図1は本発明の実施の形態のディスク装置の概要を示す平面図、図2は検知部の検知動作の遷移を示す説明図である。図3はディスクの搬入動作を示すフローチャート、図4はディスクの搬出動作を示すフローチャートである。
図1に示すディスク装置1は車載用であり、六面体の箱形状の筐体2を有している。筐体2は自動車の室内のインストルメントパネル内に埋設され、筐体2の前面3に設けられた化粧パネル部(図示せず)が、インストルメントパネルに現れる。化粧パネル部および前面3には、左右方向(X1−X2方向)に細長く延びるスリット状の挿入口(図示せず)が開口している。図1では、挿入口を左右方向に二分して筐体2の前後方向(Y1−Y2方向)に延びる中心線を、O−Oで示している。
筐体2の内部には回転駆動部4が設けられている。回転駆動部4は、回転軸5を有するスピンドルモータと、回転軸5の先端部に固定された回転テーブル6を有している。回転テーブル6は、ディスクDの下面が設置される支持面6aと、支持面6aの中心部から突出して、ディスクDの中心穴Da内に嵌入される凸部6bとを有している。また、回転駆動部4には、凸部6bが中心穴Da内に嵌入した状態で、ディスクDの下面を支持面6aに押し付けるクランパ(図示せず)が設けられている。
筐体2の前面3の内側には搬送機構7が設けられている。搬送機構7には、軸方向が左右方向(X1−X2方向)に延びるローラ軸8と、ローラ軸8の外周に装着された合成ゴム製の搬送ローラ9とが設けられている。筐体2の内部には搬送モータMが設けられ、搬送モータMの動力により、ローラ軸8および搬送ローラ9が、ディスク搬入方向と搬出方向に向けて回転させられる。搬送機構7には、搬送ローラ9に対向する合成樹脂製の摺動パッドが設けられ、搬送ローラ9が弾性部材で付勢されて摺動パッドに弾圧されている。挿入口から挿入されるディスクDは、搬送ローラ9と摺動パッドとで挟まれて、搬送ローラ9の回転力で搬送される。
筐体2の前面3と搬送機構7との間には、挿入側検知部10が設けられている。挿入側検知部10では、4箇所に光学検知器11A,11B,11C,11Dが設けられている。光学検知器11Aないし11Dのそれぞれは、搬入されるディスクDの一方の面側に発光ダイオードなどの発光素子が配置され、他方の面側にフォトトランジスタなどの受光素子が配置されている。発光素子と受光素子との間にディスクDが存在していないときは、発光素子から発せられた光が受光素子で検知されて受光素子の検知出力がONになり、発光素子と受光素子との間にディスクDが存在していると、発光素子から発せられる光がディスクDで遮られて受光素子の検知出力がOFFとなる。
光学検知器11Aないし11Dのそれぞれは、受光素子からの検知出力がONのときが、ディスクを検知していない「非検知状態」であり、受光素子からの検知出力がOFFのときが、ディスクの存在を検知している「検知状態」である。
挿入側検知部10では、光学検知器11Aと光学検知器11Cが中心線O−OよりもX1側に位置し、光学検知器11Bと光学検知器11Dが中心線O−OよりもX2側に位置している。そして、光学検知器11Aが前面3に最も近い位置にあり、それよりも奥側(Y1側)に光学検知器11Bが配置され、それよりも奥側に光学検知器11Cが配置され、最も奥側に光学検知器11Dが配置されている。
最もX1側に位置している光学検知器11Cと、最もX2側に位置している光学検知器11Dの左右方向の間隔は、12cm以下で且つ8cmよりも長く設定されている。
また、直径が12cmの正常なディスクDの中心穴Daが、回転テーブル6上に正常に装填されたときに、光学検知器11Aないし11Dのそれぞれが、ディスクDの外周縁よりも内側で且つディスクDの外周部に対向し、全ての光学検知器11Aないし11Dが「検知状態」となる。また、仮に直径が8cmのディスクが回転テーブル6の上に保持されると、光学検知器11Aないし11Dの全てがディスクから外れ「非検知状態」となる。
筐体2内には、回転テーブル6上に保持されたディスクDの記録面に対向する光ヘッド17が設けられている。光ヘッド17には対物レンズ17aが設けられている。光ヘッド17内の発光素子から発せられた検知光は、対物レンズ17aによって、ディスクDの記録面に集光される。ディスクDの記録面で反射された検知光は、対物レンズ17aで補足され、光ヘッド17の内部の受光素子で検知される。この検知動作によって、ディスクDの記録面に記録された情報が読み取られる。
筐体2内には、一対のガイド部材16a,16bが平行に設けられ、光ヘッド17はガイド部材16a,16bに案内されて移動する。このとき、対物レンズ17aが、ディスクDの半径方向に沿って移動する。また、光ヘッド17をディスクDの記録面の内周側と外周側との間で移動させるスレッド機構が設けられており、このスレッド機構は搬送モータMによって駆動される。
また、光ヘッド17がその移動範囲の一端である内周側の端部に移動したときに動作させられる検知レバー19と、検知レバー19によって動作させられるリミットスイッチ18とが設けられている。
このディスク装置1では、ディスクDが挿入口に挿入されると、搬送モータMが始動し、搬送機構7の搬送ローラ9によって、ディスクDがY1方向へ搬送される。ディスクDの中心穴Daが回転テーブル6上に至ると、ディスクDの外周縁が位置決め部材に当たり、この位置決め部材がディスクDの外周縁に押されて動作することで、図示しない動力伝達機構が切換えられて、搬送モータMからローラ軸8への動力の伝達が断たれ、搬送モータMの動力がスレッド機構に伝達されて、光ヘッド17が図1に示す最内周側の移動端部から外周方向へ移動させられる。このとき、光ヘッド17が検知レバー19から離れ、リミットスイッチ18がONからOFFに切換えられる。制御部21では、リミットスイッチ18がONからOFFに切換えられたことで、ディスクDが回転テーブル6上に正常に保持できる位置へ至ったと判断する。つまり、リミットスイッチ18が、ディスクDの装填完了検知部として機能している。
ディスクDが回転テーブル6に保持されると、搬送ローラ9がディスクDから離れ、回転テーブル6と共にディスクDが回転させられる。また、搬送モータMによってスレッド機構が動作させられ、光ヘッド17がディスクDの記録面に沿って移動し、情報の再生や記録動作が行われる。
逆に、ディスクDを搬出するときは、搬送モータMによってスレッド機構が駆動され、光ヘッド17が、図1に示す内周側の終端まで移動させられて、光ヘッド17で検知レバー19が押され、リミットスイッチ18がONに切換えられる。このときに、搬送モータMの動力のスレッド機構への伝達が断たれ、その動力がローラ軸8に伝達される。そして、搬送ローラ9がディスクDに接触し、搬送ローラ9が搬出方向へ駆動される。また、ディスクDの回転テーブル6へのクランプが解除されて、ディスクDが挿入口へ向けて搬出される。
挿入側検知部10に設けられた光学検知器11A,11B,11C,11Dのそれぞれの検知出力は、検出部(検出回路)22により検出されて、CPUを主体としメモリなどを有する制御部21に与えられる。また、リミットスイッチ18の検知出力も制御部21に与えられる。そして、搬送モータMは制御部21により駆動制御される。
次に、ディスクDが搬入されるときの挿入側検知部10による検知動作を説明する。
ディスク装置1では、直径が12cmのCD(コンパクト・ディスク)やDVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)あるいはCD−ROMなどのディスクDが挿入されたときに、そのディスクDが搬入されて回転テーブル6にクランプされる。ただし、それ以外の例えば直径が8cmの小径ディスクなどが挿入されると、異物であると判別されて排出される。
制御部21では、挿入側検知部10における光学検知器11Aないし11Dからの検知出力の変化の遷移によって、正常なディスクDが正常に搬入されているか否かが判別される。図2は、直径12cmの正常なディスクDが搬入されるときの、それぞれの光学検知器11Aないし11Dの検知出力の遷移を説明している。図2では、それぞれの光学検知器11Aないし11Dの配置を模式的に示すとともに、ディスクDを検知している「検知状態」の光学検知器にハッチングを付している。
図2に示すように、直径が12cmの正常なディスクDが、搬送機構7によって正常に搬入されて、ディスクDの中心穴Daが回転テーブル6の上に装填されるときには、光学検知器11Aないし11Dの検知出力の組み合わせが、「レベル(0)」「レベル(1)」「レベル(2)」「レベル(3)」「レベル(4)」の順番で遷移する。
「レベル(0)」は、ディスクDが、未だ挿入口から挿入されていない状態であり、全ての光学検知器11Aないし11Dが「非検知状態」である。
「レベル(1)」では、光学検知器11Aまたは11Bのいずれか一方が、「非検知状態」から「検知状態」に切り換わる。この「レベル(1)」に至ったとき、制御部21でディスクDが挿入されたと判断し、搬送モータMを始動して、ローラ軸8および搬送ローラ9がディスクDを搬入する方向へ回転させられる。
「レベル(1)」と判断されるのは上記の2通りだけであり、「レベル(0)」の次に、光学検知器11Cのみが「検知状態」となったときや、光学検知器11Dのみが「検知状態」となったときは、その時点で「搬入異常」と判断される。
「レベル(2)」では、光学検知器11Aと11Bが共に「検知状態」となる。または、光学検知器11Aと11Cが共に「検知状態」となり、あるいは、光学検知器11Bと11Dが共に「検知状態」となる。「レベル(2)」と判断されるのはこの3通りだけであり、光学検知器11Aと11Dの2つだけが共に「検知状態」となったり、光学検知器11Bと11Cの2つだけが共に「検知状態」となったり、または、光学検知器11Cと11Dの2つだけが共に「検知状態」となったときは、その時点で「搬入異常」と判断する。
「レベル(3)」では、光学検知器11Aと11B及び11Cの3つが「検知状態」となる。または、光学検知器11Aと11B及び11Dの3つが「検知状態」となる。「レベル(3)」と判断されるのはこの2通りだけであり、光学検知器11Cと11D及び11Aの3つのみが共に「検知状態」となったとき、または、光学検知器11Cと11D及び11Bの3つのみが共に「検知状態」となったときは、その時点で「搬入異常」と判断する。
「レベル(4)」では、光学検知器11Aないし11Dの全てが同時に「検知状態」となる。
制御部21では、挿入側検知部10の光学検知器11Aないし11Dの検知出力の組み合わせが、「レベル(0)」→「レベル(1)」→「レベル(2)」→「レベル(3)」→「レベル(4)」の順番で遷移しているときに、直径が12cmの正常なディスクDが正常に搬入されていると判断する。検知出力の組み合わせが前記の順番で遷移しないとき、例えば、「レベル(1)」から「レベル(3)」に飛んだとき、または「レベル(3)」から「レベル(2)」へ戻ってしまったときなどは、その時点で「搬入異常」と判断する。
光学検知器11Aないし11Dの検知出力の組み合わせが「レベル(0)」→「レベル(1)」→「レベル(2)」→「レベル(3)」の順番で遷移して「レベル(4)」となり、さらにディスクDが所定の位置まで搬入され、スレッド機構が始動して、装填完了検知部として機能するリミットスイッチ18がONからOFFに切換えられた時点で、回転テーブル6上にディスクDが正常に装填されたことが検知され、制御部21では「正常搬入動作完了」と判断する。
図3のフローチャートは、ディスクDが搬入されるときの制御部21での制御動作を示している。以下の各フローチャートでは、各ステップを「ST」の符号で示している。
挿入側検知部10のそれぞれの光学検知器11A,11B,11C,11Dでは、発光素子が常時点灯しているが、受光素子の検知出力は、制御部21において一定の周期で間欠的に読み出される。このとき、全ての光学検知器11Aないし11Dの検知出力が制御部21で同時に取得される。図3では、受光素子の検知出力の間欠的な取得(監視)の周期をTaで示している。周期Taは5〜15(msec)程度であり、例えば8(msec)である。
図3に示す搬入動作では、ST1(ステップ1)において、搬送モータMが始動してローラ軸8と搬送ローラ9とが回転し始めて搬入動作が開始されると、ST2で、制御部21内のタイマーが始動させられる。
ST3において、未だ「正常搬入動作完了」と判断されていないときには、ST4で、挿入側検知部10の全ての光学検知器11Aないし11Dの受光素子から検知出力を取得し、検知出力が図2に示す「レベル(1)」→「レベル(2)」→「レベル(3)」→「レベル(4)」の順番で遷移しているか否かの判断を行う。この正常な順番で検知出力が遷移しているときは正常な搬入動作が継続されていると判断し、検知出力が「レベル(1)」→「レベル(2)」→「レベル(3)」→「レベル(4)」の順番で遷移していないときには、前述のように「搬入異常」と判断する。
ST4において、「搬入異常」と判断されないときは、ST3に戻って「正常搬入動作完了」と判断されるまで搬入動作を継続する。ST4において「搬入異常」と判断されたときはST5に移行する。ST5において、挿入側検知部10からの検知出力の取得周期(監視周期)であるTa(msec)の時間を空けてから、ST6で、再び挿入側検知部10からの検知出力が「搬入異常」であるか否かを判断する。ST4からST10にかけて、Ta(msec)の周期を空けて、挿入側検知部10からの検知出力が4回取得され、4回の取得で連続して「搬入異常」であると判断されたら、ST11において「異常検出確定」と判定する。「異常検出確定」と判定されたら、ST12に移行し、搬送モータMを停止して、搬入動作が停止させられる。
ST4、ST6、ST8、ST10の4回の検出出力のいずれかにおいて、「搬入異常」ではなく正常な搬入動作を継続していると判断されたときには、ST3に戻ってそのまま搬入動作が継続される。ST3において「正常搬入動作完了」と判断されたとき、すなわち、挿入側検知部10からの検知出力が「レベル(1)」→「レベル(2)」→「レベル(3)」→「レベル(4)」の順番で遷移し、且つ図1に示すリミットスイッチ18がONからOFFに切換えられたら、ST12に移行して搬入動作が停止させられる。
その後、ディスクDの中心が回転テーブル6に設置されてクランパによりクランプされる。そして、搬送ローラ9がディスクDから離れる。
次に、図4は、ディスクを挿入口へ向けて搬出するときの動作制御を示すフローチャートである。
ディスクの搬出処理では、ST21の搬出開始で、搬送ローラ9がディスクDに当接してディスクDを搬送できる状態になるとともに、回転テーブル6でのディスクのクランプが解除される。そして、搬送モータMが始動し、ローラ軸8と搬送ローラ9とが、ディスクDを搬出する方向へ始動させられる。
ST22で、設定時間T1が設定されてタイマーが始動する。ST23では、搬入側検知部10の各光学検知器11A,11B,11C,11Dの受光素子からの検知出力を同時に取得し、ディスクDが所定の「搬出完了位置」に至ったか否かを判断する。
図1に示すように、直径が12cmの正常なディスクDが正常に搬入されて、回転テーブル6上に正常にクランプされているとき、光学検知器11Dの検知出力は、常に「検知状態」を継続する。制御部21では、ディスクDの搬出動作において、光学検知器11Dが「検知状態」から「非検知状態」に切り換わったときに、ディスクDが「搬出完了位置」へ移動したと判断する。あるいは、光学検知器11Cが「検知状態」から「非検知状態」に切り換わったときに、または光学検知器11Cと11Dの双方が共に「検知状態」から「非検知状態」に切り換わったときに、ディスクDが「搬出完了位置」に至ったと判断してもよい。
ST23において、ディスクDが「搬出完了位置」まで搬出されたと判断したときには、所定の取得周期(監視周期)であるTb(msec)の時間を空けて、ST24で再び検知出力を取得し、「搬出完了位置」が継続しているか否かを判別する。ST23からST27では、取得周期であるTb(msec)の時間を空けて、挿入側検知部10からの検知出力を3回取得する。この3回の取得の全てにおいて、「搬出完了位置」が連続しているときに、ディスクDが正常な「搬出完了位置」に至っていると判断し、ST28において搬送モータMを停止して、ディスクDの搬出動作を停止する。
ST28で、搬出動作を停止したときに、「搬出完了位置」に至ったディスクDのY1側の端部は、停止している搬送ローラ9と摺動パッドとで挟まれており、挿入口からY2方向へ突出しているディスクDが、不用意に脱落することを防止できる。
なお、ST23またはST25における検知出力の取得時のいずれかにおいて、「搬出完了位置」に至っていないと判断したときは、搬送モータMを駆動し続けて、ディスクDの搬出動作を継続する。
ST27における検知出力の取得時において、「搬出完了位置」に至っていないと判断したときはST29に移行する。ST29では、ST22で設定した設定時間T1が経過しているか否かが判断され、経過していない場合には、上記と同様に、搬送モータMを駆動し続けて、ディスクDの搬出動作を継続する。他方、設定時間T1を経過している場合には、ディスクDの搬出動作にエラーが生じ、その結果「搬出完了位置」に至ることができないと判断して、図5に示す搬出リトライ動作F3へ移行する。
図4のフローチャートに示されている、搬出動作のときの検知出力の取得周期であるTbは5〜15(msec)程度であり、例えばTaと同じ時間である8(msec)である。
図3の搬入動作では、ST4ないしST10おいて、一定の周期Ta(msec)の、4回の検知出力の取得タイミングで、連続して「搬入異常」と判断されたときにのみ、「異常検出確定」と判断することによって、正常なディスクDの正常な搬入動作を、「異常搬入」と誤って判断する確率を低下させている。同様に、図4に示す搬出動作においても、ST23ないしST27において、一定の周期Tb(msec)の、3回の検知出力の取得タイミングで、3回連続して「搬出完了位置」と判断されたときに搬出動作を停止させることによって、ディスクDが未だ「搬出完了位置」に至っていないにもかかわらず、誤って搬出動作が停止させられる誤動作の発生を生じにくくしている。
(搬出リトライ動作)
図4のST29において、設定時間T1を経過している場合には、図5に示す搬出リトライ動作F3へ移行する。
搬出リトライ動作F3では、まず、ST31のリトライ動作の開始処理で、搬出リトライ動作を行う回数N(たとえば3ないし5回程度)が設定される。さらにST31の開始処理で、搬送モータMが始動してローラ軸8と搬送ローラ9の搬入方向への動作が開始され、ディスクDが再び回転駆動部4に向けて搬入される。ST32では、搬送モータMの始動にタイミングを合わせ、制御部21内のタイマーで時間T2の計測が開始される。
ST33では、ディスクDの搬入動作が完了したか否かが判断される。ディスクDの搬入動作が完了したか否かは、図1に示すリミットスイッチ18がONからOFFに切換わったか否かで判断する。または、リミットスイッチがONからOFFに切換わった後に、ディスクDが回転テーブル6にクランプされ、このクランプ動作の完了が図示しない検知手段で検知されたときに、搬入動作が完了したと判断する。
搬入動作は、ST32で計測が開始された設定時間T2だけ継続されるが、ST33において、ディスクDの搬入動作が完了していないと判断されたまま、ST34において設定時間T2が経過すると、ST35に移行する。ST35では、ST31で設定された搬出リトライ動作の設定回数Nの残りの回数が1回以上残っているかどうか判断される。
ST35において、搬出リトライ動作の残りの回数が1回以上残っているときはST37に移行し、搬出リトライ動作の残り回数の設定数を1回分だけ減らし、図4に示すST21に再び移行し、搬出処理が行われる。
ST35において、搬出リトライ動作の残りの回数が1回以上残っていない場合、すなわち、既に搬出リトライ動作がN回行われ、それでもディスクの搬入動作を完了できないと判断したときには、ST36においてディスク装置の動作を停止する。これは、筐体2内に搬入されたディスクがもはや挿入口から搬出できない状態を意味している。このとき、操作部に設けられた表示パネルに、ディスク装置が故障状態であることを表示する。そして、その後、人の作業でディスクDが筐体内から取り出されるまで、ディスク装置1の動作を停止する。
次に、ST33において、ディスクDの搬入動作が完了したときはST38に移行する。ST38では、ST35と同様に、設定されているN回の搬出リトライ回数の残り回数が1回以上残っているか否か判断する。ディスクの搬入が完了した時点で、残り回数が1回以上残っていない場合、すなわち設定されたN回の搬出リトライ動作を既に完了しているときには、もはやディスクDを搬出できないと判断し、ST36に移行してディスク装置1を停止する。
一方、ST38において、ディスクDの搬入が完了し、ディスクDが回転テーブル6に設置された時点で、搬出リトライ動作の残りの回数が1回以上残っている場合は、F4のディスク回転処理に移行し、回転駆動部4のスピンドルモータを始動し、ディスクDを、例えば90度や180度程度の少しの回転角度だけ回転させる。ディスク回転処理F4を完了した後に、ST39において、設定されていた搬出リトライ動作の残り回数を1回分だけ減らし、図4に示すST21に移行して、ディスクDの搬出処理が再度行われる。
(ディスク回転処理F4の第1の実施例)
図5に示すディスク回転処理F4の詳細を説明する。図6はディスク回転処理F4の第1の実施例F4aを示すフローチャートである。図6に示すディスク回転処理F4aは、スピンドルモータに通電したときに、実際にディスクDが回転しているかを判断することなく動作処理を進行させるものであり、スピンドルモータがFG(周波数検出器)などの回転検知器を有していない場合にも実施可能である。
図5に示すST38では、予めN回に設定されていた搬出リトライ動作の設定回数のうちの残り回数が1回以上残っている場合に、ディスク回転処理F4aに移行するが、図6のディスク回転処理F4aでは、さらにST41で、搬出リトライ動作の残り回数が1回かどうか判断する。すなわち、ディスク回転処理F4aの処理を行う回数が、搬出リトライ動作の設定回数であるN回の最後の1回であるか否かが判断される。
ST41において、搬出リトライ動作の残りの回数が1回ではない場合、つまり、N回の搬出リトライ動作の最後の1回ではないと判断されたときには、ST42に移行し、回転駆動部4のスピンドルモータが正回転方向へ駆動される。この正回転方向は、上方から見たときにディスクDが時計回りに回転する方向であり、この正回転方向が第1の方向である。この正回転方向(第1の方向)は、ディスクDの再生動作を行うときの回転方向と同じ方向である。
ST43では、制御部21内のタイマーが設定時間T3に設定され、ST44では、スピンドルモータに設定時間T3だけ通電されて駆動される。設定時間T3を経過すると、ST45でスピンドルモータの正回転方向への駆動が停止し、図5のST39に移行し、さらに図4のST21に移行して、ディスクDの搬出動作が行われる。
一方、ST41において、搬出リトライ動作の残りの回数が1回であると判断された場合、すなわち、N回設定されている最後の搬出リトライ動作であると判断されると、ST46に移行する。ST46では、スピンドルモータが正回転方向と逆方向である逆回転方向すなわち第2の方向へ駆動される。このときST47で、制御部21内のタイマーが設定時間T4に設定され、ST48において、スピンドルモータの逆回転方向への駆動が設定時間T4だけ継続したと判断した後は、ST45に移行し、スピンドルモータを停止し、ST39に移行し、さらにST21に移行して、ディスクDが搬出される。
第1の実施例のディスク回転処理F4aでは、N回に設定されている搬出リトライ動作のうちの最後のリトライ動作ではないときは、ST42においてスピンドルモータを正回転方向へ駆動している。これにより、回転テーブル6に保持されているディスクDを、90度または180度程度回転させることが可能である。この回転により、ディスクDの向きが、その前の搬出動作において支障をきたした向きと異なることになり、その後の搬出動作でディスクDを搬出できる確率が高くなる。
ただし、例えば、ディスクDの記録面とは逆の表面にラベルが貼られており、このラベルの一部が剥がれて、搬出時にラベルの粘着面が搬送ローラ9に一時的に貼り付くなどし、搬出動作を完了できないことがある。この場合に、ST33でディスクDを戻して回転駆動部4に保持させ、ST42でディスクを正回転方向へ回転させたときに、一部剥がれているラベルが、筐体2の内部の機構に貼り付いてしまい、さらにディスクDが搬出されにくくなることが有る。または、ST42においてスピンドルモータに通電しても、ラベルの一部が筐体の内部に貼り付いて、ディスクDが正回転方向へ回転できず、さらに搬出動作ができなくなることもある。
そこで、ST42でスピンドルモータを正回転方向へ駆動した後に搬出リトライ動作を行い、これを繰り返し行ってもディスクDを搬出できないときには、N回目の最後の搬出リトライ動作において、ST46においてスピンドルモータを逆回転方向へ駆動する。この逆回転駆動により、ディスクDを、ラベルが筐体内に貼り付きやすい方向と逆の方向へ回転させることができる。さらに、ディスクDの搬送ローラ9への向きも変えることができるため、その後に、ディスクDを搬出できる確率が高くなる。
また、搬出リトライ動作がN回の最後となるまでは、搬出リトライ動作において、スピンドルモータを正回転方向にのみ回転させているため、制御部21での制御動作が容易であり、また、毎回の搬出リトライ動作において、正回転方向と逆回転方向の往復駆動を行うことに比べて搬出リトライ動作を短時間にできる。
なお、図6のST42で設定される時間T3よりも、ST47で設定される時間T4を長く設定しておくことが好ましい。時間T4を長くすると、最後の1回の搬出リトライ動作で、ディスクDを逆回転方向へ90度を越える角度や180度を越える角度で回転させることができ、ラベルの剥がれを矯正できるなどの確率を高くできる。
(ディスク回転処理の第2の実施例)
次に、図5においてF4で示すディスク回転処理の第2の実施例F4bを、図7のフローチャートに基づいて説明する。
図7に示す搬出リトライ動作のディスク回転処理F4bは、スピンドルモータを第1の方向へ駆動したときに、ディスクDが回転できたか否かに応じて、その後の処理動作を変えるものである。
図5に示すST38において、搬出リトライ動作の残り回数が1回以上あると判断されると、図7に示すST51に移行する。
ST51では、その前に行われた搬出リトライ動作のディスク回転処理F4bにおいて、ディスクが正回転方向(第1の方向)へ回転できていたと記憶されているか否かが判断される。その前に行われたディスク回転処理F4bのST57において、ディスクDが正回転方向へ回転できたとメモリに記憶されているときは、ST51からST52に移行する。なお、第1回目の搬出リトライ動作では、その前の搬出リトライ動作の履歴がメモリに記憶されていないため、このときはST51からST52に移行する。
ST52では、制御部21からスピンドルモータを正回転方向へ駆動するための指令が出される。ST53で、制御部21内のタイマーが設定時間T5に設定されて計測が開始され、同時に、ST54でスピンドルモータが正回転方向へ起動させられる。また、図1に示す光ヘッド17の対物レンズ17aからディスクDの記録面に検知光が照射され、その反射光が受光されて、データの読み出し動作が開始される。
ST54でスピンドルモータの駆動が設定時間T5を経過したと判断したときに、ST56で、光ヘッド17で、ディスクDの記録面に記録されている記録データのサブコードを読み取ることができたか否かを判断する。
ST56でサブコードが読み取れたときは、これはディスクDが正回転方向(第1の方向)へ回転できたことを意味するため、ST57において、メモリにディスクDが正回転方向へ回転できたと記憶する。一方、ST56でサブコードを読めなかったときは、ST59でディスクDが正回転方向へ回転できなかったことをメモリに記憶する。ST55において設定時間T5が経過したときは、ST57、ST59のいずれかの履歴をメモリに記憶した後に、ST58に移行してスピンドルモータへの通電を停止する。
そして、図5のST39に移行し、さらに図4のST21に移行して、ディスクDの搬出処理動作を行う。
このときの搬出処理動作によって、ディスクDが正常に搬出完了位置まで搬出できないときには、さらに図5に示す搬出リトライ動作F3に移行し、ST38で搬出リトライ動作の実施回数がN回に達していないときは、再びディスク回転処理F4bに移行する。このとき、ST51では、メモリに記憶されている履歴を参照し、その前の搬出リトライ動作において、ST57でディスクDが正回転方向へ回転できたと記憶されていたら前述のようにST52に移行する。ただし、ST51において、その前の搬出リトライ動作において、ST59で、ディスクDが正回転方向へ回転できなかったと記憶されているときは、ST60に移行する。
ST60では、スピンドルモータを逆回転方向(第2の方向)へ始動し、ST61においてタイマーで設定時間T6の計数を開始する。ST62で設定時間T6を経過したと判断すると、ST58に移行してスピンドルモータの駆動を停止する。そして、ST39へ移行し、さらにST21に移行して、ディスクを搬出する処理を行う。
第2の実施例のディスク回転処理F4bにおいて、ST52でスピンドルモータを正回転方向に駆動する制御を行ったときに、ディスクDが実際に正回転方向へ回転すれば、その後に、搬送ローラ9に対するディスクDの向きが変わるので、ディスクDの搬出エラーの原因が解消されやすくなる。よって、その後の搬出処理で、ディスクDが搬出完了位置へ移動できる確率が高くなる。
ただし、ディスクDを正回転方向へ回転させることができたにもかかわらず、その後の搬出動作で、ディスクDが搬出完了位置に至らないときは、ディスクDを回転駆動部で保持できる位置まで戻したときに、再度、回転駆動部4でディスクを正回転方向へ回転させることで、その後に、ディスクDを搬出できる確率をさらに高くしている。
これに対し、ディスクDを回転駆動部4に保持できる位置まで戻し、スピンドルモータを正回転方向へ駆動したときに、ST59において、ディスクが回転していないと判断したときは、その状態を記憶しておく。そして、その後のディスク搬出動作でディスクDが搬出完了位置に移動することができず、再びディスクDが戻されて回転駆動部4で保持されたときには、スピンドルモータを逆回転方向(第2の方向)へ駆動する。この逆回転動作により、ディスクDが正回転方向へ回転できなかった原因、例えばディスクDの表面のラベルの一部が剥がれて筐体2内の機構に貼り付いていたなどの原因を解消できる確率を高くできる。
なお、図7のST59において、ディスクDが正回転方向へ正常に回転できないと判断したときには、ST58に移行するのではなく、直接にST60に移行し、スピンドルモータを正回転方向へ駆動制御した直後に逆回転方向へ駆動するように、すなわち往復動作するように制御してもよい。
また、ST61で計測を開始する設定時間T6を、ST53で計測を開始する設定時間T5よりも長くし、例えば、正回転方向でディスクDを90度回転させ、逆回転方向でディスクDを180度回転させるなどの制御を行ってもよい。
さらに、ST56において、サブコードが読み取れたか否かでディスクDが正回転方向へ回転できたかを検知するのではなく、スピンドルモータにFGやPGなどの回転検知器が備えられているときには、この回転検知器の検知出力で、ディスクDが正回転方向へ回転できたか否かを判断してもよい。
(ディスク回転処理の第3の実施例)
次に、図5においてF4で示すディスク回転処理の第3の実施例F4cを、図8のフローチャートに基づいて説明する。
図8に示すディスク回転処理F4cは、スピンドルモータを第1の方向へ駆動したときの光学検知器11Aないし11Dの検知出力に応じて、その後の処理動作を変えるものである。
図8のST63では、その前に行われた搬出リトライ処理において、後述するST71の履歴が記憶されているか、またはST72の履歴が記憶されているかを判断する。その前に行われた搬出リトライ動作において、ST71で、光学検知器の検知出力が一致していないと判断され、その履歴が記憶されているときはST63からST64に移行する。なお、1回目の搬出リトライ動作では、ST71またはST72の履歴が記憶されていないため、この場合は、ST63からST64に移行する。
ST64の時点では、ディスクDが搬送ローラ9で回転駆動部4まで戻され、ディスクDの中心が回転テーブル6に保持されているが、このときスピンドルモータを回転させることなく、光学検知器11Aないし11Dの全ての検知出力、すなわち全ての光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力が「検知状態」であるか、または「非検知状態」であるかの情報を制御部21のメモリに記憶する。
そして、ST65でスピンドルモータを正回転方向へ駆動し、ST66で時間の計測を開始し、ST67で設定時間T7を経過したと判断したら、ST68でスピンドルモータの正回転方向への駆動を停止する。
そして、ST69では、スピンドルモータの駆動を停止した後の、光学検知器11Aないし11Dの全ての検知出力、すなわち全ての光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力が「検知状態」であるか、または「非検知状態」であるかの情報を制御部21のメモリに記憶する。
ST70では、スピンドルモータを駆動する前のST64で記憶された光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力と、スピンドルモータを駆動した後のST69で記憶された光学検知器11A,11B,11C,11Dの検知出力とが一致しているか否か判断する。
検知出力が一致していなければ、ST71においてその履歴がメモリに記憶される。また、検知出力が一致しているときは、ST72においてその履歴がメモリに記憶される。ST71またはST72の履歴をメモリに記憶した後に、ST39へ移行し、さらにST21に移行してディスクの搬出処理に移行する。
このときの搬出処理でディスクが搬出完了位置に移動できないと、再び図5に示す処理動作で、ディスクDが回転駆動部4に保持される。そして、ST38から図8のディスク回転処理F4cに移行し、ST63において、その前の搬出リトライ動作の履歴が参照される。ST63において、その前の搬出リトライ動作の履歴がST71であると判断したときにはST64に移行する。ただし、その前の搬出リトライ動作の履歴がST72であると判断したときにはST73に移行する。
ST73では、スピンドルモータが逆回転方向(第2の方向)へ回転させられる。そして、ST74で時間の計測を開始し、ST75で設定時間T8を経過したと判断したときは、ST76でスピンドルモータの駆動を停止し、ST39へ移行し、さらにST21へ移行してディスクDの搬出処理動作が行われる。
図8に示すディスク回転処理F4cでは、ディスクDを正回転方向へ回転させたときに、光学検知器11Aないし11Dのいずれかの検知出力が変化したら、その次の搬出リトライ動作においても、スピンドルモータを同じ正回転方向へ駆動する。逆に、ディスクDを正回転方向へ回転させたときに、光学検知器11Aないし11Dの全ての検知出力が変化しないときは、その後の搬出リトライ処理で、スピンドルモータを逆回転方向へ駆動する。
ディスクDの一部に光学検知器の光を遮光する場所と透過する場所が存在しているとき、またはディスクの一部に光を透過させる欠損部があるような場合では、回転前のST64での光学検知器の検知出力と、回転後のST69での光学検知器の検知出力とが相違するのは、スピンドルモータの正回転方向の駆動によりディスクDが実際に回転したときのみである。
ただし、ST64の検知出力とST69の検知出力が一致していると判断されるのは、次の2つのケースのうちのいずれかである。1つのケースは、前記のように、ディスクDの一部に光学検知器の光を遮光する場所と透過する場所が存在しており、しかも、スピンドルモータを駆動制御したのにもかかわらず、ディスクDが回転していない場合である。他のケースは、スピンドルモータを正回転方向へ駆動したときに、ディスクDが実際には回転しているが、ディスクの全域が遮光性であるために、全ての光学検知器11Aないし11Dの出力が変化しない場合である。本実施例では、前記2つのいずれのケースであっても、ST73でスピンドルモータを逆回転方向へ駆動する制御が行われる。
このように設定しておくと、搬出リトライ動作のときに、ディスクDを正回転方向へ回転させてから搬出動作に移行する処理と、ディスクDを逆回転方向へ回転させてから搬出動作に以降する処理とがランダムに交互に発生するため、ディスクDの搬出エラーを解消できる確率を高くできる。