JP5070688B2 - 高硬度ダイヤモンド多結晶体及びその製造方法 - Google Patents

高硬度ダイヤモンド多結晶体及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、ダイヤモンド多結晶体及びその製造方法に関するもので、特に、切削バイトや、ドレッサー、ダイスなどの工具や、掘削ビットなどに用いられる高硬度、高強度で熱的特性に優れるダイヤモンド多結晶体とその製造方法に関するものである。
従来の切削バイト、ドレッサー、ダイスなどの工具や、掘削ビットなどに使われるダイヤモンド多結晶体は、焼結助剤あるいは結合剤としてCo、Ni、Feなどの鉄族金属や、SiCなどのセラミックスを用いて製造されている。また、焼結助剤として炭酸塩を用いたものも知られている(特許文献1、特許文献2)。
これらダイヤモンド多結晶体は、ダイヤモンドの粉末を焼結助剤や結合剤とともにダイヤモンドが熱力学的に安定な高圧高温条件下(通常、圧力5〜8GPa、温度1300〜2200℃)で焼結することにより得られる。ここでいう、ダイヤモンドが熱力学的に安定な条件とは、例えば、非特許文献1のFig.1で示されている温度−圧力領域をいう。一方、天然に産出するダイヤモンド多結晶体(カーボナードやバラス)も知られており、一部掘削ビットとして使用されているが、材質のバラツキが大きく、また産出量も少ないため、工業的にはあまり使用されていない。
Coなどの鉄系金属触媒を焼結助剤としたダイヤモンド焼結体においては、用いられた焼結助剤が焼結体中に含まれ、これがダイヤモンドの黒鉛化を促す触媒として作用する。すなわち、不活性ガス雰囲気中でも700℃程度でダイヤモンドが黒鉛化してしまうため、ダイヤモンド焼結体の耐熱性が低下する。また、焼結助剤とダイヤモンドとの熱膨張差のため、焼結体内に微細なクラックが入りやすい。さらにダイヤモンドの粒子間に焼結助剤の金属が連続相として存在するため、焼結体の硬度や強度などの機械的特性が低下する要因となる。耐熱性を向上させるために、上記の金属相を除去したものが知られており、これにより耐熱温度は約1200℃に向上するが、焼結体が多孔質となるため、強度が低下するという問題がある。
非金属物質であるSiCを結合材としたダイヤモンド焼結体は耐熱性に優れ、また、上記のような気孔を含まないが、ダイヤモンド粒同士は結合していないため、その機械的強度は低い。
また、焼結助剤として炭酸塩を用いたダイヤモンド焼結体は、Co結合剤による焼結体に比べると耐熱性に優れるが、粒界に炭酸塩物質が存在するため、機械的特性は十分とはいえない。
一方、ダイヤモンド製造方法として、黒鉛(グラファイト)やグラッシーカーボン、アモルファスカーボンなどの非ダイヤモンド炭素を超高圧高温下で、触媒や溶媒なしに直接的にダイヤモンドに変換させることが可能である。この方法により非ダイヤモンド相からダイヤモンド相へ直接変換すると同時に焼結させることでダイヤモンド単相の多結晶体を得ることができる。例えば、非特許文献2〜4には、グラファイトを出発物質として14〜18GPa、3000K以上の超高圧高温下の直接変換によりダイヤモンド多結晶体が得られることが開示されている。これらの方法を用いてダイヤモンド多結晶体を製造する場合、いずれもグラファイトなどの導電性のある非ダイヤモンド炭素に直接電流を流すことで加熱する直接通電加熱法によっているため、未変換グラファイトが残留することは避けられない。また、ダイヤモンド粒子径が不均一であり、また、部分的に焼結が不十分となりやすい。このため、硬度や強度などの機械的特性が不安定で、しかも欠片状の多結晶体しか得られなかった。また、14GPa、3000Kを越える超高圧高温条件が必要で、製造コストが極めて高く、生産性が低いという問題点があった。このため、切削工具やビットなどに適用できず、実用化にはいたっていない。
本発明者らは、上記直接変換法によるダイヤモンド多結晶体の製造において、非ダイヤモンド炭素もしくは高純度なグラファイト状炭素を不活性ガス中で機械的に粉砕し、数十nm以下の微細な結晶粒組織をもつ、もしくは非晶質状とした炭素物質を原料に用いることにより、比較的条件のゆるやかな超高圧降温条件においてもダイヤモンドへの変換が起こり、同時に、結晶粒径数十nm以下で結晶粒径の小さい、粒径分布の狭いダイヤモンド結晶粒子が強固に結合した、実質的に100%ダイヤモンドからなる緻密なダイヤモンド多結晶体が得られることを見出し、先に出願している(特許文献3)。
また、例えば特許文献4には、カーボンナノチューブを10GPa以上、1600℃以上に加熱して、微細なダイヤモンドを合成する方法が記載されている。この場合、原料として用いるカーボンナノチューブは高価であり、製造コストが高くなるという問題点がある。また、当該文献に開示されている方法は、カーボンナノチューブを光を透過するダイアモンドアンビルで加圧し、該アンビルを通して炭酸ガスレーザーで集光加熱しているため、切削工具に適用できるサイズの均質なダイヤモンド多結晶体の製造は現実的には不可能である。
特許文献5には、ダイヤモンド粉末にi−カーボンあるいはダイヤモンド状炭素を添加して、ダイヤモンドの熱力学的安定域で高温高圧処理することでダイヤモンド多結晶体を得る方法が開示されている。しかし、この方法で用いられるダイヤモンド粉末は粒径が1μm以上であり、さらにi−カーボンは、このダイヤモンド表面でダイヤモンドに変換成長させるので、得られるダイヤモンド多結晶体には未変換グラファイトや空隙が残りやすく(密度3.37g/cm3 でダイヤモンドの真密度の96%程度)、硬度も6600kg/mm2 とダイヤモンド単相の多結晶体としては低いものである。
さらに、C13を主体とする非ダイヤモンド型炭素を原料とするダイヤモンドの製造方法として、C13メタンを原料として化学気相合成法(CVD法)でC13ダイヤモンド多結晶体が得られている。しかし、通常CVD法で得られるダイヤモンド多結晶体は、焼結プロセスを経ていないため各粒子間結合力が弱く、また各粒子が配向成長するため、切削工具や耐摩耗工具として使用するには機械特性が十分でない。また、このCVD法により合成されたC13を原料にして育成された単結晶のダイヤモンドも知られている(例えば非特許文献5)。しかし、このダイヤモンドは単結晶であるため、劈開性や硬度の異方性があり、広範な工具用途には使用できない。
特開平04−74766号公報 特開平04−114966号公報 特開2004−131336号公報 特開2002−066302号公報 特開昭61−219759号公報 F.P.Bundy,et al,Carbon,Vol34,No.2(1996)141−153 F.P.Bundy, J.Chem.Phys.,38(1963)631−643 M.Wakatsuki,K.Ichinose,T.Aoki, Jap.J.Appl.Phys.,11(1972)578−590 S.Naka,K.Horii,Y.Takeda,T.Hanawa, Nature259(1976)38 W.Banholzer wt al,New Diamond Science and Technology,1991 MRS Int.Conf.Proc.,pp857−862
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、切削用バイト、ドレッサー、ダイスなどの加工工具や、掘削ビットとして使用できる、十分な強度、硬度、耐熱性を有する緻密で均質なダイヤモンド多結晶体を提供することを課題とする。
本発明者らは、超高圧高温下で非ダイヤモンド炭素をダイヤモンドに直接変換させる方法において、非ダイヤモンド型炭素として、炭素の同位体であるC13(以下、単にC13とも記載)を50%以上含む炭素物質を用い、適切な条件でダイヤモンドへの変換と焼結を行わせることにより、従来よりも温和な条件で、C13を50%以上含むダイヤモンド粒子からなり、かつ、それぞれの粒子状ダイヤモンドの粒径が数十nm以下と非常に微細で、かつ相互に強固に結合した緻密なダイヤモンド多結晶体が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであって、次の(1)〜(5)の構成を採ることによって、前記課題を解決するものである。
(1)実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶体であって、炭素の同位体であるC13を50%以上含み、硬度が90GPa以上であることを特徴とする高硬度ダイヤモンド多結晶体。
(2)前記ダイヤモンドを形成する粒子状ダイヤモンドの最大粒径が100nm以下、平均粒径が50nm以下であることを特徴とする前記(1)の高硬度ダイヤモンド多結晶体。
(3)硬度が120GPa以上であることを特徴とする前記(1)又は(2)の高硬度ダイヤモンド多結晶体。
(4)炭素の同位体であるC13を50%以上含む非ダイヤモンド型炭素物質を、温度1300℃以上で、ダイヤモンドが熱力学的に安定である圧力条件下で、焼結助剤や触媒の添加なしに直接的にダイヤモンドに変換させると同時に焼結させることを特徴とする高硬度ダイヤモンド多結晶体の製造方法。
(5)前記非ダイヤモンド型炭素物質を、不活性ガス雰囲気中で最大粒径が100nm以下となるように粉砕して使用することを特徴とする前記(4)の高硬度ダイヤモンド多結晶体の製造方法。
本発明のダイヤモンド多結晶体は、実質的にC13を50%以上含む高硬度なダイヤモンド粒子のみからなり、機械的強度を低下させるグラファイト相を含まないため、硬度、強度が高く、ダイヤモンドの結晶粒径が小さく均一なため、粗大結晶粒に起因するクラックの発生や単結晶ダイヤモンドで見られる劈開破壊による強度の低下も見られない。
また、従来の鉄系金属元素を焼結助剤として含有しないため、高温環境でダイヤモンドのグラファイト化が起こらず、耐熱性に優れている。
さらに、C13を50%以上含む非ダイヤモンド型炭素物質を使用することにより、従来の直接変換法によるダイヤモンド多結晶体の製造方法に比較して、より温和な条件で高硬度、高強度のダイヤモンド多結晶体を容易に製造することができる。
本発明の実質的にC13を50%以上含む高硬度なダイヤモンド粒子のみからなるダイヤモンド多結晶体は、例えば、C13を50%以上含む非ダイヤモンド型炭素を出発物質として、直接的にダイヤモンドに変換、焼結させることによって製造することができる。 炭素には通常、天然同位体としてC12が98.9体積%、C13が1.1体積%含まれている(C14は1.2×10-10 体積%)。ここで、例えば液化天然ガスから低温精密蒸留法によりC13メタンを分離し、このメタンガスからC13の含有量の多い炭素を得ることができる。本発明はこのC13含有量の多い炭素を出発物質として直接変換焼結によりダイヤモンド多結晶体を作製するため、得られるダイヤモンド多結晶体の各ダイヤモンド粒子にはC13が多く含まれる。本発明者らは、このC13の含有量が50%を超えると、ダイヤモンド多結晶体の硬度が明らかに向上することを見出した。
本発明のダイヤモンド多結晶体は、通常のダイヤモンドより高硬度なC13含有量の多いダイヤモンドからなり、しかも各粒子がランダムな方位を向いているため、単結晶やCVD法により合成されるダイヤモンドのようなへき開性や硬度異方性がない。このように、本発明によれば、従来にない高硬度で強靭なダイヤモンド多結晶体を容易に得ることができる。
本発明のダイヤモンド多結晶体では、多結晶体を構成するダイヤモンド結晶粒の最大粒径が100nm以下、平均粒径が50nm以下となるように制御するのが好ましい。最大粒径、平均粒径を小さくすることにより更なる機械的強度の向上が図れるからである。該最大粒径及び平均粒径の制御により、硬度が90GPa以上、より好ましくは120GPa以上のダイヤモンド多結晶体を容易に得ることができる。
本発明によるダイヤモンド多結晶体の製造方法は、C13を50%以上含む非ダイヤモンド型炭素物質を、温度1300℃以上で、ダイヤモンドが熱力学的に安定である圧力条件下で、焼結助剤や触媒の添加なしに直接的にダイヤモンドに変換させると同時に焼結させることを特徴とする。C13を50%以上含む非ダイヤモンド型炭素物質としては、出発物質として例えば天然ガスより抽出されるC13からなる炭素物質(非晶質あるいはグラファイト型炭素物質)、あるいはこのC13からなる炭素物質に通常の天然同位体比を有する炭素物質(非晶質あるいはグラファイト型炭素物質)を50体積%より少ない割合で添加したものが使用できる。結晶成長したC13グラファイトを用いる場合には、不活性ガス中で遊星ボールミル等を用いて機械的に粉砕して、非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質とすることが好ましい。
本発明の方法によれば、出発原料に鉄系金属元素や炭酸塩を用いないため、強度及び耐熱性の高いダイヤモンド多結晶体を製造することができる。また、グラファイトの粉砕の程度によってダイヤモンド多結晶体の結晶粒度の制御も可能であり、従って同多結晶体の機械的性質の制御が可能となる。
本発明の製造方法では、前記C13を50%以上含む非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質の最大粒径を100nm以下、平均粒径が50nm以下とするのが好ましい。これにより、製造されたダイヤモンド多結晶体の最大結晶粒径は100nm以下、平均粒径は50nm以下となり、合成温度を1500℃程度まで低減させることができる。
また、前記C13を50%以上含む非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質の最大粒径を50nm以下とするとさらにより好ましい。この場合、製造されたダイヤモンド多結晶体の粒子状ダイヤモンドの最大結晶粒径は50nm以下となり、合成温度を1300℃程度まで低減させることができる。
また、前記C13を50%以上含む非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質として、X線回折図形の(002)回折線の半値幅より求められる結晶子サイズが50nm以下のものを使用してもよい。この場合、製造されるダイヤモンド多結晶体の平均結晶粒径は50nm以下となり、合成温度を1300℃程度まで低減させることができる。X線回折図形の(002)回折線の半値幅より結晶子サイズを決定する方法は、結晶子の平均粒径相当の結晶子サイズを決定するもので、直接粒子径を測定する方法に比べ簡便に平均結晶子サイズを決定することができる。
さらに、前記C13を50%以上含む非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質として、X線回折図形の(002)回折線の半値幅より求められる結晶子サイズが30nm以下のものを使用することもできる。この場合、製造されるダイヤモンド多結晶体の平均結晶粒径は30nm以下となる。
また、前記C13を50%以上含むグラファイトの機械的粉砕の時間を更に長くすることによって、X線回折図形に(002)回折線が認められない程度にまで粉砕の程度を進めた非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質を出発原料として使用することができる。ここに、X線回折図形に(002)回折線が認められないということは、グラファイト型炭素物質がほとんど非晶質化していることを示しており、これにより製造されるダイヤモンド多結晶体の結晶粒子径はさらに小さくなる。
本発明のダイヤモンド多結晶体の製造方法において、出発物質のC13を50%以上含む非ダイヤモンド型炭素物質は、例えば純度99.9%以上の、できるだけ高純度なものが好ましい。これを、遊星ボールミルなどの粉砕器を用い、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中にて、数時間粉砕処理して、最大粒径が好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下となるように微粉砕する。この粉砕した非ダイヤモンド型炭素物質の平均粒径は、X線回折図形の(002)回折線の半値幅より計算により求めるとそれぞれ50nm以下、及び30nm以下となっている。十分に粉砕され、X線回折図形に(002)回折線が認められないほど微細もしくは非晶質な状態のものであればさらに好ましい。
前記のように、必要により粉砕工程を経た、C13を50%以上含む非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質を、高純度な不活性ガス雰囲気中で、MoやTaなどの金属カプセルに充填する。機械的に粉砕した超微細グラファイト型炭素物質を用いる場合、超微細グラファイトは非常に活性であるため、これを大気中にさらすと容易にガスや水分が吸着し、ダイヤモンドへの変換、焼結を阻害するので、充填作業も常に高純度な不活性ガス中で行うことが好ましい。
次に、前記カプセルに充填したC13を50%以上含む非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質を、超高圧高温発生装置を用いて、温度1300℃以上で、かつダイヤモンドが熱力学的に安定な圧力で所定時間保持することで、C13を50%以上含む非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質はダイヤモンドに直接変換され、同時に焼結される。その結果、微細なC13を50%以上含むダイヤモンド粒子が強固に結合した極めて緻密で均質な組織の高硬度ダイヤモンド多結晶体が得られる。
前記のダイヤモンドが熱力学的に安定な圧力は、図1に示す領域における圧力を示し、この圧力は、同図に示すように温度によって異なり一概には決められないが、本発明ではこの過程を前記のように1300℃以上で行うため、この温度を考慮して図1の斜線を施した部分の範囲から適宜選定することが好ましい。さらに、ダイヤモンド安定領域にあっても、圧力が低いと未変換部が残留しやすくなるため、平衡線(図1中の一点鎖線)よりやや高い圧力が好ましく、具体的には8.5GPa以上が好ましい。なお、図1において、一点鎖線の上方がダイヤモンド安定領域であり、一点鎖線の下方がグラファイト安定領域である。
また、前記のC13を50%以上含む非晶質もしくは微細なグラファイト型炭素物質をダイヤモンドに変換する過程における所定温度及び所定圧力での保持時間としては、特に限定されないが、例えば、10〜10000秒程度が好ましい。
本発明のダイヤモンド多結晶体を構成する粒子状ダイヤモンドの粒径は、最大粒径が100nm以下で平均粒径が50nm以下、より好ましい態様においては最大粒径50nm以下で平均粒径30nm以下と、非常に微細かつ均質な組織を有する。同時に、C13を50%以上含む硬質なダイヤモンドからなるため、この多結晶体は、硬度が90GPa以上、場合によっては120GPa以上と、通常のダイヤモンド単結晶を超える硬さを持つ。また、実質的にC13を50%以上含むダイヤモンドのみからなり、金属触媒や焼結助剤をいっさい含まないため、たとえば真空中、1400℃でも、グラファイト化や微細クラックの発生が見られない。したがって、本発明のダイヤモンド多結晶体は、切削バイトや、ドレッサー、ダイスなどの工具や、掘削ビットなどとして非常に有用である。
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
〔例1〜11〕
出発物質として素材及び粒径の異なる非ダイヤモンド型炭素物質の試料を調製し、該試料を用いてダイヤモンド多結晶体の合成試験を行った。
(出発物質の調製)
出発物質として次の試料を準備した。試料の概要を表1に示す。
(a)平均粒径1〜3μm、純度99.95%以上の、炭素の同位体であるC13を99%含むグラファイト(試料(a))。
(b)(a)のC13グラファイトを、直径5mmの窒化ケイ素製ボールとともに窒化ケイ素製ポットに入れ、遊星ボールミル装置を用いて、高純度に精製されたアルゴンガス中、回転数500rpmで機械的粉砕を行い、粉砕時間を1〜20時間と変えて作製した粉砕グラファイト(試料(b)−1〜(b)−3)。
(c)天然のグラファイト(同位体比C12:C13=98.9:1.1)を、(b)と同様にして粉砕したもの(試料(c)−1〜(c)−3)。
(d)(a)又は(b)に(c)を混合したもの((試料(d)−1〜(d)−4)。
粉砕処理した試料は、高純度アルゴンガスで満たされたグローブボックス内で試料を回収した。粉砕処理後の試料を、SEMまたはTEM観察により粒径を調べ、また、X線回折図形のグラファイトの(002)回折線の半値幅からScherrerの式より平均粒径(結晶子サイズ)を求めた。結果を表1に合わせて記載した。
(ダイヤモンド多結晶体の合成)
それぞれの、試料を前記グローブボックス中でMoカプセルに充填、密封し、これをベルト型超高圧発生装置を用いて、種々の圧力、温度条件で30分処理した。得られた試料の生成相をX線回折により同定し、TEM観察により構成粒子の粒径を調べた。また、強固に焼結している試料については、表面を鏡面に研磨し、その研磨面での硬さをマイクロヌープ硬度計で測定した。
合成試験の結果を表2に示す。この結果から、炭素の同位体であるC13を50%以上含むグラファイト状炭素を出発物質とすると、通常のグラファイトを出発物質とした場合に比べて1.1倍以上、硬度が向上することがわかる。さらに、最大粒径100nm以下、もしくは平均粒径50nm以下に粉砕した微粒C13グラファイトを出発物質とすると、よりマイルドな高圧高温条件で、ダイヤモンドに変換焼結することがわかった。いずれも、得られた多結晶の硬度は、従来のCoバインダーの焼結体(60〜80GPa)よりはるかに高く、ダイヤモンド単結晶(85〜110GPa)と同等もしくはそれ以上であることがわかる。
Figure 0005070688
Figure 0005070688
本発明のダイヤモンド多結晶体は、前記のような優れた機械的特性を有し、熱的安定性に優れたものであり、切削バイト、ドレッサー、ダイスなどの工具や、掘削ビットなどの分野において、極めて高い利用可能性を有するものである。
ダイヤモンドが熱力学的に安定な領域を温度と圧力との関係で示す図。

Claims (5)

  1. 実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶体であって、炭素の同位体であるC13を50%以上含み、硬度が90GPa以上であることを特徴とする高硬度ダイヤモンド多結晶体。
  2. 前記ダイヤモンドを形成する粒子状ダイヤモンドの最大粒径が100nm以下、平均粒径が50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の高硬度ダイヤモンド多結晶体。
  3. 硬度が120GPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高硬度ダイヤモンド多結晶体。
  4. 炭素の同位体であるC13を50%以上含む非ダイヤモンド型炭素物質を、温度1300℃以上で、ダイヤモンドが熱力学的に安定である圧力条件下で、焼結助剤や触媒の添加なしに直接的にダイヤモンドに変換させると同時に焼結させることを特徴とする高硬度ダイヤモンド多結晶体の製造方法。
  5. 前記非ダイヤモンド型炭素物質を、不活性ガス雰囲気中で最大粒径が100nm以下となるように粉砕して使用することを特徴とする請求項4に記載の高硬度ダイヤモンド多結晶体の製造方法。

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