JP5069900B2 - アクロレイン製造用触媒の前処理方法 - Google Patents

アクロレイン製造用触媒の前処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体触媒を用いるグリセリンからアクロレインを製造する気相脱水反応において、原料グリセリンの供給前に、該固体触媒にグリセリン以外の有機化合物を接触させることを特徴とするアクロレイン製造用触媒の前処理に関するものである。
植物油から製造されるバイオディーゼルは、化石燃料の代替燃料としてだけではなく、二酸化炭素の排出量が少ない点でも注目され、需要の増大が見込まれている。このバイオディーゼルを製造するとグリセリンが副生するため、その有効利用を図る必要がある。グ
リセリンの利用の一態様としては、グリセリンをアクロレインの原料に使用することが挙げられる。
またアクロレインは、アクリル酸や1,3−プロパンジオール、メチオニン等の各種アクロレイン誘導体の原料として用いられている。
グリセリンから脱水反応によりアクロレインを製造するに際して、固体触媒を用いることは古くから知られている。酸強度関数H0が+2以下の固体酸触媒として燐酸を酸化アルミニウム担体に担持した触媒を用いて、グリセリンを脱水しアクロレインを製造することが開示されている(特許文献1参考)。
また、酸強度関数H0が−9以下の固体酸触媒を用いて、グリセリンを脱水しアクロレインを製造することが開示されている(特許文献2参考)。
グリセリンの脱水反応から得られたアクロレインを用いたアクロレインの誘導体の製造方法として、アクロレイン及びヒドロキシアセトンを接触水素添加して1,3−及び1,2−プロパンジオールを製造することが開示されている(特許文献3参考)。また、グリセリンの気相脱水反応生成物に気相酸化を施すことにより、アクリル酸を製造することが開示されている(特許文献4参考)。
一方、固体触媒を用いてグリセリンの脱水反応によりアクロレインを製造するに際して、原料グリセリンを供給開始した直後のアクロレインの収率が低い事が知られている。
特開平06−211724号公報 国際公開WO2006−087083号公報 特開平06−192147号公報 特開2005−213225号公報
本発明は、上記事情に鑑み、原料グリセリンの供給開始直後から安定したアクロレインの収率を得るために、グリセリンからのアクロレイン製造用触媒の前処理方法を提供することを目的とする。
グリセリンの気相脱水反応により得られたアクロレインは、アクリル酸や1,3−プロパンジオール、メチオニン等のアクロレイン誘導体の原料として用いられることが知られている。
上記アクロレイン誘導体の製造において、特に連続的にグリセリンからアクロレインを経てアクロレインの誘導体を製造する際に、グリセリンから安定した収率でアクロレインが得られないと、誘導体の製造工程へのアクロレイン供給量が不安定になり、好ましくない。アクロレインの供給量の変動を抑制するために、アクロレインを貯蔵するタンクを設けて、一定量を供給できるようにすることができるが、アクロレインは非常に不安定な物質であり、極力、貯蔵時間を短くするのが好ましいが、アクロレインの収率が不安定であるほど、貯蔵量を多くしておく必要があるため、やはり安定した収率でアクロレインが得られることが望ましい。
グリセリンからアクロレインを合成する際には、コーキングとよばれる触媒上への炭素質物質の付着とそれによる活性の低下が起こるため、適宜、酸素含有気体などを用いた再生処理が施される。再生処理中はアクロレインの合成ができないため、複数の反応器を用いて、ある反応器が再生処理中には、別の反応器でアクロレインの合成を行う方法を実施することがある。反応器を切換えた時に、アクロレインの収率が大きく変動すると、アクロレイン誘導体の製造工程へのアクロレインの供給量が変動することになる。従って、未使用触媒の使用開始直後だけでなく、再生処理後の触媒でも、安定した収率でアクロレインが得られることが望ましい。
また、目的化合物であるアクロレインの収率の向上は、前記課題とは関係なく、望まれているものである。
前記課題を解決する手段として、下記方法を発明した。
(1)固体触媒を用いるグリセリンからアクロレインを生成する気相脱水反応において、原料グリセリンの供給前に、該固体触媒にグリセリン以外の有機化合物を接触させることを特徴とするアクロレイン製造用触媒の前処理方法。
(2)前記有機化合物が化学プロセスで発生する有機化合物であることを特徴とする(1)記載のアクロレイン製造用触媒の前処理方法。
(3)前記有機化合物が、当該アクロレイン製造プロセスまたは当該プロセスのアクロレインを利用したアクロレイン誘導体製造プロセスにおいて発生するものであることを特徴とする(1)〜(2)記載のアクロレイン製造用触媒の前処理方法。
(4)前記有機化合物が、固体触媒を用いてグリセリンからアクロレインを製造する際に、アクロレインの精製工程で発生するものである事を特徴とする(1)記載のアクロレイン製造用触媒の前処理方法。
(5)(1)〜(4)記載の前処理を行った触媒を用いる事を特徴とするアクロレインの製造方法。
本発明によれば、固体触媒を用いるグリセリンからアクロレインを生成する気相脱水反応において、原料グリセリンの供給前に、該固体触媒にグリセリン以外の有機化合物を接触させることを特徴とするアクロレイン製造用触媒の前処理方法を実施することにより、アクロレインが安定して高収率で得られる。
本発明に用いられる固体触媒は、グリセリンからアクロレインを気相脱水反応で合成することが公知であるものであれば、いかなる触媒でもかまわない。
例えば、(1)結晶性メタロシリケート、(2)金属酸化物、(3)粘土鉱物、(4)鉱酸をα−アルミナやシリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機担体に担持したもの、(5)リン酸や硫酸の金属塩およびそれらをα−アルミナやシリカ、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機担体に担持したもの、等が上げられる。
(1)結晶性メタロシリケートとしては、Al、B、Fe、Ga等から選ばれる1種または2種以上の元素をT原子とし、その結晶構造としては、LTA、CHA、FER、MFI、MOR、BEA、MTW等があり、(2)金属酸化物としては、Al2O3、TiO2、ZrO2、SnO2、V2O5、などの単独金属酸化物以外に、SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2、TiO2−WO3、WO3−ZrO2等の複合酸化物があり、(3)粘土鉱物としては、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイトなどがあり、(4)鉱酸を無機担体に担持したものとして、リン酸や硫酸をアルミナやシリカ、ジルコニアなどに担持したもの等があり、(5)リン酸や硫酸の金属塩としては、MgSO4、Al2(SO4)3、K2SO4、AlPO4、Zr3(PO4)4等が例示される。
具体的には、国際公開WO2006/087083号公報およびWO2006/087084号公報に開示されている触媒(リン酸、硫酸または酸化タングステンを担持している酸化ジルコニウムなど)を使用することも出来る。
固体触媒の前処理方法について、詳細に説明する。
グリセリン以外の有機化合物とは、構成する元素に少なくとも炭素と水素を含む化合物であればよく、グリセリンよりも安価であると、経済的に好ましい。
各種化学プロセスから発生する、特に本発明のグリセリンからのアクロレインの製造プロセスおよびまたは該アクロレインを用いるアクロレイン誘導体の製造プロセスから発生する、より好ましくは有機化合物を含む排ガスや排溶液を用いると、経済的に好適である。
上記製造プロセスから発生する排ガスや排溶液として、例えば、気相脱水反応にてグリセリンから得られたアクロレインを捕集した後のアクロレインなどを微量含むガスや、アクロレインの蒸留工程で発生する高沸成分を含む水溶液、あるいはアクロレインの誘導体としてアクロレインを気相酸化してアクリル酸を合成した後の、アクリル酸を捕集した後の排ガスや、アクリル酸の蒸留や晶析等の精製工程で発生する排溶液等、が挙げられる。
該処理に用いる有機化合物は、気体、液体、混合ガス、溶液いずれでもかまわず、非有機化合物との混合物でも構わない。非有機化合物としては、例えば気体であれば窒素、酸素、二酸化炭素、水蒸気、希ガス等、液体であれば水が例示される。
有機化合物あるいは有機化合物との混合物(以下、両者をまとめて処理剤と称する事がある)と接触させる方法は、連続流通式、回分式、半回分式等、特に問わない。未使用触媒であれば、触媒調製の最終工程に前処理工程を行うこともできる。
連続流通式は、所定の温度で処理剤を流通させて触媒と接触させる方法であり、処理剤中の有機化合物濃度が低い場合やガス状の処理剤を用いる場合、操作が簡便であり、推奨される。また、固体触媒を液状の処理剤に浸漬させて、固体触媒に処理剤を含ませた後、処理剤を排出あるいは固体触媒を処理剤から抜出して、処理剤を含んだ固体触媒を別途加熱しても良い。
固体触媒と処理剤とを接触させた状態で、100〜500℃、好ましくは150℃〜450℃、更に好ましくは200℃〜450℃の温度にすると良く、脱水反応器内で実施する場合は、脱水反応と同じ温度で実施するのが簡便である。接触させる処理剤が非有機化合物との混合物である場合、含有される有機化合物の濃度は特に問わないが、低すぎる場合には十分な効果を得るための処理時間がかかるので、通常、処理剤の全重量に対する全有機化合物の合計した重量の比であらわすと、0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上の濃度で行うことが推奨される。
前処理における処理剤の量及び処理時間は、用いられる処理剤中の有機化合物の種類とその含有量および固体触媒の種類および量により異なるため、予めテストを行い適当な量および時間を求めておくのが好ましいが、固体触媒に対する処理に用いた処理剤中の固体触媒に接触した全有機化合物の重量の比であらわせば、0.0001倍〜100倍であると好ましく、0.001倍〜10倍であるとより好ましく、0.01倍〜5倍であると更に好ましい。固体触媒と処理剤とを接触させて所定温度範囲内で保持する時間は、1分間〜24時間であると好ましく、10分間〜12時間であるとより好ましい。
次に、グリセリンからのアクロレインの製造方法における、触媒の前処理方法について詳細に説明する。
原料グリセリンは、精製品でも、粗製品でも、水溶液でもかまわない。反応原料ガスは、グリセリンのみで構成されているガスであっても良く、反応原料ガス中のグリセリン濃度を調整するためにグリセリン脱水反応に不活性なガスを含んでいても良い。不活性ガスには、水蒸気や窒素ガス、空気を例示することができ、特に水蒸気を含んでいると触媒の寿命やアクロレインの収率に対して有利な効果が見られ、好適である。
この反応原料ガス中におけるグリセリン濃度は、0.1〜100モル%であれば良く、好ましくは1モル%以上であり、アクロレインの製造を経済的かつ高効率で行うためには、10モル%以上がより好ましい。
反応性ガスの流量は、単位触媒容積あたりの反応ガス流量(GHSV)で表すと100〜10000hr−1であると良い。好ましくは、5000hr−1以下であり、アクロレインの製造を経済的かつ高効率で、行うためには、3000hr−1以下がより好ましい。
反応温度は、200〜500℃であると良く、好ましくは、250〜450℃、更に好ましくは、300〜400℃である。
反応圧力は、グリセリンが凝縮しない範囲の圧力であれば特に限定されない。通常、0.001〜1MPaであると良く、好ましくは、0.01〜0.5MPaである。
本反応においては、活性の低下した触媒と酸素などの酸化性のガスを含む気体を、高温で接触させる事により再生することができる。接触させる形態は特に問わず、触媒を反応器から取出して行っても良いし、脱水反応と同じ反応器内で流通させるガスを切換えることで行っても構わない。脱水反応を固定床で行っている場合には、触媒の抜出し・再充填などの手間がかからない後者の方が簡便であり、推奨される。
再生で使用する酸化性ガスとして酸素を用いる場合は空気中の酸素を用いるのが安価であるが、窒素や二酸化炭素、水蒸気等の不活性ガスを同伴させても良い。特に、空気を接触させる事で急激な発熱が懸念される場合には、酸素濃度を調整するために不活性ガスを用いる事が推奨される。
再生した触媒は、反応原料ガスと接触させる事で、再度アクロレイン合成用触媒として用いる事ができる。
有機化合物で前処理を行う工程は、(1)未使用触媒を使用する前、(2)脱水反応後の再生処理工程後から反応原料ガスと接触させて脱水反応を行う前、のいずれでも良く、両方とも実施するのがより好ましい。
前処理の方法は、脱水反応器外で実施してもよく、脱水反応器内に充填した状態で実施しても良い。前記(1)未使用触媒の場合には予め前処理を行った触媒を脱水反応器に充填してもよく、また脱水反応器に充填して該反応器内で前処理を実施した後、グリセリンを供給して脱水反応を行ってもよい。前記(2)再生処理工程を脱水反応器内で行う場合には触媒の抜出し・再充填の手間がない後者の反応器内で行うのが簡便であり、推奨される。また、これらを組み合わせて、予め脱水反応器外で前処理を施した未使用触媒を用いて脱水反応を行い、再生処理後は反応器内で行う等の方法で行うこともできる。
前処理終了後から脱水反応開始前までの間に、窒素等の不活性ガスでパージしても良い。例えば、脱水反応器外の前処理器で前処理を行った場合には該前処理器およびまたは脱水反応器に該触媒を充填した状態で、脱水反応器内で前処理を行った場合には該脱水反応器内において、系内に残存する余分な有機物や触媒充填時に混入した酸素などを除去する目的で、窒素等でパージしても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下ことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示すものとする。
(触媒製造例1)
0.58gのNaOHと1.95gのNaAlO2を蒸留水15.00gに順次溶解し、更に、10.15gの40質量%水酸化テトラ−n−プロヒルアンモニウム水溶液を蒸留水に添加した。そして、この溶液に蒸留水を加えて、全量が30mlの含浸液を調製した。
次に、シリカ成形体としてシリカビーズ(富士シリシア化学社製「キャリアクトQ−50」、10〜20メッシュ、平均細孔径50nm)を使用し、120℃で1日間乾燥した30gのシリカビーズを含浸液に1時間含浸させた。その後、含浸したシリカビーズを100℃の湯浴上に設置した蒸発皿上で乾燥させた後、更に80℃、窒素気流下で5時間乾燥して、結晶化に必要なNa、Al結晶化剤をシリカビーズに担持させ、結晶性メタノシリケート前駆体を得た。
担持工程で得た前駆体を容積100mlのテトラフルオロエチレン製のジャケット付坩堝の中空部に配置し、坩堝の底部に1.00gの蒸留水を入れ、この坩堝を180℃の電気炉に8時間静置した。
結晶化工程を経た固形物を、60℃の1mol/L硝酸アンモニウム水溶液300gに浸潰して1時間援持した後、上澄み液を廃棄した。この操作を複数回繰り返した。その後、固形物を水洗した。
イオン交換工程後の固形物を、空気気流中において540℃で3.5時間焼成した。この焼成により、H型MFIである触媒Aを得た。
(触媒製造例2)
市販の顆粒状活性アルミナ(メルク社製「ALUMINIUMOXIDE90 ACTIVE ACIDIC(0.063−0.200MM)(ACTIVITY STAGEI)」、製造番号101078)を、空気雰囲気下、500℃で2時間焼成した。得られた焼成物を、内径3cm、高さ5mmの塩化ビニル製の筒に充填して加圧成形を行い、得られた成型体を破砕して、0.7〜1.4mmに分級することにより、触媒Bを得た。
(アクロレインの製造例)
上記触媒製造例により得られた触媒Aおよび触媒Bを用いて固定床反応器を使用した次の方法により、グリセリンを脱水してアクロレインを合成した。
先ず、触媒15mlを充填したステンレス製反応管(内径10mm、長さ500mm)を固定床反応器として準備し、この反応器を360℃の塩浴に浸漬し、実施例または比較例の処理を行う。その後、80質量%グリセリン水溶液の気化ガスと窒素からなる反応ガス(反応ガス組成:グリセリン27mol%、水34mol%、窒素39mol%)を632hr−1の流量で流通させた。反応器内に反応ガスを流通させてから0〜30分、30〜60分および150〜180分の各30分間における流出ガスを冷却液化して捕集した(以下、「捕集した流出ガスの冷却液化物」を「流出物」と称する)。
そして、ガスクロマトグラフィ(GC)により、流出物の定性および定量分析を行った。GCによる定性分析の結果、グリセリン、アクロレインと共に1−ヒドロキシアセトンが検出された。また、定量分析結果から、転化率、アクロレイン収率を算出した。ここで、転化率は、(1−(捕集流出物中のグリセリンのモル数)/(30分間で反応器に流入させたグリセリンのモル数))×100、で算出される値である。また、アクロレインの収率は、((アクロレインのモル数)/(30分間に反応器に流入させたグリセリンのモル数))×100、で算出される値である。
(実施例1)
触媒Aを15ml充填したステンレス製反応管(内径10mm、長さ500mm)を固定床反応器として準備し、この反応器を360℃の塩浴に浸漬した。反応器内に窒素を61.5ml/minの流量で30分間流通させた後、処理剤として64質量%1−ヒドロキシアセトン水溶液の気化ガスと窒素からなる混合ガス(混合ガス組成:1−ヒドロキシアセトン21mol%、水48.2mol%、窒素30.8mol%)を799hr−1の流量で30分間流通させた。その後、1−ヒドロキシアセトン水溶液を80質量%のグリセリン水溶液に代えて、グリセリンの脱水反応によるアクロレインの合成を行った。
(実施例2)
実施例1において、触媒Aを触媒Bに変更した以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例3)
実施例1において、処理剤をアクロレインとイオン交換水の気化ガスと窒素の混合ガス(混合ガス組成:アクロレイン10.1mol%、水63.4mol%、窒素26.5mol%)を928hr−1の流量で30分間流通させた以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例4)
実施例3において、触媒Aを触媒Bに変えた以外は、実施例3と同様に行った。
(実施例5)
実施例1において、処理剤中の窒素を空気に変えた混合ガス(混合ガス組成:1−ヒドロキシアセトン21mol%、水48.2mol%、窒素24.3mol%、酸素6.5mol%)を799hr−1で30分間流通させた以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例1)
実施例1において、窒素を61.5ml/minの流量で30分間流通させた後、前処理剤である1−ヒドロキシアセトンの気化ガスを含む混合ガスの流通を行わずに、アクロレインの合成を行った以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例2)
比較例1において、触媒Aを触媒Bに変えた以外は、比較例1と同様に行った。
(比較例3)
実施例1において、窒素を61.5ml/minの流量で60分間流通させた後、前処理剤である1−ヒドロキシアセトンの気化ガスを含む混合ガスの流通を行わずに、アクロレインの合成を行った以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例4)
比較例3において、窒素を空気に変えた以外は、比較例3と同様に行った。
(比較例5)
実施例1において、1−ヒドロキシアセトン水溶液をイオン交換水に変えた混合ガス(混合ガス組成:水81.4mol%、窒素18.6mol%)を1326hr−1の流量で30分間流通させた以外は、実施例1と同様に行った。
反応結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の反応後の触媒を空気気流下、500℃で2時間焼成した触媒を触媒Aの代わりに用いた以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例7)
比較例1の反応後の触媒を空気気流下、500℃で2時間焼成した触媒を触媒Aの代わりに用いた以外は、実施例1と同様に行った。
(比較例6)
実施例1の反応後の触媒を空気気流下、500℃で2時間焼成した触媒を触媒Aの代わりに用いた以外は、比較例1と同様に行った。
反応結果を表2に示す。
Figure 0005069900
Figure 0005069900
処理剤1 1−ヒドロキシアセトン、水蒸気、窒素からなる混合ガス
処理剤2 アクロレイン、水蒸気、窒素からなる混合ガス
処理剤3 1−ヒドロキシアセトン、水蒸気、空気からなる混合ガス
表1の実施例に示すように、有機化合物(グリセリンからのアクロレインの製造により得られる1−ヒドロキシアセトンやアクロレイン)を含む処理剤を用いると、原料グリセリンの供給開始直後の0−30分間のアクロレインの収率が高く、その後も高いまま安定して推移しているのが分かる。一方、処理剤を用いなかった比較例では0−30分間の収率が極めて低い事がわかる。
また、表2に示すように、未使用触媒だけでなく、使用後に再生処理を行った触媒でも有機化合物を含む処理剤による反応開始直後からアクロレインの収率が高く、その後も安定する効果があることが分かる。
本発明の有機化合物を含む処理剤を用いる事で、反応開始直後からアクロレインが安定して得られる事から、アクロレイン誘導体の製造において、特に連続的にグリセリンからアクロレインを経てアクロレイン誘導体を製造する際に、誘導体の製造工程へのアクロレイン供給量が安定することによって、アクロレイン誘導体の製造条件が安定することが期待される。

Claims (6)

  1. 固体触媒を用いるグリセリンからアクロレインを生成する気相脱水反応において、原料グリセリンの供給前に、該固体触媒に1−ヒドロキシアセトンまたはアクロレインを含む有機化合物を接触させることを特徴とするアクロレイン製造用触媒の前処理方法。
  2. 前記固体触媒が、結晶性メタロシリケート、金属酸化物、粘土鉱物、鉱酸を無機担体に担持したもの、リン酸または硫酸の金属塩、または、リン酸または硫酸の金属塩を無機担体に担持したものである請求項1記載のアクロレイン製造用触媒の前処理方法。
  3. 前記固体触媒が、結晶性メタロシリケートまたは金属酸化物である請求項1に記載のアクロレイン製造用触媒の前処理方法。
  4. 前記有機化合物が、グリセリンを気相脱水してアクロレインを生成するアクロレイン製造プロセスまたは当該アクロレイン製造プロセスで得られたアクロレインを気相酸化してアクリル酸を生成するアクロレイン誘導体製造プロセスにおいて発生するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアクロレイン製造用触媒の前処理方法。
  5. 前記有機化合物として、前記アクロレイン製造プロセスまたは前記アクロレイン誘導体製造プロセスにおいて発生し、1−ヒドロキシアセトンまたはアクロレインを含む排ガスまたは排溶液を用いる請求項4に記載のアクロレイン製造用触媒の前処理方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の前処理方法を行った触媒を用いてグリセリンを気相脱水してアクロレインを生成することを特徴とするアクロレインの製造方法。
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