JP6007732B2 - ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6007732B2
JP6007732B2 JP2012244512A JP2012244512A JP6007732B2 JP 6007732 B2 JP6007732 B2 JP 6007732B2 JP 2012244512 A JP2012244512 A JP 2012244512A JP 2012244512 A JP2012244512 A JP 2012244512A JP 6007732 B2 JP6007732 B2 JP 6007732B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diamond
polycrystalline
hexagonal
cubic
ray diffraction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012244512A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014091661A (ja
Inventor
桂子 有元
桂子 有元
佐藤 武
武 佐藤
角谷 均
均 角谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2012244512A priority Critical patent/JP6007732B2/ja
Publication of JP2014091661A publication Critical patent/JP2014091661A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6007732B2 publication Critical patent/JP6007732B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

本発明は、ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法に関し、特に、高硬度かつ高強度を有するダイヤモンド多結晶体およびその製造方法に関する。
従来の切削バイトや、ドレッサー、ダイスなどの工具や、掘削ビットなどに用いられるダイヤモンド多結晶体には、原料の焼結を促進する焼結助剤としてFe、Co、Niなどの鉄族元素金属、CaC 3などの炭酸塩などが用いられ、原料を結合させる結合材としてSiCなどのセラミックスなどが用いられる。
上記のダイヤモンド多結晶体は、原料であるダイヤモンドの粉末を、焼結助剤や結合剤とともに一般的に5〜8GPa程の圧力下で焼結することで得られる。
こうして得られるダイヤモンド多結晶体には、用いられた焼結助剤がダイヤモンド多結晶中に含まれる。かかる焼結助剤はダイヤモンド多結晶体の硬度や強度などの機械的特性や耐熱性に少なからず影響を与える。
また、上記の焼結助剤を酸処理により除去したものや、結合剤として耐熱性のSiCを用いた耐熱性に優れたダイヤモンド焼結体も知られているが、硬度や強度が低く、工具材料としては機械的特性が不十分である。
一方、グラファイトやグラッシーカーボン、アモルファスカーボンなどの非ダイヤモンド炭素材料を超高圧高温化で、焼結助剤を用いることなく、直接的にダイヤモンドに変換させることが可能である。非ダイヤモンド相からダイヤモンド相へ直接変換すると同時に焼結させることで、ダイヤモンド単相の多結晶体が得られる。
また、F.P.Bundy,J.Chem.Phys.,38,(1963),pp631-643(非特許文献1)、M.Wakatsuki,K.Ichinose,T.Aoki,Japan.J.Appl.Phys.,11,(1972),pp578-590(非特許文献2)、S.Naka,K.Horii,Y.Takeda,T.Hanawa,Nature,259,(1976),p38(非特許文献3)には、グラファイトを原料として14GPa〜18GPa、3000K以上の超高圧高温下の直接変換によりダイヤモンド多結晶体が得られることが開示されている。
しかし、上記のダイヤモンド多結晶体は、いずれもグラファイトなどの導電性のある非ダイヤモンド炭素材料に直接電流を流すことで加熱する直接通電加熱法によっているため、未変換グラファイトが残留することは避けられない。また、ダイヤモンドの粒子径が不均一であり、また、部分的に焼結が不十分となりやすい。このため、硬度や強度などの機械的特性が十分に高くはなくしかも欠片状の多結晶体しか得られないことから、実用化にはいたっていない。
また、T.Irifune,H.Sumiya,“New Diamond and Frontier Carbon Technology”,14,(2004),p313(非特許文献4)および角谷,入舩,SEIテクニカルレビュー,165,(2004),p68(非特許文献5)には、高純度高結晶性グラファイトを出発物質として、12GPa以上、2200℃以上の超高圧高温下で間接加熱による直接変換焼結により緻密で高純度なダイヤモンド多結晶体を得る方法が開示されている。この方法で得られるダイヤモンドは非常に高い硬度を有するが、耐摩耗性や耐欠損性、耐亀裂伝搬性など実用特性が不十分で安定しないという問題があった。
上記の問題を解決するために、低結晶性の六方晶窒化ホウ素を原料とし、6〜7GPa、1550〜2100℃の条件で合成する方法が特開平11−246271号公報(特許文献1)に記載されている。
また、天然に産出するダイヤモンド多結晶体(カーボナード、バラスなど)も知られ、一部掘削ビットとして使用されているが、材質のバラツキが大きく、また産出量も少ないため、工業的にはあまり使用されていない。
また、一部の用途によっては単結晶のダイヤモンドが用いられる。しかし、寸法的、価格的制約から、超精密工具や精密耐摩工具に限られており、単結晶ダイヤモンドの劈開性や機械特性の異方性により、用途や使用条件に制限があった。
上記の問題を解決するために、グラファイト状炭素の黒鉛化度が0.58以下の微粒原料を用いて、立方晶ダイヤモンドの(111)面に関するX線回折ピーク強度に対する六方晶ダイヤモンドの(100)面のX線回折ピーク強度の比率(以下、h/c比率という)が0.01%以上0.5%以下であるダイヤモンド多結晶体を製造する方法が、国際公開第2012/023473号(特許文献2)に記載されている。
特開平11−246271号公報 国際公開第2012/023473号
F.P.Bundy,J.Chem.Phys.,38,(1963),pp631-643 M.Wakatsuki,K.Ichinose,T.Aoki,Japan.J.Appl.Phys.,11,(1972),pp578-590 S.Naka,K.Horii,Y.Takeda,T.Hanawa,Nature,259,(1976),p38 T.Irifune,H.Sumiya,"New Diamond and Frontier Carbon Technology",14,(2004),p313 角谷,入舩,SEIテクニカルレビュー,165,(2004),p68
しかしながら、上記方法で合成された多結晶ダイヤモンド体における立方晶ダイヤモンドに対する六方晶ダイヤモンドの比率は0.5%以下であった。また上記多結晶ダイヤモンド体は耐摩耗性に優れるものの、さらなる耐摩耗性の向上が望まれていた。
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、耐摩耗性に優れたダイヤモンド多結晶体およびその製造方法ならびに該多結晶体を備えた切削工具および耐摩工具を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、非常に結晶性の高いグラファイト状炭素材料を出発原料とし、常温程度の低い温度において当該グラファイト状炭素材料に超高圧処理を施して中間材料を生成した後、超高圧高温下で当該中間材料を六方晶ダイヤモンドおよび立方晶ダイヤモンドに直接変換させることにより、非常に優れた耐摩耗性を有するダイヤモンド多結晶体が得られることを見出した。
また上記方法で合成したダイヤモンド多結晶体をX線回折法により分析すると、当該多結晶ダイヤモンドにおける立方晶ダイヤモンドに対する六方晶ダイヤモンドの比率が0.5%よりも大きいことが確認された。
本発明に係るダイヤモンド多結晶体は、立方晶ダイヤモンドと、六方晶ダイヤモンドとを有している。立方晶ダイヤモンドの(111)に関するX線回折ピーク強度に対する六方晶ダイヤモンドの(100)面に関するX線回折ピーク強度の比率は0.5%より大きい。これにより、耐摩耗性に優れたダイヤモンド多結晶体を得ることができる。
上記に係るダイヤモンド多結晶体において好ましくは、比率は2000%以上である。これにより、さらに耐摩耗性に優れたダイヤモンド多結晶体を得ることができる。
上記に係るダイヤモンド多結晶体において好ましくは、ダイヤモンド多結晶体は等方的である。
本発明に係る切削工具は上記ダイヤモンド多結晶体を有する。これにより、耐摩耗性および耐欠損性に優れた切削工具を得ることができる。
本発明に係る耐摩工具は上記ダイヤモンド多結晶体を有する。これにより、耐摩耗性および耐欠損性に優れた耐摩工具を得ることができる。
本発明に係るダイヤモンド多結晶体の製造方法は以下の工程を有している。出発物質としてグラファイト状炭素材料が準備される。温度300℃以下の条件下において、グラファイト状炭素材料に18GPa以上の圧力をかけることにより中間材料が生成される。圧力8GPa以上、かつ、温度1500℃以上の条件下において中間材料が立方晶ダイヤモンドおよび六方晶ダイヤモンドに直接変換されると同時に焼結される。これにより、耐摩耗性に優れたダイヤモンド多結晶体を得ることができる。
上記に係るダイヤモンド多結晶体の製造方法において好ましくは、出発物質としてのグラファイト状炭素材料の黒鉛化度が0.8以上である。これにより、効率的に耐摩耗性に優れたダイヤモンド多結晶体を得ることができる。
上記に係るダイヤモンド多結晶体の製造方法において好ましくは、出発物質としてのグラファイト状炭素材料が等方的である。
本発明によれば、耐摩耗性に優れたダイヤモンド多結晶体およびその製造方法ならびに該多結晶体を備えた切削工具および耐摩工具を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態のダイヤモンド多結晶体の構成について説明する。
本発明の一実施の形態に係るダイヤモンド多結晶体は、立方晶ダイヤモンドと六方晶ダイヤモンドとの複合組織でなる。当該ダイヤモンド多結晶体は、水素や酸素などの不純物を含んでいても構わない。つまり、当該ダイヤモンド多結晶体は、立方晶ダイヤモンドと、六方晶ダイヤモンドと、上記不純物とから構成されていても構わない。
本実施の形態のダイヤモンド多結晶体において、立方晶ダイヤモンドの(111)に関するX線回折ピーク強度に対する六方晶ダイヤモンドの(100)面に関するX線回折ピーク強度の比率(以下、h/c比率という)は0.5%より大きい。好ましくは、h/c比率は20%以上であり、より好ましくは100%以上であり、さらに好ましくは2000%以上である。たとえばh/c比率が2000%であるとは、六方晶ダイヤモンドの(100)面に関するX線回折ピーク強度は、立方晶ダイヤモンドの(111)に関するX線回折ピーク強度の20倍という意味である。本実施の形態のダイヤモンド多結晶体において好ましくは、六方晶ダイヤモンドが主体のダイヤモンド多結晶体である。
ここで、立方晶ダイヤモンドとは結晶構造が立方晶であるダイヤモンドをいい、六方晶ダイヤモンドとは結晶構造が六方晶であるダイヤモンドをいう。立方晶ダイヤモンドと六方晶ダイヤモンドは、X線回折により得られる回折ピークにより識別可能である。
当該ダイヤモンド多結晶体は切削工具や線引ダイス等の耐摩工具に使用可能である。当該ダイヤモンド多結晶体を有する切削工具および耐摩工具は、耐摩耗性、および耐欠損性に優れている。また、当該ダイヤモンド多結晶体は、切削バイト、ドレッサー、ダイスなどの工具や掘削ビットなどに好適に用いられる。
次に、本実施の形態に係るダイヤモンド多結晶体の製造方法について説明する。
(出発物質としてグラファイト状炭素材料を準備する工程)
まず、出発物質としてグラファイト状炭素が準備される。当該出発物質としてのグラファイト状炭素は、X線回折法における黒鉛化度(以下、グラファイト化度という)が0.8以上の、等方的に配向した非ダイヤモンド状炭素材料であることが好ましい。
グラファイト化度0.8以上の高結晶化グラファイトを得るには、アモルファス状黒鉛をできるだけ除いたものが好ましい。また、グラファイト化度0.8未満のグラファイト状炭素材料であっても、2500℃以上でメタンガス中でアニールすることによってもグラファイト化度を0.8以上に上げることが可能なものもある。
ここで、非ダイヤモンド状炭素材料のグラファイト状炭素のグラファイト化度Pは、以下のようにして求められる。非ダイヤモンド状炭素材料のX線回折により、非ダイヤモンド状炭素材料のグラファイトの(002)面の面間隔d002を測定して、以下の数式(1)により、非ダイヤモンド状炭素材料の乱層構造部の比率pが算出される。こうして得られた乱層構造部の比率pから、以下の数式(2)により、グラファイト化度Pが算出される。
Figure 0006007732
Figure 0006007732
また、非ダイヤモンド状炭素材料は、結晶粒の成長を抑制する観点から、不純物である鉄族元素金属を含まないものが好ましい。また、結晶粒の成長を抑制しまたダイヤモンドへの変換を促進する観点から、不純物である水素(H)、酸素(O)などの含有量が低いものが好ましい。
(非ダイヤモンド状炭素原料に常温程度の低い温度条件下において圧力をかけて中間原料を生成する工程)
次に、上記の非ダイヤモンド状炭素材料であるグラファイト状炭素材料を、超高圧発生部材に対して劣化を誘発しない温度にて、超々高圧処理を施す工程を有する。上記超高圧発生部材に対して劣化を誘発しない温度にするのは、生産性を確保するためである。
具体的には、温度300℃以下の条件下において、グラファイト状炭素材料に18GPa以上の圧力をかけることにより中間材料が生成される。当該中間材料はグラファイト状でなくても構わない。また中間材料は非ダイヤモンド状炭素材料であっても構わない。上記温度は40℃以下の室温(常温)が好ましい。
(中間原料から、立方晶ダイヤモンドおよび六方晶ダイヤモンドへの変換すると同時に焼結する工程)
次に、上記の中間材料を、ダイヤモンドが熱力学的に安定な圧力および温度の条件下で、焼結助剤および結合剤のいずれも添加することなく、直接的に立方晶ダイヤモンドおよび六方晶ダイヤモンドに変換させるとともに焼結させる工程を有している。
温度300℃以下の条件下において、グラファイト状炭素材料に対して18GPa以上の圧力をかけることにより中間材料を生成した後、焼結助剤および結合剤のいずれも添加することなく、ダイヤモンドが熱力学的に安定な圧力および温度の条件下に置くことにより、中間材料が直接的に立方晶ダイヤモンドおよび六方晶ダイヤモンドに変換されるとともに焼結される。
具体的には、圧力8GPa以上、かつ、温度1500℃以上の条件下において中間材料を立方晶ダイヤモンドおよび六方晶ダイヤモンドに直接変換させると同時に焼結させる。
これにより、立方晶ダイヤモンドと六方晶ダイヤモンドとを有し、h/c比率が0.5%より大きいダイヤモンド多結晶体が得られる。当該ダイヤモンド多結晶体は、高硬度かつ高強度を有する。
ここで、焼結助剤とは、原料となる材料の焼結を促進する触媒をいい、たとえば、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)などの鉄族元素金属、CaCO3(炭酸カルシウム)などの炭酸塩などが挙げられる。また、結合剤とは、原料となる材料を結合させる材料をいい、たとえばSiC(炭化珪素)などのセラミックスなどが挙げられる。
ダイヤモンドが熱力学的に安定な圧力および温度の条件とは、カーボン系材料において、ダイヤモンド相が熱力学的に安定な相である圧力および温度の条件をいう。焼結助剤および結合剤のいずれも添加せずに焼結可能な条件としては、具体的には、圧力が12GPa以上、温度が1500℃以上の条件であり、好ましくは、圧力が16GPa以上、温度が1500℃以上2400℃以下の条件である。
また、本実施形態のダイヤモンド多結晶体の製造方法で、高圧処理工程およびダイヤモンドへの変換焼結工程において用いられる高圧高温発生装置は、ダイヤモンド相が熱力学的に安定な相である圧力および温度の条件が得られる装置であれば特に制限はない。また、原料である中間材料を収納する容器は、耐高圧高温性の材料であれば特に制限はない。
参考例1〜4、実施例および比較例1〜4に係るダイヤモンド多結晶を以下の方法により製造した。まず、非ダイヤモンド状炭素材料のグラファイト状炭素材料として、表1に示すグラファイト化度および粒径を有するランダムな方向を配したグラファイト粉末成形体を準備した。参考例1〜4および実施例におけるグラファイト粉末のグラファイト化度を0.82以上0.99以下とし、グラファイト粉末の粒径を890nm以上1250nm以下とした。比較例1〜4におけるグラファイト粉末のグラファイト化度を0.39以上0.82以下とし、 グラファイト粉末の粒径を150nm以上890nm以下とした。
次に、参考例1〜4、実施例および比較例4の非ダイヤモンド状グラファイトであるグラファイト粉末成形体に対し常温にて高圧処理を施した。参考例1〜4、実施例および比較例4のグラファイト粉末に対して加えられた圧力(常温加圧圧力)は表1に示す通りである。具体的には、参考例1〜4および実施例のグラファイト粉末に対しては、18GPa以上30GPa以下の圧力が加えられた。比較例4のグラファイト粉末に対しては、16GPaの圧力が加えられた。なお、比較例1〜3のグラファイト粉末に対しては特に圧力をかける処理がなされなかった。以上により、参考例1〜4、実施例および比較例1〜4の中間材料が生成された。
次に、参考例1〜4および実施例の中間材料および比較例1〜4の中間材料の各々に対して、高圧高温発生装置を用いて、焼結助剤および結合剤のいずれも添加することなく、圧力が16GPaおよび温度が2200℃(これは、ダイヤモンドが熱力学的に安定な圧力および温度)の条件下で高温高圧処理した。これにより、当該中間材料が立方晶ダイヤモンドおよび六方晶ダイヤモンドに直接変換させると同時に焼結させてダイヤモンド多結晶を得た。
上記方法で得られたダイヤモンド多結晶体は、いずれも粉末ダイヤモンドに対するX線回折ピーク強度比、あるいは理論的なX線回折強度比と同等であった。すなわち、六方晶ダイヤモンドに対する回折ピークは、(100)面に関するX線回折ピーク強度に対し、(101)面に関するX線回折ピーク強度が50%±10%であり、立方晶ダイヤモンドに対する回折ピークは、(111)面に関するX線回折ピーク強度に対し、(220)面に関するX線回折ピーク強度は25%±10%であった。このようなダイヤモンド多結晶体を等方的であると定義する。
参考例1〜4、実施例および比較例1〜4のダイヤモンド多結晶体の各々に対して、h/c比率、曲げ強度(抗折強度)および耐摩耗性の測定を実施した。
各ダイヤモンド多結晶体の組成は、X線回折装置により立方晶ダイヤモンド相と六方晶ダイヤモンド相とを同定することにより得られた。当該装置のX線の線源はCuであり、波長1.54ÅのKα線である。六方晶ダイヤモンドの(100)面に関するX線回折ピーク強度を立方晶ダイヤモンドの(111)に関するX線回折ピーク強度で除した値に100(%)を乗ずることにより、h/c比率(%)が計算された。
曲げ強度は、三点曲げ強度試験により評価した。試料を0.55×3×0.7mmに切り出し、応力付与面に対して鏡面研磨を施した後、SiC製の冶具を用いて、3点曲げ試験(スパン長4mm)により室温の曲げ強度(抗折強度)を測定した。
摩耗試験は、φ2.0に加工したダイヤモンド多結晶体をメタルボンドダイヤモンド砥石にて荷重2kgf、速度30m/秒で摺動させ、ダイヤモンド多結晶体の摺動面を摩耗させ、1時間ごとに摩耗量を比較した。なお、耐摩耗性の試験は、摩耗量が100μmに達するまで実施された。耐摩耗性は、摩耗量が100μmに達した時間で評価した。比較例3のダイヤモンド多結晶体の耐摩耗性を1として、これに対する比率として計算した。なお、耐摩耗性が1より大きい場合は、当該ダイヤモンド多結晶体の摩耗量が100μmに達する時間が、比較例3のダイヤモンド多結晶の摩耗量が100μmに達する時間よりも長いことを意味する。つまり、耐摩耗性が1よりも大きい場合、当該ダイヤモンド多結晶体の耐摩耗性は、比較例3のダイヤモンド多結晶の耐摩耗性よりも優れていることを意味し、耐摩耗性が1よりも小さい場合、当該ダイヤモンド多結晶体の耐摩耗性は、比較例3のダイヤモンド多結晶の耐摩耗性よりも劣っていることを意味する。
表1を参照して、参考例1〜4、実施例および比較例1〜4に係るダイヤモンド多結晶体のh/c比率、曲げ強度(抗折強度)および耐摩耗性の結果について説明する。
Figure 0006007732
表1に示すように、参考例1〜4および実施例に係るダイヤモンド多結晶体のh/c比率は1%以上2200%以下であり、比較例1〜4に係るダイヤモンド多結晶体のh/c比率は0.5%以下であった。つまり、参考例1〜4および実施例に係るダイヤモンド多結晶体のh/c比率は0.5よりも大きかった。
また参考例1〜4および実施例に係るダイヤモンド多結晶体の抗折強度は3.2以上3.35以下であり、比較例1〜4に係るダイヤモンド多結晶体の抗折強度は2.9以上3.15以下であった。つまり、参考例1〜4および実施例に係るダイヤモンド多結晶体の抗折強度は比較例1〜4に係るダイヤモンド多結晶体の抗折強度よりも大きかった。
さらに参考例1〜4および実施例に係るダイヤモンド多結晶体の耐摩耗性(相対値)は1.2以上1.75以下であり、比較例1〜4に係るダイヤモンド多結晶体の耐摩耗性(相対値)は0.85以上1以下であった。つまり、参考例1〜4および実施例に係るダイヤモンド多結晶体の耐摩耗性は、比較例1〜4に係るダイヤモンド多結晶体の耐摩耗性よりも優れていることが確認された。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の実施の形態および実施例を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。

Claims (6)

  1. 立方晶ダイヤモンドと、六方晶ダイヤモンドとを備え、
    前記立方晶ダイヤモンドの(111)に関するX線回折ピーク強度に対する前記六方晶ダイヤモンドの(100)面に関するX線回折ピーク強度の比率は2000%以上である、ダイヤモンド多結晶体。
  2. 立方晶ダイヤモンドと、六方晶ダイヤモンドとを備え、
    前記立方晶ダイヤモンドの(111)に関するX線回折ピーク強度に対する前記六方晶ダイヤモンドの(100)面に関するX線回折ピーク強度の比率は0.5%より大きい、ダイヤモンド多結晶体であって、
    前記ダイヤモンド多結晶体が等方的である、ダイヤモンド多結晶体。
  3. 請求項1または2に記載のダイヤモンド多結晶体を備える切削工具。
  4. 請求項1または2に記載のダイヤモンド多結晶体を備える耐摩工具。
  5. 出発物質としてグラファイト状炭素材料を準備する工程と、
    温度300℃以下の条件下において、前記グラファイト状炭素材料に18GPa以上の圧力をかけることにより中間材料を生成する工程と、
    圧力8GPa以上、かつ、温度1500℃以上の条件下において前記中間材料を立方晶ダイヤモンドおよび六方晶ダイヤモンドに直接変換させると同時に焼結させる工程とを備え、
    出発物質としての前記グラファイト状炭素材料の黒鉛化度が0.8以上である、ダイヤモンド多結晶体の製造方法。
  6. 出発物質としての前記グラファイト状炭素材料が等方的である、請求項に記載のダイヤモンド多結晶体の製造方法。
JP2012244512A 2012-11-06 2012-11-06 ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法 Active JP6007732B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012244512A JP6007732B2 (ja) 2012-11-06 2012-11-06 ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012244512A JP6007732B2 (ja) 2012-11-06 2012-11-06 ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014091661A JP2014091661A (ja) 2014-05-19
JP6007732B2 true JP6007732B2 (ja) 2016-10-12

Family

ID=50936011

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012244512A Active JP6007732B2 (ja) 2012-11-06 2012-11-06 ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6007732B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6458559B2 (ja) * 2015-03-06 2019-01-30 住友電気工業株式会社 ダイヤモンド多結晶体、切削工具、耐摩工具、および研削工具
EP3862336A4 (en) * 2018-10-01 2022-05-18 Sumitomo Electric Industries, Ltd. POLYCRYSTALLINE DIAMOND, TOOL WITH POLYCRYSTALLINE DIAMOND AND METHOD OF MAKING POLYCRYSTALLINE DIAMONDS
CN118103688A (zh) * 2021-11-10 2024-05-28 住友电气工业株式会社 接触件及使用该接触件的单晶金刚石的微小磨损特性的评价方法
CN118235035A (zh) * 2021-11-10 2024-06-21 住友电气工业株式会社 接触件及使用该接触件的单晶金刚石的微小磨损特性的评价方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4275896B2 (ja) * 2002-04-01 2009-06-10 株式会社テクノネットワーク四国 ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法
WO2012023473A1 (ja) * 2010-08-19 2012-02-23 住友電気工業株式会社 ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法
US10167569B2 (en) * 2012-08-16 2019-01-01 National University Corporation Ehime University Hexagonal diamond bulk sintered body and its manufacturing method

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014091661A (ja) 2014-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5720686B2 (ja) ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法
JP5013156B2 (ja) 高硬度ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法
JP4203900B2 (ja) ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法
JP5070688B2 (ja) 高硬度ダイヤモンド多結晶体及びその製造方法
JP2009067609A (ja) 高純度ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法
EP2752398B1 (en) Cubic boron nitride complex polycrystalline substance, method for manufacturing same, cutting tool, wire-drawing die, and grinding tool
JP6458559B2 (ja) ダイヤモンド多結晶体、切削工具、耐摩工具、および研削工具
WO2015025757A1 (ja) ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法、ならびに工具
JPH11246271A (ja) 立方晶窒化ホウ素焼結体およびその製造方法
JP6007732B2 (ja) ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法
JP2014034487A (ja) 立方晶窒化ホウ素複合多結晶体およびその製造方法、切削工具、線引きダイス、ならびに研削工具
JP5076300B2 (ja) 高硬度ダイヤモンド多結晶体
JP2009007248A (ja) ダイヤモンド多結晶体
JP6665969B2 (ja) ダイヤモンド多結晶体及びその製造方法
JP6015325B2 (ja) ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法、ならびに工具
JP2009067610A (ja) 高硬度ダイヤモンド多結晶体およびその製造方法
JP4110338B2 (ja) 立方晶窒化ホウ素焼結体
JP2007217281A (ja) 立方晶窒化ホウ素焼結体およびその製造方法
JPH09142933A (ja) ダイヤモンド焼結体及びその製造方法
JP5880389B2 (ja) 窒化ホウ素多結晶体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150622

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160223

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160704

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160829

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6007732

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250