図1は本発明の実施の形態のディスク装置の概要を示す平面図、図2は検知部の検知動作の遷移を示す説明図である。図3と図4は、検知部の検知動作を示すフローチャートである。図5ないし図7は、光学検知器の誤動作や故障を判定するための判定動作のフローチャート、図8は、強制搬入動作の動作処理を示すフローチャート、図9は強制搬入動作に切換えるときの動作処理を示すフローチャートである。
図1に示すディスク装置1は車載用であり、六面体の箱形状の筐体2を有している。筐体2は自動車の室内のインストルメントパネル内に埋設され、筐体2の前面3に設けられた化粧パネル部(図示せず)が、インストルメントパネルに現れる。前記化粧パネル部および前記前面3には、左右方向(X1−X2方向)に細長く延びるスリット状の挿入口が開口している。図1では、挿入口を左右方向に二分して筐体1の前後方向(Y1−Y2方向)に延びる中心線を、O−Oで示している。
筐体2の内部には回転駆動部4が設けられている。この回転駆動部4は、回転軸5を有するスピンドルモータと、回転軸5の先端部に固定された回転テーブル6を有している。回転テーブル6は、ディスクDの下面が設置される支持面6aと、支持面6aの中心部から突出して、ディスクDの中心穴Da内に嵌入される凸部6bとを有している。また、回転駆動部4には、凸部6bが中心穴Da内に嵌入した状態で、ディスクDの下面を支持面6aに押し付けるクランパ(図示せず)が設けられている。
筐体2の前面3の内側には搬送機構7が設けられている。この搬送機構7には、軸方向が左右方向(X1−X2方向)に延びるローラ軸8と、ローラ軸5の外周に装着された合成ゴム製の搬送ローラ9とが設けられている。筐体2の内部には搬送モータMが設けられ、この搬送モータMの動力により、ローラ軸8および搬送ローラ9が、ディスク搬入方向と搬出方向に向けて回転させられる。搬送機構7には、搬送ローラ9に対向する合成樹脂製の摺動パッドが設けられ、搬送ローラ9が弾性部材で付勢されて摺動パッドに弾圧されている。挿入口から挿入されるディスクDは、搬送ローラ9と摺動パッドとで挟まれて、搬送ローラ9の回転力で搬送される。
筐体2の前面3と搬送機構7との間には、挿入側検知部10が設けられている。この挿入側検知部10では、4箇所に光学検知器11A,11B,11C,11Dが設けられている。光学検知器11A,11B,11C,11Dのそれぞれは、搬入されるディスクDの一方の側に発光ダイオードなどの発光素子が配置され、他方の側にホトトランジスタなどの受光素子が配置されている。発光素子と受光素子との間にディスクDが存在していないときは、発光素子から発せられた光が受光素子で検知されて受光素子の検知出力がONになり、発光素子と受光素子との間にディスクDが存在していると、発光素子から発せられる光がディスクDで遮られて受光素子の検知出力がOFFとなる。
すなわち、光学検知器11A,11B,11C,11Dのそれぞれは、受光素子からの検知出力がONのときが「非検知状態」であり、受光素子からの検知出力がOFFのときが「検知状態」である。
挿入側検知部10では、光学検知器11Aと光学検知器11Cが、中心線O−OよりもX1側に位置し、光学検知器11Bと光学検知器11Dが、中心線O−OよりもX2側に位置している。光学検知器11Aが、前面3に最も近い位置にあり、それよりも奥側(Y1側)に光学検知器11Bが配置され、それよりも奥側に光学検知器11Cが配置され、最も奥側に光学検知器11Dが配置されている。
最もX1側に位置している光学検知器11Cと、最もX2側に位置している光学検知器11Dの左右方向(X1−X2方向)の間隔は、12cm以下で且つ、8cmよりも長く設定されている。
また、直径が12cmの正常なディスクDの中心穴Daが、回転テーブル6上に正常に装填されたときに、光学検知器11A,11B,11C,11Dのそれぞれが、ディスクDの外周縁よりも内側で且つディスクDの外周部に対向している。また、仮に直径が8cmのディスクが回転テーブルの上に保持されると、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てがディスクから外れる。
筐体2内には、回転テーブル6上に保持されたディスクDの記録面に対向する光ヘッド17が設けられている。光ヘッド17には対物レンズ17aが設けられている。光ヘッド17内の発光素子から発せられた検知光は、対物レンズ17aによって、ディスクDの記録面に集光される。記録面で反射された検知光は、対物レンズ17aで補足され、光ヘッド17の内部の受光素子で検知される。この検知動作によって、ディスクDの記録面に記録された情報が読み取られる。
筐体2内には、一対のガイド部材16a,16bが平行に設けられ、光ヘッド17はガイド部材16a,16bに案内されて移動する。このとき、対物レンズ17aが、ディスクDの半径方向に沿って移動する。また、前記光ヘッド17をディスクDの記録面の内周側と外周側との間で移動させるスレット機構が設けられており、このスレット機構は前記搬送モータMによって駆動される。
また、光ヘッド17がその移動範囲の一端である内周側の端部に移動したときに動作させられる検知レバー19と、この検知レバー19によって動作させられるリミットスイッチ18とが設けられている。
このディスク装置1では、ディスクが挿入口に挿入されると、搬送モータMが始動し搬送機構7の搬送ローラ9によって、ディスクDがY1方向へ搬送される。ディスクDの中心穴Daが回転テーブル6上に至ると、ディスクDの外周縁が位置決め部材に当たり、この位置決め部材の動作で動力伝達機構が切換えられて、搬送モータMからローラ軸8への動力の伝達が断たれ、搬送モータMの動力がスレット機構に伝達されて、光ヘッド17が図1に示す最内周側の移動端部から外周方向へ移動させられる。このとき、光ヘッド17が検知レバー19から離れ、リミットスイッチ18がONからOFFに切換えられる。制御部21では、リミットスイッチ18がONからOFFに切換えられたことで、ディスクDが回転テーブル6上に正常に保持できる位置へ至ったと判断する。つまり、リミットスイッチ18が、ディスクDの装填完了検知部として機能している。
ディスクDが回転テーブル6に保持されると、搬送ローラ9がディスクDから離れ、ディスクDの中心穴Daが回転テーブル6に保持されて、回転テーブル6と共にディスクDが回転させられる。また、搬送モータMによってスレット機構が動作させられ、光ヘッド17がディスクDの記録面に沿って移動し、情報の再生や記録動作が行われる。
逆に、ディスクDを搬出するときは、搬送モータMによってスレット機構が駆動され、光ヘッド17が、図1に示す内周側の終端まで移動させられて、光ヘッド17で検知レバー19が押され、リミットスイッチ18がONに切換えられる。このときに、搬送モータMの動力のスレット機構への伝達が断たれ、その動力がローラ軸8に伝達される。このとき、搬送ローラ9がディスクDに接触し、搬送ローラ9が搬出方向へ駆動される。そして、ディスクDの回転テーブル6へのクランプが解除されて、ディスクDが挿入口へ向けて搬出される。
挿入側検知部10に設けられた、光学検知器11A,11B,11C,11Dのそれぞれの検知出力は、検出部(検出回路)22により検出されて、CPUを主体としメモリなどを有する制御部21に与えられる。またリミットスイッチ18の検知出力も制御部21に与えられる。そして、搬送モータMは制御部21により駆動制御される。
次に、挿入側検知部10を使用した通常搬入動作の際の検知動作、およびディスクが搬出されるときの挿入側検知部10の検知動作を説明する。
このディスク装置1の通常搬入動作では、直径が12cmのCD(コンパクト・ディスク)やDVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)あるいはCD−ROMなどのディスクDが挿入されたときに、そのディスクDが正常なディスクと判断されて搬入され、回転テーブル6にクランプされる。ただし、通常搬入動作では、それ以外の例えば直径が8cmの小径ディスクなどが挿入されると、異物であると判別されて排出される。
制御部21では、挿入側検知部10における光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力の変化の遷移によって、正常なディスクDが正常に搬入されているか否かが判別される。図2は、直径12cmの正常なディスクDが正常に搬入されるときの、それぞれの光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力の遷移を説明している。図2では、それぞれの光学検知器11A,11B,11C,11Dの配置を模式的に示すとともに、ディスクを検知している「検知状態」の光学検知器にハッチングを付している。
図2に示すように、直径が12cmの正常なディスクDが、搬送機構7によって正常に搬入されて、ディスクDの中心穴Daが回転テーブル6の上に保持可能な位置まで移動するときには、光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力の組み合わせが、「レベル(0)」「レベル(1)」「レベル(2)」「レベル(3)」「レベル(4)」の順番で遷移する。
「レベル(0)」は、ディスクDが、未だ挿入口から挿入されていない状態であり、全ての光学検知器11A,11B,11C,11Dが「非検知状態」である。
「レベル(1)」では、光学検知器11Aまたは光学検知器11Bのいずれか一方が、「非検知状態」から「検知状態」に切り換わる。通常搬入動作では、この「レベル(1)」に至ったとき、制御部21でディスクDが挿入されたと判断し、搬送モータMを始動して、ローラ軸8および搬送ローラ9がディスクDを搬入する方向へ回転させられる。
「レベル(1)」と判断されるのは、上記の2通りだけであり、「レベル(0)」の次に、光学検知器Cのみが「検知状態」となったり、光学検知器11Dのみが「検知状態」となったときは、その時点で「搬入異常」と判断される。
「レベル(2)」では、光学検知器11Aと光学検知器11Bが共に「検知状態」となる。または、光学検知器11Aと光学検知器11Cが共に「検知状態」となり、あるいは、光学検知器11Bと光学検知器11Dが共に「検知状態」となる。「レベル(2)」と判断されるのはこの3通りだけであり、光学検知器11Aと光学検知器11Dの2つだけが共に「検知状態」となったり、光学検知器11Bと光学検知器11Cの2つだけが共に「検知状態」となったり、または、光学検知器11Cと光学検知器11Dの2つだけが共に「検知状態」となったときは、その時点で「搬入異常」と判断する。
「レベル(3)」では、光学検知器11Aと光学検知器11Bおよび光学検知器11Cの3つが「検知状態」となる。または、光学検知器11Aと光学検知器11Bおよび光学検知器11Dの3つが「検知状態」となる。「レベル(3)」と判断されるのはこの2通りだけであり、光学検知器11Cと光学検知器11Dおよび光学検知器11Aの3つのみが共に「検知状態」となったとき、または、光学検知器11Cと光学検知器11Dおよび光学検知器11Bの3つのみが共に「検知状態」となったときは、その時点で「搬入異常」と判断する。
「レベル(4)」では、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが同時に「検知状態」となる。
制御部21では、挿入側検知部10の光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力の組み合わせが、「レベル(0)」「レベル(1)」「レベル(2)」「レベル(3)」「レベル(4)」の順番で遷移しているときに、直径が12cmの正常なディスクDが正常に搬入されていると判断する。検知出力の組み合わせが前記の順番で遷移しないとき、例えば、「レベル(1)」から「レベル(3)」に飛んだとき、または「レベル(3)」から「レベル(2)」へ戻ってしまったときなどは、その時点で「搬入異常」と判断する。
光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力の組み合わせが「レベル(0)」「レベル(1)」「レベル(2)」「レベル(3)」の順番で遷移して「レベル(4)」となり、さらに、搬入されているディスクDが位置決め部材に当たって搬送モータMの動力伝達経路がスレット機構に切換えられ、光ヘッド17が外周方向へ移動して、リミットスイッチ18がONからOFFに切換えられたときに、制御部21では「正常搬入動作完了」と判断する。
図3のフローチャートは、通常搬入動作における検知動作をさらに詳しく説明しており、図4はディスクの搬出時の検知動作をさらに詳しく説明している。以下のフローチャートでは、各ステップを「ST」の符号で示している。
挿入側検知部10のそれぞれの光学検知器11A,11B,11C,11Dでは、発光素子が常時点灯しているが、受光素子の検知出力は、制御部21において一定の周期で間欠的に読み出される。このとき、全ての光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力が、制御部21で同時に取得される。図3では、受光素子の検知出力の間欠的な取得(監視)の周期をTaで示している。この周期Taは、5〜15(msec)程度であり、例えば8(msec)である。
図3に示す通常搬入動作では、ST1(ステップ1)において、搬送モータMが始動してローラ軸8と搬送ローラ9とが回転し始めて搬入動作が開始されると、ST2で、制御部21内のタイマーが始動させられる。
ST3において、未だ「正常搬入動作完了」と判断されていないときには、ST4で、挿入側検知部10の全ての光学検知器11A,11B,11C,11Dの受光素子から検知出力を取得(監視)し、検知出力が図2に示す「レベル(1)」「レベル(2)」「レベル(3)」「レベル(4)」の順番で遷移しているか否かの判断を行う。検知出力が正常な順番で遷移しているときは正常な搬入動作が継続されていると判断し、検知出力が「レベル(1)」「レベル(2)」「レベル(3)」「レベル(4)」の順番で遷移していないときには、前述のように「搬入異常」と判断する。
ST4において、「搬入異常」と判断されないときは、ST3に戻って「正常搬入動作完了」と判断されるまで搬入動作を継続する。ST4において「搬入異常」と判断されたときは、ST5において、挿入側検知部10からの検知出力の取得周期(監視周期)であるTa(msec)の時間を空けてから、ST6で、挿入側検知部10からの検知出力が「搬入異常」であるか否かを判断する。前記ST4からST10にかけて、Ta(msec)の周期を空けて、挿入側検知部10からの検知出力が4回取得され、4回の取得で連続して「搬入異常」であると判断されたら、ST11において「異常検出確定」と判定する。「異常検出確定」と判定されたら、ST12に移行し、搬送モータMを停止して、搬入動作が停止させられる。
ST4、ST6、ST8、ST10の4回の検出出力のいずれかにおいて、「搬入異常」ではなく正常な搬入動作を継続していると判断されたときには、そのまま搬入動作が継続され、ST3において「正常搬入動作完了」と判断されたとき、すなわち、挿入側検知部10からの検知出力が「レベル(1)」「レベル(2)」「レベル(3)」「レベル(4)」の順番で遷移し、且つリミットスイッチ18がOFFとなったときに、ST12に移行して搬入動作が停止させられる。
次に、図4に示す搬出処理ST20の処理動作について説明する。
搬出処理ST20では、ST21で搬送モータMが始動し、ローラ軸8と搬送ローラ9とが、ディスクを搬出する方向へ始動させられる。そして、ST22でタイマーが始動する。ST23では、搬入側検知部10の各光学検知器11A,11B,11C,11Dの受光素子からの検知出力を同時に取得し、ディスクDが所定の「搬出完了位置」に至ったか否かを判断する。
図1に示すように、直径が12cmの正常なディスクDが正常に搬入されて、回転テーブル6上に正常にクランプされているとき、光学検知器11Dの検知出力は、常に「検知状態」を継続する。制御部21では、ディスクDの搬出動作において、光学検知器11Dが「検知状態」から「非検知状態」に切り換わったときに、ディスクDが「搬出完了位置」へ移動したと判断する。あるいは、光学検知器11Cが「検知状態」から「非検知状態」に切り換わったときに、または光学検知器11Cと光学検知器11Dの双方が共に「検知状態」から「非検知状態」に切り換わったときに、ディスクDが「搬出完了位置」に至ったと判断してもよい。
図4のST23において、ディスクDが「搬出完了位置」まで搬出されたと判断したときには、所定の取得周期(監視周期)であるTb(msec)の時間を空けて、ST24で再び検知出力を取得し、「搬出完了位置」が継続しているか否かを判別する。ST23からST27では、取得周期であるTb(msec)の時間を空けて、挿入側検知部10からの検知出力を3回取得する。この3回の取得の全てにおいて、「搬出完了位置」が連続しているときに、ディスクDが正常な「搬出完了位置」に至っていると判断し、ST28において搬送モータMを停止して、ディスクDの搬出動作を停止する。
ST28により、搬出動作を停止をしたときに、「搬出完了位置」に至ったディスクDのY1側の端部は、停止している搬送ローラ9と摺動パッドとで挟まれており、挿入口からY2方向へ突出しているディスクDが脱落するのを防止できる。
なお、ST23、ST25、ST27の3回の検知出力の取得時のいずれかにおいて、「搬出完了位置」に至っていないと判断したときは、搬送モータMを駆動し続けて、ディスクDの搬出動作を継続する。
搬出動作のときの、検知出力の取得周期であるTbは、5〜15(msec)程度であり、例えば前記Taと同じ時間である8(msec)である。
また、ST21で搬出を開始してから一定時間のガードタイムが設定され、ガードタイム内でディスクDが搬出完了位置に至らないときには、搬出動作を停止させて、機構エラーと認識して処理を終了する。あるいは、ガードタイム内でディスクDが搬出完了位置に至らないときには、さらに搬入動作と搬出動作を繰り返すリトライを行ってもよい。
図3の搬入動作では、ST4ないしST10おいて、一定の周期Ta(msec)の、4回の検知出力の取得タイミングで、連続して「搬入異常」と判断されたときにのみ、「異常検出確定」と判断することによって、正常なディスクの正常な搬入動作を、「異常搬入」と誤って判断する確率を低下させている。同様に、図4に示す搬出動作においても、ST23ないしST27において、一定の周期Tb(msec)の、3回の検知出力の取得タイミングで、3回連続して「搬出完了位置」と判断されたときに搬出動作を停止させることによって、ディスクDが未だ「搬出完了位置」に至っていないにもかかわらず、誤って搬出動作が停止させられる誤動作の発生を生じにくくしている。
このディスク装置1では、挿入側検知部10に設けられた4個の光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力が、図2に示す組み合わせの遷移である「レベル(0)」「レベル(1)」「レベル(2)」「レベル(3)」「レベル(4)」を順番に辿るか否かを、制御部21で判断することによって、直径が12cmの正常なディスクが正常に搬入されているか判定している。したがって、前記光学検知器11A,11B,11C,11Dの少なくとも1個が誤動作したり故障すると、図2に示す各レベルの判別ができなくなり、正常なディスクが挿入されたときであっても、正常でない異物であると判断されて排出されてしまう。
そこで、このディスク装置1では、制御部21において、光学検知器11A,11B,11C,11Dが正常に動作しているかを確認できるようにしている。この確認動作により、いずれかの光学検知器が正常に動作していないと認識したときには、図2に示す各レベルの判断の際に、誤動作などしている光学検知器からの検知出力を、レベルの判断の対象として無視するなどの対応が可能になる。
例えば、光学検知器11Dが故障しているときには、「レベル(2)」「レベル(3)」「レベル(3)」の判定のときに、光学検知器11Dが検知状態であろうと非検知状態であろうと、他の光学検知器11A,11B,11Cからの検知出力を使用して各レベルに至っているか否かを判別する。例えば、光学検知器11Aのみが「検知状態」のときに、「レベル(1)」から「レベル(2)」を辿っていると判断する。また、光学検知器11Aと光学検知器11Bが共に「検知状態」のときには、「レベル(2)」から「レベル(3)」を辿っていると判断する。
この判断により、光学検知器が正常に動作していなくても、正常なディスクDを筐体2の内部に搬入させることができる。また、正常でないディスクや、カードなどの異物が挿入されたときには、正常に動作している光学検知器のみを使用して図2に示すレベル判別を行うことにより、高い確率で、これらの搬入を拒否して搬出することができる。
また、光学検知器11Aと光学検知器11Bの双方が故障状態であると、ディスクDが挿入口から挿入されたときに、ディスクDの挿入を検知できなくなる。この場合は、制御部21は光学検知器11Cと光学検知器11Dのいずれか一方が「検知状態」となったら、搬送モータMを始動し、ローラ軸8と搬送ローラ9を搬入方向へ始動するように制御する。
また、ディスクDを搬出するときに、光学検知器11Dが非検知状態になったときに、ディスクDが搬出完了位置に至ったと判断している場合に、この光学検知器11Dが故障であると認識したときには、光学検知器11Cが非検知状態になったときに、ディスクDが搬出完了位置に至ったと判断すればよい。
すなわち、制御部21においてどの光学検知器が誤動作や故障状態であるかを知ることによって、図2に示す正常なディスクが正常に搬入されているか否かの判定の基準を変更したり、故障した光学検知器が行っていた検知機能を、他の正常に動作している光学検知器に割り振るなどの対応が可能になる。
図5(A)(B)は、光学検知器11A,11B,11C,11Dに設けられている受光素子が、発光素子からの光を検知していないにもかかわらず、光を検知しているのと同じ検知出力を出してしまう誤動作や故障を発見するための確認動作を示している。
図5(A)(B)の確認動作を行うことにより、ディスクDが回転テーブル6に保持されて、ディスクDの再生動作を行っている途中で、いずれかの光学検知器が誤動作しまたは故障したとき、またはディスクDが回転テーブル6に保持されたまま長時間放置され、その間にいずれかの光学検知器が誤動作しまたは故障したときに、これを検知できる。
図5(A)の確認処理ST30では、ST31において「正常搬入動作完了」であるか否かを判断する。「正常搬入動作完了」であるか否かは、図3のST3において判断される。ST31において「正常搬入動作完了」であると判断され、すなわち、正常なディスクDが正常に搬入されて回転テーブル6に保持されていると判断されているときに、ST32以下の確認動作が行なわれる。ST32以下の確認動作は、ディスクDに記録されている情報の読み取りを終了する毎に行われ、またはイジェクト操作釦が操作されてディスクの搬出要求が出る毎に、その搬出動作を行う直前に実行される。
ST32では、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが「検知状態」すなわち、全ての光学検知器の受光素子が発光素子からの光を検知していない状態であるか否かを判断する。
図1に示すように、直径が12cmの正常なディスクDが回転テーブル6に保持されているときには、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てがディスクDに対向しており、全ての光学検知器が検知状態となるはずである。よって、ST32において、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが検知状態であると判断されると、全ての光学検知器が正常であると判断できるため、ST33に移行して処理を終了する。
ST32において、光学検知器11A,11B,11C,11Dのいずれかが「非検知状態」となっているときは、ST34に移行する。直径が12cmの正常な寸法のディスクDであって、外周部の一部が損傷していたり、または一部に透明な部分があるものであっても、図2に示す各レベルの判定を通過すれば、回転テーブル6に保持される。このディスクDの回転が停止したときに、損傷部や透明部が偶然にいずれかの光学検知器に対向すると、その光学検知器が「非検知状態」になる。そこで、ST34では、モータで回転テーブル6を始動してディスクDを回転させる。ST35では、ディスクDの回転時間が予め設定された時間を経過したか否か判断される。この時間を経過すると、ST36においてディスクDの回転が停止させられる。
そして、ST37において、ディスク回転前に「非検知状態」になっていた光学検知器からの検知出力が「検知状態」に変わったか否かを確認する。検知出力が「検知状態」に変化すれば、回転前は欠損部や透明部がその光学検知器に対向していた確率が高く、光学検知器そのものは正常に動作していると判断できる。よって、ST33で処理を終了する。
前記ST37において、光学検知器の検知出力がディスク回転前と同じであるときには、ST38に移行し、ディスク回転前に「非検知状態」を出力していた光学検知器が正常に動作していないと認識する。
図5(B)に示す確認動作ST40は、イジェクト操作釦が操作されて、回転テーブル6に保持されているディスクDが排出される毎に行われる。
ST41において、「正常搬入動作完了」であると認識しているときに、ST42において、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが「検知状態」であるときは、ST43で処理を終了する。よって、ディスクDの搬出動作は、図4に示す通常の検知動作に基づいて行われる。
ディスクDの搬出を行う前のST42において、光学検知器11A,11B,11C,11Dのいずれかが「非検知状態」になっているときには、ST44に移行し、搬送ローラ9を搬出方向へ回転させて、ディスクDを挿入口へ向けて搬出する。このときは、ST45でタイマーを始動し、ST46で、ディスクDの搬出時間を計数し、搬出時間が所定時間を経過したらST47で搬送ローラ9を停止する。このとき、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てがディスクDに対向している位置で搬送ローラ9を停止させる。すなわち、図4に示すように光学検知器11Dの検知出力に基づいてディスクDを停止させるときの搬出完了位置よりも、やや筐体2内へ寄った位置でディスクDを停止させる。
そして、ST48で、排出前に「非検知状態」であった光学検知器の検知出力が「検知状態」に変化していたら、その光学検知器が正常に動作していると判断し、ST43で処理を完了する。ST48において、光学検知器の検知出力が変化していなかったら、ST49において、その光学検知器が誤動作しておりまたは故障していると認識する。
図6と図7は、光学検知器11A,11B,11C,11Dに設けられた受光素子に、発光素子から発せられている光が当たっているのにもかかわわらず、発光素子から光を受光した出力が得られない誤動作または故障を検知するための確認動作を示している。
図6の確認動作を行うことにより、ディスクDが回転テーブル6に保持されて、ディスクDの再生動作を行っている途中で、いずれかの光学検知器が誤動作しまたは故障したとき、またはディスクDが回転テーブル6に保持されたまま長時間放置され、その間にいずれかの光学検知器が誤動作しまたは故障したときに、これを検知できる。
図6に示す確認動作ST50では、ST51においてイジェクト釦が操作されて搬出要求が出されると、ST52において、搬出処理を実行し、ディスクDの回転テーブル6での保持を解除し、搬送ローラ9と摺動パッドとでディスクDを挟持し、ST52で搬送モータMを始動し搬送ローラ9を搬出方向へ回転させて、ディスクDを搬出させる。ST53では、図4に示す処理動作で、ディスクDの搬出完了検知ができたか否かを確認する。図4に示す搬出完了検知では、ディスク搬出時に光学検知器11Dが「検知状態」から「非検知状態」に切り換わったときに、ディスクが搬出完了位置に至ったと判断され、搬送ローラ9が停止する。よって、ST53において、図4に示す搬出完了検知ができたということは、光学検知器11Dが、誤動作しておらずまたは故障しておらず、正常に動作しているということである。
ST53において搬出完了検知が正常に行われると、ST54では、ディスクDが挿入口から突出した状態で停止し、筐体2内で、ディスクDのY1側の周縁部が搬送ローラ9と摺動パッドとで挟持されている。
このとき、ST55においてタイマーを始動し、ST56において、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全が「非検知状態」となるか否かを監視する。操作者が、挿入口から突出しているディスクDを手で保持して引き抜けば、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが「非検知状態」となるはずである。ST56において、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが「非検知状態」になったら、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てにおいて、受光素子が発光素子からの光を正常に検知して正常に動作していると判断できる。よってST57で処理を終了する。
ST58において、タイマーによる計測時間が経過した後であっても、ST56において、全ての光学検知器が非検知状態になったと判断できず、光学検知器11D以外のいずれかの光学検知器が検知状態であったとすると、その光学検知器は、受光素子が光を正常に検知しておらず、誤動作や故障状態であると判断できる。ST59では、その光学検知器が誤動作しているまたは故障していると認識して処理を終了する。
なお、このディスク装置1では、ST54において、正常に搬出されたディスクが搬出完了位置に停止しているときに、停止後の一定の時間が経過しても、ディスクDが挿入口から引き抜かれないときには、搬送モータMが始動し、搬送ローラ9が回転して、ディスクDが再び筐体2の内部に搬入されて、回転テーブル6で保持される。よって、ST55のタイマーで計測される時間は、前記一定の時間よりも長いことが好ましい。ディスクDが筐体2の内部に引き込まれる時間を経過してもなお、光学検知器11D以外のいずれかの光学検知器が「検知状態」を継続していれば、その光学検知器は正常に動作していないと判断できる。
次に、図6のST53において、図4に示す搬出完了検知ができないときは、ST61で、機構の動作がエラー状態であると認識する。光学検知器11Dが故障しているときの前記エラーでは、ディスクDが搬出完了位置で停止できず、ディスクDが挿入口から脱落している可能性が高い。または、搬送機構4の故障によるエラーの場合は、ディスクDが搬出完了位置まで移動できずに、ディスクDが少し挿入口から突出した状態で停止している可能性がある。
この場合、ST62でタイマーによる時間の計測を開始し、ST63において、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが「非検知状態」となるか否かを監視する。ディスクDが挿入口から落下した場合は、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが非検知状態になっているはずである。また、タイマーの計測時間内に、ディスクDが手で保持されて引き抜かれれば、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが非検知状態になっているはずである。よって、ST63において、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが非検知状態になっているときは、全ての光学検知器の受光素子が光を正常に検知していると判断し、ST57で処理を終了する。
ST62でのタイマーの計測時間は、操作者がその間に挿入口からディスクを引き抜くであろうと予測される十分に長い時間が設定される。ST64において、この時間が経過した後にも、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが非検知状態になっておらず、いずれかの光学検知器が「検知状態」となっていれば、ST65ではその光学検知器が誤動作しているまたは故障していると認識する。
図7に示す確認動作ST70は、ST71において「異常検出確定」と判断されたときに実行される。「異常検出確定」となっているか否かは、図3のST11に至ったか否かにより判断される。すなわち、ST71において、搬入しているディスクDが正常なものではなく、小径のディスクやカードなどの異物であると判断されると、「異常検出確定」となり、ST72で、ディスクや異物が搬出される。
その後、ST73において、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが非検知状態になるか否かを監視する。全てが非検知状態になると、ディスクや異物が挿入口から取り去られたと判断できるが、全ての光学検知器が非検知状態であるということは、全ての光学検知器の受光素子が発光素子からの光を正常に検出しているということである。この場合、全ての光学検知器が正常に動作していると判断できるため、ST74で処理を終了する。
ST73で、光学検知器11A,11B,11C,11Dの全てが非検知状態にならないときは、ST75において、小径のディスクや異物が挿入口で停止していると判断する。このとき、ST76でタイマーによる時間計測を開始し、ST77においてその計測時間内に全ての光学検知器が非検知状態になるか否かを監視する。全ての光学検知器が非検知状態になると、全ての光学検知器が正常に動作していると判断できるため、ST77でタイマーをクリアし、ST74で処理を終了する。
ST76では、挿入口に位置する小径ディスクや異物が手で保持されて取り去られるであろうと予測される十分な時間が設定される。ST79において、その時間が経過してもなお、全ての光学検知器が非検知状態とならず、いずれかの光学検知器が検知状態であるときは、ST80において、その光学検知器が誤動作しているまたは故障していると認識する。
次に、このディスク装置1の「通常搬入動作」では、制御部21が挿入側検知部10に設けられている4個の光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力を監視し、この光学検知器の検知出力が、図2に示す「レベル(0)」「レベル(1)」「レベル(2)」「レベル(3)」「レベル(4)」の順に遷移しない限り、正常なディスクではなく異物であると判断されて挿入口に搬出される。
ただし、制御部21は「強制搬入動作」を実行させることができる。この強制搬入動作は、光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力を無視した搬入動作であり、直径が8cmの小径ディスクや、直径が12cmであるが一部が透明であるために、通常搬入動作では異常検出確定と判定されてしまうディスクであっても搬入させることができる。さらには、光学検知器11A,11B,11C,11Dのいずれかが故障しており、図2に示すレベル判定を正常に行えないときにも、正常なディスクを搬入させることができる。
図8に示す強制搬入動作ST90では、ST91において、ディスクが挿入口から挿入されたことが検知されると、搬送モータMが始動し、ローラ軸8と搬送ローラ9とが搬入方向へ駆動されて、ディスクが筐体2の内部に搬入される。
このとき、通常搬入動作と同様に、図1に示す光学検知器11Aまたは光学検知器11Bのいずれかが検知状態となったときに、搬送モータMが搬入方向へ始動する。ただし、前記確認動作により、制御部21において、光学検知器11Aと光学検知器11Bが誤動作しているまたは故障していると認識されているときには、強制搬入動作においても、他の正常に動作している光学検知器11Cと光学検知器11Dのいずれかが検知状態になったときに、搬送モータMを始動して、ディスクDを筐体2内に搬入させることができる。
図8に示すST92では、強制搬入動作のガードタイムの計測を開始する。その後は、光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力を無視し、制御部21は、ST93において、図1に示すリミットスイッチ18(搬入完了検知部)の検知出力のみを監視する。ST93において、リミットスイッチ18がOFFになったら、ディスクDが回転テーブル6で保持可能な位置に装填されたと判断し、ST94で搬送モータMを停止させ、ST95で処理を完了する。
ST93においてリミットスイッチ18がOFFとならずに、ST96でガードタイムが経過すると、ST97で搬送モータMを停止する。このときは、ST98において機構がエラー状態であると認識する。そのまま搬送モータMを停止させたままにしてもよいし、あるいは搬送モータMを逆転させて、ディスクを強制的に挿入口に搬出させてもよい。
強制搬入動作で搬入されて回転テーブル6に保持されたディスクDは、回転テーブル6と共に回転させて、光ヘッド17により情報の読み取り動作を行い、また情報の記録動作を行うことができる。
強制搬入動作で搬入されたディスクDを搬出するときの制御動作は、通常搬入動作のときの制御と同じである。すなわち、図4の制御処理により、光学検知器11Dの検知出力が非検知状態に切り換わったら、ディスクDが搬出完了位置に至ったと判断し、搬送モータMが停止させられる。
なお、前記確認動作により、光学検知器11Dが誤動作を生じているかまたは故障であると判断されているときには、搬出動作において、光学検知器11D以外の、正常に動作している光学検知器11C,11A,11Bのいずれかの検知出力を監視し、その検知出力が非検知状態に切り換わったときに、ディスクDが搬出完了位置に至ったと判断してもよい。
図9は、光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力に基づいて、図2に示すレベル判定により正常なディスクのみを搬入する「通常搬入動作」と、前記「強制搬入動作」とを切換える動作制御を示している。
図9に示す処理動作ST101では、電源を投入したときには、ST102において通常搬入動作に設定されている。ST103では、図5ないし図7に示す確認動作により、光学検知器11A,11B,11C,11Dのいずれかに誤動作や故障が確認されたか否かが監視されている。いずれの光学検知器にも異常がない場合は、通常搬入動作のみを実行する。ただし、ST104では、操作部に設けられたいずれかの操作釦を長時間押し、またはいずれか複数の操作釦を組み合わせて押すことで、あるいは操作部に現れていない隠しスイッチを操作することで、搬入動作モードの切換え要求を与えることができる。
ST105では、前記切換え要求が出されたときに、強制搬入動作が設定される。すなわち、光学検知器11A,11B,11C,11Dが正常に動作しているときに、手動で、強制搬入動作を設定することができる。この強制搬入動作を設定することにより、通常搬入動作では搬入させることができない直径が8cmのディスクや、直径が12cmであるが、外周部に損傷部を有していたり、または透明な部分が有って、通常搬入動作では搬入できない確率の高いディスクDを搬入し、回転テーブル6に保持させて、情報の再生動作などを行うことが可能になる。
ST103において、光学検知器11A,11B,11C,11Dのいずれかが誤動作しているまたは故障していると認識したときには、ST106に移行して、自動的に強制搬入動作が設定される。この設定により、光学検知器が故障し、図2に示すレベル確認ができない状態になっていたとしても、正常なディスクを搬入させ、回転テーブル6で保持させることが可能となる。
なお、光学検知器が故障状態のときであっても、ST107において、ST104と同じ操作で、ST108における通常搬入動作の設定が可能である。