再びUV照射ユニット62により紫外線が照射される状況に置かれる。
さらに、図5に示すように、加圧シリンダー210の外周壁211の下部には、開口の一例としての落下口215が形成されている。この落下口215は、加圧シリンダー210の長手方向中央から長手方向他端に向かって、幾分長めの幅(加圧シリンダー210の長手方向に相当する方向の長さ)をもって形成されている。落下口215は、ろ過処理により廃インクから分離された硬化物をろ過処理後に加圧シリンダー210外に排出させるための開口である。なお、落下口215を通じて加圧シリンダー210外に排出された廃インクの硬化物は、不図示の回収ボックス内に回収される。
また、図5に示すように、加圧シリンダー210の外周壁211の上部には、前記落下口215と対向する位置に、進入口216が形成されている。この進入口216は、後述する押出ユニット270のエジェクタカム272(より詳しくはエジェクタカム272の一部)が加圧シリンダー210内に進入する際に通過する開口である(例えば、図8I参照)。
第一ピストン220及び第二ピストン230は、その一部が加圧シリンダー210内に収容された状態で該加圧シリンダー210の長手方向に沿って該加圧シリンダー210内を往復移動することが可能なピストンである。図5に示すように、第二ピストン230は、加圧シリンダー210の長手方向において第一ピストン220よりも一端側(前述の排出口214が形成された側)に位置している。そして、上記2つのピストンの協働により、ろ過処理の際、加圧シリンダー210内において廃インク(つまり、加圧シリンダー210内に受容された廃インク)は、前記2つのピストンに圧縮されながらろ過される。なお、第一ピストン220及び第二ピストン230の動作については、プリンタ10の動作の項で説明する。
第一ピストン220及び第二ピストン230の各々は、図5に示すように、ピストンロッド221、231と、該ピストンロッド221、231の両端に連結されたピストン本体を有する。ピストンロッド221、231は、加圧シリンダー210の側壁212の中央位置に形成された嵌入孔212aに嵌入され、各ピストンが加圧シリンダー210の長手方向に沿って移動する際に前記嵌入孔212aの内周面上を摺動する。
ピストンロッド221、231の両端に連結されたピストン本体のうち、一方のピストン本体は、加圧シリンダー210内に収容された円柱体であり、以下、圧縮部222、232と呼ぶ。他方のピストン本体は、各油圧機構240a、240bが有する油圧シリンダー241内に収容された円柱体であり、以下、油圧室区画部223、233と呼ぶ。なお、油圧室区画部223、233については、油圧機構240a、240bとともに後述する。
圧縮部222、232は、第一ピストン220及び第二ピストン230がろ過処理時に廃インクを圧縮するために該第一ピストン220及び第二ピストン230に備えられた部分である。換言すると、加圧シリンダー210が廃インクを受容する際、該加圧シリンダー210内の圧縮部222、232間の空間(第一ピストン220と第二ピストン230との間の空間に相当する)に廃インクが送液されることになる。各圧縮部222、232は、加圧シリンダー210の内径よりも僅かに小さい外径を有し、当該各圧縮部222、232の中心軸と加圧シリンダー210の中心軸とが同軸となるように該加圧シリンダー210内に収容されている。また、圧縮部222、232は、第一ピストン220及び第二ピストン230の各ピストンが加圧シリンダー210の長手方向に沿って移動する際、加圧シリンダー210の内周面上を摺動する。
また、本実施形態では、図5に示すように、第二ピストン230の圧縮部232の先端部(第一ピストン220の圧縮部222に対向する側の端部)は、互いにメッシュサイズが異なる3つのメッシュフィルタ234a、234b、234cにより形成されている。当該3つのメッシュフィルタ234a、234b、234cは、図6に示すように互いに同径の円柱体であり、焼結金属あるいはセラミックからなる。図6は、第二ピストン230の圧縮部232を構成する各要素の外観を示す模式図である。そして、第一ピストン220に近い側から順に、最もメッシュサイズが大きいメッシュフィルタ234a、2番目にメッシュサイズが大きいメッシュフィルタ234b、最もメッシュサイズが小さいメッシュフィルタ234cが並んでいる。なお、第一ピストン220に最も近いメッシュフィルタ234aの、第一ピストン220の圧縮部222に対向する対向面には、廃インクから分離された硬化物と接触することにより当該硬化物が固着してしまうのを防止するために、テフロン(登録商標)がコーティングされている。
さらに、図5や図6に示すように、第二ピストン230の圧縮部232の根元部235(圧縮部232のうち、最もメッシュ粗さが細かいメッシュフィルタ234cよりもピストンロッド231側に位置し該メッシュフィルタ234cに隣接している部分)には、加圧シリンダー210の長手方向に沿った貫通孔235aが、複数形成されている。この貫通孔235aは、各メッシュフィルタ234a、234b、234cのメッシュサイズよりも外径が大きい円孔である。
以上のように、本実施形態では、第二ピストン230の圧縮部232が、ろ過ユニット200が廃インクをろ過して該廃インクから硬化物を分離する際に用いられるフィルタに相当する。つまり、ろ過処理時、圧縮部222、232の間の空間内にて廃インクが圧縮された際、フィルタとしての第二ピストン230の圧縮部232は、未硬化インクを前記空間外へ(すなわち、加圧シリンダー210の長手方向において、第二ピストン230の圧縮部232よりも一端側へ)移動させる一方で、廃インクの硬化物を前記空間内に留まらせる。
2つの油圧機構240a、240bは、加圧シリンダー210の長手方向において該加圧シリンダー210の側壁212よりも外側に位置し、それぞれ、第一ピストン220及び第二ピストン230のうち、対応するピストンを前記長手方向に沿って移動させるための機構である。各油圧機構240a、240bは、図5に示すように、油圧シリンダー241と、二組の油圧制御部250を有している。
油圧シリンダー241は円筒シリンダーであり、その内空間にて、油圧が発生する油圧室242を形成している。油圧シリンダー241は、該油圧シリンダー241の長手方向が水平方向と略平行になり、かつ、該油圧シリンダー241の中心軸と加圧シリンダー210の中心軸とが同軸となるように配置されている。また、油圧シリンダー241の長手方向両端に位置する側壁243のうち、加圧シリンダー210の側壁212と対向する側の側壁243の中央には、ピストンロッド221、231を嵌入させるための嵌入孔243aが形成されている。当該嵌入孔243aに嵌入されたピストンロッド221、231は、第一ピストン220及び第二ピストン230の各々が加圧シリンダー210の長手方向に沿って移動する際に、前記嵌入孔243aの内周面上を摺動する。
また、前述したように、油圧シリンダー241は、油圧室242内に油圧室区画部223、233を収容している。油圧室区画部223、232は、油圧シリンダー241の内径よりも僅かに小さい外径を有し、前記油圧室242を、加圧シリンダー210側に位置する領域(以下、前方領域242a)と、該加圧シリンダー210とは反対側に位置する領域(以下、後方領域242b)と、に区画している。そして、前方領域242a及び後方領域242bの各領域の油圧が変化し、当該各領域間において油圧差が生じると、油圧室区画部223、232が油圧シリンダー241の長手方向に沿って該油圧シリンダー241の内周面上を摺動するようになる。これにより、第一ピストン220及び第二ピストン230の各ピストンは、加圧シリンダー210の長手方向に沿って移動するようになる。
二組の油圧制御部250は、それぞれ、油圧シリンダー241の長手方向端部に取り付けられ、油圧室242内における油圧を制御するための機構である。より具体的に説明すると、二組の油圧制御部250のうち、油圧シリンダー241の、加圧シリンダー210側の端部に取り付けられた油圧制御部250は、前方領域242aの油圧を制御するためのものである。油圧シリンダー241の、加圧シリンダー210側とは反対側の端部に取り付けられた油圧制御部250は、後方領域242bの油圧を制御するためのものである。
各油圧制御部250は、図5に示すように、油タンク251、搬送ポンプ252、高圧ポンプ253を有している。搬送ポンプ252は、油タンク251と油圧シリンダー241との間を繋ぐ油ライン254の中途位置に配置されている。
搬送ポンプ252は、前方領域242a及び後方領域242bのうち、該搬送ポンプ252と対応する領域へ油タンク251内の油を送る動作(送油動作)と、前記対応する領域内の油を油タンク251へ返送する動作(返油動作)と、を切替えて実行する。ここで、搬送ポンプ252と対応する領域とは、該搬送ポンプ252を備えた油圧制御部250によって油圧が制御される領域のことであり、例えば、油圧シリンダー241の、加圧シリンダー210側の端部に取り付けられた油圧制御部250の、搬送ポンプ252には、前方領域242aが対応している。高圧ポンプ253は、搬送ポンプ252が送油動作を行った場合に起動して、該搬送ポンプ252と対応する領域の油圧を加圧するものである。なお、本実施形態の高圧ポンプ253は、前記油圧を最大約160MPaまで加圧することが可能である。
以上のような構成の油圧機構240a、240bによって、第一ピストン220及び第二ピストン230の各ピストンは油圧駆動される。具体的に説明すると、二組の油圧制御部250は、互いに相反する油圧制御を行う。例えば、後方領域242bの油圧を制御する油圧制御部250において搬送ポンプ252が送油動作を行い、かつ、高圧ポンプ253が起動する場合、前方領域242aの油圧を制御する油圧制御部250では、搬送ポンプ252が返油動作を行い、かつ、高圧ポンプ253が停止している。この結果、前方領域242a及び後方領域242bの各領域間の油圧差が生じ、当該油圧差によって、油圧室区画部223、233が前記各領域の幅(油圧シリンダー241の長手方向における長さ)を変えるように油圧シリンダー241の長手方向に沿って該油圧シリンダー241の内周面上を摺動するようになる。つまり、後方領域242bの油圧が加圧される一方で、前方領域242aの油圧が減圧された場合には、油圧室区画部223、233は、加圧シリンダー210に近付くように移動する。逆に、前方領域242aの油圧が加圧される一方で、後方領域242bの油圧が減圧された場合には、油圧室区画部223、233は、加圧シリンダー210から離れるように移動する。
そして、油圧室区画部223、233が油圧シリンダー241の長手方向に沿って上記の如く移動する結果、第一ピストン220及び第二ピストン230の各ピストンが加圧シリンダー210の長手方向に沿って移動するようになる。
押出ユニット270は、加圧シリンダー210の外側に位置し、ろ過処理後に、前述の進入口216から加圧シリンダー210内に進入して、廃インクの硬化物を前述の落下口215から加圧シリンダー210外に押し出す押出処理を行うものである。この押出ユニット270は、図5に示すように、回転軸271に支持されたエジェクタカム272と、前記回転軸271を回転駆動して該エジェクタカム272を前記回転軸271と一体的に回転させる回転駆動機構(不図示)と、を有している。
回転軸271及びエジェクタカム272は、前記進入口216の直上位置に配置されている。本実施形態のエジェクタカム272は楕円カムであり、該エジェクタカム272の中央位置に回転軸271を嵌合させた状態で該回転軸271に支持されている。回転軸271は、上下方向において、前記エジェクタカム272の長径の半分よりも短い距離だけ前記進入口216から離れている。
そして、エジェクタカム272の長径方向が加圧シリンダー210の長手方向と略平行になった状態から、該エジェクタカム272が前記回転軸271と一体的に1/4回転だけ回転すると、該エジェクタカム272の一部が前記進入口216から加圧シリンダー210内に進入するようになる。このとき、進入口216下に廃インクの硬化物(つまり、廃インクから分離された硬化物)があれば、エジェクタカム272は、その外周面にて前記硬化物に当接しながら回転するようになる。これにより、エジェクタカム272は前記硬化物を下方に押圧し、押出ユニット270が当該硬化物を前記落下口215から加圧シリンダー210外に押し出すようになる(例えば、図8I参照)。
以上のような構成の廃インク処理ユニット60が備えられた本実施形態のプリンタ10では、収容タンク61内の廃インクが照射処理によって硬化して硬化物となり、送液ポンプ260により収容タンク61から取り出された廃インク中の硬化物は、ろ過処理によって該廃インクから分離される。当該硬化物は、ろ過処理後の押出処理により回収ボックスに回収された後、最終的にプリンタ10から廃棄される。つまり、プリンタ10から廃棄される廃インクは、硬化物の状態で廃棄される。
===プリンタ10の動作===
本実施形態のプリンタ10の動作について説明する。
<<印刷動作>>
本実施形態の廃インク処理ユニット60の動作について説明するにあたり、プリンタ10の基本動作である印刷動作について説明する。
印刷動作は、コントローラ100がインターフェイス101を介してホストコンピュータHCから印刷データを受信するところから始まる。コントローラ100は回転ドラム20を回転させるとともに、定着ユニット40に、回転ドラム20の周面22に向けて紫外線を照射させる。その後、給紙部72から回転ドラム20に媒体Sが搬送される。回転ドラム20は、その周面22にて媒体Sを保持すると、媒体Sと一体的に回転する。
次に、コントローラ100は、印刷データに基づいてヘッドユニット30を制御し、各ヘッド31のノズルから媒体Sに向けてUVインクを噴射させる。この結果、媒体SにUVインク滴が着弾する(つまり、媒体SにUVインクが付着する)。そして、回転中の回転ドラム20に保持された媒体Sに向けてUVインクが噴射され続け、UVインク滴が回転ドラム20の回転方向に沿って順次媒体Sに着弾する。この結果、媒体Sには、回転方向に沿って並んだUVインク滴の列(ドットライン)が形成される。
また、媒体Sに着弾したUVインク滴は、回転ドラム20の回転により、定着ユニット40のランプユニット41が有する照射面41aと対向する位置に移動する。そして、UVインク滴は定着ユニット40からの紫外線を受けて硬化する。この結果、媒体Sに形成されたドットラインが該媒体Sに定着する。なお、前述したように、ランプユニット41はインク色毎に備えられている。このため、各色のUVインク滴は、該UVインク滴の色に応じたランプユニット41が照射する紫外線を受けることになる。
回転ドラム20の更なる回転により、回転ドラム20の周面22のうちの非保持領域22aがノズルと対向するようになると、コントローラ100は、ノズルからのインクの噴射を中断し、各ヘッド31をヘッドキャリッジ32とともに移動方向に移動させる。その後、コントローラ100は、上記と同様の動作を実行する。この結果、媒体Sに既に着弾した硬化状態のUVインク滴上に、該UVインク滴とは異なる色のUVインクが重なるように着弾する。また、コントローラ100は、ヘッド31の移動に合わせて、各ランプユニット41をランプユニットキャリッジ42とともに移動方向に移動させる。これにより、UVインク滴は、ヘッド31が移動した後においても、該UVインク滴の色に応じたランプユニット41からの紫外線を受けることになる。
そして、コントローラ100が上記一連の動作を繰り返し実行する結果、各色のドットラインが媒体Sの画像形成領域全域に亘って定着する。この結果、最終的に媒体Sに画像が印刷される。その後、画像が印刷された媒体Sは、回転ドラム20から脱離して排紙部74まで搬送され、該排紙部74によりプリンタ10外に排出される。
<<廃インク処理動作>>
次に、廃インク処理ユニット60の動作(以下、廃インク処理動作)について、図7と、図8A乃至図8Iを参照しながら説明する。図7は、廃インク処理動作中の照射処理の説明図であり、図中、上下方向を矢印にて示している。図8A乃至図8Iは、廃インク処理動作中のろ過処理及び押出処理の説明図であり、ろ過ユニット200及び押出ユニット270の状態が遷移する様子を示している。図8A乃至図8Iの各図には、上下方向、及び、加圧シリンダー210の長手方向を矢印にて示している。なお、ろ過ユニット200及び押出ユニット270の状態は、図8Aから図8Iへ順に遷移する。
廃インク処理動作の対象となる廃インクは、フラッシングのためにノズルからUVインクが噴射されることにより発生する。フラッシングの流れについて説明すると、媒体Sに対してノズルからUVインクを噴射しない期間(すなわち、休止期間)において、コントローラ100が、各ヘッド31をヘッドキャリッジ32とともに移動方向に移動させて、前記各ヘッド31を前述の待機位置に至らせる。そして、コントローラ100は、キャップユニット50に前記各ヘッド31のノズル面31aを封止させる(図5参照)。さらに、コントローラ100は、各ヘッド31のノズル面31aがキャップユニット50により封止された状態でフラッシングを実行する。
フラッシングの実施後、コントローラ100は、廃インクポンプ51を起動して、該廃インクポンプ51により、キャップユニット50が凹部50a内に受けたUVインク、すなわち、廃インクを廃インク処理ユニット60に送液する。廃インク処理ユニット60は、廃インクポンプ51により送られてくる廃インクを収容タンク61内に受容する。収容タンク61は、受容した廃インクを内部に収容し、これに伴って、該収容タンク61内の廃インクの液面が変化する(上昇する)。
また、コントローラ100は、廃インクポンプ51を起動させた際に、回転機構66を制御して収容タンク61を回転させ始め、廃インク処理動作が実行されている間、常時、該収容タンク61を回転させ続ける。なお、収容タンク61を回転させる期間については上記内容に限定されるものではない。例えば、プリンタ10の起動期間中、常時、収容タンク61を回転させ続けることとしてもよく、あるいは、UV照射ユニット62が紫外線を照射する期間に限って収容タンク61を回転させることとしてもよい。
その後、コントローラ100は、UV照射ユニット62を制御して該UV照射ユニット62に照射処理を実行させる。つまり、UV照射ユニット62の光源62aから収容タンク61に収容された廃インクの液面に向けて紫外線が照射される。なお、コントローラ100は、UV照射ユニット62に照射処理を実行させるに際して、液面センサ64が出力する電気信号に基づいて移動機構63を制御し、レンズ62bの焦点が前記液面の位置に位置するように支持部材63bを移動させる(上昇させる)。これにより、UV照射ユニット62は、前記液面(より具体的には、レンズ62bの焦点が位置する位置)に向けて紫外線をスポット照射するようになる。
紫外線がスポット照射される位置にある廃インクについては、紫外線を受けて硬化し徐々に硬化物となる。廃インクの硬化物(図7中、グレー色に塗られた廃インク)は、前述したように、未硬化インクよりも比重が大きくなるため、図7に示すように沈降する。このように液面にて生成された硬化物が沈降するので、液面において紫外線がスポット照射される位置には、再び未硬化状態の廃インク、すなわち、未硬化インクが位置するようになる。この後、再び、紫外線がスポット照射される位置にある廃インクが選択的に硬化し、硬化した廃インク(硬化物)は沈降する。このような現象が繰り返されることにより、収容タンク61の底部には次第に硬化物が堆積し、その堆積量はUV照射ユニット62の紫外線照射時間の経過に伴って増加する。つまり、収容タンク61内の廃液の硬化が着々と進行する。
また、フラッシングが繰り返し実施されると、フラッシング毎に、廃インクポンプ51により廃インクが収容タンク61に送液され、これに伴って、該収容タンク61に収容された廃インクの液面も変化する(上昇する)。そして、コントローラ100は、UV照射ユニット62が当該液面の変化に追従するように、液面センサ64からの電気信号に基づいて移動機構63を制御する。つまり、コントローラ100は、レンズ62bの焦点が変化後の液面位置に位置するように、支持部材63bを移動させる(上昇させる)。これにより、UV照射ユニット62は、照射処理中、常に液面位置に位置するレンズ62bの焦点に向けて紫外線を照射する(すなわち、液面に向けて紫外線をスポット照射する)。
一方、前記液面が所定の液面位置まで上昇した後、所定の時間だけ照射処理が実行された時点(すなわち、紫外線が前記液面に向けて所定の時間だけ照射された時点)で、コントローラ100は、電磁弁282を開いて送液ライン280を開通させ、さらに送液ポンプ260を起動する。送液ポンプ260は、収容タンク61から廃インクの一部を取り出し、送液ライン280を通じて、取り出した該廃インクをろ過ユニット200の加圧シリンダー210へ送液する。
そして、送液ポンプ260により送液された廃インクは、加圧シリンダー210の受容口213を通じて加圧シリンダー210内に流入する。すなわち、加圧シリンダー210が、送液ポンプ260により送液された廃インクを受容するようになる。加圧シリンダー210が廃液を受容する際、第一ピストン220及び第二ピストン230は、図8Aに示す位置にて静止した状態にある。かかる状態において、加圧シリンダー210は、第一ピストン220及び第二ピストン230との間に形成される空間(具体的には、圧縮部222、232との間に形成される空間)内にて前記廃インクを受容する。
図8Aを参照しながら具体的に説明すると、第一ピストン220は、加圧シリンダー210の長手方向において、その圧縮部222が落下口215の一端に差し掛かる位置にて静止している。第二ピストン230は、加圧シリンダー210の長手方向において、その圧縮部232が受容口213よりも一端側にあり、かつ、加圧シリンダー210の長手方向一端側の側壁212よりも僅かに内側にある位置にて静止している。なお、第一ピストン220及び第二ピストン230の各ピストンが上記位置にて静止するように、コントローラ100は、油圧制御部250により、各油圧機構240a、240bの油圧室242における油圧(より詳しくは、前方領域242a及び後方領域242bの各々の油圧)を制御している。
加圧シリンダー210は、図8Bに示すように、圧縮部222、223間の空間が廃インクによって満たされるまで、廃インクを受容し続ける(すなわち、電磁弁282が開いた状態のまま、送液ポンプ260が廃インクを送液し続ける)。そして、加圧シリンダー210が廃インクの受容を開始してから所定時間が経過すると(つまり、前記空間内が廃インクによって満たされると)、コントローラ100は、送液ポンプ260を停止し、電磁弁282を閉める。これにより、加圧シリンダー210における廃インクの受容が完了する。
その後、コントローラ100は、第二ピストン230を駆動させるための油圧機構240bの油圧室242、における油圧を制御して、該第二ピストン230を加圧シリンダー210の長手方向に沿って移動させる。具体的に説明すると、コントローラ100は、第二ピストン230を駆動させるための油圧機構240bが有する二組の油圧制御部250のうち、前方領域242aの油圧を制御する油圧制御部250に、該前方領域242aの油圧を減圧させるとともに、後方領域242bの油圧を制御する油圧制御部250に、該後方領域242bの油圧を加圧させる。この結果、第二ピストン230は、加圧シリンダー210の長手方向他端に向かって移動するようになる。
一方、第二ピストン230が加圧シリンダー210の長手方向他端に向かって移動する間、コントローラ100は、第一ピストン220の圧縮部222が落下口215の一端に差し掛かる位置にて、該第一ピストン220を静止させ続けるために、該第一ピストン220を駆動させるための油圧機構240aを制御する。
以上の結果、第二ピストン230は、第一ピストン220と第二ピストン230とが近付くように移動する。これにより、加圧シリンダー210内の第一ピストン220と第二ピストン230との間の空間(具体的には、両ピストンの圧縮部222、232間の空間)に送液された廃インクが圧縮されるようになる。そして、ろ過ユニット200は、圧縮された状態の廃インクを、ろ過処理用フィルタとしての第二ピストン230の圧縮部232によりろ過するようになる。すなわち、本実施形態のろ過ユニット200は、前記空間内の廃インクを圧縮ろ過する。
より具体的に説明すると、ろ過ユニット200によるろ過処理において、前記空間内の廃インクが圧縮されると、ろ過処理用フィルタとしての第二ピストン230の圧縮部232は、前記廃インクのうち、未硬化インクを前記空間外に移動させる。つまり、未硬化インクは、図8Cに示すように、メッシュフィルタ234a、234b、234cを通過した後、第二ピストン230の圧縮部232の根元部235に形成された貫通孔235a内を流れて、加圧シリンダー210の長手方向一端部にて排出口214から該加圧シリンダー210外に排出される。加圧シリンダー210外に排出された未硬化インクはレシーバタンク264に受容される。一方、前記空間内の廃インクが圧縮された際、第二ピストン230の圧縮部232は、図8Cに示すように、廃インクの硬化物を前記空間内に留まらせる。以上の結果、加圧シリンダー210内に送液された廃インクから硬化物が分離される。そして、ろ過処理後、前記空間内(すなわち、圧縮部222、232の間)には、円柱状に圧縮成形された状態の硬化物が堆積するようになる。
なお、前述したように、本実施形態では各油圧室242(より具体的には、各油圧シリンダー241内の、前方領域242aや後方領域242b)の油圧を最大約160MPaまで加圧することが可能である。これにより、加圧シリンダー210内に受容された廃インクを圧縮する際、当該廃インクには、上記油圧と同程度の圧力が掛かるようになる。かかる圧力によって廃インクから硬化物を分離し、当該硬化物を円柱状に圧縮成形する結果、ろ過処理後に前記空間内に残る硬化物は、略完全に乾いた状態となる(分かり易く言うと、未硬化インクにより湿っていた状態から圧搾されて、前記未硬化インクが十分に脱離した状態となる)。
その後、コントローラ100は、第二ピストン230を駆動させるための油圧機構240bを制御して、図8Dに示すように、加圧シリンダー210内に廃インクが受容された際に第二ピストン230が位置していた位置に、該第二ピストン230を戻す。この結果、ろ過処理後、送液ポンプ260により収容タンク61から送られてくる廃インクを、再び加圧シリンダー210内の前記空間(より詳しくは、当該空間のうち、前回までのろ過処理により当該空間内に堆積した硬化物、が占める領域以外の領域)にて受容することが可能になる。
ろ過ユニット200は、図8D〜図8Gに示すように、加圧シリンダー210が廃インクを受容する都度、前述の動作、すなわち、ろ過処理を繰り返し実行する。ろ過処理が繰り返されることにより、前記空間内における硬化物の堆積量が増加する。なお、ろ過処理の実施回数の増加に伴って、加圧シリンダー210がろ過処理後に再び受容できる廃インクの量は減少する。
そして、ろ過処理が所定回数だけ実施された後、コントローラ100は、第一ピストン220及び第二ピストン230の双方を移動させるために、2つの油圧機構240a、240bの各々を制御する。
具体的に説明すると、コントローラ100は、第一ピストン220を駆動させるための油圧機構240aが有する二組の油圧制御部250のうち、前方領域242aの油圧を制御する油圧制御部250に、該前方領域242aの油圧を加圧させるとともに、後方領域242bの油圧を制御する油圧制御部250に、該後方領域242bの油圧を減圧させる。この結果、第一ピストン220は、図8Hに示すように、加圧シリンダー210の長手方向他端側に移動する。本実施形態において、第一ピストン220は、該第一ピストン220の油圧室区画部223が油圧シリンダー241の長手方向他端に達した(すなわち、後方領域242bが消滅した)時点で移動を止める。この時点で、第一ピストン220の圧縮部222は、図8Hに示すように、加圧シリンダー210の落下口215上を越えて、該加圧シリンダー210の長手方向他端に到達している。
一方、コントローラ100は、第二ピストン230を駆動させるための油圧機構240bが有する二組の油圧制御部250のうち、前方領域242aの油圧を制御する油圧制御部250に、該前方領域242aの油圧を減圧させるとともに、後方領域242bの油圧を制御する油圧制御部250に、該後方領域242bの油圧を加圧させる。この結果、第二ピストン230は、図8Hに示すように、加圧シリンダー210の長手方向他端側に移動する。本実施形態において、第二ピストン230は、該第二ピストン230の油圧室区画部233が油圧シリンダー241の長手方向他端に達した(すなわち、前方領域242aが消滅した)時点で移動を止める。この時点で、第二ピストン230の圧縮部232は、図8Hに示すように、加圧シリンダー210の長手方向において前記落下口215の一端に到達している。
以上のように、ろ過処理が所定回数だけ実施された後、第一ピストン220及び第二ピストン230の双方が加圧シリンダー210の長手方向に沿って同一方向(具体的には、加圧シリンダー210の長手方向一端から長手方向他端に向かう方向)に移動する。これにより、廃インクの硬化物が留められた空間(すなわち、圧縮部222、232間の空間)が上記方向に移動する。そして、図8Hに示すように、前記空間は、最終的に、加圧シリンダー210の長手方向において前記落下口215が形成された部位に位置するようになる。これに伴い、前記空間内に留められた前記硬化物は、第二ピストン230の圧縮部232により押され、最終的に前記落下口215上に到達するようになる。つまり、第一ピストン220及び第二ピストン230の双方は、所定回数のろ過処理が実施された後に同一方向に移動することにより、前記空間内の硬化物を前記落下口215が形成された部位へ移送する。
そして、前記空間内の硬化物が、前記落下口215が形成された部位まで移送された後、コントローラ100は、押出ユニット270を制御して、該押出ユニット270に押出処理を実行させる。すなわち、コントローラ100は、長径方向が加圧シリンダー210の長手方向に沿った状態(図8A〜図8Hに示す状態)にあったエジェクタカム272を、回転軸271と一体的に約1/4回転だけ回転させる。これにより、図8Iに示すように、エジェクタカム272の一部が進入口216から加圧シリンダー210内に進入する。このとき、進入口216の直下には、硬化物が留められた前記空間(換言すると、当該空間に留められた硬化物)が位置している。
そして、エジェクタカム272は、進入口216から加圧シリンダー210内に進入する際、その外周面にて前記空間内の硬化物と当接した状態で回転して、該硬化物を下方に押圧する。これにより、当該硬化物は、図8Iに示すように、前記落下口215から加圧シリンダー210外に押し出される。なお、前記空間内の硬化物は、前述したように、ろ過処理の際に円柱状に圧縮成形され、かつ、略完全に乾いた状態となっているので、エジェクタカム272により押し出される際には、所謂ペレット状の形態をなした状態で落下口215から押し出されることになる。
加圧シリンダー210外に押し出された硬化物は、前述したように回収ボックス内に回収され、ユーザが回収ボックスから該硬化物が取り出すことにより、プリンタ10から廃棄される。一方、レシーバタンク264内に収容された未硬化インクについては、返送ポンプ262により返送ライン284を通じて収容タンク61に返送される。そして、返送された未硬化インクは、再度収容タンク61内にて紫外線を照射される状況に置かれる。これにより、廃インクは、確実に硬化した状態でプリンタ10から廃棄されるようになる。
なお、前述したように、本実施形態では、返送ポンプ262の起動は、レシーバタンク264内の未硬化インクの水位に基づいて制御されることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、廃インク処理動作中の所定の期間(例えば、ろ過処理実施後の数分間)だけ返送ポンプ262を起動する制御が行われてもよい。
===本実施形態の廃インク処理ユニット60の有効性について==
本実施形態の廃インク処理ユニット60は、上述のように、廃インクを収容する収容タンク61と、該収容タンク61に収容された廃インクに紫外線を照射することにより該廃インクを硬化させて該廃インクの硬化物を生成するUV照射ユニット62と、前記廃インクから該廃インクの硬化物を分離するろ過ユニット200と、を有する。かかる廃インク処理ユニット60により、本実施形態では廃インクを適切に廃棄することが可能になる。
すなわち、発明が解決しようとする課題の項で説明したように、廃インクをプリンタ10から廃棄する場合、収容タンク61から該廃インクを取り出すことになるが、該収容タンク61から取り出した廃インクが既に硬化して硬化物となっていれば、取り扱い易くなる。つまり、プリンタ10から廃インクを廃棄する場合、該廃インクが硬化物であれば、取り出し易く、かつ、プリンタ10内を汚染することも少ない。この結果、廃インクを適切に廃棄することが可能になる。
一方、収容タンク61から取り出した廃インクが未硬化インクの状態では、取り扱い難くなる。つまり、プリンタ10から廃インクを廃棄する場合、未硬化状態のままでは、取り出し難く、未硬化インクの貯留容器から当該未硬化インクをこぼしてしまう可能性がある。また、当該未硬化インクをこぼしてしまうと、プリンタ10内が未硬化インクにより汚染されることもある。さらに、廃インクが未硬化状態、すなわち、液状のままでプリンタ10から廃棄された場合、硬化物の場合と比較して、その後の処理(例えば、焼却処理等)に費やすエネルギーコストも高くなってしまう。
したがって、プリンタ10から廃インクを廃棄するにあたり収容タンク61から単に該廃インクを取り出すだけでは、該廃インクが適切に廃棄されない虞がある。つまり、無造作に収容タンク61から廃インクを取り出すと、当該廃インクが未硬化インク(あるいは、硬化物が分散した状態で含まれている未硬化インク)の状態で取り出される場合があり、かかる場合には上記の理由により廃インクの廃棄が適切に行われなくなる。
これに対し、本実施形態では、廃インクをプリンタ10から廃棄するにあたり、当該廃インクから該廃インクの硬化物が分離される。これにより、当該硬化物を選択的に廃棄することが可能になる。つまり、プリンタ10から廃棄される廃インクは、取り扱い易い形態、すなわち、硬化物となった状態で廃棄される。この結果、廃インクの廃棄が適切に行われるようになる。
また、本実施形態では、ろ過ユニット200は収容タンク61の外に位置し、収容タンク61内の廃インクを前記ろ過ユニット200に送液する送液ポンプ260が備えられていることとした。つまり、本実施形態では、ろ過ユニット200がろ過処理を行うにあたって、収容タンク61に収容された廃インク(詳しくは、収容タンク61内の廃インクの一部)が前記収容タンク61の外に取り出されることとした。これにより、収容タンク61内に廃インクの硬化物が溜まり続けるのを抑制し、廃インク処理動作の所要時間(換言すると、印刷動作が中断されるダウンタイム)を短縮化することが可能になる。
具体的に説明すると、収容タンク61内で廃インクから硬化物が分離される構成では、収容タンク61内に廃インクの硬化物が溜め続けられる。かかる構成では、例えば、収容タンク61内に廃インクの硬化物が所定量だけ溜まった時点で、該収容タンク61の交換が行われる。収容タンク61の交換時には、収容タンク61への廃インクの受け容れ処理、及び、UV照射ユニット62による照射処理を中断することになる。これらの処理が中断される分、廃インク処理動作の所要時間が長期化することになる。これに対し、本実施形態では、収容タンク61に収容された廃インクの一部を取り出し、該収容タンク61の外で、該廃インクから硬化物が分離される。これにより、収容タンク61内において硬化物が溜まり続けることが抑制され、該収容タンク61の交換のために、廃インクの受け容れ処理や照射処理を中断させる必要もない。この結果、廃インク処理動作の所要時間が短縮する。
また、本実施形態のろ過ユニット200は、廃インクから硬化物を分離するろ過処理において、該廃インクを圧縮ろ過する。このような圧縮ろ過により、廃インクから分離された硬化物は廃棄に適した形態をなすようになる。すなわち、ろ過処理後の硬化物は、ペレット状に成形され略完全に乾いており、最終的にプリンタ10から廃棄される段階においてユーザが取り扱い易い状態となる。
さらに、本実施形態では、ろ過処理後、廃インクから分離された硬化物は、第一ピストン220及び第二ピストン230により、加圧シリンダー210の落下口215が形成された部位まで移送される。そして、当該部位に到達した前記硬化物は、押出ユニット270により加圧シリンダー210外に押し出される。このように、本実施形態に係る第一ピストン220及び第二ピストン230は、ろ過処理時に加圧シリンダー210の長手方向において前記落下口215よりも一端側の領域にて廃インクを圧縮ろ過する圧縮ろ過動作と、ろ過処理後には前記長手方向に沿って他端側に移動して廃インクの硬化物を前記落下口215が形成された部位まで移送する移送動作と、を行う。つまり、本実施形態において、加圧シリンダー210内に受容された廃インク中の硬化物は、第一ピストン220及び第二ピストン230の移送動作によって、該廃インクから分離された後、加圧シリンダー210外に排出される位置(すなわち、落下口215の形成位置)まで適切に移動する。この結果、加圧シリンダー210内から前記硬化物を排出する構成が簡易なものとなる。
===その他の実施形態===
以上、上記の説明では、主として、廃液処理装置の一例としての廃インク処理ユニット60、液体噴射装置の一例としてのプリンタ10、及び、廃液処理方法の一例としての廃インク処理動作について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
また、上記実施形態では、UV照射ユニット62は、収容タンク61内の廃インクの液面に向けて紫外線をスポット照射することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、UV照射ユニット62が前記液面に向けて紫外線を全面照射することとしてもよい。また、上記実施形態では、収容タンク61を回転させるための回転機構66が設けられていることとした。そして、回転機構66が有する回転軸66bが回転すると、収容タンク61が該回転軸66bと一体的に回転することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記回転機構66が設けられてなく、収容タンク61が廃インク処理ユニット60内において静置した状態を維持することとしてもよい。但し、既述の理由により、収容タンク61内の廃インクを効率良く硬化させる(廃インクの硬化物を効率良く生成する)点では、上記実施形態の方が望ましい。
また、上記実施形態では、ろ過処理によって廃インクから該廃インクの硬化物を分離することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、廃インクを加熱し、該廃インク中、液体状態の廃インク(つまり、未硬化インク)を蒸発させることにより、該廃インクから硬化物を分離させることとしてもよい。
また、上記実施形態では、第一ピストン220及び第二ピストン230を駆動させるために、2つの油圧機構240a、240bが備えられていることとした。つまり、上記実施形態では、第一ピストン220及び第二ピストン230が油圧駆動される例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第一ピストン220及び第二ピストン230が空圧駆動されることとしてもよい。
また、上記実施形態では、ろ過ユニット200がろ過処理を実行する際、第一ピストン220及び第二ピストン230の双方のうち、第二ピストン230が、当該双方が互いに近付くように移動して、第一ピストン220と第二ピストン230との間の空間に送液された廃インクを圧縮する例(以下、本件例)について説明した。但し、これに限定されるものではなく、例えば、図9A乃至図9Iに示すような他の例も考えられる。すなわち、ろ過処理が実行される際、前記双方のうち、第一ピストン220が、当該双方が互いに近付くように移動して、前記空間内の廃インクを圧縮することとしてもよい。図9A乃至図9Iは、他の例における第一ピストン220及び第二ピストン230の動きを説明するための図であり、図8A乃至図8Iに対応した図である。
但し、他の例では、図9C〜図9Fに示すように、各ろ過処理の実施後、廃インクから分離された硬化物が、フィルタとしての第二ピストン230の圧縮部232の直ぐ前方に堆積するようになる。したがって、ろ過処理の実施後に、加圧シリンダー210内に廃インクを再び受容して当該廃インクをろ過しようとする場合、前記圧縮部232の直ぐ前方に堆積した硬化物により、前記空間内の廃インクをろ過し難くなってしまう(所謂ファウリング)。つまり、前記廃インクから硬化物を分離し難くなってしまう。これに対し、本件例の場合では、硬化物が第一ピストン220の圧縮部222側に堆積する結果、上記ファウリングの発生が抑制され、ろ過処理の実施後に再びろ過処理を行う際にも、前記空間内の廃インクを適切にろ過することが可能である。かかる点においては、上記実施形態の方が望ましい。
また、ろ過ユニット200がろ過処理を実行する際、前記第一ピストン220及び前記第二ピストン230の双方のうちの少なくともどちらか一方が、当該双方が互いに近づくように移動すればよく、例えば、前記双方が互いに相反する方向に移動して、前記空間内の廃インクを圧縮することとしてもよい。
また、上記実施形態では、回転ドラム20の周面22に媒体Sを保持しながら該媒体Sに画像を印刷するプリンタ10について説明した。しかし、これに限定されるものではなく、上記実施形態とは異なる他のプリンタ12も考えられる。以下、他のプリンタ12について、図10を参照しながら説明する。図10は、他のプリンタ12の構成を示す概略図であり、図中、ヘッド31の移動方向及び媒体の搬送方向を矢印にて示している。
他のプリンタ12は、図10に示すように、単一のヘッド31を備えるヘッドユニット30と、媒体を所定の搬送方向に搬送するための搬送ユニット80と、を有する。この搬送ユニット80は、給紙ローラ81と、搬送ローラ82と、プラテン83と、排紙ローラ84と、を有する。媒体Sは、給紙ローラ81によりプリンタ10内に給紙された後、搬送ローラ82により搬送方向において印刷可能な領域まで搬送される。その後、媒体Sはプラテン83に支持されながら搬送方向に搬送され続け、最終的に排紙ローラ84によりプリンタ10外に排出される。また、他のプリンタ12では、ヘッド31の下面がノズル面31aであり、当該ノズル面31aには、搬送方向に沿って列上に並んだ複数のノズルがインク色毎に形成されている。そして、他のプリンタ12では、コントローラ100が、ヘッド31を移動方向に移動させながらノズルからUVインクを噴射させて前記移動方向に沿うドットラインを媒体に形成する動作と、移動方向と交差する搬送方向に該媒体を搬送する搬送処理と、を交互に繰り返す。このような他のプリンタ12にも本発明は適用可能である。
また、上記実施形態では、ドットラインを形成するために移動方向に移動するヘッド31を有するプリンタ10(所謂シリアルプリンタ)について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、移動せずに固定位置に配置されたヘッド31を有し、媒体の搬送方向と交差する方向に並ぶ複数のドットを一度に形成することが可能なプリンタ(所謂ラインプリンタ)であってもよい。
また、上記の実施形態では、媒体に付着しない液体として、フラッシングのためにノズルから噴射されたUVインクを例に挙げて説明した。但し、媒体に付着しない液体は、フラッシングのためにノズルから噴射されたUVインク以外にも考えられる。例えば、ノズルからUVインクを噴射する際にミスト状のUVインクが発生することがあり、当該ミスト状のUVインクは、媒体に付着することなくプリンタ10内において浮遊する。このようなミスト状のUVインクを廃液として処理する廃インク処理ユニット60であってもよい。
また、上記の実施形態では、液体の一例であるUVインクを噴射するプリンタ10について説明したが、これに限られるものではない。液体については、紫外線を照射することにより硬化させて硬化物を生成することが可能な液体であればよく、UVインク以外の他の液体(機能材料等の粒子が分散されている液体を含む)を噴射する液体噴射装置に本発明を具体化することも可能である。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料が分散または溶解した状態で含まれた液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置等が挙げられ、これらのうち、いずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することが可能である。
プリンタ10の基本構成を示すブロック図である。 プリンタ10の全体構成の概略を示す図である。 プリンタ10の全体構成の断面を示す模式図である。 ノズル面31aを示した図である。 本実施形態の廃インク処理ユニット60を示す概念図である。 第二ピストン230の圧縮部232を構成する各要素の外観を示す模式図である。 照射処理の説明図である。 図8A乃至図8Iは、ろ過処理及び押出処理の説明図である。 図9A乃至図9Iは、他の例における第一ピストン220及び第二ピストン230の動きを説明するための図である。 他のプリンタ12の構成を示す概略図である。
符号の説明
10 プリンタ、12 他のプリンタ、20 回転ドラム、
21 回転軸、22 周面、22a 非保持領域、30 ヘッドユニット、
31 ヘッド、31a ノズル面、32 ヘッドキャリッジ、
33 インクカートリッジ、34 ガイド軸、35 ガイド軸、
40 定着ユニット、41 ランプユニット、41a 照射面、
42 ランプユニットキャリッジ、43 ガイド軸、44 ガイド軸、
50 キャップユニット、50a 凹部、51 廃インクポンプ、
52 廃インク供給ライン、60 廃インク処理ユニット、61 収容タンク、
62 UV照射ユニット、62a 光源、62b レンズ、63 移動機構、
63a 第一アーム、63b 支持部材、63c ステップモータ、
63d 第二アーム、64 液面センサ、64a 発光素子、65 ケーシング、
66 回転機構、66a 基台、66b 回転軸、72 給紙部、74 排紙部、
76 フレーム、80 搬送ユニット、81 給紙ローラ、82 搬送ローラ、
83 プラテン、84 排紙ローラ、100 コントローラ、
101 インターフェイス、102 CPU、103 メモリ、
104 ユニット制御回路、200 ろ過ユニット、210 加圧シリンダー、
211 外周壁、212 側壁、212a 嵌入孔、213 受容口、
214 排出口、215 落下口、216 進入口、220 第一ピストン、
221 ピストンロッド、222 圧縮部、223 油圧室区画部、
230 第二ピストン、231 ピストンロッド、232 圧縮部、
233 油圧室区画部、234a メッシュフィルタ、
234b メッシュフィルタ、234c メッシュフィルタ、
235 根元部、235a 貫通孔、240a 油圧機構、240b 油圧機構、
241 油圧シリンダー、242 油圧室、242a 前方領域、
242b 後方領域、243 側壁、243a 嵌入孔、
250 油圧制御部、251 油タンク、252 搬送ポンプ、
253 高圧ポンプ、254 油ライン、260 送液ポンプ、
262 返送ポンプ、264 レシーバタンク、270 押出ユニット、
271 回転軸、272 エジェクタカム、280 送液ライン、
282 電磁弁、284 返送ライン

Claims (7)

  1. 廃液を収容する収容タンクと、
    該収容タンクに収容された前記廃液に紫外線を照射することにより該廃液を硬化させて該廃液の硬化物を生成する照射部と、
    前記廃液から該廃液の硬化物を分離する分離部と、
    を有することを特徴とする廃液処理装置。
  2. 請求項1に記載の廃液処理装置において、
    前記分離部は、フィルタを備え、該フィルタを用いて前記廃液をろ過することにより該廃液から該廃液の硬化物を分離するろ過機構であり、
    該ろ過機構は、前記収容タンクの外に位置し、
    前記廃液を前記収容タンクから前記ろ過機構に送液する送液ポンプを有することを特徴とする廃液処理装置。
  3. 請求項2に記載の廃液処理装置において、
    前記廃液のうち、前記フィルタを通過した該廃液の未硬化物を前記収容タンクに返送する返送ポンプを有することを特徴とする廃液処理装置。
  4. 請求項3に記載の廃液処理装置において、
    前記ろ過機構は、
    シリンダーと、
    該シリンダー内において該シリンダーの長手方向に沿って移動可能な第一ピストンと、
    前記シリンダー内において該長手方向に沿って移動可能な、前記フィルタを備えた第二ピストンと、を有し、
    前記第一ピストン及び前記第二ピストンのうちの少なくともどちらか一方が、前記第一ピストンと前記第二ピストンとが近づくように移動して、前記シリンダー内の該第一ピストンと該第二ピストンとの間の空間に送液された前記廃液を圧縮し、
    該空間内の廃液が圧縮された際に、前記フィルタは、前記廃液の未硬化物を前記空間外へ移動させ、前記廃液の硬化物を前記空間内へ留まらせることを特徴とする廃液処理装置。
  5. 請求項4に記載の廃液処理装置において、
    前記シリンダーは、該シリンダーの外周壁に形成された開口を有し、
    前記廃液の硬化物を前記開口から前記シリンダー外に押し出すための押出機構を有し、
    前記ろ過機構が前記廃液をろ過した後に、前記第一ピストン及び前記第二ピストンは、前記長手方向に沿って同一方向に移動することにより、前記シリンダーの前記開口が形成された部位へ前記空間内の前記廃液の硬化物を移送し、
    前記押出機構は、前記部位へ移送された前記廃液の硬化物を押し出すことを特徴とする廃液処理装置。
  6. 液体を媒体に噴射するノズルと、
    前記ノズルから噴射された前記液体のうち、媒体に付着しない前記液体を廃液として収容する収容タンクと、
    該収容タンクに収容された前記廃液に紫外線を照射することにより該廃液を硬化させて該廃液の硬化物を生成する照射部と、
    前記廃液から該廃液の硬化物を分離する分離部と、
    を有する廃液処理装置と、
    を備えることを特徴とする液体噴射装置。
  7. 収容タンクに収容された廃液に紫外線を照射することにより該廃液を硬化させて該廃液の硬化物を生成するステップと、
    前記廃液から該廃液の硬化物を分離するステップと、
    を有することを特徴とする廃液処理方法。
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