JP5068617B2 - 伸縮性経編地の製造方法 - Google Patents

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本発明は、伸縮性経編地とその製造方法に関する。
特に、ランジェリー、ファンデーション等のインナーウェアや、アクティブウェア、レオタード等のスポーツウェアに好適に使用される伸縮性経編地の製造方法に関するものである。
ランジェリー、ファンデーション等のインナーウェアや、アクティブウェア、レオタード等のスポーツウェアには、ポリウレタン弾性糸等の伸縮糸を編み込むことにより伸縮性を付与した伸縮性布帛が用いられている。この伸縮性布帛としては、経編地、丸編地等の編地が一般に用いられている。
また、衣服にした際、裁断された生地端、いわゆる裁ち目がほつれることを防止するために生地端を折り返して縫製したり、付属テープと縫い合わせて始末する方法などが用いられている。
さらに、近年、衣類の裾や縁を始末しなくてもほつれないようにするために、糸抜きにより分割された経編生地が用いられるようになってきており、特に、ランジェリーやファンデーション等に適した糸抜きによる分割可能な伸縮性編地についての提案がされている(特許文献1、2)。
しかし、経編機のビーム給糸装置の数、すなわち、ビームを駆動させるシャフトの本数が一般に2〜5本と少なく、意匠性や機能性を高める上で複雑な糸種の組合せであるときは、分割可能な伸縮性経編地を製造することは困難であった。
特許第3488947号公報 特開平2003−13347号公報
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、意匠性や機能性をより高める上で複雑な糸種の組合せであるときであっても分割が可能で、かつ分割された縁部で編糸がほつれることのない伸縮性経編地を製造する方法を提供することにある
上述した目的を達成する本発明の伸縮性経編地の製造方法は、以下の(1)の構成を有する。
(1)抜き糸、伸縮連結糸、ヘム部を構成する非伸縮糸、およびヘム部を構成する伸縮糸のそれぞれが別個の巻糸体に巻かれてなるそれぞれの巻糸体から、その巻糸体軸方向に糸取りをして解舒した後、それぞれを張力調整装置に導入して編糸張力を制御して編成し経編地を得た後、前記抜き糸を経編地中から除去することにより、複数に分割された伸縮性編地を得ることを特徴とする伸縮性経編地の製造方法。
請求項1にかかる本発明によれば、上述した意匠性や機能性をより高める上で複雑な糸種の組合せであるときであっても分割が可能でかつ分割された縁部で編糸がほつれることのない伸縮性経編地の製造方法が提供される。
以下、更に詳しく本発明の分割可能な伸縮性経編地の製造方法とその製造方法によって得られる伸縮性編地について、説明する。
本発明の分割可能な伸縮性経編地の製造方法は、抜き糸、伸縮連結糸、ヘム部を構成する非伸縮糸、およびヘム部を構成する伸縮糸のそれぞれが別個の巻糸体に巻かれてなるそれぞれの巻糸体から、その巻糸体軸方向に糸取りをして解舒した後、それぞれを張力調整装置に導入して編糸張力を制御して編成し経編地を得た後、前記抜き糸を経編地中から除去することにより、複数に分割された伸縮性編地を得ることを特徴とするものである。
そして、かかる本発明の方法で得られる分割可能な伸縮性経編地は、代表的な一例として、伸縮糸および非伸縮糸から編成される伸縮性経編地であって、糸抜きにより分割が可能であり、かつ、抜き糸部と分割後のヘム部の連結糸として、糸繊度22〜1240dtexの伸縮連結糸を用い、かつ、該伸縮連結糸の編組織を、身生地部を構成する伸縮糸および非伸縮糸の編組織と相違させて編成されてなるものである
本発明において、分割可能な伸縮性経編地とは、経方向の編糸の一部を糸抜きすることにより、該編糸のあった両サイドに該経編地が分割できる編地をいう。該糸抜きは、編糸の一本単位で行われる。
本発明において、「伸縮糸」とは、一般に伸縮する特質を有する糸のことをいい、いわゆるスパデックス糸と呼ばれる糸などが該当し、市販の糸では、商品名で「ライクラ」(登録商標、オペロンテックス社製)などが該当する。該伸縮糸は、本発明において、生地にストレッチ性を付与するために使用される。
また、本発明において、「非伸縮糸」とは伸縮特性を有さない糸をいい、通常のポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿糸などが該当する。該非伸縮糸は、本発明において、生地の風合い、外観の意匠性や吸汗性、吸湿性等を付与するために使用される。
また、本発明において、「抜き糸」とは、編成後に、編地端位置から該糸を引っ張ることにより編地中から抜き取り除去できる編糸をいい、図4〜図6の編組織図において、それぞれAで示した糸が該当する。
本発明の伸縮性経編地の製造方法で製造される伸縮性編地は、代表的で特徴的な例としては、抜き糸部と分割後のヘム部の連結糸として、糸繊度22〜1240dtexの伸縮連結糸を用い、かつ、該伸縮連結糸の編組織を、身生地部を構成する伸縮糸および非伸縮糸の編組織と相違させて編成させたものである
ここで、「伸縮連結糸」とは、伸縮糸により構成される連結糸であり、抜き糸部と分割後のヘム部を連結する連結糸として編成されている糸をいう。図4に示した本発明の伸縮性経編地の実施例では、Fで示した伸縮糸3が該当する。
該伸縮連結糸は、糸繊度が22〜1240dtexであることが重要であり、糸繊度が22dtex未満のときは、左右の身生地部を連結するのに強度が不十分であり好ましくない。また、1240dtexよりも大きいときは、一般に、ヘム部の凹凸感が大きくなり、好ましくない。
また、該伸縮連結糸の編組織は、身生地部を構成する伸縮糸および非伸縮糸の編組織と相違させて編成されていることが重要であり、このようにすることにより、身生地部の機能性や、意匠性を損なわずに、分割可能な伸縮性編地を得るという効果が得られる。
また、伸縮連結糸として用いられる伸縮糸と、身生地部に編み込まれる伸縮糸とが、同一コース間に編み込まれる両編糸間で、編糸長さまたは/および編糸重量を相違させて編成されてなることが好ましい。このようにすることにより、特異な意匠効果や機能性に優れた伸縮性経編地が得られる。
その場合、特に、該伸縮連結糸が、巻糸体からその軸方向に糸取りがされて解舒された後、張力調整装置に導入されて編糸張力が制御されて編成されてなるものであることが重要であり、このようにすることにより、ヘム部の波打ちがなく、目ムキもない外観に優れた伸縮性経編地が得られるという効果が得られる。
上述した伸縮性経編地を製造する方法は、いくつか考えられるが特に好ましく最適な方法は、本発明にかかる、抜き糸、伸縮連結糸、ヘム部を構成する非伸縮糸、およびヘム部を構成する伸縮糸のそれぞれが別個の巻糸体に巻かれてなるそれぞれの巻糸体から、その巻糸体軸方向に糸取りをして解舒した後、それぞれを張力調整装置に導入して編糸張力を制御して編成し経編地を得た後、前記抜き糸を経編地中から除去することにより、複数に分割された伸縮性編地を得るという方法である。
このような方法を採用すると、身生地部に多種多様な非伸縮糸や伸縮糸を用いて機能性や意匠性を高めることが実現でき、ヘム部の波打ちがなく目ムキもない外観品位の点で優れた伸縮性経編地を製造することができる。
以下、実施例などに基づいて、本発明の伸縮性経編地の製造方法について更に詳しく説明をする。
実施例1
糸使いを以下のとおりとして経編地を編成した。
(1)筬1a(非伸縮糸)(抜き糸A):ポリアミド糸 56dtex 双糸(東レ(株)製)
(2)筬1b(非伸縮糸)(耳糸C):ポリアミド糸(ウーリー加工糸)、22dtex(東レ(株)製)
(3)筬2(非伸縮糸)(地組織B):ポリアミド糸、44dtex (東レ(株)製)
(4)筬3(伸縮糸)(第1弾性糸E):スパンデックス糸「ライクラ」(登録商標)T−127C156dtex(オペロンテックス(株)製)
(4)筬4(伸縮糸)(第2弾性糸D):スパンデックス糸「ライクラ」(登録商標)T−127C44dtex(オペロンテックス(株)製)
(5)筬5(伸縮糸)(連結糸F):スパンデックス糸「ライクラ」(登録商標)T−127C310dtex、(オペロンテックス(株)製)
編組織は以下のとおりであり、図1と図4に示した編組織のものである。
(1)筬1:10/01/ ×3
(2)筬2:23/21/12/10/12/21/
(3)筬3:00/11/ ×3
(4)筬4:00/11/00/33/22/33/
(5)筬5:11/22/00/22/11/33/
得られた生地の特徴は、ヘム部の外観品位が、特に良好であり、ヘム部の波打ちがなく、スパンデックス糸の目ムキのない優れた外観のものであった。なお、分割後の編組織をモデル的に図7に示した。
比較例1
糸使いを以下のとおりとして経編地を編成した。
(1)筬1a(非伸縮糸)(抜き糸A):実施例1と同様。
(2)筬1b(非伸縮糸)(耳糸C):実施例1と同様。
(3)筬2(非伸縮糸)(地組織B):実施例1と同様。
(4)筬3(伸縮糸)(第1弾性糸E):実施例1と同様。
(5)筬4a(伸縮糸)(第2弾性糸D):実施例1と同様。
(6)筬4b(伸縮糸)(連結糸F):スパンデックス糸「ライクラ」(登録商標)T−127C310dtex(オペロンテックス(株)製)
編組織は、以下のとおりであり、図2と図5に示した編組織のものである。
(1)筬1:実施例1と同様。
(2)筬2:実施例1と同様。
(3)筬3:実施例1と同様。
(4)筬4a:実施例1の筬4と同様。
(5)筬4b:実施例1の筬4と同様。
得られた生地の特徴は、ヘム部の外観品位が不良であり、その理由は、波打ちはほぼないものの、スパンデックス糸の目ムキが目立つものであったことによる。
比較例2
糸使いを、以下のとおりとして経編地を編成した。
(1)筬1a(非伸縮糸)(抜き糸A):実施例1と同様。
(2)筬1b(非伸縮糸)(耳糸C):実施例1と同様。
(3)筬2(非伸縮糸)(地組織B):実施例1と同様。
(4)筬3(伸縮糸)(第1弾性糸E):実施例1と同様。
(5)筬4a(伸縮糸)(第2弾性糸D):実施例1と同様。
(6)筬4b(伸縮糸)(連結糸F):スパンデックス糸「ライクラ」(登録商標)T−127C、156dtex(オペロンテックス(株)製)
編組織は、以下のとおりであり、図3と図6に示した編組織のものである。
(1)筬1:実施例1と同様。
(2)筬2:実施例1と同様。
(3)筬3:実施例1と同様。
(4)筬4a:実施例1の筬4と同様。
(5)筬4b:実施例1の筬4と同様。
得られた生地の特徴は、ヘム部の外観品位が不良であり、その理由は、比較例1と同様に、波打ちはないものの、スパンデックス糸の目ムキが目立つものであったことによる。
図1は、実施例1で編成した伸縮性経編地の編組織を示した図である。 図2は、比較例1で編成した伸縮性経編地の編組織を示した図である。 図3は、比較例2で編成した伸縮性経編地の編組織を示した図である。 図4は、実施例1で編成した伸縮性経編地の編組織を示した図である。 図5は、比較例1で編成した伸縮性経編地の編組織を示した図である。 図6は、比較例2で編成した伸縮性経編地の編組織を示した図である。 図7は、実施例1で編成した伸縮性経編地の抜き糸を抜いた状態の編組織を示した図である。
符号の説明
A:抜き糸
B:非伸縮糸1
C:非伸縮糸2
D:伸縮糸1
E:伸縮糸2
F:伸縮糸3(連結糸)

Claims (1)

  1. 抜き糸、伸縮連結糸、ヘム部を構成する非伸縮糸、およびヘム部を構成する伸縮糸のそれぞれが別個の巻糸体に巻かれてなるそれぞれの巻糸体から、その巻糸体軸方向に糸取りをして解舒した後、それぞれを張力調整装置に導入して編糸張力を制御して編成し経編地を得た後、前記抜き糸を経編地中から除去することにより、複数に分割された伸縮性編地を得ることを特徴とする伸縮性経編地の製造方法。
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