JP6098044B2 - 多結晶ダイヤモンド砥粒の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、多結晶ダイヤモンドを用いた砥粒およびその製造方法、スラリー、並びに固定砥粒式ワイヤに関し、特に、ナノサイズの結晶粒を持つ多結晶ダイヤモンド砥粒およびその製造方法、スラリー、並びに固定砥粒式ワイヤに関する。
従来、研磨用ダイヤモンド砥粒としては、天然ダイヤモンドや人工の単結晶ダイヤモンドを粉砕したものが用いられている。
ダイヤモンド砥粒の寿命や研磨性能を左右する要因として、不純物量、砥粒の硬度、劈開性等を挙げることができる。しかし、天然ダイヤモンドや人工単結晶ダイヤモンドの不純物量、硬度、劈開性等を向上させるのは困難である。特に、ダイヤモンド砥粒のサイズが数μm〜数十μmと微小な場合には、劈開性や結晶の異方性が砥粒の寿命に与える影響が大きく、結果的に寿命は制限される傾向にあった。
一方、多結晶ダイヤモンドは、劈開性の点では優れているものの、一般に結合剤、焼結助剤、触媒等を用いて作製されるため、不純物量が多く、高温での硬度特性が低下する。また、結合剤等の含有量が多いほど耐磨耗性が低下することも一般的に知られている。このため、結合剤等を含む多結晶ダイヤモンドも、砥粒として十分な硬度特性や耐摩耗性を有しておらず、従来の多結晶ダイヤモンドで作製した砥粒の寿命も制限される傾向にあった。
なお、ダイヤモンド砥粒については、例えば特開2010−201514号公報や、特開平9−132771号公報等に記載されている。
特開2010−201514号公報 特開平9−132771号公報
多結晶ダイヤモンド砥粒の用途の一例として、ダイヤモンド砥粒を芯線に固着したワイヤーソーを挙げることができる。該ワイヤーソーを用いて、半導体等を切断することができるが、近年、半導体のワイヤカットにおいて、インゴットの大型化や、硬質のSiC、AlN、GaN等のワイドギャップ半導体の加工機会が増加している。これに伴い、従来よりも長寿命な砥粒が求められている。ダイヤモンド砥粒の他の用途についても、同様の傾向が見られる。
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、従来の砥粒よりも長寿命なダイヤモンド砥粒およびその製造方法、該ダイヤモンド砥粒を備えたスラリー、並びに固定砥粒式ワイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る多結晶ダイヤモンド砥粒は、結合剤を含まない多結晶ダイヤモンドからなり、該多結晶ダイヤモンドの結晶粒径は1μm未満であり、多結晶ダイヤモンド砥粒の平均二次粒子径は1μm以上200μm以下である。
ここで、「多結晶ダイヤモンドの結晶粒径」とは、走査型電子顕微鏡(Scaning Electron Microscope(SEM))や透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope(TEM))等の顕微鏡で直接観察して測定した、多結晶ダイヤモンドを構成する個々の単結晶粒子、すなわち一次粒子の外径(最も長い部分)をいう。
また、「多結晶ダイヤモンド砥粒の平均二次粒子径」とは、SEMやTEM等の顕微鏡で直接観察し、測定した多結晶ダイヤモンド砥粒を構成する個々の多結晶粒、すなわち二次粒子の外径の平均値をいう。
上記多結晶ダイヤモンド中の不可避不純物濃度は、0.01質量%以下であるのが好ましい。上記多結晶ダイヤモンド砥粒は、スラリーや固定砥粒式ワイヤに用いることができる。
本発明に係る多結晶ダイヤモンド砥粒の製造方法は、炭素材料を、12GPa以上の圧力、1500℃以上の温度で結合剤を用いずに焼結してダイヤモンドに直接的に変換し、1μm未満の結晶粒径を有する多結晶ダイヤモンドを得る工程と、多結晶ダイヤモンドを、平均二次粒子径が1μm以上200μm以下となるよう加工する工程とを備える。
上記炭素材料は、気相合成法によって準備されるのが好ましい。上記多結晶ダイヤモンドを加工する工程において、金属、セラミック、またはそれらの複合体を多結晶ダイヤモンドに衝突させることで、上記多結晶ダイヤモンドを粉砕してもよい。
本発明に係る多結晶ダイヤモンド砥粒は、結合剤を含まない多結晶ダイヤモンドからなり、該多結晶ダイヤモンドの結晶粒径が1μm未満であるため、従来の砥粒よりも長寿命化することができる。
本発明に係る多結晶ダイヤモンド砥粒の製造方法では、炭素材料を、12GPa以上の圧力、1500℃以上の温度で結合剤を用いずに焼結してダイヤモンドに直接的に変換し、該多結晶ダイヤモンドを加工するので、上記のようなダイヤモンド砥粒を作製することができる。従って、従来の砥粒よりも長寿命な多結晶ダイヤモンド砥粒を作製することができる。
本発明の実施の形態に係る多結晶ダイヤモンド砥粒の製造方法において、砥粒に加工する前のナノ多結晶ダイヤモンドの組織の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る多結晶ダイヤモンド砥粒は、結晶粒径(最大長さ)が1μm未満の多結晶ダイヤモンド(一次粒子。以下、「ナノ多結晶ダイヤモンド」と称する)からなる。該ナノ多結晶ダイヤモンド砥粒(二次粒子)の平均二次粒子径が1μm以上200μm程度である。
上記ナノ多結晶ダイヤモンドは、例えば、基材上に気相合成等により形成された黒鉛に、高温高圧下で熱処理を施すことにより作製可能である。黒鉛は、一体の固体であり、結晶化部分を含むものであってもよい。上記ナノ多結晶ダイヤモンドおよび黒鉛は、任意の形状、厚みとすることが考えられる。例えば、ナノ多結晶ダイヤモンドおよび黒鉛を平板状の形状としてもよい。
上記ナノ多結晶ダイヤモンドは、結合剤、焼結助剤、触媒等を実質的に含まない。このナノ多結晶ダイヤモンドは、不純物量も極めて少なく、粒径が1μm未満である結晶粒同士が互いに強固に直接結合したものであり、緻密で空隙の極めて少ない結晶組織を有している。図1に、本実施の形態に係る多結晶ダイヤモンド砥粒の作製用に使用可能なナノ多結晶ダイヤモンドの組織の一例を示す。図1に示すように、上記ナノ多結晶ダイヤモンドでは、微細なダイヤモンド結晶粒同士が直接結合している。また、各結晶粒の大きさや形状のばらつきも小さく、結晶粒間の空隙も少ない。
なお、ナノ多結晶ダイヤモンドの結晶粒径は1μm未満であれば、各結晶粒間である程度のバラツキを含んでもよい。しかし、ナノ多結晶ダイヤモンドの結晶粒間の結合力の観点から、結晶粒径のばらつきは小さい方が好ましい。
上記ナノ多結晶ダイヤモンドが有する優れた特性を維持しながら、ナノ多結晶ダイヤモンドを所望の二次粒子に加工することで、劈開性を実質的に有さず、かつ、高硬度で耐摩耗性に優れた多結晶ダイヤモンド砥粒を得ることができる。このとき、平均二次粒子径は、ミクロンオーダーとする。具体的には、1μm以上200μm以下とするのが好ましい。平均二次粒子径を1μm以上としたのは、1μmより小さい場合、ナノ多結晶ダイヤモンドはそれぞれ単独の単結晶のような性質を示し、多結晶体としてのメリットである等方性を生かすことができないためである。平均二次粒子径を200μm以下としたのは、平均二次粒子径が200μmより大きい場合、多結晶ダイヤモンド砥粒の強度が低下すると同時に、砥粒としては、研磨面の粗さが大きすぎてしまうためである。なお、上記多結晶ダイヤモンド砥粒は、平均二次粒子径が1μm以上200μm以下の範囲である限りにおいて、二次粒子径が1μm未満や200μm以上の多結晶ダイヤモンド砥粒を含んでいてもよい。
本実施の形態に係る多結晶ダイヤモンド砥粒は、窒素、水素、酸素、硼素、シリコン、結晶粒の成長を促進するような遷移金属等の不純物濃度(以下「不純物濃度」と称する)が0.01質量%以下であるのが好ましい。つまり、不純物濃度が、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析での検出限界程度である。また、遷移金属については、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析やSIMS分析における検出限界程度である。上述のように、黒鉛を用いて多結晶ダイヤモンド砥粒を作製する場合には、該黒鉛の不純物濃度は、0.01質量%以下とするのが好ましい。
このように、黒鉛中の不純物量をSIMS分析やICP分析での検出限界レベルにまで低下させることで、該黒鉛を用いてナノ多結晶ダイヤモンドを作製した場合に、極めて高純度のナノ多結晶ダイヤモンドを作製することができる。また、SIMS分析やICP分析での検出限界より若干多い不純物を含む黒鉛を用いた場合でも、従来と比較すると格段に優れた特性の多結晶ダイヤモンドが得られる。
上記高純度のナノ多結晶ダイヤモンドでは、全体にわたって不純物濃度が極めて低くなる。また、該ナノ多結晶ダイヤモンドには、従来のような不純物の偏析も見られず、いずれの部分の不純物濃度も極めて低く、結晶粒界における不純物の濃度も、0.01質量%以下程度である。このように結晶粒界における不純物濃度が極めて低いことから、結晶粒界での結晶粒の滑りを抑制することができ、結晶粒同士の結合を強化することができる。それにより、多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度を高くすることができる。また、結晶粒の異常成長をも効果的に抑制することができ、結晶粒径のバラツキも低減することができる。
上記高純度のナノ多結晶ダイヤモンドの優れた特性を維持しながら、ナノ多結晶ダイヤモンドを所望の平均二次粒子径に加工することで、従来の砥粒よりも長寿命の多結晶ダイヤモンド砥粒を得ることができる。これにより、本実施の形態に係る多結晶ダイヤモンド砥粒は、硬質なSiC、AlN、GaN等のワイドギャップ半導体の加工に対しても、従来の砥粒より長寿命化することができる。
次に、本実施の形態に係る多結晶ダイヤモンド砥粒の製造方法について説明する。本実施の形態に係る多結晶ダイヤモンド砥粒は、炭素材料を、高温高圧下(例えば、12GPa以上の圧力、1500℃以上の温度)で結合剤を用いずに焼結してダイヤモンドに直接的に変換し、1μm未満の結晶粒径を有するナノ多結晶ダイヤモンドを得た後、該ナノ多結晶ダイヤモンドを加工することで作製できる。
上記の炭素材料の一例として、例えば、真空チャンバ内に導入した炭化水素ガスを1500℃以上3000℃以下程度の温度で熱分解して基材上に形成した、黒鉛を挙げることができる。このとき、真空チャンバ内の真空度は、20〜100Torr程度とすればよい。それにより、気相の炭化水素から直接基材上に、多結晶である固相の黒鉛を形成することができる。また、炭化水素ガスの純度を高めることで、不純物量の極めて少ない黒鉛を基材上に作製することができる。例えば、真空チャンバ内に導入した99.99%以上の純度の炭化水素ガスを1500℃以上3000℃以下程度の温度で熱分解して基材上に形成した黒鉛は、不純物濃度を0.01質量%以下とすることができる。なお、炭化水素ガスとしては、メタンガスを使用することが好ましい。
黒鉛を基材上に作製する際には、真空チャンバ内に設置した基材を1500℃以上の温度に加熱する。加熱方法としては周知の手法を採用することができる。たとえば、基材を直接あるいは間接的に1500℃以上の温度に加熱可能なヒータを真空チャンバに設置することが考えられる。
黒鉛作製用の基材としては、1500℃から3000℃程度の温度に耐え得る材料であればいかなる固相材料であってもよい。具体的には、金属、無機セラミック材料、炭素材料を基材として使用可能である。黒鉛中への不純物混入を抑制するという観点からは、上記基材を炭素で構成することが好ましい。固相の炭素材料としてはダイヤモンドや黒鉛を挙げることができる。黒鉛を基材として使用する場合、上述の手法で作製した不純物量の極めて少ない黒鉛を基材として使用することが好ましい。
なお、基材の材料としてダイヤモンドや黒鉛のような炭素材料を使用する場合、基材の少なくとも表面を炭素材料で構成すればよい。たとえば、基材の表面のみを炭素材料で構成し、基材の残りの部分を炭素材料以外の材料で構成してもよく、基材全体を炭素材料で構成してもよい。
炭素材料としての黒鉛の結晶粒径は、本実施の形態のナノ多結晶ダイヤモンドの合成がマルテンサイト変態ではないため、特に制限はない。
次に、基材上に作製した上記黒鉛を、温度1500℃以上、圧力12GPa以上の条件下で焼結し、ダイヤモンドに直接的に変換する。これにより、結合剤、焼結助剤、触媒等を実質的に含まないナノ多結晶ダイヤモンドが得られる。該ナノ多結晶ダイヤモンドは、結晶粒同士が互いに直接結合し、緻密で空隙の極めて少ない結晶組織を有するため、優れた硬度特性を有するものとなる。
また、変換後のナノ多結晶ダイヤモンドに含まれる不純物濃度は、上記黒鉛の不純物濃度と同程度となるため、上記黒鉛の不純物濃度は0.01質量%以下とするのが好ましい。これによりナノ多結晶ダイヤモンドの不純物濃度も0.01質量%以下とすることができるため、より優れた硬度特性を有することができることが分かった。
ナノ多結晶ダイヤモンドの合成には、一軸性の圧力を加えてもよく、等方的な圧力を加えてもよい。しかし、等方的な圧力によって、結晶粒径や、結晶の異方性の程度を揃えるという観点から、静水圧下での合成が好ましい。これにより、結晶粒径や結晶の異方性の程度が揃ったナノ多結晶ダイヤモンドを作製することができ、結晶粒間の結合をより強くすることができる。
次に、先の工程で合成したナノ多結晶ダイヤモンドを、加工して多結晶ダイヤモンド砥粒とする。このとき、該ナノ多結晶ダイヤモンドが有する優れた特性を維持可能な加工であれば、任意の加工を採用できる。例えば、金属、セラミックまたはそれらの複合体をナノ多結晶ダイヤモンドに衝突させて、粉砕してもよい。衝突に用いる金属としては、例えばステンレス(SUS)を使用できる。また、衝突に用いる金属、セラミックまたはそれらの複合体の形状としては、任意の形状を採用でき、例えば球状でもよい。このとき、多結晶ダイヤモンド砥粒の平均二次粒子径が1μm以上200μm以下となるよう加工することができ、さらに所望の平均二次粒子径を有するように、衝突の条件を選択することもできる。例えば、衝突回数を減らすことで、平均二次粒子径の大きい多結晶ダイヤモンド砥粒を得ることができる。
上記多結晶ダイヤモンド砥粒は、平均二次粒子径が1μm以上200μm以下の範囲である限りにおいて、二次粒子径が1μm未満や200μm以上の多結晶ダイヤモンド砥粒を含んでいてもよい。また、本実施の形態に係る多結晶ダイヤモンド砥粒の製造方法は、ふるい等により、砥粒に用いるナノ多結晶ダイヤモンドの二次粒子径を選択する工程を備えてもよい。これにより、多結晶ダイヤモンド砥粒の二次粒子径を所望の範囲内に揃えることができるため、多結晶ダイヤモンド砥粒による加工品質を向上できる。
以上のように、本実施の形態に係る多結晶ダイヤモンド砥粒の製造方法によれば、上記のようなナノ多結晶タイヤモンドを加工することで、多結晶ダイヤモンド砥粒を作製しているので、従来の砥粒よりも長寿命な多結晶ダイヤモンド砥粒を得ることができる。
なお、本発明における多結晶ダイヤモンド砥粒の平均二次粒子径は、TEM等の顕微鏡像に基づいて、多結晶ダイヤモンド砥粒を構成する個々の多結晶粒(二次粒子)の粒径分布から、D50粒子径として算出する。具体的には、倍率10〜50万倍で観察したTEM(例えば、日立製作所製「H−9000」)の像から、画像解析プログラム(例えば、Scion Corporation社製「ScionImage」)を用いて個々の粒子を抽出し、抽出した粒子を2値化処理して個々の粒子の面積(S)を算出する。該個々の粒子の面積(S)と同じ面積を有する円の直径(2√(S/π))として個々の粒子径(D)を算出し、粒子径の頻度分布を得る。該粒子径の頻度分布を、データ解析プログラム(OriginLab社製「Origin」,Parametric Technology社製「Mathchad」等)によって処理し、累積50%での粒子径(D50粒子径)を算出し、これを平均二次粒子径とする。
次に、本発明の実施例について説明する。
気相合成法により形成した、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度が0.01質量%以下の黒鉛を温度2100℃、圧力16GPaの条件下で、直接多結晶ダイヤモンドに変更した。この多結晶ダイヤモンドの結晶粒径は各々10〜100nm程度の大きさであり、各結晶粒同士が直接結合していることを走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。
このナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は120GPaであった。該ナノ多結晶ダイヤモンドに、SUS球を、1秒間に20回、合計18000回衝突させて取り出し、ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子を得た。該ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子をふるいによって1μm以上のものに選別し、平均二次粒子径100μmの多結晶ダイヤモンド砥粒を作製した。さらに該多結晶ダイヤモンド砥粒を水に分散させてスラリーとし、該スラリーを塗布した砥石を作製した。
上記砥石で、立方晶ホウ化窒素をラッピングしたところ、従来のダイヤモンド砥粒を用いた場合と比較して、ラッピングレートは2倍になり、砥粒の寿命は3倍以上延びることが確認できた。ラッピング条件は、加重300g/cm2、回転数60rpm、スラリー噴射時間10秒、スラリー噴射間隔50秒とした。
気相合成法により形成した、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度が0.01質量%以下の黒鉛を温度2200℃、圧力16GPaの条件下で、直接多結晶ダイヤモンドに変更した。この多結晶ダイヤモンドの結晶粒径は各々10〜100nm程度の大きさであり、各結晶粒同士が直接結合していることを走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。
このナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は120GPaであった。該ナノ多結晶ダイヤモンドに、SUS球を、1秒間に20回、合計18000回衝突させて取り出し、ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子を得た。該ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子をふるいによって1μm以上のものに選別し、平均二次粒子径100μmの多結晶ダイヤモンド砥粒を作製した。さらに該多結晶ダイヤモンド砥粒をワイヤに固着し、固定砥粒ワイヤを作製した。
上記固定砥粒ワイヤで、立方晶ホウ化窒素をカットしたところ、従来のダイヤモンド砥粒を用いた場合と比較して、切削速度は2倍になり、砥粒の寿命は3倍以上延びることが確認できた。
気相合成法により形成した、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度が0.01質量%以下の黒鉛を温度2100℃、圧力16GPaの条件下で、直接多結晶ダイヤモンドに変更した。この多結晶ダイヤモンドの結晶粒径は各々10〜100nm程度の大きさであり、各結晶粒同士が直接結合していることを走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。
このナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は120GPaであった。該ナノ多結晶ダイヤモンドに、SUS球を、1秒間に20回、合計18000回衝突させて取り出し、ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子を得た。該ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子をふるいによって20μm以下のものに選別し、平均二次粒子径10μmの多結晶ダイヤモンド砥粒を作製した。さらに該多結晶ダイヤモンド砥粒を水に分散させてスラリーとし、該スラリーを塗布した砥石を作製した。
上記砥石で、立方晶ホウ化窒素を実施例1と同条件でラッピングしたところ、従来のダイヤモンド砥粒を用いた場合と比較して、ラッピングレートは2倍になり、砥粒の寿命は3倍以上延びることが確認できた。
気相合成法により形成した、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度が0.01質量%以下の黒鉛を温度2200℃、圧力16GPaの条件下で、直接多結晶ダイヤモンドに変更した。この多結晶ダイヤモンドの結晶粒径は各々10〜100nm程度の大きさであり、各結晶粒同士が直接結合していることを走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。
このナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は120GPaであった。該ナノ多結晶ダイヤモンドに、SUS球を、1秒間に20回、合計18000回衝突させて取り出し、ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子を得た。該ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子をふるいによって10μm以上のものに選別し、平均二次粒子径100μmの多結晶ダイヤモンド砥粒を作製した。さらに該多結晶ダイヤモンド砥粒をワイヤに固着し、固定砥粒ワイヤを作製した。
上記固定砥粒ワイヤで、立方晶ホウ化窒素をカットしたところ、従来のダイヤモンド砥粒を用いた場合と比較して、切削速度は2倍になり、砥粒の寿命は3倍以上延びることが確認できた。
気相合成法により形成した、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度が0.01質量%以下の黒鉛を温度2100℃、圧力20GPaの条件下で、直接多結晶ダイヤモンドに変更した。この多結晶ダイヤモンドの結晶粒径は各々10〜100nm程度の大きさであり、各結晶粒同士が直接結合していることを走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。
このナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は120GPaであった。該ナノ多結晶ダイヤモンドに、SUS球を、1秒間に20回、合計18000回衝突させて取り出し、ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子を得た。該ナノ多結晶ダイヤモンドを100μmのふるいに掛け選別した、平均二次粒子径100μmの多結晶ダイヤモンド砥粒を作製した。さらに該多結晶ダイヤモンド砥粒を水に分散させてスラリーとし、該スラリーを塗布した砥石を作製した。
上記砥石で、立方晶ホウ化窒素を実施例1と同条件でラッピングしたところ、従来のダイヤモンド砥粒を用いた場合と比較して、ラッピングレートは2倍になり、砥粒の寿命は3倍以上延びることが確認できた。
気相合成法により形成した、水素、酸素、窒素、ホウ素といった不可避不純物の濃度が0.01質量%以下の黒鉛を温度2200℃、圧力20GPaの条件下で、直接多結晶ダイヤモンドに変更した。この多結晶ダイヤモンドの結晶粒径は各々10〜100nm程度の大きさであり、各結晶粒同士が直接結合していることを走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。
このナノ多結晶ダイヤモンドのヌープ硬度は120GPaであった。該ナノ多結晶ダイヤモンドに、SUS球を、1秒間に20回、合計18000回衝突させて取り出し、ナノ多結晶ダイヤモンドの粒子を得た。これを100μmのふるいに掛けて選別した、平均二次粒子径100μmの多結晶ダイヤモンド砥粒を作製した。さらに該多結晶ダイヤモンド砥粒をワイヤに固着し、固定砥粒ワイヤを作製した。
上記固定砥粒ワイヤで、立方晶ホウ化窒素をカットしたところ、従来のダイヤモンド砥粒を用いた場合と比較して、切削速度は2倍になり、砥粒の寿命は3倍以上延びることが確認できた。
なお、上記の実施例において比較対象とした従来のダイヤモンド砥粒は、単結晶ダイヤモンド砥粒である。これをスラリーとして実施例1と同じラッピング条件で立方晶窒化ホウ素を研磨したときのラッピングレートは1μm/hであった。また、従来のダイヤモンド砥粒を固着させてワイヤーソーとし、立方晶窒化ホウ素を切削したときの切削速度は140μm/minであった。
以上の実施例では、結晶粒径が10〜100nm程度の高硬度のナノ多結晶ダイヤモンドを粉砕して得られた、平均二次粒子径1〜100μmの多結晶ダイヤモンド砥粒が、従来のダイヤモンド砥粒と比較して、3倍以上も長寿命であることが確認できた。しかし、実施例以外の条件であっても、特許請求の範囲に記載の範囲であれば、同等の特性を有する多結晶ダイヤモンド砥粒を作製できるものと考えられる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上述の実施の形態および実施例を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。

Claims (2)

  1. 炭素材料を、12GPa以上の圧力、1500℃以上の温度で結合剤を用いずに焼結してダイヤモンドに直接的に変換し、1μm未満の結晶粒径を有する多結晶ダイヤモンドを得る工程と、
    前記多結晶ダイヤモンドを、平均二次粒子径が1μm以上200μm以下となるよう加工する工程とを備え、
    前記炭素材料は、気相合成法によって準備され、
    前記炭素材料の不可避不純物濃度は、0.01質量%以下である、多結晶ダイヤモンド砥粒の製造方法。
  2. 前記多結晶ダイヤモンドを加工する工程において、
    金属、セラミック、またはそれらの複合体を前記多結晶ダイヤモンドに衝突させることで、前記多結晶ダイヤモンドを粉砕する、請求項1に記載の多結晶ダイヤモンド砥粒の製造方法。
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