JP6194685B2 - 砥粒、研磨用スラリー、ワイヤーソー、結合体、工具および砥粒の製造方法 - Google Patents

砥粒、研磨用スラリー、ワイヤーソー、結合体、工具および砥粒の製造方法 Download PDF

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本発明は、多結晶ダイヤモンドからなる砥粒、当該砥粒を用いた研磨用スラリー、ワイヤーソー、結合体、当該結合体を用いた工具、ならびに当該砥粒の製造方法に関する。
ダイヤモンドは、既存の物質で最高の硬度を有する。そのため、天然ダイヤモンドや人工の単結晶ダイヤモンドを粉砕して得られたダイヤモンド粒子は、金属やセラミック等多くの材料を研削、研磨するための砥石やカッターの原料である砥粒として用いられている。
ダイヤモンドの砥粒は、高い加工効率が得られることから、クロム鋼(SCr)、クロムモリブデン鋼(SCM)、ニッケルクロム鋼(SNC)、ステンレス鋼(SUS)等の鉄を含有している鉄系材料の加工においても用いられている。
鉄系材料の加工にダイヤモンド砥粒を用いる技術として、例えば特開平10−202538号公報(特許文献1)には、ダイヤモンド砥粒の接着空隙率を10〜50%としたダイヤモンドカッターが記載されている。また、特開平10−138147号公報(特許文献2)には、ダイヤモンド砥粒をロウ材により基板に接続したダイヤモンド切削刃が記載されている。
特開平10−202538号公報 特開平10−138147号公報
ダイヤモンドは、鉄とは高温下で強い反応性を有する。このため、ダイヤモンドによって鉄系材料を加工すると、ダイヤモンドが熱摩耗し易くなる。具体的には、たとえば、800℃程度の温度でセメンタイト(FeC)が形成され、研磨中の摩擦面で該セメンタイトの剥離等が起こる。それにより、ダイヤモンドが脆弱化し、摩耗が激しくなる。
このような問題に対して、上記特許文献1,2は、いずれも、ダイヤモンド砥粒や該ダイヤモンド砥粒を固着した基板の放熱性向上に着目している。すなわち、鉄系材料を被加工物としたときのダイヤモンドと鉄との温度上昇を抑制することにより、ダイヤモンドと鉄との反応性が向上することを抑制している。
しかしながら、上記特許文献1,2においては、温度が上昇した場合に生じるダイヤモンドの熱摩耗を抑制することはできなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高い硬度と鉄系材料に対する耐摩耗性を有するダイヤモンドからなる新規な砥粒、当該砥粒を用いた研磨用スラリー、ワイヤーソー、結合体、当該結合体を用いた工具、ならびに当該砥粒の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、黒鉛を直接変換して得られる多結晶ダイヤモンドからなり、多結晶ダイヤモンドは、炭素と、炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄と、を含み、硫黄の含有率が10質量ppm以上3×10質量ppm以下である、砥粒である。
本発明は、上記砥粒を含む研磨用スラリーである。
本発明は、上記砥粒が金属芯線に保持されているワイヤーソーである。
本発明は、上記砥粒と結合剤とを含む原料を焼結してなる結合体である。
本発明は、上記結合体を備える工具である。
また、本発明は、黒鉛を準備する準備工程と、黒鉛を焼結させて多結晶ダイヤモンドに直接変換させる変換工程と、多結晶ダイヤモンドを粉砕して砥粒を得る粉砕工程と、を備え、黒鉛は、炭素と、炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄と、を含み、硫黄の含有率が10質量ppm以上3×10質量ppm以下である、砥粒の製造方法である。
本発明によると、高い硬度と、鉄系材料に対する高い耐摩耗性を有する多結晶ダイヤモンドからなる砥粒、当該砥粒を用いることにより、高速加工が可能であり、長寿命である、研磨用スラリー、ワイヤーソー、結合体、当該結合体を用いた工具、さらには当該砥粒の製造方法を提供することができる。
研磨用スラリーを用いた基板の表面のラッピング方法の一例を示す模式図である。 黒鉛を基板上に形成した状態の一例を示す斜視図である。 基板上の黒鉛を直接変換して多結晶ダイヤモンドを作製した状態の一例を示す斜視図である。
本発明は、黒鉛を直接変換して得られる多結晶ダイヤモンドからなり、多結晶ダイヤモンドは、炭素と、炭素より構成される結晶構造内にドープされた硫黄と、を含み、硫黄の含有率が10質量ppm以上3×10質量ppm以下である、砥粒である。本発明の砥粒は、十分な硬度を有し、鉄系材料に対する耐摩耗性に優れている。
また、本発明は、上記砥粒を製造する方法であり、黒鉛を準備する準備工程と、黒鉛を焼結させて多結晶ダイヤモンドに直接変換させる変換工程と、多結晶ダイヤモンドを粉砕して砥粒を得る粉砕工程と、を備え、黒鉛は、炭素と、炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄と、を含み、硫黄の含有率が10質量ppm以上3×10質量ppm以下である、砥粒の製造方法である。本発明の砥粒の製造方法によれば、十分な硬度を有し、鉄系材料に対する耐摩耗性に優れる砥粒を製造することができる。
以下、本発明に係る砥粒、当該砥粒の用途、および当該砥粒の製造方法について、詳細に説明する。
<砥粒>
本実施形態の砥粒は、黒鉛を直接変換して得られる多結晶ダイヤモンドからなる。黒鉛を直接変換して得られる多結晶ダイヤモンドは、多結晶ダイヤモンドの単結晶の粒子同士が結合剤を介することなく強固に結合した緻密な組織を有するので、研削熱または研磨熱による硬度低下が生じにくく、加工速度を速めることができる。また、高硬度であるので加工量を向上させることができる。したがって、高速加工用として有用であり、長寿命である。
本実施形態の砥粒は、好ましくは多結晶ダイヤモンドの粉砕体からなり、一次粒子が凝集した二次粒子である。砥粒の平均二次粒子径(二次粒子の最大長さ)は、1μm以上100μm以下であることが好ましく、2μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。砥粒の平均二次粒子径が1μmより小さい場合は、多結晶体を構成している単結晶体の性質が表れやすく、強度が低下する場合がある。砥粒の平均二次粒子径が100μmより大きい場合は、砥粒内で強度分布が生じることにより破砕されやすくなり、また研磨面が粗くなってしまう。
本明細書において、砥粒の平均二次粒子径とは、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)のような電子顕微鏡像に基づいて、砥粒の二次粒子の粒径分布を測定し、かかる粒径分布から算出されるD50粒子径とする。
(多結晶ダイヤモンド)
本実施形態において、多結晶ダイヤモンドは、炭素(N)と、炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄(S)とを含む。本明細書において、「結晶構造内にドープされた硫黄」とは、硫黄が、炭素が共有結合することによって構成される多結晶ダイヤモンドの結晶構造において、一部の炭素と置換された状態で、換言すれば、結晶構造を構成する炭素と共有結合した状態で存在しており、原子レベルで結晶構造内に分散されている状態をいう。本実施形態の多結晶ダイヤモンドは、好ましくはクラスター化した硫黄を含まない。クラスターは、複数の原子が凝集した状態で結晶構造内に存在する状態であり、結晶構造内に原子レベルで分散して存在する状態とは異なる。クラスター化した硫黄を含む場合、硫黄は結晶構造内に不均一に存在することになり、多結晶ダイヤモンドの均質性を低下させるとともに、結晶構造に大きな歪みをもたらし、結果的に多結晶ダイヤモンドの硬度を低下させることになるので好ましくない。
このような多結晶ダイヤモンドは、高い硬度と鉄系材料に対する高い耐摩耗性とを有しているので、これからなる砥粒についてもかかる特性、すなわち高い硬度と鉄系材料に対する高い耐摩耗性とを有する。
本実施形態の多結晶ダイヤモンドが、鉄系材料に対する耐摩耗性を有することができる理由の一つは、結晶構造内に硫黄がドープされており、その含有率が0.001質量%以上3質量%以下である点にあると考えられる。本発明者らは、その理由について以下のように推察している。
すなわち、ダイヤモンドによる鉄系材料の加工時において、鉄系材料とダイヤモンドとの接触に伴い、ダイヤモンドと鉄系材料とが反応してダイヤモンドの結晶構造内から電子が引き抜かれ、炭素間の供給結合が弱まり、結果的に、ダイヤモンドの摩耗が進むと考えられる。本実施形態の多結晶ダイヤモンドは、炭素と比して電子を2個多く有する硫黄がドープされているため、絶縁性のダイヤモンドよりも多くの電子を結晶構造内に有することができ、これにより、鉄系材料との接触時に生じる電子の抜けを結晶構造の内部より供給して補完することができる。そして、硫黄の含有率が10質量ppm以上であることにより、電子の抜けを内部より供給して補完する機能を十分に発揮することができ、3×10質量ppm以下であることにより、多結晶ダイヤモンドの高い硬度を十分に維持することができる。
多結晶ダイヤモンドにおいて、硫黄が含まれるかどうかおよびその含有率は誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分析によって測定することができる。多結晶ダイヤモンドに硫黄が含まれる場合に、硫黄が原子レベルで結晶構造内に分散されているかどうかは、たとえば、(1)多結晶ダイヤモンド中に硫黄の結晶相が存在するかどうかを観察することによって、(2)多結晶ダイヤモンドにおける硫黄の原子濃度分布を測定することによって、(3)多結晶ダイヤモンドの導電性の有無を測定することによって、また、上記(1)〜(3)および他の方法を適宜組み合わせることによって確認することができる。
上記(1)に関し、原子レベルで結晶構造内に分散されている硫黄は、多結晶ダイヤモンドとは異なる結晶相を構成しないため、異種元素の結晶相が観察されない。これに対して、クラスター化して存在する硫黄は、多結晶ダイヤモンドとは異なる結晶相を構成するため、硫黄の結晶相が観察される。このような結晶相の有無は、たとえば、X線回折スペクトルによって観察することができ、また、結晶相の大きさによっては、目視によっても観察することができる。
上記(2)に関し、硫黄が原子レベルで結晶構造内に分散されている場合、クラスター化した状態で存在している場合と比して、硫黄の原子濃度分布は均一となる。このような原子濃度分布は、たとえば、二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectroscopy)によって測定することができる。結晶構造中の任意の2点において測定される硫黄の原子濃度差が所定の値以下である場合に、硫黄の原子濃度分布が均一であるとみなすことができ、硫黄は、原子レベルで結晶構造内に分散されている状態であり、クラスター化している状態ではないとみなすことができる。
上記(3)に関し、たとえば、多結晶ダイヤモンドに対し、X線回折スペクトルによって硫黄の結晶相が存在しないことを確認し、さらに、多結晶ダイヤモンドの体積抵抗率(Ωcm)を測定して導電性を確認する。硫黄の結晶相が確認されず、かつ体積抵抗率が所定値以下である場合に、硫黄が原子レベルで結晶構造内に分散されているとみなすことができる。硫黄は、最外殻のp軌道の電子を供与することによりドナーとなって多結晶ダイヤモンドに導電性を付与することができる。
多結晶ダイヤモンドが硫黄を含むことにより、上述のとおり導電性が付与されるので、このような多結晶ダイヤモンドを用いた砥粒は、研削作用と放電作用とを併せ持つことになり、たとえば放電複合研削法に用いることができる。本実施形態は、多結晶ダイヤモンドにおける硫黄の含有率が、10質量ppm以上3×10質量ppm以下であり、好ましくは100質量ppm以上1000質量ppm以下である。硫黄の含有率が10質量ppm以上であることにより、体積抵抗率を1kΩcm以下として金属的な導電性を付与することができる。本明細書において、硫黄の含有率は、ICP分析により測定される値とする。なお、本実施形態の多結晶ダイヤモンドにおいては、硫黄は含有率によらず均一に分散されているので、砥粒として用いた場合に、局所的な特性のばらつきが生じることを抑制することができる。
多結晶ダイヤモンドの体積抵抗率は、好ましくは1000mΩcm以下であり、さらに好ましくは20mΩcm以下である。体積抵抗率が10mΩcm以下であることにより、放電複合研削法にも用いることができる砥粒を作製することができる。本明細書において、体積抵抗率とはJIS C2141に準じて測定される値とする。
多結晶ダイヤモンドを構成する単結晶の粒径(結晶粒の最大長さ)は、1μm未満であり、さらに好ましくは10〜500nmである。単結晶の粒径が1μm未満であることにより、多結晶ダイヤモンドの等方性が向上し、欠けにくく、高硬度でかつ耐摩耗性に優れた砥粒が得られる。多結晶ダイヤモンドを構成する単結晶の粒径のばらつきは、0〜10%であることが好ましい。粒径のばらつきが上記範囲内であることにより、さらに多結晶ダイヤモンドの等方性が向上し、耐摩耗性に優れた砥粒が得られる。
本実施形態の砥粒は、後述する砥粒の製造方法により製造することができる。この製造方法によれば、単結晶の粒子間に結合剤を介在させることなく、粒子同士が強固に結合された多結晶ダイヤモンドの粉砕体からなる砥粒が得られるので、結合剤により粒子同士を結合させた多結晶ダイヤモンドからなる砥粒と比して、高硬度の砥粒を得ることができる。
また、後述する製造方法によれば、不可避不純物の混入量が十分に低い多結晶ダイヤモンドを粉砕して砥粒を製造することができる。具体的には、多結晶ダイヤモンドにおいて、不可避不純物である各元素の各々の含有率を1×10質量ppm以下とすることができる。不可避不純物である各元素の各々の含有率が1×10質量ppm以下であることにより、単結晶粒界でのすべりを抑制することができ、単結晶粒同士の結合をより強固にすることができるため、多結晶ダイヤモンドの強度をさらに高めることができ、砥粒の強度を高めることができる。したがって、本実施形態の砥粒の原料に用いられる多結晶ダイヤモンドにおいて、不可避不純物である各元素の各々の含有率は、好ましくは1×10質量ppm以下である。なお、不可避不純物とは、炭素、および意図した硫黄以外の元素を意味し、窒素(N)、水素(H)、酸素(O)、シリコン(Si)、遷移金属などを挙げることができる。
不可避不純物の各元素の各々の含有率は、ICP分析やSIMS分析で測定することができる。これらの分析方法による検出限界は1×10質量ppm程度であるので、不可避不純物は、これらの分析方法により検出されない程度であることが好ましい。
本実施形態の砥粒は、導電性を有するように構成することができることから、放電複合研削法に用いることができる。放電複合研削法は、研削時に砥粒と被加工材間に電圧を印加することにより、砥粒による機械的除去作用と放電による電気的除去作用が得られる加工方法である。また、本実施形態の砥粒は、鉄系材料に対する耐摩耗性が高いので、鉄系材料を加工するための材料、工具に用いることができる。なお、鉄系材料とは、鉄を含む材料を意味し、純鉄の他、ステンレス(SUS)、ニッケル合金、コバルト合金、マンガン合金、その他3d電子系の遷移金属を主とする金属合金などを挙げることができる。
本実施形態の砥粒は、研磨材、研削材、切削用工具として用いられ、研磨材としては、たとえば砥粒を分散した研磨用スラリー、砥粒をボンドで固めた砥石など、切削工具としては、たとえば砥粒を芯線に固定したワイヤーソー、砥粒を刃先に固定した切削工具を挙げることができる。また、本実施形態の砥粒を結合剤とともに焼結して結合体を作製し、得られた結合体を切削工具、研削工具、耐摩工具などに用いることができる。このような結合体は、構成する個々の多結晶粒子が高強度、耐鉄反応性を伴うため、鉄系素材加工用途として特に有用である。
<研磨用スラリー>
本実施形態の研磨用スラリーは、分散媒体中に、多結晶ダイヤモンドからなる上記の砥粒が分散されているものである。分散媒体としては、水、オイル、有機溶媒などが例示される。研磨用スラリー中の砥粒の濃度は限定されないが、たとえば1質量%以上30質量%以下とすることができる。研磨用スラリーには、酸化剤、pH調整剤、固化防止剤、分散剤、などの添加剤が添加されていてもよい。
研磨用スラリーは、たとえば、基板の表面を平滑にするラッピングに用いることができる。ラッピングとは、基板の表面を研磨することをいう。図1は、研磨用スラリーを用いた基板の表面のラッピング方法の一例を示す模式図である。図1に示すように、定盤15をその回転軸15cを中心に回転させながら、スラリー供給口19から定盤15上に砥粒16を分散した研磨用スラリー17を供給するとともに、基板10を固定したホルダ11上に重り14を載せてその回転軸11cを中心にして回転させながら、基板10を定盤15に押し当てることにより、基板10の表面を平滑化する。
本実施形態の研磨用スラリーには、高硬度で鉄系材料に対して耐摩耗性に優れた上記の砥粒が用いられているので、鉄系材料の高速研磨が可能であり、長寿命である。
<ワイヤーソー>
本実施形態のワイヤーソーは、金属製芯線の外表面に多結晶ダイヤモンドからなる上記の砥粒が保持されているものである。砥粒の金属製芯線への保持方法は限定されないが、たとえば金属製芯線の外表面全体を被覆するめっき層に砥粒を埋め込むことにより砥粒を保持することができる。このような方法によると、金属製芯線の外表面に砥粒を強固に保持することができるので、砥粒の脱落を防止することができる。めっき層としては、たとえばニッケルを用いることができる。
金属製芯線は、一定の強度を有する金属製芯線であれば如何なるものであってもよい。たとえば、ピアノ線等の鋼線、タングステン線、モリブテン線等を用いることができる。金属製芯線の直径は、被削材の材質、形状等により適宜変更可能であるが、たとえば0.05mm〜0.30mmである。金属製芯線の外表面における砥粒の被覆率は限定されないが、ワイヤーソーの剛性を高くする観点から、たとえば1〜35%であることが好ましい。
本実施形態のワイヤーソーには、高硬度で鉄系材料に対して耐摩耗性に優れた上記の砥粒が用いられているので、鉄系材料の高速切削が可能であり、長寿命である。
<結合体>
本実施形態の結合体は、上記砥粒と結合剤とを混合して焼結して形成されたものである。結合剤としては、TiNなどを用いることができる。また、砥粒に対する結合剤の添加量は、限定されないが、結合体の強度、耐熱性の点から、たとえば5〜40体積%とすることが好ましい。焼結温度は、使用する結合剤によって適宜選択し得るが、たとえば、500〜600℃で焼結することができる。
本実施形態の結合体は、高硬度で鉄系材料に対する耐摩耗性に優れた上記の砥粒が用いられており、単結晶のダイヤモンドからなる砥粒を用いた場合、および結合剤を含む多結晶ダイヤモンドからなる砥粒を用いた場合と比較して、高硬度で、鉄系材料に対する耐摩耗性に優れ、耐熱性に優れたものである。本実施形態の結合体は、鉄系材料に対する耐摩耗性が高いので、たとえば、鉄系材料を加工するための工具に用いることができる。
工具としては、切削工具、研削工具、耐摩工具などを挙げることができる。切削工具としては、たとえば、ドリル、エンドミル、ドリル用刃先交換型切削チップ、エンドミル用刃先交換型切削チップ、フライス加工用刃先交換型切削チップ、旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップなどを挙げることができる。
<砥粒の製造方法>
本実施形態の砥粒の製造方法は、黒鉛を準備する準備工程と、黒鉛を焼結させて多結晶ダイヤモンドに直接変換させる変換工程と、多結晶ダイヤモンドを粉砕する粉砕工程、とを備える。準備される黒鉛は、炭素と、炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄とを含み、硫黄の含有率は、10質量ppm以上3×10質量ppm以下である。以下、図2および図3を用いながら、各工程について説明する。
(準備工程)
本工程は、黒鉛を準備する工程であり、これにより、図2に示すように、炭素と、炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄とを含み、黒鉛における硫黄の含有率が10質量ppm以上3×10質量ppm以下である黒鉛1を、基材2上に準備する。このような黒鉛は、たとえば、以下の化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を用いることにより基材上に形成することができる。
(CVD法)
まず、真空チャンバ内に、その主面上に、黒鉛を気相成長させるための基材2を配置する。基材2の材料としては、1500℃〜3000℃程度の温度に耐え得る材料であれば、いかなる金属、無機セラミック材料、炭素材料を用いてもよい。多結晶ダイヤモンドの原材料となる黒鉛に混入する不純物を低減するという観点から、少なくとも基材の主面は炭素材料であることが好ましく、不純物の極めて少ないダイヤモンドまたは黒鉛であることがより好ましい。
次に、真空チャンバ内に配置された基材2を1500℃以上3000℃以下程度の温度で加熱する。加熱方法としては公知の方法を採用することができ、たとえば、基材2を直接あるいは間接的に加熱可能なヒータを真空チャンバに設置する方法が挙げられる。
次に、真空チャンバ内に、炭化水素ガスと、硫黄を含むガスとを導入する。このとき、真空チャンバ内の真空度(圧力)を大気圧以下にする。これにより、炭化水素ガスと、硫黄を含むガスとを、真空チャンバ内で均一に混合させることができる。
炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、プロパンなどを用いることができ、変換効率が比較的高く、扱いも容易であるという観点から、メタンを用いることが好ましい。また、硫黄を含むガスとしては、硫化水素(H2S)、または硫化ジメチル(C26S)などの炭化水素ガスを用いることが好ましい。硫化水素は、高温中で容易に分解することができるため、効率的に硫黄を基材上に供給することができる。
そして、混合されたガスを1500℃以上の温度で熱分解することにより、基材の主面上に、炭素と、炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄とを含む黒鉛、換言すれば、硫黄が原子レベルで結晶構造内に分散して存在する黒鉛1が形成される。
上記CVD法において、黒鉛1に含まれる単結晶の粒径を10μm以下とすることが好ましく、10μm以下とするためには、基板に含まれる多結晶粒子径を10μm以下のものとする。単結晶の粒径を10μm以下にすることにより、直接変換により製造される多結晶ダイヤモンドにおける単結晶の粒径を1μm未満に抑えることができる。また、黒鉛1に含まれる単結晶の粒径を20nm以上500nm以下に調整することにより、多結晶ダイヤモンドを構成する単結晶の粒径を10nm以上500nm以下にすることができる。なお、黒鉛1の構成は、単結晶を一部に含み、他の部分がアモルファスや不定型状態である構成でもよく、単結晶から構成される多結晶であってもよい。より粒径が均一な多結晶ダイヤモンドを得るためには、ナノサイズの結晶子を持つ単結晶によって構成される多結晶体の黒鉛1を形成することが好ましい。
また、上記CVD法において、黒鉛1における硫黄の含有率を10質量ppm以上3×10質量ppm以下にするために、炭化水素ガスと硫黄を含むガスとの混合割合を調整する。具体的には、硫黄を含むガスの混合割合を大きくすることにより、黒鉛1における硫黄の含有量を大きくすることができる。また、硫黄を含むガスの種類を変えることによっても、硫黄の含有率を調整することができる。黒鉛1における硫黄の含有率を10質量ppm以上3×10質量ppm以下にすることにより、多結晶ダイヤモンドにおける硫黄の含有率を10質量ppm以上3×10質量ppm以下にすることができる。
本工程において、上記CVD法を用いることにより、基材上に、炭素と、炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄とを含む黒鉛であって、硫黄の含有率が10質量ppm以上3×10質量ppm以下である黒鉛が形成される。
また、本工程で準備される黒鉛に関し、厚み方向および面内方向のいずれにおいても、硫黄が均一にドープされていること、すなわち、黒鉛中における硫黄の原子濃度分布が均一であることが好ましい。黒鉛中に均一に硫黄がドープされていることにより、後述する変換工程によって製造される多結晶ダイヤモンドにおける硫黄の分布を均一にすることができる。
硫黄の原子濃度分布を均一にするためには、炭化水素ガスと、硫黄を含むガスとを同時に真空チャンバ内に導入することが好ましい。これにより、各ガスを容易に均一に混合することができ、硫黄が均一にドープされた黒鉛を効率的に基材上に生成することができる。また、各ガスは、基材の主面の真上方向から基材の主面に向けて供給してもよく、基材の主面に対して斜め方向あるいは水平方向から基材に向けて供給してもよい。より効率的に、かつより均一に硫黄をドープするという観点からは、基材の主面の真上方向から基材の主面に向けて供給することが好ましい。また、さらに効率的に、かつさらに均一に硫黄をドープすべく、真空チャンバ内に、炭化水素ガスと、硫黄を含むガスとを基材の主面上に導く案内部材を設けてもよい。
また、本工程で準備される黒鉛に関し、その密度は、1.4g/cm3以上2.2g/cm3以下であることが好ましい。黒鉛の密度が1.4g/cm3以上の場合、後述する変換工程において、黒鉛が多結晶ダイヤモンドに直接変換されるときの体積の変化を十分に小さくすることができるため、製造される多結晶ダイヤモンドに割れが発生する確率を抑制することができ、また、装置内の環境の変化を抑制することができ、結果的に、製造歩留まりを向上させることができる。
黒鉛の密度は、たとえば、黒鉛を基材の主面上に成長させる際の温度(℃)、各ガスの導入速度(ml/min)によって調整することができる。具体的には、温度を高くすることにより、また、各ガスの導入速度を速めることにより、黒鉛の密度を大きくすることができる。
また、本工程で準備される黒鉛に関し、不可避不純物の含有率が低いことが好ましく、具体的には、不可避不純物である各元素の各々の含有率が1×10質量ppm以下であることが好ましい。これは、黒鉛における不可避不純物の含有率が、製造される多結晶ダイヤモンドに引き継がれるためである。また、不可避不純物の含有率を低く抑えることにより、不可避不純物の存在に起因する粒成長を抑制することができるため、黒鉛中により均一な大きさの単結晶を含有させることができる。なお、ICP分析、SIMS分析など、黒鉛中の不可避不純物の含有率を測定可能な分析に用いられる分析装置は、一般的に、検出限界が1×10質量ppm以下であるため、含有率が1×10質量ppm以下の元素は、上記分析装置において検出されないことになる。
黒鉛への不可避不純物の混入は、ガスを熱分解する際の真空チャンバ内の真空度を比較的高く設定することによって抑制することができる。
なお、上記CVD法では、基材を加熱した後に、真空チャンバ内に混合ガスを導入する方法について説明したが、混合ガスを導入した後に、基材を加熱する方法を用いてもよく、同時に行ってもよい。
(変換工程)
本工程は、黒鉛を焼結させて多結晶ダイヤモンドに直接変換させる工程であり、これにより、図3に示すように、多結晶ダイヤモンド3を、基材2上に作製する。
具体的には、まず、図2に示す基材2上の黒鉛1を、高温高圧装置に配置する。高温高圧装置とは、装置内部に黒鉛を配置することができ、かつ、該内部を上記のような条件下に制御可能な装置であればよく、たとえば、CVD法に用いる真空チャンバを用いることができる。
そして、この黒鉛1を、1500℃〜2500℃、および8GPa〜20GPaという高温高圧条件下に曝す。これにより、黒鉛1は瞬間的に焼結され、図3に示すように、多結晶ダイヤモンド3へと変換される。この場合、多結晶ダイヤモンド3の形状は、わずかな体積変化を除き、黒鉛1の形状を引き継ぐことになる。なお、黒鉛1から基材2を取り除いた後に、黒鉛1のみを高温高圧条件下に曝してもよく、この場合にも、製造される多結晶ダイヤモンドは、基本的に黒鉛1の形状を引き継ぐことになる。
本工程において、焼結助剤、触媒、結合剤などの添加剤を用いないことが好ましい。本工程によれば、添加剤を用いなくても、単結晶が強固に結合した多結晶ダイヤモンドを製造することができ、添加剤を用いないことにより、添加剤を用いた場合と比してより高い硬度の多結晶ダイヤモンドを製造することができる。
(粉砕工程)
本工程は、多結晶ダイヤモンドを粉砕して、砥粒を得る工程である。粉砕方法は限定されないが、変換工程で得られた多結晶ダイヤモンドを公知の方法で粗粉砕し、その後、振動ミルまたは回転ミルで粉砕媒体を衝突させてさらに粉砕する方法を採用することができる。
振動ミルによる粉砕とは、水平に置かれた中空円筒容器の中に原料と粉砕媒体となるボールを充填し、当該容器の中心部で軸受けを介して容器と結合されたアンバランスウエートを有するシャフトを外部動力により高速で回転させ、その振動によってボールに振動と攪拌運動を生じさせることにより、原料の粒子に衝撃力と摩擦力を与えて粉砕する方法である。回転ミルによる粉砕とは、水平に置かれた円筒形の粉砕室に、原料と粉砕媒体となるボールを入れ、これら原料とボールとを容器の中心軸の周りに回転させ、ボールの運動による衝撃と摩擦力で原料を粉砕する方法である。
本実施形態においては、粉砕媒体として、ステンレス鋼等の金属、セラミックまたはそれらの複合媒体からなるボールを用いることが好ましい。また、粉砕媒体は球状のボールに限定されることはなく、任意の形状を採用することができる。振動ミルまたは回転ミルで粉砕する際には、衝突の条件を調整して、得られる砥粒の平均二次粒子径の大きさを調整することができる。衝突の回数を少なくとすると、得られる砥粒の平均二次粒子径が大きくなる。
以上詳述した本実施形態の砥粒の製造方法によれば、上述の特徴を有する砥粒、すなわち黒鉛を直接変換して得られる多結晶ダイヤモンドからなり、平均二次粒子径が1μm以上100μm以下であり、多結晶ダイヤモンドは、炭素と、炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄とを含み、硫黄の含有率が10質量ppm以上3×10質量ppm以下である砥粒を製造することができる。
また、本実施形態の製造方法によれば、硫黄は黒鉛中に均一に分散するため、黒鉛から多結晶ダイヤモンドに直接変換する際に、多結晶ダイヤモンドの結晶粒が局所的に異常成長するのを効果的に抑制することができる。これにより、多結晶ダイヤモンドを構成する単結晶の粒径をより均一にすることができ、結果的に、上記特徴を均一に有する、均質な多結晶ダイヤモンドからなる砥粒を製造することができる。
実施例1,2、比較例1の砥粒の製造において、以下に詳述するように、まずCVD法で黒鉛を作製し、得られた黒鉛に関して以下の方法により硫黄および不可避不純物の含有率を測定した。そして、当該黒鉛を直接変換して多結晶ダイヤモンドを作製し、得られた多結晶ダイヤモンドに関して、以下の方法により単結晶の粒径の測定、硫黄および不可避不純物の含有率の測定、ヌープ硬度の測定、体積抵抗率の測定を行なった。その後、当該多結晶ダイヤモンドを粉砕して砥粒を作製し、得られた砥粒に関して平均二次粒子径を測定した。
<単結晶の粒径の測定>
電子顕微鏡を用いて得たSEM(Scanning Electron Microscopy)像を用いて各単結晶の粒径を実測した。
<硫黄の含有率の測定>
ICP−質量分析装置(を用いて、硫黄および不可避不純物の含有率を測定した。
<ヌープ硬度の測定>
マイクロヌープ硬度計により、測定荷重を4.9Nとしてヌープ硬度を測定した。
<体積抵抗率の測定>
抵抗率測定器により、温度25℃での体積抵抗率を測定した。
<平均二次粒子径の測定>
TEMを用いて倍率10万倍〜50万倍で観察した電子顕微鏡像から、画像解析プログラムを用いて個々の粒子を抽出し、抽出した粒子を2値化処理して個々の粒子の面積(A)を算出した。個々の粒子の面積(A)と同じ面積を有する円の直径(2√(A/π))として個々の粒子の粒径(D)を算出し、粒子径の頻度分布を得た。そして、粒子径の頻度分布を、データ解析プログラムによって処理し、累積50%での二次粒子径(D50粒子径)を算出し、これを平均二次粒子径とした。
[砥粒]
<実施例1>
(準備工程)
まず、真空チャンバ内に、単結晶のダイヤモンドからなる基材を配置した。次に、真空チャンバ内の基材を1900℃で加熱し、そして、真空チャンバ内の真空度を20〜30Torrとして、真空チャンバ内にメタンと硫化水素とを導入して、基材の主面上に、約100μmの厚さの、硫黄がドープされた黒鉛が形成された。形成された黒鉛は、硫黄の含有率が3×10質量ppm、不可避不純物の含有率が1×10質量ppm以下であった。
(変換工程)
次に、形成された基材上の黒鉛を、2200℃、16GPaの高温高圧環境下に曝すことにより、黒鉛を多結晶ダイヤモンドに直接変換し、硫黄がドープされた多結晶ダイヤモンドが形成された。
形成された多結晶ダイヤモンドは、単結晶の粒径が各々10〜100nm、硫黄の含有率が3×10質量ppm、不可避不純物の含有率が1×10質量ppm以下、ヌープ硬度が120GPa、20℃での体積抵抗率が6mΩcmであった。なお、当該多結晶ダイヤモンドについて、単結晶の粒子同士が直接結合していることを走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により確認した。
(粉砕工程)
上記で得られた多結晶ダイヤモンドをSUS製ハンマーにより粗粉砕し、その後、粉砕機で粉砕媒体としてステンレス鋼からなる球を用いて、1秒間に20回、合計18000回衝突させて取り出し、平均二次粒子径が1〜100μmの多結晶ダイヤモンドの粒子を得た。該粒子を、目開き10μmのふるいにかけて選別し、平均二次粒子径が10μmの砥粒を作製した。
<実施例2>
(準備工程)
実施例1と同様にして準備工程を行ない、硫黄がドープされた黒鉛が形成された。形成された黒鉛は、硫黄の含有率が10質量ppm、不可避不純物の含有率が1×10質量ppm以下であった。
(変換工程)
上記で得られた黒鉛を、2200℃、16GPaの高温高圧環境下に曝すことにより、黒鉛を多結晶ダイヤモンドに直接変換し、硫黄がドープされた多結晶ダイヤモンドが形成された。
形成された多結晶ダイヤモンドは、単結晶の粒径が各々10〜100nm、硫黄の含有率が10質量ppm、不可避不純物の含有率が1×10質量ppm以下、ヌープ硬度が100GPa、20℃での体積抵抗率が10mΩcmであった。なお、当該多結晶ダイヤモンドについて、単結晶の粒子同士が直接結合していることをSEMにより確認した。
(粉砕工程)
上記で得られた多結晶ダイヤモンドを、実施例1と同様の方法で粉砕し平均二次粒子径が1〜100μmの多結晶ダイヤモンドの粒子を得た。その後、目開き10μmのふるいを用いて選別し、平均二次粒子径が10μmの砥粒を作製した。
<比較例1>
平均二次粒子径が10μmの単結晶ダイヤモンドからなる砥粒を比較例1の砥粒とした。
<評価>
実施例1,2、比較例1の砥粒をダイシングソーのブレードに用いたところ、実施例1,2の砥粒は、比較例1の砥粒より寿命が2倍以上であることが確認できた。
[研磨用スラリー]
<作製方法>
実施例1,2、比較例1の砥粒を水に分散させて、砥粒の濃度が1質量%の研磨用スラリーを作製した(以下、それぞれを、実施例1,2、比較例1の研磨用スラリーとする)。
<評価>
図1に示す装置において、実施例1,2、比較例1の研磨用スラリーを用いて、ステンレス鋼SUS304からなる基板をラッピングした。ラッピングの条件は、加重300g/cm、定盤の回転数60rpm、スラリー噴射時間10秒間、スラリー噴射間隔50秒とした。比較例1の研磨用スラリーを用いた場合のラッピングレートは100μm/hであり、実施例1,2の研磨用スラリーを用いた場合のラッピングレートは200μm/hであり、実施例1,2の研磨用スラリーのラッピングレートは比較例1の研磨用スラリーのラッピングレートの2倍であった。
[ワイヤーソー]
<作製方法>
実施例1,2、比較例1の砥粒を、被覆率が60%となるように固定してワイヤーソーを作製した(以下、それぞれを、実施例1,2、比較例1のワイヤーソーとする)。
<評価1>
実施例1,2、比較例1のワイヤーソーを用いて、ステンレス鋼SUS304からなる基板をカットした。比較例1のワイヤーソーを用いた場合の切削速度は1000μm/minであり、実施例1,2のワイヤーソーを用いた場合の切削速度は2000μm/minであり、実施例1,2のワイヤーソーの切削速度は比較例1のワイヤーソーの切削速度の2倍であった。
<評価2>
実施例1、比較例1のワイヤーソーを用いて、立方晶窒化ホウ素をカットした。比較例1のワイヤーソーを用いた場合の切削速度は100μm/minであり、実施例1のワイヤーソーを用いた場合の切削速度は200μm/minであり、実施例1のワイヤーソーの切削速度は比較例1のワイヤーソーの切削速度の2倍であった。
以上の結果から、実施例1,2の砥粒は寿命が長く、実施例1,2の研磨用スラリーを用いたラッピングはラッピングレートが大きく、実施例1,2のワイヤーソーを用いた切削は切削速度が大きいものであった。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 黒鉛、2 基材、3 多結晶ダイヤモンド、10 基板、11 ホルダ、14 重り、15 定盤、16 砥粒、17 研磨用スラリー。

Claims (10)

  1. 黒鉛を直接変換して得られる多結晶ダイヤモンドからなり、
    前記多結晶ダイヤモンドは、炭素と、前記炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄と、を含み、前記硫黄の含有率が10質量ppm以上3×10質量ppm以下である、砥粒。
  2. 前記多結晶ダイヤモンドを構成する単結晶の粒径が1μm未満である、請求項1に記載の砥粒。
  3. 平均二次粒子径が1μm以上100μm以下である、請求項1または請求項2に記載の砥粒。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の砥粒を含む研磨用スラリー。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の砥粒が金属芯線に保持されているワイヤーソー。
  6. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の砥粒と結合剤とを含む原料を焼結してなる結合体。
  7. 請求項6に記載の結合体を備える工具。
  8. 黒鉛を準備する準備工程と、
    前記黒鉛を焼結させて多結晶ダイヤモンドに直接変換させる変換工程と、
    前記多結晶ダイヤモンドを粉砕して砥粒を得る粉砕工程と、を備え、
    前記黒鉛は、炭素と、前記炭素により構成される結晶構造内にドープされた硫黄と、を含み、前記硫黄の含有率が10質量ppm以上3×10質量ppm以下である、砥粒の製造方法。
  9. 前記粉砕工程は、多結晶ダイヤモンドに粉砕媒体を衝突させて粉砕する工程を含み、
    前記粉砕媒体は、金属、セラミックまたはそれらの複合体からなる、請求項8に記載の砥粒の製造方法。
  10. 前記準備工程は、炭化水素ガスと、硫黄を含むガスとを用いた化学気相成長法により前記黒鉛を形成する工程を含む、請求項8または9に記載の砥粒の製造方法。
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