JP3452665B2 - ダイヤモンド単結晶の合成方法及び単結晶ダイヤモンド - Google Patents
ダイヤモンド単結晶の合成方法及び単結晶ダイヤモンドInfo
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Description
し、高温、高圧を使用する温度差法によりダイヤモンド
単結晶を合成する方法に関し、より具体的には特定の熱
分解炭素を炭素源原料とし、ダイヤモンド安定領域内の
高温高圧下、温度差法により種結晶上にダイヤモンドを
成長させるダイヤモンド単結晶の合成方法に関する。
ド型構造でいわゆるダイヤモンド光沢をもち、宝石とし
て重宝されているほか、硬度(モ−ス硬さ10で、既知
物質中最も硬い)、耐摩耗性がずば抜けて高いため、砥
石、研磨材、バイト、ダイス、ボ−リング用ビット、切
削工具用等の工具やコ−ティング工具として用いられ、
また高純度のものは熱伝導率が高いことからヒ−トシン
ク材として電子部品に組み込まれ、さらには高音発生用
スピ−カ−振動板等へも利用されている。
く、合成ダイヤモンドも製造され市販されている。この
合成ダイヤモンドの製造方法としては大きく分けて高圧
法と低圧法とがあるが、高圧法には衝撃高圧法(動的高
圧法:爆薬の爆発力等により発生する瞬時の高圧を利
用)や静的高圧法があり、さらにこの静的高圧法には直
接変換法や融剤法がある。このうち直接変換法は黒鉛単
体に高温高圧をかけて直接ダイヤモンドに変換させるも
のであるが、融剤法は、Fe、Co、Ni等の溶融金属
(含:合金)に炭素を溶解させたのち、ダイヤモンドを
析出させる方法であり、この融剤法には膜成長法と温度
差法がある。
ドが溶融金属への溶解度を異にすることを利用した方法
であり、高圧下で溶融金属と黒鉛を接触させておくと、
黒鉛が溶解、拡散してゆき、その直後に(溶融金属膜の
後ろに)ダイヤモンドを析出させる方法である。この膜
成長法では直径0.1〜1mm程度の結晶が約10分程
度で成長し、現在人工ダイヤモンドとして販売されてい
るものの大部分がこの方法によるものと云われる。
イヤモンドが溶融金属への溶解度を異にすることを利用
した方法であり(温度差:20〜50℃程度)、高圧下
で加熱された溶融金属相に対し、その一方を高温に保持
して原料の炭素を溶解させ、他方をより低温としてダイ
ヤモンドを析出させる方法である。この温度差法は大粒
のダイヤモンド単結晶を育成するのに適した方法であ
り、この方法による大型の単結晶が実用化されている。
号公報に記載のとおり、炭素状態図のダイヤモンド安定
領域内の高温高圧下(ここでの好適な圧力及び温度範囲
は、それぞれ55〜57kb及び1330〜1430℃
とされている)、金属溶媒の中に温度勾配つけ、その高
温域で炭素源を溶解させるとともに、低温域に置かれた
ダイヤモンド種結晶上に大粒のダイヤモンドを成長させ
るものであるが、この技術においては種結晶の上部に核
形成抑制用遮断層及び隔離用遮断層を配置することによ
り、そこで発生する自発的核の生成を抑制し、また種結
晶の溶解をダイヤモンド成長が発現するまで抑制するよ
うにされている。
比較的大粒のダイヤモンド単結晶を得ることができ、特
に上記特公昭59−6808号公報では宝石級のダイヤ
モンド製品を製造する方法及び装置に係るものとして説
明されているが、この技術における炭素源としては黒
鉛、ダイヤモンド又はその混合物が使用される。また特
開平4−108532号公報には、特定の炭素源を使用
することにより、同じく温度差法によって高い同位体純
度を持った熱伝導率の高い単結晶ダイヤモンドを製造す
る技術が提案されているが、ここでのその炭素源として
は好ましくは薄膜法(CVD法)で得られたダイヤモン
ドを使用すると記載されている。
介された「試料構成」等の一例を示すものである〔「資
源処理技術」Vol.37,No.1(’90−春),
p.23〜28〕。図5中、1は炭素源、2は金属溶
媒、3は白金箔、4は、ダイヤモンド種結晶である。こ
の構成試料をNaCl成形体のカプセルに入れ、このカ
プセルが筒形のヒ−タ−の中に炭素源がヒ−タ−の中央
にくるように詰められるが、筒形のヒ−タ−では中央部
が高温で両端が低温となることから、この温度分布によ
り金属溶媒に温度差がつけられる。
気圧に加圧した後、約1400℃に加熱して15〜24
時間保持すると、図5中、符号5で示すような2〜3m
mの結晶が得られるが、この場合上記白金箔3は、結晶
育成開始時に種結晶が金属溶媒に溶解して消失しないよ
うに種結晶を保護するためのものと説明されている。な
お、上記文献によれば、この白金箔3(これは前述特公
昭59−6808号公報における隔離用遮断層に相当す
るものと解される)は、時間とともに次第に金属溶媒に
溶け込んでなくなるが、そのときには金属溶媒は炭素で
飽和されているため、ダイヤモンド種結晶4が溶解され
ることはない。
によって合成、製造する場合、その炭素源としてはダイ
ヤモンド、黒鉛又は熱分解炭素が使用される。しかし、
このうち特に熱分解炭素の場合には、特別な前処理が必
要不可欠であり、少なくとも温度差法においては、この
前処理を施したものでなければ、この熱分解炭素を炭素
源原料としてダイヤモンドを合成することはできない。
粉末を鋼製ダイを用いて圧搾し、グラファイトのカプセ
ル中に置き、誘導加熱炉を用いて真空中温度1800〜
2000℃に加熱してアニ−リングする〔J.Phy
s.C:Solid State Phys.21、
p.1363〜1376(1988)、Physica
lReview Letters Vol.65、N
o.7、p.891〜894(13 Aug.199
0)〕等の手法が採られるが、何れにせよ、そのような
前処理を経たものでなければ、熱分解炭素から直ちにダ
イヤモンド単結晶を生成させることは不可能であった。
て、高温高圧下、上述温度差法によりダイヤモンド単結
晶を製造する手法として、以上の諸事実をも前提に各種
方面から実験、研究を続けているうち、全く予想外に
も、その原料炭素源として、熱分解炭素のうちでも特定
の熱分解炭素を用いることにより、これが上記のような
前処理を必要とすることなく、ダイヤモンド単結晶を有
効に合成し得ることを見い出し、本発明に到達するに至
ったものである。
ダイヤモンド単結晶を温度差法により合成する方法にお
いて、その原料炭素源としてフレ−ク状熱分解炭素を使
用することにより、従来のように前処理を必要とするこ
となく、また前記のように薄膜法により予め製造するこ
とが必要なダイヤモンド微結晶を経ることなく、ダイヤ
モンドを有効に合成、製造し得るダイヤモンド単結晶の
合成方法を提供することを目的とする。
安定領域内の高温高圧の条件下、温度差法により炭素源
から種結晶上にダイヤモンドを成長させるダイヤモンド
単結晶の合成方法において、その炭素源としてフレ−ク
状の熱分解炭素を使用することを特徴とするダイヤモン
ド単結晶の合成方法を提供し、またこの合成方法で得ら
れた単結晶ダイヤモンドを提供するものである。
る上記フレ−ク状熱分解炭素は、高濃度のメタン、エタ
ン、プロパン、ベンゼン、アセチレンその他の炭化水素
ガス又は一酸化炭素(キヤリアガスを使用せず、濃度1
00%の炭化水素ガス又は一酸化炭素である場合を含
む)を、熱分解炉中で、例えばメタンの場合分解処理温
度1800〜2000℃、炉内圧力1〜5torrで熱
分解させて黒鉛シ−ト等の基材上に沈積させ、次いでそ
の基材から剥離することにより得られるもので、図1
(a)のとおりフレ−ク状をし、表1に示す特性を有す
るものである。なお表1には、比較のためス−ト状熱分
解炭素の特性についても記載している。
Columnar状(円柱状、光学顕微鏡による)構造
を有し、密度(かさ密度)1.10g/cm3 、BAF
値(Bacon Anisotropy Facto
r、結晶の異方性係数)3〜20、格子定数6.8〜
7.0A(オングストロ−ム)を有するものであり、本
明細書中フレ−ク状熱分解炭素とは、フレ−ク状でこれ
らの特性を備える熱分解炭素を意味している。
を使用して求められ、例えば(002)回折の強度
(I)と試料のC軸方向が沈積面に垂直な方法からずれ
る角度(φ)との関係である配向関数「I(φ)」を求
め、下記式により算出される値である。このBAF値
は、熱分解炭素等の選択配向性の強い材料の結晶異方性
を定量的に表わすのに有効な手段であり、この数値が大
きいほど異方性が大きいことを表わし、通常の黒鉛のB
AF値は2以下である。
0torrとし、前記と同じく原料ガスとしてメタンガ
ス等の炭化水素ガスを使用し、その他の条件を同様にし
ても同じく熱分解炭素は得られるが、これは図1(b)
のとおり同じ基材から剥離してもス−ト状で、Colu
mnar構造を持たず、かさ密度=0.87g/cm
3 、BAF≒1、格子定数6.8〜7.0A(オングス
トロ−ム)を有するものであり、その理由は不明である
が、後述《比較例》のとおり、このス−ト状熱分解炭素
を用いて温度差法を適用してもダイヤモンド単結晶は全
く生成することはできない。
uKα線によりX線回折を行った結果を示すものである
〔図中、横軸はX線が回折する角度である2θ(=de
gree)を、縦軸は、X線回折ピ−クの強度をcou
nt数単位で示し、相対的な値である〕。このうち図2
(a)はフレ−ク状熱分解炭素のX線回折図、図2
(b)はス−ト状熱分解炭素のX線回折図であり、比較
対比のため、図2(a)及び(b)中の下部にJCPD
Sカ−ド(米国、1985)による黒鉛相のX線回折デ
−タを掲記している。図2(a)〜(b)から明らかな
とおり、両者は結晶構造上はほぼ同じであるが、双方と
も黒鉛相ではなく(すなわちJCPDSによる黒鉛相デ
−タと比べると、26度付近のメインピ−クの2θの位
置がずれており、その他のピ−クの位置も異なってい
る)、またその結晶性はス−ト状熱分解炭素に比べてフ
レ−ク状熱分解炭素の方が比較的高い。
中には、12Cのほか、13Cが1.1%含まれており、こ
の点天然のダイヤモンドについても同じであるが、例え
ば「Physical Review B」Vol.4
2,No.2,p.1104〜1111(15,Jul
y 1990)によれば、その原料として99.9%12
CH4 を用いて得られた12Cダイヤモンドは、天然の同
位体組成のダイヤモンドの約1.5倍にも及ぶ高い熱伝
導率(thermal conductivity、銅
の約8倍)を有することが報告されている。
12Cダイヤモンド単結晶を、まずCVD法により、9
9.9%に富化された12CH4 を使用してダイヤモンド
シ−トを作り、これを粉砕して粉末とし、次いでこの粉
末を圧力52000atm、温度1200℃で、溶融遷
移金属から小さいダイヤモンド種結晶上に成長させるこ
とにより合成している。この合成法によれば、そのよう
に、まずCVD法により炭素源としてのダイヤモンド粉
末を作る必要があるが、このCVD法による収率は通常
1%以下でしか得られず、このためこれを原料とするに
しても、最終的にダイヤモンド単結晶を合成するには、
別途その粉末を得る工程を必要とするのに加え、その収
率上も大きな問題がある。
ば、12Cと13Cを通常の比率で含む(すなわち天然ダイ
ヤモンドのように13Cを1.1%含む)ダイヤモンド単
結晶のほか、炭素源としてのフレ−ク状熱分解炭素を製
造するその時点において、原料炭化水素ガス中又は原料
一酸化炭素中のその比率、例えばメタン中のその比率を
選ぶことで、すなわち同位体組成を変化させたメタンを
使用することにより、12Cと13Cとを任意の比率で含む
ダイヤモンド単結晶を合成することができる。
12CH4 を原料として得られたフレ−ク状熱分解炭素を
炭素源とすることにより、前述のような熱伝導率の高い
12Cダイヤモンド単結晶を合成することができ、またフ
レ−ク状熱分解炭素は収率約40%以上で得られるが、
これをそのまま炭素源とすることができるため、その収
率上も格段に向上させることができるものである。
び温度としては、ダイヤモンド安定領域内の条件であれ
ば特に限定はないが、好ましくは圧力約5〜6.5GP
a、温度約1300〜1500℃で実施することができ
る。また融剤としては、融剤法用として知られている金
属又は合金(含、混合物)であれば何れも使用できる
が、好ましくはFe、Co、Ni、これら金属相互の合
金又はこれら鉄族金属と他の金属(Al等)との合金を
用いることができる。
施例に限定されないことは勿論である。図3及び図4
は、それぞれ、本実施例で使用した試料構成及び超高圧
装置を示すものである。
は図5に示す試料構成とほぼ同様であり、共通する部分
については同一の符号を用いている。1は炭素源、2は
金属溶媒(=融剤)、3は白金箔、4はダイヤモンド種
結晶であり、図示のとおり白金箔3はダイヤモンド種結
晶4と融剤2との間に配置するが、これは合成操作の初
期段階でその種結晶4が溶解してしまうことを防ぐため
である。また、6は黒鉛製のヒ−タ−、7は圧力媒体、
8は、圧力媒体7を封止するためその周辺に設けた鉄製
の封止リングである。本実施例では、融剤2としてコバ
ルトを、また圧力を均一に伝えるための圧力媒体7とし
ては「NaCl+10wt%ZrO2 」を使用した。
かつ融剤が溶解する高温高圧下の条件に保持すると、種
結晶上にダイヤモンド単結晶が成長するが、円筒形のヒ
−タ−を用いる場合、その中央部が比較的高温になり、
その上下周辺部の温度は低くなるので、この性質を利用
して融剤の中央側(高温)と下側(低温)に温度差をつ
くりだすことができる。このため炭素源が中央部すなわ
ち高温部に位置するように配置するが、これにより高温
である上側の原料炭素を融剤に溶解させ、低温である下
側の種結晶上にダイヤモンド単結晶として析出させるも
のである。
ラットベルト型の超高圧装置の断面図を示すものであ
る。図示のとおり、この装置は基本的に超硬合金を用い
たシリンダ−(円筒状)及びアンビル(anvil)か
らなり、図4中、9はガスケットである。このガスケッ
ト9はアンビルとシリンダ−の間で圧力を封止するため
のもので、本実施例ではその材質としてパイロフェライ
トを用いている。このシリンダ−及びアンビルで形成さ
れる空間中に図3のとおりの構成試料を配置するが、加
熱は、アンビルからモリブデン製電極10、ステンレス
製の電極11及び上下一対の通電リング(鉄製)12を
通して黒鉛ヒ−タ−6に電流を流すことにより行われ
る。また黒鉛ヒ−タ−6の上下には、断熱のためにジル
コニア板13を使用している。
の超高圧装置を使用して、本発明によるダイヤモンド単
結晶の合成実験を実施した。炭素源としては、キヤリア
ガスを使用することなく(すなわち100%メタン)、
LNGから精留して得られた12Cメタンガス(12CH4
純度:99.9%)を分解処理温度1900℃、炉内圧
力2torrで熱分解させて黒鉛シ−ト基材に沈積さ
せ、剥離することにより得られたものであり、これは光
学顕微鏡によるとColumnar状の構造をしてお
り、かさ密度1.10g/cm3、BAF値=5、BE
T表面積3.1m2/gを有するものである。
素源1として使用し、コバルト金属溶媒(融剤)2上に
配置して図3のとおりの試料構成とし、この構成試料を
図4におけるシリンダ−中に配置した後、上下のアンビ
ルにより加圧をして圧力媒体7を6.1GPaに加圧し
た。この加圧後、モリブデン製電極10、ステンレス製
電極11から通電リング12を通して黒鉛ヒ−タ−6に
電流〔AC、2.71V、637A(アンペア)〕を流
して温度1430℃に加熱した。この場合、その操作温
度はPt/Pt13%Rh熱電対により較正した。
た後、電流を切り、その後加圧状態を解除したところ、
一個の黄色いダイヤモンド単結晶が生成していた。この
生成ダイヤモンドの重量は7.9mgであり、この結晶
の表面のファセットは主に{111}であり、その他
{100}及び{113}が現れた。
超高圧装置を使用し、炭素源1としてス−ト状熱分解炭
素163mgを使用した以外は、《実施例》の場合と同
じ圧力6.1GPa及び温度1430℃(AC、2.7
2V、635A)で操作した。このス−ト状熱分解炭素
としては、キヤリアガスを使用することなく(すなわち
100%メタン)、LNGを精留して得られた12Cメタ
ンガス(12CH4 純度:99.9%)を分解処理温度1
900℃、炉内圧力25torrで熱分解させて黒鉛シ
−ト基材上に沈積させ、その基材から剥離することによ
り得られたものであり、その特性としては、かさ密度
0.87g/cm3 、BAF値=1、BET表面積5
5.6m2/gを有するものである。
せた後、電流を切り、その後加圧状態を解除したが、ダ
イヤモンド単結晶は全く生成していなかった。また炭素
源1として上記と同じス−ト状熱分解炭素を186mg
を使用した以外は、上記の場合と同じ圧力6.1GPa
及び温度1430℃(AC、2.68V、639A)で
操作し、この操作状態を10時間18分継続させた後、
電流を切り、加圧状態を解除したが、この場合にもダイ
ヤモンド単結晶は全く生成していなかった。
り、ス−ト状熱分解炭素を炭素源としたのでは、ダイヤ
モンド安定領域内の高温高圧下、温度差法を適用しても
ダイヤモンド単結晶を合成することは不可能であるのに
対して、本発明によれば、その炭素源としてフレ−ク状
熱分解炭素を使用することにより、ダイヤモンド安定領
域内の高温高圧下、温度差法によりダイヤモンド単結晶
を有効に合成することができるものである。
−ト状熱分解炭素に対して熱処理(前処理)をし、これ
を使用してダイヤモンドの合成実験を行った。この熱処
理は、そのス−ト状熱分解炭素を真空中(約10-1P
a)、温度2000℃で8時間加熱処理をして得たもの
である。ここでも前述図3の構成試料及び図4の超高圧
装置を使用し、炭素源1として上記熱処理ス−ト状熱分
解炭素169mgを使用した以外は《実施例》及び《比
較例》の場合と同じ圧力6.1GPa及び温度1430
℃(AC、2.71V、638A)で操作した。
後、電流を切り、その後加圧状態を解除したところ、一
個の黄色いダイヤモンド単結晶が生成していた。この生
成ダイヤモンドの重量は2.7mgであり、この結晶表
面のファセットは{111}のみであった。このよう
に、ス−ト状熱分解炭素を炭素源としてダイヤモンド単
結晶を有効に合成し得るためには、ス−ト状熱分解炭素
に前処理(熱処理)を施すことが必要不可欠である。
モンド安定領域内の高温高圧下、温度差法により炭素源
原料からダイヤモンド単結晶を合成する方法において、
その炭素原料としてフレ−ク状の熱分解炭素を使用する
ことにより、従来必要不可欠であった前処理を必要とす
ることなく、また前述のように薄膜法等によるダイヤモ
ンド微結晶の作製を経ることなく、ダイヤモンド単結晶
を有効に合成することができる。
含むダイヤモンド単結晶のほか、炭素源としてのフレ−
ク状熱分解炭素を製造するその時点においてその比率を
選ぶことだけで、12Cと13Cとを任意の比率で含むダイ
ヤモンド単結晶を合成することができ、これにより例え
ば12Cリッチの熱伝導率の高いダイヤモンド単結晶をも
合成することができる。
一例を示す顕微鏡写真。
図。
Claims (5)
- 【請求項1】ダイヤモンド安定領域内の高温高圧の条件
下、温度差法により炭素源から種結晶上にダイヤモンド
を成長させるダイヤモンド単結晶の合成方法において、
その炭素源としてフレ−ク状の熱分解炭素を使用するこ
とを特徴とするダイヤモンド単結晶の合成方法。 - 【請求項2】上記フレ−ク状の熱分解炭素が炭化水素又
は一酸化炭素を熱分解して得られたフレ−ク状熱分解炭
素である請求項1記載のダイヤモンド単結晶の合成方
法。 - 【請求項3】上記炭化水素又は一酸化炭素が、同位体組
成を変化させた炭化水素又は一酸化炭素である請求項2
記載のダイヤモンド単結晶の合成方法。 - 【請求項4】上記炭化水素がメタンである請求項2又は
3記載のダイヤモンド単結晶の合成方法。 - 【請求項5】ダイヤモンド安定領域内の高温高圧の条件
下、温度差法によりフレ−ク状の熱分解炭素からなる炭
素源から種結晶上に成長させることにより合成された単
結晶ダイヤモンド。
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